JP6345086B2 - 樹脂組成物および成形体 - Google Patents
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屈折率を高くし、かつ耐熱性を高める方法としては、特許文献1や非特許文献1に例示される芳香族ビニル系共重合体を添加することが知られている。
芳香族ビニル系単量体に由来する構造単位の含有量が20質量%以上である芳香族ビニル系共重合体(B)とを含む樹脂組成物であって、
該樹脂組成物の
重量平均分子量が50000〜180000であり、
分子量15000未満の成分の含有量が0.2〜10質量%である
樹脂組成物。
〔3〕前記芳香族ビニル系共重合体(B)が、芳香族ビニル系単量体−メタクリル酸エステル共重合体、芳香族ビニル系単量体−無水マレイン酸共重合体、芳香族ビニル系単量体−無水マレイン酸−メタクリル酸エステル共重合体、芳香族ビニル系単量体−アクリロニトリル共重合体、芳香族ビニル系単量体−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、芳香族ビニル系単量体−アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム共重合体、芳香族ビニル系単量体−メタクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、芳香族ビニル系単量体−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種類である、〔1〕または〔2〕に記載の樹脂組成物。
〔4〕前記メタクリル樹脂(A)は、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量が99質量%以上である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔6〕前記メタクリル樹脂(A)は、三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が70%以上である、〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
アニオン重合法においては、塊状重合法、溶液重合法などの重合手法を採用することができる。
これらの共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であっても良い。メタクリル樹脂(A)との相溶性の観点からランダム共重合体が好ましい。これら共重合体は他の構造単位を含んでいてもよいが、含まないものがより好ましい。
リン系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤とを併用する場合、リン系酸化防止剤/ヒンダードフェノール系酸化防止剤を質量比で0.2/1〜2/1で使用するのが好ましく、0.5/1〜1/1で使用するのがより好ましい。
該熱劣化防止剤としては、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGM)、2,4−ジt−アミル−6−(3’,5’−ジ−t−アミル−2’−ヒドロキシ−α−メチルベンジル)フェニルアクリレート(住友化学社製;商品名スミライザーGS)などが好ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、ベンゾエート類、サリシレート類、シアノアクリレート類、蓚酸アニリド類、マロン酸エステル類、ホルムアミジン類などを挙げることができる。これらの中でも、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類、または波長380〜450nmにおけるモル吸光係数の最大値εmaxが100dm3・mol-1cm-1以下である紫外線吸収剤が好ましい。
これら紫外線吸収剤の中、紫外線被照による樹脂劣化が抑えられるという観点からベンゾトリアゾール類が好ましく用いられる。
Y1、Y2、Y3およびY4はそれぞれ独立に、炭素原子以外の二価基(酸素原子、硫黄原子、NH、およびNR5等)である。ここで、R5はアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロアラルキル基、およびアラルリル基等の置換基である。この置換基は、この置換基にさらに置換基を有してもよい。
Z1およびZ2はそれぞれ独立に、三価基(窒素原子、CH、およびCR6等)である。ここで、R6はアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、ヘテロアラルキル基、およびアラルリル基等の置換基である。この置換基は、この置換基にさらに置換基を有してもよい。
R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシル基、ハロゲノ基、アルキルスルホニル基、モノホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基、チオモルホリノスルホニル基、およびピペラジノスルホニル基等の置換基である。この置換基は、この置換基にさらに置換基を有してもよい。
a、b、cおよびdはそれぞれR1、R2、R3およびR4の数を示し、それぞれ1〜4のいずれかの整数である。
金属錯体の添加量は、本発明の熱可塑性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.1〜2質量部である。
金属錯体は380〜400nmの波長におけるモル吸光係数が大きいので、充分な紫外線吸収効果を得るために添加する量が少なくて済む。添加量が少なくなればブリードアウト等による成形体外観の悪化を抑制することができる。また、金属錯体は耐熱性が高いので、成形時の劣化あるいは分解が少ない。さらに金属錯体は耐光性が高いので、紫外線吸収性能を長期間保持することができる。
εmax=[Amax/(10×10-3)]×MUV
光拡散剤や艶消し剤としては、ガラス微粒子、ポリシロキサン系架橋微粒子、架橋ポリマー微粒子、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどを挙げることができる。
蛍光体として、蛍光顔料、蛍光染料、蛍光白色染料、蛍光増白剤、蛍光漂白剤などを挙げることができる。
分子量15000未満の成分の含有量は、GPCで得られるクロマトグラムとベースラインとで囲まれる部分の面積のうちの、分子量15000の標準ポリスチレンの保持時間より後に検出されるクロマトグラムとベースラインとで囲まれる部分の面積の割合として算出する。
島津製作所社製ガスクロマトグラフ GC−14Aに、カラムとしてGL Sciences Inc.製 Inert CAP 1(df=0.4μm、I.D.=0.25mm、長さ=60m)を繋ぎ、インジェクション温度180℃、検出器温度180℃、カラム温度を60℃で5分間保持、60℃から昇温速度10℃/分で200℃まで昇温して、200℃で10分間保持する条件にて測定し、その結果に基づいて重合転化率を算出した。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて下記の条件でクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンの分子量に換算した値を算出した。ベースラインはGPCチャートの高分子量側のピークの傾きが保持時間の早い方から見てゼロからプラスに変化する点と、低分子量側のピークの傾きが保持時間の早い方から見てマイナスからゼロに変化する点を結んだ線とした。検量線を用いて算出した積分分子量分布から、分子量15000未満の成分(低分子量成分)の割合を算出した。
GPC装置:東ソー株式会社製、HLC−8320
検出器:示差屈折率検出器
カラム:東ソー株式会社製のTSKgel SuperMultipore HZM−Mの2本とSuperHZ4000を直列に繋いだものを用いた。
溶離剤: テトラヒドロフラン
溶離剤流量:0.35ml/分
カラム温度:40℃
検量線:標準ポリスチレン10点のデータを用いて作成
核磁気共鳴装置(Bruker社製 ULTRA SHIELD 400 PLUS)を用いて、溶媒として重水素化クロロホルムを用い、室温、積算回数64回の条件にて、1H−NMRスペクトルを測定した。そのスペクトルからTMSを0ppmとした際の0.6〜0.95ppmの領域の面積A0と、0.6〜1.35ppmの領域の面積AYとを計測し、次いで、三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)を式:(A0/AY)×100にて算出した。
JIS K7121に準拠して、示差走査熱量測定装置(島津製作所製、DSC−50(品番))を用いて、230℃まで一度目の昇温をし、次いで室温まで冷却し、その後、室温から230℃までを10℃/分で二度目の昇温をさせる条件にてDSC曲線を測定した。二度目の昇温時に測定されるDSC曲線から求められる中間点ガラス転移温度を本発明におけるガラス転移温度とした。
JIS K7210に準拠して、230℃、3.8kg荷重、10分間の条件で測定した。
JIS K7361−1に準じて、ヘイズメータ(村上色彩研究所製、HM−150)を用いて熱プレス成形による成形体の全光線透過率を測定した。
JISK7136に準拠して、ヘイズメータ(村上色彩研究所製、HM−150)を用いて熱プレス成形による成形体のヘイズを23℃にて測定した。
カルニュー光学工業株式会社「KPR−200」を用いて、23℃、50%RHにて波長587.6nm(D線)で熱プレス成形による成形体の屈折率n23Dを測定した。また、樹脂組成物においては、250℃にて熱プレス成形し、30mm×30mm×厚さ3.0mmの成形体として、同様に樹脂組成物の屈折率n23D率を測定した。
実施例および比較例で得られた樹脂組成物を、80℃で12時間乾燥させた。20mmφ単軸押出機(OCS社製)を用いて、樹脂温度260℃にて、樹脂組成物を150mm幅のTダイから押し出し、それを表面温度85℃のロールにて引き取り、幅110mm、厚さ160μmのフィルムを得た。
得られたフィルムの表面を目視により観察し以下の基準で表面平滑性を評価し、その結果を成形性の評価とした。
A:表面が平滑である。
B:表面に凹凸がある。
実施例または比較例で得られた熱プレス成形による成形体を80mm×10mm、厚さ3.0mmの大きさに切り出した。これを試験片として用い、JIS K7171に準じて、オートグラフ(株式会社島津製作所製)を使用して、23℃における3点曲げを実施し、最大点応力を曲げ強度とした。
テーブル移動式鉛筆引掻き試験機(型式P)(東洋精機社製)を用いて測定した。実施例および比較例で得られた樹脂組成物からなる熱プレス成形による成形体の表面に対して角度45度、荷重750gで鉛筆の芯を押し付けながら引っ掻き傷の傷跡の有無を確認した。鉛筆の芯の硬度は順に増していき、傷跡を生じた時点よりも1段階軟かい芯の硬度を鉛筆硬度とした。
撹拌翼と三方コックが取り付けられた5Lのガラス製反応容器内を窒素で置換した。これに、室温下にて、トルエン1600g、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン2.49g(10.8mmol)、濃度0.45Mのイソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウムのトルエン溶液53.5g(30.9mmol)、および濃度1.3Mのsec−ブチルリチウムの溶液(溶媒:シクロヘキサン95%、n−ヘキサン5%)7.07g(11.8mmol)を仕込んだ。撹拌しながら、これに、15℃にて、蒸留精製したメタクリル酸メチル550gを30分間かけて滴下した。滴下終了後、25℃で90分間撹拌した。溶液の色が黄色から無色に変わった。この時点におけるメタクリル酸メチルの重合転化率は100%であった。得られた溶液にトルエン1500gを加えて希釈した。次いで、希釈液をメタノール100kgに注ぎ入れ、沈澱物を得た。得られた沈殿物を80℃、140Paにて24時間乾燥して、MwA70000、MwA/MnA1.05、シンジオタクティシティ(rr)74%で、ガラス転移温度131℃、低分子量成分含有量0.02質量%、MFR1.9g/10分、n23D1.4885、およびメタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量100質量%であるメタクリル樹脂〔A−1〕を得た。
攪拌機および採取管が取り付けられたオートクレーブ内を窒素で置換した。これに、精製されたメタクリル酸メチル100質量部、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル(水素引抜能:1%、1時間半減期温度:83℃)0.0052質量部、およびn−オクチルメルカプタン0.23質量部を入れ、撹拌して、原料液を得た。かかる原料液中に窒素を送り込み、原料液中の溶存酸素を除去した。
オートクレーブと配管で接続された槽型反応器に容量の2/3まで原料液を入れた。温度を140℃に維持して先ずバッチ方式で重合反応を開始させた。重合転化率が55質量%になったところで、平均滞留時間150分間となる流量で、原料液をオートクレーブから槽型反応器に供給し、且つ原料液の供給流量に相当する流量で、反応液を槽型反応器から抜き出して、反応器内の反応液温度を140℃に維持し、連続流通方式の重合反応に切り替えた。切り替え後、定常状態における重合転化率は55質量%であった。
メタクリル樹脂〔A−1〕57質量部およびメタクリル樹脂〔A−2〕43質量部を混ぜ合わせ、二軸押出機((株)テクノベル製、商品名:KZW20TW-45MG-NH-600)で250℃にて混練押出して、MwA83300、MwA/MnA1.38、シンジオタクティシティ(rr)64%、ガラス転移温度126℃、低分子量成分含有量1.86質量%、MFR1.7g/10分、n23D1.4890、およびメタクリル酸メチルに由来する構造単位含有量100質量%である、ペレット状のメタクリル樹脂〔A−3〕を得た。
(B−1):電気化学工業株式会社製 R−200
(B−1)は、スチレン−無水マレイン酸−メタクリル酸メチルランダム共重合体であり、その質量組成はスチレン単位56質量%、無水マレイン酸単位18質量%、メタクリル酸メチル単位26質量%である。(B−1)の物性は以下のとおりである。
Mw;168,000、Mw/Mn;2.49、低分子量成分含有量;4.21%、Tg;138℃、屈折率n23D;1.5550であった。
(B−2)は、スチレン−アクリロニトリルランダム共重合体であり、その質量組成はスチレン単位75質量%、アクリロニトリル単位25質量%である。(B−2)の物性は以下のとおりである。
Mw;145,000、Mw/Mn;2.14、低分子量成分含有量;2.79%、Tg113℃、屈折率n23D;1.5691
(UVA−1)紫外線吸収剤として、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ−3−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン(アデカ社製 LA−F70)を使用した。
メタクリル樹脂〔A−1〕50質量部およびスチレン−無水マレイン酸−メタクリル酸メチルランダム共重合体〔B−1〕50質量部を混ぜ合わせ、ラボプラストミル(東洋精機株式会社製)にて250℃、90rpmで3分間溶融混練して樹脂組成物〔C1−1〕を製造した。樹脂組成物〔C1−1〕の評価結果を表2に示す。
また得られた樹脂組成物を250℃にて熱プレス成形し、100mm×100mm×厚さ3.0mmの成形体を得た。得られた成形体の評価結果を表2に示す。
表2に示す配合にて、実施例1と同じ方法で、樹脂組成物〔C1−2〕〜〔C1−3〕および〔C2−1〕〜〔C2−4〕を製造した。樹脂組成物〔C1−2〕〜〔C1−3〕および〔C2−1〕〜〔C2−4〕およびこれらの成形体の評価結果を表2に示す。
非特許文献1のExperimental Sectionに記載の方法と同様にしてアニオン重合法によりMwA222600、MwA/MnA1.23、シンジオタクティシティ(rr)86%、ガラス転移温度135℃、低分子量成分含有量0.00質量%、およびメタクリル酸メチルに由来する構造単位含有量100質量%である、メタクリル樹脂〔A−4〕を得た。得られたメタクリル樹脂〔A−4〕は分子量が高く、MFR測定が困難であった。また熱プレス成形も困難であり、屈折率の測定はできなかった。
得られたメタクリル樹脂〔A−4〕と〔B−2〕を表2に示す配合にて、実施例1と同じ方法で、樹脂組成物〔C2−5〕を得ようと試みたが、粘度が高く溶融混練ができなかった。また熱プレス成形も試みたが、透明な成形体は得られなかった。
Claims (6)
- 三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が58%以上であり、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量が90質量%以上であり、重量平均分子量が30000〜200000であるメタクリル樹脂(A)と、
スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン及びビニルトルエンからなる群から選ばれる少なくとも1種類の芳香族ビニル系単量体に由来する構造単位の含有量が20質量%以上である芳香族ビニル系共重合体(B)とを含む樹脂組成物であって、
該樹脂組成物の
重量平均分子量が50000〜180000であり、
分子量15000未満の成分の含有量が0.2〜10質量%である
樹脂組成物。 - 前記芳香族ビニル系共重合体(B)が、芳香族ビニル系単量体−メタクリル酸エステル共重合体、芳香族ビニル系単量体−無水マレイン酸共重合体、芳香族ビニル系単量体−無水マレイン酸−メタクリル酸エステル共重合体、芳香族ビニル系単量体−アクリロニトリル共重合体、芳香族ビニル系単量体−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、芳香族ビニル系単量体−アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム共重合体、芳香族ビニル系単量体−メタクリル酸エステル−ブタジエン共重合体、芳香族ビニル系単量体−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種類である、請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記メタクリル樹脂(A)は、メタクリル酸メチルに由来する構造単位の含有量が99質量%以上である、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- メタクリル樹脂(A)と芳香族ビニル系共重合体(B)の質量比(メタクリル樹脂(A)/芳香族ビニル系共重合体(B))が10/90〜90/10である請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記メタクリル樹脂(A)は、三連子表示のシンジオタクティシティ(rr)が70%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかひとつに記載の樹脂組成物からなる成形体。
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