JP3827932B2 - 光拡散層、光拡散性シート及び光学素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイ(LCD)、EL、プラズマディスプレイ(PDP)などにおいて、画面の視認性の低下を抑えるために用いられている光拡散層(アンチグレア層)、さらには当該光拡散層を有する光拡散性シート、当該光拡散性シートが設けられている光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、LCDなどの画像表示装置は、表示装置表面に蛍光燈などの室内照明、窓からの太陽光の入射、操作者の影などの写り込みにより、画像の視認性が妨げられる。そのため、ディスプレイ表面には、画像の視認性を向上するために、表面反射光を拡散し、外光の正反射を抑え、外部環境の写り込みを防ぐことができる(防眩性を有する)微細凹凸構造を形成させた光拡散層が設けられている。光拡散層の形成方法としては、構造の微細化が容易なこと、また生産性がよいことから微粒子を分散した紫外線硬化型樹脂溶液をコーティングして樹脂皮膜層を形成する方法が主流となっている。
【0003】
しかし、微粒子を分散した紫外線硬化型樹脂溶液によって微細凹凸構造表面を形成すると、塗膜自体の厚みが薄くなる傾向が強く、微細凹凸構造表面の硬化皮膜の硬度が低下し、耐擦傷性が弱くなる。
【0004】
また、最近の画素サイズの小型化により画像が高精細(たとえば、100ppi以上)化したり、フラットパネル化等による高品位なLCDの場合に、これに上記光拡散層を装着すると、光拡散層の表面で突出した粒子により形成される微細凹凸構造に起因すると思われるギラツキ(輝度の強弱の部分)がLCD表面に発生し視認性を低下させる(画像が粗く鮮明性がなくなる)問題があるが、前記ギラツキ現象を改善するために、たとえば、紫外線硬化型樹脂溶液中に分散させる微粒子として、スチレンビーズ等の有機系微粒子を用いた場合や、微細凹凸構造表面において粒子を突出させるために、チクソトロピー剤を含有させたような場合には微細凹凸構造の表面硬度が弱くなる傾向が特に大きい。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高精細なLCDに適用した場合にも、防眩性を有し、かつ良好な表面硬度を有する光拡散層を提供することを目的とする。さらには当該光拡散層を有する光拡散性シート、当該光拡散性シートが設けられている光学素子を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す構造の光拡散層により前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0007】
すなわち、微粒子を含有しない樹脂皮膜層(a)上に、表面が微細凹凸構造を有する樹脂皮膜層(b)が重畳形成されている光拡散層であって、
樹脂皮膜層(b)は微粒子を含有し、樹脂皮膜層(b)の表面微細凹凸構造が微粒子によって形成されており、
樹脂皮膜層(a)は厚さ5〜30μm、
樹脂皮膜層(b)は厚さ3〜10μm、
微粒子の平均粒子径が0.1〜3μm、であることを特徴とする光拡散層、に関する。
【0008】
上記本発明の光拡散層は、光拡散層の表層を形成する樹脂皮膜層(b)に加えて、裏層を形成する樹脂皮膜層(a)を有しており、当該樹脂皮膜層(a)により光拡散層を支持する透明基板等との密着性を向上させて、高硬度の表面硬度を実現したものである。樹脂皮膜層(a)には、密着性を向上させ、表面硬度向上による耐擦傷性を付与するため微粒子を含有させていない。
【0009】
前記光拡散層の樹脂皮膜層(a)および樹脂皮膜層(b)が紫外線硬化型樹脂により形成されていることが好ましい。
【0010】
樹脂皮膜層(b)の形成に微粒子を用いることにより、微細表面凹凸構造を有する樹脂皮膜層を簡易かつ確実に実現できる。さらには、紫外線硬化型樹脂によれが紫外線照射による硬化処理にて、簡単な加工操作にて効率よく樹脂皮膜層(a)および樹脂皮膜層(b)からなる光拡散層を形成することができる。
【0011】
前記光拡散層は、樹脂皮膜層(b)に含有される微粒子が有機系微粒子であることが好ましい。また、樹脂皮膜層(b)がチクソトロピー剤を含有していることが好ましい。
【0012】
また、前記光拡散層は、有機系微粒子やチクソトロピー剤を含むと、表面に微細凹凸形状を有する光拡散層の表面硬度は弱くなる傾向にあるが、上記本発明の光拡散層によれば表面硬度の低下が抑えられる。
【0013】
また、前記光拡散層は、樹脂皮膜層(b)の厚さが1μm以下の場合には、樹脂皮膜層(b)の厚さを樹脂皮膜層(a)の厚さの1/6以下とすることが好ましい態様の一つである。
【0014】
樹脂皮膜層(b)の厚さを前記範囲とすることにより、画素サイズの小型化等による高精細化した画像の鮮明性を低下させることなく、また写り込みを有効に防止でき、しかも皮膜強度に優れ良好な耐擦傷性を有する光拡散層が得られる。
【0015】
また、本発明は、前記光拡散層が、透明基板の少なくとも一方の面に設けられていることを特徴とする光拡散性シート、に関する。
【0016】
さらに、本発明は、前記光拡散層または光拡散性シートが、光学素子の片面又は両面に設けられていることを特徴とする光学素子、に関する。
【0017】
本発明の光拡散層は、透明基板上に設けた光拡散性シートとして各種の用途に用いることができ、たとえば、光学素子に用いられ、視認性等の表示品位に優れる液晶表示装置などに利用される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、透明基板1上に、光拡散層4として、下層の樹脂皮膜層2(a)と、表面が微細凹凸構造の樹脂皮膜層2(b)が上層に重畳形成されている光拡散性シートである。樹脂皮膜層2(b)の微細凹凸構造は微粒子3により形成されている。なお、図1では、樹脂皮膜層2(a)、樹脂皮膜層2(b)がそれぞれ1層の場合を示しているが、これらを複数層によって形成することもできる。
【0019】
透明基板1としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムがあげられる。またポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等のスチレン系ポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体等のオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー等の透明ポリマーからなるフィルムもあげられる。さらにイミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマーや前記ポリマーのブレンド物等の透明ポリマーからなるフィルムなどもあげられる。透明ポリマーは1種または2種以上を適宜に用いることができ、機械的強度、熱安定性、耐水性に優れる樹脂が好ましい。特に光学的に複屈折の少ないものが好適に用いられる。
【0020】
透明基板1の厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性、光透過性などの点より、10〜500μm程度である。特に20〜300μmが好ましく、30〜200μmがより好ましい。透明基板1の表面には、それに付設する層の密着力の向上等を目的にコロナ処理や紫外線照射処理、プラズマ処理やスパッタエッチング処理、アンダーコート処理等を適宜に施すことができる。
【0021】
前記樹脂皮膜層2(a)、樹脂皮膜層2(b)を形成する樹脂としては、樹脂皮膜層形成後の皮膜として十分な強度を持ち、透明性のあるものを特に制限なく使用できる。樹脂皮膜層2(a)、樹脂皮膜層2(b)を形成する樹脂は同種のものでもよく異種のものでもよいが、密着力や密着海面での反射を防止する点から同種樹脂が好ましい。
【0022】
前記樹脂としては熱硬化型樹脂、熱可塑型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、二液混合型樹脂などがあげられるが、これらのなかでも紫外線照射による硬化処理にて、簡単な加工操作にて効率よく光拡散層を形成することができ、また表面の傷つき防止等を目的としてハードコート性などの耐殺傷性の点から、硬化型樹脂、特に紫外線硬化型樹脂が好適である。
【0023】
紫外線硬化型樹脂としては、たとえば、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アミド系、シリコーン系、エポキシ系等の各種のものがあげられ、紫外線硬化型のモノマー、オリゴマー、ポリマー等が含まれる。好ましく用いられる紫外線硬化型樹脂は、例えば紫外線重合性の官能基を有するもの、特に当該官能基を2個以上、特に3〜6個有するアクリル系のモノマーやオリゴマーを成分を含むものがあげられる。また、紫外線硬化型樹脂には、紫外線重合開始剤が配合されている。
【0024】
なお、樹脂皮膜層2(b)の形成には、レベリング剤、チクソトロピー剤、帯電防止剤等の添加剤を含有させることができる。樹脂皮膜層の形成に当たり、チクソトロピー剤(0.1μm以下のシリカ、マイカ等)を含有させることにより、樹脂皮膜層(光拡散層)の表面において、突出粒子により微細凹凸構造を容易に形成することができる。これら添加剤の含有量は、通常、紫外線硬化型樹脂100重量部に対して、1〜15重量部程度とするのが好適である。
【0025】
前記樹脂皮膜層2(a)および樹脂皮膜層2(b)からなる重畳層の形成は、前記樹脂の共押出し成形方法等の適宜な方式でフィルム化する方法、透明基板1上に樹脂を重ね塗りして皮膜を順次に形成する方法、硬化性樹脂の場合には順次に硬化皮膜を形成する方法等を採用できる。前記透明基板1上に塗工された硬化型樹脂(たとえば、紫外線硬化型樹脂:塗工液)は、乾燥後、硬化処理する。なお、塗工液は、ファンテン、ダイコーター、キャスティング、スピンコート、ファンテンメタリング、グラビア等の樹脂タイプに応じた適宜な方式で塗工される。
【0026】
樹脂皮膜層2(b)の微細凹凸構造表面の形成方法は特に制限されず、適宜な方式を採用することができる。たとえば、前記樹脂皮膜層2(b)の形成に用いたフィルムの表面を、予め、サンドブラストやエンボスロール、化学エッチング、バフ加工等の適宜な方式で粗面化処理してフィルム表面に微細凹凸構造を付与する方法等により、樹脂皮膜層2(b)を形成する材料そのものの表面を微細凹凸構造に形成する方法があげられる。また、樹脂皮膜層2(b)上に別途樹脂皮膜層を塗工付加し、当該樹脂皮膜層表面に、金型による転写方式等により微細凹凸構造を付与する方法があげられる。また、図1のように樹脂皮膜層2(b)に微粒子3を分散含有させて微細凹凸構造を付与する方法などがあげられる。これら微細凹凸構造の形成方法は、二種以上の方法を組み合わせ、異なる状態の微細凹凸構造表面を複合させた層として形成してもよい。
【0027】
前記樹脂皮膜層2(b)の形成方法のなかでも、微細凹凸構造表面の形成性、画像鮮明性の低下防止、光拡散効果等の観点より、微粒子3を分散含有する樹脂皮膜層2(b)を設ける方法が好ましい。
【0028】
微粒子3としては、樹脂皮膜層2(b)の形成樹脂に不溶で、各種金属酸化物、ガラス、プラスティックなどの透明性を有するものを特に制限なく使用することができる。例えばシリカやアルミナ、チタニアやジルコニア、酸化カルシウムや酸化錫、酸化インジウムや酸化カドミウム、酸化アンチモン等の導電性のこともある無機系微粒子、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリウレタン、アクリル−スチレン共重合体、ベンゾグアナミン、メラミン、ポリカーボネート等の各種ポリマーからなる架橋又は未架橋の有機系微粒子やシリコーン系微粒子などがあげられるが、有機系微粒子が好ましい。これら微粒子3は1種または2種以上を適宜に選択して用いることができる。
【0029】
微粒子3の平均粒子径は、画素サイズの小型化等による高精細な画像の鮮明性を低下させない表面微細凹凸構造を形成した外景の写り込みを有効に防止するため、0.5〜3μmである。微粒子3の割合は、外景の写り込み防止などの点から、樹脂皮膜層2(b)の形成樹脂100重量部に対して、50重量部以下、好ましくは2〜40重量部、さらに好ましくは5〜30重量部である。
【0030】
重畳層の光拡散層を形成する前記樹脂皮膜層2(a)の厚さは耐擦傷性や薄型化等の点から、5〜30μm、好ましくは5〜20μm、さらに好ましくは5〜10μmである。
【0031】
また、樹脂皮膜層2(b)の厚さは特に制限されないが、3〜10μm、好ましくは3〜7μm、さらに好ましくは3〜5μmである。
【0033】
樹脂皮膜層2(b)が微粒子を用いて形成された場合、光拡散層は表層を形成する樹脂皮膜層2(b)にのみ微粒子が偏在している。このように、微粒子3が光拡散層中に均一に分散していないため、裏層の樹脂皮膜層2(a)の界面における乱反射で透過画像の鮮明性が低下せず、鮮明画像の品質がよい。また、裏層の樹脂皮膜層2(a)に微粒子3を有しないため、表面硬度が低下せず耐殺傷性にも優れる。これらの点から光拡散層は、微粒子3が樹脂皮膜層2(b)の表面に可及的に単層配列状態で偏在するものが好ましい。
【0034】
前記光拡散層の最表面である樹脂皮膜層(b)の凹凸形状の表面には、外光の表面反射の抑制を目的に、さらに反射防止層を設けることができる。反射防止層は樹脂皮膜層(b)よりも屈折率の低いものが用いられ、たとえば、無機酸化物の多層コート膜やフッ素系化合物等の低屈折率材料のコート膜等からなる干渉膜などとして形成することができる。反射防止層の厚さは特に制限されないが、0.05〜0.3μm程度、特に0.1〜0.3μmとするのが好ましい。低屈折率層は、適宜な方式にて樹脂皮膜層2の表面上に形成することができる。形成方法としては、イオンプレーテフィング方式、スパッタリング方式等の蒸着方式、メッキ方式やゾル−ゲル方式などの適宜なコート方式や、樹脂皮膜層2の形成と同様の方法を採用できる。
【0035】
また、前記図1の光拡散性シートの透明基板1には、光学素子を接着することができる(図示せず)。光学素子としては、偏光板、位相差板、楕円偏光板、光学補償付き偏光板等があげられ、これらは積層体として用いることができる。その他、前記光拡散層は光学素子、または表示装置上の光学素子に直接設けることができる。
【0036】
偏光板としては、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムにヨウ素や染料等を吸着させて延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物の如き偏光フィルムがあげられる。位相差板としては、前記透明基板で例示したポリマーフィルムの一軸または二軸延伸フィルムや液晶ポリマーフィルムなどがあげられる。位相差板は、2層以上の延伸フィルムの重畳体などとして形成されていてもよい。楕円偏光板、光学補償付き偏光板は、偏光板と位相差板を積層することにより形成しうる。楕円偏光板、光学補償付き偏光板は、偏光板側の面に、光拡散層を形成している。
【0037】
光学素子の接着は、必要に応じて、アクリル系、ゴム系、シリコーン系、ポリエステル系、ポリウレタン系、ポリエーテル系等の粘着剤やホットメルト系接着剤などの透明性や耐候性などに優れる適宜な接着層を介することができる。これらのなかでも、アクリル系粘着剤が光学的透明性に優れ、適度の濡れ性、凝集性、接着性等の粘着特性を示し好ましい。それに加えて耐熱性、耐候性などに優れるものがより好ましい。
【0038】
アクリル系粘着剤としては、たとえば、メチル基、エチル基、ブチル基、エチルヘキシル基等の炭素数20以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの1種または2種以上を主成分に用いたアクリル系重合体やそれに必要に応じて粘着特性の改質等を目的にアクリル酸アルキルエステル以外の適宜なモノマー成分の1種または2種以上を共重合したものをベースポリマーとするものなどがあげられる。
【0039】
透明基板1や光学素子等への粘着層の付設は、たとえば、粘着剤液を流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で直接付設する方式、前記に準じセパレータ上に粘着層を形成してそれを移着する方式などの適宜な方式で行うことができる。粘着層の厚さは、接着力等に応じて適宜に決定でき一般的には1〜500μmとされる。
【0040】
粘着層には、必要に応じて天然物や合成物の樹脂類、たとえば、粘着付与剤、充填剤、顔料、着色剤、酸化防止剤などの適宜な添加剤を配合でき、微粒子を配合して光拡散性を示す粘着層とすることもできる。また粘着層は、異なる組成または種類のものの重畳層として設けることもできる。粘着層が表面に露出する場合には、実用に供するまでの間にその表面をセパレータなどで被覆保護しておくことが好ましい。
【0041】
前記光拡散性シート、光学素子には帯電防止や電磁波の遮断等を目的に透明導電層を設けることもできる。透明導電層は、透明基板表面、または光学素子の内部や表面の適宜な箇所に1層または2層以上設けることができる。透明銅伝送の形成は、例えば、透明導電塗料の塗工方式、導電材料の真空蒸着方式やスパッタリング方式、イオンプレーティング方式や化学蒸着方式、スプレー熱分解方式、電気メッキ方式やそれらを組み合わせた方式などの適宜な方式により行うことができる。
【0042】
前記導電材料には、たとえば、酸化インジウム、酸化スズ、インジウム・スズ混合酸化物、酸化カドミウム、酸化チタンや、インジウム、スズ、金、銀、白金、パラジウム、銅、アルミニウム、ニッケル、クロム、鉄、コバルト、ヨウ化銅やそれらの合金などの適宜なものを1種または2種以上用いることができ特に限定はなく公知物のいずれも用いうる。
【0043】
また樹脂皮膜層2(b)の表面には、指紋等の汚れを付着しにくくし、また付着した汚れを払拭しやすくすることなどを目的に、フッ素系表面処理コートを設けることもできる。そのコートの形成には、たとえば、フッ素系樹脂やフッ素系シランカップリング剤などの表面エネルギーの小さい膜を形成しうる適宜なフッ素系化合物を用いることができる。さらには、光拡散層、透明基板、光学素子には、たとえば、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などにより紫外線吸収能をもたせることもできる。
【0044】
【実施例】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何等限定されるものではない。
【0045】
実施例1
紫外線硬化型樹脂(ウレタンアクリレート系モノマー)100重量部および光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製,商品名イルガキュア184)3重量部からなる組成物をトリアセチルセルロース上に塗布した後、紫外線照射により硬化処理して、表面に5μmの紫外線硬化樹脂層(樹脂皮膜層(a))を形成した。
【0046】
次いで、微粒子として平均粒子径2μmのアクリル(ポリメチルメタクリレート)ビーズ5重量部、紫外線硬化型樹脂(ウレタンアクリレート系モノマー)100重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製,商品名イルガキュア184)3重量部及びその固形分が50重量%となるように計量された溶剤(トルエン)とを混合した樹脂溶液を、前記樹脂皮膜層(a)上に塗布し、120℃で5分乾燥した後、紫外線照射により硬化処理して、厚さ3〜5μmの微細凹凸構造表面の樹脂皮膜層(b)を形成した光拡散性シートを作製した。
【0047】
実施例2
実施例1において、樹脂皮膜層(b)の形成に用いた微粒子として平均粒子径2μmのポリスチレンビーズ5重量部を用いたこと、樹脂溶液にチクソトロピー剤(コープケミカル(株)製,商品名:ルーセンタイト)3重量部を加えたこと以外は実施例1と同様にして光拡散性シートを作製した。
【0048】
比較例1
実施例1において、トリアセチルセルロース上に樹脂皮膜層(a)を形成することなく、樹脂皮膜層(b)を形成したこと以外は実施例1と同様にして光拡散性シートを作製した。
【0049】
比較例2
実施例2において、トリアセチルセルロース上に樹脂皮膜層(a)を形成することなく、樹脂皮膜層(b)を形成したこと以外は実施例2と同様にして光拡散性シートを作製した。
【0050】
(表面硬度の測定)
実施例および比較例で得られた光拡散性シートについて、JIS K5400に準じて、光拡散層表面の鉛筆硬度を測定した。結果を表1に示す。
【0051】
【表1】
表1に示すとおり、実施例で得られた光拡散性シートは、実用レベルに耐えうる鉛筆硬度3Hを有し、耐殺傷性に優れた光拡散層が形成されている。
【0052】
また、前記実施例および比較例で得られた光拡散性シートに偏光板(185μm)を接着したものを、ガラス基板に接着し、ライトテーブル上に固定されたマスクパターン(開口率25%)上でのギラツキ度合い、蛍光灯下における写り込み(防眩性)を目視で評価したところいずれも良好であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光拡散性シートの断面図の一例である。
【符号の説明】
1:透明基板
2:樹脂皮膜層
3:微粒子
4:光拡散層
Claims (7)
- 微粒子を含有しない樹脂皮膜層(a)上に、表面が微細凹凸構造を有する樹脂皮膜層(b)が重畳形成されている光拡散層であって、
樹脂皮膜層(b)は微粒子を含有し、樹脂皮膜層(b)の表面微細凹凸構造が微粒子によって形成されており、
樹脂皮膜層(a)は厚さ5〜30μm、
樹脂皮膜層(b)は厚さ3〜10μm、
微粒子の平均粒子径が0.1〜3μm、であることを特徴とする光拡散層。 - 微粒子の割合が、樹脂皮膜層2(b)の形成樹脂100重量部に対して、2〜50重量部であることを特徴とする請求項1記載の光拡散層。
- 樹脂皮膜層(a)および樹脂皮膜層(b)が紫外線硬化型樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の光拡散層。
- 微粒子が、有機系微粒子であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光拡散層。
- 樹脂皮膜層(b)が、チクソトロピー剤を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光拡散層。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の光拡散層が、透明基板の少なくとも一方の面に設けられていることを特徴とする光拡散性シート。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の光拡散層または請求項6記載の光拡散性シートが、光学素子の片面又は両面に設けられていることを特徴とする光学素子。
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