JP2017209834A - 積層体及びその形成方法、並びにガスバリアフィルム - Google Patents

積層体及びその形成方法、並びにガスバリアフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】基材の表面に形成された原子層堆積膜が外力で容易に傷つかないようにしてガスバリア性を高めた積層体を提供する。【解決手段】積層体30は、基材と、前記基材の一方の面に形成された原子層堆積膜と、前記原子層堆積膜上に形成され水溶性高分子及び金属アルコキシドを有する保護層と、を備える一対の基体を備える。一対の基体は、保護層同士を対向させて積層し、対向する保護層の界面で、対向する保護層のうちの一方の保護層中の原子と他方の保護層中の原子との間に結合が形成されていることで前記対向する保護層同士が接着される。原子層堆積膜の厚さは、2nm以上100nm以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、原子層堆積膜を備える積層体、及びその積層体からなるガスバリアフィルムの技術に関する。
物質を気体のように原子または分子レベルで動ける状態にする気相を用いて物体の表面に薄膜を形成する方法は、大別して、化学気相成長法(CVD:Chemical Vapor Deposition)と物理気相成長法(PVD:Physical Vapor Deposition)がある。
PVDとして代表的なものには、真空蒸着法やスパッタ法などがあり、特に、スパッタ法は、一般的に装置コストは高いが、スパッタ法では膜質と膜厚の均一性に優れた高品質な薄膜の成膜が行えるため、スパッタ法は液晶ディスプレイなどの表示デバイスなどに広く応用されている。
CVDは、真空チャンバ内に原料ガスを導入し、熱エネルギーによって、基板上において1種類あるいは2種類以上のガスを分解または反応させて、固体薄膜を成長させるものである。このとき、成膜時の反応を促進させたり、反応温度を下げたりするために、プラズマや触媒(Catalyst)反応を併用するものもあり、それぞれ、PECVD(Plasma Enhanced CVD)、Cat−CVDなどと呼ばれている。このようなCVDでは成膜欠陥が少ないことが特徴であり、ゲート絶縁膜の成膜など半導体デバイスの製造工程に主に適用されている。
また、近年では、原子層堆積法(ALD法:Atomic Layer Deposition)が注目されている。このALD法は、表面吸着した物質を表面における化学反応によって原子レベルで一層ずつ成膜していく方法であって、一般にはCVDの範疇に分類されている。
なお、ALD法が一般的なCVDと区別されるのは、いわゆるCVD(一般的なCVD)は、単一のガスまたは複数のガスを同時に用いて基板上で反応させて薄膜を成長させるものである。それに対して、ALD法は、前駆体(以下、「第1の前駆体」という。)、またはプリカーサともいわれる活性に富んだガスと、反応性ガス(ALD法では、これもまた前駆体と呼ばれる。そのため、以下、該前駆体を「第2の前駆体」という。)を交互に用い、基板表面における吸着と、これに続く化学反応によって原子レベルで一層ずつ薄膜を成長させていく成膜方法である。
ALD法の具体的な成膜方法は、基板上の表面吸着において、表面がある種のガスで覆われると、それ以上そのガスの吸着が生じない、いわゆるセルフ・リミッティング効果を利用し、前駆体が一層のみ吸着したところで未反応の前駆体を排気する。続いて、反応性ガスを導入して、先の前駆体を酸化または還元させて所望の組成を有する薄膜を一層のみ得たのちに反応性ガスを排気する。以上の処理を1サイクルとし、このサイクルを繰り返して薄膜を成長させていくものである。
したがって、ALD法では薄膜は2次元的に成長する。ALD法は、従来の真空蒸着法やスパッタ法などとの比較ではもちろんのこと、一般的なCVDなどと比較しても、成膜欠陥が少ないことが特徴である。
また、ALD法には、第2の前駆体を分解し、基板に吸着している第1の前駆体と反応させる工程において、反応を活性化させるためにプラズマを用いる方法がある。この方法は、プラズマ活性化ALD(PEALD:Plasma Enhanced ALD)、または、単に、プラズマALDと呼ばれている。
ALD法は、他の成膜法と比較して射影効果、つまりスパッタリング粒子が基板表面に斜めに入射して成膜バラツキが生じる現象が無いなどの特徴があるため、ガスが入り込める隙間があれば成膜が可能である。
したがって、ALD法は、深さと幅の比が大きい高アスペクト比を有する基板上のラインやホールの被膜のほか、3次元構造物の被膜用途でMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)関連などにも応用が期待されている。
以上述べてきたような成膜法を用いてALD法で薄膜を形成する対象は、ウェハやフォトマスクなどのように小さな板状の基板、ガラス板などのように大面積でフレキシブル性がない基板、またはフィルムなどのように大面積でフレキシブル性がある基板、など様々に存在する。これらの用途に対応して、これらの基板に薄膜を形成するための量産設備では、コスト面、取扱いの容易さ、及び成膜品質などによって様々な基板の取扱い方法が提案され、かつ実用化されている。
例えば、ウェハでは基板一枚を成膜装置に供給して成膜し、その後、次の基板へ入れ替えて再び成膜を行う枚葉式成膜装置や、複数の基板をまとめてセットし、全てのウェハに同一の成膜を行うバッチ式成膜装置などがある。
また、ガラス基板などに成膜を行う例では、成膜の源となる部分に対して基板を逐次搬送しながら同時に成膜を行うインライン式成膜装置がある。
さらには、主にフレシキブル基板に対してはロールから基板を巻き出し、搬送しながら成膜を行い、別のロールに基板を巻き取る、いわゆるロールツーロールによるコーティング成膜装置がある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1には、基材フィルムを搬送するロールツーロール方式の搬送機構を有する成膜装置を用いて、原子層堆積法により、プラスチックフィルムからなる基材の両面に原子層堆積膜を形成することが開示されている。
この技術によれば、ALD法によって原子層堆積膜を形成することにより、バリア特性に優れたガスバリアフィルムを実現することが可能となる。
特開2012−096432号公報
ところで、原子層堆積膜は、膜厚が数nm〜数十nmの薄膜で高いガスバリア性を実現することができるが、膜厚が極めて薄いため、外力によりその表面に傷が付くことがある。何らかの外力によって原子層堆積膜に傷がつくと、傷の大きさによっては原子層堆積膜の膜厚方向に延びる貫通孔が生じる場合がある。このようにして原子層堆積膜に膜厚方向の貫通孔が生じると、この貫通孔を通じて基材との間でガスが出入りしてしまうので、ガスバリア性が低下してしまう。
また、他の問題点として、このような原子層堆積膜を有する積層体を用いたガスバリアフィルムを製造する場合には、原子層堆積膜が形成された後に原子層堆積膜に剛体が接触しないような製造ラインでなければ、ガスバリア性が低下する要因となってしまう。このため、積層体を用いてガスバリアフィルムを製造する場合は、製造工程においてガスバリアフィルムをロール状に巻き取るときにガスバリア性の低下を招いてしまう。このため、ガスバリアフィルムをロール状にして搬送、保管することができないという問題がある。
本発明は、このような事情を踏まえてなされたものであり、基材の表面に形成された原子層堆積膜が外力で容易に傷つかないようにしてガスバリア性を高めた積層体、及びこの積層体によって形成されたガスバリアフィルムを提供することを目的とする。
課題を解決するため、本発明の一態様は、基材と、前記基材の一方の面に形成された原子層堆積膜と、前記原子層堆積膜上に形成され水溶性高分子及び金属アルコキシドを有する保護層と、を備える一対の基体を備え、前記一対の基体は、前記保護層同士を対向させて積層し、前記対向する保護層の界面で、前記対向する保護層のうちの一方の保護層中の原子と他方の保護層中の原子との間に結合が形成されていることで前記対向する保護層同士が接着され、前記原子層堆積膜の厚さが、2nm以上100nm以下であることを特徴とする。
本発明の態様によれば、各基体において、基材を覆う原子層堆積膜の表面に保護層を形成することで、保護層が原子層堆積膜の一面を保護するものとして機能する。さらに、この保護層同士が対向するように一対の基体を重ね合わせることで、積層体の内側に原子層堆積膜が配置され、また積層体の外側の両面が基材となる。
この結果、外力により、原子層堆積膜の一面が損傷することが抑制される。具体的には、外力により、原子層堆積膜の一面側から基材に到達する深さの傷が形成されることなどを抑制可能となる。
これにより、例えば、ロール状に積層体を搬送及び保管した場合でもガスバリア性の低下を抑制することができ、所期の耐久性とガスバリア性の発現が可能となる。すなわち、原子層堆積膜の膜厚方向にガスが出入りするような傷が原子層堆積膜に生じる可能性を低く抑えることができる。さらに、原子層堆積膜が積層体の中央付近に位置することで屈曲等の影響による原子層堆積膜にかかる応力等の影響が軽減され、クラック等の傷が原子層堆積膜に生じる可能性も低く抑えることができる。
更に、一対の基体の保護層同士を原子と原子とによる結合で接着させることで、一対の基体同士が強固に接合すると共に、その界面のガスバリア性が向上する。
この結果、本発明の態様によれば、一対の基体からなる積層体の耐久性及びガスバリア性を高く維持することができるため、例えば信頼性の高いガスバリアフィルムを提供することができる。
本発明の実施形態に係る積層体の構成を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
ここで、図面は模式的なものであり、厚さと平面寸法との関係、各層の厚さの比率等は現実のものとは異なる。
また、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造等が下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
本実施形態の積層体30は、図1に示すように、一対の基体10,20が、それぞれの保護層3,4を対向させた状態で積層された構造を有する。
基体10,20はそれぞれ、基材1,6と、基材1,6の一面に形成された原子層堆積膜2,5(以下「ALD膜2,5」という。)と、ALD膜2,5を覆う保護層3,4とを備えている。そして、積層体30は、基体10の保護層3の一面3aと、基体20の保護層4の一面4aとを接着させて一対の基体10,20を積層したものである。
本実施形態では、対向した保護層3,4は、保護層3の一面3aと、保護層4の一面4aの接着界面の少なくとも一部で、保護層3中の原子と保護層4中の原子との間に結合が形成されることで接着される。この接着によって、一対の基体10,20同士が強固に接着される。例えば、基体10,20の表面(保護層3)に電子線を照射してラジカルを発生させることにより、保護層3中の原子と保護層4中の原子との間にラジカル結合による結合が形成されることや、酸素、窒素、水酸基からなる群から選択される少なくとも1種以上を介して結合が形成されることによって、基体10と基体20とが強固に接着できる。
<積層体30の構成>
以下、実施形態による積層体30の構成について説明する。
基材1,6は、プラスチック材料からなるフィルム状の基材であり、透明であることが望ましい。基材1,6の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミドフィルム(PI)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)などのプラスチック材料が挙げられる。また、これらに限定されず、基材1,6は、耐熱性、強度物性、電気絶縁性等を考慮して適宜選択することが可能である。
基材1,6は、ガラス転移点(Tg)が50℃以上であることが望ましいが、その限りではない。
基材1,6の厚みは、エレクトロルミネッセンス素子などの電子部品及び、精密部品の包装材料としての適正や、ガスバリアフィルムとしての加工適正という点を考慮して、12μm以上100μm以下であることが好ましい。
ALD膜2,5は、ALD法によって形成される膜である。膜の形成方法については公知のALD膜生成方法を適用すればよい。
ALD膜2,5は、AlO、TiO、SiO、ZnO、SnOなどの無機酸化膜、無機窒化膜、無機酸窒化膜、あるいはこれらの膜及び元素の混合膜であってもよい。さらにALD膜2,5は、他元素からなる酸化膜、窒化膜、酸窒化膜あるいはこれらの混合膜であってもよい。
ALD膜2,5の厚みは、2nm以上100nm以下であることが望ましく、2nm以上50nm以下であるとより好ましい。ALD膜2,5の膜厚が2nmより小さい場合、ガスバリア層としての機能を十分に果たせない。一方、ALD膜3の膜厚が100nmより大きい場合、ガスバリア層の内部応力によりクラックが生じやすくなる恐れがある。また、コスト的にも割高になり、生産性が悪くなるため好ましくない。
基材1,6の表面に形成されたALD膜2,5は優れたバリア性を有するが、ALD膜2,5の膜厚が薄い場合、外的な接触等によって、ALD膜2,5に傷やピンホール等が生じる可能性がある。このような場合、積層体のガスバリア性能が低下する原因となる。
そこで、外的な接触等による、ALD膜2,5に傷やピンホール等が生じることを防ぎ、耐久性を向上させるために、ALD膜2,5の表面に保護層3,4を構成する。
保護層3,4は、少なくとも水溶性高分子と金属アルコキシドとで形成されることが好ましい。このとき、保護層3,4は、水溶性高分子と、1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物とを含む水溶液或いは水とアルコールとの混合溶液を主剤とするコーティング剤と、を用いて形成する。
具体的には、例えば、水系溶媒に水溶性高分子を溶解させ、さらに金属アルコキシドを直接、或いは予め加水分解させるなど処理を行い混合した溶液を準備する。この溶液をALD膜2,5の表面にコーティング後、加熱乾燥することで、保護層3,4は形成される。保護層3,4は、水溶性高分子と金属アルコキシドとから構成されることにより、ガスバリア性及び水蒸気バリア性を向上することができる。
コーティング剤に用いられる水溶性高分子は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びアルギン酸ナトリウム等が挙げられる。特に、ポリビニルアルコール(以下「PVA」という。)をコーティング剤に用いた場合にガスバリア性が最も優れるので好ましい。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られる。PVAとしては、例えば、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVA等用いることができ、これ以外のPVAを用いても構わない。
また、金属アルコキシドは、一般式、M(OR)n(M:Si,Ti,Al,Zr等の金属、R:CH、C等のアルキル基)で表せる化合物である。具体的には、テトラエトキシシラン〔Si(OC〕、及びトリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−i−C〕などが挙げられる。それらの中でもテトラエトキシシラン及びトリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
コーティング剤の塗布方法としては、通常用いられるウェットコーティング技術を採用すればよい。塗布方法として、例えば、ディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、及びスプレー法などのコーティング方法があるが、ALD膜2,5に非接触でコーティング可能な方法を用いることが好ましい。
保護層3,4の乾燥後の厚さは、ALD膜2,5の厚みをtとし、形成される保護層3,4の厚みをtとすると、保護層3,4厚みは、t<t<50tの関係を満たすことが好ましく、t<t≦10tの関係を満たすことがより好ましい。保護層3,4の厚みtがt以下であると、外的要因によって傷がALD膜2,5に達してしまい、保護層としての機能を十分に果たすことができない。また、50tを超えると内部応力によってクラックが発生し、ガスバリア性が低下することが考えられる。ここで、ALD膜2,5の厚みt及び、保護層3,4の厚みtはナノメートルスケールである。
<積層体30の形成方法>
次に、上記のように形成した基体10,20を貼り合せて積層体30を形成する方法について説明する。
本実施形態の形成方法においては、基体10,20の保護層3,4側にそれぞれ電子線を照射した後に、ローラ等を用いて、重ね合わせた基体10,20を押圧することで形成することが好ましい。
このとき、基体10,20を押圧する際に、基体10,20若しくはローラを加熱しながら押圧することが好ましい。加熱しながら押圧することにより、基体10,20の柔軟性が向上し、接触する保護層3の3a及び保護層4の4aの界面での接触面積をより向上させることができるため、基体10,20間の密着性が向上する。このとき加熱する温度は、使用するフィルム(基体10,20)の種類にもよるが、フィルムが熱変形できる温度であればよく、例えばフィルムを構成する樹脂のガラス転移温度以上に加熱することができる。
電子線の照射エネルギーは、フィルム(基体10,20)の厚み等に応じて適宜調整する必要があるが、40〜200kVの低い照射エネルギーとすることが好ましい。このような低い照射エネルギーとすることにより、フィルムの劣化を抑制することができて、フィルム表面である保護層3,4でのラジカル発生が効率的に行えるため、基体10,20間をより強固な結合にすることができる。
以上のように、基材1,6、ALD膜2,5、保護層3,4からなる積層体30は、積層体30の外側の両面が基材1,6からなる面となることから、巻取り時にALD膜2,5の一面が直接ローラ等に接することがないため、ALD膜2,5に傷がつき難くなる。さらに、ALD膜2,5が積層体30の中央付近に位置することで屈曲等の影響によるALD膜2,5にかかる応力等の影響が軽減され、傷が付き難くなる。すなわち、ALD膜2,5の膜厚方向にガスが出入りするような傷がALD膜2,5に生じる可能性を低く抑えることができる。よって、ロール状に巻取り等をした場合にガスバリア性を維持することができ、積層体の耐久性やガスバリア性を高めることができる。
更に、一対の基体10,20の保護層3,4同士を原子と原子とによる結合で接着させることで、一対の基体10,20同士が強固に接合すると共に、その界面のガスバリア性が向上する。
特に、ALD膜2,5の厚みは、5nm以上100nm以下に設定することで、積層体30の水蒸気透過率が0.01〔g/(m・day)〕以下の高いバリア性とすることが可能となる(後述の実施例を参照)。この結果、本実施形態の積層体30を、例えば信頼性の高いガスバリアフィルムに適用することが可能となる。
以上、本発明における積層体の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、本発明の具体的な構成は上述した実施形態の内容に限定されるものではない。また、本発明は上記発明によって実現された積層体を含むガスバリアフィルムにも提供される。
次に、上記の実施形態に基づいて実現した積層体の具体的な実施例について説明する。ここでは、ALD膜2,5からなるガスバリア層の成膜方法について説明する。
[原子層堆積膜の成膜]
基材1として準備した、厚さ50μmのPETフィルムの表面に、バッチ式ALD成膜装置を用いたALD法により、PETフィルムの表面に、ALD膜2,5としてTiO2膜(バリア層)を成膜した。
TiO2膜を成膜する際には、原料ガスとして四塩化チタン(TiCl)を用いた。また、上記の原料ガスと同時に、プロセスガスであるNと、パージガスであるO及びNと、反応ガス兼プラズマ放電ガスであるOと、をそれぞれ成膜室(チャンバ)内へ供給した。このとき、成膜室内の圧力は10〜50Paとした。
さらに、プラズマ励起用電源として、13.56MHzの電源を用い、ICPモードによってプラズマ放電を実施した。
また、各ガスの供給時間は、以下のように設定した。具体的には、TiCl及びプロセスガスの供給時間を1sec、パージガスの供給時間を60sec、反応ガス兼放電ガスの供給時間を5secとした。
そして、反応ガス兼放電ガスの供給と同時に、ICPモードにてプラズマ放電を発生させた。また、このときのプラズマ放電の出力電力は、250Wとした。また、プラズマ放電後のガスパージとして、パージガスとなるO(供給量が60sccm)、及びN(供給量が100sccm)を4sec供給した。TiO膜の成膜温度は90℃として、厚さ10nmの成膜を行った。
[積層体の水蒸気透過率及び粘着力]
次に、上記の実施形態に基づいて実現した積層体30の保護層3の一面3aと保護層4の一面4aの密着強度と、巻取り用ローラに巻き取らせる前後の水蒸気透過率(以下、WVTRという)の実験結果について、実施例を説明する。なお、ここでは、密着強度は、積層体を10mm幅の短冊状に切断したサンプルにおいて、保護層3の一面3aと保護層4の一面4aの間を180度剥離で測定した。試験にはオリエンテック社製テンシロン万能試験機RTC−1250を用いた。また、剥離速度は、300mm/minとして行った。また、水蒸気透過率は、水蒸気透過度測定装置(MOCON社製 MOCON Aquatran(登録商標))を用いて、40℃/90%RHの雰囲気で水蒸気透過率を測定したものである。また、表1は、積層体の巻取り前後のWVTRを比較した表である。
Figure 2017209834
以下、表1を参照しながら実施例の優位性について説明する。
<実施例1>
実施例1では、厚さ50μmのPETフィルムである基材1又は6の一面に、バリア層としてTiO膜を約10nm成膜したALD膜2又は5を形成し、ALD膜2又は5の一面に水溶性高分子と金属アルコキシドからなる溶液をコーティング後、加熱乾燥した後の膜厚が約30nmである保護層3または4を形成することで、基体10,20を作製した。
次に、基体10,20にそれぞれ電子線照射装置を用いて電圧40kVの条件で電子線を照射した後に、保護層3の一面3aと保護層4の一面4aをローラで重ね合わせた後、直径が300mmの巻取り用ローラに接触させて巻取りを実施し、積層体30を形成した。このとき、貼り合わされる保護層3の一面3aと保護層4の一面4aの密着強度は、5.0N/10mmであり、併せて巻取り前後のWVTRを測定した。WVTRの測定値は、巻取り前は6.0×10−4〔g/(m・day)〕、巻取り後は9.8×10−4〔g/(m・day)〕であった。
<実施例2>
実施例2では、ALD膜2又は5にバリア層としてAlSiO膜を約10nm成膜したこと以外は、実施例1と同様な手法により、実施例2の積層体30を作製した。このとき、貼り合わされる保護層3の一面3aと保護層4の一面4aの密着強度は、5.1N/10mmであり、併せて巻取り前後のWVTRを測定した。WVTRの測定値は、巻取り前は5.0×10−4〔g/(m・day)〕、巻取り後は9.3×10−4〔g/(m・day)〕であった。
<実施例3>
実施例3では、ALD膜2又は5にバリア層としてTiAlO膜を約5nm成膜したこと以外は、実施例1と同様な手法により、実施例3の積層体30を作製した。このとき、貼り合わされる保護層3の一面3aと保護層4の一面4aの密着強度は、4.9N/10mmであり、併せて巻取り前後のWVTRを測定した。WVTRの測定値は、巻取り前は8.0×10−4〔g/(m・day)〕、巻取り後は1.5×10−3〔g/(m・day)〕であった。
<比較例>
次に、本実施例に係る積層体における粘着力とWVTRの優位性を示すために、表1に示すような比較例と対比してみる。
<比較例1>
比較例1では、基体10,20にそれぞれ電子線照射をしないで保護層3の一面3aと保護層4の一面4aをローラで重ね合わせたこと以外は、実施例1と同様な手法により、比較例1の積層体30を作製した。このとき、貼り合わされる保護層3の一面3aと保護層4の一面4aの密着強度は、接着していなかったため測定することができなかったが、併せて巻取り前後のWVTRを測定した。WVTRの測定値は、巻取り前は6.5×10−4〔g/(m・day)〕、巻取り後は4.6×10−2〔g/(m・day)〕であった。
<比較例2>
比較例2では、厚さ50μmのPETフィルムである基材1の一面に、バリア層としてTiO膜を約10nm成膜したALD膜2を形成した試料を用いて直径が300mmの巻取り用ローラに接触させて巻取りを実施し、巻取り前後のWVTRを測定した。WVTRの測定値は、巻取り前は3.0×10−3〔g/(m・day)〕、巻取り後は6.2×10−2〔g/(m・day)〕であった。
[まとめ]
以上のように、基材を覆う原子層堆積膜の表面に保護層を形成し、さらに、この保護層同士が対向するように2枚重ね合わせることで、巻取り後でもバリア性を維持していることが確認された。よって、本発明の積層体によれば、巻取り時にALD膜が環境変化等のストレスによる影響をあまり受けることなく、積層体のガスバリア性を高くすることができる。
本発明の積層体は、エレクトロルミネッセンス素子(EL素子)、液晶ディスプレイ、半導体ウェハなどの電子部品の利用に限らず、医薬品や食料などの包装用フィルム、精密部品の包装用フィルムなどにも有効に利用することができる。
1 基材
2 原子層堆積膜(ALD膜)
3 保護層
4 保護層
5 原子層堆積膜(ALD膜)
6 基材
10,20 基体
30 積層体

Claims (5)

  1. 基材と、前記基材の一方の面に形成された原子層堆積膜と、前記原子層堆積膜上に形成され水溶性高分子及び金属アルコキシドを有する保護層と、を備える一対の基体を備え、
    前記一対の基体は、前記保護層同士を対向させて積層し、
    前記対向する保護層の界面で、前記対向する保護層のうちの一方の保護層中の原子と他方の保護層中の原子との間に結合が形成されていることで前記対向する保護層同士が接着され、
    前記原子層堆積膜の厚さが、2nm以上100nm以下であることを特徴とする積層体。
  2. 前記対向する保護層の界面での前記原子と原子との結合は、ラジカル反応による結合であることを特徴とする請求項1に記載した積層体。
  3. 前記原子層堆積膜は、Al、Ti、Si、Zn及びSnの少なくとも1種類の材料を含む無機酸化膜、無機窒化膜及び無機酸窒化膜の少なくとも一層を含む膜であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の積層体。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の積層体からなり、前記原子層堆積膜の厚さが5nm以上であり、積層体を巻取り用ローラで一度巻取り・巻き戻したあとの当該積層体の水蒸気透過率が0.01〔g/(m・day)〕以下であることを特徴とするガスバリアフィルム。
  5. 請求項2に記載の積層体を形成する形成方法であって、前記一対の基体の各保護層面に電子線を照射した後に、前記対向する保護層面間を重ね合わせることで前記一対の基体を接着することを特徴とする積層体の形成方法。
JP2016103469A 2016-05-24 2016-05-24 積層体及びその形成方法、並びにガスバリアフィルム Pending JP2017209834A (ja)

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