JP2001253990A - 車両灯具成形用樹脂組成物及びそれを用いた車両用灯具 - Google Patents

車両灯具成形用樹脂組成物及びそれを用いた車両用灯具

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JP2001253990A
JP2001253990A JP2000068578A JP2000068578A JP2001253990A JP 2001253990 A JP2001253990 A JP 2001253990A JP 2000068578 A JP2000068578 A JP 2000068578A JP 2000068578 A JP2000068578 A JP 2000068578A JP 2001253990 A JP2001253990 A JP 2001253990A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱板融着法によりランプボディをランプレン
ズに接合して車両用灯具を製造する際に生じる、ランプ
ボディを構成する樹脂の糸引き並びに真空蒸着面の光沢
を改善できる車両灯具用ランプボディー用樹脂を提供す
る。 【解決手段】 特定のα―メチルスチレン系共重合体、
小粒子径ゴムのグラフト共重合体とを配合してなる熱可
塑性樹脂組成物あるいは、更に中粒子径ゴムのグラフト
共重合体、特定のスチレン系共重合体を配合してなる熱
可塑性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両灯具成型用樹
脂組成物、それからなるランプボディ、リフレクター、
ランプボディとメタクリル酸メチル樹脂のランプレンズ
とを熱板融着又は振動融着法により接合してなるランプ
ケース等の車両用灯具及びその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂からなるランプボディとランプ
レンズとを接合する方法としては、接着剤で両者を固着
する方法もあるが、熱可塑性樹脂からなるランプボディ
に熱板を押し当てて溶融した後、溶融部分をメタクリル
酸メチル樹脂等からなるランプレンズに圧着する、いわ
ゆる熱板融着法が、溶剤をまったく使用しないことよる
コスト低減と作業環境改善の観点から採用されることが
増えてきた。しかしながら、このような熱板融着法で
は、ランプボディを構成する熱可塑性樹脂を熱板により
溶融した後、熱板を引き離す際に、溶融した樹脂が糸状
に引き伸ばされ(以下、この現象を「糸ひき」とい
う。)、これがランプレンズやランプポディの成形品表
面に付着することにより外観不良となる不具合が生じる
ことがあった。この熱板融着法における糸引きを改善す
る方法として、例えば、特開平9−12902号公報に
は、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂をポリ
カーボネート樹脂やABS樹脂等の熱可塑性樹脂に対し
て添加し、ランプボディなどの灯具に成形する方法が提
案されている。
【0003】また、車両灯具のランプボディ成形品内面
やレフレクター反射面には蒸着あるいはスパッタリング
等の加工が施される。この加工された成形品表面は、ラ
ンプの照度を外部の人に信号として反射するためのもの
で高光沢が求められる。一般的に上記性能を得るため
に、まず、成形品にアンダーコートとよばれる下塗りを
施した後、蒸着あるいはスパッタリング等の加工が施さ
れる。
【0004】一般に、蒸着あるいはスパッタリングの加
工の前に加工性を助けるためにアンダーコート加工が施
される。最近、製品のコストダウンを目的として、この
アンダーコート工程を省略し、いわゆるアンダーコート
レスにしたいという要求がある。現在のところ、100
%のポリカーボネート樹脂等で成形された車両灯具ラン
プボディでは、上記光沢規格をクリアーしているが、製
品コストダウン、衝撃、成形性向上のため、ゴム強化ス
チレン系樹脂を導入すると、その蒸着表面の光沢が低下
し、満足の得られるものではなかった。特開平10−2
87802号公報に芳香族ポリカーボネートとアクリル
酸エステル系ゴム重合体を含むビニル共重合体からなる
樹脂組成物が、蒸着やスパッタリングの加工性に良好と
記載されているが、アンダーコートレスを満足するまで
の特性は得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上記の
問題点に鑑み、熱板融着法によりランプボディをランプ
レンズに接合して車両用灯具を製造する際のランプボデ
ィを構成する樹脂の糸ひき並びに車両灯具ランプボディ
成形品内面には蒸着あるいはスパッタリング等の加工を
施す際、アンダーコート工程を省略しても、100%ポ
リカーボネート樹脂を成形して得られた車両灯具ランプ
ボディと同等の表面光沢を発現し、蒸着あるいはスパッ
タリングの加工性の低下を伴うことない成形材料と成型
方法を見出したものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するべく鋭意検討した結果、特定のα−メチル
スチレン系共重合体(A)と小粒子径ゴム含有グラフト
共重合体を特定比率で存在させた樹脂組成物が、熱板融
着法によりランプボディとランプレンズとを接合して車
両用灯具を製造する際の糸ひきを大幅に改善し、かつ、
ランプボディ成形品表面を蒸着あるいはスパッタリング
する際、アンダーコート工程を省略しても、高い表面光
沢を満足する蒸着面が得られることを見出し本発明に到
達した。
【0007】即ち、本発明は、(A)α−メチルスチレ
ン40〜90重量%、シアン化ビニル化合物10〜40
重量%、スチレン0〜50重量%及びこれらと共重合可
能な単量体0〜30重量%の合計100重量%からなる
単量体混合物を重合してなり、メチルエチルケトン可溶
分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド
溶液中)が0.3〜1.2dl/g であるα−メチル
スチレン系共重合体20〜98重量部、(B)ジエン系
ゴム重合体、アクリル系ゴム重合体、シリコーン系ゴム
重合体、及びオレフィン系ゴム重合体の中から選択され
る少なくとも1種のゴム重合体であって体積平均粒径が
60〜250nmであるゴム重合体(Ra)15〜90
重量部の存在下に芳香族ビニル化合物10〜90重量
%、(メタ)アクリル酸エステル化合物、シアン化ビニ
ル化合物の少なくとも1種の化合物10〜90重量%及
びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%の合計1
00重量%からなる単量体混合物10〜85重量部を重
合してなるグラフト共重合体80〜2重量部、(C)ジ
エン系ゴム重合体、アクリル系ゴム重合体、シリコ−ン
系ゴム重合体、及びオレフィン系ゴム重合体の中から選
択される少なくとも1種のゴム重合体であって体積平均
粒径が260〜1000nmであるゴム重合体(Rb)
15〜90重量部の存在下に芳香族ビニル化合物10〜
90重量%,(メタ)アクリル酸エステル化合物、シア
ン化ビニル化合物の少なくとも1種の化合物10〜90
重量%及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%
の合計100重量%からなる単量体混合物10〜85重
量部を重合してなるグラフト共重合体0〜30重量部及
び(D)シアン化ビニル化合物10〜40重量%、スチ
レン90〜60重量%、これらと共重合可能な単量体0
〜30重量%の合計100重量%からなる単量体混合物
を重合してなり、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度
(30℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)が
0.3〜1.2dl/g であるスチレン系共重合体0
〜50重量部(A、B、CおよびDの合計100重量
部)からなり、ゴム重合体含有量が5〜30重量%であ
る車両灯具成形用樹脂組成物(請求項1)、グラフト共
重合体(B)の体積平均粒径が60〜150nmである
請求項1記載の車両灯具成形用樹脂組成物(請求項
2)、車両灯具がランプボディである請求項1記載の樹
脂組成物(請求項3)、請求項1記載の樹脂組成物を成
形してなる車両灯具(請求項4)、請求項1記載の樹脂
組成物を成形してなるランプボディ(請求項5)、請求
項1記載の樹脂組成物を成形してなるリフレクター(請
求項6)、請求項5記載のランプボディを用いた自動車
用ヘッドランプケース、ウィンカーケース、バックラン
プケース又はストップランプケース(請求項7)、請求
項1記載の樹脂組成物を成形してなるランプボディに、
加熱した熱板を押し当てて溶融した後、溶融部分をラン
プレンズに圧着してランプボディとランプレンズとを接
合することを特徴とする車両用灯具の製造方法(請求項
8)、熱板を250〜500℃に加熱して行う請求項8
記載の車両用灯具の製造法(請求項9)、ランプレンズ
としてメタクリル酸メチル樹脂からなるレンズを用いる
請求項8又は9記載の車両用灯具の製造方法(請求項1
0)、請求項1記載の樹脂組成物を成形してなるランプ
ボディに、加熱した熱板を押し当てて溶融した後、溶融
部分をランプレンズに圧着してランプボディとランプレ
ンズとを接合してなる車両用灯具(請求項11)及びラ
ンプレンズとしてメタクリル酸メチル樹脂からなるレン
ズを用いてなる請求項11記載の車両用灯具(請求項1
2)に関する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で特に重要なのは、ランプ
ボディの成形に用いる樹脂組成物中に、特定のα−メチ
ルスチレン系共重合体(A)と小粒子径ゴム含有グラフ
ト共重合体(B)とを特定比率で存在させることが特徴
であり、共重合(B)だけでは、熱板融着法によりラン
プボディをランプレンズに接合して車両用灯具を製造す
る際のランプボディを構成する樹脂の糸ひき性並びに車
両灯具ランプボディ成形品内面には蒸着あるいはスパッ
タリング等の加工を施す際の表面光沢性の点から好まし
くない。
【0009】前記α−メチルスチレン系共重合体(A)
は、シアン化ビニル化合物10〜40重量%、α−メチ
ルスチレン40〜90重量%、スチレン0〜50重量%
及びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%の合計
100重量%からなる単量体を重合してなるが、より好
ましくはシアン化ビニル化合物15〜37重量%、α−
メチルスチレン50〜80重量%、スチレン0〜30重
量%及びこれらと共重合可能な単量体が0〜15重量%
である。尚、α−メチルスチレンの含有量が40重量%
未満の場合、熱板融着時の糸ひき現象の改良効果が小さ
い。
【0010】前記シアン化ビニル化合物としては、アク
リロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。こ
れらは単独または2種以上の併用でもちいることもでき
る。又、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度(30
℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)は0.3〜
1.2dl/g、更に好ましくは0.4〜0.9dl/
gである。
【0011】共重合可能な単量体としては、マレイミ
ド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N
−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フ
ェニルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイ
ミド等のマレイミド化合物、メチルメタクリレート、エ
チルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチ
ルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート
等等の炭素数1−18のアルキル基を有する少なくとも
1種のメタクリル酸エステル、メチルアクリレート、エ
チルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘ
キシルアクリレート、ステアリルアクリレート等の炭素
数1−18のアルキル基を有する少なくとも1種のアク
リル酸エステル、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メ
タ)アクリレート、等の(メタ)アクリル酸エステル以
外の(メタ)アクリル酸誘導体およびp−メチルスチレ
ン、p−イソプロピルスチレン、クロルスチレン、ブロ
ムスチレン等が挙げられる。これらは、1種または2種
以上をもちいてもよい。
【0012】前記小粒子径ゴム含有グラフト共重合体
(B)におけるゴム重合体(Ra)の体積平均粒径は6
0〜250nmであるが、蒸着面の光沢性から、好まし
くは60〜150nmである。体積平均粒径が、60n
m未満では衝撃強度の低下が大きく、又250nmを越
えると蒸着面の光沢が悪化する。
【0013】前記中粒子径ゴム含有グラフト共重合体
(C)におけるゴム重合体(Rb)の体積平均粒径は2
60〜1000nmであるり、グラフト共重合体(C)
は蒸着面の光沢性からは、使用しない方が好ましい。し
かし、衝撃向上のために、0〜30重量部まで使用する
ことができ、蒸着面の光沢性から好ましくは0〜15重
量部である。
【0014】前記のゴム重合体(Ra)、(Rb)とし
ては、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ア
クリロニトリル−ブタジエンゴム等のジエン系ゴム重合
体、アクリル酸ブチルゴム、ブタジエン−アクリル酸ブ
チルゴム、アクリル酸2−エチルヘキシル−アクリル酸
ブチルゴム、メタクリル酸2−エチルヘキシル−アクリ
ル酸ブチルゴム、アクリル酸ステアリル−アクリル酸ブ
チルゴム、ジメチルシロキサン−アクリル酸ブチルゴ
ム,シリコン系/アクリル酸ブチル複合ゴム等のアクリ
ル系ゴム重合体、エチレン−プロピレンゴム,エチレン
−プロピレン−ジエンゴム等のオレフィン系ゴム重合
体、ポリジメチルシロキサンゴム等のシリコン系ゴム重
合体が挙げられ、これらは単独または2種以上組み合わ
せて用いられる。
【0015】前記グラフト共重合体(B)及び(C)に
おける単量体混合物は、芳香族ビニル化合物10〜90
重量%,(メタ)アクリル酸エステル、シアン化ビニル
化合物の少なくとも1種の化合物10〜90重量%及び
これらと共重合可能な単量体0〜30重量%の合計10
0重量%からなる。
【0016】芳香族ビニル化合物としては、スチレン、
αーメチルスチレン、p−メチルスチレン、p−イソプ
ロピルスチレン、クロルスチレン、ブロムスチレン等が
挙げられる。
【0017】シアン化ビニル化合物としては、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。(メ
タ)アクリル酸エステル化合物としては、メチルメタク
リレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレー
ト、2−エチルヘキシルメタクリレート、ステアリルメ
タクリレート等の炭素数1−18のアルキル基を有する
メタクリル酸エステル、メチルアクリレート、エチルア
クリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシル
アクリレート、ステアリルアクリレート等の炭素数1−
18のアルキル基を有するアクリル酸エステルが挙げら
れる。
【0018】共重合可能なその他の単量体としては、
(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレー
ト、等の(メタ)アクリル酸エステル以外の(メタ)ア
クリル酸誘導体およびマレイミド、N−フェニルマレイ
ミド等のマレイミド化合物等が挙げられる。これらは、
1種または2種以上あっても良い。
【0019】前記スチレン系共重合体(D)は、シアン
化ビニル化合物10〜40重量%、スチレン90〜60
重量%、これらと共重合可能な単量体0〜30重量%の
合計100重量%からなる単量体混合物を重合してなる
が、より好ましくはシアン化ビニル化合物20〜40重
量%、スチレン80〜60重量%及びこれらと共重合可
能な単量体が0〜25重量%である。 前記シアン化ビ
ニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル等が挙げられる。
【0020】共重合可能な単量体としては、マレイミ
ド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N
−プロピルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フ
ェニルマレイミド、N−(p−メチルフェニル)マレイ
ミド等のマレイミド化合物、メチルメタクリレート、エ
チルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチ
ルヘキシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート
等等の炭素数1−18のアルキル基を有する少なくとも
1種のメタクリル酸エステル、メチルアクリレート、エ
チルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘ
キシルアクリレート、ステアリルアクリレート等の炭素
数1−18のアルキル基を有する少なくとも1種のアク
リル酸エステル、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メ
タ)アクリレート、等の(メタ)アクリル酸エステル以
外の(メタ)アクリル酸誘導体およびα−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、
クロルスチレン、ブロムスチレン等が挙げられる。これ
らは、1種または2種以上あっても良い。
【0021】又、スチレン系共重合体(D)のメチルエ
チルケトン可溶分の還元粘度(30℃、N,N−ジメチ
ルホルムアミド溶液中)は0.3〜1.2dl/g、更
に好ましくは0.4〜0.9dl/gである。
【0022】スチレン系共重合体(D)は、0〜50重
量部まで使用することができるが、熱板融着時の糸引き
性から、使用量は少ない方が好ましい。
【0023】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム重合
体(Ra)又は(Ra)と(Rb)合計の含有量が樹脂
組成物中5〜30重量%、好ましくは5〜20重量%で
ある。
【0024】本発明に係る、車両灯具成形用樹脂組成物
は上記のようなα−メチルスチレン系共重合体(A)9
8〜20重量部、より好ましくは80〜60重量部、小
粒子径ゴム含有グラフト共重合体(B)2〜80重量
部、より好ましくは15〜40重量部、中粒子径ゴム含
有グラフト共重合体(C)0〜30重量部、より好まし
くは0〜15重量部、更に好ましくは0重量部、スチレ
ン系共重合体(D)0〜50重量部、より好ましくは0
〜25重量部の合計100重量部からなる熱可塑性樹脂
組成物である。前記各共重合体の配合割合が上記の範囲
外では熱板融着時の糸引き改良効果が小さく、成形品に
アンダーコートレスで蒸着あるいはスパッタリングした
際の表面光沢が低下する。
【0025】本発明の範囲の組成が得られれば、α−メ
チルスチレン系共重合体(A)、小粒子径ゴム含有グラ
フト共重合体(B)、中粒子径ゴム含有グラフト共重合
体(C)、スチレン系共重合体(D)はいかなる重合法
を用いて製造したものでもかまわない。例えば、公知の
塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化−懸濁重合
法、乳化−塊状重合法等、本発明の範囲内の組成に制御
できれば、どの重合法よって製造したものでもよい。
又、本発明の範囲であれば、α−メチルスチレン系共重
合体(A)、小粒子径ゴム含有グラフト共重合体
(B)、中粒子径ゴム含有グラフト共重合体(C)、ス
チレン系共重合体(D)はいかなる開始剤、連鎖移動
剤、乳化剤を用いて製造したものでもかまわない。開始
剤としては、過硫酸カリウム等の熱分解開始剤、Fe−
還元剤−有機パーオキサイド等のレドックス系開始剤
等、公知の開始剤が使用できる。t−ドデシルメルカプ
タン、n−ドデシルメルカプタン、αーメチルスチレン
ダイマー、テルピノレン等公知の連鎖移動剤が使用でき
る。乳化剤としてはオレイン酸ソーダ、パルミチン酸ソ
ーダ、ロジン酸ソーダ等の脂肪酸金属塩系乳化剤、ドデ
シルベンゼンスルホン酸ソーダ、炭素数12〜20のア
ルキルスルホン酸ソーダ、ジオクチルスルホコハク酸ソ
ーダ等のスルホン酸金属塩系乳化剤等の公知の乳化剤が
使用できる。小粒子ゴム含有グラフト共重合体(B)、
中粒子ゴム含有グラフト共重合体(C)の場合、前記単
量体混合物をゴム状重合体の存在下に、水性媒体中、ラ
ジカル開始剤で重合させればよい。その際、前記グラフ
ト重合させる単量体混合物は、混合物として使用して
も、又必要に応じ、分割して使用しても良い。さらに前
記単量体混合物の添加方法としては、一度に全量を仕込
んでも、また逐次添加しても良く、特に制限されるもの
ではない。
【0026】本発明の車両灯具成形用樹脂組成物はα−
メチルスチレン系共重合体(A)、小粒子径ゴム含有グ
ラフト共重合体(B)、中粒子径ゴム含有グラフト共重
合体(C)、スチレン系共重合体(D)の製造方法によ
って異なるが、例えば、これらを重合体ラテックス、ス
ラリー、溶液、粉末、ペレットの状態、あるいはこれら
の組み合わせにて混合して製造できる。α−メチルスチ
レン系共重合体(A)、小粒子径ゴム含有グラフト共重
合体(B)、中粒子径ゴム含有グラフト共重合体
(C)、スチレン系共重合体(D)のラテックスからポ
リマー粉末を回収する場合は、通常の方法、例えばラテ
ックスに塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグ
ネシウムのようなアルカリ土類金属の塩、塩化ナトリウ
ム、硫酸ナトリウムのようなアルカリ金属の塩、塩酸、
硫酸、酢酸、リン酸のような無機酸及び有機酸を添加す
ることでラテックスを凝固した後、脱水乾燥する方法で
実施できる。又、スプレー乾燥法も使用できる。更に、
安定剤の使用する量の一部を分散液の状態でこれら樹脂
のラテックスあるいはスラリーに添加することもでき
る。
【0027】本発明の車両灯具用樹脂組成物の各成分を
ブレンドする方法は、例えばへンシェルミキサーやリボ
ンブレンダー等のブレンダーを用い、目的とする安定
剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、顔
料、無機充頃剤を必要に応じて適宜使用することもでき
る。特に、フェノール系、イオウ系、リン系又はヒンダ
ードアミン系の安定剤、ベンゾフェノン系又はベンゾト
リアゾール系の紫外線吸収剤、及びオルガノポリシロキ
サン、エチレンビスステアリン酸アマイド、脂肪族炭化
水素、高級脂肪酸と高級アルコールのエステル等の滑剤
等は成形用樹脂として、より高性能なものとするために
用いることができる。これらの安定剤、滑剤は、単独で
も、また2種以上混合して使用することもできる。
【0028】また、本発明に係る、車両灯具成形用樹脂
組成物は通常のポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル
樹脂、ポリアミド樹脂、PET樹脂、PBT樹脂、とブ
レンドして使用する事も可能である。
【0029】本発明では、上記のような熱可塑性樹脂組
成物から成形されたランプボディに加熱した熱板を押し
当てて溶融した後、溶融部分をランプレンズに圧着して
ランプボディとランプレンズとを接合して車両用灯具を
製造する。前記の場合の熱板の温度は、250〜500
℃に加熱して行うことが好ましい。250℃未満では接
着強度が不足し、500℃を越えると溶融が進みすぎて
作業性がわるくなる。また、前記ランプボディに接合さ
れるランプレンズとしては、レンズの透明性と強い接着
強度が得られる点で、メタクリル酸メチル樹脂からなる
レンズを用いることが好ましい。
【0030】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
するが、これら実施例は本発明を何ら限定するものでは
ない。尚、実施例の記載中で、特に断らない限り、
『部』は重量部を、『%』は重量%を表す。また、実施
中の各略称は、次の意味を有する。
【0031】AN:アクリロニトリル St:スチレン MMA:メチルメタアクリレート PMI:フェニルマレイミド CHP:クメンハイドロパーオキサイド tDM:t−ドテシルメルカプタン αMSt:α―メチルスチレン (1)α―メチルスチレン系共重合体(A)及びスチレ
ン系共重合体(D)の製造 攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口及び
温度計の設置された反応器に下記の物質を仕込んだ。 純水 250部 ラウリン酸ソーダ 3部 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.4部 硫酸第一鉄 0.0025部 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.01部 反応器を攪拌しながら窒素気流下に60℃まで昇温させ
た。60℃に到達した後、表1に示すモノマー(I)を
仕込んだ。十分乳化させた後、表1に示すモノマー(I
I) を連続的に6時間で滴下添加し、添加終了後、60
℃で1時間攪拌を続けて重合を終了し、A1、A2、D
1、D2を得た。
【0032】
【表1】 (2)小粒子径ゴム含有グラフト共重合体(B)及び中
粒子径ゴム含有グラフト共重合体(C)の製造 公知の方法にて、下記ゴム状ラテックスを得た。尚、ラ
テックスの体積平均粒径は、四酸化オスミウム染色法等
による透過型電子顕微鏡写真を撮影し、ゴム状分散粒子
500〜1000個の粒子径を測定して平均粒子径を求
めた。又、粒子が楕円形をしている場合には、長径aと
短径bとの平均値、即ち(a+b)/2をもって、粒子
径とした。
【0033】 PBd−1:ポリブタジエン 平均粒子径:100nm PBd−2:ポリブタジエン 平均粒子径:470nm SBR:(スチレン/ブタジエンゴム=25/75)共重合体 平均粒子径:100nm PBA:(ブチルアクリレート/アリルメタクリレート=99/1)共重合 体 平均粒子径:150nm 攪拌機、還流冷却器、窒素導入口、モノマー導入口及び
温度計の設置された反応器に下記の物質を仕込んだ。 純水 250部 ゴム状重合体 表2に記載した種類、量 ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート 0.3部 硫酸第一鉄 0.0025部 エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.01部 反応器を攪拌しながら窒素気流下に60℃まで昇温させ
た。60℃に到達した後、表2に示す単量体混合物を連
続的に5時間で滴下し、添加終了後、さらに60℃で1
時間攪拌を続けて重合を終了し、B1、B2,B3、C
1を得た。
【0034】
【表2】 (3)車両灯具成形用樹脂組成物の製造 前記(1)、(2)で製造した共重合体を、それぞれラ
テックス状態で表3に記載した比率(固形分)で混合
し、この混合ラテックスに酸化防止剤を添加し、塩化カ
ルシウムで凝固させた後、加熱、脱水、水洗、乾燥後、
樹脂組成物(パウダー)を得た。表3に示す、樹脂組成
物100部に対して、フェノール系の抗酸化剤0.3部
(AO−20:旭電化工業株式会社製)、リン系の安定
剤0.3部(PEP−24G:旭電化工業株式会社製)
を共通の添加剤としてブレンドし、250℃の温度で押
出機(大阪精機株式会社製、40mmφ単軸押出機)に
てペレットを得た。得られたペレットを150ton射
出成形機(FANUC製)を使用し、250℃の温度で
ASTMの1号ダンベルと図1に示すランプボディ製品
を成形し、それを用いて糸引き性並びに真空蒸着の評価
を実施した。 (a)ダンベル試験片を用いての糸ひき性評価 350℃に加熱したアルミニウム製の平板に、射出成形
にて得られたASTM1号ダンベルを10kgf/cm
2の圧力で10秒間押しつけた後、このダンベルを5
00mm/minの速度で引き上げた時に溶融面に発生
した糸の長さ[cm]を測定した。 (b)ランプボディ製品を用いての糸引き性評価 射出成形にて得られた図1に示すランプボディ製品を熱
板融着機を用いて、融着温度350℃、10kg/cm
2の圧力でアルミニウム製の熱板に10秒間押しつけ
た後、50mm/minの速度で引き上げた時に融着面
に糸引きが発生するかどうかを判定した。結果を表3に
示す。なお、ランプボディー製品による糸引き性評価
は、次の基準に従った。 ○: 糸引きなし(0.5
cm以下) △: 少し糸引きあり(0.5〜1.0cm) ×: 糸引きあり(1.0cm以上) (c)ランプボディ製品を用いての真空蒸着評価 射出成形にて得られた図1に示すランプボディ製品を真
空蒸着機を装着し、蒸着装置のルツボにアルミニウムを
所定量投入後、蒸着機を密閉し、真空ポンプを作動させ
てアルミニウムの厚さが0.1μmとなるように蒸着さ
せた。蒸着性の比較として、芳香族ポカーボネート(P
C)樹脂(タフロンA2200:出光石油化学株式会社
製)を用いてランプボディ製品を作成し、同様に真空蒸
着した。評価は次の基準に従った。
【0035】 ◎: 光沢が非常に優れている ○: 光沢が優れている △: 光沢がよい ×: 光沢が悪い
【0036】
【表3】 表3の結果から明らかなように、本発明によれば、従来
から使用されている比較例の樹脂組成物からなるランプ
ボディを用いた場合に比べて、熱板融着法における糸引
き並びに真空蒸着表面光沢が大幅に改善されている。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、特定の成分を含有した
α―メチルスチレン系共重合体と小粒子ゴム含有グラフ
ト共重合体とを配合してなる熱可塑性樹脂組成物を用い
る事で、従来からランプボディの材料として使用されて
いる一般的な熱可塑性樹脂を用いる場合に比べて、ラン
プボディに加熱した熱板を押し当てて溶融した後、溶融
部分をランプレンズに圧着してランプボディとランプレ
ンズとを接合して車両用灯具を製造する際の、ランプボ
ディを構成する樹脂の糸引き性を大幅に改善し、かつ真
空蒸着面の光沢も大幅に改善しうるものであり、特にヘ
ッドランプ、ウィンカー、ストップランプなどの車両用
灯具の製造に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】糸引き性並びに真空蒸着評価に用いたランプボ
ディ製品の断面図。
【符号の説明】
1 ランプボディ 2 ランプ 3 融着面 4 ランプレンズ 5 蒸着面
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 255/00 C08F 255/00 265/06 265/06 279/02 279/02 283/12 283/12 C08J 5/00 CET C08J 5/00 CET C08L 25/08 C08L 25/08 25/12 25/12 33/18 33/18 51/04 51/04 51/06 51/06 51/08 51/08 F21S 8/10 F21Q 1/00 J Fターム(参考) 3K080 AA01 AB17 CA04 4F071 AA12X AA14X AA22X AA33X AA34X AA67 AA77 AA88 AH07 BC07 4J002 BC04W BC04Y BC06Y BC09W BG09W BG09Y BG10W BG10Y BN06X BN06Z BN12X BN12Z BN14X BN14Z BN17X BN17Z FD170 GN00 4J026 AA12 AA13 AA17 AA45 AA49 AA68 AB44 AC02 AC09 AC10 AC11 AC12 AC32 AC36 BA05 BA06 BA08 BA25 BA27 BA30 BA31 BA38 BB03 BB04 DB03 DB04 DB08 DB15 DB29 FA01 GA09 4J100 AB02P AB02S AB03P AB04R AB08R AB09R AJ02R AL03R AL04R AL05R AL10R AM02Q AM43R AM45R AM48R AM49R CA04 CA05 CA06 DA09 JA28 JA32

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)α−メチルスチレン40〜90重
    量%、シアン化ビニル化合物10〜40重量%、スチレ
    ン0〜50重量%及びこれらと共重合可能な単量体0〜
    30重量%の合計100重量%からなる単量体混合物を
    重合してなり、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度
    (30℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)が
    0.3〜1.2dl/g であるα−メチルスチレン系
    共重合体20〜98重量部、(B)ジエン系ゴム重合
    体、アクリル系ゴム重合体、シリコーン系ゴム重合体、
    及びオレフィン系ゴム重合体の中から選択される少なく
    とも1種のゴム重合体であって体積平均粒径が60〜2
    50nmであるゴム重合体(Ra)15〜90重量部の
    存在下に芳香族ビニル化合物10〜90重量%、(メ
    タ)アクリル酸エステル化合物、シアン化ビニル化合物
    の少なくとも1種の化合物10〜90重量%及びこれら
    と共重合可能な単量体0〜30重量%の合計100重量
    %からなる単量体混合物10〜85重量部を重合してな
    るグラフト共重合体80〜2重量部、(C)ジエン系ゴ
    ム重合体、アクリル系ゴム重合体、シリコーン系ゴム重
    合体、及びオレフィン系ゴム重合体の中から選択される
    少なくとも1種のゴム重合体であって体積平均粒径が2
    60〜1000nmであるゴム重合体(Rb)15〜9
    0重量部の存在下に芳香族ビニル化合物10〜90重量
    %,(メタ)アクリル酸エステル化合物、シアン化ビニ
    ル化合物の少なくとも1種の化合物10〜90重量%及
    びこれらと共重合可能な単量体0〜30重量%の合計1
    00重量%からなる単量体混合物10〜85重量部を重
    合してなるグラフト共重合体0〜30重量部及び(D)
    シアン化ビニル化合物10〜40重量%、スチレン90
    〜60重量%、これらと共重合可能な単量体0〜30重
    量%の合計100重量%からなる単量体混合物を重合し
    てなり、メチルエチルケトン可溶分の還元粘度(30
    ℃、N,N−ジメチルホルムアミド溶液中)が0.3〜
    1.2dl/g であるスチレン系共重合体0〜50重
    量部(A、B、CおよびDの合計100重量部)からな
    り、ゴム重合体含有量が5〜30重量%である車両灯具
    成形用樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 グラフト共重合体(B)の体積平均粒径
    が60〜150nmである請求項1記載の車両灯具成形
    用樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 車両灯具がランプボディである請求項1
    記載の樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の樹脂組成物を成形してな
    る車両灯具。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の樹脂組成物を成形してな
    るランプボディ。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の樹脂組成物を成形してな
    るリフレクター。
  7. 【請求項7】 請求項5記載のランプボディを用いた自
    動車用ヘッドランプケース、ウィンカーケース、バック
    ランプケース又はストップランプケース。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の樹脂組成物を成形してな
    るランプボディに、加熱した熱板を押し当てて溶融した
    後、溶融部分をランプレンズに圧着してランプボディと
    ランプレンズとを接合することを特徴とする車両用灯具
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 熱板を250〜500℃に加熱して行う
    請求項8記載の車両用灯具の製造法。
  10. 【請求項10】 ランプレンズとしてメタクリル酸メチ
    ル樹脂からなるレンズを用いる請求項8又は9記載の車
    両用灯具の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1記載の樹脂組成物を成形して
    なるランプボディに、加熱した熱板を押し当てて溶融し
    た後、溶融部分をランプレンズに圧着してランプボディ
    とランプレンズとを接合してなる車両用灯具。
  12. 【請求項12】ランプレンズとしてメタクリル酸メチル
    樹脂からなるレンズを用いてなる請求項11記載の車両
    用灯具。
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