JP7032877B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、アクリル酸エステル由来の構造単位を有するブロック共重合体を含む樹脂組成物等に関する。
近年、透明性樹脂は、光学レンズ、プリズム、ミラー、光ディスク、光ファイバー、液晶ディスプレイ用シート及びフィルム、導光板等の光学材料に幅広く使用されている。
このような透明性樹脂としては、従来、アクリル樹脂が主として用いられてきた。
このようなアクリル樹脂は、硬脆い特徴があり、ラクトン環やマレイミド環といった環構造を導入することによって、ガラス転移温度を上げるとこの傾向はより顕著となる。
そのため、柔軟性の付与が検討されており、例えば、特許文献1には、ポリアクリル酸ブチルの存在下、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルとメタクリル酸メチルを重合し、次いで環化反応させることにより、柔軟な成分であるポリアクリル酸ブチルが混合された、ラクトン環構造を有するアクリル樹脂が記載されている。また、特許文献2のように、主鎖にマレイミド構造を有するメタクリル系共重合体ブロックにアクリル系共重合ブロックを導入する技術も知られている。
特開2007-100044号公報 特開2014-012782号公報
本発明の目的は、アクリル系モノマー由来の構造単位を有するブロック共重合体を含む新規な樹脂組成物を提供することにある。
前記特許文献1のように、アクリル樹脂(メタクリル系樹脂)に対して、アクリル酸エステル由来の構造単位のブロック共重合体を組み合わせることで、アクリル樹脂の硬脆さ等の改善効果を期待しうる。
一方、本発明者の検討によれば、このようなアクリル酸エステル由来の構造単位を有するブロック共重合体を使用すると、加熱成形時などに異物ないしゲルが生じる場合があることがわかった。このようなゲル化は、フィルムの欠点等になりうるものであり、極力抑制ないし低減することが求められる。
このような中、本発明者は、鋭意検討した結果、このようなブロック共重合体に、特定の3種の酸化防止剤を添加することで、異物の生成やゲル化が効率よく抑えられることを見出した。
なお、特許文献1には、一般論として、酸化防止剤について記載されており(特許文献1の段落[0026])、実施例でも、ホスファイト系の酸化防止剤が使用されているが、酸化防止剤を併用することは全く開示されていない。また、特許文献2では、酸化防止剤の使用例すらない。
本発明者は、上記以外にも下記するように種々の新知見を得て、さらに鋭意検討を重ねて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の組成物(樹脂組成物)は、アクリル酸エステル由来の構造単位を含むポリマーブロック(I)を有し、かつラクトン環構造及びマレイミド構造から選ばれる少なくとも1種の環構造を有するブロック共重合体(A)と、酸化防止剤(B)とを含む。このような組成物において、酸化防止剤(B)は、通常、フェノール系酸化防止剤(B1)、イオウ系酸化防止剤(B2)、及びリン系酸化防止剤(B3)を含んでいてもよい。
本発明の組成物において、ブロック共重合体(A)は、(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位を有する他のブロック(ポリマーブロック(II))を有していてもよい。
代表的には、ブロック共重合体(A)は、メタクリル酸エステル由来の構造単位を含むポリマーブロック(II)を有してもよい。
本発明の組成物において、フェノール系酸化防止剤(B1)及びイオウ系酸化防止剤(B2)と、リン系酸化防止剤(B3)との割合は、フェノール系酸化防止剤(B1)及びイオウ系酸化防止剤(B2)/リン系酸化防止剤(B3)(質量比)=8/1~0.6/1であってもよい。
本発明の組成物は、樹脂成分として、さらに、他の樹脂、例えば、アクリル系樹脂を含んでいてもよい。このような他の樹脂は、ブロック共重合体と共通する構造(骨格)を有する樹脂[例えば、ブロック(I)及び/又はブロック(II)と共通する構造を有する樹脂((メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位を有する樹脂など)]であってもよい。
代表的には、本発明の組成物は、さらに、メタクリル酸エステル由来の構造単位を有する他の樹脂を含んでいてもよい。
本発明には、ブロック共重合体(A)と、酸化防止剤(B)とを混合し、前記組成物を製造する方法も含まれる。
本発明では、酸化防止剤(B)をブロック共重合体(A)と組み合わせる(又はブロック共重合体(A)に含有させる)ことで、ブロック共重合体(A)におけるゲル化や異物の発生を抑制しうる。
そのため、本発明には、ブロック共重合体(A)の添加剤(例えば、ブロック共重合体(A)におけるゲル化又は異物の発生を抑制又は低減するための添加剤)であって、酸化防止剤(B)を含む剤(添加剤)も含まれる。
また、本発明には、前記組成物を含むフィルムも含まれる。このようなフィルムは、光学フィルムであってもよく、特に、偏光子保護フィルムであってもよい。
さらに、本発明は、このようなフィルムを備えた偏光板や画像表示装置(液晶表示装置など)も包含する。
本発明では、アクリル系モノマー由来の構造単位を有するブロック共重合体を含む新規な樹脂組成物を提供できる。このような樹脂組成物は、特定の酸化防止剤を含んでおり、異物の発生やゲル化を効率よく抑制しうる。
しかも、意外なことに、耐熱性などの他の物性については損なうことなく高いレベルで維持しうる。そのため、本発明の樹脂組成物は、ブロック共重合体に由来する物性はそのままに異物の発生やゲル化を抑制でき、樹脂品質を損なうこともない。
本発明の樹脂組成物は、ブロック共重合体(A成分、ブロック共重合体(A)などということがある)と、特定の酸化防止剤(B成分、酸化防止剤(B)などということがある)とを少なくとも含む。
<ブロック共重合体>
ブロック共重合体は、特に限定されないが、通常、アクリル酸エステル由来の構造単位(又は、単に、「アクリル酸エステル単位」などということがある。以下、同様の表現において同じ)を含むポリマーブロック(ポリマーブロック(I)、ブロック(I)などということがある)を有する。
このようなブロック共重合体は、ポリマーブロック(I)を有する限り、他のブロック(ブロック(I)と異なるブロック)は特に限定されないが、特に、他のブロックは、(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位を有するブロック(ポリマーブロック(II)、ブロック(II)などということがある)を含んでいてもよい。
また、ブロック共重合体は、特定の環構造を有している。ブロック共重合体において、このような環構造の存在位置は、特に限定されず、例えば、ブロック(I)及び/又は異なるブロック(例えば、ブロック(II))に存在していてもよい。特に、環構造は、少なくともブロック(II)が有していてもよい(ブロック(II)に存在していてもよい)。
以下、このようなブロック共重合体について詳述する。
ブロック共重合体は、アクリル酸エステルを重合成分として含むブロック[ブロック(I)]と、ブロック(I)とは異なるブロック(ブロック(II)など)とを少なくとも有している。
なお、異なるブロックは、通常、ブロック(I)とは異なるガラス転移温度を有していてもよい。
ブロック共重合体は、ブロック(I)(及びブロック(II)などの異なるブロック)を有する限り、ブロック数は特に限定されず、例えば、ジ乃至デカブロック体などのポリブロック体であってもよい。
代表的なブロック共重合体には、ジブロック体[例えば、(I)-(II)で表されるジブロック体]、トリブロック体[例えば、(II)-(I)-(II)または(I)-(II)-(I)で表されるトリブロック体など]、テトラブロック体[例えば、(II)-(I)-(II)-(I)で表されるテトラブロック体など]、ペンタブロック体[例えば、(I)-(II)-(I)-(II)-(I)で表されるペンタブロック体など]などが含まれる。
ここで、ポリブロック体を構成する各ブロックの分子量、組成等は同じであってもよいし、相互に異なっていてもよい。
[ブロック(I)]
ブロック(I)において、アクリル酸エステル単位としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族アクリレート[例えば、アクリル酸アルキルエステル(例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸C1-18アルキル)等]、脂環族アクリレート[例えば、アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、アクリル酸シクロプロピル、アクリル酸シクロブチル等のアクリル酸C3-20シクロアルキル)、架橋環式アクリレート(例えば、アクリル酸イソボルニル)等]、芳香族アクリレート[例えば、アクリル酸アリールエステル(例えば、アクリル酸フェニル、アクリル酸o-トリル等のアクリル酸C6-20アリール)、アクリル酸アラルキルエステル(例えば、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸C6-10アリールC1-4アルキル)、アクリル酸フェノキシアルキル(例えば、アクリル酸フェノキシエチル等のアクリル酸フェノキシC1-4アルキル)等]等のアクリル酸エステル由来の構造単位等が挙げられる。
アクリル酸エステル単位は、1種で又は2種以上組み合わせて構成してもよい。
アクリル酸エステル単位は、柔軟性を向上させる等の観点から、アクリル酸アルキルエステル単位を少なくとも含むことが好ましく、アクリル酸C1-18アルキル単位を少なくとも含むことがより好ましく、アクリル酸n-ブチル単位を少なくとも含むことがさらに好ましい。
アクリル酸エステル単位がアクリル酸アルキルエステル単位を含む場合、アクリル酸エステル単位中のアクリル酸アルキルエステル単位の含有割合は、アクリル酸エステル単位を構成するモノマー(アクリル酸エステル)換算で、例えば、50モル%以上(例えば、60~100モル%)、好ましくは70モル%以上(例えば、80~100モル%)であってもよい。
ブロック(I)において、アクリル酸エステル単位の割合は、ブロック(I)を構成するモノマー換算で、例えば、50モル%以上(例えば、60~100モル%)、好ましくは70モル%以上(例えば、80~100モル%)、さらに好ましくは90モル%以上(例えば、95モル%以上)であってもよい。
ブロック(I)において、アクリル酸エステル単位の割合は、例えば、50質量%以上(例えば、60~100質量%)、好ましくは70質量%以上(例えば、80~100質量%)、さらに好ましくは90質量%以上(例えば、95質量%以上)であってもよい。
なお、ポリマーブロック(I)は、アクリル酸エステル単位以外の他の単量体(例えば、メタクリル酸エステルなどの後述の単量体又はモノマーなど)由来の構造単位(他の単位、他の構造単位などということがある)を有していてもよい。このような他の単量体由来の構造単位は、1種で又は2種以上組み合わせて構成してもよい。
ブロック(I)が他の単位を含む場合、他の単位の割合は、ブロック(I)を構成するモノマー換算で、例えば、50モル%以下(例えば、0.001~40モル%)、好ましくは30モル%以下(例えば、0.01~20モル%)、さらに好ましくは10モル%以下(例えば、0.1~5モル%)であってもよい。
[ブロック(II)]
ブロック(II)は、ブロック(I)と異なる限り特に限定されないが、通常、(メタ)アクリル酸エステル由来の構造単位を有するポリマーブロック(II)であってもよい。
ブロック(II)は、特に、メタクリル酸エステル由来の構造単位を有してもよい。代表的なブロック共重合体は、ブロック(I)と、メタクリル酸エステル由来の構造単位を有するブロック(II)とを有するブロック共重合体[以下、ブロック共重合体(A)ということがある]である。
なお、このようなブロック共重合体では、ブロック(II)がハード成分(硬質成分)、ブロック(I)がソフト成分(軟質成分)を形成する場合が多い。
メタクリル酸エステルとしては、例えば、脂肪族メタクリレート[例えば、メタクリル酸アルキルエステル(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸ペンチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸へプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸ヘプタデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸C1-18アルキル、好ましくはメタクリル酸C1-12アルキル)等]、脂環族メタクリレート[例えば、メタクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、メタクリル酸シクロプロピル、メタクリル酸シクロブチル、メタクリル酸シクロペンチル、メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸C3-20シクロアルキル、好ましくはメタクリル酸C3-12シクロアルキル)、架橋環式メタクリレート(例えば、メタクリル酸イソボルニル等)等]、芳香族メタクリレート[例えば、メタクリル酸アリールエステル(例えば、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸o-トリル、メタクリル酸m-トリル、メタクリル酸p-トリル、メタクリル酸2,3-キシリル、メタクリル酸2,4-キシリル、メタクリル酸2,5-キシリル、メタクリル酸2,6-キシリル、メタクリル酸3,4-キシリル、メタクリル酸3,5-キシリル、メタクリル酸1-ナフチル、メタクリル酸2-ナフチル、メタクリル酸ビナフチル、メタクリル酸アントリル等のメタクリル酸C6-20アリール、好ましくはメタクリル酸C6-10アリール)、メタクリル酸アラルキルエステル(例えば、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸C6-10アリールC1-4アルキル)、メタクリル酸フェノキシアルキル(例えば、メタクリル酸フェノキシエチル等のメタクリル酸フェノキシC1-4アルキル)等]等を挙げることができる。
また、メタクリル酸エステルは、ヒドロキシル基、アルコキシ基、グリシジル基等の置換基を有していてもよい。このようなメタクリル酸エステルとしては、例えば、ヒドロキシル基を有するメタクリル酸エステル[例えば、メタクリル酸ヒドロキシアルキルエステル(例えば、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル等のメタクリル酸ヒドロキシC1-12アルキル)等]、アルコキシ基を有するメタクリル酸エステル[例えば、メタクリル酸アルコキシアルキルエステル(例えば、メタクリル酸2-メトキシエチル等のメタクリル酸C1-12アルコキシC1-12アルキル等)]、グリシジル基を有するメタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸グリシジル等)等が挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、前記例示のアクリル酸エステル(例えば、アクリル酸アルキルエステルなどの脂肪族アクリレート)などが挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル単位は、1種で又は2種以上組み合わせて構成してもよい。
ブロック(II)が(メタ)アクリル酸エステル単位を含む場合、(メタ)アクリル酸エステル単位の割合は、ブロック(II)を構成するモノマー換算で、例えば、30モル%以上(例えば、40~100モル%)、好ましくは50モル%以上(例えば、60~100モル%)、さらに好ましくは70モル%以上(例えば、80モル%以上)であってもよく、90モル%以上などとすることもできる。
ブロック(II)が(メタ)アクリル酸エステル単位を含む場合、ブロック(II)において、(メタ)アクリル酸エステル単位の割合は、例えば、30質量%以上(例えば、40~100質量%)、好ましくは50質量%以上(例えば、60~100質量%)、さらに好ましくは70質量%以上(例えば、80質量%以上)であってもよく、90質量%以上などとすることもできる。
ブロック(II)が、メタクリル酸エステル単位を含む場合、メタクリル酸エステル単位の割合は、ブロック(II)を構成するモノマー換算で、例えば、30モル%以上(例えば、40~100モル%)、好ましくは50モル%以上(例えば、60~100モル%)、さらに好ましくは70モル%以上(例えば、80モル%以上)であってもよく、90モル%以上などとすることもできる。
ブロック(II)が、メタクリル酸エステル単位を含む場合、ブロック(II)において、メタクリル酸エステル単位の割合は、例えば、30質量%以上(例えば、40~100質量%)、好ましくは50質量%以上(例えば、60~100質量%)、さらに好ましくは70質量%以上(例えば、80質量%以上)であってもよく、90質量%以上などとすることもできる。
ブロック(II)が、メタクリル酸エステル単位を含む場合、(メタ)アクリル酸エステル単位中のメタクリル酸エステル単位の含有割合は、例えば、50モル%以上(例えば、60モル%以上)、好ましくは70モル%以上(例えば、80モル%以上)、さらに好ましくは90モル%以上(例えば、95モル%以上)であってもよい。
ブロック(II)が、メタクリル酸エステル単位を含む場合、(メタ)アクリル酸エステル単位中のメタクリル酸エステル単位の含有割合は、例えば、50質量%以上(例えば、60質量%以上)、好ましくは70質量%以上(例えば、80質量%以上)、さらに好ましくは90質量%以上(例えば、95質量%以上)であってもよい。
これらの中でも、透明性、耐熱性を向上させる等の観点から、メタクリル酸アルキルエステルが好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸tert-ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニルなどのメタクリル酸C1-18アルキルエステルがより好ましく、メタクリル酸メチルがさらに好ましい。
ブロック(II)が、メタクリル酸アルキルエステル単位を含む場合、メタクリル酸エステル単位中のメタクリル酸アルキルエステル単位の含有割合は、メタクリル酸エステル単位を構成するモノマー(メタクリル酸エステル)換算で、例えば、50モル%以上(例えば、60~100モル%)、好ましくは70モル%以上(例えば、80~100モル%)であってもよい。
ブロック(II)は、他の重合性単量体(メタクリル酸エステルではない単量体)由来の構造単位を有していてもよい。他の重合性単量体は、1種又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
このような他の重合性単量体(モノマー)としては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸、スチレン系モノマー[例えば、スチレン、ビニルトルエン、置換基(例えば、ハロゲン基、アルコキシ基、アルキル基、ヒドロキシ基等)を有するスチレン(例えば、α―メチルスチレン、クロロスチレン等)、スチレンスルホン酸又はその塩等]、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル等)、不飽和ニトリル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、オレフィン系モノマー(例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブチレン、1-オクテン等のC2-10アルケン)、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
他の単量体は、ブロック共重合体の用途に応じて適宜選択できるが、光学特性を調整できる等の観点から、スチレン系モノマーを含むことが好ましく、スチレンを含むことがより好ましい。
また、他の重合性単量体は、アミド基含有ビニル系単量体[例えば、(メタ)アクリルアミド、N-置換(メタ)アクリルアミド(例えば、N-メチル(メタ)アクリルアミドなどのN-アルキル(メタ)アクリルアミド;N-シクロヘキシル(メタ)アクリルアミドなどのN-シクロアルキル(メタ)アクリルアミド;N-フェニル(メタ)アクリルアミドなどのN-アリール(メタ)アクリルアミド;N-ベンジル(メタ)アクリルアミドなどのN-アラルキル(メタ)アクリルアミド;N-クロロフェニル(メタ)アクリルアミドなどのN-クロロアリール(メタ)アクリルアミド;N-メチロール(メタ)アクリルアミドなど)など]を含んでいてもよい。アミド基含有ビニル系単量体は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸エステルとしては、例えば、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸エチルなどのアルキルエステルが挙げられる。
なお、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル由来の構造単位は、ブロック共重合体にラクトン環構造を導入する際に残存する単位であってもよい。
また、ブロック共重合体は、アミド基含有ビニル系単量体(又はアミド基含有ビニル単量体由来の単位)を実質的に含まなくてもよい。実質的に含まないことで、アミド基含有ビニル系単量体のアミド基が他のポリマーに含まれるエステル基と反応して分子間架橋することによる悪影響(フィッシュアイなど)などを効率よく抑えることができる。
ブロック(II)が他の単量体由来の構造単位を含む場合、他の単量体由来の構造単位の割合は、ブロック(II)を構成するモノマー換算で、例えば、70モル%以下、好ましくは50モル%以下(例えば、0.001~40モル%)、さらに好ましくは30モル%以下(例えば、0.01~20モル%)、特に15モル%以下(例えば、0.1~10モル%)であってもよく、5モル%以下などであってもよい。
特に、ブロック(II)がスチレン系モノマー由来の構造単位を含む場合、スチレン系モノマー由来の構造単位の割合は、ブロック(II)を構成するモノマー換算で、例えば、1モル%以上(例えば、2~70モル%)、好ましくは3モル%以上(例えば、4~65モル%)、さらに好ましくは5モル%以上(例えば、7~55モル%)、特に10モル%以上(例えば、12~50モル%)、特に好ましくは15モル%以上(例えば、15~50モル%)程度であってもよく、通常1~40モル%(例えば、3~30モル%、5~25モル%など)であってもよい。
[他のブロック(ブロック(III))]
ブロック共重合体は、必要に応じて、ブロック(I)及び(II)とは別の重合体ブロック[例えば、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステル以外のモノマー由来の構造単位を有するブロック、以下、ブロック(III)ともいう]を有してもよい。
ブロック(III)と、ブロック(I)及びブロック(II)との結合の形態は特には限定されないが、例えば、(I)-((II)-(I))n-(III)や、(III)-(I)-((II)-(I))n-(III)などの構造(nは1~20の整数である)が挙げられる。
[環構造]
ブロック共重合体は、特定の環構造を有するが、通常、主鎖に環構造を有することが好ましい。主鎖に環構造を有することにより、ブロック共重合体の軟化温度や熱分解温度等の耐熱性、硬度(強度)、耐溶剤性、表面硬度、接着性、酸素や水蒸気のバリヤ性、各種の光学特性が向上する。更に、フィルムやシートにした場合に、高温、高湿度条件下での寸法安定性や形状安定性が向上する。これに加えて、主鎖の環構造は、位相差フィルム等を形成する際、延伸によってフィルムが大きな位相差を発現することに寄与する。この特徴は、位相差フィルムまたは位相差フィルムの機能を有する偏光子保護フィルムとしての使用を可能とする。
ブロック共重合体が有する環構造は、ラクトン環構造及びマレイミド構造から選ばれる少なくとも1種である。
マレイミド構造は、例えば、N-シクロアルキルマレイミド構造(N-シクロヘキシルマレイミド構造など)、N-アルキルマレイミド構造(N-メチルマレイミド構造など)、N-アリールマレイミド構造(N-フェニルマレイミド構造など)、N-アラルキルマレイミド構造(N-ベンジルマレイミド構造など)である。これら環構造は、ブロック共重合体の主鎖に1種又は2種以上含まれていてよい。
当該環構造は、ブロック共重合体の耐熱性の観点から好ましい。また、耐水性や耐熱水性などの観点から、好ましい。
さらに、このような環構造は、表面硬度、耐溶剤性、接着性、バリヤ特性、光学特性が付与される観点から、好ましい。例えば、光学フィルムの中でも位相差フィルムへの使用を想定する場合、正の位相差が付与でき、更に位相差特性の安定性が優れる観点から好ましい。
なお、マレイミド構造は、例えば、ブロック共重合体を得る際、マレイミド構造を有する単量体(マレイミドモノマー類)をモノマーとして使用することでブロック共重合体に導入できる。
マレイミド構造は、例えば、以下の式(3)で表される構造である。
Figure 0007032877000001
(式中、R、Rは互いに独立して水素原子またはメチル基であり、Rは水素原子又は置換基である。)
式(3)のRにおいて、置換基としては、例えば、炭化水素基等が挙げられる。
当該炭化水素基としては、例えば、脂肪族基{例えば、アルキル基[例えば、C1-6直鎖アルキル基(例えば、メチル基、エチル基等)、C1-6分岐アルキル基(例えば、イソプロピル基等)等のC1-6アルキル基等]等}、脂環族基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のC3-20シクロアルキル基等)、芳香族基{例えば、C6-20芳香族基[例えば、C7-20アラルキル基(例えば、ベンジル基等)、C6-20アリール基(例えば、フェニル基等)]}である。尚、炭化水素基は、さらにハロゲン等の置換基を有していてもよい。
式(3)は、耐熱性に優れ、複屈折率が小さいブロック共重合体を得られる等の観点から、好ましくは、R及びRがそれぞれ独立して水素原子、RがC3-20シクロアルキル基又はC6-20芳香族基であり、より好ましくはR及びRがそれぞれ独立して水素原子、Rがシクロヘキシル基、ベンジル基またはフェニル基である。
なお、ブロック共重合体は、式(3)で表わされる構造を1種又は2種以上含んでいてよい。
ラクトン環構造は特に限定されず、例えば、4から8員環であってもよいが、環構造の安定性に優れることから5員環又は6員環であることが好ましく、6員環であることがより好ましい。
6員環であるラクトン環構造は、例えば、特開2004-168882号公報に開示されている構造であるが、前駆体の重合収率が高いこと、前駆体の環化縮合反応により、高いラクトン環含有率を有するブロック共重合体が得られることなどの理由から以下の式(4)に示される構造が好ましい。
Figure 0007032877000002
(式中、R、R及びRは、互いに独立して、水素原子または置換基である。)
式(4)において、置換基としては、例えば、炭化水素基等の有機残基等が挙げられる。
当該炭化水素基としては、例えば、脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などのC1-20アルキル基、エテニル基、プロペニル基などのC2-20不飽和脂肪族炭化水素基等)、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基などのC6-20芳香族炭化水素基等)等である。前記炭化水素基は、酸素原子を含んでいてもよく、水素原子の一つ以上が、水酸基、カルボキシル基、エーテル基及びエステル基から選ばれる少なくとも1種類の基により置換されていてもよい。
式(4)において、耐熱性に優れ、複屈折率が小さいブロック共重合体を得られる等の観点から、好ましくは、Rが水素原子またはメチル基、R及びRがそれぞれ独立して水素原子またはC1-20アルキル基であり、より好ましくは、Rが水素原子またはメチル基、R及びRがそれぞれ独立して水素原子またはメチル基である。
なお、ブロック共重合体は、式(4)で表わされる構造を1種又は2種以上含んでいてよい。
ブロック共重合体において、環構造は、いずれのブロック[例えば、ブロック(I)及び(II)(さらには(III))]に導入されていてもよく、通常はブロック(I)及び/又は(II)に導入されており、少なくともブロック(II)(ハード成分など)に導入されていることが好ましく、ブロック(II)及びブロック(I)に導入されていてもよい。
ブロック共重合体における環構造の含有率は特に限定されないが、例えば、1~60モル%(例えば、1~50モル%)であり、好ましくは1~40モル%であり、より好ましくは2~30モル%であってもよく、20モル%以下[例えば、15モル%以下(例えば、1~12モル%)、好ましくは10モル%以下(例えば、2~9モル%)]であってもよい。
ブロック共重合体における環構造の含有率は特に限定されないが、例えば、1~80質量%であり、好ましくは1~50質量%であり、より好ましくは2~40質量%であってもよい。
特に、ブロック共重合体がマレイミド構造を有する場合、ブロック共重合体におけるマレイミド構造の含有率は、特に限定されないが、例えば、5~90質量%であり、好ましくは10~70質量%であり、より好ましくは10~60質量%であり、さらに好ましくは10~50質量%であってもよい。
ブロック共重合体におけるマレイミド構造の含有率は、例えば、1~50モル%、好ましくは5~40モル%、より好ましくは10~30モル%であってもよい。
また、ブロック(II)が、マレイミド構造を有する場合、マレイミド構造の含有割合は、ブロック(II)において、例えば、5~90質量%であり、好ましくは10~70質量%であり、より好ましくは10~60質量%であり、さらに好ましくは10~50質量%であってもよい。
なお、ブロック(II)が、マレイミド構造を有する場合、マレイミド構造の含有割合は、ブロック(II)を構成するモノマー換算で、例えば、7~90モル%、好ましくは10~75モル%、より好ましくは10~60モル%であってもよい。
ブロック共重合体におけるマレイミド構造の含有率は、例えば、2モル%以上(例えば、2~40モル%)、好ましくは3モル%以上(例えば、3~30モル%)、さらに好ましくは4モル%以上(例えば、4~25モル%)であってもよい。
また、ブロック共重合体がラクトン構造を有する場合、ブロック共重合体におけるラクトン環構造の含有率は特に限定はされないが、ブロック共重合体の耐熱性及び透明性を向上させる等の観点から、例えば、5~40質量%であり、好ましくは7~30質量%であり、より好ましくは10~25質量%であってもよい。
ブロック共重合体におけるラクトン環構造の含有率は、ブロック共重合体の耐熱性及び透明性を向上させる等の観点から、例えば、4~35モル%、好ましくは6~25モル%、より好ましくは8~20モル%であってもよい。
[各ブロックの割合、分子量など]
ブロック共重合体において、ブロック(I)及びブロック(II)の割合は、例えば、ブロック(I)が20~90質量%、ブロック(II)が80~10質量%であり、好ましくはブロック(I)が25~85質量%、ブロック(II)が75~15質量%であり、さらに好ましくはブロック(I)が30~70質量%、ブロック(II)が70~30質量%であってもよい。
ブロック共重合体において、ブロック(I)とブロック(II)の含有割合は、例えば、ブロック(I)/ブロック(II)(モル比)=20/80~90/10、好ましくは25/75~85/15、さらに好ましく30/70~70/30程度であってもよい。
ブロック共重合体において、ブロック(I)とブロック(II)の含有割合は、例えば、ブロック(I)/ブロック(II)(質量比)=20/80~90/10、好ましくは25/75~85/15、さらに好ましく30/70~70/30程度であってもよい。
なお、ブロック共重合体がブロック(III)を含む場合、ブロック(III)の割合は、例えば、50質量%以下、好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、特に10質量%以下であってもよい。
ブロック共重合体(又は樹脂組成物)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、5000以上(例えば、10000~100000)であることが好ましく、好ましくは20000以上(例えば、30000~800000)であり、さらに好ましくは50000以上(例えば、70000~500000)であってもよい。
また、ブロック共重合体(又は樹脂組成物)の重量平均分子量は(Mw)は、45万以下(例えば、15万~45万)、好ましくは18万~45万、より好ましくは20万~40万であってもよい。
ブロック(I)の重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、5000以上(例えば、8000~200000)、好ましくは10000以上(例えば、12000~150000)、さらに好ましくは15000以上(例えば、15000~100000)であってもよい。
ブロック(II)の重量平均分子量は、特に限定されないが、例えば、5000以上(例えば、8000~500000)、好ましくは10000以上(例えば、15000~200000)、さらに好ましくは20000以上(例えば、20000~150000)であってもよい。
ブロック共重合体において、ブロック(I)とブロック(II)との重量平均分子量(Mw)の比は、特に限定されず、例えば、1:0.5~1:3であり、好ましくは1:0.8~1:2.5(例えば、1:0.9~1:2)、より好ましくは1:1~1:2であってもよい。
ブロック共重合体(又は樹脂組成物)の分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、1~10程度の範囲から選択でき、好ましくは1.1~7.0、さらに好ましくは1.2~5.0、より一層好ましくは1.5~4.0である。
特に、ブロック共重合体(又は樹脂組成物)の分子量分布(Mw/Mn)は、例えば、3以下、好ましくは2.8以下(例えば、1~2.6)、さらに好ましくは2.5以下(例えば、1.1~2.4)、特に2.3以下(例えば、1.2~2.2)であってもよい。
また、ブロック共重合体の分子量分布(Mw/Mn)は、1.65以上(例えば、1.65~2.5)、好ましくは1.7~2.4(例えば、1.8~2.3)であってもよい。
なお、分子量等は、例えば、ポリスチレン換算でGPCにより測定される値であってもよい。
ブロック共重合体(又は樹脂組成物)の酸価は、用途等にもよるが、低い方が好ましく、例えば、10mmol/g以下、好ましくは5mmol/g以下、さらに好ましくは3mmol/g以下、最も好ましくは1.5mmol/g以下(例えば、1mmol/g以下)であってもよい。
ブロック共重合体(又は樹脂組成物)のガラス転移温度(Tg)は、使用するモノマーの種類や、環構造の種類、含有量等にもよるが、例えば、110℃以上(例えば、110℃~200℃)、好ましくは115℃~160℃、より好ましくは120℃~150℃であってもよい。
ブロック共重合体(又は樹脂組成物)の40℃以下の温度領域で観測されるガラス転移温度(Tg)は、-100℃~+40℃が好ましく、より好ましくは-90℃~0℃以下、さらに好ましくは-80℃-20℃以下であってもよい。
ブロック共重合体(又は樹脂組成物)の40℃以上の温度領域で観測されるガラス転移温度(Tg)は、110℃以上(例えば、110~250℃)が好ましく、より好ましくは115~230℃以下、さらに好ましくは120~200℃であってもよい。
ブロック(I)のガラス転移温度は、特に限定されないが、例えば、-60~30℃、好ましくは10℃以下(例えば、-55~0℃)、さらに好ましくは-50~-5℃、特に-45~-10℃(例えば、-40~-12℃)程度であってもよい。
ブロック(II)のガラス転移温度は、特に限定されないが、例えば、40~250℃、好ましくは110℃以上(例えば、110~200℃)、より好ましくは115~160℃であってもよい。
ブロック(I)のガラス転移温度とブロック(II)のガラス転移温度との差は、例えば、20~300℃、好ましくは50~250℃、さら好ましくは80~200℃であってもよい。
[ブロック共重合体の製造方法(重合方法)]
ブロック共重合体は、市販品を利用してもよく、製造(合成)したものを使用してもよい。
ブロック共重合体の環構造の導入方法も特に限定されず、慣用の方法に従うことができる。例えば、重合において、前記環構造に対応する単量体(例えば、N-置換マレイミドなど)を重合成分として用いることで、環構造を導入してもよい。
また、ブロック共重合体において、環化反応を進行させてブロック共重合体に環構造を導入してもよい。なお、このように後から環化反応を行う場合、ブロック共重合体として、市販品(株式会社クラレ社製のクラリティなど)を使用してもよい。
主鎖にラクトン環構造を有するブロック重合体は、例えば、2-(ヒドロキシメチル)アクリル酸エステル単位と(メタ)アクリル酸エステル単位を含むブロック共重合体を、隣接する単位間で、水酸基とエステル基を分子内脱アルコール反応させる方法(例えば、特開2000-230016号公報、特開2001-151814号公報、特開2002-120326号公報、特開2002-254544号公報、特開2005-146084号公報に記載の方法等)により得ることができる。
ブロック共重合体を製造する場合、ブロック共重合体の製造方法は、特に限定されず、慣用の方法に従うことができる。例えば、各ブロックの構成単位であるモノマーをリビング重合する方法が一般に使用される。このようなリビング重合の手法としては、例えば、特開平11-335432号公報に記載の方法である有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として有機アルミニウム化合物の存在下でアニオン重合する方法、特開平6-93060号公報に記載の方法である有機希土類金属錯体を重合開始剤として重合する方法、Macromol.Chem.Phys.201巻、1108~1114頁(2000年)に記載の方法であるα-ハロゲン化エステル化合物を開始剤として銅化合物の存在下ラジカル重合する方法、Macromolecules、26巻、2987頁(1993)に記載の方法であるニトロキシル基媒介重合、Macromolecules、28巻、2093頁(1995)に記載の方法である原子移動ラジカル重合、Macromolecules、31巻、5559頁(1998)に記載の方法である可逆的付加―開裂連鎖移動重合等が挙げられる。
また、ブロック共重合体は、ポリマーブロック(I)の末端に有機リン単位を有するニトロキシド構造を有するニトロキシドポリマー(A)と、他のブロック[特に、ポリマーブロック(II)]に対応するモノマー(B)(例えば、メタクリル酸エステルなどの前記ブロック(II)の項に記載のモノマー)とを重合させる重合工程を少なくとも経て、製造することもできる。
以下、ブロック共重合体の製造方法の一例として、この方法について詳述する。
(ニトロキシドポリマー(A))
ニトロキシドポリマー(A)は、ブロック(I)、すなわち、アクリル酸エステル単位を含むポリマーブロック(I)の末端に、有機リン単位を有するニトロキシド構造を有する。
ニトロキシドポリマー(A)は、有機リン単位を有するニトロキシド構造を、ポリマーブロック(I)の少なくとも片末端に有していればよいが、ポリマーブロック(I)の両末端に有することが好ましい。
ニトロキシドポリマー(A)において、有機リン単位を有するニトロキシド構造は、通常、ニトロキシフリーラジカル(N-O・)を有する。
有機リン単位を有するニトロキシド構造は、例えば、以下の式(1)で表される構造等である。
Figure 0007032877000003
(式中、Rは水素原子又は置換基を示し、Rは連結基を示し、Xは有機リン単位を示す。)
において、置換基としては、例えば、炭化水素基等が挙げられる。
炭化水素基としては、例えば、脂肪族基[例えば、C1-10アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等)、好ましくは、C1-4アルキル基等]、脂環族基[例えば、C3-12シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、好ましくは、C3-7シクロアルキル基等]、芳香族基{例えば、C6-20芳香族基[例えば、C6-20アリール基(例えば、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、2,3-キシリル基、1-ナフチル基等)、C7-20アラルキル基(例えば、ベンジル基等)等]}等である。尚、炭化水素基は、さらに置換基(例えば、ハロゲン原子等)を有していてもよい。
式(1)において、Rとしては、脂肪族基が好ましく、C1-10アルキル基がより好ましく、C1-4アルキル基がさらに好ましい。
において、連結基としては、例えば、炭化水素基等が挙げられる。
炭化水素基としては、例えば、脂肪族基[例えば、C1-10アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等)、好ましくは、C1-5アルキル基]、脂環族基[例えば、C3-12シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、好ましくは、C3-7シクロアルキル基等]、芳香族基{例えば、C6-20芳香族基[例えば、C6-20アリール基(例えば、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、2,3-キシリル基、1-ナフチル基等)、C7-20アラルキル基(例えば、ベンジル基等)等]}等である。尚、炭化水素基は、さらに置換基(例えば、ハロゲン原子等)を有していてもよい。
式(1)において、Rとしては、脂肪族基が好ましく、C1-10アルキル基がより好ましく、C1-5アルキル基がさらに好ましい。
Xにおいて、有機リン単位としては、リンを含有する基(リン含有基)であればよい。
リン含有基は、少なくともP(=O)OR構造で表される構造(Rは、水素原子又は炭化水素基を示す)を含むことが好ましい。
において、炭化水素基としては、例えば、脂肪族基[例えば、C1-10アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等)、好ましくは、C1-4アルキル基等]、脂環族基(例えば、C3-12シクロアルキル基等)、芳香族基(例えば、C6-20芳香族基等)等が挙げられる。
としては、脂肪族基が好ましく、C1-10アルキル基がより好ましく、C1-4アルキル基がさらに好ましい。
有機リン単位としては、以下の式(2)で表される構造が好ましい。
Figure 0007032877000004
[式中、Rは、水素原子又は炭化水素基を示し、Yは、水素原子又は―OR(式中、Rは、水素原子又は炭化水素基)を示す。]
において、炭化水素基としては、上記した炭化水素基等が挙げられる。
において、炭化水素基としては、例えば、脂肪族基[例えば、C1-10アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等)、好ましくは、C1-4アルキル基等]、脂環族基(例えば、C3-12シクロアルキル基等)、芳香族基(例えば、C6-20芳香族基等)等が挙げられる。
としては、脂肪族基が好ましく、C1-10アルキル基がより好ましく、C1-4アルキル基がさらに好ましい。
特に、式(2)において、RがC1-4アルキル基であり、Yが、水素原子又は―ORであることが好ましく、RがC1-4アルキル基であり、Yが―ORであり、RがC1-4アルキル基であることがより好ましい。
上記した中でも、有機リン単位を有するニトロキシド構造は、特に好ましくは、上記式(1)で表される構造において、RがC1-4アルキル基、RがC1-5アルキル基であり、Xが、上記式(2)で表される構造において、RがC1-4アルキル基であり、Yが、水素原子又は―ORである場合である。
有機リン単位を有するニトロキシド構造の例としては、例えば、以下の式(1-1)で表される構造が挙げられる。
Figure 0007032877000005
ニトロキシドポリマー(A)において、ブロック(I)は、通常、鎖状である。
また、ニトロキシドポリマー(A)は、有機リン単位を有するニトロキシド構造を複数有していてもよい。
ニトロキシドポリマー(A)において、有機リン単位を有するニトロキシド構造は、ポリマーブロック(I)の末端にあればよいが、ポリマーブロック(I)の両末端にあることが好ましい。
特に、ニトロキシドポリマー(A)は、鎖状のポリマーブロック(I)の両末端に、有機リン単位を有するニトロキシド構造を有することが好ましい。このようなニトロキシドポリマー(A)を用いることで、ポリマーブロック(I)の両側に他のブロック[特に、ポリマーブロック(II)]を有するブロック共重合体を効率良く得ることができる。
ニトロキシドポリマー(A)の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば、4~30万、好ましくは5~25万であってもよい。
ニトロキシドポリマー(A)としては、市販品を使用してもよく、例えば、Flexibloc(登録商標)D2(Arkema France製)等を使用することができる。
(ニトロキシドポリマー(A)を用いたブロック共重合体の製造方法)
ニトロキシドポリマー(A)とモノマー(B)の重合工程では、ポリマーブロック(I)と他のブロック(特にポリマーブロック(II))とを有するブロック共重合体が形成される。
ニトロキシドポリマー(A)とモノマー(B)との重合方法は、溶液重合であるのが好ましい。
重合温度は、特に限定されないが、例えば、80~130℃であり、好ましくは90~120℃であってもよい。
重合工程(I)の重合時間は、特に限定されず、重合温度に応じて適宜選択できるが、例えば、0.5~6時間、好ましくは1~3時間である。
尚、重合は、窒素等の不活性ガスを導入することにより、溶存酸素を50ppm以下とすることが好ましい。
重合溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒(例えば、メタノール、エタノール等)、芳香族炭化水素系溶媒(例えば、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等)、ケトン系溶媒(例えば、アセトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等)、エステル系溶媒(例えば、酢酸ブチル等)等が挙げられる。これらの溶媒の中でも、メタノール、トルエン、キシレン等が特に好ましい。また、これらの溶媒は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
重合溶媒の使用量は、重合系内における単量体組成物において、10~80重量%が好ましい。
重合は、触媒や連鎖移動剤(チオール系化合物など)の存在下で行ってもよい。
なお、ニトロキシドポリマー(A)とモノマー(B)との重合工程の後に、さらに追加重合を行ってもよい。追加重合を行うことにより、残存するモノマーの除去を必要とせずブロック共重合体を含む樹脂組成物を得ることができる。追加重合は、慣用の方法、例えば、ラジカル重合開始剤を添加して行ってもよい。なお、追加重合を行うに際しては、連鎖移動剤を添加してもよい。また、追加重合を行うに際して、さらに、モノマー(B)を追加してもよい。
重合反応終了後の重合液は、必要に応じて、濾過、乾燥、溶媒(例えば、トルエン等の芳香族炭化水素系溶媒等)の添加、加熱、脱揮等を行ってもよい。これらの方法は、特に限定されず、従来公知の方法に従ってよい。
なお、環構造は、適当な段階において、適宜導入できる。例えば、マレイミド構造(N-置換マレイミド環構造など)は、モノマー(B)として、対応するマレイミド系モノマーを含有するモノマー(B)を使用することにより、ブロック共重合体に導入できる。
マレイミド系モノマーとしては、特に限定されないが、例えば、N-アルキルマレイミド(例えば、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド等のN-C1-10アルキルマレイミド等)、N-シクロアルキルマレイミド(例えば、シクロヘキシルマレイミド等のN-C3-20シクロアルキルマレイミド等)、N-アリールマレイミド(例えば、N-フェニルマレイミド等のN-C6-10アリールマレイミド等)、N-アラルキルマレイミド(例えば、N-ベンジルマレイミド等のN-C7-10アラルキルマレイミド等)等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上使用することができる。
これらの中でも、光学特性が優れる等の観点から、好ましくは、N-シクロアルキルマレイミド、N-アリールマレイミド等、より好ましくは、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド等を好適に使用してもよい。
また、ラクトン環構造を有するブロック重合体は、例えば、上記のようにしてブロック共重合体を得た後、前記のような方法により分子内脱アルコール反応させることにより得ることできる。
<酸化防止剤>
本発明の樹脂組成物は、特定の酸化防止剤を含む。このような特定の酸化防止剤をブロック共重合体と組み合わせることで、異物の発生やゲル化を効率よく抑制しうる。
換言すれば、特定の酸化防止剤(添加剤としての特定の酸化防止剤)をブロック共重合体に含有させることで、ブロック共重合体のゲル化(ブロック共重合体における異物の発生)を抑制しうる。
本発明では、酸化防止剤(B)として、フェノール系酸化防止剤(B1)、イオウ系酸化防止剤(B2)、及びリン系酸化防止剤(B3)を組み合わせて使用する。以下、これらについて詳述する。
[フェノール系酸化防止剤(B1)]
フェノール系酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、
アルキル-ヒドロキシフェニルアルカン酸エステル[例えば、n-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、n-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)アセテート、ネオドデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシル-β-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチル-α-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシル-α-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシル-α-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2-(n-オクチルチオ)エチル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルアセテート、2-(n-オクタデシルチオ)エチル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルアセテート、2-(n-オクタデシルチオ)エチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2-(2-ステアロイルオキシエチルチオ)エチル-7-(3-メチル-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、2-ヒドロキシエチル-7-(3-メチル-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2-ステアロイルオキシエチル-7-(3-メチル-5-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)ヘプタノエートなどの4-ヒドロキシ-3,5-ジアルキルフェニルアルカン酸エステル、好ましくは4-ヒドロキシ-3,5-ジC1-4アルキルフェニルC1-10アルカン酸エステル]、
アルキル-ヒドロキシ安息香酸エステル[例えば、n-オクタデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2-(n-オクチルチオ)エチル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2-(n-オクタデシルチオ)エチル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2-(2-ヒドロキシエチルチオ)エチル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート、2-(2-ステアロイルオキシエチルチオ)エチル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエート
など]、
アルキル-ヒドロキシフェニル安息香酸エステル[例えば、n-ヘキシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルベンゾエート、n-ドデシル-3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルベンゾエートなど]、
ポリオールとアルキル-ヒドロキシフェニルカルボン酸とのポリエステル{例えば、1,2-プロピレングリコールビス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス-[3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,1-トリメチロールエタントリス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-n-ヘキサンジオールビス[(3’,5’-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ジエチルグリコールビス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニル)プロピオネート、ネオペンチルグリコールビス-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、グリセリン-1-n-オクタデカノエート-2,3-ビス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリトリトールテトラキス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナメート)、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]-ウンデカンなど}、
ポリアミンとアルキル-ヒドロキシフェニルカルボン酸とのポリアミド{例えば、ステアルアミド-N,N-ビス-[エチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n-ブチルイミノ-N,N-ビス-[エチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]など}、ポリ(アルキル-ヒドロキシベンジル)ベンゼン[例えば、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼンなど]、
ポリ(アルキル-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート{例えば、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-t-ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオンなど}、
重合性基を有するフェノール系酸化防止剤{例えば、2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート、
2,4-ジ-t-アミル-6-[1-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、及び2-t-ブチル-6-(3-t-ブチル-2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-メチルフェニルアクリレートなど}が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
代表的なフェノール系酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤である。
セミヒンダードフェノール系酸化防止剤{例えば、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]-ウンデカン、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-t-ブチルベンジル)イソシアヌレートなど}を好適に使用してもよい。
セミヒンダードフェノール系酸化防止剤を使用することにより、樹脂組成物における透明性を維持しつつ(損なうことなく)、異物低減やゲル化抑制などの効果を効率よく実現しうる。
[イオウ系酸化防止剤(B2)]
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、チオエーテル系酸化防止剤などが含まれる。
具体的なイオウ系酸化防止剤としては、例えば、
チオジカルボン酸エステル[例えば、チオジアルカン酸ジエステル(例えば、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジトリデシル-3,3’-チオジプロピオネートなどのチオジカルボン酸ジアルキルエステルなど)など]、
ポリオールとチオカルボン酸とのポリエステル{例えば、ポリオールポリ(アルキルチオアルカノエート)[例えば、ペンタエリスリチルテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)など]など}などが挙げられる。
イオウ系酸化防止剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
[リン系酸化防止剤(B3)]
リン系酸化防止剤(B3)としては、例えば、ホスファイト(フォスファイト)系酸化防止剤などが含まれる。
具体的なリン系酸化防止剤(B3)としては、例えば、
トリアルキルホスファイト(例えば、トリデシルホスファイトなど)、トリアリールホスファイト[例えば、トリフェニルフォスファイト、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイトなど]、アルキル-アリールホスファイト(例えば、2-エチルヘキシルジフェニルホスファイト、ジフェニルトリデシルホスファイトなど)、メチレンビスフェニルアルキルホスファイト[例えば、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)オクチルホスファイトなど]、ポリオールのポリホスファイト{例えば、ペンタエリスリトールジホスファイト[例えば、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトなどのジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト;ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのジフェニルペンタエリスリトールジホスファイトなど]、2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン-6-イル]オキシ]-N,N-ビス[2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサフォスフェピン-6-イル]オキシ]-エチル]エタナミンなどが挙げられる。
リン系酸化防止剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。
[酸化防止剤(B)の割合]
フェノール系酸化防止剤(B1)の割合は、例えば、ブロック共重合体(A)100質量部に対して、0.00001~30質量部(例えば、0.0001~20質量部)、好ましくは0.001~10質量部(例えば、0.005~7質量部)、さらに好ましくは0.01~5質量部(例えば、0.02~3質量部)、特に0.03~2質量部程度であってもよい。
イオウ系酸化防止剤(B2)の割合は、例えば、ブロック共重合体(A)100質量部に対して、0.00001~30質量部(例えば、0.0001~20質量部)、好ましくは0.001~10質量部(例えば、0.005~7質量部)、さらに好ましくは0.01~5質量部(例えば、0.02~3質量部)、特に0.03~2質量部程度であってもよい。
リン系酸化防止剤(B3)の割合は、例えば、ブロック共重合体(A)100質量部に対して、0.00001~30質量部(例えば、0.0001~20質量部)、好ましくは0.001~10質量部(例えば、0.005~7質量部)、さらに好ましくは0.01~5質量部(例えば、0.02~3質量部)、特に0.03~2質量部程度であってもよい。
なお、酸化防止剤を上記のような割合とすることで、成形時におけるブリードアウトやシルバーストリーク等を効率よく抑えつつ、異物低減効果などを実現しうる。
酸化防止剤(B)(フェノール系酸化防止剤(B1)、イオウ系酸化防止剤(B2)及びリン系酸化防止剤(B3)の総量)の割合は、例えば、ブロック共重合体(A)100質量部に対して、0.00001~100質量部(例えば、0.0005~50質量部)、好ましくは0.003~30質量部(例えば、0.01~20質量部)、さらに好ましくは0.03~15質量部(例えば、0.1~12質量部)、特に0.3~10質量部(例えば、0.5~5質量部)程度であってもよい。
フェノール系酸化防止剤(B1)とイオウ系酸化防止剤(B2)との割合は、例えば、フェノール系酸化防止剤(B1)/イオウ系酸化防止剤(B2)(質量比)=100/1~0.01/1、好ましくは50/1~0.02/1、さらに好ましくは20/1~0.05/1程度であってもよく、10/1~0.1/1、5/1~0.2/1などであってもよい。
イオウ系酸化防止剤(B2)とリン系酸化防止剤(B3)との割合は、例えば、イオウ系酸化防止剤(B2)/リン系酸化防止剤(B3)(質量比)=100/1~0.01/1、好ましくは50/1~0.02/1、さらに好ましくは20/1~0.05/1程度であってもよく、10/1~0.1/1、5/1~0.2/1などであってもよい。
フェノール系酸化防止剤(B1)及びイオウ系酸化防止剤(B2)(の総量)と、リン系酸化防止剤(B3)との割合は、フェノール系酸化防止剤(B1)及びイオウ系酸化防止剤(B2)/リン系酸化防止剤(B3)(質量比)=200/1~0.02/1(例えば、100/1~0.05/1)、好ましくは30/1~0.01/1(例えば、20/1~0.2/1)、さらに好ましくは15/1~0.4/1(例えば、10/1~0.5/1)であってもよく、特に8/1~0.6/1(例えば、5/1~1/1)であってもよい。
<樹脂組成物及びその用途>
本発明の樹脂組成物(組成物)は、ブロック共重合体(A)と酸化防止剤(B)とを含む。
このような樹脂組成物は、樹脂(又は樹脂成分)として、前記ブロック共重合体を含んでいればよく、他の樹脂を含んでいてもよい。
他の樹脂としては、用途に応じて適宜選択でき、特に限定されない。他の樹脂としては、熱可塑性重合体、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、ポリ(4-メチル-1-ペンテン)などのオレフィン重合体;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル重合体;ポリスチレン、スチレン-メタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレンブロック共重合体などのスチレン系重合体;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル;セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースアシレート;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610などのポリアミド;ポリアセタール;ポリカーボネート;ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリオキシベンジレン;ポリアミドイミド;ポリブタジエン系ゴムあるいはアクリル系ゴムを配合したABS樹脂、ASA樹脂などのゴム質重合体等が挙げられる。
ゴム質重合体は、表面にアクリル樹脂と相溶し得る組成のグラフト部を有するのが好ましく、ゴム質重合体の平均粒子径は、フィルムとした際の透明性向上の観点から、例えば20~300nmであることが好ましく、より好ましくは50~200nmであり、さらに好ましくは70~150nmである。
また、他の樹脂(熱可塑性重合体)には、アクリル系樹脂も含まれる。アクリル系樹脂としては、前記ブロック共重合体[例えば、ブロック(I)及び/又は他のブロック(特にブロック(II))]に対応する樹脂[例えば、メタクリル酸エステル(例えば、メタクリル酸メチルなどの前記例示のメタクリル酸エステル)由来の構造単位を有するメタクリル系樹脂(例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのメタクリル酸エステルを重合成分とする樹脂、メタクリル酸メチル-スチレン共重合体などのメタクリル酸エステル及び芳香族ビニル化合物を重合成分とする樹脂)、このようなメタクリル系樹脂に環構造が導入された樹脂(環構造を有するメタクリル系樹脂、例えば、メタクリル酸メチル-N-置換マレイミド共重合体、メタクリル酸メチル-スチレン-N-置換マレイミド共重合体など)など]などが含まれる。
特に、他の樹脂は、ブロック共重合体と共通する骨格を有する樹脂、例えば、他のブロック(特にブロック(II))に対応する樹脂[例えば、メタクリル酸エステルを重合成分とするメタクリル系樹脂;メタクリル酸エステル-N-置換マレイミド共重合体、メタクリル酸エステル-スチレン系モノマー-N-置換マレイミド共重合体などのブロック(II)と同様の構造単位を有する樹脂(特に、メタクリル酸エステル由来の構造単位を有する樹脂)]、ブロック(I)に対応する樹脂などを含んでいてもよい。
本発明の樹脂組成物では、前記ブロック共重合体と、アクリル系樹脂や他のブロック共重合体と共通する骨格を有する樹脂と混合しても、相溶性等を損なうことがなく、所望の物性を効率よく得ることができる。
そのため、本発明の樹脂組成物(前記ブロック共重合体と特定の酸化防止剤とを含む樹脂組成物、特定の酸化防止剤を含むブロック共重合体)は、他の樹脂(特に、アクリル系樹脂やブロック共重合体と共通する骨格を有する樹脂)の改質剤として用いることもできる。
特に、前記のように、追加重合を行う場合には、前記ブロック共重合体と、ブロック共重合体と共通する骨格を有する樹脂とを含む樹脂組成物[例えば、前記ブロック共重合体と、他のブロック(ブロック(II)など)に対応するポリマーとの混合物(ポリマーブレンド)]が効率よく得られる。
本発明の樹脂組成物が他の樹脂を含む場合、樹脂組成物における他の樹脂の含有率は、用途等に応じて適宜選択でき、例えば、1~99質量%(例えば、5~90質量%)、好ましくは15~80質量%(例えば、20~75質量%)、さらに好ましくは30~70質量%程度である。
また、本発明の樹脂組成物が、他の樹脂[例えば、アクリル系樹脂(例えば、ブロック共重合体と共通する骨格を有するアクリル系樹脂)]を含む場合、前記ブロック共重合体と、他の樹脂との割合は、所望の物性等に応じて、適宜選択できるが、例えば、前者/後者(質量比)=99/1~1/99(例えば、95/5~5/95)、好ましくは90/10~10/90(例えば、85/15~15/85)、さらに好ましくは70/30~30/70程度であってもよい。
なお、このような前記ブロック共重合体と他の樹脂とを含む樹脂組成物の物性(Mw、分子量分布、熱分解温度、Tgなど)は、必ずしも、前記ブロック共重合体と同様である必要はなく、同様の範囲から選択してもよい。例えば、ブロック共重合体と他の樹脂とを含む樹脂組成物において、樹脂成分全体の物性が前記ブロック共重合体の物性を充足しなくてもよく、充足してもよい。
他の樹脂を含む樹脂組成物の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、例えば、5万以上(例えば、5~50万)、好ましくは8万以上(例えば、8~40万)、さらに好ましくは10万以上(例えば、10~30万)程度であってもよい。このような分子量であれば、適度な溶融粘度としやすく、成形加工の点で有利であったり、成形物の物性(強度など)の点でも有利である。
他の樹脂を含む樹脂組成物のガラス転移温度(Tg)は、例えば、110℃以上(例えば、110℃~200℃)、好ましくは115℃~160℃、より好ましくは120℃~150℃であってもよい。このようなガラス転移温度であると、一般的な温度による変形(例えば、光学部材等の実使用温度領域における変形)が生じにくい、過度な高温成形も要しないため、着色の少ない成形品を得やすいなどの利点がある。
他の樹脂を含む樹脂組成物の熱分解温度は、使用するモノマーの種類、環構造の種類や含有量等にもよるが、例えば、270℃~350℃、好ましくは280℃~350℃であってもよい。
樹脂組成物(又はブロック共重合体)は、用途などに応じて、慣用の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤、補強材、難燃剤、帯電防止剤、有機フィラー、無機フィラー、アンチブロッキング剤、樹脂改質剤、有機充填剤、無機充填剤、可塑剤、滑剤、位相差低減剤などを含んでいてもよい。なお、このような添加剤は、ブロック共重合体の製造の際(重合系内)に添加してもよい。
添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。添加剤の割合は特に限定されず、添加剤の種類等、樹脂成分の種類、用途等に応じて適宜選択できる。
例えば、紫外線吸収剤の使用量は、特に限定されないが、樹脂組成物を構成する樹脂(樹脂成分)100重量部に対して、0.1~10重量部、好ましくは0.5~5重量部程度であってもよい。このような範囲であれば、紫外線吸収性やブリードアウトしにくいなどの点で有利である。
本発明の樹脂組成物の製造方法(又はブロック共重合体(A)に酸化防止剤(B)を含有させる方法)は、特に限定されず、各構成成分{すなわち、ブロック共重合体(A)と酸化防止剤(B)と[さらに必要に応じて他の成分(例えば、他の樹脂、添加剤など)と]}を混合することで製造できる。
なお、ブロック共重合体と酸化防止剤との混合方法は、特に限定されず、ブロック共重合体と酸化防止剤とを混合してもよく、ブロック共重合体の製造(重合)時に酸化防止剤を存在させることで、ブロック共重合体に酸化防止剤を含有させてもよい。また、混合は、加熱(加温)化で行ってもよい。
本発明の樹脂組成物又はその成型品(例えば、フィルムまたはシート等)は、特に限定されるものではないが、光学用途に用いることが好適であり、例えば、光学用保護フィルム、光学フィルム、光学シート等が挙げられる。光学用保護フィルムは、光学部品を保護するフィルムであれば特に限定されないが、例えば、各種光ディスク(VD、CD、DVD、MD、LD等)基板の保護フィルム、液晶表示装置用の偏光板に用いる偏光子保護フィルム等が挙げられる。
光学フィルムは、光学特性に優れたフィルムであれば特に限定されないが、好ましくは、位相差フィルム、ゼロ位相差フィルム(面内、厚み方向位相差が限りなく小さい)、視野角補償フィルム、光拡散フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、タッチパネル用導電フィルム等が挙げられる。
光学シートとしては、拡散板、導光体、位相差板、ゼロ位相差板、プリズムシート等が挙げられる。
なお、成型方法は特に限定されず、従来公知の方法に従ってよい。
例えば、樹脂組成物を、公知の成膜方法[例えば、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法等]によって成膜することにより、フィルムを得ることができる。成膜方法としては、溶液キャスト法、溶融押出法等が好ましい。
なお、成膜の際には、所望により、溶媒、その他の樹脂(例えば、熱可塑性重合体等)、その他の添加剤(例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、安定剤、補強材、難燃剤、帯電防止剤、有機フィラー、無機フィラー、アンチブロッキング剤、樹脂改質剤、有機充填剤、無機充填剤、可塑剤、滑剤、位相差低減剤等)等をブロック共重合体と混合してもよい。
フィルム中の紫外線吸収剤の配合量は特に限定されないが、フィルム中に0.01~10質量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.05~5質量%であってもよい。
溶液キャスト法を実施するための装置は、例えば、ドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーターである。
溶液キャスト法に使用する溶媒は、ブロック共重合体などの樹脂成分を溶解する限り限定されない。当該溶媒は、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素;シクロヘキサン、デカリンなどの脂肪族炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素;ジメチルホルムアミド;ジメチルスルホキシドである。これらの溶媒は、1種又は2種以上を使用することができる。
溶融押出法は、例えば、Tダイ法、インフレーション法である。溶融押出時の成形温度は、好ましくは150~350℃、より好ましくは200~300℃である。
Tダイ法を選択した場合、例えば、公知の押出機の先端部にTダイを取り付けることにより、帯状のフィルムを形成できる。形成した帯状のフィルムは、ロールに巻き取って、フィルムロールとしてもよい。溶融押出法では、材料の混合によるアクリル樹脂の形成から、当該樹脂を用いたフィルムの成形までを連続的に行うことができる。帯状のフィルムに易接着層を形成して、帯状の光学フィルムを得てもよい。
フィルムは、機械的強度を高める観点から二軸延伸フィルムであってもよい。二軸延伸フィルムは、同時二軸延伸フィルムおよび逐次二軸延伸フィルムのいずれでもよい。また、延伸フィルムの遅相軸の方向は、フィルムの流れ方向であってもよく、幅方向であってもよく、更には任意の方向であってもよい。
フィルムの厚さは、特に限定されず、用途等によって適宜調製できるが、例えば1~400μm、好ましくは5~200μm、より好ましくは10~100μm、さらに好ましくは20~60μmである。
例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置等の画像表示装置に用いられる保護フィルム、反射防止フィルム、偏光フィルム等の用途に用いる場合には、好ましくは1~250μm、より好ましくは10~100μm、さらに好ましくは20~80μmである。
また、例えば、ITO蒸着フィルム、銀ナノワイヤーフィルム、メタルメッシュフィルム等に用いられる透明導電性フィルム等の用途に用いる場合には、好ましくは20~400μm、より好ましくは30~350μm、さらに好ましくは40~300μmである。
フィルムのヘイズは、好ましくは1%以下(例えば、0~1%)、より好ましくは0.5%以下(例えば、0~0.5%)である。ヘイズは、JIS K7136の規定に基づいて測定される。
フィルムのb値は、好ましくは2%以下(例えば、0.1~2%)、より好ましくは1.5%以下(例えば、0.1~1.5%)、さらに好ましくは1%以下(例えば、0.1~1%)、最も好ましくは0.5%以下(例えば、0.1~0.5%)である。
フィルムのTgは、例えば110℃以上(例えば、110℃~200℃)、好ましくは115℃~160℃である。
[偏光子保護フィルム]
本発明のフィルムは、液晶表示装置(LCD)等の画像表示装置が備える偏光板に用いる偏光子保護フィルムとして使用することができ、通常は、そのまま偏光子保護フィルムとして使用することができる。
[偏光板]
本発明は、本発明のフィルムを備えた偏光板も含有する。
すなわち、本発明のフィルムは、偏光子保護フィルムとして用いて、偏光板に使用することができる。
偏光板の製造方法は、特に限定されず、従来公知の方法に従ってよい。例えば、偏光子の少なくとも片面に、常法を用いて本発明のフィルムを貼り合わせることにより、偏光板を得ることができる。当該貼り合わせは、本発明のフィルムの偏光子に接合する側をアルカリ鹸化処理し、偏光子の少なくとも片面に完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を塗布した後、本発明のフィルムと偏光子とを貼り合わせることにより、好適に実施することができる。
前記偏光子とは、一定方向の偏光波のみを通す素子である。本発明において使用される偏光子としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム等が挙げられる。ポリビニルアルコール系フィルムとしては、ヨウ素を染色させたものと、二色性染料を染色させたものを使用することができる。
前記ポリビニルアルコール系フィルムは、例えば、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物を用いて耐久性処理を行ったもの等を好適に使用することができる。
また、偏光子の膜厚は、1~30μmが好ましく、1~20μmがより好ましい。
[画像表示装置]
本発明は、上述した本発明のフィルムを備えた画像表示装置も含有する。このような画像表示装置において、本発明のフィルムの用途(機能)は特に限定されず、例えば、偏光板を備えた画像表示装置において、当該偏光板(偏光子保護フィルム)を構成してもよい。
本発明において、画像表示装置の製造方法は特に限定されず、従来公知の方法に従ってよい。画像表示装置としては、液晶表示装置(LCD)等が好ましい。
本発明のフィルムを備えた偏光板を備えた液晶表示装置は、例えば、液晶セル及びその両面に配置された偏光板からなり、本発明のフィルムを液晶セルに接するように配置することが好ましい。また、液晶表示装置には、常法を用いて、プリズムシート、拡散フィルムをさらに積層することが好ましい。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明に含まれる。
本発明を以下の実施例及び比較例によって具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
<重量平均分子量等>
ブロックポリマー、重合体および組成物の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(D)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。測定に用いた装置および測定条件は以下の通りである。
システム:東ソー製GPCシステム HLC-8220
測定側カラム構成
・ガードカラム:東ソー製、TSKguardcolumn SuperHZ-L
・分離カラム:東ソー製、TSKgel SuperHZM-M 2本直列接続
リファレンス側カラム構成
・リファレンスカラム:東ソー製、TSKgel SuperH-RC
展開溶媒:テトラヒドロフラン(和光純薬工業製、特級)
展開溶媒の流量:0.6mL/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー製、PS-オリゴマーキット)
カラム温度:40℃
<モノマー転化率の算出>
転化率(反応率)は、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、装置名:GC-2014)を用いて残存モノマー量を測定することで求めた。
<ガラス転移温度>
ガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク製、DSC-8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温(昇温速度20℃/分)して得られたDSC曲線から、始点法により評価した。リファレンスにはα-アルミナを用いた。
<ゲル発生量>
ゲル発生量は濾過前後の濾紙の重量変化率で評価した。サンプルは下記2通りの調液条件で調製した。
前処理条件1:
270℃に加熱したTAKARA製MELT INDEXERにサンプル6gを導入し20分間滞留させた。前記方法を計3回繰り返し、得られた加熱後のサンプル18gをクロロホルムに溶解させた。
前処理条件2:
前処理を実施しないサンプル5gをクロロホルムに溶解させた。
上記前処理で得られた樹脂組成物のクロロホルム溶液を孔径0.1μmメンブレンフィルター、操作圧-0.02MPaGで濾過を行い、‐0.1MPaG以下100℃で5時間乾燥させた後、濾過後のフィルター重量を測定した。
ゲル発生量(%)は濾過後のフィルター重量をW2、濾過前のフィルター重量をW1とした際、以下の計算により算出した。
ゲル発生量(%)=(W2/W1-1)×100
<透過率差>
透過率差は、島津製作所製紫外・可視分光光度計UV-1650PCを用いて水を満たした石英セル中にフィルムを浸漬して測定し、波長が800nmから500nmの光の透過率の差を算出した。
(実施例1)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、両末端にホスホン酸エステル単位を有するニトロキシド構造を有するポリアクリル酸ブチルの60%トルエン溶液(Flexibloc D2(登録商標)、Arkema France社製)13質量部、17質量部のフェニルマレイミド(PMI)、71質量部のメタクリル酸メチル(MMA)、0.10質量部のn-ドデシルメルカプタン(DM)、ならびに重合溶媒として93質量部のトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ105℃まで昇温させた。その後105-110℃の還流下で1時間の溶液重合を進行させた。この時の重合液中のモノマー量より算出した反応率は、MMAが33%、PMIが34%であった。また、得られたブロック共重合体の分子量を求めたところ、重量平均分子量(Mw)は30.6万、数平均分子量(Mn)は15.5万、分子量分布(Mw/Mn)は2.0であった。
次いで、未反応モノマーを追加重合するため、t-アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)0.035質量部を一括で加えると同時に、スチレン(St)3.9質量部、トルエン0.44質量部、滴下開始剤t-アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)0.087質量部からなる溶液を5時間かけて滴下した。滴下終了後、100℃~110℃の温度を保持しながら2時間重合反応を行い、ポリアクリル酸ブチルからなるポリマーブロック(I)の両末端に、PMI、MMAからなるポリマーブロック(II)を有するブロック共重合体と、PMI、MMA、Stからなる共重合体を含むポリマー溶液を得た。この時のポリマー溶液中のモノマー量より算出した反応率はMMAが93%、PMIが96%、Stが97%であった。
得られたポリマー溶液20質量部に、酸化防止剤としてIrganox1010(BASFジャパン社製)、AO-412S及びアデカスタブ2112(ADEKA社製)を各々0.005質量部加え、クロロホルムに溶解させた後、-0.1MPaG以下240℃で1時間加熱し残存モノマー及び溶媒を除去し、ポリアクリル酸ブチルからなるポリマーブロック(I)の両末端に、PMI、MMAからなるポリマーブロック(II)を有するブロック共重合体と、PMI、MMA、Stからなる共重合体とを含む樹脂組成物(A-1)を得た。
樹脂組成物(A-1)の重合平均分子量は16.4万、数平均分子量(Mn)は6.5万、分子量分布(Mw/Mn)は2.5、ガラス転移温度は135℃であった。
前処理条件1で調製した樹脂組成物(A-1)のゲル発生量は3.3wt%であった。
次いで、得られた樹脂組成物(A-1)を手動式加熱プレス機(井元製作所製、IMC-180C型)にて250℃でプレス成型し、160μmのフィルムを得た。そのフィルムの透過率を島津製作所製、紫外・可視分光光度計UV-1650PCを用いて石英セルに水を満たし、その中にフィルムを浸漬して測定したところ、透過率差は5.5%であった。
(実施例2)
実施例1において0.005質量部のIrganox1010に代えて0.005質量部のAO-80(ADEKA社製)を使用したこと以外は同様にしてポリアクリル酸ブチルからなるポリマーブロック(I)の両末端に、PMI、MMAからなるポリマーブロック(II)を有するブロック共重合体と、PMI、MMA、Stからなる共重合体とを含む樹脂組成物(A-2)を得た。
前処理条件1で調製した樹脂組成物(A-2)のゲル発生量は2.3wt%であった。
次いで、得られた樹脂組成物(A-2)を手動式加熱プレス機(井元製作所製、IMC-180C型)にて250℃でプレス成型し、160μmのフィルムを得た。そのフィルムの透過率を島津製作所製、紫外・可視分光光度計UV-1650PCを用いて石英セルに水を満たし、その中にフィルムを浸漬して測定したところ、透過率差は4.5%であった。
(実施例3)
実施例1において0.005質量部のIrganox1010に代えて0.005質量部のSONGNOX1790(SONGWON社製)を使用したこと以外は同様にしてポリアクリル酸ブチルからなるポリマーブロック(I)の両末端に、PMI、MMAからなるポリマーブロック(II)を有するブロック共重合体と、PMI、MMA、Stからなる共重合体とを含む樹脂組成物(A-3)を得た。
前処理条件1で調製した樹脂組成物(A-3)のゲル発生量は2.2wt%であった。
次いで、得られた樹脂組成物(A-3)を手動式加熱プレス機(井元製作所製、IMC-180C型)にて250℃でプレス成型し、160μmのフィルムを得た。そのフィルムの透過率を島津製作所製、紫外・可視分光光度計UV-1650PCを用いて石英セルに水を満たし、その中にフィルムを浸漬して測定したところ、透過率差は3.6%であった。
(実施例4)
実施例2において0.005質量部のアデカスタブ2112に代えて0.005質量部のPEP-36(ADEKA社製)を使用したこと以外は同様にしてポリアクリル酸ブチルからなるポリマーブロック(I)の両末端に、PMI、MMAからなるポリマーブロック(II)を有するブロック共重合体と、PMI、MMA、Stからなる共重合体とを含む樹脂組成物(A-4)を得た。
前処理条件1で調製した樹脂組成物(A-4)のゲル発生量は2.6wt%であった。
次いで、得られた樹脂組成物(A-4)を手動式加熱プレス機(井元製作所製、IMC-180C型)にて250℃でプレス成型し、160μmのフィルムを得た。そのフィルムの透過率を島津製作所製、紫外・可視分光光度計UV-1650PCを用いて石英セルに水を満たし、その中にフィルムを浸漬して測定したところ、透過率差は4.6%であった。
(実施例5)
実施例2において0.005質量部のAO-412Sに代えて0.005質量部のIrganoxPS802FL(BASFジャパン社製)を使用したこと以外は同様にしてポリアクリル酸ブチルからなるポリマーブロック(I)の両末端に、PMI、MMAからなるポリマーブロック(II)を有するブロック共重合体と、PMI、MMA、Stからなる共重合体とを含む樹脂組成物(A-5)を得た。
前処理条件1で調製した樹脂組成物(A-5)のゲル発生量は3.5wt%であった。
次いで、得られた樹脂組成物(A-5)を手動式加熱プレス機(井元製作所製、IMC-180C型)にて250℃でプレス成型し、160μmのフィルムを得た。そのフィルムの透過率を島津製作所製、紫外・可視分光光度計UV-1650PCを用いて石英セルに水を満たし、その中にフィルムを浸漬して測定したところ、透過率差は5.0%であった。
(実施例6)
実施例2において0.005質量部のAO-80及び0.005質量部のアデカスタブ2112に代えて0.010質量部のAO-80及び0.010質量部のアデカスタブ2112を使用したこと以外は同様にしてポリアクリル酸ブチルからなるポリマーブロック(I)の両末端に、PMI、MMAからなるポリマーブロック(II)を有するブロック共重合体と、PMI、MMA、Stからなる共重合体とを含む樹脂組成物(A-6)を得た。
前処理条件1で調製した樹脂組成物(A-6)のゲル発生量は2.4wt%であった。
次いで、得られた樹脂組成物(A-6)を手動式加熱プレス機(井元製作所製、IMC-180C型)にて250℃でプレス成型し、160μmのフィルムを得た。そのフィルムの透過率を島津製作所製、紫外・可視分光光度計UV-1650PCを用いて石英セルに水を満たし、その中にフィルムを浸漬して測定したところ、透過率差は4.9%であった。
(参考例1)
実施例1において酸化防止剤を何も使用しないこと以外は同様にしてポリアクリル酸ブチルからなるポリマーブロック(I)の両末端に、PMI、MMAからなるポリマーブロック(II)を有するブロック共重合体と、PMI、MMA、Stからなる共重合体とを含む樹脂組成物(A-7)を得た。
前処理条件1で調製した樹脂組成物(A-7)のゲル発生量は23.6wt%であった。
次いで、得られた樹脂組成物(A-7)を手動式加熱プレス機(井元製作所製、IMC-180C型)にて250℃でプレス成型し、160μmのフィルムを得た。そのフィルムの透過率を島津製作所製、紫外・可視分光光度計UV-1650PCを用いて石英セルに水を満たし、その中にフィルムを浸漬して測定したところ、透過率差は4.2%であった。
(参考例2)
実施例2においてAO-412Sを使用しないこと以外は同様にしてポリアクリル酸ブチルからなるポリマーブロック(I)の両末端に、PMI、MMAからなるポリマーブロック(II)を有するブロック共重合体と、PMI、MMA、Stからなる共重合体とを含む樹脂組成物(A-8)を得た。
前処理条件1で調製した樹脂組成物(A-8)のゲル発生量は5.5wt%であった。
次いで、得られた樹脂組成物(A-8)を手動式加熱プレス機(井元製作所製、IMC-180C型)にて250℃でプレス成型し、160μmのフィルムを得た。そのフィルムの透過率を島津製作所製、紫外・可視分光光度計UV-1650PCを用いて石英セルに水を満たし、その中にフィルムを浸漬して測定したところ、透過率差は6.2%であった。
(参考例3)
実施例2においてアデカスタブ2112を使用しないこと以外は同様にしてポリアクリル酸ブチルからなるポリマーブロック(I)の両末端に、PMI、MMAからなるポリマーブロック(II)を有するブロック共重合体と、PMI、MMA、Stからなる共重合体とを含む樹脂組成物(A-9)を得た。
前処理条件1で調製した樹脂組成物(A-9)のゲル発生量は6.2wt%であった。
次いで、得られた樹脂組成物(A-9)を手動式加熱プレス機(井元製作所製、IMC-180C型)にて250℃でプレス成型し、160μmのフィルムを得た。そのフィルムの透過率を島津製作所製、紫外・可視分光光度計UV-1650PCを用いて石英セルに水を満たし、その中にフィルムを浸漬して測定したところ、透過率差は5.6%であった。
(参考例4)
参考例2において0.005質量部のAO-80及び0.005質量部のアデカスタブ2112に代えて0.010質量部のAO-80及び0.010質量部のアデカスタブ2112を使用したこと以外は同様にしてポリアクリル酸ブチルからなるポリマーブロック(I)の両末端に、PMI、MMAからなるポリマーブロック(II)を有するブロック共重合体と、PMI、MMA、Stからなる共重合体とを含む樹脂組成物(A-10)を得た。
前処理条件1で調製した樹脂組成物(A-10)のゲル発生量は5.1wt%であった。
次いで、得られた樹脂組成物(A-10)を手動式加熱プレス機(井元製作所製、IMC-180C型)にて250℃でプレス成型し、160μmのフィルムを得た。そのフィルムの透過率を島津製作所製、紫外・可視分光光度計UV-1650PCを用いて石英セルに水を満たし、その中にフィルムを浸漬して測定したところ、透過率差は4.8%であった。
これらの結果をまとめた表を以下に示す。
なお、表において、酸化防止剤の種類は、以下の通りである。
フェノール系酸化防止剤(B1)
B1-1:ペンタエリスリトールテトラキス-[3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、BASFジャパン社製「Irganox1010」
B1-2:3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]-ウンデカン、ADEKA社製「アデカスタブAO-80」
B1-3:1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3-ヒドロキシ-4-t-ブチルベンジル)イソシアヌレート、SONGWON社製「Songnox1790」
イオウ系酸化防止剤(B2)
B2-1:ペンタエリスリチルテトラキス(3-ラウリルチオプロピオネート)、ADEKA社製「AO-412S」
B2-2:ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、BASFジャパン社製「IrganoxPS802FL」
リン系酸化防止剤(B3)
B3-1:トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ADEKA社製「アデカスタブ2112」
B3-2:3,9-ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、ADEKA社製「アデカスタブPEP36」
Figure 0007032877000006
上記表に示すように、実施例では、特定の酸化防止剤の併用により、ゲル発生量を効率よく低減できた。また、実施例では、500~800nmにおける透過率差も小さく、ゲル発生量の低減と、低い透過率変化とを両立できた。
本発明によれば、アクリル酸エステル由来の構造単位を有するブロック共重合体を含む樹脂組成物を提供できる。このような樹脂組成物は、光学フィルムなどを形成するのに利用できる。

Claims (9)

  1. アクリル酸エステル由来の構造単位を含むポリマーブロック(I)を有し、かつラクトン環構造及びマレイミド構造から選ばれる少なくとも1種の環構造を有するブロック共重合体(A)と、酸化防止剤(B)とを含む組成物であって、酸化防止剤(B)が、フェノール系酸化防止剤(B1)、イオウ系酸化防止剤(B2)、及びリン系酸化防止剤(B3)を含む樹脂組成物であり、
    ブロック共重合体(A)が、メタクリル酸エステル由来の構造単位を含むポリマーブロック(II)を有し、
    ブロック共重合体(A)における環構造の含有率が1~50質量%であり、
    フェノール系酸化防止剤(B1)が、ヒンダードフェノール系酸化防止剤又はセミヒンダードフェノール系酸化防止剤であり、
    イオウ系酸化防止剤(B2)が、チオエーテル系酸化防止剤であり、
    リン系酸化防止剤(B3)が、ホスファイト系酸化防止剤であり、
    フェノール系酸化防止剤(B1)の割合が、ブロック共重合体(A)100質量部に対して、0.01~10質量部であり、
    イオウ系酸化防止剤(B2)の割合が、ブロック共重合体(A)100質量部に対して、0.01~10質量部であり、
    リン系酸化防止剤(B3)の割合が、ブロック共重合体(A)100質量部に対して、0.01~10質量部である、樹脂組成物
  2. ブロック共重合体(A)が、メタクリル酸エステル由来の構造単位を含むポリマーブロック(II)を、ブロック(I)/ブロック(II)(質量比)=20/80~90/10の含有割合で有する請求項1記載の組成物。
  3. フェノール系酸化防止剤(B1)及びイオウ系酸化防止剤(B2)と、リン系酸化防止剤(B3)との割合が、フェノール系酸化防止剤(B1)及びイオウ系酸化防止剤(B2)/リン系酸化防止剤(B3)(質量比)=8/1~0.6/1である請求項1又は2記載の組成物。
  4. さらに、メタクリル酸エステル由来の構造単位を有する他の樹脂を含む請求項1~3のいずれかに記載の組成物。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の組成物を含むフィルム。
  6. 光学フィルムである請求項5記載のフィルム。
  7. 偏光子保護フィルムである請求項5又は6記載のフィルム。
  8. 請求項5~7のいずれかに記載のフィルムを備えた偏光板。
  9. 請求項5~7のいずれかに記載のフィルムを備えた画像表示装置。
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