JP2019077452A - 包装用袋体及びその包装用フィルムの製造装置 - Google Patents

包装用袋体及びその包装用フィルムの製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】極超ハイバリアフィルムからなる包装用袋体を提供する。【解決手段】本発明に係る包装用袋体Aは、包装用フィルムAAから袋状に成形されており、その端縁AA11と端縁AA21を相互に接合した接合部Hと、これで画成された内部空間IRを有し、被収物Mが内部空間IRに収容される場合には接合部Hにより内部空間IRが密封される包装用袋体AAであり、包装用フィルムAAは、基層となるポリプロピレンフィルムPPと、このポリプロピレンフィルムPPは内部空間IRに対向する内側面ISと大気に対向する外側面OSを有し、前記内側面ISには内側保護層PIが積層され、前記外側面OSには外側保護層PEが積層され、前記内側保護層PIは内側面ISに接触して積層された内側バリア層IBを少なくとも有し、外側保護層PEは外側面OSに接触して積層された外側バリア層OBを少なくとも有している。【選択図】図1

Description

本発明はポリプロピレンフィルムの主面にガスの透過を防止するガスバリア層を形成した包装用フィルムからなる包装用袋体に関し、更に詳細にはガスバリア層を積層した包装用袋体及び包装用フィルムの製造装置に関する。
一般に、ガスバリアフィルムは、包装により各種物品を水蒸気や他のガス等から封止するために開発されたもので、食品や飲料の包装材料は通常バリアフィルムで構成される。高度のバリア性を要求される物品としては、医薬品・化学品・電子部品・工業製品や結晶Si系・薄膜Si系を含む太陽電池バックシートがあり、ハイバリアフィルムと呼ばれる。更に、超高度のバリア性を要求される物品は、電子ペーパや有機薄膜太陽電池で、超ハイバリアフィルムと称される。特に、有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)をディスプレイとして利用するOLED(Organic Light Emission Display)は最高度の極超ハイバリア性が要求され、ここでは極超ハイバリアフィルムと称する。
水蒸気に関するバリア性を測る物性量として水蒸気透過率(WVTR)があり、WVTR(water vapor transmission rate)はg/m2/dayを単位とし、一日当たりに1mの面積を透過する水蒸気の質量をgで評価する物性量である。この水蒸気透過率で上記したバリアフィルム、ハイバリアフィルム、超ハイバリアフィルム、極超ハイバリアフィルムを分類すると、バリアフィルムは1〜10−1(g/m2/day)、ハイバリアフィルムは10−1〜10−3(g/m2/day)、超ハイバリアフィルムは10−3〜10−4(g/m2/day)、極超ハイバリアフィルムは10−5〜10−6(g/m2/day)の水蒸気透過度を要求される。従って、OLEDに使用されるガスバリアフィルムは10−5〜10−6(g/m2/day)の超超ハイバリア性の水蒸気透過度を要求され、このレベルに到達するガスバリアフィルムを開発することが研究者の悲願であった。
2003年に出願された特許第4455039号公報(特許文献1)には、主成分としてSi、O、Cの原子が化学的に結合した膜が開示されており、その浮遊結合手(ダングリングボンド)にはH原子が結合して、SiOCHからなる膜構造が開示されている。H原子は種々の原子に置換できるから、主成分がSiOCからなる膜をバリア膜とするガスバリアフィルムを提供したものである。このSiOC膜を改良する過程で、以下の従来技術が次々と開発されるに到った。
2005年に出願された特許第4845390号公報(特許文献2)には、主成分としてSi、O、C、Nの原子が化学的骨格構造を構成した膜が開示されている。この膜は「光波長変換膜」として開示されているが、後日、ガスバリア性を発揮することが発見され、ガスバリア膜の研究が開始されている。以後、この膜をSiOCN膜と呼び、またSiOCN層とも称し、単にS層とも云う。
また、2006年に出願された特許第5078344号公報(特許文献3)には、主成分としてSi、C、Nの原子が化学的骨格構造を構成した膜が開示されており、H原子を加えてSiCNH膜としてのガスバリアフィルムが記載されている。そして同時に、樹脂フィルムの片面にSiCNH膜を3層積層したガスバリアフィルムが図1に開示され、樹脂フィルムの両面にSiCNH膜を夫々3層積層したガスバリアフィルムが図3に開示されている。H原子は浮遊結合手(ダングリングボンド)に結合しているから、H原子を除いて、以後、この膜をSiCN膜と呼び、またSiCN層とも称し、単にN層とも云う。
更に、2009年に出願された特許第5470969号公報(特許文献4)には、ガスバリア層としてSiCNFH層が開示されている。H原子は未結合手(ダングリングボンド)に結合しているだけであるから、H原子を除いて、以後、この膜をSiCNF膜と呼び、またSiCNF層とも称し、単にF層とも云う。この公報は、単にSiCNFH層を開示するだけでなく、ガスバリア層として、樹脂フィルムの表面と裏面である両主面に第1層として、SiCNFH層、SiOCNH層又はSiCNH層を形成することを開示している。しかも、この第1層の上に、SiCNFH層、SiOCNH層又はSiCNH層から選ばれた第2層を付加的ガスバリア層として積層し、この第2層は第1層とは異なる種類であることが開示されている。
特許第4455039号公報 特許第4845390号公報 特許第5078344号公報 特許第5470969号公報
特許文献1は、SiOC層をSi系有機・無機ハイブリッド膜として初めて提案したものであり、その浮遊結合手(ダングリングボンド)にはH原子が結合して終端していると考えられる、と述べている。H原子を加えると、SiOCH層と云ってもよい。SiOC層をバリア層と呼んでいるが、SiOC層による水蒸気透過率の測定は全く行われていない。この特許文献1は、SiとCを基本構成原子とするバリア膜の先導的特許であり、これから特許文献2〜4に到るガスバリアフィルムの特許系列が展開されるに到った。
特許文献2で初めてバリア層としてS層(即ち、SiOCN層)が提供された。しかし、そのバリア特性の詳細は記載されておらず、樹脂フィルムの主面に第1層としてS層を成膜しているものの、その水蒸気透過率については、前述したSiOC層と同様に全く記載されていない。つまり、このバリアフィルムは飲料や食品を包装するレベルのガスバリアフィルムであると考えられる。従って、特許文献1だけでは、ハイバリアフィルムから超ハイバリアフィルムに至る道筋は全く見えてこない。
上述したように、特許文献3では、樹脂フィルムの片面にN層を3層形成したガスバリアフィルムがその図1に開示され、また樹脂フィルムの両面の夫々にN層を3層積層したガスバリアフィルムが図3に開示されている。樹脂フィルムの片面又は両面の積層状態を[第1層、第2層、第3層]と表示すると、[N、N、N]が開示されていることになる。しかし、その段落[0026]には、「0.7(g/m2/day)未満の水蒸気透過率及び0.1(cc/m2/day)未満の酸素透過率を容易に得ることができ・・例えば食品用の保護膜として利用することができる・・」と記載されている。従って、特許文献3による、[N、N、N]の両面3層構造では食品のバリアフィルムとはなり得ても、10−1〜10−3(g/m2/day)の範囲にあるハイバリアフィルムや、10−3〜10−4(g/m2/day)の範囲の超ハイバリアフィルム、更には10−5〜10−6(g/m2/day)の範囲の極超ハイバリアフィルムは到底達成できるものではない。
上述したように、特許文献4には、樹脂フィルムの表面と裏面の両面に第1層として、S層、N層、F層のいずれかを形成した場合が開示されている。その段落[0063]には、「例えば、PENフィルムの一主面上にSiCNFH層を形成しかつ他方主面上にSiOCNH層を形成したガスバリアフィルムのサンプルの一例についてWVTR測定をしたところ、6日経過後においても検出限界である0.001(g/m2/day)のデータが得られず、そのWVTRは0.001(g/m2/day)未満であることが明らかであった。」と記載されている。即ち、表面にF層且つ裏面にS層を一層だけ成膜したガスバリアフィルムの水蒸気透過率は0.001(g/m2/day)未満であることが記載されているにすぎない。即ち、水分透過率が10−3(g/m2/day)より小さいと言っており、技術的にやっと超ハイバリアフィルムの領域に到達したことを物語っている。
また、特許文献4の段落[0064]には、「フレキシブル有機EL素子に利用されるガスバリアフィルムの場合には、1μg/m2/day程度の極めて高い水蒸気バリア性が求められる。その場合には、プラスティックフィルムの両面の各々上において、SiCNFH層、SiOCNH層、およびSiCNH層のうちで互いに異なる種類の2層以上をCat−CVDで形成することによって、その有機EL素子の寿命と信頼性を顕著に高めることができる。」と記載されている。「異なる種類の2層以上」とは、SiCNFH層はF層、SiOCNH層はS層、そしてSiCNH層はN層であるから、異なる種類の2層を[第1層、第2層]で表示すると、[S、N]、[S、F]、[N、S]、[N、F]、[F、S]、[F、N]の6形態であると考えられる。しかし、3層や4層については、どのように積層すればよいのかについては、具体的に何ら記載されていない。しかも、特許文献4の請求項1は2層を積層した場合に限られている。即ち、特許文献4は3層や4層については全く言及しておらず、今後の研究に依存することを暗示しているに過ぎない。また、「1μg/m2/day程度」とは「10−6μg/m2/day」のことで極超ハイバリア特性を意味するが、2層以上の形態について水蒸気透過率は全く測定されていない。即ち、両面2層以上の構成について水蒸気透過率も測定されていない状況下では、2層以上のバリア構成の技術的な作用効果は不明としか言いようが無い。
従って、本発明は、水蒸気透過率が10−5〜10−6(g/m2/day)の極超ハイバリアフィルムを実現するために、具体的な多層形態を明白にした包装用フィルム及び包装用袋体を提供することを目的とし、且つバリア層を多層に積層形成できる包装用フィルムの製造方法を提供し、及び/又は、その製造方法を実現する製造装置を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために完成されたものであり、本発明の第1の形態は、包装用フィルムから袋状に成形されており、包装用フィルムの端縁と端縁を相互に重ねて接合された接合部と、前記接合部により画成された内部空間を有し、被収物が前記内部空間に収容される場合には前記接合部により前記内部空間が密封される包装用袋体であり、包装用フィルムは以下のように構成されており、基層となるポリプロピレンフィルムと、このポリプロピレンフィルムは内部空間に対向する内側面と大気に対向する外側面を有し、前記ポリプロピレンフィルムの前記内側面には内側保護層が積層され、前記ポリプロピレンフィルムの前記外側面には外側保護層が積層され、前記内側保護層は前記内側面に接触して積層された内側バリア層を少なくとも有し、前記外側保護層は前記外側面に接触して積層された外側バリア層を少なくとも有し、前記内側バリア層が下記の表面側バリア層に対応するときには前記外側バリア層は下記の裏面側バリア層に対応し、前記内側バリア層が下記の裏面側バリア層に対応するときには前記外側バリア層は下記の表面側バリア層に対応し表面側バリア層は3層以上から形成され且つ裏面側バリア層は1層以上から形成され、主成分であるSiとOとCとNの各原子が層状に結合して形成されるバリア層をS層と称し、主成分であるSiとCとNの各原子が層状に結合して形成されるバリア層をN層と称し、主成分であるSiとCとNとFの各原子が層状に結合して形成されるバリア層をF層と称し、前記表面側バリア層の第1層及び前記裏面側バリア層の第1層はS層又はF層から構成され、前記表面側バリア層の第2層以上の各層と前記裏面側バリア層の第2層以上の各層は、S層とN層とF層のいずれかで構成される包装用袋体である。
本発明の第2の形態は、前記裏面側バリア層も3層以上から構成され、前記表面側バリア層と前記裏面側バリア層の積層数が同一である包装用袋体である。
本発明の第3の形態は、前記表面側バリア層及び前記裏面側バリア層の夫々の最外層はF層で構成される包装用袋体である。
本発明の第4の形態は、前記表面側バリア層及び前記裏面側バリア層の夫々において、第1層と最外層を除いた中間層にN層を含む包装用袋体である。
本発明の第5の形態は、前記表面側バリア層と前記裏面側バリア層におけるS層、N層及びF層の積層状態が前記ポリプロピレンフィルムを対称面として面対称に構成される包装用袋体である。
本発明の第6の形態は、前記表面側バリア層と前記裏面側バリア層の各層の厚さは、50nm〜300nmである包装用袋体である。
本発明の第7の形態は、前記内側保護層は、前記内側バリア層の上に酸素吸収層、水蒸気吸収層、炭酸ガス吸収層及び抗菌層から選択された1層以上を積層して構成される包装用袋体である。
本発明の第8の形態は、包装用袋体を成形する包装用フィルムの製造装置であり、ポリプロピレンフィルムを繰出ローラに卷装した繰出ロールと、前記繰出ロールから繰出されたポリプロピレンフィルムを走行させながら、走行中の前記ポリプロピレンフィルムの主面にバリア層を形成するために前記ポリプロピレンフィルム面に開口部を対向させて配置される成膜部と、前記成膜部の開口部からバリア粒子をポリプロピレンフィルムの主面に放射して所定厚のバリア層が堆積形成される成膜済フィルムと、成膜済フィルムを巻取ローラに卷装した巻取ロールを具備する包装用フィルムの製造装置であり、ここで、前記成膜部は、ポリプロピレンフィルムが静止状態にある場合にバリア層の膜厚方向の堆積速度としてR(nm/分)の性能を有しており、前記成膜装置により堆積されるべきバリア層の膜厚がD(nm)とすると堆積完了時間T(分)はT=D/Rであるから、前記成膜部の開口部の走行方向の開口長がL(m)のときに、前記ポリプロピレンフィルムの走行速度V(m/分)はL/T(m/分)に設定されることを特徴とする包装用フィルムの製造装置である。
本発明の第9の形態は、包装用袋体を成形する包装用フィルムの製造装置であり、ポリプロピレンフィルムの主面にn≧1であるn層のバリア層を積層する製造装置であり、ポリプロピレンフィルムを繰出ローラに卷装した繰出ロールと、前記繰出ロールから繰出されて走行する前記ポリプロピレンフィルムの主面にn個のバリア層を積層するために前記主面にn個の開口部を対向配置されたn個の成膜部が走行方向に順次配置され、前記成膜部の開口部から特定のバリア粒子をポリプロピレンフィルムの主面に放射して所定厚の特定のバリア層が堆積形成されるように構成されており、前記ポリプロピレンフィルムをn個の開口部に通過させることによりn層のバリア層が次々に積層されて送出される成膜済フィルムと、成膜済フィルムを巻取ローラに卷装した巻取ロールを配置して構成される包装用フィルムの製造装置であり、ここで、前記成膜部の夫々において、ポリプロピレンフィルムが静止状態にある場合にバリア層の膜厚方向の堆積速度としてRi(nm/分、i=1〜n)の性能を有する場合、前記成膜部により堆積されるべきバリア層の膜厚がDi(nm、i=1〜n)とすると堆積完了時間Ti(分)はTi=Di/Ri(分、i=1〜n)であり、前記ポリプロピレンフィルムが前記成膜部の夫々に対し共通した走行速度V(m/分)で走行するから、前記成膜部の夫々の開口部の走行方向の開口長をLi(m、i=1〜n)とすると、前記成膜部の夫々の開口長Li(m)はLi(m)=V(m/分)×Ti(分)=V(m/分)×Di/Ri(分)に設定される包装用フィルムの製造装置である。
本発明の第10の形態は、包装用袋体を成形する包装用フィルムの製造装置であり、ポリプロピレンフィルムの主面にn≧1であるn層のバリア層を積層する製造装置であり、ポリプロピレンフィルムを繰出ローラに卷装した繰出ロールと、前記繰出ロールから繰出されたポリプロピレンフィルムがドラム面に沿って走行するn個のドラムと、ポリプロピレンフィルムは、一つのドラム面から隣のドラム面へと送出されてn個のドラム面を次々と連続して走行するように配置され、各ドラムのドラム面にはポリプロピレンフィルムの主面に特定のバリア層を形成するために前記ポリプロピレンフィルム面に開口部を対向配置された特定の成膜部を配置し、前記成膜部の開口部から特定のバリア粒子をポリプロピレンフィルムの主面に放射して所定厚の特定のバリア層が堆積形成されるように構成されており、前記ポリプロピレンフィルムをn個のドラムに通過させることによりn層のバリア層が次々に積層されて送出される成膜済フィルムと、成膜済フィルムを巻取ローラに卷装した巻取ロールを配置して構成される包装用フィルムの製造装置であり、ここで、前記成膜部の夫々において、ポリプロピレンフィルムが静止状態にある場合にバリア層の膜厚方向の堆積速度としてRi(nm/分、i=1〜n)の性能を有する場合、前記成膜部により堆積されるべきバリア層の膜厚がDi(nm、i=1〜n)とすると堆積完了時間Ti(分)はTi=Di/Ri(分、i=1〜n)であるから、前記ポリプロピレンフィルムが前記成膜部の夫々に対し共通した走行速度V(m/分)で走行するから、前記成膜部の夫々の開口部の走行方向の開口長をLi(m、i=1〜n)とすると、前記成膜部の夫々の開口長Li(m)はLi(m)=V(m/分)×Ti(分)=V(m/分)×Di/Ri(分)に設定される包装用フィルムの製造装置である。
本発明の第11の形態は、包装用袋体を成形する包装用フィルムの製造装置であり、ポリプロピレンフィルムの表面にn≧1であるn層のバリア層を積層し、裏面にm≧1であるm層のバリア層を積層する製造装置であり、ポリプロピレンフィルムを繰出ローラに卷装した繰出ロールと、前記繰出ロールから繰出されて走行する前記ポリプロピレンフィルムの表面にn個のバリア層を積層するために前記表面にn個の開口部を対向配置されたn個の成膜部が走行方向に順次配置され、且つ前記繰出ロールから繰出されて走行する前記ポリプロピレンフィルムの裏面にm個のバリア層を積層するために前記裏面にm個の開口部を対向配置されたm個の成膜部が走行方向に順次配置され、前記成膜部の開口部から特定のバリア粒子をポリプロピレンフィルムの表面及び裏面に放射して所定厚の特定のバリア層が表面及び裏面に順次に堆積形成されるように構成されており、前記ポリプロピレンフィルムを走行させることにより表面にn層及び裏面にm層のバリア層が次々に積層されて送出される成膜済フィルムと、成膜済フィルムを巻取ローラに卷装した巻取ロールを配置して構成される包装用フィルムの製造装置であり、ここで、前記表面及び裏面の成膜部の夫々において、ポリプロピレンフィルムが静止状態にある場合にバリア層の膜厚方向の堆積速度としてRi(nm/分、i=1〜n)及びRj(nm/分、j=1〜m)の性能を有する場合、前記成膜部により堆積されるべきバリア層の膜厚がDi(nm、i=1〜n)及びDj(nm、j=1〜m)とすると堆積完了時間Ti(分)はTi=Di/Ri(分、i=1〜n)及びTj=Dj/Rj(分、j=1〜m)であり、前記ポリプロピレンフィルムが前記成膜部の夫々に対し共通した走行速度V(m/分)で走行するから、前記成膜部の夫々の開口部の走行方向の開口長をLi(m、i=1〜n)及びLj(m、j=1〜m)とすると、前記成膜部の夫々の開口長Li(m、i=1〜n)及びLj(m、j=1〜m)はLi(m)=V(m/分)×Ti(分)=V(m/分)×Di/Ri(分)、且つLj(m)=V(m/分)×Tj(分)=V(m/分)×Dj/Rj(分)に設定される包装用フィルムの製造装置である。
本発明の第12の形態は、包装用袋体を成形する包装用フィルムの製造装置であり、ポリプロピレンフィルムの表面にn≧1であるn層のバリア層を積層し、裏面にm≧1であるm層のバリア層を積層する製造装置であり、ポリプロピレンフィルムを繰出ローラに卷装した繰出ロールと、前記繰出ロールから繰出されたポリプロピレンフィルムがドラム面に沿って走行するn個のドラムと、ポリプロピレンフィルムは、一つのドラム面から隣のドラム面へと送出されてn個のドラム面を次々と連続して走行するように配置され、各ドラムのドラム面にはポリプロピレンフィルムの表面に特定のバリア層を形成するために前記表面に開口部を対向配置されたn個の成膜部が配置され、前記ドラム面以外の領域でポリプロピレンフィルムの裏面に特定のバリア層を形成するために前記裏面に開口部を対向配置されたm個の成膜部が配置され、前記成膜部の開口部から特定のバリア粒子をポリプロピレンフィルムの表面及び裏面に放射して所定厚の特定のバリア層が表面及び裏面に順次に堆積形成されるように構成されており、前記ポリプロピレンフィルムを通過させることにより前記表面にn層のバリア層及び前記裏面にm個のバリア層が次々に積層されて送出される成膜済フィルムと、成膜済フィルムを巻取ローラに卷装した巻取ロールを配置して構成される包装用フィルムの製造装置であり、ここで、前記表面及び裏面の成膜部の夫々において、ポリプロピレンフィルムが静止状態にある場合にバリア層の膜厚方向の堆積速度としてRi(nm/分、i=1〜n)及びRj(nm/分、j=1〜m)の性能を有する場合、前記成膜部により堆積されるべきバリア層の膜厚がDi(nm、i=1〜n)及びDj(nm、j=1〜m)とすると堆積完了時間Ti(分)はTi=Di/Ri(分、i=1〜n)及びTj=Dj/Rj(分、j=1〜m)であり、前記ポリプロピレンフィルムが前記成膜部の夫々に対し共通した走行速度V(m/分)で走行するから、前記成膜部の夫々の開口部の走行方向の開口長をLi(m、i=1〜n)及びLj(m、j=1〜m)とすると、前記成膜部の夫々の開口長Li(m、i=1〜n)及びLj(m、j=1〜m)はLi(m)=V(m/分)×Ti(分)=V(m/分)×Di/Ri(分)、且つLj(m)=V(m/分)×Tj(分)=V(m/分)×Dj/Rj(分)に設定される包装用フィルムの製造装置である。
本発明の第1の形態によれば、包装用フィルムから袋状に成形されており、包装用フィルムの端縁と端縁を相互に重ねて接合された接合部と、前記接合部により画成された内部空間を有し、被収物が前記内部空間に収容される場合には前記接合部により前記内部空間が密封される包装用袋体が提供される。1枚の包装用フィルムから袋状に成形する場合には、包装用フィルムの左右の両端縁を重ねて接合して筒状にし、下側開口部の両端縁を重ねて接合し、上側開口部から被収物を内部空間に収容して上側開口部の両端縁を重ねて接合すれば、密封することができる。2枚の包装用フィルムを重ねる場合には、上下左右の4辺が開放されているから、1辺を開放して3辺を接合し、開放された1辺から食品などの被収物を入れた後、開放された1辺を接合すればよい。包装用フィルムから包装用袋体を成形する手順はその他の場合も含めて、周囲の必要領域を接合し、被収物を収納した後、入口を接合して内部空間を密封して外気と遮断する。
また、本発明の第1の形態によれば、包装用フィルムは、真中の基層には両面を有したポリプロピレンフィルムを配置し、内部空間に対向する面を内側面と呼び、大気に対向する面を外側面と呼ぶ。前記内側面には内側保護層が積層され、前記外側面には外側保護層が積層される。ポリプロピレンのうち分子が規則的に並んで立体規則性を有するアイソタクティック構造のポリプロピレンが使用され、結晶性のないアタクティック構造はポリプロピレンフィルムとして利用され難い。ポリプロピレンは比重が0.89〜0.91で、プラスチックの中でも最も軽いものの一つであり、透明性と機械的性質に優れ、耐薬品性、防湿性、耐熱性、耐寒性などが良好であり、本発明の包装用フィルム及び包装用袋体として最適な材料である。
更に、本発明の第1の形態によれば、前記内側保護層は前記内側面に接触して積層された内側バリア層を少なくとも有し、前記外側保護層は前記外側面に接触して積層された外側バリア層を少なくとも有する。外側バリア層と内側バリア層の両者により、大気から侵入しようとする酸素や水蒸気や炭酸ガスなどのガスをの侵入を遮断する。特に、内側保護層においては内側バリア層に加えて、食品などの被収物から発生する酸素や水蒸気や炭酸ガスや臭気を吸収するために酸素吸収層や水蒸気吸収層や炭酸ガス吸収層や臭気吸収層から選ばれた1層以上を適宜に設けることができ、また2層以上設ける場合にはその積層順序は適宜に設けることができる。特に、被収物が食品の場合には抗菌層を設けて内部空間の衛生環境を良好に保持することもできる。勿論、外側保護層においても外側バリア層に加えて低温化層や耐熱層などの他の機能を与える機能層を設けることができる。
また、本発明の第1の形態によれば、前記内側バリア層が下記の表面側バリア層に対応するときには前記外側バリア層は下記の裏面側バリア層に対応し、前記内側バリア層が下記の裏面側バリア層に対応するときには前記外側バリア層は下記の表面側バリア層に対応する。この意味は、ポリプロピレンフィルムの表面側バリア層を内部空間側に配置した場合にはそれは内側バリア層となり、表面側バリア層を大気側に配置した場合にはそれは外側バリア層になることを指しており、ポリプロピレンフィルムを配置する場合にその裏表は自在である。
また、本発明の第1の形態によれば、表面と裏面を主面とするポリプロピレンフィルムと、前記表面に積層して形成された3層以上の表面側バリア層と、前記裏面に形成された1層以上の裏面側バリア層から構成されているから、1枚のポリプロピレンフィルムに対し表裏合わせて4層以上のバリア層が積層配置されており、水蒸気分子の透過を確実に遮断して、水蒸気透過率を強力に低下させることができ、同時に酸素や炭酸ガスの透過も確実に遮断することができる。
更に、主成分であるSiとOとCとNの各原子が層状に結合して形成されるバリア層、即ちSiOCN層をS層と称し、主成分であるSiとCとNの各原子が層状に結合して形成されるバリア層、即ちSiCN層をN層と称し、主成分であるSiとCとNとFの各原子が層状に結合して形成されるバリア層、即ちSiCNF層をF層と称するときに、前記表面側バリア層の第1層及び前記裏面側バリア層の第1層をS層又はF層から構成し、前記表面側バリア層の第2層以上の各層と前記裏面側バリア層の第2層以上の各層を、S層とN層とF層のいずれかで構成するから、水蒸気透過率が10−5〜10−6(g/m2/day)の極超ハイバリアフィルムを提供することができる。上述において、主成分とは、他の原子を含有してもよいという意味であり、例えばH原子がその代表例である。
通常、S層ではSi原子と結合したO原子が3価のN原子同士の結合を遮断するから、3価のN原子が多くの余った浮遊結合手(ダングリングボンド)を提供し、これらの浮遊結合手によりS層はポリプロピレンフィルムの主面に強力に結合できる。従って、S層が第1層となることによって、その上に多くの他の層を積層することが可能になる。また、F層ではF原子の添加量により浮遊結合手の量を増減調整できる。F原子の添加量を少なくすると、1価のF原子が不足するために3価のN原子が多くの余った浮遊結合手を提供してポリプロピレンフィルムと強力に結合し、S層と同様にこのF層がポリプロピレンフィルムの第1層を構成することが可能になる。しかも、S層及びF層は浮遊結合手により第2層とも強力に結合できるから、強固な積層構造を実現し、バリア層が剥がれることが無いから、高性能のガスバリア層を提供できる。
更にまた、本発明ではポリプロピレンフィルムの表裏共に第1層がS層又はF層であり、第2層以上をS層とN層とF層のいずれかで構成するから、表面側バリア層及び裏面側バリア層の全ての層がS層とN層とF層のいずれかで構成され、構成原子の主成分が、Si、O、C、N、Fであり、極めて安全性が高く、安定した包装用フィルムを提供できる。
本発明の第2の形態によれば、前記裏面側バリア層も3層以上から構成され、前記表面側バリア層と前記裏面側バリア層の積層数が同一である包装用袋体を提供できる。
第1形態と組み合わせると、この第2形態では、ポリプロピレンフィルムの両面の夫々に3層以上のバリア層が形成され、両面の第1層はS層又はF層から構成され、両面の第2層以上はS層、N層及びF層のいずれかで構成される。従って、1枚のポリプロピレンフィルムに対し表裏合わせてS層、N層及びF層のいずれかで6層以上のバリア層が形成されるから、水蒸気分子の透過を一層確実に遮断し、水蒸気透過率を極限にまで低下でき、水蒸気透過率が10−5〜10−6(g/m2/day)の極超ハイバリアフィルムを提供することができる。
しかも、第2形態では、前記表面側バリア層と前記裏面側バリア層の積層数が同一であるであるから、バリア層によりポリプロピレンフィルムに対して作用する表面張力が表面と裏面において差が少なく、ポリプロピレンフィルムを反らせるような無理な表面張力が作用せず、ポリプロピレンフィルムを平面に載置しても、反ることなく平面性を保持できる姿勢の安定性を確保でき、ポリプロピレンフィルムの歪を強力に低減して長寿命化することができる。
本発明の第3の形態によれば、前記表面側バリア層及び前記裏面側バリア層の夫々の最外層はF層で構成される包装用袋体を提供できる。
前述したように、F層はSiCNF層のことであり、Si原子とC原子の格子の中に3価のN原子が入り込んだ状態になっている。F原子の添加量が多くなると、N原子の3番目の結合手に1価のF原子が結合して、N原子の浮遊結合手を潰してしまい、F層の他層への結合力が小さくなる。この場合、F層の上に他の原子や汚れが結合する可能性が小さくなるから、F層の表面が清浄に保持できる利点がある。従って、F層を表面側バリア層及び裏面側バリア層の最外層に配置すれば、F層の上への積層が不要になるだけでなく、F層が大気に暴露されていてもF層の表面が長期に亘り清浄に保持でき、高清浄性の長期保持はそれ自体で高耐久性と長寿命化の実現である。
また、第1層をF層で、最外層もF層の場合には、第1層のF層はF原子の添加率が小さく設定された層間結合力の高いF層であり、第3層のF層は、F原子の添加率が大きく設定された層間結合力の低いF層に調整することもある。
本発明の第4の形態によれば、前記表面側バリア層及び前記裏面側バリア層の夫々において、第1層と最外層を除いた中間層にN層を含む包装用袋体を提供できる。
N層はSiCN層であり、Si原子とC原子が格子を組み、その隙間にN原子が入り込んだ構成になる。3価のN原子は3価のN原子と相互に結合して、その浮遊結合手を潰すために、結合する相手のいないN原子が浮遊結合手を提供し、N層では浮遊結合手の量が比較的少ない。従って、N層は層間の結合力がS層と比較して小さい弱点がある。つまり、N層はポリプロピレンフィルムに直接結合する第1層としては不向きであり、それよりも下層と上層の中間に入って両者を結合させる中間層としての役割が好適である。従って、この第4形態では、第1層と最外層を除いた中間層にN層を含んで、多層型ガスバリアが相互に強力に接合して剥がれ難く、長期に亘って安定な包装用袋体が提供される。
本発明の第5の形態によれば、前記表面側バリア層と前記裏面側バリア層におけるS層、N層及びF層の積層状態が前記ポリプロピレンフィルムを対称面として面対称に構成される包装用袋体を提供できる。
本形態では、表面側バリア層と裏面側バリア層の積層数が同一であるだけでなく、S層、N層及びF層の積層状態が前記ポリプロピレンフィルムを対称面として面対称に構成されるから、ポリプロピレンフィルムの表面側と裏面側がほぼ完全同一であるから、ポリプロピレンフィルムの表面と裏面に作用する表面張力はほぼ同一となる。従って、バリア層によりポリプロピレンフィルムに対して作用する表面張力が表面と裏面において差が無いから、ポリプロピレンフィルムを反らせるような無理な表面張力は全く作用せず、ポリプロピレンフィルムの平面性を最高度に保持でき、包装用袋体の長期安定性と姿勢安定性を確保することができる。
本発明の第6の形態によれば、前記表面側バリア層と前記裏面側バリア層の各層の厚さは、50nm〜300nmである包装用袋体を提供できる。
本発明では、表面側バリア層と裏面側バリア層の各層の厚さは適宜に決められるが、成膜時間と成膜装置の設定条件により、50nm〜300nmが好適である。成膜装置からバリア粒子をポリプロピレンフィルムに放射堆積させる場合に、長時間放射させれば膜厚は厚く、短時間放射では膜厚は薄くなるのが通常である。1層の膜厚を厚くするほど、その1層による水蒸気透過率を低減できる。したがって、1層の膜厚を厚くして、層数を低減した包装用袋体を提供することができる。
本発明の第7の形態によれば、前記内側保護層は、前記内側バリア層の上に酸素吸収層、水蒸気吸収層、炭酸ガス吸収層及び抗菌層から選択された1層以上を積層して構成される包装用袋体が提供できる。
内側保護層においては内側バリア層に加えて食品などの被収物から発生する酸素や水蒸気や炭酸ガスや臭気を吸収するために酸素吸収層や水蒸気吸収層や炭酸ガス吸収層や臭気吸収層から選ばれた1層以上を設け、またその積層順序は適宜に設けることができ、更に被収物が食品などの場合には抗菌層を設けて内部空間の衛生環境を良好に保持することもできる。酸素吸収層や水蒸気吸収層や炭酸ガス吸収層や臭気吸収層は、酸素吸収材や水蒸気吸収材や炭酸ガス吸収材や臭気吸収材などの材料を練り込んだ樹脂フィルムを積層したり張り合わせて設けることができる。また、これらの各層をポリプロピレンフィルムの内側面にに直接的に形成することも可能であり、製法については公知の積層技術の全てが適用できることは云うまでもない。
また、外側保護層においても外側バリア層に加えて低温化層や耐熱層や電磁遮断層などの他の機能を与える機能層を設けることもできる。これら機能層の形成方法についても公知の積層技術の全てが適用できることは云うまでもない。
本発明の第8の形態によれば、包装用袋体を形成する包装用フィルムの製造装置が提供され、この製造装置の作動手順が製造方法を与えている。ポリプロピレンフィルムを繰出ローラに卷装した繰出ロールと、前記繰出ロールから繰出されたポリプロピレンフィルムを走行させながら、走行中の前記ポリプロピレンフィルムの主面(表面と裏面)にバリア層を形成するために前記ポリプロピレンフィルム面に開口部を対向させて配置される成膜部と、前記成膜部の開口部からバリア粒子をポリプロピレンフィルムの主面に放射して所定厚のバリア層が堆積形成される成膜済フィルムと、成膜済フィルムを巻取ローラに卷装した巻取ロールを具備する包装用フィルムの製造装置が提供される。
この装置はロールツーロールと呼ばれる装置で、繰出ローラからポリプロピレンフィルムを走行させ、途中で成膜して、成膜済フィルムを巻取ローラに連続的に卷装してゆく装置である。従って、ポリプロピレンフィルムロールから長尺のポリプロピレンフィルムを走行させて、ポリプロピレンフィルムの全表面にガスバリアフィルムを堆積形成でき、バッチ式と比較して、製造効率が高い特徴がある。
特に、本形態の特徴は、プラズマ装置や加熱フィラメント装置やフィラメントプラズマ装置といった成膜装置の種類によりバリア層の膜厚方向の堆積速度が異なるから、成膜装置に対応してポリプロピレンフィルムの走行速度の調整機構を有することである。つまり、成膜部が、ポリプロピレンフィルムが静止状態にある場合にバリア層の膜厚方向の堆積速度としてR(nm/分)の性能を有している場合に、成膜装置により堆積されるべきバリア層の膜厚をD(nm)とすると、堆積完了時間T(分)はT=D/Rで与えられる。従って、前記成膜部の開口部の走行方向の開口長がL(m)のときに、前記ポリプロピレンフィルムの走行速度V(m/分)をL/T(m/分)に調整することができる包装用フィルムの製造装置が提供される。
このようにして、本形態では、堆積速度Rと、膜厚Dと、開口長Lと、走行速度Vとを一対一で関係づけて装置全体を設計できる点に特徴を有する。
本発明の第9の形態によれば、包装用袋体を形成する包装用フィルムの製造装置が提供され、この製造装置の作動手順が製造方法を与える。ポリプロピレンフィルムの主面にn≧1であるn層のバリア層を積層する製造装置であり、ポリプロピレンフィルムを繰出ローラに卷装した繰出ロールと、前記繰出ロールから繰出されて走行する前記ポリプロピレンフィルムの主面にn個のバリア層を積層するために前記主面にn個の開口部を対向配置されたn個の成膜部が走行方向に順次配置され、前記成膜部の開口部から特定のバリア粒子をポリプロピレンフィルムの主面に放射して所定厚の特定のバリア層が堆積形成されるように構成されており、前記ポリプロピレンフィルムをn個の開口部に通過させることによりn層のバリア層が次々に積層されて送出される成膜済フィルムと、成膜済フィルムを巻取ローラに卷装した巻取ロールを配置して構成される包装用フィルムの製造装置を提供できる。
この装置は1台以上の成膜部をポリプロピレンフィルムの走行方向に直列した多連型ロールツーロール装置の中で、繰出ローラからポリプロピレンフィルムを巻取ロールへと安定して走行させるロールツーロール装置を前提とする。このポリプロピレンフィルムの主面に離間して成膜部の開口部を対向配置している。走行途中で1台以上の成膜部でポリプロピレンフィルムにバリア層を積層状態で成膜し、成膜済フィルムを巻取ローラに連続的に卷装してゆく装置である。従って、包装用フィルムの連続製造効率が高い特徴を有する。
第1には、主面のうちポリプロピレンフィルムの表面に対し多層型ガスバリアを積層して巻取ロールへと巻き取る。次に、巻取ロールを繰出ロール側へと配置換えし、同様の手続きで、ポリプロピレンフィルムの裏面に対し多層型ガスバリアを積層し、巻取ロールへと巻き取る。その結果、ポリプロピレンフィルムの表面と裏面の両面に同じ積層型の多層型ガスバリアを積層し、両面式の包装用フィルムを提供できる。
第2には、前述した表面に多層型ガスバリアを積層した包装用フィルムを巻取ロールに巻装しておく。この配置のまま、この巻取ロールを繰出ロールとして隣接された別のロールツーロール装置で運転すると、ポリプロピレンフィルムの裏面に多層型ガスバリアを積層できるから、その巻取ロールには両面式の包装用フィルムが巻き取られることになる。
ここでは、堆積速度が異なる1台以上の成膜部、即ち成膜装置をポリプロピレンフィルムの走行方向に沿って直列配置するから、各成膜部を通過するポリプロピレンフィルムの走行速度は同一でなければならない。しかも成膜部毎に堆積速度、換言すれば成膜速度が異なるから、バリア層の膜厚毎に成膜部の開口長を下記方式により調整する点に特徴を有する。即ち、ポリプロピレンフィルムが静止状態にある場合に、各成膜部はバリア層の膜厚方向の堆積速度としてRi(nm/分、i=1〜n)の性能を有するとすると、前記成膜装置により堆積されるべきバリア層の膜厚がDi(nm、i=1〜n)のとき堆積完了時間Ti(分)はTi=Di/Ri(分、i=1〜n)となる。また、前記ポリプロピレンフィルムが前記成膜部の夫々に対し共通した走行速度V(m/分)で走行するから、前記成膜部の夫々の開口部の走行方向の開口長をLi(m、i=1〜n)とすると、前記成膜部の夫々の開口長Li(m)をLi(m)=V(m/分)×Ti(分)=V(m/分)×Di/Ri(分)に調整すれば、目的とする多層の積層状態を実現でき、このように構成された包装用フィルムの製造装置を提供できる。
本発明の第10の形態によれば、包装用袋体を形成する包装用フィルムの製造装置が提供され、この製造装置の作動手順が製造方法を与える。ポリプロピレンフィルムの主面にn≧1であるn層のバリア層を積層する製造装置であり、ポリプロピレンフィルムを繰出ローラに卷装した繰出ロールと、前記繰出ロールから繰出されたポリプロピレンフィルムがドラム面に沿って走行するn個のドラムと、ポリプロピレンフィルムは、一つのドラム面から隣のドラム面へと送出されてn個のドラム面を次々と連続して走行するように配置され、各ドラムのドラム面にはポリプロピレンフィルムの主面に特定のバリア層を形成するために前記ポリプロピレンフィルム面に開口部を対向配置された特定の成膜部を配置し、前記成膜部の開口部から特定のバリア粒子をポリプロピレンフィルムの主面に放射して所定厚の特定のバリア層が堆積形成されるように構成されており、前記ポリプロピレンフィルムをn個のドラムに通過させることによりn層のバリア層が次々に積層されて送出される成膜済フィルムと、成膜済フィルムを巻取ローラに卷装した巻取ロールを配置して構成される包装用フィルムの製造装置が提供できる。
この装置は1台以上の成膜部をポリプロピレンフィルムの走行方向に直列した多連型ロールツーロール装置の中で、繰出ローラからポリプロピレンフィルムを走行させ、ポリプロピレンフィルムを安定走行させるためにn個のドラムを配置し、n個のドラム面に周回させながらポリプロピレンフィルムを走行させる点に特徴を有する。n個のドラム面の夫々に対して成膜部の開口部を対向配置している。走行途中で1台以上の成膜部でポリプロピレンフィルムにバリア層を積層状態で成膜し、成膜済フィルムを巻取ローラに連続的に卷装してゆく装置である。従って、包装用フィルムの連続製造効率が高い特徴を有する。
第1には、主面のうちポリプロピレンフィルムの表面に対し多層型ガスバリアを積層して巻取ロールへと巻き取る。次に、巻取ロールを繰出ロール側へと配置換えし、同様の手続きで、ポリプロピレンフィルムの裏面に対し多層型ガスバリアを積層し、巻取ロールへと巻き取る。その結果、ポリプロピレンフィルムの表面と裏面の両面に同じ積層型の多層型ガスバリアを積層し、両面式の包装用フィルムを提供できる。
第2には、前述した表面に多層型ガスバリアを積層した包装用フィルムを巻取ロールに巻装しておく。この配置のまま、この巻取ロールを繰出ロールとして隣接された別のロールツーロール装置で運転すると、ポリプロピレンフィルムの裏面に多層型ガスバリアを積層できるから、その巻取ロールには両面式の包装用フィルムが巻き取られることになる。
堆積速度が異なる1台以上の成膜部をポリプロピレンフィルムの走行方向に沿って直列配置するから、各ドラム面に対向配置された各成膜部を通過するポリプロピレンフィルムの走行速度は同一でなければならない。しかも成膜部毎に堆積速度、換言すれば成膜速度が異なるから、バリア層の膜厚毎に成膜部の開口長を下記方式により調整する点に特徴を有する。即ち、前記成膜部の夫々において、ポリプロピレンフィルムが静止状態にある場合にバリア層の膜厚方向の堆積速度としてRi(nm/分、i=1〜n)の性能を有するとすると、前記成膜部により堆積されるべきバリア層の膜厚がDi(nm、i=1〜n)であれば堆積完了時間Ti(分)はTi=Di/Ri(分、i=1〜n)となる。前記ポリプロピレンフィルムが前記成膜部の夫々に対し共通した走行速度V(m/分)で走行するから、前記成膜部の夫々の開口部の走行方向の開口長をLi(m)とすると、前記成膜部の夫々の開口長Li(m、i=1〜n)はLi(m)=V(m/分)×Ti(分)=V(m/分)×Di/Ri(分)に調整される包装用フィルムの製造装置が提供される。
本発明の第11の形態によれば、包装用袋体を形成する包装用フィルムの製造装置が提供され、この製造装置の作動手順が製造方法を与える。ポリプロピレンフィルムの表面と裏面に略同時的に多層型ガスバリアを形成することができ、換言すれば、表面には表面側多層型ガスバリアと裏面には裏面側多層型ガスバリアを形成でき、本装置の一回走行操作だけで両面に多層型ガスバリアを形成できる包装用フィルムの製造装置が提供される。しかも、表面側にはn層で裏面側にはm層形成でき、成膜部の種類・配置や個数を変化させれば、n層とm層の積層状態を自由自在に異ならせることもできる。n=mに設定し、表面側と裏面側の成膜部の配置も同一に設定すれば、表面と裏面の両面に同一の多層型ガスバリア層、即ちポリプロピレンフィルムの両面に面対称な多層型ガスバリア層を形成することもできる。
具体的には、ポリプロピレンフィルムの表面にn≧1であるn層のバリア層を積層し、裏面にm≧1であるm層のバリア層を積層する製造装置であり、ポリプロピレンフィルムを繰出ローラに卷装した繰出ロールと、前記繰出ロールから繰出されて走行する前記ポリプロピレンフィルムの表面にn個のバリア層を積層するために前記表面にn個の開口部を対向配置されたn個の成膜部が走行方向に順次配置され、且つ前記繰出ロールから繰出されて走行する前記ポリプロピレンフィルムの裏面にm個のバリア層を積層するために前記裏面にm個の開口部を対向配置されたm個の成膜部が走行方向に順次配置され、前記成膜部の開口部から特定のバリア粒子をポリプロピレンフィルムの表面及び裏面に放射して所定厚の特定のバリア層が表面及び裏面に順次に堆積形成されるように構成されており、前記ポリプロピレンフィルムを走行させることにより表面にn層及び裏面にm層のバリア層が次々に積層されて送出される成膜済フィルムと、成膜済フィルムを巻取ローラに卷装した巻取ロールを配置して構成される包装用フィルム製造装置が提供できる。
堆積速度が異なる1台以上の成膜部をポリプロピレンフィルムの表面側と裏面側に走行方向に沿って直列配置するから、ポリプロピレンフィルムの表裏面に対向配置された各成膜部を通過するポリプロピレンフィルムの走行速度は同一でなければならない。しかも成膜部毎に堆積速度、換言すれば成膜速度が異なるから、バリア層の膜厚毎に成膜部の開口長を下記方式により調整する点に特徴を有する。
即ち、前記成膜部の夫々において、ポリプロピレンフィルムが静止状態にある場合にバリア層の膜厚方向の堆積速度としてRi(nm/分、i=1〜n)及びRj(nm/分、j=1〜m)の性能を有する場合において、前記成膜部により堆積されるべきバリア層の膜厚がDi(nm、i=1〜n)及びDj(nm、j=1〜m)とすると堆積完了時間Ti(分)はTi=Di/Ri(分、i=1〜n)及びTj=Dj/Rj(分、j=1〜m)であり、前記ポリプロピレンフィルムが前記成膜部の夫々に対し共通した走行速度V(m/分)で走行するから、前記成膜部の夫々の開口部の走行方向の開口長をLi(m、i=1〜n)及びLj(m、j=1〜m)とすると、前記成膜部の夫々の開口長Li(m、i=1〜n)及びLj(m、j=1〜m)はLi(m)=V(m/分)×Ti(分)=V(m/分)×Di/Ri(分)、且つLj(m)=V(m/分)×Tj(分)=V(m/分)×Dj/Rj(分)に設定される包装用フィルムの製造装置が提供できる。
この包装用フィルムの製造装置により、繰出側から巻取側へポリプロピレンフィルムを一回だけ走行させれば、ポリプロピレンフィルムの表面と裏面の夫々に、所望通りの多層型ガスバリアを形成でき、従って、高速、高効率且つ高品質の包装用フィルムを量産することが可能になる。
本発明の第12の形態によれば、ドラム式装置により、ポリプロピレンフィルムの表面と裏面に略同時的に多層型ガスバリアを形成することができ、換言すれば、表面には表面側多層型ガスバリアと裏面には裏面側多層型ガスバリアを形成でき、本装置の一回走行操作だけで両面に多層型ガスバリアを一気に形成できる包装用フィルムの製造装置が提供される。しかも、表面側にはn層で裏面側にはm層形成でき、成膜部の種類・配置や個数を変化させれば、n層とm層の積層状態を自由自在に異ならせることもできる。n=mに設定し、表面側と裏面側の成膜部の種類・配置も同一に設定すれば、表面と裏面の両面に同一の多層型ガスバリア層、即ちポリプロピレンフィルムの両面に面対称な多層型ガスバリア層を形成することもできる。
具体的には、ポリプロピレンフィルムの表面にn≧1であるn層のバリア層を積層し、裏面にm≧1であるm層のバリア層を積層する製造装置であり、ポリプロピレンフィルムを繰出ローラに卷装した繰出ロールと、前記繰出ロールから繰出されたポリプロピレンフィルムがドラム面に沿って走行するn個のドラムと、ポリプロピレンフィルムは、一つのドラム面から隣のドラム面へと送出されてn個のドラム面を次々と連続して走行するように配置され、各ドラムのドラム面にはポリプロピレンフィルムの表面に特定のバリア層を形成するために前記表面に開口部を対向配置されたn個の成膜部が配置され、前記ドラム面以外の領域でポリプロピレンフィルムの裏面に特定のバリア層を形成するために前記裏面に開口部を対向配置されたm個の成膜部が配置され、前記成膜部の開口部から特定のバリア粒子をポリプロピレンフィルムの表面及び裏面に放射して所定厚の特定のバリア層が表面及び裏面に順次に堆積形成されるように構成されており、前記ポリプロピレンフィルムを通過させることにより前記表面にn層のバリア層及び前記裏面にm個のバリア層が次々に積層されて送出される成膜済フィルムと、成膜済フィルムを巻取ローラに卷装した巻取ロールを配置して構成される包装用フィルムの製造装置が提供できる。
堆積速度が異なる1台以上の成膜部をポリプロピレンフィルムの表面側と裏面側に走行方向に沿って直列配置するから、ポリプロピレンフィルムの表裏面に対向配置された各成膜部を通過するポリプロピレンフィルムの走行速度は同一でなければならない。しかも成膜部毎に堆積速度、換言すれば成膜速度が異なるから、バリア層の膜厚毎に成膜部の開口長を下記方式により調整する点に特徴を有する。
即ち、前記表面及び裏面の成膜部の夫々において、ポリプロピレンフィルムが静止状態にある場合にバリア層の膜厚方向の堆積速度としてRi(nm/分、i=1〜n)及びRj(nm/分、j=1〜m)の性能を有する場合、前記成膜部により堆積されるべきバリア層の膜厚がDi(nm、i=1〜n)及びDj(nm、j=1〜m)とすると堆積完了時間Ti(分)はTi=Di/Ri(分、i=1〜n)及びTj=Dj/Rj(分、j=1〜m)であり、前記ポリプロピレンフィルムが前記成膜部の夫々に対し共通した走行速度V(m/分)で走行するから、前記成膜部の夫々の開口部の走行方向の開口長をLi(m、i=1〜n)及びLj(m、j=1〜m)とすると、前記成膜部の夫々の開口長Li(m、i=1〜n)及びLj(m、j=1〜m)はLi(m)=V(m/分)×Ti(分)=V(m/分)×Di/Ri(分)、且つLj(m)=V(m/分)×Tj(分)=V(m/分)×Dj/Rj(分)に設定される包装用フィルムの製造装置である。
図1は、本発明に係る包装用袋体の断面図である。 図2は、本発明に係る包装用袋体に使用される包装用フィルムの各種実施形態の断面図である。 図3は、本発明に係る包装用フィルムのS層(SiOCN層)及びN層(SiCN層)の平面構造の一例を、本発明外のSiOCH層の立体構造と対比するS層・N層平面構造図である。 図4は、本発明に係る包装用フィルムのF層(SiCNF層)の二例を示したF層平面構造図である。 図5は、本発明に係る包装用フィルムにおいて、実施例1の両面SNF積層図及び実施例2の両面SSS積層図である。 図6は、本発明に係る包装用フィルムにおいて、実施例3の両面SSNF積層図及び実施例4のSFSFSF−SS積層図である。 図7は、本発明に係る包装用フィルムにおいて、実施例5のSSNNFF−SS積層図及び実施例6のSSNNFF−S積層図である。 図8は、本発明に係る包装用フィルムにおいて、実施例7の両面FFF積層図及び実施例8の両面FNSF積層図である。 図9は、本発明に係る包装用フィルムの製造装置に使用される加熱フィラメント型の成膜装置(成膜部)の一例の概略図である。 図10は、本発明に係る包装用フィルムの製造装置の中で、1台の成膜部を用いてポリプロピレンフィルムに1層のバリア層を成膜するロールツーロール型の製造装置の概略図である。 図11は、本発明に係る包装用フィルムの製造装置の中で、ポリプロピレンフィルムの走行を支持する支持体を用いポリプロピレンフィルムの片面に複数の成膜部を利用して多層のバリア膜を積層する製造装置の概略図である。 図12は、本発明に係る包装用フィルムの製造装置の中で、ポリプロピレンフィルムの走行を支持する複数のドラムを用いポリプロピレンフィルムの片面に複数の成膜部を利用して多層のバリア膜を積層する製造装置の概略図である。 図13は、本発明に係る包装用フィルムの製造装置の中で、走行するポリプロピレンフィルムの表面と裏面の夫々に対し複数の成膜部を配置して表面と裏面に略同時的に多層のバリア膜を積層する製造装置の概略図である 図14は、本発明に係る包装用フィルムの製造装置の中で、ポリプロピレンフィルムの走行を支持する複数のドラムを用い走行するポリプロピレンフィルムの表面と裏面の夫々に対し複数の成膜部を配置して表面と裏面に略同時的に多層のバリア膜を積層する製造装置の概略図である。
以下に、図面を参照しながら、本発明に係る包装用袋体及びそれに使用される包装用フィルムの製造装置並びに製造方法の実施形態を詳細に説明する。尚、同一部分又は同一機能を有する部分には、同一符号を付しており、特別な説明が必要でない限り、説明を省略する。
図1は、本発明に係る包装用袋体Aの断面図である。通常、包装用袋体Aは包装用フィルムAAにより囲繞され、内側には食品などの被収物Mを収容する内部空間IRが形成され、開口部が設けられている。開口部から被収物Mが内部空間IRに収容されると、開口部が封止されて密封状態になる。更に、図1に従って説明すると、上側の包装用フィルムAA1と下側の包装用フィルムAA2が重畳状態に配置され、包装用フィルムAA1の左側にある端縁AA11と包装用フィルムAA2の左側にある端縁AA21が相互に重なり、この重合部を例えばヒートシールして接合部Hが形成され、封止状態になる。右側の端縁AA11、AA21は開放状態であり、この開口部から食品などの被収物Mが内側に存在する内部空間IRに収容され、その後に開口部がヒートシールされて接合部Hが形成され、封止状態になる。その結果、内部空間IRは外気(例えば大気)から完全に密封される。
上側の包装用フィルムAA1と下側の包装用フィルムAA2は同一の断面構造を有し、基層としてポリプロピレンフィルムPPが配置され、このポリプロピレンフィルムPPの内側面ISには内側保護層PIが積層され、このポリプロピレンフィルムPPの外側面OSには外側保護層PEが積層されている。
下記に説明するように、内側保護層PIには内側バリア層IBが形成され、外側保護層PEには外側バリア層OBが形成され、内側バリア層IBと外側バリア層OBの相乗効果により外気(例えば大気)から侵入しようとする水蒸気や酸素や炭酸ガスなどの各種ガス分子の侵入を遮断する。
また、内側保護層PIには、前記内側バリア層IBに加えて酸素吸収層C1や水蒸気吸収層C2や炭酸ガス吸収層C3を積層することができ、食品などの被収物Mから発生する各種ガスを吸収して、被収物Mの変質を防止し、鮮度を保持することができる。また、抗菌層C4を積層すれば、食品などの被収物Mの衛生状態を確保して安全安心を達成できる。
更に、外側保護層PEには、前記外側バリア層OBに加えて各種の機能層F1を積層することができ、例えば断熱層や電磁遮断層や他の機能を達成できる機能層を積層して、被収物の安全安心な保全を達成することが可能である。
図2は、本発明に係る包装用袋体Aに使用される包装用フィルムAAの各種実施形態の断面図である。
(2A)では、ポリプロピレンフィルムPPの外側面OSには、外側バリア層OBが外側保護層PEとして形成されており、内側面ISには、内側バリア層IBが内側保護層PIとして形成されている。
(2B)では、ポリプロピレンフィルムPPの外側面OSには、外側バリア層OBが外側保護層PEとして形成されているが、内側面ISには、内側バリア層IBと酸素吸収層C1が内側保護層PIとして形成されている。
(2C)では、ポリプロピレンフィルムPPの外側面OSには、外側バリア層OBが外側保護層PEとして形成されており、他方、内側面ISには、内側バリア層IBと酸素吸収層C1と水蒸気吸収層C2が内側保護層PIとして形成されている。
(2D)では、ポリプロピレンフィルムPPの外側面OSには、外側バリア層OBと機能層F1が外側保護層PEとして形成されており、他方、内側面ISには、内側バリア層IBと酸素吸収層C1と水蒸気吸収層C2と炭酸ガス吸収層C3が内側保護層PIとして形成されている。
(2E)では、ポリプロピレンフィルムPPの外側面OSには、外側バリア層OBと機能層F1が外側保護層PEとして形成されており、他方、内側面ISには、内側バリア層IBと酸素吸収層C1と水蒸気吸収層C2と炭酸ガス吸収層C3と抗菌層C4が内側保護層PIとして形成されている。
酸素吸収層C1に使用される酸素吸収材としては、酸素吸収性樹脂フィルムが好ましい。例えば、エチレン系不飽和炭化水素ポリマー、主鎖エチレン系不飽和炭化水素ポリマー、ポリエーテルユニットポリマー、エチレンとシクロペンテン、シクロブテン、シクロプテン、シクロオクテン、シクロノネン、またはシクロヘキセンのコポリマー、ポリアミド樹脂、酸変性ポリブタジエン、ヒドロキシアルデヒドポリマーが使用できる。特に、上記の酸化性樹脂として、エチレン/メチルアクリレート/シクロヘキセニルメチルアクリレートターポリマー、シクロヘキセニルメチルアクリレート/エチレンコポリマー、シクロヘキセニルメチルアクリレート/スチレンコポリマー、シクロヘキセニルメチルアクリレートホモポリマーまたはメチルアクリレート/シクロヘキセニルメチルアクリレートコポリマー等を使用することが好ましい。
また、他の酸素吸収材料として、通常の還元性金属系材料又は自己酸化性合成樹脂が主に使用される。鉄系脱酸素剤としては、還元性鉄、酸化第一鉄、四三酸化鉄、炭化鉄、ケイ素鉄、鉄カルボニル、水酸化鉄などを例示できる。その他の還元性金属系材料としては、例えば、還元性亜鉛、還元性錫粉などが挙げられる。必要に応じて、還元性金属系材料と共に還元反応助触媒として、ハロゲン化金属、アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物などを併用することもできる。自己酸化性合成樹脂としては、通常の自己酸化性ポリオレフィン系樹脂が使用される。
水蒸気吸収層C2に使用される水蒸気吸収材としては、吸湿速度が高く、且つ低湿度下においても優れた吸湿能力を有し、更に腐食性や潮解性がない材料を使用することが好ましい。例えば、主成分としてゼオライト、モレキュラーシーブ、シリカゲル、活性化アルミナを挙げることができ、これらは単独で使用しても、二種以上を混合して使用してもよい。
炭酸ガス吸収層C3に使用される炭酸ガス吸収材としては、炭酸ガスを吸収する能力を有するアルカリ性物質であり、アルカリ金属の酸化物もしくはアルカリ土類金属の酸化物が好ましく用いられる。具体的には、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化ベリリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウムが挙げられる。
抗菌層C4に使用される抗菌材としては、銀塩、例えば、酢酸銀、安息香酸銀、臭素酸銀、臭化銀、炭酸銀、塩化銀、クエン酸銀、乳酸銀、酸化銀(I)、酸化銀(II)、シュウ酸銀、、リン酸銀、および亜硫酸銀、等が挙げられる。また、銀錯体の一例としては、ヒスチジン銀錯体、メチオニン銀錯体、システイン銀錯体、アスパラギン酸銀錯体、ピロリドンカルボン酸銀錯体、オキソテトラヒドロフランカルボン酸銀錯体またはイミダゾール銀錯体などが挙げられる。有機系抗菌剤としては、例えば、フェノールエーテル誘導体、イミダゾール誘導体、スルホン誘導体、N−ハロアルキルチオ化合物、アニリド誘導体、ピロール誘導体、第4アンモニウム塩、ピリジン系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾイソチアゾリン系化合物、又はイソチアゾリン系化合物等が挙げられる。その他、銅、亜鉛、ニッケル等の金属や金属イオンを担体に担持させたものが挙げられる。
図3は、本発明に係るポリプロピレンフィルムのS層(SiOCN層)及びN層(SiCN層)の平面構造の一例を、本発明外のSiOCH層の立体構造と対比するS層・N層平面構造図である。
(3A)は、特許文献1に示された、SiOCH層からなるバリア層の立体構造図である。H原子は浮遊結合手に結合しているから、H原子を除いてSiOC層と言ってもよい。4価のSi原子と4価のC原子と2価のO原子が相互に結合して立体構造を取りながらバリア層を形成している。以下に説明するバリア層も実際には(3A)に類似した立体構造を取っていることを理解しておく。
(3B)は本発明に係るS層、即ちSiOCN層の立体構造を簡易に説明する平面構造の一例である。4価のSi原子と4価のC原子が2価のO原子と3価のN原子により相互に結合して格子を構成する。しかし、3価のN原子の結合手がO原子により阻止されて結合せずに浮遊状態になり、浮遊結合手(ダングリングボンド)vとなっている。この浮遊結合手vが多いほど、ポリプロピレンフィルムに強固に結合し、また他の層とも結合し易い。従って、浮遊結合手vを大量に有するS層はポリプロピレンフィルムと強力に結合するバリア層の第1層として使用される。
(3C)は本発明に係るN層、即ちSiCN層の立体構造を簡易に説明する平面構造の一例である。4価のSi原子と4価のC原子が3価のN原子により相互に結合して格子を構成する。3価のN原子とN原子は相互に結合して浮遊結合手vを生じないが、過剰なN原子は結合する相手がいないため浮遊結合手vを生成する。従って、N層は少量の浮遊結合手vを有しており、上層と下層により狭着された中間層として使用される性質を有する。
図4は、本発明に係る包装用フィルムのF層(SiCNF層)の二例を示したF層平面構造図である。
(4A)は少量のF原子の添加により浮遊結合手vを大量に生じる場合のF層平面構造図である。F層では、4価のSi原子と4価のC原子と3価のN原子が格子を構成し、N原子の全てに1価のF原子が結合すると浮遊結合手が無くなる。しかし、F原子の添加が少量なら、1価のF原子が全てのN原子と結合しても、過剰なN原子から浮遊結合手vが大量に生じる。従って、浮遊結合手vが大量に生じたF層は、S層と同様に、ポリプロピレンフィルムに強固に結合しバリア層の第1層として利用される。また、F層中の浮遊結合手vが中程度の量であれば、N層と同様に、中間層としても利用できる。
(4B)は大量のF原子の添加により浮遊結合手vを激減させた場合のF層平面構造図である。上述したように、F層では、4価のSi原子と4価のC原子と3価のN原子が格子を構成し、N原子の全てに1価のF原子が結合すると浮遊結合手が無くなる。F原子の添加が大量なら、1価のF原子が殆どのN原子と結合し、少しだけ過剰なN原子から少量の浮遊結合手vが生じる。このように少量の浮遊結合手を持ったF層は、下側のバリア層に結合して、バリア層の中の最外層として好適に利用される。最外層であれば、その上の層を吸引する必要も無く、しかも浮遊結合手が微量であるから、大気中からの他の物質と結合することもなく、ポリプロピレンフィルムが汚れにくいという技術的効果を有する。
また、歯のフッ素コーティングにより虫歯を予防したり、フライパンのフッ素樹脂加工により焦げ付きが無くなる、ということから分かるように、F原子を添加したF層をバリア層の最外層に配置すれば、バリア層の表面に汚れが付着しにくいことが理解できる。
上述したように、S層は第1層、N層は中間層、F層はF原子の添加量に応じて第1層、中間層又は最外層に利用し易い性質を有している。また、以下で、ポリプロピレンフィルムの主面とは表面又は裏面のことであり、表面とはその一方の面で、裏面とはその他方の面のことであり、表面と裏面には実体的な相違は無い。
[実施例1〜8:表面3層以上で裏面1層以上、第1層がS層又はF層]
表1では、50μm厚のポリプロピレンフィルム(PP)の表面に3層以上及び裏面に1層以上の各種のバリア層を層厚100nmで積層し、第1層はS層又はF層で、第2層以上はS層、N層又はF層である実施例1〜実施例8が構成され、それらのガスバリア性を水蒸気透過率(WVTR)で評価した。この表1は、本発明の第1形態に相当している。
また、両面に同一積層形態のバリア層は、例えば[第1層、第2層、第3層]と表示され、表面側バリア層と裏面側バリア層の積層形態が異なる場合には、[表面側第1層第2層第3層−裏面側第1層第2層]と表示される。
Figure 2019077452
表1によれば、実施例1は[S、N、F]、実施例2は[S、S、S]、実施例3は[S、S、N、F]、実施例4は[SFSFSF−SS]、実施例5は[SSNNFF−SS]、実施例6は[SSNNFF−S]、実施例7は[F、F、F]並びに実施例8は[F、N、S、F]である。この内、水蒸気透過率が10−3〜10−4(g/m2/day)にある超ハイバリア特性を有しているのは実施例7だけであり、水蒸気透過率が10−5〜10−6(g/m2/day)にある極超ハイバリア特性を有しているのは実施例7を除く7実施例である。いずれにしても、実施例1〜8は極めて高い水蒸気透過率を有した包装用袋体に使用される包装用フィルムを実現している。従って、表面3層以上で裏面1層以上、第1層がS層又はF層であり、且つ第2層以上はS層、N層又はF層で構成された包装用袋体に使用される包装用フィルムの殆どは、水蒸気透過率が10−5〜10−6(g/m2/day)にある極超ハイバリア特性を示すことが実証された。
実施例2の[S、S、S]は両面3層共に膜厚100nmのS層であるが、実際には同じ成膜装置で膜厚300nmのS層を形成したものである。従って、S層とS層との境界は存在しない。他方、実施例7の[F、F、F]は両面3層共にF層であるが、第1層のF層はF原子の添加量を低減して浮遊結合手vを増加させたF層で、第2層のF層はF原子の添加量を増加させて浮遊結合手vを中間量にし、第3層のF層はF原子の添加量を更に増加させて浮遊結合手vを極端に低減させたF層である。従って、F層とF層の境界が存在している。しかし、[F、F、F]の水蒸気透過率が一番高いことが分かる。
次に、実施例1〜実施例8の包装用フィルムの積層状態を図3〜図6に具体的に示す。
図5は、本発明に係る包装用フィルムにおいて、上記実施例1の両面SNF積層図及び上記実施例2の両面SSS積層図である。
(5A)は実施例1の両面SNF積層図を示しており、ポリプロピレンフィルム2の表面側バリア層10は表面側第1層11、表面側第2層12及び表面側第3層13からなり、裏面側バリア層20は裏面側第1層21、裏面側第2層22及び裏面側第3層23から構成されている。積層物質が各層ごとに異なるため、各層の境界が存在し、実線で示されている。
(5B)は実施例2の両面SSS積層図を示しており、ポリプロピレンフィルム2の表面側バリア層10と裏面側バリア層20は共に3層のS層が積層されたものである。同じ成膜装置で300nm積層しているから、各S層の間には明確な境界は存在せず、点線で境界が示されている。
図6は、本発明に係る包装用フィルムにおいて、上記実施例3の両面SSNF積層図及び上記実施例4の片面SFSFSF−SS積層図である。
(6A)は実施例3の両面SSNF積層図を示しており、ポリプロピレンフィルム2の表面側バリア層10は表面側第1層11〜表面側第4層14からなり、裏面側バリア層20は裏面側第1層21〜裏面側第4層24から構成されている。第1層と第2層が共にS層であり、その境界は点線で示され、他の境界は実線で示されている。
(6B)は実施例4の片面SFSFSF−SS積層図を示しており、ポリプロピレンフィルム2の表面側バリア層10は表面側第1層11〜表面側第6層16から構成され、裏面側バリア層20は裏面側第1層21と裏面側第2層22が積層されている。異物質層相互の境界は実線で示され、同物質層同士の境界は点線で示されている。
図7は、本発明に係る包装用フィルムにおいて、実施例5の片面SSNNFF−SS積層図及び実施例6の片面SSNNFF−S積層図である。
(7A)は実施例5の片面SSNNFF−SS積層図を示しており、ポリプロピレンフィルム2の表面側バリア層10は表面側第1層11〜表面側第6層16からなり、裏面側バリア層20は裏面側第1層21と裏面側第2層22から構成されている。同物質層同士の境界は点線で示され、異物質層同士の境界は実線で示されている。
(7B)は実施例6の片面SSNNFF−S積層図を示しており、ポリプロピレンフィルム2の表面側バリア層10は表面側第1層11〜表面側第6層16から構成され、裏面側バリア層20は裏面側第1層21のみから構成される。異物質層相互の境界は実線で示され、同物質層同士の境界は点線で示されている。
図8は、本発明に係る包装用フィルムにおいて、実施例7の両面FFF積層図及び実施例8の両面FNSF積層図である。
(8A)は実施例7の両面FFF積層図を示しており、ポリプロピレンフィルム2の表面側バリア層10は表面側第1層11〜表面側第3層13からなり、裏面側バリア層20は裏面側第1層21〜裏面側第3層23から構成されている。全ての層がF層であるから、境界は全て点線で示される。
(8B)は実施例8の両面FNSF積層図を示しており、ポリプロピレンフィルム2の表面側バリア層10は表面側第1層11〜表面側第4層14から構成され、裏面側バリア層20は裏面側第1層21〜裏面側第4層24から構成される。全ての層が異物質層であるから、境界は全て実線で示されている。
[実施例11〜18:表裏面3層以上で同積層数、第1層がS層又はF層]
表2では、50μm厚のポリプロピレンフィルム(PP)の表面及び裏面にバリア層を層厚100nmで3層以上積層して且つ表裏共に同積層数で、第1層はS層又はF層で、第2層以上はS層、N層又はF層である実施例11〜実施例18が構成されており、それらのガスバリア性を水蒸気透過率(WVTR)で評価した。この表2は本発明の第2形態に相当する。
Figure 2019077452
表2によれば、実施例11は[S、N、F]、実施例12は[SNS−SSS]、実施例13は[FSN−FNS]、実施例14は[FSN−FNN]、実施例15は[S、S、N、F]、実施例16は[SNNF−SNFS]、実施例117は[FSNF−SNFF]並びに実施例18は[F、N、S、F]である。
実施例11〜実施例18の水蒸気透過率は全て10−5〜10−6(g/m2/day)の範囲にあり、全ての実施例が極超ハイバリア特性を有していることが実証された。
また、実施例11〜実施例18に対し、フィルムが撓んだり捩れたりするフィルム歪特性が測定され、フィルム歪が無い方から優は◎、良は〇、可は△で評価された。優の評価は実施例11、15及び18の3例だけで、表面側バリア層と裏面側バリア層の積層状態が完全同一のものばかりであった。良の評価は、実施例12、13及び17の3例だけで、積層順序が異なるだけで構成する物質層が同一の積層形態と、実施例12のように表面SNSと裏面SSSが殆ど同じ積層形態のものであった。可の△は、実施例14と16の2例だけで、表面側と裏面側で積層形態がかなり異なるものであった。即ち、表面側と裏面側の積層形態が完全同一の場合には、表面側と裏面側の力学的条件が同一になり、フィルム歪が無い良好な特性が最高度である結果が得られた。この結果は極めて常識に適っていると考えられる。
[実施例21〜28:表裏面3・4層で同数、第1層S・F層で最外F層]
表3は、表2の実施例11〜実施例18で作成された各包装用フィルムを1カ月間室内に放置して表面及び裏面の汚れを目視で観察した結果を与える。フィルム面汚れについて、汚れの無い方から優は◎、良は〇、可は△で評価した。その結果を、実施例21〜実施例28としている。実施例21〜実施例28の水蒸気透過率(WVTR)とフィルム歪は、実施例11〜実施例18の夫々に一致していることは言うまでもない。この表3は本発明の第3形態に相当する。
Figure 2019077452
表3によれば、表面側最外層と裏面側最外層が共にF層で構成されている実施例21、25、27、28の4例だけが優であった。また、表面側最外層と裏面側最外層の両者又は片方がF層で無い実施例22、23、24、26の4例が良であった。このことから、表面側最外層と裏面側最外層が共にF層で構成される積層形態がフィルム面の清浄性が保持できることが分かった。前述したように、F原子を多量に添加してN原子の浮遊結合手を潰したF層は、浮遊結合手が極めて少ないから、最外層のF層が大気中に暴露されても、他の原子や汚れが結合・付着しない性質を有する。この性質が表3により実証された。
[実施例21、25、27、28:表3と同条件で中間層にN層を配置]
表4は、表3の実施例11〜実施例18の中で、表面側と裏面側の両者に中間層としてN層を包含した積層形態を一覧表にしたもので、具体的には実施例21、25、27、28の4例から構成される。この表4は本発明の第4形態に相当する。
Figure 2019077452
この表4から明白な様に、上記の4例では、水蒸気透過率は全て10−5〜10−6(g/m2/day)の極超ハイバリア特性を有し、フィルム歪特性は殆どが優(◎)で、フィルム汚れ特性は全て優(◎)である。従って、かなり優秀な包装用フィルムを提供することができる。
[実施例21、25、28:表4と同条件でポリプロピレンフィルムに関し面対称]
表5は、表4の実施例21、25、27、28の中から、ポリプロピレンフィルムを対称面として積層形態が面対称に構成される積層形態を選択したもので、実施例21、25、28の3例が含まれる。この表5は本発明の第5形態に相当する。
Figure 2019077452
この表5から明白な様に、上記の3例では、水蒸気透過率は全て10−5〜10−6(g/m2/day)の極超ハイバリア特性を有し、フィルム歪特性は全てが優(◎)で、フィルム汚れ特性は全てが優(◎)という最高特性を与えることが分かった。従って、この条件を満足すれば、最高度に優秀な包装用フィルムを提供し製造することが可能になる。
[実施例31〜33:表5と同条件で各層の層厚が200nm]
表6は、表5と同一の積層形態を有し、各層の層厚を200nmにした場合の実施例31、32、33を一覧化したものである。この表6は本発明の第6形態に相当する。
Figure 2019077452
この表6から明白な様に、上記の3例では、水蒸気透過率は全て10−5〜10−6(g/m2/day)の極超ハイバリア特性を有し、表5の水蒸気透過率よりもかなり向上している。しかも、フィルム歪特性は全てが優(◎)で、フィルム汚れ特性は全てが優(◎)という最高特性を与えることが分かった。従って、この条件を満足すれば、最高度に優秀な包装用フィルムを提供し製造することが可能になる。層厚をどこまで厚くするかは、コストと性能との絡みの中できめられる。
図9は、本発明に係る包装用フィルムの製造装置に使用される加熱フィラメント型の成膜装置(成膜部)の一例の概略図である。
成膜装置30は、反応容器31の入口側に原料ガス導入口32を、また出口側に排気ガスの排気口33を設けられ、反応容器31の内部には外部の電源35により通電制御される加熱フィラメント34が配置され、前記加熱フィラメント34に対向して台36の上面に基板37が配置されている。この基板37は樹脂版でもよいし、ポリプロピレンフィルムでもよい。
原料ガスを原料ガス導入口32から矢印a方向に送入し、赤熱した加熱フィラメント34により原料ガスが分解・会合して無数のバリア粒子pが生成され、これらのバリア粒子pが基板37の表面に堆積して、基板37の表面にバリア層39が形成される。不要な排気ガスは排気口33から矢印c方向に排出される。
成膜装置としては、上記した加熱フィラメント型の成膜装置でもよいし、プラズマ型成膜装置でもよいし、これらを組み合わせた加熱フィラメントプラズマ型成膜装置でもよい。本発明に係るS層、N層及びF層を製造できる成膜装置であれば、上記装置以外の装置でも構わない。
S層を形成する一例として、特許文献2に記載されるように、ジメチルシランガスとスチレン蒸気との混合ガスを反応容器31に導入し、赤熱したWフィラメント34により急激な合成反応が生じ、バリア粒子pが基板の表面上に堆積してS層を形成することができる。また、N層を形成する一例として、特許文献3に記載されるように、アルキルシランガスとアンモニアガス、水素及び窒素を混合して加熱フィラメント34で合成させるとバリア粒子pが合成され、このバリア粒子が基板の表面上に堆積してN層を形成することができる。更に、F層を形成する一例として、上記N層用の原料ガスにフッ素ガスを添加するとバリア粒子pが合成され、このバリア粒子pが基板37の表面上に堆積してF層が形成された。これらの例はS層、N層、F層を形成する一例でしかなく、これら以外のS層、N層、F層を形成する全ての製造法が本発明において利用できることは言うまでもない。
図10は、本発明に係る包装用フィルムの製造装置の中で、1台の成膜部(成膜装置)を用いてポリプロピレンフィルムに1層のバリア層を成膜するロールツーロール型の製造装置の概略図である。
当該ガスバリアフィルム製造装置40は、ポリプロピレンフィルム42を繰出ローラ41に卷装した繰出ロール43と、この繰出ロール43から矢印d方向に繰出されたポリプロピレンフィルム42を矢印e方向に走行させながら、走行中の前記ポリプロピレンフィルム42の主面にバリア層39を形成するために前記ポリプロピレンフィルム42の主面に開口部38を対向させて配置される成膜部30と、前記成膜部30の開口部38からバリア粒子pをポリプロピレンフィルム42の主面に矢印b方向に放射して所定厚のバリア層39が堆積形成された成膜済フィルム46と、この成膜済フィルム46を矢印f方向に巻取ローラ48に卷装した巻取ロール49から構成されている。
前記成膜部30は図9で説明した加熱フィラメント型成膜装置からなり、原料ガス導入口34から原料ガスを矢印a方向に供給し、電源35の通電制御により赤熱した加熱フィラメントで前記原料ガスを分解・会合させてバリア粒子pを大量に製造し、これらのバリア粒子pを開口部38から矢印b方向に放射して、ポリプロピレンフィルム42の主面にバリア粒子を堆積させてバリア層39を形成している。開口長L(m)は開口部38のポリプロピレンフィルム42の走行方向の長さであり、ポリプロピレンフィルム42が走行中に前記開口部38に対面している間にバリア層39がポリプロピレンフィルム42の主面にドットのように堆積して成膜される。ポリプロピレンフィルム42はバリア層39が成膜されて成膜済フィルム46となり、この成膜済フィルム46を巻取モータ47の駆動で巻取ローラ48に巻き取って巻取ロール49になる。
この包装用フィルムの製造装置において、前記成膜部30は、ポリプロピレンフィルム42が静止状態にある場合にバリア層39の膜厚方向の堆積速度としてR(nm/分)の性能を有しているとする。前記成膜部30により堆積されるべきバリア層の膜厚をD(nm)とすると、堆積完了時間T(分)はT=D/Rで与えられる。つまり、この堆積完了時間T(分)の間、ポリプロピレンフィルム42は前記開口部38に連続的に対面する必要がある。そのために、前記成膜部30の開口部38の走行方向の開口長がL(m)とすると、前記ポリプロピレンフィルム42の走行速度V(m/分)はL/T(m/分)に設定される。即ち、V=LR/Dで与えられる走行速度V(m/分)に設定される必要がある。当該ガスバリアフィルム製造装置40はこの走行速度設定に特徴を有している。
図11は、本発明に係る包装用フィルムの製造装置の中で、ポリプロピレンフィルムの走行を支持する支持体を用いポリプロピレンフィルムの片面に複数の成膜部を利用して多層のバリア膜を積層する製造装置の概略図である。
包装用フィルム製造装置40は、ポリプロピレンフィルム42の主面にn≧1であるn層のバリア層39を積層する製造装置であり、特にn=3、即ち3層のバリア層39a、39b、39cを積層して成膜する場合を示している。
当該製造装置40は、ポリプロピレンフィルム42を繰出ローラ41に卷装した繰出ロール43と、矢印d方向に繰出されたポリプロピレンフィルム42を矢印e方向に走行させて支持する支持体44と、前記支持体44の支持面45を走行する前記ポリプロピレンフィルム42の主面にn=3個のバリア層39a、39b、39cを積層するために前記主面にn=3個の開口部38a、38b、38cを対向配置されたn=3個の成膜部30a、30b、30cが走行方向に直列状に順次配置されている。
前記成膜部30a、30b、30cの開口部38a、38b、38cから特定のバリア粒子pを矢印b方向にポリプロピレンフィルム42の主面に放射して所定厚の特定のバリア層39が堆積形成されるように構成されており、前記ポリプロピレンフィルム42をn=3個の開口部38a、38b、38cに通過させることによりn=3層のバリア層39a、39b、39cが次々に積層されて成膜済フィルム46が送出され、この成膜済フィルム46を巻取ローラ48で矢印f方向に巻き取って巻取ロール49とするように、当該製造装置40は構成されている。
上記支持体44の支持面45は平坦な板面でもよいし、フリーローラでもよいし、これらに代わる他の手段であってもよく、走行状態にあるポリプロピレンフィルムの主面を傷付けない手段であればよい。
前記成膜部30a、30b、30cの夫々において、ポリプロピレンフィルム42が静止状態にある場合にバリア層39a、39b、39cの膜厚方向の堆積速度としてRi(nm/分、i=1〜3)の性能を有しているとする。前記成膜部30a、30b、30cにより堆積されるべきバリア層39a、39b、39cの膜厚がDi(nm、i=1〜3)とすると、各バリア層39a、39b、39cの堆積完了時間Ti(分)はTi=Di/Riである。前記ポリプロピレンフィルム42が前記成膜部30a、30b、30cの夫々に対し共通した走行速度V(m/分)で走行する必要があるから、前記成膜部30a、30b、30cの夫々の開口部38a、38b、38cの走行方向の開口長をLi(m、i=1〜3)とすると、前記成膜部の夫々の開口長Li(m)はLi(m)=V(m/分)×Ti(分)=V(m/分)×Di/Ri(分)に設定される必要がある。当該ガスバリアフィルム製造装置40はこの開口長の設定に特徴を有している。
この包装用フィルムの製造装置40を用いて、本発明に係る包装用フィルムを製造してみる。
例えば、具体的に、第1層がS層、第2層がN層、第3層がF層の3層型ガスバリアの包装用フィルムを製造する場合を考える。この場合には、n=3に相当し、3段の成膜部が必要になる。つまり、前記成膜部30aはS層製造用の成膜部であり、前記成膜部30bはN層製造用の成膜部であり、前記成膜部30cはF層製造用の成膜部であればよい。1回目の走行によりポリプロピレンフィルムの表面に3層を形成し、2回目の走行によりポリプロピレンフィルムの裏面に3層を形成すれば、ポリプロピレンフィルムの両面に3層を面対称に形成した3層型ガスバリアフィルムを製造することができる。
図12は、本発明に係る包装用フィルムの製造装置の中で、ポリプロピレンフィルムの走行を支持する複数のドラムを用い複数台の成膜部を利用して多層のバリア膜を積層する製造装置の概略図である。
包装用フィルム製造装置40は、ポリプロピレンフィルム42の主面にn≧1であるn層のバリア層39を積層する製造装置であり、特にn=3、即ち3層のバリア層39a、39b、39cを積層して成膜する場合を示している。
当該製造装置40は、ポリプロピレンフィルム42の主面にn=3の3層のバリア層39a、39b、39cを積層する製造装置であり、ポリプロピレンフィルム42を繰出ローラ41に卷装した繰出ロール43と、前記繰出ロール43から矢印d方向に繰出されたポリプロピレンフィルム42がドラム面51a、51b、51cに沿って走行する3個のドラム50a、50b、50cと、ポリプロピレンフィルム42は、一つのドラム面から隣のドラム面へと送出されて3個のドラム面51a、51b、51cを次々と連続して走行するように配置されている。また、ポリプロピレンフィルム42の方向転回には小ローラ52a、52b、52c、52dが用いられる。
各ドラム50a、50b、50cのドラム面51a、51b、51cにはポリプロピレンフィルムの主面に特定のバリア層を形成するために前記ポリプロピレンフィルム42の主面に開口部38a、38b、38cを対向配置された特定の成膜部30a、30b、30cを配置し、前記成膜部30a、30b、30cの開口部38a、38b、38cから特定のバリア粒子pをポリプロピレンフィルム42の主面に放射して所定厚の特定のバリア層39a、39b、39cが堆積形成されるように構成されている。その結果、前記ポリプロピレンフィルム42を3個のドラム50a、50b、50cに通過させることにより3層のバリア層39a、39b、39cが次々に積層されて成膜済フィルム46が送出され、この成膜済フィルム46を巻取ローラ48に卷装して巻取ロール49とする。
前記成膜部30a、30b、30cの夫々において、ポリプロピレンフィルム42が静止状態にある場合にバリア層39a、39b、39cの膜厚方向の堆積速度としてRi(nm/分、i=1〜3)の性能を有しているとする。前記成膜部30a、30b、30cにより堆積されるべきバリア層39a、39b、39cの膜厚がDi(nm、i=1〜3)とすると、各バリア層39a、39b、39cの堆積完了時間Ti(分)はTi=Di/Ri(分、i=1〜3)である。前記ポリプロピレンフィルム42が前記成膜部30a、30b、30cの夫々に対し共通した走行速度V(m/分)で走行する必要があるから、前記成膜部30a、30b、30cの夫々の開口部38a、38b、38cの走行方向の開口長をLi(m、i=1〜3)とすると、前記成膜部の夫々の開口長Li(m)はLi(m)=V(m/分)×Ti(分)=V(m/分)×Di/Ri(分)に設定される必要がある。当該包装用フィルム製造装置40はこの開口長の設定に特徴を有している。
この包装用フィルム製造装置40を用いて、本発明に係る包装用フィルムを製造してみる。
例えば、具体的に、第1層がS層、第2層がN層、第3層がF層の3層型ガスバリアの包装用フィルムを製造する場合を考える。この場合には、n=3に相当し、3段の成膜部が必要になる。つまり、前記成膜部30aはS層製造用の成膜部であり、前記成膜部30bはN層製造用の成膜部であり、前記成膜部30cはF層製造用の成膜部であればよい。1回目走行ではポリプロピレンフィルムの表面に3層を形成し、2回目走行ではポリプロピレンフィルムの裏面に3層を形成すれば、ポリプロピレンフィルムの両面に3層を面対称に形成した3層型ガスバリアフィルムを製造することができる。
図13は、本発明に係る包装用フィルムの製造装置の中で、走行するポリプロピレンフィルムの表面と裏面の夫々に対し複数の成膜部を配置して表面と裏面に略同時的に多層のバリア膜を積層する製造装置の概略図である
包装用フィルムの製造装置40は、ポリプロピレンフィルム42の表面にn≧1であるn層のバリア層39を積層すると同時に、ポリプロピレンフィルム42の裏面にm≧1であるm層のバリア層39を積層する製造装置であり、表面にn層で裏面にm層のバリア層を同時的に形成できる装置である。特に、ポリプロピレンフィルムを1回だけ走行させるだけで、n=3及びm=3として、即ち表面に3層のバリア層39a、39b、39cを積層し、裏面に3層のバリア層39d、39e、39fを積層して同時成膜する場合を示している。
当該製造装置40は、ポリプロピレンフィルム42を繰出ローラ41に卷装した繰出ロール43と、矢印d方向に繰出されたポリプロピレンフィルム42を矢印e方向に走行させる。前記ポリプロピレンフィルム42の表面には、n=3個のバリア層39a、39b、39cを積層するために前記主面にn=3個の開口部38a、38b、38cを対向配置されたn=3個の成膜部30a、30b、30cが走行方向に直列状に順次配置されている。しかも、前記ポリプロピレンフィルム42の裏面には、n=3個のバリア層39d、39e、39fを積層するために前記裏面にn=3個の開口部38d、38e、38fを対向配置されたn=3個の成膜部30d、30e、30fが走行方向に直列状に順次配置されている。
前記成膜部30a、30b、30cの開口部38a、38b、38cから特定のバリア粒子pを矢印b方向にポリプロピレンフィルム42の表面に放射し、同時に前記成膜部30d、30e、30fの開口部38d、38e、38fから特定のバリア粒子pを矢印b方向にポリプロピレンフィルム42の裏面に放射して所定厚の特定のバリア層39が表面と裏面に同時的に堆積形成されるように構成されている。前記ポリプロピレンフィルム42の表面と裏面をn=3個及びm=3個の開口部38a、38b、38c、38d、38e、38fに通過させることによりn=3層のバリア層39a、39b、39cとm=3層のバリア層39d、39e、39fが次々に積層されて成膜済フィルム46が送出される。この成膜済フィルム46を巻取ローラ48で矢印f方向に巻き取って巻取ロール49とするように、当該製造装置40は構成されている。
ポリプロピレンフィルム42を安定して走行させるには、支持体やフリーローラ等の手段が用いられてもよく、走行状態にあるポリプロピレンフィルムの表面と裏面を傷付けない手段であれば何でもよい。
前記成膜部30a、30b、30c及び30d、30e、30fの夫々において、ポリプロピレンフィルム42が静止状態にある場合にバリア層39a、39b、39c及び39d、39e、39fの膜厚方向の堆積速度としてRi(nm/分、i=1〜3)及びRj(nm/分、j=1〜3)の性能を有しているとする。前記成膜部30a、30b、30c及び30d、30e、30fにより堆積されるべきバリア層39a、39b、39c及び39d、39e、39fの膜厚がDi(nm、i=1〜3)及びDj(nm、j=1〜3)とすると、各バリア層39a、39b、39c及び39d、39e、39fの堆積完了時間Ti(分)及びTj(分)はTi=Di/Ri及びTj=Dj/Rjである。前記ポリプロピレンフィルム42が前記成膜部30a、30b、30c及び30d、30e、30fの夫々に対し共通した走行速度V(m/分)で走行する必要があるから、前記成膜部30a、30b、30c及び30d、30e、30fの夫々の開口部38a、38b、38c及び38d、38e、38fの走行方向の開口長をLi(m、i=1〜3)及びLj(m、j=1〜3)とすると、前記成膜部の夫々の開口長Li(m)及びLj(m)はLi(m)=V(m/分)×Ti(分)=V(m/分)×Di/Ri(分)並びにLj(m)=V(m/分)×Tj(分)=V(m/分)×Dj/Rj(分)に設定される必要がある。当該包装用フィルム製造装置40はこの開口長の設定に特徴を有している。
この包装用フィルム製造装置40を用いて、本発明に係る包装用フィルムを製造してみる。
例えば、具体的に、ポリプロピレンフィルム42の両面に、第1層がS層、第2層がN層、第3層がF層の両面3層型ガスバリアフィルムを製造する場合を考える。この場合には、n=3及びm=3に相当し、両面夫々に3段の成膜部が必要になる。つまり、前記成膜部30a、30dはS層製造用の成膜部であり、前記成膜部30b、30eはN層製造用の成膜部であり、前記成膜部30c、30fはF層製造用の成膜部であればよい。1回の走行だけでポリプロピレンフィルムの表面及び裏面の夫々に3層を形成でき、成膜部の種類を同等にすれば、ポリプロピレンフィルムの両面に3層を面対称に形成した3層型ガスバリアの包装用フィルムを製造することができる。
この包装用フィルムの製造装置40を用いれば、表面にn層で裏面にm層からなる種々の構成の包装用フィルムを製造できることは言うまでもない。
図14は、本発明に係る包装用フィルムの製造装置の中で、ポリプロピレンフィルムの走行を支持する複数のドラムを用い走行するポリプロピレンフィルムの表面と裏面の夫々に対し複数の成膜部を配置して表面と裏面に略同時的に多層のバリア膜を積層する製造装置の概略図である。
包装用フィルムの製造装置40は、ポリプロピレンフィルム42の表面にn≧1であるn層のバリア層39並びに裏面にm≧1であるm層のバリア層39を積層する製造装置であり、特にn=3及びm=3、即ち各3層のバリア層39a、39b、39c及び39d、39e、39fを積層して成膜する場合を示している。
当該製造装置40は、ポリプロピレンフィルム42の表面にn=3の3層のバリア層39a、39b、39c並びに裏面にm=3の3層のバリア層39d、39e、39fを積層する製造装置であり、ポリプロピレンフィルム42を繰出ローラ41に卷装した繰出ロール43と、前記繰出ロール43を矢印d方向に回転させてポリプロピレンフィルム42を矢印e方向に繰出し、ポリプロピレンフィルム42の表面がドラム面51a、51b、51cに沿って走行する3個のドラム50a、50b、50cと、ポリプロピレンフィルム42は、一つのドラム面から隣のドラム面へと送出されて3個のドラム面51a、51b、51cを次々と連続して走行するように配置されている。また、ポリプロピレンフィルム42の方向転回には小ローラ52a、52b、52c、52dが用いられる。
各ドラム50a、50b、50cのドラム面51a、51b、51cにはポリプロピレンフィルムの表面に特定のバリア層を形成するために前記ポリプロピレンフィルム42の表面に開口部38a、38b、38cを対向配置された特定の成膜部30a、30b、30cが配置されている。同時に、ポリプロピレンフィルム42の裏面に対向して、小ローラ52a、52b、52cとドラム50a、50b、50cの間には、成膜部30d、30e、30fが配置されている。前記成膜部30a、30b、30cの開口部38a、38b、38c並びに成膜部30d、30e、30fの開口部38d、38e、38fから特定のバリア粒子pをポリプロピレンフィルム42の表面と裏面に放射して所定厚の特定のバリア層39a、39b、39c及び39d、39e、39fが堆積形成されるように構成されている。その結果、前記ポリプロピレンフィルム42を3個のドラム50a、50b、50cに通過させることにより、表面に3層のバリア層39a、39b、39c及び裏面に3層のバリア層39d、39e、39fが次々に積層されて成膜済フィルム46が送出され、この成膜済フィルム46を巻取ローラ48に卷装して巻取ロール49としている。
前記成膜部30a、30b、30c及び30d、30e、30fの夫々において、ポリプロピレンフィルム42が静止状態にある場合にバリア層39a、39b、39c及び39d、39e、39fの膜厚方向の堆積速度としてRi(nm/分、i=1〜3)及びRj(nm/分、j=1〜3)の性能を有しているとする。前記成膜部30a、30b、30c及び30d、30e、30fにより堆積されるべきバリア層39a、39b、39c及び39d、39e、39fの膜厚がDi(nm、i=1〜3)及びDj(nm、j=1〜3)とすると、各バリア層39a、39b、39c及び39d、39e、39fの堆積完了時間Ti(分)及びTj(分)はTi=Di/Ri(分、i=1〜3)及びTj=Dj/Rj(分、j=1〜3)である。前記ポリプロピレンフィルム42が前記成膜部30a、30b、30c及び30d、30e、30fの夫々に対し共通した走行速度V(m/分)で走行する必要があるから、前記成膜部30a、30b、30c及び30d、30e、30fの夫々の開口部38a、38b、38c及び38d、38e、38fの走行方向の開口長をLi(m、i=1〜3)及びLj(m、j=1〜3)とすると、前記成膜部の夫々の開口長Li(m)及びLj(m)はLi(m)=V(m/分)×Ti(分)=V(m/分)×Di/Ri(分)並びにLj(m)=V(m/分)×Tj(分)=V(m/分)×Dj/Rj(分)に設定される必要がある。当該ガスバリアフィルム製造装置40はこの開口長の設定に特徴を有している。
この包装用フィルムの製造装置40を用いて、本発明に係る包装用フィルムを製造してみる。
例えば、具体的に、ポリプロピレンフィルム42の両面に、第1層がS層、第2層がN層、第3層がF層の両面3層型ガスバリアフィルムを製造する場合を考える。この場合には、n=3及びm=3に相当し、両面夫々に3段の成膜部が必要になる。つまり、前記成膜部30a、30dはS層製造用の成膜部であり、前記成膜部30b、30eはN層製造用の成膜部であり、前記成膜部30c、30fはF層製造用の成膜部であればよい。1回の走行だけでポリプロピレンフィルムの表面及び裏面の夫々に3層を形成でき、成膜部の種類を同等にすれば、ポリプロピレンフィルムの両面に3層を面対称に形成した3層型ガスバリアフィルムを製造することができる。
このガスバリアフィルム製造装置40を用いれば、表面にn層で裏面にm層からなる種々の構成の包装用フィルムを製造できることは言うまでもない。
本発明によれば、S層、N層、F層からなるバリア層を特別な積層形態で多層化することにより、水蒸気透過率が10−5〜10−6(g/m2/day)の極超ハイバリアフィルムを製造することに成功した。同時に、この極超ハイバリア特性を満足する包装用フィルムを量産する製造装置を実現した。その結果、食料品、医薬品、タッチパネル、有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)素子、無機EL素子、太陽電池、電子ペーパのみならず、有機EL表示素子(OLED)にも利用できる包装用フィルム及びその量産装置を提供することに成功したものである。
A 包装用袋体
AA 包装用フィルム
AA1 上側の包装用フィルム
AA2 下側の包装用フィルム
AA11 端縁
AA21 端縁
C1 酸素吸収層
C2 水蒸気吸収層
C3 炭酸ガス吸収層
C4 抗菌層
F1 機能層
H 接合部
IS 内側面
IB 内側バリア層
M 被収物
OB 外側バリア層
OS 外側面
PE 外側保護層
PI 内側保護層
PP ポリプロピレンフィルム
1 包装用フィルム
2 ポリプロピレンフィルム
3 最外層
10 表面側バリア層
11 表面側第1層
12 表面側第2層
13 表面側第3層
14 表面側第4層
15 表面側第5層
16 表面側第6層
20 裏面側バリア層
21 裏面側第1層
22 裏面側第2層
23 裏面側第3層
24 裏面側第4層
30 成膜部(成膜装置)
30a 成膜部(成膜装置)
30b 成膜部(成膜装置)
30c 成膜部(成膜装置)
30d 成膜部(成膜装置)
30e 成膜部(成膜装置)
30f 成膜部(成膜装置)
31 反応容器
32 原料ガス導入口
33 排気口
34 加熱フィラメント
35 電源
36 台
37 基板
38 開口部
38a 開口部
38b 開口部
38c 開口部
38d 開口部
38e 開口部
38f 開口部
39 バリア層
39a バリア層
39b バリア層
39c バリア層
39d バリア層
39e バリア層
39f バリア層
40 包装用フィルムの製造装置
41 繰出ローラ
42 ポリプロピレンフィルム
43 繰出ロール
44 支持体
45 支持面
46 成膜済フィルム
47 巻取モータ
48 巻取ローラ
49 巻取ロール
50a ドラム
50b ドラム
50c ドラム
51a ドラム面
51b ドラム面
51c ドラム面
52a 小ローラ
52b 小ローラ
52c 小ローラ
52d 小ローラ
a 原料ガスの導入方向
b バリア粒子の放射方向
c 排気ガスの排気方向
d ポリプロピレンフィルムの繰出方向
e ポリプロピレンフィルムの走行方向
f 成膜済フィルムの巻取方向
p バリア粒子
v 浮遊結合手(ダングリングボンド)
D バリア層の膜厚
L 開口部の開口長
La 開口部の開口長
Lb 開口部の開口長
Lc 開口部の開口長
Ld 開口部の開口長
Le 開口部の開口長
Lf 開口部の開口長
R バリア層の堆積速度
T 堆積完了時間
V ポリプロピレンフィルムの走行速度

Claims (12)

  1. 包装用フィルムから袋状に成形されており、包装用フィルムの端縁と端縁を相互に重ねて接合された接合部と、前記接合部により画成された内部空間を有し、被収物が前記内部空間に収容される場合には前記接合部により前記内部空間が密封される包装用袋体であり、包装用フィルムは以下のように構成されており、基層となるポリプロピレンフィルムと、このポリプロピレンフィルムは内部空間に対向する内側面と大気に対向する外側面を有し、前記ポリプロピレンフィルムの前記内側面には内側保護層が積層され、前記ポリプロピレンフィルムの前記外側面には外側保護層が積層され、前記内側保護層は前記内側面に接触して積層された内側バリア層を少なくとも有し、前記外側保護層は前記外側面に接触して積層された外側バリア層を少なくとも有し、前記内側バリア層が下記の表面側バリア層に対応するときには前記外側バリア層は下記の裏面側バリア層に対応し、前記内側バリア層が下記の裏面側バリア層に対応するときには前記外側バリア層は下記の表面側バリア層に対応し、表面側バリア層は3層以上から形成され且つ裏面側バリア層は1層以上から形成され、主成分であるSiとOとCとNの各原子が層状に結合して形成されるバリア層をS層と称し、主成分であるSiとCとNの各原子が層状に結合して形成されるバリア層をN層と称し、主成分であるSiとCとNとFの各原子が層状に結合して形成されるバリア層をF層と称し、前記表面側バリア層の第1層及び前記裏面側バリア層の第1層はS層又はF層から構成され、前記表面側バリア層の第2層以上の各層と前記裏面側バリア層の第2層以上の各層は、S層とN層とF層のいずれかで構成されることを特徴とする包装用袋体。
  2. 前記裏面側バリア層も3層以上から構成され、前記表面側バリア層と前記裏面側バリア層の積層数が同一である請求項1に記載の包装用袋体。
  3. 前記表面側バリア層及び前記裏面側バリア層の夫々の最外層はF層で構成される請求項1又は2に記載の包装用袋体。
  4. 前記表面側バリア層及び前記裏面側バリア層の夫々において、第1層と最外層を除いた中間層にN層を含む請求項2又は3に記載の包装用袋体。
  5. 前記表面側バリア層と前記裏面側バリア層におけるS層、N層及びF層の積層状態が前記ポリプロピレンフィルムを対称面として面対称に構成される請求項2〜4のいずれかに記載の包装用袋体。
  6. 前記表面側バリア層と前記裏面側バリア層の各層の厚さは、50nm〜300nmである請求項1〜5のいずれかに記載の包装用袋体。
  7. 前記内側保護層は、前記内側バリア層の上に酸素吸収層、水蒸気吸収層、炭酸ガス吸収層及び抗菌層から選択された1層以上を積層して構成される請求項1〜6のいずれかに記載の包装用袋体。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の包装用袋体を成形する包装用フィルムの製造装置であり、ポリプロピレンフィルムを繰出ローラに卷装した繰出ロールと、前記繰出ロールから繰出されたポリプロピレンフィルムを走行させながら、走行中の前記ポリプロピレンフィルムの主面にバリア層を形成するために前記ポリプロピレンフィルム面に開口部を対向させて配置される成膜部と、前記成膜部の開口部からバリア粒子をポリプロピレンフィルムの主面に放射して所定厚のバリア層が堆積形成される成膜済フィルムと、成膜済フィルムを巻取ローラに卷装した巻取ロールを具備する包装用フィルムの製造装置であり、ここで、前記成膜部は、ポリプロピレンフィルムが静止状態にある場合にバリア層の膜厚方向の堆積速度としてR(nm/分)の性能を有しており、前記成膜装置により堆積されるべきバリア層の膜厚がD(nm)とすると堆積完了時間T(分)はT=D/Rであるから、前記成膜部の開口部の走行方向の開口長がL(m)のときに、前記ポリプロピレンフィルムの走行速度V(m/分)はL/T(m/分)に設定されることを特徴とする包装用フィルムの製造装置。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の包装用袋体を成形する包装用フィルムの製造装置であり、ポリプロピレンフィルムの主面にn≧1であるn層のバリア層を積層する製造装置であり、ポリプロピレンフィルムを繰出ローラに卷装した繰出ロールと、前記繰出ロールから繰出されて走行する前記ポリプロピレンフィルムの主面にn個のバリア層を積層するために前記主面にn個の開口部を対向配置されたn個の成膜部が走行方向に順次配置され、前記成膜部の開口部から特定のバリア粒子をポリプロピレンフィルムの主面に放射して所定厚の特定のバリア層が堆積形成されるように構成されており、前記ポリプロピレンフィルムをn個の開口部に通過させることによりn層のバリア層が次々に積層されて送出される成膜済フィルムと、成膜済フィルムを巻取ローラに卷装した巻取ロールを配置して構成される包装用フィルムの製造装置であり、ここで、前記成膜部の夫々において、ポリプロピレンフィルムが静止状態にある場合にバリア層の膜厚方向の堆積速度としてRi(nm/分、i=1〜n)の性能を有する場合、前記成膜部により堆積されるべきバリア層の膜厚がDi(nm、i=1〜n)とすると堆積完了時間Ti(分)はTi=Di/Ri(分、i=1〜n)であり、前記ポリプロピレンフィルムが前記成膜部の夫々に対し共通した走行速度V(m/分)で走行するから、前記成膜部の夫々の開口部の走行方向の開口長をLi(m、i=1〜n)とすると、前記成膜部の夫々の開口長Li(m)はLi(m)=V(m/分)×Ti(分)=V(m/分)×Di/Ri(分)に設定されることを特徴とする包装用フィルムの製造装置。
  10. 請求項1〜7のいずれかに記載の包装用袋体を成形する包装用フィルムの製造装置であり、ポリプロピレンフィルムの主面にn≧1であるn層のバリア層を積層する製造装置であり、ポリプロピレンフィルムを繰出ローラに卷装した繰出ロールと、前記繰出ロールから繰出されたポリプロピレンフィルムがドラム面に沿って走行するn個のドラムと、ポリプロピレンフィルムは、一つのドラム面から隣のドラム面へと送出されてn個のドラム面を次々と連続して走行するように配置され、各ドラムのドラム面にはポリプロピレンフィルムの主面に特定のバリア層を形成するために前記ポリプロピレンフィルム面に開口部を対向配置された特定の成膜部を配置し、前記成膜部の開口部から特定のバリア粒子をポリプロピレンフィルムの主面に放射して所定厚の特定のバリア層が堆積形成されるように構成されており、前記ポリプロピレンフィルムをn個のドラムに通過させることによりn層のバリア層が次々に積層されて送出される成膜済フィルムと、成膜済フィルムを巻取ローラに卷装した巻取ロールを配置して構成される包装用フィルムの製造装置であり、ここで、前記成膜部の夫々において、ポリプロピレンフィルムが静止状態にある場合にバリア層の膜厚方向の堆積速度としてRi(nm/分、i=1〜n)の性能を有する場合、前記成膜部により堆積されるべきバリア層の膜厚がDi(nm、i=1〜n)とすると堆積完了時間Ti(分)はTi=Di/Ri(分、i=1〜n)であるから、前記ポリプロピレンフィルムが前記成膜部の夫々に対し共通した走行速度V(m/分)で走行するから、前記成膜部の夫々の開口部の走行方向の開口長をLi(m、i=1〜n)とすると、前記成膜部の夫々の開口長Li(m)はLi(m)=V(m/分)×Ti(分)=V(m/分)×Di/Ri(分)に設定されることを特徴とする包装用フィルムの製造装置。
  11. 請求項1〜7のいずれかに記載の包装用袋体を成形する包装用フィルムの製造装置であり、ポリプロピレンフィルムの表面にn≧1であるn層のバリア層を積層し、裏面にm≧1であるm層のバリア層を積層する製造装置であり、ポリプロピレンフィルムを繰出ローラに卷装した繰出ロールと、前記繰出ロールから繰出されて走行する前記ポリプロピレンフィルムの表面にn個のバリア層を積層するために前記表面にn個の開口部を対向配置されたn個の成膜部が走行方向に順次配置され、且つ前記繰出ロールから繰出されて走行する前記ポリプロピレンフィルムの裏面にm個のバリア層を積層するために前記裏面にm個の開口部を対向配置されたm個の成膜部が走行方向に順次配置され、前記成膜部の開口部から特定のバリア粒子をポリプロピレンフィルムの表面及び裏面に放射して所定厚の特定のバリア層が表面及び裏面に順次に堆積形成されるように構成されており、前記ポリプロピレンフィルムを走行させることにより表面にn層及び裏面にm層のバリア層が次々に積層されて送出される成膜済フィルムと、成膜済フィルムを巻取ローラに卷装した巻取ロールを配置して構成される包装用フィルムの製造装置であり、ここで、前記表面及び裏面の成膜部の夫々において、ポリプロピレンフィルムが静止状態にある場合にバリア層の膜厚方向の堆積速度としてRi(nm/分、i=1〜n)及びRj(nm/分、j=1〜m)の性能を有する場合、前記成膜部により堆積されるべきバリア層の膜厚がDi(nm、i=1〜n)及びDj(nm、j=1〜m)とすると堆積完了時間Ti(分)はTi=Di/Ri(分、i=1〜n)及びTj=Dj/Rj(分、j=1〜m)であり、前記ポリプロピレンフィルムが前記成膜部の夫々に対し共通した走行速度V(m/分)で走行するから、前記成膜部の夫々の開口部の走行方向の開口長をLi(m、i=1〜n)及びLj(m、j=1〜m)とすると、前記成膜部の夫々の開口長Li(m、i=1〜n)及びLj(m、j=1〜m)はLi(m)=V(m/分)×Ti(分)=V(m/分)×Di/Ri(分)、且つLj(m)=V(m/分)×Tj(分)=V(m/分)×Dj/Rj(分)に設定されることを特徴とする包装用フィルムの製造装置。
  12. 請求項1〜7のいずれかに記載の包装用袋体を成形する包装用フィルムの製造装置であり、ポリプロピレンフィルムの表面にn≧1であるn層のバリア層を積層し、裏面にm≧1であるm層のバリア層を積層する製造装置であり、ポリプロピレンフィルムを繰出ローラに卷装した繰出ロールと、前記繰出ロールから繰出されたポリプロピレンフィルムがドラム面に沿って走行するn個のドラムと、ポリプロピレンフィルムは、一つのドラム面から隣のドラム面へと送出されてn個のドラム面を次々と連続して走行するように配置され、各ドラムのドラム面にはポリプロピレンフィルムの表面に特定のバリア層を形成するために前記表面に開口部を対向配置されたn個の成膜部が配置され、前記ドラム面以外の領域でポリプロピレンフィルムの裏面に特定のバリア層を形成するために前記裏面に開口部を対向配置されたm個の成膜部が配置され、前記成膜部の開口部から特定のバリア粒子をポリプロピレンフィルムの表面及び裏面に放射して所定厚の特定のバリア層が表面及び裏面に順次に堆積形成されるように構成されており、前記ポリプロピレンフィルムを通過させることにより前記表面にn層のバリア層及び前記裏面にm個のバリア層が次々に積層されて送出される成膜済フィルムと、成膜済フィルムを巻取ローラに卷装した巻取ロールを配置して構成される包装用フィルムの製造装置であり、ここで、前記表面及び裏面の成膜部の夫々において、ポリプロピレンフィルムが静止状態にある場合にバリア層の膜厚方向の堆積速度としてRi(nm/分、i=1〜n)及びRj(nm/分、j=1〜m)の性能を有する場合、前記成膜部により堆積されるべきバリア層の膜厚がDi(nm、i=1〜n)及びDj(nm、j=1〜m)とすると堆積完了時間Ti(分)はTi=Di/Ri(分、i=1〜n)及びTj=Dj/Rj(分、j=1〜m)であり、前記ポリプロピレンフィルムが前記成膜部の夫々に対し共通した走行速度V(m/分)で走行するから、前記成膜部の夫々の開口部の走行方向の開口長をLi(m、i=1〜n)及びLj(m、j=1〜m)とすると、前記成膜部の夫々の開口長Li(m、i=1〜n)及びLj(m、j=1〜m)はLi(m)=V(m/分)×Ti(分)=V(m/分)×Di/Ri(分)、且つLj(m)=V(m/分)×Tj(分)=V(m/分)×Dj/Rj(分)に設定されることを特徴とする包装用フィルムの製造装置。
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