JP2017186522A - 熱可塑性アクリル系樹脂 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の主鎖に環構造を有するアクリル系樹脂は、主鎖に(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の構造と環構造を含む。(メタ)アクリル酸エステル単量体由来の構造単位の含有割合と環構造単位の含有割合の合計を主鎖中に好ましくは50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上、最も好ましくは99質量%以上含む。特に環構造の含有率は、好ましくは25質量%以上、更に好ましくは35質量%以上、最も好ましくは40質量%以上である。
なお、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)については、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。詳細には、予め単分散の重量平均分子量、数平均分子量及びピーク分子量が既知で試薬として入手可能な標準アクリル樹脂と、高分子量成分を先に溶出する分析ゲルカラムとを用い、溶出時間と重量平均分子量から検量線を作成しておく。次に、得られた検量線から、測定対象であるアクリル系樹脂の試料の重量平均分子量及び数平均分子量を求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明の主鎖に環構造を有するアクリル系樹脂の重量平均分子量を10万以上、分子量分布を2.5以下とすることにより、樹脂の分岐構造が抑制され、加工時の熱安定性が改善され、成形品とした時の強度や外観が改善される。また、本発明の主鎖に環構造を有するアクリル系樹脂を用いて得られるシートのトリミング性を良好なものとすることができる。
本発明の主鎖に環構造を有するアクリル系樹脂においては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した、重量平均分子量が1万以下の成分の含有量が、加工流動性の向上、成型時のシルバーストリークスと呼ばれる銀状痕等の成型品の外観不良の低減、フィルム製膜時のロールへの貼り付き防止の観点から、0.1〜5.0質量%であることが好ましい。
上記含有量を0.1質量%以上とすることで、加工流動性を向上させることができる。下限値は、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.6質量%以上である。また、上記含有量を5質量%以下とすることで、成型時のシルバーストリークスを低減することができる等、外観不良を低減することができ、さらには、成型時の金型離れを改善し、フィルム成膜時のロールへの貼り付き性を抑制し、延伸時にフィルムを挟む際に割れの発生を抑制することができる。上限値は、より好ましくは4.0質量%以下、さらに好ましくは3.0質量%以下、特に好ましくは2.0質量%以下である。
なお、重量平均分子量が1万以下の成分の含有量は、例えば、GPC溶出曲線から得られるエリア面積比率から求めることができ、具体的には、図1において、溶出曲線の開始点をA、その終了点をB、重量平均分子量1万となる溶出時間におけるベースライン上の点をX、そのGPC溶出曲線上の点をYとしたとき、曲線BYと線分BX、線分XYで囲まれる面積の、GPC溶出曲線におけるエリア面積に対する割合を、重量平均分子量が1万以下の成分の含有量(質量%)として求めることができる。
好適には、下記実施例の方法により測定することができる。
上記含有量を10.0〜25.0質量%とすることで、フィルム成型加工時の筋ムラ発生を抑制することができるうえ、フィルム成型時にロールへの貼り付き性が改善される。そして、加工流動性と、筋ムラの抑制・タッチロールへの貼り付き抑制といった加工時の特性をバランスよく付与する観点から、下限値は、より好ましくは12.0質量%以上、更に好ましくは13.0質量%であり、また、上限値は、より好ましくは24.0質量%以下である。
なお、重量平均分子量が1万超5万以下の成分の含有量は、重量平均分子量が1万以下の成分の含有量の場合と同様に、求めることができる。
高分子量体と低分子量体の存在比率を見た場合、加熱加工時における高分子量体と低分子量体との間での粘度差の影響により、低分子量体比率が多いと、加工流動性には優れているものの、フィルム加工時にロールへの貼り付き性が高くなる傾向にある一方で、高分子量体比率が高いと、フィルム加工時に筋ムラが発生しやすくなる傾向がある。
両者の特性をバランスよく付与したうえで、より貼り付き性を改善したい場合は、上記割合は、3.0以上とすることが好ましく、より好ましくは3.5以上である。一方で、フィルム加工時の筋ムラをより改善したい場合は、上記比率は、8.0以下であることが好ましく、より好ましくは7.5以下である。
上記成分の合計の含有量がこの範囲であると、成型加工時の金型やフィルムロールへの貼り付き性を抑制することができ、成型加工性が改善される。また、0.01質量%未満とするためには、工程が煩雑になるため好ましくない。
なお、上記成分の合計の含有量は、ガスクロマトグラフィー/質量分析(GC/MS)測定により求めることができる。
GC/MS測定において好適に使用されるカラムとしては、無極性又は微極性のカラムであることが好ましく、(5%フェニル)−95%メチルポリシロキサンを固定相とするカラムがより好ましい。具体的には、007−2、CP−Sil 8CB、DB−5、DB−5.625、DB−5ht、HP−5、HP−5ms、OV(登録商標)−5、PTE−5、PTE−5QTM、PAS−5、RSL−200、Rtx(登録商標)−5、Rtx(登録商標)−5ms、SAC−5、SE(登録商標)−54、SPB(登録商標)−5、ULTRA−2、XTI−5、SE(登録商標)−52、BP−5、PE−2、ZB−5、AT(登録商標)−5、EC(登録商標)−5等が挙げられる。
好適に使用されるキャリアガスとしては、ヘリウムガスが挙げられる。ガス流量としては、約1mL/分であることが好ましく、測定中一定となるように制御されることが好ましい。
試料の注入量としては、約1μL程度であることが好ましい。
内部標準物質として、オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナートを用いる場合、例えば保持時間約20分において内部標準物質のピークが検出されるところ、使用したモノマー種の2量体及び3量体等を含む成分のピークは、上記内部標準物質の保持時間よりも長い保持時間において検出される。ここで、上記成分の合計の含有量は、内部標準物質のピークが検出されてから上記成分のピークが検出されるまでの間における両ピークの面積比(すなわちそれらの存在比)から算出することができる。
またなお、上記成分の合計の含有量は、より具体的には、実施例において後述する特定の装置及び特定の条件でのGC/MS測定により求められるものとする。
([加熱後のMw]−[加熱前のMw])/[加熱前のMw]×100(%)
から算出を行う。加熱は真空乾燥機などの減圧が可能な乾燥機を240℃に昇温した後、10gのサンプルを乾燥機内に入れ、減圧一定装置などで10mmHgの圧力に制御しながら240℃で1時間保持することによって行われる。
10mmHgに減圧しながら240℃で1時間加熱した前後の重量平均分子量の増加率を5%以下にすることにより、高温での成形加工時にもポリマー鎖間の架橋が抑制され、機械的強度の高い成形品や外観の優れた成形品が得られる。また、本発明の主鎖に環構造を有するアクリル系樹脂を用いてシートを作製したときに、良好な透明性、熱変色性、トリミング性を得ることもできる。
なお、一般的なアクリル系樹脂のTgは、熱分析装置(Perkin Elmer社製、Diamond DSC)を用いて、ASTM−D−3418に準拠して測定を行うと、110℃程度で観測される。
なお、ガラス転移温度は、ASTM−D−3418に準拠して中点法により測定することができ、具体的には、後述する実施例において記載する方法により測定することができる。
(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする樹脂は、熱で解重合をおこしてモノマー成分が生成し易い。樹脂に耐熱性を付与するために、環構造を有する基を有する単量体単位を導入すると、加工温度が高くなり、加工時の樹脂の溶融粘度が上がることになる。本実施形態のアクリル系樹脂によれば、上記条件で作製したフィルムの表面の気泡数が、上記範囲であるため、気泡が少なく外観に優れる成形体を得ることができる。
なお、フィルム表面の気泡数は、光学顕微鏡を用いて気泡数を算出し、その個数で評価することができる。具体的には、後述の実施例に記載する方法により測定することができる。
全光線透過率は高い方が好ましいが、実用上は94%以下でも十分に視認性を確保することができる。
全光線透過率は、例えば、下記実施例の方法により測定することができる。
紫外線吸収剤は特に限定されないが、ベンゾフェノン系化合物、サリシケート系化合物、ベンゾエート系化合物、トリアゾール系化合物およびトリアジン系化合物等が挙げられる。ベンゾフェノン系化合物としては、2,4−ジーヒドロキシベンゾフェノン、4−n−オクチルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、1,4−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノン)−ブタン等が挙げられる。サリシケート系化合物としては、p−t−ブチルフェニルサリシケート等が挙げられる。ベンゾエート系化合物としては、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。また、トリアゾール系化合物としては、2,2’−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−ベンゾトリアゾール−2−イル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−[5−クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−6−(3,4,5,6−テトラヒドロフタルイミジルメチル)フェノール、メチル3−(3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート/ポリエチレングリコール300の反応生成物、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシ−C7−9側鎖及び直鎖アルキルエステルが挙げられる。さらに、トリアジン系化合物としては、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシエトキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス「2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル」−6−(2,4−ジブトキシフェニル)−1,3−5−トリアジン、2,4−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−6−[2−ヒドロキシ−4−(3−アルキルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−5−α−クミルフェニル]−s−トリアジン骨格(アルキルオキシ;オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシなどの長鎖アルキルオキシ基)を有する紫外線吸収剤(チバスペシャリティケミカルズ(株)製、商品名:チヌビン477)が挙げられる。
これらは単独でまたは2種類以上組み合わせて使用することができる。
上記紫外線吸収剤の配合量は特に限定されないが、耐熱アクリル系樹脂を主成分とする層中に0.01〜25重量%であることが好ましく、さらに好ましくは0.05〜10重量%である。添加量が少なすぎると耐候性向上の寄与が低く、また多すぎると機械強度の低下や黄変を引き起こす場合がある。
酸化防止剤は特に限定されないが、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系あるいはイオウ系などの公知の酸化防止剤を、1種で、または2種以上を併用して用いることができる。特に、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート(例えば、住友化学工業製スミライザーGS)、および2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(例えば、住友化学工業製スミライザーGM)が、高温成形時におけるアクリル系樹脂の劣化を抑制する効果が高いことから好ましい。
その他の添加剤は、例えば、耐光安定剤、耐候安定剤、熱安定剤などの安定剤;ガラス繊維、炭素繊維などの補強材;近赤外線吸収剤;トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート、トリアリルホスフェート、酸化アンチモンなどの難燃剤;アニオン系、カチオン系、ノニオン系の界面活性剤に代表される帯電防止剤;無機顔料、有機顔料、染料などの着色剤;有機フィラー、無機フィラー;樹脂改質剤;可塑剤;滑剤;難燃剤;ASAやABSなどのゴム質量体などである。
本発明のアクリル系樹脂における、上記その他の添加剤の添加量は、例えば0〜5%であり、好ましくは0〜2%であり、より好ましくは0〜0.5%である。
本発明の主鎖に環構造を有するアクリル系樹脂の製造方法としては、アクリル系樹脂を重合する重合工程後に環化反応を行い、主鎖に環構造を導入することが好ましい。
エステル交換反応などの脱アルコール反応により起きる主鎖間の架橋反応が抑制できることから、有機溶剤はアルコール系溶剤を含むことが好ましい。ただし、アルコール系溶剤の含有割合が高い場合は主鎖に環構造を有する熱可塑性アクリル系樹脂の溶解性が悪くなるため、有機溶剤中のアルコール系溶剤の含有割合は0〜90%が好ましく、より好ましくは0〜50%、さらに好ましくは0〜20%、特に好ましくは0〜15%である。
重合開始剤は、重合温度で分解し活性ラジカルを発生するものであればよいが、滞留時間の範囲内で必要な重合転化率を達成することが必要であり、重合温度における半減期が0.6〜60分、好ましくは1〜30分を満足するような重合開始剤が選択される。但し、重合温度における半減期が60分を超える開始剤に関しても、所定量を一括もしくは10分程の時間で投入することで、本実施形態に適した活性ラジカル量を発生する重合開始剤として使用することができる。その場合に必要な重合転化率を達成するためには、重合温度における半減期が60〜1800分、好ましくは260〜900分を満足するような重合開始剤が選択される。
好適に使用される重合開始剤は、重合温度、重合時間を鑑みて適宜選択することができ、例えば、日本油脂(株)「有機過酸化物」資料第13版、アトケム吉富(株)技術資料及び和光純薬工業(株)「Azo Polymerization Initiators」等に記載の開始剤を好適に使用することができ、上記半減期は、記載の諸定数等により容易に求めることができる。
前記重合開始剤としては、ラジカル重合を行う場合は、以下に限定されるものではないが、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(例えば、パーヘキサ(登録商標)C)、アセチルパーオキサイド、カプリエルパーオキサイド、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシビパレート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、iso−プロピルパーオキシジカーボネート、iso−ブチルパーオキシジカーボネート、sec−ブチルパーオキシジカーボネート、n−ブチルパーオキシジカーボネート、2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシエチルヘキサノエート、1,1,2−トリメチルプロピルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン(例えば、パーヘキサ(登録商標)25B)、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−アミルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1,2−トリメチルプロピルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシイソノナエート、1,1,2−トリメチルプロピルパーオキシ−イソノナエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物や、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンニトリル、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、4,4’−アゾビス−4−シアノバレリン酸等のアゾ系化合物等の、一般的なラジカル重合開始剤を挙げることができる。
これらのラジカル重合開始剤と適当な還元剤とを組み合わせてレドックス系開始剤として用いてもよい。
これらの重合開始剤は、1種単独で用いることができ、2種以上組み合わせて用いることもできる。
重合反応においては重合開始剤の供給量を増やすことで重合度を上げることができるが、多量の開始剤を使用することで全体の分子量が低下する傾向にあるうえ、重合時の発熱量が増大するため、過熱により重合安定性が低下する場合もある。
重合開始剤は、所望の分子量を得やすくし、重合安定性を確保するという観点から、使用する全単量体の総量100質量部に対して、0〜1質量部の範囲で用いるのが好ましく、より好ましくは0.001〜0.8質量部であり、より好ましくは0.01〜0.5質量部である。重合開始剤の添加量は、重合を行う温度及び開始剤の半減期も考慮して、適宜選ぶことができる。
より具体的には、本発明の実施形態では、反応系内に残存する未反応モノマー総量に対する重合開始剤より発生するラジカル総量の割合が、常時一定値以下となるように、開始剤の種類、開始剤量、及び重合温度等を適宜選択することが好ましい。
かかる方法によれば、重合時のラジカル発生量を制御することによって、アクリル系樹脂中の成分の合計量や重量平均分子量1万以下の成分量を所望の範囲とすることができる。
例えば、重合開始時の重合開始剤の添加速度(単位時間当たりの添加量)を100ppm/時とし、重合開始剤の添加開始から添加終了までの時間の合計であるB時間を10時間とした場合に、重合開始剤の添加開始から0.1〜3時間の間に、添加速度(単位時間当たりの添加量)を70ppm/時以下とすることが好ましい。
例えば、重合開始時の重合開始剤の添加速度(単位時間当たりの添加量)を100ppm/時とし、重合開始剤の添加開始から添加終了までの時間の合計であるB時間を10時間とした場合に、重合開始剤の添加開始から7〜10時間の間に、添加速度(単位時間当たりの添加量)を25ppm/時以下とすることが好ましい。
分子量調整剤としては、連鎖移動剤やイニファータ等が挙げられる。
アクリル系樹脂の製造工程においては、本発明の目的を損なわない範囲で、製造する重合体の分子量の制御を行うことができる。
連鎖移動剤及びイニファータとしては、例えば、アルキルメルカプタン類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン等の連鎖移動剤;ジチオカルバメート類、トリフェニルメチルアゾベンゼン、テトラフェニルエタン誘導体等のイニファータ等を用いることによって分子量の制御を行うことができ、さらには、これらの連鎖移動剤やイニファータの添加量を調整することにより、分子量を制御することができる。
これら分子量調整剤は、要求される分子量に応じて適宜添加することができるが、一般的には使用する全単量体の総量100質量部に対して、0.001〜3質量部の範囲で用いられる。
また、その他の分子量制御方法としては重合方法を変える方法、重合開始剤の量を調整する方法、重合温度を変更する方法等が挙げられる。
これらの分子量制御方法は、1種の方法だけを単独で用いてもよいし、2種以上の方法を併用してもよい。
アクリル系樹脂においては、2量体及び3量体を含む成分の合計量を適量に制御する必要があり、また重量平均分子量1万以下の成分量も適量に制御する観点から、重合反応系に残るモノマー量に対して、残存する連鎖移動剤の量が過剰にならないような方法を選択することが好ましい。
連鎖移動剤の供給する方法の一例としては、連鎖移動剤を予めモノマーに溶解させておく方法、重合度が50%以下の段階で一括及び/又は逐次添加する方法、重合度90%までの間に一括及び/又は連続的に添加する方法で、連鎖移動剤を添加する量を、徐々に減じていく方法等の方法を好適に用いることができる。
上記Tダイ法で押し出しフィルム成形する場合は、公知の単軸押出し機や2軸押出し機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状に押出したフィルムを巻取りロール状のフィルムを得る事ができる。この際、巻取りロールの温度を適宜調整して、押出し方向に延伸を加えることで、一軸延伸工程とする事も可能である。また、押出し方向と垂直な方向にフィルムを延伸する工程を加える事で、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などの工程を加えることも可能である。
後述の製造例で製造したアクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を、下記の装置及び条件で測定した。
・測定装置:東ソー株式会社製、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(HLC−8320GPC)
・測定条件:
カラム:TSKguardcolumn SuperH−H 1本、TSKgel SuperHM−M 2本、TSKgel SuperH2500 1本を順に直列接続して使用した。本カラムでは、高分子量が早く溶出し、低分子量が遅く溶出する。
展開溶媒:テトラヒドロフラン、流速;0.6mL/分、内部標準として、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)を、0.1g/L添加した。
検出器:RI(示差屈折)検出器
検出感度:3.0mV/分
カラム温度:40℃
サンプル:0.02gのアクリル系樹脂のテトラヒドロフラン20mL溶液
注入量:10μL
検量線用標準サンプル:単分散の重量ピーク分子量が既知で分子量が異なる、以下の10種のポリメタクリル酸メチル(Polymer Laboratories製、PMMA Calibration Kit M−M−10)を用いた。
重量ピーク分子量(Mp)
標準試料1 1,916,000
標準試料2 625,500
標準試料3 298,900
標準試料4 138,600
標準試料5 60,150
標準試料6 27,600
標準試料7 10,290
標準試料8 5,000
標準試料9 2,810
標準試料10 850
上記の条件で、アクリル系樹脂の溶出時間に対するRI検出強度を測定した。
GPC溶出曲線におけるエリア面積と、3次近似式の検量線とを基に、アクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。評価結果を表1に示す。
重合により得られたアクリル系共重合体について、NMR及びFT−IRの測定を実施し、単量体単位及び構造単位の組成を確認した。評価結果を表1に示す。
NMR:日本電子株式会社製、JNM−ECA500
FT−IR:日本分光社製、IR−410、ATR法(Dura Scope(ATR結晶:ダイヤモンド/ZnSe)、分解能:4cm−1)を用いた。
下記装置及び条件により、後述の製造例にて調製したアクリル系樹脂(具体的には再沈可溶分)について、オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナートを内部標準物質して、GC/MS測定を行うことによって、単量体の2量体及び3量体等を含む成分の合計量を算出した。
次いで、GC/MS測定用溶液を下記の手順に従って作製した。樹脂試料約0.5gを10mLのクロロホルムに溶解させ、60mLのメタノールから再沈殿を実施した。不溶分をろ過して取り除き、クロロホルム・メタノール可溶分を窒素ブロー下60℃で90分間加熱して乾固させた。濃縮可溶分に上記標準液1mLを添加し、これを溶解させて、GC/MS測定用溶液を作製した。
その後、下記装置及び条件にて、上記GC/MS測定用溶液1μLを用いて、GC/MSの測定を実施した。
下記装置及び条件では、使用する単量体の二量体及び三量体のピークは、保持時間22分から32分までの間に観測されることを、別のGC/MS測定により予め確認し、そして、これに基づいて、上記GC/MS測定用溶液のGC/MS測定において保持時間22分から32分までの間に観測されたピークの総面積値を、単量体の2量体及び3量体等を含む成分に由来するものとした。こうして、上記GC/MS測定用溶液中に含まれる成分の合計量を算出した。
なお、熱安定剤等の添加剤に由来するピークが上記保持時間の範囲に現れた場合には、添加剤由来のピークの分の面積値を総面積値から差し引いて、成分の合計量の計算を行った。
Agilent社製、GC/MS GC−7890A、MSD−5975C
・測定条件
カラム:HP−5MS(長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm)
キャリアガス:ヘリウム(1mL/分)
検出器:MSD
イオン化法:EI
オーブン温度:50℃(5分ホールド)〜(10℃/分で昇温)〜325℃(10分ホールド)
注入口温度:325℃
トランスファー温度:325℃
質量スペクトル範囲:20〜800
スプリット比:10:1
注入量:1μL
内部標準物質:オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナート
検出されたオクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナートのピーク面積値を算出した後、樹脂試料中の、成分検出領域に検出されたピーク総面積値と比較し、成分の合計量[mg]を概算した。計算式を下記に示す。
(成分の合計量[mg])=(オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナートの添加量0.25[mg])×(成分のピーク総面積値)/オクタデシル3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオナートのピーク面積値)
この成分の合計量を再沈処理した後の樹脂試料の量で割り、成分の合計の含有量(質量%)を算出した。
なお、GC/MSのトータルイオンクロマトグラムは、オーブン温度が高くなるにつれて、ベースラインが緩やかに上昇することがある。ベースラインの傾きが大きくなった箇所については、正確なピーク面積値を算出するため、ベースラインの傾きを考慮して、積分を数回に分けて行い、そして、これらの積分値を合算して「成分のピーク総面積値」とした。
上記(I)の分子量測定装置を用いて、分子量500以上1万以下の成分による分画より、重量平均分子量1万以下の成分の含有量とした。また、同様に、重量平均分子量1万超5万以下の成分の含有量を求めた。さらに、重量平均分子量1万超5万以下の成分の含有量(a)に対する、重量平均分子量5万超の成分の含有量(b)の割合(b/a)を算出した。評価結果を表1に示す。
後述の実施例及び比較例で得られたアクリル系樹脂について、熱分析装置(Perkin Elmer社製、Diamond DSC)を用いて、ASTM−D−3418に準拠して測定を行い、中点法によりガラス転移温度(℃)を算出した。評価結果を表1に示す。評価結果を表1に示す。
後述の実施例及び比較例で得られたアクリル系樹脂の重量平均分子量の増加率(Mw増加率)は加熱前後の重量平均分子量から算出した。具体的には、真空乾燥機を240℃に昇温した後、アルミカップに秤取った2gのサンプルを乾燥機内に入れ、減圧一定装置で10mmHgの圧力に制御しながら240℃で1時間保持し、その前後のサンプルのGPC測定を行った。Mw増加率は
([加熱後のMw]−[加熱前のMw])/[加熱前のMw]×100(%)
として計算した。評価結果を表1に示す。
後述の実施例及び比較例で得られたアクリル系樹脂を、押出機(プラスチック工学研究所製、φ32mm単軸押出機)(L/D=32、ベント数:1個)を、設定温度:280℃、ロール温度:(ガラス転移温度−20℃)から(ガラス転移温度+15℃)まで範囲の条件で用いて、幅約12cm、約130μm厚のシートに製膜した。
得られたシートを10cm角に切断し、テンションのかからない状態で100℃に設定した乾燥機(PHH−201M;エスペック製)で48時間放置した。前後のシートの変色度合を目視観察した。明らかに前後で変色が分かるものを「×」、わずかに変色が認められるものを「△」、変色がみとめられないものを「○」と評価した。評価結果を表1に示す。
後述の実施例及び比較例で得られたアクリル系樹脂を、上述の<シートの熱変色性>における方法と同様の方法を用いて、製膜した。
得られたシートを巻取り速度3m/分で送り出しながら、シートの中央部をシアーカッターで切断することで、広幅シートとした際のトリミング性を模擬的に評価した。ひび割れを生じることなく切断できた場合を「○」、切断後に確認するとひび割れをわずかに生じていた場合を「△」、切断時にひび割れを多数生じた場合を「×」と評価した。評価結果を表1に示す。
後述の実施例及び比較例で得られたアクリル系樹脂を用いて、押出機(プラスチック工学研究所製、φ32mm単軸押出機)(L/D=32、ベント数:1個)を、設定温度:270℃、ロール温度:(ガラス転移温度−10℃)にて、約100μm厚、約12cm幅のフィルムを製造した。使用した樹脂は事前に105℃設定のオーブンにて24時間乾燥させておいた。
製造したフィルムを、温度が安定してから約5分経過後から、約20cmずつ合計10枚切り出した。そして、各フィルムの表面を光学顕微鏡を用いて観察し、フィルム100cm2当たりに含まれる長径が100μm以上の気泡の個数を各フィルムについて数えて、当該個数の10枚での平均値を算出した。評価結果を表1に示す。
後述の実施例及び比較例で得られたアクリル系樹脂を、押出機(プラスチック工学研究所製、φ32mm単軸押出機)(L/D=32、ベント数:1個)を、設定温度:270℃、スクリュー回転数15rpm、ロール回転速度1m/分、ロール温度:(ガラス転移温度−20℃)から(ガラス転移温度+15℃)まで範囲の条件で用いて、約100μm厚のシートに製膜した。
シートは、設定温度を変化させることが可能な第一温調ロール(材質:S45C、ハードクロムメッキ処理、表面粗度0.2S、鏡面仕上げ)を介して、第二ロールに巻き取った。ここで、第一温調ロール及び第二ロールの外径はともに15cmとし、第一温調ロールと第二ロールとの間の距離(両ロールの中心間距離)は24cmとした。第一温調ロールの中心の高さと第二ロールの中心の高さとは同じに設定した。
図2に、本実施形態のアクリル系樹脂のロールへの貼り付き防止性の評価における、製膜時の第一温調ロール及び第二ロールの周辺の様子を示す。
図2に示す通り、第1温調ロールから第二ロールに向かうシートは、第1温調ロールの最下端から所定距離だけロールの外周に沿って貼り付き、ロールから離反し、その後、ほぼ同径の第二ロールに巻き取られる。図中の実線は、本試験における定常時のフィルムを示しており、ここで、第1温調ロールの最下端と第1温調ロールの断面中心と上記離反点とがなす角度をθ(図2参照)としたとき、定常時における角度θは本試験においては通常40°である。一方、図中の破線は、貼付き時のフィルムを示しており、本試験では、上記角度θが90°である時を貼付き時とする。
このとき、上記角度θが90°に達した時点での第1温調ロールの設定温度を貼付開始温度として、(貼付開始温度−ガラス転移温度)の差温(℃)を観察した。
そして、差温が+7℃以上のものを「◎」、差温が+5℃以上のものを「○」、+5℃未満のものを「×」として、ロールへの貼り付き防止性の評価の指標とした。(貼付開始温度−ガラス転移温度)の差が大きいほど、ロールへの貼り付き防止性が良好であると評価した。評価結果を表1に示す。
後述の実施例及び比較例で得られたアクリル系樹脂からなるフィルム(約100μm厚)を用いて、ISO13468−1規格に準拠して、全光線透過率(%)の測定を行い、透明性の指標とした。評価結果を表1に示す。
パドル翼を備え付けた撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した200Lの反応釜に、41.0kgのメタクリル酸メチル(MMA)、10.0kgの2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(Combi Bloks社製)、50.0kgのトルエン、2kgのメタノールを仕込み、原料溶液を調製した。これに窒素を通じつつ、撹拌し液温度を90℃まで昇温した。
別途、0.05kgのt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートと0.36kgのトルエンを混合した開始剤フィード液を調製した。
原料溶液温度が97℃に到達したところで、開始剤フィード液のフィードを(1)〜(3)のプロファイルにて開始した。
(1)0.0〜1.0時間:フィード速度0.10kg/時
(2)1.0〜5.0時間:フィード速度0.05kg/時
(3)5.0〜6.0時間:フィード速度0.10kg/時
合計6時間かけて開始剤をフィードした(B時間=6時間)後、さらに3時間反応させて、合計9時間かけて重合反応を完結させた。
重合反応中、内温は96±2℃で制御した。得られた重合体溶液に、51gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物を加え、還流下(約90〜98℃)で5時間、環化縮合反応を行った。
得られた重合液を4フォアベント、1バックベント付φ42mm二軸脱揮押出機を用いて、140rpm、樹脂量換算で10kg/時で環化縮合反応及び、脱揮処理を行い、樹脂ペレットを得た。得られた樹脂の組成は、MMA単位:82質量%、ラクトン環構造単位:17質量%、MHMA単位:1質量%であり、ガラス転移温度は129℃であった。
なお、実施例1における製造方法は、前述の製法の条件(i)、(ii)、(iv)、(v)を満たしていたが、条件(iii)を満たしていなかった。
パドル翼を備え付けた撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した20Lの反応釜に、4.1kgのメタクリル酸メチル(MMA)、1kgの2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(Combi Bloks社製)、連鎖移動剤として全単量体の総量100質量部に対して0.20質量部のn−ドデシルメルカプタン、5kgのトルエン、0.175kgのメタノールを仕込み、これに窒素を通じつつ、撹拌しつつ107℃まで昇温した。
100rpmで撹拌しながら窒素ガスを10分間バブリングした後、窒素雰囲気下で昇温を開始した。重合槽内の温度が100℃に達した時点で、重合槽内にt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートを全単量体の総量100質量部に対して0.15質量部加え、重合温度105〜110℃、還流下で15時間、重合反応を行った。得られた重合体溶液に、5.1gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物を加え、還流下(約90〜110℃)で5時間、環化縮合反応を行った。
得られた重合液を4フォアベント、1バックベント付φ42mm脱揮押出機を用いて、140rpm、樹脂量換算で10kg/時で環化縮合反応及び、脱揮処理を行い、樹脂ペレットを得た。得られた樹脂の組成は、MMA単位:82質量%、ラクトン環構造単位:17質量%、MHMA単位:1質量%であり、ガラス転移温度は129℃であった。
なお、比較例1における製造方法は、前述の製法の条件(i)を満たしていなかった。
パドル翼を備え付けた撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した20Lの反応釜に、4.1kgのメタクリル酸メチル(MMA)、1kgの2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(Combi Bloks社製)、連鎖移動剤として全単量体の総量100質量部に対して0.20質量部のn−ドデシルメルカプタン、5kgのトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ、撹拌しつつ90℃まで昇温した。
100rpmで撹拌しながら窒素ガスを10分間バブリングした後、窒素雰囲気下で昇温を開始した。重合槽内の温度が100℃に達した時点で、重合槽内にt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートを全単量体の総量100質量部に対して0.15質量部加え、重合温度105〜110℃、還流下で15時間、重合反応を行った。得られた重合体溶液に、5.1gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物を加え、還流下(約90〜110℃)で5時間、環化縮合反応を行った。
得られた重合液を4フォアベント、1バックベント付φ42mm脱揮押出機を用いて、140rpm、樹脂量換算で10kg/時で環化縮合反応及び、脱揮処理を行い、樹脂ペレットを得た。得られた樹脂の組成は、MMA単位:82質量%、ラクトン環構造単位:17質量%、MHMA単位:1質量%であり、ガラス転移温度は129℃であった。
なお、比較例2における製造方法は、前述の製法の条件(i)を満たしていなかった。
パドル翼を備え付けた撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を付した200Lの反応釜に、41.0kgのメタクリル酸メチル(MMA)、10.0kgの2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル(Combi Bloks社製)、50.0kgのトルエン、2kgのメタノールを仕込み、原料溶液を調製した。これに窒素を通じつつ、撹拌し液温度を90℃まで昇温した。
別途、0.05kgのt−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートと0.36kgのトルエンを混合した開始剤フィード液を調製した。
原料溶液温度が97℃に到達したところで、開始剤フィード液のフィードを(1)〜(4)のプロファイルにて開始した。
(1)0.0〜0.5時間:フィード速度0.20kg/時
(2)0.5〜1.0時間:フィード速度0.10kg/時
(3)1.0〜3.0時間:フィード速度0.06kg/時
(4)3.0〜8.0時間:フィード速度0.028kg/時
合計8時間かけて開始剤をフィードした(B時間=8時間)後、さらに1時間反応させて、合計9時間かけて重合反応を完結させた。
重合反応中、内温は96±2℃で制御した。得られた重合体溶液に、51gのリン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物を加え、還流下(約90〜98℃)で5時間、環化縮合反応を行った。
得られた重合液を4フォアベント、1バックベント付φ42mm二軸脱揮押出機を用いて、140rpm、樹脂量換算で10kg/時で環化縮合反応及び、脱揮処理を行い、樹脂ペレットを得た。得られた樹脂の組成は、MMA単位:82質量%、ラクトン環構造単位:17質量%、MHMA単位:1質量%であり、ガラス転移温度は129℃であった。
なお、実施例2における製造方法は、前述の製法の条件(i)〜(v)を満たしていた。
実施例2で得られたペレット100質量部に対し、チヌビンP(BASF社製)0.03質量部、及び、AD−2112(ADEKA社製)0.10質量部を、Φ26mm二軸押出機(3ベント、シリンダー温度260℃設定、TEM−26SS;東芝機械社製)を用いて混練し、樹脂ペレットを得た。
得られた樹脂の組成は、MMA単位:82質量%、ラクトン環構造単位:17質量%、MHMA単位:1質量%であり、ガラス転移温度は129℃であった。
Claims (6)
- 主鎖に環構造を有する熱可塑性アクリル系樹脂であって、
ガラス転移温度が115℃以上、
重量平均分子量が10万以上、分子量分布が2.5以下、
下記式(1)で示される10mmHgに減圧しながら240℃で1時間加熱した前後の重量平均分子量の増加率が5%以下である、
式(1):[加熱後のMw]−[加熱前のMw])/[加熱前のMw]×100(%)
アクリル系樹脂。 - GC/MSの測定を実施したときに、保持時間22〜32分に検出される成分の合計の含有量が、前記アクリル系樹脂を100質量%として、0.01〜0.40質量%である、請求項1に記載のアクリル系樹脂。
- ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した重量平均分子量が1万以下の成分の含有量が、前記アクリル系樹脂を100質量%として、0.1〜5.0質量%である、請求項1または2に記載のアクリル系樹脂。
- 紫外線吸収剤及び/又は酸化防止剤を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のアクリル系樹脂。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載のアクリル系樹脂を含む、光学フィルム。
- 請求項1〜4のいずれか一項に記載のアクリル系樹脂を含む、画像表示装置。
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