JP2001284171A - 積層型電子部品 - Google Patents
積層型電子部品Info
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Abstract
なることを防止するだけでなく、複数のコンデンサを組
み込む。 【解決手段】 誘電体素体12内にセラミック層12A
を介して8枚の内部電極14〜28が配置され、各内部
電極からそれぞれ1箇所の引出部が引き出される。これ
ら各引出部に接続される端子電極31、35が誘電体素
体12の側面12Bにそれぞれ配置され、同一の側面1
2B内で相互に隣り合う端子電極同士の極性が相互に異
なるようにする。
Description
タンス(ESL)を低減しつつ等価直列抵抗(ESR)
が極端に小さくなることを防止した積層型電子部品に係
り、特に多端子型積層コンデンサに好適なものである。
デンサが幅広く用いられており、LSIの電源回路にお
いても、積層セラミックチップコンデンサが用いられて
いる。一方、図10に示すコンデンサの配置されたCP
U等のLSIの電源回路では、LSIの動作時におい
て、図11に示すように急激な電流変動が発生すること
があり、この電流変動に伴って配線のL、R及びコンデ
ンサのESL、ESRにより電源回路の電圧が大幅に変
動(矢印Aで示す)して、LSIの動作に支障を来す場
合がある。尚、図10において、Cはコンデンサの静電
容量を表し、ESLはコンデンサ内の等価直列インダク
タンスを表し、ESRは等価直列抵抗を表す。
ESLで表す等価直列インダクタンスが低いコンデンサ
を用いて急激な電流変動に伴う電圧変動を抑制し、電源
回路の安定化対策を行ってきた。特に、近年のCPU
は、動作の高速化に伴って動作周波数の高周波化及び高
電流化が進んでいる為、より一層の低ESL化が要求さ
れている。この為、積層セラミックチップコンデンサの
一例とされる多端子型のコンデンサにおいては、図12
の矢印B、Cで示す流れる電流の方向を隣り合う端子電
極間で相互に逆方向になるように制御している。これに
より磁束が相殺されてインダクタンスが低減されるのに
伴って、コンデンサのより一層の低ESL化を図ってい
た。
の低ESL化された多端子型のコンデンサを基にして、
以下に従来のコンデンサを説明する。図13及び図14
に示すように、従来の低ESL化された多端子型コンデ
ンサ110の本体部分は、直方体形状の積層体112に
より構成されており、静電容量が積層体112を形成す
るセラミック素地によって得られるように、2つの内部
電極114、116がセラミック素地を介して重なり合
う構造とされている。
12が有する4つの側面の内の相互に対向する2つの側
面にそれぞれ2つづつ引き出される引出部114Aを有
し、また、内部電極116は、引出部114Aが引き出
されたのと同じ2つの側面にそれぞれ2つづつ引き出さ
れる引出部116Aを有している。つまり、引出部11
4A及び引出部116Aはそれぞれ計4つづつ存在する
ことになる。そして、引出部114Aと接続される端子
電極118及び、引出部116Aと接続される端子電極
120が、これら2つの側面にそれぞれ設置されてい
る。尚この際、図13及び図14に示すように、積層体
112の側面において隣り合う端子電極118、120
の極性が交互に逆となるように、引出部114A、11
6Aが配置されている。
Aの極性が異なることから、端子電極118、120か
ら流れ込む高周波電流によって発生する磁束が、これら
隣り合う引出部114A、116A同士で互いに打ち消
し合わされて、ESLが低減されるようになっている。
尚、これらの多端子型積層コンデンサに関する技術を開
示した公報として、特開平9−17693号公報や米国
特許公報USP5880925号等が知られている。
化はコンデンサのESRで表す等価直列抵抗にも大きく
依存するが、従来の低ESL化されたコンデンサにおい
ては、上記のように引出部114A、116Aがそれぞ
れ複数づつ存在するのに伴って、引出部114A、11
6Aの電気抵抗は小さくなり、結果としてESRが極端
に小さくなることから、このようなコンデンサを用いた
電源回路は安定性に欠けていた。つまり、従来の低ES
L化されたコンデンサは、ESRが極端に小さい為に、
周辺回路のインダクタンスによって共振現象を招いたと
きに、大きく電圧が落ち込んだり、或いはリンギングな
どの減衰振動を起こし易かった。
は、回路が高集積化されるのに伴って、一つのコンデン
サ内に、複数の回路に対応して例えば静電容量が異なる
複数のコンデンサが組み込まれた構造のものが要求され
るようになった。本発明は上記事実を考慮し、低ESL
化を図りつつESRが極端に小さくなることを防止する
だけでなく、複数のコンデンサが組み込まれた構造の積
層型電子部品を提供することを目的とする。
子部品は、誘電体層を積層して形成された誘電体素体
と、誘電体素体の何れかの側面に向かって引き出される
一つの引出部を有し且つ、誘電体素体内に誘電体層を介
して隔てられつつそれぞれ配置される複数の内部電極
と、誘電体素体外にそれぞれ配置され且つ、引出部を介
して複数の内部電極の何れかにそれぞれ接続される複数
の端子電極と、を有し、これら内部電極及び端子電極が
複数の回路に対応してそれぞれ複数組設けられたことを
特徴とする。
誘電体層を積層して形成された誘電体素体内に、誘電体
層を介して隔てられつつ複数の内部電極がそれぞれ配置
される。また、これら複数の内部電極は、誘電体素体の
何れかの側面に向かって引き出される一つの引出部を有
していて、誘電体素体外にそれぞれ配置される複数の端
子電極の何れもがこの一つの引出部を介して一つの内部
電極に接続されることで、複数の端子電極が複数存在す
る内部電極の何れかにそれぞれ接続されている。そし
て、本請求項に係る積層型電子部品への通電の際に、例
えば複数の端子電極が交互に正負極に順次なって、引出
部を介して端子電極とそれぞれ接続される複数の内部電
極が、相互に対向しつつ並列に配置されるコンデンサの
電極となる。
部電極から誘電体素体の側面に向かって引き出される構
成となっているので、隣り合って位置する引出部同士で
正負の電流を相互に逆方向に流して磁束を相殺させ、積
層型電子部品自体が持つ寄生インダクタンスを少なくす
ることで、等価直列インダクタンスが低減される。
から引き出されて端子電極に接続される引出部を一つと
することにより、この一つの引出部に電流が集中して流
れ、引出部における電気抵抗を増加させることが可能と
なる。このように引出部における電気抵抗が増加する結
果、隣り合う引出部間で正負の電流を相互に逆方向に流
して磁束を相殺する低ESL化技術を採用しても、ES
Rが過小となることが防止される。
び端子電極が複数の回路に対応してそれぞれ複数組設け
られ、一つの積層型電子部品内に複数のコンデンサが組
み込まれた形となっている。この為、積層型電子部品の
数を減らすことで、製造コストが削減されると共に、回
路が高集積化されるのに伴って要求される省スペース化
が図られることになった。
請求項1の積層型電子部品と同様の構成の他に、誘電体
素体が六面体形状に形成され、この六面体形状の誘電体
素体の4つの側面の内の少なくとも2つの側面にそれぞ
れ複数の端子電極が配置されるという構成を有してい
る。従って、複数の端子電極が、六面体形状の誘電体素
体の4つの側面の内の少なくとも2つの側面にそれぞれ
設けられるので、これら側面の各端子電極が交互に正負
となるように高周波電流を端子電極に流した場合、隣り
合う引出部同士で正負の電流が相互に逆方向に流れて磁
束を相殺させる効果が、これら側面で集中的に生じて、
等価直列インダクタンスが一層低減される。
の引出部に電流が集中して流れる形となって、引出部に
おける電気抵抗が増大するので、低ESL化を図りつつ
ESRが極端に小さくなることが防止され、さらに、請
求項1と同様に、製造コストが削減されると共に省スペ
ース化が図られた。
請求項1の積層型電子部品と同様の構成の他に、誘電体
素体が六面体形状に形成され、この六面体形状の誘電体
素体の4つの側面にそれぞれ複数の端子電極が配置され
るという構成を有している。従って、複数の端子電極
が、六面体形状の誘電体素体の4つの側面にそれぞれ設
けられるので、各側面の各端子電極が交互に正負となる
ように高周波電流を端子電極に流した場合、隣り合う引
出部同士で正負の電流が相互に逆方向に流れて磁束を相
殺させる効果が、4つの側面でそれぞれ生じて、等価直
列インダクタンスが一層低減される。
の引出部に電流が集中して流れる形となって、引出部に
おける電気抵抗が増大するので、低ESL化を図りつつ
ESRが極端に小さくなることが防止され、さらに、請
求項1と同様に、製造コストが削減されると共に省スペ
ース化が図られた。
請求項2及び請求項3の積層型電子部品と同様の構成の
他に、誘電体素体の同一の側面内に複数の端子電極が設
けられ、同一の側面内で隣り合う端子電極同士が相互に
異なる内部電極に接続されるという構成を有している。
従って、誘電体素体の同一の側面内で隣り合う端子電極
同士が相互に異なる内部電極に接続されているので、隣
り合う端子電極の極性が相互に異なるように電流が流さ
れることで、引出部で発生する磁束が相互に逆向きに引
出部内に流れる電流によって互いに打ち消し合い、請求
項1の等価直列インダクタンスを低減する効果が一層確
実に生じるようになる。
品の実施の形態を図面に基づき説明する。本発明の第1
の実施の形態に係る積層型電子部品であるアレイ型の多
端子型積層コンデンサ10を図1から図4に示す。これ
らの図に示すように、誘電体層とされるセラミックグリ
ーンシートを複数枚積層した積層体を焼成することで得
られた直方体状の焼結体である誘電体素体12を主要部
として、多端子型積層コンデンサ10が構成されてい
る。
は、面状の第1の内部電極14が配置されており、誘電
体素体12内においてセラミック層12Aを隔てた第1
の内部電極14の下方には、同じく面状の第2の内部電
極16が配置されている。同じく誘電体素体12内にお
いてセラミック層12Aを隔てた第2の内部電極16の
下方には、同じく面状の第3の内部電極18が配置さ
れ、同じく誘電体素体12内においてセラミック層12
Aを隔てた第3の内部電極18の下方には、同じく面状
の第4の内部電極20が配置されている。
セラミック層12Aを隔てた第4の内部電極40の下方
には、同じく面状の第5の内部電極22が配置されてお
り、誘電体素体12内においてセラミック層12Aを隔
てた第5の内部電極22の下方には、同じく面状の第6
の内部電極24が配置されている。同じく誘電体素体1
2内においてセラミック層12Aを隔てた第6の内部電
極24の下方には、同じく面状の第7の内部電極26が
配置され、同じく誘電体素体12内においてセラミック
層12Aを隔てた第7の内部電極26の下方には、同じ
く面状の第8の内部電極28が配置されている。
8の内部電極28までが誘電体素体12内においてセラ
ミック層12Aを介して隔てられつつ相互に対向して配
置されることになる。そして、これら第1の内部電極1
4から第8の内部電極28までの中心は、誘電体素体1
2の中心とほぼ同位置に配置されており、また、第1の
内部電極14から第8の内部電極28までの縦横寸法
は、対応する誘電体素体12の辺の長さより小さくされ
ている。
極14の手前側の端部から左方向に向かって電極が1箇
所引き出されることで、第1の内部電極14に1つの引
出部14Aが形成されている。また、第2の内部電極1
6の手前側寄りの部分から左方向に向かって電極が1箇
所引き出されることで、第2の内部電極16に1つの引
出部16Aが形成されている。一方、第3の内部電極1
8の奥側寄りの部分から左方向に向かって電極が1箇所
引き出されることで、第3の内部電極18に1つの引出
部18Aが形成されている。また、第4の内部電極20
の奥側の端部から左方向に向かって電極が1箇所引き出
されることで、第4の内部電極20に1つの引出部20
Aが形成されている。
から右方向に向かって電極が1箇所引き出されること
で、第5の内部電極22に1つの引出部22Aが形成さ
れている。また、第6の内部電極24の奥側寄りの部分
から右方向に向かって電極が1箇所引き出されること
で、第6の内部電極24に1つの引出部24Aが形成さ
れている。他方、第7の内部電極26の手前側寄りの部
分から右方向に向かって電極が1箇所引き出されること
で、第7の内部電極26に1つの引出部26Aが形成さ
れている。また、第8の内部電極28の手前側の端部か
ら右方向に向かって電極が1箇所引き出されることで、
第8の内部電極28に1つの引出部28Aが形成されて
いる。以上より、引出部14A〜28Aまでの計8ヵ所
の引出部分が相互に重ならない位置で内部電極14〜2
8からそれぞれ引き出されている。
の多端子型積層コンデンサ110と同じく、図1から図
4に示すように、内部電極14の引出部14Aに接続さ
れる第1の端子電極31、内部電極16の引出部16A
に接続される第2の端子電極32、内部電極18の引出
部18Aに接続される第3の端子電極33及び、内部電
極20の引出部20Aに接続される第4の端子電極34
が、誘電体素体12の左側の側面12Bにそれぞれ配置
されている。
Aから第4の内部電極20の引出部20Aまでがこれら
内部電極の図4の左側で相互に重ならずに位置している
ので、これら引出部14A〜20Aを介して、隣り合う
端子電極同士が相互に異なる内部電極14〜20に順次
接続される形で、これら端子電極31〜34が誘電体素
体12の左側の側面12Bに配置されて、例えば隣り合
う端子電極同士が相互に逆の極性で使用可能となる。
多端子型積層コンデンサ110と同じく、図1から図4
に示すように、内部電極22の引出部22Aに接続され
る第5の端子電極35、内部電極24の引出部24Aに
接続される第6の端子電極36、内部電極26の引出部
26Aに接続される第7の端子電極37及び、内部電極
28の引出部28Aに接続される第8の端子電極38
が、誘電体素体12の右側の側面12Bにそれぞれ配置
されている。
Aから第8の内部電極28の引出部28Aまでがこれら
内部電極の図4の右側で相互に重ならずに位置している
ので、これら引出部22A〜28Aを介して、隣り合う
端子電極同士が相互に異なる内部電極22〜28に順次
接続される形で、これら端子電極35〜38が誘電体素
体12の右側の側面12Bに配置されて、例えば隣り合
う端子電極同士が相互に逆の極性で使用可能となる。以
上より、本実施の形態では、多端子型積層コンデンサ1
0の左側の側面12Bに端子電極31〜34がそれぞれ
配置され、右側の側面12Bに端子電極35〜38がそ
れぞれ配置されることで、直方体である六面体形状とさ
れる誘電体素体12の4つの側面12B、12Cの内の
2つの側面12Bに端子電極31〜38がそれぞれ配置
されることになる。
ンデンサ10の製造について、図4に基づき説明する。
先ず、多端子型積層コンデンサ10の製造に際しては、
コンデンサとして機能する誘電体材料よりなる複数枚の
セラミックグリーンシート30A、30B、30C、3
0D、30E、30F、30G、30Hを用意する。
引き出される1箇所の引出部14A、16A、18A、
20Aを有した内部電極14、16、18、20を形成
するために、セラミックグリーンシート30A、30
B、30C、30Dの上面に、それぞれこれらの内部電
極14、16、18、20に応じて電極形成部が配置さ
れている。さらに、それぞれ右方向に引き出される1箇
所の引出部22A、24A、26A、28Aを有した内
部電極22、24、26、28を形成するために、セラ
ミックグリーンシート30E、30F、30G、30H
の上面に、それぞれこれらの内部電極22、24、2
6、28に応じて電極形成部が配置されている。
0Hの上面に配置される電極形成部は、例えば導電ペー
ストが印刷又はスパッタされて設けられる。また、セラ
ミックグリーンシート30A〜30Dとセラミックグリ
ーンシート30E〜30Hとの間で、必要とされる特性
に合わせてシート厚等を相違させても良い。
ラミックグリーンシート30A〜30Hをこの図の順序
で積層し、内部電極14の引出部14Aに接続される第
1の端子電極31、内部電極16の引出部16Aに接続
される第2の端子電極32、内部電極18の引出部18
Aに接続される第3の端子電極33、内部電極20の引
出部20Aに接続される第4の端子電極34、内部電極
22の引出部22Aに接続される第5の端子電極35、
内部電極24の引出部24Aに接続される第6の端子電
極36、内部電極26の引出部26Aに接続される第7
の端子電極37及び、内部電極28の引出部28Aに接
続される第8の端子電極38をこれら積層されたセラミ
ックグリーンシートの周囲に配置する。
電極31〜38間の部分をこれらセラミックグリーンシ
ートと同一の材料で覆って、これらを一体焼成すること
により、誘電体素体12の4つの側面12B、12Cの
内の左側の側面12Bに端子電極31〜34が配置され
ると共に右側の側面12Bに端子電極35〜38が配置
された多端子型積層コンデンサ10を得ることができ
る。
ンデンサ10の作用を説明する。セラミック等の誘電体
層を積層して形成された誘電体素体12内に、セラミッ
ク層12Aを介して隔てられつつ8枚の内部電極14〜
28がそれぞれ配置される。また、これら8枚の内部電
極14〜28は、誘電体素体12の相互に対向する2つ
の側面12Bに向かってそれぞれ引き出される引出部1
4A〜28Aを有していて、計8個の端子電極31〜3
8が誘電体素体12外にそれぞれ配置されている。
14Aを介して内部電極14に第1の端子電極31が接
続されており、引出部16Aを介して内部電極16に第
2の端子電極32が接続されており、引出部18Aを介
して内部電極18に第3の端子電極33が接続されてお
り、引出部20Aを介して内部電極20に第4の端子電
極34がそれぞれ接続されている。そして、これら内部
電極14、16、18、20及び端子電極31、32、
33、34で一つのコンデンサを構成し、このコンデン
サへの通電の際にこれら端子電極31〜34が交互に正
負極に順次なって、引出部14A〜20Aを介して端子
電極31〜34とそれぞれ接続される4枚の内部電極1
4〜20が、相互に対向しつつ並列に配置されるコンデ
ンサの電極となる。
に第5の端子電極35が接続されており、引出部24A
を介して内部電極24に第6の端子電極36が接続され
ており、引出部26Aを介して内部電極26に第7の端
子電極37が接続されており、引出部28Aを介して内
部電極28に第8の端子電極38が接続されている。そ
して、これら内部電極22、24、26、28及び端子
電極35、36、37、38でもう一つのコンデンサを
構成し、このコンデンサへの通電の際にこれら端子電極
35〜38が交互に正負極に順次なって、引出部22A
〜28Aを介して端子電極35〜38とそれぞれ接続さ
れる4枚の内部電極22〜28が、相互に対向しつつ並
列に配置されるコンデンサの電極となる。
2が六面体形状に形成され、この六面体形状の誘電体素
体12の4つの側面12B、12Cの内の2つの側面1
2Bにそれぞれ4つづつの端子電極31〜38が配置さ
れており、同一の側面12B内に配置されたこれらの端
子電極31〜34が順に相互に異なる内部電極14〜2
0に接続され、同じく同一の側面12B内に配置された
これらの端子電極35〜38が順に相互に異なる内部電
極22〜28に接続される構造となっている。従って、
このような構造の多端子型積層コンデンサ10におい
て、端子電極31〜34及び端子電極35〜38の内の
相互に隣り合う端子電極間の極性が相互に異なるように
交互に正負となる高周波電流が、端子電極31〜34及
び端子電極35〜38にそれぞれ流された場合、隣り合
う引出部間において電流が相互に逆方向に流されるの
で、磁束を相殺させる効果がこれら側面12Bで集中的
に生じて、等価直列インダクタンスが低減される。
28の部分から引き出されて端子電極31〜38に接続
される引出部14A〜28Aを一つづつとすることによ
り、この一つの引出部に電流が集中して流れ、引出部1
4A〜28Aにおける電気抵抗を増加させることが可能
となる。そして、このように引出部14A〜28Aにお
ける電気抵抗が増加する結果として、隣り合う引出部間
で正負の電流を相互に逆方向に流して磁束を相殺する低
ESL化技術を採用しても、ESRが過小となることが
防止される。
一つの多端子型積層コンデンサ10内に2つのコンデン
サが実質的に組み込まれた形となっている為、多端子型
積層コンデンサ10の数を減らすことで、製造コストが
削減されると共に、回路が高集積化されるのに伴って要
求される省スペース化が図られることになった。
ンデンサ10と他のコンデンサとの間での等価直列イン
ダクタンス値及び等価直列抵抗値を比較する試験を行っ
た結果を下記に示す。尚、ここで比較される他のコンデ
ンサは、1枚の内部電極にそれぞれ4つの引出部を有す
ることで、低ESL化された多端子型積層コンデンサで
あって、本実施の形態の多端子型積層コンデンサ10と
同じく8枚の内部電極を有したものである。また、試験
に用いた各コンデンサの静電容量は1μFである。
多端子型積層コンデンサの等価直列インダクタンスは1
26pHであり、等価直列抵抗値は2.4mΩであっ
た。これに対して、本実施の形態に係る多端子型積層コ
ンデンサ10の等価直列インダクタンスは123pHで
あり、等価直列抵抗値は9.8mΩであった。つまり、
等価直列インダクタンスは相互にほぼ同一であるもの
の、本実施の形態の多端子型積層コンデンサ10の等価
直列抵抗値が従来の多端子型積層コンデンサに比較して
4倍程度に大きくなっていた。
モデルから従来のコンデンサの等価直列抵抗値がほぼR
/8となるのに対して、図5(B)に示す等価直列抵抗
のモデルから本実施の形態の多端子型積層コンデンサ1
0の等価直列抵抗値がほぼR/2となるからと推定され
る。尚、この図5でRは各引出部における電気抵抗を表
す。
電圧変動を比較したものを図6に示す。つまり、図6
(A)に示す従来のコンデンサは大きな電圧変動を生じ
るのに対して、等価直列抵抗値が大きくなった結果とし
て図6(B)に示す本実施の形態の多端子型積層コンデ
ンサ10の電圧変動は遙に小さくなり、電源回路の安定
化が図られることなった。
ンデンサ10の使用例を図7に基づき説明する。図7に
示すように、グランド端子GNDと所定の電位を有した
端子Vとの間に、本実施の形態の多端子型積層コンデン
サ10がLSIチップと並列で配置されている。但し、
多端子型積層コンデンサ10の図において左側に位置す
る端子電極31〜34及び、この端子電極31〜34と
接続される内部電極14〜20が一つのコンデンサを構
成し、多端子型積層コンデンサ10の図において右側に
位置する端子電極35〜38及び、この端子電極35〜
38と接続されるこの内部電極22〜28がもう一つの
コンデンサを構成しているので、実質的に2つのコンデ
ンサが個々にLSIチップと並列に接続される形となっ
ている。
側に配置される端子電極31〜34及び端子電極35〜
38の内の相互に隣合った端子電極同士が、前述のよう
に相互に逆の極性となるだけなく、用途に合わせて静電
容量を相互に異ならせることで、一方を高周波用のコン
デンサとすると共に、他方を低周波用のコンデンサとす
ることが可能となった。
の実施の形態を図8及び図9に基づき説明する。尚、第
1の実施の形態で説明した部材と同一の部材には同一の
符号を付して、重複した説明を省略する。
手前側の端部から左方向に向かって電極が1箇所引き出
されることで、第1の内部電極14に1つの引出部14
Bが形成されている。また、第2の内部電極16の奥側
の端部から左方向に向かって電極が1箇所引き出される
ことで、第2の内部電極16に1つの引出部16Bが形
成されている。一方、第3の内部電極18の左側の端部
から奥側方向に向かって電極が1箇所引き出されること
で、第3の内部電極18に1つの引出部18Bが形成さ
れている。また、第4の内部電極20の右側の端部から
奥側方向に向かって電極が1箇所引き出されることで、
第4の内部電極20に1つの引出部20Bが形成されて
いる。
から右方向に向かって電極が1箇所引き出されること
で、第5の内部電極22に1つの引出部22Bが形成さ
れている。また、第6の内部電極24の手前側の端部か
ら右方向に向かって電極が1箇所引き出されることで、
第6の内部電極24に1つの引出部24Bが形成されて
いる。一方、第7の内部電極26の右側の端部から手前
方向に向かって電極が1箇所引き出されることで、第7
の内部電極26に1つの引出部26Bが形成されてい
る。また、第8の内部電極28の左側の端部から手前方
向に向かって電極が1箇所引き出されることで、第8の
内部電極28に1つの引出部28Bが形成されている。
以上より、引出部14B〜28Bまでの計8ヵ所の引出
部分が相互に重ならない位置で内部電極14〜28から
それぞれ引き出されている。
部電極14、18の引出部14B、18Bにそれぞれ別
々に接続される2つの第1の端子電極42及び、内部電
極16、20の引出部16B、20Bにそれぞれ別々に
接続される2つの第2の端子電極44が、図8に示すよ
うに、誘電体素体12の左側の側面12B及び奥側の側
面12Cにそれぞれ配置されている。また、内部電極2
2、26の引出部22B、26Bにそれぞれ別々に接続
される2つの第3の端子電極46及び、内部電極24、
28の引出部24B、28Bにそれぞれ別々に接続され
る2つの第4の端子電極48が、誘電体素体12の右側
の側面12B及び手前側の側面12Cにそれぞれ配置さ
れている。
引出部同士は第1の実施の形態と同様に相互に重ならず
に位置している。この為、隣り合う端子電極42、44
同士が、引出部14B〜20Bを介して相互に異なる内
部電極14、16及び内部電極18、20に接続される
形となり、また、隣り合う端子電極46、48同士が、
引出部22B〜28Bを介して相互に異なる内部電極2
2、24及び内部電極26、28に接続される形とな
る。
る六面体形状とされる誘電体素体12の4つの側面12
B、12Cの全てに端子電極42、44、46、48が
それぞれ2個づつ配置されることになる。従って、複数
の端子電極42、44、46、48が、六面体形状の誘
電体素体12の4つの側面12B、12Cにそれぞれ設
けられるので、各側面の各端子電極42、44、46、
48が交互に正負となるように高周波電流を端子電極4
2、44、46、48に流した場合、隣り合う引出部同
士で正負の電流が相互に逆方向に流れる。そして、正負
の電流が相互に逆方向に流れて磁束を相殺させる効果
が、4つの側面12B、12Cでそれぞれ生じて、等価
直列インダクタンスが低減される。
と同様にそれぞれ一つの引出部14B〜28Bに電流が
集中して流れる形となって、引出部14B〜28Bにお
ける電気抵抗が増大するので、低ESL化を図りつつE
SRが極端に小さくなることが防止され、さらに、第1
の実施の形態と同様に、製造コストが削減されると共に
省スペース化が図られた。
デンサ10は、8枚の内部電極14〜28を有する構造
とされているものの、2回路に対応するべく、実質的に
4枚の内部電極14〜20間でそれぞれ静電容量を得る
一つのコンデンサと、4枚の内部電極22〜28間でそ
れぞれ静電容量を得るもう一つのコンデンサとの2つの
コンデンサから構成されている。但し、内部電極の枚数
は4枚に限定されず、4回路に対応できるように例えば
2枚づつとして4つのコンデンサから構成される構造と
しても良く、また全体の内部電極の枚数も8枚に限定さ
れることなく、4枚、6枚、10枚、12枚、14枚、
16枚としても良く、さらに多くの枚数としても良い。
そして、このように多数の内部電極を有する構造とすれ
ば、さらに多数の回路に対応できるようになる。
ESRが極端に小さくなることを防止するだけでなく、
複数のコンデンサが組み込まれた構造の積層型電子部品
を提供することが可能となる。
コンデンサを示す断面図であって、図3の1−1矢視線
断面に対応する図である。
コンデンサを示す断面図であって、図3の2−2矢視線
断面に対応する図である。
コンデンサを示す斜視図である。
製造工程において用いられる複数枚のセラミックグリー
ンシート及び電極形状を示す分解斜視図である。
(A)は従来のコンデンサの等価直列抵抗のモデルを示
し、(B)は本実施の形態の多端子型積層コンデンサの
等価直列抵抗のモデルを示す。
の関係を表すグラフを示す図であって、(A)は従来の
コンデンサの電流と電圧の関係を表すグラフを示す図で
あり、(B)は本実施の形態の多端子型積層コンデンサ
の電流と電圧の関係を表すグラフを示す図である。
サの使用状態を示す図である。
コンデンサを示す斜視図である。
製造工程において用いられる複数枚のセラミックグリー
ンシート及び電極形状を示す分解斜視図である。
る。
圧の関係を表すグラフを示す図である。
示す図である。
である。
おいて用いられるセラミックグリーンシート及び電極形
状を示す分解斜視図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 誘電体層を積層して形成された誘電体素
体と、 誘電体素体の何れかの側面に向かって引き出される一つ
の引出部を有し且つ、誘電体素体内に誘電体層を介して
隔てられつつそれぞれ配置される複数の内部電極と、 誘電体素体外にそれぞれ配置され且つ、引出部を介して
複数の内部電極の何れかにそれぞれ接続される複数の端
子電極と、 を有し、 これら内部電極及び端子電極が複数の回路に対応してそ
れぞれ複数組設けられたことを特徴とする積層型電子部
品。 - 【請求項2】 誘電体素体が六面体形状に形成され、こ
の六面体形状の誘電体素体の4つの側面の内の少なくと
も2つの側面にそれぞれ複数の端子電極が配置されたこ
とを特徴とする請求項1記載の積層型電子部品。 - 【請求項3】 誘電体素体が六面体形状に形成され、こ
の六面体形状の誘電体素体の4つの側面にそれぞれ複数
の端子電極が配置されたことを特徴とする請求項1記載
の積層型電子部品。 - 【請求項4】 誘電体素体の同一の側面内に複数の端子
電極が設けられ、同一の側面内で隣り合う端子電極同士
が相互に異なる内部電極に接続されたことを特徴とする
請求項2或いは請求項3に記載の積層型電子部品。
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