JP3667933B2 - 透明電極基板及びそれを用いた液晶表示素子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明電極基板等の透明導電性積層体に関し、さらに詳しくは、透明性、光学等方性、耐久性、耐溶剤性、ガスバリアー性、可撓性、層間の密着性が良好であることに加え、表裏間の滑り性がよく後加工適性にも優れた透明導電性積層体に関するものであり、液晶表示装置、光導電性感光体、面発光体、有機エレクトロルミネッセンス用などの透明基板として利用できるものである。
【0002】
【従来技術】
近年、ペイジャー、携帯電話、電子手帳、携帯情報端末等の携帯して移動できる情報機器が普及し始め、ビジネス或いはライフスタイルの変革期を迎えようとしている。
【0003】
これらの情報機器の携帯性を向上するため、より一層の薄型化・軽量化、耐破損性が求められている。従来、LCD、タッチパネルの透明導電基板として、重く、厚く、割れやすいガラス基板が用いられて来たが、これに代わる材料として、透明導電性基板が提案されている。しかし、透明樹脂基板は、耐久性、耐溶剤性、ガスバリアー性等の基本特性がガラス基板より劣っている。
【0004】
例えば、透明樹脂基板を、LCD用電極基板として利用しようとした場合、金属酸化物層を設けることにより、ガスバリアー性は付与される。しかし、透明電極パターニング後のレジスト剥離工程で、アルカリ水溶液にさらされるため金属酸化物層が溶解する問題や、液晶配向膜形成過程で、液晶配向膜の前駆材料をN−メチルピロリドン等の溶剤に溶解した塗工液をコーティングする際に、上記溶剤に透明樹脂基板が、白化、膨潤等の損傷を受ける問題があった。そこで、上記欠点を改善する目的で、耐薬品性、ガスバリアー性を持つ剤を透明樹脂基板上に積層するいくつかの提案がなされている。
【0005】
特公平5−52002号公報や特公平5−52003号公報には、高分子フィルムとポリビニルアルコールからなる酸素ガスバリアー層との接着性を改善し、さらには、水蒸気ガスバリアー性を有した透明基板が記載されている。
【0006】
しかし、これらは、ポリビニルアルコール系高分子が最外層に積層されているため、耐薬品性が不十分であり、液晶セル製作工程で不都合が生じてしまう。耐薬品性を持たせるために、上記透明基板においては、耐薬品性を有する層をさらに設ける必要がありコストが割高になる。
【0007】
特開平2−137922号公報や特開平5−309794号公報等には、透明高分子フィルムにアンカーコート層、そしてガスバリアー層としてエチレン−ビニルアルコール共重合体層、更に耐溶剤層として硬化性樹脂層を順次両面に積層した透明基板が記載されている。しかし、これらは、耐薬品性は満足するものの、ガスバリアー剤の特性から高湿度でのガスバリアー性の低下の問題がある。更に、6層ものコーティングはコストが割高となる。
【0008】
さらに、液晶表示素子の透明基板においては、上記耐薬品性、ガスバリアー性に対する要求のほか、特性に関し、下記のような要求または問題がある。
【0009】
基板の透明性が低い場合や複屈折がある場合、表示の着色・コントラストの低下等の問題が生じる。
【0010】
また、平面性が低い場合、液晶層のギャップが均一でなくなる上、液晶配向にもムラが生じたり、基板自体も光学的なムラが発生するために、表示色にムラが生じる。
【0011】
さらには、機械的、熱的影響や溶剤に曝された時に、容易にこれらの平面性、透明性、ガスバリアー性が悪化してしまうのでは、軽薄、形状の自由、曲面表示という特徴を生かした実用性が低下し、ペイジャー、携帯電話、電子手帳、ペン入力機器などの外的影響が大きく作用する用途への適応は困難となってしまう。特に機械的影響に対して、この様な特性を維持するためには、特性発現のために積層された各層間の良好な密着性も要求される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題を解決しようとするものであり、耐久性、耐薬品性、ガスバリアー性に優れ、しかも上記のような透明性、光学等方性、層間の密着性が良好な透明導電性積層体を提供することを目的とし、さらに、表裏間の滑り性がよく、フィルム基板を巻き取る際に凹凸状変形などを生じず、後加工適正にも優れた、液晶表示素子に好適な透明電極基板等の透明導電性積層体を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第一に、2つの電極基板および該電極基板間に配置された液晶層とを有する液晶表示素子において、該電極基板は少なくとも一方が下記(A)〜(D)から構成され、(C)は(D)の液晶層側に形成され、(A)と(B)は隣接して組み合わされ、かつ(A)と(B)との組み合わせは(C)と(D)の間に配置されるか、または(D)の(C)に対して反対側に配置されてなることを特徴とする液晶表示素子によって達成される。
【0014】
(A)金属酸化物層
(B)
(B1)エポキシ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、その (部分)加水分解物、その(部分)縮合物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるエポキシけい素系化合物
(B2)アミノ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるアミノけい素系化合物
(B3)ポリビニルアルコール系ポリマー
を架橋反応させてなる硬化ポリマー層
(C)透明導電層
(D)波長590nmにおけるリターデションの値が30nm以下である透明高分子基板
また本発明は、第二に、下記(A)〜(D)からなる透明電極基板であり、(A)と(B)は隣接して組み合わされ、かつ(A)と(B)との組み合わせは(C)と(D)の間に配置されるか、または(D)の(C)に対して反対側に配置されてなる透明電極基板によって達成される。
【0015】
(A)金属酸化物層
(B)
(B1)エポキシ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるエポキシけい素系化合物
(B2)アミノ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるアミノけい素系化合物
(B3)ポリビニルアルコール系ポリマーを架橋反応させてなる硬化ポリマー層
(C)透明導電層
(D)波長590nmにおけるリターデションの値が30nm以下である透明高分子基板
さらに本発明は、下記(A)、(B)および(D)からなり、(A)が(B)に隣接し、かつ(B)が(D)の表面に形成された成形体によって達成される。
【0016】
(A)金属酸化物層
(B)
(B1)エポキシ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるエポキシけい素系化合物
(B2)アミノ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるアミノけい素系化合物
(B3)ポリビニルアルコール系ポリマーを架橋反応させてなる硬化ポリマー層
(D)波長590nmにおけるリターデションの値が30nm以下である透明高分子基板
なお、本発明の透明電極基板は、透明導電性積層体ということがある。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の液晶表示素子とは、電極をパターニングした本発明の透明導電性積層体である透明電極基板間に液晶物質を挟み込み、電極に電圧を加えることにより液晶を電気光学的に駆動させ文字や画像を表示させるためのものである。
【0018】
一般に液晶表示素子用の透明電極基板である透明導電性積層体にはその基板に無機ガラスが用いられているが、これに透明樹脂基板を使用した場合、薄型軽量で、曲面表示ができ、衝撃により破損しにくい液晶表示素子が得られる。
【0019】
図1に液晶表示素子の一例を示す。基板1(上部基板と下部基板)はシール材6でシールされ液用セルが形成されている。上部基板ならびに下部基板上にはパターニングされた透明電極2ならびに配向膜4が形成されている。液晶セル内には、スペーサー5、液晶物質3が封入されている。この液晶セルを、偏光板で挟み込むことにより、例えばTNタイプの液晶表示素子が得られる。なお、本発明の液晶表示素子はこれに限定されるものではない。
【0020】
なお、下記に記述する本発明の透明電極基板(例えば実施例40)を用いて作製した液晶表示素子は80℃、1000時間の高温保存試験において配向劣化等の目視不良を全く示さず、消費電流も初期の20%以内の増加であり、高い信頼性を示した。
【0021】
本発明に用いる透明高分子基板(D)を構成する材料としては、透明性、耐熱性が良い高分子であれば特に限定しない。本発明の透明導電性フィルムをLCDの電極基板として用いる場合やLCD電極基板と偏光板との間に設置されたタッチパネルの電極基板として用いる場合には、透明高分子基板は、公知の測定装置を用いて測定した波長590nmにおける複屈折の屈折率の差△nと膜厚dとの積△n・dで表されるリターデーション値が30nm以下、かつ、遅相軸のバラツキが±30度以内の光学等方性を有するもの、さらに好ましくはリターデーションが20nm以下、かつ、遅相軸のバラツキが±15度以内の高度の光学等方性を有するものがよい。このような透明高分子基板としては、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリアリレート系、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリルスルホン等のポリスルホン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、セルローストリアセテート等のアセテート系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、各種熱硬化樹脂等のフィルム又はシートであることが好ましい。なかでも、上記透明性、及び光学異方性が少ないという光学特性の観点から、ポリカーボネート樹脂を主成分とする基板がよりふさわしい。
【0022】
本発明における金属酸化物層(A)としては、珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛等を主成分とする透明な絶縁金属酸化物層が挙げられ、該金属酸化物中には、鉄、ニッケル、クロム、チタン、インジウム、錫、アンチモン、タングステン、モリブテン、銅等が含まれていてもよい。また、膜の可撓性や透明性を改善する目的で、炭素やフッ素を適宜含有させてもよい。これらの添加量は重量比で30%以下である。
【0023】
これら透明な金属酸化物層は、公知のスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等により作成される。なかでも、ガスバリアー性が良好な金属酸化物としては、透明高分子基板との接着性、更には透明性、表面平坦性、コスト等の点から特に珪素酸化物を主成分とする金属酸化物層が好ましい。
【0024】
珪素酸化物の組成は、X線光電子分光法、X線マイクロ分光法、オージェ電子分光法、ラザホード後方散乱法などにより分析、決定されるが、可視光線領域での透過率、屈曲性などの面からSiOxで表した平均組成において、xは1.5≦x≦2の範囲が好ましい。x値が1.5よりも小さければ屈曲性、透明性が悪くなる。
【0025】
金属酸化物層の作製方法は、上記公知の方法が用いられるが、その中でも金属酸化物の酸化度を自由に変えることのできるといった膜組成制御の容易性、長時間製膜時において膜組成が変化することのないといった安定生産性、大面積基板への膜成長における膜厚均一性、膜表面平坦性、そしてガスバリアー性に非常に起因する膜稠密性の点でスパッタ法が特に好ましい。
【0026】
スパッタリング法としては、RF電源を用いたRFマグネトロンスパッタリング法やDC電源を用いたDCマグネトロンスパッタリング法などが挙げられ、製膜速度に優れている点でマグネトロンスパッタリング法が好ましく用いられる。その中でもDCマグネトロンスパッタリング法は、電源がRF電源に比べて小型であるとかメタルターゲットを用いた反応性スパッタにより製膜速度の大幅向上が図れるといった生産上の優位性の点で、特に好ましく用いられる。
【0027】
金属酸化物層の厚さとしては、2nm〜200nmの範囲が好ましい。金属酸化物層の厚みが2nm未満では均一に膜を形成することは困難であり、膜が形成されない部分が発生し、この部分からガスが浸透し、ガスバリアー性が悪くなる。一方、200nmよりも厚くなると透明性を欠くだけでなく、屈曲性が悪く、クラックが発生してガスバリアー性を損なう。
【0028】
該金属酸化物層は後述する硬化ポリマー層(B)である珪素含有層(以下硬化ポリマー層を珪素含有層というときがある)に接するようにして積層される。金属酸化物層(A)と珪素含有層(B)が接して積層され、(A)と(B)とが組み合わされることにより、優れたガスバリアー性と耐溶剤性が達成される。
【0029】
本発明における珪素含有層(B)は、以下の成分(B1)〜(B3)の架橋反応により形成される。
【0030】
(B1)エポキシ基ならびにアルコキシシリル基を有する化合物の(部分)加水分解物、その部分縮合物およびこれらの混合物からなる群から選ばれるエポキシけい素系化合物。
【0031】
(B2)アミノ基ならびにアルコキシシリル基を有する化合物の(部分)加水分解物、その部分縮合物およびこれらの混合物からなる群から選ばれるアミノけい素系化合物
(B3)ポリビニルアルコール系ポリマー
ここでポリビニルアルコール系ポリマー(B3)は、公知の市販のものが適用でき、具体的にはビニルアルコール成分、ビニルアルコール共重合体成分よりなる群から選ばれた少なくとも1種を50モル%以上含有する高分子樹脂が適用される。なお、このビニルアルコール共重合体としては、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ビニルアルコールビニルブチラール共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、あるいは分子内にシリル基を有するポリビニルアルコール系高分子等が挙げられる。
【0032】
本発明において用いられる上記のポリビニルアルコール系高分子の重合度、ケン化度に特に制限はないが、重合度が低すぎると、コーティング膜がもろくなり、逆に高すぎると粘度が高くなり過ぎて、塗工性が悪化する傾向があり、通常は平均重合度100〜5000のものが用いられる。一方、ケン化度が低すぎると十分なガスバリアー性が得られない点から、本発明の主用途である高度のガスバリア性が要求される液晶等の用途ではケン化度70%以上、好ましくは80%以上の高ケン化度のものが用いられる。
【0033】
また、耐薬品性、密着性の点から、ケン化度80%以上のポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、分子内にシリル基を有するポリビニルアルコール系高分子が好ましく、更に好ましくはエチレン−ビニルアルコール共重合体である。
【0034】
ここで、分子内にシリル基を有するポリビニルアルコール系高分子とは、下記式(4)で表される反応性のシリル基を有するものである。
【0035】
【化29】
【0036】
ここにR11は水素または炭素数1〜10のアルキル基、アシル基、またはアルカリ金属、アルカリ土類金属を表し、R12は炭素数1〜10のアルキル基を表し、rは1〜3の整数を表す。
【0037】
シリル基の含量は好ましくは5モル%以下、より好ましくは1モル%以下が好ましい。シリル基の含量が多くなると、コーティング用組成物が増粘、ゲル化しやすい傾向があり、この点から上記含量が好ましい。
【0038】
なお、本発明における分子内にシリル基を含有するポリビニルアルコール系高分子に関し、分子内とは重合体の末端をも含むものであり、シリル基が加水分解性でない結合によってポリビニルアルコール系高分子と結合していれば、その位置、分布状態等に特に制限はない。
【0039】
また、本発明に用いるエチレン−ビニルアルコール共重合体は、そのエチレン共重合比が50モル%以下であるものが特に好適である。エチレンの共重合比が50モル%を越えると硬化させたときに、ガスバリアー性が低下し、前述の液晶用途のような高度のガスバリア性が必要な場合には十分な性能が得られない。
【0040】
本発明に用いるエポキシ基ならびにアルコキシシリル基を有するけい素化合物は、例えば下記一般式(1)
【0041】
【化30】
【0042】
で表されるものである。ここで、R1は炭素数1〜4のアルキレン基、R2およびR3は炭素数1〜4のアルキル基、Xはグリシドキシ基またはエポキシシクロヘキシル基であり、nは1または0である。
【0043】
かかるエポキシ基ならびにアルコキシシリル基を有する化合物としては、例えばグリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリプロポキシシラン、グリシドキシメチルトリブトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、2−グリシドキシエチルトリプロポキシシラン、2−グリシドキシエチルトリブトキシシラン、1−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、1−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、1−グリシドキシエチルトリプロポキシシラン、1−グリシドキシエチルトリブトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、2−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、2−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、1−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、1−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、1−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、1−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリプロポキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリブトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリプロポキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリブトキシシラン、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリプロポキシシラン、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリブトキシシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン等が挙げられる。
【0044】
特に好ましいエポキシ基を有する(B1)ならびにアルコキシシリル基を有する化合物は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランである。これらの化合物は単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
【0045】
本発明に用いるアミノ基ならびにアルコキシシリル基を有するけい素化合物としては、例えば下記一般式(2)
【0046】
【化31】
【0047】
で表されるものである。ここで、R4は炭素数1〜4のアルキレン基、R5およびR6は炭素数1〜4のアルキル基、Yは水素原子またはアミノアルキル基であり、mは1または0である。
【0048】
また、かかるアミノ基ならびにアルコキシシリル基を有する化合物としては、例えばアミノメチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルトリメトキシシラン、2−アミノエチルトリエトキシシラン、2−アミノエチルトリプロポキシシラン、2−アミノエチルトリブトキシシラン、1−アミノエチルトリメトキシシラン、1−アミノエチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、3−アミノプロピルトリブトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリプロポキシシラン、2−アミノプロピルトリブトキシシラン、1−アミノプロピルトリメトキシシラン、1−アミノプロピルトリエトキシシラン、1−アミノプロピルトリプロポキシシラン、1−アミノプロピルトリブトキシシラン、N−アミノメチルアミノメチルトリメトキシシラン、N−アミノメチルアミノメチルトリプロポキシシラン、N−アミノメチル−2−アミノエチルトリメトキシシラン、N−アミノメチル−2−アミノエチルトリエトキシシラン、N−アミノメチル−2−アミノエチルトリプロポキシシラン、N−アミノメチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノメチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノメチル−3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、N−アミノメチル−2−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノメチル−2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−アミノメチル−2−アミノプロピルトリプロポキシシラン、N−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−2−アミノエチルトリプロポキシシラン、N−(2−アミノエチル)−1−アミノエチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−1−アミノエチルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−1−アミノエチルトリプロポキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリプロポキシシラン、 N−(3−アミノプロピル)−2−アミノエチルトリメトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−2−アミノエチルトリエトキシシラン、N−(3−アミノプロピル)−2−アミノエチルトリプロポキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ジエチレントリアミンプロピルトリエトキシシラン、3−[2−(2−アミノエチルアミノエチルアミノ)プロピル]トリメトキシシラン、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン等が挙げられる。
【0049】
特に好ましいアミノ基及び/またはイミノ基ならびにアルコキシシリル基を有する化合物は3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランである。これらの化合物は単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
【0050】
なお、本発明におけるエポキシけい素系化合物(B1)は、エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するケイ素化合物の(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、またはこれらの混合物である。かかるケイ素化合物の(部分)加水分解物及びその(部分)縮合物は、かかるケイ素化合物の一部または全部が加水分解したもの、該加水分解物の一部又は全部が縮合反応した縮合物、及び該縮合物と加水分解していない原料のケイ素化合物とが縮合したものであり、これらはいわゆるゾルゲル反応させることにより得られるものである。
【0051】
本発明におけるアミノけい素系化合物(B2)についても同様で、アミノ基およびアルコキシシリル基を有するケイ素化合物の(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、またはこれらの混合物である。かかるケイ素化合物の(部分)加水分解物及びその(部分)縮合物は、かかるケイ素化合物の一部または全部が加水分解したもの、該加水分解物の一部又は全部が縮合反応した縮合物、及び該縮合物と加水分解していない原料のケイ素化合物とが縮合したものである。
【0052】
上記(B1)ならびに(B2)の使用に際しては、エポキシ基およびアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、あるいはアミノ基およびアルコキシシリル基を有するケイ素化合物そのまま原料成分として用いることもできるし、あらかじめエポキシ基およびアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、あるいはアミノ基およびアルコキシシリル基を有するケイ素化合物の加水分解を行ってそれらの(部分)加水分解物及びその(部分)縮合物を添加して使用することも可能である。
【0053】
この加水分解に際しては、通常の方法、例えば塩酸等の無機酸、酢酸等の有機酸またはカセイソーダのようなアルカリによって、更には水のみを用いて加水分解する等各種の方法を利用することができる。また、加水分解を均一に行う目的でエポキシ基およびアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、あるいはアミノ基およびアルコキシシリル基を有するケイ素化合物と、該化合物可溶性溶剤とを混合した後、加水分解を行うことも可能である。目的に応じて、加水分解に際しては冷却または加熱することも可能である。また、加水分解後、反応で生成したアルコール等を加熱及び/または減圧下に適当量除去して使用することも可能であるし、その後に適当な溶媒を添加することも可能である。
【0054】
また、必要に応じて硬化触媒を添加することも可能である。硬化触媒といては例えば、アルミニウムアセチルアセトナート、アルミニウムエチルアセトアセテートビスアセチルアセトナート、アルミニウムビスアセトアセテートアセチルアセトナート、アルミニウムジ−n−ブトキシドモノエチルアセトアセテート、アルミニウムジ−i−プロポキシドモノメチルアセトアセテート等のアルミニウムキレート化合物、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ギ酸カリウム等のカルボン酸のアルカリ金属塩、ジメチルアミンアセテート、エタノールアセトエート、ジメチルアニリンホルメート等のアミンカルボキシレート、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、酢酸テトラメチルアンモニウム、酢酸ベンジルトリメチルアンモニウムのような第四級アンモニウム塩、オクタン酸スズのような金属カルボン酸塩、及びトリエチルアミン、トリエタノールアミン、ピリジンのようなアミン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセンが用いられる。これらの化合物は単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
【0055】
上述の化合物(B1)〜(B3)の架橋反応により、耐薬品性、ガスバリア性、接着性、光学等方性、表面平滑性、耐久性、可撓性等に優れた本発明の珪素含有層(B)が得られる。特に、上記金属酸化物層(A)と(B)とが隣接して組み合わされると、NMP耐性、アルカリ耐性等の耐薬品性および水蒸気バリヤ性、酸素バリヤ性等のガスバリア性に極めて優れる積層体を与える。
【0056】
(B1)〜(B3)化合物の相互反応としては、アルコキシシリル基由来のシラノール基同志の反応、エポキシ基とアミノ基の反応、アルコキシシリル基由来のシラノール基とポリビニルアルコール系高分子のヒドロキシ基との反応が主な反応として考えられる。
【0057】
上述した反応により、本発明の珪素含有層は下記式(3)で示される架橋構造単位の化学結合を有するポリビニルアルコール系架橋ポリマーであると推定される。
【0058】
(B’)下記式(3)
【0059】
【化32】
【0060】
式(3)中、pおよびqはそれぞれ独立に、0〜5の整数であり、Aは、下記式(3-1)
【0061】
【化33】
【0062】
[式(3-1)中、R7およびR8はそれぞれ独立に、メチル基、エチル基またはフェニル基であり、lは0または1である。]
から選ばれ、Bは、下記式(3-2)
【0063】
【化34】
【0064】
[式(3-2)中、rは0〜5の整数であり、sは0〜2の整数である。式(3-1)および(3-2)において、*2と*3とはお互いが結合する側である。]
から選ばれる。
【0065】
上記架橋ポリビニルアルコール系架橋ポリマーは、式(3)で表される架橋構造を主として有するものと推察されるが、上記架橋構造単位の他に、例えば下記一般式(3−3)、(3−4)で示される構造も含まれるものと思われる。
【0066】
【化35】
【0067】
本発明によれば、上記硬化ポリマー層(B)が、上記のごとき架橋構造を有するポリビニルアルコール系架橋ポリマーから主としてなることにより、極めて良好な耐薬品性、ガスバリア性、接着性、耐久性、可撓性等を有する本発明の透明電極基板が得られるものと考えられる。
【0068】
本発明の硬化ポリマー層(B)は、上記一般式(1)で示されるエポキシ基ならびにアルコキシシリル基を有する化合物の(部分)加水分解物等、および一般式(2)で示されるアミノ基ならびにアルコキシシリル基を有する化合物の(部分)加水分解物等を併用して架橋させた硬化被膜であるため、高分子フィルム、特にポリカーボネートフィルムとの接着性が極めて良好で、かつ耐酸性、耐アルカリ性や耐NMP性などの耐薬品性に極めて優れたものである。
【0069】
上記硬化ポリマー層(B)は、通常、上述の(B1)ならびに(B2)の各けい素系化合物と上述のポリビニルアルコール系高分子(B3)が溶剤(B5)に溶解されたコーティング用組成物の基材上への塗布により形成することができる。
【0070】
すなわち、本発明における硬化ポリマー層(B)は、例えば、
(a)下記(B1)〜(B6)
(B1)エポキシ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるエポキシけい素系化合物
(B2)アミノ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるアミノけい素系化合物
(B3)ポリビニルアルコール系ポリマー
(B4)カルボン酸
(B5)有機溶媒
を含有するコーティング用組成物を準備し、
(b)基材に上記コーティング用組成物を塗布し、ついで
(c)上記コーティング用組成物をポリマーからなる基板、フィルム等の基材、上記金属酸化物層(A)などの上に硬化させる、
ことによって、製造することができる。
【0071】
ここで、溶剤(B5)は、ポリビニルアルコール系高分子可溶性溶剤を含有する溶剤である。ここで、ポリビニルアルコール系高分子可溶性溶剤としては、水、ジメチルイミダゾリン等が挙げられる。また、ポリビニルアルコール系高分子としてエチレン−ビニルアルコール共重合体を用いる場合は、この可溶性溶剤としては、水/プロパノールの混合溶媒が挙げられる。水とプロパノールの混合比率は重量比で水/プロパノール=3/7〜7/3が好ましい。なお、これらと併用可能な溶媒の中で、特にブタノール等のアルコール系、1−メトキシ−2−プロパノール等のセロソルブ系、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒は、バリア層の平滑性を良好にするために好適に用いられる。これら併用可能な溶媒は、1種のみならず、2種以上混合して用いることも可能である。
【0072】
(B1)〜(B3)化合物の好ましい使用比率は重量比で、下記式(11)
【0073】
【数6】
1/9<(B3)/[(B1)+(B2)]<9/1 ・・・(11)
の範囲が好ましい。また、珪素含有層(B)上に透明導電層(C)を積層する場合は、両層間の接着性の点で
【0074】
【数7】
1/9<(B3)/[(B1)+(B2)]< 4/1
の範囲が好ましい。ここで、(B1)は下記式(6)
【0075】
【化36】
【0076】
で示される重量基準であり、(B2)は下記式(7)
【0077】
【化37】
【0078】
で示される重量基準である。ここでこの重量換算式は、各々の珪素化合物中のアルコキシシリル基の全てが加水分解ならびに縮合反応したことを仮定して上記のように定義した。なお、実際の硬化ポリマー層における珪素化合物の加水分解ならびに縮合反応は上式で表したように完全ではなく、その進行程度はコーティング組成物の調製条件ならびにコーティング膜の熱処理条件により異なる。
【0079】
(B3)/[(B1)+(B2)]が9/1を越えると耐水性、耐薬品性に劣る傾向となり、逆に1/9未満ではガスバリアー性が低下する傾向となる。
【0080】
また、(B1)と(B2)の配合比率は、得られる塗膜の性能に影響し、得られる膜の密着性、耐熱性、耐溶剤性、耐水性、耐久性等の面から、下記式(12)
【0081】
【数8】
1/6<(b1)/(b2)<6/1 ・・・(12)
の範囲が好ましく、更に好ましくは
【0082】
【数9】
1/4<(b1)/(b2)<4/1
である。ここで(b1)は化合物(B1)に含まれるエポキシ基のモル当量換算量、(b2)は化合物(B2)に含まれる(アミノ基とイミノ基)のモル当量換算量である。どちらかの成分が他方に対して過剰になり、上記範囲から外れるに伴い得られる膜の性能が低下する。
【0083】
アミノ基及び/又はイミノ基は、アルコキシシリル基の加水分解ならびに縮合触媒でもあり、同時にエポキシ基と反応するため、エポキシ基ならびにアルコキシシリル基を有する化合物の加水分解物にアミノけい素系化合物(B2)を加えると反応が急速におこり、コーティング用組成物がゲル化しやすくなる。そのためカルボン酸(B4)を用いて弱酸性の有機酸塩としポットライフを調整することが必要である。ここでカルボン酸の例としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸等が挙げられるが、その酸性度、揮発性からみて酢酸が最も好ましい。
【0084】
このカルボン酸の添加量は、コーティング用組成物のアミノ基およびイミノ基の総和1モルあたり0.01〜10モル量の範囲が好ましく、更に好ましくは0.1〜5.0モルの範囲であり、この量が少ないと、これから調整されるコーティング用組成物のポットライフが短くなりゲル化しやすくなる。一方多いとコーティング用組成物の硬化が不十分となり、前記範囲が好ましい。
【0085】
さらに溶剤(B5)は、(B1)〜(B3)化合物の固形分の合計量100重量部に対し、200重量部以上、99900重量部以下の範囲が好ましく用いられる。200重量部未満では組成物の保存安定性が悪化し、一方99900重量部を越えると組成物自体の保存安定性は良好となるが、組成物中の固形分が少なくなり、コーティングして得られる塗工膜の膜厚が制限される。
【0086】
また、以上のコーティング用組成物の添加剤としては、表面平滑性を改良する目的で各種界面活性剤が使用可能であり、例としてはシリコーン系化合物、フッ素系界面活性剤、有機界面活性剤などが使用できる。さらに改質剤として、前記コーティング用組成物と相溶性のある各種エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂などを添加してもよい。このような成分(B1)〜(B5)以外の添加成分は本発明の硬化樹脂層の特性、例えば耐熱性、耐候性、耐水性、耐久性、密着性、あるいは耐溶剤性など、本発明における硬化ポリマー層を含む積層体が適用される用途に応じて種々の実用特性を改良しうるものである。
【0087】
本発明において、珪素含有層を形成するのに用いる上記のコーティング用組成物は、ディップコート、スプレーコート、フローコート、ロールコート、バーコート、スピンコート等通常使われている塗布方法により積層される。珪素含有層の膜厚としては0.01から100μmが好ましい。100μmを超えると膜の硬化に時間がかかり経済的に好ましくない。
【0088】
塗布された珪素含有層は、通常常温から使用する透明樹脂基板の熱変形温度以下の温度下で溶媒を蒸発除去する。次いで常温以上から使用する透明樹脂基板の熱変形温度以下の温度で30秒間以上加熱することにより、硬化層とされる。
【0089】
なお、必要に応じて、珪素含有層が積層される基材の表面を、コロナ処理、接着層となるプライマーコート処理等の表面処理で表面改質を行い、珪素含有層の密着性をさらに向上させることが可能である。
【0090】
本発明における透明導電層(C)としては、公知の金属膜、金属酸化物膜等が適用できるが、中でも、透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましい。例えば、不純物としてスズ、テルル、カドミウム、モリブテン、タングステン、フッ素等を添加した酸化インジウム、酸化カドミウム及び酸化スズ、不純物としてアルミニウムを添加した酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物膜が挙げられる。中でも酸化スズを2〜15重量%含有した酸化インジウム(ITO)の薄膜が、透明性、導電性が優れており、好ましく用いられる。透明導電層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンビームスパッタリング法、イオンプレーティング法等の方法が挙げられる。
【0091】
透明導電層の膜厚は、15〜180nmが好ましい。15nm未満では、不連続な膜となり導電性が不十分となる。一方,180nmを超えると透明性が低下したり、耐屈曲性が悪くなる。
【0092】
本発明の(A)〜(D)成分を含む液晶表示素子用に好適な透明導電性積層体である透明電極基板において、透明導電層(C)は、透明高分子基板(D)の液晶物質と接する側の面上に形成される。透明導電層は電極パターニングされた後、配向膜がこの上に形成され、液晶表示素子用透明導電性積層体として使用される。
【0093】
金属酸化物層(A)は珪素含有層(B)と互いに連続して接して形成される。こうすることにより、極めて優れたガスバリア性と耐薬品性が得られる。
【0094】
本発明において、(A)〜(D)成分の積層順序は、積層体の最外層が透明導電層であり、珪素含有層(B)と金属酸化物層(A)が互いに連続して接して積層されていれば、特に限定されず、必要特性によって適宜選択される。
【0095】
好ましい積層順序としては、例えば(C)/(B)/(A)/(D)/(B)、(B)/(A)/(D)/(B)/(C)、(C)/(A)/(B)/(D)/(B)、(A)/(B)/(D)/(B)/(C)、(C)/(B)/(A)/(B)/(D)/(B)、(B)/(A)/(B)/(D)/(B)/(C)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0096】
さらに、必要に応じて本発明における透明導電性積層体の種々の特性を更に改善する目的で、(A)〜(D)以外の層を、更に積層あるいは挿入させてもよい。特に、アンカー層(α)の挿入は(A)〜(D)成分の層間接着性を向上させるのに有効である。また、各種ガスバリアー層及び/又は耐溶剤層を(A)と(B)の組み合わせと併用してもよく、更に耐溶剤層または耐磨耗層としての保護層を本発明の透明導電性積層体の最外層に付与してもよい。
【0097】
本発明におけるアンカー層(α)としては、前記珪素含有層が、ガスバリアー性の点で最も好ましいが、これ以外にも、以下の各種シランカップラー、熱可塑性樹脂、放射線硬化型樹脂や熱硬化樹脂からなる塗工層が適用できる。
【0098】
シランカップラーとしては、例えば下記一般式(13)で表される有機珪素化合物を挙げることができる。
【0099】
【数10】
R13 n−Si−R14 4-n ・・・・(13)
【0100】
ここで、 R13はビニル基、又はメタクリロキシ基、エポキシ基、アミノ基、イミノ基およびメルカプト基からなる群から選ばれる1以上の基を有する有機基であり、R14はアルコキシ基、ハロゲンなどの加水分解性の置換基、nは1〜2の整数である。かかるシランカップリング剤としては、例えばビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(2−メトキシ−エトキシ)シラン、2−(3,4エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピル−トリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピル−トリエトキシシラン、3−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン、(ジメトキシメチルシリルプロピル)−エチレンジアミンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0101】
熱可塑性樹脂としては、例えばフェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアクリル樹脂等を挙げることができる。
【0102】
放射線硬化型樹脂としては、紫外線又は電子線等の放射線を照射することにより硬化する樹脂を挙げることができ、例えば、分子あるいは単位構造内にアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基等の不飽和二重結合を含む樹脂を挙げることができる。中でも反応性の点から、アクリロイル基を含む樹脂が好ましい。
【0103】
これらの放射線硬化型樹脂は、単一組成でも、数種の混合組成でも構わないが、耐溶剤性の点から分子或いは単位構造内に2個以上のアクリロイル基を有する多官能アクリレート成分が樹脂成分中に含まれることが好ましい。かかる多官能アクリレート成分としては、例えばジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスルトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等のアクリレートモノマーやポリエステル変成もしくはウレタン変成の多官能アクリレートオリゴマーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0104】
この放射線硬化型樹脂からなる層は、以下のように形成される。即ち、前記の放射線硬化型樹脂の組成物に必要に応じて光開始剤、および重合禁止剤、レベリング剤、紫外線吸収剤等の各種添加剤、熱可塑性樹脂、可塑剤等の改質剤を添加して塗工液とする。塗工液の濃度、粘度調整のため必要に応じて適当な有機溶剤で希釈する。該塗工液を公知の塗工法、例えば、ディップコート、スプレーコート、フローコート、ロールコート、バーコート、スピンコート等で、基板上に塗工し、必要に応じて予備乾燥を行った後、放射線照射により硬化させて硬化層とすることにより、形成される。
【0105】
紫外線照射で硬化させる場合、光開始剤は必須成分である。かかる開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;チオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン等のチオキサン系化合物等が挙げられる。
【0106】
又、より硬化性を向上させるためには、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、4−ジメチルアミン安息香酸エチル等の公知の光開始助剤を適量添加することも効果的である。
【0107】
該放射線硬化型樹脂からなる層の膜厚は、2〜8μmが好ましく、特に2〜6μmが好ましい。2μm未満では、耐溶剤性が不十分であり、又8μmを超えると、硬化収縮に伴うカールが発生するため共に好ましくない。
【0108】
また、熱硬化型樹脂としては、エポキシ樹脂やイソシアネート架橋ウレタン樹脂等が代表的であり、なかでも、フェノキシ樹脂、フェノキシエーテル樹脂、フェノキシエステル樹脂を多官能イソシアネート化合物で硬化させたフェノキシ樹脂硬化物、フェノキシエーテル樹脂硬化物、フェノキシエステル樹脂硬化物が好ましい。
【0109】
該熱硬化型樹脂からなる層の膜厚は特に限定するものではないが、3μmよりも低い場合には耐溶剤性が不十分である。また、膜厚の上限は製膜性と経済性、耐溶剤性のバランスで決定される。好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下が良い。
【0110】
この熱硬化型樹脂からなる保護層は、以下のように形成される。即ち、以上の熱硬化型樹脂の組成物に必要に応じて反応性希釈剤、微粒子、レベリング剤等の各種添加剤、熱可塑性樹脂、可塑剤等の改質剤を添加して塗工液とする。塗工液の濃度、粘度調整のため必要に応じて適当な有機溶剤で希釈する。該塗工液を公知の塗工法、例えば、ディップコート、スプレーコート、フローコート、ロールコート、バーコート、スピンコート等で、基板上に塗工し、120℃以上の温度で3分以上、より好ましくは130℃以上の温度で5分以上の熱処理により硬化させて硬化層とすることにより、形成される。
【0111】
本発明の透明導電性積層体には、微粒子含有層を必要に応じて付与することができる。
【0112】
一般にプラスチック基板は、ロール・ツー・ロール方式でも透明電極等を形成できることからガラス基板よりも生産性が良くコストダウンの点でも有利である。しかし、ロール・ツー・ロール方式で後行程を行う際、フィルムの表面が平滑すぎるとフィルム自体が非常に滑り性の悪いものとなる。そのためフィルムを巻き取る際に、ブロッキングのために凹凸状に変形してしまい工程ロス増加の原因となる。
【0113】
この問題は、本発明の透明導電性積層体の最外層として微粒子含有層を付与することにより解消される。微粒子含有層の付与により、ロールと積層体の接触面積が減少し、フィルムの滑り性が向上する。
【0114】
微粒子含有層は、前記(B)層またはアンカー層(α)を与える塗工液に無機質及び/又は有機質の微粒子を添加した組成物を基板状に塗工し、前述の方法で硬化させて形成される層である。ここで、無機質及び/又は有機質の微粒子とは、微粒子含有層の形成に際して被膜表面に出現し、巻き取り時などにフィルム間の接触面積を低減させて滑り性を付与するためのもである。好ましい無機質の微粒子としては、比較的透明性を損なうことも少ないという点でシリカ、アルミナなどが挙げられる。これら無機質微粒子の平均粒子径は、微粒子含有層を硬化させたときに0.5〜5μmになるようなものが好ましい。また、有機質の微粒子としては、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂などの粒子を使用することができる。これらの有機質微粒子の平均粒子径は0.5〜5μmの範囲が好ましい。平均粒子径が0.5μm未満では滑り性が不足し、5μmよりも大きと滑り性は良好であるが、光学特性が悪化する。
【0115】
さらに、無機質及び/又は有機質の微粒子は、該微粒子含有層を与える組成物を硬化させて得られる膜を100重量部としたときに、該膜中における無機質及び/又は有機質の微粒子の含有量が0.01重量部以上、5重量部以下の範囲になるように添加されるのが好ましい。0.01未満では滑り性が不十分となり、一方5重量部を越えるとヘイズ値等の光学特性が悪化する。
【0116】
また、該微粒子含有層の膜厚は、0.5μm〜30μmの範囲が好ましい。薄いと塗膜に粒状の欠点を生じ安くなり、厚いと良好な滑り性が得られなくなる。
【0117】
該微粒子含有層は、本発明の透明導電性積層体の少なくとも片面に設けられることが好ましい。このような構成を採ることにより、光学特性を大きく悪化させることなく、巻き取り時の凹凸状変形も生じず、後加工が容易な透明導電性フィルムが得られる。
【0118】
本発明によれば、上述の化合物(B1)〜(B3)の架橋反応により、耐薬品性、ガスバリア性、接着性、光学等方性、表面平滑性、耐久性、可撓性等に優れた硬化ポリマー層である珪素含有層(B)を得ることができる。したがって、これを基材(D’)にコーティングすることにより、該基材に耐薬品性、ガスバリア性等を付与した成形体を得ることができる。かかる基材としては、上記した透明高分子基板(D)、一般のポリマー材料からなるフィルム、シート、ボトル等の成形体、繊維等を挙げることができる。
【0119】
【実施例】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、かかる実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、部および%は、特に断らない限り重量基準である。また、実施例中における各種の測定は、下記のとおり行った。
【0120】
透明性:通常の分光光度計を用い波長550nmの平行光線の光線透過率を測定した。また、日本電色製COH−300Aを用いてヘイズ値(△H%)を測定した。
【0121】
光学等方性:日本分光製の多波長複屈折率測定装置M−150を用い、波長590nmの光に対するリタデーション値を測定した。
【0122】
平面性:WYCO社製、TOPO−3Dを用い、表面粗さRaを測定した。ここで、Raは、位相シフト干渉法を測定原理に、400倍の倍率でフィルム表面上の辺の長さが256μmの長方形の面を1μmの間隔で測定したときに得られる中心線平均粗さのことである。
【0123】
耐アルカリ性:25℃の3.0%NaOH水溶液に10分間浸漬し、流水にて十分洗浄を行った後、乾燥させ、外観を目視して観察した。ここで、外観変化がないとは、例えば肉眼で見た場合、コーティング膜の剥離や表面性の悪化、濁り等の欠陥が認められないことを言う。以下、外観変化はこの定義に従う。
【0124】
耐酸性:25℃の5.0%HCl水溶液に10分間浸漬し、流水にて十分洗浄を行った後、乾燥させ、外観を目視して観察した。なお、本試験は、透明導電層を積層する前の中間積層体で行った。
【0125】
耐NMP性▲1▼:透明導電層を形成した積層体については、積層体を25℃10分間NMPに浸漬し、外観変化とヘーズ値変化をみた。外観変化がなく、かつヘーズ値の変化が1%未満の場合を「異常なし」とした。反対に、外観が変化し、かつヘーズ値の変化が1%を超える場合を「外観悪化」とした。
【0126】
耐NMP性▲2▼:透明導電層を形成していない積層体については、B層が積層されている側の面にNMPを数滴垂らし、80℃1分間保持後、水洗し外観変化をみた。
【0127】
耐NMP性▲3▼:透明導電層を形成していない積層体については、B層が積層されている側の面にNMPを数滴垂らし、80℃5分間保持後、水洗し外観変化をみた。
【0128】
酸素バリア性: 酸素透過度を、MOCON社製オキシトラン2/20MLを用いて、30℃、50%RHならびに90%RHの環境下で測定した。なお、本試験は、透明導電層を積層する前の中間積層体で行った。
【0129】
水蒸気バリア性:MOCON社製、パーマトランW1Aを用いて、40℃、90℃%RH雰囲気下における水蒸気透過度を測定した。
【0130】
密着性:JIS K5400 8.5.2碁盤目テープ法に準拠して塗膜の密着性を評価した。
【0131】
可撓性:10mmφのロットに積層フィルムを巻き付け、クラック発生等の外観変化の有無を観測した。
【0132】
耐久性:恒温恒湿炉で60℃、90%RHにて100時間保持し、自然放冷後の外観変化の有無を観測した。
【0133】
滑り性:幅50cm、長さ50mのフィルムを巻き取り、凹凸状変形発生の有無をみた。
【0134】
なお、後掲の表中の化合物名は以下の略号を用いた。
PVA:ポリビニルアルコール、GPTMOS:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン,ECHETMOS:(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン,APTMOS:3-アミノプロピルトリメトキシシラン,APTEOS:3-アミノプロピルトリエトキシシラン, MAPTMOS:N-メチルアミノプロピルトリメトキシシラン,AEAPTMOS:N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン,AEAPMDMOS:N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、 APMDEOS:3-アミノプロピルメチルジエトキシシラン,
【0135】
[実施例1]
ビスフェノール成分がビスフェノールAのみからなる平均分子量37,000のポリカーボネート樹脂をメチレンクロライドに20wt%になるように溶解した。そしてこの溶液をダイコーティング法により厚さ175μmのポリエステルフィルム上に流延した。次いで、乾燥炉で残留溶媒濃度が13重量%になるまで乾燥し、ポリエステルフィルムから剥離した。そして、得られたポリカーボネートフィルムを温度120℃の乾燥炉で縦横の張力をバランスさせながら、残留溶媒濃度が0.08重量%になるまで乾燥させた。
こうして得られた透明フィルムは、厚みが103μm、波長550nmにおける光線透過率は91%であった。
【0136】
次に、B層を形成するコーティング組成物を以下のように調整した。
成分(B3)シリル基含有ポリビニルアルコール(クラレ(株)製 R1130)100部を、成分(B4)水1900部に加熱溶解させ、均一溶液を得た。この溶液にレベリング剤として東レダウコーニング社製SH30PAを0.1部、成分(B5)酢酸31.2部加えた後、成分(B1)として3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン42.6部を加え10分間撹拌した。更にこの溶液に成分(B2)として3−アミノプロピルトリメトキシシラン31.2部を加えて3時間撹拌し、B層を形成するコーティング組成物を得た。
【0137】
コーティング組成物の組成は、(B3)/[(B1)+(B2)]=2/1,(b1)/(b2)=1/1である。
このコーティング組成物を、マイヤーバーを用いて上述のポリカーボネートフィルム上にコーティングし、130℃3分熱処理を行い、積層フィルムを得た。この積層フィルムの各種評価を行った結果は表1に示したように良好であった。
【0138】
[実施例2]
(B1)/(B2))=3/2とする以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
この積層フィルムの各種評価を行った結果は表1に示したように良好であった。
【0139】
[実施例3]
実施例1のポリカーボネートフィルムの片面に金属酸化物層(A層)を形成した。この金属酸化物としてSiO小片を5×10-5torrの真空中で加熱蒸着し、厚さ20nmのケイ素酸化物被膜を形成した。このケイ素酸化物はSiOxの平均組成でxはおよそ1.7であった。次にB層を与えるコーティング組成物を(B1)/(B2))=1/2とする以外は実施例1と同様にして調製し、このコーティング組成物を、マイヤーバーを用いて上述のA層付ポリカーボネートフィルムのA層上にコーティングし、130℃1.5分熱処理を行い、積層フィルムを得た。
この積層フィルムの各種評価を行った結果は表1に示したように良好であった。
【0140】
[実施例4]
(B2)に3−アミノプロピルトリエトキシシランを用い(B3)/[(B1)+(B2)]=4/1,(b1)/(b2)=1/1とする以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
この積層フィルムの各種評価を行った結果は表1に示したように良好であった。
【0141】
[実施例5]
(B1)に2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを用い(B3)/[(B1)+(B2)]=2/1,(b1)/(b2) =1/1とする以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
この積層フィルムの各種評価を行った結果は表1に示したように良好であった。
【0142】
[実施例6]
(B1)に2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを用い(B2)に3−アミノプロピルトリエトキシシランを用い(B3)/[(B1)+(B2)]=1/1,(b1)/(b2) =1/1とする以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
この積層フィルムの各種評価を行った結果は表1に示したように良好であった。
【0143】
[実施例7]
(B2)にN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランを6部とN−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランを16部を用いて(B3)/[(B1)+(B2)]=3/1,(b1)/(b2) =1/2とする以外は実施例3と同様にして積層フィルムを得た。
この積層フィルムの各種評価を行った結果は表1に示したように良好であった。
【0144】
【表1】
【0145】
[実施例8]
(B3)に日本合成化学製ゴーセノールNM−11Q(高ケン化度ポリビニルアルコール)を用いる以外は実施例7と同様にして積層フィルムを得た。
この積層フィルムの各種評価を行った結果は表2に示したように良好であった。
【0146】
[比較例1]
実施例1のポリカーボネートフィルムを用いて、B層を形成する組成物の組成比を変えて調整し、コーティングを行った例である。ポリビニルアルコール系高分子を添加しない例であり、(B3)/[(B1)+(B2)]=0/1、(b1)/(b2)=1/1である。ガスバリアー性、耐久性に劣っていた。評価結果を表2に示す。
【0147】
[比較例2]
実施例3のA層付ポリカーボネートフィルムを用いて、B層を形成する組成物の組成比を変えて調整し、コーティングを行った例である。(B2)を添加しない例であり、(B3)/[(B1)+(B2)]=7/3、(b1)/(b2)=1/0である。耐アルカリ性、耐NMP性、密着性が劣っていた。評価結果を表2に示す。
【0148】
[比較例3]
実施例1のポリカーボネートフィルムを用いて、B層を形成する組成物の組成比を変えて調整し、コーティングを行った例である。(B1)を添加しない例であり、(B3)/[(B1)+(B2)]=3/2、(b1)/(b2)=0/1である。耐アルカリ性、耐NMP性、密着性が劣っていた。評価結果を表2に示す。
【0149】
[比較例4]
比較として、実施例3のA層付ポリカーボネートフィルムの評価結果である。評価結果を表2に示す。
【0150】
[比較例5]
比較例4と同様、x=1.3の場合の評価結果で、透明性に劣る。評価結果を表2に示す。
【0151】
【表2】
【0152】
[実施例9]
ビスフェノール成分がビスフェノールAのみからなる平均分子量37,000のポリカーボネート樹脂をメチレンクロライドに20wt%になるように溶解した。そしてこの溶液をダイコーティング法により厚さ175μmのポリエステルフィルム上に流延した。次いで、乾燥炉で残留溶媒濃度が13重量%になるまで乾燥し、ポリエステルフィルムから剥離した。そして、得られたポリカーボネートフィルムを温度120℃の乾燥炉で縦横の張力をバランスさせながら、残留溶媒濃度が0.08重量%になるまで乾燥させた。
【0153】
こうして得られた透明フィルムは、厚みが103μm、波長550nmにおける光線透過率は91%であった。
【0154】
次に、このポリカーボネートフィルムの片面に金属酸化物層(A層)を形成した。この金属酸化物としてSiO小片を5×10-5torrの真空中で加熱蒸着し、厚さ20nmのケイ素酸化物被膜を形成した。このケイ素酸化物はSiOxの平均組成でxはおよそ1.7であった。このフィルムをA層付ポリカーボネートフィルムと呼ぶこととする。
【0155】
次に、B層を形成するコーティング組成物を以下のように調整した。
成分(B3)エチレンービニルアルコール共重合体(クラレ(株)製EVOH−F(エチレン共重合比32モル%))100部を、成分(B4)水720部、n−プロパノール1080部、n−ブタノール100部の混合溶媒に加熱溶解させ、均一溶液を得た。この溶液にレベリング剤として東レダウコーニング社製SH30PAを0.1部、酢酸62.4部加えた後、成分(B1)2ー(3,4ーエポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン85.8部を加え10分間撹拌した。更にこの溶液に成分(B2)3ーアミノプロピルトリメトキシシラン62.4部を加えて3時間撹拌し、B層を形成するコーティング組成物を得た。
【0156】
コーティング組成物の組成は、(B3)/[(B1)+(B2)]=1/1,(b1)/(b2)=1/1である。
【0157】
このコーティング組成物を、マイヤーバーを用いて上述のA層付ポリカーボネートフィルムのA層上にコーティングし、130℃3分熱処理を行い、積層フィルムを得た。
この積層フィルムの各種評価を行った結果は表3に示したように良好であった。
【0158】
[実施例10〜13]
実施例9のA層付ポリカーボネートフィルムを用いて、B層を形成する組成物の組成比を変えて調整し、コーティングを行った例である。B層を形成するコーティング組成物の調整方法は実施例9と同様に行った。
【0159】
実施例10では、(B3)/[(B1)+(B2)]=2/1,実施例11では、(B3)/[(B1)+(B2)]=1/2,実施例12では、(B3)/[(B1)+(B2)]=1/3、実施例13では、(B3)/[(B1)+(B2)]=1/9である。実施例10〜13において、(b1)/(b2)=1/1(モル比)である。
いずれの例においても、評価結果は表3に示したように良好であった。
【0160】
[実施例14]
実施例9のA層付ポリカーボネートフィルムを用いて、B層を形成する組成物において、(B1)を3ーグリシドキシプロピルトリメトキシシランに変えて調整し。コーティングを行った例である。この積層フィルムの各種評価を行った結果、いずれの評価結果は表3に示したように良好であった。
【0161】
[実施例15]
実施例9のA層付ポリカーボネートフィルムを用いて、更に実施例9のB層コーティング用組成物を用いて、B層をフィルムの両面にコーティングを行った。得られた積層フィルムを各種評価した結果は表3に示したように良好であった。B層はポリカーボネートとも接着性が良好であり、両面とも耐薬品性を持った積層フィルムであった。
【0162】
【表3】
【0163】
[比較例6〜8]
実施例9のA層付ポリカーボネートフィルムを用いて、B層を形成する組成物の組成比を変えて調整し、コーティングを行った例である。
【0164】
比較例6では、アルコキシシランを添加しない例であり、(B3)/[(B1)+(B2)]=1/0である。耐NMP性、密着性が劣っていた。
【0165】
比較例7では、(B2)を添加しない例であり、(B3)/[(B1)+(B2)]=2/1、(b1)/(b2) =1/0である。耐アルカリ性、耐NMP性、密着性が劣っていた。
【0166】
比較例8では、(B1)を添加しない例であり、(B3)/[(B1)+(B2)]=2/1、(b1)/(b2)=0/1(モル比)である。耐アルカリ性、耐NMP性、密着性が劣っていた。
比較例6〜8の評価結果を表4に示す。
【0167】
[比較例9]
実施例9のA層付ポリカーボネートフィルムを用いて、更にB層を形成する組成物も実施例9と同じものを用いたが、B層をA層と反対の面に積層した。
評価した結果、ガスバリア性に劣っていた。評価結果を表4に示す。
【0168】
[比較例10]
比較として、実施例9のポリカーボネートフィルムのみの評価結果である。評価結果を表4に示す。
【0169】
【表4】
【0170】
[実施例16]
コーティング用組成物を以下のように調製した。
成分(B3)エチレンービニルアルコール共重合体(クラレ(株)製EVOH−F(エチレン共重合比32モル%))100部を、成分(B5)水720部、n−プロパノール1080部、n−ブタノール100部の混合溶媒に加熱溶解させ、均一溶液を得た。この溶液にレベリング剤として東レダウコーニング社製SH30PAを0.1部、酢酸62.4部加えた後、成分(B1)2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン85.6部を加え10分間撹拌した。更にこの溶液に成分(B2)3−アミノプロピルトリメトキシシラン62.4部を加えて3時間撹拌し、コーティング組成物を得た。
【0171】
コーティング組成物の組成は、(B3)/[(B1)+(B2)]=1/1,(b1)/(b2)=1/1(モル比)である。
【0172】
このコーティング組成物を、マイヤーバーを用いて、厚さ80μmのポリカーボネートフィルム(帝人(株)製パンライトフィルム)の片面にコーティングし、130℃3分熱処理を行い、積層フィルムを得た。
この積層フィルムの各種評価を行った結果は表5に示したように良好であった。
【0173】
[実施例17〜19]
コーティング組成物の調整方法は実施例16と同様に行い、コーティング組成物の組成比を変えて調整し、実施例1と同じポリカーボネートフィルムの片面にコーティングを行い、130℃3分熱処理を行った例である。
【0174】
実施例17では、(B3)/[(B1)+(B2)]=2/1,実施例18では、(B3)/[(B1)+(B2)]=1/2、実施例19では、(B3)/[(B1)+(B2)]=1/3である。実施例17〜19において、(b1)/(b2)=1/1である。
いずれの例においても、評価結果は表5に示したように良好であった。
【0175】
[実施例20]
コーティング組成物の調整方法は実施例16と同様に行い、コーティング組成物において、(B1)を3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランに変えて調整し、ポリカーボネートフィルムの片面にコーティングを行い、130℃3分熱処理を行った例である。この積層フィルムの各種評価を行った結果は表5に示したように良好であった。
【0176】
[実施例21]
実施例16のコーティング組成物を、厚さ12μmのポリエステルフィルム(帝人(株)テトロンフィルム)の片面にコーティングし130℃3分熱処理行った。得られた積層フィルムを各種評価した結果は表5に示したように良好であった。
【0177】
【表5】
【0178】
[実施例22]
厚さ100μmのポリカーボネートフィルムのロールを、真空蒸着装置の所定位置にセットした後1.3mPaの圧力まで排気した。SiとSiO2の混合物よりなる蒸着材料を電子ビーム加熱により蒸発させ、ポリカーボネートフィルムの片面に、厚さ20nmのSiOx膜(xの値は約1.7)を形成した。
【0179】
次に、本発明のB層を与えるコーティング用組成物を調製し、SiOxが積層されたポリカーボネートフィルムのSiOx層の上にマイクログラビア方式により塗工し、130℃3分間加熱乾燥し、厚さ2μmのB層を形成した。ここで、コーティング用組成物の調製にあたっては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(クラレ(株)製エバール−F(エチレン共重合比32%))100部を、水720部、n−プロパノール1080部、n−ブタノール100部の混合溶液に加熱溶解させ均一溶液にしこれを室温まで放冷した後、これにレベリング剤として東レダウコーニング社製SH30PAを0.1部、酢酸62.4部を加え、その後、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン85.8部を加え10分間撹拌し、更にこの溶液に3−アミノプロピルトリメトキシシラン62.4部を加えて3時間撹拌した。
【0180】
さらに、本発明の耐溶剤性を有する保護層を与えるコーティング用組成物を調整し、ポリカーボネートフィルムのSiOx層及びB層を形成した面と反対の面に、をマイクログラビア方式により塗工し、50℃で1分間予備乾燥し、次に160W/cmの高圧水銀ランプを用いて、積算光量800mJ/cm2 の条件で紫外線を照射して塗工膜を硬化させることにより、厚さ4μmの保護層を形成した。ここで、コーティング用組成物の調整にあたっては、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亜合成化学(株)製、アロニックスM−309)100部、光開始剤1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製、イルガキュア−184)7部及びレベリング剤としてシリコンオイル(東レ・ダウコーニング社製、SH28PA)0.02部を混合した後、1−メトキシ−2−プロパノール及びメタノールで固形分35wt%にした。
【0181】
次に、この様にして得られた該ポリカーボネートフィルムを基板とする積層体のロールを、スパッタリング装置にセットした後1.3mPaの圧力まで排気した。引き続いてAr・O2 混合ガス(O2 濃度1.4vol%)を導入し、圧力が0.27Paになるように調整した。ITOターゲット(SnO2 濃度5wt%)を用い、投入電力密度1W/cm2 の条件でDCスパッタリングを行い、B層上に、厚さ130nmのITO膜からなる透明導電層を設けることにより透明導電性積層体を得た。得られた透明導電積層体の評価結果を表6に示す。
【0182】
[実施例23]
B層を与えるコーティング用組成物を以下のように調製した以外は、実施例22と同様にして透明導電性積層体を得た。得られた結果を表6に示す。ここで、コーティング用組成物の調整にあたっては、シラノール基含有ポリビニルアルコール系高分子(クラレ製R1130(シラノール含有率1%未満))100部、水1300部、n−プロパノール600部の混合溶液に加熱溶解させ均一溶液にしこれを室温まで放冷した後、これにレベリング剤として東レダウコーニング社製SH30PAを0.1部、酢酸124.8部を加え、その後、3−アミノプロピルトリメトキシシラン124.8部を加え3時間撹拌し、更にこの溶液に2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン171.6部を加えて3時間撹拌した。
【0183】
[実施例24]
耐溶剤性を有する保護層を与えるコーティング用組成物を以下のように調製し、80℃5分及び130℃5分熱処理して5μmの保護層を形成したる以外は、実施例22と同様にして透明導電性積層体を得た。得られた結果を表6に示す。ここで、コーティング用組成物の調整にあたっては、フェノキシエステル樹脂としてユニオンカーバイドコーポレーション製のPKHM−30を20部とメチルエチルケトン40部と2−エトキシエチルアセテート20部を混合した物に、更に多官能イソシアネートとして日本ポリウレタン(株)製のコロネートLを20部混合した。
【0184】
[比較例11]
B層を積層しない以外は、実施例22と同様にして透明導電性積層体を得た。得られた結果を表6に示す。
【0185】
[比較例12]
B層に変えて、ポリビニルアルコール系高分子(日本合成化学(株)製、ゴーセノールNM−11Q)を2μmを積層した以外は、実施例2と同様にして透明導電性積層体を得た。得られた結果を表6に示す。
【0186】
【表6】
【0187】
[実施例25]
厚さ100μmのポリカーボネートフィルムのロールを、真空蒸着装置の所定位置にセットした後1.3mPaの圧力まで排気した。SiとSiO2の混合物よりなる蒸着材料を電子ビーム加熱により蒸発させ、ポリカーボネートフィルムの片面に、厚さ20nmのSiOx膜(xの値は約1.7)を形成した。
【0188】
次に、本発明のB層を与えるコーティング用組成物を調製し、SiOxが積層されたポリカーボネートフィルムの両方の面上にマイクログラビア方式により塗工し、130℃2分間加熱乾燥し、厚さ2μmのB層を形成した。ここで、コーティング用組成物の調整にあたっては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(クラレ(株)製エバール−F(エチレン共重合比32%))100部を、水720部、n−プロパノール1080部、n−ブタノール100部の混合溶液に加熱溶解させ均一溶液にしこれを室温まで放冷した後、これにレベリング剤として東レダウコーニング社製SH30PAを0.1部、酢酸62.4部を加え、その後、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン85.8部を加え10分間撹拌し、更にこの溶液に3−アミノプロピルトリメトキシシラン62.4部を加えて3時間撹拌した。
【0189】
次に、この様にして得られたポリカーボネートフィルムを基板とする積層体のロールを、スパッタリング装置にセットした後1.3mPaの圧力まで排気した。引き続いてAr・O2 混合ガス(O2 濃度1.4vol%)を導入し、圧力が0.27Paになるように調整した。ITOターゲット(SnO2 濃度5wt%)を用い、投入電力密度1W/cm2 の条件でDCスパッタリングを行い、SiOx層、B層が形成された面上に、厚さ130nmのITO膜からなる透明導電層を設けることにより透明導電性積層体を得た。得られた透明導電性積層体の評価結果を表7に示す。
【0190】
[実施例26]
SiOx上のB層を与えるコーティング用組成物を以下のように調製し、130℃3分で加熱乾燥した以外は、実施例25と同様にして透明導電性積層体を得た。得られた結果を表7に示す。ここで、コーティング用組成物の調整にあたっては、シラノール基含有ポリビニルアルコール系高分子(クラレ製R1130(シラノール含有率1%未満))100部、水1300部、n−プロパノール600部の混合溶液に加熱溶解させ均一溶液にしこれを室温まで放冷した後、これにレベリング剤として東レダウコーニング社製SH30PAを0.1部、酢酸124.8部を加え、その後、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン171.6部を加え10分間撹拌し、更にこの溶液に3−アミノプロピルトリメトキシシラン124.8部を加えて3時間撹拌した。
【0191】
[実施例27]
金属酸化物層としてSiOxを積層しない以外は、実施例25と同様にして透明導電性積層体を得た。得られた結果を表7に示す。
【0192】
[比較例13]
B層に変えて、ポリビニルアルコール系高分子(日本合成化学(株)製、ゴーセノールNM−11Q)を2μmを積層した以外は、実施例25と同様にして透明導電性積層体を得た。得られた結果を表7に示す。
【0193】
【表7】
【0194】
[実施例28]
本発明のB層を与えるコーティング用組成物を調製し、厚さ100μmのポリカーボネートフィルムの両方の面上にコーティング用組成物をマイクログラビア方式により塗工し、130℃2分間加熱乾燥し、厚さ2μmのB層を形成した。ここで、コーティング用組成物の調整にあたっては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(クラレ(株)製エバール−F(エチレン共重合比32%))100部を、水720部、n−プロパノール1080部、n−ブタノール100部の混合溶液に加熱溶解させ均一溶液にしこれを室温まで放冷した後、これにレベリング剤として東レダウコーニング社製SH30PAを0.1部、酢酸62.4部を加え、その後、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン85.8部を加え10分間撹拌し、更にこの溶液に3−アミノプロピルトリメトキシシラン62.4部を加えて3時間撹拌した。
【0195】
次に、上記積層体のロールをスパッタリング装置にセットした後1.3mPaの圧力まで排気した。引き続いてAr/O2混合ガス(O2濃度12.0Vol%)を100sccmで導入し、圧力が0.27Paになるように調整した。多結晶Siメタルターゲット(B−dope)を用い、投入電力密度1W/cm2の条件でDCマグネトロンスパッタリングを行い、上記積層体のバリア層が形成された片方の面上に、厚さ7nmのSiO2膜を得た。
【0196】
更に、この様にして得られたポリカーボネートフィルムを基板とする積層体のロールを、スパッタリング装置にセットした後1.3mPaの圧力まで排気した。引き続いてAr/O2 混合ガス(O2 濃度1.4vol%)を100sccmで導入し、圧力が0.27Paになるように調整した。ITOターゲット(SnO2 濃度5wt%)を用い、投入電力密度1W/cm2 の条件でDCマグネトロンスパッタリングを行い、B層、SiO2層が形成された面上に、厚さ130nmのITO膜からなる透明導電層を設けることにより透明導電性積層体を得た。得られた透明導電性積層体の評価結果を表8に示す。
【0197】
[実施例29]
B層を与えるコーティング用組成物の調製を以下のように行い、130℃3分で加熱乾燥した以外は、実施例28と同様にして透明導電性積層体を得た。得られた結果を表8に示す。ここで、コーティング用組成物の調整にあたっては、シリル基含有ポリビニルアルコール系高分子(クラレ製R1130(シラノール含有率1%未満))100部、水1300部、n−プロパノール600部の混合溶液に加熱溶解させ均一溶液にしこれを室温まで放冷した後、これにレベリング剤として東レダウコーニング社製SH30PAを0.1部、酢酸124.8部を加え、その後、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン171.6部を加え10分間撹拌し、更にこの溶液に3−アミノプロピルトリメトキシシラン124.8部を加えて3時間撹拌した。
【0198】
[実施例30]
本発明のB層を与えるコーティング用組成物を以下のように調製し、厚さ100μmのポリカーボネートフィルムの片面上にマイクログラビア方式により塗工し、130℃3分間加熱乾燥し、厚さ2μmのB層を形成した。ここで、コーティング用組成物の調製にあたっては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(クラレ(株)製エバール−F(エチレン共重合比32%))100部を、水720部、n−プロパノール1080部、n−ブタノール100部の混合溶液に加熱溶解させ均一溶液にしこれを室温まで放冷した後、これにレベリング剤として東レダウコーニング社製SH30PAを0.1部、酢酸31.2部を加え、その後、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン42.6部を加え10分間撹拌し、更にこの溶液に3−アミノプロピルトリメトキシシラン31.2部を加えて3時間撹拌した。
【0199】
さらに、本発明の耐溶剤性を有する保護層を与えるコーティング用組成物を調整し、該積層体のB層が形成されていない面上にマイクログラビア方式により塗工し、50℃で1分間予備乾燥し、次に160W/cmの高圧水銀ランプを用いて、積算光量800mJ/cm2の条件で紫外線を照射して塗工膜を硬化させることにより、厚さ4μmの保護層を形成した。ここで、コーティング用組成物Eの調整にあたっては、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亜合成化学(株)製、アロニックスM−309)100部、光開始剤1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製、イルガキュア−184)7部及びレベリング剤としてシリコンオイル(東レ・ダウコーニング社製、SH28PA)0.02部を混合した後、1−メトキシ−2−プロパノール及びメタノールで固形分35wt%にした。
【0200】
次に、この積層体のバリア層上に実施例28と同様のSiO2膜を積層した。更に、この様にして得られた該ポリカーボネートフィルムを基板とする積層体の耐溶剤性を有する保護層上に、実施例28と同様のITO膜からなる透明導電層を設けることにより透明導電性積層体を得た。得られた透明導電積層体の評価結果を表8に示す。
【0201】
[実施例31]
透明導電層をSiO2が積層されていない側のB層の面上に積層する以外は、実施例28と同様にして透明導電性積層体を得た。得られた透明導電性積層体の評価結果を表8に示す。
【0202】
【表8】
【0203】
[実施例32]
本発明のB層を与えるコーティング用組成物を調製し、厚さ100μmのポリカーボネートフィルムの両方の面上にマイクログラビア方式により塗工し、130℃2分間加熱乾燥し、厚さ2μmのB層を形成した。ここで、コーティング用組成物の調製にあたっては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(クラレ(株)製エバール−F(エチレン共重合比32%))100部を、水720部、n−プロパノール1080部、n−ブタノール100部の混合溶液に加熱溶解させ均一溶液にしこれを室温まで放冷した後、これにレベリング剤として東レダウコーニング社製SH30PAを0.1部、酢酸62.4部を加え、その後、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン85.8部を加え10分間撹拌し、次いで、この溶液に3−アミノプロピルトリメトキシシラン62.4部を加えて3時間撹拌した。
【0204】
次に、このフィルムを真空蒸着装置の所定の位置にセットした後1.3mPaの圧力まで排気した。SiとSiO2の混合物よりなる蒸着材料を電子ビーム加熱により蒸発させ、B層の積層されたポリカーボネートフィルムの片面に、厚さ20nmのSiOx(xの値は約1.7)からなるA層を形成した。
【0205】
さらに、前記コーティング用組成物をSiOxからなるA層上にマイクログラビア方式により塗工し、130℃2分間加熱乾燥し、厚さ2μmのB層を形成した。
【0206】
次に、この様にして得られたポリカーボネートフィルムを基板とする積層体のロールを、スパッタリング装置にセットした後1.3mPaの圧力まで排気した。引き続いてAr・O2 混合ガス(O2 濃度1.4vol%)を100sccmで導入し、圧力が0.27Paになるように調整した。ITOターゲット(SnO2 濃度5wt%)を用い、投入電力密度1W/cm2 の条件でDCスパッタリングを行い、B層、SiOxからなるA層、B層がこの順で形成された面上に、厚さ130nmのITO膜からなる透明導電層を設けることにより透明導電性積層体を得た。得られた透明導電性積層体の評価結果を表9に示す。
【0207】
[実施例33]
A層の下地であるB層に、日本ユニカ製のシランカップリング剤AP133を用い、A層の形成において、SiとSiO2とMgF2の混合物よりなる蒸着材料を用いて、厚さ100nmのSiOxを主成分とするA層とした以外は実施例32と同様に透明導電性積層体を得た。得られた透明導電性積層体の評価結果を表9に示す。
【0208】
[実施例34]
ポリカーボネートフィルムの両面に、以下に示したように調製したコーティング用組成物を用い、50℃で1分間予備乾燥し、次に160W/cmの高圧水銀ランプを用いて、積算光量800mJ/cm2の条件で紫外線を照射して塗工膜を硬化させることにより、厚さ4μmの保護層を形成した以外は、実施例32と同様にして透明導電性積層体を得た。得られた透明導電性積層体の評価結果を表9に示す。ここで、コーティング用組成物の調製にあたっては、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亜合成化学(株)製、アロニックスM−309)100部、光開始剤1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギー社製、イルガキュア−184)7部及びレベリング剤としてシリコンオイル(東レ・ダウコーニング社製、SH28PA)0.02部を混合した後、1−メトキシ−2−プロパノール及びメタノールで固形分35wt%にした。
【0209】
[実施例35]
透明導電層の下地の保護層として、実施例34で用いた保護層を形成した以外は実施例32と同様にして透明導電性積層体を得た。得られた透明導電性積層体の評価結果を表9に示す。
【0210】
[実施例36]
SiOxからなる金属酸化物層の下地であるアンカー層として、以下に示しすように調製したコーティング組成物から得られるアンカー層を形成する以外は実施例32と同様に透明導電性積層体を得た。得られた透明導電性積層体の評価結果を表9に示す。ここで、コーティング用組成物の調整にあたっては、フェノキシエステル樹脂としてユニオンカーバイドコーポレーション製のPKHM−30を20部とメチルエチルケトン40部と2−エトキシエチルアセテート20部を混合した物に、更に多官能イソシアネートとして日本ポリウレタン(株)製のコロネートLを20部混合した。なお、硬化層の形成は該コーティング用組成物Dをマイクログラビア方式により塗工し、80℃5分及び130℃5分熱処理して5μmとした。
【0211】
[実施例37]
以下のようにして調製したコーティング用組成物をマイクログラビア方式により、透明導電層が形成された面と反対のポリカーボネートフィルム上に塗工し、130℃2分間加熱処理をし厚さ2μmの微粒子含有層を形成する以外は実施例32と同様にして透明導電性積層体を得た。得られた結果を表9に示す。ここで、コーティング用組成物の調整は、実施例32で用いたコーティング用組成物に、平均粒子径2μmのシリカ粉体を0.4部添加し充分に撹袢した。
【0212】
[実施例38]
以下のようにして調製したコーティング用組成物を用い、50℃で1分間予備乾燥し、次に160W/cmの高圧水銀ランプを用いて、積算光量800mJ/cm2の条件で紫外線を照射して塗工膜を硬化させることにより、厚さ4μmの微粒子含有層を形成した以外は、実施例37と同様にして透明導電性積層体を得た。得られた透明導電性積層体の評価結果を表9に示す。ここで、コーティング用組成物の調製にあたっては、実施例34で用いた保護層を与えるコーティング組成物に、微粒子として5μmのアクリル粉体を0.2部添加した。
【0213】
【表9】
【0214】
[実施例39]
ITO層の下のB層として、ポリビニルアルコール系高分子にクラレ製EVAL F104を用い(B3)/[(B1)+(B2)]=1/2、(b1)/(b2)=3/7であるB層を用い、SiOxの上のB層として、ポリビニルアルコール系高分子にクラレ製EVAL F104を用い(B3)/[(B1)+(B2)]=3/1、(b1)/(b2)=11/9であるB層を用いる以外は、実施例26と同様にして透明導電性積層体を得た。いずれの結果も表10に示す通り良好であった。
【0215】
[実施例40]
ITO層の下のB層の(b1)/(b2)を11/9とし、SiOxの上のB層の(B3)/[(B1)+(B2)]を1/1とした以外は、実施例391と同様にして透明導電性積層体を得た。いずれの結果も表10に示す通り良好であった。
【0216】
[実施例41]
ITO層の下のB層の(b1)/(b2)を7/3とし、SiOxの上のB層の(B3)/[(B1)+(B2)]を1/3とした以外は、実施例39と同様にして透明導電性積層体を得た。いずれの結果も表10に示す通り良好であった。
【0217】
[実施例42]
(B2)として3-aminopropylmethyldiethoxysilaneを用いる以外は実施例9と同様にして透明導電性積層体を得た。いずれの結果も表10に示す通り良好であった。
【0218】
[実施例43]
(B2)としてN-methylaminopropyltrimethoxysilaneを用いる以外は実施例9と同様にして透明導電性積層体を得た。いずれの結果も表10に示す通り良好であった。
【0219】
[実施例44]
(B2)として3−アミノプロピルトリメトキシシランを用いる以外は実施例9と同様にして透明導電性積層体を得た。いずれの結果も表10に示す通り良好であった。
【0220】
[実施例45]
(B2)としてN-(2-aminoethyl)-3-aminopropyltrimethoxysilaneを用いる以外は実施例9と同様にして透明導電性積層体を得た。いずれの結果も表10に示す通り良好であった。
【0221】
[実施例46]
(B2)としてN-(2-aminoethyl)-3-aminopropylmethyldimethoxysilaneを用いる以外は英文原稿実施例9と同様にして透明導電性積層体を得た。いずれの結果も表10に示す通り良好であった。
【0222】
【表10】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示素子の一例である。
【符号の説明】
(1)基板
(2)透明電極
(3)液晶物質
(4)配向膜
(5)スペーサー
(6)シール材
Claims (30)
- 2つの電極基板および該電極基板間に配置された液晶層とを有する液晶表示素子において、該電極基板は少なくとも一方が下記(A)〜(D)から構成され、(C)は(D)の液晶層側に形成され、(A)と(B)は隣接して組み合わされ、かつ(A)と(B)との組み合わせは(C)と(D)の間に配置されるか、または(D)の(C)に対して反対側に配置されてなることを特徴とする液晶表示素子。
(A)金属酸化物層
(B)
(B1)エポキシ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるエポキシけい素系化合物
(B2)アミノ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるアミノけい素系化合物
(B3)ポリビニルアルコール系ポリマーを架橋反応させてなる硬化ポリマー層
(C)透明導電層
(D)波長590nmにおけるリターデションの値が30nm以下である透明高分子基板 - エポキシけい素系化合物(B1)、アミノけい素系化合物(B2)およびポリビニルアルコール系ポリマー(B3)の使用割合が重量比で、下記式(11)を満たし、かつ(B1)および(B2)の使用割合がモル比で、下記式(12)を満たす請求項1または2記載の液晶表示素子。
- エポキシ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物が、3−ク゛リキト゛キシフ゜ロヒ゜ルトリメトキシシラン及び2−(3,4−エホ゜キシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランからなる群から選ばれ、かつアミノ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物が、3−アミノフ゜ロヒ゜ルトリメトキシシラン、3−アミノフ゜ロヒ゜ルトリエトキシシラン、3−アミノフ゜ロヒ゜ルメチルシ゛エトキシシラン、N−メチルアミノフ゜ロヒ゜ルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノフ゜ロヒ゜ルトリメトキシシラン、及びN−(2−アミノエチル)−3−アミノフ゜ロヒ゜ルメチルシ゛メトキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示素子。
- ポリビニルアルコール系ポリマー(B3)が、けん化度80%以上のホ゜リヒ゛ニルアルコール、エチレン−ヒ゛ニルアルコールコホ゜リマー、及び分子内にシリル基を有するホ゜リヒ゛ニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の液晶表示素子。
- 金属酸化物層(A)がSiOx(1.5≦x≦2.0)から主としてなる請求項1〜5のいずれかに記載の液晶表示素子。
- 電極基板の少なくとも一方が、(C)/(B)/(A)/(D)/(B)または(B)/(A)/(D)/(B)/(C)の順で構成されている、請求項1〜6のいずれかに記載の液晶表示素子。
- 電極基板の少なくとも一方が、(C)/(A)/(B)/(D)/(B)または(A)/(B)/(D)/(B)/(C)の順で構成されている、請求項1〜6のいずれかに記載の液晶表示素子。
- 透明高分子基板(D)が、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホンおよびポリエーテルスルホンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜8のいずれかに記載の液晶表示素子。
- (i)硬化ポリマー層(B)側の電極基板上に、N−メチルピロリドンを25℃、10分間接触後、水洗したときのヘイズ値の変化が1(%)以下であり、かつ(ii)硬化ポリマー層(B)側の電極基板上に、3.5%水酸化ナトリウム水溶液を25℃、10分間接触後、水洗したときに変化がない、請求項1〜9のいずれかに記載の液晶表示素子。
- 2つの電極基板および該電極基板間に配置された液晶層とを有する液晶表示素子において、該電極基板は少なくとも一方が下記(A)〜(D)からなり、(C)は(D)の液晶層側に形成され、(A)と(B’)は隣接して組み合わされ、かつ(A)と(B’)との組み合わせは(C)と(D)の間に配置されるか、または(D)の(C)に対して反対側に配置されてなることを特徴とする液晶表示素子。
(A)金属酸化物層
(B’)下記式(3)
から選ばれ、Bは、下記式(3−2)
および(3−2)において、*2と*3とはお互いが結合する側である。]
で表される架橋構造単位を有するポリビニルアルコール系ポリマーから主としてなる硬化ポリマー層
(C)透明導電層
(D)波長590nmにおけるリターデションの値が30nm以下である透明高分子基板 - 硬化ポリマー層(B’)が、下記式(1)
で表わされるエポキシ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物と、下記式(2)
で表されるアミノ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物と、ホ゜リヒ゛ニルアルコール系ホ゜リマーとから得られる、請求項11記載の液晶表示素子。 - 下記(A)〜(D)からなる透明電極基板であり、(A)と(B)は隣接して組み合わされ、かつ(A)と(B)との組み合わせは(C)と(D)の間に配置されるか、または(D)の(C)に対して反対側に配置されてなる透明電極基板。
(A)金属酸化物層
(B)
(B1)エポキシ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるエポキシけい素系化合物
(B2)アミノ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるアミノけい素系化合物
(B3)ポリビニルアルコール系ポリマーを架橋反応させてなる硬化ポリマー層
(C)透明導電層
(D)波長590nmにおけるリターデションの値が30nm以下である透明高分子基板 - エポキシけい素系化合物(B1)、アミノけい素系化合物(B2)およびエポキシけい素系化合物(B3)の使用割合が重量比で、下記式(11)を満たし、かつ(B1)および(B2)の使用割合がモル比で、下記式(12)を満たす請求項13または14記載の透明電極基板。
- エポキシ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物が、3−ク゛リキト゛キシフ゜ロヒ゜ルトリメトキシシラン及び2−(3,4−エホ゜キシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランからなる群から選ばれ、かつアミノ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物が、3−アミノフ゜ロヒ゜ルトリメトキシシラン、3−アミノフ゜ロヒ゜ルトリエトキシシラン、3−アミノフ゜ロヒ゜ルメチルシ゛エトキシシラン、N−メチルアミノフ゜ロヒ゜ルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノフ゜ロヒ゜ルトリメトキシシラン、及びN−(2−アミノエチル)−3−アミノフ゜ロヒ゜ルメチルシ゛メトキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項13〜15のいずれかに記載の透明電極基板。
- ポリビニルアルコール系ポリマー(B3)が、エチレン単位を10〜50モル%含有するエチレン−ヒ゛ニルアルコールコホ゜リマーである請求項13〜16のいずれかに記載の透明電極基板。
- 金属酸化物層(A)がSiOx(1.5≦x≦2.0)から主としてなる請求項13〜17のいずれかに記載の透明電極基板。
- 透明高分子基板(D)が、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホンおよびポリエーテルスルホンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項13〜18のいずれかに記載の透明電極基板。
- 電極基板が、(C)/(B)/(A)/(D)/(B)または(B)/(A)/(D)/(B)/(C)の順で構成されている、請求項13〜19のいずれかに記載の透明電極基板。
- 電極基板が、(C)/(A)/(B)/(D)/(B)または(A)/(B)/(D)/(B)/(C)の順で構成されている、請求項13〜19のいずれかに記載の透明電極基板。
- (D)と、その上に配置されている(A)、(B)または(C)との間に、シランカップラー、熱可塑性樹脂、放射線硬化型樹脂及び熱硬化性樹脂からなる群から選ばれる少なくとも一層のアンカー層(α)が配置されている請求項13〜21のいずれかに記載の透明電極基板。
- (i)硬化ポリマー層(B)側の電極基板上に、N−メチルピロリドンを25℃、10分間接触後、水洗したときのヘイズ値の変化が1(%)以下であり、かつ(ii)硬化ポリマー層(B)側の電極基板上に、3.5%水酸化ナトリウム水溶液を25℃、10分間接触後、水洗したときに変化がない、請求項13〜22のいずれかに記載の透明電極基板。
- 下記(A)〜(D)からなり、(A)と(B’)は隣接して組み合わされ、かつ(A)と(B’)との組み合わせは(C)と(D)の間に配置されるか、または(D)の(C)に対して反対側に配置されてなる透明電極基板。
(A)金属酸化物層
(B’)下記式(3)
から選ばれ、Bは、下記式(3−2)
で表される架橋構造単位を有するポリビニルアルコール系ポリマーから主としてなる硬化ポリマー層
(C)透明導電層
(D)波長590nmにおけるリターデションの値が30nm以下である透明高分子基板 - 硬化ポリマー層(B’)が、下記式(1)
で表わされるエポキシ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物と、下記式(2)
で表されるアミノ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物と、ポリビニルアルコール系ポリマーとから得られる、請求項24記載の透明電極基板。 - 下記(A)、(B)および(D)からなり、(A)が(B)に隣接し、かつ(B)が(D)の表面に形成された成形体。
(A)金属酸化物層
(B)
(B1)エポキシ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるエポキシけい素系化合物
(B2)アミノ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるアミノけい素系化合物
(B3)ポリビニルアルコール系ポリマーを架橋反応させてなる硬化ポリマー層
(D)波長590nmにおけるリターデションの値が30nm以下である透明高分子基板 - (I)エポキシけい素系化合物(B1)、アミノけい素系化合物(B2)およびポリビニルアルコール系ポリマー(B3)の使用割合が重量比で、下記式(11)を満たし、かつ(B1)および(B2)の使用割合がモル比で、下記式(12)を満たし、
(II)エポキシ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物が、3−ク゛リキト゛キシフ゜ロヒ゜ルトリメトキシシラン及び2−(3,4−エホ゜キシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランからなる群から選ばれ、かつアミノ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物が、3−アミノフ゜ロヒ゜ルトリメトキシシラン、3−アミノフ゜ロヒ゜ルトリエトキシシラン、3−アミノフ゜ロヒ゜ルメチルシ゛エトキシシラン、N−メチルアミノフ゜ロヒ゜ルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノフ゜ロヒ゜ルトリメトキシシラン、及びN−(2−アミノエチル)−3−アミノフ゜ロヒ゜ルメチルシ゛メトキシシランからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、
(III)ポリビニルアルコール系ポリマー(B3)が、けん化度80%以上のポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコールコポリマー、及び分子内にシリル基を有するポリビニルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、かつ
(IV)(D)が、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホンおよびポリエーテルスルホンからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項26または27記載の成形体。 - (i)硬化ポリマー層(B)側の成形体上に、N−メチルピロリドンを80℃、5分間接触後、水洗したときのヘイズ値の変化が1(%)以下であり、
(ii)硬化ポリマー層(B)側の成形体上に、3.5%水酸化ナトリウム水溶液を25℃、10分間接触後、水洗したときに変化がなく、かつ
(iii)硬化ポリマー層(B)側の成形体上に、5.0%塩酸水溶液を25℃、10分間接触後、水洗したときに変化がない、請求項26〜28のいずれかに記載の成形体。 - 下記(A)、(B)および(D)からなる成形体を製造する方法であって、(D)上に(A)と(B)とを接触するようにして積層したことを特徴とする成形体の製造方法。
(A)金属酸化物層
(B)
(B1)エポキシ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるエポキシけい素系化合物
(B2)アミノ基及びアルコキシシリル基を有するケイ素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、およびこれらの混合物からなる群から選ばれるアミノけい素系化合物
(B3)ポリビニルアルコール系ポリマーを架橋反応させてなる硬化ポリマー層
(D)波長590nmにおけるリターデションの値が30nm以下である透明高分子基板
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