JP4686261B2 - 偏光子保護フィルムおよびその製造方法、ならびにそれを用いた偏光板 - Google Patents

偏光子保護フィルムおよびその製造方法、ならびにそれを用いた偏光板 Download PDF

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Description

本発明は偏光子保護フィルムおよびその製造方法、ならびにそれを用いた偏光板に関する。
直線偏光板は、通過する光のうちで特定の振動方向をもつ直線偏光のみを透過させ、その他の直線偏光を遮蔽する機能を有する材料であり、例えば液晶表示装置を構成する部品の一つとして広く使用されている。このような直線偏光板としては、偏光子フィルムと偏光子保護フィルムとが積層された構成をもつものが一般的に使用されている。
前記偏光子フィルムとは、特定の振動方向をもつ直線偏光のみを透過する機能を有するフィルムであり、例えばポリビニルアルコール(以下PVAという)フィルム等を延伸して、ヨウ素や二色性染料などで染色したフィルムが一般に使用されている。
前記偏光子保護フィルムとは、偏光子フィルムを保持して偏光板全体に実用的な強度を付与するなどの機能を担うものであり、例えばトリアセチルセルロース(以下TACという)フィルムなどが一般に使用されている。
偏光子保護フィルムにおいては、不要な位相差をもつフィルムは好ましくない。これは、たとえ偏光子フィルムが高精度の直線偏光機能を有するものであっても、偏光子保護フィルムの位相差や光軸のズレは、偏光子フィルムを通過した直線偏光に楕円偏光性を与えてしまうからである。前述のTACフィルムも基本的には位相差が小さい。しかしながら、TACフィルムは、外部応力の作用によって位相差を生じやすいフィルムである。このため、特に、大型の液晶表示装置において、周辺部のコントラストが低下するなどの問題を抱えている。TACフィルムよりも光弾性係数の小さいフィルム素材を偏光子保護フィルムとして用いる試みがなされている。
一例を挙げると(例えば、特許文献1参照)、80℃、90%RHの透湿率が20g・mm/m2・24hr以下で、かつ光弾性係数が1×10-10cm2/N以下である保護フィルムが開示されている。
ところで近年、透明性樹脂材料として、環状オレフィンの単独重合体(又はその水素添加物)、環状オレフィンを環状オレフィン以外のオレフィンと共重合した環状オレフィン系共重合体(又はその水素添加物)等が提案されている。
これらの重合体は、低複屈折性、低吸湿性、耐熱性などの特徴を有しており、光学材料として開発が進められている。これらの重合体は、光弾性係数が比較的小さいため、環境の変化に対しても光学的特性が変化しにくいことが報告されている。
ところが、一般にこのような環状オレフィン系の重合体は、合成に複雑なルートを必要とすることから、価格が高いという問題があった。また、このような環状オレフィン系重合体は、溶媒に対する溶解度が低いという問題があった。そこで、このような重合体をフィルム化しようとする場合、押出法が用いられているが、押出法では表面性が溶液流延法に比べ低下することから、特に、表面性を要求される分野には適用しにくいとの問題があった。
グルタルイミド構造単位を有する樹脂は、透明性、耐熱性に優れるとともに、光弾性係数が小さいことから、光学材料としての適用が検討されている。例えば、特許文献2には、グルタルイミドアクリル樹脂からなる光学フィルムが開示されている。ところが、グルタルイミドアクリル樹脂はフィルムにした場合の強度が低いという問題があった。
ポリマーは一般に押出成型時などにポリマー鎖が配向し、複屈折を生じることが多い。グルタルイミドアクリル樹脂も、比較的大きな複屈折を有するものが多く、環境の変化に対して、位相差が発現するという問題があった。
このようなポリマーの配向複屈折を解消するためには、非特許文献1にあるように、正の配向複屈折を示すポリマーと負の配向複屈折を示すポリマーのモノマーを適切な比率でランダム共重合する方法、分極率異方性を有する低分子化合物をポリマー中にドープする方法、などが提案されている。しかし、正の配向複屈折を示すポリマーと負の配向複屈折を示すポリマーのモノマーを適切な比率でランダム共重合する方法は、ベンジルメタクリレートとメタクリル酸メチル−との組み合わせや、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートとメタクリル酸メチル−との組み合わせのように、高価なモノマーを使用することが多い。また、分極率異方性を有する低分子化合物をポリマー中にドープする方法は低分子化合物の価格が高いことに加え、長期使用時成形品よりブリードアウトすることが多く、課題が多い。
また、非特許文献2には、ポリカーボネートの配向複屈折を低減させる方法として、ポリカーボネートとポリスチレンのブレンド、およびポリスチレンをポリカーボネートにグラフト共重合させる方法、などが提案されている。しかし、前者は光学特性上の均一性に欠け、また、ブレンドする樹脂の相溶性が低い場合は、透明性が低下する等の問題があり、後者はグラフト重合を行うために実際上工程が複雑になるという問題があった。
特開平7−77608号公報 特開平6−256537号公報 成形加工第15巻第3号194ページ 日経ニューマテリアル1988年9月26日号56ページ
本発明の目的は、前記従来技術の問題を改善し、製造が容易であり、耐熱性、強度、透湿性に優れ、かつ光弾性係数が十分に小さく、複屈折の制御も可能な偏光子保護フィルムおよびその製造方法を提供するものである。
本発明は、製造が容易であり、耐熱性、強度、透湿性に優れ、かつ光弾性係数が十分に小さく、複屈折の制御も可能な偏光子保護フィルムを得るために、特定の構造を有する熱可塑性樹脂の混合物からなるフィルムを用いることが極めて有効であることを見いだしたことに基づくものである。
すなわち本発明は、下記一般式(1)、(2)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂と、下記一般式(1)、(2)、(3)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂とを必須成分とする樹脂組成物を主成分とする偏光子保護フィルム(請求項1)、
Figure 0004686261
(ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
Figure 0004686261
(ここで、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R6は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
Figure 0004686261
(ここで、R7は、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R8は、炭素数6〜10のアリール基を示す。)
下記一般式(1)、(2)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂と、下記一般式(1)、(2)、(3)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂を混合することにより、複屈折が制御されたことを特徴とする樹脂組成物を主成分とする偏光子保護フィルム(請求項2)、
Figure 0004686261
(ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
Figure 0004686261
(ここで、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R6は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
Figure 0004686261
(ここで、R7は、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R8は、炭素数6〜10のアリール基を示す。)
樹脂組成物の配向複屈折が−1×10-4〜1×10-4であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂組成物(請求項3)、
樹脂組成物の光弾性係数が10×10-122/N以下であることを特徴とする請求項1〜3記載の偏光子保護フィルム(請求項4)、
樹脂組成物のガラス転移温度が120℃以上であることを特徴とする請求項1〜4記載の偏光子保護フィルム(請求項5)
正面方向の位相差(R)が10nm以下、厚み方向の位相差(Rth)が20nm以下であることを特徴とする請求項1〜5記載の偏光子保護フィルム(請求項6)、
下記一般式(1)、(2)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂と、下記一般式(1)、(2)、(3)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂とを必須成分とする樹脂組成物を、フィルム化した後、延伸することによる偏光子保護フィルムの製造方法(請求項7)、
Figure 0004686261
(ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
Figure 0004686261
(ここで、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R6は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
Figure 0004686261
(ここで、R7は、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R8は、炭素数6〜10のアリール基を示す。)
フィルム化方法が溶融押出法によることを特徴とする、請求項7記載の偏光子保護フィルムの製造方法(請求項8)、
フィルム化方法が溶液流延法によることを特徴とする、請求項7記載の偏光子保護フィルムの製造方法(請求項9)、
延伸方法が、二軸延伸であることを特徴とする、請求項7〜9記載の偏光子保護フィルムの製造方法(請求項10)、
請求項1〜6記載の偏光子保護フィルムを用いた偏光板(請求項11)、に関する。
製造が容易であり、耐熱性、強度、透湿性に優れ、かつ光弾性係数が十分に小さい偏光子保護フィルムおよびその製造方法を提供する。本発明の偏光子保護フィルムを用いることで、大型の液晶表示装置においても、周辺部のコントラストが低下することがない、良好な表示を実現する。
本発明は、下記一般式(1)、(2)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂と、下記一般式(1)、(2)、(3)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂とを必須成分とする樹脂組成物からなる偏光子保護フィルムに関する。
Figure 0004686261
(ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
Figure 0004686261
(ここで、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R6は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
Figure 0004686261
(ここで、R7は、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R8は、炭素数6〜10のアリール基を示す。)
本発明の必須成分の一つである、下記一般式(1)、(2)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂(以下第一の熱可塑性樹脂という)の、第一の構成単位は、下記一般式(1)で表されるグルタルイミド単位である。
Figure 0004686261
(ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
好ましいグルタルイミド単位としては、R1、R2が水素またはメチル基であり、R3が水素、メチル基、またはシクロヘキシル基である。R1がメチル基であり、R2が水素であり、R3がメチル基である場合が、特に好ましい。
該グルタルイミド単位は、単一の種類でもよく、R1、R2、R3が異なる複数の種類を含んでいても構わない。
第一の熱可塑性樹脂の、第二の構成単位は、下記一般式(2)で表されるアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル単位である。
Figure 0004686261
(ここで、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R6は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
前記(メタ)アクリル酸系化合物もしくは(メタ)アクリル酸エステル系化合物には、特に限定がなく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、無水マレイン酸等の酸無水物またはそれらと炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのハーフエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸などもイミド化可能であり、本発明に使用可能である。これらの中で、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
これら第二の構成単位は、単一の種類でもよく、R4、R5、R6が異なる複数の種類を含んでいてもかまわない。
本発明の必須成分の一つである、下記一般式(1)、(2)、(3)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂(以下第二の熱可塑性樹脂という)の、第一の構成単位は、下記一般式(1)で表されるグルタルイミド単位である。
Figure 0004686261
(ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
好ましいグルタルイミド単位としては、R1、R2が水素またはメチル基であり、R3が水素、メチル基、またはシクロヘキシル基である。R1がメチル基であり、R2が水素であり、R3がメチル基である場合が、特に好ましい。
該グルタルイミド単位は、単一の種類でもよく、R1、R2、R3が異なる複数の種類を含んでいても構わない。
第二の熱可塑性樹脂の、第二の構成単位は、下記一般式(2)で表されるアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル単位である。
Figure 0004686261
(ここで、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R6は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
前記(メタ)アクリル酸系化合物もしくは(メタ)アクリル酸エステル系化合物には、特に限定がなく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、無水マレイン酸等の酸無水物またはそれらと炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのハーフエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸などもイミド化可能であり、本発明に使用可能である。これらの中で、メタクリル酸メチルが特に好ましい。
これら第二の構成単位は、単一の種類でもよく、R4、R5、R6が異なる複数の種類を含んでいてもかまわない。
第二の熱可塑性樹脂の、第三の構成単位としては、下記一般式(3)で表される芳香族ビニル単位である。
Figure 0004686261
(ここで、R7は、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R8は、炭素数6〜10のアリール基を示す。)
好ましい芳香族ビニル構成単位としては、スチレン、α−メチルスチレン等が挙げられる。これらの中でスチレンが特に好ましい。
これら第三の構成単位は、単一の種類でもよく、R7、R8が異なる複数の種類を含んでいてもかまわない。
本発明の必須成分である、第一の熱可塑性樹脂、および、第二の熱可塑性樹脂中の、一般式(1)で表されるグルタルイミド単位の含有量は、熱可塑性樹脂の20重量%以上が好ましい。グルタルイミド単位の、好ましい含有量は、20重量%から95重量%であり、より好ましくは40〜90重量%、さらに好ましくは、50〜80重量%である。グルタルイミド単位がこの範囲より小さい場合、得られるイミド樹脂の耐熱性が不足したり、透明性が損なわれたりすることがある。また、この範囲を超えると不必要に耐熱性が上がり、成形しにくくなる他、得られる樹脂の機械的強度は極端に脆くなり、また、透明性が損なわれることがある。このような樹脂を使用した場合、偏光子保護フィルムの耐熱性が不足したり、透明性や機械的強度が十分でなくなったりする。
本発明の必須成分である、第二の熱可塑性樹脂中の、一般式(3)で表される芳香族ビニル単位の含有量は、熱可塑性樹脂の総繰り返し単位を基準として、10重量%以上が好ましい。芳香族ビニル単位の、好ましい含有量は、10重量%から40重量%であり、より好ましくは15〜30重量%、さらに好ましくは、15〜25重量%である。芳香族ビニル単位がこの範囲より大きい場合、得られるイミド樹脂の耐熱性が不足するとともに、光弾性係数が大きくなることがあり、この範囲より小さい場合、得られる樹脂の機械的強度が低下することがある。このような樹脂を使用した場合、偏光子保護フィルムの耐熱性が不足したり、透明性や機械的強度が十分でなくなったりする。
本発明の必須成分である、第一の熱可塑性樹脂、および、第二の熱可塑性樹脂には、必要に応じ、更に、他の構成単位が共重合されていてもかまわない。他の構成単位として、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のニトリル系単量体、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどのマレイミド系単量体を共重合してなる構成単位を用いることができる。これらは熱可塑性樹脂中に、直接共重合してあっても良く、グラフト共重合してあってもかまわない。
本発明の必須成分の一つである、第一の熱可塑性樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸系重合体を、イミド化することにより得ることができる。
本発明で用いることができる(メタ)アクリル酸系重合体としては、イミド化反応が可能な(メタ)アクリル酸系化合物もしくは(メタ)アクリル酸エステル系化合物の単独もしくはこれらの共重合体もしくは(メタ)アクリル酸系化合物もしくは(メタ)アクリル酸エステル系化合物を必須として含んでいれば、リニアー(線状)ポリマーであっても、またブロックポリマー、コアシェルポリマー、分岐ポリマー、ラダーポリマー、架橋ポリマーであっても構わない。ブロックポリマーはA−B型、A−B−C型、A−B−A型、またはこれら以外のいずれのタイプのブロックポリマーであっても問題ない。コアシェルポリマーはただ一層のコアおよびただ一層のシェルのみからなるものであっても、それぞれが多層になっていても問題ない。
これらの中で、入手性、物性、反応性のバランスから、メタクリル酸メチル系重合体が好ましく、メタクリル酸メチルのリニアー型単独重合体、メタクリル酸メチルとアクリル酸アルキルのリニアー型共重合体が特に望ましい。
本発明の必須成分の一つである、第二の熱可塑性樹脂は、例えば、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン系重合体を、イミド化することにより得ることができる。
本発明で用いることができる(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体は、イミド化反応が可能な(メタ)アクリル酸系化合物もしくは(メタ)アクリル酸エステル系化合物の単独もしくはこれらの共重合体もしくは(メタ)アクリル酸系化合物もしくは(メタ)アクリル酸エステル系化合物、およびスチレン系化合物を必須として含んでいれば、リニアー(線状)ポリマーであっても、またブロックポリマー、コアシェルポリマー、分岐ポリマー、ラダーポリマー、架橋ポリマーであっても構わない。ブロックポリマーはA−B型、A−B−C型、A−B−A型、またはこれら以外のいずれのタイプのブロックポリマーであっても問題ない。コアシェルポリマーはただ一層のコアおよびただ一層のシェルのみからなるものであっても、それぞれが多層になっていても問題ない。
これらの中で、入手性、物性、反応性のバランスから、メタクリル酸メチルとスチレンのリニアー型共重合体が特に望ましい。
上記樹脂組成物は、配向複屈折を制御できることを特徴としている。配向複屈折とは所定の温度、所定の延伸倍率で延伸した場合に発現する複屈折のことをいう。本明細書中では、特にことわりのない限り、イミド樹脂のガラス転移温度+5℃の温度で、100%延伸した場合に発現する複屈折のことをいう。
ここで配向複屈折は、延伸軸方向の屈折率(nx)と、それと直行する軸方向の屈折率(ny)から、次式
△n=nx−ny
で定義される。
樹脂組成物の配向複屈折として、好ましい形態の一つとして、実質的に配向複屈折を有さないことが挙げられる。この場合の配向複屈折としては、−1×10-4〜1×10-4であることが好ましく、−1×10-5〜1×10-5であることがより好ましい。配向複屈折が上記の範囲外の場合、環境の変化に対して、成形加工時に複屈折を生じやすく、安定した光学的特性が得られない。
実質的に配向複屈折を有さない樹脂組成物からなる偏光子保護フィルムは、正面方向の位相差(R)が10nm以下であることが好ましく、5nm以下であることがより好ましく、厚み方向の位相差(Rth)が20nm以下であることが好ましく、10nm以下であることがより好ましい。
実質的に配向複屈折を有さない樹脂組成物を得るためには、一般には、重合体中の各構成単位量を調節する必要があるが、入手できる原料によっては、配向複屈折を上記の範囲にすることが困難であったり、得られた樹脂の耐熱性等が制限されたりする場合があった。
本発明の樹脂組成物は、第一の熱可塑性樹脂と、第二の熱可塑性樹脂の、各構成単位量を調節するとともに、これらの熱可塑性樹脂の混合比率を変えることにより、広い範囲での配向複屈折の制御が可能となり、得られる樹脂の耐熱性等にも制限を受けることが少なくなる。
本発明の樹脂組成物は、上述のように、実質的に配向複屈折を有さない樹脂組成物にとどまらず、用途に応じた所望の配向複屈折を有する樹脂組成物も含む。
本発明の樹脂組成物は、例えば、第一の熱可塑性樹脂と第二の熱可塑性樹脂を、それぞれ別々に、例えば上記のような方法でイミド化して製造した後に、押出し機等を用いて混合してもよいし、(メタ)アクリル酸メチル重合体および(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体を混合した後に、一括してイミド化して製造してもよい。
第一の熱可塑性樹脂と第二の熱可塑性樹脂を混合する際に、必要に応じて樹脂の酸価を低減させてから混合させてもよい。酸価を低減させる方法としては、例えば、炭酸ジメチル等のエステル化剤を、アミン等の触媒存在下、反応させる方法が挙げられる。
このようにして得られた樹脂組成物からなる偏光子保護フィルムは、製造が容易であり、耐熱性、強度、透湿性に優れることを特徴とする。
本発明の樹脂組成物は、1×104ないし5×105の重量平均分子量を有することが好ましい。重量平均分子量が上記の値以下の場合には、偏光子保護フィルムにした場合の機械的強度が不足し、上記の値以上の場合には、溶融時の粘度が高く、フィルムの生産性が低下することがある。
本発明の樹脂組成物のガラス転移温度は100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、130℃以上であることが更に好ましい。
本発明の樹脂組成物には、必要に応じて、他の熱可塑性樹脂を添加することができる。
本発明の樹脂組成物は光弾性係数が小さいことを特徴としている。光弾性係数は、20×10-122/N以下であることが好ましく、10×10-122/N以下であることがより好ましく、5×10-122/N以下であることが更に好ましい。
光弾性係数の絶対値が20×10-122/Nより大きい場合は、光漏れが起きやすくなり、特に高温高湿度環境下において、その傾向が著しくなる。
光弾性係数とは、等方性の固体に外力を加えて応力(△F)を起こさせると、一時的に光学異方性を呈し、複屈折(△n)を示すようになるが、その応力と複屈折の比を光弾性係数(c)と呼び、次式
c=△n/△F
で示される。
本発明において、光弾性係数はセナルモン法により、波長515nmにて、23℃、50%RHにおいて測定した値である。
本発明の樹脂組成物を偏光子保護フィルムの形態に成形する方法としては、従来公知の任意の方法が可能である。例えば、溶液流延法および溶融押出法等などが挙げられる。そのいずれをも採用することができる。溶液流延法は、樹脂の劣化が少なく、表面性の良好なフィルムの作成に適しており、溶融成形法は生産性良くフィルムを得ることができる。溶液流延法の溶剤としては、塩化メチレン等が好適に使用できる。溶融成形法の例としては、溶融押出法、インフレーション法などが挙げられる。
本発明の偏光子保護フィルムの厚みは、好ましくは、20μmから300μmであり、より好ましくは、30μmから200μmである。さらに好ましくは、50μmから100μmである。また、フィルムの厚みムラは、好ましくは平均厚みの10%以下、より好ましくは5%以下である。
本発明の偏光子保護フィルムの光線透過率は、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。また、フィルムの濁度は、好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下、更に好ましくは0.5%以下である。
本明細書中では、説明の便宜上、上記熱可塑性樹脂をフィルム状に成形した後、延伸を施す前のフィルムを「原料フィルム」と呼ぶ。
原料フィルムは、延伸を施さずにそのままで偏光子保護フィルムとなり得るが、本発明の位相差フィルムの製造においては、上述の方法で、フィルムを成形した後、一軸延伸あるいは二軸延伸して所定の厚みのフィルムを製造することが好ましい。延伸を行うことで、フィルムの機械的特性が更に向上する。実施態様の1例を挙げれば、このような溶融押出成形で厚み150μmの原料フィルムを製造した後、縦横二軸延伸により、厚み40μmのフィルムを製造することができる。
フィルムの延伸は、原料フィルムを成形した後、すぐに連続的に行っても良い。ここで、上記「原料フィルム」の状態が瞬間的にしか存在しない場合があり得る。瞬間的にしか存在しない場合には、その瞬間的な、フィルムが形成された後延伸されるまでの状態を原料フィルムという。また、原料フィルムとは、その後延伸されるのに十分な程度にフィルム状になっていれば良く、完全なフィルムの状態である必要はなく、もちろん、完成したフィルムとしての性能を有さなくても良い。また、必要に応じて、原料フィルムを成形した後、一旦フィルムを保管もしくは移動し,その後フィルムの延伸を行っても良い。原料フィルムを延伸する方法としては、従来公知の任意の延伸方法が採用され得る。具体的には、例えば、テンターを用いた横延伸、ロールを用いた縦延伸、およびこれらを逐次組み合わせた逐次二軸延伸等がある。また、縦と横を同時に延伸する同時二軸延伸方法も採用可能である。ロール縦延伸を行った後、テンターによる横延伸を行う方法を採用しても良い。
本発明の偏光子保護フィルムは、一軸延伸フィルムの状態で最終製品とすることができる。さらに、延伸工程を組み合わせて行って二軸延伸フィルムとしても良い。二軸延伸を行う場合、必要に応じ、縦延伸と横延伸の温度や倍率などの延伸条件が同等であってもかまわなく、また、意図的に変えることにより、フィルムに機械的な異方性を付与してもかまわない。
フィルムの延伸温度および延伸倍率は、得られたフィルムの機械的強度および表面性、厚み精度を指標として適宜調整することができる。延伸温度の範囲は、DSC法によって求めたフィルムのガラス転移温度をTgとしたときに、好ましくは、Tg−30℃〜Tg+30℃の範囲である。より好ましくは、Tg−20℃〜Tg+20℃の範囲である。さらに好ましくは、Tg以上Tg+20℃以下の範囲である。延伸温度が高すぎる場合、得られたフィルムの厚みむらが大きくなりやすい上に、伸び率や引裂伝播強度、耐揉疲労等の力学的性質の改善も不十分になりやすい。また、フィルムがロールに粘着するトラブルが起こりやすい。逆に、延伸温度が低すぎる場合、延伸フィルムの濁度が高くなりやすく、また、極端な場合には、フィルムが裂ける、割れる等の工程上の問題を引き起こしやすい。好ましい延伸倍率は、延伸温度にも依存するが、1.1倍から3倍の範囲で選択される。より好ましくは、1.3倍〜2.5倍である。さらに好ましくは、1.5倍〜2.3倍である。
また、フィルム化の際に、必要に応じて熱安定剤、紫外線吸収剤、滑剤等の加工性改良剤、あるいは、フィラーなどの公知の添加剤やその他の重合体を含有していてもかまわない。特に、フィルムの滑り性を改善する目的でフィラーを含有させても良い。フィラーとして、無機または有機の微粒子を用いることができる。無機微粒子の例としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどの金属酸化物微粒子、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなどのケイ酸塩微粒子、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、およびリン酸カルシウムなどを用いることが出来る。有機微粒子としては、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、架橋スチレン系樹脂などの樹脂微粒子を用いることができる。
本発明の位相差フィルムに紫外線吸収剤を含有させることにより本発明の位相差フィルムの耐候性を向上する他、本発明の位相差フィルムを用いる液晶表示装置の耐久性も改善することができ実用上好ましい。紫外線吸収剤としては、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−ベンゾトリアゾール−2−イル−4,6−ジ−t−ブチルフェノール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールなどのトリアジン系紫外線吸収剤、オクタベンゾン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤等が挙げられ、また、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のベンゾエート系光安定剤やビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系光安定剤等の光安定剤も使用できる。
本発明の偏光子保護フィルムには、必要に応じて表面処理を施し、他の材料との接着性を改善することも可能である。表面処理の方法としては、従来公知の任意の方法が可能である。例えば、コロナ放電処理や火花処理などの電気的処理、低圧または常圧下でのプラズマ処理、オゾン存在下または非存在下での紫外線照射処理、クロム酸等による酸処理、火焔処理、およびシラン系プライマー処理もしくはチタン系プライマー処理などが挙げられる。これらの方法により、フィルム表面の表面張力を50dyne/cm以上にすることが可能である。
また、接着剤や粘着剤との親和性を改善するために、フィルムの片面、あるいは両面に、易接着層を設けることができる。好ましい易接着層としては、共重合ポリエステルや、それらのウレタン変性したもの、更には、カルボキシル基やスルフォン酸基を有する共重合ポリエステルなどの他、ポリビニルアルコールなどの溶液又は水分散液を塗布乾燥した層を用いることができる。
本発明の偏光子保護フィルムには、必要に応じてハードコート、アンチグレアコート、無反射コート、その他の機能性コートなどのコーティング処理を施すことも可能である。
以下、本発明を実施例にて具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
樹脂ならびにフィルムの各物性値は以下のようにして測定した。
(1)ガラス転移温度:約5mgの試料を用い、島津製DSC測定装置を用いて、20℃から250℃まで20℃/minの昇温速度で測定し、中点法によりガラス転移温度を求めた。
(2)イミド化率:Sensir Technologies社製TravelIR測定装置を用い、1720cm-1付近のエステルカルボニル基由来の吸収と、1660cm-1付近のイミドカルボニル基由来の吸収との強度比から、イミド化率を決定した。ここで、イミド化率とは、全カルボニル基中のイミドカルボニル基の占める割合をいう。
(3)スチレン含量:Varian社製NMR測定装置Gemini−300を用い、芳香族由来の吸収と脂肪族由来の吸収の積分比から、スチレン含量を決定した。
(4)フィルム厚さ:フィルムから10mm×150mmのサイズで試験片を切り出し、温度20℃±2℃、湿度60%±5%において、試験片の5ヶ所の厚みを、ミツトヨ製デジマティックインジケーターを用いて測定し、その平均値をフィルムの厚みとした。
(5)濁度:フィルムから50mm×50mmのサイズで試験片を切り出し、日本電色工業製濁度計NDH−300Aを用いて、温度23±2℃、湿度50±5%において測定した。
(6)全光線透過率:JIS K7105−1981の5.5記載の方法により、日本電色工業(株)製 濁度計NDH−300Aを用いて測定した。
(7)光弾性係数:フィルムから20cm×1cmの短冊状に試験片を切断した。顕微偏光分光光度計(オーク製作所製TFM−120AFT−PC)を用いて、温度23±2℃湿度50±5%において、波長515nmにて測定した。測定は、フィルムの一方を固定し、他方は無荷重及び500gの荷重をかけた状態で複屈折率を測定し、得られた結果から、単位応力による複屈折率の変化量を算出した。
(8)位相差および配向複屈折:フィルムから、幅50mm、長さ150mmのサンプルを切り出し、延伸倍率100%で、ガラス転移温度より5℃高い温度で、延伸フィルムを作成した。この1軸2倍延伸フィルムのTD方向の中央部から3.5cm×3.5cmの試験片を切り出した。この試験片を、王子計測機器製KOBRA−21ADHを用いて、温度23±2℃、湿度50±5%において、波長590nm、入射角0゜で位相差を測定した。この位相差を、ミツトヨ製デジマティックインジケーターを用いて測定した試験片の厚みで割った値を配向複屈折とした。
(製造例1)
市販のメタクリル樹脂(住友化学工業株式会社製、スミペックスMH)、イミド化剤としてモノメチルアミンを用いて、イミド化樹脂を製造した。使用した押出機は口径40mmの噛合い型同方向回転式二軸押出機である。押出機の各温調ゾーンの設定温度を270℃、スクリュー回転数200rpm、メタクリル樹脂を20kg/hrで供給し、モノメチルアミンの供給量はメタクリルに対して25重量部とした。ホッパーからメタクリル樹脂を投入し、ニーディングブロックによって樹脂を溶融、充満させた後、ノズルからモノメチルアミンを注入した。反応ゾーンの末端にはシールリングを入れて樹脂を充満させた。反応後の副生成物および過剰のメチルアミンをベント口の圧力を−0.09MPaに減圧して脱揮した。押出機出口に設けられたダイスからストランドとして出てきた樹脂は、水槽で冷却した後、ペレタイザでペレット化した。
得られた樹脂のイミド化率、ガラス転移温度を表1に記載する。
(製造例2)
メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(St含量22wt%)、イミド化剤としてモノメチルアミンを用いて、イミド化樹脂を、製造例1と同様の方法で製造した。押出機の各温調ゾーンの設定温度を270℃、スクリュー回転数200rpm、ポリメタクリル酸メチル−スチレン共重合体を20kg/hrで供給し、モノメチルアミンの供給量はポリメタクリル酸メチル−スチレン共重合体に対して20重量部とした。
得られた樹脂のイミド化率、ガラス転移温度、スチレン含有量を表1に記載する。
(製造例3)
メタクリル酸メチル−スチレン共重合体(St含量30wt%)を用いた以外は、製造例1と同様の方法で製造した。
得られた樹脂のイミド化率、ガラス転移温度、スチレン含有量を表1に記載する。
Figure 0004686261
(実施例1)
製造例1で得られた樹脂と、製造例2で得られたイミド化樹脂を、重量比で10/90の割合で混合して得られた樹脂を、塩化メチレン中に溶解し、約25%の樹脂溶液を調製した。得られた溶液をPETフィルム上に塗布、乾燥し、キャストフィルムを得た。
得られたフィルムのガラス転移温度、濁度、全光線透過率、配向複屈折を表2示す。
(実施例2)
製造例1で得られた樹脂と、製造例3で得られた樹脂を、重量比で33/67の割合で混合して得られた樹脂より、実施例1と同様にして、キャストフィルムを作成した。
得られたフィルムのガラス転移温度、濁度、全光線透過率、配向複屈折を表2示す。
(実施例3)
製造例2で得られた樹脂と、市販のイミド化樹脂(レーム社製、PLEXIMID8805)を、重量比で10/90の割合で混合して得られた樹脂より、実施例1と同様な方法でキャストフィルムを得た。
得られたフィルムのガラス転移温度、濁度、全光線透過率、配向複屈折を表2示す。
(比較例1)
製造例2で得られた樹脂より、実施例1と同様にして、キャストフィルムを作成した。
得られたフィルムのガラス転移温度、濁度、全光線透過率、配向複屈折を表2示す。
Figure 0004686261
以上から、実施例で得られたフィルムは、比較例と同等な耐熱性、透明性を有しており、偏光子保護フィルムとして有用であることがわかる。また、実施例で得られたフィルムは配向複屈折が小さく、偏光子保護フィルムとして特に有用であることがわかる。
(実施例4)
実施例1で得られたフィルムから、延伸フィルムを作成し、正面方向の位相差(Re)、厚み方向の位相差(Rth)を測定したところ、Reは2nm、Rthは3nmであった。
以上から、実施例で得られたフィルムは、位相差値が小さく、偏光子保護フィルムとして特に有用であることがわかる。
(実施例5)
実施例1で得られたフィルムの光弾性係数を測定したところ、2×10-122/Nであった。同様に、富士写真フィルム社製TACフィルムの光弾性係数を測定したところ、15×10-122/Nであった。
以上から、本発明のイミド化樹脂は光弾性係数が小さく、偏光子保護フィルムとして有用なことがわかる。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)、(2)で表される繰り返し単位を含有し、且つ下記一般式(3)で表される繰り返し単位を含有しないことを特徴とする熱可塑性樹脂と、下記一般式(1)、(2)、(3)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂とを必須成分とする樹脂組成物を主成分とする偏光子保護フィルム。
    Figure 0004686261

    (ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
    Figure 0004686261

    (ここで、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R6は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
    Figure 0004686261

    (ここで、R7は、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R8は、炭素数6〜10のアリール基を示す。)
  2. 樹脂組成物の配向複屈折が−1×10-4〜1×10-4であることを特徴とする請求項1記載の偏光子保護フィルム
  3. 樹脂組成物の光弾性係数の絶対値が10×10-122/N以下であることを特徴とする請求項1または2記載の偏光子保護フィルム。
  4. 樹脂組成物のガラス転移温度が120℃以上であることを特徴とする請求項1〜記載の偏光子保護フィルム。
  5. 正面方向の位相差(Re)が10nm以下、厚み方向の位相差(Rth)が20nm以下であることを特徴とする請求項1〜記載の偏光子保護フィルム。
  6. 下記一般式(1)、(2)で表される繰り返し単位を含有し、且つ下記一般式(3)で表される繰り返し単位を含有しないことを特徴とする熱可塑性樹脂と、下記一般式(1)、(2)、(3)で表される繰り返し単位を含有することを特徴とする熱可塑性樹脂とを必須成分とする樹脂組成物を、フィルム化した後、延伸することによる偏光子保護フィルムの製造方法。
    Figure 0004686261

    (ここで、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R3は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
    Figure 0004686261

    (ここで、R4およびR5は、それぞれ独立に、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R6は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基を示す。)
    Figure 0004686261

    (ここで、R7は、水素または炭素数1〜8のアルキル基を示し、R8は、炭素数6〜10のアリール基を示す。)
  7. フィルム化方法が溶融押出法によることを特徴とする、請求項記載の偏光子保護フィルムの製造方法。
  8. フィルム化方法が溶液流延法によることを特徴とする、請求項記載の偏光子保護フィルムの製造方法。
  9. 延伸方法が、二軸延伸であることを特徴とする、請求項記載の偏光子保護フィルムの製造方法。
  10. 請求項1〜記載の偏光子保護フィルムを用いた偏光板。
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