JPH09300522A - ガスバリヤー性フィルム - Google Patents

ガスバリヤー性フィルム

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JPH09300522A
JPH09300522A JP11988896A JP11988896A JPH09300522A JP H09300522 A JPH09300522 A JP H09300522A JP 11988896 A JP11988896 A JP 11988896A JP 11988896 A JP11988896 A JP 11988896A JP H09300522 A JPH09300522 A JP H09300522A
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JP
Japan
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acid
gas barrier
aliphatic
polyester
barrier film
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Application number
JP11988896A
Other languages
English (en)
Inventor
Fumiharu Yamazaki
文晴 山▲崎▼
Tomoyuki Okamura
友之 岡村
Shin Fukuda
福田  伸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Toatsu Chemicals Inc
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Publication date
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02WCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO WASTEWATER TREATMENT OR WASTE MANAGEMENT
    • Y02W90/00Enabling technologies or technologies with a potential or indirect contribution to greenhouse gas [GHG] emissions mitigation
    • Y02W90/10Bio-packaging, e.g. packing containers made from renewable resources or bio-plastics

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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 脂肪族(コ)ポリエステル及び/又は
(コ)ポリヒドロキシカルボン酸を含有する樹脂組成物
からなるフィルム成形体の面上に、主として酸化珪素か
らなる薄膜層を形成せしめたガスバリヤー性フィルム。 【効果】 透明性、ガスバリヤー性とともに生分解性を
有するフィルムを提供することができる。該フィルム
は、大量に消費されている包装用フィルムとして利用で
き、これをゴミとして廃棄しても自然に分解されるた
め、環境破壊を引き起こさない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、脂肪族(コ)ポリ
エステル及び/又は(コ)ポリヒドロキシカルボン酸を
含有する、樹脂組成物からなるフィルム成形体を基材と
したガスバリヤー性フィルムに関する。
【0002】本発明に係るガスバリヤー性フィルムは、
ガスバリヤー性、透明性を有し、水蒸気や酸素、その他
有害な気体を避けなければならない物品の包装用フィル
ムとして利用できる。また、本発明品は分解性を有する
ため、土壌や海水中において人体に無害な物質に分解さ
れるため、包装用フィルムを廃棄することによる環境破
壊を抑制する効果がある。
【0003】
【従来の技術】食品や医薬品といった、水蒸気や酸素、
その他有害な気体によりその品質が変化してしまう物品
を包装するための包装フィルムには、その要求特性に応
じて多くの種類がある。中でもよく知られているのはポ
リプロピレンやポリエステルフィルムを用いたものであ
り、これらはもともとある程度の防湿性を有しているた
め、特に湿気に弱い食品、例えば、海苔、スナック食品
等の包装フィルムとして広く用いられている。
【0004】また、ポリプロピレンやポリエステルフィ
ルム単体よりも防湿性を向上させたり、ガスバリヤー
性、防香性をさらに付与させる研究もかねてから行われ
ており、そのようなガスバリヤー性フィルムは既に開発
されている。この中には高分子フィルムにアルミニウム
等の金属箔を貼りあわせたものや、ポリプロピレンやポ
リエステルフィルムの上に塩化ビニリデンやビニルアル
コール系重合体などのガスバリヤー性が優れた樹脂をコ
ーティングしたもの(特公昭50−28120号、特公
昭59−47996号)等が知られている。これらは、
特に冷凍食品、菓子類、コーヒー、畜産加工品等の包装
フィルムとして用いられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】これまでに述べたよう
に包装用フィルムは、食品や医薬品といった、酸素や水
蒸気を嫌う物品の包装用途に大量に消費されているが、
これらの高分子フィルムは、それを廃棄した場合半永久
的にそのまま残留してしまうため、環境破壊を引き起こ
す懸念が高まっている。
【0006】そこで、包装用フィルムに分解性を付与さ
せることができれば、これらを廃棄することによる環境
破壊の問題は解決できる。分解性を有する材料としては
脂肪族ポリエステルがよく知られている。脂肪族ポリエ
ステルは、水の存在下で容易に加水分解する性質を有
し、土壌中や海水中で生体に影響のない物質に変化する
ため、医療用材料や汎用樹脂の代替品として既に注目さ
れてきた。
【0007】脂肪族ポリエステルの中で透明性を有する
ものとしては、例えば(コ)ポリ乳酸のような、(コ)
ポリヒドロキシカルボン酸や脂肪族多価カルボン酸から
誘導される(コ)ポリエステルがある。(コ)ポリ乳酸
は、分解性と透明性を併せもつため、中身を見せたい場
合の包装用フィルム材料として有望である。そこで、本
発明者らは、(コ)ポリ乳酸をフィルム状に加工し、こ
れを包装用フィルムとしての性能を備えているかを調査
した。その結果、(コ)ポリ乳酸を材料としたフィルム
は、ガスバリヤー性能が、従来包装用フィルムとして用
いられてきたポリプロピレンやポリエステルフィルムに
比べて著しく劣ることを発見した。
【0008】ガスバリヤー性能を向上させる手段として
は、先に述べたように、ガスバリヤー性に優れた塩化ビ
ニリデンやビニルアルコール系重合体からなるフィルム
をラミネートする方法がある。しかしながら、塩化ビニ
リデンやビニルアルコール系共重合体を使用してしまう
と、(コ)ポリ乳酸を用いることにより得られた分解性
が、結局損なわれることになり、この手段は使用できな
い。また、アルミニウム等の金属箔をラミネートする場
合も同様であり、この場合にはさらに透明性も損なわれ
る。
【0009】本発明は、上記事情に鑑み、土壌中や海水
中といった環境に放置するだけで分解される、透明性、
且つガスバリヤー性に優れたフィルムを得ることを課題
とした。これは、大量に消費されている包装用フィルム
による環境破壊問題を解決することをも含んでいる。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる問
題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、透明性、
耐熱性、及び分解性を併せもった基材に、主として酸化
珪素からなる薄膜層を形成することにより、基材がもつ
特性を損なうことなくガスバリヤー性を付与することが
できることを見いだし、本発明に到達した。
【0011】本発明は、(1) 脂肪族(コ)ポリエス
テル及び/又は(コ)ポリヒドロキシカルボン酸を含有
する樹脂組成物からなる、透明性を有するフィルム成形
体(A)の、一方または両方の面上に、主として酸化珪
素からなる薄膜層(B)を形成せしめた、ABあるいは
BABの構成からなるガスバリヤー性フィルム、(2)
脂肪族(コ)ポリエステル及び/又は(コ)ポリヒド
ロキシカルボン酸を含有する樹脂組成物からなる、透明
性を有するフィルム成形体(A)の、一方の面上に、主
として酸化珪素からなる薄膜層(B)を形成せしめ、該
薄膜層と、フィルム成形体(A)と、を透明な接着剤層
(C)を介して貼りあわせた、ABCAの構成からなる
ガスバリヤー性フィルム、(3) 脂肪族(コ)ポリエ
ステル及び/又は(コ)ポリヒドロキシカルボン酸を含
有する樹脂組成物からなる、透明性を有するフィルム成
形体(A)の、一方の面上に、主として酸化珪素からな
る薄膜層(B)を形成せしめたフィルム2枚を、該薄膜
層同士を透明な接着剤層(C)を介して貼りあわせた、
ABCBAの構成からなるガスバリヤー性フィルム、
(4) 脂肪族(コ)ポリエステル及び/又は(コ)ポ
リヒドロキシカルボン酸を含有する樹脂組成物からな
る、透明性を有するフィルム成形体(A)が、延伸、熱
処理したものであることを特徴とする(1)及至(3)
の何れかに記載のガスバリヤー性フィルム、(5) 脂
肪族(コ)ポリエステル及び/又は(コ)ポリヒドロキ
シカルボン酸を含有する樹脂組成物に含まれるモノマー
としての環状二量体の含有量が、該樹脂組成物の0.5
重量%以下である樹脂組成物であることを特徴とする
(1)及至(4)の何れかに記載のガスバリヤー性フィ
ルム、(6) 脂肪族(コ)ポリエステル及び/又は
(コ)ポリヒドロキシカルボン酸を含有する樹脂組成物
からなる、透明性を有するフィルム成形体(A)が、さ
らに脂肪族カルボン酸アミドを含むことを特徴とする、
(1)及至(5)の何れかに記載のガスバリヤー性フィ
ルム、(7) 脂肪族(コ)ポリエステル及び/または
(コ)ポリヒドロキシカルボン酸が、(コ)ポリ乳酸で
ある(1)及至(6)の何れかに記載のガスバリヤー性
フィルム、(8) (コ)ポリ乳酸がホモポリマーであ
る(7)に記載のガスバリヤー性フィルム、(9) 脂
肪族(コ)ポリエステル及び/又は(コ)ポリヒドロキ
シカルボン酸が、(コ)ポリブチレンサクシネートであ
る(1)及至(6)の何れかに記載のガスバリヤー性フ
ィルム、(10) 脂肪族(コ)ポリエステル及び/又
は(コ)ポリヒドロキシカルボン酸が、(コ)ポリカプ
ロン酸である(1)及至(6)の何れかに記載のガスバ
リヤー性フィルム、(11) 脂肪族(コ)ポリエステ
ル及び/又は(コ)ポリヒドロキシカルボン酸が、
(コ)ポリ乳酸と、少なくとも1種の(コ)ポリ乳酸以
外の脂肪族(コ)ポリエステル及び/又は(コ)ポリヒ
ドロカルボン酸との混合物である(1)及至(6)の何
れかに記載のガスバリヤー性フィルム、(12) 脂肪
族(コ)ポリエステル及び/又は(コ)ポリヒドロキシ
カルボン酸が、(コ)ポリ乳酸、(コ)ポリブチレンサ
クシネート及び(コ)ポリカプロン酸からなる群から選
択される少なくとも2種の混合物である(1)及至
(6)の何れかに記載のガスバリヤー性フィルム、(1
3) 脂肪族カルボン酸アミドの含有量が、脂肪族
(コ)ポリエステル及び/又は(コ)ポリヒドロキシカ
ルボン酸に対して、0.001〜10重量%である
(6)記載のガスバリヤー性フィルム、(14) 脂肪
族カルボン酸アミドが、オレイン酸アミド、ステアリン
酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、N−ス
テアリルエルカ酸アミド及びN−オレイルパルミトアミ
ドからなる群から選択される少なくとも1種である
(6)記載のガスバリヤー性フィルム、(15) 主と
して酸化珪素からなる薄膜層(B)を、有機珪素ガスと
酸素とを用いた減圧プラズマ化学気相成長法で形成せし
める(1)及至(14)の何れかに記載のガスバリヤー
性フィルムに関するものである。
【0012】本発明は、脂肪族(コ)ポリエステル及び
/又は(コ)ポリヒドロキシカルボン酸を含む樹脂組成
物を、透明性を有するフィルム状に成形し、さらに、そ
の片面又は両面に、主として酸化珪素からなる薄膜層を
形成することにより、透明性、結晶性を維持したままガ
スバリヤー性をも付与した、分解性を有するガスバリヤ
ー性フィルムである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。まず、添付図面について説明するに、図1乃至3
は、本発明のガスバリヤー性フィルムの層構成の一例を
示す図である。ここで、10は脂肪族(コ)ポリエステ
ル及び/又は(コ)ポリヒドロキシカルボン酸を含有す
る樹脂組成物からなる、透明性を有するフィルム成形
体、20は主として酸化珪素からなる薄膜層、30は透
明な接着剤層である。なお、本発明にいう「樹脂組成
物」とは、実質的に脂肪族(コ)ポリエステル又は
(コ)ポリヒドロキシカルボン酸からなるものであって
もよい。
【0014】本出願の明細書において度々「(コ)ポリ
〜」なる記載があるが、これは「〜の(共)重合体」と
いう概念を包含し、ホモポリマー及びコポリマーを包含
する。本発明で使用する、コポリマー(共重合体)の配
列様式は、ランダム共重合体、交錯共重合体、ブロック
共重合体、グラフト共重合体等の何れでもよい。また、
本発明で使用する(共)重合体は、少なくとも一部が、
線状、環状、大環状、分岐状、星形、三次元網目状、I
PN(インター・ペネトレーテッド・ネットワーク)、
PIC(ポリイオン・コンプレックス)等の何れの構造
をとっても構わない。
【0015】本発明で使用する脂肪族カルボン酸と、脂
肪族(コ)ポリエステルの「脂肪族」とは狭義の脂肪族
のみならず、実質的に芳香族度が低い脂環族をも包含す
る。本発明で使用する「脂肪族」化合物は、少なくとも
1個の炭素原子を含む2価の炭化水素基を分子内に有す
る、実質的に芳香族度の低い化合物からなる群をも包含
し、具体的には、狭義の脂肪族基のみならず、実質的に
芳香族度の低い脂環族基、これらを組み合わせた基、又
はこれらが水酸基、窒素、硫黄、珪素、りん等で結合さ
れるような2価の残基を分子内に有する化合物からなる
群をも包含し、さらに具体的には、上記のものに、例え
ば、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アリル
基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオ
キシル基、ハロゲン(F、Cl、Br等)基等が置換し
た基を分子内に有する化合物をも包含する。これらの置
換基を適宜選択することにより、本発明に係る共重合体
の諸特性(強靭性、耐熱性、分解性等)を制御すること
ができる。また、「脂肪族」化合物なる語の概念には、
一種類の化合物のみならず、二種類以上の組み合わせに
よるものをも包含する。
【0016】本発明で用いられる、脂肪族(コ)ポリエ
ステルは、少なくとも、以下に示す〜の態様を包含
する。 ホモポリマーたる脂肪族ポリエステル及び/又はコ
ポリマーたる脂肪族コポリエステル ホモポリマーたるポリヒドロキシカルボン酸及び/
又はコポリマーたるコポリヒドロキシカルボン酸 (コ)ポリ乳酸 (コ)ポリブチレンサクシネート (コ)ポリカプロン酸 〜の混合物 〜のポリマーブレンド 〜のポリマーアロイ 〜の場合、相溶化剤を含有してもよい。
【0017】の(コ)ポリ乳酸については、乳酸成分
以外に、他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸及び/又は脂
肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸からなる脂
肪族エステル、特に乳酸以外の脂肪族ヒドロキシカルボ
ン酸又は脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸からなる
脂肪族エステルを含有してもよい。
【0018】本発明において用いられる、(コ)ポリ乳
酸は、ポリ乳酸、乳酸と乳酸以外の脂肪族ジカルボン酸
の脂肪族コポリエステル、及び乳酸と脂肪族ジオールと
脂肪族ジカルボン酸からなる脂肪族コポリエステル及び
それらの混合物が好ましい。さらに、本発明において用
いられる、(コ)ポリ乳酸は、ポリ乳酸、乳酸と乳酸以
外のヒドロキシカルボン酸、脂肪族多価カルボン酸、脂
肪族多価アルコールを含む脂肪族コポリエステル、特に
ポリ乳酸と6−ヒドロキシカプロン酸成分を含むホモ又
はコポリカプロン酸のブロックポリエステルか、またポ
リ乳酸と1,4−ブタンジオールとコハク酸を含むホモ
又はコポリブチレンサクシネートとのブロックコポリエ
ステルであってもよい。特に、ポリ乳酸と前記のホモ又
はコポリカプロン酸との混合物、ポリ乳酸と前記ホモ又
はコポリブチレンサクシネートとの混合物が好ましい。
また、(コ)ポリ乳酸は、少なくとも一部が、架橋され
たものでもよい。さらに、(コ)ポリ乳酸は、少なくと
も一部が、架橋剤によって架橋されたものでもよい。架
橋された(コ)ポリ乳酸の架橋剤としては、例えば、多
官能基を有する多糖類等が挙げられる。また、本発明で
用いることのできる、星型(コ)ポリ乳酸の原料の具体
例としては、例えば、多官能基を有する多糖類等が挙げ
られる。
【0019】多糖類の具体例としては、例えば、セルロ
ース、硝酸セルロース、酢酸セルロース、メチルセルロ
ース、エチルセルロース、セルロイド、ビスコースレー
ヨン、再生セルロース、セロハン、キュプラ、銅アンモ
ニアレーヨン、キュプロファン、ベンベルク、ヘミセル
ロース、デンプン、アミロペクチン、デキストリン、デ
キストラン、グリコーゲン、ペクチン、キチン、キトサ
ン、アラビアガム、グァーガム、ローカストビーンガ
ム、アカシアガム等、これらの混合物、これらの誘導体
等が挙げられるが、特にアセチルセルロース、エチルセ
ルロースが好適に用いられる。
【0020】本発明で使用する(コ)ポリ乳酸の分子量
は、フィルム状成形物に加工した際に実質的に充分な機
械物性を示すものであれば、特に制限されない。一般的
には、重量平均分子量として、1〜500万が好まし
く、3〜300万がより好ましく、5〜200万が更に
好ましく、7〜100万が更に好ましく、9〜50万が
最も好ましい。重量平均分子量が1万より小さい場合、
機械物性が充分でなかったり、逆に分子量が500万よ
り大きい場合、取扱いが困難となったり不経済となった
りする場合がある。
【0021】(コ)ポリ乳酸の重量平均分子量及び分子
量分布は、その重合方法において、溶媒の種類、触媒の
種類及び量、反応温度、反応時間、共沸により留出した
溶媒の処理方法、反応系の溶媒の脱水の程度等の反応条
件を適宜選択することにより所望のものに制御すること
ができる。
【0022】本発明で使用する(コ)ポリ乳酸の製造方
法は特に制限されない。(コ)ポリ乳酸の製造方法の具
体例としては、例えば、特開平6−65360号に開示
されている方法を参考にした、後述の製造例に示すよう
な方法が挙げられる。すなわち、乳酸及び/又は乳酸以
外のヒドロキシカルボン酸を、あるいは、脂肪族ジオー
ルと脂肪族ジカルボン酸を、有機溶媒及び触媒の存在
下、そのまま脱水縮合する直接脱水縮合法である。
【0023】また、(コ)ポリ乳酸の製造方法の他の具
体例としては、例えば、米国特許第2、703、316
号に開示されている方法を参考にした、後述の製造例に
示すような方法が挙げられる。すなわち、乳酸及び/又
は乳酸以外のヒドロキシカルボン酸を、一旦、脱水し環
状二量体とした後、開環重合する間接重合法である。
【0024】間接重合法を用いた場合には、モノマーと
しての環状二量体がポリマーである樹脂組成物の中に残
存することが多く、例えば、乳酸の二量体であるラクタ
イドを用いた重合では、樹脂組成物の5重量%程度のラ
クタイドが残存してしまう。このように樹脂組成物中に
多量のラクタイドを含む場合には、これを後にフィルム
状に成形し、さらにその面上に酸化珪素からなる薄膜層
を形成する条件下において、ラクタイドが揮発する等の
問題が生じ、薄膜層のフィルム成形体との密着性や透明
性が著しく損なわれる場合がある。そのため、本発明に
用いる樹脂組成物からはあらかじめ環状二量体を除去し
ておくことが好ましい。樹脂組成物に含まれる環状二量
体は、0.5重量%以下が好ましく、さらに好ましくは
0.2重量%以下である。環状二量体は熱処理、真空処
理等で表面に現れてくるので、そのまま揮発させるか、
あるいは、適当な溶剤で洗浄し取り除けば良い。
【0025】本発明において用いることのできる、乳酸
以外の脂肪族ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、
例えば、グリコール酸、3−ヒドロキシ酩酸、4−ヒド
ロキシ酩酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉
草酸、6−ヒドロキシカプロン酸等が挙げられる。
【0026】本発明において用いることのできる、脂肪
族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸からなる脂肪
族ポリエステルは、一種類又は二種類以上の脂肪族多価
カルボン酸(好ましくは、脂肪族ジカルボン酸)及び/
又はこれらの無水物と、異種類又は二種類以上の脂肪族
多価アルコール(好ましくは、脂肪族ジオール)とを脱
水重縮合することにより製造することができる。この場
合脂肪族多価カルボン酸及びその無水物の例としては、
例えば、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、
アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、
セバシン酸、ウンデカンニ酸、ドデカンニ酸等の脂肪族
ジカルボン酸等及びその無水物が挙げられる。
【0027】脂肪族多価アルコールの具体例としては、
例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプ
ロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4
−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオ
ール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、テトラメチレングリコ
ール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げら
れる。
【0028】本発明に使用する脂肪族(コ)ポリエステ
ル及び/又は(コ)ポリヒドロキシカルボン酸を含有す
る樹脂組成物の耐熱性を向上させる目的で脂肪族カルボ
ン酸アミドを含有させてもよい。本発明では、脂肪族
(コ)ポリエステル及び/又は(コ)ポリヒドロキシカ
ルボン酸を含有する樹脂組成物からなる、透明性を有す
るフィルム成形体の一方又は両方の面に、主として酸化
珪素からなる薄膜層を形成するが、その手法によっては
薄膜層の形成中にフィルム成形体が加熱される場合があ
る。具体的には、酸化珪素を蒸着法によって形成する場
合における酸化珪素を加熱したときの放射熱や、塗布法
で形成した場合における乾燥時の加熱処理等である。フ
ィルム成形体が加熱されて膨張等の変形が生じると、形
成された酸化珪素からなる薄膜層にひび割れ等が発生し
易くなる。そのような場合においては、脂肪族カルボン
酸アミドを樹脂組成物に含有させることにより耐熱性を
向上させることができるため、酸化珪素からなる薄膜層
のひび割れを防止することができる。本発明では、上記
に示した(コ)ポリ乳酸に、脂肪族カルボン酸アミドを
添加することによって、透明性を維持したまま耐熱性を
向上することが可能となるのである。
【0029】ここで用いることのできる脂肪族カルボン
酸アミドとしては、融点が40〜200℃の脂肪族カル
ボン酸アミドであれば、特に制限されない。脂肪族カル
ボン酸アミドには、「10889の化学商品(1989
年、化学工業日報社、東京都中央区日本橋浜町)」の3
89頁右欄〜391頁左欄に記載の「脂肪族アミド」を
包含する。その記載は全て、引用文献及び引用範囲を明
示したことにより本出願明細書の開示の一部とし、明示
した引用範囲を参照することにより、本出願明細書に記
載した事項又は開示からみて、当業者が直接的かつ一義
的に導き出せる事項又は開示とする。
【0030】脂肪族カルボン酸アミドの具体例として
は、例えば、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、
エルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、N−オレイルパル
ミトアミド、N−ステアリルエルカ酸アミド、N,N’
−エチレンビス(ステアロアミド)、N,N’−メチレ
ンビス(ステアロアミド)、メチロール・ステアロアミ
ド、エチレンビスオレイン酸アマイド、エチレンビスベ
ヘン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、
エチレンビスラウリン酸アマイド、ヘキサメチレンビス
オレイン酸アマイド、ヘキサメチレンビスステアリン酸
アマイド、ブチレンビスステアリン酸アマイド、N,
N’−ジオレイルセバシン酸アミド、N,N’−ジオレ
イルアジピン酸アミド、N,N’−ジステアリルアジピ
ン酸アミド、N’−ジステアリルセバシン酸アミド、m
−キシリレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジス
テアリルイソフタル酸アミド、N,N’−ジステアリル
テレフタル酸アミド、N−オレイルオレイン酸アミド、
N−ステアリルオレイン酸アミド、N−ステアリルエル
カ酸アミド、N−オレイルステアリン酸アミド、N−ス
テアリルステアリン酸アミド、N−ブチル−N’ステア
リル尿素、N−プロピル−N’ステアリル酸尿素、N−
アリル−N’ステアリル尿素、N−フェニル−N’ステ
アリル尿素、N−ステアリル−N’ステアリル尿素、ジ
メチトール油アマイド、ジメチルラウリン酸アマイド、
ジメチルステアリン酸アマイド等が挙げられる。特に、
オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミ
ド、ベヘニン酸アミド、N−オレイルパルミトアミド、
N−ステアリルエルカ酸アミドが好適に用いられる。こ
れらは一種類又は二種類以上の混合物であってもよい。
【0031】脂肪族カルボン酸アミドの添加量は、
(コ)ポリ乳酸をはじめとする脂肪族ポリエステルに対
して0.001〜10重量%でよく、好ましくは、0.
01から7.0重量%、更に好ましくは0.03〜5.
0重量%、最も好ましくは0.05〜3.0重量%であ
る。0.001重量%より少ないと、結晶核剤としての
効果が不十分である場合があり、逆に10重量%より多
いと、更なる結晶核剤としての効果得られなくなるばか
りか、外観や物性の変化を来す場合がある。
【0032】本発明に用いる樹脂組成物は、更に、結晶
化速度の向上、耐熱性の向上、機械物性の向上、あるい
はアンチブロッキング性等の物性を改善させるために、
無機添加剤を添加することもできる。無機添加物の具体
例としては、例えば、タルク、カリオナイト、Ti
2、SiO2等が挙げられるが、好ましくは、それを添
加することにより、(コ)ポリ乳酸をはじめとする脂肪
族ポリエステルの透明性を低下させないものが好まし
い。(コ)ポリ乳酸をはじめとする脂肪族ポリエステル
の透明性を保持するためには、一般的には、粒子サイズ
が、可視光の波長よりも実質的に小さいものが好まし
い。より具体的にいえば、例えば、粒径が1〜50nm
のSiO2等が挙げられる。
【0033】更に、目的に応じて樹脂組成物の諸特性
(例えば、弾性率、引張強度、曲げ強度、機械強度、耐
熱性、耐光性等)を向上させる目的で、酸化防止剤、紫
外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、着色顔料等や少量の他
の樹脂を添加することができる。
【0034】本発明に用いる樹脂組成物には、特性を損
なわない範囲において、添加剤(可塑剤、顔料、安定
剤、離型剤、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、抗菌
剤、染料等)、フィラー類(炭酸カルシウム、クレー、
カーボンブラック、耐衝撃性コア/シェル型粒子、イン
パクトモディファイアー等)、顔料(酸化チタン、メタ
リック顔料、パール顔料等)を目的や用途に応じて適宜
使用することができる。
【0035】添加剤の使用量は、通常、(コ)ポリ乳酸
をはじめとする脂肪族ポリエステルに対して、10重量
%以下、好ましくは7重量%以下、より好ましくは5重
量%以下、更に好ましくは3重量%以下である。通常、
10重量%より大きいと、透明性の悪化ばかりかその他
機械物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0036】本発明に係る樹脂組成物の混合、混練の方
法は、公知公用の混練技術、例えば、ヘンシェルミキサ
ー、リボンブレンダー等で各原料を固体状で混合させた
り、又、更に押し出し機等を用いてポリマーを溶融させ
ながら混練させる方法を採用することができる。
【0037】本発明では、これまでに詳しく説明した樹
脂組成物を、フィルムに成形して、フィルム成形体とし
て使用する。ここでいうフィルムの厚さは、機械的強度
が保持でき、可撓性が得られる範囲であれば特に限定さ
れないが、通常、10μm〜300μm程度である。厚
さが薄すぎると、機械的強度が得られず、破れやピンホ
ール等の欠陥が生じ易くなり、逆に厚すぎると、可撓性
が得られない。
【0038】フィルムへの成形方法としては、押し出し
ブロー成形、押し出し延伸成形、射出延伸成形、インフ
レーション成形、Tダイ成形等が挙げられるが、方法に
何等制限はない。また、カレンダー法、ホットプレス
法、溶媒キャスティング法、インフレーション法、バル
ーン法、テンター法等の技術によっても製造できる。
【0039】なかでも、フィルム成形法としては延伸、
熱処理を施す手法が好ましい。延伸を施すことにより包
装材に適した可撓性をもつフィルムが容易に得られるの
に加え、更に熱処理を施すことによって、これが加熱さ
れた時の収縮といった変形を抑制することができる。特
に本発明では、該フィルム成形体に酸化珪素の層を形成
するが、その形成時にフィルムが加熱されることが予想
されるため、加熱による収縮や変形が大きいと酸化珪素
からなる層にひび割れが生じガスバリヤー性が得られな
い恐れがある。フィルム成形体を延伸、熱処理を施すこ
とは、その収縮や変形を抑制し、後に形成する酸化珪素
からなる層にひび割れが生じにくくする効果がある。
【0040】フィルムの製造工程においては、成形時及
び、又は成形の前後において、型温度、型温度の履歴、
型内の熱処理温度の履歴を適宜設定することにより、所
望の透明性と耐熱性を得ることができる。また、一軸延
伸倍率、二軸延伸倍率、延伸段数、冷却ローラーの数、
冷却ローラーの配置形式、冷却ローラーへの巻き付け形
式、冷却ローラー温度、冷却ローラー表面状態等の条件
を目的に応じて、適宜、設定することができる。
【0041】製造工程において、放射線、電磁波、光、
超音波等を用いた、公知公用の計測技術を採用すること
により、フィルム成形体の厚さのデータを検出し、該デ
ータを製造工程にフィードバックすることにより、フィ
ルムの厚さのばらつきを、手動、又は自動制御により品
質管理することができる。放射線を用いた計測技術で
は、例えば、透過型(吸収型)又は散乱型のアルファ線
厚さ計、ベータ線厚さ計、ガンマ線厚さ計を用いる方法
が包含され、線源としては、公知公用の放射性同位元素
が用いられる。
【0042】本発明においては、上記の如く製造した透
明性を有するフィルム成形体の一方、又は両方の面上
に、主として酸化珪素からなる薄膜層を形成する。主と
して酸化珪素からなる薄膜層はガス、例えば酸素や水蒸
気を遮断する役割を果たすため、ピンホールやひび割れ
(クラック)が生じないように形成することが好まし
い。ピンホールは薄膜層を形成する際に、フィルム成形
体の表面に付着しているゴミ、ほこりが原因で生ずるこ
とが多い。そのため薄膜層形成前にフィルム成形体の表
面をエアー等で洗浄しておくことが好ましい。また、フ
ィルム成形体に変形や変質等が生じない範囲であれば適
当な洗浄液で洗浄してもよい。
【0043】また、薄膜層のクラックは、熱によるフィ
ルム成形体の収縮により生ずる場合が多い。薄膜層の形
成方法については後述するが、通常、薄膜層の形成中に
50℃〜120℃程度に加熱される。しかしながら、本
発明で使用するフィルム成形体は高い耐熱性を備えてい
るため、薄膜層の形成中にフィルム形成体が加熱されて
も、それによって薄膜層にクラックが生じる可能性は低
減されている。
【0044】主として酸化珪素からなる薄膜層は、透明
であり、高いガス遮断性を有し、また、高い耐熱性も有
するため、ガスバリヤー層として適している。また、本
発明のガスバリヤー性フィルムは、分解性を有する樹脂
組成物からなるフィルム成形体を使用したものであり、
土壌や海水中に廃棄したときに、人体に無害な物質に分
解させることを特長としている。その点についても、酸
化珪素は土壌に多く含まれる成分であるため、人体に有
害な物質を発生する可能性はない。すなわち、本発明の
ガスバリヤー性フィルムは土壌や海水中に廃棄しても、
何等人体に有害な物質を発生することなく分解させるこ
とができるのである。
【0045】該薄膜層の形成方法としては物理蒸着法、
湿式法、化学気相成長法等の従来公知の手法を採用する
ことができる。物理蒸着法を具体的に挙げれば、抵抗加
熱蒸着法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング
法、スパッタリング法等がある。抵抗加熱蒸着法、電子
ビーム蒸着法では、酸化珪素をそれぞれ抵抗加熱、電子
ビーム加熱の手法で蒸発させ、対向して配置させたフィ
ルム成形体に析出させる手法である。また、珪素を酸化
性ガスの雰囲気下で加熱蒸発させる反応性蒸着法や、酸
化性ガスのプラズマ中で蒸着するイオンプレーティング
法も使用できる。また、スパッタリング法においては、
ターゲットに酸化珪素を用い、スパッタリングガスにア
ルゴン、ネオン等の不活性ガスを用いた高周波スパッタ
リング法が利用できる。或いはターゲットに珪素を用
い、スパッタガスに不活性ガスと酸化性ガスを混合した
ガスを使用した直流スパッタリング法、又は高周波スパ
ッタリング法も使用することができる。何れの方法によ
ってもガス遮断性能をもった酸化珪素薄膜層を得ること
ができる。
【0046】湿式法は、例えばゾル−ゲル法が挙げられ
る。また、湿式法では、ポリシラザンを溶融した溶液を
塗布し、それを大気中で又は水蒸気雰囲気中で加熱して
酸化珪素を形成する方法も挙げられる。ここでいうポリ
シラザンとは、(SiNabn(a=1〜3、b=0
〜1)の構造をもつ、ペルヒドロポリシラザンであり、
主鎖の(−Si−N−)に側鎖として水素のみが結合し
ている。該ポリシラザンは、ベンセン、トルエン、キシ
レン、エーテル、THF、塩化メチレン、四塩化炭素等
の溶媒に20重量%以上溶解することができるので、こ
れら溶媒にポリシラザンを溶解した後にフィルム成形体
に塗布し、加熱処理を施すことにより酸化珪素を得るこ
とができる。一般に、無機物の酸化珪素を得るには45
0℃以上の加熱処理が必要なのであるが、アミンや遷移
金属の触媒を用いることにより低温で、例えば、80℃
〜150℃の加熱処理によって無機物の酸化珪素が得ら
れる。この際の加熱処理時間は、概ね1〜3時間程度で
ある。また、塗布に用いるポリシラザンの分子量は60
0〜900のものが好ましく用いられる。
【0047】化学気相成長法は、原料に有機珪素化合物
を用い、それにエネルギーを投入することによって分解
し、無機物である酸化珪素を析出させる手法である。エ
ネルギーを投入する手法は、熱、光、高周波プラズマ等
があり適宜選択すればよい。化学気相成長法では、有機
珪素化合物の蒸気を原料としているため、フィルム成形
体の表面の凹凸に関係なく酸化珪素が形成されるため、
フィルム成形体の表面平滑性があまり高くない場合にお
いても表面被覆性が高く、ガスバリヤー膜の成膜手法と
しては最も好ましく利用できる。なかでも減圧プラズマ
化学気相成長法は、フィルム成形体にダメージを与える
ことなくガスバリヤー性に優れた酸化珪素を成形するこ
とができるため更に好ましく使用することができる。
【0048】減圧プラズマ化学気相蒸着法により酸化珪
素を形成する場合には、少なくとも有機珪素化合物と酸
素ガスを用いて作成されることが好ましい。具体的に使
用される有機珪素化合物としては、アセトキシトリメチ
ルシラン、アリルオキシトリメチルシラン、アリルトリ
メチルシラン、ビストリメチルシリルアジペート、ブト
キシトリメチルシラン、ブチルトリメトキシシラン、シ
クロヘキシルオキシトリメチルシラン、デカメチルシク
ロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ジ
アセトキシジメチルシラン、ジアセトキシメチルビニル
シラン、ジエトキシジメチルシラン、ジエトキシジフェ
ニルシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメ
チルシラン、ジエトキシメチルオクタデシルシラン、ジ
エトキシメチルシラン、ジエトキシメチルフェニルシラ
ン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシジメチ
ルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシメ
チルフェニルシラン、ジメチルエトキシフェニルシラ
ン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルイソペンチルオ
キシビニルシラン、1,3−ジメチル−1,1,3,3
−テトラフェニルジシロキサン、ジフェニルエトキシメ
チルシラン、ジフェニルシラネジオール、1,3−ジビ
ニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラキサン、2
−(3,4−エポキシシクロフェニルエチル)トリメト
キシシラン、エトキシジメチルビニルシラン、エトキシ
トリメチルシラン、エチルトリアセトキシシラン、エチ
ルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エ
チルトリメチルシラン、3−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタ
メチルトリシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキ
サン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキシルトリメトキ
シシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
メトキシトリメチルシラン、メチルトリアセトキシシラ
ン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシ
ラン、メチルイソプロペノキシシラン、メチルプロポキ
シシラン、オクタデシルトリエトキシエトキシシラン、
オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,1,1,
3,5,7,7,7−オクタメチルテトラシロキサン、
オクタメチルトリシロキサン、オクチルトリエトキシシ
ラン、1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタ
シロキサン、ペンタメチルジシロキサン、1,1,3,
5,5−ペンタフェニル−1,3,5−トリメチルトリ
シロキサン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルト
リメトキシシラン、フェニルトリメチルシラン、プロポ
キシトリメチルシラン、プロピルトリエトキシシラン、
テトラアセトキシシラン、テトラブトキシシラン、テト
ラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テト
ラメトキシシラン、1,3,5,7−テトラメトキシシ
クロテトラシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル
ジシロキサン、テトラメチルシラン、1,3,3,5−
テトラメチル−1,1,5,5−テトラフェニルトリシ
ロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,
5,7−テトラビニルシクロテトラシロキサン、テトラ
プロポキシシラン、トリアセトキシビニルシラン、トリ
エトキシビニルシラン、トリエチルシラン、トリヘキシ
ルシラン、トリメトキシシラン、トリメトキシビニルシ
ラン、トリメチルシラノール、1,3,5−トリメチル
−1,3,5−トリビニルシクロトリシロキサン、トリ
メチルビニルシラン、トリフェニルシラノール、トリス
(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン等を用いること
ができるが、これらに限定されるものではなく、アミノ
シラン、シラザン等も用いられる。
【0049】これら有機化合物の上記を反応容器に導入
するには、ヘリウムやアルゴン等の希ガスをキャリヤー
ガスとして用いることができる。また、有機珪素化合物
を加熱し蒸気圧を上げて、有機珪素ガスを直接導入する
こともできる。また、酸素ガスの代わりに、酸化作用が
あるガス、例えば、オゾン、水蒸気、笑気ガス等も使用
し得る。導入する有機珪素ガスと酸素ガスの流量の比
は、有機珪素化合物の種類にもよるが、酸素ガス/有機
珪素ガス=0.2〜1.2の流量比の範囲が好ましい。
ヘリウム等の希ガスをキャリヤーガスとして用いるとき
には、ヘリウム中の有機ガスの流量と酸素ガスの流量の
範囲が上記0.2〜1.2の範囲が好ましい。酸素流量
が少なすぎると、生成される膜の光線透過率ならびにガ
スバリヤー性が低下し、酸素流量が多いときには膜の密
着性ならびにガスバリヤー性が低下する。また、反応中
の圧力はプラズマ放電が起こる範囲であればよく、通常
の平行平板型高周波プラズマ装置で成膜を行う場合に
は、0.05〜2.5Torrが好ましく、より好まし
くは、0.1〜1.5Torrである。圧力が低すぎる
とプラズマ放電の維持が困難になり、圧力が高すぎると
膜の密着性が低下する傾向にある。しかしながら、より
低圧で放電させることが可能な電子サイクロトロン共鳴
放電やヘリコン波放電、マグネトロン放電を用いる場合
においては、圧力範囲は上記の範囲に限定されるもので
はない。流量の計測と制御は、マスフローコントローラ
ー、浮き子式フローメーター、バブルメーター等を使用
することができる。圧力の測定には、ピラニ真空計、隔
膜真空計、スピニングローター真空計、熱伝導真空計、
電離真空計等が使用し得るが、隔膜真空計が好ましく用
いられる。
【0050】酸化珪素からなる薄膜層の厚みについては
特に限定するものではないが、透明性を損ねない範囲
で、かつガスバリヤー性を保ち、高分子基材との密着性
を確保できる厚さであれば良い。具体的には、20nm
〜500nmがよく、さらには20nm〜100nmが
より好ましい。該薄膜層の厚さが薄すぎると均一で連続
した膜を形成することが望ましく、逆に厚すぎるとフィ
ルム成形体との密着力が低下したり、該薄膜層が割れ易
くなる。膜厚の測定には、触針粗さ計、繰り返し反射干
渉計、マイクロバランス、水晶振動子法等があるが、水
晶振動子法では成膜中の膜厚測定が可能なので、膜厚を
リアルタイムでモニターしながら、所望の膜厚を得るの
に適している。また、前もって成膜の条件を定めてお
き、試験基材上に成膜を行い、成膜時間と膜厚の関係を
調べた上で、成膜時間により膜厚を制御する方法も採用
できる。
【0051】また、上記酸化珪素中には、鉄、ニッケ
ル、クロム、チタン、マグネシウム、アルミニウム、イ
ンジュウム、亜鉛、錫、アンチモン、タングステン、モ
リブデン、銅等が微量含まれても良い。また、膜の可撓
性を改善する目的で、炭素や弗素を適宜含有させても良
い。
【0052】酸化珪素の組成はガスバリヤー性能が得ら
れ、透明性が保たれる範囲内であれば特に制限されな
い。酸化珪素は一般的にSiOxと記述できるが、xの
範囲は通常1.0〜2.5程度である。
【0053】酸化珪素からなる薄膜層の組成は、X線光
電子分光法やX線マイクロ分析法、オージェ電子分光
法、ラザフォード後方散乱法等を用いて分析することが
できる。例えば、ラザフォード後方散乱法を用いる場合
には、供試体フィルムを真空容器内に設置、供試体表面
から、1〜4MeVに加速したα粒子を照射し、後方散
乱されてくるイオンのエネルギーを分析することにより
膜の深さ方向の組成やその組成の均一性を調査すること
ができる。表面層の帯電を防ぐために適宜表面に金等を
蒸着しても良い。また、オージェ電子分光法で分析を行
う場合には超高真空の容器の中に供試体を設置し、供試
体表面に1〜10keVに加速した電子線を照射し、そ
の時に放出されるオージェ電子を検出することにより組
成を調べることができる。この場合、供試体の電気抵抗
が高い場合があるので帯電の影響が出ないように、1次
電子線の電流を10pA以下に抑え更にエネルギーも2
keV以下にすることが好ましい。電子線の代わりにX
線を用いた光電子分光法は、オージェ電子分光よりも帯
電の影響が出にくい点が有利である。
【0054】酸化珪素からなる薄膜薄膜層をフィルム成
形体の上に形成するときには、該フィルム形成体の前処
理として、コロナ放電処理、プラズマ処理、グロー放電
処理、逆スパッタ処理、表面粗面化処理、化学処理等を
行うことや、公知のアンダーコートを施すことができ
る。
【0055】これまでに述べた手法で作製した、フィル
ム成形体の一方、又は両方の面上に、主として酸化珪素
からなる薄膜層を形成したガスバリヤー性フィルムは、
そのまま包装フィルム等として使用してもよいが、耐環
境性や耐衝撃性を向上させる目的で該薄膜層と、フィル
ム成形体とを透明な接着剤を介して貼り合わせても良
い。また、主として酸化珪素からなる薄膜層を形成した
フィルム2枚の薄膜層側同士を、透明な接着剤層を介し
て貼り合わせても良い。これらのようにした場合、ガス
バリヤー性フィルムの表面に酸化珪素からなる薄膜層が
でていないので、環境に曝されることによる該薄膜層の
劣化や、衝撃による該薄膜層のひび割れ等が発生するこ
とを抑制できる。
【0056】フィルム同士を貼り合わせるための接着剤
は、透明であれば特に制限されず、熱、紫外線、触媒の
助けにより接着される接着剤のいずれも使用できる。具
体的には、シリコン系接着剤、ポリエステル系接着剤、
エポキシ系接着剤等一般的な接着剤を用いることができ
る。これらの接着剤は、接着方法によって熱硬化型、ホ
ットメルト型、二液混合型、紫外線硬化型等に分類され
るが、いずれの手法によって硬化させてもよい。熱硬化
型による接着では、硬化時の熱によって酸化珪素層から
なる薄膜層にひび割れ等が生じない程度の温度で硬化し
なければならない点に留意する必要がある。
【0057】接着剤の厚さに特に制限はないが、通常、
0.5μm〜50μm、好ましくは1μm〜20μm程
度である。接着層が薄すぎると、接着剤が均一にコーテ
ィングできず接着力が得られない恐れがあり、逆に厚す
ぎると可等性や透明性が損なわれる。
【0058】接着の手順は通常、接着面への接着剤のコ
ーティング、乾燥、ローラによる貼り合わせ、硬化処理
の順に行われる。接着剤のコーティング方法は、基材や
接着剤の種類によって多くの方法がある。広く使用され
ているのはグラビアコーター方式及びリバースコーター
方式である。グラビアコーター方式では、接着剤に一部
分が浸されているグラビアロールを回転させ、バックア
ップロールによって送られるフィルム成形体を接着剤の
付着したグラビアロールに接触させることでコーティン
グする。コーティング量、即ち接着剤層の厚さは、ロー
ルの回転速度、接着剤の粘度を制御することで調整でき
る。リバースコーター方式での場合もグラビアロール方
式と類似した方法だが、コーティングロールに付着する
接着剤の量を、それに接して設置されているメタリング
ロールによって調整する。
【0059】以上の如く2枚のフィルム成形体を接着し
て得られたガスバリヤー性フィルムは、その接着強度が
180度ピール強度で100g/cm以上であることが
望ましい。接着強度が100g/cmより小さいと後に
包装材等に加工する際に、特に端部から剥離が生じる恐
れがある。
【0060】以上の手法により得られたガスバリヤー性
フィルムの可視光透過率は80%〜90%程度である。
また、ガスバリヤー性能に関しては、酸素に対する透過
率は0.1〜0.5cc/m2/day/atm、水蒸
気に対する透過率は0.1〜1.0g/m2/day/
atm程度である。
【0061】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。ま
ず、以下に本発明において使用する(コ)ポリ乳酸の製
造方法を示す。なお、本文中に部とあるのはいずれも重
量基準である。また、ポリマーの平均分子量(重量平均
分子量)はポリスチレンを基準としてゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィにより以下の条件で測定した。 装置:島津LC−10AD 検出器:島津RID−6A カラム:日立化成GL−S350DT−5、GL−S3
70DT−5 溶媒:クロロホルム 濃度:1% 注入量:20μl
【0062】[製造例1]ポリマーa(ポリL−ラクタ
イド)の製造 L−ラクタイド100部及びオクタン酸第一スズ0.0
1部と、ラウリルアルコール0.03部を、撹拌機を備
えた肉厚の円筒型ステンレス製重合容器へ封入し、真空
で2時間脱気した後窒素ガスで置換した。この混合物を
窒素雰囲気下で撹拌しつつ200℃で3時間加熱した。
温度をそのまま保ちながら、排気管及びガラス製容器を
介して真空ポンプにより徐々に脱気し反応容器内を3m
mHgまで減圧した。脱気開始から1時間後、モノマー
や低分子量揮発分の留出がなくなったので容器内を窒素
置換し、容器下部からモノマーを紐状に抜き出してペレ
ット化し、L−ラクタイドのポリマーaを得た。このポ
リマーの重量平均分子量Mwは、13.6万であった。
【0063】[製造例2]ポリマーb(L−乳酸)の製
造 Dien−Starkトラップを設置した100リット
ル反応器に、90%L−乳酸10kgを150℃、50
mmHgで3時間撹拌しながら水を留出させた後、スズ
粉末6.2gを加え、150℃、30mmHgで更に2
時間撹拌してオリゴマー化した。このオリゴマーにスズ
粉末28.8gとジフェニルエーテル21.1kgを加
え、150℃、35mmHg共沸脱水反応を行い、留出
した水と溶媒を水分離機で分離して溶媒のみを反応機に
戻した。2時間後、反応機に戻す有機溶媒を46kgモ
レキュラーシーブ3Aを充填したカラムに通してから反
応機に戻るようにして、150℃、35mmHgで40
時間反応を行い平均分子量14.6万のポリ乳酸溶液を
得た。この溶液に脱水したジフェニルエーテル44kg
を加え、希釈した後40℃まで冷却して、析出した結晶
をろ過し、10kgのn−ヘキサンで3回洗浄して60
℃、50mmHgで乾燥した。この粉末を0.5N−H
Cl、112kgと、エタノール12kgを加え、35
℃で1時間撹拌した後ろ過し、60℃、50mmHgで
乾燥して、ポリ乳酸粉末6.1kg(収率85%)を得
た。この粉末を押し出し機で溶融しペレット化し、L−
乳酸のポリマーbを得た。このポリマーbの重量平均分
子量Mwは、14.5万であった。
【0064】[製造例3]コポリマーc(ブチレンサク
シネート/乳酸共重合体)の製造 1,4−ブタンジオール50.5gとコハク酸66.5
gにジフェニルエーテル293.0g、金属スズ2.0
2gを加え、130℃、140mmHgで7時間系外に
水を留出しながら加熱撹拌しオリゴマー化した。これ
に、Dean−Stark trapを取り付け、14
0℃、30mmHgで8時間共沸脱水を行いその後、モ
レキュラーシーブ3Aを40g充填した管を取り付け、
留出した溶媒がモレキュラーシーブ管中を通って反応器
に戻るようにし、130℃、17mmHgで49時間撹
拌した。その反応マスを600mlのクロロホルムに溶
かし、4リットルのアセトンに加え再沈した後、HCl
のイソプロピルアルコール(以下IPAと略す)溶液
(HCl濃度 0.7重量%)で0.5時間スラッジン
グし(3回)、IPAで洗浄してから減圧下60℃で6
時間乾燥し、ポリブチレンサクシネートを得た。このポ
リマーの重量平均分子量Mwは、11.8万であった。
得られたポリブチレンサクシネート80.0gに、製造
例2と同様な方法で得られたポリ乳酸120.0g(重
量平均分子量Mwは2.0万)、ジフェニルエーテル8
00g、金属スズ0.7g混合し、再び130℃、17
mmHgで20時間脱水縮合反応を行った。反応終了
後、製造例2と同様にAと処理を行い、ポリブチレンサ
クシネートとポリ乳酸とのコポリマーc(重量平均分子
量Mwは14.0万)を得た。
【0065】[製造例4]コポリマーd(ブチレンサク
シネート/乳酸共重合体)の製造 ポリブチレンサクシネート40.0g(重量平均分子量
Mwは11.8万)、ポリ乳酸160.0g(重量平均
分子量Mwは5.0万)を用いた以外は、製造例3と同
様の手法で製造した結果、ポリブチレンサクシネートと
ポリ乳酸のコポリマーd(重量平均分子量Mwは13.
6万)を得た。
【0066】[製造例5]コポリマーe(ブチレンサク
シネート/乳酸共重合体)の製造 ポリブチレンサクシネート20.0g(重量平均分子量
Mwは11.8万)、ポリ乳酸180.0g(重量平均
分子量Mwは5.0万)を用いた以外は、製造例3と同
様の手法で製造した結果、ポリブチレンサクシネートと
ポリ乳酸のコポリマーe(重量平均分子量Mwは14.
2万)を得た。
【0067】[製造例6]コポリマーf(カプロン酸/
乳酸共重合体)の製造 ポリ乳酸のかわりに、6−ヒドロキシカプロン酸を用い
た以外は製造例2と同様の手法で製造した結果、ポリカ
プロン酸(重量平均分子量Mwは15.0万)を得た。
次に得られたポリカプロン酸20.0gとポリ乳酸(重
量平均分子量Mwは15.0万)180.0gを用い製
造例4と同様な手法で行い、ポリカプロン酸とポリ乳酸
とのコポリマーf(重量平均分子量Mwは15.3万)
を得た。
【0068】製造例1〜6で得た(コ)ポリ乳酸を用い
て、本発明に係わるポリ乳酸系樹脂組成物の製造方法及
び実施例について以下に記述する。なお、光学特性の評
価は以下の手法により行った。 可視光透過率 分光器(日立製作所(株)製 U−3400)で、波長
550nmでの全光線透過率を測定した。 ヘイズ 東京電色製Haze Meterを使用して測定した。 酸化珪素からなる層(酸化珪素層)の厚さ 株式会社小坂研究所製、表面粗さ測定器SE−30Dを
使用して、酸化珪素層の有無による段差部分の高さを測
定することで厚さを得た。 ガス透過性 ASTM1434−75に準拠して行った。 環状二量体の含有量 クロロホルムを溶媒とするGPCにより測定した。
【0069】(実施例1〜6)製造例1〜6で得られた
ポリ乳酸或いは各コポリマーを、押し出し機シリンダー
設定温度170℃〜210℃の条件にてペレット化し
た。該ペレットを180℃/2minで溶融し、更に1
80℃/100kg/cm2/1minでプレスし、厚
さ150μmのフィルム成形体を得た。
【0070】該フィルム成形体を1Torrの真空容器
中にいれ60℃で1時間加熱し環状二量体を揮発させ除
去した。
【0071】該フィルム成形体の一方の面上に、有機珪
素ガスとして40℃で気化させたテトラメチルジシロキ
サン(以下TMDSOと略記)を用い、TMDSO/酸
素=0.5の流量比で真空容器内に導入し、0.1To
rrの真空度を維持しながら、13.56MHzの高周
波を平行平板電極に導入してプラズマ放電をおこし、減
圧プラズマ化学気相成長法により膜厚100nmの酸化
珪素層を形成し、ガスバリヤー性フィルムを作製した。
使用したフィルム成形体の樹脂組成物の成分は表中に記
した。
【0072】(実施例7)厚さ150μmのフィルム成
形体に、更に100℃の条件で二軸延伸加工を施し厚さ
50μmのフィルム成形体とし、これを120℃の条件
で2時間熱処理する工程を加えた以外は実施例1と同じ
手法でガスバリヤー性フィルムを作製した。
【0073】(実施例8〜16)製造例1〜6で得られ
たポリ乳酸或いは各コポリマーに、各脂肪酸アミドを表
1に示す割合でヘルシェルミキサーで混合した以外は実
施例1〜6と同じ手法でガスバリヤー性フィルムを作製
した。
【0074】なお、脂肪酸アミド(添加剤)の種類は、
以下の通りである。 a:エルカ酸アミド(NEUTRON-S(商品名) 、C2141
ONH2 、日本精化) b:ベヘニン酸アミド(BNT(商品名) 、C2143CON
2 、日本精化) c:オレイン酸アミド(NEUTRON(商品名) 、C1733
ONH2 、日本精化) d:N-ステアリルエルカ酸アミド(SNT(商品名) 、C21
43CONHC1837、日本精化)
【0075】(実施例17)厚さ150μmのフィルム
成形体に、更に100℃の条件で二軸延伸加工を施し厚
さ50μmのフィルム成形体とし、これを120℃の条
件で2時間熱処理する工程を加えた以外は実施例8と同
じ手法でガスバリヤー性フィルムを作製した。
【0076】(実施例18)実施例1と同じ手法で得た
フィルム成形体の一方の面上に、ターゲットとして二酸
化珪素(純度99.99%)を用い、スパッタリングガ
スとしてアルゴン(純度99.9%)を真空容器内に導
入し、2mTorrの真空度を維持しながら13.56
MHzの高周波を平行平板電極に200Wの電力で導入
してプラズマ放電をおこし、高周波スパッタリング法に
より膜厚100nmの酸化珪素層を形成し、ガスバリヤ
ー性フィルムを作製した。
【0077】(実施例19)実施例1で用いたフィルム
成形体の一方の面上に、蒸着源として二酸化珪素(純度
99.99%)を用い、真空容器内を0.05mTor
r以下の真空度に維持しながら、電子ビームを照射する
ことにより二酸化珪素を加熱、蒸発させる電子ビーム蒸
着法により厚さ100nmの酸化珪素層を形成し、ガス
バリヤー性フィルムを作製した。
【0078】(実施例20)実施例1で用いたフィルム
成形体の一方の面上に、キシレンにより希釈されたポリ
シラザン(10重量%)(東燃株式会社製)をマイクロ
グラビアにより塗布し、120℃、空気中で1時間乾燥
させ、その後引き続き80℃、相対湿度90%の環境下
で2時間処理し、厚さ100nmの酸化珪素層を形成
し、ガスバリヤー性フィルムを得た。
【0079】(実施例21)実施例7により得られたガ
スバリヤー性フィルムの酸化珪素が形成された面と、実
施例1で用いたフィルム成形体の一方の面とを、ポリエ
ステル系接着剤を介して接着させた。接着剤の塗布はグ
ラビアコーター方式により、接着剤の厚さは1μmとな
るようにコーティング条件を設定した。接着剤の硬化は
120℃、5min間の熱処理により行った。
【0080】(実施例22)実施例7により得られたガ
スバリヤー性フィルム2枚を、酸化珪素が形成された面
同士ポリエステル系接着剤を介して接着させた。接着剤
の塗布、硬化条件は実施例21と同じとした。
【0081】(比較例1〜17)実施例1〜17で用い
たフィルム成形体を、そのままガスバリヤー性フィルム
とした。実施例1〜17の酸化珪素層を形成しない場合
が、それぞれ比較例1〜17に該当する。
【0082】
【表1】
【0083】
【表2】
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】[表1]〜[表4]に示したように本発明
品は、ガスバリヤー性に優れ、なおかつ透明性にも優れ
たものであることが分かる。また、基材となるフィルム
成形体に分解性を有するものを利用しているため、土壌
や海水中にこれを破棄した場合にも自然に分解される。
【0087】
【発明の効果】土壌や海水中に破棄しても自然に分解さ
れ、透明性を有し、さらにガスバリヤー性をも付加した
ガスバリヤー性フィルムを提供することができる。これ
を、現在大量に消費されている包装用フィルムとして用
いれば、自然に分解されるためゴミとならないので環境
破壊を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスバリヤー性フィルムの層構成を示
す図
【図2】本発明のガスバリヤー性フィルムの層構成を示
す図
【図3】本発明のガスバリヤー性フィルムの層構成を示
す図
【符号の説明】
10 フィルム成形体 20 酸化珪素からなる薄膜層 30 接着剤層

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 脂肪族(コ)ポリエステル及び/又は
    (コ)ポリヒドロキシカルボン酸を含有する樹脂組成物
    からなる、透明性を有するフィルム成形体(A)の、一
    方または両方の面上に、主として酸化珪素からなる薄膜
    層(B)を形成せしめた、ABあるいはBABの構成か
    らなるガスバリヤー性フィルム。
  2. 【請求項2】 脂肪族(コ)ポリエステル及び/又は
    (コ)ポリヒドロキシカルボン酸を含有する樹脂組成物
    からなる、透明性を有するフィルム成形体(A)の、一
    方の面上に、主として酸化珪素からなる薄膜層(B)を
    形成せしめ、該薄膜層と、フィルム成形体(A)と、を
    透明な接着剤層(C)を介して貼りあわせた、ABCA
    の構成からなるガスバリヤー性フィルム。
  3. 【請求項3】 脂肪族(コ)ポリエステル及び/又は
    (コ)ポリヒドロキシカルボン酸を含有する樹脂組成物
    からなる、透明性を有するフィルム成形体(A)の、一
    方の面上に、主として酸化珪素からなる薄膜層(B)を
    形成せしめたフィルム2枚を、該薄膜層同士を透明な接
    着剤層(C)を介して貼りあわせた、ABCBAの構成
    からなるガスバリヤー性フィルム。
  4. 【請求項4】 脂肪族(コ)ポリエステル及び/又は
    (コ)ポリヒドロキシカルボン酸を含有する樹脂組成物
    からなる、透明性を有するフィルム成形体(A)が、延
    伸、熱処理したものであることを特徴とする請求項1及
    至3の何れかに記載のガスバリヤー性フィルム。
  5. 【請求項5】 脂肪族(コ)ポリエステル及び/又は
    (コ)ポリヒドロキシカルボン酸を含有する樹脂組成物
    に含まれるモノマーとしての環状二量体の含有量が、該
    樹脂組成物の0.5重量%以下である樹脂組成物である
    ことを特徴とする請求項1及至4の何れかに記載のガス
    バリヤー性フィルム。
  6. 【請求項6】 脂肪族(コ)ポリエステル及び/又は
    (コ)ポリヒドロキシカルボン酸を含有する樹脂組成物
    からなる、透明性を有するフィルム成形体(A)が、さ
    らに脂肪族カルボン酸アミドを含むことを特徴とする、
    請求項1及至5の何れかに記載のガスバリヤー性フィル
    ム。
  7. 【請求項7】 脂肪族(コ)ポリエステル及び/または
    (コ)ポリヒドロキシカルボン酸が、(コ)ポリ乳酸で
    ある請求項1及至6の何れかに記載のガスバリヤー性フ
    ィルム。
  8. 【請求項8】 (コ)ポリ乳酸がホモポリマーである請
    求項7に記載のガスバリヤー性フィルム。
  9. 【請求項9】 脂肪族(コ)ポリエステル及び/又は
    (コ)ポリヒドロキシカルボン酸が、(コ)ポリブチレ
    ンサクシネートである請求項1及至6の何れかに記載の
    ガスバリヤー性フィルム。
  10. 【請求項10】 脂肪族(コ)ポリエステル及び/又は
    (コ)ポリヒドロキシカルボン酸が、(コ)ポリカプロ
    ン酸である請求項1及至6の何れかに記載のガスバリヤ
    ー性フィルム。
  11. 【請求項11】 脂肪族(コ)ポリエステル及び/又は
    (コ)ポリヒドロキシカルボン酸が、(コ)ポリ乳酸
    と、少なくとも1種の(コ)ポリ乳酸以外の脂肪族
    (コ)ポリエステル及び/又は(コ)ポリヒドロカルボ
    ン酸との混合物である請求項1及至6の何れかに記載の
    ガスバリヤー性フィルム。
  12. 【請求項12】 脂肪族(コ)ポリエステル及び/又は
    (コ)ポリヒドロキシカルボン酸が、(コ)ポリ乳酸、
    (コ)ポリブチレンサクシネート及び(コ)ポリカプロ
    ン酸からなる群から選択される少なくとも2種の混合物
    である請求項1及至6の何れかに記載のガスバリヤー性
    フィルム。
  13. 【請求項13】 脂肪族カルボン酸アミドの含有量が、
    脂肪族(コ)ポリエステル及び/又は(コ)ポリヒドロ
    キシカルボン酸に対して、0.001〜10重量%であ
    る請求項6に記載のガスバリヤー性フィルム。
  14. 【請求項14】 脂肪族カルボン酸アミドが、オレイン
    酸アミド、ステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、ベヘ
    ニン酸アミド、N−ステアリルエルカ酸アミド及びN−
    オレイルパルミトアミドからなる群から選択される少な
    くとも1種である請求項6に記載のガスバリヤー性フィ
    ルム。
  15. 【請求項15】 主として酸化珪素からなる薄膜層
    (B)を、有機珪素ガスと酸素とを用いた減圧プラズマ
    化学気相成長法で形成せしめる請求項1及至14何れか
    に記載のガスバリヤー性フィルム。
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