JP2004122429A - 複層フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】液晶表示素子やEL素子等のプラスチック基板として用いることができ、高いガスバリア性を有し、大画面であってもムラのない高表示特性の画像が得られるフィルム並びに上記フィルムを基板に用いた液晶表示素子等を提供する。
【解決手段】プラスチックフィルム基材上にガスバリア層及び透明導電層が設けられ、(I)透明導電層の表面の25℃60%rhで測定した表面電気抵抗が1Ω/□以上500Ω/□以下であり、その分布が20%以下、(II)40℃90%rhで測定した水蒸気透過度が0.01g/m2・日以上5g/m2・日以下であり、その分布が20%以下、(III)40℃90%rhで測定した酸素透過度が0.01cc/m2・日以上1cc/m2・日以下であり、その分布が20%以下の複層フィルム並びにこのフィルムを基板に用いた液晶表示素子、EL素子、偏光板及びタッチパネル。
【選択図】 なし
【解決手段】プラスチックフィルム基材上にガスバリア層及び透明導電層が設けられ、(I)透明導電層の表面の25℃60%rhで測定した表面電気抵抗が1Ω/□以上500Ω/□以下であり、その分布が20%以下、(II)40℃90%rhで測定した水蒸気透過度が0.01g/m2・日以上5g/m2・日以下であり、その分布が20%以下、(III)40℃90%rhで測定した酸素透過度が0.01cc/m2・日以上1cc/m2・日以下であり、その分布が20%以下の複層フィルム並びにこのフィルムを基板に用いた液晶表示素子、EL素子、偏光板及びタッチパネル。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示素子、EL素子等に用いられるプラスチック基板としての複層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示素子等のフラットパネルディスプレイ分野において、耐破損性の向上、軽量化、薄型化の要望から、基板をガラスからプラスチックに変えることが検討されている。この基板には導電性を必要とするため、プラスチックフィルム上に、酸化インジウム、酸化錫、或いは錫−インジウム合金の酸化物等の半導体膜、金、銀、パラジウム合金の酸化膜等の金属膜、該半導体膜と該金属膜とを組み合わせて形成された膜を透明導電層として設けた透明導電性基板を液晶表示素子の電極基板として用いることが検討されている。またプラスチックフィルムを通過し表示素子内に拡散した酸素や水蒸気が画像の劣化をもたらすため、高いガスバリア性が要求されている。
このようなものとして、例えば下記特許文献1、特許文献2、特許文献3などに記載されている。これらの文献には、硬化樹脂を保護層として導入するという技術が開示されている。しかし、近年液晶表示素子の大型化が進み、これらのものを14インチを超えるような大型表示素子に適用しようとした場合、画像にムラが生じ改善が望まれていた。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−227603号公報(特許請求の範囲及び[0001]参照)
【特許文献2】
特開2000−284717号公報(特許請求の範囲及び[0001]参照)
【特許文献3】
特開2001−150584号公報(特許請求の範囲及び[0001]参照)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、液晶表示素子やEL素子等のプラスチック基板として用いることができ、高いガスバリア性を有し、大画面であってもムラのない高表示特性を有する画像が得られるフィルムを提供することにある。
本発明の他の目的は、上記フィルムを基板に用いた液晶表示素子、EL素子、偏光板及びタッチパネルを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成の複層フィルムにより達成される。
1.基材としてのプラスチックフィルム上にガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上に最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
透明導電層表面の25℃60%rhで測定した表面電気抵抗が1Ω/□以上500Ω/□以下であり、かつ表面電気抵抗の分布が20%以下であることを特徴とする複層フィルム。
2.基材としてのプラスチックフィルム上にガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上に最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
40℃90%rhで測定した水蒸気透過度が0.01g/m2・日以上5g/m2・日以下であり、かつ水蒸気透過度の分布が20%以下であることを特徴とする複層フィルム。
3.基材としてのプラスチックフィルム上にガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上に最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
40℃90%rhで測定した酸素透過度が0.01cc/m2・日以上1cc/m2・日以下であり、かつ酸素透過度の分布が20%以下であることを特徴とする複層フィルム。
4.上記1〜3のいずれかに記載の特徴を少なくとも二つ含むことを特徴とする複層フィルム。
5.基材としてのプラスチックフィルム上にガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上に最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
該複層フィルムを構成する層のうち、少なくとも二つの層が同時もしくは実質上同時に成膜されたことを特徴とする複層フィルム。
6.該同時もしくは実質上同時に成膜される層が、支持体をはさんで両側にあること特徴とする上記5に記載の複層フィルム。
7.該同時もしくは実質上同時に成膜される層のうち、少なくとも一層が透明導電層またはガスバリア層であることを特徴とする上記5または6に記載の複層フィルム。
8.該透明導電層と該ガスバリア層が真空成膜法により製膜されることを特徴とする上記5〜7のいずれかに記載の複層フィルム。
9.基材としてのプラスチックフィルム上にガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上に最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
プラスチックフィルムの送り速度を2m/分以上として高速成膜されたことを特徴とする複層フィルム。
10.1.3×10−5Pa(1×10−4mTorr)以下に達した後(到達真空度)、高真空度下で高速成膜されたことを特徴とする上記9に記載の複層フィルム。
11.成膜前にプラスチックフィルムが50℃以上200℃以下の温度で熱処理されていることを特徴とする上記9または10に記載の複層フィルム。
12.酸素ガスが全体の1〜30体積%で混合された希ガス雰囲気下に透明導電層が成膜されたことを特徴とする上記9〜11のいずれかに記載の複層フィルム。
13.上記7〜12のいずれかに記載の少なくとも二つの方法で製膜されたことを特徴とする上記9または10に記載の複層フィルム。
14.ガラス転移温度(Tg)が160℃以上の基材としてのプラスチックフィルムを用いたことを特徴とする上記1〜13のいずれかに記載のプラスチックフィルム。
15.上記1〜14のいずれかに記載の複層フィルムを用いた円偏光板。
16.上記1〜14のいずれかに記載の複層フィルムを用いた液晶表示素子。
17.上記1〜14のいずれかに記載の複層フィルムを用いたタッチパネル。
18.上記1〜14のいずれかに記載の複層フィルムを用いた有機EL素子。
【0006】
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、画像にムラが発生する問題点が、透明導電層、ガスバリア層の特性の不均一性に起因することを明らかにして本発明に至った。このような不均一性は、フィルムの幅が広いほど発生し易く、本発明では、以下の対策によりこれを克服した。
(i)少なくとも二つの層が同時もしくは実質上同時に成膜する。
上記故障の原因の一つは、透明導電層、ガスバリア層が成膜中に割れることに起因することを明らかにした。すなわち、透明導電層には酸化インジウム、酸化錫、或いは錫−インジウム合金の酸化物、酸化亜鉛等の半導体膜、金、銀、パラジウム合金の酸化膜等の金属膜、該半導体膜と該金属膜とを組み合わせて形成された膜が用いられる。またガスバリア層には珪素やアルミの酸化物、窒化物等が用いられる。これらの無機物の熱膨張係数は3〜10×10−6/℃であり、プラスチックフィルムの熱膨張係数(4〜10×10−5/℃)に比べ約1/10である。これらの層をプラスチックフィルム上にスパッタ、蒸着、CVD(ChemicalVapor Deposition)、IP(Ion Plating)等の真空成膜法で成膜すると、成膜に伴う発熱でプラスチックフィルムは加熱され、加熱状態(熱膨張している状態)で成膜される。これが冷却されると熱膨張係数の大きなプラスチックフィルムは大きく収縮するが、透明導電層、ガスバリア層の収縮は僅かである。このような収縮量の差による応力(内部応力)のため導電層、ガスバリア層を凸にしてカールが発生する。このようなカールによる湾曲がこれらの層を破壊する。このような故障は成膜幅が広いほど発生し易く、これらの故障により、これらを液晶表示素材に使用した場合、表示ムラが発生しやすかった。
これに対して本発明では、複層フィルムを構成する層のうち少なくとも二つの層が同時(もしくは実質上同時)に成膜されることで複層フィルムのカールを相殺することができ、結果として良好な導電性およびガスバリア性を得るに至った。同時(もしくは実質上同時)に成膜される層は支持体の上下両方向に存在することが好ましく、少なくともその一つの層が透明導電層またはガスバリア層であることがさらに好ましい。本発明でいう同時成膜あるいは実質上の同時成膜は、巻き取りから送り出しの1パスの間に両層の成膜を実施することを指す。即ちこれらの成膜はプラスチックフィルムを成膜源の間を通過させながら、ここから蒸発あるいはスパッタされる成膜成分をそのままあるいは酸化、窒化等の化学反応を伴いながらこれらの層を成膜するが、本発明では、この1パスの間に両側に対向して設置した成膜源の間を通して同時にプラスチックフィルムの両側に成膜してもよく(同時成膜)、表面と裏面のタンデムに設置した成膜源の間を通して交互に成膜しても良い(実質上の同時成膜)。より好ましくは後者である。以後、同時成膜は両者含んだ概念として用いる。
【0007】
(ii)導電層とガスバリア層をプラスチックフィルムの表と裏に、該フィルムの送り速度を2m/分以上の高速として高速成膜する。
プラスチックフィルムの送り速度を2m/分以上、より好ましくは3m/分以上、さらに好ましくは5m/分以上の高速として高速成膜することでも、導電層、ガスバリア層の特性の不均一性(ムラ)を少なくすることができる。即ち、高速で成膜することで透明導電層、ガスバリア層の内部応力を小さくすることができる。これは、高速で成膜することでこれらの層の密度を高くしすぎないためと推定している。即ち密度が高いと、これらの層の弾性率が増加し易く、同じ寸法変化が生じても、大きな内部応力が発現しやすいためと推定される。この方法は、上記(i)の方法と併用することが好ましい。
しかし、このような密度の低い層は、導電性、ガスバリア性が低下し易い。これを補うために、1.3×10−5Pa(1×10−4mTorr)以下の高真空(到達真空度)にした後成膜することで、これを防止できる。より好ましくは1.1×10−5Pa(8×10−5mTorr)以下、さらに好ましくは8.0×10−6Pa(6×10−5mTorr)以下である。即ち、到達真空度が低い(低真空:大気圧に近い)と、水等の残留分子が成膜中に取り込まれ、これらが導電性、ガスバリア性を低下させる。このため、成膜前に十分高真空にすることで、導電性、ガスバリア性の低下を防ぐことができる。
このような残留分子はプラスチックフィルム中にも多く取り込まれており、成膜前に50℃以上200℃以下の温度範囲で熱処理することで、これを追い出し、上記効果を一層顕著にすることができる。より好ましくは80℃以上200℃以下、さらに好ましくは110℃以上200℃以下の温度範囲である。好ましい昇温時間は1秒以上20分以下、より好ましくは3秒以上15分以下、さらに好ましくは5秒以上10分以下である。
このような処理は高温のほうがより短時間で実施でき好ましいが、基材フィルムがそれに耐える耐熱性を有することが必要である。従って、後述するように本発明では耐熱性の高い(ガラス転移温度(Tg)の高い)基材フィルムを用いることがより好ましい。これらの熱処理は、赤外線ヒーターによる加熱、熱ロールに接触させる等の方法で容易に達成できる。
【0008】
さらに透明導電層にはITO、ZnOが多く用いられるが、これらは成膜中に酸素が外れ酸素が欠落した構造を取りやすい。とくに上記のように加熱され活性化された基材フィルムに高速で成膜するときに顕在化する。この結果表面電気抵抗が大きくなりやすい。このため、通常これらの成膜は不活性な希ガス中で行うが、本発明では希ガス中に酸素ガスを混合し、酸素が欠落しても雰囲気中から直ぐに補えるようにしたことも特徴である、好ましい酸素ガス量は希ガスに対し1体積%以上30体積%以下、より好ましくは1体積%以上8体積%以下、さらに好ましくは1体積%以上5体積%以下である。
【0009】
本発明の複層フィルムを形成するための方法の一例を図1に模式的に示す。
図1において、送り出し1から繰り出されたプラスチックフィルムは、加熱ロール2に接触した後、赤外線ヒーター3の間を通過することで熱処理される。この後、導電層を導電層成膜装置4でプラスチックフィルム上に製膜した後、導電層の反対面にガスバリア層をガスバリア層成膜装置5で製膜する。この後プラスチックフィルムを基材とする複層フィルムを巻き取る。この時、図1に示すように導電層、ガッスバリヤー層の成膜速度を上げるために、成膜源(4−1及び5−1)を複数設置することが好ましい。
【0010】
本発明の複層フィルムは、最外層に位置する透明導電層の表面の25℃60%rhで測定した表面電気抵抗が1Ω/□以上500Ω/□以下が好ましく、より好ましくは3Ω/□以上200Ω/□以下、さらに好ましくは5Ω/□以上70Ω/□以下である。このような低抵抗の膜を成膜するには、膜厚を上げて成膜する必要がある。しかし、厚膜成膜品は熱歪みによる応力の発生が大きいため、加熱中に厚膜の層が破断し易く、特に上記のよな画像の表示ムラの原因となる。したがって、本発明は、このような厚膜成膜を行う場合に特に有効である。
また、表面電気抵抗の分布は20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下である。分布が20%を超えて広いと、画像表示ムラが生ずる。
上記表面電気抵抗の測定方法及び表面電気抵抗の分布の定義及び測定方法は、後記の実施例の項に詳しく記載されている。
表面電気抵抗を1Ω/□以上500Ω/□以下とし、その分布を20%以下とすることは、前記(i)同時成膜および/または(ii)高速成膜により達成される。
【0011】
さらに、本発明の複層フィルムは、ガスバリア層の40℃90%rhで測定した水蒸気透過度が0.01g/m2・日以上5g/m2・日以下が好ましく、より好ましくは0.03g/m2・日以上3g/m2・日以下、さらに好ましくは0.05g/m2・日以上2g/m2・日以下である。
また、ガスバリア層の40℃90%rhで測定した酸素透過度は0.01cc/m2・日以上1cc/m2・日以下が好ましく、より好ましくは0.03cc/m2・日以上0.6cc/m2・日以下、さらに好ましくは0.05cc/m2・日以上0.4cc/m2・日以下である。
このような水蒸気、酸素に対し高バリヤー性を有する膜を成膜するには、膜厚を上げて成膜する必要があり、このような場合に特に上記のよなムラが発現しやすい。即ち本発明の効果は、このような厚膜成膜を行う場合に特に有効である。
水蒸気透過度及び酸素透過度の測定方法、これらの分布の定義及び測定方法は、後記の実施例の項に詳しく記載されている。
水蒸気透過度を0.01g/m2・日以上5g/m2・日以下とし、その分布を20%以下とするには、前記(i)同時成膜および/または(ii)高速成膜により達成される。
酸素透過度を0.01cc/m2・日以上1cc/m2・日以下とし、その分布を20%以下とするには、前記(i)同時成膜および/または(ii)高速成膜により達成される。
【0012】
以下に複層フィルムの構成要素に従って、詳細な説明を加える。
[基材フィルム:S]
本発明の基材フィルムは、ガラス転移温度(Tg)が160℃以上、より好ましくは180℃以上300℃以下、さらに好ましくは190℃以上250℃以下であることが好ましい。このような基材フィルムの素材として以下のポリマーが挙げられる(括弧内はTgを示す)。
即ち、ポリアリレート(PAr:210℃)、ポリエーテルスルホン(PES:220℃)、ポリスルホン(PSF:190℃)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584号公報の実施例1の化合物:162℃)、変性ポリカーボネート(MPC:特開2000−227603の実施例4の化合物:225℃)、アクリロイル化合物(特開2002−80616の実施例−1の化合物:300℃以上)が挙げられる。
これらの中でとくに好ましいのが、PAr、PES、MPCであり、とくに好ましいのがMPCである。MPCは例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、下記式[I]で表わされるビスフェノールをビスフェノール成分とするポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0013】
【化1】
【0014】
上記のポリカーボネート樹脂は、共重合体であってもよく、2種類以上併用して用いてもよい。このようなポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノール成分が(i)ビスフェノールAであるホモポリマー及び(ii)ビスフェノールAと、上記式[I]においてXが1,1−(3,3,5−トリメチル)シクロヘキシレンまたは9,9−フルオレニレンであるビスフェノールとからなる共重合体が好ましい。上記共重合体の組成は、好ましくはビスフェノールAが10〜90モル%である。
【0015】
上記のポリカーボネート樹脂は、共重合体であってもよく、2種類以上併用して用いてもよい。このようなポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノール成分が(i)ビスフェノールAであるホモポリマー及び(ii)ビスフェノールAと、上記式[I]においてXが1,1−(3,3,5−トリメチル)シクロヘキシレンまたは9,9−フルオレニレンであるビスフェノールとからなる共重合体が好ましい。上記共重合体の組成は、好ましくはビスフェノールAが10〜90モル%である。
【0016】
基材フィルムの厚みは、40μm以上400μm以下が好ましく、より好ましくは60μm以上300μm以下、さらに好ましくは80μm以上200μm以下である。基材フィルムの全光透過率は、80%以上が好ましく、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは88%以上である。ヘーズは3%以下が好ましく、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下である。リターデーション値は30nm以下が好ましく、よい好ましくは20nm以下である。遅相軸のバラツキは±30度以内が好ましく、より好ましくは±15度以内、さらに好ましくは±8度以内である。
このような基材フィルムは、溶液製膜法及び溶融製膜法のいずれの方法で製造されてもよいが、より好ましくは平面性に優れる溶液流延法である。
【0017】
[ガスバリヤア層:X]
上記基材フィルムの少なくとも一方の面にガスバリア層(X)を少なくとも一層積層することが好ましい。
ガスバリア層としては、例えば珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン、イットリウム、タンタルからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属を主成分とする金属酸化物、珪素、アルミニウム、ホウ素の金属窒化物またはこれらの混合物を挙げることができる。この中でも、ガスバリア性、透明性、表面平滑性、屈曲性、膜応力、コスト等の点から珪素原子数に対する酸素原子数の割合が1.5〜2.0の珪素酸化物を主成分とする金属酸化物が良好である。これら無機のガスバリア層は例えばスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する真空成膜法により作製することができる。なかでも、特に優れたガスバリア性が得られるという観点から、スパッタリング法が好ましい。
このようなスパッタ法、の場合の好ましい成膜真空度は1.3×10−3Pa(0.01mTorr)以上6.7Pa(50mTorr)以下、より好ましくは6.7×10−3Pa(0.05mTorr)以上1.3Pa(10mTorr)以下である。出力は0.1kw以上50kw以下が好ましく、より好ましくは0.3kw以上40kw以下、さらに好ましくは0.6kw以上30kw以下である。この場合交流で印加しても直流で印加しても構わない。
スパッタターゲットは珪素、酸化珪素、二酸化珪素を用いることができる。スパッタリングに用いるガスはアルゴン等の希ガスを中心に用いるが、珪素の場合1体積%〜30体積%、より好ましくは2体積%〜25体積%酸素を添加するのがより好ましい。酸化珪素の場合は0.1体積%〜20体積%、より好ましくは0.5体積%〜10体積%酸素を添加するのがより好ましい。ニ酸化珪素の場合は0体積%〜10体積%、より好ましくは0.01体積%〜3体積%酸素を添加するのがより好ましい。
また上述のようにガスバリア層を設ける前に基材フィルムを50℃以上200℃以下に加熱することが好ましい。さらに上述のようにガスバリア層を設けている間に50℃以上200℃以下に加熱することが好ましい。
このようにして得たガスバリア層の膜厚は10nm〜300nmが好ましく、より好ましくは30nm以上200nm以下、さらに好ましくは50nm以上180nm以下である。
【0018】
[透明導電層(E)]
透明導電層(E)としては、公知の金属膜、金属酸化物膜等が適用できるが、中でも、透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましい。例えば、不純物としてスズ、テルル、カドミウム、モリブテン、タングステン、フッ素、亜鉛、ゲルマニウム等を添加した酸化インジウム、酸化カドミウム及び酸化スズ、不純物としてアルミニウムを添加した酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物膜が挙げられる。中でも酸化スズから主としてなり、酸化亜鉛を2〜15質量%含有した酸化インジウムの薄膜が、透明性、導電性が優れており、好ましく用いられる。
これら透明導電層は例えばスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する真空成膜法により作製することができる。なかでも、特に優れた導電性・透明性が得られるという観点から、スパッタリング法が好ましい。
スパッタリングの場合の好ましい出力は1kW以上30kW以下が好ましく、より好ましくは2kW以上25kW以下である。この場合、直流で印加しても交流で印加しても構わない。この場合の好ましい成膜真空度は1.3×10−3Pa(0.01mTorr)以上6.7Pa(50mTorr)以下、より好ましくは6.7×10−3Pa(0.05mTorr)以上1.3Pa(10mTorr)以下である。スパッタターゲットは酸化インジウムと酸化すずの混合物を用い、その混合比は質量比で70:30〜99:1が好ましく、より好ましくは80:20〜98:2、さらに好ましくは85:15〜97:3である。
スパッタリングに用いるガスは希ガスが好ましく、より好ましくはアルゴンである。通常はこれらの透明導電層の成膜はこれらの希ガスのみの中で行われるが、本発明では、さらにこの中に上述のように表面電気抵抗を下げるために、0.01体積%〜10体積%の酸素を添加するのがより好ましい。
また上述のように透明導電層を設ける前に50℃以上200℃以下に加熱することが好ましい。さらに上述のように透明導電層を設けている間に50℃以上200℃以下に加熱することが好ましい。
このようにして得た透明導電層の膜厚は20nm〜500nmが好ましく、より好ましくは50nm以上300nm以下が好ましい。
【0019】
[保護層(D)]
基材フィルムの耐溶剤性を得るために保護層(D)を設けることが好ましい。即ち基材フィルムは光学的等方性を得るために非晶性の材料を用いるが、これらは溶剤に対し耐性が低いため、この表面に保護層(耐溶剤層)を付与し基材フィルムに溶剤が染み込まないようにする必要がある。このためこれらの保護層は溶剤で膨潤し難い架橋ポリマー層やゾルゲル層が好ましく用いられる。
(1)架橋型保護層
一般に、保護コート剤、ハードコート剤として用いられるものであれば特に限定されない。たとえば、アクリル系、メラミン系、アルキッド系、ウレタン系などの紫外線硬化型、熱硬化型のハードコート剤、脂環式構造含有重合体などの樹脂が挙げられる。中でも、透明性および耐熱性に優れ、しかも隣接する層との密着性の観点からは、好ましくはアクリル系、シリコン系のハードコート剤、より好ましくは硬化型アクリル系のハードコート剤、さらに好ましくは紫外線硬化型アクリル系のハードコート剤、特に好ましくは多官能のアクリル系紫外線硬化型のハードコート剤である。
【0020】
アクリル系紫外線型ハードコート剤は、反応性モノマー及び/又は反応性オリゴマーと、光重合開始剤とを含むものが用いられる。反応性モノマーとしては、たとえば、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、その他の高級アルキルアクリレート等の単官能アクリレートモノマー;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、テトラメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、ペンタエリストール等のポリオール類に2個以上のアクリレートが結合した多官能性アクリレートモノマー等を挙げることができる。中でも、1〜6官能性アクリレートモノマーが好ましく、より好ましくは2,3官能性アクリレート、さらに好ましくは脂環式構造を含有する2,3官能性アクリレートである。
反応性オリゴマーとしては、たとえば、末端にアクロイル基を持つポリエステルアクリレート、分子鎖中にエポキシ基かつ末端にアクリロイル基を持つエポキシアクリレートまたはポリウレタンアクリレート、分子鎖中に二重結合を持つ不飽和ポリエステル、1,2−ポリブタジン、その他のエポキシ基を持つオリゴマーを挙げることができる。
【0021】
光重合開始剤としては、たとえば、2,2−ジメトキシ−2フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2フェニルアセトフェノン、塩素化アセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンゾフェノン類;ベンジル、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、ベンゾイルアルキルエーテル等のベンゾインエーテル類;α,α’−アゾイソブチルニトリル、2,2’−アゾビスプロパン、ヒドラゾン等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド等の有機パーオキサイド類;ジフェニルサルファイド、ジベンゾイルサルファイト等のジフェニルジサルファイド類を挙げることができる。
【0022】
アクリル系ハードコート剤としては、ガラス転移点が5〜110℃で、質量平均分子量1万〜10万、酸価0.5〜4のアクリル系樹脂が用いられ、更にシランカップリング剤を含むのが好ましい。ガラス転移点が110℃を越えると樹脂が固く、ワニスが皮張りしやすくなり、塗工適性も極めて悪く、塗工面とガスバリア層(C)との密着力が低下する。一方、ガラス転移点が5℃未満であると、非常にブロッキングしやすくなり、後工程で加熱工程がある場合、アクリル系樹脂が流動する可能性があり、その場合かなり大きな寸法変化を起こす。
アクリル系樹脂の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されたポリスチレン換算値として、1万〜10万、好ましくは4万〜7万である。分子量が1万未満であると保護コート層(D)の溶剤耐性が劣り、10万を越えるとアクリル系樹脂が汎用溶媒に溶解しづらく、更にワニス化適性が悪くゲル化しやすい。酸価は1〜4であることが好ましい。酸価が1未満であると耐溶剤性が劣り、4を越えると加水分解の恐れがある。
【0023】
このような保護層とガスバリア層、透明導電層との密着改良のためにシランカップリング剤を配合することがより好ましい。シランカップリング剤としては、けい素原子に直接に、または酸素原子もしくは−OCO−基を介して結合した炭化水素基を有し、これらの炭化水素基の少なくとも一つは二重結合,ハロゲン原子,エポキシ基,酸無水物基,アルコキシカルボニル基,アミノ基,アクロイル基,メタクリロイル基,アクリルアミノ基,メタクリルアミノ基またはハロアシルアミノ基を有するものが挙げられる。このうち特にエポキシ基やアミノ基を有する化合物が好ましい。前記樹脂とシランカップリング剤との混合比は、樹脂100質量部に対して、シランカプリング剤0.1〜10質量部であり、好ましくはシランカプリング剤1〜5質量部である。
【0024】
(2)ゾルゲル型保護層
ゾルゲル反応を利用した層であれば特に限定されないが、これらのなかで好ましいのが珪素から成るゾルゲル層である。この中で特に好ましいのが、エポキシ基含有珪素化合物はエポキシ基及びアルコキシシリル基を有する珪素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、及びこれらの混合物である。なお、本発明におけるエポキシ基含有珪素化合物ならびにアミノ基含有珪素化合物の(部分)加水分解物及びその(部分)縮合物は、上述のエポキシ基含有珪素化合物ならびにアミノ基含有珪素化合物の一部または全部が加水分解したもの、該加水分解物の一部又は全部が縮合反応した縮合物、及び該縮合物と加水分解していない原料のエポキシ基含有珪素化合物ならびにアミノ基含有珪素化合物とが縮合したものであり、これらはいわゆるゾルゲル反応させることにより得られるものである。ここで加水分解物は、例えば塩酸等の無機酸、酢酸等の有機酸などの酸性水溶液または水と混合した後、100℃から200℃に」加熱することにより得られる。
これは例えば下記式[II]で表される。
X−R11−Si(R12)n(OR13)3−n [II]
ここで、R11は炭素数1〜4のアルキレン基、R12及びR13は炭素数1〜4のアルキル基、Xはグリシドキシ基またはエポキシシクロヘキシル基であり、nは0または1の数である。
特に好ましいエポキシ基含有珪素化合物としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランである。これらの化合物は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0025】
アミノ基含有珪素化合物は、アミノ基及びアルコキシシリル基を有する珪素化合物その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、またはこれらの混合物からなる群から選ばれ、例えば下記式[III]で表される。
Y−HN−R14−Si(R15)m(OR16)3−m [III]
ここで、R14は炭素数1〜4のアルキレン基、R15及びR16は同一または異なって炭素数1〜4のアルキル基、Yは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアミノアルキル基であり、mは0または1の数である。
この中で特に好ましいアミノ基含有珪素化合物は、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランである。これらの化合物は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、エポキシ基含有珪素化合物とアミノ基含有珪素化合物は組み合わせて用いることができる。なお、エポキシ基含有珪素化合物とアミノ基含有珪素化合物の混合比率は、エポキシ基量(モル)Ep、アミノ基量(モル)Apの比率で1/6<Ep/Ap<6/1の範囲内が好ましい。
【0026】
これらのゾルゲル組成物は単体では割れやすいためポリマーといっしょに用いることが好ましい。このような層は溶液塗布されるため溶剤に溶けるものであれば特に限定されないが、より好ましいものとして、ゾルゲル層との親和性を上げるために水酸基を有するものが好ましく、より好ましくはビニルアルコール系ポリマーである。ここでビニルアルコール系ポリマーとは、ビニルアルコールをモノマー成分として50モル%以上含有するビニルアルコール共重合体、またはビニルアルコールのホモポリマーをいう。このビニルアルコール共重合体としては、例えばビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ビニルアルコールビニルブチラール共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、あるいは分子内にシリル基を有するポリビニルアルコールが挙げられる。なかでも、好ましいのがエチレン−ビニルアルコール共重合体である。
このようなビニルアルコール系ポリマーは、水、アルコール、ジメチルイミダゾリン等の有機溶媒に溶解してコーティング組成物の成分とする。例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体は、水とプロパノールを主成分とする混合溶媒に溶解してコーティング組成物の成分として用いるのがよい。
ゾルゲル層のビニルアルコール系ポリマーへの添加率は5質量%以上70質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以上50質量%以下である。
【0027】
これらの保護層の厚みは0.5μm以上30μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以上20μm以下である。
これらの保護層を設ける方法としては、グラビアコーティング,リバースコーティング,キスコーティング,スピンコーティング,ワイヤーバーコーティング,ロールコーティング,ナイフコーティングなどが挙げられる。また架橋型保護層を用いる場合は、高圧水銀灯等の紫外線を発生する光源から紫外線を照射することにより、硬化が短時間で達成される。
これらの保護層には、適宜、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、マット剤などを配合してよい。
【0028】
[層構成]
上述の、基材フィルム(S)、透明導電層(E)、ガスバリア層(X)、保護層(D)を積層した例を以下に示す。
透明導電層は最外層にあれば、ガスバリア層(X)および保護層(D)と基材フィルム(S)に対して同じ側にあってもよいし、反対側にあってもよい。また、ガスバリア層と保護層は片側のみにあってもよいし、両側にあってもよい。
(1) D/X/S/D/E
(2) D/X/D/S/D/E
(3) D/X/S/D/X/E
(4) D/X/D/S/D/X/E
(5) D/X/D/X/S/D/E
(6) D/X/D/X/S/D/X/E
(7) D/X/D/X/S/D/E
(8) D/X/D/X/S/D/E
(9) D/X/D/X/S/X/D/E
(10) D/X/D/X/S/X/D/E
(11) D/X/D/X/S/D/E
(12) D/X/D/X/S/X/D/E
【0029】
〔測定法〕
本発明において規定する各種物性値は下記の方法で測定される。
(1)表面電気抵抗およびその分布
・複層フィルムの全幅にわたり10等分し、これを長手方向に30cm毎に5点、合計50点について下記の方法で表面電気抵抗を測定する。
25℃60%rhに3時間以上調湿後、KEITHLEY製の8009 RESISTIVITY TEST FIXTUREとKEITHLEY製の6517A型を用いて表面電気抵抗を測定する。
・全50点の表面電気抵抗の平均値をRav、最大値をRmax、最小値をRminとする。Ravを表面電気抵抗とし、(Rmax−Rav)×100/Rav、(Rav−Rmin)×100/Ravのうち大きい方を表面電気抵抗の分布とした。
【0030】
なお、本明細書で透明導電層の表面電気抵抗(Ra)とは、透明導電層そのものの電気抵抗であり、透明導電層を含む複層フィルム全体の電気抵抗(Rb)、および透明導電層のみを除いた複層フィルムの電気抵抗(Rc)を用いて以下のように表される。
1/Ra=1/Rb−1/Rc
すなわち、透明導電層の有る層と無い層のそれぞれの電気抵抗を測定することで求めることができる。
(2)水蒸気透過度
・複層フィルムの全幅にわたり10等分し、これを長手方向に30cm毎に5点、合計50点について下記のように水蒸気透過度を測定する。
MOCON社製、パーマトランW1Aを用いて、40℃、90%RH雰囲気下において24時間測定し水蒸気透過度を測定する。
・全50点の水蒸気透過度の平均値をWav、最大値をWmax、最小値をWminとする。Wavを水蒸気透過度とし、(Wmax−Wav)×100/Wav、(Wav−Wmin)×100/Wavのうち大きい方を水蒸気透過度の分布とした。
(3)酸素透過度
・複層フィルムの全幅にわたり10等分し、これを長手方向に30cm毎に5点、合計50点について下記のように酸素透過度を測定する。
MOCON社製、OX−TRAN 10/50Aを用いて40℃、90%RH雰囲気下において24時間測定し酸素透過度を測定する。
・全50点の酸素透過度の平均値をOav、最大値をOmax、最小値をOminとする。
Oavを酸素透過度とし、(Omax−Oav)×100/Oav、(Oav−Omin)×100/Oavのうち大きい方を水蒸気透過度の分布とした。
【0031】
なお、本明細書で水蒸気透過度および酸素透過度とは、前記複層フィルムの[層構成]で示したような複層フィルムについて測定した値であり、その上に機能性材料(例えば、円偏光膜、TN型液晶表示装置)を搭載した複層フィルムについて測定した値ではない。
(4)Tg
・サンプルを20mgサンプルパンに入れ、これを一度300℃まで20℃/分で昇温後、急冷する。これを再び窒素気流中で20℃/分で300℃まで昇温しながら示差熱分析系(DSC)を用いて測定する。ベースラインがTgを挟んで平行移動するが、低温側のベースラインの外挿線と、ベースラインが2本の平行線の間で移動している領域の外挿線の交点をTgとした。
【0032】
[円偏光板・液晶表示素子・タッチパネルの作成]
(i)円偏光板
このようにして得た複層フィルムにλ/4板と偏光板を積層し円偏光板を作成することができる。この場合λ/4の遅相軸と偏光板の吸収軸を45度になるように積層する。このような偏光板は長手方向(MD)に対し45度方向に延伸されているものを用いるのがより好ましく、特開2002−865554号公報に記載のものを好ましく用いることができる。
(ii)液晶表示素子
反射型液晶表示装置に用いる場合は、下から順に、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなる。
このうち本発明のプラスチック基板である複層フィルムは、透明電極、上基板として使用することができる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を反射電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
透過型液晶表示装置に用いる場合は、下から順に、バックライト、偏光板、λ/4板、下透明電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、上透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなる。このうち本発明のプラスチック基板は上透明電極、上基板として使用することができる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を下透明電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
液晶セルは特に限定されないが、より好ましくはTN(twisted Nematic )型、STN(Supper Twisted Nematic)型またはHAN(Hybrid Aligned Nematic)型、VA(Verticaly Allignment)型、ECB型(Electricaly Controlled Birefrigence)、OCB型(Optically Compensatory Bend)、CPA型(Continious Pinwheel Alignment)であることが好ましい。
(iii)タッチパネル
タッチパネルは、特開平5−127822号、特開2002−48913号等の公報に記載のものに応用することができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、部および%は、特に断らない限り質量基準である。また、実施例中における各種の測定は、下記のとおり行った。
また、実施例中における(1)表面電気抵抗およびその分布、(2)水蒸気透過度、(3)酸素透過度、および(4)ガラス転移温度(Tg)の測定は、前記の方法にしたがって測定した。
【0034】
なお、後掲の化合物名は以下の略号を用いた。
BisA/BCF−PC:ビスフェノールAと9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(BCF)をビスフェノール成分とするポリカーボネート共重合体
BisA/IP−PC:ビスフェノールAと3,3,5−トリメチル−1,1−ジ(4−フェノール)シクロヘキシリデン(IP)をビスフェノール成分とするポリカーボネート共重合体
PES:ポリエーテルスルフォン
COC:環状オレフィンコポリマー
PC:ビスフェノールAのみをビスフェノール成分とするポリカーボネート重合体
ITO:インジウム−スズ酸化物(Indium tin oxide)
【0035】
[実施例1]
(1)基材フィルム(S)
下記素材のように基材フィルムを成膜した。これらの幅を表1に記載した。長さは全て3000m長である。厚みは全て100μmである。
(i)MPC−1
BisA/BCF=1/1(モル比)でTgが225℃のポリカーボネート共重合体(BisA/BCF−PC)をメチレンクロライドに20質量%になるように溶解した。そしてこの溶液をダイコーティング法によりステンレスバンド上に流延した。次いで、乾燥炉で残留溶媒濃度が13質量%になるまで乾燥し、ポリエステルフィルムから剥離した。そして、得られたフィルムを温度120℃の乾燥炉で縦横の張力をバランスさせながら、該フィルム中の残留溶媒濃度が0.08質量%になるまで乾燥させた。
(ii)MPC−2
BisA/IP=2/3(モル比)でTgが205℃のポリカーボネート共重合体(BisA/IP−PC)をMPC−1と同様に流延製膜した。
(iii)PES
溶融押し出し法を用いて製膜した未延伸ポリエーテルスルホンフィルム(PESフィルム:住友ベークライト製スミライトFS−1300)を用いた。
(iv)COC
溶融押し出し法を用いて製膜したポリノルボルネンフィルム(日本ゼオン製ゼオノアZF16−100)を用いた。
(v)PC
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA;BisA)のみをビスフェノール成分とするポリカーボネートを用い、MPC−1と同様にして製膜した。
【0036】
(2)ガスバリア層(X)、透明導電層(E)
表1記載の到達真空度に達した後、成膜真空度(0.13Pa:1mTorr)にした。この中で基材フィルムを表1記載の成膜速度でロールから送り出し、該フィルムの両面に設置した赤外線加熱器により、表1記載の温度、時間で基材フィルムを加熱した。この後、表1に記載の順番に下記ガスバリア層(Xo、Xn)、透明導電層(Ei、Ez)を表1記載の構成で同時成膜した。なお、比較例−1はガスバリア層を成膜後、これを巻き取り、これを再度送り出しその反対面に透明導電層(Ei、Ez)を逐次成膜した。
(i)SiOxガスバリア層(Xo)
DCマグネトロンスパッタリング法により、SiをターゲットとしスパッタリングガスとしてAr/O2混合ガス(体積比:80/20)を導入し出力5kWでスパッタリングし表1記載の厚みのSiOx層を製膜した。本発明ではxはいずれも1.8〜2であった。
併せて同様の条件で真空蒸着法(PV法)、イオンプレーティング法(IP法)で実施した。これらの場合、Siを坩堝に入れ1400℃に加熱し、上記混合ガスのなかで成膜した。
【0037】
(ii)SiOxNyガスバリア層(Xn)
RFマグネトロンスパッタリング法により、Siをターゲットとし、Ar/O2/N2混合ガス(体積比:60/20/20)を導入し、O2、N2を用いてスパッタリングし、表1記載の厚みのSiOxNy膜を得た。なお、本発明のものはいずれもx、yとも0.8〜1.2であった。
併せて同様の条件でPV法、IP法で実施した。これらの場合、Siを坩堝に入れ1400℃に加熱し、上記混合ガスのなかで成膜した。
(iii)ITO透明導電膜(Ei)
150℃に加熱したドラムの上を通しながら、ITOをターゲットとし、表1記載の組成のガスを導入し、DCマグネトロンスパッタリング法により、5kWで表1記載の厚みのITO膜からなる透明導電層(Ei)を設けた。
併せて同様の条件でPV法、IP法で実施した。これらの場合、ITOを坩堝に入れ1400℃に加熱し、表1記載の混合ガスのなかで成膜した。
【0038】
(iv)ZnO透明導電膜(Ez)
150℃に加熱したドラムの上を通しながら、ZnOをターゲットとし、表1記載の組成のガスを導入し、Rfマグネトロンスパッタリング法により、5kWで表1記載の厚みのZnO膜からなる透明導電層(Ez)を設けた。
併せて同様の条件でPV法、IP法で実施した。これらの場合、ZnOを坩堝に入れ1400℃に加熱し、表1記載の混合ガスのなかで成膜した。
【0039】
【表1】
【0040】
(3)保護層(D)
・下記ゾルゲル層あるいは架橋層を用い、表1記載の構成で成膜した。なお、これらの層を基材フィルム上に直接設ける場合は、これらの塗布の直前にコロナ放電処理を実施した。
(i)混合ゾルゲル層(D1)
エチレンビニルアルコール共重合体(クラレ製「エバール」:EVOH)100部を、水720部、n−プロパノール1080部の混合溶媒に加熱溶解させ、均一溶液を得た。この溶液にレベリング剤(東レダウコーニング社製「SH30PA」を0.1部、酢酸39部加えた後、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(ECHETMOS) 211部を加え10分間撹拌した。更にこの溶液に3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMOS) 77部を加えて3時間撹拌しコーティング組成物を得た。コーティング組成物の組成は、(EVOH)/[(ECHETMOS)+(APTMOS)]=1/2,(ECHETMOS)/(APTMOS)=2/1とした。このコーティング組成物を、表1に記載の厚みでバーコーティングし、130℃3分熱処理を行った。
(ii)ゾルゲル層(D2)
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(ECHETMOS) 211部にレベリング剤(東レダウコーニング社製「SH30PA」を0.1部、酢酸39部を加えた後10分間撹拌した。更にこの溶液に3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMOS) 77部を加えて3時間撹拌しコーティング組成物を得た。コーティング組成物の組成は、(ECHETMOS)/(APTMOS)=2/1とした。このコーティング組成物を、表1に記載の厚みでバーコーティングし、130℃3分熱処理を行った。
(iii)架橋層(D3)
下記処方の塗布液を常温にて攪拌溶解後、バーコーターで表1記載の乾燥膜厚となるように塗工し、80℃、10分の条件で加熱した後、紫外線を照射した。
・アクリル系樹脂(ガラス転移点105℃、質量平均分子量67000、酸価2のアクリル(三菱レイヨン株式会社LR−1065));100質量部
・シランカップリング剤(信越化学株式会社製KBM−573;N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン);1質量部
・酢酸ブチル;400質量部
【0041】
(4)評価
このようにして得た複層フィルムを、未処理の表面電気抵抗およびその分布、水蒸気透過度およびその分布、酸素透過度およびその分布を上記の方法で測定し、表2に記載した。本発明のものは、これらの分布は小さく、広幅の複層フィルムにおいても良好な均一性を達成した。
また本発明の複層フィルムはいずれも光線透過率88%以上、ヘーズ2%以下、面内、厚み方向いずれのレターデーションも10nm以下の良好な光学特性を示した。
【0042】
【表2】
【0043】
(5)円偏光膜の作製
本発明の複層フィルムの透明導電層の反対側に、特開2000−826705号公報、特開2002−131549号公報に記載のλ/4板を積層し、さらにその上に特開2002−865554に記載の偏光板を積層し円偏光板を作成した。なお偏光膜の透過軸とλ/4板の遅相軸との角度は45°となるように配置した。
【0044】
(6)液晶表示装置の作成
(i)TN型液晶表示装置の作製
本発明のプラスチックフィルム、微細な凹凸が形成されたアルミニウム反射電極を設けたガラス基板の透明導電(ITO)層、電極側に、それぞれポリイミド配向膜(SE−7992、日産化学(株)製)を形成した。これにラビング処理を行った後、1.7μmのスペーサーを介して、二枚の基板(ガラス基板とプラスチックフィルム)を配向膜が向かい合うように重ねた。二つの配向膜のラビング方向は、110゜の角度で交差するように、基板の向きを調節した。基板の間隙に、液晶(MLC−6252、メルク社製)を注入し、液晶層を形成した。このようにして、ツイスト角が70゜、Δndの値が269nmの15インチTN型液晶セルを作製した。
プラスチックフィルムの透明導電層と反対面に上記λ/4板、偏光板を積層し反射型液晶表示装置を作成した。本発明のプラスチックフィルムを用いたものは、このような大型表示装置に用いても、全面にわたり均一な表示を実現し、色ずれ(全面白表示としたとき、肉眼で白くないと判断される面積の割合)も表2に示したように極めて小さかった。プラスチックフィルムの幅方向中央部から切り出したもののみならず、むらの出易い端部から切り出したものについても同様に良好な表示性能を示した。一方比較例では表2に示すように色ずれが大きかった。
【0045】
(ii)STN型液晶表示装置の作製
本発明のプラスチックフィルム、透明導電層を積層したガラス基板の透明導電(ITO)層側に、それぞれポリイミド配向膜(SE−7992、日産化学(株)製)を形成した。200℃で30分熱処理した後、ラビング処理を行った後、6.0μmのスペーサーを介して二枚の基板を配向膜が向かい合うように重ねた。二つの配向膜のラビング方向は、60゜の角度で交差するように、基板の向きを調節した。基板の隙間に、液晶(ZLI−2977、メルク社製)を注入し、液晶層を形成した。このようにしてツイスト角が240゜、Δndの値が791nmのSTN型液晶セルを作製した。
この液晶セルのガラス基板側に、上記λ/4板、偏光板を積層し、その下に導光板、光源を置いた。プラスチックフィルム側に上記λ/4板、偏光板を積層し、25インチ透過型液晶表示装置を得た。本発明のプラスチックフィルムを用いたものは、このような大型表示装置に用いても、全面にわたり均一な表示を実現し、色ずれも表2に示したように極めて小さかった。プラスチックフィルムの幅方向中央部から切り出したもののみならず、むらの出易い端部から切り出したものについても同様に良好な表示性能を示した。一方比較例では表2に示すように色ずれが大きかった。
【0046】
(7)タッチパネルの作成
タッチパネルは、特開平5−127822号、特開2002−48913号等に記載に従い作成した。本発明のものは良好な性能を示し上記色ずれは発生しなかた。
(8)有機EL素子の作成
本発明の光学補償フィルムを特開2000−267097に従い、観察者側から順に保護タック(最表面に反射防止機能層付き)/上記円偏光板(本発明のプラスチックフィルムの透明導電層を有機EL側にする)/有機EL素子/反射電極の構成とした。本発明のものは良好な性能を示し上記色ずれは発生しなかた。
【0047】
【発明の効果】
本発明の複層フィルムは、液晶表示素子やEL素子等のプラスチック基板として用いることができ、高いガスバリア性を有し、大画面であってもムラのない高品質の画像が得られ、表示特性に優れる。
また、本発明の複層フィルムは、偏光板やタッチパネルにも好適に用いられる。
【0048】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複層フィルムの導電層及びガスバリア層を成膜する方法の一態様を示す概略概念図である。
【符号の説明】
1 プラスチックフィルムの送り出し
2 加熱ロール
3 赤外線ヒーター
4 導電層の成膜ゾーン
4−1 導電層のターゲットあるいは蒸着源
4−2 導電層成膜ゾーンの温調ドラム
5 ガスバリア層を成膜ゾーン
5−1 ガスバリア層のターゲットあるいは蒸着源
5−2 ガスバリア層成膜ゾーンの温調ドラム
6 プラスチックフィルムの巻き取り
7 真空チャンバー
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示素子、EL素子等に用いられるプラスチック基板としての複層フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示素子等のフラットパネルディスプレイ分野において、耐破損性の向上、軽量化、薄型化の要望から、基板をガラスからプラスチックに変えることが検討されている。この基板には導電性を必要とするため、プラスチックフィルム上に、酸化インジウム、酸化錫、或いは錫−インジウム合金の酸化物等の半導体膜、金、銀、パラジウム合金の酸化膜等の金属膜、該半導体膜と該金属膜とを組み合わせて形成された膜を透明導電層として設けた透明導電性基板を液晶表示素子の電極基板として用いることが検討されている。またプラスチックフィルムを通過し表示素子内に拡散した酸素や水蒸気が画像の劣化をもたらすため、高いガスバリア性が要求されている。
このようなものとして、例えば下記特許文献1、特許文献2、特許文献3などに記載されている。これらの文献には、硬化樹脂を保護層として導入するという技術が開示されている。しかし、近年液晶表示素子の大型化が進み、これらのものを14インチを超えるような大型表示素子に適用しようとした場合、画像にムラが生じ改善が望まれていた。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−227603号公報(特許請求の範囲及び[0001]参照)
【特許文献2】
特開2000−284717号公報(特許請求の範囲及び[0001]参照)
【特許文献3】
特開2001−150584号公報(特許請求の範囲及び[0001]参照)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、液晶表示素子やEL素子等のプラスチック基板として用いることができ、高いガスバリア性を有し、大画面であってもムラのない高表示特性を有する画像が得られるフィルムを提供することにある。
本発明の他の目的は、上記フィルムを基板に用いた液晶表示素子、EL素子、偏光板及びタッチパネルを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成の複層フィルムにより達成される。
1.基材としてのプラスチックフィルム上にガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上に最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
透明導電層表面の25℃60%rhで測定した表面電気抵抗が1Ω/□以上500Ω/□以下であり、かつ表面電気抵抗の分布が20%以下であることを特徴とする複層フィルム。
2.基材としてのプラスチックフィルム上にガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上に最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
40℃90%rhで測定した水蒸気透過度が0.01g/m2・日以上5g/m2・日以下であり、かつ水蒸気透過度の分布が20%以下であることを特徴とする複層フィルム。
3.基材としてのプラスチックフィルム上にガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上に最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
40℃90%rhで測定した酸素透過度が0.01cc/m2・日以上1cc/m2・日以下であり、かつ酸素透過度の分布が20%以下であることを特徴とする複層フィルム。
4.上記1〜3のいずれかに記載の特徴を少なくとも二つ含むことを特徴とする複層フィルム。
5.基材としてのプラスチックフィルム上にガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上に最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
該複層フィルムを構成する層のうち、少なくとも二つの層が同時もしくは実質上同時に成膜されたことを特徴とする複層フィルム。
6.該同時もしくは実質上同時に成膜される層が、支持体をはさんで両側にあること特徴とする上記5に記載の複層フィルム。
7.該同時もしくは実質上同時に成膜される層のうち、少なくとも一層が透明導電層またはガスバリア層であることを特徴とする上記5または6に記載の複層フィルム。
8.該透明導電層と該ガスバリア層が真空成膜法により製膜されることを特徴とする上記5〜7のいずれかに記載の複層フィルム。
9.基材としてのプラスチックフィルム上にガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上に最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
プラスチックフィルムの送り速度を2m/分以上として高速成膜されたことを特徴とする複層フィルム。
10.1.3×10−5Pa(1×10−4mTorr)以下に達した後(到達真空度)、高真空度下で高速成膜されたことを特徴とする上記9に記載の複層フィルム。
11.成膜前にプラスチックフィルムが50℃以上200℃以下の温度で熱処理されていることを特徴とする上記9または10に記載の複層フィルム。
12.酸素ガスが全体の1〜30体積%で混合された希ガス雰囲気下に透明導電層が成膜されたことを特徴とする上記9〜11のいずれかに記載の複層フィルム。
13.上記7〜12のいずれかに記載の少なくとも二つの方法で製膜されたことを特徴とする上記9または10に記載の複層フィルム。
14.ガラス転移温度(Tg)が160℃以上の基材としてのプラスチックフィルムを用いたことを特徴とする上記1〜13のいずれかに記載のプラスチックフィルム。
15.上記1〜14のいずれかに記載の複層フィルムを用いた円偏光板。
16.上記1〜14のいずれかに記載の複層フィルムを用いた液晶表示素子。
17.上記1〜14のいずれかに記載の複層フィルムを用いたタッチパネル。
18.上記1〜14のいずれかに記載の複層フィルムを用いた有機EL素子。
【0006】
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、画像にムラが発生する問題点が、透明導電層、ガスバリア層の特性の不均一性に起因することを明らかにして本発明に至った。このような不均一性は、フィルムの幅が広いほど発生し易く、本発明では、以下の対策によりこれを克服した。
(i)少なくとも二つの層が同時もしくは実質上同時に成膜する。
上記故障の原因の一つは、透明導電層、ガスバリア層が成膜中に割れることに起因することを明らかにした。すなわち、透明導電層には酸化インジウム、酸化錫、或いは錫−インジウム合金の酸化物、酸化亜鉛等の半導体膜、金、銀、パラジウム合金の酸化膜等の金属膜、該半導体膜と該金属膜とを組み合わせて形成された膜が用いられる。またガスバリア層には珪素やアルミの酸化物、窒化物等が用いられる。これらの無機物の熱膨張係数は3〜10×10−6/℃であり、プラスチックフィルムの熱膨張係数(4〜10×10−5/℃)に比べ約1/10である。これらの層をプラスチックフィルム上にスパッタ、蒸着、CVD(ChemicalVapor Deposition)、IP(Ion Plating)等の真空成膜法で成膜すると、成膜に伴う発熱でプラスチックフィルムは加熱され、加熱状態(熱膨張している状態)で成膜される。これが冷却されると熱膨張係数の大きなプラスチックフィルムは大きく収縮するが、透明導電層、ガスバリア層の収縮は僅かである。このような収縮量の差による応力(内部応力)のため導電層、ガスバリア層を凸にしてカールが発生する。このようなカールによる湾曲がこれらの層を破壊する。このような故障は成膜幅が広いほど発生し易く、これらの故障により、これらを液晶表示素材に使用した場合、表示ムラが発生しやすかった。
これに対して本発明では、複層フィルムを構成する層のうち少なくとも二つの層が同時(もしくは実質上同時)に成膜されることで複層フィルムのカールを相殺することができ、結果として良好な導電性およびガスバリア性を得るに至った。同時(もしくは実質上同時)に成膜される層は支持体の上下両方向に存在することが好ましく、少なくともその一つの層が透明導電層またはガスバリア層であることがさらに好ましい。本発明でいう同時成膜あるいは実質上の同時成膜は、巻き取りから送り出しの1パスの間に両層の成膜を実施することを指す。即ちこれらの成膜はプラスチックフィルムを成膜源の間を通過させながら、ここから蒸発あるいはスパッタされる成膜成分をそのままあるいは酸化、窒化等の化学反応を伴いながらこれらの層を成膜するが、本発明では、この1パスの間に両側に対向して設置した成膜源の間を通して同時にプラスチックフィルムの両側に成膜してもよく(同時成膜)、表面と裏面のタンデムに設置した成膜源の間を通して交互に成膜しても良い(実質上の同時成膜)。より好ましくは後者である。以後、同時成膜は両者含んだ概念として用いる。
【0007】
(ii)導電層とガスバリア層をプラスチックフィルムの表と裏に、該フィルムの送り速度を2m/分以上の高速として高速成膜する。
プラスチックフィルムの送り速度を2m/分以上、より好ましくは3m/分以上、さらに好ましくは5m/分以上の高速として高速成膜することでも、導電層、ガスバリア層の特性の不均一性(ムラ)を少なくすることができる。即ち、高速で成膜することで透明導電層、ガスバリア層の内部応力を小さくすることができる。これは、高速で成膜することでこれらの層の密度を高くしすぎないためと推定している。即ち密度が高いと、これらの層の弾性率が増加し易く、同じ寸法変化が生じても、大きな内部応力が発現しやすいためと推定される。この方法は、上記(i)の方法と併用することが好ましい。
しかし、このような密度の低い層は、導電性、ガスバリア性が低下し易い。これを補うために、1.3×10−5Pa(1×10−4mTorr)以下の高真空(到達真空度)にした後成膜することで、これを防止できる。より好ましくは1.1×10−5Pa(8×10−5mTorr)以下、さらに好ましくは8.0×10−6Pa(6×10−5mTorr)以下である。即ち、到達真空度が低い(低真空:大気圧に近い)と、水等の残留分子が成膜中に取り込まれ、これらが導電性、ガスバリア性を低下させる。このため、成膜前に十分高真空にすることで、導電性、ガスバリア性の低下を防ぐことができる。
このような残留分子はプラスチックフィルム中にも多く取り込まれており、成膜前に50℃以上200℃以下の温度範囲で熱処理することで、これを追い出し、上記効果を一層顕著にすることができる。より好ましくは80℃以上200℃以下、さらに好ましくは110℃以上200℃以下の温度範囲である。好ましい昇温時間は1秒以上20分以下、より好ましくは3秒以上15分以下、さらに好ましくは5秒以上10分以下である。
このような処理は高温のほうがより短時間で実施でき好ましいが、基材フィルムがそれに耐える耐熱性を有することが必要である。従って、後述するように本発明では耐熱性の高い(ガラス転移温度(Tg)の高い)基材フィルムを用いることがより好ましい。これらの熱処理は、赤外線ヒーターによる加熱、熱ロールに接触させる等の方法で容易に達成できる。
【0008】
さらに透明導電層にはITO、ZnOが多く用いられるが、これらは成膜中に酸素が外れ酸素が欠落した構造を取りやすい。とくに上記のように加熱され活性化された基材フィルムに高速で成膜するときに顕在化する。この結果表面電気抵抗が大きくなりやすい。このため、通常これらの成膜は不活性な希ガス中で行うが、本発明では希ガス中に酸素ガスを混合し、酸素が欠落しても雰囲気中から直ぐに補えるようにしたことも特徴である、好ましい酸素ガス量は希ガスに対し1体積%以上30体積%以下、より好ましくは1体積%以上8体積%以下、さらに好ましくは1体積%以上5体積%以下である。
【0009】
本発明の複層フィルムを形成するための方法の一例を図1に模式的に示す。
図1において、送り出し1から繰り出されたプラスチックフィルムは、加熱ロール2に接触した後、赤外線ヒーター3の間を通過することで熱処理される。この後、導電層を導電層成膜装置4でプラスチックフィルム上に製膜した後、導電層の反対面にガスバリア層をガスバリア層成膜装置5で製膜する。この後プラスチックフィルムを基材とする複層フィルムを巻き取る。この時、図1に示すように導電層、ガッスバリヤー層の成膜速度を上げるために、成膜源(4−1及び5−1)を複数設置することが好ましい。
【0010】
本発明の複層フィルムは、最外層に位置する透明導電層の表面の25℃60%rhで測定した表面電気抵抗が1Ω/□以上500Ω/□以下が好ましく、より好ましくは3Ω/□以上200Ω/□以下、さらに好ましくは5Ω/□以上70Ω/□以下である。このような低抵抗の膜を成膜するには、膜厚を上げて成膜する必要がある。しかし、厚膜成膜品は熱歪みによる応力の発生が大きいため、加熱中に厚膜の層が破断し易く、特に上記のよな画像の表示ムラの原因となる。したがって、本発明は、このような厚膜成膜を行う場合に特に有効である。
また、表面電気抵抗の分布は20%以下、好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下である。分布が20%を超えて広いと、画像表示ムラが生ずる。
上記表面電気抵抗の測定方法及び表面電気抵抗の分布の定義及び測定方法は、後記の実施例の項に詳しく記載されている。
表面電気抵抗を1Ω/□以上500Ω/□以下とし、その分布を20%以下とすることは、前記(i)同時成膜および/または(ii)高速成膜により達成される。
【0011】
さらに、本発明の複層フィルムは、ガスバリア層の40℃90%rhで測定した水蒸気透過度が0.01g/m2・日以上5g/m2・日以下が好ましく、より好ましくは0.03g/m2・日以上3g/m2・日以下、さらに好ましくは0.05g/m2・日以上2g/m2・日以下である。
また、ガスバリア層の40℃90%rhで測定した酸素透過度は0.01cc/m2・日以上1cc/m2・日以下が好ましく、より好ましくは0.03cc/m2・日以上0.6cc/m2・日以下、さらに好ましくは0.05cc/m2・日以上0.4cc/m2・日以下である。
このような水蒸気、酸素に対し高バリヤー性を有する膜を成膜するには、膜厚を上げて成膜する必要があり、このような場合に特に上記のよなムラが発現しやすい。即ち本発明の効果は、このような厚膜成膜を行う場合に特に有効である。
水蒸気透過度及び酸素透過度の測定方法、これらの分布の定義及び測定方法は、後記の実施例の項に詳しく記載されている。
水蒸気透過度を0.01g/m2・日以上5g/m2・日以下とし、その分布を20%以下とするには、前記(i)同時成膜および/または(ii)高速成膜により達成される。
酸素透過度を0.01cc/m2・日以上1cc/m2・日以下とし、その分布を20%以下とするには、前記(i)同時成膜および/または(ii)高速成膜により達成される。
【0012】
以下に複層フィルムの構成要素に従って、詳細な説明を加える。
[基材フィルム:S]
本発明の基材フィルムは、ガラス転移温度(Tg)が160℃以上、より好ましくは180℃以上300℃以下、さらに好ましくは190℃以上250℃以下であることが好ましい。このような基材フィルムの素材として以下のポリマーが挙げられる(括弧内はTgを示す)。
即ち、ポリアリレート(PAr:210℃)、ポリエーテルスルホン(PES:220℃)、ポリスルホン(PSF:190℃)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584号公報の実施例1の化合物:162℃)、変性ポリカーボネート(MPC:特開2000−227603の実施例4の化合物:225℃)、アクリロイル化合物(特開2002−80616の実施例−1の化合物:300℃以上)が挙げられる。
これらの中でとくに好ましいのが、PAr、PES、MPCであり、とくに好ましいのがMPCである。MPCは例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、下記式[I]で表わされるビスフェノールをビスフェノール成分とするポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0013】
【化1】
【0014】
上記のポリカーボネート樹脂は、共重合体であってもよく、2種類以上併用して用いてもよい。このようなポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノール成分が(i)ビスフェノールAであるホモポリマー及び(ii)ビスフェノールAと、上記式[I]においてXが1,1−(3,3,5−トリメチル)シクロヘキシレンまたは9,9−フルオレニレンであるビスフェノールとからなる共重合体が好ましい。上記共重合体の組成は、好ましくはビスフェノールAが10〜90モル%である。
【0015】
上記のポリカーボネート樹脂は、共重合体であってもよく、2種類以上併用して用いてもよい。このようなポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノール成分が(i)ビスフェノールAであるホモポリマー及び(ii)ビスフェノールAと、上記式[I]においてXが1,1−(3,3,5−トリメチル)シクロヘキシレンまたは9,9−フルオレニレンであるビスフェノールとからなる共重合体が好ましい。上記共重合体の組成は、好ましくはビスフェノールAが10〜90モル%である。
【0016】
基材フィルムの厚みは、40μm以上400μm以下が好ましく、より好ましくは60μm以上300μm以下、さらに好ましくは80μm以上200μm以下である。基材フィルムの全光透過率は、80%以上が好ましく、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは88%以上である。ヘーズは3%以下が好ましく、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下である。リターデーション値は30nm以下が好ましく、よい好ましくは20nm以下である。遅相軸のバラツキは±30度以内が好ましく、より好ましくは±15度以内、さらに好ましくは±8度以内である。
このような基材フィルムは、溶液製膜法及び溶融製膜法のいずれの方法で製造されてもよいが、より好ましくは平面性に優れる溶液流延法である。
【0017】
[ガスバリヤア層:X]
上記基材フィルムの少なくとも一方の面にガスバリア層(X)を少なくとも一層積層することが好ましい。
ガスバリア層としては、例えば珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン、イットリウム、タンタルからなる群から選ばれる1種または2種以上の金属を主成分とする金属酸化物、珪素、アルミニウム、ホウ素の金属窒化物またはこれらの混合物を挙げることができる。この中でも、ガスバリア性、透明性、表面平滑性、屈曲性、膜応力、コスト等の点から珪素原子数に対する酸素原子数の割合が1.5〜2.0の珪素酸化物を主成分とする金属酸化物が良好である。これら無機のガスバリア層は例えばスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する真空成膜法により作製することができる。なかでも、特に優れたガスバリア性が得られるという観点から、スパッタリング法が好ましい。
このようなスパッタ法、の場合の好ましい成膜真空度は1.3×10−3Pa(0.01mTorr)以上6.7Pa(50mTorr)以下、より好ましくは6.7×10−3Pa(0.05mTorr)以上1.3Pa(10mTorr)以下である。出力は0.1kw以上50kw以下が好ましく、より好ましくは0.3kw以上40kw以下、さらに好ましくは0.6kw以上30kw以下である。この場合交流で印加しても直流で印加しても構わない。
スパッタターゲットは珪素、酸化珪素、二酸化珪素を用いることができる。スパッタリングに用いるガスはアルゴン等の希ガスを中心に用いるが、珪素の場合1体積%〜30体積%、より好ましくは2体積%〜25体積%酸素を添加するのがより好ましい。酸化珪素の場合は0.1体積%〜20体積%、より好ましくは0.5体積%〜10体積%酸素を添加するのがより好ましい。ニ酸化珪素の場合は0体積%〜10体積%、より好ましくは0.01体積%〜3体積%酸素を添加するのがより好ましい。
また上述のようにガスバリア層を設ける前に基材フィルムを50℃以上200℃以下に加熱することが好ましい。さらに上述のようにガスバリア層を設けている間に50℃以上200℃以下に加熱することが好ましい。
このようにして得たガスバリア層の膜厚は10nm〜300nmが好ましく、より好ましくは30nm以上200nm以下、さらに好ましくは50nm以上180nm以下である。
【0018】
[透明導電層(E)]
透明導電層(E)としては、公知の金属膜、金属酸化物膜等が適用できるが、中でも、透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましい。例えば、不純物としてスズ、テルル、カドミウム、モリブテン、タングステン、フッ素、亜鉛、ゲルマニウム等を添加した酸化インジウム、酸化カドミウム及び酸化スズ、不純物としてアルミニウムを添加した酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物膜が挙げられる。中でも酸化スズから主としてなり、酸化亜鉛を2〜15質量%含有した酸化インジウムの薄膜が、透明性、導電性が優れており、好ましく用いられる。
これら透明導電層は例えばスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する真空成膜法により作製することができる。なかでも、特に優れた導電性・透明性が得られるという観点から、スパッタリング法が好ましい。
スパッタリングの場合の好ましい出力は1kW以上30kW以下が好ましく、より好ましくは2kW以上25kW以下である。この場合、直流で印加しても交流で印加しても構わない。この場合の好ましい成膜真空度は1.3×10−3Pa(0.01mTorr)以上6.7Pa(50mTorr)以下、より好ましくは6.7×10−3Pa(0.05mTorr)以上1.3Pa(10mTorr)以下である。スパッタターゲットは酸化インジウムと酸化すずの混合物を用い、その混合比は質量比で70:30〜99:1が好ましく、より好ましくは80:20〜98:2、さらに好ましくは85:15〜97:3である。
スパッタリングに用いるガスは希ガスが好ましく、より好ましくはアルゴンである。通常はこれらの透明導電層の成膜はこれらの希ガスのみの中で行われるが、本発明では、さらにこの中に上述のように表面電気抵抗を下げるために、0.01体積%〜10体積%の酸素を添加するのがより好ましい。
また上述のように透明導電層を設ける前に50℃以上200℃以下に加熱することが好ましい。さらに上述のように透明導電層を設けている間に50℃以上200℃以下に加熱することが好ましい。
このようにして得た透明導電層の膜厚は20nm〜500nmが好ましく、より好ましくは50nm以上300nm以下が好ましい。
【0019】
[保護層(D)]
基材フィルムの耐溶剤性を得るために保護層(D)を設けることが好ましい。即ち基材フィルムは光学的等方性を得るために非晶性の材料を用いるが、これらは溶剤に対し耐性が低いため、この表面に保護層(耐溶剤層)を付与し基材フィルムに溶剤が染み込まないようにする必要がある。このためこれらの保護層は溶剤で膨潤し難い架橋ポリマー層やゾルゲル層が好ましく用いられる。
(1)架橋型保護層
一般に、保護コート剤、ハードコート剤として用いられるものであれば特に限定されない。たとえば、アクリル系、メラミン系、アルキッド系、ウレタン系などの紫外線硬化型、熱硬化型のハードコート剤、脂環式構造含有重合体などの樹脂が挙げられる。中でも、透明性および耐熱性に優れ、しかも隣接する層との密着性の観点からは、好ましくはアクリル系、シリコン系のハードコート剤、より好ましくは硬化型アクリル系のハードコート剤、さらに好ましくは紫外線硬化型アクリル系のハードコート剤、特に好ましくは多官能のアクリル系紫外線硬化型のハードコート剤である。
【0020】
アクリル系紫外線型ハードコート剤は、反応性モノマー及び/又は反応性オリゴマーと、光重合開始剤とを含むものが用いられる。反応性モノマーとしては、たとえば、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、その他の高級アルキルアクリレート等の単官能アクリレートモノマー;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、テトラメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、ペンタエリストール等のポリオール類に2個以上のアクリレートが結合した多官能性アクリレートモノマー等を挙げることができる。中でも、1〜6官能性アクリレートモノマーが好ましく、より好ましくは2,3官能性アクリレート、さらに好ましくは脂環式構造を含有する2,3官能性アクリレートである。
反応性オリゴマーとしては、たとえば、末端にアクロイル基を持つポリエステルアクリレート、分子鎖中にエポキシ基かつ末端にアクリロイル基を持つエポキシアクリレートまたはポリウレタンアクリレート、分子鎖中に二重結合を持つ不飽和ポリエステル、1,2−ポリブタジン、その他のエポキシ基を持つオリゴマーを挙げることができる。
【0021】
光重合開始剤としては、たとえば、2,2−ジメトキシ−2フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2フェニルアセトフェノン、塩素化アセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンゾフェノン類;ベンジル、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、ベンゾイルアルキルエーテル等のベンゾインエーテル類;α,α’−アゾイソブチルニトリル、2,2’−アゾビスプロパン、ヒドラゾン等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド等の有機パーオキサイド類;ジフェニルサルファイド、ジベンゾイルサルファイト等のジフェニルジサルファイド類を挙げることができる。
【0022】
アクリル系ハードコート剤としては、ガラス転移点が5〜110℃で、質量平均分子量1万〜10万、酸価0.5〜4のアクリル系樹脂が用いられ、更にシランカップリング剤を含むのが好ましい。ガラス転移点が110℃を越えると樹脂が固く、ワニスが皮張りしやすくなり、塗工適性も極めて悪く、塗工面とガスバリア層(C)との密着力が低下する。一方、ガラス転移点が5℃未満であると、非常にブロッキングしやすくなり、後工程で加熱工程がある場合、アクリル系樹脂が流動する可能性があり、その場合かなり大きな寸法変化を起こす。
アクリル系樹脂の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定されたポリスチレン換算値として、1万〜10万、好ましくは4万〜7万である。分子量が1万未満であると保護コート層(D)の溶剤耐性が劣り、10万を越えるとアクリル系樹脂が汎用溶媒に溶解しづらく、更にワニス化適性が悪くゲル化しやすい。酸価は1〜4であることが好ましい。酸価が1未満であると耐溶剤性が劣り、4を越えると加水分解の恐れがある。
【0023】
このような保護層とガスバリア層、透明導電層との密着改良のためにシランカップリング剤を配合することがより好ましい。シランカップリング剤としては、けい素原子に直接に、または酸素原子もしくは−OCO−基を介して結合した炭化水素基を有し、これらの炭化水素基の少なくとも一つは二重結合,ハロゲン原子,エポキシ基,酸無水物基,アルコキシカルボニル基,アミノ基,アクロイル基,メタクリロイル基,アクリルアミノ基,メタクリルアミノ基またはハロアシルアミノ基を有するものが挙げられる。このうち特にエポキシ基やアミノ基を有する化合物が好ましい。前記樹脂とシランカップリング剤との混合比は、樹脂100質量部に対して、シランカプリング剤0.1〜10質量部であり、好ましくはシランカプリング剤1〜5質量部である。
【0024】
(2)ゾルゲル型保護層
ゾルゲル反応を利用した層であれば特に限定されないが、これらのなかで好ましいのが珪素から成るゾルゲル層である。この中で特に好ましいのが、エポキシ基含有珪素化合物はエポキシ基及びアルコキシシリル基を有する珪素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、及びこれらの混合物である。なお、本発明におけるエポキシ基含有珪素化合物ならびにアミノ基含有珪素化合物の(部分)加水分解物及びその(部分)縮合物は、上述のエポキシ基含有珪素化合物ならびにアミノ基含有珪素化合物の一部または全部が加水分解したもの、該加水分解物の一部又は全部が縮合反応した縮合物、及び該縮合物と加水分解していない原料のエポキシ基含有珪素化合物ならびにアミノ基含有珪素化合物とが縮合したものであり、これらはいわゆるゾルゲル反応させることにより得られるものである。ここで加水分解物は、例えば塩酸等の無機酸、酢酸等の有機酸などの酸性水溶液または水と混合した後、100℃から200℃に」加熱することにより得られる。
これは例えば下記式[II]で表される。
X−R11−Si(R12)n(OR13)3−n [II]
ここで、R11は炭素数1〜4のアルキレン基、R12及びR13は炭素数1〜4のアルキル基、Xはグリシドキシ基またはエポキシシクロヘキシル基であり、nは0または1の数である。
特に好ましいエポキシ基含有珪素化合物としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランである。これらの化合物は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0025】
アミノ基含有珪素化合物は、アミノ基及びアルコキシシリル基を有する珪素化合物その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、またはこれらの混合物からなる群から選ばれ、例えば下記式[III]で表される。
Y−HN−R14−Si(R15)m(OR16)3−m [III]
ここで、R14は炭素数1〜4のアルキレン基、R15及びR16は同一または異なって炭素数1〜4のアルキル基、Yは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアミノアルキル基であり、mは0または1の数である。
この中で特に好ましいアミノ基含有珪素化合物は、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランである。これらの化合物は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、エポキシ基含有珪素化合物とアミノ基含有珪素化合物は組み合わせて用いることができる。なお、エポキシ基含有珪素化合物とアミノ基含有珪素化合物の混合比率は、エポキシ基量(モル)Ep、アミノ基量(モル)Apの比率で1/6<Ep/Ap<6/1の範囲内が好ましい。
【0026】
これらのゾルゲル組成物は単体では割れやすいためポリマーといっしょに用いることが好ましい。このような層は溶液塗布されるため溶剤に溶けるものであれば特に限定されないが、より好ましいものとして、ゾルゲル層との親和性を上げるために水酸基を有するものが好ましく、より好ましくはビニルアルコール系ポリマーである。ここでビニルアルコール系ポリマーとは、ビニルアルコールをモノマー成分として50モル%以上含有するビニルアルコール共重合体、またはビニルアルコールのホモポリマーをいう。このビニルアルコール共重合体としては、例えばビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ビニルアルコールビニルブチラール共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、あるいは分子内にシリル基を有するポリビニルアルコールが挙げられる。なかでも、好ましいのがエチレン−ビニルアルコール共重合体である。
このようなビニルアルコール系ポリマーは、水、アルコール、ジメチルイミダゾリン等の有機溶媒に溶解してコーティング組成物の成分とする。例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体は、水とプロパノールを主成分とする混合溶媒に溶解してコーティング組成物の成分として用いるのがよい。
ゾルゲル層のビニルアルコール系ポリマーへの添加率は5質量%以上70質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以上50質量%以下である。
【0027】
これらの保護層の厚みは0.5μm以上30μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以上20μm以下である。
これらの保護層を設ける方法としては、グラビアコーティング,リバースコーティング,キスコーティング,スピンコーティング,ワイヤーバーコーティング,ロールコーティング,ナイフコーティングなどが挙げられる。また架橋型保護層を用いる場合は、高圧水銀灯等の紫外線を発生する光源から紫外線を照射することにより、硬化が短時間で達成される。
これらの保護層には、適宜、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、マット剤などを配合してよい。
【0028】
[層構成]
上述の、基材フィルム(S)、透明導電層(E)、ガスバリア層(X)、保護層(D)を積層した例を以下に示す。
透明導電層は最外層にあれば、ガスバリア層(X)および保護層(D)と基材フィルム(S)に対して同じ側にあってもよいし、反対側にあってもよい。また、ガスバリア層と保護層は片側のみにあってもよいし、両側にあってもよい。
(1) D/X/S/D/E
(2) D/X/D/S/D/E
(3) D/X/S/D/X/E
(4) D/X/D/S/D/X/E
(5) D/X/D/X/S/D/E
(6) D/X/D/X/S/D/X/E
(7) D/X/D/X/S/D/E
(8) D/X/D/X/S/D/E
(9) D/X/D/X/S/X/D/E
(10) D/X/D/X/S/X/D/E
(11) D/X/D/X/S/D/E
(12) D/X/D/X/S/X/D/E
【0029】
〔測定法〕
本発明において規定する各種物性値は下記の方法で測定される。
(1)表面電気抵抗およびその分布
・複層フィルムの全幅にわたり10等分し、これを長手方向に30cm毎に5点、合計50点について下記の方法で表面電気抵抗を測定する。
25℃60%rhに3時間以上調湿後、KEITHLEY製の8009 RESISTIVITY TEST FIXTUREとKEITHLEY製の6517A型を用いて表面電気抵抗を測定する。
・全50点の表面電気抵抗の平均値をRav、最大値をRmax、最小値をRminとする。Ravを表面電気抵抗とし、(Rmax−Rav)×100/Rav、(Rav−Rmin)×100/Ravのうち大きい方を表面電気抵抗の分布とした。
【0030】
なお、本明細書で透明導電層の表面電気抵抗(Ra)とは、透明導電層そのものの電気抵抗であり、透明導電層を含む複層フィルム全体の電気抵抗(Rb)、および透明導電層のみを除いた複層フィルムの電気抵抗(Rc)を用いて以下のように表される。
1/Ra=1/Rb−1/Rc
すなわち、透明導電層の有る層と無い層のそれぞれの電気抵抗を測定することで求めることができる。
(2)水蒸気透過度
・複層フィルムの全幅にわたり10等分し、これを長手方向に30cm毎に5点、合計50点について下記のように水蒸気透過度を測定する。
MOCON社製、パーマトランW1Aを用いて、40℃、90%RH雰囲気下において24時間測定し水蒸気透過度を測定する。
・全50点の水蒸気透過度の平均値をWav、最大値をWmax、最小値をWminとする。Wavを水蒸気透過度とし、(Wmax−Wav)×100/Wav、(Wav−Wmin)×100/Wavのうち大きい方を水蒸気透過度の分布とした。
(3)酸素透過度
・複層フィルムの全幅にわたり10等分し、これを長手方向に30cm毎に5点、合計50点について下記のように酸素透過度を測定する。
MOCON社製、OX−TRAN 10/50Aを用いて40℃、90%RH雰囲気下において24時間測定し酸素透過度を測定する。
・全50点の酸素透過度の平均値をOav、最大値をOmax、最小値をOminとする。
Oavを酸素透過度とし、(Omax−Oav)×100/Oav、(Oav−Omin)×100/Oavのうち大きい方を水蒸気透過度の分布とした。
【0031】
なお、本明細書で水蒸気透過度および酸素透過度とは、前記複層フィルムの[層構成]で示したような複層フィルムについて測定した値であり、その上に機能性材料(例えば、円偏光膜、TN型液晶表示装置)を搭載した複層フィルムについて測定した値ではない。
(4)Tg
・サンプルを20mgサンプルパンに入れ、これを一度300℃まで20℃/分で昇温後、急冷する。これを再び窒素気流中で20℃/分で300℃まで昇温しながら示差熱分析系(DSC)を用いて測定する。ベースラインがTgを挟んで平行移動するが、低温側のベースラインの外挿線と、ベースラインが2本の平行線の間で移動している領域の外挿線の交点をTgとした。
【0032】
[円偏光板・液晶表示素子・タッチパネルの作成]
(i)円偏光板
このようにして得た複層フィルムにλ/4板と偏光板を積層し円偏光板を作成することができる。この場合λ/4の遅相軸と偏光板の吸収軸を45度になるように積層する。このような偏光板は長手方向(MD)に対し45度方向に延伸されているものを用いるのがより好ましく、特開2002−865554号公報に記載のものを好ましく用いることができる。
(ii)液晶表示素子
反射型液晶表示装置に用いる場合は、下から順に、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなる。
このうち本発明のプラスチック基板である複層フィルムは、透明電極、上基板として使用することができる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を反射電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
透過型液晶表示装置に用いる場合は、下から順に、バックライト、偏光板、λ/4板、下透明電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、上透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなる。このうち本発明のプラスチック基板は上透明電極、上基板として使用することができる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を下透明電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
液晶セルは特に限定されないが、より好ましくはTN(twisted Nematic )型、STN(Supper Twisted Nematic)型またはHAN(Hybrid Aligned Nematic)型、VA(Verticaly Allignment)型、ECB型(Electricaly Controlled Birefrigence)、OCB型(Optically Compensatory Bend)、CPA型(Continious Pinwheel Alignment)であることが好ましい。
(iii)タッチパネル
タッチパネルは、特開平5−127822号、特開2002−48913号等の公報に記載のものに応用することができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、部および%は、特に断らない限り質量基準である。また、実施例中における各種の測定は、下記のとおり行った。
また、実施例中における(1)表面電気抵抗およびその分布、(2)水蒸気透過度、(3)酸素透過度、および(4)ガラス転移温度(Tg)の測定は、前記の方法にしたがって測定した。
【0034】
なお、後掲の化合物名は以下の略号を用いた。
BisA/BCF−PC:ビスフェノールAと9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(BCF)をビスフェノール成分とするポリカーボネート共重合体
BisA/IP−PC:ビスフェノールAと3,3,5−トリメチル−1,1−ジ(4−フェノール)シクロヘキシリデン(IP)をビスフェノール成分とするポリカーボネート共重合体
PES:ポリエーテルスルフォン
COC:環状オレフィンコポリマー
PC:ビスフェノールAのみをビスフェノール成分とするポリカーボネート重合体
ITO:インジウム−スズ酸化物(Indium tin oxide)
【0035】
[実施例1]
(1)基材フィルム(S)
下記素材のように基材フィルムを成膜した。これらの幅を表1に記載した。長さは全て3000m長である。厚みは全て100μmである。
(i)MPC−1
BisA/BCF=1/1(モル比)でTgが225℃のポリカーボネート共重合体(BisA/BCF−PC)をメチレンクロライドに20質量%になるように溶解した。そしてこの溶液をダイコーティング法によりステンレスバンド上に流延した。次いで、乾燥炉で残留溶媒濃度が13質量%になるまで乾燥し、ポリエステルフィルムから剥離した。そして、得られたフィルムを温度120℃の乾燥炉で縦横の張力をバランスさせながら、該フィルム中の残留溶媒濃度が0.08質量%になるまで乾燥させた。
(ii)MPC−2
BisA/IP=2/3(モル比)でTgが205℃のポリカーボネート共重合体(BisA/IP−PC)をMPC−1と同様に流延製膜した。
(iii)PES
溶融押し出し法を用いて製膜した未延伸ポリエーテルスルホンフィルム(PESフィルム:住友ベークライト製スミライトFS−1300)を用いた。
(iv)COC
溶融押し出し法を用いて製膜したポリノルボルネンフィルム(日本ゼオン製ゼオノアZF16−100)を用いた。
(v)PC
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA;BisA)のみをビスフェノール成分とするポリカーボネートを用い、MPC−1と同様にして製膜した。
【0036】
(2)ガスバリア層(X)、透明導電層(E)
表1記載の到達真空度に達した後、成膜真空度(0.13Pa:1mTorr)にした。この中で基材フィルムを表1記載の成膜速度でロールから送り出し、該フィルムの両面に設置した赤外線加熱器により、表1記載の温度、時間で基材フィルムを加熱した。この後、表1に記載の順番に下記ガスバリア層(Xo、Xn)、透明導電層(Ei、Ez)を表1記載の構成で同時成膜した。なお、比較例−1はガスバリア層を成膜後、これを巻き取り、これを再度送り出しその反対面に透明導電層(Ei、Ez)を逐次成膜した。
(i)SiOxガスバリア層(Xo)
DCマグネトロンスパッタリング法により、SiをターゲットとしスパッタリングガスとしてAr/O2混合ガス(体積比:80/20)を導入し出力5kWでスパッタリングし表1記載の厚みのSiOx層を製膜した。本発明ではxはいずれも1.8〜2であった。
併せて同様の条件で真空蒸着法(PV法)、イオンプレーティング法(IP法)で実施した。これらの場合、Siを坩堝に入れ1400℃に加熱し、上記混合ガスのなかで成膜した。
【0037】
(ii)SiOxNyガスバリア層(Xn)
RFマグネトロンスパッタリング法により、Siをターゲットとし、Ar/O2/N2混合ガス(体積比:60/20/20)を導入し、O2、N2を用いてスパッタリングし、表1記載の厚みのSiOxNy膜を得た。なお、本発明のものはいずれもx、yとも0.8〜1.2であった。
併せて同様の条件でPV法、IP法で実施した。これらの場合、Siを坩堝に入れ1400℃に加熱し、上記混合ガスのなかで成膜した。
(iii)ITO透明導電膜(Ei)
150℃に加熱したドラムの上を通しながら、ITOをターゲットとし、表1記載の組成のガスを導入し、DCマグネトロンスパッタリング法により、5kWで表1記載の厚みのITO膜からなる透明導電層(Ei)を設けた。
併せて同様の条件でPV法、IP法で実施した。これらの場合、ITOを坩堝に入れ1400℃に加熱し、表1記載の混合ガスのなかで成膜した。
【0038】
(iv)ZnO透明導電膜(Ez)
150℃に加熱したドラムの上を通しながら、ZnOをターゲットとし、表1記載の組成のガスを導入し、Rfマグネトロンスパッタリング法により、5kWで表1記載の厚みのZnO膜からなる透明導電層(Ez)を設けた。
併せて同様の条件でPV法、IP法で実施した。これらの場合、ZnOを坩堝に入れ1400℃に加熱し、表1記載の混合ガスのなかで成膜した。
【0039】
【表1】
【0040】
(3)保護層(D)
・下記ゾルゲル層あるいは架橋層を用い、表1記載の構成で成膜した。なお、これらの層を基材フィルム上に直接設ける場合は、これらの塗布の直前にコロナ放電処理を実施した。
(i)混合ゾルゲル層(D1)
エチレンビニルアルコール共重合体(クラレ製「エバール」:EVOH)100部を、水720部、n−プロパノール1080部の混合溶媒に加熱溶解させ、均一溶液を得た。この溶液にレベリング剤(東レダウコーニング社製「SH30PA」を0.1部、酢酸39部加えた後、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(ECHETMOS) 211部を加え10分間撹拌した。更にこの溶液に3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMOS) 77部を加えて3時間撹拌しコーティング組成物を得た。コーティング組成物の組成は、(EVOH)/[(ECHETMOS)+(APTMOS)]=1/2,(ECHETMOS)/(APTMOS)=2/1とした。このコーティング組成物を、表1に記載の厚みでバーコーティングし、130℃3分熱処理を行った。
(ii)ゾルゲル層(D2)
2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(ECHETMOS) 211部にレベリング剤(東レダウコーニング社製「SH30PA」を0.1部、酢酸39部を加えた後10分間撹拌した。更にこの溶液に3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMOS) 77部を加えて3時間撹拌しコーティング組成物を得た。コーティング組成物の組成は、(ECHETMOS)/(APTMOS)=2/1とした。このコーティング組成物を、表1に記載の厚みでバーコーティングし、130℃3分熱処理を行った。
(iii)架橋層(D3)
下記処方の塗布液を常温にて攪拌溶解後、バーコーターで表1記載の乾燥膜厚となるように塗工し、80℃、10分の条件で加熱した後、紫外線を照射した。
・アクリル系樹脂(ガラス転移点105℃、質量平均分子量67000、酸価2のアクリル(三菱レイヨン株式会社LR−1065));100質量部
・シランカップリング剤(信越化学株式会社製KBM−573;N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン);1質量部
・酢酸ブチル;400質量部
【0041】
(4)評価
このようにして得た複層フィルムを、未処理の表面電気抵抗およびその分布、水蒸気透過度およびその分布、酸素透過度およびその分布を上記の方法で測定し、表2に記載した。本発明のものは、これらの分布は小さく、広幅の複層フィルムにおいても良好な均一性を達成した。
また本発明の複層フィルムはいずれも光線透過率88%以上、ヘーズ2%以下、面内、厚み方向いずれのレターデーションも10nm以下の良好な光学特性を示した。
【0042】
【表2】
【0043】
(5)円偏光膜の作製
本発明の複層フィルムの透明導電層の反対側に、特開2000−826705号公報、特開2002−131549号公報に記載のλ/4板を積層し、さらにその上に特開2002−865554に記載の偏光板を積層し円偏光板を作成した。なお偏光膜の透過軸とλ/4板の遅相軸との角度は45°となるように配置した。
【0044】
(6)液晶表示装置の作成
(i)TN型液晶表示装置の作製
本発明のプラスチックフィルム、微細な凹凸が形成されたアルミニウム反射電極を設けたガラス基板の透明導電(ITO)層、電極側に、それぞれポリイミド配向膜(SE−7992、日産化学(株)製)を形成した。これにラビング処理を行った後、1.7μmのスペーサーを介して、二枚の基板(ガラス基板とプラスチックフィルム)を配向膜が向かい合うように重ねた。二つの配向膜のラビング方向は、110゜の角度で交差するように、基板の向きを調節した。基板の間隙に、液晶(MLC−6252、メルク社製)を注入し、液晶層を形成した。このようにして、ツイスト角が70゜、Δndの値が269nmの15インチTN型液晶セルを作製した。
プラスチックフィルムの透明導電層と反対面に上記λ/4板、偏光板を積層し反射型液晶表示装置を作成した。本発明のプラスチックフィルムを用いたものは、このような大型表示装置に用いても、全面にわたり均一な表示を実現し、色ずれ(全面白表示としたとき、肉眼で白くないと判断される面積の割合)も表2に示したように極めて小さかった。プラスチックフィルムの幅方向中央部から切り出したもののみならず、むらの出易い端部から切り出したものについても同様に良好な表示性能を示した。一方比較例では表2に示すように色ずれが大きかった。
【0045】
(ii)STN型液晶表示装置の作製
本発明のプラスチックフィルム、透明導電層を積層したガラス基板の透明導電(ITO)層側に、それぞれポリイミド配向膜(SE−7992、日産化学(株)製)を形成した。200℃で30分熱処理した後、ラビング処理を行った後、6.0μmのスペーサーを介して二枚の基板を配向膜が向かい合うように重ねた。二つの配向膜のラビング方向は、60゜の角度で交差するように、基板の向きを調節した。基板の隙間に、液晶(ZLI−2977、メルク社製)を注入し、液晶層を形成した。このようにしてツイスト角が240゜、Δndの値が791nmのSTN型液晶セルを作製した。
この液晶セルのガラス基板側に、上記λ/4板、偏光板を積層し、その下に導光板、光源を置いた。プラスチックフィルム側に上記λ/4板、偏光板を積層し、25インチ透過型液晶表示装置を得た。本発明のプラスチックフィルムを用いたものは、このような大型表示装置に用いても、全面にわたり均一な表示を実現し、色ずれも表2に示したように極めて小さかった。プラスチックフィルムの幅方向中央部から切り出したもののみならず、むらの出易い端部から切り出したものについても同様に良好な表示性能を示した。一方比較例では表2に示すように色ずれが大きかった。
【0046】
(7)タッチパネルの作成
タッチパネルは、特開平5−127822号、特開2002−48913号等に記載に従い作成した。本発明のものは良好な性能を示し上記色ずれは発生しなかた。
(8)有機EL素子の作成
本発明の光学補償フィルムを特開2000−267097に従い、観察者側から順に保護タック(最表面に反射防止機能層付き)/上記円偏光板(本発明のプラスチックフィルムの透明導電層を有機EL側にする)/有機EL素子/反射電極の構成とした。本発明のものは良好な性能を示し上記色ずれは発生しなかた。
【0047】
【発明の効果】
本発明の複層フィルムは、液晶表示素子やEL素子等のプラスチック基板として用いることができ、高いガスバリア性を有し、大画面であってもムラのない高品質の画像が得られ、表示特性に優れる。
また、本発明の複層フィルムは、偏光板やタッチパネルにも好適に用いられる。
【0048】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複層フィルムの導電層及びガスバリア層を成膜する方法の一態様を示す概略概念図である。
【符号の説明】
1 プラスチックフィルムの送り出し
2 加熱ロール
3 赤外線ヒーター
4 導電層の成膜ゾーン
4−1 導電層のターゲットあるいは蒸着源
4−2 導電層成膜ゾーンの温調ドラム
5 ガスバリア層を成膜ゾーン
5−1 ガスバリア層のターゲットあるいは蒸着源
5−2 ガスバリア層成膜ゾーンの温調ドラム
6 プラスチックフィルムの巻き取り
7 真空チャンバー
Claims (5)
- 基材としてのプラスチックフィルム上にガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上に最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
透明導電層表面の25℃60%rhで測定した表面電気抵抗が1Ω/□以上500Ω/□以下であり、かつ表面電気抵抗の分布が20%以下であることを特徴とする複層フィルム。 - 基材としてのプラスチックフィルム上にガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上に最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
40℃90%rhで測定した水蒸気透過度が0.01g/m2・日以上5g/m2・日以下であり、かつ水蒸気透過度の分布が20%以下であることを特徴とする複層フィルム。 - 基材としてのプラスチックフィルム上にガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上に最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
40℃90%rhで測定した酸素透過度が0.01cc/m2・日以上1cc/m2・日以下であり、かつ酸素透過度の分布が20%以下であることを特徴とする複層フィルム。 - 基材としてのプラスチックフィルム上にガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上に最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
該複層フィルムを構成する層のうち、少なくとも二つの層が同時もしくは実質上同時に成膜されたことを特徴とする複層フィルム。 - 基材としてのプラスチックフィルム上にガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上に最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
プラスチックフィルムの送り速度を2m/分以上として高速成膜されたことを特徴とする複層フィルム。
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