JP2008273028A - 積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐擦り傷性、熱水や溶剤に対する耐性に優れ、かつ機械的強度や耐衝撃性、光学特性にも優れた積層体を提供すること。
【解決手段】本発明に係る積層体は、アクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層とその他の熱可塑性樹脂からなる層を含むことを特徴とする。本発明に係る積層体は、アクリル系熱可塑性樹脂層とその他の熱可塑性樹脂からなる層を含む未延伸積層体を延伸して得られることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、耐擦り傷性、熱水や溶剤に対する耐性に優れ、かつ機械的強度や耐衝撃性、光学特性にも優れたアクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層を含む積層体に関する。
アクリル系熱可塑性樹脂は、透明性、表面光沢、耐候性に優れ、比較的高い表面硬度を有することから、従来から、その特徴を活かし、様々な樹脂の表層材として用いられてきており、特に、耐衝撃性に優れたポリカーボネート樹脂やABS樹脂などのゴム強化スチレン系樹脂との組合せによる積層体が広く使用されている。また、光学的特性に優れており、高い光線透過率や低複屈折率、低位相差の光学材料として従来種々の用途に適用されている。
また、ポリカーボネート樹脂は、衝撃性、透明性、耐熱性に優れており、種々の用途に用いられている。例えば、押出し成形されたシートは、カーポート、看板、建築用グレージング材、各種車両用グレージング材、防音壁等の産業分野や位相差フィルムなどの光学分野で広く使用されている。しかしながら、ポリカーボネート樹脂は単独では、耐擦り傷性、耐溶剤性などの表面特性に劣り、これを改良する方法として種々の方法が提案されている。例えば、特許文献1にはラクトン環構造を有するアクリル系熱可塑性樹脂を主成分とする層と、ポリカーボネート樹脂などとの積層体が開示されている。
しかし、アクリル系樹脂は脆く、アクリル系樹脂層を含む積層体は耐衝撃性や成形性に問題がある。特にフィルムにした場合はアクリル系樹脂層に割れ等が生じやすく、機械的強度、とりわけ十分な可とう性を得るためには改善の余地があった。また、光学フィルムなどの耐熱性が必要な用途については、主鎖に種々の環構造を導入することなどで、アクリル系樹脂の耐熱性を向上させる検討が行われているが、耐熱性が向上すると逆に樹脂が脆くなり、耐衝撃性や可とう性は低下する傾向があった。
特開2002−254544号公報
上述のように、アクリル系熱可塑性樹脂層を含む積層体は高い表面硬度や光学的などの優れた特性を持つものの、耐衝撃性や成形性に問題が有り、特にフィルムにした場合はアクリル系樹脂層に割れ等が生じやすく、機械的強度、とりわけ十分な可とう性を得るためには改善の余地があった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐擦り傷性、熱水や溶剤に対する耐性に優れ、かつ機械的強度や耐衝撃性、光学特性にも優れた積層体を提供することにある。
本発明に係る積層体は、アクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層とその他の熱可塑性樹脂からなる層を含む。
また、本発明に係る積層体は、アクリル系熱可塑性樹脂層とその他の熱可塑性樹脂からなる層を含む未延伸積層体を延伸して得られることが好ましい。
前記未延伸積層体は共押出し成形で得られることが好ましい。
前記その他の熱可塑性樹脂はポリカーボネート、ポリエステルまたはポリスチレンであることが好ましい。
前記アクリル系熱可塑性樹脂のガラス転移温度が110℃以上であることが好ましい。
前記アクリル系熱可塑性樹脂はラクトン環構造を含有することが好ましい。
前記アクリル系熱可塑性樹脂は下記式(1):
Figure 2008273028
のラクトン構造単位を含有することが好ましい。
本発明によれば、耐擦り傷性、熱水や溶剤に対する耐性に優れ、かつ機械的強度や耐衝撃性、光学特性にも優れた積層体を実現できるという効果を奏する。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において「主成分」とは、50重量%以上含有していることが意図される。また、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを示す。
〔アクリル系熱可塑性樹脂〕
本発明において用いられるアクリル系熱可塑性樹脂は主成分として、アクリル酸、メタクリル酸およびその誘導体を重合して得られる樹脂、および、その誘導体であり、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、公知のアクリル系熱可塑性樹脂を用いることが出来る。アクリル酸、メタクリル酸の誘導体の好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどが挙げられ、これらのうち1種を単独で含んでいてもよいし、2種以上併存してもよい。中でも、重合して得られる樹脂が光学特性や熱安定性に優れる点でメタクリル酸メチルが最も好ましい。
前記アクリル系熱可塑性樹脂はアクリル酸、メタクリル酸およびその誘導体以外の重合性単量体を共重合することも可能である。例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、メチルビニルケトン、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル等が挙げられる。なお、これらは、1種のみ用いても2種以上を併用してもよい。アクリル系熱可塑性樹脂を得る際の単量体成分として上記重合性単量体を併用する際には、これらの単量体の含有量は、単量体成分中、0〜30重量%以下が好ましく、より好ましくは0〜20重量%以下、さらに好ましくは0〜10重量%以下とするのがよい。物性等の点で、所定量以上用いると、(メタ)アクリレート系単量体由来の良好な物性である耐候性、表面光沢あるいは透明性等の物性が損なわれる場合がある。
前記アクリル系熱可塑性樹脂のガラス転移温度は110℃以上であることが好ましい。より好ましくは115℃以上、さらに好ましくは120℃以上、特に好ましくは130℃以上である。なお、本明細書においては、ガラス転移温度(Tg)は、ASTM−D−3418に従い、中点法で求めたものが意図される。
前記アクリル系熱可塑性樹脂は、耐熱性の観点より、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、メチルマレイミドなどのN−置換マレイミドを共重合してもよいし、分子鎖中(重合体の主骨格中、または主鎖中ともいう。)にラクトン環構造、グルタル酸無水物構造、グルタルイミド構造などを導入してもよい。中でも、フィルムの着色(黄変)し難さの点で、窒素原子を含まない構造が好ましく、また、光学特性や成形性から、主鎖にラクトン環構造を持つものが好ましい。主鎖中のラクトン環構造に関しては、4〜8員環でもよいが、構造の安定性から5〜6員環の方がより好ましく、6員環が更に好ましい。また、主鎖中のラクトン環構造が6員環である場合、一般式(1)や特開2004−168882号公報で表される構造などが挙げられるが、主鎖にラクトン環構造を導入する前の重合体を合成する上において重合収率が高い点などから、一般式(1)で表される構造であることが好ましい。
Figure 2008273028
(式中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいても良い。)
本発明において用いられるアクリル系熱可塑性樹脂は、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;フェニルサリチレート、(2,2´−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;難燃剤;などが挙げられる。添加剤の含有割合は、好ましくは0〜5重量%、より好ましくは0〜2重量%、さらに好ましくは0〜0.5重量%である。
本発明において用いられるアクリル系熱可塑性樹脂は、アクリル系熱可塑性樹脂以外の重合体を含んでいてもよい。アクリル系熱可塑性樹脂以外の重合体としては、例えば、弾性有機微粒子や、その他の重合体として、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)等のオレフィン系ポリマー;塩化ビニル、塩素化ビニル樹脂等の含ハロゲン系ポリマー;ポリスチレン、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系ポリマー;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610等のポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリサルホン;ポリエーテルサルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;などが挙げられる。これらの内、アクリル系熱可塑性樹脂との相溶性や透明性からスチレン−アクリロニトリル共重合体が好ましい。また、アクリル系熱可塑性樹脂がラクトン環やグルタルイミド環などの環構造を有する場合は正の複屈折を示すことがあるが、スチレン−アクリロニトリル共重合体は負の複屈折を有するため、特開2006−171464に開示されているように位相差調節材としても機能する。
本発明におけるアクリル系熱可塑性樹脂中のアクリル系熱可塑性樹脂以外の重合体の含有割合は、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜40重量%、さらに好ましくは0〜30重量%、特に好ましくは0〜20重量%である。
〔アクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層〕
本発明におけるアクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層は、前記アクリル系熱可塑性樹脂からなる。主成分であるアクリル系熱可塑性樹脂と、必要により、その他の重合体やその他の添加剤などを、従来公知の混合方法にて混合して成形し、シートやフィルムなどの未延伸成形物を作成、さらに延伸することによって得られる。
前記未延伸成形物の成形の方法としては、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法など、公知のフィルム成形方法が挙げられる。これらの中でも、溶融押出法が好ましい。
溶液キャスト法(溶液流延法)に用いられる溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタンなどの塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、およびこれらの混合溶媒などの芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノールなどのアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル;などが挙げられる。これら溶媒は1種のみ用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
溶液キャスト法(溶液流延法)を行うための装置としては、例えば、ドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーターなどが挙げられる。
溶融押出法としては、Tダイ法、インフレーション法などが挙げられ、その際の、フィルムの成形温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。
本発明におけるアクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層を得るための延伸方法としては、従来公知の延伸方法が適用できる。例えば、自由幅一軸延伸、定幅一軸延伸等の一軸延伸;逐次二軸延伸、同時二軸延伸等の二軸延伸;フィルムの延伸時にその片面又は両面に収縮性フィルムを接着して積層体を形成し、その積層体を加熱延伸処理してフィルムに延伸方向と直交する方向の収縮力を付与することにより、延伸方向と厚さ方向とにそれぞれ配向した分子群が混在する複屈折性フィルムを得る延伸等が挙げられる。フィルム面内の任意の直交する二方向に対する耐折れ曲げ性が向上するという点で、二軸延伸が好ましい。なお、所望の耐衝撃性や耐折れ曲げ性などの特性に応じて、延伸倍率、延伸温度、延伸速度等の延伸条件を適宜設定すればよく、特に限定はされない。
本発明におけるアクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層は、その他の熱可塑性樹脂からなる層と積層する前にアクリル系熱可塑性樹脂からなる層を延伸してもよいし、アクリル系熱可塑性樹脂からなる層とその他の熱可塑性樹脂からなる層と積層後に延伸しても良い。
本発明におけるアクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層の製造方法には、例えば、自由幅延伸、定幅延伸等の一軸延伸などが用いられる。延伸等を行う装置としては、例えば、ロール延伸機、テンター型延伸機、小型の実験用延伸装置として引張試験機、一軸延伸機、逐次二軸延伸機、同時二軸延伸機等が挙げられる。
〔その他の熱可塑性樹脂からなる層〕
本発明におけるその他の熱可塑性樹脂からなる層は、主成分として、加熱により軟化して塑性を示し、冷却すると固化する熱可塑性樹脂からなる。熱可塑性樹脂は特には限定されないが、具体的には、ポリカーボネート樹脂、ABS(アクリロニトリルーブタジエン系ゴムースチレン)樹脂やAES(アクリロニトリルーエチレン・プロピレン系ゴムースチレン)樹脂およびAAS(アクリロニトリルーアクリル系ゴムースチレン)樹脂などのゴム強化系スチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン系樹脂、AS(アクリロニトリルースチレン)樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびポリアミド系樹脂が挙げることができ、これらの1種以上が使用できる。密着性の点で、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂およびポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂が好ましい。また、好ましくは、鉛筆引掻き試験値(JIS−K 5400に準じた測定)が、HB以下、さらに好ましくはB以下、さらに好ましくは2B以下の熱可塑性樹脂である。
前記その他の熱可塑性樹脂は、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;フェニルサリチレート、(2,2´−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;難燃剤;などが挙げられる。添加剤の含有割合は、0〜50重量%、好ましくは0〜20重量%より好ましくは0〜10重量%、さらに好ましくは0〜1重量%である。
本発明におけるその他の熱可塑性樹脂からなる層は、通常、フィルム状、シート状等に成形して形成すればよい。成形は150〜350℃で行うのが好ましく、より好ましくは200〜300℃であるが、耐熱性、流動性などの樹脂の性質に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。成形方法としては特に限定されず、射出成形、押出成形、インフレーション成形、ブロー成形等が挙げられる。フィルム状、シート状の積層体を得る場合、コスト削減、生産性向上および成形性向上を図る点で、前記アクリル系熱可塑性樹脂からなる層とともに共押出成形することが好ましい。
〔積層体〕
本発明に係る積層体は、アクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層とその他の熱可塑性樹脂からなる層とを含む。
本発明の積層体は、前記その他の熱可塑性樹脂からなる層の片側の表面に前記アクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層を有していてもよいし、両側に有していてもよく、更に、多層の積層体でも良い。片側に前記アクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層を有している場合は、片方向からの擦り傷応力、溶剤や熱水に対する耐性に優れた積層体が得られ、両側にアクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層を有している場合は、両方向からの擦り傷応力、溶剤や熱水に対する耐性に優れた積層体が得られる。すなわち、本発明の積層体は、前記アクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層によって、高い表面硬度を発現させ、また熱水や溶剤に対する耐性をも発現させることができ、あわせて、その他の熱可塑性樹脂からなる層本来の優れた機械的強度や耐衝撃性を積層体構造として保持させることができる。本発明の積層体は、用途に応じて適宜その積層形態を設定すればよい。
本発明の積層体は、前記アクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層と、前記その他の熱可塑性樹脂からなる層のほかに、所望する特性に応じて、第三の層を有していてもよい。この場合、本発明の効果である高い表面硬度や、溶剤や熱水に対する耐性を発揮させるには、アクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層を少なくとも片側の表面に配することが重要である。
本発明の積層体は、フィルムまたはシート状の形態であることが、種々の形状を容易に成形できる点で好ましい。勿論、これに限定されるものではなく、筒状や容器状等の形態であってもよい。本発明の積層体をフィルムとして用いる場合は、使用される目的により適宜その厚みを設定することができ、例えばフィルム全体として10〜500μmの厚みが好ましい。より好ましい厚みは、10μmから400μmである。さらに好ましい厚みは、20μmから300μmである。またシート状にして用いる場合には、シート全体として0.5mm〜5cmの厚みが好ましい。
本発明に係る積層体の製造方法は特に限定されないが、例えば、アクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層とその他の熱可塑性樹脂からなる層を積層することにより、或いは、アクリル系熱可塑性樹脂層とその他の熱可塑性樹脂からなる層を積層して得られる未延伸積層体を延伸することにより得られる。
積層する方法としては、特に制限はなく、一般的な方法を採用することができる。例えば、少なくともいずれか一方をシートあるいはフィルムあるいは発泡体とし、これを加熱して圧着する方法、少なくともいずれか一方の面にあらかじめ接着剤樹脂を塗布しておき、加熱圧着する方法、押し出し機のダイ中において、アクリル系熱可塑性樹脂とその他の熱可塑性樹脂とを積層させてシートあるいはシート状のものを得る共押出成形法、アクリル系熱可塑性樹脂をあらかじめ真空成形によって三次元の形状を付与した後、基材となるその他の熱可塑性樹脂層の樹脂を射出成形するインモールド成形法などが挙げられる。コスト削減と生産性向上のためには、共押出成形する方法、インモールド成形法が好ましい。特にシート状、フィルム状の積層体を得る際に、コスト、生産性の点で、共押出成形法が好ましい。
本発明に係る積層体は、全光線透過率が80%以上であることが好ましい。より好ましくは88%以上、さらに好ましくは91%である。全光線透過率は、透明性の目安であり、85%未満であると透明性が低下し、透明性が低下し、本来目的とする用途に使用できない場合がある。
本発明の積層体においては、アクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層を表層とした場合、鉛筆引掻き試験値(JIS−K5400に準じた測定による)がH以上であることが好ましく、さらに好ましくは2H以上、最も好ましくは3H以上である。Hより軟らかいと、傷がつきやすくなり、しいては外観が悪くなっていくことがある。上記鉛筆引掻き試験値は鉛筆硬度とも表現することができる。
本発明の積層体は、耐候性、高い表面硬度(耐擦り傷性)、溶剤や熱水に対する耐性と、機械的強度や耐衝撃性とを兼ね備えたものであるので、例えば、カーポート、看板、建築用グレージング材、各種車両用グレージング材、自動車用内装部品、防音壁、浴槽用表層樹脂シート、洗面器などの衛生用品用シート、各種家庭用品用シート、熱成形用シート、脱塗装を目的とした熱成形用シートなどに好適に用いることができる。
また、本発明の積層体は、光学フィルム、特に、反射偏光子の機能を有する輝度向上フィルムとして好適に用いることが出来る。反射偏光子は、特定の偏光成分のみ反射するタイプの偏光子であり、液晶表示装置などにおいて、バックライトと偏光板の間に設置され、本来偏光板に吸収される偏光成分を反射・再利用を行なうため、液晶ディスプレイの輝度向上に効果がある。具体的には、例えば、特表平9−506837や特表平9−506984によると、未延伸状態で屈折率の差が小さい低複屈折層(A)と高複屈折層(B)との多層積層体を一軸延伸して得られる積層体であり、一軸延伸により高複屈折層(B)の延伸した方向のみの屈折率が大きくなるため、積層体平面への入射光の内、延伸した方向と垂直の偏光成分は透過するが、延伸した方向と一致する偏光成分は反射する。アクリル系熱可塑性樹脂は低複屈折であり、本発明の積層体のアクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層は低複屈折率層(A)として好適である。高複屈折率層(B)としては、ポリエチレンナフタレートやポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートやポリスチレンを用いることが出来る。
本発明の積層体を輝度向上フィルムとして用いる場合、低複屈折層(A)と高複屈折層(B)の未延伸での屈折率の差は0.02以下が好ましい。より好ましくは0.01以下、更に好ましくは0.005以下である。高複屈折層(B)に用いられる樹脂は屈折率が高いことが多く、その場合、未延伸での屈折率を合わせるため、低複屈折層(A)、つまり、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層の屈折率を高くすることが好ましい。屈折率を高くするためには、高屈折率のベンジルメタクリレートやスチレンなどの芳香族含有モノマーをアクリル系熱可塑性樹脂に共重合するか、あるいは、芳香族含有重合体や無機微粒子などの高屈折率の添加剤を添加することが出来る。高屈折率の芳香族含有重合体としては特には限定されないが、屈折率が1.55以上の芳香族含有重合体が好ましく、スチレン−アクリロニトリル共重合体やポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステルなどが好適であり、アクリル系熱可塑性樹脂の相溶性からスチレン−アクリロニトリル共重合体が特に好ましい。高屈折率の無機微粒子としては特には限定されないが、屈折率が1.6以上の無機微粒子が好ましく、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化セリウム、酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化スズ、硫化亜鉛、ダイヤモンド微粒子(DLC)などが好適である。高屈折率の無機微粒子はアクリル系熱可塑樹脂への分散性が高めるため、シランカップリング剤などを用いて有機成分により表面修飾を行なっても良い。高屈折率の添加剤の添加量はアクリル系熱可塑性樹脂に対して0〜20%が好ましく、0〜10%がより好ましい。
なお、発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様および以下の実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、当業者は、本発明の精神および添付の特許請求の範囲内で変更して実施することができる。
以下に、実施例および比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と、「リットル」を単に「L」と記すことがある。
<重合反応率、重合体組成分析>
重合反応時の反応率および重合体中の特定単量体単位の含有率は、得られた重合反応混合物中の未反応単量体の量をガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、装置名:GC17A)を用いて測定して求めた。
<ダイナミックTG>
重合体(もしくは重合体溶液あるいはペレット)を一旦テトラヒドロフランに溶解もしくは希釈し、過剰のヘキサンもしくはメタノールへ投入して再沈殿を行い、取り出した沈殿物を真空乾燥(1mmHg(1.33hPa)、80℃、3時間以上)することによって揮発成分などを除去し、得られた白色固形状の樹脂を以下の方法(ダイナミックTG法)で分析した。
測定装置:Thermo Plus2 TG−8120 Dynamic TG((株)リガク社製)
測定条件:試料量 5〜10mg
昇温速度:10℃/min
雰囲気:窒素フロー 200ml/min
方法:階段状等温制御法(60℃〜500℃の間で重量減少速度値0.005%/sec以下で制御)
<ラクトン環構造単位の含有割合>
まず、重合で得られた重合体組成からすべての水酸基がメタノールとして脱アルコールした際に起こる重量減少量を基準にし、ダイナミックTG測定において重量減少が始まる前の150℃から重合体の分解が始まる前の300℃までの脱アルコール反応による重量減少から、脱アルコール反応率を求めた。
すなわち、ラクトン環構造を有した重合体のダイナミックTG測定において150℃から300℃までの間の重量減少率の測定を行い、得られた実測重量減少率を(X)とする。他方、当該重合体の組成から、その重合体組成に含まれる全ての水酸基がラクトン環の形成に関与するためアルコールになり脱アルコールすると仮定した時の理論重量減少率(すなわち、その組成上において100%脱アルコール反応が起きたと仮定して算出した重量減少率)を(Y)とする。なお、理論重量減少率(Y)は、より具体的には、重合体中の脱アルコール反応に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体のモル比、すなわち当該重合体組成における前記原料単量体の含有率から算出することができる。これらの値(X、Y)を脱アルコール計算式:
1−(実測重量減少率(X)/理論重量減少率(Y))
に代入してその値を求め、%で表記すると、脱アルコール反応率が得られる。
例として、後述の製造例1で得られるペレットにおいてラクトン環構造の占める割合を計算する。この重合体の理論重量減少率(Y)を求めてみると、メタノールの分子量は32であり、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの分子量は116であり、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの重合体中の含有率(重量比)は20重量%であるから、(32/116)×20≒5.52重量%となる。他方、ダイナミックTG測定による実測重量減少率(X)は0.18重量%であった。これらの値を上記の脱アルコール計算式に当てはめると、1−(0.18/5.52)≒0.967となるので、脱アルコール反応率は96.7%である。
そして、この脱アルコール反応率の分だけ所定のラクトン環化が行われたものとして、ラクトン環化に関与する構造(ヒドロキシ基)を有する原料単量体の当該共重合組成における含有率(重量比)に、脱アルコール反応率を乗じ、ラクトン環単位の構造の含有率(重量比)に換算することで、当該共重合体におけるラクトン環構造の含有割合を算出することが出来る。実施例1の場合、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの当該共重合体における含有率が20重量%、算出した脱アルコール反応率が96.7重量%、分子量が116の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルがメタクリル酸メチルと縮合した場合に生成するラクトン環化構造単位の式量が170であることから、当該共重合体中におけるラクトン環の含有割合は28.3(20×0.968×170/116)重量%となる。
<重量平均分子量>
重合体の重量平均分子量は、GPC(東ソー社製GPCシステム)のポリスチレン換算により求めた。
<樹脂の熱分析>
樹脂の熱分析は、試料約10mg、昇温速度10℃/min、窒素フロー50cc/minの条件で、DSC((株)リガク社製、装置名:DSC−8230)を用いて行った。なお、ガラス転移温度(Tg)は、ASTM−D−3418に従い、中点法で求めた。
<延伸>
フィルムの延伸は、(株)東洋精機製作所製、コーナーストレッチ式2軸延伸試験装置X6−Sを用いた。
<積層体の耐熱水性>
積層体を5cm×5cmに切り取り、アクリル系熱可塑性樹脂層を含む場合はアクリル系熱可塑性樹脂層の面を90℃の熱水と接するようにし、100時間放置後、その外観を観察した。
<積層体の耐溶剤性>
積層体を5cm×5cmに切り取り、アクリル系熱可塑性樹脂層を含む場合はアクリル系熱可塑性樹脂層の面をイソプロピルアルコール(IPA)あるいはキシレンと接するようにし、3日間放置後、その外観を観察した。
<積層体の耐擦り傷性>
アクリル系熱可塑性樹脂層を含む場合はアクリル系熱可塑性樹脂層の面を表層とし、積層体の耐擦り傷性を、JIS−K−5400に準じ、鉛筆引掻き試験機(JIS−K―5401)を用いて、鉛筆引掻き試験値(鉛筆硬度)を測定した。
<可とう性>
フィルムの可とう性は、25℃、65%RHの雰囲気下、折り曲げ半径1mmにおいて180°折り曲げた際、フィルムの折り曲げ面を目視で観察、折り曲げ面にクラックが生じない状態を「○」、クラックが生じる状態を「×」として評価した。フィルムを延伸した場合はフィルムを延伸した方向および延伸した方向と垂直の方向の二方向でそれぞれ試験を行った。二軸延伸したフィルムの場合は、直交する二つの延伸方向で試験を行なった。二方向ともクラックを生じない状態を「○」、一方向のみクラックを生じる状態を「△」、二方向両方でクラックが生じる状態を「×」として評価した。
<粒度>
粒子の粒度は酢酸エチルに分散後、動的光散乱粒度分布計で測定した。
<反射率>
分光光度計((株)島津製作所製、UV−3100)の光源側に偏光フィルタを設置し、鏡面反射測定ユニットを用いて、400〜800nmの波長の反射率を測定し、平均値を算出した。偏光フィルタの透過軸がフィルムの延伸方向と平行になるようにフィルムサンプルを取り付けた場合を反射率(平行)、偏光フィルタの透過軸がフィルムの延伸方向と直交するようにフィルムサンプルを取り付けた場合を反射率(直交)とした。
〔製造例1〕
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた30Lの反応釜に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル10部、メタクリル酸メチル40部、トルエン50部を仕込み、窒素を通じつつ100℃まで昇温した。還流したところで、開始剤としてターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.15部を加えて、還流下(100〜110℃)で溶液重合を行い、5時間かけて熟成を行った。次に、得られた重合体成分100部に対して37.5部のメチルイソブチルケトン、および、重合体溶液100部に対して0.1部のリン酸メチル/リン酸ジメチル混合物(東京化成工業社製)を加え、窒素を通じつつ、還流下(95〜100℃)で5時間、環化縮合反応を行った。次いで、得られた重合体溶液を、バレル温度250℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa、リアベント数1個とフォアベント数4個のベントタイプスクリュー2軸押出機(直径=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、押出機内で環化縮合反応と脱揮を行い、押し出すことにより、透明なアクリル系熱可塑樹脂ペレット(1A)を得た。得られたペレット(1A)の重量平均分子量は165000であり、ガラス転移温度は135℃であった。
〔製造例2〕
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、MMA9000g、MA1000g、トルエン10000g、n−ドデシルメルカプタン10gを仕込み、これに窒素を通じながら、105℃まで昇温し、還流したところで、開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート15.0gを添加すると同時に、t−アミルパーオキシイソノナノエート20.0gとトルエン200gとからなる混合溶媒からなる混合溶液を2時間かけて滴下しながら、還流下(約100〜110℃)で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行なった。得られた重合体溶液を、バレル温度を220℃にしたこと以外は、製造例1と同様の条件にてベントタイプスクリュー二軸押出し機を用いて脱揮を行い、押出すことにより、透明なアクリル系熱可塑樹脂ペレット(2A)を得た。得られたペレット(2A)の重量平均分子量は150000であり、ガラス転移温度は103℃であった。
〔実施例1〕
PC(ポリカーボネート樹脂、帝人化成(株)製、パンライトL−1225)を使用し、製造例1で得られたアクリル系熱可塑性樹脂(1A)と共に、以下の条件で共押し出しを行い、アクリル系熱可塑性樹脂層(厚さ200μm)とポリカーボネート樹脂層(厚さ200μm)を含む未延伸積層体を得た。
[押出機の条件]
ポリカーボネート樹脂側:温度270℃
アクリル系熱可塑性樹脂側:温度260℃
ダイ:コートハンガータイプ、温度270℃、幅150mm
つや付き2本ロール温度:第1ロール、第2ロールとも130℃
得られた未延伸積層体を、127mmの正方形に切り出し、延伸機のチャックにセットした。165℃で3分予熱後、10秒で縦横方向とも2倍になるように同時2軸延伸を行い、延伸終了後もチャックを外さず延伸終了時の状態を保ったまま、165℃で30秒間保持した。その後、サンプルを取り出して冷却し、厚さ100μmの積層体(1B)を得た。この積層体(1B)の各種測定結果を表1に示す。
〔比較例1〕
PC(ポリカーボネート樹脂、帝人化成(株)製、パンライトL−1225)をシリンダー径が20mmの単軸押出機を用い下記条件で押出成形し、厚さ100μmのポリカーボネート樹脂の未延伸フィルム(1C)を作製した。
シリンダー:温度270℃
ダイ:コートハンガータイプ、幅150mm、温度270℃、
つや付き2本ロール温度:第1ロール、第2ロールとも130℃
この未延伸フィルム(1C)の各種測定結果を表1に示す。
〔比較例2〕
製造例1で得られたアクリル系熱可塑性樹脂(1A)のペレットをシリンダー径が20mmの単軸押出機を用い下記条件で押出成形し、厚さ400μmのアクリル系熱可塑性樹脂の未延伸フィルム(1D)を作製した。
シリンダー:温度260℃
ダイ:コートハンガータイプ、幅150mm、温度260℃、
つや付き2本ロール温度:第1ロール、第2ロールとも130℃
この未延伸フィルム(1D)の各種測定結果を表1に示す。
〔実施例2〕
比較例2で得られた未延伸フィルム(1D)を127mmの正方形に切り出してサンプルを作成、1段目の1軸延伸を行った。1段目の1軸延伸は、155℃で3分予熱後、1分間で2倍になるように行い、横方向は収縮しないようにした。延伸終了後、速やかにサンプルを取り出して冷却、縦横ともに97mmの正方形に切り出してサンプルを作成した。このサンプルを用いて、1段目の延伸方向と直交する方向に2段目の1軸延伸を行い、厚さ100μmのアクリル系熱可塑性樹脂の延伸フィルム(1E)を得た。2段目の1軸延伸は、155℃3分予熱後、1分間で2倍になるように行い、横方向は収縮しないようにした。この延伸フィルム(1E)と、比較例1で得られたポリカーボネート樹脂の未延伸フィルム(1C)を、210℃で熱ロールにより接着させ、厚さ200μmの積層体(2B)とした。この積層体(2B)の各種測定結果を表1に示す。
〔実施例3〕
製造例2で得られたペレット(2A)について、ペレットをシリンダー径が20mmの単軸押出機を用い下記条件で押出成形し、厚さ400μmのアクリル系熱可塑性樹脂の未延伸フィルムを作製した。
シリンダー:温度230℃
ダイ:コートハンガータイプ、幅150mm、温度230℃、
つや付き2本ロール温度:第1ロール、第2ロールとも100℃
次に、この未延伸フィルムを用いて、延伸温度を113℃とした以外の条件は実施例2と同様に逐次2軸延伸を行い、厚さ100μmのアクリル系熱可塑性樹脂の延伸フィルムを得た。さらに、得られた延伸フィルムと比較例1で得られたポリカーボネート樹脂の(2B)を200℃で熱ロールにより接着させ、厚さ200μmの積層体(3B)とした。この積層体(3B)の各種測定結果を表1に示す。
〔比較例3〕
ポリカーボネート樹脂層の厚みを100μm、アクリル系熱可塑性樹脂(1A)層の厚みを100μmに変更した以外は実施例1の記載と同様の条件で共押し出しし、未延伸積層体(4B)を得た。この積層体(4B)の各種測定結果を表1に示す。
〔製造例3〕
反応容器にジルコニアナノ粒子水分散液(固形分4.1wt%、pH4.8、見かけの粒度:15.9nm)100部を仕込み、これを45℃にセットした超音波浴中で撹拌しながら、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.23部を溶解させたエチルアルコール80部を90分かけて滴下、滴下終了後もさらに90分間、超音波浴中で撹拌して反応を進めた。次に、反応液から白色の沈降物を遠心分離し、エチルアルコール80部を添加して透明な分散体を得た。この分散体に、水10部を添加し、生成した白色の沈降物を遠心分離後メチルイソブチルケトンに分散させ、表面修飾した酸化ジルコニウム溶液(1F)を得た。得られた溶液の濃度は20wt%、粒度は39nmであった。
次に、攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた30Lの反応釜に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル10部、メタクリル酸メチル40部、トルエン50部を仕込み、窒素を通じつつ100℃まで昇温した。還流したところで、開始剤としてターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.15部を加えて、還流下(100〜110℃)で溶液重合を行い、5時間かけて熟成を行った。次に、重合体溶液100部に対して0.07部のリン酸メチル/リン酸ジメチル混合物(東京化成工業社製)を加え、窒素を通じつつ、還流下(95〜100℃)で5時間、環化縮合反応を行った。さらに、この重合体溶液100部に対して22部の表面修飾した酸化ジルコニウム溶液(1F)を加えた後、バレル温度250℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa、リアベント数1個とフォアベント数4個のベントタイプスクリュー2軸押出機(直径=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、押出機内で環化縮合反応と脱揮を行い、押し出すことにより、樹脂ペレットを得た。この樹脂ペレットと、アクリロニトリルースチレン樹脂(旭化成ケミカルズ(株)製、スタイラックAS783)を樹脂ペレット/アクリロニトリルースチレン樹脂=90/10の比でフィードしながら、2軸押出機を用いて260℃で混練することにより、アクリル系熱可塑性樹脂(3A)のペレットを得た。アクリル系熱可塑性樹脂(3A)のガラス転移温度は131℃であった。
〔実施例4〕
特表平9−506837の40〜41頁に記載の多層積層体作製システムを用いて、製造例3で得られたアクリル系熱可塑性樹脂(3A)が301層、ポリエチレンー2,6ナフタレートを300層で交互に積層し、かつ層厚の分布が広い、総数601層の未延伸積層フィルムを作成、次に、得られた未延伸積層フィルムを160℃で5倍に延伸し、輝度向上フィルム(5B)を得た。得られた輝度向上フィルム(6B)の反射率(平行)は90%、反射率(直交)は18%であった。また、鉛筆硬度は4H、耐熱水性は「変化無し」、可とう性は△、耐溶剤性はIPA、キシレンとも「変化無し」であった。
〔実施例5〕
特表平9−506837の40〜41頁に記載の多層積層体作製システムを用いて、ポリエチレンー2,6ナフタレート(PEN)が301層、PEN含有共重合体(アルコール成分:エチレングリコール/酸成分:2,6−ナフタレンジカルボン酸70モル%、ジメチルイソフタル酸15モル%、ジメチルテレフタル酸15モル%)を300層で交互に積層し、かつ層厚の分布が広い、総数601層の未延伸積層フィルムを作成、次に、得られた未延伸積層フィルムを160℃で5倍に延伸し、厚さ50μmの延伸フィルムを得た。更に、この延伸フィルムと実施例2で作成したアクリル系熱可塑樹脂の延伸フィルム(1E)を、210℃で熱ロールにより接着させ、輝度向上フィルム(6B)を得た。得られた輝度向上フィルム(6B)の反射率(平行)は85%、反射率(直交)は12%であった。また、鉛筆硬度は4H、耐熱水性は「変化無し」、可とう性は○、耐溶剤性はIPA、キシレンとも「変化無し」であった。
Figure 2008273028
本発明の積層体は、高い表面硬度(耐擦り傷性)や可とう性、溶剤や熱水に対する耐性と、機械的強度や耐衝撃性、光学特性とを兼ね備えたものであるので、例えば、カーポート、看板、建築用グレージング材、各種車両用グレージング材、自動車用内装部品、防音壁、浴槽用表層樹脂、洗面器などの衛生用品、各種家庭用品、熱成形、脱塗装を目的とした熱成形樹脂などに用いられるフィルム・シート、更には、輝度向上フィルムなどの光学フィルム・シートとして、好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. アクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層とその他の熱可塑性樹脂からなる層を含む積層体。
  2. アクリル系熱可塑性樹脂からなる層とその他の熱可塑性樹脂からなる層を含む未延伸積層体を延伸して得られる請求項1の積層体。
  3. 前記未延伸積層体が共押出し成形で得られる請求項2記載の積層体。
  4. 前記その他の樹脂がポリカーボネート、ポリエステルまたはポリスチレンである請求項1〜3のいずれか1項記載の積層体。
  5. 前記アクリル系熱可塑性樹脂のガラス転移温度が110℃以上である請求項1〜4のいずれか1項記載の積層体。
  6. 前記アクリル系熱可塑性樹脂がラクトン環構造を含有する請求項1〜5のいずれか1項記載の積層体。
  7. 前記アクリル系熱可塑性樹脂が下記式(1):
    Figure 2008273028
    のラクトン構造単位を含有する請求項1〜6のいずれか1項記載の積層体。
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