JP6638401B2 - ガスバリアフィルム積層体およびその製造方法 - Google Patents

ガスバリアフィルム積層体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ガスバリアフィルム積層体およびその製造方法に関する。
ガスバリアフィルム分野においては、従来の食品包装用途の他に、電子部品用途に向けた製品開発が盛んに行われている。電子部品用途としては、製品の梱包材としてのみならず、例えば、石油代替エネルギーとして有望視される太陽電池等、その特性が水分により劣化する装置の保護フィルムとして、ガスバリアフィルムが使用されつつある。
水分により劣化する装置のうち、極めて水分に敏感な装置としては、薄型ディスプレイとして着目される有機EL表示装置が挙げられる。
有機EL表示装置は、有機物質からなる非常に薄い発光層と、発光層の両面にそれぞれ配置された電極と、を備える。これらの電極の一方は正孔を注入する陽極であり、もう一方は電子を注入する陰極である。有機EL表示装置では、これらの陽極と陰極の間の発光層に電流を流すことにより、発光層を発光させている。発光層から発光した光を外部に取り出すためには、これらの電極のうち少なくとも一方は透明である必要がある。そのため、仕事関数の関係から、一般に陽極としては透明金属酸化物からなる電極を用い、陰極としては金属電極を用いている。
しかし、一般に発光層や電極材料は、水分や酸素により化学変化を起こし、電荷注入が効率的に行われなくなる場合がある。特に水分により有機EL表示装置の発光輝度が低下すると、最終的には、有機EL表示装置においてダークスポットと呼ばれる非発光領域が発生する。
このダークスポットの発生を抑制するために、これまでに様々な方法が確立されている。
例えば、有機EL表示装置を作製する際、特に電極および発光層を成膜する工程を、Nや希ガス等の不活性雰囲気下で行う方法が挙げられる。
また、有機EL表示装置を大気中の水分から保護するために、金属やガラスからなるキャップ型カバーで完全に封止する方法が挙げられる。
さらに、有機EL表示装置と封止キャップとの間に封じ込められる雰囲気が不活性ガスとなるようにする方法が挙げられる。
このように、ダークスポットの発生を抑制するためには、一般的に、成膜から封止までの全ての工程が不活性雰囲気下で行われる。
このようにして作製された有機EL表示装置においては、許容される水蒸気透過率が1×10−3g/(m・day)未満である。
一方、近年、有機EL表示装置の多様化により、それ自体にフレキシブル性(可撓性)が求められようになり、フレキシブル型有機EL表示装置と呼ばれる、樹脂基材フィルム上に有機EL素子が形成された表示装置が開発されている。
フレキシブル型有機EL表示装置は、フレキシブル性を維持するために、従来のように基材として厚いガラス材を用いることができず、また、缶材やガラス材で封止することができない。そのため、フレキシブル型有機EL表示装置では、ガラスや金属と同等の水蒸気透過率を有するフレキシブル基材、すなわち、ハイガスバリアフィルムが望まれている。
ハイガスバリアフィルムとは、樹脂基材フィルム上に水蒸気の透過を抑制するガスバリア膜と呼ばれる無機薄膜層あるいは有機薄膜層をコーティングしたものである。樹脂基材フィルムとしては、例えば、ポリオレフィンフィルム、アクリルフィルム、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate:PET )やポリエチレンナフタレート(Polyethylene naphthalate:PEN )等のポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。ガスバリア膜が、アルミニウム(Al)や酸化アルミニウム(Al)や酸化シリコン(SiO)等の無機薄膜層である場合、真空蒸着法やスパッタリング法や化学蒸着法(Chemical Vaper Deposition:CVD)により、樹脂基材フィルム上にガスバリア膜を成膜する。また、ガスバリア膜が、有機薄膜である場合、一般的に、樹脂を溶剤に溶かして塗布するウェットコーティング法により、樹脂基材フィルム上にガスバリア膜を成膜する。
ところで、ガスバリアフィルムにおけるガス透過にはいくつかのモードがある。これらのモードの1つとしては、ガスバリア膜と透過ガスとの相互作用、すなわち、親和性や反応性等の化学的性質に基づくモードが挙げられる。また、別のモードとしては、ガスバリア膜の形態や緻密性に由来し、ガスバリア膜を構成する粒子の粒界やガスバリア膜のピンホールを経路としガスが透過していくモードが挙げられる。
ガスバリア膜の形態に由来するモードについて、ガス透過を抑制するために様々な技術が開示されている。
代表的な例としては、ガスバリア膜のピンホール欠陥をなくすために、樹脂基材フィルム上の異物や傷等を極力減らす方法が挙げられる。
特許文献1には、2軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを用いた蒸着ガスバリアフィルムが開示されている。この蒸着ガスバリアフィルムでは、樹脂基材フィルムの蒸着膜形成面における陥没を伴う突起の数や表面粗さや、樹脂基材フィルム中に存在する異物の大きさや個数を限定している。
特許文献2には、樹脂基材フィルム上にエポキシ化合物からなる樹脂薄膜層を積層し、さらに、真空成膜法により、樹脂薄膜層上に無機酸化物を蒸着積層することにより、平均表面粗さを4nm以下とした積層体が開示されている。
また、樹脂基材フィルム上の傷や異物に起因して、ガスバリア膜にピンホールが存在する場合であっても、ガス透過経路を長くしてガス透過を遅延させることにより、ガスバリア性を高める技術も開示されている。
特許文献3には、樹脂基材フィルム上に、SiO等からなる透明無機ガスバリア膜と、ゾルゲル法によるポリマー膜とを交互に積層し、透明無機ガスバリア膜のピンホールをポリマー膜で埋めることにより、ガス透過を遅延させる技術が開示されている。
特許文献4には、Si、O、炭素(C)からなる無機ガスバリア膜上に、ポリメトキシシロキサン、有機ケイ素化合物およびアルミニウム化合物からなる無機−有機ハイブリッドポリマー膜を積層し、ポリマー膜のガスバリア性も付加したガスバリアフィルムが開示されている。
無機ガスバリア膜の緻密性を高くするために、無機ガスバリア膜の成膜方法も検討されている。前述した従来の成膜方法に加えて、近年、原子層堆積法(ALD(Atomic Layer Deposition)法。以下、「ALD法」と言う。)によるガスバリア膜の成膜方法も多く開発されている。
ALD法は、表面吸着した物質を表面における化学反応によって原子レベルで一層ずつ成膜していく方法である。詳細には、ALD法は、前駆体またはプリカーサともいわれる活性に富んだガスと反応性ガスを交互に用い、基板表面における吸着と、これに続く化学反応とによって、原子レベルで一層ずつ薄膜を成長させていく特殊な成膜方法である。
ALD法による具体的な成膜方法では、基板上の表面吸着において、表面がある種のガスで覆われると、それ以上そのガスの吸着が生じない、いわゆるセルフ・リミッティング効果を利用して、前駆体が一層のみ吸着したところで未反応の前駆体を排気する。続いて、反応性ガスを導入して、先の前駆体を酸化または還元させて、所望の組成を有する薄膜を一層のみ形成した後に反応性ガスを排気する。このような処理を1サイクルとし、このサイクルを繰り返して薄膜を成長させる。したがって、ALD法では、薄膜は二次元的に成長する。また、ALD法は、従来の成膜方法と比較して成膜欠陥が少ないという特徴がある。
また、ALD法は、他の成膜方法と比較して斜影効果(成膜粒子が基板表面に斜めに入射して成膜バラツキが生じる現象)がない等の特徴がある。そのため、ALD法では、ガスが入り込める隙間があれば成膜が可能である。樹脂基材フィルムの表面に凹凸による傷がある場合、従来の成膜法では、成膜粒子が凹凸を完全に覆うことが不可能であり、ピンホール欠陥を低減することができない。これに対して、ALD法では、凹凸に追従するように成膜することが可能であるため、ピンホール欠陥を著しく低減することができる。
特許文献5では、ALD法により、樹脂基材フィルム上に無機ガスバリア膜を形成する技術が開示されている。特許文献5では、数十ナノメートルの厚さにおいて、桁違いにガス透過を低減させることが可能な光透過性バリアフィルムを実現している。
さらに、特許文献6では,ALD法を用いて、樹脂基材フィルム上にガスバリア膜を形成するための成膜装置に関する技術が開示されている。この技術では、コンベアに樹脂基材フィルムを搭載して真空チャンバー内を貫通移動させる流れの中で、コンベアに搭載された樹脂基材フィルムの表面にALD膜を形成する。さらに、ALD膜が積層された樹脂基材フィルムを巻取りドラムに巻き取ることによって、ガスバリア性の高いガスバリアフィルムを高速生産している。
特許第5151000号公報 特許第4014931号公報 特開2005−288851号公報 特開2014−141055号公報 特表2007−516347号公報 特表2007−522344号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2に開示されているガスバリアフィルムは、水蒸気透過率が1g/(m・day)程度であるため、有機ELディスプレイ用途としてのガスバリア性が十分ではないという課題があった。
また、特許文献3および特許文献4に開示されているガスバリアフィルムは、ガスバリア膜の膜厚の総計が100nm以上必要であり、また、有機層や無機−有機ハイブリッド剤をウェットコーティングするために別の成膜装置を必要とするため、生産性が悪いという課題があった。
また、特許文献5に開示されているガスバリアフィルム、および、特許文献6に開示されている製造方法によって製造されたガスバリアフィルムは、樹脂基材フィルムの表面の凹凸に追従するようにガスバリア膜を形成することによって著しくガスバリア性が向上したものの、そのガスバリア性(水蒸気透過率)は1×10−3g/(m・day)程度であり、有機EL表示装置用途としてのガスバリア性が十分ではないという課題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ガスバリア膜が単層の単純な構造であり、かつ40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が5×10−4g/(m・day)以下であるガスバリアフィルム積層体およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明者は、無機ガスバリア膜が樹脂基材フィルムを被覆している面積、および、無機ガスバリア膜の欠陥部、すなわち、樹脂基材フィルムの露出する面積の比率に、無機ガスバリア膜および樹脂基材フィルムのガス透過率を乗じて考察した結果、樹脂基材フィルムの一方の面に対する無機ガスバリア膜の被覆率が99.995%以上でなければ、40℃、90%RHにおけるガスバリアフィルム積層体の水蒸気透過率を5×10−4g/(m・day)以下とすることができないという結論に至り、樹脂基材フィルムの一方の面に対する無機ガスバリア膜の被覆率を制御することにより、上記の課題を解決する手段を発明した。
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係るガスバリアフィルム積層体は、樹脂基材フィルムと、該樹脂基材フィルムの一方の面のみに積層された一層の無機ガスバリア膜と、を備え、前記樹脂基材フィルムの一方の面に対する前記無機ガスバリア膜の被覆率が99.995%以上であり、40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が5×10−4g/(m・day)以下であることを特徴とする。
上記本発明の一態様に係るガスバリアフィルム積層体において、前記無機ガスバリア膜は、平均細孔半径が0.15nm以下の原子層堆積膜であってもよい。
上記本発明の一態様に係るガスバリアフィルム積層体において、前記無機ガスバリア膜の膜厚は、25nm以上100nm以下であってもよい。
上記本発明の一態様に係るガスバリアフィルム積層体において、前記無機ガスバリア膜は、金属酸化物、金属窒化物および金属炭化物からなる群から選択される1種からなるものであってもよい。
上記本発明の一態様に係るガスバリアフィルム積層体において、前記無機ガスバリア膜は、Al、Si、Ti、Zn、Zr、Nb、Sn、Hf、TaおよびCeからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含んでいてもよい。
上記本発明の一態様に係るガスバリアフィルム積層体において、前記樹脂基材フィルムは、40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が5g/(m・day)以下であってもよい。
上記本発明の一態様に係るガスバリアフィルム積層体において、前記樹脂基材フィルムは、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂およびポリイミド系樹脂からなる群から選択される1種からなるものであってもよい。
上記本発明の一態様に係るガスバリアフィルム積層体において、前記樹脂基材フィルムの厚みは、50μm以上であってもよい。
また、本発明の一態様に係るガスバリアフィルム積層体の製造方法は、樹脂基材フィルムの一方の面の異物を除去して、前記樹脂基材フィルムの一方の面において異物が占める面積率を0.005%以下とする基材洗浄工程と、前記樹脂基材フィルムの前記一方の面のみに一層の無機ガスバリア膜を積層し、前記無機ガスバリア膜の被覆率を99.995%以上とする無機ガスバリア膜形成工程とを有し、40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が5×10−4g/(m・day)以下であるガスバリアフィルム積層体を得ることを特徴とする。
上記本発明の一態様に係るガスバリアフィルム積層体の製造方法において、前記無機ガスバリア膜形成工程において、前記無機ガスバリア膜を原子層堆積法で成膜してもよい。
上記本発明の一態様に係るガスバリアフィルム積層体の製造方法において、前記基材洗浄工程において、前記樹脂基材フィルムを950kHzの超音波を印加した純水で洗浄してもよい。
上記本発明の一態様に係るガスバリアフィルム積層体の製造方法において、前記基材洗浄工程の後に、前記樹脂基材フィルムを、圧力0.5MPa以上かつ流速50m/sの乾燥空気流で乾燥する基材乾燥工程を有してもよい。
上記本発明の一態様に係るガスバリアフィルム積層体の製造方法において、前記基材乾燥工程において、前記樹脂基材フィルムを、80℃以上で2時間以上乾燥してもよい。
本発明によれば、40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が5×10−4g/(m・day)以下であるガスバリアフィルム積層体を提供することができる。
本発明の実施形態に係るガスバリアフィルム積層体を模式的に示す断面図である。
以下、図面を参照して本発明を適用した実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、本発明の実施形態の構成を説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際の積層体の寸法関係とは異なる場合がある。
[実施形態]
「ガスバリアフィルム積層体」
図1は、本発明の実施形態に係るガスバリアフィルム積層体を模式的に示す断面図である。
本発明の実施形態に係るガスバリアフィルム積層体1は、図1に示すように、樹脂基材フィルム2と、樹脂基材フィルム2の一方の面(上面)2aに積層された一層の無機ガスバリア膜3と、を備える。
樹脂基材フィルム2は、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂およびポリイミド系樹脂からなる群から選択される1種からなるものが好ましい。これらの樹脂の中でも、水蒸気透過率および酸素透過率が低いことから、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂がより好ましい。また、耐熱性の観点から、ポリエチレンナフタレート(PEN)がさらに好ましい。
樹脂基材フィルム2自体の水蒸気透過率および酸素透過率は、その厚みに依存する。そのため、水蒸気透過率および酸素透過率をより低くするためには、樹脂基材フィルム2の厚みは50μm以上であることが好ましい。
樹脂基材フィルム2の厚みが50μm未満であると、樹脂基材フィルム2自体の水蒸気透過率および酸素透過率が高くなるため、樹脂基材フィルム2上に無機ガスバリア膜3を形成しても、ガスバリアフィルム積層体1の水蒸気透過率を所望の範囲とすることができないことがある。
樹脂基材フィルム2は、40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が5g/(m・day)以下であることが好ましい。
樹脂基材フィルム2の40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が5g/(m・day)を超えると、樹脂基材フィルム2自体の水蒸気透過率が高くなるため、樹脂基材フィルム2上に無機ガスバリア膜3を形成しても、ガスバリアフィルム積層体1の水蒸気透過率を所望の範囲とすることができないことがある。
本実施形態では、樹脂基材フィルム2の水蒸気透過率を評価するために、水蒸気透過率測定装置(MOCON,INC.製のMOCON Permatran(商標登録))を用い、40℃、90%RHの雰囲気で、樹脂基材フィルム2の水蒸気透過率(WVTR)を測定する。
無機ガスバリア膜3は、原子層堆積法(ALD(Atomic Layer Deposition)法)で成膜されたことが好ましい。
ALD法で成膜された無機ガスバリア膜3は、ALD法で成膜される金属酸化物、金属窒化物または金属炭化物などの透明セラミック膜(原子層堆積膜)である。一般的にバリア膜が樹脂材料の場合、高分子同士の網目間相互作用により自由体積が高くなりガスが透過しやすくなるが、セラミック膜は自由体積が低いためガスが透過し難い。さらにALD法で成膜される無機ガスバリア膜3は、前述のように二次元的に成長するため、他の成膜方法で形成された膜より緻密でその平均細孔半径は水蒸気の分子半径より小さい0.15nm以下となり、かつ、樹脂基材フィルム2の一方の面2aの微細な凹凸にも追従するよう成膜されていることから、極めて欠陥が少ない膜である。
無機ガスバリア膜3は、金属酸化物、金属窒化物および金属炭化物からなる群から選択される1種の無機材料からなることが好ましい。これらの金属酸化物、金属窒化物および金属炭化物は、後述する金属を含む。すなわち、これらの金属酸化物、金属窒化物および金属炭化物は、後述する金属の酸化物、窒化物および炭化物である。これらの無機材料は、ガスバリアフィルム積層体1の用途に応じて、適宜選択される。
無機ガスバリア膜3が、金属酸化物、金属窒化物および金属炭化物からなる群から選択される1種の無機材料からなることにより、無機ガスバリア膜3は、ガスバリアフィルム積層体1の用途に応じた性能(例えば、高い光線透過率や絶縁性)を満たしつつ、緻密性が高い膜をなしている。
無機ガスバリア膜3は、Al、Si、Ti、Zn、Zr、Nb、Sn、Hf、TaおよびCeからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含むことが好ましい。これらの金属は、ガスバリアフィルム積層体1の用途に応じて、適宜選択される。
無機ガスバリア膜3が、Al、Si、Ti、Zn、Zr、Nb、Sn、Hf、TaおよびCeからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含むことにより、無機ガスバリア膜3は、ガスバリアフィルム積層体1の用途に応じた性能(例えば、高い光線透過率や絶縁性)を満たしつつ、緻密性が高い膜をなしている。
例えば、ガスバリアフィルム積層体1が、ボトムエミッション型有機EL表示装置の基材として用いられる場合、高い光線透過率や絶縁性が必要であるため、無機ガスバリア膜3を構成する無機材料としては、酸化ケイ素(SiO)や酸化アルミニウム(Al)が好ましい。
無機ガスバリア膜3の膜厚は、25nm以上100nm以下であることが好ましい。
無機ガスバリア膜3の膜厚が25nm未満であると、無機ガスバリア膜3の水蒸気透過率が高くなる(40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が5×10−5g/(m・day)を超える)ため、ガスバリアフィルム積層体1の水蒸気透過率を所望の範囲とすることができないことがある。一方、無機ガスバリア膜3の膜厚が100nmを超えると、屈曲に対して無機ガスバリア層3が割れ易くなり、クラック、すなわち線状の膜欠陥が発生する。
無機ガスバリア膜3は、40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が5×10−5g/(m・day)以下であることが好ましい。
無機ガスバリア膜3の40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が5×10−5g/(m・day)を超えると、樹脂基材フィルム2上に無機ガスバリア膜3を形成しても、ガスバリアフィルム積層体1の水蒸気透過率を所望の範囲とすることができないことがある。
樹脂基材フィルム2の一方の面2aに対する無機ガスバリア膜3の被覆率は、99.995%以上であり、ガスバリアフィルム積層体1は、その水蒸気透過率が5×10−4g/(m・day)以下である。
また、本実施形態では、ガスバリアフィルム積層体1の水蒸気透過率(WVTR)を、水蒸気透過率測定装置(MOCON,INC.製のMOCON AQUATRAN(商標登録))を用い、40℃、90%RHの雰囲気で測定する。
ガスバリアフィルム積層体1は、上記の構造をなしているため、その水蒸気透過率が5×10−4g/(m・day)以下となる。しかしながら、ガスバリアフィルム積層体1は、必ずしも上記の構造に限定されるものではなく、無機ガスバリア膜3の保護のために、無機ガスバリア膜3上に樹脂あるいは金属酸化物等からなるオーバーコート層(保護層)を設けてもよい。
「ガスバリアフィルム積層体の製造方法」
次に、図1を参照して、本実施形態のガスバリアフィルム積層体1の製造方法について説明する。
一般的に、樹脂基材フィルム2は、原料樹脂を加熱加圧し、ダイスリットから出てきた樹脂を流れ方向(MD)および幅方向(TD)の二軸に延伸し、フィルム化されたものである。作製された樹脂フィルム2は、所望の幅に分割(スリット)され、それぞれロール状に巻取られる。
このように作製された樹脂基材フィルム2は、多くの場合、クリーンルーム等ではない一般環境下(大気雰囲気下)で作製される。そのため、樹脂基材フィルム2自体が非常に高い帯電性を有するから、樹脂基材フィルム2の表面には、環境中から引き寄せられた様々な大きさの異物が付着している。また、巻取り時に巻取りロール内に取り込まれた前記異物が原因となり、樹脂基材フィルム2の表面に傷や突起状の変形が発生することが多々ある。このような樹脂基材フィルム2の表面に、そのまま無機ガスバリア層3を形成すると、無機ガスバリア膜3は異物上または傷上に形成される。このとき、異物上に形成された無機ガスバリア膜3に外部からの接触があると、元々静電気力で付着していた異物は、無機ガスバリア膜3とともに、樹脂基材フィルム2から脱離し、その部分がガスバリアフィルム積層体1におけるピンホール欠陥となる。
このような不具合を阻止するために、予め樹脂基材フィルム2の一方の面2aに付着している異物を除去して、樹脂基材フィルム2の一方の面2aにおいて異物が占める面積率を0.005%以下とする(基材洗浄工程)。すなわち、樹脂基材フィルム2の一方の面2aに無機ガスバリア膜3を形成する無機ガスバリア膜形成工程の前に、樹脂基材フィルム2の一方の面2aの異物を除去する。
樹脂基材フィルム2の一方の面2aに付着している異物を除去する方法としては、例えば、樹脂基材フィルム2を洗浄する方法が挙げられる。樹脂基材フィルム2を洗浄する方法としては、例えば、フィルム接触式のラバーローラー洗浄法、超音波が印加されたエアを高圧で吹き付ける超音波ドライエア洗浄法、水および薬品を用いるウェット洗浄法等が挙げられる。これらの洗浄法の中でも、樹脂基材フィルム2の表面に強固に付着している異物を除去するためには、ウェット洗浄法が好ましい。
ウェット洗浄法としては、例えば、水または薬液槽に、樹脂基材フィルム2を浸漬して洗浄するディップ方式、ノズルから噴出する水または薬液を、樹脂基材フィルム2の表面に掛け流すノズル方式等が挙げられる。これらのウェット洗浄法の中でも、樹脂基材フィルム2の表面から脱離した異物が、再び樹脂基材フィルム2の別の部位に付着しないようにして、より樹脂基材フィルム2の清浄度を高めるためには、ノズル方式が好ましい。なお、ディップ方式では、樹脂基材フィルム2の表面から脱離した異物が水または薬液に分散するため、その異物が再び樹脂基材フィルム2の別の部位に付着することがある。
ウェット洗浄法では、さらに樹脂基材フィルム2の清浄度を高めるために、樹脂基材フィルム2を洗浄する際に用いる水または薬液に超音波を印加することが効果的である。また、水または薬液に印加する超音波の周波数が高い方が、樹脂基材フィルム2の清浄度が高くなる。このとき、水または薬液に印加する超音波の周波数は950kHzであることが好ましい。水または薬液に印加する超音波の周波数が950kHz未満であると、水または薬液に超音波を印加しない場合と比較して、樹脂基材フィルム2の清浄度が向上しないことがある。
さらに、樹脂基材フィルム2を薬液で洗浄した場合、樹脂基材フィルム2の一方の面2aに薬液が残り、ALD法による無機ガスバリア膜3の成膜において、樹脂基材フィルム2の一方の面2aへの前駆体の吸着を阻害する可能性がある。そのため、樹脂基材フィルム2の洗浄には、純水を用いることが好ましい。
このように、基材洗浄工程では、樹脂基材フィルム2を950kHzの超音波を印加した純水で洗浄することが好ましい。
ところで、ウェット洗浄法により、樹脂基材フィルム2を洗浄すると、樹脂基材フィルム2の一方の面2aに水滴または薬液の滴(以下、これらを総称して、「液滴」と言う。)が残ることがある。このような液滴は、樹脂基材フィルム2の周囲にある異物を引き寄せる。そのため、樹脂基材フィルム2を自然に乾燥させると、液滴が存在した部位にウォーターマークといわれる円形状異物集合体が残る。すなわち、樹脂基材フィルム2の一方の面2aに異物が存在することになる。
そこで、このような現象を避けるために、樹脂基材フィルム2の一方の面2aに存在する液滴を直ちに除去する必要がある。具体的には、エアナイフ方式により、樹脂基材フィルム2を乾燥することが好ましい。このとき、樹脂基材フィルム2に、圧力0.5MPa以上かつ流速50m/sの高圧、高速の乾燥空気流を吹き付けることにより、樹脂基材フィルム2の一方の面2aに存在する液滴を吹き飛ばして、樹脂基材フィルム2を乾燥することがより好ましい(基材乾燥工程)。
樹脂基材フィルム2に吹き付ける乾燥空気流の圧力は、0.5MPa以上であることが好ましく、0.5MPa以上1MPa以下であることがより好ましい。
樹脂基材フィルム2に吹き付ける乾燥空気流の圧力が0.5MPa未満であると、樹脂基材フィルム2の表面に存在する液滴を直ちに除去することが難しく、液滴が存在した部位にウォーターマークが形成されることがある。
また、樹脂基材フィルム2の一方の面2aに、洗浄による水滴が残っていると、後述する無機ガスバリア膜形成工程において、本来、無機ガスバリア膜3の原料ガス(前駆体)が1分子分吸着しなければならないところを、原料ガスが水により酸化分解してしまい、無機ガスバリア膜3が三次元的に成長してしまい、目的とする二次元的に成長した無機ガスバリア膜3が得られない。これを避けるためには、基材洗浄工程を経た樹脂基材フィルム2を十分に乾燥する必要がある。
そこで、基材乾燥工程では、樹脂基材フィルム2を、80℃以上で2時間以上乾燥することが好ましい。
基材乾燥工程において、樹脂基材フィルム2を乾燥する温度と時間は、80℃以上、樹脂基材フィルム2のガラス転移点以下で10時間以上であることがより好ましい。また、樹脂基材フィルム2を乾燥する温度と時間の上限は、樹脂基材フィルム2が熱変形(熱収縮)したり、分解したりする温度以下であることが好ましい。
樹脂基材フィルム2を乾燥する温度と時間が80℃未満かつ2時間未満であると、樹脂基材フィルム2の表面に存在する水滴を十分に除去することが難しく、上述のように原料ガスが水により酸化分解するおそれがある。
上述のように、基材洗浄工程において、樹脂基材フィルム2の一方の面2aに付着した異物を洗浄することにより、樹脂基材フィルム2の一方の面2aにおいて異物が占める面積率を0.005%以下とする。
樹脂基材フィルム2の一方の面2aにおいて異物が占める面積率を0.005%以下とすることにより、後述する無機ガスバリア膜形成工程において、樹脂基材フィルム2の一方の面2aに対する無機ガスバリア膜3の被覆率を99.995%以上とすることができる。
なお、基材洗浄工程により、樹脂基材フィルム2の一方の面2aにおける傷(凹凸)を削減することはできないが、ALD法によれば、その傷に追従するように、無機ガスバリア膜3が成膜される。そのため、ALD法により成膜された無機ガスバリア膜3の表面(外面)3aには、他の成膜方法で成膜された膜よりも凹凸が少ない。
次に、清浄な樹脂基材フィルム2の一方の面2aに、一層の無機ガスバリア膜3を積層する(無機ガスバリア膜形成工程)。このとき、樹脂基材フィルム2の一方の面2aに対する無機ガスバリア膜3の被覆率を99.995%以上とする。
無機ガスバリア膜形成工程では、原子層堆積法(ALD法)により無機ガスバリア膜3を成膜することが好ましい。
ALD法による無機ガスバリア膜3の成膜では、まず、ALD成膜装置の成膜チャンバー内に、樹脂基材フィルム2を静置し、成膜チャンバー内を真空引きする。
次に、例えば、無機ガスバリア膜3をAlからなる膜とする場合、前駆体として、アルミニウムを含む有機アルミニウム化合物(トリメチルアルミニウム:TMA)を成膜チャンバーに導入する。そして、一定時間、成膜チャンバー内に余剰の前駆体を導入すると、樹脂基材フィルム2の表面に1分子層分のTMAが吸着する。
その後、前駆体を導入してから一定時間経過後、成膜チャンバー内に、窒素ガス等の不活性ガスを導入し、余剰の前駆体をパージする。
続いて、反応性ガスとして、水(HO)、オゾン(O)、プラズマ化された酸素(O)等を成膜チャンバー内に導入し、樹脂基材フィルム2の表面に吸着したTMAを酸化させて、樹脂基材フィルム2の一方の面2aに、一原子層からなる膜(無機ガスバリア膜3の一部)を形成する。
そして、反応性ガスを導入してから一定時間経過後、成膜チャンバー内に、窒素ガス等の不活性ガスを導入し、余剰の反応ガスをパージする。
この無機ガスバリア膜形成工程における一連の工程を1サイクルとし、無機ガスバリア膜3が所望の膜厚になるまで、このサイクルを繰り返すことにより、樹脂基材フィルム2の一方の面2aに所望の膜厚の無機ガスバリア膜3を形成する。
このようにして、本実施形態のガスバリアフィルム積層体1が得られる。
ALD法により無機ガスバリア膜3を成膜することにより、無機ガスバリア膜3を前述のように二次元的に成長させることができる。
本実施形態のガスバリアフィルム積層体の製造方法によれば、樹脂基材フィルム2の一方の面2aに一層の無機ガスバリア膜を積層し、樹脂基材フィルム2の一方の面2aに対する無機ガスバリア膜3の被覆率を99.995%以上とする無機ガスバリア膜形成工程を有することにより、十分なガスバリア性を有するガスバリアフィルム積層体1を得ることができる。
以下、本発明に係る実施例を説明する。
<実施例>
樹脂基材フィルムとして、40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が4.7g/(m・day)、厚みが100μmのPETフィルムを用いた。
シート状に切り出したPETフィルムを、ノズル式超音波洗浄機の冶具に表面を上にした状態で固定した。そのPETフィルムの表面に、ノズルから950kHzの超音波を印加した純水を18L/minの流量で吐出させて、PETフィルムの表面を洗浄した。
その後、直ちにエアナイフ装置により、PETフィルムの表面に、圧力0.5MPaかつ流速50m/sで乾燥空気流を吹き付けることにより、樹脂基材フィルムの表面に残留する水滴を吹き飛ばして、樹脂基材フィルムを乾燥した。
続いて、クリーンオーブン内に、洗浄後のPETフィルムを静置し、85℃で24時間乾燥した。
乾燥後のPETフィルムの表面に存在する異物を、センサーカメラを用いて可視光および/または近赤外光照射の反射光による異物検査を行うフィルム用異物検査機を用いて計測した。その結果、表1に示す通り、5μm以上の異物が1m当たりに換算して約5.8×10個検出された。このとき、PETフィルムの表面において異物が占める面積率は0.0022%であった。
Figure 0006638401
次に、ALD成膜装置の成膜チャンバー内の基板ステージに、乾燥後のPETフィルムを載置し、基板ステージの温度を90℃に保持し、成膜チャンバーを密閉した後、真空ポンプで成膜チャンバー内を排気した。
次に、成膜チャンバー内に、キャリアガスとしての窒素ガスとともに、前駆体としてトリメチルアルミニウム(TMA)を60ミリ秒間導入し、PETフィルムの表面にTMAを吸着させた。
その後、成膜チャンバー内に窒素ガスを流しながら10秒間排気することにより、成膜チャンバー内の余剰のTMAをパージした。
続いて、成膜チャンバー内に、キャリアガスとしての窒素ガスとともに、反応性ガスとして水を60ミリ秒間導入し、PETフィルムの表面に吸着したTMAと水を反応させてTMAを酸化し、PETフィルムの表面にAl膜を成膜した。
その後、成膜チャンバー内に窒素ガスを流しながら10秒間排気することにより、成膜チャンバー内の余剰の水をパージした。
このような成膜チャンバー内へのTMA導入から余剰の水のパージまでの一連の工程を1サイクルとし、このサイクルを38サイクル繰り返すことにより、PETフィルムの表面に膜厚24.0nmのAl膜を成膜し、実施例のガスバリアフィルム積層体を得た。
<比較例>
PETフィルムを洗浄しなかったこと以外は実施例と同様にして、比較例のガスバリアフィルム積層体を作製した。
「水蒸気透過率測定」
実施例および比較例で作製したガスバリアフィルム積層体の水蒸気透過率をカルシウム(Ca)腐食法により測定した。
カルシウム腐食法は、金属Caが水蒸気と反応(腐食)し(反応式:Ca+2HO→Ca(OH)+H)、物性が変化する性質を利用する水蒸気透過率測定である。
具体的な方法は以下の通りである。
まず、上記のガスバリアフィルム積層体のAl膜上に、スピンコート法により、アクリル樹脂を厚さ300nmとなるように塗布した。
次に、クリーンオーブン内に、アクリル樹脂を塗布したガスバリアフィルム積層体を静置し、80℃で5分間、続いて60℃で48時間乾燥し、ガスバリアフィルム積層体のAl膜上にアクリル樹脂からなる保護層を形成した。
次に、保護層上に、真空蒸着法により、Caからなる膜を膜厚100nmとなるように成膜し、続いてCaからなる膜を覆うように、Alからなる膜を膜厚1μmとなるように成膜した。
ここで、Caからなる膜の成膜面積を10mm×10mm、Alからなる膜の成膜面積を20mm×20mmとした。
次に、Caからなる膜およびAlからなる膜を積層したガスバリアフィルム積層体を、樹脂接着剤によりガラス板の表面に貼り付けて、水蒸気透過率測定用構造体を作製した。
水蒸気透過率測定用構造体を、40℃、90%RHで、Caからなる膜によるAl膜の腐食面積率を所定時間毎に測定し、そのAl膜の腐食面積率に基づいて、ガスバリアフィルム積層体の水蒸気透過率を算出した。
その結果、実施例のガスバリアフィルム積層体の水蒸気透過率は1.2×10−4g/(m・day)であった。このとき、Al膜のうち、面積が1mm×1mm程度のCaによる腐食がほとんど見られない領域に対応するガスバリアフィルム積層体の水蒸気透過率を算出したところ、8.0×10−6g/(m・day)であった。
一方、比較例のガスバリアフィルム積層体の水蒸気透過率は6.6×10−4g/(m・day)であった。
以上のように,本発明によれば、40℃、90%RH条件下における水蒸気透過率が5×10−4g/(m・day)以下であるハイガスバリアフィルム積層体を提供できることが確認できた。
なお、本発明に係る積層体の実施形態について図面を参照して詳述したが、本発明の具体的な構成は上述した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、それらは本発明に含まれる。また、各部の具体的構成や材質等は前述の実施形態に例示したものに限られるものではなく適宜変更可能である。
本発明は、樹脂基材フィルム、該樹脂基材フィルムの一方の面に配置される無機ガスバリア膜を有する積層体およびその製造方法、並びにガスバリアフィルムおよびその製造方法に適用できる。本発明のガスバリアフィルム積層体は、有機EL表示装置、液晶ディスプレイ、半導体ウェハなどの電子部品に利用することができる。
1・・・ガスバリアフィルム積層体、
2・・・樹脂基材フィルム、
3・・・無機ガスバリア膜

Claims (13)

  1. 樹脂基材フィルムと、該樹脂基材フィルムの一方の面のみに積層された一層の無機ガスバリア膜と、を備え、
    前記樹脂基材フィルムの一方の面に対する前記無機ガスバリア膜の被覆率が99.995%以上であり、
    40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が5×10−4g/(m・day)以下であることを特徴とするガスバリアフィルム積層体。
  2. 前記無機ガスバリア膜は、平均細孔半径が0.15nm以下の原子層堆積膜であることを特徴とする請求項1に記載のガスバリアフィルム積層体。
  3. 前記無機ガスバリア膜の膜厚は、25nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のガスバリアフィルム積層体。
  4. 前記無機ガスバリア膜は、金属酸化物、金属窒化物および金属炭化物からなる群から選択される1種からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム積層体。
  5. 前記無機ガスバリア膜は、Al、Si、Ti、Zn、Zr、Nb、Sn、Hf、TaおよびCeからなる群から選択される少なくとも1種の金属を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム積層体。
  6. 前記樹脂基材フィルムは、40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が5g/(m・day)以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム積層体。
  7. 前記樹脂基材フィルムは、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂およびポリイミド系樹脂からなる群から選択される1種からなることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム積層体。
  8. 前記樹脂基材フィルムの厚みは、50μm以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のガスバリアフィルム積層体。
  9. 樹脂基材フィルムの一方の面の異物を除去して、前記樹脂基材フィルムの一方の面において異物が占める面積率を0.005%以下とする基材洗浄工程と、
    前記樹脂基材フィルムの前記一方の面のみに一層の無機ガスバリア膜を積層し、前記無機ガスバリア膜の被覆率を99.995%以上とする無機ガスバリア膜形成工程と、
    を有し、
    40℃、90%RHにおける水蒸気透過率が5×10−4g/(m・day)以下であるガスバリアフィルム積層体を得ることを特徴とするガスバリアフィルム積層体の製造方法。
  10. 前記無機ガスバリア膜形成工程において、前記無機ガスバリア膜を原子層堆積法で成膜することを特徴とする請求項9に記載のガスバリアフィルム積層体の製造方法。
  11. 前記基材洗浄工程において、前記樹脂基材フィルムを950kHzの超音波を印加した純水で洗浄することを特徴とする請求項9に記載のガスバリアフィルム積層体の製造方法。
  12. 前記基材洗浄工程の後に、前記樹脂基材フィルムを、圧力0.5MPa以上かつ流速50m/sの乾燥空気流で乾燥する基材乾燥工程を有することを特徴とする請求項11に記載のガスバリアフィルム積層体の製造方法。
  13. 前記基材乾燥工程において、前記樹脂基材フィルムを、80℃以上で2時間以上乾燥することを特徴とする請求項12に記載のガスバリアフィルム積層体の製造方法。
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