JP2000347170A - 液晶表示パネル用基板 - Google Patents

液晶表示パネル用基板

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JP2000347170A
JP2000347170A JP11162251A JP16225199A JP2000347170A JP 2000347170 A JP2000347170 A JP 2000347170A JP 11162251 A JP11162251 A JP 11162251A JP 16225199 A JP16225199 A JP 16225199A JP 2000347170 A JP2000347170 A JP 2000347170A
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JP
Japan
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liquid crystal
crystal display
display panel
formula
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JP11162251A
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English (en)
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Kazuo Hachiman
一雄 八幡
Takashi Kushida
尚 串田
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学特性に優れ、表示品位に優れた液晶表示
パネルを実現する耐熱性にすぐれた液晶表示パネル用基
板を提供する。 【解決手段】 例えば、3,3,5−トリメチル−1,1
−ジ(4−フェノール)シクロヘキシリデン(A)とビ
スフェノールAとをビスフェノール成分とする共重合ポ
リカーボネート樹脂であって、かつ該樹脂における
(A)の組成が30〜99モル%であるポリカーボネー
ト樹脂を基材とした液晶表示パネル用基板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示パネル用
基板に関するものであり、さらに詳しくは、特定のポリ
カーボネート樹脂からなる基材を用いることにより、光
学特性に優れ、表示品位に優れた液晶表示パネルを実現
する液晶表示パネル用基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年液晶表示素子にはより薄膜化、より
軽量化、より大型化、任意の形状化、曲面表示対応等高
度な要求がある。特にペイジャー(ポケベル)やセルラ
ー(携帯電話)、電子手帳、ペン入力機器等の携帯機器
利用の拡大につれて、従来のガラス基板に替わってプラ
スチックを基板とする液晶パネルが検討され、一部で実
用化され始めた。
【0003】プラスチック基板はガラス基板と比較して
軽量化、薄葉化の要望を満たし、液晶表示パネルの視認
性向上の効果を有しているが、光学特性の面においては
ガラス基板に劣るといわざるを得ない。ガラスは本質的
に光学等方的であるが、プラスチックの場合にはプラス
チック基板の成形時に生じる分子配向や残留歪みと樹脂
特有の光学弾性係数との相関から、レターデーションが
生じるといった問題がある。
【0004】液晶ディスプレイが表示機能は、偏光の光
スイッチングによる表示の可視化という原理に従ってい
る。従って基板として用いられるプラスチック基板に複
屈折性があると、表示の着色、コントラストの低下等著
しいディスプレイの表示品位の低下をもたらす事とな
る。
【0005】この欠点を改良するために樹脂の光学特性
を改良する方法および枚葉シートで注型重合する方法
(特開平5−323303号公報)等が検討されてき
た。
【0006】然るに従来の検討では特殊な樹脂材料を用
いたり、特別な生産条件を設定したり、枚葉で長時間成
形したりという著しく生産性を低下させる方法か、非常
に特殊な樹脂材料を用いるという方法のために、従来使
用されてきたガラス基板に対してコスト競争力のない改
良提案と言わざるを得なかった。
【0007】また一方で近年液晶ディスプレイの高精細
化が進むにつれ、加工時における耐熱性が要求されるよ
うになってきた。そのためプラスチック基板において
も、優れた光学的等方性と高いガラス転移温度(Tg)
を有するものが要求されるようになっている。特に耐熱
性に関しては、MIM型のアクティブマトリックス液晶
の作成やアモルファスシリコンのエキシマーレーザーア
ニールが180℃以上の温度で行えるようになりつつあ
り、より耐熱性の高い樹脂基板が要求されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、光学
特性に優れ、表示品位に優れた液晶表示パネルを実現す
る耐熱性にすぐれた液晶表示パネル用基板を提供するこ
とである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は鋭意検討を行
った結果、光学的異方性が小さく、寸法安定性ならびに
耐熱性を有する液晶表示パネル用基板を与えるポリカー
ボネートからなる基材を見出した。本発明の液晶表示パ
ネル用基板はガラス基板を用いた場合と同様の表示品位
を有するのみならず、ガラス基板以上の機械特性を有す
るものである。すなわち本発明は、下記式(1)
【0010】
【化7】
【0011】[上記式(1)において、R1〜R8はそれ
ぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6
の炭化水素基から選ばれ、Xは炭素数1〜15の炭化水
素基である。ただしR1〜R8が水素原子のときXはイソ
プロピリデン基ではない。]で表わされる繰り返し単位
からなり、極限粘度が0.15〜2.0dl/gである
芳香族ポリカーボネート樹脂を基材とした液晶表示パネ
ル用基板である。更には上記式(1)で示される繰り返
し単位と、下記式(2)
【0012】
【化8】
【0013】で表わされる繰り返し単位とからなる共重
合ポリカーボネート樹脂であって、かつ上記式(1)で
表わされる繰り返し単位が全体の30〜99モル%であ
り、極限粘度が0.15〜2.0dl/gである共重合
ポリカーボネート樹脂を基材とした液晶表示パネル用基
板である。
【0014】本発明の液晶表示パネル用基板は、上記式
(1)で示される繰り返し単位を有する芳香族ポリカー
ボネート樹脂からなる基材より構成される。上記式
(1)中、R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲ
ン原子及び炭素数1から6の炭化水素基から選ばれる。
ハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子
等が例示できる。炭素数1〜6の炭化水素基としてはメ
チル基、エチル基が例示できる。Xは炭素数1〜15の
炭化水素基である。かかる炭化水素基としてはプロピリ
デン基、1,1−シクロヘキシリデン基、3,3,5−ト
リメチル−1,1−シクロヘキシリデン基、9,9−フル
オリデン基を好ましく例示する事ができる。
【0015】但し、R1〜R8が水素原子であるとき、X
がイソプロピリデン基である、いわゆるビスフェノール
A型ポリカーボネートは除外する。
【0016】この様な液晶表示パネル用基板の基材とし
ては、例えばフルオレン−9,9−ジ(4−フェノー
ル)型ポリカーボネート、フルオレン−9,9−ジ(3
−メチル−4−フェノール)型ポリカーボネート、3,
3',5,5'−テトラメチルビスフェノールA型ポリカー
ボネート、3,3,5−トリメチル−1,1−ジ(4−フ
ェノール)シクロヘキシリデン型ポリカーボネートを挙
げることができる。
【0017】上記芳香族ポリカーボネート樹脂は、上記
式(1)で表わされる繰り返し単位からなるポリカーボ
ネートと、上記式(2)で表わされる繰り返し単位を有
するいわゆるビスフェノールA型ポリカーボネートとの
共重合体であっても良い。共重合成分としてはフルオレ
ン−9,9−ジ(4−フェノール)、フルオレン−9,9
−ジ(3−メチル−4−フェノール)(ともに下記式
(4)に相当)、3,3',5,5'−テトラメチルビスフ
ェノールA(下記式(3)に相当)、3,3,5−トリメ
チル−1,1−ジ(4−フェノール)シクロヘキシリデ
ン(下記式(5)に相当)が好ましい。
【0018】
【化9】
【0019】[上記式(3)において、R1〜R8はそれ
ぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6
の炭化水素基である。ただしR1〜R8は同時に水素原子
ではない。]
【0020】
【化10】
【0021】[上記式(4)において、R1〜R8はそれ
ぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6
の炭化水素基である。]
【0022】
【化11】
【0023】[上記式(5)において、R1〜R8はそれ
ぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜6
の炭化水素基である。]その場合、上記式(1)で示さ
れる繰り返し単位の割合は繰り返し単位全体に対し好ま
しくは30〜99モル%、より好ましくは30〜75モ
ル%である。30モル%より少ない場合は耐熱性が不十
分となる場合がある。
【0024】本発明の液晶表示パネル用基板の基材とし
て用いるポリカーボネート樹脂の重合度は、ウベローデ
型粘度計を用い、塩化メチレン溶媒、20℃で測定し外
挿して求めた極限粘度 [η]の値で0.15〜2.0d
l/gであることが好ましい。[η]が0.15dl/g
より低い場合は、十分な強度を有するフィルムもしくは
シート状成型物を得ることができないことがある。また
2.0dl/gより大きい場合は、成型が困難になる場
合がある。より好ましい極限粘度 [η]は1.0を越え
2.0dl/g以下である。
【0025】また、上記極限粘度の範囲を超えるポリカ
ーボネート樹脂を、範囲内のポリカーボネート樹脂と混
合することで、好ましい範囲に持っていくことも可能で
ある。
【0026】上記ポリカーボネート樹脂の重合方法は特
に限定するものではないが、通常の界面重合法、溶融重
合法等を挙げることができる。
【0027】本発明の液晶表示パネル用基板を構成する
基材の厚みは50〜700μmが好ましい。50μmよ
り薄い場合は基材の作製プロセスにおいてハンドリング
が困難となるといった問題がある。700μmより厚い
場合は、軽量であるという樹脂基材の特徴が失われるの
みならず、視差が大きくなることによる表示品位の低下
が生じ好ましくない。基材の厚みはより好ましくは70
〜500μmである。
【0028】また厚みムラは、液晶セルのセルギャップ
のムラに直接影響するため±5%以下であることが好ま
しい。さらにはレターデイションは遅相軸と進相軸の屈
折率差Δnと基材の厚さdの積Δn・dで表わされるた
め、厚みムラの少ない基材はレターデイションのバラツ
キも小さくなる。従って厚みムラはより好ましくは±
2.5%以下である。
【0029】上記基材は優れた耐熱性を有し、ガラス転
移温度は160℃以上が望ましい。160℃未満の場
合、配向膜形成プロセスや電極形成プロセスにおいて、
制限が生じる可能性がある。更にはMIM素子形成に耐
えるため、ガラス転移温度は180℃以上であることが
好ましい。
【0030】基材のレターデイション値は好適には20
nm以下である。20nmより大きい場合は表示の着
色、反転等が生じ表示品位の低下が起きる。レターデイ
ションの値はより好ましくは10nm以下、更に好まし
くは5nm以下である。
【0031】またSTN等の大型パネルでドットマトリッ
クス駆動を行う場合には、分子配向軸の方向を示す最大
屈折率方向つまり遅相軸のバラツキが少ないことが望ま
れる。通常±15度以下が好ましく用いられるが、精細
な表示を行う場合には、±10度以下が好ましく用いら
れる。STN大型パネルでマルチカラー等の表示を色再現
良く実現するためには、レターデイション値で10nm
以下、遅相軸の角度バラツキが±7.5度以下である事
が特に好ましい。
【0032】さらに基材のヘイズの値は1%以下が好ま
しい。ヘイズが大きい場合には表示品位の低下を招く場
合が多い。したがってヘイズの値はより好ましくは0.
5%以下である。
【0033】上記基材の製造方法については特に限定す
るものではないが、上記ポリカーボネート樹脂を通常の
押し出し成形法、溶液キャスト法等により得る方法を例
示することができる。溶液キャスト法のほうがレターデ
イションの低減といった点では有利であるが、分子配向
を低減させる十分な方策を取りうる場合は、生産性の点
で押し出し成形法の方が好ましい。
【0034】本発明におけるポリカーボネート樹脂は、
通常のビスフェノールAのみからなるポリカーボネート
と比較して、塩化メチレン等の溶媒に高濃度で溶解可能
であり、その溶液安定性も優れている。そのため、溶液
キャスト法にて基材を得る場合、特に厚みが厚いものを
得る場合、通常のビスフェノールAのみからなるポリカ
ーボネート対比、生産性に優れている。
【0035】本発明の液晶表示パネル用基板は液晶表示
素子の長期信頼性を確保するために、上記ポリカーボネ
ート樹脂からなる基材の少なくとも片面に、酸素と水分
の侵入を防御するガスバリア層、ハードコート等の架橋
構造を有する耐溶剤層、または透明導電層を積層したも
の等を配置することができる。
【0036】例えば湿式のコーティング法でガスバリア
層を形成する場合には、バリア材料としてはポリビニル
アルコール、ポリビニルアルコール−エチレン共重合体
等のポリビニルアルコール系重合体、ポリアクリロニト
リル、ポリアクリロニトリル−スチレン共重合体等のポ
リアクリロニトリル系重合体、あるいはポリビニリデン
クロリド等の公知のコーティング材料を用いる事ができ
る。
【0037】コーティング法に関しても特に制限はない
が、リバースロールコーティング法、グラビアロールコ
ーティング法あるいはダイコーティング法等の公知の方
法を用いる事ができる。また、基板あるいは基材表面と
の接着性、濡れ性等が不良の場合には、適宜プライマー
処理等の易接着処理を行う事もできる。
【0038】またスパッタリングあるいは真空蒸着等の
ドライプロセスでガスバリア層を形成する場合には、公
知のバリア材であるSi、Al、Ti、MgおよびZr等から選ば
れた少なくとも1種の金属あるいは2種以上の金属混合
物の酸化物、窒化物あるいは酸窒化物の薄膜を、公知の
方法で形成する事ができる。
【0039】これらのガスバリア層の膜厚は、目的とす
る性能が発現できる厚さに設定すれば良い。なおドライ
/湿式、ドライ/ドライおよび湿式/湿式等の2種以上
の層を適宜組み合わせて積層しても良い。
【0040】また耐溶剤性を付与する耐溶剤性層は、公
知の材料例えばシリコン樹脂系の架橋構造を有する樹脂
構成体、アクリル系樹脂の架橋構造体およびエポキシ系
樹脂の架橋構造体等を公知の塗工法および硬化法を用い
る事により形成可能である。ここで耐溶剤性は液晶パネ
ル組み立て時の溶剤や化学薬品に対する耐久性を付与す
る事が目的であり、耐アルカリ性、耐酸性およびN−メ
チルピロリドン等の有機溶剤に対する安定性を十分に確
保できる材料と硬化条件を選定する事が好ましい。
【0041】ガスバリア層および耐溶剤層を相互に積層
させる場合には、各層間の接着性を向上させる目的で適
宜プライマー層を設ける事ができる。プライマー層とし
てはシランカップリング剤等を含むシリコン系材料、ア
クリル系材料、アクリル−ウレタン系材料あるいはアル
コキシチタン等を含む材料を、グラビアあるいはマイク
ログラビアコーティング等の方法で塗工、乾燥を行い適
宜設けることができる。
【0042】ところで液晶表示パネル用基板として用い
るためには、例えば上記ガスバリア層あるいは耐溶剤層
などの加工が施された基材の少なくとも片面に透明導電
膜からなる層を形成させてもよい。透明導電膜として
は、透明性、導電性および信頼性等の点でガラス基板で
も使用されている公知の電極材料を用いることができ
る。かかる電極材料としては例えばインジウム−スズ酸
化物、フッ素ドープスズ酸化物、カドミウム−スズ酸化
物、バナジウム酸化物、アルミニウム−亜鉛酸化物系材
料等をあげることができる。好ましくはインジウム−ス
ズ酸化物である。また必要に応じて添加物を添加する事
も可能である。例えばインジウム−スズ酸化物に対して
酸化亜鉛を添加する場合、インジウム酸化物に対して酸
化亜鉛を添加する場合等を例示する事ができる。
【0043】インジウム−スズ酸化物の透明導電膜はス
パッタリング法、真空蒸着法およびイオンプレーティン
グ法等公知の方法で形成する事ができる。またインジウ
ム−スズ酸化物層と下地になる材料との接着性を向上さ
せる目的で、上記プライマー層を適宜選択して下塗りす
る事も可能である。
【0044】本発明の液晶表示パネル用基板の厚みは5
0〜700μmが好ましい。50μmより薄い場合は基
板の作製プロセスにおいてハンドリングが困難となると
いった問題がある。700μmより厚い場合は、軽量で
あるという樹脂基材の特徴が失われるのみならず、視差
が大きくなることによる表示品位の低下が生じ好ましく
ない。基板の厚みはより好ましくは70〜500μmで
ある。
【0045】
【発明の効果】本発明の液晶表示パネル用基板は、耐熱
性が高くかつ十分な光学特性と機械特性を有する。従っ
て樹脂基板の特徴を生かしつつ液晶ディスプレイの高精
細化の要求に対応可能であり、ガラス基板代替として有
用である。
【0046】本発明の液晶表示パネル用基板は、液晶表
示装置はもちろんの事、その他の感光体用光電極、面発
熱体、有機EL用電極等ディスプレイ用途の電極材料と
して利用できる。またELディスプレイ、エレクトロク
ロミックディスプレイ、電気泳動ディスプレイ等透明導
電性基板を必要とするすべてのディスプレイ基板に用い
る事ができる。
【0047】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明を詳しく説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。ポリカー
ボネート樹脂の極限粘度 [η]は、ウベローデ型粘度計
を用い、塩化メチレン溶媒、20℃で測定し外挿して求
めた。なお以下の各実施例、比較例の各種評価は、下記
の要領で行った。
【0048】<耐有機溶剤性>液晶配向膜前駆体の溶剤
として代表的なN−メチルピロリドン(NMP)を耐溶
剤層の形成されたサンプル面に数滴滴下し、85℃で5
分間放置後、その表面の白濁、膨潤、溶解等の変化を目
視にて観察する事によって行い、変化が観測されない場
合に耐有機溶剤性を有すると評価した。
【0049】<耐アルカリ性>パターニング後のレジス
トを溶解する際に用いられる3.5wt%水酸化ナトリ
ウム水溶液にサンプルを30℃で10分浸漬し、その後
流水にて十分洗浄を行った後に乾燥させ、その表面の外
観を目視にて観察した。その際、変化が見られない場合
に耐アルカリ水溶液性を有すると判断した。
【0050】<耐酸性>透明導電層をパターニングする
際に用いるエッチング液(35wt%塩化第二鉄水溶
液、35wt%塩酸、水を1:1:10の割合で混合し
たもの)に30℃で10分間浸漬し、その後流水にて十
分洗浄を行った後に乾燥させ、その表面の外観を目視に
て観察した。その際、変化が見られない場合に耐酸性を
有すると判断した。そして以上の耐有機溶剤性、耐アル
カリ性、耐酸性のすべてを有した場合に耐溶剤性を有す
るとした。
【0051】<ガスバリア性>酸素透過度と水蒸気透過
度を測定する事によって行った。酸素透過度はMOCO
N社製オキシトラン2/20MLを用い、30℃、50
%RHの低湿度環境下と30℃、90%RHの高湿度環
境下で測定した。また水蒸気透過度はMOCON社製パ
ーマトランW1Aを用い、透明導電層を設ける面と反対
面を加湿側に向けて配置し、40℃、90%RHの加湿
下で測定した。
【0052】<レターデイション>レターデイションは
日本分光(株)製 M−150型エリプソメータを用い
て590nmで測定した。
【0053】[実施例1]3,3',5,5'−テトラメチル
ビスフェノールA 284重量部とDPC 225重量部
をビスフェノールAのナトリウム塩 0.2重量部を触媒と
して、窒素気流下、200〜280℃で脱フェノール反
応で重合し、3,3',5,5'−テトラメチルビスフェノ
ールAのホモポリマーを得た。[η]=0.55dl/g
であった。
【0054】この樹脂を塩化メチレンに溶解して22重
量%の溶液を作成した。作成した溶液をダイコーティン
グ法によりポリエステルフィルム上に流延した後、乾燥
を行った。得られた基材の物性を表1にまとめる。
【0055】この基材に耐溶剤性層を両面に形成した。
耐溶剤性層を形成するための塗液としては共栄社化学
(株)製 ライトアクリレート DCP−Aを50重量部、1
−メトキシ−2−プロパノール50重量部、チバガイギ
ー製 イルガキュアー184を3.5重量部、および東
レ−ダウコーニング社製 SH28PAを0.02重量部を混合
したものを用いた。
【0056】この塗液をバーコーターを用いてコーティ
ングし、60℃で1分間加熱して塗膜中の残留溶媒を揮
発除去した後、160W/cmの高圧水銀灯を用いて、
積算光量700mJ/cm2の条件で紫外線を照射して塗
膜の硬化を行い、厚さ4.5μmの耐溶剤性層を形成し
た。
【0057】更に上記の両面に耐溶剤性層を形成した積
層基板の片面にガスバリア層としてSiOx層をスパッタリ
ングにより形成した。連続スパッタ装置に基板をセット
し1.3mPaまで排気した後、Ar/O2=70/30
の混合ガスを導入して雰囲気圧力を0.22Paにし
た。スパッタリングターゲットとしてシリコンを用い
て、投入電力密度1W/cm2、基板温度は室温でDC
スパッタリングを行ない、膜厚が30nmのSiOx層を形
成した。
【0058】更に上記ガスバリア層と逆面に透明導電薄
膜であるインジウム−スズ酸化物薄膜層をスパッタリン
グにより形成した。そのためのスパッタリングターゲッ
トとしてはインジウム−スズ酸化物ターゲット(モル比
はインジウム/スズ=90/10、充填密度は95%)
を用いた。連続スパッタ装置にフィルムをセットし、
1.3mPaの圧力まで排気した後、Ar/O2=98.
5/1.5の混合ガスを導入して雰囲気圧力を0.27P
aにした。そして基板温度を60℃に設定し、投入電力
密度1W/cm2でDCスパッタリングを行った。その
結果得られた透明導電膜は、膜厚が30nmであり、表
面抵抗が250Ω/sq.であった。
【0059】この液晶表示パネル用基板のガスバリア
性、水蒸気バリア性、耐溶剤性試験の結果を表2にまと
める。
【0060】また140℃で2時間の熱処理を行った
が、カール変化(反りの変化)および外観変化は生じな
かった。
【0061】次に液晶表示用パネル基板から7cm角の
試料を2枚切り出した。そして2枚の試料それぞれに、
配向剤として低温硬化型ポリイミドである日立化成製 S
TX-24をN−メチルピロリドンの希釈溶解して、スピン
コートした。続いてこれを140℃で2時間硬化させ、
ラビングマシンにてポリエステル系のラビングロールで
15回ラビングした。その後スぺーサーとして積水ファ
インケミカル製 ミクロパールを散布した。然る後封止
剤としてチバガイギー製 アラルダイトをスクリーン印
刷した。
【0062】以上の加工を行った2枚の試料を、170
℃で2時間圧力をかけながら貼り合わせて硬化させ液晶
セルを作成した。この液晶セルのセルギャップは、キャ
パシタンス容量法で測定したところ6μmであった。
【0063】この液晶セルの開口部より、液晶材料とし
て旭電化製 キラコール6228を液晶注入装置を用い
て注入した。注入後、液晶材料の液晶相転移温度まで加
熱し、その後室温まで徐冷して配向を完了した。配向は
基板を180度配向で貼り合わせた事で180度のSTN
配向をしている事を確認した。
【0064】この結果得られたセルは、色調が均一であ
るとともに、1.8Vの印加電圧でON応答は60ms
ec以下、OFF応答は25msec以下であるSTN
液晶セルの応答を示す事を確認した。
【0065】[実施例2]水酸化ナトリウム水溶液に、
フルオレン−9,9−ジ(4−フェノール) 35g及び
ビスフェノールA 22.8gを仕込み、少量のハイド
ロサルファイトを加え、続いて塩化メチレンを加えて、
20℃でホスゲンを約60分かけて吹き込んだ後、さら
に、p−tert−ブチルフェノールを加えて乳化後、
トリエチルアミンを加えて30℃で約3時間攪拌させて
作成した。得られた共重合ポリカーボネートの極限粘度
[η]は、1.1dl/gであった。
【0066】この樹脂を塩化メチレンに溶解して16重
量%の溶液を作成した。作成した溶液をダイコーティン
グ法によりポリエステルフィルム上に流延した後、乾燥
を行った。得られ基材の物性を表1にまとめる。
【0067】液晶表示用パネル基板の作成法は実施例1
と同様に行った。このパネルのガスバリア、水蒸気バリ
ア、耐溶剤性試験の結果を表2に示す。
【0068】この結果得られたセルは、色調が均一であ
るとともに、1.8Vの印加電圧でON応答は60ms
ec以下、OFF応答は25msec以下であるSTN
液晶セルの応答を示す事を確認した。
【0069】[実施例3]水酸化ナトリウム水溶液に、
フルオレン−9,9−ジ(3−メチル−4−フェノー
ル)37.8g及びビスフェノールA22.8gを仕込
み、少量のハイドロサルファイトを加え、続いて塩化メ
チレンを加えて、20℃でホスゲンを約60分かけて吹
き込んだ後、さらに、p−tert−ブチルフェノール
を加えて乳化後、トリエチルアミンを加えて30℃で約
3時間攪拌させて作成した。得られた共重合ポリカーボ
ネートの極限粘度[η]は、1.21dl/gであった。
【0070】この樹脂を塩化メチレンに溶解して14重
量%の溶液を作成した。作成した溶液をダイコーティン
グ法によりポリエステルフィルム上に流延した後、乾燥
を行った。得られた基材の物性を表1にまとめる。
【0071】液晶表示用パネル基板の作成法は実施例1
と同様に行った。このパネルのガスバリア、水蒸気バリ
ア、耐溶剤性試験の結果を表2に示す。
【0072】この結果得られたセルは、色調が均一であ
るとともに、1.8Vの印加電圧でON応答は60mse
c以下、OFF応答は25msec以下であるSTN液
晶セルの応答を示す事を確認した。
【0073】[実施例4]バイエル社製ポリカーボネー
ト樹脂 APEC-HT (3,3,5−トリメチル−1,1−ジ
(4−フェノール)シクロヘキシリデン/ビスフェノー
ルA=58/42(モル比)、[η]=0.45)を塩化
メチレンに溶解して27重量%の溶液を作成した。作成
した溶液をダイコーティング法によりポリエステルフィ
ルム上に流延した後、乾燥を行った。この基材の物性値
を表1にまとめる。
【0074】液晶表示用パネル基板の作成法は実施例1
と同様に行った。このパネルのガスバリア、水蒸気バリ
ア、耐溶剤性試験の結果を表2に示す。
【0075】この結果得られたセルは、色調が均一であ
るとともに、1.8Vの印加電圧でON応答は60ms
ec以下、OFF応答は25msec以下であるSTN
液晶セルの応答を示す事を確認した。
【0076】
【表1】
【0077】
【表2】
【0078】[比較例]ビスフェノール成分がビスフェ
ノールAのみからなるポリカーボネート樹脂([η]=
0.75dl/g)を、塩化メチレンに溶解して濃度2
0重量%の溶液を作成した。作成した溶液を温度20
℃、湿度60%RHの環境下でダイを使用した流延法に
より、研磨ステンレスベルト上にキャストした後、乾燥
を行った。この基材の物性値を上記表1に示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H090 JA07 JA09 JB03 JB13 JD11 JD15 LA01 4J029 AA09 AB01 AC02 AD01 AE04 BB12A BB12B BB13A BB13B BD09A BD09B BG08X BG17X HA01 HC01

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1) 【化1】 [上記式(1)において、R1〜R8はそれぞれ独立に水
    素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6の炭化水素基
    から選ばれ、Xは炭素数1〜15の炭化水素基である。
    ただしR1〜R8が水素原子のときXはイソプロピリデン
    基ではない。]で表わされる繰り返し単位からなり、極
    限粘度が0.15〜2.0dl/gである芳香族ポリカ
    ーボネート樹脂を基材とした液晶表示パネル用基板。
  2. 【請求項2】 上記式(1)で示される繰り返し単位
    と、下記式(2) 【化2】 で表わされる繰り返し単位とからなる共重合ポリカーボ
    ネート樹脂であって、かつ上記式(1)で表わされる繰
    り返し単位が全体の30〜99モル%であり、極限粘度
    が0.15〜2.0dl/gである共重合ポリカーボネ
    ート樹脂を基材とした液晶表示パネル用基板。
  3. 【請求項3】 下記式(3) 【化3】 [上記式(3)において、R1〜R8はそれぞれ独立に水
    素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6の炭化水素基
    である。ただしR1〜R8は同時に水素原子ではない。]
    で表わされる繰り返し単位からなり、極限粘度が0.1
    5〜2.0dl/gであるポリカーボネート樹脂を基材
    とした液晶表示パネル用基板。
  4. 【請求項4】 下記式(4) 【化4】 [上記式(4)において、R1〜R8はそれぞれ独立に水
    素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6の炭化水素基
    である。]で表わされる繰り返し単位と上記式(2)で
    示される繰り返し単位とからなる共重合ポリカーボネー
    ト樹脂であって、かつ上記式(4)で表わされる繰り返
    し単位が全体の30〜99モル%であり、極限粘度が
    0.15〜2.0dl/gである共重合ポリカーボネー
    ト樹脂を基材とした液晶表示パネル用基板。
  5. 【請求項5】 下記式(5) 【化5】 [上記式(5)において、R1〜R8はそれぞれ独立に水
    素原子、ハロゲン原子または炭素数1〜6の炭化水素基
    である。]で表わされる繰り返し単位と上記式(2)で
    表わされる繰り返し単位とからなる共重合ポリカーボネ
    ート樹脂であって、かつ上記式(5)で表わされる繰り
    返し単位が全体の30〜99モル%であり、極限粘度が
    0.15〜2.0dl/gである共重合ポリカーボネー
    ト樹脂を基材とした液晶表示パネル用基板。
  6. 【請求項6】 基材において、レターデーション値が2
    0nm以下であり、遅相軸のバラツキが±10度以下で
    あり、かつヘイズ値が1%以下である請求項1〜5のい
    ずれかに記載の液晶表示パネル用基板。
  7. 【請求項7】 基材の厚みが50〜700μmであり、
    かつ基材の厚みムラが±5%以下である請求項1〜6の
    いずれかに記載の液晶表示パネル用基板。
  8. 【請求項8】 基材のガラス転移温度が160℃以上で
    ある請求項1〜7のいずれかに記載の液晶表示パネル用
    基板。
  9. 【請求項9】 基材の少なくとも片面に透明導電層が配
    置されている請求項1〜8のいずれかに記載の液晶表示
    パネル用基板。
  10. 【請求項10】 基材の少なくとも片面にガスバリアー
    層、耐溶剤性層、および透明導電層が配置されている請
    求項1〜9のいずれかに記載の液晶表示パネル用基板。
  11. 【請求項11】 下記式(1) 【化6】 [上記式(1)において、R1〜R8はそれぞれ独立に水
    素原子、ハロゲン原子および炭素数1〜6の炭化水素基
    から選ばれ、Xは炭素数1〜15の炭化水素基である。
    ただしR1〜R8が水素原子のときXはイソプロピリデン
    基ではない。]で表わされる繰り返し単位からなり、極
    限粘度が0.15〜2.0dl/gである芳香族ポリカ
    ーボネート樹脂からなる、液晶表示パネル用基板として
    好適な基材。
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