JP3983366B2 - 透明導電性フィルム用基板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明導電性フィルム用基板に関し、さらに詳しくは透明性、光学等方性、ガスバリア性、可撓性、層間の密着性等が良好な透明導電性フィルム用基板に関するものである。かかる基板は液晶表示装置、光導電性感光体、面発光体、有機エレクトロルミネッセンス用などの透明基板として利用できるものである。
【0002】
【従来技術】
近年、ペイジャー、携帯電話、電子手帳、携帯情報端末等の携帯して移動できる情報機器が普及し始め、ビジネス或いはライフスタイルの変革期を迎えようとしている。
【0003】
これらの情報機器の携帯性を向上するため、より一層の薄型化・軽量化、耐破損性が求められている。従来、LCD、タッチパネルの透明電極用基板として、重く、厚く、割れやすいガラス基板が用いられて来たが、これに代わる材料として、透明樹脂基板が提案されている。しかし、透明樹脂基板は、耐久性、耐溶剤性、ガスバリアー性等の基本特性がガラス基板より劣っている。
【0004】
例えば、透明樹脂基板を、LCD用電極基板として利用しようとした場合、金属酸化物層を設けることにより、ガスバリアー性は付与される。しかし、透明電極パターニング後のレジスト剥離工程で、アルカリ水溶液にさらされるため金属酸化物層が溶解する問題や、液晶配向膜形成過程で、液晶配向膜の前駆材料をN−メチルピロリドン等の溶剤に溶解した塗工液をコーティングする際に、上記溶剤により透明樹脂基板が、白化、膨潤等の損傷を受ける問題があった。そこで、上記欠点を改善する目的で、耐薬品性、ガスバリアー性を持つ剤を透明樹脂基板上に積層するいくつかの提案がなされている。
【0005】
特公平5−52002号公報や特公平5−52003号公報には、高分子フィルムとポリビニルアルコールからなる酸素ガスバリアー層との接着性を改善し、さらには、水蒸気ガスバリアー性を有した透明基板が記載されている。
【0006】
しかし、これらは、ポリビニルアルコール系高分子が最外層に積層されているため、耐薬品性が不十分であり、液晶セル製作工程で不都合が生じてしまう。耐薬品性を持たせるために、上記透明基板においては、耐薬品性を有する層をさらに設ける必要がありコストが割高になる。
【0007】
特開平2−137922号公報や特開平5−309794号公報等には、透明高分子フィルムにアンカーコート層、そしてガスバリアー層としてエチレン−ビニルアルコール共重合体層、更に耐溶剤層として硬化性樹脂層を順次両面に積層した透明基板が記載されている。しかし、これらは、耐薬品性は満足するものの、ガスバリアー層の特性から高湿度でのガスバリアー性の低下の問題がある。更に、6層ものコーティングはコストが割高となる。
【0008】
さらに、液晶表示素子の透明基板においては、上記耐薬品性、ガスバリアー性に対する要求のほか、特性に関し、下記のような要求または問題がある。
【0009】
基板の透明性が低い場合や複屈折がある場合、表示の着色・コントラストの低下等の問題が生じる。
【0010】
また、平面性が低い場合、液晶層のギャップが均一でなくなる上、液晶配向にもムラが生じたり、基板自体も光学的なムラが発生するために、表示色にムラが生じる。
【0011】
また、機械的、熱的影響や溶剤に曝された時に、容易にこれらの平面性、透明性、ガスバリアー性が悪化してしまうのでは、軽薄、形状の自由、曲面表示という特徴を生かした実用性が低下し、ペイジャー、携帯電話、電子手帳、ペン入力機器などの外的影響が大きく作用する用途への適応は困難となってしまう。特に機械的影響に対して、この様な特性を維持するためには、特性発現のために積層された各層間の良好な密着性も要求される。
【0012】
さらには、この様な耐溶剤性を有するコーティング層を積層した透明樹脂基板に、大きなカールがある場合、あるいは例えば水洗や加熱等の処理中または処理後にカールが生じると、パネル製造時に工程トラブルを生じ生産性や歩留まりの低下を招くことになる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題を解決しようとするものであり、耐久性、耐薬品性、ガスバリアー性に優れ、しかも上記のような透明性、光学等方性、層間の密着性が良好でかつカールの問題のない透明導電性フィルム用基板を提供することを目的とし、さらに、表裏間の滑り性がよく、フィルム基板を巻き取る際に凹凸状変形などを生じず、後加工適性にも優れた透明導電性フィルムを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上述の目的は、以下の発明により達成される。
すなわち、本発明は、透明導電層を設けることにより透明導電性フィルムとする透明導電性フィルム用基板であって、該フィルム用基板は、透明高分子からなるフィルムまたはシート(S)、金属酸化物層(A)および収縮硬化性樹脂の硬化層(C)を含有し、(A)と(C)は(S)の同一面側にあり、透明導電層は(S)の(A)と反対面側に設置して用いられ、さらに10cm角の該フィルム用基板を
(1)常温下で水平な支持板上に、透明導電層を設ける面が下になるように置いたとき、該フィルム用基板の四隅の支持板からの高さの最大値が10mm以下であり、かつ、
(2)該透明高分子からなるフィルムまたはシートのTgよりも10℃低い温度に加熱した水平な支持板上に透明導電層を設ける面が上になるように置いたとき、該フィルム基板の四隅の支持板からの高さの最大値が10mm以下である、
ことを特徴とする透明導電性フィルム用基板である。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明における透明高分子からなるフィルムまたはシート(S)を構成する材料としては、透明性、耐熱性が良い透明高分子であれば特に限定しない。本発明の透明導電性フィルム用基板に導電層を設置して、LCDの電極基板として用いる場合やLCD電極基板と偏光板との間に設置されたタッチパネルの電極基板として用いる場合には、透明高分子からなるフィルムまたはシートは、公知の測定装置を用いて測定した波長590nmにおける複屈折の屈折率の差△nと膜厚dとの積△n・dで表されるリターデーション値が30nm以下、かつ、遅相軸のバラツキが±30度以内の光学等方性を有するもの、さらに好ましくはリターデーション値が20nm以下、かつ、遅相軸のバラツキが±15度以内の高度の光学等方性を有するものがよい。このような透明高分子からなるフィルムまたはシートとしては、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリルスルホン等のポリスルホン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、セルローストリアセテート等のアセテート系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、各種熱硬化樹脂等のフィルム又はシートであることが好ましい。なかでも、上記透明性、及び光学異方性が少ないという光学特性の観点から、ポリカーボネート系樹脂を主成分とするフィルムまたはシートがよりふさわしい。該フィルムまたはシートの厚さは0.05〜0.4mmの範囲が好ましい。厚さが0.05mmよりも小さいと充分な剛性がなくパネル加工時に変形しやすく取り扱いが難しい。また、0.4mmよりも大きいとカールは生じにくくなるが、ロール・ツー・ロール方式による透明導電層の形成において生産性が低下する。
【0016】
本発明における金属酸化物層(A)としては、珪素、アルミニウム、マグネシウムおよび亜鉛からなる群から選ばれる1種または2種以上の金属を主成分とする金属酸化物を挙げることができる。これらは、ガスバリア性に優れている材料として知られているものである。これら酸化物の層は例えばスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積膜形成法により作製することができる。
【0017】
この中でも、ガスバリア性、透明性、表面平滑性、屈曲性、膜応力、コスト等の点から珪素原子数に対する酸素原子数の割合が1.5〜2.0の珪素酸化物を主成分とする金属酸化物が良好である。
【0018】
珪素酸化物の珪素原子数に対する酸素原子数の割合は、X線光電子分光法、X線マイクロ分光法、オージェ電子分光法、ラザホード後方散乱法などにより分析、決定される。この割合が1.5よりも小さくなると屈曲性、透明性が低下することから、1.5〜2.0が好ましい。
【0019】
該金属酸化物層(A)の厚さとしては、5〜200nmの範囲が好ましい。5nmよりも薄くなると均一に膜を形成することは困難であり、膜が形成されない部分が発生し、この部分からガスが浸透し、ガスバリアー性が悪くなる。また、200nmよりも厚くなると透明性を欠くだけでなく、屈曲性が悪く、クラックが発生してガスバリアー性が損なわれることがある。また、金属酸化物層(A)の製膜方法により特性は異なるが、一般的に(A)の膜厚が大きくなるにつれて金属酸化物層の残留応力が大きくなるので、本発明の透明導電性フィルム用基板は、金属酸化物層形成後のカールが大きくなる。
【0020】
更により高い透明性の要求に対してはフッ化マグネシウムを全体の重量に対して5〜30重量%含有されている、上記の珪素酸化物が好ましい。
【0021】
次に本発明における硬化樹脂層(B)および硬化樹脂層(D)については、接着性が良好なもので、耐薬品性、耐屈曲性を有するものがよい。その際、工程上及び経済的な観点から、硬化樹脂層(B)と硬化樹脂層(D)は同種の樹脂が好ましいが、非対称性にした場合、例えば強いカール変形等が無ければ異なる材料を用いてもよい。硬化樹脂層(B)と硬化樹脂層(D)に同種の樹脂を用いる場合は、本発明の透明導電性フィルム用基板のカール変形を少なくする目的で(B)と(D)の膜厚をほぼ等しくすることが好ましい。
【0022】
この様な硬化樹脂層(B)および硬化樹脂層(D)を与える硬化性樹脂としては、例えば熱硬化性エポキシ樹脂、紫外線硬化性アクリル樹脂等の放射線硬化性樹脂、ビニルアルコール系ポリマーと、エポキシ基含有珪素化合物、アミノ基含有珪素化合物等の珪素含有化合物とを混合して加熱し架橋反応させて得られる熱硬化性珪素含有ビニルアルコール系樹脂を挙げることができる。
【0023】
熱硬化性エポキシ樹脂は耐溶剤性の観点からノボラック型のエポキシ樹脂が好ましい。かかる熱硬化性エポキシ樹脂を硬化させる硬化剤としては、公知の物が適用できる。例えば、アミン系、ポリアミノアミド系、酸及び酸無水物、イミダゾール、メルカプタン、フェノール樹脂等の硬化剤が用いられる。
【0024】
なかでも、耐溶剤性、光学特性、熱特性等より、酸無水物及び酸無水物構造を含むポリマーまたは脂肪族アミン類が好ましく用いられ、更に好ましくは酸無水物及ぶ酸無水物構造を含むポリマーである。
【0025】
さらに、反応速度を上げるために公知の第三アミン類やイミダゾール類等の硬化触媒を適量加えることが好ましい。
【0026】
放射線硬化性樹脂は、紫外線や電子線等の放射線を照射することにより硬化が進行する樹脂を指し、具体的には分子あるいは単体構造内にアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を含む樹脂のことである。これらの中でも特に反応性の面から、アクリロイル基を含むアクリル系樹脂が好ましい。該放射線硬化性樹脂は一種類の樹脂を用いても、数種の樹脂を混合して用いてもかまわないが、耐溶剤性の観点から分子あるいは単位構造内に2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレート成分を有するアクリル系樹脂を用いることが好ましい。こうした多官能アクリレート樹脂としては、例えばジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の各種アクリレートモノマーや、ポリエステル変性もしくはウレタン変性の多官能アクリレートオリゴマー等が挙げられるが、これらに限定されるのではない。
【0027】
この様な放射線硬化性樹脂として、特にアクリル系樹脂を用いた場合、更なる密着性、耐溶剤性を付与する目的で下記式(1)および/または(2)で表されるアルコキシシランの加水分解物を固形分の重量比率で75重量%以下となる範囲内になるように混合した、紫外線硬化性珪素含有アクリル系樹脂が好適である。
【0028】
【数1】
1−Si(OR23 (1)
Si(OR24 (2)
【0029】
上記式において、R1はメチル基、エチル基もしくはビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基、エポキシ基を含む有機基、R2はメチル基、エチル基、プロピル基を示す。該アルコキシシランの混合比率が75重量%を超えると逆に耐溶剤性、硬化性が低下する傾向がみられ好ましくない。
【0030】
特に、上記珪素含有アクリル系樹脂を、上記金属酸化物層(A)に接するようにして用いる場合には、上記アルコキシシランの加水分解物を5重量%以上混合することにより、(A)との密着性が優れ、ガスバリアー性がより向上するので好ましい。
【0031】
紫外線硬化法を用いる場合には、前述の放射線硬化性樹脂に公知の光反応開始剤を適量添加する。例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸のベンゾフェノン系化合物、チオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン等のチオキサン系化合物が挙げられる。また、より硬化性を向上するためには、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル等の公知の反応開始助剤を適量添加することも効果的である。
【0032】
熱硬化性珪素含有ビニルアルコール系樹脂は、ポリビニルアルコール系ポリマーと、珪素含有化合物とを含む硬化性樹脂を好ましく用いることができる。特に、この硬化樹脂層を上記(A)と接して用いる場合には、珪素含有化合物としてエポキシ基含有珪素化合物および/またはアミノ基含有珪素化合物を用いると、(A)との密着性が非常に優れるのでより好適である。
【0033】
ポリビニルアルコール系ポリマーは、公知の市販のものが適用でき、例えばビニルアルコール成分およびビニルアルコール共重合体成分よりなる群から選ばれた少なくとも1種を50モル%以上含有する高分子が適用される。なお、このビニルアルコール共重合体としては、例えばビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ビニルアルコールビニルブチラール共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、あるいは分子内にシリル基を有するポリビニルアルコール系高分子等が挙げられる。
【0034】
また、耐薬品性、密着性の点から、ケン化度80%以上のポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、分子内にシリル基を有するポリビニルアルコール系高分子が好ましく、更に好ましくはエチレン−ビニルアルコール共重合体である。
【0035】
エポキシ基含有珪素化合物はエポキシ基及びアルコキシシリル基を有する珪素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、及びこれらの混合物からなる群から選ばれ、例えば下記式(3)で表される。
【0036】
【数2】
X−R3−Si(R4n(OR53-n (3)
【0037】
ここで、R3は炭素数1〜4のアルキレン基、R4及びR5は炭素数1〜4のアルキル基、Xはグリシドキシ基またはエポキシシクロヘキシル基であり、nは0または1である。
【0038】
特に好ましいエポキシ基含有珪素化合物としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランである。これらの化合物は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0039】
アミノ基含有珪素化合物はアミノ基及びアルコキシシリル基を有する珪素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、及びこれらの混合物からなる群から選ばれ、例えば下記式(4)で表される。
【0040】
【数3】
Y−HN−R6−Si(R7m(OR83-m (4)
【0041】
ここで、R6は炭素数1〜4のアルキレン基、R7及びR8は炭素数1〜4のアルキル基、Yは水素原子またはアミノアルキル基であり、mは0または1である。
【0042】
この中で特に好ましいアミノ基含有珪素化合物は3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、 N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランである。これらの化合物は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0043】
なお、本発明におけるエポキシ基含有珪素化合物ならびにアミノ基含有珪素化合物の(部分)加水分解物及びその(部分)縮合物は、上述のエポキシ基含有珪素化合物ならびにアミノ基含有珪素化合物の一部または全部が加水分解したもの、該加水分解物の一部又は全部が縮合反応した縮合物、及び該縮合物と加水分解していない原料のエポキシ基含有珪素化合物ならびにアミノ基含有珪素化合物とが縮合したものであり、これらはいわゆるゾルゲル反応させることにより得られるものである。
【0044】
エポキシ基含有珪素化合物とアミノ基含有珪素化合物の混合比率は、エポキシ基モル当量換算量A、アミノ基モル当量換算量Bの比率で1/6<A/B<6/1の範囲内が好ましく、更に好ましくは1/4<A/B<4/1である。混合比がこの範囲から外れる場合、密着性、耐熱性、耐溶剤性、耐水性、耐久性が低下する。この様なエポキシ基含有珪素化合物とアミノ基含有珪素化合物の混合物をポリビニルアルコール系ポリマーに混合するに際し、硬化後の固形分の重量比率で20〜90重量%となるように混合する。20重量部よりも少ない場合、耐水性、耐薬品性に劣り、90重量%よりも多い場合、ガスバリア性が低下する。
【0045】
本発明における収縮硬化性樹脂の硬化層(C)は、熱または放射線硬化樹脂からなり、透明高分子からなる上記フィルムまたはシート(S)上に積層した際に硬化収縮によりかかるフィルムまたはシートを凹にカールさせるものである。したがって、前述の金属酸化物層(A)をかかるフィルムまたはシート上に設ける際に生じる金属酸化物積層面の凸状のカールは、かかる透明高分子からなるフィルムまたはシート(S)上の(A)を積層する面側と同じ面側に積層することによって矯正し、フラットな透明導電性フィルム用基板とすることができる。該収縮硬化性樹脂の硬化層(C)のカールの程度は使用する樹脂の硬化収縮率と膜厚により変わり、(A)により生じるカールの大きさにより調整して用いることができる。すなわち、常温下で10cm角の大きさの本発明の透明導電性フィルム用基板を水平な支持板上に金属酸化物層(A)を積層した面が上になるように置いたときに、該フィルム用基板の四隅の支持板からの高さの最大値が0mm〜10mmの範囲になるように調整して用いればよい。
【0046】
このような収縮硬化性樹脂の硬化層(C)を与える収縮硬化性樹脂としては、適度な硬化収縮性、耐薬品性、透明性、良好な密着性を有する必要があり、例えば、ポリシロキサン系熱硬化樹脂やメラミン系熱硬化樹脂、多官能アクリレート系紫外線硬化樹脂等が挙げられる。特に、硬化樹脂層として前述の放射線硬化性樹脂、あるいは、熱硬化性珪素含有ポリビニルアルコール系樹脂を用い、該硬化樹脂層に収縮硬化性樹脂の硬化層(C)が接する場合は、密着性の点で収縮硬化性樹脂としてポリシロキサン系熱硬化性樹脂を用いるのが好ましい。
【0047】
上述の金属酸化物層(A)及び硬化樹脂層(B)、収縮硬化性樹脂の硬化層(C)ならびに硬化樹脂層(D)は、透明高分子からなるフィルムまたはシートを(S)としたときに、(D)/(S)/(A)/(B)/(C)、(D)/(S)/(A)/(C)/(B)、(D)/(S)/(B)/(A)/(C)、(D)/(S)/(B)/(C)/(A)、(D)/(S)/(C)/(A)/(B)、(D)/(S)/(C)/(B)/(A)の順で積層することが、カールの点で好ましく、さらにこれらのうち、(A)と(B)が接するようにして積層するものが、ガスバリア性がいっそう向上するので好ましい。
【0048】
本発明の透明導電性フィルム用基板の上記(S)の(A)と反対面側に透明導電層を設けることにより透明導電性フィルムが得られる。ここで、透明導電層としては、公知の金属膜、金属酸化物膜等が適用できるが、中でも、透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましい。例えば、不純物としてスズ、テルル、カドミウム、モリブテン、タングステン、フッ素等を添加した酸化インジウム、酸化カドミウム及び酸化スズ、不純物としてアルミニウムを添加した酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物膜が挙げられる。中でも酸化スズを2〜15重量%含有した酸化インジウム(ITO)の薄膜が、透明性、導電性が優れており、好ましく用いられる。
【0049】
上述のような積層順の透明導電性フィルム用基板は、10cm角の該フィルムを、常温下で水平な支持板上に透明導電層を設ける面が下になるように置いたとき、該フィルム用基板の四隅の支持板からの高さの最大値が10mm以下の範囲にあり、かつ、該透明高分子からなるフィルムまたはシートのTgよりも10℃低い温度に加熱した水平な支持板上に透明導電層を設ける面が上になるように置いたときに、該フィルム用基板の四隅の支持板からの高さの最大値が10mm以下になる。支持板からの高さの最大値が10mmよりも大きくなると、透明導電性フィルムを製造する際のパネル化工程で、具体的にはレジスト塗布時にスピナーヘッドまたはロールコータ基台に吸着することができなくなったり、さらに、洗浄時や乾燥時に基板ホルダーやキャリヤーに容易に収納できない等の種々の不具合が発生して、パネル製造が非常に困難になってしまう。
【0050】
本発明においては、上記金属酸化物層(A)、硬化樹脂層(B)、収縮硬化性樹脂の硬化層(C)、および硬化樹脂層(D)を形成する際に、密着性を更に向上させるために活性化処理や、下地層の積層を行っても良い。表面活性化処理としては例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理等がある。また、下地層としては例えば親水基を有するポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂硬化物、フェノキシ樹脂硬化物、及びイオン性高分子錯体等がある。
【0051】
さらに、本発明の透明導電性フィルム用基板を巻き取る際にフィルム間の接触面積を低減させて滑り性を付与するための目的で、透明導電層を積層する面と反対の面の最外層に微粒子を含有させることができる。ここで、微粒子としては比較的透明性を損なうことが少ないという点で、例えば酸化珪素、酸化チタン、タルク、カオリナイト、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ナイロン系樹脂などの粒子が挙げられる。これらの微粒子の平均粒子径は0.5〜5μmの範囲が好ましい。平均粒子径が0.5μm未満では滑り性が不足し、5μmよろも大きいと滑り性は良好であるが、光学特性が悪化する。
【0052】
このように微粒子を含有する層の表面粗さは、滑り性の点から、中心面平均粗さ(SRa)で5〜20nmの範囲が好ましい。5nm未満では滑り性が不十分で、20nmよりも大きいとロールに巻いた際に、微粒子を含有する面と反対の面に転写痕が生じる場合がある。ここで、中心面平均粗さ( SRa )とは、JIS B 0601の中心線平均粗さ(Ra)を、3次元に拡張したものであり、次のように定義する。まず粗さ曲面から、その中心面上に面積Smの部分を抜き取る。そしてこの抜き取り部分の中心面上に、直交座標軸として、X軸とY軸を置く。さらに中心面に直交する軸をZ軸とし、粗さ曲面をz=f(x,y)で表す。そしてこのときに、次の式によって求められる値SRa(μm)を、中心面平均粗さと呼ぶ。但し、Lx・Ly=Smである。
【0053】
【数4】
Figure 0003983366
【0054】
上述の硬化樹脂層(B)、収縮硬化性樹脂の硬化層(C)、硬化樹脂層(D)は、これらを与えるコーティング組成物を、透明高分子からなるフィルムまたはシート(S)上の最表面に湿式塗工することにより形成される。塗工方法としては、例えばリバースロールコート法、マイクログラビアコート法、ダイレクトグラビアコート法、キスコート法、ダイコート法等の公知の方法が用いられる。また、適当な有機溶媒で樹脂組成物の希釈を行うことにより、塗液粘度の調製や層の膜厚調製が可能である。
【0055】
【発明の効果】
本発明によれば、透明性、光学等方性、平滑性、耐久性、耐溶剤性に優れ、環境によるガスバリア性の変化が少なく、可撓性、層間の密着性が良好である。そして、なによりカールの問題がない、特に透明高分子からなるフィルムまたはシートのガラス転移温度(Tg)よりも10℃低いという非常に高い温度に加熱しても、極めてカールしにくく平面性が良好な透明導電性フィルム用基板を提供することができる。このフィルム用基板は表裏間の滑り性がよく後加工適性にも優れており、例えば液晶表示装置、光導電性感光体、面発光体、有機エレクトロルミネッセンス用などの透明基板として極めて有用である。
【0056】
【実施例】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、かかる実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、部および%は、特に断らない限り重量基準である。また、実施例中における各種の測定は、下記のとおり行った。
【0057】
透明性:通常の分光光度計を用い波長550nmの平行光線の光線透過率を測定した。また、日本電色製COH−300Aを用いてヘイズ値(△H%)を測定した。
【0058】
光学等方性:日本分光製の多波長複屈折率測定装置M−150を用い、波長590nmの光に対するリタデーション値を測定した。
【0059】
平面粗さ:増幅支持装置:SE3CK、解析装置:SPA−11(小坂研究所製)を用い、収縮性硬化樹脂層の中心面平均粗さSRaを測定した。
【0060】
耐アルカリ性:25℃の3.0%NaOH水溶液に10分間浸漬し、流水にて十分洗浄を行った後、乾燥させ、外観を目視して観察した。
【0061】
耐NMP性:80℃のNMPに1分間浸清後、水洗し外観変化をみた。
【0062】
滑り性:幅50cm、長さ50mのフィルムを5kgfの張力で巻き取り、凹凸状変形発生の有無をみた。
【0063】
カール▲1▼:10cm角のフィルムを、25℃50%RHの環境下で、25℃の水平な支持板上にフィルム用基板の透明導電層を設ける面が下になるように置き、該フィルムの四隅の支持板からの高さの最大値を測定した。
【0064】
カール▲2▼:10cm角のフィルム用基板を、使用している透明高分子のフィルムまたはシートのガラス転移温度(Tg)よりも10℃低い温度に加熱した水平な支持板上に該フィルムまたはシートの透明導電層を設ける面が上になるように置き、該フィルムまたはシートの四隅の支持板からの高さの最大値を測定した。
【0065】
[実施例1]
ビスフェノール成分がビスフェノールAのみからなる平均分子量37,000のポリカーボネート樹脂を、メチレンクロライドに20重量%溶解した。そしてこの溶液をダイコーティング法により厚さ175μmのポリエステルフィルム上に流延した。次いで、乾燥炉で残留溶媒濃度を13重量%とし、ポリエステルフィルムから剥離した。そして、このポリカーボネートフィルムを温度120℃の乾燥炉中で、縦横の張力をバランスさせながら、残留溶媒濃度が0.08重量%になるまで乾燥した。
【0066】
こうして得られたポリカーボネートフィルムは、厚みが102μmで、DSCにより測定したTgが150℃であった。
【0067】
ついで、このポリカーボネートフィルムの一方の面上に、10重量%のフッ化マグネシウムを添加した珪素酸化物を蒸着源とし、真空度67mPa下で真空蒸着する事によって、厚さ100nmのフッ化マグネシウム含有酸化珪素層を積層した。この珪素酸化物はSiOxの平均組成でxはおよそ1.7であった。
【0068】
引き続いてこのフッ化マグネシウム含有酸化珪素層の表面に、100W・min/m2の積算エネルギーでコロナ放電処理を行った後に、以下のような保護層を積層した。
【0069】
容器外部が水冷された攪拌容器内にビニルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製KBM1003)148重量部を入れ、激しく攪拌を行いながら0.01規定の塩酸水54部を徐々に添加し、更に3時間ゆっくりと攪拌を行うことにより、ビニルトリメトキシシランの加水分解液を得た。次いで下記式で示されるポリエステル変性アクリル系樹脂を50重量部、
【0070】
【化1】
Figure 0003983366
【0071】
前述のビニルトリメトキシシランの加水分解物を50重量部、未加水分解のビニルトリメトキシシラン10重量部および光開始剤2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製ダロキュア−1173)5重量部及びレベリング剤としてシリコンオイル(東レ・ダウコーニングシリコーン社製SH28PA)0.02重量部を混合して塗液(イ)とした。
【0072】
この塗液(イ)をコロナ放電処理をしたフッ化マグネシウム含有酸化珪素上にマイクログラビアロールコーティング法を用いてコーティングし、60℃で1分間加熱して塗膜中の残留溶媒を排気除去した後、120W/cmの高圧水銀灯を用いて、積算光量800mJ/cm2の条件で紫外線を照射して塗膜の硬化を行い、厚さ4μmの硬化樹脂層を形成した。
【0073】
次に反対側のフィルム面にも50W・min/m2の積算エネルギーでコロナ放電処理を行った後に、フッ化マグネシウム含有酸化珪素層上に積層した硬化樹脂層と同一の硬化樹脂層を設けた。
【0074】
次いでこの積層フィルムのフッ化マグネシウム含有酸化珪素層上に設けた硬化樹脂層上に収縮性硬化樹脂層としてポリシロキサン系熱硬化樹脂コーティング液(日本精化製NSC−3456−1)100重量部に平均粒子径2μmのシリカ粉体を0.04重量部添加した塗液(ロ)をマイクログラビアロールコーティング法を用いてコーティングし、130℃2分間の条件で塗膜の硬化を行い、膜厚2μmの収縮性硬化樹脂層を形成した。
【0075】
このようにして得られた透明導電性フィルム用基板の収縮性硬化樹脂層が形成されている面と反対の面上に透明導電層を設けることにより透明導電性フィルムを得た。
【0076】
この透明導電性フィルム用基板の各種評価を行った結果は後掲の表1に示したように良好であった。
【0077】
[実施例2]
実施例1と同一の製造条件で作製したフッ化マグネシウム含有酸化珪素層を積層したポリカーボネートフィルムを用い、以下のような硬化樹脂層を積層した。
【0078】
エチレンビニルアルコール共重合体としてクラレ(株)製EVAL−F(エチレン共重合比32モル%)100重量部を、水720重量部、n−プロパノール1080重量部、n−ブタノール100重量部の混合溶媒に加熱溶解させ、均一溶液を得た。この溶液にレベリング剤として東レダウコーニング社製SH30PAを0.1重量部、酢酸62.4重量部を加えた後、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン85.8重量部を加え10分間攪拌した。更にこの溶液に3−アミノプロピルトリメトキシシラン62.4重量部を加えて3時間攪拌し、塗液(ハ)を得た。
【0079】
この塗液をフッ化マグネシウム含有酸化珪素が積層されたポリカーボネートフィルムの両面上にマイクログラビアロールコーティング法を用いてコーティングし、130℃3分熱処理を行い、厚さ2μmの硬化樹脂層を形成した。
【0080】
次いでこの積層フィルムのフッ化マグネシウム含有酸化珪素層上に設けた硬化樹脂層上に実施例1と同様にして収縮性硬化樹脂層を形成した。
【0081】
このようにして得られた透明導電性フィルム用基板の収縮性硬化樹脂層が形成されている面と反対の面上に透明導電層を設けることにより透明導電性フィルムを得た。
【0082】
この透明導電性フィルム用基板の各種評価を行った結果は表1に示したように良好であった。
【0083】
[実施例3]
実施例1と同一の製造条件で作製したフッ化マグネシウム含有酸化珪素層を積層したポリカーボネートフィルムのフッ化マグネシウム含有酸化珪素層上に実施例2の塗液(ハ)をマイクログラビアロールコーティング法を用いてコーティングし、各々130℃3分熱処理を行い、厚さ2μmの硬化樹脂層を形成した後、実施例1の塗液(ロ)マイクログラビアロールコーティング法を用いてコーティングし、各々130℃2分熱処理を行い、厚さ2μmの収縮性硬化樹脂層を形成した。
【0084】
次に反対側のフィルム面に50W・min/m2の積算エネルギーでコロナ放電処理を行った後に、以下のようなアンカー層と硬化樹脂層を順次設けた。アンカー層は、フェノキシ系の硬化樹脂層とした。具体的にはフェノキシ樹脂として東都化成(株)製フェノトートYP−50を20重量部と、溶媒としてメチルエチルケトン50重量部と2−エトキシエチルアセテート30重量部を混合した後、これに硬化剤のイソシアネートとして武田薬品工業(株)製A3を10重量部混合した溶液をマイクログラビアロールコーティング法よりコーティングした後、130℃で2分熱処理を行って膜厚0.5μmのアンカー層を形成した。硬化樹脂層は実施例2と同様にして、塗液(ハ)から得られる硬化樹脂層を形成した。
【0085】
このようにして得られた透明導電性フィルム用基板の収縮性硬化樹脂層が形成されている面と反対の面上に透明導電層を設けることにより透明導電性フィルムを得た。
【0086】
この透明導電性フィルム用基板の各種評価を行った結果は表1に示したように良好であった。
【0087】
[実施例4]
実施例1と同一の製造条件で作製したポリカーボネートフィルムの両面に100W・min/m2の積算エネルギーでコロナ放電処理を行った後に、実施例1と同様にして塗液(イ)を該フィルムの両面にコーティングして硬化樹脂層を形成した。ついで、該フィルムの一方の面に実施例1と同様にしてフッ化マグネシウム含有酸化珪素層を形成し、さらに該フッ化マグネシウム含有酸化珪素上に実施例1と同様にして塗液(ロ)をコーティングして収縮性硬化樹脂層を形成した。
【0088】
このようにして得られた透明導電性フィルム用基板の収縮性硬化樹脂層が形成されている面と反対の面上に透明導電層を設けることにより透明導電性フィルムを得た。
【0089】
この透明導電性フィルム用基板の各種評価を行った結果は表1に示したように良好であった。
【0090】
[実施例5]
塗液(イ)に変えて実施例2の塗液(ハ)を用い、コロナ放電処理を行わない以外は実施例4と同様にして透明導電性フィルム用基板を得た。
【0091】
このようにして得られた透明導電性フィルム用基板の収縮性硬化樹脂層が形成されている面と反対の面上に透明導電層を設けることにより透明導電性フィルムを得た。
【0092】
該フィルムの各種評価を行った結果は表1に示したように良好であった。
【0093】
[比較例1]
収縮性硬化樹脂層を形成しない以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。このようにして得られた透明導電性フィルム用基板の金属酸化物層が形成されている面と反対の面上に透明導電層を設けることにより透明導電性フィルムを得た。このフィルムの各種評価を行った結果は表1に示すように滑り性が悪く、支持板上のカールも大きいものになってしまった。
【0094】
[比較例2]
実施例1と同一の製造条件で作製したフッ化マグネシウム含有酸化珪素層を積層したポリカーボネートフィルムのフッ化マグネシウム含有酸化珪素層と反対の面上に実施例1と同様にして、塗液(イ)から得られる硬化樹脂層を形成した。このようにして得られた透明導電性フィルム用基板の硬化樹脂層上に透明導電層を設けることにより透明導電性フィルムを得た。このフィルムの各種評価を行った結果は表1に示すように耐NMP性が悪く、滑り性が悪く、支持板上のカールも大きいものになってしまった。
【0095】
【表1】
Figure 0003983366

Claims (11)

  1. 透明導電層を設けることにより透明導電性フィルムとする透明導電性フィルム用基板であって、該フィルム用基板は、透明高分子からなるフィルムまたはシート(S)、金属酸化物層(A)および収縮硬化性樹脂の硬化層(C)を含有し、(A)と(C)は(S)の同一面側にあり、透明導電層は(S)の(A)と反対面側に設置して用いられ、さらに10cm角の該フィルム用基板を
    (1)常温下で水平な支持板上に、透明導電層を設ける面が下になるように置いたとき、該フィルム用基板の四隅の支持板からの高さの最大値が10mm以下であり、かつ、
    (2)該透明高分子からなるフィルムまたはシートのTgよりも10℃低い温度に加熱した水平な支持板上に透明導電層を設ける面が上になるように置いたとき、該フィルム基板の四隅の支持板からの高さの最大値が10mm以下である、
    ことを特徴とする透明導電性フィルム用基板。
  2. 透明高分子からなるフィルムまたはシート(S)の一方の面側に、金属酸化物層(A)、硬化樹脂層(B)、収縮硬化性樹脂の硬化層(C)がこの順に積層され、(S)の他方の面側に硬化樹脂層(D)がさらに積層されていることを特徴とする請求項1記載の透明導電性フィルム用基板。
  3. 透明高分子からなるフィルムまたはシート(S)の一方の面側に、硬化樹脂層(B)、金属酸化物層(A)、収縮硬化性樹脂の硬化層(C)がこの順に積層され、(S)の他方の面側に硬化樹脂層(D)がさらに積層されていることを特徴とする請求項1記載の透明導電性フィルム用基板。
  4. 透明高分子からなるフィルムまたはシート(S)の一方の面側に、収縮硬化性樹脂の硬化層(C)、金属酸化物層(A)、硬化樹脂層(B)がこの順に積層され、(S)の他方の面側に硬化樹脂層(D)がさらに積層されていることを特徴とする請求項1記載の透明導電性フィルム用基板。
  5. 金属酸化物層(A)は、膜厚が5〜200nmの範囲であり、かつ珪素原子数に対する酸素原子数の割合が1.5〜2.0の珪素酸化物を主成分とすることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性フィルム用基板。
  6. 収縮硬化性樹脂の硬化層(C)がポリシロキサン系硬化膜であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の透明導電性フィルム用基板。
  7. 硬化樹脂層(B)が、珪素含有アクリル系樹脂または珪素含有ビニルアルコール系樹脂からなる請求項2〜4のいずれかに記載の透明導電性フィルム用基板。
  8. 硬化樹脂層(D)が硬化樹脂層(B)と同一の樹脂からなる請求項2、3、4、7のいずれかに記載の透明導電性フィルム用基板。
  9. 透明導電層を設ける面とは反対側の表面における、触針法による表面粗さが中心面平均粗さ(SRa)で5〜20nmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の透明導電性フィルム用基板。
  10. 透明導電性フィルム用基板をN−メチルピロリドンに25℃、10分間接触後、水洗したときのヘイズ値の変化が1%以下であり、かつ3.5%水酸化ナトリウム水溶液に25℃、10分間接触後、水洗したときにヘイズ値の変化が1%以下であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の透明導電性フィルム用基板。
  11. 透明高分子からなるフィルムまたはシート(S)の一方の面側に、膜厚が5〜200nmの範囲であり、かつ珪素原子数に対する酸素原子数の割合が1.5〜2.0の珪素酸化物を主成分とする金属酸化物層(A)、珪素含有アクリル系樹脂または珪素含有ビニルアルコール系樹脂からなる硬化樹脂層(B)、ポリシロキサン系硬化膜からなる収縮硬化性樹脂の硬化層(C)がこの順に積層され、(S)の他方の面側に珪素含有アクリル系樹脂または珪素含有ビニルアルコール系樹脂からなる硬化樹脂層(D)が積層されていることを特徴とする透明導電性フィルム用基板。
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