JP6827272B2 - 変性メタクリル樹脂および成形体 - Google Patents

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Description

本発明は、成形加工性に優れ、耐熱性が良好で、透明性が高く、ヘーズが小さく、引張り破断強度等の機械的特性が良好な変性メタクリル樹脂および成形体に関する。
ポリメタクリル酸メチルなどのメタクリル樹脂は、透明性に優れているので、位相差フィルム、偏光子保護フィルム、光拡散フィルム等のような光学フィルムに用いられている。耐熱性の改良を目的として検討された種々の変性メタクリル樹脂が提案されている。例えば、特許文献1は、メタクリル酸メチルに由来する構造単位(M)と、ラクトン環単位、無水マレイン酸単位、無水グルタル酸単位、グルタルイミド単位、N−置換マレイミド単位、およびテトラヒドロピラン環構造単位からなる群より選ばれた、主鎖に環構造を有する少なくとも1種の環構造単位(R)とを含む第1のメタクリル樹脂(A)を開示している。その他に、特許文献2は、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を開示している。特許文献3は、イミド構造を有するアクリル樹脂を開示している。特許文献4、5、6および7は、無水マレイン酸単位または無水グルタル酸単位を有する(メタ)アクリル系樹脂を開示している。特許文献8および9は、芳香族ビニル単量体単位を有するメタクリル樹脂を開示している。
特開2016−8225号公報 WO2006/112207 A1 WO2005/108438 A1 特開2013−033237号公報 特開2007−197703号公報 特開2010−126550号公報 特開2010−96919号公報 WO2014/021264 A1 WO2014/041803 A1
無水マレイン酸単位、無水グルタル酸単位などのような環構造を主鎖に有するメタクリル樹脂は、柔軟性が不十分で、脆く、引張強度または曲げ強度などの機械強度が不十分になることがある。樹脂の柔軟性を高める方法として架橋ゴム粒子を配合することが知られている。しかし、架橋ゴム粒子の添加で、表面平滑性の低下、透明性の低下、ヘーズの増大を招くことがある。
本発明の目的は、成形加工性に優れ、耐熱性が良好で、透明性が高く、ヘーズが小さく、引張強度等の機械的特性が良好な変性メタクリル樹脂および成形体を提供することである。
前記目的を達成するために検討した結果、以下の形態を包含する本発明を完成するに至った。
[1] 式(1)で表される単位(M)と、ラクトン環単位、無水グルタル酸単位およびN−置換若しくは無置換グルタルイミド単位からなる群より選ばれる少なくともひとつの環構造を主鎖に有する単位(R)と、を含有し、且つ
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が1.01〜1.80である変性メタクリル樹脂。
Figure 0006827272

(式(1)中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または芳香環を含む炭素数6〜15の有機基である。)
[2] 構造単位(M)がメタクリル酸メチルに由来する単位である、[1]の変性メタクリル樹脂。
[3] 構造単位(R)が式(2)で表される単位である、[1]または[2]の変性メタクリル樹脂。
Figure 0006827272

(式(2)中、R3は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、R4は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または芳香環を含む炭素数6〜15の有機基である。)
[4] ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の分子量の分布において、分子量15000未満の割合が、5.0質量%以下である、[1]〜[3]のいずれかひとつの変性メタクリル樹脂。
[5] 三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が58%以上であるメタクリル樹脂を環構造形成反応させることを含む、前記[1]〜[4]のいずれかひとつの変性メタクリル樹脂の製造方法。
[6] 紫外線吸収剤および前記[1]〜[4]のいずれかひとつの変性メタクリル樹脂を含有する変性メタクリル樹脂組成物。
[7] 前記[1]〜[4]のいずれかひとつの変性メタクリル樹脂または前記[6]の変性メタクリル樹脂組成物からなる成形体。
[8] 前記[1]〜[4]のいずれかひとつの変性メタクリル樹脂または前記[6]の変性メタクリル樹脂組成物からなるフィルム。
[9] 前記[1]〜[4]のいずれかひとつの変性メタクリル樹脂または前記[6]の変性メタクリル樹脂組成物からなる延伸フィルム。
[10] 前記[8]のフィルムを、面積比で1.5〜8倍の大きさに、少なくとも1方向に延伸することを含む、延伸フィルムの製造方法。
[11] 前記[1]〜[4]のいずれかひとつの変性メタクリル樹脂または前記[6]の変性メタクリル樹脂組成物からなる偏光子保護フィルム。
本発明の変性メタクリル樹脂は、成形加工性に優れ、耐熱性が良好で、透明性が高く、ヘーズが小さく、引張り破断強度等の機械的特性が良好である。本発明の成形体は、高い耐熱性と高い透明性の要求される用途、例えば、偏光子保護フィルム、位相差板などのような光学フィルムに好適である。
(変性メタクリル樹脂)
本発明の変性メタクリル樹脂は、構造単位(M)と、構造単位(R)とを、含有する。
構造単位(M)は、式(1)で表される構造単位である。
Figure 0006827272

(式(1)中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または芳香環を含む炭素数6〜15の有機基である。)
2における炭素数1〜18のアルキル基は、アルカン中の水素原子ひとつが外れてなる基である。アルキル基は置換基を有してもよい。炭素数1〜18のアルキル基としては、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などの無置換アルキル基;カルボキシエチル基、ヒドロキシヘキシル基、ヒドロキシカルボニルエチル基、アリル基、N,N−ジメチルアミノメチル基、アミノメチル基などのような置換アルキル基を挙げることができる。
2における炭素数3〜12のシクロアルキル基は、シクロアルカン中の水素原子ひとつが外れてなる基である。シクロアルキル基は置換基を有してもよい。炭素数3〜12のシクロアルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、2−エテニルビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、N,N−ジメチルアミノ−シクロヘキシル基、tert−ブチル−シクロヘキシル基などを挙げることができる。
2における芳香環を含む炭素数6〜15の有機基としては、ピリジルメチル基、フェニル基、ピラジノ[2,3−b]ピラジル基、ピリド[2,3−b]ピラジル基、キノキサリル基、キノリル基、ナフタレニル基、ピリド[3,4−b]キノキサリル基、ピリド[3,4−b][1.7]ナフチリジニル基、フェナジニル基、フェナントロリニル基、アクリジニル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピリド[3,2−f][1.7]フェナントロリニル基などを挙げることができる。
これらのうち、R1がメチル基で、R2がメチル基であること、すなわち、構造単位(M)がメタクリル酸メチルに由来する単位であることが好ましい。
本発明の変性メタクリル樹脂は、構造単位(M)の割合が、全構造単位に対して、好ましくは70〜99.5質量%、より好ましくは80〜99質量%、さらに好ましくは90〜98質量%である。
構造単位(R)は、ラクトン環単位、無水グルタル酸単位およびN−置換若しくは無置換グルタルイミド単位からなる群より選ばれる少なくともひとつの環構造を主鎖に有する構造単位である。
ラクトン環単位は、>CH−O−C(=O)−基を環構造に含む構造単位である。>CH−O−C(=O)−基を環構造に含む構造単位は、環構成元素が好ましくは、4〜8、より好ましくは5〜6、最も好ましくは6である。>CH−O−C(=O)−基を環構造に含む構造単位としては、β−プロピオラクトンジイル構造単位、γ−ブチロラクトンジイル構造単位、δ−バレロラクトンジイル構造単位などのラクトンジイル構造単位を挙げることができる。>CH−O−C(=O)−基を環構造に含む構造単位は、例えば、ヒドロキシ基およびエステル基を有する重合体を、ヒドロキシ基およびエステル基による分子内環化によって得ることができる。なお、式中の「>C」は炭素原子Cに結合手が2つあることを意味する。
例えば、δ−バレロラクトンジイル構造単位としては、式(Ia)で表される構造単位を挙げることができる。δ−バレロラクトンジイル構造単位としては、式(Ib)で表される構造単位が好ましい。
Figure 0006827272

式(Ia)中、R5、R6およびR7はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜20の有機基、好ましくは水素原子または炭素数1〜10の有機基、より好ましくは水素原子または炭素数1〜5の有機基である。ここで、有機基は、炭素数1〜20であれば、特に限定されず、例えば、直鎖若しくは分岐状のアルキル基、直鎖若しくは分岐状のアルキレン基、アリール基、−OCOCH3基、−CN基等が挙げられる。有機基は酸素原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。
Figure 0006827272
ラクトン環単位は、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報などに記載の方法、例えば、2−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位と(メタ)アクリル酸メチルに由来する構造単位との分子内環化などによって、メタクリル樹脂に含有させることができる。
無水グルタル酸単位は、2,6−ジオキソジヒドロピランジイル構造を有する単位である。2,6−ジオキソジヒドロピランジイル構造を有する単位としては、式(IIa)で表される構造単位を挙げることができる。2,6−ジオキソジヒドロピランジイル構造を有する単位としては、式(IIb)で表される構造単位が好ましい。
Figure 0006827272

式(IIa)中、R8はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基である。
Figure 0006827272
2,6−ジオキソジヒドロピランジイル構造を有する単位は、特開2007−197703号公報、特開2010−96919号公報などに記載の方法、例えば、隣り合う二つの(メタ)アクリル酸に由来する構造単位の分子内環化、(メタ)アクリル酸に由来する構造単位と(メタ)アクリル酸メチルに由来する構造単位との分子内環化などによって、メタクリル樹脂に含有させることができる。
N−置換若しくは無置換グルタルイミド単位は、N−置換若しくは無置換2,6−ジオキソピペリジンジイル構造を有する単位である。
N−置換若しくは無置換2,6−ジオキソピペリジンジイル構造を有する単位としては、式(IIIa)で表される構造単位を挙げることができる。N−置換若しくは無置換2,6−ジオキソピペリジンジイル構造を有する単位としては、式(IIIb)で表される構造単位が好ましく、式(IIIc)で表される構造単位がより好ましい。
Figure 0006827272

式(IIIa)中、R3およびR9はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であり、R4は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または芳香環を含む炭素数6〜15の有機基である。
Figure 0006827272

式(IIIb)中、R3はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基であり、R4は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または芳香環を含む炭素数6〜15の有機基;好ましくは水素原子、メチル基、n−ブチル基、シクロヘキシル基またはベンジル基;より好ましくはメチル基、n−ブチル基、またはシクロヘキシル基である。
Figure 0006827272
N−置換若しくは無置換グルタルイミド単位は、WO2005/10838A1、特開2010−254742号公報、特開2008−273140号公報、特開2008−274187号公報などに記載の方法、具体的には、隣り合う二つのメタクリル酸メチルに由来する構造単位に、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン等の脂肪族炭化水素基含有アミン、アニリン、トルイジン、トリクロロアニリン等の芳香族炭化水素基含有アミン、シクロヘキシルアミン等などの脂環式炭化水素基含有アミン、尿素、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素、1,3−ジプロピル尿素などを反応させることによって得ることができる。これらの中で、メチルアミンが好ましい。
本発明の変性メタクリル樹脂は、構造単位(R)の割合が、全構造単位に対して、好ましくは0.5〜30質量%、より好ましくは1〜20質量%、さらに好ましくは2〜10質量%である。構造単位(R)と構造単位(M)との比率を変えることによって、変性メタクリル樹脂の配向複屈折を変更することができる。また、構造単位(R)の含有量が多い程、変性メタクリル樹脂は、耐熱性が向上するが、柔軟性が低下し、他の樹脂との相溶性および成形加工性が低下する傾向となる。
本発明の変性メタクリル樹脂は、構造単位(M)および(R)以外の構造単位(O)を含有してもよい。構造単位(O)としては、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、スチレンなどの一分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を1つだけ有するビニル系単量体に由来する単位を挙げることができる。本発明の変性メタクリル樹脂は、構造単位(O)の割合が、全構造単位に対して、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。なお、構造単位(M)、(R)および(O)の割合は、1H−NMRなどによって測定することができる。
本発明の変性メタクリル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が、好ましくは10000〜200000、より好ましくは40000〜200000、さらに好ましくは50000〜150000、特に好ましくは55000〜120000である。Mwが10000以上であると、本発明の成形体の強度および靭性等が向上する。Mwが200000以下であると、本発明の変性メタクリル樹脂の流動性が向上し、成形加工性が向上する。
本発明の変性メタクリル樹脂は、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が、1.01以上1.80以下、より好ましくは1.05以上1.70以下、さらに好ましくは1.08以上1.60以下、よりさらに好ましくは1.08以上1.2未満である。Mw/Mnが1.80より大きいと、変性メタクリル樹脂の強度が低くなり、得られる成形体やフィルムが割れやすくなる。1.01より小さいと、変性メタクリル樹脂の製造が困難となる。
数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるクロマトグラムを標準ポリスチレンの分子量に換算して算出される値である。
本発明の変性メタクリル樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の分子量の分布において、分子量15000未満の割合が、好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。分子量15000未満の割合が5.0質量%より多いと変性メタクリル樹脂の強度が低くなり、得られる成形体やフィルムが割れやすくなる。
本発明の変性メタクリル樹脂は、酸価が、好ましくは0.01〜0.20mmol/g、より好ましくは0.05〜0.10mmol/gである。酸価は、変性メタクリル樹脂中のカルボン酸単位、カルボン酸無水物単位の含有量に比例する値である。酸価は、例えば、特開2005−23272号公報に記載の方法によって算出することができる。酸価が上記範囲内にあると、耐熱性、機械物性、成形加工性のバランスに優れる。
本発明の変性メタクリル樹脂は、JIS K7210に準拠して、230℃、3.8kg荷重の条件において測定されるメルトフローレート(MFR)が、好ましくは0.1〜20g/10分、さらに好ましくは0.5〜15g/10分、特に好ましくは1.0〜10g/10分である。
本発明の変性メタクリル樹脂は、ガラス転移温度が、下限として、好ましくは120℃、より好ましくは125℃、さらに好ましくは128℃であり、上限として、特に制限されないが、好ましくは160℃である。
本明細書において、「ガラス転移温度(Tg)」は、JIS K7121に準拠して測定する。具体的には、230℃まで一度昇温し、次いで室温まで冷却し、その後、室温から230℃までを10℃/分で昇温させる条件にてDSC曲線を測定する。2回目の昇温時に測定されるDSC曲線から求められる中間点を「ガラス転移温度(Tg)」として求める。
本発明の変性メタクリル樹脂は、メタクリル樹脂(以下、前駆体ポリマーということがある。)を環構造形成反応させることを含む方法によって得ることができる。
本発明の製造方法に用いられる前駆体ポリマーは、三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)によって特に限定されないが、好ましくは54%以上、より好ましくは58%以上、さらに好ましくは65%以上、よりさらに好ましくは70〜90%、最も好ましくは72〜85%である。変性メタクリル樹脂に含有される構造単位(R)の量が多くなると引張強度などの機械強度が低下する傾向があるが、シンジオタクティシティ(rr)の高い前駆体ポリマーを用いて得られる変性メタクリル樹脂は構造単位(R)の量が少なくても耐熱性が高いので、引張強度などの機械強度の低下を引き起し難く、表面硬度の大きい成形体を得ることができる。
三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)は、連続する3つの構造単位の連鎖(3連子、triad)が有する2つの連鎖(2連子、diad)が、ともにラセモ(rrと表記する)である割合である。なお、ポリマー分子中の構造単位の連鎖(2連子、diad)において立体配置が同じものをメソ(meso)、逆のものをラセモ(racemo)と称し、それぞれm、rと表記する。
三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)(%)は、重水素化クロロホルム中、30℃で1H−NMRスペクトルを測定し、そのスペクトルからTMSを0ppmとした際の0.6〜0.95ppmの領域の面積(X)と0.6〜1.35ppmの領域の面積(Y)とを計測し、式:(X/Y)×100にて算出することができる。
本発明の製造方法に用いられる前駆体ポリマーは、重量平均分子量Mwが、好ましくは40000〜150000、より好ましくは40000〜120000、さらに好ましくは50000〜100000である。Mwが40000以上であると変性メタクリル樹脂から得られる成形体の耐衝撃性や靭性、引張り破断強度が向上する傾向となり、150000以下であると変性メタクリル樹脂の流動性および成形加工性が向上する傾向となる。
前駆体ポリマーは、数平均分子量Mnに対する重量平均分子量Mwの比Mw/Mnが、下限として好ましくは1.01、より好ましくは1.05、さらに好ましくは1.06であり、上限として好ましくは1.80、より好ましくは1.50、さらに好ましくは1.20である。Mw/Mnがこのような範囲内にある前駆体ポリマーを用いると、力学強度に優れた変性メタクリル樹脂を得易くなる。MwおよびMnは、前駆体ポリマーの製造の際に使用する重合開始剤や連鎖移動剤などの種類、量、添加時期を調整することで制御できる。数平均分子量Mnおよび重量平均分子量Mwはゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるクロマトグラムを標準ポリスチレンの分子量に換算して算出される値である。
前駆体ポリマーは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の分子量の分布において、分子量15000未満の割合が、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは2質量%以下である。分子量15000未満の割合が少ないほど機械強度が高くなる傾向がある。
前駆体ポリマーは、ガラス転移温度が、下限として好ましくは124℃、より好ましくは125℃、さらに好ましくは128℃であり、上限として好ましくは140℃である。ガラス転移温度は、分子量やシンジオタクティシティ(rr)などを調節することによって変えることができる。前駆体ポリマーのガラス転移温度が高いほど耐熱性が向上する。上記のようなガラス転移温度を有する前駆体ポリマーを用いて得られる変性メタクリル樹脂は、構造単位(R)の量が少なくても高い耐熱性を有するので、引張強度などの機械強度の低下を引き起し難い。
前駆体ポリマーは、メタクリル酸エステルに由来する構造単位の含有量が好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、特に好ましくは99質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
メタクリル酸エステルとしては、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸フェニルなどのメタクリル酸アリールエステル;メタクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸ノルボルニルなどのメタクリル酸シクロアルキルエステル;などを挙げることができる。これらのうち、メタクリル酸アルキルエステルが好ましく、メタクリル酸メチルが最も好ましい。
前駆体ポリマーは、メタクリル酸エステルに由来する構造単位のうち、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量が、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、特に好ましくは99質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
前駆体ポリマーに含有し得る、メタクリル酸エステルに由来する構造単位以外の構造単位としては、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシルなどのアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸フェニルなどのアクリル酸アリールエステル;アクリル酸シクロへキシル、アクリル酸ノルボルニルなどのアクリル酸シクロアルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリルアミド;メタクリルアミド;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;アクリル酸、メタクリル酸などの一分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を一つだけ有するビニル系単量体に由来する構造単位を挙げることができる。
前駆体ポリマーは、例えば、制御ラジカル重合(精密ラジカル重合)法、アニオン重合法、グループトランスファー重合法などによって得ることができる。重合は、反応液の形態によって、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などに大別することができる。これらの中で、生産性が高く、耐熱分解性が高く、異物が少なく、メタクリル酸エステルの二量体や三量体が少なく、成形体の外観が優れるという観点から、アニオン重合法が好ましい。アニオン重合法において、重合温度、重合時間、連鎖移動剤の種類や量、重合開始剤の種類や量などを調整することにより、所望の特性を有する前駆体ポリマーを得ることができる。
前駆体ポリマーの製造のためのアニオン重合法としては、例えば有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として用いアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩などの鉱酸塩の存在下でアニオン重合する方法(特公平7−25859号公報参照)、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として用い有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法(特開平11−335432号公報参照)、有機希土類金属錯体を重合開始剤としてアニオン重合する方法(特開平6−93060号公報参照)などを挙げることができる。
前駆体ポリマーの製造のためのアニオン重合法においては、重合開始剤としてn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等のアルキルリチウムを用いることが好ましい。また、生産性の観点から有機アルミニウム化合物を共存させることが好ましい。有機アルミニウム化合物としては、AlRabc(式中、Ra、RbおよびRcは、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアルコキシル基、置換基を有してもよいアリールオキシ基またはN,N−二置換アミノ基を表す。さらに、RbおよびRcは、それらが一緒になって成る、置換基を有してもよいアリーレンジオキシ基であってもよい。)で表わされる化合物を挙げることができる。有機アルミニウム化合物の具体例としては、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム等を挙げることができる。また、アニオン重合法においては、重合反応を制御するために、エーテルや含窒素化合物などを共存させることもできる。
本発明の製造方法に用いられる前駆体ポリマーは、変性メタクリル樹脂の成形加工性や耐熱性を調整するため、異なる2種以上のメタクリル樹脂を混練して、三連子表示のタクティシティ(rr)の値、メタクリル酸エステルに由来する構造単位の含有量などの各種物性を上記範囲内になるように調整して得られるものであってもよい。例えば、三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が58%未満である通常の市販メタクリル樹脂と三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が58%以上であるメタクリル樹脂とを混練することによって、三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が58%以上90%以下であるメタクリル樹脂を得てもよい。
環構造形成反応は、例えば、押出機を用いて、行うことができる。押出機として例えば単軸押出機、二軸押出機、多軸押出機などが挙げられる。混合性能の点から、二軸押出機が好ましい。二軸押出機には非噛合い型同方向回転式、噛合い型同方向回転式、非噛合い型異方向回転式、噛合い型異方向回転式が含まれる。噛合い型同方向回転式は、高速回転が可能であり、混合を効率的に促進できるので好ましい。これらの押出機は、単独で用いても、直列に繋いで用いてもよい。
押出機を用いての環構造形成反応では、例えば、原料である前駆体ポリマーを押出機の原料投入部から投入し、該前駆体ポリマーを溶融させ、シリンダ内に充満させた後、添加ポンプを用いてイミド化剤などを押出機中に注入することにより、押出機中で環構造形成反応を進行させることができる。
押出機中の反応ゾーンの樹脂温度は180〜300℃の範囲にすることが好ましく、200〜290℃の範囲にすることがより好ましい。反応ゾーンの樹脂温度が180℃未満であると環構造形成反応の反応効率が低く、メタクリル樹脂の耐熱性が低下する傾向となる。反応ゾーンの樹脂温度が300℃を超えると樹脂の分解が著しくなり得られるメタクリル樹脂からなる成形体およびフィルムの引張り破断強度等の機械的強度が低下する傾向となる。なお、押出機中の反応ゾーンとは、押出機のシリンダにおいてイミド化剤などの注入位置から樹脂吐出口(ダイス部)までの間の領域をいう。
押出機の反応ゾーン内での反応時間を長くすることにより、環構造形成反応をより進行させることができる。押出機の反応ゾーン内の反応時間は10秒より長くすることが好ましく、さらには30秒より長くすることがより好ましい。10秒以下の反応時間では環構造形成反応がほとんど進行しない可能性がある。
押出機での樹脂圧力は、大気圧〜50MPaの範囲内とすることが好ましく、さらには1〜30MPaの範囲内とすることがより好ましい。50MPa以上では通常の押出機の機械耐圧の限界を越え、特殊な装置が必要となりコスト的に好ましくない。
本発明においては、大気圧以下に減圧可能なベント孔を有する押出機を使用することが好ましい。ベント付押出機を用いると、未反応物、もしくはメタノール等の副生物やモノマー類を容易に除去することができ、変性メタクリル樹脂からなる成形体の破断強度が向上する傾向となる。
環構造形成反応には、押出機の代わりに、例えば、住友重機械工業(株)製のバイボラックのような横型二軸反応装置や、スーパーブレンドのような竪型二軸攪拌槽などの高粘度対応の反応装置も好適に使用できる。
環構造形成反応時に変性メタクリル樹脂中にカルボキシ基が副生することがある。このカルボキシ基は、必要に応じてエステル化剤や触媒などによりエステル基に変換してもよい。これにより光学フィルムを製造する際の樹脂の発泡が低減できる。かかるエステル基は、使用するエステル化剤や触媒により異なるが、溶融成形時の樹脂溶融粘度の低減およびエステル化の反応性、エステル化後の樹脂の耐熱性の観点から、メタクリル酸メチル単位を含むことが好ましく、メタクリル酸メチル単位とメタクリル酸エチル単位を共に含むことがより好ましい。
エステル化剤としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、2,2−ジメトキシプロパン、ジメチルスルホキシド、トリエチルオルトホルメート、トリメチルオルトアセテート、トリメチルオルトホルメート、ジフェニルカーボネート、ジメチルサルフェート、メチルトルエンスルホネート、メチルトリフルオロメチルスルホネート、メチルアセテート、メタノール、エタノール、メチルイソシアネート、p−クロロフェニルイソシアネート、ジメチルカルボジイミド、ジメチル−tert−ブチルシリルクロライド、イソプロペニルアセテート、ジメチルウレア、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、ジメチルジエトキシシラン、テトラ−N−ブトキシシラン、ジメチル(トリメチルシラン)フォスファイト、トリメチルフォスファイト、トリメチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェート、ジアゾメタン、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ベンジルグリシジルエーテルなどが挙げられる。これらは1種単独でまたは2種類以上の組み合わせで使用することができる。これらエステル化剤の中で、コスト、反応性などの観点から、ジメチルカーボネートが好ましい。
エステル化剤の添加量は、例えば、変性メタクリル樹脂の酸価が所望の値になるように設定することができる。
上記エステル化剤に加え、触媒を併用することもできる。触媒の種類は特に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノメチルジエチルアミン、ジメチルモノエチルアミン等のアミン系化合物が挙げられる。これらの中でもコスト、反応性などの観点からトリエチルアミンが好ましい。
本発明の変性メタクリル樹脂には、一般樹脂に用いられる添加剤が本発明の目的が損なわれない範囲で含まれていてもよい。添加剤としては、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、耐候性安定剤、可塑剤、滑剤、帯電防止剤、着色剤、収縮防止剤、抗菌・脱臭剤などが挙げられる。
(変性メタクリル樹脂組成物1)
本発明の変性メタクリル樹脂組成物の一実施形態は、異なる物性を有する2以上の本発明の変性メタクリル樹脂を含有するものである。該変性メタクリル樹脂組成物は、第一の変性メタクリル樹脂と第二の変性メタクリル樹脂とを混練することによって得ることができ、また第一の変性メタクリル樹脂の存在下に、第二の変性メタクリル樹脂を構成するための単量体、イミド化剤、エステル化剤などを反応させて第二の変性メタクリル樹脂をin site合成することによって得ることもできる。
(変性メタクリル樹脂組成物2)
本発明の変性メタクリル樹脂組成物の一実施形態は、本発明の変性メタクリル樹脂と、他の重合体とを含有するものである。他の樹脂としては、未変性メタクリル樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体などのメタクリル樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリノルボルネンなどのポリオレフィン樹脂;エチレン系アイオノマー;ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ハイインパクトポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、アクリロニトリル−エチレン−スチレン(AES)樹脂、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン(AAS)樹脂、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン(ACS)樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン(MBS)樹脂などのスチレン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂;ナイロン6、ナイロン66、ポリアミドエラストマーなどのポリアミド;ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアセタール、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、変性ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、フェノキシ樹脂、シリコーン変性樹脂;アクリル系グラフト重合体、アクリル系ブロック共重合体、シリコーンゴム;スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン/ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)などのスチレン系熱可塑性エラストマー;イソプレンゴム(IR)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などのオレフィン系ゴムなどが挙げられる。
本発明の変性メタクリル樹脂組成物に含有し得る他の重合体の量は、特に制限されないが、組成物に対して、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、よりさらに好ましくは5質量%以下、最も好ましくは0質量%である。
ここで、未変性メタクリル樹脂は、ラクトン環単位、無水マレイン酸単位、無水グルタル酸単位、N−置換若しくは無置換のグルタルイミド単位、N−置換マレイミド単位、テトラヒドロピラン環単位などのような環構造を主鎖に有する構造単位を含有せず、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を主成分として含有する重合体である。未変性メタクリル樹脂と変性メタクリル樹脂とは相溶性に優れるので、未変性メタクリル樹脂と変性メタクリル樹脂とを含有させることによって、所望の物性を有する変性メタクリル樹脂組成物を得ることができる、該変性メタクリル樹脂組成物は、変性メタクリル樹脂と未変性メタクリル樹脂とを混練することによって得ることができ、また変性メタクリル樹脂の存在下に、未変性メタクリル樹脂を構成するための単量体などを反応させて未変性メタクリル樹脂をin site合成することによって得ることもできる。
本発明において用いられる未変性メタクリル樹脂は、相溶性等の観点から、メタクリル酸エステルに由来する構造単位の含有量が、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、よりさらに好ましくは99質量%以上、最も好ましくは100質量%である。かかるメタクリル酸エステルとしては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどのメタクリル酸アルキルエステル;メタクリル酸フェニルなどのメタクリル酸アリールエステル;メタクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸ノルボルニルなどのメタクリル酸シクロアルキルエステル;を挙げることができ、メタクリル酸アルキルエステルが好ましく、メタクリル酸メチルが最も好ましい。
本発明において用いられる未変性メタクリル樹脂は、メタクリル酸エステルに由来する構造単位のうち、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量が、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは98質量%以上、よりさらに好ましくは99質量%以上、最も好ましくは100質量%である。
本発明において用いられる未変性メタクリル樹脂に含有し得る、メタクリル酸エステルに由来する構造単位以外の構造単位としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルへキシルなどのアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸フェニルなどのアクリル酸アリールエステル;アクリル酸シクロへキシル、アクリル酸ノルボルニルなどのアクリル酸シクロアルキルエステル;スチレン、α−メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリルアミド;メタクリルアミド;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;アクリル酸、メタクリル酸などの一分子中に重合性の炭素−炭素二重結合を一つだけ有するビニル系単量体に由来する構造単位を挙げることができる。
未変性メタクリル樹脂の具体例としては、メタクリル酸メチルの単独重合体;メタクリル酸メチルと他の(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、メタクリル酸メチルと他のビニル系単量体との共重合体等が挙げられる。
未変性メタクリル樹脂は、重量平均分子量(Mw)が、好ましくは80000〜200000、より好ましくは85000〜160000、さらに好ましくは90000〜120000である。三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)および重量平均分子量が上記の範囲内にある未変性メタクリル樹脂を用いると、本発明の変性メタクリル樹脂組成物は、成形加工性と、耐衝撃性または靭性等の物性とのバランスが良好になる。
未変性メタクリル樹脂は、数平均分子量に対する重量平均分子量の比(Mw/Mn)が、好ましくは1.2〜2.5、より好ましくは1.3〜2.1である。比(Mw/Mn)が上記範囲内にある未変性メタクリル樹脂は、本発明の変性メタクリル樹脂組成物の耐熱性を損ねずに流動性を高め、フィルムなどの成形体の表面平滑性、機械強度等を向上させることができる。
未変性メタクリル樹脂は、JIS K7210に準拠して、230℃、3.8kg荷重の条件において測定されるメルトフローレート(MFR)が、好ましくは0.1〜20g/10分、より好ましくは0.5〜15g/10分、特に好ましくは1.0〜10g/10分である。
未変性メタクリル樹脂は、どのような製造方法で得られたものであってもよい。未変性メタクリル樹脂は、生産性の観点から、ラジカル重合法において、重合温度、重合時間、連鎖移動剤の種類や量、重合開始剤の種類や量などを調整することによって、製造されたものが好ましい。
変性メタクリル樹脂/未変性メタクリル樹脂の質量比は、目的に応じて適宜設定できる。
本発明の変性メタクリル樹脂組成物は、一般的に樹脂組成物に用いられる添加剤を、本発明の目的が損なわれない範囲で含んでいてもよい。添加剤としては、フィラー、酸化防止剤、熱劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、離型剤、高分子加工助剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、染料、顔料、光拡散剤、有機色素、艶消し剤、耐衝撃性改質剤、蛍光体などが挙げられる。フィラー以外のかかる添加剤の合計量は、好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは4質量%以下である。
フィラーとしては、炭酸カルシウム、タルク、カーボンブラック、酸化チタン、シリカ、クレー、硫酸バリウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。本発明の変性メタクリル樹脂組成物に含有し得るフィラーの量は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下である。
酸化防止剤は、酸素存在下においてそれ単体で樹脂の酸化劣化防止に効果を有するものである。例えば、リン系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤などを挙げることができる。これらの酸化防止剤は1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
熱劣化防止剤は、実質上無酸素の状態下で高熱にさらされたときに生じるポリマーラジカルを捕捉することによって樹脂の熱劣化を防止できるものである。
該熱劣化防止剤としては、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGM)、2,4−ジ−tert−アミル−6−(3’,5’−ジ−tert−アミル−2’−ヒドロキシ−α−メチルベンジル)フェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGS)などを挙げることができる。
紫外線吸収剤は、紫外線を吸収する能力を有する化合物である。紫外線吸収剤は、主に光エネルギーを熱エネルギーに変換する機能を有すると言われる化合物である。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾエート類、サリシレート類、シアノアクリレート類、蓚酸アニリド類、マロン酸エステル類、ホルムアミジン類などを挙げることができる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、または波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤が好ましい。
ベンゾトリアゾール類は紫外線による着色などの光学特性低下を抑制する効果が高いので、本発明のフィルムを光学用途に適用する場合に用いる紫外線吸収剤として好ましい。ベンゾトリアゾール類としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール(BASF社製;商品名TINUVIN329)、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール(BASF社製;商品名TINUVIN234)、2,2’−メチレンビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−tert−オクチルフェノール](ADEKA社製;商品名LA−31)、2−(5−オクチルチオ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−tert−ブチル−4−メチルフェノールなどが好ましい。
また、波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが1200dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤は、得られる成形体の黄色味を抑制できる。このような紫外線吸収剤としては、2−エチル−2’−エトキシ−オキサルアニリド(クラリアントジャパン社製;商品名サンデュボアVSU)などを挙げることができる。
これら紫外線吸収剤の中、紫外線による樹脂劣化が抑えられるという観点からベンゾトリアゾール類が好ましく用いられる。
また、波長380nm以下の短波長を効率的に吸収したい場合は、トリアジン類の紫外線吸収剤が好ましく用いられる。このような紫外線吸収剤としては、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(ADEKA社製;商品名LA−F70)や、その類縁体であるヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASF社製;商品名TINUVIN477やTINUVIN460やTINUVIN479)、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジンなどを挙げることができる。
さらに380〜400nmの波長の光を特に効果的に吸収したい場合は、WO2011/089794A1、WO2012/124395A1、特開2012−012476号公報、特開2013−023461号公報、特開2013−112790号公報、特開2013−194037号公報、特開2014−62228号公報、特開2014−88542号公報、特開2014−88543号公報等に開示される複素環構造の配位子を有する金属錯体を紫外線吸収剤として用いることが好ましい。
当該複素環構造の配位子としては、2,2’−イミノビスベンゾチアゾール、2−(2−ベンゾチアゾリルアミノ)ベンゾオキサゾール、2−(2−ベンゾチアゾリルアミノ)ベンゾイミダゾール、(2−ベンゾチアゾリル)(2−ベンゾイミダゾリル)メタン、ビス(2−ベンゾオキサゾリル)メタン、ビス(2−ベンゾチアゾリル)メタン、ビス[2−(N−置換)ベンゾイミダゾリル]メタン等およびそれらの誘導体が挙げられる。このような金属錯体の中心金属としては、銅、ニッケル、コバルト、亜鉛が好ましく用いられる。また、これら金属錯体を紫外線吸収剤として用いるために、低分子化合物や重合体などの媒体に金属錯体を分散させることが好ましい。該金属錯体の添加量は、本発明のフィルム100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.1〜2質量部である。前記金属錯体は380〜400nmの波長におけるモル吸光係数が大きいので、十分な紫外線吸収効果を得るために添加する量が少なくて済む。添加量が少なくなればブリードアウト等による成形体外観の悪化を抑制することができる。また、前記金属錯体は耐熱性が高いので、成形加工時の劣化や分解が少ない。さらに前記金属錯体は耐光性が高いので、紫外線吸収性能を長期間保持することができる。
なお、紫外線吸収剤のモル吸光係数の最大値εmaxは、次のようにして測定する。シクロヘキサン1Lに紫外線吸収剤10.00mgを添加し、目視による観察で未溶解物がないように溶解させる。この溶液を1cm×1cm×3cmの石英ガラスセルに注入し、分光光度計(日立製作所社製;商品名U−3410)を用いて、波長380〜450nmでの吸光度を測定する。紫外線吸収剤の分子量(MUV)と、測定された吸光度の最大値(Amax)とから次式により計算し、モル吸光係数の最大値εmaxを算出する。
εmax=[Amax/(10×10-3)]×MUV
光安定剤は、主に光による酸化で生成するラジカルを捕捉する機能を有すると言われる化合物である。好適な光安定剤としては、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン骨格を持つ化合物などのヒンダードアミン類を挙げることができる。
滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアロアミド酸、メチレンビスステアロアミド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、パラフィンワックス、ケトンワックス、オクチルアルコール、硬化油などを挙げることができる。
離型剤としては、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール類;ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステルなどを挙げることができる。本発明においては、離型剤として、高級アルコール類とグリセリン脂肪酸モノエステルとを併用することが好ましい。高級アルコール類とグリセリン脂肪酸モノエステルとを併用する場合、その割合は特に制限されないが、高級アルコール類の使用量:グリセリン脂肪酸モノエステルの使用量は、質量比で、2.5:1〜3.5:1が好ましく、2.8:1〜3.2:1がより好ましい。
高分子加工助剤としては、通常、乳化重合法によって製造できる、0.05〜0.5μmの粒子径を有する重合体粒子(非架橋ゴム粒子)を用いる。該重合体粒子は、単一組成比および単一極限粘度の重合体からなる単層粒子であってもよいし、また組成比または極限粘度の異なる2種以上の重合体からなる多層粒子であってもよい。
有機色素としては、紫外線を可視光線に変換する機能を有する化合物が好ましく用いられる。
光拡散剤や艶消し剤としては、ガラス微粒子、ポリシロキサン系架橋微粒子、架橋ポリマー微粒子、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどを挙げることができる。
蛍光体としては、蛍光顔料、蛍光染料、蛍光白色染料、蛍光増白剤、蛍光漂白剤などを挙げることができる。
本発明の変性メタクリル樹脂組成物は、230℃および3.8kg荷重の条件で測定して決定されるメルトフローレートが、好ましくは0.1g/10分以上、より好ましくは0.2〜30g/10分、さらに好ましくは0.5〜20g/10分、最も好ましくは1.0〜10g/10分である。
また、本発明の変性メタクリル樹脂組成物は、ガラス転移温度が、好ましくは120℃以上、より好ましくは123℃以上、さらに好ましくは124℃以上である。変性メタクリル樹脂組成物のガラス転移温度の上限は、特に制限はないが、好ましくは160℃である。
本発明の変性メタクリル樹脂組成物は、その製造方法によって特に限定されず、例えば、本発明の変性メタクリル樹脂と紫外線吸収剤などの添加剤と必要に応じて他の重合体とを溶融混練することによって、製造することができる。溶融混練は、例えば、ニーダールーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサーなどの溶融混練装置を用いて行うことができる。混練時の温度は、変性メタクリル樹脂および他の重合体の軟化温度に応じて適宜設定でき、例えば150〜300℃に設定することができる。また、混練時の剪断速度は、例えば、10〜5000sec-1に設定することができる。
本発明の変性メタクリル樹脂組成物は、保存、運搬、または成形時の利便性を高めるために、ペレットなどの形態にすることができる。
本発明の成形体は本発明の変性メタクリル樹脂または変性メタクリル樹脂組成物からなる。本発明の成形体の製造法は特に限定されない。例えばTダイ法(ラミネート法、共押出法など)、インフレーション法(共押出法など)、圧縮成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法、真空成形法、射出成形法(インサート法、二色法、プレス法、コアバック法、サンドイッチ法など)などの溶融成形法ならびに溶液キャスト法などを挙げることができる。これらのうち、生産性の高さ、コストなどの点から、Tダイ法、インフレーション法または射出成形法が好ましい。成形体の種類に制限はないが、フィルム(厚さ5μm以上250μm以下の平面状成形体)やシート(250μmより厚い平面状成形体)が好ましいものとして挙げられ、その中でも特にフィルムが好ましい。
本発明の成形体の一形態であるフィルムは、溶液キャスト法、溶融流延法、押出成形法、インフレーション成形法、ブロー成形法などによって製造することができる。これらのうち、透明性に優れ、改善された靭性を持ち、取扱い性に優れ、靭性と表面硬度および剛性とのバランスに優れたフィルムを得ることができるという観点から、押出成形法が好ましい。押出機から吐出される溶融樹脂の温度は好ましくは160〜270℃、より好ましくは220〜260℃に設定する。
押出成形法のうち、良好な表面平滑性、良好な鏡面光沢、低ヘーズのフィルムが得られるという観点からTダイ法が好ましい。このTダイ法では、押出機、ギアポンプ、ポリマーフィルター、ミキサーを経てTダイから吐出される溶融樹脂を、2本以上の鏡面ロールもしくは鏡面ベルトに挟み込んでフィルムに成形することが好ましい。鏡面ロールもしくは鏡面ベルトに挟み込む際にバンクを形成させてもよいし、形成させなくてもよい。ダイは、リップ開度の自動調整機能を有したものであり、エアギャップは100mm以下が好ましい。
鏡面ロールまたは鏡面ベルトは金属製であることが好ましい。鏡面ロールとしては金属剛体ロール、金属弾性体ロールなどを用いることができ、金属弾性体ロールと金属剛体ロールとを組み合わせて用いることが好ましい。また、鏡面ロールまたは鏡面ベルトの表面温度は共に130℃以下であることが好ましい。また、一対の鏡面ロール若しくは鏡面ベルトは、少なくとも一方の表面温度が60℃以上であることが好ましい。このような表面温度に設定すると、押出機から吐出される溶融樹脂を自然放冷よりも速い速度で冷却することができ、表面平滑性に優れ且つヘーズの低いフィルムを製造し易い。一対のロールまたはベルトの間の線圧は好ましくは10N/mm以上、より好ましくは30N/mm以上である。押出成形で得られる未延伸フィルムの厚さは、10〜300μmであることが好ましい。フィルムのヘーズは、厚さ100μmにおいて、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.3%以下である。
上記のようにして得られる未延伸フィルムに延伸処理を施してもよい。延伸処理によって機械的強度が高まり、ひび割れし難いフィルムを得ることができる。延伸方法は特に限定されず、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法、チュブラー延伸法などを挙げることができる。均一に延伸でき高い強度のフィルムが得られるという観点から、延伸時の温度の下限は変性メタクリル樹脂または変性メタクリル樹脂組成物のガラス転移温度より10℃高い温度であり、延伸時の温度の上限は変性メタクリル樹脂または変性メタクリル樹脂組成物のガラス転移温度より40℃高い温度である。延伸は通常100〜5000%/分で行われる。延伸の後、熱固定を行うことによって、熱収縮の少ないフィルムを得ることができる。延伸後のフィルムの厚さは10〜200μmであることが好ましい。
本発明の成形体の一形態であるフィルムの表面に機能層を設けてもよい。機能層としては、ハードコート層、アンチグレア層、反射防止層、スティッキング防止層、拡散層、防眩層、静電気防止層、防汚層、微粒子などの易滑性層を挙げることができる。
また、本発明のフィルムの少なくとも片面に、上記機能層との密着強度を向上させたり、他のフィルムとの接着剤もしくは粘着剤を介しての積層における接着強度を向上させたりするために、アンダーコート層を設けることが好ましい。
アンダーコート層には、樹脂成分として、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリオール樹脂、ポリカルボン酸樹脂、セルロース誘導体樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等およびこれらの任意の複合樹脂が用いられる。これら樹脂および複合樹脂は、水酸基、アミノ基、イソシアネート基、カルボキシ基などの親水性基で変性されたものであってもよい。これらの樹脂に、イソシアナート基、エポキシ基、シラノール基、ヒドラジド基、カルボジイミド基、オキサゾリン基、アセトアセチル基、アジリジン基などの反応基を有する架橋剤を配合することが、耐久性の観点から好ましい。溶剤としては、水;プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールなどのアルコール;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;メトキシエタノール、エトキシエタノールなどのエチレングリコールエステル等公知の溶剤を用いることができる。アンダーコート層を形成するにはマイクログラビア、バーコートなどの公知の塗工方式を用いることができる。アンダーコート層用の塗膜の乾燥温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは85℃以上、さらに好ましくは90℃以上、最も好ましくは95℃以上である。さらに、乾燥処理の後、熱処理を行って架橋反応させることが好ましい。
本発明の変性メタクリル樹脂または変性メタクリル樹脂組成物は、成形材料として好適である。本発明の成形体は、各種用途の部材にすることができる。具体的な用途としては、例えば、広告塔、スタンド看板、袖看板、欄間看板、屋上看板等の看板部品やマーキングフィルム;ショーケース、仕切板、店舗ディスプレイ等のディスプレイ部品;蛍光灯カバー、ムード照明カバー、ランプシェード、光天井、光壁、シャンデリア等の照明部品;家具、ペンダント、ミラー等のインテリア部品;ドア、ドーム、安全窓ガラス、間仕切り、階段腰板、バルコニー腰板、レジャー用建築物の屋根等の建築用部品;航空機風防、パイロット用バイザー、オートバイ、モーターボート風防、バス用遮光板、自動車用サイドバイザー、リアバイザー、ヘッドウィング、ヘッドライトカバー、自動車内装部材、バンパーなどの自動車外装部材等の輸送機関係部品;音響映像用銘板、ステレオカバー、テレビ保護マスク、自動販売機、携帯電話、パソコン等の電子機器部品;保育器、レントゲン部品等の医療機器部品;機械カバー、計器カバー、実験装置、定規、文字盤、観察窓等の機器関係部品;液晶保護板、導光板、導光フィルム、フレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、各種ディスプレイの前面板、拡散板等の光学関係部品;道路標識、案内板、カーブミラー、防音壁等の交通関係部品;その他、温室、大型水槽、箱水槽、浴室部材、時計パネル、バスタブ、サニタリー、デスクマット、遊技部品、玩具、楽器、熔接時の顔面保護用マスク、太陽電池のバックシート、フレキシブル太陽電池用フロントシート、加飾フィルム;パソコン、携帯電話、家具、自動販売機、浴室部材などに用いる表面材料等を挙げることができる。
本発明の変性メタクリル樹脂または変性メタクリル樹脂組成物と、他の材料とを積層することによって、積層体を得ることができる。積層体に用いられる他の材料としては、鋼材、プラスチック、木材、ガラス等を挙げることができる。本発明によって得られる積層体は、壁紙;自動車内装部材表面;バンパーなどの自動車外装部材表面;携帯電話表面;家具表面;パソコン表面;自動販売機表面;浴槽などの浴室部材表面等に好適に用いることができる。
本発明の成形体の一形態であるフィルムは、透明性、耐熱性が高いので、光学用途に好適であり、偏光子保護フィルム、液晶保護板、携帯型情報端末の表面材、携帯型情報端末の表示窓保護フィルム、導光フィルム、銀ナノワイヤーやカーボンナノチューブを表面に塗布した透明導電フィルム、各種ディスプレイの前面板用途に特に好適である。本発明のフィルムは、透明性、耐熱性が高いので、光学用途以外の用途として、赤外線カットフィルムや、防犯フィルム、飛散防止フィルム、加飾フィルム、金属加飾フィルム、シュリンクフィルム、インモールドラベル用フィルムに使用することができる。
本発明の成形体の一形態であるフィルムを偏光子保護フィルムや位相差フィルムとして用いる場合、偏光子フィルムの片面だけに積層してもよいし、両面に積層してもよい。偏光子フィルムと積層する際は、接着層や粘着層を介して積層することができる。偏光子フィルムとしては、ポリビニルアルコール系樹脂とヨウ素からなる延伸フィルムを用いることができ、その膜厚は1〜100μmであることが好ましい。
以下、実施例および比較例によって本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。なお、物性値等の測定は以下の方法によって実施した。
(重合転化率)
ガスクロマトグラフ(島津製作所社製;商品名GC−14A)に、カラム(GL Sciences Inc.製;商品名InertCap 1(df=0.4μm、0.25mmI.D.×60m))を繋ぎ、インジェクション温度を180℃に、検出器温度を180℃に、カラム温度を60℃(5分間保持)から昇温速度10℃/分で200℃まで昇温して、10分間保持する条件にて測定を行い、この結果に基づいて重合転化率を算出した。
(GPCによるクロマトグラム測定およびクロマトグラムに基づく分子量分布などの決定)
試験対象の樹脂材料4mgをテトラヒドロフラン5mlに溶解させて、さらに0.1μmのフィルターでろ過して試験対象溶液を調製した。
TSKgel SuperMultipore HZM−M(東ソー社製、商品名)の2本とSuperHZ4000(東ソー社製、商品名)を直列に繋いだカラムが取り付けられ、且つ検出部が示差屈折率検出器であるGPC装置(東ソー社製;商品名HLC−8320)に試験対象溶液20μlを注入して、クロマトグラムを測定した。溶離剤としてテトラヒドロフランを流量:0.35ml/分で流し、カラム温度を40℃に設定した。
検量線は標準ポリスチレン10点のデータを用いて作成した。分子量400〜5000000の範囲の標準ポリスチレンをゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定し、リテンションタイムと分子量との関係を示す検量線を作成した。クロマトグラムの高分子量側の傾きがゼロからプラスに変化する点と、低分子量側のピークの傾きがマイナスからゼロに変化する点を結んだ線をベースラインとした。クロマトグラムが複数のピークを示す場合は、最も高分子量側のピークの傾きがゼロからプラスに変化する点と、最も低分子量側のピークの傾きがマイナスからゼロに変化する点を結んだ線をベースラインとした。
(三連子表示のシンジオタクティシティ(rr))
樹脂試料について1H−NMR測定を実施した。TMSを0ppmとした際の0.6〜0.95ppmの領域の面積(X)、0.6〜1.35ppmの領域の面積(Y)とを計測し、式:(X/Y)×100にて算出した値を三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)(%)とした。
装置:核磁気共鳴装置(Bruker社製;商品名ULTRA SHIELD 400 PLUS)
溶媒 :重クロロホルム
測定核種:1
測定温度:室温
積算回数:64回
(ガラス転移温度[Tg])
DSC曲線から求められる中間点ガラス転移温度をガラス転移温度として定義した。DSC曲線は、測定対象樹脂を、JIS K7121に準拠して、示差走査熱量計(島津製作所製;商品名DSC−50)を用いて、230℃まで昇温し、次いで室温まで冷却し、その後、室温から230℃までを10℃/分で昇温させたときの、2回目の昇温時の示差走査熱量測定で得た。
(イミド化率)
1H−NMR(Bruker社製;商品名ULTRA SHIELD 400 PLUS)を用いて、樹脂の1H−NMR測定を行い、3.5〜3.8ppm付近のメタクリル酸メチルのO−CH3基に由来するピークの面積Aと、3.0〜3.3ppm付近のグルタルイミドのN−CH3基に由来するピークの面積Bより、次式で求めた値をイミド化率とした。
イミド化率=B/(A+B)×100
(酸価)
0.3gのポリマー試料を37.5mlのジクロロメタンおよび37.5mlのメタノールの混合溶媒の中で溶解した。これにフェノールフタレインエタノール溶液を2滴加えた後に、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を5ml加えた。この溶液に中和するまで0.1N塩酸を滴下し、中和に達するまでに使用した塩酸の量と添加した塩基の量の差をミリ当量で算出して酸価とした。
(メルトフローレート[MFR])
JIS K7210に準拠して、230℃、3.8kg荷重、10分間の条件で測定した。
(引張り破断強度)
未延伸フィルムを90mm×10mmのサイズに切り出した。切り出した試験片をチャック間70mmにセットした引張り試験機(島津製作所製;商品名オートグラフAG−IS 5kN)にセットし、引張り速度5mm/分にて引張り試験を行い、試験片が破断した時の応力を測定し引張強度を決定した。
(ヘーズ)
JIS K7136に準拠して、ヘーズメータ(村上色彩研究所製;商品名HM−150)を用いて、上記した未延伸フィルムのヘーズを測定した。
(全光線透過率)
JIS K7361−1に準じて、ヘーズメータ(村上色彩研究所製;商品名HM−150)を用いて未延伸フィルムの全光線透過率を測定した。
(偏光特性の評価)
偏光板の可視光線の単体透過率Tと、2枚平行透過率Tp および2枚直交透過率Tc から次式によって算出される偏光度Pとで評価した。
P=[(Tp −Tc )/((Tp +Tc )]1/2
製造例1 (メタクリル樹脂〔I-1〕の製造)
撹拌翼と三方コックが取り付けられた5Lのガラス製反応容器内を窒素で置換した。これに、23℃で、トルエン1600g、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン2.49g(10.8mmol)、濃度0.45Mのイソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムのトルエン溶液53.5g(30.9mmol)、および濃度1.3Mのsec−ブチルリチウムの溶液(溶媒:シクロヘキサン95%、n−ヘキサン5%)7.07g(11.8mmol)を仕込んだ。撹拌しながら、これに、15℃にて、精製されたメタクリル酸メチル550gを30分間かけて滴下した。滴下終了後、25℃で90分間撹拌した。この時点におけるメタクリル酸メチルの重合転化率は100%であった。得られた溶液にトルエン1500gを加えて希釈した。次いで、希釈液をメタノール100kgに注ぎ入れ、沈澱物を得た。得られた沈殿物を80℃、140Paにて24時間乾燥して、重量平均分子量Mwが70000で、数平均分子量に対する重量平均分子量の比Mw/Mnが1.05で、三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が74%で、ガラス転移温度が131℃で、分子量15000未満の割合が0.02質量%で、MFRが1.9g/10分で、且つメタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量が100質量%であるメタクリル樹脂〔I-1〕を得た。メタクリル樹脂〔I-1〕の物性を表1に示す。
製造例2 (メタクリル樹脂〔II-2〕の製造)
攪拌機および採取管が取り付けられたオートクレーブ内を窒素で置換した。これに、精製されたメタクリル酸メチル100質量部、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル(水素引抜能:1%、1時間半減期温度:83℃)0.0052質量部、およびn−オクチルメルカプタン0.23質量部を入れ、撹拌して、原料液を得た。かかる原料液中に窒素を送り込み、原料液中の溶存酸素を除去した。
前記オートクレーブと配管で接続された槽型反応器に反応器容量の2/3まで原料液を入れた。槽型反応器への原料液供給口および槽型反応器からの反応液排出口を閉めて温度を140℃に維持してバッチ方式の重合反応を開始させた。重合転化率が55質量%になったところで、槽型反応器への原料液供給口および槽型反応器からの反応液排出口を開いて、平均滞留時間150分間となる流量で、原料液をオートクレーブから槽型反応器に供給し、且つ原料液の供給流量に相当する流量で、反応液を槽型反応器から抜き出して、反応器内の反応液温度を140℃に維持し、連続流通方式の重合反応に切り替えた。切り替え後、定常状態における重合転化率は55質量%であった。
定常状態になった槽型反応器から抜き出される反応液を、平均滞留時間2分間となる流量で内温230℃の多管式熱交換器に供給して加温した。次いで加温された反応液をフラッシュ蒸発器に導入し、未反応単量体を主成分とする揮発分を除去して、溶融樹脂を得た。揮発分が除去された溶融樹脂を内温260℃の二軸押出機に供給してストランド状に吐出し、ペレタイザでカットして、重量平均分子量Mwが101000で、数平均分子量に対する重量平均分子量の比Mw/Mnが1.87で、三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が52%で、ガラス転移温度が120℃で、分子量15000未満の割合が2.54質量%で、MFRが1.6g/10分で、且つメタクリル酸メチルに由来する構造単位含有量が100質量%であるメタクリル樹脂〔II-2〕を得た。メタクリル樹脂〔II-2〕の物性を表1に示す。
製造例3 (メタクリル樹脂〔II-3〕の製造)
攪拌機および採取管が取り付けられたオートクレーブ内を窒素で置換した。これに、精製されたメタクリル酸メチル100質量部、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル(水素引抜能:1%、1時間半減期温度:83℃)0.0052質量部、およびn−オクチルメルカプタン0.28質量部を入れ、撹拌して、原料液を得た。かかる原料液中に窒素を送り込み、原料液中の溶存酸素を除去した。
前記オートクレーブと配管で接続された槽型反応器に反応器容量の2/3まで原料液を入れた。槽型反応器への原料液供給口および槽型反応器からの反応液排出口を閉めて温度を140℃に維持してバッチ方式の重合反応を開始させた。重合転化率が55質量%になったところで、槽型反応器への原料液供給口および槽型反応器からの反応液排出口を開いて、平均滞留時間150分となる流量で、原料液をオートクレーブから槽型反応器に供給し、且つ原料液の供給流量に相当する流量で、反応液を槽型反応器から抜き出して、温度140℃に維持し、連続流通方式の重合反応に切り替えた。切り替え後、定常状態における重合転化率は55質量%であった。
定常状態になった槽型反応器から抜き出される反応液を、平均滞留時間2分間となる流量で内温230℃の多管式熱交換器に供給して加温した。次いで加温された反応液をフラッシュ蒸発器に導入し、未反応単量体を主成分とする揮発分を除去して、溶融樹脂を得た。揮発分が除去された溶融樹脂を内温260℃の二軸押出機に供給してストランド状に吐出し、ペレタイザでカットして、Mwが82000で、Mw/Mnが1.85で、三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が52%で、ガラス転移温度が120℃で、分子量15000未満の割合が5.12質量%で、MFRが2.7g/10分で、且つメタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量が100質量%であるメタクリル樹脂〔II-3〕を得た。メタクリル樹脂〔II-3〕の物性を表1に示す。
製造例4 (メタクリル樹脂〔X-4〕の製造)
メタクリル樹脂〔I-1〕57質量部およびメタクリル樹脂〔II-2〕43質量部を混ぜ合わせ、二軸押出機(テクノベル社製;商品名KZW20TW−45MG−NH−600)で250℃にて溶融混練し、押出して、Mwが83300で、Mw/Mnが1.38で、三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が64%で、ガラス転移温度が126℃で、分子量15000未満の割合が1.86質量%で、MFRが1.7g/10分で、且つメタクリル酸メチルに由来する構造単位含有量が100質量%であるメタクリル樹脂〔X-4〕を得た。メタクリル樹脂〔X-4〕の物性を表1に示す。
Figure 0006827272
<実施例1a>
輸送部、溶融混練部、脱揮部および排出部からなり且つスクリュー回転数120rpmおよび温度250℃に設定された二軸押出機(テクノベル社製;商品名KZW20TW−45MG−NH−600)の輸送部にメタクリル樹脂〔I-1〕を2kg/hrで供給し、ニーディングブロックの設置された溶融混練部においてモノメチルアミンを0.04kg/hrで二軸押出機の添加剤供給口から注入し、メタクリル樹脂〔I-1〕とモノメチルアミンとを反応させた。なお、反応ゾーンの末端のスクリューにリバースフライトを設置した。
20Torr(約2.7kPa)に設定された脱揮部において、副生成物および過剰のモノメチルアミンを、溶融混練部を通過した溶融樹脂から揮発させ、ベントを通して排出した。
二軸押出機の排出部の末端に設けられたダイスからストランドとして押し出された溶融樹脂を、水槽で冷却し、その後、ペレタイザでカットしてペレット状のメタクリル樹脂(A-1-1)を得た。
輸送部、溶融混練部、脱揮部および排出部からなり且つスクリュー回転数100rpmおよび温度230℃に設定された二軸押出機(テクノベル社製;商品名KZW20TW−45MG−NH−600)の輸送部にメタクリル樹脂(A-1-1)を1kg/hrで供給し、ニーディングブロックの設置された溶融混練部において、炭酸ジメチル0.8質量部およびトリエチルアミン0.2質量部からなる液を0.01kg/hrで注入し、メタクリル樹脂(A-1-1)中のカルボキシ基に炭酸ジメチルを反応させた。なお、反応ゾーンの末端のスクリューにリバースフライトを設置した。
20Torr(約2.7kPa)に設定された脱揮部において、副生成物および過剰の炭酸ジメチルを、溶融混練部を通過した溶融樹脂から揮発させ、ベントを通して排出した。
二軸押出機の排出部の末端に設けられたダイスからストランドとして押し出された溶融樹脂を、水槽で冷却し、その後、ペレタイザでカットしてペレット状のメタクリル樹脂(A-1-2)を得た。
輸送部、溶融混練部、脱揮部および排出部からなり且つスクリュー回転数100rpmおよび温度230℃に設定された二軸押出機(テクノベル社製;商品名KZW20TW−45MG−NH−600)の輸送部にメタクリル樹脂(A-1-2)を1kg/hrで供給した。
20Torr(約2.7kPa)に設定された脱揮部において、未反応物などの揮発分を、溶融混練部を通過した溶融樹脂から揮発させ、ベントを通して排出した。
二軸押出機の排出部の末端に設けられたダイスからストランドとして押し出された溶融樹脂を、水槽で冷却し、その後、ペレタイザでカットしてペレット状のメタクリル樹脂(A-1)を得た。メタクリル樹脂(A-1)は、イミド化率が3.6mol%で、ガラス転移温度が133℃で、酸価が0.27mmol/gであった。メタクリル樹脂(A-1)の物性を表2に示す。
<実施例1b>
メタクリル樹脂(A-1)を80℃で12時間乾燥させた。20mmφ単軸押出機(OCS社製)を用いて、樹脂温度260℃にて、メタクリル樹脂(A-1)を150mm幅のTダイから押し出し、それを表面温度85℃の金属弾性体ロールと表面温度85℃の金属剛体ロールで挟み込んで引き取り、幅110mm、厚さ160μmの未延伸フィルムを得た。
この未延伸フィルムから100mm×100mmのサイズの試験片を切り出した。試験片を、パンタグラフ式二軸延伸試験機(東洋精機製作所社製)にセットし、メタクリル樹脂(A-1)のガラス転移温度より20℃高い温度にて、縦延伸速度1000%/分、縦延伸倍率2倍、横延伸速度1000%/分、横延伸倍率2倍で、同時二軸延伸した。同時二軸延伸されたフィルムを徐冷して、厚さ40μmの二軸延伸フィルムを得た。二軸延伸フィルムの物性を表2に示す。
<実施例3>
メタクリル樹脂〔I-1〕の替わりに、メタクリル樹脂〔X-4〕を用いた以外は、実施例1aと同じ方法で、メタクリル樹脂(A-3)を得た。
メタクリル樹脂(A-3)100質量部に、紫外線吸収剤(ADEKA社製;商品名LA−F70)0.8質量部を添加し、二軸押出機(テクノベル社製;商品名KZW20TW−45MG−NH−600)にて混練して、ペレット状のメタクリル樹脂組成物(A-3)を得た。メタクリル樹脂組成物(A-3)の物性を表2に示す。
メタクリル樹脂(A-1)の替わりに、メタクリル樹脂組成物(A-3)を用いた以外は、実施例1bと同じ方法で、未延伸フィルム、二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの物性を表2に示す。
<実施例4a>
輸送部、溶融混練部、脱揮部および排出部からなり且つスクリュー回転数120rpmおよび温度250℃に設定された二軸押出機(テクノベル社製;商品名KZW20TW−45MG−NH−600)の輸送部にメタクリル樹脂〔X-4〕を2kg/hrで供給し、ニーディングブロックの設置された溶融混練部においてモノメチルアミンを0.24kg/hrで二軸押出機の添加剤供給口から注入し、メタクリル樹脂〔X-4〕とモノメチルアミンとを反応させた。なお、反応ゾーンの末端のスクリューにリバースフライトを設置した。
20Torr(約2.7kPa)に設定された脱揮部において、副生成物および過剰のモノメチルアミンを、溶融混練部を通過した溶融樹脂から揮発させ、ベントを通して排出した。
二軸押出機の排出部の末端に設けられたダイスからストランドとして押し出された溶融樹脂を、水槽で冷却し、その後、ペレタイザでカットしてペレット状のメタクリル樹脂(A-4-1)を得た。
輸送部、溶融混練部、脱揮部および排出部からなり且つスクリュー回転数100rpmおよび温度250℃に設定された二軸押出機(テクノベル社製;商品名KZW20TW−45MG−NH−600)の輸送部にメタクリル樹脂(A-4-1)を1kg/hrで供給し、ニーディングブロックの設置された溶融混練部において、炭酸ジメチル4質量部およびトリエチルアミン1質量部からなる液を0.05kg/hrで注入し、メタクリル樹脂(A-4-1)中のカルボキシ基に炭酸ジメチルを反応させた。なお、反応ゾーンの末端のスクリューにリバースフライトを設置した。
20Torr(約2.7kPa)に設定された脱揮部において、副生成物および過剰の炭酸ジメチルを、溶融混練部を通過した溶融樹脂から揮発させ、ベントを通して排出した。
二軸押出機の排出部の末端に設けられたダイスからストランドとして押し出された溶融樹脂を、水槽で冷却し、その後、ペレタイザでカットしてペレット状のメタクリル樹脂(A-4-2)を得た。
輸送部、溶融混練部、脱揮部および排出部からなり且つスクリュー回転数100rpmおよび温度240℃に設定された二軸押出機(テクノベル社製;商品名KZW20TW−45MG−NH−600)の輸送部にメタクリル樹脂(A-4-2)を1kg/hrで供給した。
20Torr(約2.7kPa)に設定された脱揮部において、未反応物などの揮発分を、溶融混練部を通過した溶融樹脂から揮発させ、ベントを通して排出した。
二軸押出機の排出部の末端に設けられたダイスからストランドとして押し出された溶融樹脂を、水槽で冷却し、その後、ペレタイザでカットしてペレット状のメタクリル樹脂(A-4)を得た。メタクリル樹脂(A-4)は、イミド化率が30mol%で、ガラス転移温度が145℃で、酸価が0.08mmol/gであった。メタクリル樹脂(A-4)の物性を表2に示す。
<実施例4b>
メタクリル樹脂(A-1)の替わりに、メタクリル樹脂(A-4)を用いた以外は、実施例1bと同じ方法で、未延伸フィルム、二軸延伸フィルムを得た。得られた二軸延伸フィルムの物性を表2に示す。
Figure 0006827272
<比較例1>
メタクリル樹脂(A-1)の替わりに、メタクリル樹脂(II-2)を用いた以外は、実施例1bと同じ方法で、未延伸フィルム、二軸延伸フィルムを得た。メタクリル樹脂(II-2)の物性および得られた二軸延伸フィルムの物性を表3に示す。
<比較例2>
メタクリル樹脂(A-1)の替わりに、メタクリル樹脂(II-3)を用いた以外は、実施例1bと同じ方法で、未延伸フィルム、二軸延伸フィルムを得た。メタクリル樹脂(II-3)の物性および得られた二軸延伸フィルムの物性を表3に示す。
<比較例3>
メタクリル樹脂〔I-1〕の替わりに、メタクリル樹脂〔II-3〕を用いた以外は、実施例1aと同じ方法で、メタクリル樹脂(B-1)を得た。メタクリル樹脂(B-1)の物性を表3に示す。
メタクリル樹脂(A-1)の替わりに、メタクリル樹脂(B-1)を用いた以外は、実施例1bと同じ方法で、未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムは脆く割れやすいものであった。そのため、引張破断強度を測定できなかった。次いで、実施例1bと同じ方法で、二軸延伸フィルムを得ようとしたが、延伸の途中でフィルムが破断して延伸フィルムを得ることができなかった。
<比較例4>
メタクリル樹脂〔X-4〕の替わりに、メタクリル樹脂〔II-3〕を用いた以外は、実施例4aと同じ方法で、メタクリル樹脂(B-2)を得た。メタクリル樹脂(B-2)の物性を表3に示す。
メタクリル樹脂(A-1)の替わりに、メタクリル樹脂(B-2)を用いた以外は、実施例1bと同じ方法で、未延伸フィルムを得た。未延伸フィルムは脆く割れやすいものであった。そのため、引張破断強度を測定できなかった。次いで、実施例1bと同じ方法で、二軸延伸フィルムを得ようとしたが、延伸の途中でフィルムが破断して延伸フィルムを得ることができなかった。
Figure 0006827272
<実施例5>
実施例1で得られた二軸延伸フィルムの片面に、ウレタン系プライマー(第一工業製薬社製;商品名11−6P63−7)をワイヤーバー#5で塗工した。その後、90℃で2分間乾燥させ、次いで80℃で2時間熱処理して、厚さ0.5μmのアンダーコート層を二軸延伸フィルムの片面に形成させた。
厚さ40μmのヨウ素・ポリビニルアルコール系偏光フィルムの両面に、ポリビニルアルコール(クラレ社製;商品名PVA117)の4%水溶液を塗布し、該塗布面にアンダーコート層が接触するようにして前記二軸延伸フィルムを貼り合わせ、乾燥させることによって、偏光板を得た。単体透過率Tが40.3%、偏光度Pは99.9%以上であった。
得られた偏光板を、70℃、95%RHの高温高湿条件下で、1,000時間放置した。放置後の偏光板は、外観および偏光特性において、放置前と変化がなく、耐久性に優れたものであった。
<比較例5>
比較例1で得られた二軸延伸フィルムを用いたこと以外は、実施例5と同じ方法で、偏光板を作製した。得られた偏光板を、70℃、95%RHの高温高湿条件下で、1,000時間放置した。放置後の偏光板は、反っていて、耐久性に劣るものであった。

Claims (12)

  1. 式(1)で表される構造単位(M)と、式(2)で表される構造単位(R)と、を含有する樹脂(ブロック共重合体を除く。)であって、且つ
    ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が1.01〜1.80である、
    変性メタクリル樹脂。

    Figure 0006827272

    (式(1)中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または芳香環を含む炭素数6〜15の有機基である。)


    Figure 0006827272

    (式(2)中、R 3 は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基であり、R 4 は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または芳香環を含む炭素数6〜15の有機基である。)
  2. ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が1.01〜1.50である、請求項1に記載の変性メタクリル樹脂。
  3. 構造単位(M)がメタクリル酸メチルに由来する単位である、請求項1または2に記載の変性メタクリル樹脂。
  4. ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の分子量の分布において、分子量15000未満の割合が、5.0質量%以下である、請求項1〜のいずれかひとつに記載の変性メタクリル樹脂。
  5. 三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が58%以上であるメタクリル樹脂を環構造形成反応させることを含む、請求項1〜のいずれかひとつに記載の変性メタクリル樹脂の製造方法。
  6. 三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が58%以上であるメタクリル樹脂を環構造形成反応させることを含む方法であって
    式(1)で表される構造単位(M)と、ラクトン環単位およびN−置換若しくは無置換グルタルイミド単位からなる群より選ばれる少なくともひとつの環構造を主鎖に有する構造単位(R)と、を含有する樹脂(ブロック共重合体を除く。)であって、且つ
    ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比(Mw/Mn)が1.01〜1.80である変性メタクリル樹脂製造する方法。

    Figure 0006827272

    (式(1)中、R 1 は水素原子またはメチル基であり、R 2 は水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または芳香環を含む炭素数6〜15の有機基である。)
  7. 紫外線吸収剤および請求項1〜のいずれかひとつに記載の変性メタクリル樹脂を含有する変性メタクリル樹脂組成物。
  8. 請求項1〜のいずれかひとつに記載の変性メタクリル樹脂または請求項7に記載の変性メタクリル樹脂組成物からなる成形体。
  9. 請求項1〜のいずれかひとつに記載の変性メタクリル樹脂または請求項7に記載の変性メタクリル樹脂組成物からなるフィルム。
  10. 請求項1〜のいずれかひとつに記載の変性メタクリル樹脂または請求項7に記載の変性メタクリル樹脂組成物からなる延伸フィルム。
  11. 請求項9に記載のフィルムを、面積比で1.5〜8倍の大きさに、少なくとも1方向に延伸することを含む、延伸フィルムの製造方法。
  12. 請求項1〜のいずれかひとつに記載の変性メタクリル樹脂または請求項7に記載の変性メタクリル樹脂組成物からなる偏光子保護フィルム。
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