JP7421404B2 - アクリル系樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、アクリル系ポリマーを含有する新規な組成物(樹脂組成物)等に関する。
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)に代表されるアクリル系ポリマーは、高透明性などの観点から、光学材料などとして使用されている。
また、耐熱性などの観点から、主鎖に環構造を有するアクリル系ポリマーが開発されつつある。例えば、特許文献1には、メチル(メタ)アクリレート単位、メタクリル酸単位及びグルタル酸無水物単位を有する共重合体が開示されている。
国際公開第2017/022393号パンフレット
本発明の目的は、アクリル系ポリマーを含有する新規な組成物(樹脂組成物)等を提供することにある。
前記の通り、耐熱性などの観点から、アクリル系ポリマーに環構造を導入する試みがなされつつある。このようなアクリル系ポリマーは、環構造を有することにも起因してか、
組成物の調製や成形時等において、着色しやすい(黄色度が高くなる)傾向があった。
特に、このような傾向は、耐熱性をさらに向上させる等の目的で、環構造の導入割合を大きくすると、より一層顕著になることがわかった。そのため、このようなアクリル系ポリマーは、特に、高度な耐熱性[さらには成形性、加工性(溶融流動性)]が要求される用途(例えば、ヘッドアップディスプレイや車載カメラのレンズ部材)等には適さないものもあった。
本発明者は、紫外線吸収剤の配合を抑える等で、このような着色がある程度、抑えられることを見出したが、より一層高度に黄色を抑えたり、透明性を損なうことなく黄色を抑えること、さらには、これらを優れた溶融成形性にて実現する処方(方法)を見出すには困難を極めた。
このような中、本発明者は、環構造を有するアクリル系ポリマーに、特定の添加剤を組み合わせることで、効率良く着色を抑えられること、特に、意外なことに、アクリル系ポリマー中の環構造の割合を大きくしても、このような着色を効率良く抑えられる他、優れた溶融成形性で、透明性と着色(黄色)の低減とを両立できること等を見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の発明等に関する。
[1]
環構造(特に、主鎖に環構造)を有するアクリル系ポリマー及び着色剤を含む組成物(樹脂組成物、通常、熱可塑性樹脂組成物)。
[2]
アクリル系ポリマーにおける環構造{例えば、環状イミド構造(特に、グルタルイミド構造、N-置換マレイミド単量体由来の構造)及びラクトン環構造から選択された少なくとも1種の環構造、少なくともラクトン環構造を含有する環構造}の割合が20質量%以上である、[1]記載の組成物。
[3]
アクリル系ポリマーのガラス転移温度が125℃以上である[1]又は[2]記載の組成物。
[4]
アクリル系ポリマーの重量平均分子量が5万~10万である[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5]
アクリル系ポリマー(又は組成物)のJIS K 7210に準拠した、230℃、荷重3.8kgにおけるメルトフローレートが1g/10分以上である[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6]
着色剤が、520~600nmに吸収極大波長を有する(ブルーイング剤である、ブルーイング特性を有する)、[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7]
着色剤が、アントラキノン骨格を有する化合物(着色剤)を含む[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8]
着色剤の割合が800質量ppb以下である[1]~[7]のいずれかに記載の組成物。
[9]
アクリル系ポリマーにおける環構造の割合が25質量%以上であり、アクリル系ポリマーのガラス転移温度が128℃以上であり、着色剤の割合が400質量ppb以下である[1]~[8]のいずれかに記載の組成物。
[10]
紫外線吸収剤の含有割合が0.5質量%以下(例えば、0.5質量%未満、0.1質量%以下、0.1質量部未満等)である、[1]~[9]のいずれかに記載の組成物。
[11]
射出成形用である、[1]~[10]のいずれかに記載の組成物。
[12]
レンズ部材用である、[1]~[11]のいずれかに記載の組成物。
[13]
[1]~[12]のいずれかに記載の組成物を含む成形体。
[14]
レンズ部材である[13]記載の成形体。
[15]
ヘッドアップディスプレイ又は車載カメラのレンズ部材である[13]又は[14]記載の成形体。
本発明によれば、アクリル系ポリマーを含有する新規な組成物(樹脂組成物)を提供できる。
このような組成物は、環構造を有するアクリル系ポリマーと着色剤(例えば、ブルーイング特性を有する着色剤、ブルーイング剤)とを少なくとも含んでおり、着色(黄色度)を効率良く抑えうる。
特に、このような組成物では、アクリル系ポリマーにおける環構造の割合を大きく(例えば、20質量%以上等と)しても、効率よく着色を抑えうる。
そのため、本発明では、低着色性で高耐熱性(例えば、ガラス転移温度125℃以上等)のアクリル系ポリマー(組成物)を効率良く得ることができる。
本発明の組成物の別の態様では、透明性を損なうことがなく、優れた透明性と低着色性とを両立しうる。
また、本発明の組成物の別の態様では、優れた耐久性を実現しうる。例えば、本発明の組成物は、高温環境下に長時間晒された場合であっても、透明性(全光線透過率)の低下や黄変を低減しうるものであり、そのため、優れた透明性や低着色性を実現(維持)しうる。
さらに、本発明の組成物の別の態様では、優れた溶融流動性を実現しうる。そのため、このようなアクリル系ポリマーによれば、成形体(例えば、射出成形体)を効率良く得ることができる。
特に、このような組成物は、前記のように、低着色性や高耐熱性(さらには優れた耐久性)を実現しうるものである。そのため、このような本発明の組成物は、このような特性が要求される用途、例えば、レンズ部材(例えば、ヘッドアップディスプレイや車載カメラのレンズ部材)を構成するための組成物(樹脂組成物)等として好適である。
[アクリル系ポリマー]
アクリル系ポリマーは環構造を有する。このようなアクリル系ポリマーは、通常、熱可塑性ポリマーである。なお、このようなアクリル系ポリマーの製造方法は、特に限定されないが、後述の方法により製造されたものであってもよい。
アクリル系ポリマー(アクリル系ポリマー(A1)という場合がある)は、通常、(メタ)アクリル酸エステル単位[(メタ)アクリル酸エステル由来の単位(構造単位)]を有していてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単位を構成する(メタ)アクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、脂肪族(メタ)アクリレート[例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸C1-18アルキル)等]、脂環族(メタ)アクリレート[例えば、(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸シクロプロピル、(メタ)アクリル酸シクロブチル等の(メタ)アクリル酸C3-20シクロアルキル)、架橋環式(メタ)アクリレート(例えば、(メタ)アクリル酸イソボルニル)等]、芳香族(メタ)アクリレート[例えば、(メタ)アクリル酸アリールエステル(例えば、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸o-トリル等の(メタ)アクリル酸C6-20アリール)、(メタ)アクリル酸アラルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸C6-10アリールC1-4アルキル)、(メタ)アクリル酸フェノキシアルキル(例えば、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル等の(メタ)アクリル酸フェノキシC1-4アルキル)等]等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルには、置換基(例えば、ヒドロキシル基、アルコキシ基、グリシジル基等)を有する(メタ)アクリル酸エステルも含まれる。このような(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、ヒドロキシル基を有するメタクリル酸エステル[例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1-12アルキル)等]、アルコキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル[例えば、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル等のメタクリル酸C1-12アルコキシC1-12アルキル等)]、グリシジル基を有する(メタ)アクリル酸エステル(例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル等)等が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルは、1種又は2種以上組み合わせて(メタ)アクリル酸エステル単位を構成してもよい。
(メタ)アクリル酸エステル単位は、所望の物性にもよるが、特に、メタクリル酸エステル単位を少なくとも含むことが好ましい。
(メタ)アクリル酸エステル単位を構成するメタクリル酸エステルとしては、例えば、脂肪族メタクリレート[例えば、メタクリル酸アルキルエステル(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸へプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘプタデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸C1-18アルキル、好ましくはメタクリル酸C1-12アルキル)等]、脂環族メタクリレート[例えば、メタクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、メタクリル酸シクロプロピル、メタクリル酸シクロブチル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸C3-20シクロアルキル、好ましくはメタクリル酸C3-12シクロアルキル)、架橋環式メタクリレート(例えば、メタクリル酸イソボルニル等)等]、芳香族メタクリレート[例えば、メタクリル酸アリールエステル(例えば、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸o-トリル、メタクリル酸m-トリル、メタクリル酸p-トリル、メタクリル酸2,3-キシリル、メタクリル酸2,4-キシリル、メタクリル酸2,5-キシリル、メタクリル酸2,6-キシリル、メタクリル酸3,4-キシリル、メタクリル酸3,5-キシリル、メタクリル酸1-ナフチル、メタクリル酸2-ナフチル、メタクリル酸ビナフチル、メタクリル酸アントリル等のメタクリル酸C6-20アリール、好ましくはメタクリル酸C6-10アリール)、メタクリル酸アラルキルエステル(例えば、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸C6-10アリールC1-4アルキル)、メタクリル酸フェノキシアルキル(例えば、メタクリル酸フェノキシエチル等のメタクリル酸フェノキシC1-4アルキル)等]等を挙げることができる。
(メタ)アクリル酸エステル単位は、メタクリル酸エステル単位の中でも、透明性を向上させる等の観点から、メタクリル酸アルキルエステル単位(例えば、メタクリル酸C1-18アルキル単位)を少なくとも含むことが好ましく、特にメタクリル酸メチル単位を少なくとも含むことがさらに好ましい。
なお、アクリル系ポリマーは、必要に応じて、(メタ)アクリル酸エステル単位以外の他の重合性単量体(モノマー)由来の単位を含んでいてもよい。このような他のモノマーとしては、例えば、酸基含有モノマー(メタクリル酸、アクリル酸等)、スチレン系モノマー[例えば、スチレン、ビニルトルエン、置換基(例えば、ハロゲン基、アルコキシ基、アルキル基、ヒドロキシ基等)を有するスチレン(例えば、α―メチルスチレン、クロロスチレン等)、スチレンスルホン酸又はその塩等]、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル等)、不飽和ニトリル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、オレフィン系モノマー(例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブチレン、1-オクテン等のC2-10アルケン)、アミド基含有ビニル系単量体[例えば、(メタ)アクリルアミド、N-置換(メタ)アクリルアミド(例えば、N-メチル(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミド;N-シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド等のN-シクロアルキル(メタ)アクリルアミド;N-フェニル(メタ)アクリルアミド等のN-アリール(メタ)アクリルアミド;N-ベンジル(メタ)アクリルアミド等のN-アラルキル(メタ)アクリルアミド等)等]、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸エステル(例えば、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル等のアルキルエステル)等が挙げられる。
他のモノマーは、1種又は2種以上組み合わせて他のモノマー由来の単位を構成してもよい。
アクリル系ポリマー(又はアクリル系ポリマーの構成単位)中の(メタ)アクリル酸エステル単位の含有割合は、例えば、10質量%以上(例えば、20質量%以上)の範囲から選択でき、好ましくは30質量%以上(例えば、35質量%以上)、さらに好ましくは40質量%以上(例えば、45質量%以上)であってもよく、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上等であってもよい。
アクリル系ポリマーがメタクリル酸エステル単位を含む場合、アクリル系ポリマー(又はアクリル系ポリマーの構成単位)中のメタクリル酸エステル単位の含有割合は、例えば、10質量%以上の範囲から選択でき、20質量%以上、好ましくは30質量%以上(例えば、35質量%以上)、さらに好ましくは40質量%以上(例えば、45質量%以上)であってもよく、50質量%以上、55質量%以上、60質量%以上、65質量%以上等であってもよい。
アクリル系ポリマーがメタクリル酸エステル単位を含む場合、(メタ)アクリル酸エステル単位中のメタクリル酸エステル単位の含有割合は、例えば、10質量%以上(例えば、20質量%以上)、好ましくは30質量%以上(例えば、40質量%以上)、さらに好ましくは50質量%以上(例えば、60質量%以上)であってもよく、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上等であってもよい。
アクリル系ポリマーがメタクリル酸アルキルエステル単位を含む場合、(メタ)アクリル酸エステル単位中のメタクリル酸アルキルエステル単位の含有割合は、例えば、10質量%以上(例えば、20質量%以上)、好ましくは30質量%以上(例えば、40質量%以上)、さらに好ましくは50質量%以上(例えば、60質量%以上)であってもよく、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上等であってもよい。
なお、アクリル系ポリマーがメタクリル酸メチル単位を含む場合、(メタ)アクリル酸エステル単位中のメタクリル酸メチル単位の含有割合は、例えば、10質量%以上(例えば、20質量%以上)、好ましくは30質量%以上(例えば、40質量%以上)、さらに好ましくは50質量%以上(例えば、60質量%以上)であってもよく、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上等であってもよい。
なお、アクリル系ポリマーが(メタ)アクリル酸ベンジル単位を含む場合、アクリル系ポリマー中の(メタ)アクリル酸ベンジル単位の含有割合は、着色を低減する観点から比較的少なくてもよく、例えば、10質量%以下(例えば、5質量%以下)、好ましくは2質量%以下(例えば、1質量%以下)、さらに好ましくは0.5質量%以下等であってもよい。
アクリル系ポリマーがアクリル酸エステル単位を含む場合、アクリル系ポリマー中のアクリル酸エステル単位の含有割合は、耐熱性や屈折率の観点から比較的少なくてもよく、例えば、10質量%未満(例えば、8質量%以下)の範囲から選択でき、好ましくは5質量%以下(例えば、4質量%以下)、さらに好ましくは3質量%以下(例えば、2質量%以下)であってもよい。
アクリル系ポリマーが他の重合性単量体(モノマー)由来の単位を含む場合、アクリル系ポリマー中の当該単位の含有割合は、特に限定されず適宜選択できる。特に、他の重合性単量体として酸基含有モノマーを含む場合、酸基含有モノマー単位の含有割合は、透明性や着色等の観点から、比較的少なくてもよく、例えば、10質量%以下(例えば、5質量%以下)、好ましくは2質量%以下(例えば、1質量%以下)、さらに好ましくは0.5質量%以下等であってもよい。
アクリル系ポリマーは環構造を有する。この環構造は、通常、アクリル系ポリマー(ポリマー鎖)の主鎖に有する。
なお、アクリル系ポリマーが環構造を有することにより、アクリル系ポリマーにおいて種々の物性[例えば、耐熱性、耐湿熱性、耐黄変性、硬度(強度)、耐溶剤性、表面硬度、酸素や水蒸気のバリヤ性、光学特性、寸法安定性、形状安定性等]を、付与、改善又は向上しうる。
また、アクリル系ポリマーが環構造を有することにより、ポリメタクリル酸メチル等に比べて膜厚が薄い成形体(例えば、レンズ)を効率良く作成することが可能となる。
具体的な環構造としては、例えば、環状イミド構造(例えば、N-置換マレイミド単量体由来の構造、グルタルイミド構造等)、環状アミド構造(例えば、ラクタム構造等)、環状エステル構造(例えば、ラクトン環構造等)、無水酸構造(例えば、無水マレイン酸単量体由来の構造、無水グルタル酸構造)等が挙げられる。
環構造は、特に、非無水酸構造[例えば、無水マレイン酸単量体由来の構造、無水グルタル酸構造等でない環構造(例えば、環状イミド構造、環状アミド構造、環状エステル構造等)]であってもよい。
アクリル系ポリマーは、1種又は2種以上の環構造を有していてもよい。なお、2種以上の環構造を有する場合、2種以上の環構造は、同系統の環構造(例えば、2種以上の環状イミド構造等)であってもよく、異なる系統の環構造(例えば、環状イミド構造とラクトン構造との組み合わせ等)であってもよい。
グルタルイミド構造及び無水グルタル酸構造としては、例えば、以下の式(1)で表される構造が挙げられる。
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素原子またはアルキル基であり、Rは水素原子又は置換基であり、Xは酸素原子又は窒素原子である。Xが酸素原子のときn=0であり、Xが窒素原子のときn=1である。)
式(1)のR1及びR2において、アルキル基としては、例えば、C1-8アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソへキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等)等が挙げられる。
1及びR2は、特に、水素原子又はC1-4アルキル基であるのが好ましい。
式(1)のRにおいて、置換基としては、例えば、炭化水素基等が挙げられる。
炭化水素基としては、例えば、脂肪族基、脂環族基、芳香族基等が挙げられる。なお、炭化水素基は、さらにハロゲン等の置換基を有していてもよい。
式(1)のRにおいて、脂肪族基としては、例えば、C1-10アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、n-ヘキシル基、イソへキシル基、n-ヘプチル基、イソヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基等)等が挙げられる。これらのアルキル基のなかでも、C1-4アルキル基、特にメチル基が好ましい。
式(1)のRにおいて、脂環族基としては、例えば、C3-12シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)が挙げられる。これらのシクロアルキル基のなかでも、C3-7シクロアルキル基、特にシクロヘキシル基が好ましい。
式(1)のRにおいて、芳香族基としては、例えば、C6-20芳香族基[例えば、C6-20アリール基(例えば、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、2,3-キシリル基、2,4-キシリル基、2,5-キシリル基、2,6-キシリル基、3,4-キシリル基、3,5-キシリル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、ビナフチル基、アントリル基等)、C7-20アラルキル基(例えば、ベンジル基等)等]が挙げられる。これらの芳香族基のなかでも、フェニル基及びトリル基が好ましい。
代表的には、式(1)において、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又はメチル基、Rが、C1-10アルキル基、C3-12シクロアルキル基又はC6-20芳香族基であってもよく、好ましくは、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又はメチル基、Rが、C1-4アルキル基、C3-7シクロアルキル基、C6-20アリール基又はC7-20アラルキル基であってもよく、さらに好ましくは、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又はメチル基、Rが、メチル基、シクロヘキシル基、フェニル基又はトリル基であり、最も好ましくは、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又はメチル基、Rがシクロヘキシル基又はフェニル基であってもよい。アクリル系ポリマーの着色を抑制する観点ではRが水素原子又はメチル基、シクロヘキシル基であってもよく、成形体の強度向上の観点からはRが水素原子又はメチル基であってもよい。
なお、環構造は、式(1)で表わされる構造を1種又は2種以上有していてもよい。
特に、環構造が、式(1)で表される構造を有する場合、環状非無水物構造であるグルタルイミド構造(すなわち、式(1)において、Xが窒素原子である構造)を有するのが好ましい。
なお、無水グルタル酸構造(すなわち、式(1)において、Xが酸素原子である構造)は、加水分解したり、酸価が大きくなって耐水性や耐熱水性を低下させたり光学特性を変動させる虞がある。そのため、環構造は、無水グルタル酸構造を実質的に有していないか、含んでいても少ないのが好ましい場合がある。
マレイミド単量体(特にN-置換マレイミド単量体)及び無水マレイン酸単量体由来の構造としては、例えば、以下の式(2)で表される構造が挙げられる。
(式中、R、Rは互いに独立して水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子又は置換基であり、Xは酸素原子または窒素原子である。Xが酸素原子のときn=0であり、Xが窒素原子のときn=1である。)
式(2)のRにおいて、置換基としては、例えば、炭化水素基等が挙げられる。
当該炭化水素基としては、例えば、脂肪族基{例えば、アルキル基[例えば、C1-6直鎖アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)、C1-6分岐アルキル基(例えば、イソプロピル基等)等のC1-6アルキル基等]等}、脂環族基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のC3-20シクロアルキル基等)、芳香族基{例えば、C6-20芳香族基[例えば、C7-20アラルキル基(例えば、ベンジル基等)、C6-20アリール基(例えば、フェニル基等)]}等が挙げられる。なお、炭化水素基は、さらにハロゲン等の置換基を有していてもよい。
が酸素原子のとき、式(2)により示される環構造は無水マレイン酸単量体由来の構造となる。
一方、Xが窒素原子のとき、式(2)により示される環構造はN-置換マレイミド単量体由来の構造となる。
式(2)において、Xが窒素原子のとき、好ましくは、R及びRがそれぞれ独立して水素原子、RがC3-20シクロアルキル基又はC6-20芳香族基であってもよく、より好ましくはR及びRがそれぞれ独立して水素原子、Rがシクロヘキシル基、ベンジル基又はフェニル基であってもよい。アクリル系ポリマーの着色を抑制する観点ではRが水素原子又はメチル基、シクロヘキシル基であってもよく、成形体の強度向上の観点からはRが水素原子又はメチル基であってもよい。
環構造は、式(2)で表わされる構造を1種又は2種以上有していてもよい。
特に、環構造が、式(2)で表される構造を有する場合、環状非無水酸構造であるマレイミド単量体由来の構造(すなわち、式(2)において、Xが窒素原子である構造)を有するのが好ましい。
なお、上記式(2)において、Xが酸素原子(及びn=0)であるとき、上記式(2)は無水マレイン酸単量体由来の構造となる。このような無水マレイン酸単量体由来の構造は、加水分解したり、酸価が大きくなって耐水性や耐熱水性を低下させたり光学特性を変動させる虞がある。そのため、環構造は、無水マレイン酸単量体由来の構造を実質的に有していないか、含んでいても少ないのが好ましい場合がある。
ラクトン環構造としては、特に限定されず、例えば、4から8員環であってもよいが、環構造の安定性に優れることから5員環又は6員環であることが好ましく、6員環であることがより好ましい。
ラクトン環構造は、例えば、特開2004-168882号公報等に開示される構造であってもよいが、例えば、以下の式(3)で表される構造等が挙げられる。
(式中、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子又は置換基である。)
式(3)において、置換基としては、例えば、炭化水素基等の有機残基等が挙げられる。
当該炭化水素基としては、例えば、脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のC1-20アルキル基、エテニル基、プロペニル基等のC2-20不飽和脂肪族炭化水素基等)、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基等のC6-20芳香族炭化水素基等)等が挙げられる。
前記炭化水素基は、酸素原子を含んでいてもよく、水素原子の一つ以上が、水酸基、カルボキシル基、エーテル基及びエステル基から選ばれる少なくとも1種類の基により置換されていてもよい。
式(3)において、好ましくは、Rが水素原子又はメチル基、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又はC1-20アルキル基であってもよく、より好ましくは、Rが水素原子又はメチル基、R及びRがそれぞれ独立して水素原子又はメチル基であってもよい。
環構造は、式(3)で表わされる構造を1種又は2種以上含んでいてもよい。
ラクタム環構造としては、特に限定されず、例えば、以下の式(4)で表されるピロリジノン環構造等が挙げられる。
ピロリジノン環構造は、基本骨格として5員環のアミド環構造(環状アミド構造)を有する。この環状アミド構造は、5員環のラクタム構造(γ-ラクタム構造)でもある。主鎖にピロリジノン環構造を有するとは、5員環であるピロリジノン環構造の基本骨格を構成する5つの原子のうち少なくとも1つの原子、典型的にはアミド結合(―N(R)CO-)を構成しない3つの炭素原子が当該重合体の主鎖に位置し、主鎖を構成することを意味する。
(式中、R10~R12は、それぞれ独立して、水素原子又は置換基である。)
式(4)のR10において、置換基としては、例えば、炭化水素基又は-NHCOR13基(R13は、水素原子又は炭化水素基)等が挙げられる。
10又はR13における炭化水素基としては、例えば、脂肪族基、脂環族基、芳香族基等が挙げられる。
脂肪族基としては、例えば、C1-18アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のC1-18直鎖又は分岐アルキル基等)等が挙げられる。
脂環族基としては、例えば、C3-18シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)等が挙げられる。
芳香族基としては、例えば、C6-20芳香族基[例えば、C6-20アリール基(例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基等)、C7-20アラルキル基(例えば、ベンジル基等)等]が挙げられる。
10としては、特に、水素原子、C1-18直鎖アルキル基(例えば、メチル基等)等が好ましい。
また、R13としては、特に、水素原子、C1-18直鎖アルキル基(好ましくは、C1-12直鎖アルキル基、より好ましくは、C1-4直鎖アルキル基等)、C6-20アリール基(例えば、フェニル基等)、C3-18シクロアルキル基(好ましくは、C3-12シクロアルキル基、より好ましくは、C3-6シクロアルキル基等)等が好ましい。
式(4)のR11において、置換基としては、例えば、-COOR14基(R14は、水素原子又は炭化水素基)等が挙げられる。
14における炭化水素基としては、例えば、R10又はR13で例示の炭化水素基等が挙げられる。
また、R14の特に好ましい態様も、R13の特に好ましい態様と同じである。
式(4)のR12において、置換基としては、例えば、-COR15基(R15は、水素原子又は炭化水素基)等が挙げられる。
15における炭化水素基としては、例えば、R10又はR13で例示の炭化水素基等が挙げられる。
また、R15の特に好ましい態様も、R13の特に好ましい態様と同じである。
アクリル系ポリマーが有する環構造は、所望の物性(例えば、耐熱性、硬度(強度)、耐溶剤性、表面硬度、酸素や水蒸気のバリヤ性、光学特性、寸法安定性、形状安定性等)等に応じて適宜選択してもよい。例えば、耐熱性等の観点から、環構造は、ラクトン環構造、環状イミド構造(例えば、N-置換マレイミド単量体由来の構造、グルタルイミド構造等)を好適に含んでいてもよい。
また、耐水性や耐熱水性等の観点から、環構造は、環状非無水物構造[例えば、ラクトン環構造、環状イミド構造(特に、グルタルイミド構造、N-置換マレイミド単量体由来の構造)]を好適に含んでいてもよい。
さらに、表面硬度、耐溶剤性、バリヤ特性、光学特性等の観点から、環構造は、ラクトン環構造、グルタルイミド構造等を好適に含んでいてもよい。
特に、環構造は、環状イミド構造(特に、グルタルイミド構造、N-置換マレイミド単量体由来の構造)及びラクトン環構造から選択された少なくとも1種の環構造を含有していてもよく、特に少なくともラクトン環構造を含有していてもよい。
環構造の含有割合は、用途や所望の物性等に応じて選択でき、特に限定されないが、例えば、アクリル系ポリマー中、0.1質量%以上(例えば、0.5質量%以上)程度の範囲から選択でき、1質量%以上、好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であってもよく、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上等であってもよい。
環構造の含有割合(又はその上限値)は、特に限定されず、例えば、アクリル系ポリマー中、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下等であってもよい。
環構造の含有割合が大きくなると、耐熱性、硬度(強度)、耐溶剤性、表面硬度、寸法安定性等の点で好ましい。
なお、これらの上限値と下限値とを適宜組み合わせて適当な範囲(例えば、1~70質量%、3~60質量%、5~60質量%、5~50質量%等)を設定してもよい(他も同じ)。
特に、アクリル系ポリマーが、グルタルイミド構造を有する場合、グルタルイミド構造の含有割合は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であってもよく、90質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下であってもよい。
アクリル系ポリマーが、N-置換マレイミド単量体由来の構造を有する場合、N-置換マレイミド単量体由来の構造の含有割合は、例えば5~90質量%、好ましくは5~60質量%、より好ましくは10~50質量%、さらに好ましくは10~30質量%であってもよい。
アクリル系ポリマーが、ラクトン環構造を有する場合、ラクトン環構造の含有割合は、例えば、1~80質量%、好ましくは3~70質量%、さらに好ましくは5~60質量%(例えば、10~50質量%)であってもよく、15質量%以上(例えば、18~55質量%)、20質量%以上(例えば、23~50質量%)、25質量%以上(例えば、26~45質量%、28~40質量%等)などとすることもできる。
アクリル系ポリマーが、ラクタム環構造を有する場合、ラクタム環構造の含有割合は、例えば、1~80質量%、好ましくは5~70質量%、さらに好ましくは10~50質量%程度であってもよい。
また、環構造の含有割合は、例えば、1~80質量%、好ましくは3~70質量%、さらに好ましくは5~60質量%(例えば、10~50質量%)であってもよく、比較的高割合、例えば、10質量%以上[例えば、13~60質量%、15質量%以上(例えば、18~55質量%)、20質量%以上(例えば、23~50質量%)、25質量%以上(例えば、26~45質量%、28~40質量%等)]とすることもできる。
なお、アクリル系ポリマーに導入する環構造の含有割合を比較的高割合とすることにより、非常に優れた耐熱性(例えば、高いガラス転移温度)や耐湿熱性を有するアクリル系ポリマーを効率良く得やすい。
本発明の組成物では、アクリル系ポリマーに環構造(例えば、少なくともラクトン環構造を含む環構造)を高割合で含む場合であっても、着色(黄変)を効率良く抑えうる。
なお、アクリル系ポリマーにおける環構造の割合は、環構造の種類等に応じて、慣用の方法を利用でき、例えば、環状エステル構造(ラクトン環構造)の割合は、脱アルコール反応率に基づいて(例えば、後述の方法により)求めてもよく、非環状エステル構造(例えば、環状イミド構造、環状アミド構造、無水酸構造等)の割合は、NMR(例えば、H-NMR、13C-NMR等)分析に基づいて求めてもよい。NMR分析(NMR測定)において、分析(測定)条件は、適宜選択できるが、例えば、所定の測定溶媒(例えば、CDCl、DMSO-d)を用い、所定の測定温度(例えば、40℃)で分析(測定)してもよい。
アクリル系ポリマーは、重合の際に使用する成分等に由来の原子や基を有していてもよい。
例えば、アクリル系ポリマーは、硫黄原子を含有してもよい。より具体的な態様では、硫黄含有基(硫黄含有骨格)を、少なくとも分子末端に有していてもよい。
このような硫黄原子や硫黄含有基を有するアクリル系ポリマーは、例えば、チオール化合物(例えば、後述のチオール化合物)を連鎖移動剤として使用することにより得られる。
なお、アクリル系ポリマーが、共重合体であるとき、共重合の形態は特に限定されず、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体等であってもよい。
例えば、アクリル系ポリマーは、環構造を有しているため、通常、共重合体と言えるが、環構造の導入形態は、特に限定されず、ランダムに導入されていてもよく、ブロック、交互、グラフト等のように導入されていてもよい。
アクリル系ポリマー(又はその組成物)は、比較的高い流動性(溶融流動性)を有してもよい。
アクリル系ポリマー(又はその組成物、以下、同様の記載において同じ)のメルトフローレートは、温度230℃及び荷重3.8kgにおいて、例えば、1g/10分以上(例えば、1.2g/10分以上)、好ましくは1.5g/10分以上(例えば、1.8g/10分以上)、さらに好ましくは2g/10分以上(例えば、2.1g/10分以上)、特に好ましくは2.2g/10分以上であってもよく、2.5g/10分以上(例えば、2.8g/10分以上、3g/10分以上、3.2g/10分以上、3.5g/10分以上、3.7g/10分以上、3.8g/10分以上、3.9g/10分以上、4g/10分以上など)であってもよい。
環構造が導入されたアクリル系ポリマーは、比較的低い溶融流動性を示す場合が多いが、本発明では、環構造を有していながら(特に、高割合で環構造を有する場合であっても)、比較的高い溶融流動性を実現しうる。
溶融流動性に優れる(高い溶融流動性を有する)ことにより、成形(特に、射出成形)時の着色を低減し、黄色度が小さい成形体(ヘッドアップディスプレイや車載カメラといったレンズ部材などの射出成形体)を効率よく得ることができる。
溶融流動性が高いことにより、より低温での成形加工が可能となり、成形工程における熱履歴を抑制することにより成形品の着色を低減しうると共に、射出装置の昇温降温工程に要する時間を短縮できることから、生産性向上が期待できる。
アクリル系ポリマーのメルトフローレートの上限値は、温度230℃及び荷重3.8kgにおいて、例えば、10g/10分以下、9.8g/10分以下、9.6g/10分以下、9.4g/10分以下、9.2g/10分以下、9g/10分以下、8.8g/10分以下、8.6g/10分以下、8.4g/10分以下、8.2g/10分以下、8g/10分以下、7.8g/10分以下、7.6g/10分以下、7.4g/10分以下、7.2g/10分以下、7g/10分以下などであってもよい。
アクリル系ポリマーのメルトフローレートの具体的な範囲としては、アクリル系ポリマーの成形性が優れるなどの観点から、温度230℃及び荷重3.8kgにおいて、例えば、1g/10分以上10g/10分以下、好ましくは2g/10分以上9g/10分以下(例えば、2g/10分以上8g/10分以下)などであってもよい。
なお、アクリル系ポリマーのメルトフローレートは、JIS K 7210に準拠して測定してもよい。
アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、5000以上(例えば、7000以上程度の範囲から選択してもよく、例えば、10000以上(例えば、12000以上)、好ましくは15000以上(例えば、18000以上)、さらに好ましくは20000以上(例えば、25000以上)であってもよく、30000以上(例えば、35000以上、38000以上、40000以上、42000以上、45000以上、48000以上、50000以上、52000以上、55000以上、58000以上、60000以上、62000以上、65000以上など)であってもよい。
アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)の上限値は、例えば、100000、98000、95000、92000、90000、88000などであってもよい。
特に、アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、比較的低分子量、例えば、150000以下、120000以下、100000以下、95000以下などであってもよい。
アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)の具体的な範囲としては、アクリル系ポリマーの成形性が優れるなどの観点から、例えば、50000以上100000以下、好ましくは50000以上95000以下(例えば、50000以上93000以下)などであってもよい。
アクリル系ポリマーは、溶融流動性や成形体の強度などの観点から、比較的狭い分子量分布(Mw/Mn)を有してもよい。
アクリル系ポリマーの分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、1~10(例えば、1.1~7.0)、好ましくは1.2~5.0(例えば、1.5~4.0)程度であってもよく、1.5~3.0程度であってもよく、2.4以下、2.35以下、2.3以下、2.25以下、2.2以下、2.1以下などであってもよい。
なお、分子量(及び分子量分布)は、例えば、GPCを用い、ポリスチレン換算により測定してもよい。
アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、例えば、70℃以上(例えば、80~200℃)、好ましくは90℃以上(例えば、100~180℃)、さらに好ましくは110℃以上(例えば、115~160℃)程度であってもよく、120℃以上(例えば、120~150℃)程度であってもよく、122℃以上[例えば、123~160℃、125℃以上(例えば、126~155℃)、128℃以上(例えば、129~150℃)、130℃以上(例えば、131~148℃)、132℃以上(例えば、132~145℃、134~142℃、135~150℃)]等とすることもできる。
なお、ガラス転移温度は、例えば、アクリル系ポリマーに導入する環構造の含有割合等により効率よく調整しうる。
本発明のアクリル系ポリマーは、このような比較的高いガラス転移温度(耐熱性)を有していながら、高透明性、低着色性や、優れた耐久性を実現しうる。
なお、Tgは、例えば、後述の方法により測定してもよい。
アクリル系ポリマーは、環構造を有しており、比較的高いガラス転移温度を有している場合が多い。
アクリル系ポリマーの黄色度(YI)は、比較的小さいものであってもよい。
このようなアクリル系ポリマーの黄色度は、例えば、2以下、好ましくは1.7以下、さらに好ましくは1.5以下であってもよく、1.4以下、1.3以下、1.2以下、1.1以下、1.0以下、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下などであってもよい。
なお、黄色度の下限値は、0(又は検出限界)であってもよく、有限値(例えば、0.01、0.02、0.05、0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35など)であってもよい。
なお、アクリル系ポリマーの黄色度は、これらの上限値と下限値とを適宜組み合わせて適当な範囲(例えば、0.01~2.0、0.05~1.7、0.1~1.5、0.1~1.3等)を設定してもよい(他も同じ)。
黄色度は、例えば、厚み3mm{例えば、厚み3mmのシート[シート状成形体(射出成形体)]等}における値[例えば、分光光度計(島津製作所社製、UV-3600)を用い、C2度光源、波長380nm~780nmの範囲で、JIS K7373の規定に準拠して測定された値]であってもよく、詳細には後述の方法にて測定された値であってもよい。
アクリル系ポリマーの全光線透過率は、比較的高いものであってもよい。
アクリル系ポリマーの全光線透過率は、例えば、90%以上、好ましくは91%以上、より好ましくは92%以上であってもよい。
なお、全光線透過率の上限値は、100%であってもよく、例えば、99.9%、99%、98%、97%、96%、95%などであってもよい。
全光線透過率は、例えば、厚み3mm{例えば、厚み3mmのシート[シート状成形体(射出成形体)]等}における値[例えば、濁度計(日本電色工業社製、NDH 5000)を用い、JIS K7361の規定に準拠して測定された値]であってもよく、詳細には後述の方法にて測定された値であってもよい。
なお、このような黄色度や全光線透過率は、後述の着色剤との組み合わせ(さらにはその種類や割合)の他、前記のMFR(さらにはMw等)や、アクリル系ポリマーの製造条件、配合する添加剤の種類(紫外線吸収剤等)やその量等によって調整しうる。
本発明では、耐久性に優れたアクリル系ポリマーを提供しうる。そのため、このような黄色度や透明性は、過酷な条件を経た後においても高いレベルで維持しうる。
例えば、アクリル系ポリマーを、温度125℃で1000時間放置(なりゆき湿度)後の黄色度をY1、放置(処理)前の黄色度をY0とするとき、これらの差(Y1-Y0)の絶対値は、2.5以下、2.4以下、2.2以下、2.0以下、1.8以下、1.6以下、1.5以下、1.4以下、1.3以下、1.2以下、1.1以下、1.0以下、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下、0.4以下、0.3以下、0.2以下等であってもよい。
また、アクリル系ポリマーを、125℃で1000時間放置(なりゆき湿度)後の全光線透過率をT1、放置(処理)前の全光線透過率をT0とするとき、これらの差(T1-T0)の絶対値は、1.5%以下、1.4%以下、1.3%以下、1.2%以下、1.1%以下、1.0%以下、0.9%以下、0.8%以下、0.7%以下、0.6%以下、0.5%以下、0.4%以下、0.3%以下、0.2%以下、0.1%以下等であってもよい。
なお、アクリル系ポリマーは、慣用の方法により製造してもよく、特に、後述の方法により製造してもよい。
[アクリル系ポリマーの製造方法]
本発明には、アクリル系ポリマーの製造方法が含まれる。このような製造方法において、製造されるアクリル系ポリマーは、上記[アクリル系ポリマー]と同様であってもよい。例えば、当該製造方法により得られるアクリル系ポリマーにおいて、環構造の種類や割合、これらの好ましい態様などは、前記例示の通りであってもよい。
アクリル系ポリマーは、重合成分を重合する工程(重合工程)を少なくとも経て製造できる。
重合成分は、アクリル系ポリマーの原料となるモノマーであり、前記例示の(メタ)アクリル酸エステルや他のモノマーに相当する。モノマーの種類や好ましい態様などは前記と同様である。
なお、アクリル系ポリマーは、環構造を有するが、環構造の種類によっては、重合成分は、環構造を構成するモノマーや環構造の原料となるモノマーを含んでいてもよい。
例えば、マレイミド単量体や無水マレイン酸単量体由来の構造を有するアクリル系ポリマーを製造する場合、重合成分は、例えば、無水マレイン酸、マレイミド系モノマー[例えば、マレイミド;N-アルキルマレイミド(例えば、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミドなどのN-C1-10アルキルマレイミド)、N-シクロアルキルマレイミド(例えば、シクロヘキシルマレイミドなどのN-C3-20シクロアルキルマレイミド)、N-アリールマレイミド(例えば、N-フェニルマレイミドなどのN-C6-10アリールマレイミド)、N-アラルキルマレイミド(例えば、N-ベンジルマレイミドなどのN-C7-10アラルキルマレイミド)などのN-置換マレイミドなど]を含んでいてもよい。
ラクトン環構造を有するアクリル系ポリマーを製造する場合、重合成分は、ラクトン環の原料となるモノマー、例えば、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸エステル(例えば、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチル等のアルキルエステル)を含んでいてもよい。
ラクタム環構造を有するアクリル系ポリマーを製造する場合、重合成分は、ラクタム系単量体[例えば、N-ビニルピロリドン系単量体(例えば、N-ビニルピロリドン、N-ビニル-4-ブチルピロリドン、N-ビニル-4-プロピルピロリドン、N-ビニル-4-エチルピロリドン、N-ビニル-4-メチルピロリドン、N-ビニル-4-メチル-5-エチルピロリドン、N-ビニル-4-メチル-5-プロピルピロリドン、N-ビニル-5-メチル-5-エチルピロリドン、N-ビニル-5-プロピルビロリドン、N-ビニル-5-ブチルピロリドンなど)、N-ビニルカプロラクタム系単量体(例えば、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニル-6-メチルカプロラクタム、N-ビニル-6-プロピルカプロラクタム、N-ビニル-7-ブチルカプロラクタムなど)など]などを含んでいてもよい。
重合は、通常、ラジカル重合であってもよい。
重合は、重合開始剤(特にラジカル重合開始剤)の存在下で行ってもよい。
重合開始剤(ラジカル重合開始剤)としては、特に限定されないが、例えば、有機過酸化物[例えば、パーオキシド(ジアルキルパーオキシド、ジアシルパーオキシドなど)、パーオキシモノカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタールなど]、アゾ化合物などが含まれる。
具体的な重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物[例えば、tert―アミルパーオキシイソノナノエート、t―アミルパーオキシ―2―エチルヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサネート、tert-ブチルパーオキシラウレート、tert-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert-ブチルパーオキシアセテート、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、tert-ブチルパーオキシ2-エチルヘキサネート、tert-ブチルパーオキシイソブチレート、tert-ヘキシルパーオキシ2-エチルヘキサネート、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルパーオキシ)ヘキサン等]、アゾ化合物[例えば、2-(カルバモイルアゾ)-イソブチロニトリル、1,1'-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、ジメチル2,2'-アゾビスイソブチレート、2、2'-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、2、2'-アゾビス(2-メチルプロパン)等]等が挙げられる。
重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
特に、重合開始剤として、少なくとも有機過酸化物(パーオキシエステルなど)を好適に使用してもよい。有機過酸化物を用いることで、より黄色度を小さくすることができる。
重合開始剤の使用量(使用割合)は、重合開始剤の種類などにもよるが、例えば、重合成分100質量部に対して、0.01質量部以上、好ましくは0.05質量部以上、さらに好ましくは0.1質量部以上、特に0.15質量部以上などであってもよく、0.2質量部以上(例えば、0.25質量部以上、0.28質量部以上、0.3質量部以上、0.32質量部以上、0.35質量部以上、0.38質量部以上、0.4質量部以上、0.42質量部以上、0.45質量部以上、0.48質量部以上、0.5質量部以上、0.52質量部以上)であってもよい。
重合開始剤の使用量の上限値は、特に限定されないが、例えば、重合成分100質量部に対して、10質量部、9質量部、8質量部、7質量部、6質量部、5質量部、4.5質量部、4質量部、3.5質量部、3.2質量部、3質量部、2.8質量部、2.5質量部、2.2質量部、2質量部、1.8質量部、1.5質量部、1.2質量部、1質量部、0.9質量部、0.8質量部、0.7質量部などであってもよい。
特に、本発明では、重合成分100質量部に対する重合開始剤の使用割合を比較的大きく[例えば、0.2質量部以上、0.3質量部以上、0.4質量部以上(例えば、0.4~0.8質量部)など]としてもよい。
このように重合開始剤を比較的多く使用することで、溶融流動性などの点で有利なアクリル系ポリマーを効率良く得やすい。また、連鎖移動剤を使用した場合であっても、十分な重合反応速度を担保しやすく、溶融流動性が良好なアクリル系ポリマーを効率良く得ることができる。
重合は、連鎖移動剤の存在下で行ってもよい。
連鎖移動剤としては、特に限定されないが、例えば、チオール化合物{例えば、第1級チオール[例えば、脂肪族第1級チオール(例えば、ブタンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール(n―ドデシルメルカプタン)、ヘキサデカンチオール、オクタデカンチオール、デカントリチオール等の第1級アルキルメルカプタン、好ましくは第1級C3―30アルキルメルカプタン)等]、第2級チオール[例えば、脂肪族第2級チオール(例えば、2-プロパンチオール、2-ブタンチオール、2-メチル-1-プロパンチオール、3-メチル-2-ブタンチオール、3-ペンタンチオール、2-デカンチオール、3-デカンチオール、4-デカンチオール、5-デカンチオール、2-ヘキサデカンチオール、5-ヘキサデカンチオール、8-オクタデカンチオール等の第2級アルキルメルカプタン、好ましくは第2級C3―30アルキルメルカプタン)、脂環族第2級チオール(例えば、シクロヘキサンチオール、シクロペンタンチオール等のシクロアルキルメルカプタン、好ましくはC3―20シクロアルキルメルカプタン)、芳香族第2級チオール(例えば、チオフェノール等のアリールメルカプタン、好ましくはC6-20アリールメルカプタン)等]、第3級チオール[例えば、脂肪族第3級チオール(例えば、tert-ブチルメルカプタン、tert-ドデシルメルカプタン、tert-ノニルメルカプタン、tert-ヘキシルメルカプタン等のtert-アルキルメルカプタン、好ましくはC3―30tert-アルキルメルカプタン)等]}等が挙げられる。
なお、連鎖移動剤が多官能チオールを含む場合、連鎖移動剤中の多官能チオールの割合は少なくてもよい。連鎖移動剤中の多官能チオールの使用量(使用割合)は、例えば、20質量%以下(例えば、15質量%以下)、好ましくは10質量%以下(例えば、5質量%以下)、より好ましくは3質量%以下であってもよく、1質量%以下、0.5質量%以下などであってもよい。
連鎖移動剤は、1種又は2種以上使用することができる。
連鎖移動剤の使用量(使用割合)は、例えば、重合成分100質量部に対して、0.001質量部以上、好ましくは0.005質量部以上、さらに好ましくは0.01質量部以上、特に0.015質量部以上などであってもよく、0.02質量部以上であってもよい。
連鎖移動剤の使用量の上限値は、特に限定されないが、例えば、重合成分100質量部に対して、5質量部、4質量部、3質量部、2質量部、1.5質量部、1質量部、0.5質量部、0.25質量部、0.2質量部、0.15質量部、0.1質量部、0.08質量部、0.07質量部などであってもよい。
特に、本発明では、連鎖移動剤を使用する場合でも、着色低減の観点などから重合成分100質量部に対する連鎖移動剤の使用割合を比較的小さく[例えば、0.5質量部以下、0.1質量部以下(例えば、0.001~0.1質量部)など]としてもよく、連鎖移動剤を使用しなくてもよい。
このように、連鎖移動剤を使用しなくても、又は連鎖移動剤の使用量を比較的少なくしても、溶融流動性などの点で有利なアクリル系ポリマーを効率良く得やすい。
連鎖移動剤および重合開始剤の質量比は、アクリル系ポリマーの着色抑制や、溶融流動性などの観点から、好ましくは1/2以下、さらに好ましくは1/3以下、1/4以下、1/5以下であってよい。連鎖移動剤および重合開始剤の質量比は(連鎖移動剤の質量)/(重合開始剤の質量)より算出する。
重合は、必要に応じて、重合開始剤や連鎖移動剤の他、他の成分(例えば、pH調整剤、各種触媒など)の存在下で行ってもよい。
重合は、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などのいずれであってもよく、特に、不純物を含まず、流動性の安定したポリマーを得る等の観点から溶液重合であってもよい。溶液重合では、比較的均一に重合できるためか、塊状重合と比較して、著しく分子量が高いポリマーの生成などが抑えられるようであり、安定した流動性を有するポリマーを効率よく得やすい。また、懸濁重合、乳化重合と比較して乳化剤などの不純物を含まない為、透明度の高いポリマーを効率よく得やすい。
重合を溶媒中で行う場合(例えば、溶液重合である場合)、溶媒としては、重合成分の種類等に応じて適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、有機溶媒[芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなど)、脂肪族又は脂環族炭化水素類(例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなど)、ハロゲン系溶媒(例えば、クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素など)など]、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、エーテル類[例えば、鎖状エーテル類(例えば、ジエチルエーテルなど)、環状エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)など]、アミド類[例えば、N-置換アミド(N,N-ジメチルホルムアミドなどのN-アルキル置換アルカンアミド)]、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルカノール)、グリコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのアルカンジオール又はポリアルカンジオールのモノアルキルエーテル)など]などが挙げられる。
溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
重合において、重合系全体における重合成分の濃度は、分子量増加の抑制や生産性などの観点から例えば、20質量%以上(例えば、20~70質量%)、好ましくは35質量%以上(例えば、35~65質量%)、さらに好ましくは40質量%以上(例えば、40~60質量%)、特に45質量%以上(例えば、45~55質量%)であってもよい。
なお、各成分(例えば、重合成分、重合開始剤、連鎖移動剤、その他の成分、溶媒など)は、重合開始の段階ですべて反応系(反応器)に存在させて(仕込んで)もよく、重合の進行とともに添加(又は混合)してもよく、これらを組み合わせてもよい。このような場合、各成分の添加速度や添加時間は、適宜選択できる。
各成分は、複数回(2回以上、例えば、2~5回など)に分割して反応系に添加してもよい。
特に、重合成分(モノマー)を重合の進行とともに反応系に添加してもよく、その場合、重合成分を複数回に分割して添加してもよいし、重合成分を滴下させてもよい。重合成分を滴下によって反応系に添加すると、比較的分子量分布の狭いアクリル系ポリマーを得やすい。
また、重合開始剤を重合の進行とともに反応系に添加してもよい。特に、重合成分を滴下によって反応系に添加する場合、重合開始剤も滴下によって反応系に添加することが好ましい。重合開始剤を重合の進行とともに反応系に添加することにより、安全性の確保または比較的分子量分布の狭い重合体を得られることが期待できる。
なお、滴下によって重合成分や重合開始剤を添加する場合、滴下速度は、特に限定されないが、比較的分子量の小さいアクリル系ポリマーを得やすいなどの観点から、ゆっくりと添加することが好ましく、1時間以上(例えば、1~10時間など)かけて添加してもよい。
重合は、通常、所定の温度(又は加温下)で行われる。重合温度(反応温度)としては、重合成分、重合開始剤、溶媒の種類等に応じて適宜選択でき、例えば、20℃以上、好ましくは30℃以上(例えば、35~180℃)、さらに好ましくは40℃以上(例えば、45~170℃)、特に50℃以上(例えば、55~160℃)、特に好ましくは60℃以上(例えば、65~150℃)であってもよく、通常70~140℃(例えば、80~130℃)程度であってもよい。
なお、重合の経過とともに、重合温度を変化させてもよいが、このように変化させる場合であっても、通常、上記温度の範囲内で重合を行う場合が多い。
重合は、撹拌下で行ってもよい。また、重合は、空気中で行ってもよく、不活性雰囲気下(窒素、ヘリウム、アルゴン中など)で行ってもよい。
重合時間(熟成する場合)は、重合成分の量、重合温度などに応じて適宜選択でき、特に限定されないが、例えば、30分以上(例えば、40分~24時間)、好ましくは1時間以上(例えば、1.5~16時間)、さらに好ましくは2時間以上(例えば、2.5~12時間)であってもよい。
アクリル系ポリマーは環構造を有する。このような環構造は、環構造の種類に応じて、上記のような重合とともに形成されてもよく(例えば、マレイミド単量体や無水マレイン酸単量体由来の構造、ラクタム環構造などの場合)、重合後、さらに環構造を形成又は導入する工程を経てアクリル系ポリマーに形成又は導入できる。環構造の形成又は導入する方法としては、特に限定されず、公知の方法に従うことができる。
例えば、ラクトン環構造は、前記のように、ラクトン環の原料となるモノマー[例えば、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸エステル]由来の単位を含むアクリル系ポリマーを環化(環化縮合、環化処理)することで、形成又は導入できる。環化は、環化触媒[例えば、リン系触媒(例えば、リン酸ステアリルなどのリン酸エステル)]の存在下で行ってもよい。
環化触媒の一例としては、例えば、一般に使用されるp-トルエンスルホン酸などのエステル化触媒またはエステル交換触媒、塩基性化合物、有機カルボン酸塩、炭酸塩などが挙げられるが、本発明においては、有機リン化合物を用いることが好ましい。
有機リン酸化合物としては、例えば、メチル亜ホスホン酸、エチル亜ホスホン酸、フェニル亜 ホスホン酸などのアルキル(アリール)亜ホスホン酸(ただし、これらは、互変異性体であるアルキル(アリール)ホスフィン酸になっていてもよい)およびこれらのモノエステルまたはジエステル;ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、フェニルエチルホスフィン酸などのジアルキル(アリール)ホスフィン酸およびこれらのエステル;メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、トリフルオルメチルホスホン酸、フェニルホスホン酸などのアルキル(アリール)ホスホン酸およびこれらのモノエステルまたはジエステル;メチル亜ホスフィン酸、エチル亜ホスフィン酸、フェニル亜ホスフィン酸などのアルキル(アリール)亜ホスフィン酸およびこれらのエステル;亜リン酸メチル、亜リン酸エチル、亜リン酸フェニル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニルなどの亜リン酸モノエステル、ジエステルまたはトリエステル;リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸2-エチルヘキシル、リン酸オクチル、リン酸イソデシル、リン酸ラウリル、リン酸ステアリル、リン酸イソステアリル、リン酸フェニル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジ-2-エチルヘキシル、リン酸ジイソデシル、リン酸ジラウリル、リン酸ジステアリル、リン酸ジイソステアリル、リン酸ジフェニル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリイソデシル、リン酸トリラウリル、リン酸トリステアリル、リン酸トリイソステアリル、リン酸トリフェニルなどのリン酸モノエステル、ジエステルまたはトリエステル;メチルホスフィン、エチルホスフィン、フェニルホスフィン、ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなどのモノ-、ジ-またはトリ-アルキル(アリール)ホスフィン;メチルジクロロホスフィン、エチルジクロロホスフィン、フェニルジクロロホスフィン、ジメチルクロロホスフィン、ジエチルクロロホスフィン、ジフェニルクロロホスフィンなどのアルキル(アリール)ハロゲンホスフィン;酸化メチルホスフィン、酸化エチルホスフィン、酸化フェニルホスフィン、酸化ジメチルホスフィン、酸化ジエチルホスフィン、酸化ジフェニルホスフィン、酸化トリメチルホスフィン、酸化トリエチルホスフィン、酸化トリフェニルホスフィンなどの酸化モノ-、ジ-またはトリ-アルキル(アリール)ホスフィン;塩化テトラメチルホスホニウム、塩化テトラエチルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウムなどのハロゲン化テトラアルキル(アリール)ホスホニウム;などが挙げられる。
これらの有機リン化合物は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これらの有機リン化合物のうち、触媒活性が高くて着色性が低いことから、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、亜リン酸モノエステルまたはジエステル、リン酸モノエステルまたはジエステル、アルキル(アリール)ホスホン酸が好ましく、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、亜リン酸モノエステルまたはジエステル、リン酸モノエステルまたはジエステルがより好ましく、アルキル(アリール)亜ホスホン酸、リン酸モノエステルまたはジエステルが特に好ましい。
グルタルイミド構造は、(メタ)アクリル酸エステル単位をイミド化する方法などの公知の方法(例えば、特開2006-309033号公報、特開2006-317560号公報、特開2006-328329号公報、特開2006-328334号公報、特開2006-337491号公報、特開2006-337492号公報、特開2006-337493号公報、特開2007-009182号公報などに記載の方法)によりアクリル系ポリマーに形成又は導入できる。
無水グルタル酸構造は、例えば、隣接する(メタ)アクリル酸エステル単位及び(メタ)アクリル酸単位間で分子内脱アルコール反応させる方法(例えば、特開2006-283013号公報、特開2006-335902号公報、特開2006-274118号公報に記載の方法等)により、アクリル系ポリマーに形成又は導入することができる。
このような重合工程(及び必要に応じて環化工程)を経て、アクリル系ポリマーが得られる。
なお、重合工程を経て得られたアクリル系ポリマーは、適宜、慣用の手法にて精製、分離などしてもよい。
[用途、組成物、成形体など]
アクリル系ポリマーは、樹脂として使用でき、少なくとも着色剤とともに、組成物(樹脂組成物)を構成してもよい。
本明細書において、「樹脂」とは「ポリマー(重合体ともいう)」よりも広い概念である。樹脂は、1種または2種以上のポリマーを含むことができる。「組成物(樹脂組成物)」とはポリマー以外の材料、例えば添加剤を含むことができる。
組成物において、樹脂成分(樹脂(A)ということがある)は、アクリル系ポリマーのみで構成してもよく、アクリル系ポリマーと他のポリマー(アクリル系ポリマー(A1)の範疇に属さないポリマー)とを組み合わせて構成してもよい。
通常、組成物(樹脂組成物)は、熱可塑性(熱可塑性樹脂組成物)であってもよい。
他のポリマーとしては、所望の物性、用途等に応じて適宜選択でき、特に限定されず、熱可塑性ポリマーであってもよく、硬化性ポリマーであってもよく、これらを組み合わせてもよい。他のポリマーは、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
具体的な他のポリマーとしては、例えば、オレフィン系ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)等)、ハロゲン系ポリマー(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化ビニル系ポリマー)、スチレン系ポリマー[例えば、ポリスチレン、スチレン系共重合体(例えば、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(ABS樹脂)、アクリレート-スチレン-アクリロニトリル共重合体(ASA樹脂)等)等]、ポリエステル系ポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の芳香族ポリエステル)、ポリアミド系ポリマー(例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610等の脂肪族ポリアミド系ポリマー)、ポリアセタール系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリフェニレンオキシド系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリスルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ゴム質重合体[例えば、ゴム(ポリブタジエン系ゴム、アクリル系ゴム等)を配合したスチレン系ポリマー(例えば、ABS樹脂、ASA樹脂等のスチレン系共重合体)等]等が挙げられる。
他のポリマーには、アクリル系ポリマーも含まれる。アクリル系ポリマーとしては、前記アクリル系ポリマー(A1)の範疇に属さないアクリル系ポリマー[例えば、メタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸メチル等の前記例示のメタクリル酸エステル)由来の構造単位を有するメタクリル系ポリマー(例えば、ポリメタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステルを重合成分とするポリマー、メタクリル酸メチル-スチレン共重合体等のメタクリル酸エステル及び芳香族ビニル化合物を重合成分とするポリマー)などの環構造を有しないアクリル系ポリマー等]等が挙げられる。
他のポリマーには、セルロース系ポリマーも含まれる。セルロース系ポリマー(セルロース誘導体)としては、セルロースエステル[例えば、セルロースアセテート(セルロースジアセテート、セルローストリアセテート)、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等のセルロースアシレート]、セルロースエーテル[例えば、アルキルセルロース(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース等)、ヒドロキシアルキルセルロース(例えば、ヒドキシエチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等)、カルボキシアルキルセルロース(例えば、カルボキシメチルセルロース等)]、シアノエチルセルロース等が挙げられる。
他のポリマーには、熱可塑性エラストマーも含まれる。熱可塑性エラストマーとしては、特に限定されず、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アミド系エラストマーが挙げられる。
なお、樹脂において、アクリル系ポリマー(A1)と他のポリマーとの存在形態は、特に限定されず、ポリマーブレンドであってもよく、アクリル系ポリマー(A1)と他のポリマーとが化学的に結合していてもよい。
樹脂が、他のポリマーを含む場合、他のポリマーの含有割合は、樹脂成分(アクリル系ポリマー(A1)及び他のポリマーの総量)中、例えば、90質量%以下(例えば、0.1~85質量%)程度の範囲から選択でき、80質量%以下(例えば、0.5~70質量%)、好ましくは60質量%以下(例えば、1~55質量%)程度であってもよく、50質量%以下(例えば、2~45質量%)等であってもよい。
なお、アクリル系ポリマー(A1)の特性(高流動性、高耐熱性、低着色性など)を効率よく発現するという観点から、他のポリマーを含む場合でも、他のポリマー(特に、非アクリル系の他のポリマー)の割合は大きすぎないのが好ましい。
樹脂(A)において、アクリル系ポリマー(A1)の含有割合は、例えば、10質量%以上(例えば、15~100質量%)の範囲から選択でき、20質量%以上(例えば、30質量%以上)、好ましくは40質量%以上(例えば、45質量%以上)、さらに好ましくは50質量%以上(例えば、55質量%以上)であってもよく、60質量%以上(例えば、65質量%以上)、70質量%以上(例えば、75質量%以上)、80質量%以上(例えば、85質量%以上)であってもよい。
本発明の組成物は、通常、着色剤を含む。アクリル系ポリマー(A1)は、着色剤との組み合わせにおいて、低着色性等を効率良く発揮しやすい。そのため、アクリル系ポリマー(A1)は、着色剤と組み合わせて使用するためのポリマーということもできる。
着色剤としては、特に限定されず、組成物の用途等に応じて適宜選択でき、例えば、顔料(例えば、無機顔料、有機顔料)、染料等であってもよい。
また、着色剤は、ブルーイング特性[アクリル系ポリマーないし組成物の色(例えば、黄色)を補正(打ち消)して、抑える特性]を有していてもよい。
このような着色剤は、補正する色にもよるが、例えば、520~600nm、540~580nm等に吸収極大波長を有する着色剤(化合物)であってもよい。
このような着色剤としては、補正する色の種類(波長)等に応じて適宜選択できるが、例えば、アントラキノン骨格を有する化合物(アントラキトン系化合物)、フタロシアニン骨格を有する化合物(フタロシアニン系化合物)、アゾ骨格を有する化合物(アゾ系化合物)、トリアリールメタン骨格を有する化合物(トリアリールメタン系化合物)等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性等の観点から、アントラキノン骨格を有する化合物等を好適に使用してもよい。
具体的な着色剤(ブルーイング特性を有する着色剤、ブルーイング剤)としては、アントラキノン系染料[例えば、Solvent Violet 13(CA.No(カラーインデックスナンバー)60725)、Solvent Violet14、Solvent Violet31(CA.No68210)、Solvent Violet33(CA.No60725)、Solvent Violet36(CA.No68210)、Solvent Blue45(CA.No61110)、Solvent Blue94(CA.No61500)、Solvent Blue87、Solvent Blue97、Disperse Violet28等]、フタロシアニン系染料[例えば、Solvent Blue 25(CA.No74350)等]、モノアゾ系染料[例えば、Solvent Violet 21等]、トリアリールメタン系染料[例えば、Solvent Blue 2(CA.No42563)等]等が挙げられる。
このような着色剤としては、市販品、例えば、「マクロレックス(登録商標)バイオレットB」、「マクロレックス(登録商標)バイオレット3R」、「マクロレックス(登録商標)ブルーRR」(ランクセス株式会社製)、「スミプラスト(登録商標)バイオレットB」、「スミプラスト(登録商標)グリーンG」(住化ケムテックス株式会社製)、「ポリシンスレン(登録商標)ブルーRLS」(クラリアント社製)、「ダイアレジン バイオレットD」、「ダイアレジン ブルーG」、「ダイアレジン ブルーN」(三菱化学株式会社製)等を使用してもよい。
アクリル系ポリマーは、環構造を有するが、本発明者の検討によれば、このような環構造等に起因してか、比較的着色(例えば、黄色に着色)しやすいようであり、特にこのような傾向は、環構造の割合が多いほど顕著に現れるようである。
本発明では、前記のように、製造条件等によって、このような着色を比較的抑えることができるが、このような着色剤と組み合わせることで、より一層、効率よく着色(特に、黄変度)を抑制又は低減しうる。
また、意外なことに、このような着色剤の使用により、耐久性を向上しうる。例えば、本発明のアクリル系ポリマーと着色剤とを組み合わせることで、前記のような、過酷な条件を経た後であっても、低着色性や高透明性を効率良く維持しうる。
着色剤の割合は、着色剤の種類等に応じて適宜選択できるが、例えば、組成物中に、10質量ppm以下、好ましくは5質量ppm以下(例えば、0.01~5質量ppm)、さらに好ましくは3質量ppm以下(例えば、0.05~3質量ppm)、特に1質量ppm以下(例えば、0.1~1質量ppm)であってもよく、比較的小割合[例えば、800質量ppb(0.8質量ppm)以下(例えば、5~700質量ppb)、500質量ppb以下(例えば、10~450質量ppb)、400質量ppb以下(例えば、20~380質量ppb)、350質量ppb以下(例えば、30~330質量ppb)、300質量ppb以下(例えば、40~280質量ppb)、250質量ppb以下(例えば、50~230質量ppb)等]であってもよい。
本発明では、比較的少ない着色剤の使用割合であっても、効率良く着色を抑えたり、耐久性を向上できるようである。特に、本発明では、意外なことに、比較的少ない使用割合とすることで、トレードオフの関係にある低着色性(黄色度)と高透明性とを効率よく両立しやすく、また、優れた耐久性の組成物を効率よく得やすい。
組成物は、必要に応じてさらに他の成分(添加剤)を含んでいてもよい。他の成分(着色剤でない添加剤)としては、特に限定されず、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤(例えば、フェノール系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤等)、安定剤、補強材、難燃剤、帯電防止剤、有機フィラー、無機フィラー、ブロッキング防止剤、樹脂改質剤、有機充填剤、無機充填剤、可塑剤、滑剤、位相差低減剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤(UVA)の紫外線吸収能は、波長300~380nmの範囲内にあってもよく、UVAによる吸収が最大となる波長の光に対するモル吸光係数(クロロホルム溶液)にして、10000(L・mol-1・cm-1)以上であってもよい。
紫外線吸収剤(UVA)としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾフェノン系化合物、サリシケート系化合物、ベンゾエート系化合物、トリアゾール系化合物、トリアジン系化合物などが挙げられる。
トリアゾール系化合物は、例えば、2,2’-メチレンビス[4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール]、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-ベンゾトリアゾール-2-イル-4,6-ジ-t-ブチルフェノール、2-[5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル-6-(t-ブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-t-ブチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-メチル-6-(3,4,5,6-テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール、メチル-3-(3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(直鎖および側鎖ドデシル)-4-メチルフェノール、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、3-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-C7-9側鎖及び直鎖アルキルエステル等である。紫外線吸収能が高いことから、ハロゲン原子、例えば塩素原子、を有するトリアゾール化合物が好ましい。
トリアジン系化合物は、例えば、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-エトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-(2-ヒドロキシ-4-プロポキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ドデシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ベンジルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ブトキシエトキシ)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル)-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3-5-トリアジン、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-[2-ヒドロキシ-4-(3-アルキルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-5-α-クミルフェニル]-s-トリアジン骨格(アルキルオキシ;オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシなどの長鎖アルキルオキシ基)を有するUVA等である。なかでも、紫外線吸収性能が優れていることから、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-[2-ヒドロキシ-4-(3-アルキルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-5-α-クミルフェニル]-s-トリアジン骨格(アルキルオキシ;オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシなどの長鎖アルキルオキシ基)を有するUVAが好ましい。
UVAの分子量は特に限定はされないが、600以上が好ましい。UVAの分子量の上限は、例えば、10000、8000、5000などであってもよい。
紫外線吸収剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
他の成分は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
組成物が、他の成分を含む場合、他の成分の割合は、組成物中に、例えば、0.01~10質量%(例えば、0.05~5質量%)程度であってもよい。
特に、本発明の組成物は、紫外線吸収剤を実質的に含んでいなくてもよい。本発明者の検討によれば、紫外線吸収剤は、環構造を有するアクリル系ポリマー(又はその組成物又はその成形品)における着色や透明性を低下させる要因となるようであり、紫外線吸収剤の使用を抑える(さらには着色剤の配合と組み合わせる)ことによって、効率良く着色を抑制したり、高透明性を保持しやすい。
このような場合、組成物における紫外線吸収剤の割合は、例えば、0.5質量%以下(例えば、0.5質量%未満、0.1質量%以下、0質量%又は検出限界)等であってもよく、アクリル系ポリマー100質量部に対して0.5質量部以下(例えば、0.5質量部未満、0.1質量部以下、0.1質量部未満、0質量部又は検出限界)等であってもよい。
なお、組成物(又は樹脂(A))の重量平均分子量、メルトフローレート、ガラス転移温度、黄色度(黄変度)、全光線透過率、耐久性等は、前記アクリル系ポリマーと同様であってもよく、異なっていてもよい。
特に、メルトフローレート、黄色度、全光線透過率、耐久性等は、組成物(又は樹脂(A))においても前記と同様の範囲としてもよい。
本発明には、アクリル系ポリマー(A1)(又は樹脂(A))又は組成物を含む(で形成された)成形体(成形品)を含む。
このような成形体の形状は、特に限定されず、二次元的形状[例えば、フィルム(又はシート)など]、三次元的形状(例えば、ブロック状など)などのいずれであってもよい。
成形体(成形品)は、前記組成物と同様の物性(黄変度、ガラス転移温度、全光線透過率など)を有していてもよい。このような物性値は、前記と同様の範囲から選択できる。
成形体の製造方法(成形方法)としては、成形体の形態などに応じて選択でき、公知の成形方法(例えば、押出成形、射出成形、注型成形、ブロー成形、発泡成形など)を利用できる。
特に、前記のように、比較的溶融流動性に優れたアクリル系ポリマー(A1)(又は樹脂(A)又は組成物)によれば、射出成形などの溶融流動性が要求されうる成形方法であっても、効率よく成形品を製造しうる。しかも、アクリル系ポリマー(A1)又はその組成物は、通常、低着色性(さらには高透明性や高耐熱性)である場合が多く、このような低着色性は溶融成形を経ても維持されうる。
そのため、成形体は、特に、射出成形体(射出成形品)であってもよい。
成形体は、種々の用途に適用でき、例えば、光学用途に好適に用いてもよい。
具体的な用途の例を挙げると、例えば、導光部材、フィルム用途[例えば、保護フィルム(光学用保護フィルムなど)、光学フィルム(光学シート)など]、レンズ(光学レンズなど)、カバー(レンズカバーなど)、発泡体(発泡成形体)用途(例えば、緩衝材、保温・断熱材、制振材、防音材、シール材、パッキング材など)などの各種用途が挙げられる。
レンズ(光学レンズなど)としては、例えば、フレネルレンズ、リニアフレネルレンズ、レンチキュラーレンズ、平面プリズム、フライアイレンズ、非球面レンズ、コンデンサーレンズ、マイクロレンズ、コリメーターレンズ、凹レンズ、凸レンズ、回折レンズなどが挙げられる。
レンズ(レンズ部材)の用途としては、例えば、ヘッドアップディスプレイ用、カメラ用(例えば、車載カメラ用)、LIDAR装置用などが挙げられる。このような用途のレンズとしては、例えば、ヘッドアップディスプレイに用いるフレネルレンズ、コンデンサーレンズ、LIDAR装置に用いるフレネルレンズ、コンデンサーレンズ、コリメーターレンズ、凸レンズなどが挙げられる。
導光部材としては、例えば、導光体[又は灯火器、例えば、ランプ又はライトなど]の部材などが挙げられる。導光体は、自動車用、バイク用などのいずれであってもよい。導光体が設けられる部位(又は用途)は、特に限定されず、例えば、自動車などにおいては、ヘッドランプ、テールランプ、ブレーキランプ、サイドミラーランプ、デイタイムランニングライト(DRL)などが挙げられる。
具体的な部材(導光部材)としては、ライトカバー、ライトガイド{車両ランプ用ライトガイド[例えば、自動車用ヘッドランプのライトガイド(例えば、DRLのライトガイドなど)など]}などが挙げられる。
なお、ライトガイド(車両ランプ用ライトガイド)などの導光部材の製造方法は、特に限定されず、アクリル系ポリマー(A1)(又は樹脂(A))又は組成物を、上記例示の公知の成形方法を用いて成形することによって製造してもよい。
保護フィルムとしては、例えば、各種光ディスク(VD、CD、DVD、MD、LD等)基板の保護フィルム、液晶表示装置用の偏光板に用いる偏光子保護フィルムなどが挙げられる。
光学フィルム(光学シート)としては、例えば、位相差フィルム、ゼロ位相差フィルム(面内、厚み方向位相差が限りなく小さい)、視野角補償フィルム、光拡散フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、タッチパネル用導電フィルム、拡散板、導光体、位相差板、ゼロ位相差板、プリズムシートなどが挙げられる。
中でも、本発明のアクリル系ポリマー(A1)(又は樹脂(A)又は組成物)は、前記のように、射出成形などの成形方法を適用しうるため、成形体は、三次元的形状の成形体であってもよい。
特に、レンズ部材(例えば、ヘッドアップディスプレイや車載カメラのレンズ部材)などの成形品には、高耐熱性や、高度な低着色性(さらには高透明性、耐久性など)が要求される場合があり、本発明のアクリル系ポリマー(A1)(又は樹脂(A)又は組成物)は、このような成形品を好適に構成しうる。
このような成形品の物性(例えば、黄色度、透明性、耐久性等)は、前記と同様の範囲(例えば、黄色度が、2以下、好ましくは1.7以下、さらに好ましくは1.5以下であってもよく、1.4以下、1.3以下、1.2以下、1.1以下、1.0以下、0.9以下、0.8以下、0.7以下、0.6以下、0.5以下)であってもよい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明に含まれる。
以下に、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、以下では特にことわりのない場合、「%」は「重量(質量)%」を、「部」は「重量(質量)部」をそれぞれ示す。
各種物性の測定および評価は、以下の方法で行った。
[重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)]
樹脂の重量平均分子量及び分子量分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。測定に用いた装置および測定条件は以下の通りである。
システム:東ソー製GPCシステム HLC-8320
測定側カラム構成
・ガードカラム:東ソー製、TSKguardcolumn SuperHZ-L
・分離カラム:東ソー製、TSKgel SuperHZM-M 2本直列接続
リファレンス側カラム構成
・リファレンスカラム:東ソー製、TSKgel SuperH-RC
展開溶媒:THF(和光純薬工業製、特級)
展開溶媒の流量:0.6mL/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー製、PS-オリゴマーキット)
カラム温度:40℃
[ガラス転移温度(Tg)]
ガラス転移温度は、JIS K7121-1987の規定に準拠して測定した。具体的には、示差走査熱量計(リガク社製「Thermo plus EVO DSC-8230」)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温(昇温速度20℃/分)して得られたDSC曲線から、始点法により求めた。リファレンスには、α-アルミナを用いた。
[メルトフローレート(MFR)]
メルトフローレートは、JIS K 7210-1:2014 A法に準拠して、温度230℃、荷重3.8kg(37N)で測定した。
[アクリル系樹脂に含まれるラクトン環構造の割合]
まず、重合で得られた重合体組成からすべての水酸基がメタノールとして脱アルコールした際に起こる重量減少量を基準にし、ダイナミックTG測定において重量減少が始まる前の150℃から重合体の分解が始まる前の300℃までの脱アルコール反応による重量減少から、脱アルコール反応率を求めた。
すなわち、ラクトン環構造を有した重合体のダイナミックTG測定において150℃から300℃までの間の重量減少率の測定を行い、得られた実測重量減少率を(X)とする。他方、当該重合体の組成から、その重合体組成に含まれる全ての水酸基がラクトン環の形成に関与するためアルコールになり脱アルコールすると仮定した時の理論重量減少率(すなわち、その組成上において100%脱アルコール反応が起きたと仮定して算出した重量減少率)を(Y)とする。
なお、理論重量減少率(Y)は、より具体的には、重合体中の脱アルコール反応に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体のモル比、すなわち当該重合体組成における前記原料単量体の含有率から算出することができる。
これらの値(X)、(Y)を脱アルコール計算式:
1-(実測重量減少率(X)/理論重量減少率(Y))
に代入してその値を求め、%で表記すると、脱アルコール反応率が得られる。
後述の実施例1で得られるペレットにおいてラクトン環構造の占める割合を計算する。この重合体の理論重量減少率(Y)を求めてみると、メタノールの分子量は32であり、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの分子量は116であり、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの重合体中の含有率(重量比)は組成上10重量%であるから、(32/116)×10≒2.76重量%となる。他方、ダイナミックTG測定による実測重量減少率(X)は0.06重量%であった。これらの値を上記の脱アルコール計算式に当てはめると、1-(0.06/2.76)≒0.978となるので、脱アルコール反応率は97.8%である。
実施例1の場合、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの当該共重合体における含有率が10.0重量%、算出した脱アルコール反応率が97.8重量%、分子量が116の2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルがメタクリル酸メチルと縮合した場合に生成するラクトン環化構造単位の式量が170であることから、当該共重合体中におけるラクトン環の含有割合は14.3(10.0×0.978×170/116)重量%となる。
[全光線透過率(Tt)]
全光線透過率は、濁度計(日本電色工業社製、NDH 5000)を用い、JIS K7361-1:1997の規定に準拠し、厚さ3mmの成形体を測定した。成形体は、得られたペレットを100℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機(日精樹脂社製、NS40-5A)を用い、成形温度215℃(参考例2は235℃)、金型温度80℃、金型サイズ100mm×100mm×厚さ3mmにて作製した。
[黄色度(YI)]
黄色度は、分光光度計(島津製作所社製、UV-3600)を用い、C2度光源、波長380nm~780nmの範囲で、JIS K7373:2006の規定に準拠し、厚さ3mmの成形体を測定した。成形体は、得られたペレットを100℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機(日精樹脂社製、NS40-5A)を用い、成形温度215℃(参考例2は235℃)、金型温度80℃、金型サイズ100mm×100mm×厚さ3mmにて作製した。
[耐久性(125℃耐熱性)]
得られたペレットを100℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機(日精樹脂社製、NS40-5A)を用い、成形温度215℃(参考例2は235℃)、金型温度80℃、金型サイズ100mm×100mm×厚さ3mmにて成形体作製後、23℃60%RHの恒温室に24時間静置したのち、成形体の全光線透過率及び黄色度を測定した。次に、前記成形体を125℃の熱風乾燥器内に1000時間保管してから取り出し、23℃、60%RHの恒温恒湿室に24時間静置した後に、成形体の全光線透過率及び黄色度を再度測定し、ΔTt(全光線透過率の差)及びΔYI(YIの差)を求め、耐久性を評価した。
(実施例1〔アクリル系樹脂組成物(A1)の製造〕)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ポンプを備えた反応容器に、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(RHMA)8質量部、メタクリル酸メチル(MMA)32質量部、トルエン96.0質量部仕込み、亜りん酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)0.10質量部、窒素を通じつつ105℃まで昇温した。
初期開始剤として、トルエン2.85質量部、t-アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)0.22質量部からなる溶液を8分かけて滴下しながら105℃~110℃で溶液重合を行った。そして、その12分後に、滴下開始剤としてトルエン3.32質量部、t-アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)0.28質量部からなる溶液を170分かけて滴下した。また、滴下開始剤投入と同時に、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(RHMA)12質量部、メタクリル酸メチル(MMA)48質量部からなる溶液を180分かけて滴下しながら105℃~110℃で溶液重合を行い、さらに2時間かけて熟成を行った。
得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒(環化触媒)として、トルエン1.25質量部、リン酸ステアリル(堺化学工業社製、Phoslex A-18)0.10質量部からなる溶液を加え、約90℃~110℃の還流下において2時間、ラクトン環構造を形成するための環化縮合反応を進行させた。
次に、得られた重合溶液を240℃に保持した多管式熱交換器に通して環化縮合反応を完結させた後、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルター(濾過精度5μm)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、樹脂量換算で90重量部/時の処理速度で導入して、重合溶液を脱揮した。用いたベントタイプスクリュー二軸押出機のリアベント数は1個、フォアベント数は4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)とし、バレル温度は240℃、減圧度は13.3~400hPa(10~300mmHg)とした。脱揮の際、イオン交換水を1.3重量部/時の投入速度で第1、第3ベントの後ろから、別途準備しておいたブルーイング剤と酸化防止剤の混合溶液を0.30重量部/時の投入速度で第2ベントの後ろから投入した。ブルーイング剤と酸化防止剤の混合溶液として、1.0重量部のブルーイング剤(住化ケムテックス社製スミプラスト(登録商標)VioletB)をトルエン99重量部に溶解させた溶液0.18重量部、酸化防止剤2種類(BASFジャパン社製イルガノックス1010、ADEKA社製アデカスタブAO―412S)3.6重量部、トルエン112.5重量部からなる溶液を用いた。
得られた樹脂ペレット(A1)の重量平均分子量は7.4万、分子量分布は2.3、ガラス転移温度は129℃、メルトフローレートは5.9、環構造の割合は28.8質量%であった。
得られたペレットを100℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機(日精樹脂社製、NS40-5A)を用い、成形温度215℃、金型温度80℃にて、100mm×100mm×厚さ3mmの成形体を作製した。
(実施例2〔アクリル系樹脂組成物(A2)の製造〕)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ポンプを備えた反応容器に、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(RHMA)10.4質量部、メタクリル酸メチル(MMA)34.7質量部、トルエン96.0質量部仕込み、亜りん酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)0.10質量部、窒素を通じつつ105℃まで昇温した。
初期開始剤として、トルエン2.85質量部、t-アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)0.29質量部からなる溶液を8分かけて滴下しながら105℃~110℃で溶液重合を行った。そして、その12分後に、滴下開始剤としてトルエン3.32質量部、t-アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)0.30質量部からなる溶液を170分かけて滴下した。また、滴下開始剤投入と同時に、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(RHMA)12.6質量部、メタクリル酸メチル(MMA)42.3質量部からなる溶液を180分かけて滴下しながら105℃~110℃で溶液重合を行い、さらに2時間かけて熟成を行った。
得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒(環化触媒)として、トルエン1.25質量部、リン酸ステアリル(堺化学工業社製、Phoslex A-18)0.30質量部からなる溶液を加え、約90℃~110℃の還流下において2時間、ラクトン環構造を形成するための環化縮合反応を進行させた。
次に、得られた重合溶液を240℃に保持した多管式熱交換器に通して環化縮合反応を完結させた後、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルター(濾過精度5μm)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、樹脂量換算で90重量部/時の処理速度で導入して、重合溶液を脱揮した。用いたベントタイプスクリュー二軸押出機のリアベント数は1個、フォアベント数は4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)とし、バレル温度は240℃、減圧度は13.3~400hPa(10~300mmHg)とした。脱揮の際、イオン交換水を1.3重量部/時の投入速度で第1、第3ベントの後ろから、別途準備しておいたブルーイング剤と酸化防止剤の混合溶液を0.30重量部/時の投入速度で第2ベントの後ろから投入した。ブルーイング剤と酸化防止剤の混合溶液として、1.0重量部のブルーイング剤(住化ケムテックス社製スミプラスト(登録商標)VioletB)をトルエン99重量部に溶解させた溶液0.27重量部、酸化防止剤2種類(BASFジャパン社製イルガノックス1010、ADEKA社製アデカスタブAO―412S)3.6重量部、トルエン112.5重量部からなる溶液を用いた。
得られた樹脂ペレット(A2)の重量平均分子量は8.0万、分子量分布は2.1、ガラス転移温度は132℃、メルトフローレートは4.0、環構造の割合は33.0質量%であった。
得られたペレットを100℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機(日精樹脂社製、NS40-5A)を用い、成形温度215℃、金型温度80℃にて、100mm×100mm×厚さ3mmの成形体を作製した。
(実施例3〔アクリル系樹脂組成物(A3)の製造〕)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ポンプを備えた反応容器に、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(RHMA)12.6質量部、メタクリル酸メチル(MMA)32.4質量部、トルエン96.0質量部仕込み、亜りん酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)0.10質量部、窒素を通じつつ105℃まで昇温した。
初期開始剤として、トルエン2.85質量部、t-アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)0.24質量部からなる溶液を8分かけて滴下しながら105℃~110℃で溶液重合を行った。そして、その12分後に、滴下開始剤としてトルエン3.32質量部、t-アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)0.27質量部からなる溶液を170分かけて滴下した。また、滴下開始剤投入と同時に、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(RHMA)15.4質量部、メタクリル酸メチル(MMA)39.6質量部からなる溶液を180分かけて滴下しながら105℃~110℃で溶液重合を行い、さらに2時間かけて熟成を行った。
得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒(環化触媒)として、トルエン1.25質量部、リン酸ステアリル(堺化学工業社製、Phoslex A-18)0.075質量部からなる溶液を加え、約90℃~110℃の還流下において2時間、ラクトン環構造を形成するための環化縮合反応を進行させた。
次に、得られた重合溶液を240℃に保持した多管式熱交換器に通して環化縮合反応を完結させた後、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルター(濾過精度5μm)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、樹脂量換算で90重量部/時の処理速度で導入して、重合溶液を脱揮した。用いたベントタイプスクリュー二軸押出機のリアベント数は1個、フォアベント数は4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)とし、バレル温度は240℃、減圧度は13.3~400hPa(10~300mmHg)とした。脱揮の際、イオン交換水を1.3重量部/時の投入速度で第1、第3ベントの後ろから、別途準備しておいたブルーイング剤と酸化防止剤の混合溶液を0.30重量部/時の投入速度で第2ベントの後ろから投入した。ブルーイング剤と酸化防止剤の混合溶液として、1.0重量部のブルーイング剤(住化ケムテックス社製スミプラスト(登録商標)VioletB)をトルエン99重量部に溶解させた溶液0.54重量部、酸化防止剤2種類(BASFジャパン社製イルガノックス1010、ADEKA社製アデカスタブAO―412S)3.6重量部、トルエン112.5重量部からなる溶液を用いた。
得られた樹脂ペレット(A3)の重量平均分子量は6.6万、分子量分布は2.2、ガラス転移温度は136℃、メルトフローレートは5.6、環構造の割合は39.8質量%であった。
得られたペレットを100℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機(日精樹脂社製、NS40-5A)を用い、成形温度215℃、金型温度80℃にて、100mm×100mm×厚さ3mmの成形体を作製した。
(実施例4〔アクリル系樹脂組成物(A4)の製造〕)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ポンプを備えた反応容器に、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(RHMA)10.4質量部、メタクリル酸メチル(MMA)34.7質量部、トルエン96.0質量部仕込み、亜りん酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)0.10質量部、窒素を通じつつ105℃まで昇温した。
初期開始剤として、トルエン2.85質量部、t-アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)0.29質量部からなる溶液を8分かけて滴下しながら105℃~110℃で溶液重合を行った。そして、その12分後に、滴下開始剤としてトルエン3.32質量部、t-アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)0.30質量部からなる溶液を170分かけて滴下した。また、滴下開始剤投入と同時に、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(RHMA)12.6質量部、メタクリル酸メチル(MMA)42.3質量部からなる溶液を180分かけて滴下しながら105℃~110℃で溶液重合を行い、さらに2時間かけて熟成を行った。
得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒(環化触媒)として、トルエン1.25質量部、リン酸ステアリル(堺化学工業社製、Phoslex A-18)0.30質量部からなる溶液を加え、約90℃~110℃の還流下において2時間、ラクトン環構造を形成するための環化縮合反応を進行させた。
次に、得られた重合溶液を240℃に保持した多管式熱交換器に通して環化縮合反応を完結させた後、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルター(濾過精度5μm)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、樹脂量換算で90重量部/時の処理速度で導入して、重合溶液を脱揮した。用いたベントタイプスクリュー二軸押出機のリアベント数は1個、フォアベント数は4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)とし、バレル温度は240℃、減圧度は13.3~400hPa(10~300mmHg)とした。脱揮の際、イオン交換水を1.3重量部/時の投入速度で第1、第3ベントの後ろから、別途準備しておいたブルーイング剤と酸化防止剤の混合溶液を0.30重量部/時の投入速度で第2ベントの後ろから投入した。ブルーイング剤と酸化防止剤の混合溶液として、1.0重量部のブルーイング剤(住化ケムテックス社製スミプラスト(登録商標)VioletB)をトルエン99重量部に溶解させた溶液0.36重量部、酸化防止剤2種類(BASFジャパン社製イルガノックス1010、ADEKA社製アデカスタブAO―412S)3.6重量部、トルエン112.5重量部からなる溶液を用いた。
得られた樹脂ペレット(A4)の重量平均分子量は7.7万、分子量分布は2.1、ガラス転移温度は132℃、メルトフローレートは4.0、環構造の割合は33.0質量%であった。
得られたペレットを100℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機(日精樹脂社製、NS40-5A)を用い、成形温度215℃、金型温度80℃にて、100mm×100mm×厚さ3mmの成形体を作製した。
(実施例5〔アクリル系樹脂組成物(A5)の製造〕)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ポンプを備えた反応容器に、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(RHMA)10.4質量部、メタクリル酸メチル(MMA)34.7質量部、トルエン96.0質量部仕込み、亜りん酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)0.10質量部、窒素を通じつつ105℃まで昇温した。
初期開始剤として、トルエン2.85質量部、t-アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)0.23質量部からなる溶液を8分かけて滴下しながら105℃~110℃で溶液重合を行った。そして、その12分後に、滴下開始剤としてトルエン3.32質量部、t-アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)0.27質量部からなる溶液を170分かけて滴下した。また、滴下開始剤投入と同時に、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(RHMA)12.6質量部、メタクリル酸メチル(MMA)42.3質量部からなる溶液を180分かけて滴下しながら105℃~110℃で溶液重合を行い、さらに2時間かけて熟成を行った。
得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒(環化触媒)として、トルエン1.25質量部、リン酸ステアリル(堺化学工業社製、Phoslex A-18)0.30質量部からなる溶液を加え、約90℃~110℃の還流下において2時間、ラクトン環構造を形成するための環化縮合反応を進行させた。
次に、得られた重合溶液を240℃に保持した多管式熱交換器に通して環化縮合反応を完結させた後、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルター(濾過精度5μm)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、樹脂量換算で90重量部/時の処理速度で導入して、重合溶液を脱揮した。用いたベントタイプスクリュー二軸押出機のリアベント数は1個、フォアベント数は4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)とし、バレル温度は240℃、減圧度は13.3~400hPa(10~300mmHg)とした。脱揮の際、イオン交換水を1.3重量部/時の投入速度で第1、第3ベントの後ろから、別途準備しておいたブルーイング剤と酸化防止剤の混合溶液を0.30重量部/時の投入速度で第2ベントの後ろから投入した。ブルーイング剤と酸化防止剤の混合溶液として、1.0重量部のブルーイング剤(住化ケムテックス社製スミプラスト(登録商標)VioletB)をトルエン99重量部に溶解させた溶液0.72重量部、酸化防止剤2種類(BASFジャパン社製イルガノックス1010、ADEKA社製アデカスタブAO―412S)3.6重量部、トルエン112.5重量部からなる溶液を用いた。
得られた樹脂ペレット(A5)の重量平均分子量は9.1万、分子量分布は2.2、ガラス転移温度は132℃、メルトフローレートは2.5、環構造の割合は32.8質量%であった。
得られたペレットを100℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機(日精樹脂社製、NS40-5A)を用い、成形温度215℃、金型温度80℃にて、100mm×100mm×厚さ3mmの成形体を作製した。
(実施例6〔アクリル系樹脂組成物(A6)の製造〕)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ポンプを備えた反応容器に、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(RHMA)10.4質量部、メタクリル酸メチル(MMA)34.7質量部、トルエン96.0質量部仕込み、亜りん酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)0.10質量部、窒素を通じつつ105℃まで昇温した。
初期開始剤として、トルエン2.85質量部、t-アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)0.22質量部からなる溶液を8分かけて滴下しながら105℃~110℃で溶液重合を行った。そして、その12分後に、滴下開始剤としてトルエン3.32質量部、t-アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)0.25質量部からなる溶液を170分かけて滴下した。また、滴下開始剤投入と同時に、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(RHMA)12.6質量部、メタクリル酸メチル(MMA)42.3質量部からなる溶液を180分かけて滴下しながら105℃~110℃で溶液重合を行い、さらに2時間かけて熟成を行った。
得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒(環化触媒)として、トルエン1.25質量部、リン酸ステアリル(堺化学工業社製、Phoslex A-18)0.30質量部からなる溶液を加え、約90℃~110℃の還流下において2時間、ラクトン環構造を形成するための環化縮合反応を進行させた。
次に、得られた重合溶液を240℃に保持した多管式熱交換器に通して環化縮合反応を完結させた後、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルター(濾過精度5μm)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、樹脂量換算で90重量部/時の処理速度で導入して、重合溶液を脱揮した。用いたベントタイプスクリュー二軸押出機のリアベント数は1個、フォアベント数は4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)とし、バレル温度は240℃、減圧度は13.3~400hPa(10~300mmHg)とした。脱揮の際、イオン交換水を1.3重量部/時の投入速度で第1、第3ベントの後ろから、別途準備しておいたブルーイング剤と酸化防止剤の混合溶液を0.30重量部/時の投入速度で第2ベントの後ろから投入した。ブルーイング剤と酸化防止剤の混合溶液として、1.0重量部のブルーイング剤(住化ケムテックス社製スミプラスト(登録商標)VioletB)をトルエン99重量部に溶解させた溶液1.8重量部、酸化防止剤2種類(BASFジャパン社製イルガノックス1010、ADEKA社製アデカスタブAO―412S)3.6重量部、トルエン112.5重量部からなる溶液を用いた。
得られた樹脂ペレット(A6)の重量平均分子量は8.4万、分子量分布は2.2、ガラス転移温度は132℃、メルトフローレートは3.5、環構造の割合は32.8質量%であった。
得られたペレットを100℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機(日精樹脂社製、NS40-5A)を用い、成形温度215℃、金型温度80℃にて、100mm×100mm×厚さ3mmの成形体を作製した。
(参考例1〔アクリル系樹脂組成物(A7)の製造〕)
実施例5において、ブルーイング剤を使用しなかったこと以外は、実施例5と同様にして、樹脂ペレットを得た。
得られた樹脂ペレット(A7)の重量平均分子量は9万、分子量分布は2.2、ガラス転移温度は132℃、メルトフローレートは2.4、環構造の割合は32.8質量%であった。
得られたペレットを100℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機(日精樹脂社製、NS40-5A)を用い、成形温度215℃、金型温度80℃にて、100mm×100mm×厚さ3mmの成形体を作製した。
(参考例2〔アクリル系樹脂組成物(A8)の製造〕)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管および滴下ポンプを備えた反応容器に、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル12質量部、メタクリル酸メチル83.5質量部、トルエン90.4質量部、亜りん酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)0.05質量部、連鎖移動剤としてn-ドデシルメルカプタンを0.07質量部仕込み、窒素を通じつつ105℃まで昇温した。
初期開始剤としてt-アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)を0.09質量部加え、その5分後に、スチレン4.5質量部、トルエン8.14質量部、滴下開始剤t-アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)0.179質量部からなる溶液を2時間かけて滴下しながら100℃~110℃で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。
得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒(環化触媒)として、リン酸ステアリル(堺化学工業社製、Phoslex A-18)0.075質量部を加え、約90℃~110℃の還流下において1.5時間、ラクトン環構造を形成するための環化縮合反応を進行させた。
次に、得られた重合溶液を240℃に保持した多管式熱交換器に通して環化縮合反応を完結させた後、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルター(濾過精度5μm)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、樹脂量換算で90重量部/時の処理速度で導入して、重合溶液を脱揮した。用いたベントタイプスクリュー二軸押出機のリアベント数は1個、フォアベント数は4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)とし、バレル温度は240℃、減圧度は13.3~400hPa(10~300mmHg)とした。脱揮の際、イオン交換水を1.3重量部/時の投入速度で第1、第2ベントの後ろから、別途準備しておいた環化触媒失活剤の溶液を0.3重量部/時の投入速度で第3ベントの後ろから投入した。環化触媒失活剤の溶液として、1.0重量部のオクチル酸亜鉛(日本化学産業製、商品名:ニッカオクチクス亜鉛10重量%)をトルエン0.3重量部に溶解させた溶液を用いた。
得られた樹脂ペレット(A8)の重量平均分子量は10.2万、分子量分布は2.4、ガラス転移温度は123℃、メルトフローレートは0.8、環構造の割合は16.9質量%であった。
得られたペレットを100℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機(日精樹脂社製、NS40-5A)を用い、成形温度215℃、金型温度80℃にて、成形を行なったが、焼けが発生し評価可能な成形体を得ることができなかったため、成形温度を235℃に変更し、100mm×100mm×厚さ3mmの成形体を作製した。
(実施例7〔アクリル系樹脂組成物(A9)の製造〕)
参考例2において、環化触媒失活剤の代わりに別途準備しておいたブルーイング剤と酸化防止剤の混合溶液を投入したこと以外は、参考例2と同様にして、樹脂ペレットを得た。ブルーイング剤と酸化防止剤の混合溶液として、1.0重量部のブルーイング剤(住化ケムテックス社製スミプラスト(登録商標)VioletB)をトルエン99重量部に溶解させた溶液1.8重量部、酸化防止剤2種類(BASFジャパン社製イルガノックス1010、ADEKA社製アデカスタブAO―412S)3.6重量部、トルエン112.5重量部からなる溶液を用いた。
得られた樹脂ペレット(A9)の重量平均分子量は10.4万、分子量分布は2.4、ガラス転移温度は123℃、メルトフローレートは0.7、環構造の割合は16.9質量%であった。
得られたペレットを100℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機(日精樹脂社製、NS40-5A)を用い、成形温度215℃、金型温度80℃にて、成形を行なったが、焼けが発生し評価可能な成形体を得ることができなかったため、成形温度を235℃に変更し、100mm×100mm×厚さ3mmの成形体を作製した。
(参考例3〔アクリル系樹脂組成物(A10)の製造〕)
まず、撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器を準備した。次に、反応容器内に、メタクリル酸メチル(MMA)45重量部、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)5重量部、酸化防止剤としてアデカスタブ2112(ADEKA社製)0.025重量部、連鎖移動剤としてn-ドデシルメルカプタンを0.07質量部、及び、重合溶媒としてトルエン50重量部を仕込んだ。次に、反応容器内に、窒素ガスを導入しつつ、内容物を105℃まで昇温させた。昇温に伴って、還流が始まった。次に、重合開始剤としてターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、商品名:ルペロックス570)0.05重量部を反応容器内に添加するとともに、上記のターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート0.10重量部を反応容器内に2時間かけて滴下した。これにより、約105~110℃の還流下で溶液重合が進行した。ターシャリーアミルパーオキシイソノナノエートの滴下終了後、反応容器を4時間加温し続けて熟成を行った。
次に、得られた重合溶液を240℃に保持した多管式熱交換器に通して環化縮合反応を完結させた後、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルター(濾過精度5μm)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、樹脂量換算で90重量部/時の処理速度で導入して、重合溶液を脱揮した。用いたベントタイプスクリュー二軸押出機のリアベント数は1個、フォアベント数は4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)とし、バレル温度は270℃、減圧度は13.3~400hPa(10~300mmHg)とした。脱揮の際、イオン交換水を1.3重量部/時の投入速度で第1、第2ベントの後ろから、別途準備しておいた環化触媒失活剤の溶液を0.3重量部/時の投入速度で第3ベントの後ろから投入した。環化触媒失活剤の溶液として、1.0重量部のオクチル酸亜鉛(日本化学産業製、商品名:ニッカオクチクス亜鉛10重量%)をトルエン0.3重量部に溶解させた溶液を用いた。
得られた樹脂ペレット(A10)の重量平均分子量は13.5万、分子量分布は2.3、ガラス転移温度は120℃、メルトフローレートは0.5、環構造の割合は14.6質量%であった。
得られたペレットを100℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機(日精樹脂社製、NS40-5A)を用い、成形温度215℃、金型温度80℃にて、成形を行なったが、焼けが発生し評価可能な成形体を得ることができなかったため、成形温度を235℃に変更し、100mm×100mm×厚さ3mmの成形体を作製した。
(参考例4〔アクリル系樹脂組成物(A11)の製造〕)
まず、撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器を準備した。次に、反応容器内に、メタクリル酸メチル(MMA)40重量部、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(MHMA)10重量部、酸化防止剤としてアデカスタブ2112(ADEKA社製)0.025重量部、及び、重合溶媒としてトルエン50重量部を仕込んだ。次に、反応容器内に、窒素ガスを導入しつつ、内容物を105℃まで昇温させた。昇温に伴って、還流が始まった。次に、重合開始剤としてターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、商品名:ルペロックス570)0.05重量部を反応容器内に添加するとともに、上記のターシャリーアミルパーオキシイソノナノエート0.10重量部を反応容器内に2時間かけて滴下した。これにより、約105~110℃の還流下で溶液重合が進行した。ターシャリーアミルパーオキシイソノナノエートの滴下終了後、反応容器を4時間加温し続けて熟成を行った。
次に、得られた重合溶液を240℃に保持した多管式熱交換器に通して環化縮合反応を完結させた後、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルター(濾過精度5μm)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、樹脂量換算で90重量部/時の処理速度で導入して、重合溶液を脱揮した。用いたベントタイプスクリュー二軸押出機のリアベント数は1個、フォアベント数は4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)とし、バレル温度は270℃、減圧度は13.3~400hPa(10~300mmHg)とした。脱揮の際、イオン交換水を1.3重量部/時の投入速度で第1、第2ベントの後ろから、別途準備しておいた環化触媒失活剤の溶液を0.3重量部/時の投入速度で第3ベントの後ろから投入した。環化触媒失活剤の溶液として、1.0重量部のオクチル酸亜鉛(日本化学産業製、商品名:ニッカオクチクス亜鉛10重量%)をトルエン0.3重量部に溶解させた溶液を用いた。
得られた樹脂ペレット(A11)の重量平均分子量は13.2万、分子量分布は2.4、ガラス転移温度は130℃、メルトフローレートは0.2、環構造の割合は28.8質量%であった。
得られたペレットを100℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機(日精樹脂社製、NS40-5A)を用い、成形温度215℃、金型温度80℃にて、成形を行なったが、焼けが発生し評価可能な成形体を得ることができなかったため、成形温度を235℃に変更し、100mm×100mm×厚さ3mmの成形体を作製した。
(実施例8〔アクリル系樹脂組成物(A12)の製造〕)
まず、撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素ガス導入管を備えた反応釜を準備した。次に、反応釜内に、メタクリル酸メチル(MMA)69重量部、N-フェニルマレイミド(PMI)20重量部、酸化防止剤(ADEKA社製のアデカスタブ2112)0.05重量部、連鎖移動剤としてドデシルメルカプタン(DM)0.111重量部、及び、重合溶媒としてトルエン100重量部を仕込んだ。反応釜内に、窒素ガスを導入しつつ、内容物を105℃まで昇温させた。昇温に伴って、還流が始まった。次に、重合開始剤としてt-アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製のルペロックス570)0.355重量部を反応釜内に添加するとともに、トルエン21重量部にt-アミルパーオキシイソノナノエート0.355重量部とスチレン11重量部とを溶解させた溶液を反応釜内に2時間かけて滴下した。これにより、溶液重合が進行した。溶液の滴下終了後、さらに4時間かけて熟成を行なった。
次に、得られた重合溶液を、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルター(濾過精度5μm)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、樹脂量換算で90重量部/時の処理速度で導入して、重合溶液を脱揮した。用いたベントタイプスクリュー二軸押出機のリアベント数は1個、フォアベント数は4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)とし、バレル温度は240℃、減圧度は13.3~400hPa(10~300mmHg)とした。脱揮の際、イオン交換水を1.3重量部/時の投入速度で第1、第3ベントの後ろから、別途準備しておいたブルーイング剤と酸化防止剤の混合溶液を0.30重量部/時の投入速度で第2ベントの後ろから投入した。ブルーイング剤と酸化防止剤の混合溶液として、1.0重量部のブルーイング剤(住化ケムテックス社製スミプラスト(登録商標)VioletB)をトルエン99重量部に溶解させた溶液2.52重量部、酸化防止剤2種類(BASFジャパン社製イルガノックス1010、ADEKA社製アデカスタブAO―412S)3.6重量部、トルエン112.5重量部からなる溶液を用いた。
得られたペレットの重量平均分子量は9.3万、分子量分布は2.4、ガラス転移温度は141℃、メルトフローレートは3.1、環構造の割合は21.2質量%であった。
得られたペレットを120℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機(日精樹脂社製、NS40-5A)を用い、成形温度215℃、金型温度80℃にて、100mm×100mm×厚さ3mmの成形体を作製した。
(参考例5〔アクリル系樹脂組成物(A13)の製造〕)
実施例8において、ブルーイング剤を使用しなかったこと以外は、実施例8と同様にして、樹脂ペレットを得た。
得られた樹脂ペレット(A13)の重量平均分子量は9.3万、分子量分布は2.4、ガラス転移温度は141℃、メルトフローレートは3.2、環構造の割合は21.2質量%であった。
得られたペレットを120℃で12時間以上乾燥した後、射出成形機(日精樹脂社製、NS40-5A)を用い、成形温度215℃、金型温度80℃にて、100mm×100mm×厚さ3mmの成形体を作製した。
下記表に実施例及び参考例の結果を示す。
上記表からも明らかなように、参考例1等で得られた環構造を有するアクリル系ポリマーは、黄色度が小さいものであったが、ブルーイング剤を配合することで、より一層黄色度を小さくできた。
また、透明性を損なうことなく(透明性を同等ないしさらに向上でき)、黄色度を低減できた。しかも、耐久性に優れ、例えば、高温環境下に長時間晒された場合にも、光線透過率の低下や黄変が低減されたものであった。
さらに、このような効果は、ブルーイング剤の配合量を選択することで、効率よく得ることができた。
本来、黄色度と透明性とは、トレードオフの関係にあると考えられ、これらを両立できたことは、極めて意外であった。
このような結果は、ブルーイング剤(さらにはその配合量)は、環構造を有する(特に高割合で有する)アクリル系ポリマーとの組み合わせにおいて、特異的に機能することを示唆するものである。
さらに、実施例のアクリル系ポリマー(樹脂)は、環構造を有していても(特に高割合で有していても)、優れた溶融流動性を有しており、射出成形体を得ることができた。
このようなアクリル系ポリマー(樹脂)は、流動性(さらには、耐湿熱性)に優れた材料であり、これらの特性が要求される用途(光学部材など)に好適に使用しうる。
特に、優れた流動性(成形性)を有していながら、黄色度が小さく(さらには高透明性で)、耐熱性や耐久性に優れているため、レンズ部材等として好適な材料であるといえる。
本発明によれば、射出成形用等として有用な組成物を提供できる。

Claims (14)

  1. N-置換マレイミド単量体由来の構造及びラクトン環構造から選択された少なくとも1種の環構造を有するアクリル系ポリマーと、着色剤を含む組成物であって、
    アクリル系ポリマーのガラス転移温度が115~160℃であり、
    着色剤が、520~600nmに吸収極大波長を有し、
    着色剤の割合が、5~800質量ppbであり、
    JIS K 7210に準拠した、230℃、荷重3.8kgにおけるメルトフローレートが1g/10分以上であり、
    射出成形用である、組成物
  2. アクリル系ポリマーにおける環構造の割合が20質量%以上である、請求項1記載の組成物。
  3. アクリル系ポリマーのガラス転移温度が125℃以上である請求項1又は2記載の組成物。
  4. アクリル系ポリマーの重量平均分子量が5万~10万である請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
  5. IS K 7210に準拠した、230℃、荷重3.8kgにおけるメルトフローレートがg/10分以上10g/10分以下である請求項1~4のいずれかに記載の組成物。
  6. アクリル系ポリマー中の(メタ)アクリル酸エステル単位の含有割合が30質量%以上であり、(メタ)アクリル酸エステル単位中のメタクリル酸メチル単位の含有割合が30質量%以上である、請求項1~5のいずれかに記載の組成物。
  7. 着色剤が、アントラキノン骨格を有する化合物を含む請求項1~6のいずれかに記載の組成物。
  8. 着色剤の割合が500質量ppb以下である請求項1~7のいずれかに記載の組成物。
  9. アクリル系ポリマーにおける環構造の割合が25質量%以上であり、アクリル系ポリマーのガラス転移温度が128℃以上であり、着色剤の割合が400質量ppb以下である請求項1~8のいずれかに記載の組成物。
  10. 紫外線吸収剤の含有割合が0.5質量%以下である、請求項1~9のいずれかに記載の組成物。
  11. レンズ部材用である、請求項1~10のいずれかに記載の組成物。
  12. 請求項1~11のいずれかに記載の組成物を含む射出成形体。
  13. レンズ部材である請求項12記載の成形体。
  14. ヘッドアップディスプレイ又は車載カメラのレンズ部材である請求項12又は13記載の成形体。
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