JP2008155585A - ガスバリヤフィルムとその製造方法 - Google Patents

ガスバリヤフィルムとその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2008155585A
JP2008155585A JP2006349963A JP2006349963A JP2008155585A JP 2008155585 A JP2008155585 A JP 2008155585A JP 2006349963 A JP2006349963 A JP 2006349963A JP 2006349963 A JP2006349963 A JP 2006349963A JP 2008155585 A JP2008155585 A JP 2008155585A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
organic
gas barrier
barrier film
inorganic hybrid
gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2006349963A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5078344B2 (ja
Inventor
Hiroshi Nakayama
弘 中山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
MATERIAL DESIGN FACTORY KK
Original Assignee
MATERIAL DESIGN FACTORY KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by MATERIAL DESIGN FACTORY KK filed Critical MATERIAL DESIGN FACTORY KK
Priority to JP2006349963A priority Critical patent/JP5078344B2/ja
Publication of JP2008155585A publication Critical patent/JP2008155585A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5078344B2 publication Critical patent/JP5078344B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

【課題】水蒸気や酸素の透過を防止して種々の物品を保護し得るガスバリヤフィルムを簡便かつ効率的に低コストで提供する。
【解決手段】 ガスバリヤフィルムは、プラスティックフィルム(1)の一方の主面上に順に積層された第1、第2、および第3の有機・無機ハイブリッド層(2、3、4)を含み、これらのいずれの有機・無機ハイブリッド層も意図的に導入された炭素シリコン窒素および水素を含み、第1と第3の有機・無機ハイブリッド層(2、4)は第2の有機・無機ハイブリッド層(3)に比べて大きな炭素組成比を有し、第2の有機・無機ハイブリッド層(3)においては第1と第3の有機・無機ハイブリッド(2、4)に比べてシリコンと窒素の合計組成比が大きく設定されていることを特徴としている。
【選択図】図1

Description

本発明は、種々の物品を保護してその特性の維持を図るために不所望のガスの侵入を防止するガスバリヤフィルムとその製造方法に関する。
食料品、医薬品、半導体素子、太陽電池、有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)素子などの物品は大気中の水蒸気や酸素によって変質して劣化し、その商品としての価値が損なわれる。したがって、大気中の水分や酸素を透過させないいわゆるガスバリヤ特性を有するフィルムによる包装または封止が利用されている。
たとえば、有機EL表示素子は自発光型のディスプレイとして注目されているが、有機発光層、電子輸送層、正孔輸送層などの有機分子層は大気中の水蒸気や酸素と反応し劣化するという致命的な弱点を有している。
したがって、現状では、水蒸気と酸素がほとんど透過しないガラス基板上に有機EL素子を形成し、その有機EL素子の裏面全体を金属の封止缶で被覆することによって長寿命化を図っている。
この場合に、封止缶のコストが問題になっている。その解決策として、封止缶ではなくて薄膜によってガスバリヤ層を形成する技術であるいわゆる薄膜封止技術が求められている。
また、将来の商品として期待されているフレキシブルでかつ軽量な表示素子という技術的観点からすれば、ガラス基板を用いないでプラスティックフィルム上に有機EL層を形成した表示素子の開発が望まれている。
そのためには、有機EL層にとって有害な水蒸気や酸素などのガスを透過させないガスバリヤフィルムと、その上に形成した有機EL素子を保護する薄膜封止技術とが必要となる。
したがって、フレキシブル有機EL素子の開発のための技術的課題としては、第1にはプラスティックフィルムに密着した高いバリヤ性の薄膜を形成する技術が必要であり、第2にはガス、熱、プラズマなどに対して弱くて損傷を受けやすい有機EL層を保護するためのガスバリヤ膜による薄膜封止技術が必要である。
これらの問題を解決しようとする試みとして、特許文献1の特表2002−532850号公報において、バリヤ膜の形成方法の一例が開示されている。この特許文献1に開示された方法では、ポリマー層と無機材料層との積層構造によってバリヤ膜が作製される。そのポリマー層は、モノマー(典型的にはアクリレート含有モノマー系)の蒸着とその後の紫外線照射による光重合によって形成される。また、無機材料層としては、シリカ、アルミナ、チタニア、酸化インジューム、酸化スズ、窒化アルミニウム、または窒化珪素などの層がスパッタリングなどによって形成される。そして、ポリマー層は主に有機EL素子の平坦化や無機材料層の欠陥を埋めるために用いられ、無機材料層がバリヤ性を示すものと考えられている。
特許文献1によるバリヤ膜の問題は、高いバリヤ性を得るためには、多数のポリマー層と無機材料層との積層を繰り返して10ミクロン程度もの合計厚さにしなければならないことである。また、そのバリヤ膜の製造のためには、真空蒸着、光重合、およびスパッタリングのように種々の処理過程と装置とを必要とするので、製造設備が複雑化してコスト高になる。さらに、ポリマー層自体にはバリヤ性がほとんどなく、また無機材料層自体は一般に多孔質や多結晶粒子状になるので、有機EL素子の特に側面からの水蒸気や酸素の侵入を十分に防ぐことが困難である。
非特許文献1の久保田広文、MATERIAL STAGE、Vol.2、No.6、2002、p27に開示されているようにSiNxバリヤ層の形成に通常のプラズマCVD(化学気相堆積)を用いる場合、そのバリヤ層の成膜原料として一般にシランガスを用いるので、成膜過程で常に爆発の危険性が伴い、ロール方式のフィルム製造工場には適応しにくいし、安全のための設備コストも大きくなる。
非特許文献2の杉本晃、MATERIAL STAGE、Vol.2、No.6、2002、p30に開示されているようにスパッタリング法でバリヤ層を形成する場合、スパッタリングには方向性があるので、3次元形状の対象物の全表面を均一な厚さで被覆することが困難である。また、スパッタリングでは、薄膜成長速度が遅いこと、ターゲットの配置を考慮しなければならないこと、コスト高であることなどの点で、有機EL素子などのような3次元形状の機能素子の薄膜封止には不利である。
特表2002−532850号公報 特開2005−179693号公報 久保田広文、MATERIAL STAGE、Vol.2、No.6、2002、p27 杉本晃、MATERIAL STAGE、Vol.2、No.6、2002、p30
上述のような先行技術の状況を考慮すれば理解されるように、ガスバリヤフィルムや薄膜封止の技術的においては、(1)安全な成膜プロセス、(2)成膜設備のコストダウン、(3)成膜設備の大型化の可能性、(4)成膜プロセスの単純化と高速化、(5)成膜中における機能素子に対するプラズマ損傷や熱損傷などの抑制、(6)機能素子形成過程における耐薬品性などが望まれる。そこで、本発明は、これらの課題の一つ以上を解決することを目的としている。
本発明によるガスバリヤフィルムは、プラスティックフィルムの一方の主面上に順に積層された第1、第2、および第3の有機・無機ハイブリッド層を含み、これらのいずれの有機・無機ハイブリッド層も意図的に導入された炭素、シリコン、窒素、および水素を含み、第1と第3の有機・無機ハイブリッド層は第2の有機・無機ハイブリッド層に比べて大きな炭素組成比を有し、第2の有機・無機ハイブリッド層においては第1と第3の有機・無機ハイブリッドに比べてシリコンと窒素の合計組成比が大きく設定されていることを特徴としている。
そのようなガスバリヤフィルムを製造する方法では、エチレン結合を含む有機化合物の蒸気とともに、アルキルシランとアルコキシシランの少なくとも一方の蒸気と窒素と、さらに水素、メタン、エタン、プロパン、酸素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、およびキセノンから選択された1種以上のガスとを混合し、反応容器内にその混合ガスを導入してプラズマ励起による化学反応を生じさせて第1および第3の有機・無機ハイブリッド層を形成することができる。
また、ガスバリヤフィルムの製造方法では、反応容器内に加熱フィラメントを設け、アルキルシランガスと窒素含有有機シリコン化合物ガスとの少なくとも一方、アンモニアガス、および水素とともに、さらに窒素、酸素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、およびキセノンから選択される少なくとも1種のガスとを混合し、加熱フィラメントに向けて反応容器内へその混合ガスを導入して化学反応させることによって第2の有機・無機ハイブリッド層を形成することができる。
他方、アルキルシランとアルコキシシランの少なくとも一方の蒸気とともに、窒素とアンモニアのいずれか一方を混合し、反応容器内にその混合ガスを導入してプラズマ励起による化学反応を生じさせることによって第2の有機・無機ハイブリッド層を形成することもできる。この場合、混合ガスは、水素、酸素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、およびキセノンから選択された1種以上をさらに含んでもよい。
本発明によれば、特定組成の有機・無機ハイブリッド層を他の異なる特定組成の有機・無機ハイブリッド層でサンドウィッチすることによって、水蒸気や酸素の透過を防止して種々の物品を保護し得るガスバリヤフィルムを簡便かつ効率的に低コストで提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態によるガスバリヤフィルムを模式的な断面図で示している。なお、本願の図面において、同一の参照符号は同一または相当部分を表している。また、本願の図面においは、長さや厚さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜に変更されており、実際の寸法関係を表してはいない。
図1のガスバリヤフィルムは、プラスティックフィルム1の一方の主面上に順に積層された第1、第2、および第3の有機・無機ハイブリッド層(以下、第1、第2、および第3のバリヤ層とも称す)2、3、4を含むガスバリヤフィルムであって、これらのいずれの有機・無機ハイブリッド層も意図的に導入された炭素、シリコン、窒素、および水素を含み、第1と第3の有機・無機ハイブリッド層2、4は第2の有機・無機ハイブリッド層3に比べて大きな炭素組成比を有し、第2の有機・無機ハイブリッド層3においては第1と第3の有機・無機ハイブリッド2、4に比べてシリコンと窒素の合計組成比が大きく設定されている。
ここで、有機・無機ハイブリッド材料は有機材料と無機材料の組み合わせを意味するが、従来から知られているコンポジット(複合)材のような単なる混合物とは区別して、その混ざり合いがナノオーダまたは分子オーダのものが特に有機・無機ハイブリッド材料と呼ばれる(例えば、特許文献2の特開2005−179693号公報参照)。
なお、第1から第3の有機・無機ハイブリッド層は、少量の酸素を付加的に含んでいてもよい。なぜならば、そのような含有酸素は大気中における有機・無機ハイブリッド層の化学的安定性を改善する上で好ましい効果があり、またそのような化学的安定性の向上に伴ってバリヤ性も向上し得る場合があるからである。有機・無機ハイブリッド層に含まれる少量の酸素は、成膜反応容器内の残留酸素から取り込まれる場合もあるし、望まれる場合には反応容器内に導入される混合ガス中に少量の酸素を意図的に添加してもよい。有機・無機ハイブリッド層に含まれる酸素は、XPS(X線光電子分光)によって分析可能である。
ガスバリヤフィルムに含まれる第1と第2の有機・無機ハイブリッド層は大きな組成比の炭素と水素を含むのでその層の柔軟性を維持でき、また下地のプラスティックフィルム表面の炭素原子、窒素原子、および酸素原子などとの化学結合による密着性の向上および保護対象の物品との密着性の向上を図ることができる。さらに、第1の有機・無機ハイブリッド層は、炭素と水素に加えてSiと窒素をも含むので、その層の密度が上昇しかつ化学的結合も強化されてバリヤ性をも有することができる。
他方、第2の有機・無機ハイブリッド層はSiと窒素を大きな組成比で含むので、密度が上昇するとともに化学的結合のネットワークが強固になり、第1および第3の有機・無機ハイブリッド層よりさらに高いバリヤ性能を有することができ、かつ単純無機材料の場合のような粒子化や多孔質化を防ぐことができ、その結果として水蒸気や酸素の侵入をより確実に防止することができる。
そして、ガスバリヤフィルムに含まれる第1から第3までの全てのバリヤ層を有機・無機ハイブリッド材料で形成することにより、成膜プロセスを単純化し、さらに第2のバリヤ層のみならずそれを挟む第1および第3のバリヤ層自体にもバリヤ性を付与しているので、層厚が薄いのにもかかわらず十分に高いバリヤ性能を発揮させることができる。
このように、大きな組成比の炭素に加えてシリコンと窒素をも含む第1と第3の有機・無機ハイブリッド層で大きな組成比のシリコンと窒素を含む第2の有機・無機ハイブリッド層をサンドウィッチすることによって、0.7g/m2/day未満の水蒸気透過率および0.1cc/m2/day未満の酸素透過率を容易に得ることができ、さらには0.1g/m2/day未満の水蒸気透過率および0.1cc/m2/day以下の酸素透過率をも十分に得ることができる。0.7g/m2/day未満の水蒸気透過率および0.1cc/m2/day未満の酸素透過率を有するガスバリヤフィルムは例えば食品用の保護膜として利用することができるし、0.1g/m2/day以下の水蒸気透過率および0.1cc/m2/day以下の酸素透過率を有するガスバリヤフィルムは例えば有機EL素子用などの高度な保護膜として利用することができる。
勿論、図2の模式的断面図に示されているようにガスバリヤフィルムはプラスティックフィルム1の両主面の各々上に第1、第2、および第3の有機・無機ハイブリッド層2、3、4を含んでもよく、図3の模式的断面図に示されているようにガスバリヤフィルムの2枚が第3の有機・無機ハイブリッド層4、4を向かい合わせて接着剤5または粘着剤5で貼り合されてもよい。そうすることによって、ガスバリヤフィルムのバリヤ性をさらに高めることができる。そのような接着剤5または粘着材5としては、例えばアクリル系の樹脂が透明性や耐熱性の観点から好ましく利用され得る。
本発明におけるように下地のプラスティックフィルム上に積層された3層のバリヤ層を含むガスバリヤフィルムにおけるガス漏れに関しては、その下地上の極微小粒子や不安定な吸着分子などがそれらのバリヤ層における点状欠陥の原因となって、そのような点状欠陥を通して僅かにガス漏れが生じ得ると考えられる。この場合、3層のバリヤ層をプラスティックフィルムの両面上に積層すれば、その両面上に存在する点状欠陥の位置が互いに一致することは殆どありえない。したがって、プラスティックフィルムの片面上のバリヤ層における点状欠陥を通過したガス分子は他方面上のバリヤ層によって阻止され、バリヤ特性がさらに向上することになる。
このことは、ガスバリヤフィルムの2枚が第3の有機・無機ハイブリッド層を向かい合わせて接着剤または粘着剤で貼り合された場合でも同様であり、2枚のプラスティックフィルム上に形成されたバリヤ層における点状欠陥位置が互いに一致することは殆どありえない。したがって、一方のプラスティックフィルム上のバリヤ層における点状欠陥を通過したガス分子は他方のプラスティックフィルム上のバリヤ層によって阻止され、バリヤ特性がさらに向上することになる。
また、ガスバリヤフィルムは、その表面上に100オーム/□以下のシート抵抗値を有する透明導電層(図示せず)をさらに含むことができ、400nmから800nmの波長範囲内の光に関して50%以上の透過率を有することが好ましい。そのようなガスバリヤフィルムは、例えば太陽電池や表示素子の保護膜兼導電膜として好ましく利用され得る。なお、そのような透明導電層としては、酸化錫、インジュウム酸化錫、酸化亜鉛などの周知の透明導電性酸化物層を周知の方法で形成することができる。
さらに、ガスバリヤフィルムは、その表面上に10オーム/□以下のシート抵抗値を有する金属層をさらに含むこともできる。そのようなガスバリヤフィルムは、種々の半導体デバイスの保護膜兼導電膜として好ましく利用され得る。なお、そのような金属層は、Al、Ag、Auなどの種々の金属または種々の合金を蒸着などの周知の方法で堆積することによって容易に形成することができる。
さらにまた、以上のようなガスバリヤフィルムの少なくとも一方の主面上に接着剤または粘着材が予め付与されたガスバリヤフィルムは、保護対象となる物品に対して簡易に保護膜として接合させることができるので好ましい。
本発明ではガスバリヤフィルムに含まれる第1から第3までの全てのバリヤ層を有機・無機ハイブリッド材料で形成するので、真空成膜装置内で単にCVD反応ガスの切り替えるだけの真空一貫プロセスによって、バリヤフィルムの製造や薄膜封止を簡便かつ低コストで行うことができる。また、本発明ではシランガスのような自然発火性のCVD原料を用いずに、アルキルシランやアルコキシシランのようにより発火しにくい原料を用いるので、安全性が高くて成膜設備のコストダウンを図ることができる。
すなわち、本発明のガスバリヤフィルムに含まれる有機・無機ハイブリッド薄膜の形成には、安全性の高いSi系の有機金属化合物、具体的にはアルキルシラン、アルコキシシラン、アミノシランガスなどをCVD原料として用いかつ高融点金属フィラメントの触媒作用による「触媒CVD」法、およびエチレン結合を有する有機化合物と安全性の高いSi系の有機金属化合物との混合ガスをCVD原料として用いかつプラズマ励起による重合反応を起させる「プラズマCVD」法の少なくともいずれかの方法を利用することができる。また、プラズマ効果と触媒効果の両方を利用するプラズマアシスト触媒CVDも、有機・無機ハイブリッド薄膜の形成に好ましく利用することができる。
図4は、上述のような有機・無機ハイブリッド層を「触媒CVD」法で形成する場合に利用し得る成膜装置を模式的なブロック図で図解している。この成膜装置は、ガス導入口11aと排気口11bとを有する反応容器11を備えている。反応容器11内には、加熱フィラメント12とそれに対面する基体または基板13を支持するための台14が設けられている。そして、フィラメント12は反応容器11外の電源15に接続されている。図4から分かるように、この加熱合成においては、極めて簡略で低コストの成膜装置によって、種々の有機・無機ハイブリッド膜を形成することができる。なお、加熱フィラメント12は例えばMo、Wなどの高融点金属で形成されており、通常は1500℃以上の高温に加熱される。
図5は、「プラズマCVD」による有機・無機ハイブリッド膜の形成方法に利用し得る成膜装置を模式的なブロック図で図解している。この成膜装置は、ガス導入口11aと排気口11bとを有する反応容器11を備えている。反応容器11内には、プラズマ発生用の一対のメッシュ電極16a、16bとそれに対面する基体または基板13を支持するための台14が設けられている。そして、プラズマ発生用電極16a、16bは反応容器11外のRF(高周波)電源17に接続されている。図5から分かるように、このようなプラズマ合成においても、極めて簡略で低コストの成膜装置によって、種々の有機・無機ハイブリッド膜を形成することができる。
なお、図5におけるように、一対のメッシュ電極16a、16bの外側で成膜する方法はリモートRFプラズマ成膜法とも称され、形成される膜におけるプラズマ損傷を大幅に低減しかつ低温での成膜が可能になる点で好ましい。すなわち、下地としてのプラスティックフィルムが100℃以上の耐熱性を有する場合には「触媒CVD」と「プラズマCVD」のいずれをも利用することができるが、その耐熱性が100℃未満の場合はリモートRFプラズマモードによる「プラズマCVD」を採用することが望ましい。
図6は、有機・無機ハイブリッド膜の形成方法に利用し得る成膜装置のさらに他の例を模式的なブロック図で図解している。図6の成膜装置は図4および図5の装置に類似しているが、図6の装置は反応容器11内に加熱フィラメント12とプラズマ発生用の一対のメッシュ電極16a、16bの双方が設けられていることにおいて異なっている。
なお、図6に示されているような成膜装置において、望まれる場合には加熱フィラメント12とプラズマ発生用の一対のメッシュ電極16a、16bとの配置を入れ替えてもよい。また、図6に示されているような成膜装置では、「触媒CVD」と「プラズマCVD」を任意に選択することができるし、その両方の作用効果を利用する「プラズマアシスト触媒CVD」によって成膜することもできる。
相対的に大きな炭素組成比を有する第1と第3の有機・無機ハイブリッド層の形成には、エチレン系有機化合物を利用する「プラズマCVD」を好ましく利用することができる。また、相対的に大きな組成比でSiとNを含む第2の有機・無機ハイブリッド層の形成には、「触媒CVD」、「プラズマCVD」、または「プラズマアシスト触媒CVD」を好ましく利用することができる。
より具体的には、エチレン結合を含む有機化合物の蒸気とともに、アルキルシランとアルコキシシランの少なくとも一方の蒸気と、さらに水素、メタン、エタン、プロパン、ヘリウム、ネオン、アルゴン、およびキセノンから選択された1種以上のガスとを混合し、反応容器内にその混合ガスを導入してプラズマ励起による化学反応を生じさせて第1および第3の有機・無機ハイブリッド層を好ましく形成することができる。
ここで、例えばエチレンやスチレンのようにエチレン結合を含む有機化合物の蒸気は、化学反応を促進(成膜速度を促進)させる点で望まれるものであり、有機・無機ハイブリッド層中の炭素組成比を高めるようにも作用し得る。また、メタン、エタン、プロパンなどの炭化水素ガスは、第1および第3の有機・無機ハイブリッド層中の炭素とSiとの組成比を調整する場合に好ましく利用することができる。さらに、不活性ガスは、反応性の高いイオンやラジカルなどを下地のプラスティックフィルムまで好ましく輸送するように作用し得る。
また、反応容器内に加熱フィラメントを設け、アルキルシランガスと窒素含有有機シリコン化合物ガスとの少なくとも一方、アンモニアガス、および水素とともに、さらに窒素、酸素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、およびキセノンから選択される少なくとも1種のガスとを混合し、加熱フィラメントに向けて反応容器内へその混合ガスを導入して化学反応させることによって第2の有機・無機ハイブリッド層を好ましく形成することができる。
ここで、アンモニアは第2の有機・無機ハイブリッド層中のSiとNの組成比を制御するために利用することができる。また、水素は、加熱フィラメントの珪化や炭化による劣化を防止するために利用することができる。
他方、アルキルシランとアルコキシシランの少なくとも一方の蒸気とともに、窒素とアンモニアの少なくともいずれか一方を混合し、反応容器内にその混合ガス導入してプラズマ励起による化学反応を生じさせることによって第2の有機・無機ハイブリッド層を好ましく形成することもできる。この場合に、混合ガスは、水素、酸素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、およびキセノンから選択された1種以上をさらに含むことが好ましい。
以下において、本発明に密接に関連する種々の参考例によるガスバリヤフィルムとともに、本発明の種々の実施例によるガスバリヤフィルムが説明される。
(参考例1)
本発明者はまず、下地としてのプラスティックフィルム上にシリコン、窒素、炭素、および水素を含む有機・無機ハイブリッド層の単層(以下、これをSiNCH層とも略称する)が形成されたガスバリヤフィルムのバリヤ特性を調べた。
本参考例1においては、PEN(ポリエチレンナフタレート)ならなる厚さ125μmのプラスティックフィルム上に設定厚さ50nmの単層のSiNCH層が触媒CVD法によって形成された。この触媒CVDによるSiNCH層の形成の際には、モノメチルシラン(以下、「1MS」と略す)/H2/N2/NH3が50/50/50/200(sccm)の流量比で成膜装置内に導入された。
こうして得られたSiNCH層についてFTIR(フーリエ変換赤外分光)で調べたところ、Si−N、Si−H、N−H、C−Hなどの結合が観測され、有機・無機ハイブリッド層であることが確認された。
本参考例1において得られた単層のSiNCH層を含むガスバリヤフィルムのバリヤ特性が、Lyssy社のガス透過率測定装置で測定された。より具体的には、水蒸気の透過率の測定にはLyssy社のバリヤテスタL80−5000(JIS−K7129−A法)が用いられ、酸素の透過率の測定にはLyssy社のバリヤテスタOPT−5000(JIS−K7126−B法)が用いられた。
その測定結果によれば、参考例1のガスバリヤフィルムにおいては、水蒸気透過率が1.4g/m2/dayであって、酸素透過率が2.6cc/m2/dayであった。なお、下地として採用された厚さ125μmのPENプラスティックフィルム自体の水蒸気透過率は1.9g/m2/dayであって、酸素透過率は9.5cc/m2/dayである。
この参考例1から、単層のSiNCH層は下地のプラスティックフィルムの酸素に対するバリヤ性の改善に効果があることが明らかであるが、水蒸気に対するバリヤ性の改善効果は少ないことが分かる。
(参考例2)
参考例2によるガスバリヤフィルムは、参考例1に比べて、SiNCH層の形成条件が変更されたことのみにおいて異なっていた。より具体的には、参考例2においては、成膜装置内に1MS/H2/N2が20/200/2000(sccm)の流量比で導入され、プラズマアシスト触媒CVDによってPENフィルム上にSiNCH層が形成された。
すなわち、参考例1において成膜装置内に導入される混合ガスはN2に加えてNH3をも含んでいるが、参考例2における混合ガスにはNH3が含まれていなくて多量のN2が含まれている。これは、触媒CVDではN2を分解して膜内に取り込むことが困難なので混合ガスにNH3を含ませているが、プラズマアシスト触媒CVDではプラズマによってN2を分解することができるのでNH3を省略することも可能だからである。
本参考例2において得られたガスバリヤフィルムの水蒸気透過率を測定したところ1.07g/m2/dayであって、参考例1に比べて少し改善されていた。この理由としては、混合ガス中に含まれる多量のN2がプラズマアシストによって分解されるので、SiNCH層中に取り込まれる窒素の原子比が少し増大し、それによってバリヤ性が改善したと考えられる。
なお、SiNCH層をXPS(X線光電子分光法)で分析したところでは、Si原子に対するC原子とN原子の割合が比較的小さな範囲の領域ではC原子とN原子の両方の割合を高めることができるが、C原子とN原子の割合が比較的大きな範囲の領域ではN原子の割合の増大に伴ってC原子の割合が低下する傾向にあることが確認されている。
(参考例3)
参考例3によるガスバリヤフィルムは、参考例2に比べて、SiNCH層の形成条件が変更されたことのみにおいて異なっていた。より具体的には、参考例3においては、成膜装置内に1MS/H2/N2/NH3が40/100/40/200(sccm)の流量比で導入され、プラズマアシスト触媒CVDによってPENフィルム上にSiNCH層が形成された。すなわち、参考例2において成膜装置内に導入される混合ガスはNH3を含んでいないが、本参考例3における混合ガスはNH3をも含んでいる。
本参考例3において得られたガスバリヤフィルムの水蒸気透過率を測定したところ0.93g/m2/dayであって、参考例2に比べても少し改善されていた。この理由としては、参考例3ではN2に加えてNH3をも含んでいるので、参考例2に比べてもSiNCH層中に取り込まれる窒素の原子比が少し増大してバリヤ性がさらに少し改善されたと考えられる。
(参考例4)
参考例4によるガスバリヤフィルムは、参考例3に比べて、SiNCH層の形成条件が変更されたことのみにおいて異なっていた。より具体的には、参考例4においては、成膜装置内に1MS/H2/N2/NH3が30/30/30/200(sccm)の流量比で導入され、プラズマアシスト触媒CVDによってPENフィルム上にSiNCH層が形成された。すなわち、参考例4において成膜装置内に導入される混合ガスに含まれるNH3に対する1MSの流量比は、参考例3の場合に比べて低減されている。換言すれば、参考例3に比べて、参考例4においては混合ガスに含まれる1MSに対するNH3の比率が増大している。
本参考例4において得られたガスバリヤフィルムの水蒸気透過率を測定したところ0.87g/m2/dayであって、参考例3に比べても少し改善されていた。この理由としては、参考例3に比べて、参考例4では1MSに対するNH3の比率が増大しているので、SiNCH層中に取り込まれる窒素の原子比が少し増大してバリヤ性がさらに少し改善したと考えられる。
(参考例5)
参考例5によるガスバリヤフィルムにおいては、上述の参考例1−4に比べて、SiNCH層がポリマー層でサンドウィッチされている点が特徴的である。この参考例5においても、厚さ125μmのPENフィルムが下地として用いられた。
そのPENフィルム上に、まず設定厚さ50nmの第1ポリエチレン層がプラズマCVDで形成された。この際に、成膜装置内には、Ar/C22/H2の混合ガスがそれぞれ200/50/100(sccm)の流量比で導入された。
その第1ポリエチレン層上には、設定厚さ50nmの単層のSiNCH層が触媒CVDによって形成された。その際に、1MS/H2/NH3が50/200/200(sccm)の流量比で導入された。
そのSiNCH層上にさらに第2のポリエチレン層が第1のポリエチレン層と同じ成膜条件で形成された。
こうして得られた本参考例5のガスバリヤフィルムの水蒸気透過率を測定したところ0.83g/m2/dayであった。すなわち、本参考例5のガスバリヤフィルムは参考例1に比べれば水蒸気透過率の低減していることが明らかであるが、参考例4に比べれば僅かな改善にとどまっており、ポリマー層でSiNCH層をサンドウィッチしても、それらのポリマー層がガスバリヤフィルムのバリヤ性を改善する効果は僅かであることが分かる。
(実施例1)
本発明による実施例1のガスバリヤフィルムにおいても、厚さ125μmのPENフィルムが下地層として用いられた。
そのPENフィルム上に、まずシリコン、窒素、炭素、および水素を含む設定厚さ50nmの有機・無機ハイブリッド層(SiNCH層)が形成された。この第1のSiNCH層はプラズマCVDで形成された。この際に、成膜装置内には、1MS/C22/H2/N2が2/10/100/200(sccm)の流量比で導入された。
その第1のSiNCH層上には、単層で設定厚さ50nmの第2のSiNCH層がプラズマCVDによって形成された。このプラズマCVDによる第2SiNCH層の形成の際には、1MS/N2が10/200(sccm)の流量比で成膜装置内に導入された。
その第2SiNCH層上には、第1SiNCH層と同じ成膜条件の下で第3のSiNCH層がさらに形成された。
こうして得られた本実施例1のガスバリヤフィルムのバリヤ特性を測定したところ、水蒸気透過率が0.67g/m2/dayであって、酸素透過率はLyssy社のバリヤテスタOPT−5000では検出できず、すなわちその検出限界の0.1cc/m2/day未満であった。
このことから、本実施例1では、第2のSiNCH層を第1と第2のSiNCH層で挟み込んだ3層の有機・無機ハイブリッドバリヤ層を構成することによって、参考例5における場合のように単層のSiNCH層を2枚のポリマー層で挟み込んだ構成に比べても、明らかにバリヤ特性が改善されていることが分かる。
本実施例1においては、第2SiNCH層の成膜の場合に比べて、第1と第3SiNCH層の成膜の場合に、1MSの流量が少なくされかつ付加的にエチレンが導入されている。したがって、第1SiNCH層は第2SiNCH層に比べて炭素と水素の組成比が大きくて柔軟であって、下地のPENフィルムに対して優れた密着性を有していると考えられる。他方、本実施例における第1と第3SiNCH層は、参考例5におけるような単なるポリマー層ではなくてSiとNを含む有機・無機ハイブリッド層であるのでそれ自体もバリヤ性を有し得る。したがって、これらの第1と第3SiNCH層は、より大きな組成比でSiとNを含んでいて強固な化学的ネットワーク結合を有する第2有機・無機ハイブリッド層の高いバリヤ性とあいまって、全体として参考例5に比べてもさらに改善されたバリヤ特性を生じさせるように寄与していると考えられる。
(実施例2)
実施例2によるガスバリヤフィルムは、実施例1に比べて、第2のSiNCH層の形成条件が変更されたことのみにおいて異なっていた。すなわち、実施例2においては、成膜装置内に1MS/H2/N2/NH3が5/50/50/200(sccm)の流量比で導入され、触媒CVDによって第2のSiNCH層が形成された。
換言すれば、実施例1における第2SiNCH層はNH3を含まないで多量のN2を含む混合ガスを用いてプラズマCVDで形成されたのに対して、実施例2における第2SiNCH層はN2に加えて多量のNH3をも含む混合ガスを用いて触媒CVDで形成されたことにおいて顕著に異なっていた。
本実施例2において得られたガスバリヤフィルムの水蒸気透過率を測定したところ0.57g/m2/dayであって、その酸素透過率は検出限界の0.1cc/m2/day未満であった。すなわち、実施例2のガスバリヤフィルムのバリヤ特性は、実施例1に比べてもさらに向上していることが明らかである。
この理由としては、第2SiNCH層の形成用の混合ガスがNH3を含まない実施例1の場合に比べて、実施例2における第2SiNCH層は多量のNH3をも含む混合ガスを用いて形成されているので窒素の取り込み量が増大し、そのバリヤ性がさらに向上したと考えられる。
(実施例3)
実施例3によるガスバリヤフィルムは、実施例2に比べて、第1と第3のSiNCH層の形成条件が変更されたことのみにおいて異なっていた。すなわち、実施例3においては、成膜装置内に1MS/C22/H2/N2が10/100/10/50(sccm)の流量比で導入され、プラズマCVDによって第1と第3のSiNCH層が形成された。
換言すれば、実施例2の場合に比べて、本実施例3における第1と第3SiNCH層の成膜では、N2の流量比が低減させられて、1MSとエチレンの流量比が増大させられていることにおいて顕著に異なっていた。
本実施例3において得られたガスバリヤフィルムの水蒸気透過率を測定したところLyssy社のバリヤテスタL80−5000では検出できず、すなわちその検出限界の0.03g/m2/day未満であって、その酸素透過率も検出限界の0.1cc/m2/day未満であった。すなわち、実施例3のガスバリヤフィルムのバリヤ特性は、実施例2に比べてもさらに向上していることが明らかである。
上述のように、実施例2の場合に比べて、本実施例3における第1と第3SiNCH層の成膜では、N2の流量比が低減させられて、1MSとエチレンの流量比が増大させられている。したがって、実施例2の場合と比較すれば、実施例3における第1と第3SiNCH層はそのSi組成比が大きくなっているがそのN組成比は小さくなっていると考えられる。それにもかかわらず実施例2に比べて本実施例3のガスバリヤフィルムのバリヤ性がさらに向上していることからすれば、第1と第3SiNCH層は、比較的大きな組成比の炭素と水素によって十分な柔軟性を維持しつつ、窒素によるネットワーク結合の強化よりもむしろSiの増大による密度の向上を図ることが好ましいと考えられる。
なお、上述の実施形態や実施例では3層の有機・無機ハイブリッド層を利用するガスバリヤフィルムが説明されたが、3層の有機・無機ハイブリッド層に対して任意のバリヤ層をさらに付加してもよいことは言うまでもない。
また、下地として使用し得るプラスティックフィルムはPENに限られず、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PI(ポリイミド)フィルム、フッ素樹脂フィルム、ポリカーボネートフィルムなど他の種々のプラスティックフィルムをも使用し得ることも言うまでもない。
以上のように、本発明によれば、特定組成の有機・無機ハイブリッド層を他の異なる特定組成の有機・無機ハイブリッド層でサンドウィッチすることによって、水蒸気や酸素の透過を防止して種々の物品を保護し得るガスバリヤフィルムを簡便かつ効率的に低コストで提供することができる。
本発明の一実施形態によるガスバリヤフィルムを示す模式的断面図である。 本発明の他の実施形態によるガスバリヤフィルムを示す模式的断面図である。 本発明のさらに他の実施形態によるガスバリヤフィルムを示す模式的断面図である。 本発明によるSi系有機・無機ハイブリッド膜の形成方法に利用し得る成膜装置の一例を示す模式的ブロック図である。 本発明によるSi系有機・無機ハイブリッド膜の形成方法に利用し得る成膜装置の他の例を示す模式的ブロック図である。 本発明によるSi系有機・無機ハイブリッド膜の形成方法に利用し得る成膜装置のさらに他の例を示す模式的ブロック図である。
符号の説明
1 プラスティックフィルム、2 第1の有機・無機ハイブリッド層、3 第2の有機・無機ハイブリッド層、4 第3の有機・無機ハイブリッド層、5 接着剤または粘着剤、11 反応容器、11a ガス導入口、11b 排気口、12 加熱フィラメント、13 基体または基板、14 支持台、15 加熱フィラメント用電源、16a、16b 一対のメッシュ電極、17 プラズマ生成用電源。

Claims (14)

  1. プラスティックフィルムの一方の主面上に順に積層された第1、第2、および第3の有機・無機ハイブリッド層を含むガスバリヤフィルムであって、
    いずれの前記有機・無機ハイブリッド層も、意図的に導入された炭素、シリコン、窒素、および水素を含み、
    前記第1と第3の有機・無機ハイブリッド層は、前記第2の有機・無機ハイブリッド層に比べて大きな炭素組成比を有し、
    前記第2の有機・無機ハイブリッド層においては、前記第1と第3の有機・無機ハイブリッドに比べて、シリコンと窒素の合計組成比が大きく設定されていることを特徴とするガスバリヤフィルム。
  2. 前記第2の有機・無機ハイブリッド層は、前記第1と第3の有機・無機ハイブリッドに比べて、大きな窒素組成比を有することを特徴とするガスバリヤフィルム。
  3. 前記第1、第2、および第3の有機・無機ハイブリッド層は、酸素をも含むことを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリヤフィルム。
  4. 0.7g/m2/day未満の水蒸気透過率および0.1cc/m2/day未満の酸素透過率を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のガスバリヤフィルム。
  5. 0.1g/m2/day未満の水蒸気透過率および0.1cc/m2/day未満の酸素透過率を有することを特徴とする請求項4に記載のガスバリヤフィルム。
  6. 前記プラスティックフィルムの他方の主面上にも前記第1、第2、および第3の有機・無機ハイブリッド層を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のガスバリヤフィルム。
  7. 請求項1から3のいずれかのガスバリヤフィルムの2枚が前記第3の有機・無機ハイブリッド層を向かい合わせて接着剤または粘着剤で貼り合されていることを特徴とするガスバリヤフィルム。
  8. 請求項1から7のいずれかのガスバリヤフィルムの一主面上に100オーム/□以下のシート抵抗値を有する透明導電層をさらに含み、400nmから800nmの波長範囲内の光に関して50%以上の透過率を有することを特徴とするガスバリヤフィルム。
  9. 請求項1から7のいずれかのガスバリヤフィルムの一主面上に10オーム/□以下のシート抵抗値を有する金属層をさらに含むことを特徴とするガスバリヤフィルム。
  10. 請求項1から9のいずれかのガスバリヤフィルム少なくとも一方の主面上の周縁部または全面に接着剤または粘着剤が付与されていることを特徴とするガスバリヤフィルム。
  11. 請求項1から10のいずれかのガスバリヤフィルムを製造する方法であって、
    エチレン結合を含む有機化合物の蒸気とともに、アルキルシランとアルコキシシランの少なくとも一方の蒸気と窒素と、さらに水素、メタン、エタン、プロパン、ヘリウム、酸素、ネオン、アルゴン、およびキセノンから選択された1種以上のガスとを混合し、
    反応容器内にその混合ガスを導入してプラズマ励起による化学反応を生じさせて前記第1および前記第3の有機・無機ハイブリッド層を形成することを特徴とするガスバリヤフィルムの製造方法。
  12. 請求項1から10のいずれかのガスバリヤフィルムを製造する方法であって、
    反応容器内に加熱フィラメントを設け、
    アルキルシランガスと窒素含有有機シリコン化合物ガスとの少なくとも一方、アンモニアガス、および水素とともに、さらに窒素、酸素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、およびキセノンから選択される少なくとも1種のガスとを混合し、
    前記加熱フィラメントに向けて前記反応容器内へその混合ガスを導入して化学反応させることによって前記第2の有機・無機ハイブリッド層を形成することを特徴とするガスバリヤフィルムの製造方法。
  13. 請求項1から10のいずれかのガスバリヤフィルムを製造する方法であって、
    アルキルシランとアルコキシシランの少なくとも一方の蒸気とともに、窒素とアンモニアの少なくとも一方を混合し、
    反応容器内にその混合ガスを導入してプラズマ励起による化学反応を生じさせることによって前記第2の有機・無機ハイブリッド層を形成することを特徴とするガスバリヤフィルムの製造方法。
  14. 前記混合ガスは、水素、酸素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、およびキセノンから選択された1種以上をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載のガスバリヤフィルムの製造方法。
JP2006349963A 2006-12-26 2006-12-26 ガスバリヤフィルムとその製造方法 Expired - Fee Related JP5078344B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006349963A JP5078344B2 (ja) 2006-12-26 2006-12-26 ガスバリヤフィルムとその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006349963A JP5078344B2 (ja) 2006-12-26 2006-12-26 ガスバリヤフィルムとその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008155585A true JP2008155585A (ja) 2008-07-10
JP5078344B2 JP5078344B2 (ja) 2012-11-21

Family

ID=39657035

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006349963A Expired - Fee Related JP5078344B2 (ja) 2006-12-26 2006-12-26 ガスバリヤフィルムとその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5078344B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010113693A1 (ja) 2009-03-30 2010-10-07 株式会社マテリアルデザインファクトリ- ガスバリアフィルム、それを含む電子デバイス、ガスバリア袋、およびガスバリアフィルムの製造方法
JP2019077452A (ja) * 2017-10-20 2019-05-23 中山 弘 包装用袋体及びその包装用フィルムの製造装置

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09300522A (ja) * 1996-05-15 1997-11-25 Mitsui Toatsu Chem Inc ガスバリヤー性フィルム
JP2003303520A (ja) * 2002-04-10 2003-10-24 Konica Minolta Holdings Inc 透明導電膜積層体及びその製造方法並びに該透明導電膜積層体を用いた物品
JP2004122429A (ja) * 2002-09-30 2004-04-22 Fuji Photo Film Co Ltd 複層フィルム
JP2004217966A (ja) * 2003-01-10 2004-08-05 Mitsui Chemicals Inc ガスバリア膜形成方法および装置
JP2004292877A (ja) * 2003-03-26 2004-10-21 Ishikawa Seisakusho Ltd 窒化シリコン膜及びその製造方法
JP2005329680A (ja) * 2004-05-21 2005-12-02 Dainippon Printing Co Ltd 透明ガス遮断性積層体、並びにそれを用いたディスプレイ用基板及びディスプレイ
JP2006068992A (ja) * 2004-09-01 2006-03-16 Konica Minolta Holdings Inc ガスバリア性フィルム
WO2006033233A1 (ja) * 2004-09-21 2006-03-30 Konica Minolta Holdings, Inc. 透明ガスバリア性フィルム
JP2006224408A (ja) * 2005-02-16 2006-08-31 Dainippon Printing Co Ltd バリア性フィルム
WO2007077871A1 (ja) * 2006-01-06 2007-07-12 Konica Minolta Holdings, Inc. 防湿性セルロースエステルフィルム、偏光板保護フィルム及び偏光板

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09300522A (ja) * 1996-05-15 1997-11-25 Mitsui Toatsu Chem Inc ガスバリヤー性フィルム
JP2003303520A (ja) * 2002-04-10 2003-10-24 Konica Minolta Holdings Inc 透明導電膜積層体及びその製造方法並びに該透明導電膜積層体を用いた物品
JP2004122429A (ja) * 2002-09-30 2004-04-22 Fuji Photo Film Co Ltd 複層フィルム
JP2004217966A (ja) * 2003-01-10 2004-08-05 Mitsui Chemicals Inc ガスバリア膜形成方法および装置
JP2004292877A (ja) * 2003-03-26 2004-10-21 Ishikawa Seisakusho Ltd 窒化シリコン膜及びその製造方法
JP2005329680A (ja) * 2004-05-21 2005-12-02 Dainippon Printing Co Ltd 透明ガス遮断性積層体、並びにそれを用いたディスプレイ用基板及びディスプレイ
JP2006068992A (ja) * 2004-09-01 2006-03-16 Konica Minolta Holdings Inc ガスバリア性フィルム
WO2006033233A1 (ja) * 2004-09-21 2006-03-30 Konica Minolta Holdings, Inc. 透明ガスバリア性フィルム
JP2006224408A (ja) * 2005-02-16 2006-08-31 Dainippon Printing Co Ltd バリア性フィルム
WO2007077871A1 (ja) * 2006-01-06 2007-07-12 Konica Minolta Holdings, Inc. 防湿性セルロースエステルフィルム、偏光板保護フィルム及び偏光板

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2010113693A1 (ja) 2009-03-30 2010-10-07 株式会社マテリアルデザインファクトリ- ガスバリアフィルム、それを含む電子デバイス、ガスバリア袋、およびガスバリアフィルムの製造方法
JP2010235979A (ja) * 2009-03-30 2010-10-21 Material Design Factory:Kk ガスバリアフィルム、それを含む電子デバイス、ガスバリア袋、およびガスバリアフィルムの製造方法
EP2415901A1 (en) * 2009-03-30 2012-02-08 Material Design Factory Co., Ltd. Gas barrier film, electronic device including same, gas barrier bag, and method for manufacturing gas barrier film
CN102365387A (zh) * 2009-03-30 2012-02-29 株式会社材料设计工场 气体屏蔽膜、包含它的电子器件、气体屏蔽袋、以及气体屏蔽膜的制造方法
EP2415901A4 (en) * 2009-03-30 2013-07-03 Material Design Factory Co Ltd GAS BARRIER FILM, ELECTRONIC DEVICE COMPRISING THE SAME, GAS BARRIER BAG AND METHOD FOR MANUFACTURING THE GAS BARRIER FILM
US8871350B2 (en) 2009-03-30 2014-10-28 Material Design Factory Co., Ltd. Gas barrier film, electronic device including the same, gas barrier bag, and method for producing gas barrier film
JP2019077452A (ja) * 2017-10-20 2019-05-23 中山 弘 包装用袋体及びその包装用フィルムの製造装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5078344B2 (ja) 2012-11-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5803937B2 (ja) ガスバリア性フィルム、ガスバリア性フィルムの製造方法及び電子デバイス
JP5470969B2 (ja) ガスバリアフィルム、それを含む電子デバイス、ガスバリア袋、およびガスバリアフィルムの製造方法
EP2660041B1 (en) Gas-barrier film and electronic device
JP5862565B2 (ja) ガスバリア性フィルム、ガスバリア性フィルムの製造方法及び電子デバイス
Nam et al. A composite layer of atomic-layer-deposited Al2O3 and graphene for flexible moisture barrier
WO2013035432A1 (ja) 変性ポリシラザンフィルム、および、ガスバリアフィルムの製造方法
JP2014151571A (ja) ガスバリア性フィルムおよびその製造方法、ならびに前記ガスバリア性フィルムを含む電子デバイス
Kim et al. Highly-impermeable Al2O3/HfO2 moisture barrier films grown by low-temperature plasma-enhanced atomic layer deposition
WO2015053405A1 (ja) ガスバリア性フィルムの製造方法
Lee et al. Defect-sealing of Al2O3/ZrO2 multilayer for barrier coating by plasma-enhanced atomic layer deposition process
Lee et al. Environmental reliability and moisture barrier properties of silicon nitride and silicon oxide films using roll-to-roll plasma enhanced chemical vapor deposition
Kim et al. Surface modification of polymeric substrates to enhance the barrier properties of an Al2O3 layer formed by PEALD process
Yang et al. Systematic investigation on polymer layer selection for flexible thin film encapsulation
JP5078344B2 (ja) ガスバリヤフィルムとその製造方法
JP5849086B2 (ja) 多層膜を加工する方法
JP2018020540A (ja) バリア性フィルム
KR20170137855A (ko) 적층체 및 그 제조 방법
Wang et al. High-performance water vapor barriers via amorphous alumina-polycrystalline zinc oxide hybrids with a self-wrinkling morphology
Kim et al. Effect of H2 addition during PECVD on the moisture barrier property and environmental stability of H: SiN x film
US20200370165A1 (en) Laminate and method of producing the same, and gas barrier film and method of producing the same
CN108349210B (zh) 气体阻隔膜
JP6472013B2 (ja) バリア膜、バリア膜積層体、デバイス、バリア性保護シート、バリア袋およびバリア膜の製造方法
JP2013108103A (ja) ガスバリアフィルムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091210

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110823

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110920

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20111115

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120731

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120828

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150907

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5078344

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees