JP2001146526A - ポリカーボネート樹脂フィルム - Google Patents

ポリカーボネート樹脂フィルム

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JP2001146526A
JP2001146526A JP33010199A JP33010199A JP2001146526A JP 2001146526 A JP2001146526 A JP 2001146526A JP 33010199 A JP33010199 A JP 33010199A JP 33010199 A JP33010199 A JP 33010199A JP 2001146526 A JP2001146526 A JP 2001146526A
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hydroxyphenyl
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色相および透明性に優れ、延伸フィルム特性
が良好で、殊に液晶ディスプレー用のフィルムとして使
用する際に、視野角が広く無彩色表示の色調が鮮明とな
る耐熱性に優れたポリカーボネート樹脂フィルムを提供
する。 【解決手段】 全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モ
ル%が9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェ
ニル)フルオレン、95〜5モル%が他のジヒドロキシ
成分からなり、塩化メチレン溶液での20℃における極
限粘度が0.35〜1.0の範囲のポリカーボネート共
重合体より形成されるポリカーボネート樹脂フィルムで
あって、該ポリカーボネート樹脂フィルムは、0.2m
m厚みにおけるC光源で測定したb値が1.3以下であ
ることを特徴とするポリカーボネート樹脂フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカーボネート
樹脂フィルムに関する。さらに詳しくは色相が著しく改
善された透明性、耐熱性、延伸フィルム特性の良好なポ
リカーボネート樹脂フィルムであり、視野角が広く、無
彩色表示の色調が鮮明となる液晶ディスプレー用途に適
したポリカーボネート樹脂フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ビスフェノールAにカーボネート
前駆物質を反応させて得られるポリカーボネート樹脂は
透明性、耐熱性、機械的特性、寸法安定性が優れている
がゆえにエンジニアリングプラスチックとして多くの分
野に広く使用されている。特に透明性に優れることから
光学材料としての用途も多く、近年液晶ディスプレーの
液晶基板用フィルムや位相差フィルム用途にも使用され
ている。しかしながら、通常のビスフェノールAからの
ポリカーボネート樹脂より得られるフィルムでは、殊に
液晶ディスプレーに用いるフィルムが配向膜形成プロセ
スや電極形成プロセス等で180℃以上の高温処理を要
し、その耐熱性が不足するという問題がある。
【0003】ポリカーボネート樹脂の耐熱性を向上させ
るためには、一般的に嵩高い動きにくい構造を有するビ
スフェノール類を用いる方法があり、種々のポリカーボ
ネートが提案されている。例えば、特開平5−7846
7号公報では、アダマンタン構造を有するビスフェノー
ルを主として得られるポリカーボネート樹脂が提案さ
れ、特開平2−88634号公報では、特定のジヒドロ
キシジフェニルシクロアルカンをベースとするポリカー
ボネート樹脂が提案されている。また、特開平11−1
74424号公報、特開平8−134198号公報およ
び特開平7−52270号公報では、特定のフルオレン
構造を有するポリカーボネート樹脂が提案されている。
しかしながら、これらの構造を有するポリカーボネート
樹脂は耐熱性に優れるものの、色相の点で十分ではな
く、また、延伸したフィルムの特性に劣り、位相差フィ
ルムとして使用した際に視野角が狭くなるなどの問題が
あり、その改善が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、殊に
液晶ディスプレー用のフィルムとして使用する際に、色
相および透明性に優れ、延伸フィルム特性が良好で、視
野角が広く無彩色表示の色調が鮮明となる耐熱性に優れ
たポリカーボネート樹脂フィルムを提供することにあ
る。
【0005】本発明者はこの目的を達成せんとして鋭意
研究を重ねた結果、フィルムの色相の指標となるb値に
着目し、従来のフルオレン共重合体から得られるポリカ
ーボネート樹脂フィルムに比べて、ポリカーボネート樹
脂フィルムのb値を低くすることにより、延伸フィルム
特性が向上するなどの上記目的を達成することを見出
し、本発明に到達した。
【0006】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モル%が9,
9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フル
オレン、95〜5モル%が下記一般式[1]
【0007】
【化2】
【0008】[式中、R1〜R4は夫々独立して水素原
子、炭素原子数1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水
素基又はハロゲン原子であり、Wは単結合、炭素原子数
1〜20の芳香族基を含んでもよい炭化水素基、O、
S、SO、SO2、CO又はCOO基である。]で表さ
れるジヒドロキシ成分からなり、塩化メチレン溶液での
20℃における極限粘度が0.35〜1.0の範囲のポ
リカーボネート共重合体より形成されるポリカーボネー
ト樹脂フィルムであって、該ポリカーボネート樹脂フィ
ルムは、0.2mm厚みにおけるC光源で測定したb値
が1.3以下であることを特徴とするポリカーボネート
樹脂フィルムが提供される。
【0009】本発明で使用される芳香族ポリカーボネー
ト共重合体は、それを構成する芳香族ジヒドロキシ成分
として、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフ
ェニル)フルオレンが全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜
95モル%、好ましくは10〜95モル%、さらに好ま
しくは30〜85モル%である。5モル%未満の場合、
本発明の目的である耐熱用材料として不満足な性質とな
り好ましくない。
【0010】本発明の芳香族ポリカーボネート共重合体
より形成されるポリカーボネート樹脂フィルムは、JI
S規格分光光線で昼光照明に相当する標準光であるC光
源で測定した0.2mm厚みのポリカーボネート樹脂フ
ィルムのb値が1.3以下であり、好ましくは1.0以
下であり、より好ましくは0.5以下である。フィルム
のb値が1.3を越えると、液晶用フィルムとして使用
した際に、延伸フィルム特性に劣り、視野角が狭くなっ
たり液晶の白色が不鮮明となり好ましくない。なお、こ
こでいうポリカーボネート樹脂フィルムは、未延伸フィ
ルムおよび延伸フィルムのどちらも包含するものであ
る。
【0011】前記b値の低下したポリカーボネート樹脂
フィルムは、特定の処理を行い不純物を除去した9,9
−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオ
レンを用いて、芳香族ポリカーボネート共重合体を重合
し、次いでフィルム化する方法や、芳香族ポリカーボネ
ート共重合体の重合時に脱酸素処理した反応溶液を用い
て重合し、次いでフィルム化する方法などによって得る
ことができる。使用される9,9−ビス(4−ヒドロキ
シ−3−メチルフェニル)フルオレンは、通常o−クレ
ゾールとフルオレノンの反応によって得られる。
【0012】不純物を除去する方法として具体的には、
o−クレゾールとフルオレノンの反応後に、未反応のo
−クレゾールを留去した後、残さをアルコール系、ケト
ン系またはベンゼン誘導体系の溶媒に溶解し、これに活
性白土を加えてろ過後、ろ液から結晶化した生成物をろ
過して精製された99.5%以上の純度の9,9−ビス
(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレンを
得ることができる。除去される不純物としては、2,
4′−ジヒドロキシ体、2,2′−ジヒドロキシ体およ
び構造不明の不純物等である。99.5%以上の純度の
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
フルオレンを用いることによって、ポリカーボネート樹
脂フィルムのb値1.3以下が達成できる。通常の方法
で得られた9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチル
フェニル)フルオレンを用いると、目的とするb値の極
めて小さいポリカーボネート樹脂フィルムを得ることは
できない。
【0013】かかる精製に用いるアルコール系の溶媒と
してはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノ
ール等の低級アルコール、ケトン系の溶媒としてはアセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケト
ン、シクロヘキサノン等の低級脂肪族ケトン類およびこ
れらの混合物が好ましく、ベンゼン誘導体系の溶媒とし
てはトルエン、キシレン、ベンゼンおよびこれらの混合
物が好ましい。溶媒の使用量はフルオレン化合物が十分
に溶解する量であれば足り、通常フルオレン化合物に対
して2〜10倍量程度である。活性白土としては市販さ
れている粉末状または粒状のシリカ−アルミナを主成分
とするものが用いられる。
【0014】本発明で使用される芳香族ポリカーボネー
ト共重合体において用いられる上記一般式(1)で示さ
れる他のジヒドロキシ成分としては、通常芳香族ポリカ
ーボネートのジヒドロキシ成分として使用されているも
のであればよく、例えばハイドロキノン、レゾルシノー
ル、4,4′−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタン(ビスフェノールE)、2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェ
ノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチ
ルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサ
ン(ビスフェノールZ)、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタ
ン、4,4′−(p−フェニレンジイソプロピリデン)
ジフェノール、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)−m−ジイソプロピルベンゼン(ビスフェノール
M)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−
イソプロピルシクロヘキサンなどが挙げられ、なかでも
ビスフェノールA、ビスフェノールZ、ビスフェノール
C、ビスフェノールE、ビスフェノールMが好ましく、
特にビスフェノールAが好ましい。
【0015】芳香族ポリカーボネート共重合体はそのポ
リマーを塩化メチレンに溶解した溶液での20℃におけ
る極限粘度が0.35〜1.0であり、0.50〜0.8
0が好ましく、0.55〜0.80がより好ましい。極
限粘度が0.35未満では成形品、殊にフィルムの強度
が弱くなり、1.0を越えると溶融粘度および溶液粘度
が高くなり、取り扱いが困難になるので好ましくない。
【0016】本発明で使用される芳香族ポリカーボネー
ト共重合体は、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂を製
造するそれ自体公知の反応手段、例えば芳香族ジヒドロ
キシ成分にホスゲンや炭酸ジエステルなどのカーボネー
ト前駆物質を反応させる方法により製造される。次にこ
れらの製造方法について基本的な手段を簡単に説明す
る。
【0017】カーボネート前駆物質として、例えばホス
ゲンを使用する反応では、通常酸結合剤および溶媒の存
在下に反応を行う。酸結合剤としては、例えば水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物
またはピリジンなどのアミン化合物が用いられる。溶媒
としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼンなどの
ハロゲン化炭化水素が用いられる。また反応促進のため
に例えば第三級アミンまたは第四級アンモニウム塩など
の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常
0〜40℃であり、反応時間は数分〜5時間である。
【0018】カーボネート前駆物質として炭酸ジエステ
ルを用いるエステル交換反応は、不活性ガス雰囲気下所
定割合の芳香族ジヒドロキシ成分を炭酸ジエステルと加
熱しながら撹拌して、生成するアルコールまたはフェノ
ール類を留出させる方法により行われる。反応温度は生
成するアルコールまたはフェノール類の沸点などにより
異なるが、通常120〜300℃の範囲である。反応は
その初期から減圧にして生成するアルコールまたはフェ
ノール類を留出させながら反応を完結させる。また反応
を促進するために通常エステル交換反応に使用される触
媒を使用することもできる。前記エステル交換反応に使
用される炭酸ジエステルとしては、例えばジフェニルカ
ーボネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニ
ル)カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカ
ーボネート、ジブチルカーボネートなどが挙げられる。
これらのうち特にジフェニルカーボネートが好ましい。
【0019】本発明で使用される芳香族ポリカーボネー
ト共重合体は、その重合反応において、末端停止剤とし
て通常使用される単官能フェノール類を使用することが
できる。殊にカーボネート前駆物質としてホスゲンを使
用する反応の場合、単官能フェノール類は末端停止剤と
して分子量調節のために一般的に使用され、また得られ
た芳香族ポリカーボネート共重合体は、末端が単官能フ
ェノール類に基づく基によって封鎖されているので、そ
うでないものと比べて熱安定性に優れている。
【0020】かかる単官能フェノール類としては、芳香
族ポリカーボネート樹脂の末端停止剤として使用される
ものであればよく、一般にはフェノール或いは低級アル
キル置換フェノールであって、下記一般式(2)で表さ
れる単官能フェノール類を示すことができる。
【0021】
【化3】
【0022】[式中、Aは水素原子、炭素数1〜9の直
鎖または分岐のアルキル基あるいはアリールアルキル基
であり、rは1〜5、好ましくは1〜3の整数であ
る。]前記単官能フェノール類の具体例としては、例え
ばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−
クミルフェノールおよびイソオクチルフェノールが挙げ
られる。
【0023】また、他の単官能フェノール類としては、
長鎖のアルキル基或いは脂肪族ポリエステル基を置換基
として有するフェノール類または安息香酸クロライド
類、もしくは長鎖のアルキルカルボン酸クロライド類を
使用することができ、これらを用いて芳香族ポリカーボ
ネート共重合体の末端を封鎖すると、これらは末端停止
剤または分子量調節剤として機能するのみならず、樹脂
の溶融流動性が改良され、成形加工が容易となるばかり
でなく、物性も改良される。特に樹脂の吸水率を低くす
る効果があり、好ましく使用される。これらは下記一般
式[I−a]〜[I−h]で表される。
【0024】
【化4】
【0025】
【化5】
【0026】
【化6】
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】
【0029】
【化9】
【0030】
【化10】
【0031】
【化11】
【0032】[前記一般式[I−a]〜[I−h]中、
Xは−R−O−、−R−CO−O−または−R−O−C
O−である、ここでRは単結合または炭素数1〜10、
好ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、T
は単結合または上記Xと同様の結合を示し、nは10〜
50の整数を示す。Qはハロゲン原子または炭素数1〜
10、好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水素基を示
し、pは0〜4の整数を示し、Yは炭素数1〜10、好
ましくは1〜5の二価の脂肪族炭化水素基を示し、W1
は水素原子、−CO−R17、−CO−O−R18またはR
19である、ここでR17、R18およびR19は、それぞれ炭
素数1〜10、好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水
素基、炭素数4〜8、好ましくは5〜6の一価の脂環族
炭化水素基または炭素数6〜15、好ましくは6〜12
の一価の芳香族炭化水素基を示す。aは4〜20、好ま
しくは5〜10の整数を示し、mは1〜100、好まし
くは3〜60、特に好ましくは4〜50の整数を示し、
Zは単結合または炭素数1〜10、好ましくは1〜5の
二価の脂肪族炭化水素基を示し、W2は水素原子、炭素
数1〜10、好ましくは1〜5の一価の脂肪族炭化水素
基、炭素数4〜8、好ましくは5〜6の一価の脂環族炭
化水素基または炭素数6〜15、好ましくは6〜12の
一価の芳香族炭化水素基を示す。]
【0033】これらのうち好ましいのは、[I−a]お
よび[I−b]の置換フェノール類である。この[I−
a]の置換フェノール類としては、nが10〜30、特
に10〜26のものが好ましく、その具体例としては、
例えばデシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラ
デシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデ
シルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェ
ノールおよびトリアコンチルフェノールなどを挙げるこ
とができる。
【0034】また、[I−b]の置換フェノール類とし
てはXが−R−CO−O−であり、Rが単結合である化
合物が適当であり、nが10〜30、特に10〜26の
ものが好適であって、その具体例としては、例えばヒド
ロキシ安息香酸デシル、ヒドロキシ安息香酸ドデシル、
ヒドロキシ安息香酸テトラデシル、ヒドロキシ安息香酸
ヘキサデシル、ヒドロキシ安息香酸エイコシル、ヒドロ
キシ安息香酸ドコシルおよびヒドロキシ安息香酸トリア
コンチルが挙げられる。
【0035】前記一般式[I−a]〜[I−g]で示さ
れる置換フェノール類または置換安息香酸クロライドに
おいて置換基の位置は、p位またはo位が一般的に好ま
しく、その両者の混合物が好ましい。
【0036】前記単官能フェノール類は、得られた芳香
族ポリカーボネート共重合体の全末端に対して少なくと
も5モル%、好ましくは少なくとも10モル%末端に導
入されることが望ましく、また単官能フェノール類は単
独でもしくは2種以上混合して使用してもよい。
【0037】また、本発明の芳香族ポリカーボネート樹
脂において、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチ
ルフェニル)フルオレンが、全芳香族ヒドロキシ成分の
60モル%以上である場合は、樹脂の流動性が低下する
ことがあり、そのため前記一般式[I−a]〜[I−
g]で示される置換フェノール類または置換安息香酸ク
ロライド類を末端停止剤として使用することが好まし
い。
【0038】本発明で使用される芳香族ポリカーボネー
ト共重合体は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、芳香
族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、
ナフタレンジカルボン酸あるいはその誘導体を共重合し
たポリエステルカーボネートであってもよい。また少量
の3官能化合物を共重合した分岐ポリカーボネートであ
ってもよい。
【0039】本発明で使用される芳香族ポリカーボネー
ト共重合体は、そのガラス転移点が160℃以上が好ま
しく、180℃以上がより好ましく、200℃以上がさ
らに好ましい。
【0040】本発明において、前記芳香族ポリカーボネ
ート共重合体に必要に応じて、リン酸、亜リン酸、ホス
ホン酸、亜ホスホン酸およびこれらのエステルよりなる
群から選択された少なくとも1種のリン化合物を配合す
ることができる。かかるリン化合物の配合量は、該芳香
族ポリカーボネート共重合体に対して0.0001〜0.
05重量%が好ましく、0.0005〜0.02重量%が
より好ましく、0.001〜0.01重量%が特に好まし
い。このリン化合物を配合することにより、かかる芳香
族ポリカーボネート共重合体の熱安定性が向上し、成形
時における分子量の低下や色相の悪化が防止される。
【0041】かかるリン化合物としては、リン酸、亜リ
ン酸、ホスホン酸、亜ホスホン酸およびこれらのエステ
ルよりなる群から選択される少なくとも1種のリン化合
物であり、好ましくは下記一般式
【0042】
【化12】
【0043】
【化13】
【0044】
【化14】
【0045】
【化15】
【0046】[式中、R5〜R16は、それぞれ独立し
て、水素原子、メチル、エチル、プロピル、イソプロピ
ル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチ
ル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、
ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどの炭素数1
〜20のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチルなど
の炭素数6〜15のアリール基またはベンジル、フェネ
チルなどの炭素数7〜18のアラルキル基を表し、また
1つの化合物中に2つのアルキル基が存在する場合は、
その2つのアルキル基は互いに結合して環を形成してい
てもよい。]よりなる群から選択された少なくとも1種
のリン化合物である。
【0047】上記(3)式で示されるリン化合物として
は、例えばトリフェニルホスファイト、トリスノニルフ
ェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−
ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイ
ト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホス
ファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオク
チルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフ
ェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイ
ト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチル
ジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert
−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール
ジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−
tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビ
ス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファ
イト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)
ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペ
ンタエリスリトールジホスファイトなどが挙げられる。
【0048】上記(4)式で示されるリン化合物として
は、例えばトリブチルホスフェート、トリメチルホスフ
ェート、トリフェニルホスフェート、トリエチルホスフ
ェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、
ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイ
ソプロピルホスフェートなどが挙げられ、上記(5)式
で示されるリン化合物としては、テトラキス(2,4−
ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェニレ
ンホスホナイトなどが挙げられ、また上記(6)式で示
される化合物としては、ベンゼンホスホン酸ジメチル、
ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプ
ロピルなどが挙げられる。
【0049】これらのリン化合物のなかで、トリスノニ
ルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−ter
t−ブチルフェニル)ホスファイト、テトラキス(2,
4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4−ジフェ
ニレンホスホナイトが好ましく使用される。
【0050】前記ポリカーボネート共重合体には、酸化
防止の目的で通常知られた酸化防止剤を添加することが
できる。その例としてはフェノール系酸化防止剤を示す
ことができ、具体的には例えばトリエチレングリコール
−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘ
キサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、
ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ
−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−ter
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシン
ナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、ト
リス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)イソシアヌレート、3,9−ビス{1,1−
ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒ
ドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]
エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ
(5,5)ウンデカン等が挙げられる。これら酸化防止
剤の好ましい添加量の範囲はポリカーボネート共重合体
に対して0.0001〜0.05重量%である。
【0051】さらに前記芳香族ポリカーボネート共重合
体には、必要に応じて一価または多価アルコールの高級
脂肪酸エステルを加えることもできる。
【0052】かかる高級脂肪酸エステルとしては、炭素
原子数1〜20の一価または多価アルコールと炭素原子
数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エ
ステルであるのが好ましい。また、かかる一価または多
価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステルまたは全エ
ステルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステア
リン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリド、
ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリス
リトールテトラステアレート、プロピレングリコールモ
ノステアレート、ステアリルステアレート、パルミチル
パルミテート、ブチルステアレート、メチルラウレー
ト、イソプロピルパルミテート、2−エチルヘキシルス
テアレートなどが挙げられ、なかでもステアリン酸モノ
グリセリド、ペンタエリスリトールテトラステアレート
が好ましく用いられる。
【0053】かかるアルコールと高級脂肪酸とのエステ
ルの配合量は、該芳香族ポリカーボネート共重合体に対
して0.01〜2重量%が好ましく、0.015〜0.5
重量%がより好ましく、0.02〜0.2重量%がさらに
好ましい。配合量がこの範囲内であれば離型性に優れ、
また離型剤がマイグレートし金属表面に付着することも
なく好ましい。
【0054】前記芳香族ポリカーボネート共重合体に
は、さらに光安定剤、着色剤、帯電防止剤、滑剤、充填
剤などの添加剤や他のポリカーボネート樹脂、他の熱可
塑性樹脂を本発明の目的を損なわない範囲で少割合添加
することもできる。
【0055】前記芳香族ポリカーボネート共重合体から
フィルムを製造する方法としては、厚みの均一性に優
れ、ゲル、ブツ、フィッシュアイ、スクラッチ等の光学
欠点の生じない方法が好ましく、例えば溶剤キャスト
法、溶融押出し法、カレンダー法等が挙げられる。なか
でも、本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂フィルムが
好適に使用される光学用途は高度な均一性を要求される
ために、溶液からのキャスティング法が好ましく採用さ
れる。キャスティング法は、一般にはダイから溶液を押
出すキャスティング法、ドクターナイフ法等が好ましく
用いられる。溶媒としては、例えば塩化メチレン、ジオ
キソラン、トルエン、ジオキサン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等の有
機溶媒が好ましい。これらは一種でもよいし、二種以上
の混合溶媒でもよい。液晶ディスプレー用フィルムは厚
膜であり、溶液濃度は15重量%以上、好適には20重
量%以上の高濃度溶液が好ましく用いられる。
【0056】芳香族ポリカーボネート樹脂フィルムの膜
厚は用途に応じて選択すればよいが、50〜500μm
の範囲が好ましく、80〜300μmの範囲がより好ま
しく用いられる。この範囲内では、位相差フィルムにお
いて屈折率異方性に基づく充分なリターデーションが得
られ、また液晶基板用フィルム(プラセル基板)では充
分に腰のある(剛直な)フィルムが得られ、また、製膜
が容易であり好ましい。さらに、位相差フィルムにおい
て延伸により精度良く目的のリターデーションが得られ
やすく好ましい。
【0057】かかる方法により製造されたフィルムを位
相差フィルムとして用いるためには、最適な複屈折特性
を有するよう少なくとも一軸方向に延伸配向して位相差
フィルムにする。一軸延伸方法としてはテンター法によ
る横一軸延伸、ロール間による縦一軸延伸、ロール間圧
延法等の任意の方法を用いることができる。延伸温度は
用いる樹脂のガラス転移温度(Tg)−50℃以上、T
g+20℃以下が好ましく、Tg−30℃以上、Tg+
10℃以下がより好ましい。かかる範囲の温度で延伸す
ることにより、ポリマー分子の運動が凍結されることな
く均一配向が容易になり好ましく、また、ポリマーの分
子運動が適度であり、延伸による配向の緩和が起り難
く、所望した配向度が得られ易く配向抑制が容易になり
好ましい。
【0058】また、延伸倍率は目的とするフィルムのリ
ターデーションの大きさに応じて適宜選択すればよい。
この値は、延伸温度、膜厚にも依存する。一般に厚膜で
は延伸倍率は小さくともよく、薄膜では大きくとる必要
が有る。STN型液晶ディスプレーに用いる位相差板の
リターデーションの値は、一般には100〜1200n
mであり、好ましくは150〜650nmの範囲が用い
られる。更にリターデーションの振れ幅は10%以下が
好ましく、5%以下が特に好ましい。リターデーション
の振れ幅が大きくなりすぎると色補償の偏差が生じ、色
むらになりやすい。
【0059】位相差フィルムはバリヤー層およびインジ
ウム、酸化スズをターゲットとした液晶用透明電極を形
成した後、偏向板に積層して複合偏向板として好ましく
用いられる。この複合偏向板は、通常の偏向板の光学軸
と位相差フィルムの光学軸を40〜50度の範囲で単層
または複層張り合わせることにより形成できる。この複
合偏向板は耐熱耐久性に優れ、リターデーションの経時
変化が少ない等の優れた特徴を有する。
【0060】また、延伸フィルム特性の一つにフィルム
面内方向の屈折率nxとnyの平均値と厚み方向の屈折率
nzの差の絶対値とフィルム厚みt(nm)の積で規定
されるK値=|(nx+ny)/2−nz|×tがあり、
K値が大きくなると液晶表示素子として用いた場合に表
示が浮いて見える等視野角が狭くなるため、この値は好
ましくは80nm以下、より好ましくは75nm以下に
押さえるのが好ましい。
【0061】また、液晶セルの片面または両面に偏向板
を配置した液晶表示パネルは、視面側の偏向板と液晶セ
ルの間に前記位相差フィルムを配することにより、液晶
の複屈折による着色を解消した白黒表示の液晶表示パネ
ルを形成することができ、更に白黒表示用液晶パネルに
カラーマスクを被せRGBの3色を発色させることによ
りフルカラーの液晶表示パネルを形成することができ
る。
【0062】本発明の芳香族ポリカーボネート樹脂フィ
ルムは、耐熱性、強度、色相に優れ、延伸フィルム特性
が良好であり、このフィルムの両面にガスバリヤー膜、
耐溶剤膜を付けたり、透明導電膜や偏光板と共に液晶基
板用フィルム(プラセル基板)または位相差フィルム等
の液晶ディスプレー用フィルムとして、特に位相差フィ
ルム用途として好適に用いられ、具体的には、ポケベ
ル、携帯電話、ハンディーターミナル、種々の表示素子
等に有利に使用することができる。
【0063】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに説明す
る。なお、実施例中の部は重量部であり、%は重量%で
ある。なお、評価は下記の方法によった。 (1)モノマー純度:試料10mgを10mlのアセト
ニトリルに溶解し東ソー(株)TSK−GEL ODS
−80TMカラムを用いて、アセトニトリル/水=6/
4の溶媒にて波長254nmでHPLC分析して求め
た。 (2)極限粘度:ポリマーを塩化メチレンに溶解し20
℃の温度で測定した。 (3)ガラス転移点(Tg):デュポン社製910型D
SCにより測定した。 (4)フィルムのb値:実施例で得られた厚み0.2m
mのフィルムを、C光源により日立U−3000分光光
度計を用いて測定した。 (5)全光線透過率:ASTM D−1003に準拠し
て日本電色(株)シグマ80により測定した。 (6)K値:王子製紙(株)製KOBRA21ADHを
用いて550nmの波長で、延伸方向、直角方向、厚み
方向の屈折率を測定して求めた。
【0064】[実施例1]温度計、撹拌機、還流冷却器
付き反応器にイオン交換水152400部、25%水酸
化ナトリウム水溶液84320部を入れ、HPLC分析
で純度99.8%の9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3
−メチルフェニル)フルオレン(以下“ビスクレゾール
フルオレン”と略称することがある)34848部、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン90
08部(以下“ビスフェノールA”と略称することがあ
る)およびハイドロサルファイト88部を溶解した後、
塩化メチレン178400部を加えた後撹拌下15〜2
5℃でホスゲン18248部を60分を要して吹き込ん
だ。ホスゲン吹き込み終了後、p−tert−ブチルフ
ェノール177.8部を塩化メチレン2640部に溶解
した溶液および25%水酸化ナトリウム水溶液1056
0部を加え、乳化後、トリエチルアミン32部を加えて
28〜33℃で1時間撹拌して反応を終了した。反応終
了後、生成物を塩化メチレンで希釈して水洗したのち塩
酸酸性にして水洗し、水相の導電率がイオン交換水と殆
ど同じになったところで、塩化メチレン相を濃縮、脱水
してポリカーボネート濃度が20%の溶液を得た。この
溶液から溶媒を除去して得たポリカーボネートはビスク
レゾールフルオレンとビスフェノールAとの構成単位の
比がモル比で70:30であった(ポリマー収率97
%)。また、このポリマーの極限粘度は0.674、T
gは226℃であった。
【0065】このポリカーボネート溶液を20℃でTダ
イより移動しているステンレス板上に流延し、徐々に温
度を上げながら塩化メチレンを蒸発し、ステンレス板よ
り剥離して更に加熱して塩化メチレンを除去して200
μmの厚みのフィルムを得た。キャスティング製膜性は
良好で、このフィルムのb値は0.5、全光線透過率は
90%であった。このフィルムをテンター法により22
6℃で延伸倍率2.0に一軸延伸した。この延伸フィル
ムのK値は71と好ましい値を示した。この一軸延伸し
たフィルムにバリヤー層および液晶用透明電極をスパッ
タリングした後、粘着剤を用いて偏向板の片面に光学軸
が45度になるように接着して複合偏向板を得た。次い
でこのものをSTN液晶表示装置の液晶セルと上部偏向
板の間に貼り合わせて用いたところ、視野角が広く、背
景色が白、表示色が黒のコントラストのよい白黒表示が
得られた。また、この上部にカラーフィルターを被せ、
RGBのセルを白黒のグレー濃度で発色表示させること
により、鮮明なフルカラー表示が得られた。
【0066】[実施例2]実施例1のビスクレゾールフ
ルオレンの使用量を29760部、ビスフェノールAの
使用量を12000部とする以外は実施例1と同様にし
て、ビスクレゾールフルオレンとビスフェノールAとの
構成単位の比がモル比で60:40であるポリマー20
%溶液を得た(ポリマー収率98%)。このポリマーの
極限粘度は0.707、Tgは217℃であった。この
ポリカーボネート溶液を実施例1と同様の方法により2
00μmの厚みのフィルムを得た。キャスティング製膜
性は良好で、このフィルムのb値は0.5、全光線透過
率は90%であった。このフィルムをテンター法により
217℃で延伸倍率2.0に一軸延伸した。この延伸フ
ィルムのK値は72と好ましい値を示した。このフィル
ムを実施例1と同様の方法で液晶表示させたところ、視
野角の広い鮮明なフルカラー表示が得られた。
【0067】[比較例1]実施例1と同様の反応器を用
いて、HPLC純度が99.0%のビスクレゾールフル
オレンを用いる以外は実施例1と同様にして20%のポ
リカーボネート溶液(ポリマー収率98%)を得た。こ
のポリマーの極限粘度は0.672、Tgは225℃で
あった。このポリカーボネート溶液を実施例1と同様の
方法により200μmの厚みのフィルムを得た。このフ
ィルムのb値は2.1、全光線透過率は88%であっ
た。このフィルムをテンター法により225℃で延伸倍
率2.0に一軸延伸したところ、K値は85とやや大き
くなった。このフィルムを実施例1と同様の方法で液晶
表示をさせたところ、視野角が狭くなり、白表示がやや
黄色味を帯び、色相補償が不十分で色ズレが生じ、やや
赤みがかった色調になった。またカラー表示には色ズレ
や滲み等があり鮮明なフルカラー表示はできなかった。
【0068】[比較例2]実施例1のp−tert−ブ
チルフェノールを49.4部使用する以外は実施例1と
同様にして20%のポリカーボネート溶液(ポリマー収
率98%)を得た。このものの極限粘度は1.133と
高く、溶液粘度が高く、キャスティング製膜性が悪く、
良好なフィルムは得られなかった。
【0069】
【発明の効果】本発明のポリカーボネート樹脂フィルム
は、色相、透明性、耐熱性に優れ、延伸フィルム特性が
良好であり、殊にプラセル基板、位相差フィルム等の液
晶ディスプレー用のフィルムとして使用すると、視野角
が広く、無彩色表示の色調が鮮明となり、これらの用途
に好適に用いられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA50 AA88 AF30 AF45 AG34 AH12 AH19 BB02 BB07 BC01 BC12 4J029 AA09 AC02 AD01 AE03 BB04A BB05A BB12A BB13A BB13B BB15A BB15B BD09A BD09B HC01 HC05A

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 全芳香族ジヒドロキシ成分の5〜95モ
    ル%が9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェ
    ニル)フルオレン、95〜5モル%が下記一般式[1] 【化1】 [式中、R1〜R4は夫々独立して水素原子、炭素原子数
    1〜9の芳香族基を含んでもよい炭化水素基又はハロゲ
    ン原子であり、Wは単結合、炭素原子数1〜20の芳香
    族基を含んでもよい炭化水素基、O、S、SO、S
    2、CO又はCOO基である。]で表されるジヒドロ
    キシ成分からなり、塩化メチレン溶液での20℃におけ
    る極限粘度が0.35〜1.0の範囲のポリカーボネー
    ト共重合体より形成されるポリカーボネート樹脂フィル
    ムであって、該ポリカーボネート樹脂フィルムは、0.
    2mm厚みにおけるC光源で測定したb値が1.3以下
    であることを特徴とするポリカーボネート樹脂フィル
    ム。
  2. 【請求項2】 一般式[1]で表される化合物が、2,
    2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1
    −ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
    2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
    プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エ
    タン、α,α′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−m
    −ジイソプロピルベンゼンよりなる群から選ばれた少な
    くとも1種の化合物である請求項1記載のポリカーボネ
    ート樹脂フィルム。
  3. 【請求項3】 一般式[1]で表される化合物が、2,
    2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンである請
    求項1記載のポリカーボネート樹脂フィルム。
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