JP5454346B2 - 接合膜転写シートおよび接合方法 - Google Patents
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Description
例えば、従来のインクジェットプリンタが備える液滴吐出ヘッド(インクジェット式記録ヘッド)では、樹脂材料、金属材料、シリコン系材料等の異種材料からなる部材同士が、接着剤を用いて接着されている(例えば、特許文献1参照)。
このように接着剤を用いて部材を接着する際には、液状またはペースト状の接着剤を接着面に塗布し、塗布された接着剤を介して部材同士を貼り合わせる。その後、熱または光の作用により接着剤を硬化させることで接着が完了する。
さらに、部材の構成材料によっては、接着強度を高めるためにプライマーを用いる必要があり、そのためのコストと手間が接着工程を複雑化している。
固体接合は、接着剤等の中間層が介在することなく、部材同士を直接接合する方法である。
このような固体接合によれば、接着剤のような中間層を用いないので、寸法精度の高い接合体を得ることができる。
また、固体接合を行う雰囲気が減圧雰囲気に限られる上、高温(700以上800℃以下程度)の熱処理を必要とするなど、接合プロセスにも制約がある。
このような問題を受け、2つの部材同士を、接合面の一部の領域において選択的に、高い寸法精度で強固に接合する方法が求められている。
このような接合膜は、気相成膜法で成膜されているため、従来に比べて接合膜の位置精度や厚さを厳密に制御し易い。しかしながら、プラズマ重合により形成した接合膜をパターニングする際には、フォトリソグラフィー技術とエッチング技術とを用いて不要部分を除去する必要があり、製造工程の複雑化、高コスト化が懸念される。
また、特許文献2では、接合に供する部材の表面に接合膜を成膜する必要があるため、成膜装置と部材とは不可分であり、成膜装置がある場所に必ず部材を用意しなければならない。ところが、成膜装置は大型で重量も大きく、可搬性が著しく低いため、製品の製造プロセスでは、部材の動線に地理的制約を伴うことが懸念される。
本発明の接合膜転写シートは、被着体に接合膜を転写するのに用いる接合膜転写シートであって、
基材と、
該基材の一方の面側に設けられた接合膜と、
前記基材と前記接合膜との間に設けられた剥離層とを有し、
前記接合膜は、シロキサン(Si−O)結合を含む原子構造を有するSi骨格と、該Si骨格に結合し、有機基からなる脱離基とを含むものであり、
前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与し、前記脱離基が前記Si骨格から脱離することにより前記接合膜に発現した接着性を利用して、前記被着体に接合し、前記剥離層との界面で剥離し得るものであることを特徴とする。
これにより、接合膜を転写された部材(第1の被着体)と他の部材(第2の被着体)との簡単な接合を可能にする接合膜転写シートが得られる。
これにより、接合膜は、Si原子とO原子とが強固なネットワークを形成し、接合膜自体が強固なものとなる。また、かかる接合膜は、第1の被着体および第2の被着体に対して、特に高い接合強度を示すものとなる。
これにより、接合膜の安定性が高くなり、第1の被着体と第2の被着体とをより強固に接合することができるようになる。
本発明の接合膜転写シートでは、前記Si骨格の結晶化度は、45%以下であることが好ましい。
これにより、Si骨格は特にランダムな原子構造を含むものとなる。そして、寸法精度および接着性に優れた接合膜が得られる。
Si−H結合は、シロキサン結合の生成が規則的に行われるのを阻害すると考えられる。このため、シロキサン結合は、Si−H結合を避けるように形成されることとなり、Si骨格の規則性が低下する。このようにして、接合膜中にSi−H結合が含まれることにより、結晶化度の低いSi骨格を効率よく形成することができる。
これにより、接合膜中の原子構造は、相対的に最もランダムなものとなる。このため、接合膜は、接合強度、耐薬品性および寸法精度において特に優れたものとなる。
これにより、耐候性および耐薬品性に優れた接合膜が得られる。
本発明の接合膜転写シートでは、前記脱離基としてメチル基を含む接合膜についての赤外光吸収スペクトルにおいて、シロキサン結合に帰属するピーク強度を1としたとき、メチル基に帰属するピーク強度が0.05以上0.45以下であることが好ましい。
これにより、メチル基の含有率が最適化され、メチル基がシロキサン結合の生成を必要以上に阻害するのを防止しつつ、接合膜中に必要かつ十分な数の活性手が生じるため、接合膜に十分な接着性が生じる。また、接合膜には、メチル基に起因する十分な耐候性および耐薬品性が発現する。
これにより、接着性により優れた接合膜が得られる。また、この接合膜は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなり、例えば、薬品類等に長期にわたって曝されるような被着体の接合に際して、有効に用いられるものとなる。
これにより、接着性に特に優れた接合膜が得られる。
本発明の接合膜転写シートでは、前記接合膜は、プラズマ重合により形成されたものであることが好ましい。
これにより、緻密で均質な接合膜を効率よく製造することができ、被着体に対して特に強固に接合可能な接合膜が得られる。
これにより、高周波の出力密度が高過ぎて原料ガスに必要以上のプラズマエネルギーが付加されるのを防止しつつ、ランダムな原子構造を有するSi骨格を確実に形成することができる。
これにより、第1の被着体と第2の被着体とを接合した接合体の寸法精度が著しく低下するのを防止しつつ、これらをより強固に接合することができる。
本発明の接合膜転写シートでは、前記接合膜は、流動性を有しない固体状のものであることが好ましい。
これにより、接合膜転写シートを用いて得られた接合体の寸法精度は、従来に比べて格段に高いものとなる。また、従来に比べ、短時間で強固な接合が可能になる。
これにより、仮に第1の被着体の表面に凹凸があったとしても、接合膜転写シートをその凹凸形状に沿って変形させることができるので、接合膜転写シートを第1の被着体に積層する際に、積層界面の密着性を高めることができる。
これにより、基材は特に可撓性に優れたものとなるため、第1の被着体に対する密着性がより高い接合膜転写シートが得られる。特に小さな曲率半径で湾曲させた場合でも、破断するおそれが少なくなるため、剥離プロセスを容易かつ確実に行うことができる。
これにより、可撓性を有する第1の被着体に対しても接合膜を転写することができる。
本発明の接合膜転写シートでは、前記剥離層は、その表面エネルギーが、前記被着体の表面エネルギーより小さいものであることが好ましい。
これにより、第1の被着体は、接合膜に対して相対的に高い密着性を示し、接合膜と強固に接合される一方、剥離層は接合膜に対して相対的に低い密着性を示すことになるから、接合膜は、第1の被着体に確実に転写されるものとなる。
これにより、剥離層と接合膜との界面で意図しない剥離が生じるのを防止するとともに、適度な剥離力を加えることで、剥離層と接合膜との界面に剥離を生じさせることができる。
これにより、基材の機械的特性(可撓性または剛性等)に影響を及ぼすことなく、剥離層を構成することができる。
本発明の接合膜転写シートでは、前記剥離層は、フッ素原子を含有するカップリング剤で構成されていることが好ましい。
これにより、1分子または数分子程度の極薄い剥離層を形成することができる。このため、基材に対する剥離層の密着性が向上し、基材を湾曲させた際に、剥離層が基材から剥がれ難くなる。
これにより、接合膜の表面を保護し、異物の付着や損傷等を防止することができる。その結果、耐久性に優れ、長期の保存や流通に適した接合膜転写シートが得られる。
本発明の接合膜転写シートでは、前記カバーシートは、その表面エネルギーが、前記剥離層の表面エネルギーより小さいものであることが好ましい。
これにより、カバーシートは、接合膜に対して相対的に低い密着性を示す一方、剥離層は接合膜に対して相対的に高い密着性を示すことになるから、カバーシートと接合膜との間が接合してしまうのを防止して、確実に剥離可能なカバーシートが得られる。
前記接合膜転写シートの前記接合膜の表面にエネルギーを付与し、前記脱離基を前記Si骨格から脱離させ、接着性を発現させ、前記接合膜の表面と前記被着体とが密着するように、前記接合膜転写シートと前記被着体とを積層し、第1の仮接合体を得る第1の工程と、
前記第1の仮接合体から前記基材および前記剥離層を剥離して、前記被着体に前記接合膜を転写し、第2の仮接合体を得る第2の工程と、
前記第2の仮接合体の前記接合膜の剥離面にエネルギーを付与し、前記脱離基を前記Si骨格から脱離させ、接着性を発現させ、前記接合膜の剥離面と前記他の被着体とが密着するように、前記第2の仮接合体と前記他の被着体とを積層し、接合体を得る第3の工程とを有することを特徴とする。
これにより、接合膜転写シートを用いて2つの部材同士を効率よく接合することができる。
これにより、押圧力を付与する領域を適宜設定するのみで、接合膜を転写する領域を簡単に制御することができる。
これにより、接合膜において、その接着性を必要かつ十分に発現させることができる。また、この圧力が前記上限値を上回っても構わないが、基材や第1の被着体の各構成材料によっては損傷等が生じるおそれがある。
これにより、凸部の形状を適宜選択することのみで、接合膜を効率よく簡単にパターニングし、これにより得られた接合膜を介して第1の被着体と第2の被着体とを部分的に効率よく接合することができる。
<第1実施形態>
まず、本発明の接合膜転写シートおよび接合方法の第1実施形態について説明する。
図1および図2は、本発明の接合膜転写シートおよび接合方法の第1実施形態を説明するための図(縦断面図)、図3は、本発明の接合膜転写シートが備える接合膜のエネルギー付与前の状態を示す部分拡大図、図4は、本発明の接合膜転写シートが備える接合膜のエネルギー付与後の状態を示す部分拡大図である。なお、以下の説明では、図1および図2中の上側を「上」、下側を「下」という。
接合膜3は、例えばプラズマ重合により成膜されたものであり、シロキサン(Si−O)結合を含む原子構造を有するSi骨格と、このSi骨格に結合する脱離基とを含むものである。
このような接合膜3は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与することにより、接合膜3に存在する脱離基がSi骨格から脱離し、接合膜3のエネルギーを付与した領域に接着性が発現するという特徴を有する。
本実施形態に係る接合方法は、接合膜転写シート1aの接合膜3の上面(表面)にエネルギーを付与するとともに、接合膜3と第1の被着体5aとが密着するように、接合膜転写シート1aと第1の被着体5aとを積層し、第1の仮接合体7を得る第1の工程と、第1の仮接合体7から基材2aおよび剥離層4を剥離することにより、第1の被着体5aに接合膜3を転写して第2の仮接合体8を得る第2の工程と、第2の仮接合体8の接合膜3の上面(剥離面)にエネルギーを付与するとともに、接合膜3と第2の被着体6とが密着するように、第2の仮接合体8と第2の被着体6とを積層し、接合体10を得る第3の工程とを有する。
このようにして得られた接合体10は、低温下であっても、第1の被着体5aと第2の被着体6とを高い寸法精度で強固に接合したものとなる。
まず、本発明の接合膜転写シートについて説明する。
図1に示す接合膜転写シート1aは、前述したように、基材2aと、剥離層4と、接合膜3とを有するものである。以下、各部の構成について詳述する。
基材2aは、剥離層4および接合膜3を支持するものである。図1に示す基材2aは、両面が平坦面である基板状(シート状)のものであり、その厚さは全体で均一である。
さらに、基材2aが可撓性を有することにより、接合膜転写シート1a自体も可撓性を有するものとなる。このような接合膜転写シート1aは、ロール状に巻き取ることができるので、保管時および搬送時に省スペース化が図られる。さらに、ロール状に巻き取られた接合膜転写シート1aは、順次繰り出されることにより必要な長さを容易に供給可能である。このため、本発明の接合方法を、接合装置により行う場合、接合膜転写シート1aは装置への親和性に優れたものとなる。
さらに、樹脂系材料は軽量であるため、大量の接合膜転写シート1aをロール状に巻き取ったとしても、そのロールは比較的軽量で可搬性に優れたものとなるため、取り扱いが容易になる。
かかる表面処理としては、例えば、スパッタリング処理、ブラスト処理のような物理的表面処理、酸素プラズマ、窒素プラズマ等を用いたプラズマ処理、コロナ放電処理、エッチング処理、電子線照射処理、紫外線照射処理、オゾン暴露処理のような化学的表面処理、または、これらを組み合わせた処理等が挙げられる。このような処理を施すことにより、基材2aの上面を清浄化するとともに、活性化させることができる。その結果、剥離層4の基材2aに対する密着強度を確実に高めることができる。
このような基材2aの平均厚さは、構成材料や目的とする可撓性に応じて適宜設定されるが、一例として0.01mm以上10mm以下程度であるのが好ましく、0.1mm以上3mm以下程度であるのがより好ましい。
剥離層4は、前述したように基材2aに対して強固に密着する一方、接合膜3との間では密着強度が低くなることが求められる。このため、剥離層4の構成材料は、基材2aとの密着性および接合膜3との密着性のバランスに基づいて選択されることとなる。
このうち、フッ素系樹脂が好ましく用いられる。フッ素系樹脂は、接合膜3に対して特に優れた剥離性を有しているため、円滑な剥離が可能になる。このため、接合膜3をムラなく転写することができる。
このような材料で構成された剥離層4は、例えば、液状材料を塗布または印刷することにより液状被膜を得た後、乾燥により被膜を形成する各種液相成膜法、CVD法、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマ重合法等の各種気相成膜法、電界めっき法、無電解めっき法等の各種めっき法等により成膜される。
また、カップリング剤を用いて形成された剥離層4では、上述した接合膜3に対して親和性の低い官能基の存在密度が高くなる。このため、剥離層4の表面にはこの官能基が隙間なく並ぶこととなり、剥離層4と接合膜3との界面の接合強度をムラなく抑えることができる。
また、剥離層4の表面エネルギーは、前述したように第1の被着体5aの表面エネルギーより小さいことが好ましいが、何らかの表面処理等により、第1の被着体5aと接合膜3との接合強度を強制的に高めた場合には、必ずしも小さくなくてもよい。かかる表面処理としては、前述した基材2aに施す表面処理と同等のものが挙げられる。
このような接合膜3は、例えばプラズマ重合により形成されたものであり、図3に示すように、シロキサン(Si−O)結合302を含み、ランダムな原子構造(アモルファス構造)を有するSi骨格301と、このSi骨格301に結合する脱離基303とを有するものである。このような接合膜3は、シロキサン結合302を含みランダムな原子構造を有するSi骨格301の影響によって、変形し難い強固な膜となる。これは、Si骨格301の結晶性が低くなる(非晶質化する)ため、結晶粒界における転位やズレ等の欠陥が生じ難いためであると考えられる。このため、接合膜3自体が接合強度、耐薬品性、耐光性および寸法精度の高いものとなり、最終的に得られる接合体10においても、接合強度、耐薬品性、耐光性および寸法精度が高いものが得られる。
なお、脱離基303とSi骨格301との結合エネルギーは、Si骨格301中のシロキサン結合302の結合エネルギーよりも小さい。このため、接合膜3は、エネルギーの付与により、Si骨格301が破壊されるのを防止しつつ、脱離基303とSi骨格301との結合を選択的に切断し、脱離基303を脱離させることができる。
なお、接合膜3においては、特に接合膜3を構成する全原子からH原子を除いた原子のうち、Si原子の含有率とO原子の含有率の合計が、10原子%以上90原子%以下程度であるのが好ましく、20原子%以上80原子%以下程度であるのがより好ましい。Si原子とO原子とが、前記範囲の含有率で含まれていれば、接合膜3はSi原子とO原子とが強固なネットワークを形成し、接合膜3自体が強固なものとなる。また、かかる接合膜3は、第1の被着体5aに対して、特に高い接合強度を示すものとなる。
また、接合膜3中のSi骨格301の結晶化度は、45%以下であるのが好ましく、40%以下であるのがより好ましい。これにより、Si骨格301は十分にランダムな原子構造を含むものとなり、より非晶質的な特性を示す。このため、前述したSi骨格301の特性が顕在化し、接合膜3の寸法精度および接着性がより優れたものとなる。
また、Si骨格301の結晶化度を測定する際には、接合膜3に対して上述の測定方法を適用すればよいが、あらかじめ接合膜3に前処理を施しておくのが好ましい。この前処理としては、後述する接合膜3にエネルギーを付与する処理(例えば、紫外線照射処理等)が挙げられる。エネルギーの付与により、接合膜3中の脱離基が脱離し、Si骨格301の結晶化度をより正確に測定することが可能になる。
かかる観点から、脱離基303には、H原子、B原子、C原子、N原子、O原子、P原子、S原子およびハロゲン系原子、またはこれらの各原子を含み、これらの各原子がSi骨格301に結合するよう配置された原子団からなる群から選択される少なくとも1種で構成されたものが好ましく用いられる。かかる脱離基303は、エネルギーの付与による結合/脱離の選択性に比較的優れている。このため、このような脱離基303は、上記のような必要性を十分に満足し得るものとなり、接合膜3の接着性をより高度なものとすることができる。
これらの各基の中でも、脱離基303は、特に有機基であるのが好ましく、アルキル基であるのがより好ましい。有機基およびアルキル基は化学的な安定性が高いため、有機基およびアルキル基を含む接合膜3は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなる。
すなわち、接合膜3の赤外光吸収スペクトルにおいて、シロキサン結合に帰属するピークの強度を1としたとき、メチル基に帰属するピークの強度は、0.05以上0.45以下程度であるのが好ましく、0.1以上0.4以下程度であるのがより好ましく、0.2以上0.3以下程度であるのがさらに好ましい。メチル基のピーク強度がシロキサン結合のピーク強度に対する割合が前記範囲内であることにより、メチル基がシロキサン結合の生成を必要以上に阻害するのを防止しつつ、接合膜3中に必要かつ十分な数の活性手が生じるため、接合膜3に十分な接着性が生じる。また、接合膜3には、メチル基に起因する十分な耐候性および耐薬品性が発現する。
ポリオルガノシロキサンで構成された接合膜3は、それ自体が優れた機械的特性を有している。また、多くの材料に対して特に優れた接着性を示すものである。したがって、ポリオルガノシロキサンで構成された接合膜3は、基材2aに対して特に強固に被着するとともに、第1の被着体5aに対しても特に強い被着力を示し、その結果として、基材2aと第1の被着体5aとを強固に接合することができる。
なお、この撥水性(非接着性)は、主に、ポリオルガノシロキサン中に含まれた有機基(例えばアルキル基)による作用である。したがって、ポリオルガノシロキサンで構成された接合膜3は、エネルギーを付与されることにより、表面35に接着性が発現するとともに、表面35以外の部分においては、前述した有機基による作用・効果が得られるという利点も有する。したがって、このような接合膜3は、耐候性および耐薬品性に優れたものとなり、例えば、薬品類等に長期にわたって曝されるような光学素子や液滴吐出ヘッドの組み立てに際して、有効に用いられるものとなる。
すなわち、接合膜3の平均厚さが前記下限値を下回った場合は、十分な接合強度が得られないおそれがある。一方、接合膜3の平均厚さが前記上限値を上回った場合は、接合体10の寸法精度が低下するおそれがある。
なお、上記のような形状追従性の程度は、接合膜3の厚さが厚いほど顕著になる。したがって、形状追従性を十分に確保するためには、接合膜3の厚さをできるだけ厚くすればよい。
このカバーシートは、接合膜転写シート1aを使用する前に剥離される。この際、接合膜3とカバーシートとの界面で確実に剥離が生じる必要があることから、この界面の密着強度は、剥離層4と接合膜3との密着強度より小さいことが好ましい。
カバーシートの構成材料としては、前述した基材2aと同様の構成材料が挙げられる。
また、接合膜転写シート1aは、ロール状に巻き取られた状態で保管または流通することもあるため、カバーシートには基材2aと同様、可撓性を有するものが好ましく用いられる。
まず、接合膜3の作製方法を説明するのに先立って、プラズマ重合法により接合膜3を作製する際に用いるプラズマ重合装置について説明する。
図5は、本発明の接合方法に用いられるプラズマ重合装置を模式的に示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図5中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
チャンバー101は、内部の気密を保持し得る容器であり、内部を減圧(真空)状態にして使用されるため、内部と外部との圧力差に耐え得る耐圧性能を有するものとされる。
チャンバー101の上方には供給口103が、下方には排気口104が、それぞれ設けられている。そして、供給口103にはガス供給部190が接続され、排気口104には排気ポンプ170が接続されている。
なお、本実施形態では、チャンバー101は、導電性の高い金属材料で構成されており、接地線102を介して電気的に接地されている。
この第1の電極130は、チャンバー101の側壁の内壁面に、鉛直方向に沿って設けられており、これにより、第1の電極130は、チャンバー101を介して電気的に接地されている。なお、第1の電極130は、図5に示すように、チャンバー本体と同心状に設けられている。
この静電チャック139により、図5に示すように、基材2aを鉛直方向に沿って支持することができる。また、基材2aに多少の反りがあっても、静電チャック139に吸着させることにより、その反りを矯正した状態で基材2aをプラズマ処理に供することができる。
この第2の電極140には、配線184を介して高周波電源182が接続されている。また、配線184の途中には、マッチングボックス(整合器)183が設けられている。これらの配線184、高周波電源182およびマッチングボックス183により、電源回路180が構成されている。
ガス供給部190は、チャンバー101内に所定のガスを供給するものである。
このような液状の膜材料は、気化装置192により気化され、ガス状の膜材料(原料ガス)となってチャンバー101内に供給される。なお、原料ガスについては、後に詳述する。
また、チャンバー101内の供給口103の近傍には、拡散板195が設けられている。
拡散板195は、チャンバー101内に供給される混合ガスの拡散を促進する機能を有する。これにより、混合ガスは、チャンバー101内に、ほぼ均一の濃度で分散することができる。
また、排気口104には、チャンバー101内の圧力を調整する圧力制御機構171が設けられている。これにより、チャンバー101内の圧力が、ガス供給部190の動作状況に応じて、適宜設定される。
図6は、剥離層4が成膜された基材2a上に接合膜3を作製する方法を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図6中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
まず、剥離層4が成膜された基材2aを用意する。
次に、剥離層4が成膜された基材2aをプラズマ重合装置100のチャンバー101内に収納して封止状態とした後、排気ポンプ170の作動により、チャンバー101内を減圧状態とする。
ここで、混合ガス中における原料ガスの占める割合(混合比)は、原料ガスやキャリアガスの種類や目的とする成膜速度等によって若干異なるが、例えば、混合ガス中の原料ガスの割合を20%以上70%以下程度に設定するのが好ましく、30%以上60%以下程度に設定するのがより好ましい。これにより、重合膜の形成(成膜)の条件の最適化を図ることができる。
次いで、電源回路180を作動させ、一対の電極130、140間に高周波電圧を印加する。これにより、一対の電極130、140間に存在するガスの分子が電離し、プラズマが発生する。このプラズマのエネルギーにより原料ガス中の分子が重合し、図6(b)に示すように、重合物が剥離層4上に付着・堆積する。これにより、プラズマ重合膜からなる接合膜3が形成される(図6(c)参照)。
原料ガスとしては、例えば、メチルシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、メチルフェニルシロキサンのようなオルガノシロキサン等が挙げられる。
このような原料ガスを用いて得られるプラズマ重合膜、すなわち接合膜3は、これらの原料が重合してなるもの(重合物)、すなわちポリオルガノシロキサンで構成されることとなる。
また、高周波の出力密度は、特に限定されないが、0.01W/cm2以上100W/cm2以下程度であるのが好ましく、0.1W/cm2以上50W/cm2以下程度であるのがより好ましく、1W/cm2以上40W/cm2以下程度であるのがさらに好ましい。高周波の出力密度を前記範囲内とすることにより、高周波の出力密度が高過ぎて原料ガスに必要以上のプラズマエネルギーが付加されるのを防止しつつ、ランダムな原子構造を有するSi骨格301を確実に形成することができる。すなわち、高周波の出力密度が前記下限値を下回った場合、原料ガス中の分子に重合反応を生じさせることができず、接合膜3を形成することができないおそれがある。一方、高周波の出力密度が前記上限値を上回った場合、原料ガスが分解する等して、脱離基303となり得る構造がSi骨格301から分離してしまい、得られる接合膜3において脱離基303の含有率が低くなったり、Si骨格301のランダム性が低下する(規則性が高くなる)おそれがある。
また、成膜時のチャンバー101内の圧力は、133.3×10−5Pa以上1333Pa以下(1×10−5Torr以上10Torr以下)程度であるのが好ましく、133.3×10−4Pa以上133.3Pa以下(1×10−4Torr以上1Torr以下)程度であるのがより好ましい。
処理時間は、1分以上10分以下程度であるのが好ましく、4分以上7分以下程度であるのがより好ましい。
また、基材2aの温度は、25℃以上であるのが好ましく、25℃以上100℃以下程度であるのがより好ましい。
以上のようにして、接合膜3を得る。
また、接合膜3は、水晶や石英ガラスの熱膨張率に近いため、接合膜3と光学部品との熱膨張率差が小さくなり、接合体10の接合後の変形を抑制することができる。
次に、本発明の接合方法について図1、2を参照しつつ説明する。
本実施形態に係る接合方法は、前述したように、接合膜転写シート1aの接合膜3の上面(表面)にエネルギーを付与するとともに、接合膜3と第1の被着体5aとが密着するように、接合膜転写シート1aと第1の被着体5aとを積層し、第1の仮接合体7を得る第1の工程と、第1の仮接合体7から基材2aおよび剥離層4を剥離することにより、第1の被着体5aに接合膜3の一部(接合膜33)を転写して第2の仮接合体8を得る第2の工程と、第2の仮接合体8の接合膜33の上面(剥離面)にエネルギーを付与するとともに、接合膜33と第2の被着体6とが密着するように、第2の仮接合体8と第2の被着体6とを積層し、接合体10を得る第3の工程とを有する。以下、各工程について順次説明する。
次いで、接合膜転写シート1aの接合膜3の上面31にエネルギーを付与する。エネルギーを付与すると、接合膜3の上面31に接着性が発現する。
接合膜3の上面31にエネルギーを付与する方法としては、上面31を活性化し得る方法であれば、いかなる方法であってもよく、例えば、エネルギー線を照射する方法、加熱する方法、押圧力(物理的エネルギー)を付与する方法、プラズマに曝す(プラズマエネルギーを付与する)方法、オゾンガスに曝す(化学的エネルギーを付与する)方法等が挙げられる。
次いで、接合膜3と凸部51とが接するように、接合膜転写シート1aと第1の被着体5aとを積層する。そして、得られた積層体を厚さ方向(基材2aと第1の被着体5aとが近づく方向)に押圧する(第1の工程)。これにより、凸部51が接合膜3の一部を選択的に押圧することになり、接合膜3の領域32に対して選択的に押圧力が付与される。その結果、領域32が部分的に接合されてなる第1の仮接合体7が得られる(図1(c)参照)。
なお、図1(b)における凸部51の下面は平坦面であるのが好ましく、また、凸部51の断面形状は、台形または矩形であるのが好ましい。これにより、凸部51は、接合膜3の一部を均一かつ正確に押圧することができる。
ここで、第1の被着体5aのうち、接合膜3と接触する面には、水酸基(OH基)が結合している状態になっているのが好ましい。第1の被着体5aの表面がこのような状態になっていると、第1の被着体5aと接合膜3との接合強度が向上することとなり、接合膜転写シート1aと第1の被着体5aとをより強固に接合することができる。なお、かかる効果は、以下のような現象によるものと推察される。
また、この水素結合によって互いに引き合う水酸基同士は、温度条件等によって、脱水縮合する。その結果、接合膜3と第1の被着体5aとの接触界面では、脱離したOH基が結合していた結合手同士が酸素原子を介して結合する。これにより、接合膜3と第1の被着体5aとが化学的に強固に接合される。
このような材料で構成された第1の被着体5aは、その表面が酸化膜で覆われており、この酸化膜の表面には、水酸基が結合している。したがって、このような材料で構成された第1の被着体5aを用いると、水酸基を露出させる処理を施さなくても、接合膜転写シート1aと第1の被着体5aとを強固に接合することができる。
なお、第1の被着体5aの表面にあらかじめ設けられた接合膜にも、接合に先立ってエネルギーを付与する必要がある。
これに対し、本発明によれば、プラズマ重合膜の作用により、エネルギーを付与した後でも数分以上の比較的長時間にわたってその活性状態を維持することができる。このため、作業に要する時間を十分に確保することができ、接合作業の効率化を図ることができる。
なお、積層体の押圧は、いかなる雰囲気中で行うようにしてもよいが、大気雰囲気中で行われるのが好ましい。これにより、雰囲気を制御することに手間やコストをかける必要がなくなり、活性化処理をより簡単に行うことができる。
また、エネルギー線には、特に紫外線(例えば波長126nm以上300nm以下程度)を照射する方法を用いるのが好ましい。かかる紫外線によれば、接合膜3の特性の著しい低下を防止しつつ、広い範囲をムラなく、より短時間に処理することができる。このため、接合膜3の上面31の活性化をより効率よく行うことができる。また、紫外線には、紫外ランプ等の簡単な設備で発生させることができるという利点もある。
また、紫外線を照射する時間は、接合膜3の上面31付近の化学結合を切断し得る程度の時間であればよく、特に限定されないが、0.5分以上30分以下程度であるのが好ましく、1分以上10分以下程度であるのがより好ましい。
また、指向性の低いエネルギー線であっても、所定領域以外の領域を覆うようにして照射すれば、所定領域に対してエネルギー線を選択的に照射することができる。
これに対し、大気圧下でプラズマ処理を行うことにより、損傷を与えることなく接合膜3に接着性を発現させることができる。
以上のようにして第1の仮接合体7を得ることができる。
また、接合膜転写シート1aと第1の被着体5aとの積層には、各種ラミネート装置、各種プレス装置が用いられる。
なお、得られた第2の仮接合体8に転写された接合膜33の上面は、剥離層4から剥離した剥離面となる。
接合膜33にエネルギーを付与する方法としては、前述した接合膜3にエネルギーを付与する方法と同様である。本実施形態では、押圧力を付与する方法について説明する。
まず、第2の仮接合体8と接合する第2の被着体6を用意する。第2の被着体6の形状は、特に限定されず、平板状、ブロック状のいずれでもよいが、ここでは、平板状のものを例に説明する。
また、第2の被着体6の構成材料は、基材2aの構成材料と同様とされる。
また、積層体の押圧には、前述したように、各種ラミネート装置、各種プレス装置等を用いることができる。
このようにして、接合膜33は、エネルギーを付与する領域を選択することにより、接着性を発現させる領域を自在に制御することができる。例えば、凸部51の形状に応じて接合膜3をパターニングすることができるため、従来のパターニング方法に比べて、より微細なパターンの接合膜33を得ることができる。具体的には、隙間を介して隣接するライン状の接合膜33を形成する場合、その隙間の幅を1μm以下の微小なものとすることができる。
具体的には、プラズマ重合法により形成される接合膜は、従来、接合に供される部材の表面に直接成膜される必要があったため、成膜装置が設定されている場所に部材を用意する必要があった。これは、成膜装置が大型で重量も大きく、容易に移動することは不可能であるためである。ところが、このように成膜装置と部材とが不可分であるという地理的制約があると、部材の動線が限定されてしまうこととなり、製品の製造プロセスの自由度が低下するという問題があった。
特に、接合体10は、従来の接合方法で用いられていた接着剤のように、アンカー効果のような物理的結合に基づく接着ではなく、共有結合のように短時間で起こる強固な化学的結合に基づいて接合している。このため、接合体10は、極めて剥離し難く、接合ムラ等も生じ難いものとなる。
また、本発明によれば、第1の被着体5aと第2の被着体6との接合において、接合膜33の剥離面が接合界面となる。このため、この剥離面は、剥離の直前まで剥離層4に接していて異物の付着や損傷等から保護された状態になっているため、良好な接合に適した状態にある。さらに、第1の工程で接合膜3にエネルギーを付与した際にも、この剥離面近傍では脱離基が脱離し難いため、成膜直後の状態が維持され易く、接着性を十分に潜在させ得るという利点もある。よって、この剥離面にエネルギーを付与することにより、剥離面は第2の被着体6に対して強固に接合されることとなる。このように接合膜転写シート1aを用いれば、気相成膜法で成膜され、接着性の発現を自在に制御し得る接合膜3を、両面テープが如く取り扱うことができるので、第1の被着体5aと第2の被着体6とを簡単にかつ強固に接合することができる。
なお、接合体10を得た後、この接合体10に対して、必要に応じ、以下の2つの工程[4A]、[4B]のうちのいずれか一方または双方を行うようにしてもよい。
これにより、第1の被着体5aや第2の被着体6の表面に接合膜33の表面がより接近し、接合体10における接合強度をより高めることができる。
このとき、接合体10を加圧する際の圧力はできるだけ高い方が好ましい。これにより、この圧力に比例して接合体10における接合強度を高めることができる。
また、加圧する時間は、特に限定されないが、10秒以上30分以下程度であるのが好ましい。
これにより、接合体10における接合強度をより高めることができる。
このとき、接合体10を加熱する際の温度は、室温より高く、接合体10の耐熱温度未満であれば、特に限定されないが、好ましくは25℃以上100℃以下程度とされ、より好ましくは50℃以上100℃以下程度とされる。かかる範囲の温度で加熱すれば、接合体10が熱によって変質・劣化するのを確実に防止しつつ、接合強度を確実に高めることができる。
また、前記工程[4A]、[4B]の双方を行う場合、これらを同時に行うのが好ましい。すなわち、接合体10を加圧しつつ、加熱するのが好ましい。これにより、加圧による効果と、加熱による効果とが相乗的に発揮され、接合体10の接合強度を特に高めることができる。
具体的には、熱膨張率差にもよるが、25℃以上50℃以下程度で加熱するのが好ましく、25℃以上40℃以下程度で加熱するのがより好ましい。このような温度範囲であれば、熱膨張率差がある程度大きくても(例えば、5×10−5/K以上)、接合界面に発生する熱応力を十分に低減することができる。その結果、接合体10における反りや剥離等の発生を確実に防止することができる。
以上のような工程[4A]、[4B]を行うことにより、接合体10における接合強度のさらなる向上を図ることができる。
ところで、上述したような本発明の接合方法は、以下のような接合装置を用いて行うことができる。
図7、8は、それぞれ本発明の接合方法の第1実施形態において用いる接合装置の構成を模式的に示す斜視図である。なお、以下の説明では、図7、8中の上側を「上」、下側を「下」という。
また、ステージ501の左側上方には、接合膜転写シート1aをロール状に巻き取ったシートロール510が回転自在に設けられている。シートロール510からは、接合膜転写シート1aが順次繰り出されるようになっており、繰り出された接合膜転写シート1aは、ステージ501上の左端から右端へと通過し、ステージ501の右側下方に設けられた巻き取りロール511で巻き取られるよう構成されている。
また、シートロール510の右側、および、巻き取りロール511の左側には、それぞれガイドロール512およびガイドロール513が設けられている。このうち、ガイドロール512は、ステージ501の左側上方から右側下方に向けて繰り出された接合膜転写シート1aの進行方向を、水平方向に変更する。一方、ガイドロール513は、ステージ501上を左側から右側へと進行する接合膜転写シート1aの進行方向を、巻き取りロール511に向くように変更する。
また、ガイドロール512とガイドロール513との間には、左側からプラズマ処理機構520、第1の被着体供給機構530、押圧機構540、および剥離機構550が順次設けられている。
得られた第2の仮接合体8は、図示しない把持部により把持され、図8に示す接合装置600において、第2の被着体6との接合工程に供される。
プラズマ処理機構610は、上面に第2の仮接合体8を載置し得る基台611と、第2の仮接合体8にプラズマ処理を施すプラズマ源612とを有している。プラズマ源612からプラズマPが発生すると、第2の仮接合体8の接合膜33に対してプラズマ処理が施される。これにより接合膜33にエネルギーが付与され、接着性が発現する。
得られた接合体10は、押圧機構630に搬送される。押圧機構630は、基台631と、基台631上に設けられ、接合体10を押圧する荷重発生器(図示せず)とを有している。押圧機構630により接合体10に押圧力が付与され、接合体10の接合がより強固なものとなる。
次に、本発明の接合膜転写シートおよび接合方法の第2実施形態について説明する。
図9、10は、本発明の接合膜転写シートおよび接合方法の第2実施形態を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図9および図10中の上側を「上」、下側を「下」という。
本実施形態では、接合膜転写シートの形状が異なる以外は、前記第1実施形態と同様である。
基材2bは、その上面に凸部21を有するものである。この凸部21は、前記第1実施形態における凸部51と同様、接合膜3の一部の領域32に対して選択的に押圧力を付与するためのものである。
また、剥離層4および接合膜3は、このような凸部21を有する基材2bの上面を覆うように設けられている。これにより、剥離層4および接合膜3は、凸部21を含む凹凸形状に沿って設けられることになるので、接合膜3の上面には凸部21の形状を反映した段差が生じている。
次に、かかる接合膜転写シート1bを用いて、第1の被着体5bと第2の被着体6とを接合してなる接合体10を製造する方法について説明する。
次いで、接合膜転写シート1bの接合膜3の上面31にエネルギーを付与する。これにより、接合膜3の上面31に接着性が発現する。
ここでは、接合膜3のうち、凸部21が設けられた領域32に押圧力を付与する場合について説明する。
また、第1の被着体5bは、可撓性を有するものであるのが好ましい。これにより、積層体の押圧に際して、第1の被着体5bの形状追従性が向上するので、接合膜転写シート1bと第1の被着体5bとの密着性をより高めることができる。
この剥離では、接合膜3のうち、基材2bの凸部21に対応する部分が第1の被着体5bに転写され、残る部分の接合膜3は、転写されることなく基材2bおよび剥離層4とともに残存する。このため、第2の仮接合体8は、第1の被着体5bと、部分的に転写された接合膜33とを有するものとなる。このようにして接合膜転写シート1bを用いることにより、基材2bの凸部21の形状を適宜選択することのみで、接合膜3を効率よく簡単にパターニングすることができる。
なお、得られた接合膜33の上面は、剥離層4から剥離した剥離面となる。
具体的には、まず、第2の被着体6を用意する。
次いで、前記第1実施形態と同様にして接合膜33の上面にエネルギーを付与する。
具体的には、図10(f)に示すように、接合膜33と第2の被着体6とが接するように、第2の仮接合体8と第2の被着体6とを積層する。そして、得られた積層体を厚さ方向(第2の仮接合体8と第2の被着体6とが近づく方向)に押圧する(第3の工程)。これにより、接合膜33に対して押圧力が付与され、接合膜33を介して第1の被着体5bと第2の被着体6とを接合してなる接合体10が得られる(図10(g)参照)。
以上のような本実施形態においても、前記第1実施形態と同様の作用・効果が得られる。
ところで、上述したような本発明の接合方法は、図11に示す接合装置700および図8に示す接合装置600を用いて行うことができる。
図11に示す接合装置700は、左側から順次設けられたプラズマ処理機構710、第1の被着体供給機構720、押圧機構730、および剥離機構740を有している。
プラズマ処理が施された接合膜転写シート1bは、その後、第1の被着体供給機構720に搬送される。第1の被着体供給機構720は、第1の被着体5bを把持し、上方から接合膜転写シート1bの接合膜3上に載置するマニピュレーター(図示せず)と、上面にマニピュレーターを載置可能な基台721とを有している。接合膜転写シート1b上に載置された第1の被着体5bは、接合膜3に発現した接着性により接合膜転写シート1bと接合される。その結果、接合膜3を介して第1の被着体5bと接合膜転写シート1bとが接合され、第1の仮接合体7が得られる。
その後、第1の仮接合体7は、剥離機構740に搬送される。剥離機構740は、基台741と、基台741上に設けられ、第1の仮接合体7から第1の被着体5bを上方に引き剥がすマニピュレーター(図示せず)とを有している。この剥離機構740により、第1の仮接合体7から第1の被着体5bが強制的に剥離されることとなる。その結果、一部の接合膜3が第1の被着体5bに転写され、第2の仮接合体8が得られるとともに、残る接合膜3は剥離層4上に残存することとなる。
得られた第2の仮接合体8は、図示しない把持部により把持され、前述した図8に示す接合装置600において、第2の被着体6との接合工程に供される。
次に、本発明の接合膜転写シートおよび接合方法の第3実施形態について説明する。
図12は、本発明の接合膜転写シートおよび接合方法の第3実施形態を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図12中の上側を「上」、下側を「下」という。
本実施形態では、接合膜転写シートの形状が異なる以外は、前記第1実施形態と同様である。
基材2cは、前記第1実施形態における基材2aと同様、平板状の基板である。
剥離層4は、基材2cの上面のうち、一部の領域32にのみ設けられる。
次に、かかる接合膜転写シート1cを用いて、第1の被着体5cと第2の被着体6とを接合してなる接合体10を製造する方法について説明する。
次いで、接合膜転写シート1cの接合膜3の上面31に押圧力(エネルギー)を付与する。これにより、接合膜3の上面31に接着性が発現する。
具体的には、第1の被着体5cを用意し、図12(b)に示すように、接合膜3と第1の被着体5cとが接するように、接合膜転写シート1cと第1の被着体5cとを積層する。そして、得られた積層体を厚さ方向(基材2cと第1の被着体5cとが近づく方向)に押圧する(第1の工程)。これにより、剥離層4が接合膜3の一部を選択的に押圧することにより、接合膜3の領域32に対して選択的に押圧力が付与される。その結果、領域32が部分的に接合されてなる第1の仮接合体7が得られる(図12(c)参照)。
また、第1の被着体5cは、可撓性を有するものであるのが好ましい。これにより、積層体の押圧に際して、第1の被着体5cの形状追従性が向上するので、接合膜転写シート1cと第1の被着体5cとの密着性をより高めることができる。
この剥離では、接合膜3のうち、剥離層4上に位置する部分が第1の被着体5cに転写され、残る部分の接合膜3は、転写されることなく基材2cおよび剥離層4とともに残存する。このため、第2の仮接合体8は、第1の被着体5cと、部分的に転写された接合膜33とを有するものとなる。このようにして接合膜転写シート1cを用いることにより、剥離層4の形状を適宜選択することのみで、接合膜3を効率よく簡単にパターニングすることができる。
なお、得られた接合膜33の上面は、剥離層4から剥離した剥離面となる。
また、本実施形態では、剥離層4をパターニングして成膜しさえすれば、前記第1実施形態における凸部51や前記第2実施形態における凸部21を省略することができるので、基材2cや第1の被着体5cの形状を簡略化することができ、低コスト化を図ることができる。
具体的には、トランジスター、ダイオード、メモリーのような半導体素子、水晶発振子のような圧電素子、反射鏡、光学レンズ、回折格子、光学フィルターのような光学素子、太陽電池のような光電変換素子、半導体基板とそれに搭載される半導体素子、絶縁性基板と配線または電極、インクジェット式記録ヘッド、マイクロリアクター、マイクロミラーのようなMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)部品、圧力センサー、加速度センサーのようなセンサー部品、半導体素子や電子部品のパッケージ部品、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、光記録媒体のような記録媒体、液晶表示素子、有機EL素子、電気泳動表示素子のような表示素子用部品、燃料電池用部品等の接合に際して、本発明の接合方法が適用可能である。
例えば、本発明の接合膜転写シートのうち、剥離層と接合膜との間以外の箇所には、任意の層が付加されていてもよい。
また、前記各実施形態では、基材の上面全体を覆うように接合膜を設けているが、接合膜は所定の形状にパターニングされていてもよい。
また、前記各実施形態では、接合膜転写シートの接合膜の一部を転写しているが、接合膜の全部を転写するようにしてもよい。
また、本発明の接合方法では、前記実施形態の構成に限定されず、任意の目的の工程が1または2以上追加されていてもよい。
1.接合体の製造
(実施例1)
<1>まず、基材として、幅50mm×長さ100mm×平均厚さ0.12mmの紙テープを用意した。
さらに、第2の被着体として、縦20mm×横20mm×平均厚さ1mmの板状部材(OA10ガラス製)を用意した。なお、第2の被着体には、その中央部を貫通するように、内径2mmの貫通孔が設けられている。この貫通孔は、接合体の製造後、接合体内部のリーク量を評価する際に用いられるものである。
<成膜条件>
・原料ガスの組成 :オクタメチルトリシロキサン
・原料ガスの流量 :50sccm
・キャリアガスの組成:アルゴン
・キャリアガスの流量:100sccm
・高周波電力の出力 :100W
・高周波出力密度 :25W/cm2
・チャンバー内圧力 :1Pa(低真空)
・処理時間 :15分
・基板温度 :20℃
これにより、剥離層上にプラズマ重合膜を成膜した。そして、基材、剥離層およびプラズマ重合膜の3層からなる接合膜転写シートを得た。
<プラズマ処理条件>
・プラズマ処理方式:ダイレクトプラズマ方式
・処理ガスの組成 :ヘリウムガス
・雰囲気圧力 :大気圧(100kPa)
・電極間距離 :1mm
・印加電圧 :1kVp−p
・電圧周波数 :40MHz
<6>次に、第1の仮接合体から基材を引き剥がした。これにより、第1の被着体が接していた部分のプラズマ重合膜が第1の被着体側に残存し、転写することができた。これにより、第1の被着体とこれに被着したプラズマ重合膜とからなる第2の仮接合体を得た。
<8>次に、プラズマ処理を施してから1分後に、プラズマ重合膜と第2の被着体とが接するように、第2の仮接合体と第2の被着体とを積層した。そして得られた積層体を5MPaで押圧した。これにより、第2の仮接合体と第2の被着体とが接合され、接合体を得た。
まず、実施例1と同様にして基材上にプラズマ重合膜を成膜した。
次いで、基材と同じサイズで、平均厚さ30μmのポリエチレンフィルム(カバーシート)を用意した。そして、プラズマ重合膜とカバーシートとが接するように、基材とカバーシートとを積層し、ラミネート装置で押圧した。これにより、基材、剥離層、プラズマ重合膜およびカバーシートの4層からなる接合膜転写シートを得た。なお、ポリエチレンの表面エネルギーは31mN/mである。
得られた接合膜転写シートを大気中で100時間放置した後、実施例1と同様にして第1の被着体と第2の被着体とを接合し、接合体を得た。
基材を、縦50mm×横50mm×平均厚さ0.5mmのガラス基板(OA10ガラス製)に変更した以外は、実施例1と同様にして接合体を得た。
(実施例4)
剥離層を以下のようにして形成した以外は、実施例3と同様にして接合体を得た。
基材の表面にプラズマ処理を施した後、この処理面に、複合無電解Niめっき法により、Niめっき層にポリテトラフルオロエチレンの微粒子が共析してなる剥離層(平均厚さ5μm)を得た。
剥離層を以下のようにして形成した以外は、実施例1と同様にして接合体を得た。
基材の表面にプラズマ処理を施した後、この処理面に、フッ素系シランカップリング剤(トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)のエタノール溶液を塗布した。そして、塗布膜を室温下に5分間放置してエタノールを蒸発させた。これにより、平均厚さ5μmの剥離層を得た。
剥離層を以下のようにして形成するようにした以外は、実施例1と同様にして接合体を得た。
基材の表面にプラズマ処理を施した後、この処理面に、シリコーン変性アミノアルキド樹脂とメチルエチルケトン(溶剤)とを含む混合液を塗布し、乾燥させた。これにより、平均厚さ5μmの剥離層を得た。
基材として、第1の被着体の枠状部材の高さが低くなっている部材を用いるようにした以外は、実施例1と同様にして接合体を得た。
すなわち、基材として、高さを0.5mmに変更した枠状部材(OA10ガラス製)と、この枠状部材の一方の面を塞ぐ、縦20mm×横20mm×平均厚さ1mmの基板(OA10ガラス製)とがあらかじめ接合されてなる部材を用いた。そして、枠状部材を覆うように剥離層および接合膜を形成した。これにより接合膜転写シートを得た。
(実施例8)
基材として縦20mm×横20mm×平均厚さ1mmの基板(OA10ガラス製)を用い、枠状部材と当接する領域に部分的に剥離層を形成するようにした以外は、実施例1と同様にして接合体を得た。
まず、剥離層の成膜を省略した以外は前記実施例1と同様にして、基材およびプラズマ重合膜からなる2層の接合膜転写シートを得た。
次いで、実施例1と同様にしてプラズマ重合膜にプラズマ処理を施し、プラズマ重合膜と枠状部材とが接するように、基材と第1の被着体とを積層した。そして得られた積層体を5MPaで押圧した。これにより、基材と第1の被着体とが接合され、第1の仮接合体を得た。
以上のことから、比較例1では、接合膜転写シートから第1の被着体側にプラズマ重合膜を転写することができなかった。
まず、剥離層の成膜を省略した以外は前記実施例3と同様にして、基材およびプラズマ重合膜からなる2層の接合膜転写シートを得た。
次いで、実施例3と同様にしてプラズマ重合膜にプラズマ処理を施し、プラズマ重合膜と枠状部材とが接するように、基材と第1の被着体とを積層した。そして得られた積層体を5MPaで押圧した。これにより、基材と第1の被着体とが接合され、第1の仮接合体を得た。
以上のことから、比較例2では、接合膜転写シートから第1の被着体側にプラズマ重合膜を転写することができなかった。
第1の被着体と第2の被着体との間をエポキシ系接着剤で接着し、接合体を得た。なお、エポキシ系接着剤の平均厚さは、200μmとした。
(比較例4)
第1の被着体と第2の被着体とを直接接合(オプティカルコンタクト)により接合し、接合体を得た。
2.1 接合強度の評価
各実施例および各比較例で得られた接合体について、それぞれ接合強度を測定した。
接合強度の測定は、各接合体において第1の被着体と第2の被着体とを強制的に引き剥がしたとき、剥がれる直前の引っ張り力を測定することにより行った。また、接合強度の測定は、接合直後と、接合後に−40℃から125℃の温度サイクルを50回繰り返した後のそれぞれにおいて行った。
一方、各比較例で得られた接合体のうち、比較例1、2については接合強度が測定できなかった。また、比較例3、4については、接合直後は十分な接合強度(10MPa以上)を有していたものの、温度サイクル後には接合強度が低下した。
各実施例および各比較例で得られた接合体について、それぞれリーク量を測定した。
リーク量の測定は、リークディテクターを用いて真空法により行った。また、プローブガスとしてはヘリウムガスを用いた。
また、リーク量の測定は、接合直後と2.1の温度サイクル後のそれぞれにおいて行った。
その結果、各実施例で得られた接合体では、接合直後および温度サイクル後のいずれにおいても、リーク量は1×10−9Pa・m3/sec未満であった。
以上の評価結果から、各実施例で得られた接合体は、温度サイクルを経ても、接合強度および気密性に優れたものであることが明らかとなった。
Claims (27)
- 被着体に接合膜を転写するのに用いる接合膜転写シートであって、
基材と、
該基材の一方の面側に設けられた接合膜と、
前記基材と前記接合膜との間に設けられた剥離層とを有し、
前記接合膜は、シロキサン(Si−O)結合を含む原子構造を有するSi骨格と、該Si骨格に結合し、有機基からなる脱離基とを含むものであり、
前記接合膜は、その少なくとも一部の領域にエネルギーを付与し、前記脱離基が前記Si骨格から脱離することにより前記接合膜に発現した接着性を利用して、前記被着体に接合し、前記剥離層との界面で剥離し得るものであることを特徴とする接合膜転写シート。 - 前記接合膜を構成する全原子からH原子を除いた原子のうち、Si原子の含有率とO原子の含有率の合計が、10原子%以上90原子%以下である請求項1に記載の接合膜転写シート。
- 前記接合膜中のSi原子とO原子の存在比は、3:7以上7:3以下である請求項1または2に記載の接合膜転写シート。
- 前記Si骨格の結晶化度は、45%以下である請求項1ないし3のいずれかに記載の接合膜転写シート。
- 前記接合膜は、Si−H結合を含んでいる請求項1ないし4のいずれかに記載の接合膜転写シート。
- 前記Si−H結合を含む接合膜についての赤外光吸収スペクトルにおいて、シロキサン結合に帰属するピーク強度を1としたとき、Si−H結合に帰属するピーク強度が0.001以上0.2以下である請求項5に記載の接合膜転写シート。
- 前記脱離基は、アルキル基である請求項1ないし6のいずれかに記載の接合膜転写シート。
- 前記脱離基としてメチル基を含む接合膜についての赤外光吸収スペクトルにおいて、シロキサン結合に帰属するピーク強度を1としたとき、メチル基に帰属するピーク強度が0.05以上0.45以下である請求項7に記載の接合膜転写シート。
- 前記接合膜は、ポリオルガノシロキサンを材料として構成されている請求項8に記載の接合膜転写シート。
- 前記ポリオルガノシロキサンは、オクタメチルトリシロキサンの重合物を成分とするものである請求項9に記載の接合膜転写シート。
- 前記接合膜は、プラズマ重合により形成されたものである請求項1ないし10のいずれかに記載の接合膜転写シート。
- 前記プラズマ重合において、プラズマを発生させる際の高周波の出力密度は、0.01W/cm2以上100W/cm2以下である請求項11に記載の接合膜転写シート。
- 前記接合膜の平均厚さは、1nm以上1000nm以下である請求項1ないし12のいずれかに記載の接合膜転写シート。
- 前記接合膜は、流動性を有しない固体状のものである請求項1ないし13のいずれかに記載の接合膜転写シート。
- 前記基材は、可撓性を有するものである請求項1ないし14のいずれかに記載の接合膜転写シート。
- 前記基材は、樹脂材料で構成されている請求項15に記載の接合膜転写シート。
- 前記基材は、表面の一部に凸部を有しており、前記接合膜は、前記表面を覆うように成膜されたものである請求項1ないし16のいずれかに記載の接合膜転写シート。
- 前記剥離層は、その表面エネルギーが、前記被着体の表面エネルギーより小さいものである請求項1ないし17のいずれかに記載の接合膜転写シート。
- 前記剥離層の表面エネルギーは、5mN/m以上200mN/m以下である請求項1ないし18のいずれかに記載の接合膜転写シート。
- 前記剥離層は、樹脂材料を主材料とするものである請求項1ないし19のいずれかに記載の接合膜転写シート。
- 前記剥離層は、フッ素原子を含有するカップリング剤で構成されている請求項1ないし20のいずれかに記載の接合膜転写シート。
- 当該接合膜転写シートは、さらに、前記接合膜の表面を覆うカバーシートを有している請求項1ないし21のいずれかに記載の接合膜転写シート。
- 前記カバーシートは、その表面エネルギーが、前記剥離層の表面エネルギーより小さいものである請求項22に記載の接合膜転写シート。
- 請求項1ないし23のいずれかに記載の接合膜転写シートを用いて、前記被着体と他の被着体とを接合する接合方法であって、
前記接合膜転写シートの前記接合膜の表面にエネルギーを付与し、前記脱離基を前記Si骨格から脱離させ、接着性を発現させ、前記接合膜の表面と前記被着体とが密着するように、前記接合膜転写シートと前記被着体とを積層し、第1の仮接合体を得る第1の工程と、
前記第1の仮接合体から前記基材および前記剥離層を剥離して、前記被着体に前記接合膜を転写し、第2の仮接合体を得る第2の工程と、
前記第2の仮接合体の前記接合膜の剥離面にエネルギーを付与し、前記脱離基を前記Si骨格から脱離させ、接着性を発現させ、前記接合膜の剥離面と前記他の被着体とが密着するように、前記第2の仮接合体と前記他の被着体とを積層し、接合体を得る第3の工程とを有することを特徴とする接合方法。 - 前記第1の工程におけるエネルギーの付与は、前記基材と前記被着体とが近づくように前記第1の仮接合体に押圧力を付与する方法により行われる請求項24に記載の接合方法。
- 前記押圧力は、0.2MPa以上10MPa以下である請求項25に記載の接合方法。
- 前記被着体は、表面の一部に凸部を有しており、前記第1の工程において前記凸部と前記接合膜とが密着するように、前記接合膜転写シートと前記被着体とを積層することにより、前記第2の工程において、前記凸部と接した部分の前記接合膜が選択的に転写され、前記第3の工程において、前記被着体と前記他の被着体とを部分的に接合する請求項24ないし26のいずれかに記載の接合方法。
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