JP2009227905A - 二軸配向アクリル樹脂フィルム - Google Patents

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茂俊 前川
Takuya Kuman
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Abstract

【課題】 優れた光学等方性、加工特性と耐久性を両立した二軸配向アクリル樹脂フィルムを提供すること。
【解決手段】 グルタル酸無水物単位を10〜40質量%含有するアクリル樹脂(A)を含有する樹脂組成物からなり、アクリル樹脂(A)の分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下であり、面内位相差Reが1nm以下であり、厚み方向の位相差Rthの絶対値が5nm以下である二軸配向アクリル樹脂フィルムとする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、低複屈折であって、光学等方性に優れ、しかも位相差安定性、靭性に優れる二軸配向アクリル樹脂フィルムに関する。特に、ポリビニルアルコール系高分子を主成分とする偏光子の保護フィルムとして有用であり、保護フィルムとして用いた場合に、光学特性および保護機能に優れた偏光板を製造することができる二軸配向アクリル樹脂フィルムに関する。
アクリル樹脂フィルムは、透明性や表面光沢性および耐光性に優れているため、液晶ディスプレイ用シートまたはフィルム、導光板などの光学材料、車両用内装材および外装材、自動販売機の外装材、電化製品、建材用内装材および外装材等、物体の表面表皮に用いられている。
近年これらの樹脂フィルムは、例えば、自動車のナビゲーションシステム、ハンディカメラなどの普及により、使用範囲が屋外や自動車の車内など、耐候性、耐熱性が要求される過酷な使用環境条件下へ拡大してきている。このような過酷な環境条件下で使用する場合、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)を基板とするシートまたはフィルムは、優れた透明性、耐候性を有するものの、耐熱性が低いために変形が生じるうえに、靱性が低いために加工時に割れやすいという問題があった。
そのため、アクリル樹脂フィルムの耐熱性を改良する目的で、下記一般式(1)で示されるグルタル酸無水物単位および芳香族ビニルを含有し、さらに靭性を付与するために二軸方向にそれぞれ1.5倍以上延伸する技術が開示されている(特許文献1)。
Figure 2009227905
(上記式中、R、Rは、同一または相異なる水素原子またはメチル基である。)
しかし、芳香族ビニルを含有し、高倍率に延伸するために特に厚み方向の光学等方性が十分でなく、偏光板保護フィルムとして使用する場合に問題があった。
また、アクリル樹脂フィルムの耐熱性、光学等方性および靭性を同時に改良する目的で、上記記一般式(1)で示されるグルタル酸無水物単位および架橋弾性体を含有し、芳香族ビニルを含有しない未延伸フィルムまたは延伸フィルムが開示されている(特許文献2、3)。
しかし、延伸したグルタル酸無水物単位を含んだアクリル樹脂フィルムは高温高湿度下において特に厚み方向の光学的異方性が生じる場合があり、高い光学等方性が求められる偏光板の保護フィルムとしての展開が不可能であった。
特公平4−3417号公報 特開2006−131898号公報 特開平6−256537号公報
本発明の目的は、上述した従来のアクリル樹脂フィルムの問題を解決し、優れた光学等方性、加工特性と耐久性を両立した二軸配向アクリル樹脂フィルムを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明は、下記構造式(1)で表されるグルタル酸無水物単位を10〜40質量%含有するアクリル樹脂(A)を含有する樹脂組成物からなり、アクリル樹脂(A)の分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下であり、面内位相差Reが1nm以下であり、厚み方向の位相差Rthの絶対値が5nm以下である二軸配向アクリル樹脂フィルムを特徴とする。
Figure 2009227905
(上記式中、R、Rは、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル
基を表す。)
本発明によれば、透明性、光学等方性に優れ、かつ耐熱性が高く、高温高湿下においても位相差変化が少ないフィルムを得ることができる。
本発明の二軸配向アクリル樹脂フィルムは、波長590nmの光線に対するフィルムの面内位相差Re(nm)が1nm以下であることが好ましい。1nmより大きい場合、ディスプレイ用途で用いた場合は角度による輝度ムラの原因となる。面内位相差は好ましくは0.5nm以下とすることによって、特に角度による輝度ムラが小さく均一で安定した輝度のディスプレイを得ることができる。フィルム面内の位相差は0.0nmが最も好ましいが、測定の限界から現実的な下限は0.01nm程度と考えられる。
また本発明の二軸配向アクリル樹脂フィルムは、波長590nmの光線に対する二軸配向アクリルフィルム面内の直交軸方向の屈折率をそれぞれn、n(ただしn≧n)とし、波長590nmの光線に対する二軸配向アクリル樹脂フィルムの厚み方向の屈折率をn、二軸配向アクリル樹脂フィルムの厚みをd(nm)とした時に、下式で定義する厚み方向の位相差Rthの絶対値が0nm以上5nm以下であることが好ましく、より好ましくは0nm以上3nm以下である。二軸配向アクリル樹脂フィルムの厚み方向の位相差Rthの絶対値が5nm以下であると、フィルム面内の光学等方性のみならず厚み方向の光学等方性にも優れた二軸配向アクリル樹脂フィルムとなるため、偏光板や光ディスクなどの保護フィルム用途でより一層好適に用いることができる。厚み方向の光学等方性が要求される用途において、厚み方向の位相差Rthの絶対値は0nmに近い方が好ましいが、測定の限界から現実的に下限は0.01nm以上程度と考えられる。
厚み方向の位相差Rth(nm)=d×{(n+n)/2−n
本発明でいう面内位相差および厚み方向の位相差はエトー(株)社製の複屈折位相差測定装置(AD−175SI)を用い、波長590nmの光線に対する面内位相差および厚み方向の位相差を測定した値をいう。
面内位相差および厚み方向の位相差が小さい二軸配向アクリル樹脂フィルムを得るためには、長手方向および幅方向にバランス良く各々1.01倍〜1.20倍程度の低い延伸倍率で延伸させると同時に、延伸により配向させた状態でも光学異方性を生じにくいようなアクリル樹脂を用いることが好ましい。
上記特徴を有するアクリル樹脂としては下記構造式(1)で表されるグルタル酸無水物単位を10〜40質量%含有するアクリル樹脂(A)を含有する樹脂組成物を用いることが好ましい。
Figure 2009227905
(上記式中、R、Rは、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。)
かかる構造のグルタル酸無水物単位を含有することにより、耐熱性を向上できるだけでなく、延伸により配向した状態でも光学的に等方なフィルムを得ることができる。
当該グルタル酸無水物単位のアクリル樹脂(A)に対する含有量としては10〜40質量%とすることが好ましく、更に好ましくは25〜35質量%である。10質量%以上とすることによって、優れた耐熱性や耐薬品性、機械的な配向下での光学等方性を達成することができる。一方40質量%以下とすることで、靭性の低下を防ぐことができ、高い加工性を有するフィルムとすることができる。
特に耐熱性の観点から、R、Rは水素またはメチル基が好ましく、とりわけメチル基が好ましい。
またアクリル樹脂(A)は不飽和カルボン酸アルキルエステル由来の単位を含むことが好ましい。不飽和カルボン酸アルキルエステル由来の単位を採用することにより、熱や水に対して安定なアクリル樹脂とすることができる。
不飽和カルボン酸アルキルエステル単位としては例えば、下記一般式(2)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2009227905
(上記式中Rは、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を示す。また、Rは炭素数1〜5の脂肪族もしくは脂環式炭化水素を示す。)
不飽和カルボン酸アルキルエステル単位の好ましい具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチルなどが挙げられる。不飽和カルボン酸アルキルエステル単位としては、上述した具体例のうち1種を単独で含んでいてもよいし、2種以上併存してもよいが、(メタ)アクリル酸メチル単位を含むことが、耐熱性の高いアクリル樹脂が得られやすいため好ましい。
アクリル樹脂(A)に対する不飽和カルボン酸アルキルエステル由来の単位の含有量としては、60〜90質量%が好ましく、より好ましくは65〜75質量%である。60質量%以上とすることにより、アクリル樹脂としての透明性を得ることができる。一方、上限値は、前述のグルタル酸無水物単位の好ましい添加量の下限値に対応する。
また、アクリル樹脂(A)は、本発明の効果を損なわない範囲でビニル系単位を含んでいてもよいが、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系単位の含有濃度を1質量%以下、すなわち0〜1質量%とすることが好ましく、より好ましくは0〜0.1質量%である。スチレン系単位の含有濃度を1質量%以下とすることで、厚み方向の位相差Rthを小さくすることができる。
また、アクリル樹脂(A)は、不飽和カルボン酸単位の含有量を5質量%以下、すなわち0〜5質量%とすることが好ましく、より好ましくは0〜3質量%、さらに好ましくは0〜1質量%である。5質量%以下とすることによって、無色透明性、滞留安定性、耐湿性および耐熱性を維持することができる。
また、アクリル樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)としては、8万〜15万が好ましい。8万以上とすることで、二軸配向アクリル樹脂フィルムの機械的強度を維持することができる。また15万以下とすることで、製膜時の樹脂の着色を防ぐことができる。本発明でいう重量平均分子量は標準ポリメチルメタクリレート検量線を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフにより求められた分子量をいう。分子量を上記好ましい範囲に制御する方法としては、アクリル樹脂(A)を重合する工程において、アルキルメルカプタン、四塩化炭素、四臭化炭素、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、トリエチレンアミン等の連鎖移動剤の添加量を調節することによって達成できる。
また、アクリル樹脂(A)の分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下であることが好ましい。分子量分布が2.5以下であることによって、小さい延伸倍率によって靭性を向上させることができる。好ましくは1.5以下であり、より好ましくは1.3以下である。分子量分布(Mw/Mn)を2.5以下にするためには、グルタル酸無水物単位を含有する樹脂組成物の重合過程において、重合中の温度変化を10℃以内に抑えることによって得ることができる。
本発明の二軸配向アクリル樹脂フィルムはアクリル樹脂(A)からのみなっていることが異物欠点を抑制する観点から、また表面硬度を向上させる観点からもっとも好ましいが、靭性を向上させるために後述するアクリル弾性体粒子(B)を含んでいてもよい。アクリル弾性体粒子(B)の含有量は0〜30質量%が好ましく、より好ましくは0〜20質量%である。30質量%以内であることによって、表面硬度の大幅な減少や、溶融押出成形時に凝集による異物欠点を抑制することができる。
アクリル弾性体粒子(B)を構成するゴム質重合体は、アクリル酸エチル単位やアクリル酸ブチル単位などのアクリル成分を必須成分とし、その他に好ましく含まれる成分として、ジメチルシロキサン単位やフェニルメチルシロキサン単位などのシリコーン成分、スチレン単位やα−メチルスチレン単位などのスチレン成分、アクリロニトリル単位やメタクリロニトリル単位などのニトリル成分、ブタンジエン単位やイソプレン単位などの共役ジエン成分、ウレタン成分またはエチレン成分、プロピレン成分、イソブテン成分などを挙げることができる。これらのなかでも、アクリル成分、シリコーン成分、スチレン成分、ニトリル成分、共役ジエン成分から構成されるものが好ましい。
また、これらの成分を2種以上組み合わせたものから構成されるゴム弾性体も好ましく、例えば、アクリル成分およびシリコーン成分から構成されるゴム弾性体、アクリル成分およびスチレン成分から構成されるゴム弾性体、アクリル成分および共役ジエン成分から構成されるゴム弾性体、アクリル成分、シリコーン成分およびスチレン成分から構成されるゴム弾性体などが挙げられる。
また、これらの成分の他に、ジビニルベンゼン単位、アリルアクリレート単位、ブチレングリコールジアクリレート単位などの架橋性成分を含むものも好ましい。
なかでも、アクリル酸アルキルエステル単位と芳香族ビニル系単位との組み合わせが好ましい。アクリル酸アルキルエステル単位、中でもアクリル酸ブチルは靱性向上に極めて効果的であり、これに芳香族ビニル系単位、例えばスチレンを共重合させることによってアクリル弾性体粒子(B)の屈折率を調節することができる。
アクリル弾性体粒子(B)の平均粒子径としては、70〜300nmとすることが好ましく、より好ましくは100〜200nmである。70nm以上とすることで靱性向上の実効を得ることができ、300nm以下とすることで、耐熱性の低下を抑えることができる。
また、本発明の二軸配向アクリル樹脂フィルムを構成する基材は、本発明の目的を損なわない範囲で、ヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、サリチル酸エステル系、シアノアクリレート系、高分子系および無機系の紫外線吸収剤あるいは酸化防止剤、高級脂肪酸、酸エステル系、酸アミド系および高級アルコールなどの滑剤あるいは可塑剤、モンタン酸、その塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびエチレンワックスなどの離型剤、亜リン酸塩、次亜リン酸塩などの着色防止剤、ハロゲン系あるいはリン系やシリコーン系の非ハロゲン系の難燃剤、核剤、アミン系、スルホン酸系、ポリエーテル系などの帯電防止剤などの添加剤を含有していてもよい。ただし、適用する用途が要求する特性に照らし、その添加剤保有の色がアクリル樹脂に悪影響を及ぼさず、かつ透明性が低下しない範囲で添加するのが好ましい。具体的には、アクリル樹脂(A)およびアクリル弾性体粒子(B)以外の樹脂や添加剤の、二軸配向アクリル樹脂フィルムに対する総含有量としては10質量%以下とするのが好ましい。特に、紫外線吸収剤の場合、含有量としては二軸配向アクリル樹脂フィルム100質量部に対し、0.1質量部以上5質量部以下であることが好ましい。0.1質量部未満では、所望の効果が得られないことがある。また、5質量部を超えると均一に分散しない、全光線透過率が低下する、ヘイズが上昇する等の問題が起こることがある。さらに好ましくは1質量部以上2質量部以下である。
本発明においては、紫外線吸収剤を添加することで、二軸配向アクリル樹脂フィルムの、波長380nmの光の光線透過率を10%以下とすることが好ましい。さらに好ましくは5%以下である。380nmの光の光線透過率は紫外線吸収剤の量を増やすことで低減でき、減らすことで増加できる。紫外線(波長380nm以下の光)を十分にカットすることで、紫外線を嫌う素材を保護することができる。
なお、波長380nmの光線透過率は下記装置を用いて測定する。
透過率(%)=T/T×100
ただしTは試料を通過した光の強度、Tは試料を通過しない以外は同一の距離の空気中を通過した光の強度である。
装置:UV測定器U−3410(日立計測社製)
波長:380nm
測定速度:120nm/分
測定モード:透過
また、本発明の二軸配向アクリル樹脂フィルムは、アクリル樹脂(A)単体からなる層(I)と、上記添加剤を含有したアクリル樹脂(A)からなる層(II)と、アクリル樹脂(A)単体からなる層(I)とをこの順に厚み方向に3層積層したフィルムであってもよく、特にアクリル樹脂(A)単体からなる層(I)と、紫外線吸収剤を含有したアクリル樹脂(A)からなる層(II)と、アクリル樹脂(A)単体からなる層(II)とをこの順に厚み方向に3層積層したフィルムであることが好ましい。添加剤を含有した層が表面に露出しないことで、これら添加剤が時間が経つにつれて表面に析出することを防ぐことができる。
これらの積層体は、層(I)を形成するためのアクリル樹脂(A)、ならびに層(II)を形成する上記添加剤を含有したアクリル樹脂(A)を2台の溶融押出機によりそれぞれ溶融した後に、ピノールやフィードブロックを用いて厚み方向に積層し、さらにTダイ口金を用いて吐出する方法により得ることができる。
本発明の二軸配向アクリル樹脂フィルムは、二軸方向に配向されていることが好ましい。二軸に配向することによって、靭性が良くなり、スリットやポリビニルアルコール系高分子を主成分とする偏光子などのフィルムと貼り合せる場合にフィルム破れが少なく加工性、取り扱い性が向上する。本発明の二軸配向アクリル樹脂フィルムはアクリル樹脂のガラス転移温度Tg以上(Tg+30℃)の範囲において、二軸方向にそれぞれ1.01倍〜1.20倍の範囲で延伸してなることが好ましい。延伸するには一般に知られている逐次二軸延伸法または同時二軸延伸法を用いることができる。延伸倍率は未延伸フィルムと延伸フィルムの面積比を示す面積倍率で1.01倍以上1.44倍以下が好ましく、1.10倍以上1.25倍以下がより好ましい。面積倍率が1.01倍以下であると、フィルムの靭性が向上しないことがあり、1.44倍以上であると厚み方向の位相差が大きくなると同時に厚み方向の位相差の耐久性が著しく低下することがある。また、長手方向、幅方向の延伸倍率はバランスすることが面内位相差の耐久性の観点から好ましく、長手方向(MD)と幅方向(TD)の延伸倍率の比(MD倍率/TD倍率)が0.8〜1.2であることが好ましい。より好ましくは0.9〜1.1である。
本発明の二軸配向アクリル樹脂フィルムは、温度が60℃かつ湿度が90%RHの雰囲気下に500時間放置する耐久性試験において、二軸配向アクリル樹脂フィルムの厚み方向の位相差の変化(上記試験を行う前後の位相差の変化)が5nm以下であることが好ましい。さらに好ましくは3nm以下である。5nmより大きい場合、ディスプレイ用途として使用した場合に経時によって画像の特に斜めから見た場合のコントラストが変化する問題が生じることがある。下限は位相差変化が生じない0nm以上である。
上記した厚み方向の位相差変化を5nm以下にするには、アクリル樹脂(A)の分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下において、フィルムの長手方向、幅方向の延伸倍率を靭性が不足しない程度に小さくし、厚み方向の位相差を5nm以下とすることにより達成できる。より好ましくは分子量分布を1.5未満にし、延伸温度が(Tg+10℃)において、延伸倍率を面積倍率で1.44倍以下にて厚み方向の位相差を3nm以下とすることによって位相差変化を3nm以下とすることができる。
本発明の二軸配向アクリル樹脂フィルムは全光線透過率が90%以上であることが好ましく、特に好ましくは92%以上である。全光線透過率が90%未満の場合、ディスプレイ用途として用いた場合に十分な輝度が得られないという問題が生じることがある。
本発明の二軸配向アクリルフィルムは、その表面にハードコート層および/または反射防止膜を有していることが好ましい。ハードコート層と反射防止膜とを両方形成する場合には、ハードコート層の上にさらに反射防止膜を積層することが好ましい。
ハードコート層の形成方法は特に限定されるものではなく、種々の方法を用いることができる。たとえば、多官能アクリレートを用いる方法を例示できる。多官能アクリレートとしては、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、テトレエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコーリジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ポリ(ブタンジオール)ジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリイソプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート及びビスフェノールAジメタクリレートに例示されるジアクリレート類や、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールモノヒドロキシトリアクリレート及びトリメチロールプロパントリエトキシトリアクリレートに例示されるトリアクリレート類や、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びジ‐トリメチロールプロパンテトラアクリレートに例示されるテトラアクリレート類、並びにペンタエリスリトール(モノヒドロキシ)ペンタアクリレートに例示されるペンタアクリレート類を挙げることができる。
反射防止膜についても限定はなく、種々の方法で形成することができる。すなわち、反射防止膜は無機化合物を用いた乾式によるものでも有機化合物を用いた湿式によるものでも好ましく、低屈折率層を1層だけ形成しても、また、高屈折率層、低屈折率層、中屈折率層の任意の層を複数層積層してもよい。
本発明の二軸配向アクリル樹脂フィルムは接着層を介して他の光学等方性フィルムや偏光子、位相差フィルム等の光学機能フィルム、ガラス基板などと積層した形で用いることができる。
次に、本発明の二軸配向アクリル樹脂フィルムを製造する方法について説明する。
前記一般式(1)で表されるグルタル酸無水物単位を含有するアクリル樹脂(A)は、特開2006−131896号公報に記載されているような方法により製造することができる。
本発明の二軸配向アクリル樹脂フィルムは、溶融製膜あるいは溶液製膜にて製膜することができるが生産性の観点から溶融製膜で行うことが好ましい。溶融製膜としては、インフレーション法、Tダイ法、カレンダー法、切削法などがあり、特にTダイ法を好ましく採用できる。溶融製膜には、単軸あるいは二軸の押出スクリューのついたエクストルーダ型溶融押出装置等が使用できる。そのスクリューのL/Dとしては、25〜120とすることが着色を防ぐために好ましい。溶融押出温度としては、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜270℃である。溶融剪断速度としては、1,000s−1以上5,000s−1以下が好ましい。また、溶融押出装置を使用し溶融混練する場合、着色抑制の観点から、ベントを使用し減圧下で、あるいは窒素気流下で溶融混練を行うことが好ましい。
使用する原料は乾燥していることが好ましく、具体的に水分率が200ppm(質量基準、以下同じ)以下、更には150ppm以下であることが好ましい。原料の水分率を200ppm以下にする方法としては100℃の真空乾燥機の中で3時間以上乾燥する方法などが挙げられる。
キャスト方法は、単膜の場合は溶融押出機を用いてグルタル酸無水物単位を含有するアクリル樹脂(A)をギアーポンプで計量した後にTダイ口金を用いて吐出する方法が好ましく用いられる。2層以上積層するの場合は少なくとも溶融押出機を用いて溶融した、層(I)を形成するためのアクリル樹脂(A)、ならびに層(II)を形成するためのアクリル樹脂(A)および添加剤および/または弾性体粒子(B)の混合物をそれぞれギアーポンプで計量した後に、ピノールやフィードブロックを用いて積層した後にTダイ口金を用いて吐出する方法や、マルチマニホールド型の口金を用いて積層し吐出する方法などを例示できる。装置の積層精度やメンテナンス性の観点からフィードブロックを用いる方法が好ましい。フィードブロック部は積層精度を高めるためにも口金の直前に設置することが好ましい。これらの方法で樹脂を口金から冷却されたドラム上に吐出し、ガラス転移温度(Tg)以下まで急冷し、未延伸のフィルムを得ること好ましい。なお、冷却ドラム上に吐出された樹脂をガラス転移温度(Tg)以下まで急冷するに際しては、静電印加法、エアーチャンバー法、エアーナイフ法、プレスロール法などで、樹脂を冷却媒体であるドラムに密着させることが好ましい。特に厚みムラが少なく、透明なフィルムを得るには、プレスロール法が好ましい。
以上のようにして得られる未延伸のアクリルフィルムの厚みは、好ましくは10〜500μm、より好ましくは、20〜200μmである。10μm未満の厚みの場合、機械的強度不足などにより延伸加工などの後加工する場合に難があることがあり、一方、500μmを超える厚みの場合、厚みや表面性などが均一なフィルムを製造することが難しいばかりか、得られたフィルムを巻き取ることが困難になることがある。
フィルムの厚み分布は、通常、平均値に対して±5%以内、好ましくは±3%以内、より好ましくは±1%以内である。厚み分布が±5%を超えると、延伸処理を行った場合に延伸ムラが発生しやすくなることがある。
本発明の二軸配向アクリル樹脂フィルムは上記未延伸フィルムをさらに延伸加工することにより得ることができ、具体的には、二軸延伸法などを適用することにより製造することができる。すなわち、周方向の速度の異なるロールを利用する縦延伸法等およびテンター法による横延伸法を組み合わせた逐次二軸延伸法や、テンター内で同時に2方向に延伸する同時二軸延伸方を用いることができる。
逐次二軸延伸法の場合、延伸速度は各延伸方向で同じであってもよく、異なっていてもよく、好ましくは1〜5,000%/分であり、より好ましくは100〜2,000%/分である。また、同時二軸延伸法の場合、延伸速度を大きくすると破れが発生しやすく生産性が著しく低下するため、その延伸速度は1〜2,000%/分が好ましく、より好ましくは50〜1,000%/分である。
延伸温度は、特に限定されるものではないが、本発明で用いられるアクリル樹脂(A)のガラス転移温度Tgを基準として、逐次二軸延伸法の場合、好ましくはTg以上(Tg+30℃)以下、より好ましくは(Tg+5℃)以上(Tg+15℃)以下であり、同時二軸延伸法の場合、好ましくは(Tg+5℃)以上(Tg+35℃)以下、より好ましくは(Tg+10℃)以上(Tg+20℃)以下である。前記範囲内とすることで、厚みムラの発生を抑えることが可能となり、また、Rthの制御が容易になることから好ましい。
延伸倍率は未延伸フィルムと延伸フィルムの面積比を示す面積倍率で1.01倍以上1.44倍以下が好ましく、1.10倍以上1.25倍以下がより好ましい。面積倍率が1.01倍以下であると、フィルムの靭性が向上しないことがあり、1.44倍以上であると厚み方向の位相差が大きくなると同時に、厚み方向の位相差の耐久性が著しく低下することがある。また、長手方向、幅方向の延伸倍率はバランスすることが面内位相差の耐久性の観点から好ましく、長手方向(MD)と幅方向(TD)の延伸倍率の比(MD倍率/TD倍率)が0.8〜1.2であることが好ましい。より好ましくは0.9〜1.1である。
本発明の二軸配向アクリル樹脂フィルムは使用の目的によって表面にコーティングによって帯電防止層や易接着層を設けたり、紫外線硬化樹脂からなるハードコート層を設けたり、金属や酸化金属の蒸着層や、スパッタによる透明導電層を設けたり、接着層を介して他の光学等方性フィルムや偏光子、位相差フィルム等の光学機能フィルム、ガラス基板などと積層した形で用いることができる。
[測定方法]
(1)各成分組成
試料にアセトンを加え、4時間還流し、この溶液を9,000rpmで30分間、遠心分離し、アセトン可溶成分とアセトン不溶成分とに分離した。アセトン可溶成分を60℃で5時間減圧乾燥し、各成分単位定量を行って、アクリル樹脂(A)の各成分組成とした。
各成分単位の定量は、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)法により行った。
H−NMR法では、例えば、グルタル酸無水物単位、メタクリル酸、メタクリル酸メチルからなる共重合体の場合、ジメチルスルホキシド重溶媒中でのスペクトルの帰属を、0.5〜1.5ppmのピークがメタクリル酸、メタクリル酸メチルおよびグルタル酸無水物環化合物のα−メチル基の水素、1.6〜2.1ppmのピークはポリマー主鎖のメチレン基の水素、3.5ppmのピークはメタクリル酸メチルのカルボン酸エステル(−COOCH)の水素、12.4ppmのピークはメタクリル酸のカルボン酸の水素と、スペクトルの積分比から共重合体組成を決定した。また、上記に加えて、他の共重合成分としてスチレンを含有する共重合体の場合、6.5〜7.5ppmにスチレンの芳香族環の水素が見られ、同様にスペクトル比から共重合体組成を決定した。
測定は各水準の異なる部分について5回測定を行い、平均値を用いた。
(2)重量平均分子量(Mw)および分子量分布(Mw/Mn)
ジメチルホルムアミドを溶媒として、DAWN−DSP型多角度光散乱光度計(Wyatt Technology社製)を備えたゲルパーミエーションクロマトグラフ(ポンプ:515型,Waters社製、カラム:TSK−gel−GMHXL,東ソー社製)を用い、標準ポリメチルメタクリレートで作成した検量線に基づき重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)を測定した。測定は各水準の異なる部分について5回測定を行い、平均値を用いた。分子量分布(Mw/Mn)は、重量平均分子量(Mn)÷数平均分子量(Mn)で算出した。
(3)ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用い、窒素雰囲気下、20℃/minの昇温速度で測定した。ガラス転移温度の求め方は、JIS−K7121(1987)の9.3項の中間点ガラス転移温度の求め方に従い、測定チャートの各ベースラインの延長した直線から縦軸方向に等距離にある直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度とした。測定は各水準の異なる部分について5回測定を行い、平均値を用いた。
(4)面内位相差および厚み方向位相差
エトー(株)社製の複屈折位相差測定装置(AD−175SI)を用い、波長590nmの光線に対する面内位相差Reおよび厚み方向の位相差Rthを測定した。測定回数は5回測定しその平均値を用いた。
(5)全光線透過率
JIS K 7361−1(1997)に準じ、東洋精機(株)製直読ヘイズメーターを用いて、23℃での全光線透過率(%)を測定した。測定は各水準の異なる部分についてそれぞれ10回行い、平均値を用いた。
(6)耐久性試験における面内位相差および厚み方向位相差の変化
60℃/90%RHの雰囲気下で、500時間放置(加熱)する条件において、その前と後の面内位相差の差を面内位相差の変化量(nm)とした。サンプル数は5とし、各面内位相差の変化量の平均値を測定値とした。
(7)靭性テスト
一辺50mmの正方形のサンプルを作成し、各延伸方向に5回ずつ、合計10回折り曲げ、10回ともフィルムが割れなかった場合を合格(○)、1回でも割れた場合を不合格(×)とした。
[実施例1〜2、比較例1〜2]
<参考例1>
アクリル樹脂(A1)
容量が5リットルで、バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体系懸濁剤0.05部をイオン交換水165質量部に溶解した溶液を供給し、系内を窒素ガスで置換したながら、400rpmで攪拌した。なお、メタクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体系懸濁剤には、以下の方法で調整したものを用いた。すなわち、メタクリル酸メチル20質量部、アクリルアミド80質量部、過硫酸カリウム0.3質量部、イオン交換水1,500質量部を反応器中に仕込み、反応器中を窒素ガスで置換しながら70℃に保ち、単量体が完全に重合体に転化するまで反応させ、得られたアクリル酸メチルとアクリルアミドとの共重合体の水溶液を懸濁剤として使用した。
次に、反応系を撹拌しながら下記混合物質を添加し、70℃に昇温した。内温が70℃に達した時点を重合開始として、180分間保ち、重合を終了した。このときの温度変化は4℃以内であった。以降、通常の方法に従い、反応系の冷却、ポリマーの分離、洗浄、乾燥を行い、ビーズ状の共重合体(a−1)を得た。この共重合体(a−1)の重合率は98%であり、重量平均分子量は13万であった。
メタクリル酸 :27質量部
メタクリル酸メチル :73質量部
t−ドデシルメルカプタン :1.2質量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル:0.4質量部
これに添加剤(NaOCH)を0.2質量%配合し、2軸押出機(TEX30(日本製鋼社製、L/D=44.5)を用いて、ホッパーを10L/分の量の窒素でパージしながら、スクリュー回転数150rpm、原料供給量5kg/h、シリンダ温度290℃で分子内環化反応を行い、ペレット状のアクリル樹脂(A1)を得た。このアクリル樹脂(A1)100質量部中のグルタル酸無水物単位の組成比は33質量部、重量平均分子量(Mw)は13万、分子量分布(Mw/Mn)は2.3であった。
<参考例2>
アクリル樹脂(A2)
懸濁重合に用いる混合物質を下記組成とし、攪拌速度を100rpmとした以外はアクリル樹脂(A1)と同様にしてアクリル樹脂(A2)を得た。重合時の温度変化は14℃であった。
メタクリル酸 :33質量部
メタクリル酸メチル :67質量部
t−ドデシルメルカプタン :1.5質量部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル:0.4質量部
このアクリル樹脂(A2)100質量部中のグルタル酸無水物単位の組成比は35質量部、重量平均分子量(Mw)は7万、分子量分布(Mw/Mn)は3.1であった。
<参考例3>
アクリル弾性体粒子(B)
冷却器付きのガラス容器(容量5リットル)内に、初期調整溶液として、脱イオン水120質量部、炭酸カリウム0.5質量部、スルホコハク酸ジオクチル0.5質量部、過硫酸カリウム0.005質量部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌後、アクリル酸ブチル53質量部、スチレン17質量部、メタクリル酸アリル(架橋剤)1質量部を仕込んだ。これら混合物を70℃で30分間反応させて、ゴム質重合体を得た。
次いで、メタクリル酸メチル21質量部、メタクリル酸9質量部、過硫酸カリウム0.005質量部の混合物を引き続き70℃で90分かけて連続的に添加し、更に90分間保持して、シェル層を重合させた。この重合体ラテックスを硫酸で凝固し、苛性ソ−ダで中和した後、洗浄、濾過、乾燥して、コア・シェル型のアクリル弾性体粒子(B)を得た。電子顕微鏡で測定したアクリル弾性体粒子のゴム質重合体部分の平均粒子径は140nmであった。
<参考例4>
アクリル樹脂(A3)
参考例1のアクリル樹脂(A1)を80質量部と参考例3のアクリル弾性体粒子(B)を20質量部を配合し、2軸押出機(TEX30(日本製鋼社製、L/D=44.5))を用いて、ホッパー部より窒素を10L/分の量でパージしながら、スクリュー回転数100rpm、原料供給量5kg/h、シリンダ温度290℃で混練し、ペレット状のアクリル樹脂(A3)を得た。
<実施例1>
参考例1で得られたアクリル樹脂(A1)を100℃で3時間減圧乾燥し、45mmφの一軸押出機(S1)(設定温度260℃)を用いてTダイ(設定温度260℃)を介してシート状に押出した。
このフィルムを130℃の冷却ロールに片面を完全に密着させながら冷却して、厚み60μmの未延伸のアクリル樹脂フィルムを得た。このとき、(Tダイのリップ間隙/フィルム厚み)=17となるよう、冷却ロールの速度を調整した。
この未延伸のアクリル樹脂フィルムを延伸機において長手方向に1.17倍、幅方向に1.21倍、延伸速度300%/分、延伸温度145℃の条件で同時二軸延伸することにより、厚み40μmの二軸延伸アクリルフィルムを得た。
かくして得られたアクリル樹脂フィルムは耐久性、透明性、靱性ともに優れていた。フィルムの特性は表1の通りであった。
<実施例2>
参考例4で得られたアクリル樹脂(A3)を用いる以外は実施例1と同様にして厚み40μmの二軸延伸アクリルフィルムを得た。
かくして得られたアクリル樹脂フィルムは耐久性、透明性、靱性ともに優れていた。フィルムの特性は表1の通りであった。
<比較例1>
参考例2で得られたアクリル樹脂(A2)を用いた以外は実施例1と同様にして厚さ40μmの二軸延伸アクリルフィルムを得た。
かくして得られたアクリル樹脂フィルムは靭性が悪く、成形性に劣るフィルムであった。フィルムの特性は表1の通りであった。
<比較例2>
参考例2で得られたアクリル樹脂(A2)を100℃で3時間減圧乾燥し、45mmφの一軸押出機(S1)(設定温度260℃)を用いてTダイ(設定温度260℃)を介してシート状に押出した。
このフィルムを130℃の冷却ロールに片面を完全に密着させながら冷却して、厚み80μmの未延伸のアクリル樹脂フィルムを得た。このとき、(Tダイのリップ間隙/フィルム厚み)=12となるよう、冷却ロールの速度を調整した。
この未延伸のアクリル樹脂フィルムを延伸機において長手方向に1.40倍、幅方向に1.42倍、延伸速度120%/分、延伸温度145℃の条件で同時二軸延伸することにより、厚み40μmの二軸延伸アクリルフィルムを得た。
かくして得られたアクリル樹脂フィルムは靭性は良いが、光学等方性、耐久性に劣るフィルムであった。フィルムの特性は表1の通りであった。
Figure 2009227905

Claims (5)

  1. 下記構造式(1)で表されるグルタル酸無水物単位を10〜40質量%含有するアクリル樹脂(A)を含有する樹脂組成物からなり、アクリル樹脂(A)の分子量分布(Mw/Mn)が2.5以下であり、面内位相差Reが1nm以下であり、厚み方向の位相差Rthの絶対値が5nm以下である二軸配向アクリル樹脂フィルム。
    Figure 2009227905
    (上記式中、R、Rは、同一または相異なる水素原子または炭素数1〜5のアルキル
    基を表す。)
  2. アクリル樹脂(A)の重量平均分子量Mwが8万〜15万である、請求項1に記載の二軸配向アクリル樹脂フィルム。
  3. 内層がアクリル酸アルキルエステル単位および/または芳香族ビニルを含有するゴム弾性体であり、外層が上記構造式(1)で表されるグルタル酸無水物単位を含有するアクリル樹脂を含む重合体である弾性体粒子(B)を含有する、請求項1または2に記載の二軸配向アクリル樹脂フィルム。
  4. 60℃90%RHの環境下で500時間放置する条件において、その前後の位相差変化が5nm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の二軸配向アクリル樹脂フィルム。
  5. 長手方向および幅方向にそれぞれ1.01倍〜1.20倍延伸してなる、請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向アクリル樹脂フィルム。
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