JP6982955B2 - ブロック共重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
このような透明性樹脂としては、アクリル樹脂等の熱可塑性樹脂が使用されている。特に、2−ヒドロキシメチルアクリル酸エステル単位とメタクリル酸エステル単位を有する共重合体の環化等により得られる、主鎖にラクトン環構造を有するアクリル樹脂は、透明性と耐熱性に優れることから、光学フィルム等に使用されている(特許文献1及び2)。
しかしながら、特許文献3に記載の方法で得られるアクリル樹脂は、ポリアクリル酸ブチルのブロックを有するブロック共重合体ではなく、アクリル樹脂とポリアクリル酸ブチルが混合されているに過ぎないため、分散性が悪く、樹脂の柔軟性にばらつきがあり、光学用途に必要な透明性を十分に有していない等という問題点があった。
よって、アクリル酸エステル由来の構造単位を含むポリマーブロックと、ラクトン環構造及びメタクリル酸エステル由来の構造単位を含むポリマーブロックとを有するブロック共重合体の製造方法が求められていた。
また、本発明は、このようなブロック共重合体を効率良く製造できる製造方法を提供することをも課題とする。
さらに、本発明は、アクリル酸エステル由来の構造単位を含むポリマーブロックと、ラクトン環構造及びメタクリル酸エステル由来の構造単位を含むポリマーブロックとを有する新規なブロック共重合体、このブロック共重合体を含むフィルムを提供することを課題とする。
具体的には、アクリル酸エステル単位を含むポリマーブロック両側に、ラクトン環構造及びメタクリル酸エステル単位を含むポリマーブロックが結合したトリブロック共重合体の製造方法として、2−ヒドロキシメチルアクリル酸エステルとメタクリル酸エステルの重合工程(工程1)、アクリル酸エステルの重合工程(工程2)及び2−ヒドロキシメチルアクリル酸エステルとメタクリル酸メチルの重合工程(工程3)を経て、ラクトン環化反応(工程4)を実施する方法に着想した。
しかしながら、このような方法では、特にトリブロック体などの3ブロック以上が結合したブロック共重合体を製造する場合、製造工程が多く、反応条件の厳密な調整が必要であった。
本発明者らは、上記以外にも下記するように種々の新知見を得て、さらに鋭意検討を重ねて本発明を完成するに至った。
この製造方法では、重合工程において、チオール化合物の存在下で重合させてもよい。
また、本発明によれば、アクリル酸エステル単位を含むポリマーブロックと、メタクリル酸エステル単位及び2−ヒドロキシメチルアクリル酸系モノマー単位を含むブロックを有するブロックポリマーの形成とともに、メタタクリル酸エステル単位及び2−ヒドロキシメチルアクリル酸系モノマー単位間で環化反応(脱アルコール反応)を進行させることができるため、このようなブロック共重合体を効率良く製造することができる。
特に、トリブロック共重合体(例えば、(B)−(A)―(B)等)等のポリブロック共重合体の製造において、各ブロックの重合工程と環化工程という多段階の重合工程を経る必要がなく、効率良く製造することができ、重合時間を短縮することができる。
一方、本発明の製造方法では、メタクリル酸エステルと2−ヒドロキシメチルアクリル酸系モノマーを共重合させるとともにラクトン環化反応を進行させることができるため、脱アルコール反応がマイルドになり、重合系内の反応温度の急激な上昇や反応液の突沸を防止することができ、反応条件の厳密な調整が必要なく、安定した重合を容易に行うことができる。
本発明は、アクリル酸エステル由来の構造単位を含むポリマーブロック(A)と、ラクトン環構造及びメタクリル酸エステル由来の構造単位を含むポリマーブロック(B)とを有するブロック共重合体を製造する方法である。
本発明の製造方法は、ポリマーブロック(A)の末端に、有機リン単位を有するニトロキシド構造を有するニトロキシドポリマー(A1)と、メタクリル酸エステル及び2−ヒドロキシメチルアクリル酸系モノマーを含むモノマー(B1)とを重合させる重合工程を含む。
ニトロキシドポリマー(A1)は、アクリル酸エステル単位を含むポリマーブロック(A)の末端に、有機リン単位を有するニトロキシド構造を有する。
ニトロキシドポリマー(A1)は、有機リン単位を有するニトロキシド構造を、ポリマーブロック(A)の少なくとも片末端に有していればよいが、ポリマーブロック(A)の両末端に有することが好ましい。
アクリル酸エステル単位は、上記の1種から構成されていても、2種以上から構成されていてもよい。
有機リン単位を有するニトロキシド構造は、例えば、以下の式(1)で表される構造等である。
炭化水素基としては、例えば、脂肪族基[例えば、C1−10アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等)、好ましくは、C1−4アルキル基等]、脂環族基[例えば、C3−12シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、好ましくは、C3−7シクロアルキル基等]、芳香族基{例えば、C6−20芳香族基[例えば、C6−20アリール基(例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、1−ナフチル基等)、C7−20アラルキル基(例えば、ベンジル基等)等]}等である。尚、炭化水素基は、さらに置換基(例えば、ハロゲン原子等)を有していてもよい。
炭化水素基としては、例えば、脂肪族基[例えば、C1−10アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等)、好ましくは、C1−5アルキル基]、脂環族基[例えば、C3−12シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)、好ましくは、C3−7シクロアルキル基等]、芳香族基{例えば、C6−20芳香族基[例えば、C6−20アリール基(例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、2,3−キシリル基、1−ナフチル基等)、C7−20アラルキル基(例えば、ベンジル基等)等]}等である。尚、炭化水素基は、さらに置換基(例えば、ハロゲン原子等)を有していてもよい。
リン含有基は、少なくともP(=O)OR3構造で表される構造(R3は、水素原子又は炭化水素基を示す)を含むことが好ましい。
R3において、炭化水素基としては、例えば、脂肪族基[例えば、C1−10アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等)、好ましくは、C1−4アルキル基等]、脂環族基(例えば、C3−12シクロアルキル基等)、芳香族基(例えば、C6−20芳香族基等)等が挙げられる。
有機リン単位を有するニトロキシド構造の例としては、例えば、以下の式(1−1)で表される構造が挙げられる。
また、ニトロキシドポリマー(A1)は、有機リン単位を有するニトロキシド構造を複数有していてもよい。
ニトロキシドポリマー(A1)において、有機リン単位を有するニトロキシド構造は、ポリマーブロック(A)の末端にあればよいが、ポリマーブロック(A)の両末端にあることが好ましい。
特に、ニトロキシドポリマー(A1)は、鎖状のポリマーブロック(A)の両末端に、有機リン単位を有するニトロキシド構造を有することが好ましい。このようなニトロキシドポリマー(A1)を用いることで、ポリマーブロック(A)の両側にポリマーブロック(B)を有するブロック共重合体を効率良く得ることができる。
モノマー(B1)は、メタクリル酸エステル及び2−ヒドロキシメチルアクリル酸系モノマーを少なくとも含む。
メタクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、脂肪族メタクリレート[例えば、メタクリル酸アルキルエステル(例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸C1−18アルキル)等]、脂環族メタクリレート[例えば、メタクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、メタクリル酸シクロプロピル、メタクリル酸シクロブチル等のメタクリル酸C3−20シクロアルキル)、架橋環式メタクリレート(例えば、メタクリル酸イソボルニル)等]、芳香族メタクリレート[例えば、メタクリル酸アリールエステル(例えば、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸o−トリル等のメタクリル酸C6−20アリール)、メタクリル酸アラルキルエステル(例えば、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸C6−10アリールC1−4アルキル)、メタクリル酸フェノキシアルキル(例えば、メタクリル酸フェノキシエチル等のメタクリル酸フェノキシC1−4アルキル)等]等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を使用することができる。
他の単量体としては、例えば、スチレン系モノマー[例えば、スチレン、ビニルトルエン、置換基(例えば、ハロゲン基、アルコキシ基、アルキル基、ヒドロキシ基等)を有するスチレン(例えば、α―メチルスチレン、クロロスチレン等)、スチレンスルホン酸又はその塩等]、メタクリル酸、アクリル酸、ビニル化合物[例えば、ビニルエステル(例えば、酢酸ビニル)等]、α,β−不飽和ニトリル(例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−オクテン等のC2−10アルケン等)等が挙げられる。これらの他の単量体は、1種又は2種以上使用することができる。
他の単量体は、ブロック共重合体の用途に応じて適宜選択できるが、光学特性を調整できる等の観点から、スチレン系モノマーを含むことが好ましく、スチレンを含むことがより好ましい。
ニトロキシドポリマー(A1)とモノマー(B1)の重合工程(I)では、ポリマーブロック(A)と、メタクリル酸エステル単位及び2−ヒドロキシメチルアクリル酸系モノマー単位を含むポリマーブロックとを有するブロック共重合体(1)が形成される。ブロック共重合体(1)の形成とともに、メタクリル酸エステル単位及び2−ヒドロキシメチルアクリル酸系モノマー単位間でラクトン環構造の形成が行われ、ポリマーブロック(A)とポリマーブロック(B)とを有するブロック共重合体が得られる。
本発明の製造方法では、少なくともニトロキシドポリマー(A1)とモノマー(B1)の重合工程(I)において、ラクトン環構造を形成させることが好ましい。
尚、ニトロキシドポリマー(A1)とモノマー(B1)の重合工程(I)において環化反応が進行する理由は定かではないが、ニトロキシドポリマー(A1)が有する有機リン単位が、環化反応の触媒として機能している可能性が考えられる。
ニトロキシドポリマー(A1)とモノマー(B1)とを、ニトロキシドポリマー(A1)が有するニトロキシド構造を介して重合させることにより、ブロック共重合体(1)を形成することができる。
重合温度は、特に限定されないが、例えば、80〜130℃であり、好ましくは、90〜120℃である。
重合工程(I)の重合時間は、特に限定されず、重合温度に応じて適宜選択できるが、例えば、0.5〜6時間、好ましくは1〜3時間である。
尚、重合は、窒素等の不活性ガスを導入することにより、溶存酸素を50ppm以下とすることが好ましい。
重合溶媒の使用量は、重合系内における単量体組成物において、10〜80重量%が好ましい。
触媒としては、特に限定されないが、例えば、酸、塩基及びこれらの塩、金属錯体、並びに金属酸化物から選ばれる少なくとも1種を使用できる。酸、塩基及びこれらの塩、金属錯体、並びに金属酸化物の種類は、特に限定されない。最終的に得られるブロック共重合体、または当該重合体を含む樹脂組成物もしくは樹脂成形体が透明性の重要視される用途に使用される場合、触媒は、これらの透明性が低下せず、着色などの悪影響が生じない範囲で使用することが好ましい。
塩基は、限定されず、例えば、金属水酸化物、アミン類、イミン類、アルカリ金属誘導体、アルコキシド類、水酸化アンモニウム塩である。
金属有機酸塩又は金属無機酸塩の金属は、最終的に得られるブロック共重合体、樹脂組成物または樹脂成形体の特性を阻害せず、かつこれらの廃棄時に環境汚染を招くことがない限り限定されず、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属;マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどのアルカリ土類金属;亜鉛;ジルコニウムなどであり、これらの中でも、亜鉛が好ましい。
具体的な金属カルボン酸塩として、酢酸亜鉛、プロピオン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、またはステアリン酸亜鉛が好ましい。
金属酸化物は、限定されず、例えば、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウムである。
尚、触媒の使用量は、特に限定されない。
連鎖移動剤としては、例えば、チオール化合物[例えば、脂肪族チオール(例えば、ブタンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、オクタデカンチオール、デカントリチオール、ドデシルメルカプタンのアルカンチオール、好ましくはC1−20アルカンチオール)、脂環族チオール(例えば、シクロヘキシルメルカプタンなどのシクロアルカンチオール、好ましくはC4−10シクロアルカンチオール)、芳香族チオール(例えば、チオフェノールなど)、メルカプトカルボン酸又はそのエステル(例えば、チオグリコール酸オクチル、2−メルカプトプロピオン酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル、オクタン酸2−メルカプトエチルエステルなどのメルカプトアルカン酸又はそのエステル、好ましくはメルカプトC2−10アルカン酸又はそのアルキルエステル)、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタンなどの有機チオール化合物]、ハロゲン化物(例えば、四塩化炭素、四臭化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素)、不飽和炭化水素化合物(例えば、α−メチルスチレンダイマー、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、ターピノーレンなど)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、チオール化合物(例えば、アルカンチオールなどの有機チオール化合物)を用いることが好ましい。連鎖移動剤を使用することで、得られるブロック共重合体の熱安定性などを向上させやすい。
これらモノマーの転化率は、例えば、重合反応終了後の重合液に残存するメタクリル酸エステル、残存2−ヒドロキシメチルアクリル酸系モノマーの量から算出することができる。
また、ラクトン環構造の形成は、重合反応終了後の重合液に含まれるアルコールの検出によって、確認することができる。
尚、モノマーの転化率の算出及び重合液中のアルコールの検出は、例えば、ガスクロマトグラフィー等を用いて実施することができる。
連鎖移動剤としては、前記例示の連鎖移動剤、例えば、ブタンチオール、オクタンチオール、デカンチオール、ドデカンチオール、ヘキサデカンチオール、オクタデカンチオール、シクロヘキシルメルカプタン、チオフェノール、チオグリコール酸オクチル、2−メルカプトプロピオン酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル、オクタン酸2−メルカプトエチルエステル、1,8−ジメルカプト−3,6−ジオキサオクタン、デカントリチオール、ドデシルメルカプタンなどの有機チオール化合物;四塩化炭素、四臭化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタンなどのハロゲン化物;α―メチルスチレンダイマー、α―テルピネン、γ―テルピネン、ジペンテン、ターピノーレンなどの不飽和炭化水素化合物である。これれは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、炭素数3以上の炭化水素基を有する有機チオール化合物を用いることが好ましい。尚、連鎖移動剤の使用量は、特に限定されない。
追加するモノマー(B1)としては、好ましくは、上記したモノマー(B1)における他の単量体であり、スチレン系モノマーを含むことがより好ましく、スチレンを含むことがさらに好ましい。
また、重合反応終了後の重合液に、その他の樹脂(例えば、熱可塑性重合体等)等を混合してもよい。その他の樹脂の配合量は、特に限定されない。
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、4−n−オクチルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクチルオキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、1,4−ビス(4−ベンゾイル−3−ヒドロキシフェノン)−ブタン等が挙げられる。
ベンゾエート系化合物としては、例えば、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート等が挙げられる。
これらは単独で、または2種類以上の組み合わせで使用することができる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)アセテート、n−オクタデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、n−ヘキシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、n−ドデシル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルベンゾエート、ネオドデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ドデシル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、エチル−α−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシル−α−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニル)イソブチレート、オクタデシル−α−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−(n−オクチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(n−オクチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ヒドロキシエチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ジエチルグリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネート、2−(n−オクタデシルチオ)エチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ステアルアミド−N,N−ビス−[エチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−ブチルイミノ−N,N−ビス−[エチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、2−(2−ステアロイルオキシエチルチオ)エチル−7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,2−プロピレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ネオペンチルグリコールビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、エチレングリコールビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、グリセリン−1−n−オクタデカノエート−2,3−ビス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス−[3−(3′,5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,1−トリメチロールエタントリス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ソルビトールヘキサ−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2−ヒドロキシエチル−7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−ステアロイルオキシエチル−7−(3−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ヘプタノエート、1,6−n−ヘキサンジオールビス[(3′,5′−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリトリトールテトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]−ウンデカン、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
上記した製造方法を用いて、アクリル酸エステル由来の構造単位を含むポリマーブロック(A)と、ラクトン環構造及びメタクリル酸エステル由来の構造単位を含むポリマーブロック(B)とを有するブロック共重合体を得ることができる。
炭化水素基としては、例えば、脂肪族基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のC1−20アルキル基)、芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基等のC6−20芳香族炭化水素基等)等である。炭化水素基は、さらに、置換基(例えば、ハロゲン原子、水酸基、カルボキシル基、エーテル基及びエステル基から選ばれる少なくとも1種類の基)により置換されていてもよい。炭化水素基は、これらの置換基を単独で又は2種以上組み合わせて有していてもよい。
尚、ブロック共重合体がトリブロック共重合体である場合、各ポリマーブロック(B)におけるラクトン環構造の含有割合が、このような範囲であればよい。
ポリマーブロック(B)におけるスチレン系単位の含有割合は、所望の光学特性などに応じて適宜選択できるが、例えば0.1〜15重量%、好ましくは1〜10重量%、より好ましくは3〜8重量%である。なお、ポリマーブロック(B)におけるスチレン系単位の含有割合は、ポリマーブロック(B)を構成するモノマー換算で、例えば0.1〜20モル%、好ましくは1〜12モル%、より好ましくは3〜10モル%である。
尚、ブロック共重合体がトリブロック共重合体である場合、各ポリマーブロック(B)における他の単位(例えば、スチレン系単位など)の含有割合が、上記のような範囲であればよい。
また、ブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)は、15万以上(例えば、16万〜100万)、好ましくは17万以上(例えば、17.5万〜80万)、さらに好ましくは20万以上(例えば、23万〜60万)、特に25万以上(例えば、27万〜50万)であってもよく、30万以上(例えば、30〜100万、好ましくは30〜50万)であってもよい。分子量をこのような比較的大きい範囲とすることで、熱安定性等に優れたブロック共重合体を得やすく、好適である。
なお、分子量Mwは、例えば、ポリスチレン換算でGPCにより測定される値であってもよい。
尚、ブロック共重合体がトリブロック共重合体である場合、ポリマーブロック(A)と、各ポリマーブロック(B)との重量平均分子量(Mw)の比が、このような範囲であればよい。
また、樹脂組成物は、用途などに応じて、慣用の添加剤を含んでいてもよい。
本発明のブロック共重合体又は樹脂組成物(例えば、本発明の製造方法によって得られるブロック共重合体又は樹脂組成物)の成型品(例えば、フィルムまたはシート等)は、ブロック共重合体を含む成形品である限り、特に限定されるものではないが、光学用途に用いることが好適であり、例えば、光学用保護フィルム、光学フィルム、光学シート等が挙げられる。光学用保護フィルムは、光学部品を保護するフィルムであれば特に限定されないが、例えば各種光ディスク(VD、CD、DVD、MD、LD等)基板の保護フィルム、液晶表示装置用の偏光板に用いる偏光子保護フィルム等が挙げられる。
光学フィルムは、光学特性に優れたフィルムであれば特に限定されないが、好ましくは、位相差フィルム、ゼロ位相差フィルム(面内、厚み方向位相差が限りなく小さい)、視野角補償フィルム、光拡散フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、タッチパネル用導電フィルム等が挙げられる。
光学シートとしては、拡散板、導光体、位相差板、ゼロ位相差板、プリズムシート等が挙げられる。
尚、成型方法は特に限定されず、従来公知の方法に従ってよい。
例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置等の画像表示装置に用いられる保護フィルム、反射防止フィルム、偏光フィルム等の用途に用いる場合には、好ましくは1〜250μm、より好ましくは10〜100μm、さらに好ましくは20〜80μmである。
また、例えば、ITO蒸着フィルム、銀ナノワイヤーフィルム、メタルメッシュフィルム等に用いられる透明導電性フィルム等の用途に用いる場合には、好ましくは20〜400μm、より好ましくは30〜350μm、さらに好ましくは40〜300μmである。
なお、以下では特にことわりのない場合、「%」は「質量%」を、「部」は「質量部」をそれぞれ示す。
ブロックポリマー、重合体及び組成物の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(D)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算により求めた。測定に用いた装置および測定条件は以下の通りである。
システム:東ソー製GPCシステム HLC−8220
測定側カラム構成
・ガードカラム:東ソー製、TSKguardcolumn SuperHZ−L
・分離カラム:東ソー製、TSKgel SuperHZM−M 2本直列接続
リファレンス側カラム構成
・リファレンスカラム:東ソー製、TSKgel SuperH−RC
展開溶媒:クロロホルム(和光純薬工業製、特級)
展開溶媒の流量:0.6mL/分
標準試料:TSK標準ポリスチレン(東ソー製、PS−オリゴマーキット)
カラム温度:40℃
モノマー転化率及び生成アルコールの定量は、ガスクロマトグラフィー(島津製作所社製、装置名:GC−2014)を用いて測定して求めた。
ガラス転移温度(Tg)は、JIS K7121の規定に準拠して求めた。具体的には、示差走査熱量計(リガク製、DSC−8230)を用い、窒素ガス雰囲気下、約10mgのサンプルを常温から200℃まで昇温(昇温速度20℃/分)して得られたDSC曲線から、始点法により評価した。リファレンスには、α−アルミナを用いた。
熱分解温度は、以下の方法(ダイナミックTG法)で分析した。
測定装置:差動型示差熱天秤(ThermoPlus2TG−8120ダイナミックTG、(株)リガク製)
測定条件: 試料量10mg
昇温速度: 10℃/min
雰囲気: 窒素フロー200mL/min
方法: 階段状等温制御法(150℃ から500℃までの範囲内における質量減少速度値0.005%/s以下に制御)
ブロックポリマー、重合体の発泡性は加熱時の発泡量の測定によって評価した。すなわち、80℃のオーブンにて少なくとも12時間以上乾燥処理したブロックポリマーを、JIS−K7210に規定されるメルトインデクサーのシリンダー内に装填し、290℃で20分間保持した後、ストランド状に押出し、得られたストランドの上部標線と下部標線との間に存在する泡の発生個数を計数し、熱可塑性樹脂組成物1gあたりの個数で表した。
○:0〜10個、△:10〜20個、×:20個以上
窒素下、サンプル0.5grを試験管に封入し、ヒートブロックを用いて240℃1時間加熱後、クロロホルムを49.5grで溶解し1wt%溶液を調液した。この溶液をシリンジに2ml取り、シリンジの先にセットしたクロマトディスク(GLサイエンス社製、0.2μm、4N)で濾過した。2ml以上濾過できたものを◎、1ml以上2ml未満でフィルターが閉塞した場合を〇、1ml未満でフィルターが閉塞した場合を×とした。
フィルムの厚さは、デジマチックマイクロメーター(ミツトヨ製)を用いて測定した。以下に評価方法を示す物性を含め、フィルムの物性を測定、評価するためのサンプルは、フィルムの幅方向の中央部から取得した。
フィルムのヘイズは、日本電色工業社製NDH―1001DPを用いて石英セルに1,2,3,4−テトラヒドロナフタリン(テトラリン)を満たし、その中にフィルムを浸漬して測定し、100μmあたりの内部ヘイズ値として算出した。
フィルムの耐折回数は、JIS P8115に準拠して測定した。具体的には、長手方向がMD方向とTD方向となる長さ90mm、幅15mmの2種類の試験フィルムを23℃、50%RHの状態に1時間以上静置させてから使用し、MIT耐折疲労試験機(東洋精機製、DA型)を用いて、折り曲げ角度135°、折り曲げ速度175cpm、荷重200gの条件で試験を行い、5枚のサンプルのフィルムが破断するまでの回数の平均値をそれぞれ求めた。折り曲げ線が製膜時のフィルムの流れ方向に垂直となるように折り曲げた回数をMITMDと表し、流れ方向に平行となるように折り曲げた回数をMITTDと表す。
実施例6〜11、比較例3〜4で得られた厚み160μmの未延伸フィルムを用い、手動式加熱プレス機(井元製作所製、IMC−180C型)にて250℃で2分間プレスし50μmとし、そのフィルムの内部Hazeを求めた。内部Hazeは、日本電色工業社製NDH−1001DPを用いて石英セルに1,2,3,4−テトラヒドロナフタリン(テトラリン)を満たし、その中にフィルムを浸漬して測定した。
次に、手動式加熱プレス機にて、250℃20分間加熱した後の内部Hazeを求めて、これらの内部Haze値より、加熱前後の内部ヘイズ変化率(%)を求めた。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、両末端にホスホン酸エステル単位を有するニトロキシド構造を有するポリアクリル酸ブチルの60%トルエン溶液(Flexibloc(登録商標)D2、Arkema France社製)58部、21部の2−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル(RHMA)、84部のメタクリル酸メチル(MMA)、ならびに重合溶媒として40部のトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。その後約105〜110℃の還流下で3時間の溶液重合を進行させた。この時の重合液中のモノマー量より算出した反応率は、MMAが30%、RHMAが28%であった。さらに、得られた重合液からメタノールを0.1%検出した。これは重合反応とともにエステル交換反応に伴う分子内ラクトン環化が起こっていることを支持している。尚、得られたポリマーにおいて、RHMA(分子量116)単位の100%が環化反応した際に生じる重合液中のメタノール(分子量32)の理論濃度は、21×0.28×(32/116)/(58+21+84+40)×100=0.8%であることから、環化反応率は、0.1/0.8=13%と算出することができる。
次に2.6kPa、80℃で約2時間残存モノマーおよび溶媒を除去し、次いでトルエンを150部加え均一に溶解した後にSUS316製の耐圧容器に仕込み、窒素雰囲気に置換した状態で240℃、2.5MPaで90分保持した。その後溶液を真空下240℃で溶媒を除去する事により、中心ブロックがポリアクリル酸ブチル、両側のブロックがMMAとRHMAからなる共重合体のラクトン環化体からなるトリブロックコポリマー(A−1)を得た。
A−1の重量平均分子量は21.6万、数平均分子量は8.3万、分子量分布は2.6、ガラス転移温度は125℃であり、熱分解温度は327℃であった。また、A−1の発泡性評価を実施すると、○であった。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、10部のFlexibloc(登録商標)D2、10.8部の2−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル(RHMA)、75.2部のメタクリル酸メチル(MMA)、2.3部のスチレン(ST)ならびに重合溶媒として96.2部のトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。その後約105〜110℃の環流下で3時間の溶液重合を進行させた。この時の重合液中のモノマー量より算出した反応率は、MMAが23%、RHMAが25%、STが44%であった。さらに得られた重合液からメタノールを0.1%検出した。これは重合反応とともにエステル交換反応に伴う分子内ラクトン環化が起こっていることを支持している。尚、得られたポリマーにおいて、RHMA単位の100%が環化反応した際に生じる重合液中のメタノールの理論濃度は、10.8×0.25×(32/116)/(10+10.8+75.2+2.3+96.2)×100=0.38%であることから、環化反応率は0.1/0.38=26%と算出することができる。
次に2.6kPa、80℃で約2時間残存モノマーおよび溶媒を除去し、次いでトルエンを150部加え均一に溶解した後にSUS316製の耐圧容器に仕込み、窒素雰囲気に置換した状態で240℃、2.5MPaで90分保持した。その後溶液を真空下240℃で溶媒を除去する事により、中心ブロックがポリアクリル酸ブチル、両側のブロックがMMAとRHMAとSTからなる共重合体のラクトン環化体からなるトリブロックコポリマー(A−2)を得た。
A−2の重量平均分子量は32.7万、数平均分子量は18.2万、分子量分布は1.8、ガラス転移温度は122℃であり、熱分解温度は319℃であった。また、A−2の発泡性評価を実施すると、○であった。
以下の通り、実施例2において、チオール化合物の存在下で重合を行うこと以外は、実施例2と同様にして重合及び環化を行った。
次に2.6kPa、80℃で約2時間残存モノマーおよび溶媒を除去し、次いでトルエンを150部加え均一に溶解した後にSUS316製の耐圧容器に仕込み、窒素雰囲気に置換した状態で240℃、2.5MPaで90分保持した。その後溶液を真空下240℃で溶媒を除去する事により、中心ブロックがポリアクリル酸ブチル、両側のブロックがMMAとRHMAとSTからなる共重合体のラクトン環化体からなるトリブロックコポリマー(A−7)を得た。
A−7の重量平均分子量は31.1万、数平均分子量は19.4万、分子量分布は1.6、ガラス転移温度は122℃であり、熱分解温度は332℃であった。また、A−7の発泡性評価を実施すると、○であった。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、58部のFlexibloc(登録商標)D2、105部のメタクリル酸メチル(MMA)、ならびに重合溶媒として40部のトルエンを仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。その後約105〜110℃の環流下で3時間の溶液重合を進行させた。この時の重合液中のモノマー量より算出したMMAの反応率は28%であった。重合液からはメタノールは検出されなかった(検出下限;5ppm以下)。その後溶液を真空下240℃で溶媒を除去することにより、中心ブロックがポリアクリル酸ブチル、両側のブロックがMMAのトリブロックコポリマー(A−3)を得た。
A−3の重量平均分子量は19.2万、数平均分子量は12.1万、ガラス転移温度は107℃であり、熱分解温度は264℃から段階的な重量減少を確認し288℃で等温分解挙動を示した。また、A−3の発泡性評価を実施すると、×であった。
71部のFlexibloc(登録商標)D2、96.9部の2−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル(RHMA)、674.5部のメタクリル酸メチル(MMA)、20.4部のスチレン(ST)ならびに重合溶媒として632部のトルエンとした以外は実施例1と同様に還流下で1.5時間の溶液重合を進行させた。この時の重合液中のモノマー量より算出した反応率は、MMAが17%、RHMAが19%、STが30%であったため、ブロックポリマー化が進行していることを確認した。この重合液を一部抜出し、真空下240℃で15分間加熱し、モノマーと溶媒を留去してブロックポリマー(BP)を得た。得られたブロックポリマーの分子量を求めたところ、重量平均分子量(Mw)が32.8万、数平均分子量が17.5万、分子量分布が1.9であった。
次いで、残存するモノマーを更に反応させるため、n―ドデシルメルカプタン0.34部、開始剤としてt―アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)を0.81部加え、その5分後に、スチレン15.8質量部、トルエン5.6部、滴下開始剤t―アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)1.63部からなる液を2時間かけて滴下しながら100〜110℃で溶液重合を行い、さらに4時間かけて熟成を行った。この時の重合液中のモノマー量より算出した反応率はMMAが91%、RHMAが91%、STが99%であった。得られた重合溶液からメタノールを1.1%検出し、重合中にラクトン環化反応が定量的に進行していることを支持した。
次いでSUS316製の耐圧容器に仕込み、窒素雰囲気に置換した状態で240℃、2.5MPaで30分保持した。その後重合溶液をポリマー固形分濃度が30質量%となるようにメチルエチルケトン(MEK)で希釈した後、バレル温度270℃、回転速度200rpm、減圧度13.3〜400hPa(10〜300mmHg)、リアベント数1個、フォアベント数4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)のベントタイプ二軸押出機(φ=15mm、L/D=30)に導入し、脱揮を行い、中心ブロックがポリアクリル酸ブチル、両側のブロックがMMAとRHMAとSTからなる共重合体のラクトン環化体からなるトリブロックコポリマーを含む重合体組成物(A−4)を得た。
A−4の重量平均分子量は17.9万、数平均分子量は7.0万、分子量分布は2.6、ガラス転移温度は122℃であり、熱分解温度は334℃であった。また、A−4の発泡性評価を実施すると、○であった。
142部のFlexibloc(登録商標)D2、91.8部の2−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル(RHMA)、639部のメタクリル酸メチル(MMA)、19.4部のスチレン(ST)ならびに重合溶媒として632部のトルエンとし、残存するモノマーを更に反応させるため、n―ドデシルメルカプタン0.34部、開始剤としてt―アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)を0.81部加え、その5分後に、スチレン15.0質量部、トルエン5.6部、滴下開始剤t―アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)1.63部からなる液を2時間かけて滴下する以外は実施例3と同様に重合と同時にラクトン環反応を行い、次いで脱揮を実施することで、中心ブロックがポリアクリル酸ブチル、両側のブロックがMMAとRHMAとSTからなる共重合体のラクトン環化体からなるトリブロックコポリマーを含む重合体組成物(A−5)を得た。
残存するモノマーの反応前に得られたブロックポリマーの分子量を求めたところ、重量平均分子量(Mw)が28.5万、数平均分子量が15.5万、分子量分布が1.8であった。また、A−5の重量平均分子量は17.6万、数平均分子量は7.2万、分子量分布は2.4、ガラス転移温度は121℃であり、熱分解温度は335℃であった。また、A−5の発泡性評価を実施すると、○であった。
213部のFlexibloc(登録商標)D2、86.7部の2−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル(RHMA)、603.5部のメタクリル酸メチル(MMA)、18.3部のスチレン(ST)ならびに重合溶媒として632部のトルエンとし、残存するモノマーを更に反応させるため、n―ドデシルメルカプタン0.34部、開始剤としてt―アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)を0.81部加え、その5分後に、スチレン14.2質量部、トルエン5.6部、滴下開始剤t―アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)1.63部からなる溶液を2時間かけて滴下する以外は実施例3と同様に重合と同時にラクトン環反応を行い、次いで脱揮を実施することで、中心ブロックがポリアクリル酸ブチル、両側のブロックがMMAとRHMAとSTからなる共重合体のラクトン環化体からなるトリブロックコポリマーを含む重合体組成物(A−6)を得た。
残存するモノマーの反応前に得られたブロックポリマーの分子量を求めたところ、重量平均分子量(Mw)が27.4万、数平均分子量が15.2万、分子量分布が1.8であった。また、A−6の重量平均分子量は17.2万、数平均分子量は6.5万、分子量分布は2.6、ガラス転移温度は120℃であり、熱分解温度は332℃であった。また、A−6の発泡性評価を実施すると、○であった。
一方、ラクトン環を有しない比較例1のブロック共重合体は、実施例1〜5及び2Aに比べて耐熱性が劣り、また、加熱による発泡が多いものであった。
また、実施例で得られたブロック共重合体は熱安定性が高く、特に、実施例2と実施例2Aの結果から明らかなように、重合時にチオール化合物を添加することで、より一層熱安定性に優れたポリマーとなることがわかった。
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入管を備えた反応装置に、40部のメタクリル酸メチル(MMA)、10部の2−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル(RHMA)、重合溶媒として50部のトルエン及び酸化防止剤として0.025部のアデカスタブ2112(ADEKA社製)を仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤として0.05部のt―アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)を添加するとともに、0.10部のt―アミルパーオキシイソノナノエートを2時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の環流下で溶液重合を進行させ、さらに4時間の熟成を行った。
次に、得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒(環化触媒)として0.05部のリン酸2−エチルヘキシル(堺化学工業社製「Phoslex A−18」)を加え、約90〜110℃の環流下において2時間、ラクトン環構造を形成するための環化縮合反応を進行させた。続いて、重合液を240℃に加熱した多管式熱交換器に通して、環化縮合反応をさらに進行させた。
次に、得られた重合溶液を、バレル温度280℃、回転速度120rpm、減圧度133〜800hPa(100〜600mmHg)、リアベント数1個及びフォアベント数4個(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)、第3ベントと第4ベントとの間にサイドフィーダが設けられており、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルター(濾過精度5μm、濾過面積0.5m2)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(Φ=50.0mm、L/D=53)に、樹脂量換算で31.2部/時の処理速度で導入し、脱揮を行った。その際、別途準備しておいた酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液を0.162部/時の投入速度で第2ベントの後ろから、イオン交換水を0.472部/時の投入速度で第1及び第3ベントの後ろから、それぞれ投入した。酸化防止剤/環化触媒失活剤の混合溶液には、1部の酸化防止剤2種類(チバスペシャリティケミカルズ社製 イルガノックス1010、旭電化工業社製 アデカスタブAO−412S)と、失活剤として3.4部のオクチル酸亜鉛(日本化学産業製、ニッカオクチクス亜鉛3.6%)とを、トルエン30.4部に溶解させた溶液を用いた。また、上記サイドフィーダから、スチレン―アクリロニトリル重合体(スチレン/アクリロニトリルの比率は73重量%/27重量%、重量平均分子量19万)のペレットを速度3.22部/時で投入した。押出機内に残された熱溶融状態にある樹脂組成物を当該押出機の先端からポリマーフィルタで濾過しながら排出し、備えたダイスを通過後、孔径1μmのフィルタ(オルガノ社製、製品名:ミクロポアフィルタ1EU)で濾過され、30±10℃の範囲内の温度に保持した冷却水を満たした水槽により、ストランドを冷却し、切断機(ペレタイザ)に導入することで、ラクトン環構造を主鎖に有するラクトン環系重合体とスチレン―アクリロニトリル共重合体とを含む樹脂組成物(B−1)のペレットを得た。B−1の重量平均分子量は13.5万、数平均分子量は5.0万、ガラス転移温度は125℃であり、熱分解温度は340℃であった。
攪拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入管を備えた反応容器に、メタクリル酸メチル(MMA)229.6部、2−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル(RHMA)33部、トルエン248.6部、及びn―ドデシルメルカプタン0.19部を仕込み、これに窒素を通じつつ、105℃まで昇温させた。昇温に伴う還流が始まったところで、重合開始剤としてt―アミルパーオキシイソノナノエート(アルケマ吉富社製、ルペロックス(登録商標)570)0.20部を添加するとともに、上記t―アミルパーオキシイソノナノエート0.40部とスチレン12.4部とを2時間かけて滴下しながら、約105〜110℃の環流下で溶液重合を進行させ、滴下終了後、同温度でさらに4時間の熟成を行った。
次に、得られた重合溶液に、環化縮合反応の触媒(環化触媒)として、リン酸ステアリル(堺化学工業社製「Phoslex A−18」)0.21部を加え、約90〜110℃の環流下において2時間、ラクトン環構造を形成するための環化縮合反応を進行させた。
次に、得られた重合溶液を、240℃に加熱した多管式熱交換器に通して環化縮合反応を完結させた後、バレル温度が250℃であり、1個のリアベント、4個のフォアベント(上流側から第1、第2、第3、第4ベントと称する)及び第3ベントと第4ベントとの間にサイドフィーダーを備え、先端部にリーフディスク型のポリマーフィルタ(濾過精度5μm)が配置されたベントタイプスクリュー二軸押出機(L/D=52)に、31.2部/時(樹脂量換算)の処理速度で導入した。その際、イオン交換水を0.47部/時の投入速度で第2ベントの後ろから投入し、紫外線吸収剤(ADKEKA社製「アデカスタブ(登録商標)LA−F70」)0.66部をトルエン1.23部に溶解させた溶液を0.59部/時の投入速度で第3ベントの後ろから投入し、さらにイオン交換水を0.47部/時の投入速度で第4ベントの後ろから投入した。
脱揮完了後、製造例1と同様にペレタイズすることでラクトン環構造を主鎖に有するラクトン環系重合体と紫外線吸収剤(UV吸収剤)とを含む樹脂組成物(B−2)からなるペレットを得た。B−2の重量平均分子量は13.3万、数平均分子量は6.0万、ガラス転移温度は122℃であり、熱分解温度は335℃であった。
実施例3〜5で得られたブロックポリマーを含む重合体(A−4)〜(A−6)を、Tダイを有するベント付単軸押出機により温度約260〜270℃で溶融押出して、厚み160μmの未延伸フィルムを成膜した。この未延伸フィルムをコーナーストレッチ式二軸延伸試験装置(東洋精機製、X6−S)を用いて2×2倍に固定端二軸延伸を行い、二軸延伸フィルムを得た。具体的には、切り出したフィルムを延伸試験装置にセットする際のチャック間距離を80mmに設定し、チャックに取り付けた当該フィルムをそのTg+23℃で3分間予熱した後、当該温度にて未延伸フィルムのMD方向(流れ方向)に2倍、次いでTD方向(流れ方向に垂直な方向)に2倍に固定端二軸延伸した。延伸速度は300%/分とし、延伸後60秒熱固定(アニール)を実施し取り出した。このようにして得た各延伸フィルムのTg、厚み、ヘイズ、耐折回数、及び各未延伸フィルムの加熱前後の内部ヘイズ変化率を表2に示す。
実施例1〜2、実施例2A及び比較例1で得たブロックポリマー(A−1)〜(A−3)及び(A−7)と、製造例1〜2で得たラクトン環構造を有する樹脂組成物(B−1)〜(B−2)を、表2に示す配合比によりドライブレンドしたものをTダイを有するベント付単軸押出機により温度約260〜280℃で溶融押出して、厚み160μmの未延伸フィルムを成膜した。次いで実施例6〜8と同様にTg+23℃で2×2倍の延伸を実施し二軸延伸フィルムを得た。このようにして得た延伸フィルムのTg、厚み、ヘイズ、耐折回数、及び各未延伸フィルムの加熱前後の内部ヘイズ変化率を表2に示す。
ポリアクリル酸ブチル、両側のブロックがMMAからなるブロックポリマーを用いた比較例2においては、フィルムの耐熱性不足に起因すると思われる発泡と、ラクトン樹脂とブロックポリマーの相溶性の悪さに起因すると思われるヘイジーな(濁度が高い)ムラが確認された。
また、ブロックポリマーの分子量が比較的大きいものでは、加熱前後の内部ヘイズの変化率が小さく、熱安定性に優れることも確認された。
Claims (9)
- アクリル酸エステル由来の構造単位を含むポリマーブロック(A)と、ラクトン環構造及びメタクリル酸エステル由来の構造単位を含むポリマーブロック(B)とを有するブロック共重合体を製造する方法であって、ポリマーブロック(A)の末端に、有機リン単位を有するニトロキシド構造を有するニトロキシドポリマー(A1)と、メタクリル酸エステル及び2−ヒドロキシメチルアクリル酸系モノマーを含むモノマー(B1)とを、チオール化合物の存在下で重合させる重合工程を含む、ブロック共重合体の製造方法。
- アクリル酸エステル由来の構造単位を含むポリマーブロック(A)と、ラクトン環構造及びメタクリル酸エステル由来の構造単位を含むポリマーブロック(B)とを有し、重量平均分子量が31.1万〜100万であるブロック共重合体。
- 分子量分布が1.1〜3である請求項2記載のブロック共重合体。
- 熱分解温度が300℃〜350℃である請求項2又は3記載のブロック共重合体。
- 請求項2〜4のいずれかに記載のブロック共重合体を含むフィルム。
- 光学フィルムである請求項5記載のフィルム。
- 偏光子保護フィルムである請求項5又は6記載のフィルム。
- 請求項5〜7のいずれかに記載のフィルムを備えた偏光板。
- 請求項8記載の偏光板を備えた画像表示装置。
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