JP2008273028A - 積層体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る積層体は、アクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層とその他の熱可塑性樹脂からなる層を含むことを特徴とする。本発明に係る積層体は、アクリル系熱可塑性樹脂層とその他の熱可塑性樹脂からなる層を含む未延伸積層体を延伸して得られることが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明において用いられるアクリル系熱可塑性樹脂は主成分として、アクリル酸、メタクリル酸およびその誘導体を重合して得られる樹脂、および、その誘導体であり、本発明の効果を損なわない限り特に限定されず、公知のアクリル系熱可塑性樹脂を用いることが出来る。アクリル酸、メタクリル酸の誘導体の好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどが挙げられ、これらのうち1種を単独で含んでいてもよいし、2種以上併存してもよい。中でも、重合して得られる樹脂が光学特性や熱安定性に優れる点でメタクリル酸メチルが最も好ましい。
本発明において用いられるアクリル系熱可塑性樹脂は、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、イオウ系等の酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;フェニルサリチレート、(2,2´−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;難燃剤;などが挙げられる。添加剤の含有割合は、好ましくは0〜5重量%、より好ましくは0〜2重量%、さらに好ましくは0〜0.5重量%である。
本発明におけるアクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層は、前記アクリル系熱可塑性樹脂からなる。主成分であるアクリル系熱可塑性樹脂と、必要により、その他の重合体やその他の添加剤などを、従来公知の混合方法にて混合して成形し、シートやフィルムなどの未延伸成形物を作成、さらに延伸することによって得られる。
本発明におけるその他の熱可塑性樹脂からなる層は、主成分として、加熱により軟化して塑性を示し、冷却すると固化する熱可塑性樹脂からなる。熱可塑性樹脂は特には限定されないが、具体的には、ポリカーボネート樹脂、ABS(アクリロニトリルーブタジエン系ゴムースチレン)樹脂やAES(アクリロニトリルーエチレン・プロピレン系ゴムースチレン)樹脂およびAAS(アクリロニトリルーアクリル系ゴムースチレン)樹脂などのゴム強化系スチレン系樹脂、塩化ビニル樹脂、スチレン系樹脂、AS(アクリロニトリルースチレン)樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂およびポリアミド系樹脂が挙げることができ、これらの1種以上が使用できる。密着性の点で、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂およびポリエステル樹脂から選択される少なくとも1種からなる熱可塑性樹脂が好ましい。また、好ましくは、鉛筆引掻き試験値(JIS−K 5400に準じた測定)が、HB以下、さらに好ましくはB以下、さらに好ましくは2B以下の熱可塑性樹脂である。
本発明に係る積層体は、アクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層とその他の熱可塑性樹脂からなる層とを含む。
重合反応時の反応率および重合体中の特定単量体単位の含有率は、得られた重合反応混合物中の未反応単量体の量をガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、装置名:GC17A)を用いて測定して求めた。
重合体(もしくは重合体溶液あるいはペレット)を一旦テトラヒドロフランに溶解もしくは希釈し、過剰のヘキサンもしくはメタノールへ投入して再沈殿を行い、取り出した沈殿物を真空乾燥(1mmHg(1.33hPa)、80℃、3時間以上)することによって揮発成分などを除去し、得られた白色固形状の樹脂を以下の方法(ダイナミックTG法)で分析した。
測定条件:試料量 5〜10mg
昇温速度:10℃/min
雰囲気:窒素フロー 200ml/min
方法:階段状等温制御法(60℃〜500℃の間で重量減少速度値0.005%/sec以下で制御)
<ラクトン環構造単位の含有割合>
まず、重合で得られた重合体組成からすべての水酸基がメタノールとして脱アルコールした際に起こる重量減少量を基準にし、ダイナミックTG測定において重量減少が始まる前の150℃から重合体の分解が始まる前の300℃までの脱アルコール反応による重量減少から、脱アルコール反応率を求めた。
1−(実測重量減少率(X)/理論重量減少率(Y))
に代入してその値を求め、%で表記すると、脱アルコール反応率が得られる。
重合体の重量平均分子量は、GPC(東ソー社製GPCシステム)のポリスチレン換算により求めた。
樹脂の熱分析は、試料約10mg、昇温速度10℃/min、窒素フロー50cc/minの条件で、DSC((株)リガク社製、装置名:DSC−8230)を用いて行った。なお、ガラス転移温度(Tg)は、ASTM−D−3418に従い、中点法で求めた。
フィルムの延伸は、(株)東洋精機製作所製、コーナーストレッチ式2軸延伸試験装置X6−Sを用いた。
積層体を5cm×5cmに切り取り、アクリル系熱可塑性樹脂層を含む場合はアクリル系熱可塑性樹脂層の面を90℃の熱水と接するようにし、100時間放置後、その外観を観察した。
積層体を5cm×5cmに切り取り、アクリル系熱可塑性樹脂層を含む場合はアクリル系熱可塑性樹脂層の面をイソプロピルアルコール(IPA)あるいはキシレンと接するようにし、3日間放置後、その外観を観察した。
アクリル系熱可塑性樹脂層を含む場合はアクリル系熱可塑性樹脂層の面を表層とし、積層体の耐擦り傷性を、JIS−K−5400に準じ、鉛筆引掻き試験機(JIS−K―5401)を用いて、鉛筆引掻き試験値(鉛筆硬度)を測定した。
フィルムの可とう性は、25℃、65%RHの雰囲気下、折り曲げ半径1mmにおいて180°折り曲げた際、フィルムの折り曲げ面を目視で観察、折り曲げ面にクラックが生じない状態を「○」、クラックが生じる状態を「×」として評価した。フィルムを延伸した場合はフィルムを延伸した方向および延伸した方向と垂直の方向の二方向でそれぞれ試験を行った。二軸延伸したフィルムの場合は、直交する二つの延伸方向で試験を行なった。二方向ともクラックを生じない状態を「○」、一方向のみクラックを生じる状態を「△」、二方向両方でクラックが生じる状態を「×」として評価した。
粒子の粒度は酢酸エチルに分散後、動的光散乱粒度分布計で測定した。
分光光度計((株)島津製作所製、UV−3100)の光源側に偏光フィルタを設置し、鏡面反射測定ユニットを用いて、400〜800nmの波長の反射率を測定し、平均値を算出した。偏光フィルタの透過軸がフィルムの延伸方向と平行になるようにフィルムサンプルを取り付けた場合を反射率(平行)、偏光フィルタの透過軸がフィルムの延伸方向と直交するようにフィルムサンプルを取り付けた場合を反射率(直交)とした。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた30Lの反応釜に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル10部、メタクリル酸メチル40部、トルエン50部を仕込み、窒素を通じつつ100℃まで昇温した。還流したところで、開始剤としてターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート0.15部を加えて、還流下(100〜110℃)で溶液重合を行い、5時間かけて熟成を行った。次に、得られた重合体成分100部に対して37.5部のメチルイソブチルケトン、および、重合体溶液100部に対して0.1部のリン酸メチル/リン酸ジメチル混合物(東京化成工業社製)を加え、窒素を通じつつ、還流下(95〜100℃)で5時間、環化縮合反応を行った。次いで、得られた重合体溶液を、バレル温度250℃、回転数100rpm、減圧度13.3〜400hPa、リアベント数1個とフォアベント数4個のベントタイプスクリュー2軸押出機(直径=29.75mm、L/D=30)に、樹脂量換算で2.0kg/時間の処理速度で導入し、押出機内で環化縮合反応と脱揮を行い、押し出すことにより、透明なアクリル系熱可塑樹脂ペレット(1A)を得た。得られたペレット(1A)の重量平均分子量は165000であり、ガラス転移温度は135℃であった。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した30L反応釜に、MMA9000g、MA1000g、トルエン10000g、n−ドデシルメルカプタン10gを仕込み、これに窒素を通じながら、105℃まで昇温し、還流したところで、開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート15.0gを添加すると同時に、t−アミルパーオキシイソノナノエート20.0gとトルエン200gとからなる混合溶媒からなる混合溶液を2時間かけて滴下しながら、還流下(約100〜110℃)で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行なった。得られた重合体溶液を、バレル温度を220℃にしたこと以外は、製造例1と同様の条件にてベントタイプスクリュー二軸押出し機を用いて脱揮を行い、押出すことにより、透明なアクリル系熱可塑樹脂ペレット(2A)を得た。得られたペレット(2A)の重量平均分子量は150000であり、ガラス転移温度は103℃であった。
PC(ポリカーボネート樹脂、帝人化成(株)製、パンライトL−1225)を使用し、製造例1で得られたアクリル系熱可塑性樹脂(1A)と共に、以下の条件で共押し出しを行い、アクリル系熱可塑性樹脂層(厚さ200μm)とポリカーボネート樹脂層(厚さ200μm)を含む未延伸積層体を得た。
ポリカーボネート樹脂側:温度270℃
アクリル系熱可塑性樹脂側:温度260℃
ダイ:コートハンガータイプ、温度270℃、幅150mm
つや付き2本ロール温度:第1ロール、第2ロールとも130℃
得られた未延伸積層体を、127mmの正方形に切り出し、延伸機のチャックにセットした。165℃で3分予熱後、10秒で縦横方向とも2倍になるように同時2軸延伸を行い、延伸終了後もチャックを外さず延伸終了時の状態を保ったまま、165℃で30秒間保持した。その後、サンプルを取り出して冷却し、厚さ100μmの積層体(1B)を得た。この積層体(1B)の各種測定結果を表1に示す。
PC(ポリカーボネート樹脂、帝人化成(株)製、パンライトL−1225)をシリンダー径が20mmの単軸押出機を用い下記条件で押出成形し、厚さ100μmのポリカーボネート樹脂の未延伸フィルム(1C)を作製した。
ダイ:コートハンガータイプ、幅150mm、温度270℃、
つや付き2本ロール温度:第1ロール、第2ロールとも130℃
この未延伸フィルム(1C)の各種測定結果を表1に示す。
製造例1で得られたアクリル系熱可塑性樹脂(1A)のペレットをシリンダー径が20mmの単軸押出機を用い下記条件で押出成形し、厚さ400μmのアクリル系熱可塑性樹脂の未延伸フィルム(1D)を作製した。
ダイ:コートハンガータイプ、幅150mm、温度260℃、
つや付き2本ロール温度:第1ロール、第2ロールとも130℃
この未延伸フィルム(1D)の各種測定結果を表1に示す。
比較例2で得られた未延伸フィルム(1D)を127mmの正方形に切り出してサンプルを作成、1段目の1軸延伸を行った。1段目の1軸延伸は、155℃で3分予熱後、1分間で2倍になるように行い、横方向は収縮しないようにした。延伸終了後、速やかにサンプルを取り出して冷却、縦横ともに97mmの正方形に切り出してサンプルを作成した。このサンプルを用いて、1段目の延伸方向と直交する方向に2段目の1軸延伸を行い、厚さ100μmのアクリル系熱可塑性樹脂の延伸フィルム(1E)を得た。2段目の1軸延伸は、155℃3分予熱後、1分間で2倍になるように行い、横方向は収縮しないようにした。この延伸フィルム(1E)と、比較例1で得られたポリカーボネート樹脂の未延伸フィルム(1C)を、210℃で熱ロールにより接着させ、厚さ200μmの積層体(2B)とした。この積層体(2B)の各種測定結果を表1に示す。
製造例2で得られたペレット(2A)について、ペレットをシリンダー径が20mmの単軸押出機を用い下記条件で押出成形し、厚さ400μmのアクリル系熱可塑性樹脂の未延伸フィルムを作製した。
ダイ:コートハンガータイプ、幅150mm、温度230℃、
つや付き2本ロール温度:第1ロール、第2ロールとも100℃
次に、この未延伸フィルムを用いて、延伸温度を113℃とした以外の条件は実施例2と同様に逐次2軸延伸を行い、厚さ100μmのアクリル系熱可塑性樹脂の延伸フィルムを得た。さらに、得られた延伸フィルムと比較例1で得られたポリカーボネート樹脂の(2B)を200℃で熱ロールにより接着させ、厚さ200μmの積層体(3B)とした。この積層体(3B)の各種測定結果を表1に示す。
ポリカーボネート樹脂層の厚みを100μm、アクリル系熱可塑性樹脂(1A)層の厚みを100μmに変更した以外は実施例1の記載と同様の条件で共押し出しし、未延伸積層体(4B)を得た。この積層体(4B)の各種測定結果を表1に示す。
反応容器にジルコニアナノ粒子水分散液(固形分4.1wt%、pH4.8、見かけの粒度:15.9nm)100部を仕込み、これを45℃にセットした超音波浴中で撹拌しながら、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1.23部を溶解させたエチルアルコール80部を90分かけて滴下、滴下終了後もさらに90分間、超音波浴中で撹拌して反応を進めた。次に、反応液から白色の沈降物を遠心分離し、エチルアルコール80部を添加して透明な分散体を得た。この分散体に、水10部を添加し、生成した白色の沈降物を遠心分離後メチルイソブチルケトンに分散させ、表面修飾した酸化ジルコニウム溶液(1F)を得た。得られた溶液の濃度は20wt%、粒度は39nmであった。
特表平9−506837の40〜41頁に記載の多層積層体作製システムを用いて、製造例3で得られたアクリル系熱可塑性樹脂(3A)が301層、ポリエチレンー2,6ナフタレートを300層で交互に積層し、かつ層厚の分布が広い、総数601層の未延伸積層フィルムを作成、次に、得られた未延伸積層フィルムを160℃で5倍に延伸し、輝度向上フィルム(5B)を得た。得られた輝度向上フィルム(6B)の反射率(平行)は90%、反射率(直交)は18%であった。また、鉛筆硬度は4H、耐熱水性は「変化無し」、可とう性は△、耐溶剤性はIPA、キシレンとも「変化無し」であった。
特表平9−506837の40〜41頁に記載の多層積層体作製システムを用いて、ポリエチレンー2,6ナフタレート(PEN)が301層、PEN含有共重合体(アルコール成分:エチレングリコール/酸成分:2,6−ナフタレンジカルボン酸70モル%、ジメチルイソフタル酸15モル%、ジメチルテレフタル酸15モル%)を300層で交互に積層し、かつ層厚の分布が広い、総数601層の未延伸積層フィルムを作成、次に、得られた未延伸積層フィルムを160℃で5倍に延伸し、厚さ50μmの延伸フィルムを得た。更に、この延伸フィルムと実施例2で作成したアクリル系熱可塑樹脂の延伸フィルム(1E)を、210℃で熱ロールにより接着させ、輝度向上フィルム(6B)を得た。得られた輝度向上フィルム(6B)の反射率(平行)は85%、反射率(直交)は12%であった。また、鉛筆硬度は4H、耐熱水性は「変化無し」、可とう性は○、耐溶剤性はIPA、キシレンとも「変化無し」であった。
Claims (7)
- アクリル系熱可塑性樹脂からなる延伸層とその他の熱可塑性樹脂からなる層を含む積層体。
- アクリル系熱可塑性樹脂からなる層とその他の熱可塑性樹脂からなる層を含む未延伸積層体を延伸して得られる請求項1の積層体。
- 前記未延伸積層体が共押出し成形で得られる請求項2記載の積層体。
- 前記その他の樹脂がポリカーボネート、ポリエステルまたはポリスチレンである請求項1〜3のいずれか1項記載の積層体。
- 前記アクリル系熱可塑性樹脂のガラス転移温度が110℃以上である請求項1〜4のいずれか1項記載の積層体。
- 前記アクリル系熱可塑性樹脂がラクトン環構造を含有する請求項1〜5のいずれか1項記載の積層体。
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