JP6933895B2 - 樹脂組成物 - Google Patents
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Description
すなわち本発明は、以下の通りである。
[1] 炭素数が1〜3のアルキル基を有するアルキルアクリレート由来の単位を有する重合体ブロック(A)と、重合体ブロック(B)を有し、
ガラス転移温度を80℃以上と25℃以下に有し、
重量平均分子量が2万以上40万以下であるブロック共重合体。
[2] 前記重合体ブロック(A)が単独重合体ブロック又は共重合体ブロックであり、
炭素数が1〜3のアルキル基を有するアルキルアクリレート由来の単位が、この重合体ブロック(A)100質量部中に50質量部以上含まれる前記[1]に記載のブロック共重合体。
[3] ガラス転移温度を−40℃〜25℃に有する前記[1]又は[2]に記載のブロック共重合体。
[4] 前記重合体ブロック(B)が、メタクリル酸エステル単位の単独重合体ブロック又は共重合体ブロックである前記[1]〜[3]のいずれかに記載のブロック共重合体。
[5] 温度240℃で絶対圧5kPa以下、1時間加熱した時のクロロホルム不溶性成分(大きさ3.0μm以上)が、ブロック共重合体中、1質量%以下である前記[1]〜[4]のいずれかに記載のブロック共重合体。
[6] 前記[1]〜[5]のいずれかに記載のブロック共重合体を含む樹脂組成物。
[7] 前記[6]に記載の樹脂組成物から形成される光学フィルム。
[8] 前記[7]に記載の光学フィルムと偏光子とを有する偏光板。
[9] 前記[8]に記載の偏光板を備える画像表示装置。
本発明のブロック共重合体(C)は、重量平均分子量(Mw)が2万以上、好ましくは5万以上、より好ましくは7万以上であり、40万以下、好ましくは38万以下、より好ましくは30万以下である。ブロック共重合体(C)の重量平均分子量(Mw)を適切な範囲にすることで、ゲル化物の発生を抑制でき、また樹脂フィルムのヘイズ値を下げることができる。
前記ブロック共重合体(C)は、少なくとも重合体ブロック(A)(以下、「ソフトセグメント(A)」と称する場合がある)と重合体ブロック(B)(以下、「ハードセグメント(B)」と称する場合がある)とを有しており、これらを有することによって前記低Tg特性と高Tg特性とを示すことが可能となる。
重合体ブロック(B)は、ブロック共重合体(C)が高Tg特性を示すために導入され、ブロック共重合体(C)においてハードセグメントを構成する。この重合体ブロック(B)は、所定のガラス転移温度を示す限り、構成単量体は特に限定されないが、通常、メタクリル酸エステル単位の単独重合体ブロック又は共重合体ブロックである。重合体ブロック(B)を構成する全単位100質量部中、メタクリル酸エステル単位の量は、例えば、30質量部以上、好ましくは50質量部以上であり、例えば、100質量部以下、好ましくは90質量部以下である。
一般式(1)における有機残基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基などの炭素数1から20の飽和脂肪族炭化水素基(アルキル基等)、エテニル基、プロペニル基などの炭素数2から20の不飽和脂肪族炭化水素基(アルケニル基等)、フェニル基、ナフチル基などの炭素数6から20の芳香族炭化水素基(アリール基等)のほか、これら飽和脂肪族炭化水素基、不飽和脂肪族炭化水素基または芳香族炭化水素基における水素原子の一つ以上が、ヒドロキシ基、カルボキシル基、エーテル基およびエステル基から選ばれる少なくとも1種類の基により置換された基などが挙げられる。
なお前記ソフトセグメント量は、1H−NMRの積分値に基づいて算出できる。
本発明には、前記ブロック共重合体(C)を含む樹脂組成物も含まれる。前記ブロック共重合体(C)を含む樹脂組成物から得られるフィルムは、耐屈折回数が良好であって可撓性に優れるだけでなく、ヘイズ値がが小さくて透明性にも優れる。
該樹脂組成物は、ブロック共重合体(C)自体を樹脂成分として含んでいてもよく、ブロック共重合体(C)以外の樹脂(D)を樹脂成分として含んでいてもよい。樹脂(D)を含む場合、ブロック共重合体(C)の量は、樹脂(D)100質量部に対して、例えば、5質量部以上、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上であり、例えば、60質量部以下、好ましくは50質量部以下、より好ましくは40質量部以下である。またブロック共重合体(C)のソフトセグメント(A)の量が、該樹脂組成物100質量部に対して、例えば、1質量部以上、好ましくは3質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、例えば、30質量部以下、好ましくは25質量部以下、より好ましくは20質量部以下であってもよい。
樹脂(D)としては、(メタ)アクリル系樹脂(D1)が好ましい。(メタ)アクリル系樹脂(D1)としては、(メタ)アクリル酸エステル単位および/または(メタ)アクリル酸単位を必須の構成単位として有するものが好ましく、(メタ)アクリル酸の誘導体に由来する構成単位を有していてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル(単位)、(メタ)アクリル酸(単位)およびこれらの誘導体(単位)は、それぞれ1種のみ有していてもよいし2種以上有していてもよい。
前記樹脂組成物は、必要に応じて、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤;耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤等の安定剤;ガラス繊維、炭素繊維等の補強材;紫外線吸収剤;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモン等の難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤等の帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料等の着色剤;有機フィラーや無機フィラー;樹脂改質剤;有機充填剤や無機充填剤;可塑剤;滑剤;帯電防止剤;難燃剤;などが挙げられる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アセテート、n−オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオドデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチル−α−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシル−α−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシル−α−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミド−N,N−ビス−[エチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−ブチルイミノ−N,N−ビス−[エチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル−7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセリン−1−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス−[3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,1−トリメチロールエタントリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル−7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル−7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオールビス[(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリトリトールテトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
ベンゾエート系化合物としては、例えば、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
また、トリアゾール系化合物としては、例えば、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−ベンゾトリアゾール−2−イル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−t−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−C7−9側鎖及び直鎖アルキルエステルが挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、光学特性に優れ、かつ可撓性にも優れたものとなるため、多岐にわたる用途への適用が可能である。中でも、光学フィルム等の原料として好適に使用することができる。光学フィルムは、本発明の樹脂組成物を溶融成形することによって形成できる。
<重量平均分子量>
ブロックポリマー及び重合体の重量平均分子量Mwは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。測定に用いた装置および測定条件は以下の通りである。
システム:東ソー株式会社製GPCシステム HLC−8220
測定側カラム構成
・ガードカラム:東ソー株式会社製、TSKguardcolumn SuperHZ−L
・分離カラム:東ソー株式会社製、TSKgel SuperHZM−M 2本直列接続
リファレンス側カラム構成
・リファレンスカラム:東ソー株式会社製、TSKgel SuperH−RC
展開溶媒:クロロホルム(和光純薬工業株式会社製、特級)
展開溶媒の流量:0.6mL/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー株式会社製、PS−オリゴマーキット)
カラム温度:40℃
転化率は、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製、装置名:GC−2014)を用
いて残存モノマー量を測定することで求めた。
ブロック共重合体の屈折率は、(株)アタゴ製アッベ屈折計DR−M2を用いて、干渉フィルター589(D)nm下で緩衝液に1−ブロモナフタレン溶液を用い測定した。
ブロック共重合体のガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121の規定に準拠して始点法により求めた。40℃以上で観測されるTgは、具体的には、示差走査熱量計(株式会社リガク製、DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを25℃から毎分10℃の昇温速度で200℃まで昇温を複数回繰り返すことで安定させたDSC曲線から得た。尚、リファレンスにはα−アルミナを用いた。
また、40℃未満で観測されるTgは、示差走査熱量計(NETZSCH社製、DSC3500A)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを−100℃から毎分20℃の昇温速度で100℃まで昇温を複数回繰り返すことで安定させたDSC曲線から得た。
ブロック共重合体のゲル発生量は、以下の条件にて測定した。
ブロック共重合体3gを240℃、絶対圧5.0kPa以下で1時間減圧下加熱処理を行い、加熱後のブロック共重合体をクロロホルムに溶解させ、孔径3.0μmメンブレンフィルターでろ過を行い、80℃で12時間以上乾燥させた後、フィルター上のゲル量を測定した。ゲル発生量(%)は、溶解させた加熱後のブロック共重合体質量をW1、フィルター上のゲル質量をW2とした時、以下の計算により算出した。
ゲル発生量(%) = W2/W1×100
1H−NMR、13C−NMRより、メタクリレート単量体由来の繰り返し単位、N−置換マレイミド単量体由来の繰り返し単位、芳香族ビニル単量体由来の繰り返し単位、およびアクリレート単量体由来の繰り返し単位を同定し、1H−NMRでの積分値から各単位の存在量を算出した。
測定機器:Varian社製 Unity Plus400、またはBRUKER製、AVANCEIII
測定溶媒:CDCl3、又はd−acetone
ブロック共重合体あるいは樹脂組成物を、手動式加熱プレス機(井元製作所製、IMC−180C型)を用い溶融プレス成形し、100±10μmまたは160±10μmの未延伸フィルムを作製した。
フィルムの厚さは、デジマチックマイクロメーター(ミツトヨ社製)を用いて測定した。以降に評価方法を示す物性を含め、フィルムの物性を測定、評価するためのサンプルは、フィルムの幅方向の中央部から取得した。
フィルムのヘイズは、日本電色工業社製NDH−1001DPを用いて石英セルに1,2,3,4−テトラヒドロナフタリン(テトラリン)を満たし、その中にフィルムを浸漬して測定し、100μmあたりの内部ヘイズ値として算出した。
フィルムの耐折回数は、JIS P8115に準拠して測定した。具体的には、長さ90mm、幅15mmの2種類の試験フィルムを23℃、50%RHの状態に1時間以上静置させてから使用し、MIT耐折疲労試験機(東洋精機製、DA型)を用いて、折り曲げ角度135°、折り曲げ速度175cpm、荷重200gの条件で試験を行い、5枚のサンプルのフィルムが破断するまでの回数の平均値をそれぞれ求めた。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、0.44質量部の2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル、95.3質量部のアクリル酸エチル(AE)を仕込み、これに窒素を通じつつ、80℃まで昇温した。次いで、0.19質量部の臭化第一銅、0.23質量部のN,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、3.8質量部のアセトニトリルの混合液を加え、2時間30分反応を進行させた。さらに、0.03質量部の臭化第一銅、0.13質量部のトリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン、1.9質量部のアセトニトリルの混合液を加え、1時間30分反応を進行させた。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、製造例1で合成した重合体ブロック(A−1)15.1質量部、57.4質量部のメタクリル酸メチル(MMA)、3.0質量部のアクリル酸メチル(MA)、12.1質量部のメチルエチルケトンを仕込み、窒素を通じつつ80℃まで昇温させた。次いで、開始剤として0.18質量部のN,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミンと、0.12質量部の臭化第一銅と、12.1質量部のメチルエチルケトンの混合液を加え、2時間反応を進行させ、製造例1と同様に触媒残渣を除去した。得られた反応溶液を多量のメタノールに沈殿させ、ろ過、乾燥することによりブロック共重合体(C−1)を得た。ブロック共重合体(C−1)は、重合体ブロック(A−1)(ソフトセグメント)の両側に重合体ブロック(B−1)(ハードセグメント)が結合したB−A−B型のブロック共重合体である。ブロック共重合体(C−1)の数平均分子量Mnは8.3万、重量平均分子量Mwは15.9万、分子量分布Mw/Mnは1.9であり、40℃以上の領域におけるガラス転移温度は113℃であった。
製造例1で合成した重合体ブロック(A−1)17.0質量部、10.2質量部のN−フェニルマレイミド(PMI)(株式会社日本触媒製)、57.7質量部のメタクリル酸メチル(MMA)、1.36質量部の臭化銅、0.27質量部のトリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン、13.6質量部のメチルエチルケトンを加え、窒素置換をした後、80℃で6時間半反応を進行させた。製造例1と同様にして触媒残渣を除去した後、得られた反応溶液を多量のヘキサンに沈殿させ、ろ過、乾燥することによりブロック共重合体(C−2)を得た。ブロック共重合体(C−2)は、重合体ブロック(A−1)(ソフトセグメント)の両側に重合体ブロック(B−2)(ハードセグメント)が結合したB−A−B型のブロック共重合体である。ブロック共重合体(C−2)の数平均分子量Mnは8.7万、重量平均分子量Mwは12.6万、分子量分布Mw/Mnは1.5であり、40℃以上の領域におけるガラス転移温度は127℃であった。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、0.63質量部の2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル、65.8質量部のアクリル酸エチル(AE)、9.3質量部のスチレン(St)を仕込み、これに窒素を通じつつ、80℃まで昇温した。次いで、0.33質量部の臭化第一銅、0.16質量部のN,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、5質量部のアセトニトリルの混合液を加え、1.5時間反応を進行させた。さらに、0.16質量部のトリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミンを加え、4時間反応を進行させた。
製造例1と同様に触媒残渣を除去し、モノマーおよび溶媒を除去し、重合体ブロック(A−2)を得た。(A−2)のMnは3.3万、Mwは3.9万、Mw/Mn=1.2、40℃以下の領域におけるガラス転移温度は−1℃、屈折率は1.491であった。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、製造例2で合成した重合体ブロック(A−2)15.2質量部、24.6質量部のメタクリル酸メチル(MMA)、5.4質量部のN−フェニルマレイミド(PMI)、21.0質量部のトルエンを仕込み、窒素を通じつつ80℃まで昇温させた。次いで、開始剤として0.06質量部のN,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミンと、0.30質量部の塩化第一銅と、2.1質量部のトルエンの混合液を加え、3時間反応を進行させ、製造例1と同様に触媒除去を行った。得られた反応溶液を多量のn−ヘキサンに沈殿させ、ろ過、乾燥することによりブロック共重合体(C−3)を得た。(C−3)のMnは6.3万、Mwは9.0万、Mw/Mn=1.4であり、40℃以上の領域におけるガラス転移温度は129℃であった。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、0.59質量部の臭化第一銅、1.1質量部の2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル、19.5質量部のアクリル酸n−ブチル(BA)、78.1質量部のアクリル酸メチル(MA)を仕込み、これに窒素を通じつつ、80℃まで昇温した。次いで、0.68質量部のN,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミンを加え、7時間反応を進行させた。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、製造例3で合成した重合体ブロック(A−3)14.2質量部、67.6質量部のメタクリル酸メチル(MMA)、3.6質量部のアクリル酸メチル(MA)、14.2質量部のメチルエチルケトンを仕込み、窒素を通じつつ80℃まで昇温させた。次いで、開始剤として0.17質量部のN,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミンと、0.14質量部の臭化第一銅を加え、1.5時間反応を進行させ、製造例1と同様に触媒除去を行った。得られた反応溶液を多量のメタノールに沈殿させ、ろ過、乾燥することによりブロック共重合体(C−4)を得た。(C−4)のMnは7.4万、Mwは13.3万、Mw/Mn=1.8であり、40℃以上の領域におけるガラス転移温度は101℃であった。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、0.19質量部の臭化第一銅、0.45質量部の2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル、95.3質量部のアクリル酸n−ブチル(BA)を仕込み、これに窒素を通じつつ、80℃まで昇温した。次いで、0.24質量部のN,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、3.8質量部のアセトニトリルを加え、2時間反応を進行させた。さらに、0.15質量部の臭化第一銅、0.42質量部のN,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、6.6質量部のアセトニトリルを加え、7時間反応を進行させた。
製造例1と同様に触媒残渣を除去し、モノマーおよび溶媒を除去し、重合体ブロック(A−4)を得た。(A−4)の数平均分子量Mnは5.7万、重量平均分子量Mwは6.6万、分子量分布Mw/Mn=1.2、ガラス転移温度は−49℃、屈折率は1.466であった。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、製造例4で合成した重合体ブロック(A−4)15.1質量部、57.4質量部のメタクリル酸メチル(MMA)、3.0質量部のアクリル酸メチル(MA)、12.1質量部のメチルエチルケトンを仕込み、窒素を通じつつ80℃まで昇温させた。次いで、開始剤として0.18質量部のN,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミンと、0.12質量部の臭化第一銅と、12.1質量部のメチルエチルケトンの混合液を加え、2時間反応を進行させ、製造例1と同様に触媒残渣を除去した。得られた反応溶液を多量のメタノールに沈殿させ、ろ過、乾燥することによりブロック共重合体(C−5)を得た。ブロック共重合体(C−5)の数平均分子量Mnは8.4万、重量平均分子量Mwは16.0万、分子量分布Mw/Mnは1.9であり、40℃以上の領域におけるガラス転移温度は112℃であった。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、0.38質量部の2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル、95.4質量部のアクリル酸イソブチル(IBA)を仕込み、これに窒素を通じつつ、80℃まで昇温した。次いで、0.19質量部の臭化第一銅、0.23質量部のN,N,N’,N’,N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン、3.8質量部のアセトニトリルの混合液を加え、1.5時間反応を進行させた。さらに、0.24質量部のトリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミンを加え、4時間反応を進行させた。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、製造例5で合成した重合体ブロック(A−5)15.1質量部、57.4質量部のメタクリル酸メチル(MMA)、3.0質量部のアクリル酸メチル(MA)、12.1質量部のメチルエチルケトンを仕込み、窒素を通じつつ80℃まで昇温させた。次いで、開始剤として0.24質量部のトリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミンと、0.06質量部の臭化第一銅と、12.1質量部のメチルエチルケトンの混合液を加え、1.5時間反応を進行させ、製造例1と同様にして触媒残渣を除去した。得られた反応溶液を多量のメタノールに沈殿させ、ろ過、乾燥することによりブロック共重合体(C−6)を得た。ブロック共重合体(C−6)の数平均分子量Mnは10.0万、重量平均分子量Mwは23.3万、分子量分布Mw/Mnは2.3であり、40℃以上の領域におけるガラス転移温度は116℃であった。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、0.17質量部の2,5−ジブロモアジピン酸ジエチル、95.8質量部のアクリル酸エチル(AE)を仕込み、これに窒素を通じつつ、80℃まで昇温した。次いで、0.07質量部の臭化第一銅、0.10質量部のトリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミン、3.8質量部のアセトニトリルの混合液を加え、2時間反応を進行させた。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、製造例6で合成した重合体ブロック(A−6)6.0質量部、86.5質量部のメタクリル酸メチル(MMA)、4.2質量部のアクリル酸メチル(MA)、窒素を通じつつ80℃まで昇温させた。次いで、開始剤として0.12質量部のトリス[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミンと、0.07質量部の臭化第一銅と、3.0質量部のアセトニトリルの混合液を加え、1時間反応を進行させ、製造例1と同様に触媒残渣を除去した。得られた反応溶液を多量のメタノールに沈殿させ、ろ過、乾燥することによりブロック共重合体(C−7)を得た。ブロック共重合体(C−7)の数平均分子量Mnは22.3万、重量平均分子量Mwは49.1万、分子量分布Mw/Mnは2.2であり、40℃以上の領域におけるガラス転移温度は110℃であった。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、81.4部のフェニルマレイミド(PMI)、340.1部のメタクリル酸メチル(MMA)、0.13部のn−ドデシルメルカプタン(DM)、ならびに重合溶媒として402部のトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ105℃まで昇温させた。t−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)0.154部を一括で加えると同時に、t−アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)0.393部とトルエン26.0部からなる液、及びスチレン(St)18.5部を5時間かけて滴下した。滴下終了後、105℃〜110℃の温度を保持しながら2時間重合反応を行い、PMI、MMA、Stからなる共重合体を含むポリマー溶液を得た。尚、重合反応終了後のモノマー残存量より算出した反応率は、MMA95%、PMI98%、St95%であった。
実施例1、4および比較例1〜3で得られたブロック共重合体(C−1、C−4、C−5、C−6、C−7)とPMMA(住友化学製:「スミペックス(登録商標)EX」)とを、混合後の樹脂組成物全体を100質量部とした時にソフトセグメント量が10質量部になるように溶液混合し、絶対圧5.0kPa以下、240℃で1時間乾燥させた(実施例5、8;比較例4〜6)。
また実施例2と3で得られたブロック共重合体(C−2、C−3)と製造例7で作製した樹脂(D−1)とをソフトセグメント量が10質量部になるように溶液混合し、絶対圧5.0kPa以下、240℃で1時間乾燥させた(実施例6、7)。
得られた樹脂からプレスフィルムを成形し、Hazeを測定した。またTg+18℃で2×2倍に延伸して厚さ40μmの延伸フィルムを作成し、MITを測定した。
以上の結果を下記表1〜3に示す。また各実施例及び比較例で得られたブロック共重合体のソフト成分量及びゲル発生量を調べ、その結果も表2に示す。
Claims (8)
- 炭素数が1〜3のアルキル基を有するアルキルアクリレート由来の単位を有する重合体ブロック(A)と、重合体ブロック(B)を有し、
ガラス転移温度を80℃以上と25℃以下に有し、
重量平均分子量が2万以上40万以下であり、
前記重合体ブロック(A)が単独重合体ブロック又は共重合体ブロックであり、
炭素数が1〜3のアルキル基を有するアルキルアクリレート由来の単位が、重合体ブロック(A)100質量部中に50質量部以上含まれ、
前記重合体ブロック(B)が、メタクリル酸エステル単位の単独重合体ブロック又は共重合体ブロックであるブロック共重合体、
及び、
前記ブロック共重合体以外の(メタ)アクリル系樹脂(D1)を含む樹脂組成物であって、
前記ブロック共重合体の量が、前記(メタ)アクリル系樹脂(D1)100質量部に対して、5質量部以上60質量部以下である樹脂組成物。 - 前記ブロック共重合体が、ガラス転移温度を−40℃〜25℃に有する請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記ブロック共重合体が、ガラス転移温度を−20℃〜25℃に有する請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記ブロック共重合体を、温度240℃で絶対圧5kPa以下、1時間加熱した時のクロロホルム不溶性成分(大きさ3.0μm以上)が、前記ブロック共重合体中、1質量%以下である請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 重合体ブロック(A)と重合体ブロック(B)を有する前記ブロック共重合体のブロック構造が、A−B型、B−A−B型、A−B−A型、A−B−A−B型、A−B−A−B−A型、又はB−A−B−A−B型である請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物から形成される光学フィルム。
- 請求項6に記載の光学フィルムと偏光子とを有する偏光板。
- 請求項7に記載の偏光板を備える画像表示装置。
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