JP2001160559A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法

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JP2001160559A JP34238299A JP34238299A JP2001160559A JP 2001160559 A JP2001160559 A JP 2001160559A JP 34238299 A JP34238299 A JP 34238299A JP 34238299 A JP34238299 A JP 34238299A JP 2001160559 A JP2001160559 A JP 2001160559A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】低コスト化と高性能を両立可能なバッファ層を
有するパンチスルー型IGBT(伝導度変調型MOSF
ET)の製造方法の提供。 【解決手段】低価格のFZウェハ(nドリフト層を形
成する)を用い、その表面側に素子活性領域(p+ベー
ス領域4、n+エミッタ領域5、ゲート酸化膜6、ゲー
ト電極7など)及びエミッタ電極8を形成し、ウェハ裏
面側を所定の厚さまで削り落とし、しかる後、裏面から
プロトン照射を行い、低温アニール処理を施してn
ッファ層2bを形成する工程と、裏面から硼素イオンの
粒子線照射を行い、ウェハ表面を冷却しながらウェハ裏
面に対し光又はレーザーを照射するアニール処理を施し
てpコレクタ層1bを形成する工程とを有して成る。
プロトン照射とその低温アニール処理により格子欠陥で
あるn型欠陥層を形成できる。このn型欠陥層は実質的
にn型高nバッファ層2bとして機能する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、電力変換装置など
に使用されるIGBT(伝導度変調型トランジスタ)等
のパワー半導体装置に関し、特に、FZ(浮遊ゾーン)
ウェハの採用に適した半導体装置の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】図3に示すノンパンチスルー型IGBT
は、nドリフト層3を形成する低価格のFZウェハを
使用して製造される。このFZウェハの表面側に素子活
性領域(p+ベース領域4、n+エミッタ領域5、ゲート
酸化膜6、ゲート電極7など)とエミッタ電極8を形成
し、ウェハ裏面を所定の厚さまで削り落とした後、ウェ
ハ裏面から硼素イオンを照射し、400℃以下の低温アニ
ールによりその導入イオンの一部分を活性化することに
より、p+コレクタ層1を形成している。順方向ブロッ
キングモード時において十分な耐圧を得るには、p+
ース領域4とnドリフト層3のpn接合から拡張する
空乏層がp+コレクタ層1に達しないように十分厚いn
ドリフト層3とすることが必要であるが、このn
リフト層3が厚いと抵抗が上昇し、IGBTのオン状態
における電圧降下が大きく、大電流容量化が困難である
と共に、nドリフト層3の蓄積キャリアが増大し、タ
ーンオフ時の損失も大きくなる。このノンパンチスルー
型IGBTは低コストであるものの、高性能は期待でき
ない。
【0003】他方、図4に示すパンチスルー型IGBT
は、p+コレクタ層1aを形成する高濃度p型基板の上
にn+バッファ層2として機能する高濃度n型エピタキ
シャル層を成長させ、更にその上にnドリフト層3a
として機能する低濃度n型エピタキシャル層を成長させ
て成るエピウェハを使用して製造される。順方向ブロッ
キングモード時においては、空乏層の延びが高不純物濃
度のn+バッファ層2で遅くなるために、薄いnドリ
フト層3aでも高い耐圧を得ることが可能である。この
ため、同耐圧のノンパンチスルー型IGBTに比較し
て、オン状態の電圧降下が低く、大電流容量化と共に、
ターンオフ損失も低減する。しかしながら、エピウェハ
を使用するものであるから、パンチスルー型IGBTは
製造コスト高である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年、IGBT等のパ
ワー半導体装置は高性能を実現しながらも、更なる低コ
スト化が要請されている。低コスト化のためには、ウェ
ハプロセスに低価格のFZウェハを採用する方が有利で
ある。高性能を得るにはn+バッファ層2を形成するこ
とが必要であるが、例えば、表面側素子活性領域及びそ
のエミッタ電極8を形成したFZウェハの裏面を所定の
厚さまで削った後、裏面から燐又は砒素イオンなどの粒
子線を照射(注入)し、アニール処理により不純物を活
性化させてn+バッファ層2を形成する方法が考えられ
る。
【0005】しかしながら、燐又は砒素原子をシリコン
ウェハ中で十分に活性化させるには、アニール温度を10
00℃以上にする必要があることから、ウェハ表面に低融
点(約700℃)のアルミニウムのエミッタ電極8を被着
する前に上記のアニール処理を完了せねばならない。と
ころが、エミッタ電極8の被着前にアニール処理を施す
としても、実際、切削後の薄いウェハを1000℃以上の温
度でアニール処理した場合、ウェハ形状が大きく反って
しまうため、その後段工程であるエミッタ電極8の形成
のためのフォトリソグラフィーが不可能になる。かかる
実情から、図3に示すノンパンチスルー型IGBTにお
いても、p+コレクタ層1の形成では低温アニールに頼
らざるを得ない。
【0006】そこで、上記問題点に鑑み、本発明の課題
は、低価格のFZウェハを用いても製造可能であって、
表面側の素子活性領域及びその電極の形成後においても
支障なく高不純物濃度のバッファ層や裏面最表側の逆導
電型の高不純物濃度層をも形成でき、低コスト化と高性
能を両立できる半導体装置の製造方法を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、裏面(第2主面)側の高不純物濃度のバ
ッファ層やその最表側の逆導電型高不純物濃度層を共に
低温プロセスで形成し得ることを特徴とする。
【0008】本発明の第1の手段は、第1導電型低不純
物濃度のドリフト層を形成する第1導電型低不純物濃度
の基板を用い、その基板の第1主面側に形成された素子
活性領域及びその第1電極と、上記基板の第2主面の最
表側に形成された第2導電型高不純物濃度層及びその第
2電極と、上記ドリフト層と上記第2導電型高不純物濃
度層とに挟まれた第1導電型高不純物濃度のバッファ層
とを備えた半導体装置の製造方法において、上記基板の
上記第1主面側に上記素子活性領域及び上記第1電極を
形成し、上記基板の上記第2主面側を所定の厚さまで削
り落とし、しかる後、上記第2主面からプロトン照射を
行い、アニール処理を施して上記バッファ層を形成する
工程と、上記第2主面からアクセプター不純物イオンの
粒子線照射を行い、アニール処理を施して上記第2導電
型高不純物濃度層を形成する工程と、を有して成ること
を特徴とする。
【0009】プロトン照射とその低温アニール処理によ
り格子欠陥であるn型欠陥層を形成できる。このn型欠
陥層は実質的にn型高不純物濃度のバッファ層として機
能するものである。プロトンの飛程は長いため、第2主
面より深部にn型欠陥層が形成される。n型欠陥層の活
性化のためのアニール温度は、アルミニウム等の第1電
極の融点よりも低い温度で十分であるので、第1電極の
被着工程後に支障なくn型高不純物濃度のバッファ層と
してのn型欠陥層を形成できる。
【0010】第2主面側の第2導電型高不純物濃度層の
形成のためのアニール処理としては、例えば、第1電極
を有する第1主面側を冷却(冷却ガスの吹き付け、又は
ヒートシンクなど)しながら第2主面に短時間のエネル
ギー照射(光又はレーザー照射)を施すことができるも
のであるから、基板厚方向に温度勾配を確保でき、第1
主面側の温度をアルミニウム等の融点よりも低い温度
(例えば約450℃以下)とし、第2主面側のアニール温
度をアルミニウム等の融点よりも高い温度(例えば700
℃以上)に設定することができ、第1電極の溶融やこれ
とシリコンとのコンタクト抵抗の上昇を防ぐことができ
ると共に、飛程の短い導入不純物でも十分活性化させる
ことが可能となる。従って、低価格の低不純物濃度FZ
ウェハを用いることができるので、半導体装置の低コス
ト化を実現できる。またn型高不純物濃度のバッファ層
を具備する半導体装置を実現できるため、大電流容量化
とターンオフ損失の低減を図ることができ、高性能の半
導体装置を提供できる。
【0011】バッファ層形成工程と第2導電型高不純物
濃度層形成工程はいずれを先に行っても構わない。バッ
ファ層形成工程のアニール処理は第2導電型高不純物濃
度層形成工程のアニール処理を援用しても良く、かかる
場合は、アニール処理の工数を削減できる。プロトン照
射の照射エネルギーは1MeV以下で良い。バッファ層
形成工程の単独アニール処理の温度は、300℃以上かつ5
00℃以下で良い。
【0012】本発明の第2の手段は、第1導電型低不純
物濃度のドリフト層を形成する第1導電型低不純物濃度
の基板を用い、その基板の第1主面側に形成された素子
活性領域及びその第1電極と、上記基板の第2主面の最
表側に形成された第2導電型高不純物濃度層及びその第
2電極と、上記ドリフト層と上記第2導電型高不純物濃
度層とに挟まれた第1導電型高不純物濃度のバッファ層
とを備えた半導体装置の製造方法において、上記基板の
上記第1主面側に上記素子活性領域及び上記第1電極を
形成し、上記基板の上記第2主面側を所定の厚さまで削
り落とし、しかる後、上記第2主面から酸素イオンの粒
子線照射を行い、アニール処理を施して上記バッファ層
を形成する工程と、上記第2主面からアクセプター不純
物イオンの粒子線照射を行い、アニール処理を施して上
記第2導電型高不純物濃度層を形成する工程と、を有し
て成ることを特徴とする。
【0013】かかる第2の手段においても、第2導電型
高不純物濃度層の形成方法は第1の手段と同様である
が、バッファ層の形成方法が、第2主面から酸素イオン
照射を行い、低温アニール処理を施して形成するもので
ある。酸素イオンのイオン打ち込み法を用いるため、飛
程が長く、最大濃度点を深部に設定でき、バッファ層た
る酸素ドナードープ層を形成できる。かかる場合も、第
2導電型高不純物濃度層の形成のためのアニール温度を
アルミニウムの融点よりも高い温度(例えば700℃以
上)に設定することができる。
【0014】バッファ層形成工程と第2導電型高不純物
濃度層形成工程はいずれを先に行っても構わない。バッ
ファ層形成工程のアニール処理は第2導電型高不純物濃
度層形成工程のアニール処理を援用しても良く、かかる
場合は、アニール処理工程を削減できる。バッファ層形
成工程の単独アニール処理の温度は、300℃以上かつ500
℃以下で良い。
【0015】本発明の第3の手段は、第1導電型低不純
物濃度のドリフト層を形成する第1導電型の低不純物濃
度基板を用い、その基板の第1主面側に形成された素子
活性領域及びその第1電極と、上記基板の第2主面の最
表側に形成された第2導電型高不純物濃度層及びその第
2電極と、上記ドリフト層と上記第2導電型高不純物濃
度層とに挟まれた第1導電型高不純物濃度のバッファ層
とを備えた半導体装置の製造方法において、上記基板に
上記素子活性領域及び上記第1電極を形成し、上記基板
の上記第2主面側を所定の厚さまで削り落とし、しかる
後、上記第2主面からドナー不純物イオンの粒子線照射
を行い、上記第1主面を冷却しながらエネルギー照射す
るアニール処理を施して上記バッファ層を形成する工程
と、上記第2主面からアクセプター不純物イオンの粒子
線照射を行い、アニール処理を施して上記第2導電型高
不純物濃度層を形成する工程と、を有して成ることを特
徴とする。
【0016】かかる第3の手段においても、第2導電型
高不純物濃度層の形成方法は第1の手段と同様である
が、バッファ層の形成方法が、第2主面からドナー不純
物イオンの粒子線照射を行い、第1主面を冷却しながら
第2主面に対しエネルギー照射(光又はレーザー照射な
ど)するアニール処理を施して形成するものである。ア
ニール処理においては、基板厚方向に温度勾配を確保し
ながら、第2主面側のアニール温度をアルミニウムの融
点よりも高い温度(例えば700℃以上)に設定すること
ができ、飛程の短い導入不純物でも十分活性化させるこ
とが可能となる。かかる第3の手段においても、アニー
ル処理は、例えば、第1電極を有する第1主面側を冷却
(冷却ガスの吹き付け、又はヒートシンクなど)しなが
ら第2主面にエネルギー照射(ランプアニール又はレー
ザーアニールなど)を施すことができるものであるか
ら、基板厚方向に温度勾配を確保しながら、第1主面側
の温度をアルミニウム等の融点よりも低い温度し、第2
主面側のアニール温度をアルミニウム等の融点よりも高
い温度に設定することができ、第1電極の溶融などを防
止でき、飛程の短い導入不純物でも十分活性化させるこ
とが可能となる。短時間のエネルギー照射でも構わな
い。
【0017】バッファ層形成工程と第2導電型高不純物
濃度層形成工程はいずれを先に行っても構わない。バッ
ファ層形成工程のアニール処理は第2導電型高不純物濃
度層形成工程のアニール処理を援用しても良く、かかる
場合は、アニール処理の工数を削減できる。
【0018】ドナー不純物イオンとしては燐又は砒素イ
オンを用いることができる。燐又は砒素イオンの照射エ
ネルギーは1MeV以下で良い。燐又は砒素のドーズ量
は1×1012cm-2〜1×1015cm-2で良い。アクセプター不
純物イオンとしては硼素イオンを用いることができる。
硼素イオンの照射エネルギーは1MeV以下で良い。硼
素のドーズ量は1×1012cm-2〜1×1015cm-2で良い。
【0019】なお、本発明は、IGBTに限らず、サイ
リスタやnドリフト層及び第2主面の最表面側のp型
高不純物濃度層を備えた縦形半導体装置一般に適用でき
る。本発明の第3の手段は、pドリフト層及び第2主
面の最表面側のn型高不純物濃度層を備えた縦形半導体
装置一般に適用できる。また、ドリフト層やバッファ層
に限らず、第1導電型低不純物濃度や第1導電型高不純
物濃度で良い。
【0020】本発明の第4の手段は、第1導電型低不純
物濃度の基板を用い、該基板の第1主面側に形成された
素子活性領域及びその第1電極と、上記基板の第2主面
の最表側に形成された高不純物濃度層及びその第2電極
とを備えた半導体装置の製造方法において、上記基板の
上記第1主面側に上記素子活性領域及び上記第1電極を
形成し、上記基板の上記第2主面側を所定の厚さまで削
り落とし、しかる後、上記第2主面から第1又は第2導
電型不純物イオンの粒子線照射を行い、上記第1主面を
冷却しながら上記第2主面に対しエネルギー照射するア
ニール処理を施して前記高不純物濃度層を形成する工程
を有して成ることを特徴とする。第2主面の最表層側に
限らず、第2主面側寄りに高不純物濃度層を形成しても
良い。第1主面側の冷却法は、冷却ガスの吹き付け、又
はヒートシンクなどで良い。第1電極の融解などを防止
するために基板厚方向に温度勾配を持たせば良い。短時
間のエネルギー照射だけでも良い。
【0021】かかる方法によれば、基板厚方向に温度勾
配を確保しながら、第1主面側の温度をアルミニウム等
の融点よりも低い温度とし、第2主面側のアニール温度
をアルミニウム等の融点よりも高い温度に設定すること
ができ、第1電極の溶融などを防止でき、飛程の短い導
入不純物でも十分活性化させることが可能となる。従っ
て、低価格の低不純物濃度FZウェハを用いることがで
きるので、半導体装置の低コスト化を実現できる。
【0022】
【発明の実施の形態】次に、本発明の各実施形態を添付
図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態1に
係るパンチスルー型IGBTの断面構造を示す一部断面
図である。
【0023】本実施形態のパンチスルー型IGBTは12
00V耐圧IGBTであって、nドリフト層3を形成す
るn型低不純物濃度のFZウェハを用いて製造される。
FZウェハの表面側には素子活性領域及びアルミニウム
のエミッタ電極8が形成されている。ここで、IGBT
の表面側素子活性領域(核心部)とは、nドリフト層
3の表面側に形成されたウェル状のpベース領域4
と、このpベース領域4の表面側に形成されたn
ミッタ領域5と、ゲート酸化膜6を介して形成された多
結晶シリコン等のゲート電極7と、層間絶縁膜を介して
形成されたエミッタ電極8などである。FZウェハの裏
面最表側にはpコレクタ層1bが形成されており、そ
のpコレクタ層1b上にはアルミニウムのコレクタ電
極9が被着されている。また、nドリフト層3とp
コレクタ層1bとの間にはnバッファ層2bが挟まれ
ている。
【0024】このように、n型低不純物濃度のFZウェ
ハを用いたパンチスルー型IGBTは、そのFZウェハ
の表面側に上記素子活性領域及びエミッタ電極8を形成
し、FZウェハの裏面側を所定の厚さまで削り落とした
後、裏面から後述する不純物イオンの粒子線照射を行
い、所定のアニール処理を施してnバッファ層2bと
コレクタ層1bを形成し、しかる後、コレクタ電極
9を被着して製造される。
【0025】
【実施例1】実施例1のパンチスルー型IGBTの構造
は、nバッファ層2bがn型欠陥層で構成されてい
る。このn型欠陥層は単結晶の格子欠陥層であるが、実
質的に高濃度n型半導体層として機能するものである。
このような裏面側のn型欠陥層をnバッファ層2bと
して利用するパンチスルー型IGBTの製造方法は、前
述した様に、FZウェハの表面側に上記素子活性領域及
びエミッタ電極8を形成し、FZウェハの裏面側を所定
の厚さまで削り落とし、しかる後、FZウェハ裏面側か
らプロトン照射を行い、アニール処理(例えば300℃〜5
00℃)を施してn型欠陥層を形成する工程と、ウェハ裏
面から硼素イオンの粒子線照射を行い、ウェハ表面を冷
却しながらウェハ裏面に対し光又はレーザーを短時間照
射するアニール処理を施してpコレクタ層1bを形成
する工程とを有するものである。
【0026】プロトン照射の照射エネルギーは飛程が長
いので1MeV以下で良い。また、硼素イオンの照射エ
ネルギーも、裏面最表側に打ち込むため、1MeV以下
で良い。硼素のドーズ量は1×1012cm-2以上かつ1×10
15cm-2以下で良い。FZウェハ表面側の冷却法は、冷却
ガスの吹き付け、又はヒートシンクなどである。
【0027】n型欠陥層の活性化のためのアニール温度
は、アルミニウムのエミッタ電極8の融点よりも低い温
度(700℃以下)で十分であるので、エミッタ電極8の
被着工程後に支障なくnバッファ層2bとしてのn型
欠陥層を形成できる。また、イオン打ち込み法を用いる
ため、最大濃度点を深部に設定できる。
【0028】また、pコレクタ層1bのためのアニー
ル法がFZウェハ表面を冷却(表面側450℃以下に冷却
することにより、表面のアルミニウムのエミッタ電極8
とシリコンとのコンタクト抵抗の上昇を防ぐ)しながら
のウェハ裏面に対する短時間のランプアニール又はレー
ザーアニールであることから、FZウェハの厚さ方向に
温度勾配を確保しながら、裏面のアニール温度をアルミ
ニウムの融点よりも高い温度(700℃以上)に設定する
ことができ、飛程の短い導入不純物でも十分活性化させ
ることが可能となり、ドナー不純物として硼素を用いる
ことができる。勿論、低価格の低不純物濃度FZウェハ
を用いることができるので、IGBTの低コスト化を実
現できる。
【0029】nバッファ層2bの形成工程とpコレ
クタ層1bの形成工程はいずれを先に行っても構わな
い。また、nバッファ層2bの形成工程のアニール処
理はp コレクタ層1bの形成工程のアニール処理を援
用しても良い。かかる場合は、アニール処理の工数を削
減できる。
【0030】
【実施例2】実施例2のパンチスルー型IGBTの構造
は、nバッファ層2bが酸素ドナードープ層で構成さ
れている。nバッファ層2bを酸素ドナードープ層と
すると、アニール処理の温度をアルミニウムのエミッタ
8の融点よりも低い温度にすることができるため、エミ
ッタ電極8の被着工程後に支障なくnバッファ層2b
を形成できる。
【0031】このような酸素ドナードープ層をnバッ
ファ層2bとして利用するパンチスルー型IGBTの製
造方法は、前述した様に、FZウェハの表面側に上記素
子活性領域及びエミッタ電極8を形成し、FZウェハの
裏面側を所定の厚さまで削り落とし、しかる後、FZウ
ェハ裏面側から酸素イオンの照射を行い、アニール処理
(例えば300℃〜500℃)を施して酸素ドナードープ層を
形成する工程と、ウェハ裏面から硼素イオンの粒子線照
射を行い、ウェハ表面を冷却しながらウェハ裏面に対し
光又はレーザーを照射するアニール処理を施してp
レクタ層1bを形成する工程とを有するものである。か
かる場合も、nバッファ層2bの形成工程とpコレ
クタ層1bの形成工程はいずれを先に行っても構わな
い。また、nバッファ層2bの形成工程のアニール処
理はpコレクタ層1bの形成工程のアニール処理を援
用しても良い。かかる場合は、アニール処理工程を削減
できる。
【0032】酸素イオン照射の照射エネルギーも飛程が
長いので1MeV以下で良い。酸素ドナードープ層の活
性化のためのアニール温度も、アルミニウムのエミッタ
電極8の融点よりも低い温度(700℃以下)で十分であ
るので、エミッタ電極8の被着工程後に支障なくn
ッファ層2bとしての酸素ドナードープ層を形成でき
る。また、低価格のn型低不純物濃度FZウェハを用い
るので、IGBTの低コスト化を実現できる。本例も実
施例1と同様な効果を奏する。
【0033】
【実施例3】実施例3のパンチスルー型IGBTの製造
方法は、FZウェハの表面側に上記素子活性領域及びエ
ミッタ電極8を形成し、FZウェハの裏面側を所定の厚
さまで削り落とし、しかる後、FZウェハ裏面から燐又
は砒素イオンの粒子線照射を行い、FZウェハ表面を冷
却しながらFZウェハ裏面に対し光又はレーザーを照射
するアニール処理を施してnバッファ層2bを形成す
る工程と、FZウェハ裏面から硼素イオンの粒子線照射
を行い、FZウェハ表面を冷却しながらFZウェハ裏面
に対し光又はレーザーを照射するアニール処理を施して
コレクタ層1bを形成する工程とを有している。F
Zウェハ表面側の冷却法は、冷却ガスの吹き付け、又は
ヒートシンクなどである。燐又は砒素イオンの照射エネ
ルギーも、裏面最表側に打ち込むため、1MeV以下で
良い。燐又は砒素のドーズ量は1×1012cm-2以上かつ1
×1015cm-2以下で良い。
【0034】本例でも、pコレクタ層1bの形成方法
は実施例1、2と同様であるが、n バッファ層2bの
形成方法が、裏面から燐又は砒素イオンの粒子線照射を
行い、表面を冷却しながら裏面に対し光又はレーザーを
短時間照射して形成するものである。このアニール処理
においても、基板厚方向に温度勾配を確保しながら、裏
面側のアニール温度をアルミニウムの融点よりも高い温
度(700℃以上)に設定することができ、飛程の短い燐
又は砒素イオンでも十分活性化させることが可能とな
る。実施例1,2と同様な効果を奏する。
【0035】次に、図2は本発明の実施形態2に係るト
レンチゲート構造のパンチスルー型IGBTの断面構造
を示す一部断面図である。
【0036】本実施形態のトレンチゲート構造のパンチ
スルー型IGBTも、nバッファ層2bを形成するn
型低不純物濃度のFZウェハを用いて製造される。実施
形態1に係るパンチスルー型IGBTと異なる点は、素
子活性領域(核心部)にある。その素子活性領域はトレ
ンチゲート構造であって、nドリフト層3の表面側に
形成されたpベース領域14と、このpベース領域
14の表面側に形成されたnエミッタ領域15と、p
ベース領域14の深さ以上に掘り込まれたトレンチ内
にゲート酸化膜16を介して埋め込まれた多結晶シリコ
ン等のゲート電極17と、層間絶縁膜を介して形成され
たエミッタ電極18などである。FZウェハの裏面最表
側にはpコレクタ層1bが形成されており、そのp
コレクタ層1b上にはアルミニウムのコレクタ電極9が
被着されている。また、nドリフト層3とpコレク
タ層1bとの間にはnバッファ層2bが挟まれてい
る。
【0037】かかるトレンチゲート構造のパンチスルー
型IGBTも、実施形態1と同様の製造方法を採用し、
同様の作用効果を発揮するものであるが、素子活性領域
がトレンチゲート構造であることにより、より一層のオ
ン抵抗の低減が可能である。
【0038】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明は、第2主面
側の高不純物濃度のバッファ層やその最表側の逆導電型
高不純物濃度層を共に低温プロセスにより形成し得るこ
とを特徴としているため、次の効果を奏する。
【0039】(1) 基板の第1主面側に素子活性領域
及び第1電極を形成し、第2主面側を所定の厚さまで削
り落とし後、第2主面からプロトン照射を行い、アニー
ル処理を施してバッファ層を形成する工程と、第2主面
からアクセプター不純物イオンの粒子線照射を行い、ア
ニール処理を施して第2導電型高不純物濃度層を形成す
る工程とを有しているため、プロトン照射とその低温ア
ニール処理によりバッファ層として機能するn型欠陥層
を形成でき、また、第2導電型高不純物濃度層のアニー
ル処理としては第2主面側に対するネルギー照射やこれ
に第1主面側の冷却の併用を採用することができ、基板
厚方向に温度勾配を確保できるため、第2主面側のアニ
ール温度をアルミニウム等の融点よりも高い温度に設定
することができ、飛程の短い導入不純物でも十分活性化
させることが可能となる。従って、低価格の低不純物濃
度FZウェハを用いることができるので、半導体装置の
低コスト化を実現できる。またn型高不純物濃度のバッ
ファ層を具備する半導体装置を実現できるため、大電流
容量化とターンオフ損失の低減を図ることができ、高性
能の半導体装置を提供できる。
【0040】(2) 基板の第1主面側に素子活性領域
及び第1電極を形成し、第2主面側を所定の厚さまで削
り落とした後、第2主面から酸素イオンの粒子線照射を
行い、アニール処理を施してバッファ層を形成する工程
と、第2主面からアクセプター不純物イオンの粒子線照
射を行い、アニール処理を施して第2導電型高不純物濃
度層を形成する工程とを有しているため、酸素イオン照
射とその低温アニール処理によりバッファ層としての酸
素ドナードープ層を形成でき、また、第2導電型高不純
物濃度層のアニール処理では基板厚方向に温度勾配を確
保しながら行うことができるため、第2主面側のアニー
ル温度をアルミニウム等の融点よりも高い温度に設定す
ることができ、飛程の短い導入不純物でも十分活性化さ
せることが可能となる。従って、低価格の低不純物濃度
FZウェハを用いることができるので、半導体装置の低
コスト化を実現できる。またn型高不純物濃度のバッフ
ァ層を具備する半導体装置を実現できるため、大電流容
量化とターンオフ損失の低減を図ることができ、高性能
の半導体装置を提供できる。
【0041】(3) 基板の第1主面側に素子活性領域
及び第1電極を形成し、第2主面側を所定の厚さまで削
り落とした後、第2主面からドナー不純物イオンの粒子
線照射を行い、第1主面を冷却しながら第2主面に対し
エネルギー照射するアニール処理を施してバッファ層を
形成する工程と、第2主面からアクセプター不純物イオ
ンの粒子線照射を行い、アニール処理を施して第2導電
型高不純物濃度層を形成する工程とを有しているため、
いずれのアニール処理においても、基板厚方向に温度勾
配を確保しながら、第2主面側のアニール温度をアルミ
ニウムの融点よりも高い温度に設定することができ、飛
程の短い導入不純物でも十分活性化させることが可能と
なる。従って、低価格の低不純物濃度FZウェハを用い
ることができるので、半導体装置の低コスト化を実現で
きる。またn型高不純物濃度のバッファ層を具備する半
導体装置を実現できるため、大電流容量化とターンオフ
損失の低減を図ることができ、高性能の半導体装置を提
供できる。
【0042】(4) 基板の第1主面側に素子活性領域
及びその第1電極を形成し、第2主面側を所定の厚さま
で削り落とした後、第2主面から第1又は第2導電型不
純物イオンの粒子線照射を行い、第1主面を冷却しなが
ら第2主面に対しエネルギー照射するアニール処理を施
して高不純物濃度層を形成する工程を有しているため、
基板厚方向に温度勾配を確保しながら、第2主面側のア
ニール温度をアルミニウム等の融点よりも高い温度に設
定することができので、第1電極の溶融などを防止で
き、飛程の短い導入不純物でも十分活性化させることが
可能となる。従って、低価格の低不純物濃度FZウェハ
を用いることができるので、半導体装置の低コスト化を
実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係るパンチスルー型IG
BTの断面構造を示す一部断面図である。
【図2】本発明の実施形態2に係るトレンチゲート構造
のパンチスルー型IGBTの断面構造を示す一部断面図
である。
【図3】従来のノンパンチスルー型IGBTの断面構造
を示す一部断面図である。
【図4】従来のパンチスルー型IGBTの断面構造を示
す一部断面図である。
【符号の説明】
1a,1b…pコレクタ層 2b…nバッファ層 3,3a…nドリフト層 4,14…pベース層 5,15…nエミッタ電極 6,16…ゲート酸化膜 7,17…ゲート電極 8,18…エミッタ電極 9,19…コレクタ電極

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1導電型低不純物濃度のドリフト層を
    形成する第1導電型低不純物濃度の基板を用い、該基板
    の第1主面側に形成された素子活性領域及びその第1電
    極と、前記基板の第2主面の最表側に形成された第2導
    電型高不純物濃度層及びその第2電極と、前記ドリフト
    層と前記第2導電型高不純物濃度層とに挟まれた第1導
    電型高不純物濃度のバッファ層とを備えた半導体装置の
    製造方法において、 前記基板の前記第1主面側に前記素子活性領域及び前記
    第1電極を形成し、前記基板の前記第2主面側を所定の
    厚さまで削り落とし、しかる後、前記第2主面からプロ
    トン照射を行い、アニール処理を施して前記バッファ層
    を形成する工程と、前記第2主面からアクセプター不純
    物イオンの粒子線照射を行い、アニール処理を施して前
    記第2導電型高不純物濃度層を形成する工程と、を有し
    て成ることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記バッファ層形成
    工程の前記アニール処理は前記第2導電型高不純物濃度
    層形成工程の前記アニール処理を援用して成ることを特
    徴とする半導体装置の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2において、前記プ
    ロトン照射の照射エネルギーは、1MeV以下であるこ
    とを特徴とする半導体装置の製造方法。
  4. 【請求項4】 第1導電型低不純物濃度のドリフト層を
    形成する第1導電型低不純物濃度の基板を用い、該基板
    の第1主面側に形成された素子活性領域及びその第1電
    極と、前記基板の第2主面の最表側に形成された第2導
    電型高不純物濃度層及びその第2電極と、前記ドリフト
    層と前記第2導電型高不純物濃度層とに挟まれた第1導
    電型高不純物濃度のバッファ層とを備えた半導体装置の
    製造方法において、 前記基板の前記第1主面側に前記素子活性領域及び前記
    第1電極を形成し、前記基板の前記第2主面側を所定の
    厚さまで削り落とし、しかる後、前記第2主面から酸素
    イオンの粒子線照射を行い、アニール処理を施して前記
    バッファ層を形成する工程と、前記第2主面からアクセ
    プター不純物イオンの粒子線照射を行い、アニール処理
    を施して前記第2導電型高不純物濃度層を形成する工程
    と、を有して成ることを特徴とする半導体装置の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項4において、前記バッファ層形成
    工程の前記アニール処理は前記第2導電型高不純物濃度
    層形成工程の前記アニール処理を援用して成ることを特
    徴とする半導体装置の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に
    おいて、前記バッファ層形成工程の前記アニール処理の
    温度は、300℃以上かつ500℃以下であることを特徴とす
    る半導体装置の製造方法。
  7. 【請求項7】 第1導電型低不純物濃度のドリフト層を
    形成する第1導電型低不純物濃度の基板を用い、該基板
    の第1主面側に形成された素子活性領域及びその第1電
    極と、前記基板の第2主面の最表側に形成された第2導
    電型高不純物濃度層及びその第2電極と、前記ドリフト
    層と前記第2導電型高不純物濃度層とに挟まれた第1導
    電型高不純物濃度のバッファ層とを備えた半導体装置の
    製造方法において、 前記基板の前記第1主面側に前記素子活性領域及び前記
    第1電極を形成し、前記基板の前記第2主面側を所定の
    厚さまで削り落とし、しかる後、前記第2主面からドナ
    ー不純物イオンの粒子線照射を行い、前記第1主面を冷
    却しながら前記第2主面に対しエネルギー照射するアニ
    ール処理を施して前記バッファ層を形成する工程と、前
    記第2主面からアクセプター不純物イオンの粒子線照射
    を行い、アニール処理を施して前記第2導電型高不純物
    濃度層を形成する工程と、を有して成ることを特徴とす
    る半導体装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項7において、前記第2導電型高不
    純物濃度層形成工程の前記アニール処理は前記バッファ
    層形成工程の前記アニール処理を援用して成ることを特
    徴とする半導体装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項7又は請求項8において、前記ド
    ナー不純物イオンは、燐又は砒素イオンであることを特
    徴とする半導体装置の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項9において、前記燐又は砒素イ
    オンの照射エネルギーは、1MeV以下であることを特
    徴とする半導体装置の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項9又は請求項10において、前
    記燐又は砒素のドーズ量は、1×1012cm-2以上かつ1×
    1015cm-2以下であることを特徴とする半導体装置の製造
    方法。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至請求項11のいずれか一
    項において、前記アクセプター不純物イオンは、硼素イ
    オンであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項12において、前記硼素イオン
    の照射エネルギーは、1MeV以下であることを特徴と
    する半導体装置の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項12又は請求項13において、
    前記硼素のドーズ量は、1×1012cm-2以上かつ1×1015
    cm-2以下であることを特徴とする半導体装置の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 第1導電型低不純物濃度の基板を用
    い、該基板の第1主面側に形成された素子活性領域及び
    その第1電極と、前記基板の第2主面の最表側に形成さ
    れた高不純物濃度層及びその第2電極とを備えた半導体
    装置の製造方法において、 前記基板の前記第1主面側に前記素子活性領域及び前記
    第1電極を形成し、前記基板の前記第2主面側を所定の
    厚さまで削り落とし、しかる後、前記第2主面から第1
    又は第2導電型不純物イオンの粒子線照射を行い、前記
    第1主面を冷却しながら前記第2主面に対しエネルギー
    照射するアニール処理を施して前記高不純物濃度層を形
    成する工程を有して成ることを特徴とする半導体装置の
    製造方法。
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