JP2006068992A - ガスバリア性フィルム - Google Patents

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JP2006068992A JP2004254023A JP2004254023A JP2006068992A JP 2006068992 A JP2006068992 A JP 2006068992A JP 2004254023 A JP2004254023 A JP 2004254023A JP 2004254023 A JP2004254023 A JP 2004254023A JP 2006068992 A JP2006068992 A JP 2006068992A
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和浩 福田
Hiroaki Arita
浩了 有田
Hiroto Ito
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、高いガスバリア性を備え、基材密着性及び屈曲耐性に優れたガスバリア性フィルムを提供する。
【解決手段】 平均表面粗さSRaが1〜50nmの基材上に、少なくとも1層の金属、または炭素含有率が1%未満の無機化合物を含有するガスバリア層と、少なくとも1層の炭素含有率が5%以上の無機化合物、有機ポリマーまたは無機ポリマーを含有する応力緩和層とを有し、該基材に接する第1層の平均膜厚が、該基材の平均表面粗さSRaより小さいことを特徴とするガスバリア性フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、新規の積層構造を有するガスバリア性フィルムに関する。
従来より、樹脂基材の表面に酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化珪素等の金属酸化物の薄膜を形成したガスバリア性フィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、食品や工業製品及び医薬品等の変質を防止する目的の包装用途に広く用いられている。
また、包装用途以外にも液晶表示素子、太陽電池、エレクトロルミネッセンス(EL)基板等で使用されている。特に、液晶表示素子や有機EL素子などへの適用が進んでいる透明基材には、近年、軽量化、大型化という要求に加え、長期信頼性や形状の自由度が高いこと、曲面表示が可能であること等の高度な要求が加わり、重く割れやすく大面積化が困難なガラス基板に代わって透明プラスチック等のフィルム基材が採用され始めている。
しかしながら、透明プラスチック等のフィルム基材は、ガラスに対しガスバリア性が劣るという問題がある。ガスバリア性が劣る基材を用いると、水蒸気や空気が浸透し、例えば液晶セル内の液晶を劣化させ、表示欠陥となって表示品位を劣化させてしまう。
この様な問題を解決するために、フィルム基板上に金属酸化物薄膜を形成してガスバリア性フィルム基材とすることが知られている。包装材や液晶表示素子に使用されるガスバリア性フィルムとしてはプラスチックフィルム上に酸化珪素を蒸着したもの(特許文献1)や酸化アルミニウムを蒸着したもの(特許文献2)が知られており、いずれも1g/m2/day程度の水蒸気バリア性を有する。
近年では、さらなるガスバリア性が要求される有機ELディスプレイや、液晶ディスプレイの大型化、高精細ディスプレイ等の開発によりフィルム基板へのガスバリア性能について水蒸気バリアで0.1g/m2/day程度まで要求が高まってきている。
更に、近年において、更に高度のガスバリア性が要求される有機ELディスプレイや高精彩カラー液晶ディスプレイなどの開発が急速に進み、これらの分野に適用可能な透明性を維持しつつも、更なる高ガスバリア性、特に0.1g/m2/day未満の水蒸気バリア性を備えた樹脂基材の開発が求められてきた。
一般に、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断性劣化は、蒸着薄膜にクラックやピンホール等の亀裂部分の発生に起因するといわれている。このクラックやピンホールを生じさせる主な要因としては、基材や蒸着膜下層部表面の突起物と考えられていた。
この様な観点から、蒸着薄膜のガスバリア性を高めるために、表面平滑性に優れた基材を用いたり、あるいは平滑化処理(平滑層の設置や表面処理)施す方法が提案されている(例えば、特許文献3〜6参照。)。例えば、特許文献3では、基材フィルム表面の凹凸を低減することにより、クラック等の発生を防止したガスバリアフィルムが開示されており、特許文献4、5では基材上に設ける無機透明ガスバリア層の表面粗さを特定の条件以下に規定した透明ガスバリア性積層フィフィルムが開示されており、また、特許文献6では、使用する基材に平滑化処理を施すことで、ガスバリア性を高める方法が開示されている。しかしながら、これら提案されている方法では、平滑化のための新たな工程や設備を必要とし、本発明者らの検討では、基材あるいは形成する蒸着薄膜の平滑度を過度に高くすると、基材と蒸着薄膜間、あるいは2層の蒸着薄膜間における密着性が低下し、かすバリア性フィルムが折り曲げ等のストレスが付加された際に、膜剥離を起こしやすくなり、その結果、むしろクラック等の発生が助長されることが判明した。
特公昭53−12953号公報 特開昭58−217344号公報 特開2001−310412号公報 特開2002−225169号公報 特開2004−9665号公報 特開2004−50711号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、高いガスバリア性を備え、基材密着性、屈曲耐性に優れたガスバリア性フィルムを提供する。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。
(請求項1)
平均表面粗さSRaが1〜50nmの基材上に、少なくとも1層の金属、または炭素含有率が1%未満の無機化合物を含有するガスバリア層と、少なくとも1層の炭素含有率が5%以上の無機化合物、有機ポリマーまたは無機ポリマーを含有する応力緩和層とを有し、該基材に接する第1層の平均膜厚が、該基材の平均表面粗さSRaより小さいことを特徴とするガスバリア性フィルム。
(請求項2)
前記ガスバリア層及び応力緩和層が、それぞれ2層以上積層されていることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
(請求項3)
前記ガスバリア層及び応力緩和層が、それぞれ6層以上積層されていることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
(請求項4)
前記基材の表面に近い側に位置する第1層及び第2層の平均膜厚d1、d2の総和が、基材の平均表面粗さSRaより小さいことを特徴とする請求項2または3に記載のガスバリア性フィルム。
(請求項5)
前記ガスバリア層及び応力緩和層が、それぞれ交互に積層されていることを特徴とする請求項1〜4の少なくとも1項に記載のガスバリア性フィルム。
(請求項6)
前記ガスバリア層が含有する炭素含有率が1%未満の無機化合物が、SiOx、SiNyまたはSiOxNy(x=1〜2、y=0.1〜1)であり、かつ応力緩和層が含有する炭素含有率が5%以上の無機化合物が、SiOxCz、SiNyCzまたはSiOxNyCz(x=1〜2、y=0.1〜1、z=0.1〜2)であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
(請求項7)
前記ガスバリア層の光線透過率Tが、80%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
(請求項8)
前記ガスバリア層または前記応力緩和層の少なくとも1層が、大気圧または大気圧近傍の圧力下において実施される大気圧プラズマCVD法で形成されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
(請求項9)
前記ガスバリア層及び前記応力緩和層の全ての層が、大気圧または大気圧近傍の圧力下において実施される大気圧プラズマCVD法で形成されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
本発明によれば、高いガスバリア性を備え、基材密着性及び屈曲耐性に優れたガスバリア性フィルムを提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、平均表面粗さSRaが1〜50nmの基材上に、少なくとも1層の金属、または炭素含有率が1%未満の無機化合物を含有するガスバリア層と、少なくとも1層の炭素含有率が5%以上の無機化合物、有機ポリマーまたは無機ポリマーを含有する応力緩和層とを有し、該基材に接する第1層の平均膜厚が、該基材の平均表面粗さSRaより小さいことを特徴とする。
すなわち、基材に最も近い第1層の膜厚を、基材の平均表面粗さよりも薄くすることにより、基材が有する突起部がアンカー効果となり、基材と構成層との密着性が飛躍的に向上し、その結果、高いガスバリア性を備え、基材密着性、屈曲耐性に優れたガスバリア性フィルムを実現できることを見出し、本発明に至った次第である。
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のガスバリア性フィルムは、特定の平均表面粗さを有する基材上に、少なくとの1層のガスバリア層と応力緩和層とを有する。
《基材》
はじめに、本発明に係る基材について説明する。
本発明のガスバリア性フィルムで用いる基材としては、特に制限はないが、透明の樹脂基材であることが好ましく、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネートまたはセルロースアセテートブチレートのようなセルロースエステル、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートのようなポリエステル、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコールコポリマー、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ポリメチルアクリレート、アクリレートコポリマー等を挙げることが出来る。
これらの素材は単独であるいは適宜混合されて使用することも出来る。中でもゼオネックスやゼオノア(日本ゼオン(株)製)、非晶質シクロポリオレフィン樹脂フィルムのARTON(ジェイエスアール(株)製)、ポリカーボネートフィルムのピュアエース(帝人(株)製)、セルローストリアセテートフィルムのコニカタックKC4UX、KC8UX(コニカミノルタオプト(株)製)などの市販品を好ましく使用することが出来る。
また、本発明に用いられる基材は、上記の記載に限定されない。フィルム形状のものの膜厚としては10〜200μmが好ましく、より好ましくは50〜100μmである。
本発明のガスバリア性フィルムの水蒸気透過度としては、有機ELディスプレイや高精彩カラー液晶ディスプレイ等の高度の水蒸気バリア性を必要とする用途に用いる場合、JIS K7129 B法に従って測定した水蒸気透過度が、1.0g/m2/day以下であることが好ましく、さらに有機ELディスプレイ用途の場合、極わずかであっても、成長するダークスポットが発生し、ディスプレイの表示寿命が極端に短くなる場合があるため、水蒸気透過度が、0.1g/m2/day未満であることが好ましい。
本発明に係る基材においては、その平均表面粗さが1〜50nmの範囲にあることを特徴の一つとし、好ましくは10〜50nmである。
本発明で規定する平均表面粗さを付与させる方法として、特に制限はなく、例えば、基材製造時に、基材原料に不活性無機粒子を添加する外部粒子添加方法、基材原料の合成時に添加する触媒を析出させる内部粒子析出方法、界面活性剤などを基材表面に塗布する方法などが一般的である。
例えば、析出する粒子を比較的小さくコントロールできる内部粒子析出方法においては、触媒としては、公知の各種触媒、特に、Ca、Mnを使用すると高い透明性が得られるので好ましい。これらの触媒は1種でも良いし、2種を併用しても良い。
本発明に係る基材において、外部粒子添加方法で用いる不活性無機粒子としては、例えば、SiO2、TiO2、BaSO4、CaCO3、タルク、カオリン等が例示される。これらの不活性無機粒子としては、特に限定はないが、透明性が重要な要件となるため、例えば、ポリエステルフィルムの場合には、ポリエステルフィルムと比較的近い屈折率をもつSiO2を用いた外部粒子系による表面粗さ付与は良く知られている。また、有機粒子としては、架橋ポリスチレン粒子、アクリル粒子等を挙げることができる。これらの不活性無機粒子あるいは有機粒子としては、平均粒径が0.01μm以上、1.0μm以下であることが好ましく、その添加量としては、基材原料に対し0.001〜0.2質量%の範囲が好ましい。
また、特開2002−265649号公報に記載のように、基材あるいは基材に設けられた層に対し、ヘイズ(曇り)が問題とならない程度の表面プラズマ処理を施して、基材表面に凹凸構造を付与してもよい。
本発明でいう平均表面粗さとは、下記のJIS表面粗さ(B0601)により定義される中心線平均表面粗さRaである。中心線平均粗さRaとは、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸、粗さ曲線をY=f(X)で表したとき、下記の式1によって求められる値をnmで表したものをいう。
Figure 2006068992
実際の平均表面粗さRaの測定方法としては、23℃、55%RH環境下で測定試料同士が重ね合わされない条件で24時間調湿したのち、該環境下で測定した。ここで示す重ね合わされない条件とは、基材のエッジ部分を高くした状態で巻き取る方法や基材と基材の間に紙をはさんで重ねる方法、厚紙等で枠を作製しその四隅を固定する方法のいずれかである。用いることのできる測定装置としては、例えば、WYKO社製のRSTPLUS非接触三次元微小表面形状測定システム、光触針式ピックアップE−DT−SL024が組み込まれた光触針式表面粗さ測定器サーコム470A(東京精密社製)、原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメント社製)等を挙げることができる。
《ガスバリア層》
次いで、本発明に係るガスバリア層について説明する。
本発明に係るガスバリア層とは、水蒸気、酸素等のガスを遮断する効果を具備した層であり、金属酸化物、金属窒化酸化物、金属窒化物等のセラミック成分を主成分とする薄膜で、その膜厚は、第1層目あるいは第2層目である時は、本発明で規定する条件を満たすことが前提であるが、概ね5〜300nmであり、好ましくは20〜100nmである。
本発明に係るガスバリア層は、金属、または炭素含有率が1%未満の無機化合物を含有することを特徴とする。
本発明において炭素含有率を示す原子数濃度とは、下記のXPS法によって算出されるもので、以下に定義される。
原子数濃度%(atomic concentration)=炭素原子の個数/全原子の個数×100
(XPSによる応力緩和層の組成分析)
本発明に係る応力緩和層の元素分析には、XPS(X線光電子分光)表面分析装置を用いてその値を測定することができる。XPS表面分析装置は、本発明では、VGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いた。
具体的には、X線アノードにはMgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定した。エネルギー分解能は、清浄なAg3d5/2ピークの半値幅で規定したとき、1.5eV〜1.7eVとなるように設定した。
測定は、はじめに応力緩和層表面の組成分析を行った後、順次応力緩和層の膜厚の10%厚さに相当する層をエッチング除去しながら測定した。応力緩和層の除去には、希ガスイオンが利用できるイオン銃を用いることが好ましく、イオン種としては、He、Ne、Ar、Xe、Krなどが利用できる。本測定では、Arイオンエッチングを用いて、順次応力緩和層を除去した。
測定としては、先ず、結合エネルギ0eV〜1100eVの範囲を、データ取り込み間隔1.0eVで測定し、いかなる元素が検出されるかを求めた。
次に、検出された、エッチングイオン種を除く全ての元素について、データの取り込み間隔を0.2eVとして、その最大強度を与える光電子ピークについてナロースキャンをおこない、各元素のスペクトルを測定した。
得られたスペクトルは、測定装置、あるいは、コンピュータの違いによる含有率算出結果の違いを生じせしめなくするために、VAMAS−SCA−JAPAN製のCOMMON DATA PROCESSING SYSTEM (Ver.2.3以降が好ましい)上に転送した後、同ソフトで処理をおこない、各分析ターゲットの元素(炭素、酸素、ケイ素、チタン等)の含有率の値を原子数濃度(atomic concentration:at%)として求めた。
定量処理をおこなう前に、各元素についてCount Scaleのキャリブレーションをおこない、5ポイントのスムージング処理をおこなった。定量処理では、バックグラウンドを除去したピークエリア強度(cps*eV)を用いた。バックグラウンド処理には、Shirleyによる方法を用いた。また、Shirley法については、D.A.Shirley,Phys.Rev.,B5,4709(1972)を参考にすることができる。
また、本発明に係るガスバリア層においては、ガスバリア層が含有する炭素含有率が1%未満の無機化合物が、SiOx、SiNyまたはSiOxNy(x=1〜2、y=0.1〜1)であることが好ましく、特に水分の透過性、光線透過性及び後述する大気圧プラズマCVD適性の観点から、SiOxであることが好ましい。
本発明に係る無機化合物は、例えば、後述する有機珪素化合物に、更に酸素ガスや窒素ガスを所定割合で組み合わせて、O原子とN原子の少なくともいずれかと、Si原子とを含む膜を得ることができる。なお、SiO2は透明性が高いもののガスバリア性が少し低めで水分をやや通すことから、N原子を含んだ方がより好ましい。すなわち、酸素原子と窒素原子の数の比をx:yとした場合に、x/(x+y)は0.95以下、さらに0.80以下であればより一層好ましい。よって、本発明に係るガスバリア層においては、光線透過率Tが、80%以上であることが好ましい。
なお、N原子の割合が多いと光透過性が低下し、x=0であるSiNではほとんど光を通さない。そこで、具体的な酸素原子と窒素原子の割合は用途に応じて決めればよい。例えば、表示装置において発光素子に対して発光面側に膜を形成する場合のような、光透過性を要する用途であれば、x/(x+y)が0.4以上、0.95であれば、光透過性と防水性のバランスをとることができるので好ましい。また、表示装置の発光素子の後面に設けられる映り込み防止膜のように光を吸収あるいは遮光した方が好ましい用途であればx/(x+y)は0以上0.4未満であることが好ましい。
本発明に係るガスバリア層は、後述する原材料をスパッタリング法、塗布法、イオンアシスト法、後述するプラズマCVD法、後述する大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法等を適用して形成されることが好ましく、更に好ましくは、プラズマCVD法、大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法であるが、特に好ましくは、大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法を用いて形成される。尚、プラズマCVD法の層形成条件の詳細については、後述する。
プラズマCVD法、大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法により得られるガスバリア層は、原材料(原料ともいう)である有機金属化合物、分解ガス、分解温度、投入電力などの条件を選ぶことで、金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物、金属硫化物、金属ハロゲン化物、またこれらの混合物(金属酸窒化物、金属酸化ハロゲン化物、金属窒化炭化物など)も作り分けることができるため好ましい。
たとえば、珪素化合物を原料化合物として用い、分解ガスに酸素を用いれば、珪素酸化物が生成する。また、亜鉛化合物を原料化合物として用い、分解ガスにニ硫化炭素を用いれば、硫化亜鉛が生成する。これはプラズマ空間内では非常に活性な荷電粒子・活性ラジカルが高密度で存在するため、プラズマ空間内では多段階の化学反応が非常に高速に促進され、プラズマ空間内に存在する元素は熱力学的に安定な化合物へと非常な短時間で変換されるためである。
このような無機物の原料としては、典型または遷移金属元素を有していれば、常温常圧下で気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合にはそのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、バブリング、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用する。又、溶媒によって希釈して使用してもよく、溶媒は、メタノール,エタノール,n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用出来る。尚、これらの希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において、分子状、原子状に分解されるため、影響は殆ど無視することができる。
しかし、好ましくは大気圧下0℃〜250℃の温度域で蒸気圧を有する化合物であり、さらに好ましくは0℃〜250℃の温度域に液体状態を呈する化合物である。これはプラズマ製膜室内が大気圧近傍の圧力であるために、大気圧下で気化できないとプラズマ製膜室内にガスを送り込むことが難しく、また原料化合物が液体の方が、プラズマ製膜室内に送りこむ量を精度良く管理できるためである。なおガスバリア層を製膜するプラスチックフィルムの耐熱性が270℃以下の場合は、プラスチックフィルム耐熱温度からさらに20℃以下の温度で蒸気圧を有する化合物であることが好ましい。
このような有機金属化合物としては、
ケイ素化合物として、シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラt−ブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルシラン、ビス(ジメチルアミノ)メチルビニルシラン、ビス(エチルアミノ)ジメチルシラン、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)カルボジイミド、ジエチルアミノトリメチルシラン、ジメチルアミノジメチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ヘキサメチルシクロトリシラザン、ヘプタメチルジシラザン、ノナメチルトリシラザン、オクタメチルシクロテトラシラザン、テトラキスジメチルアミノシラン、テトライソシアナートシラン、テトラメチルジシラザン、トリス(ジメチルアミノ)シラン、トリエトキシフルオロシラン、アリルジメチルシラン、アリルトリメチルシラン、ベンジルトリメチルシラン、ビス(トリメチルシリル)アセチレン、1,4−ビストリメチルシリル−1,3−ブタジイン、ジ−t−ブチルシラン、1,3−ジシラブタン、ビス(トリメチルシリル)メタン、シクロペンタジエニルトリメチルシラン、フェニルジメチルシラン、フェニルトリメチルシラン、プロパルギルトリメチルシラン、テトラメチルシラン、トリメチルシリルアセチレン、1−(トリメチルシリル)−1−プロピン、トリス(トリメチルシリル)メタン、トリス(トリメチルシリル)シラン、ビニルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、Mシリケート51等が挙げられる。
チタン化合物としては、例えば、チタンメトキシド、チタンエトキシド、チタンイソプロポキシド、チタンテトライソポロポキシド、チタンn−ブトキシド、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンジイソプロポキシド(ビス−2,4−エチルアセトアセテート)、チタンジ−n−ブトキシド(ビス−2,4−ペンタンジオネート)、チタンアセチルアセトネート、ブチルチタネートダイマー等が挙げられる。
ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムn−プロポキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムt−ブトキシド、ジルコニウムトリ−n−ブトキシドアセチルアセトネート、ジルコニウムジ−n−ブトキシドビスアセチルアセトネート、ジルコニウムアセチルアセトネート、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムヘキサフルオロペンタンジオネート等が挙げられる。
アルミニウム化合物としては、アルミニウムエトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムs−ブトキシド、アルミニウムt−ブトキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、トリエチルジアルミニウムトリ−s−ブトキシド等が挙げられる。
硼素化合物としては、ジボラン、テトラボラン、フッ化硼素、塩化硼素、臭化硼素、ボラン−ジエチルエーテル錯体、ボラン−THF錯体、ボラン−ジメチルスルフィド錯体、三フッ化硼素ジエチルエーテル錯体、トリエチルボラン、トリメトキシボラン、トリエトキシボラン、トリ(イソプロポキシ)ボラン、ボラゾール、トリメチルボラゾール、トリエチルボラゾール、トリイソプロピルボラゾール、等が挙げられる。
錫化合物としては、テトラエチル錫、テトラメチル錫、二酢酸ジ−n−ブチル錫、テトラブチル錫、テトラオクチル錫、テトラエトキシ錫、メチルトリエトキシ錫、ジエチルジエトキシ錫、トリイソプロピルエトキシ錫、ジエチル錫、ジメチル錫、ジイソプロピル錫、ジブチル錫、ジエトキシ錫、ジメトキシ錫、ジイソプロポキシ錫、ジブトキシ錫、錫ジブチラート、錫ジアセトアセトナート、エチル錫アセトアセトナート、エトキシ錫アセトアセトナート、ジメチル錫ジアセトアセトナート等、錫水素化合物等、ハロゲン化錫としては、二塩化錫、四塩化錫等が挙げられる。
また、その他の有機金属化合物としては、例えば、アンチモンエトキシド、ヒ素トリエトキシド、バリウム2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、ベリリウムアセチルアセトナート、ビスマスヘキサフルオロペンタンジオネート、ジメチルカドミウム、カルシウム2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、クロムトリフルオロペンタンジオネート、コバルトアセチルアセトナート、銅ヘキサフルオロペンタンジオネート、マグネシウムヘキサフルオロペンタンジオネート−ジメチルエーテル錯体、ガリウムエトキシド、テトラエトキシゲルマン、テトラメトキシゲルマン、ハフニウムt−ブドキシド、ハフニウムエトキシド、インジウムアセチルアセトナート、インジウム2,6−ジメチルアミノヘプタンジオネート、フェロセン、ランタンイソプロポキシド、酢酸鉛、テトラエチル鉛、ネオジウムアセチルアセトナート、白金ヘキサフルオロペンタンジオネート、トリメチルシクロペンタジエニル白金、ロジウムジカルボニルアセチルアセトナート、ストロンチウム2,2,6,6−テトラメチルヘプタンジオネート、タンタルメトキシド、タンタルトリフルオロエトキシド、テルルエトキシド、タングステンエトキシド、バナジウムトリイソプロポキシドオキシド、マグネシウムヘキサフルオロアセチルアセトナート、亜鉛アセチルアセトナート、ジエチル亜鉛、などが挙げられる。
また、これらの金属を含む原料ガスを分解して無機化合物を得るための分解ガスとしては、水素ガス、メタンガス、アセチレンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アンモニアガス、亜酸化窒素ガス、酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、酸素ガス、水蒸気、フッ素ガス、フッ化水素、トリフルオロアルコール、トリフルオロトルエン、硫化水素、二酸化硫黄、二硫化炭素、塩素ガス、などが挙げられる。
金属元素を含む原料ガスと、分解ガスを適宜選択することで、各種の金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属硫化物を得ることができる。
上記の原材料を用いて得られるガスバリア層の屈折率は、例えば、酸化アルミニウム層の屈折率は、1.67、酸化珪素層の屈折率は、1.46、フッ化マグネシウム層の屈折率は1.38等である。
本発明に係るガスバリア層は、本発明のガスバリア性フィルムに組み込まれたとき、高い光透過性と高いガスバリア性能を有することが好ましく、高い光透過性と高いガスバリア性能を併せ持つガスバリア層を形成する手段の一つとして、層中に少なくとも2種の金属元素を含むように層形成することが好ましい。また、前記の2種の金属元素としては、上記の有機金属化合物由来の金属元素であることが好ましい。
尚、所望の屈折率のガスバリア層を得るために、無機物が混合した膜を作製しようとする場合、金属元素を含む原料ガスを2種以上混合する混合率を変化させていく場合と、分解ガスを2種以上混合する混合率を変化させていく場合が考えられるが、金属元素を傾斜させた方が屈折率を大きく変えることができるために有利である。また分解ガスを2種以上混合することは、分解ガス間での反応も起きることがあるため好ましくない(例えば水素ガスと酸素ガスから水が生成したりする)。
これらの反応性ガスに対して、主にプラズマ状態になりやすい放電ガスを混合し、プラズマ放電発生装置にガスを送りこむ。放電ガスとしては、電界を印加された際に放電を起こしやすく、かつ励起状態となっても連鎖反応を誘発するのみでそれ自体は反応生成物を生じさせず膜中に残存しないようなガスが好ましい。このような放電ガスとしては、窒素ガスおよび/または周期表の第18属原子、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも特に、窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられる。ヘリウムは放電開始電圧が低いために好ましく、またアルゴンは希ガスとしては最も安価であり豊富に存在するために好ましい。窒素は膜中に窒素がコンタミネーションとして残存することもあるが、安価であり、製膜速度が速いために好ましい。
上記不活性ガスと反応性ガスを混合し、混合ガスとしてプラズマ放電発生装置(プラズマ発生装置)に供給することで膜形成を行う。不活性ガスと反応性ガスの割合は、得ようとする膜の性質によって異なるが、混合ガス全体に対し、不活性ガスの割合を90.0〜99.9%として反応性ガスを供給する。
本発明に係るガスバリア層の膜厚は、プラズマ処理の時間を増やしたり、処理回数を重ねること、或いは、混合ガス中の原料化合物の分圧を高めることによって調整することができる。
《応力緩和層》
次いで、本発明に係る応力緩和層について説明する。
本発明に係る応力緩和層は、炭素含有率が5%以上の無機化合物、有機ポリマーまたは無機ポリマーを含有することを特徴とする。本発明に係る応力緩和層の膜厚は、概ね5〜500nmで、前述のガスバリア層に対し相対的な硬度が低い層である。
本発明に適用できる無機化合物としては、上記ガスバリア層の形成に用いたのと同様の金属炭化物であるケイ素化合物、チタン化合物、アルミニウム化合物、硼素化合物、錫化合物を挙げることができ、更には炭素含有率が5%以上の無機化合物が、SiOxCz、SiNyCzまたはSiOxNyCz(x=1〜2、y=0.1〜1、z=0.1〜2)であることが好ましい。
炭素含有率が5%以上の無機化合物、例えば、金属酸化物、金属酸窒化物、あるいは金属窒化物を含有する膜は、特には、大気圧プラズマCVDで形成することが好ましい。
この様な構成からなる応力緩和層は、これよりも炭素含有率が低い別の金属酸化物層と積層した場合、炭素含有率が高い層はより柔軟性が高い特性を有するため、形成層全体の柔軟性向上により折り曲げ耐性が高まり、更に層間の接着性も向上する。
本発明に係る炭素含有率が5%以上の無機化合物を用いた応力緩和層の形成においては、大気圧プラズマCVDにおける放電条件を100kHzを超える高周波電圧で、かつ0.1W/cm2以上の電力を供給してプラズマ放電をさせて、炭素含有率を5%以上、好ましくは5〜40%とすることが好ましい。この時、高周波電圧としてはサイン波形を有していることが好ましい。
無機ポリマーとしては、シリコーン、ポリフォスファゼン、ポリシラザン、ポリカルボシラザン、ポリカーボラン、カルボランシラザン、ポリシラン、フォスホニトライド、サルファー、ニトライド、シロキサン等を挙げることができる。
また、有機ポリマーとしては、公知の重合性有機化合物を用いることができるが、その中でも、分子内にエチレン性不飽和結合を有する重合可能なエチレン性不飽和結合含有化合物が好ましく、また、一般的なラジカル重合性のモノマー類、紫外線硬化樹脂に一般的に用いられる分子内に付加重合可能なエチレン性二重結合を複数有する多官能モノマー類や多官能オリゴマー類を用いることができる。
これらの重合可能なエチレン性二重結合含有化合物に特に限定は無いが、好ましいものとして、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、グリセロールアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ノニルフェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルオキシヘキサノリドアクリレート、1,3−ジオキサンアルコールのε−カプロラクトン付加物のアクリレート、1,3−ジオキソランアクリレート等の単官能アクリル酸エステル類、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングルコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ハイドロキノンジアクリレート、レゾルシンジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのジアクリレート、ネオペンチルグリコールアジペートのジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物のジアクリレート、2−(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−5−ヒドロキシメチル−5−エチル−1,3−ジオキサンジアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレート、トリシクロデカンジメチロールアクリレートのε−カプロラクトン付加物、1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテルのジアクリレート等の2官能アクリル酸エステル類、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル、例えばトリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートのε−カプロラクトン付加物、ピロガロールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオン酸・ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ヒドロキシピバリルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリアクリレート等の多官能アクリル酸エステル酸、或いはこれらのアクリレートをメタクリレート、イタコネート、クロトネート、マレエートに代えたメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸エステル等を挙げることができる。
また、プレポリマーも上記同様に使用することができる。プレポリマーは、1種又は2種以上を併用してもよいし、上述の単量体及び/又はオリゴマーと混合して用いてもよい。
プレポリマーとしては、例えばアジピン酸、トリメリット酸、マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、ハイミック酸、マロン酸、こはく酸、グルタール酸、イタコン酸、ピロメリット酸、フマル酸、グルタール酸、ピメリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、テトラヒドロフタル酸等の多塩基酸と、エチレングリコール、プロピレングルコール、ジエチレングリコール、プロピレンオキサイド、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、1,6−ヘキサンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール等の多価のアルコールの結合で得られるポリエステルに(メタ)アクリル酸を導入したポリエステルアクリレート類、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸、フェノールノボラック・エピクロルヒドリン・(メタ)アクリル酸のようにエポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したエポキシアクリレート類、例えば、エチレングリコール・アジピン酸・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ポリエチレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルフタリルメタクリレート・キシレンジイソシアネート、1,2−ポリブタジエングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート、トリメチロールプロパン・プロピレングリコール・トリレンジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレートのように、ウレタン樹脂に(メタ)アクリル酸を導入したウレタンアクリレート、例えば、ポリシロキサンアクリレート、ポリシロキサン・ジイソシアネート・2−ヒドロキシエチルアクリレート等のシリコーン樹脂アクリレート類、その他、油変性アルキッド樹脂に(メタ)アクリロイル基を導入したアルキッド変性アクリレート類、スピラン樹脂アクリレート類等のプレポリマーが挙げられる。
また、本発明に係る応力緩和層に適用可能な無機有機ハイブリッドポリマーとしては、薄膜形成性ガスとして有機金属化合物、ハロゲン金属化合物または金属水素化合物とプラズマ重合可能な有機物の混合ガスを用いることで容易に形成できる。プラズマ重合可能な有機物としては、炭化水素、ビニル化合物、含ハロゲン化合物、含窒素化合物を挙げることが出来る。
炭化水素としては、例えば、エタン、エチレン、メタン、アセチレン、シクロヘキサン、ベンゼン、キシレン、フェニルアセチレン、ナフタレン、プロピレン、カンフォー、メントール、トルエン、イソブチレン等を挙げることができる。
ビニル化合物としては、例えば、アクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、アリルメタクリレート、アクリルアミド、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジン、酢酸ビニル、ビニルメチルエーテル等を挙げることが出来る。
含ハロゲン化合物としては、四フッ化メタン、四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン、フロロアルキルメタクリレート等を挙げることが出来る。
含窒素化合物としては、例えば、ピリジン、アリルアミン、ブチルアミン、アクリロニトリル、アセトニトリル、ベンゾニトリル、メタクリロニトリル、アミノベンゼン等を挙げることが出来る。
一般に、本発明に係る応力緩和層の形成としては、蒸着、スパッタリング,CVD法(化学蒸着)、プラズマCVD法、大気圧または大気圧近傍の圧力下において実施されるプラズマCVD法等のドライプロセスで形成することができるが、本発明のガズバリア樹脂基材の製造方法においては、上記で規定する特定の炭素含有率プロファイルを有する応力緩和層を形成するには、応力緩和層の少なくとも1層、好ましくは全ての応力緩和層をプラズマCVD法で形成することを特徴とし、更には、大気圧または大気圧近傍の圧力下において実施されるプラズマCVD法(以下、大気圧プラズマCVD法ともいう)を用いることが好ましい。なお、大気圧プラズマCVD法の詳細については、後述する。
無機膜を成膜する一般的な手法である蒸着、スパッタ、イオンプレーティング法などでは、2種類の無機物のターゲットを用いて同時に蒸着するか、元々2種類の無機物を混合したターゲットを用いる方法等がある。しかしながら、2種類の無機物のターゲットを用いて同時に蒸着すると、大面積のフィルムに製膜する際に場所によって混合比が変化し、ひいては屈折率が変化しやすいという問題点がある。また、2種類の無機物をあらかじめ混合したターゲットを用いる場合でも、2種類の無機物の蒸気圧がことなるために、所望の混合比になるように蒸着することは技術的な難度が非常に高い。
したがって、本発明では、蒸着する膜の組成を自由に変化できる蒸着法として、物理的気相成長法(PVD法)ではなく化学的気相成長法(CVD法)を用いることが好ましく、中でも、プラスチック基板のような低耐熱製基板にも製膜できるプラズマCVD法を用いることが好ましい。
CVD法では混合する無機物の原料となるガスを任意の割合で混合することができるため、複数の無機物の複合薄膜を形成することが出来、更に、CVD法では、複数の原料ガスの供給比率を製膜中に連続的に変化させることにより、応力緩和層の炭素比率を連続的に変化させることが可能であり、好ましい。
プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法により得られる本発明に係る応力緩和層は、原材料(原料ともいう)である無機ポリマー(含む有機金属化合物)、有機ポリマーあるいは無機有機ハイブリッドポリマーの種類、比率や、分解ガス、分解温度、投入電力などの条件を適宜選択することにより、金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物、金属硫化物、金属ハロゲン化物、またこれらの混合物(金属酸窒化物、金属酸化ハロゲン化物、金属窒化炭化物など)も作り分けることができるため、複数の原材料を用い、順次その供給割合を精緻に制御することにより、極めて高い精度で炭素含有率を制御することができる。
すなわち、所望の炭素含有率プロファイルの応力緩和層を得る場合、反応性ガスとして炭素含有率のことなる金属元素を含む原料ガスを2種以上混合し、その混合率を変化させていく場合と、分解ガスを2種以上混合し、その混合率を変化させていく場合が考えられるが、金属元素を傾斜させた方が炭素含有率を精緻に制御できるため有利である。また、分解ガスを2種以上混合することは、分解ガス間での反応も起きることがあるため好ましくない(例えば水素ガスと酸素ガスから水が生成したりする)。
これらの反応性ガスには、主にプラズマ状態になりやすい放電ガスを混合し、プラズマ放電発生装置にガスを送りこむ。放電ガスとしては、電界を印加された際に放電を起こしやすく、かつ励起状態となっても連鎖反応を誘発するのみでそれ自体は反応生成物を生じさせず膜中に残存しないような不活性ガスが好ましい。このような放電ガス(不活性ガス)としては、窒素ガスおよび/または周期表の第18属原子、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも特に、窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられる。ヘリウムは放電開始電圧が低いために好ましく、またアルゴンは希ガスとしては最も安価であり豊富に存在するために好ましい。窒素は膜中に窒素がコンタミネーションとして残存することもあるが、安価であり、製膜速度が速いために好ましい。
上記放電ガスと反応性ガスを混合し、混合ガスとしてプラズマ放電発生装置(プラズマ発生装置)に供給することで膜形成を行う。不活性ガスと反応性ガスの割合は、得ようとする膜の性質によって異なるが、混合ガス全体に対し、不活性ガスの割合を90.0〜99.9%として反応性ガスを供給する。
本発明に係る応力緩和層の膜厚は、プラズマ処理の時間を増やしたり、処理回数を重ねること、或いは、混合ガス中の原料化合物の分圧を高めることによって調整することができる。
《ガスバリア性フィルムの構成》
本発明のガスバリア性フィルムにおいては、基材上に、それぞれ少なくとも1層のガスバリア層及び応力緩和層とを有し、基材に接する第1層の平均膜厚が、該基材の平均表面粗さSRaより小さいことを特徴とし、更に、基材表面の近い側に位置する第1層及び第2層の平均膜厚d1、d2の総和が、基材の平均表面粗さSRaより小さいことが好ましい。上記構成とすることにより、基材との密着性を格段に向上させることができる。
また、本発明のガスバリア性フィルムにおいては、本発明に係るガスバリア層及び応力緩和層が、それぞれ2層以上積層されていること、すなわち総層数として4層以上で構成されていることが好ましく、またそれぞれ6層以上積層されていること、すなわち総層数として12層以上で構成されていることが好ましい。
本発明のガスバリア性フィルムにおいては、ガスバリア層及び応力緩和層の積層形態としては特に制限はなく、それぞれの層が複数層連続した形態で構成されていてもよいが、好ましくはガスバリア層と応力緩和層とが1層ずつ交互に積層されていることである。また、本発明においては、第1層目が、ガスバリア層であっても、応力緩和層であっても良い。上記層構成をとることにより、基材との密着性を向上させると共に、水蒸気あるいは酸素等のガス遮断性を向上することができた。
図1は、本発明のガスバリア性フィルムの構成の一例を示す概略断面図である。
図1には、表面に凹凸構造5を有し、平均表面粗さRaである基材2上に、第1層として応力緩和層3を配置し、応力緩和層3、5及びガスバリア層4、6をそれぞれ2層ずつ交互に積層したガスバリア性フィルム1を例を示してある。
この時、第1層目である応力緩和層3の平均膜厚が、基材2の平均表面粗さRaより薄いことを特徴としている。
図2は、本発明のガスバリア性フィルムの構成の他の一例を示す概略断面図である。
図2には、表面に凹凸構造5を有し、平均表面粗さRaである基材2上に、第1層として応力緩和層3、第2層としてガスバリア層4を配置し、応力緩和層3、5、7及びガスバリア層4、6、8をそれぞれ3層ずつ交互に積層したガスバリア性フィルム1を例を示してある。
この時、第1層目である応力緩和層3の平均膜厚をd1、第2層目のガスバリア層4の平均膜厚をd2とした時、d1+d2が基材2の平均表面粗さRaより薄いことが好ましい。
《プラズマCVD法》
次いで、本発明のガスバリア性フィルムの製造方法において、本発明に係る応力緩和層あるいはガスバリア層の形成に好適に用いることのできるプラズマCVD法及び大気圧プラズマCVD法について、更に詳細に説明する。
本発明に係るプラズマCVD法について説明する。
プラズマCVD法は、プラズマ助成式化学的気相成長法、PECVD法とも称され、各種の無機物を、立体的な形状でも被覆性・密着性良く、且つ、基材温度をあまり高くすることなしに製膜することができる手法である。
通常のCVD法(化学的気相成長法)では、揮発・昇華した有機金属化合物が高温の基材表面に付着し、熱により分解反応が起き、熱的に安定な無機物の薄膜が生成されるというものである。このような通常のCVD法(熱CVD法とも称する)では、通常500℃以上の基板温度が必要であるため、プラスチック基材への製膜には使用することができない。
一方、プラズマCVD法は、基材近傍の空間に電界を印加し、プラズマ状態となった気体が存在する空間(プラズマ空間)を発生させ、揮発・昇華した有機金属化合物がこのプラズマ空間に導入されて分解反応が起きた後に基材上に吹きつけられることにより、無機物の薄膜を形成するというものである。プラズマ空間内では、数%の高い割合の気体がイオンと電子に電離しており、ガスの温度は低く保たれるものの、電子温度は非常な高温のため、この高温の電子、あるいは低温ではあるがイオン・ラジカルなどの励起状態のガスと接するために無機膜の原料である有機金属化合物は低温でも分解することができる。したがって、無機物を製膜する基材についても低温化することができ、プラスチック基材上へも十分製膜することが可能な製膜方法である。
しかしながら、プラズマCVD法においては、ガスに電界を印加して電離させ、プラズマ状態とする必要があるため、通常は、0.101kPa〜10.1kPa程度の減圧空間で製膜していたため、大面積のフィルムを製膜する際には設備が大きく操作が複雑であり、生産性の課題を抱えている方法である。
これに対し、大気圧近傍でのプラズマCVD法では、真空下のプラズマCVD法に比べ、減圧にする必要がなく生産性が高いだけでなく、プラズマ密度が高密度であるために製膜速度が速く、更にはCVD法の通常の条件に比較して、大気圧下という高圧力条件では、ガスの平均自由工程が非常に短いため、極めて平坦な膜が得られ、そのような平坦な膜は、光学特性、ガスバリア性共に良好である。以上のことから、本発明においては、大気圧プラズマCVD法を適用することが、真空下のプラズマCVD法よりも好ましい。
以下、大気圧或いは大気圧近傍でのプラズマCVD法を用いた応力緩和層あるいはガスバリア層を形成する装置について詳述する。
本発明のガスバリア性フィルムの製造方法において、応力緩和層あるいはガスバリア層の形成に使用されるプラズマ製膜装置の一例について、図2〜図5に基づいて説明する。図中、符号Fは基材の一例としての長尺フィルムである。
図2は、本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。
ジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置は、プラズマ放電処理装置、二つの電源を有する電界印加手段の他に、図2では図示してない(後述の図3に図示してある)が、ガス供給手段、電極温度調節手段を有している装置である。
プラズマ放電処理装置10は、第1電極11と第2電極12から構成されている対向電極を有しており、該対向電極間に、第1電極11からは第1電源21からの周波数ω1、電界強度V1、電流I1の第1の高周波電界が印加され、また第2電極12からは第2電源22からの周波数ω2、電界強度V2、電流I2の第2の高周波電界が印加されるようになっている。第1電源21は第2電源22より高い高周波電界強度(V1>V2)を印加出来、また第1電源21の第1の周波数ω1は第2電源22の第2の周波数ω2より低い周波数を印加出来る。
第1電極11と第1電源21との間には、第1フィルタ23が設置されており、第1電源21から第1電極11への電流を通過しやすくし、第2電源22からの電流をアースして、第2電源22から第1電源21への電流が通過しにくくなるように設計されている。
また、第2電極12と第2電源22との間には、第2フィルター24が設置されており、第2電源22から第2電極への電流を通過しやすくし、第1電源21からの電流をアースして、第1電源21から第2電源への電流を通過しにくくするように設計されている。
第1電極11と第2電極12との対向電極間(放電空間)13に、後述の図3に図示してあるようなガス供給手段からガスGを導入し、第1電極11と第2電極12から高周波電界を印加して放電を発生させ、ガスGをプラズマ状態にしながら対向電極の下側(紙面下側)にジェット状に吹き出させて、対向電極下面と基材Fとで作る処理空間をプラズマ状態のガスG°で満たし、図示してない基材の元巻き(アンワインダー)から巻きほぐされて搬送して来るか、あるいは前工程から搬送して来る基材Fの上に、処理位置14付近で薄膜を形成させる。薄膜形成中、後述の図3に図示してあるような電極温度調節手段から媒体が配管を通って電極を加熱または冷却する。プラズマ放電処理の際の基材の温度によっては、得られる薄膜の物性や組成等は変化することがあり、これに対して適宜制御することが望ましい。温度調節の媒体としては、蒸留水、油等の絶縁性材料が好ましく用いられる。プラズマ放電処理の際、幅手方向あるいは長手方向での基材の温度ムラが出来るだけ生じないように電極の内部の温度を均等に調節することが望まれる。
ジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置を複数基接して直列に並べて同時に同じプラズマ状態のガスを放電させることが出来るので、何回も処理され高速で処理することも出来る。また各装置が異なったプラズマ状態のガスをジェット噴射すれば、異なった層の積層薄膜を形成することも出来る。
図3は、本発明に有用な対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。
本発明に係る大気圧プラズマ放電処理装置は、少なくとも、プラズマ放電処理装置30、二つの電源を有する電界印加手段40、ガス供給手段50、電極温度調節手段60を有している装置である。
図3は、ロール回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)36との対向電極間(放電空間)32で、基材Fをプラズマ放電処理して薄膜を形成するものである。
ロール回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)36との間の放電空間(対向電極間)32に、ロール回転電極(第1電極)35には第1電源41から周波数ω1、電界強度V1、電流I1の第1の高周波電界を、また角筒型固定電極群(第2電極)36には第2電源42から周波数ω2、電界強度V2、電流I2の第2の高周波電界をかけるようになっている。
ロール回転電極(第1電極)35と第1電源41との間には、第1フィルタ43が設置されており、第1フィルタ43は第1電源41から第1電極への電流を通過しやすくし、第2電源42からの電流をアースして、第2電源42から第1電源への電流を通過しにくくするように設計されている。また、角筒型固定電極群(第2電極)36と第2電源42との間には、第2フィルタ44が設置されており、第2フィルター44は、第2電源42から第2電極への電流を通過しやすくし、第1電源41からの電流をアースして、第1電源41から第2電源への電流を通過しにくくするように設計されている。
なお、本発明においては、ロール回転電極35を第2電極、また角筒型固定電極群36を第1電極としてもよい。何れにしろ第1電極には第1電源が、また第2電極には第2電源が接続される。第1電源は第2電源より高い高周波電界強度(V1>V2)を印加することが好ましい。また、周波数はω1<ω2となる能力を有している。
また、電流はI1<I2となることが好ましい。第1の高周波電界の電流I1は、好ましくは0.3mA/cm2〜20mA/cm2、さらに好ましくは1.0mA/cm2〜20mA/cm2である。また、第2の高周波電界の電流I2は、好ましくは10mA/cm2〜100mA/cm2、さらに好ましくは20mA/cm2〜100mA/cm2である。
ガス供給手段50のガス発生装置51で発生させたガスGは、流量を制御して給気口52よりプラズマ放電処理容器31内に導入する。
基材Fを、図示されていない元巻きから巻きほぐして搬送されて来るか、または前工程から搬送されて来て、ガイドロール64を経てニップロール65で基材に同伴されて来る空気等を遮断し、ロール回転電極35に接触したまま巻き回しながら角筒型固定電極群36との間に移送し、ロール回転電極(第1電極)35と角筒型固定電極群(第2電極)36との両方から電界をかけ、対向電極間(放電空間)32で放電プラズマを発生させる。基材Fはロール回転電極35に接触したまま巻き回されながらプラズマ状態のガスにより薄膜を形成する。基材Fは、ニップロール66、ガイドロール67を経て、図示してない巻き取り機で巻き取るか、次工程に移送する。
放電処理済みの処理排ガスG′は排気口53より排出する。
薄膜形成中、ロール回転電極(第1電極)35及び角筒型固定電極群(第2電極)36を加熱または冷却するために、電極温度調節手段60で温度を調節した媒体を、送液ポンプPで配管61を経て両電極に送り、電極内側から温度を調節する。なお、68及び69はプラズマ放電処理容器31と外界とを仕切る仕切板である。
図4は、図3に示したロール回転電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
図4において、ロール電極35aは導電性の金属質母材35Aとその上に誘電体35Bが被覆されたものである。プラズマ放電処理中の電極表面温度を制御するため、温度調節用の媒体(水もしくはシリコンオイル等)が循環できる構造となっている。
図5は、角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。
図5において、角筒型電極36aは、導電性の金属質母材36Aに対し、図4同様の誘電体36Bの被覆を有しており、該電極の構造は金属質のパイプになっていて、それがジャケットとなり、放電中の温度調節が行えるようになっている。
なお、角筒型固定電極の数は、上記ロール電極の円周より大きな円周上に沿って複数本設置されていおり、該電極の放電面積はロール回転電極35に対向している全角筒型固定電極面の面積の和で表される。
図5に示した角筒型電極36aは、円筒型電極でもよいが、角筒型電極は円筒型電極に比べて、放電範囲(放電面積)を広げる効果があるので、本発明に好ましく用いられる。
図4及び図5において、ロール電極35a及び角筒型電極36aは、それぞれ導電性の金属質母材35A及び36Aの上に誘電体35B及び36Bとしてのセラミックスを溶射後、無機化合物の封孔材料を用いて封孔処理したものである。セラミックス誘電体は片肉で1mm程度被覆あればよい。溶射に用いるセラミックス材としては、アルミナ・窒化珪素等が好ましく用いられるが、この中でもアルミナが加工し易いので、特に好ましく用いられる。また、誘電体層が、ライニングにより無機材料を設けたライニング処理誘電体であってもよい。
導電性の金属質母材35A及び36Aとしては、チタン金属またはチタン合金、銀、白金、ステンレススティール、アルミニウム、鉄等の金属等や、鉄とセラミックスとの複合材料またはアルミニウムとセラミックスとの複合材料を挙げることが出来るが、後述の理由からはチタン金属またはチタン合金が特に好ましい。
対向する第1電極および第2の電極の電極間距離は、電極の一方に誘電体を設けた場合、該誘電体表面ともう一方の電極の導電性の金属質母材表面との最短距離のことを言う。双方の電極に誘電体を設けた場合、誘電体表面同士の距離の最短距離のことを言う。電極間距離は、導電性の金属質母材に設けた誘電体の厚さ、印加電界強度の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定されるが、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.1〜20mmが好ましく、特に好ましくは0.5〜2mmである。
本発明に有用な導電性の金属質母材及び誘電体についての詳細については後述する。
プラズマ放電処理容器31はパイレックス(登録商標)ガラス製の処理容器等が好ましく用いられるが、電極との絶縁がとれれば金属製を用いることも可能である。例えば、アルミニウムまたは、ステンレススティールのフレームの内面にポリイミド樹脂等を張り付けても良く、該金属フレームにセラミックス溶射を行い絶縁性をとってもよい。図2において、平行した両電極の両側面(基材面近くまで)を上記のような材質の物で覆うことが好ましい。
本発明の大気圧プラズマ放電処理装置に設置する第1電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
A1 神鋼電機 3kHz SPG3−4500
A2 神鋼電機 5kHz SPG5−4500
A3 春日電機 15kHz AGI−023
A4 神鋼電機 50kHz SPG50−4500
A5 ハイデン研究所 100kHz* PHF−6k
A6 パール工業 200kHz CF−2000−200k
A7 パール工業 400kHz CF−2000−400k
等の市販のものを挙げることが出来、何れも使用することが出来る。
また、第2電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数 製品名
B1 パール工業 800kHz CF−2000−800k
B2 パール工業 2MHz CF−2000−2M
B3 パール工業 13.56MHz CF−5000−13M
B4 パール工業 27MHz CF−2000−27M
B5 パール工業 150MHz CF−2000−150M
等の市販のものを挙げることが出来、何れも好ましく使用出来る。
なお、上記電源のうち、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。それ以外は連続サイン波のみ印加可能な高周波電源である。
本発明においては、このような電界を印加して、均一で安定な放電状態を保つことが出来る電極を大気圧プラズマ放電処理装置に採用することが好ましい。
本発明において、対向する電極間に印加する電力は、第2電極(第2の高周波電界)に1W/cm2以上の電力(出力密度)を供給し、放電ガスを励起してプラズマを発生させ、エネルギーを薄膜形成ガスに与え、薄膜を形成する。第2電極に供給する電力の上限値としては、好ましくは50W/cm2、より好ましくは20W/cm2である。下限値は、好ましくは1.2W/cm2である。なお、放電面積(cm2)は、電極において放電が起こる範囲の面積のことを指す。
また、第1電極(第1の高周波電界)にも、1W/cm2以上の電力(出力密度)を供給することにより、第2の高周波電界の均一性を維持したまま、出力密度を向上させることが出来る。これにより、更なる均一高密度プラズマを生成出来、更なる製膜速度の向上と膜質の向上が両立出来る。好ましくは5W/cm2以上である。第1電極に供給する電力の上限値は、好ましくは50W/cm2である。
ここで高周波電界の波形としては、特に限定されない。連続モードと呼ばれる連続サイン波状の連続発振モードと、パルスモードと呼ばれるON/OFFを断続的に行う断続発振モード等があり、そのどちらを採用してもよいが、少なくとも第2電極側(第2の高周波電界)は連続サイン波の方がより緻密で良質な膜が得られるので好ましい。
このような大気圧プラズマによる薄膜形成法に使用する電極は、構造的にも、性能的にも過酷な条件に耐えられるものでなければならない。このような電極としては、金属質母材上に誘電体を被覆したものであることが好ましい。
本発明に使用する誘電体被覆電極においては、様々な金属質母材と誘電体との間に特性が合うものが好ましく、その一つの特性として、金属質母材と誘電体との線熱膨張係数の差が10×10-6/℃以下となる組み合わせのものである。好ましくは8×10-6/℃以下、更に好ましくは5×10-6/℃以下、更に好ましくは2×10-6/℃以下である。なお、線熱膨張係数とは、周知の材料特有の物性値である。
線熱膨張係数の差が、この範囲にある導電性の金属質母材と誘電体との組み合わせとしては、
1:金属質母材が純チタンまたはチタン合金で、誘電体がセラミックス溶射被膜
2:金属質母材が純チタンまたはチタン合金で、誘電体がガラスライニング
3:金属質母材がステンレススティールで、誘電体がセラミックス溶射被膜
4:金属質母材がステンレススティールで、誘電体がガラスライニング
5:金属質母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がセラミックス溶射被膜
6:金属質母材がセラミックスおよび鉄の複合材料で、誘電体がガラスライニング
7:金属質母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がセラミックス溶射皮膜
8:金属質母材がセラミックスおよびアルミの複合材料で、誘電体がガラスライニング
等がある。線熱膨張係数の差という観点では、上記1項または2項および5〜8項が好ましく、特に1項が好ましい。
本発明において、金属質母材は、上記の特性からはチタンまたはチタン合金が特に有用である。金属質母材をチタンまたはチタン合金とすることにより、誘電体を上記とすることにより、使用中の電極の劣化、特にひび割れ、剥がれ、脱落等がなく、過酷な条件での長時間の使用に耐えることが出来る。
本発明に適用できる大気圧プラズマ放電処理装置としては、上記説明し以外に、例えば、特開2004−68143号公報、同2003−49272号公報、国際特許第02/48428号パンフレット等に記載されている大気圧プラズマ放電処理装置を挙げることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《基材の作製》
(基材1の作製)
〈ポリエチレンテレフタレート樹脂Aの調製〉
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール65質量部にエステル交換触媒として酢酸マグネシウム水和物0.05質量部を添加し、常法に従ってエステル交換を行った。得られた生成物に、三酸化アンチモン0.05質量部、リン酸トリメチルエステル0.03質量部、平均粒径0.8μmのシリカ粒子0.007質量部を添加した。次いで、徐々に昇温、減圧し、280℃、67Paで重合を行い、0.60の固有粘度のポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂Aを得た。
〈二軸延伸PETフィルム〉
上記調製したポリエチレンテレフタレート樹脂Aをペレット化したものを、150℃で8時間真空乾燥した後、285℃でTダイから層状に溶融押しだし、30℃の冷却ドラム上で静電印加しながら密着させ、冷却固化させ、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムをロール式縦延伸機を用いて、80℃で縦方向に7倍延伸した。得られた一軸延伸フィルムをテンター式横延伸機を用いて、第一延伸ゾーン90℃で総横延伸倍率の50%延伸し、さらに第二延伸ゾーン100℃で総横延伸倍率3.3倍になるように延伸した。次いで、70℃で2秒間、前熱処理し、さらに第一固定ゾーン150℃で5秒間熱固定し、第二固定ゾーン220℃で15秒間熱固定した。次いで、160℃で横(幅手)方向にテンターを用いて5%弛緩処理を行い、室温まで60秒かけて冷却して、厚さ100μmの2軸延伸ポリエステルの基材1を得た。次いで、コアに巻いたまま、80℃、72時間の熱処理(アニール)を行なった。
この基材1の平均表面粗さを原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメント社製)で測定した結果、Ra=15nmであった。
(基材2の作製)
上記基材1の作製において、平均粒径0.8μmのシリカ粒子に代えて、平均粒径0.27μmのシリカ粒子を0.010質量%添加した以外は同様にして、平均表面粗さRaが5nmの基材2を作製した。
《ガスバリア性フィルムの作製》
〔ガスバリア性フィルム1の作製〕
(大気圧プラズマ放電処理装置)
図3の大気圧プラズマ放電処理装置を用い、誘電体で被覆したロール電極及び複数の角筒型電極のセットを以下のように作製した。
第1電極となるロール電極は、冷却水による冷却手段を有するチタン合金T64製ジャケットロール金属質母材に対して、大気プラズマ法により高密度、高密着性のアルミナ溶射膜を被覆し、ロール径1000mmφとなるようにした。一方、第2電極の角筒型電極は、中空の角筒型のチタン合金T64に対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆し、対向する角筒型固定電極群とした。
この角筒型電極をロール回転電極のまわりに、対向電極間隙を1mmとして25本配置した。角筒型固定電極群の放電総面積は、150cm(幅手方向の長さ)×4cm(搬送方向の長さ)×25本(電極の数)=15000cm2であった。なお、何れもフィルターは適切なものを設置した。
プラズマ放電中、第1電極(ロール回転電極)及び第2電極(角筒型固定電極群)が80℃になるように調節保温し、ロール回転電極はドライブで回転させて薄膜形成を行った。
(第1層:応力緩和層P−1の形成)
下記の条件で、平均表面粗さRaが15nmの基材1上に、プラズマ放電を行って、厚さ10nmの応力緩和層P−1を形成した。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素 98.9体積%
薄膜形成性ガス:テトラエトキシシラン 0.1体積%
(リンテック社製気化器にてアルゴンガスに混合して気化)
添加ガス:酸素ガス 1体積%
〈応力緩和層成膜条件〉
第1電極側 電源種類 A5
電界強度 8kV/mm
周波数 100kHz
出力密度 1W/cm2
第2電極側 電源種類 B3
電界強度 0.8kV/mm
周波数 13.56MHz
出力密度 1W/cm2
(第2層:ガスバリア層G−1の形成)
下記の条件で、プラズマ放電を行って、応力緩和層上に厚さ150nmのガスバリア層G−1を形成した。
〈ガス条件〉
放電ガス:窒素 98.9体積%
薄膜形成性ガス:テトラエトキシシラン 0.1体積%
(リンテック社製気化器にてアルゴンガスに混合して気化)
添加ガス:酸素ガス 1体積%
〈ガスバリア層成膜条件〉
第1電極側 電源種類 A5
電界強度 8kV/mm
周波数 100kHz
出力密度 1W/cm2
第2電極側 電源種類 B3
電界強度 0.8kV/mm
周波数 13.56MHz
出力密度 3W/cm2
〔ガスバリア性フィルム2の作製〕
上記作製したガスバリア性フィルム1上に、更に応力緩和層P−1及びガスバリア層G−1の形成条件において、応力緩和層の厚さを50nmに変更した以外は同様にして、それぞれ2層ずつ交互に積層して、3層の応力緩和層と3層のガスバリア層から構成されるガスバリア性フィルム2を作製した。
〔ガスバリア性フィルム3〜5の作製〕
上記ガスバリア性フィルム2の作製において、表1に記載の厚さの応力緩和層及びガスバリア層を積層した以外は同様にして、ガスバリア性フィルム3〜5を作製した。
〔ガスバリア性フィルム6、7の作製〕
上記ガスバリア性フィルム2の作製において、基材を平均表面粗さが5nmの基材2に変更し、更に表1に記載の厚さの応力緩和層及びガスバリア層を積層した以外は同様にして、ガスバリア性フィルム6、7を作製した。
〔ガスバリア性フィルム8の作製〕
(第1層:ガスバリア層の形成)
ガスバリア性フィルム1の作製におけるガスバリア層G−1の形成と同様にして、基材2上に、大気圧プラズマCVD法により、第1層としてガスバリア層を形成した。
(第2層:応力緩和層の形成:塗布法)
上記ガスバリア層上に、下記の組成からなる応力緩和層塗布物を、ワイヤーバーコーターを用いて塗布、乾燥した後、紫外線照射により、硬化させ、厚さ250nmの応力緩和層を形成した。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20質量部
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20質量部
ジメトキシベンゾフェノン 4質量部
酢酸エチル 150質量部
メチルエチルケトン 150質量部
イソプロピルアルコール 150質量部
(第3層:ガスバリア層の形成)
第1層のガスバリア層の形成において、厚さを100nmに変更した以外は同様にして、第2層上にガスバリア層を形成した。
(第4層〜第6層の形成)
上記第2層、第3層と同様にして、表1に記載の構成からなるようにして各層を設けて、ガスバリア性フィルム8を作製した。
〔ガスバリア性フィルム9の作製〕
前記ガスバリア性フィルム6の作製において、応力緩和層の形成を下記の方法に従ってメタクリル酸メチルと酢酸ビニルのコポリマーの層(膜厚150nm)に変更した以外は同様にして、ガスバリア性フィルム9を作製した。
(応力緩和層:第2層、第4層、第6層の形成)
図6に記載の大気圧プラズマ放電処理装置を用いて、下記の条件で厚さ150nmの各応力緩和層を形成した。
〈ガス条件〉
不活性ガス:アルゴン 99体積%
反応性ガス:メタクリル酸メチル(90℃に加熱しアルゴンガスをバブリングして蒸発させる) 0.5体積%
反応性ガス:酢酸ビニルモノマー(60℃に加熱しアルゴンガスをバブリングして蒸発させる) 0.5体積%
〈供給電力〉
周波数100kHzで、5W/cm2の電力を供給。
〔各層膜厚の測定〕
上記の各ガスバリア性フィルムの作製において、予め上記の各形成条件にて応力緩和層あるいはガスバリア層を1回の成膜操作で基材上に形成し、その堆積量をPhotal社製のFE−3000反射分光膜厚計で測定し、表1に記載の膜厚となるようにパス回数を適宜調整して行った。積層終了後、各ガスバリア性フィルムの断面を透過型電子顕微鏡にて観察し、各層の正確な膜厚を測定した。
〔応力緩和層、ガスバリア層の炭素含有量の測定〕
上記の各ガスバリア性フィルムの作製において、予め上記の各形成条件にて応力緩和層あるいはガスバリア層を1回の成膜操作で基材上に形成し、その試料について前述の方法に従ってXPS表面分析装置としてVGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いて炭素含有量を測定した。その結果、全ての応力緩和層の炭素含有率は5.0%以上であり、またガスバリア層の炭素含有量は1.0%未満であった。
Figure 2006068992
《ガスバリア性フィルムの評価》
(水蒸気透過率の測定)
水蒸気透過率は、JIS K 7129Bで規定の方法に準拠して測定を行った。
(密着性の評価)
JIS K 5400に準拠した碁盤目試験を行った。形成された薄膜の表面に、片刃のカミソリを用いて、面に対して90度で1mm間隔で縦横に11本ずつの切り込みを入れ、1mm角の碁盤目を100個作成した。この上に市販のセロファンテープを貼り付け、その一端を手でもって垂直にはがし、切り込み線からの貼られたテープ面積に対する薄膜の剥がされた面積の割合を測定し、下記の基準に従って密着性の評価を行った。
A:全く剥離が認められない
B:剥離された面積割合が0.01%以上、0.5%未満であった
C:剥離された面積割合が0.5%以上、10%未満であった
D:剥離された面積割合が10%以上であった
(屈曲耐性)
上記作製した各ガスバリア性フィルムを、300mmφの金属棒に、各構成層面が外側になるように巻き付けた後、5秒後に開放し、この操作を10回繰り返して行った後、上記密着性の評価と同様の方法で評価を行った。
以上により得られた結果を、表2に示す。
Figure 2006068992
表2に記載の結果より明らかなように、本発明で規定する応力緩和層及びガスバリア層が積層され、本発明で規定する第1層、第2層の膜厚である本発明のガスバリア性フィルムは、比較例に対し、水蒸気遮断効果、密着性及び屈曲耐性に優れていることが分かる。その中でも、応力緩和層及びガスバリア層を大気圧プラズマCVD法で形成したガスバリア性フィルムが、特に優れた効果を有していることが分かる。
本発明のガスバリア性フィルムの構成の一例を示す模式図である。 本発明に有用なジェット方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示した概略図である。 本発明に有用な対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の一例を示す概略図である。 導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体を有するロール回転電極の一例を示す斜視図である。 角筒型電極の導電性の金属質母材とその上に被覆されている誘電体の構造の一例を示す斜視図である。 本発明に有用な対向電極間で基材を処理する方式の大気圧プラズマ放電処理装置の他の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 ガスバリア性フィルム
F 基材
P−1、P−2、P−3 応力緩和層
G−1、G−2 ガスバリア層
C−1、C−2、C−3、C−4、C−5 応力緩和層の境界領域
10 プラズマ放電処理装置
11 第1電極
12 第2電極
20 電界印加手段
21 第1電源
22 第2電源
30 プラズマ放電処理室
25、35 ロール電極
36 電極
41、42 電源
51 ガス供給装置
55 電極冷却ユニット
FF 元巻き基材

Claims (9)

  1. 平均表面粗さSRaが1〜50nmの基材上に、少なくとも1層の金属、または炭素含有率が1%未満の無機化合物を含有するガスバリア層と、少なくとも1層の炭素含有率が5%以上の無機化合物、有機ポリマーまたは無機ポリマーを含有する応力緩和層とを有し、該基材に接する第1層の平均膜厚が、該基材の平均表面粗さSRaより小さいことを特徴とするガスバリア性フィルム。
  2. 前記ガスバリア層及び応力緩和層が、それぞれ2層以上積層されていることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  3. 前記ガスバリア層及び応力緩和層が、それぞれ6層以上積層されていることを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  4. 前記基材の表面に近い側に位置する第1層及び第2層の平均膜厚d1、d2の総和が、基材の平均表面粗さSRaより小さいことを特徴とする請求項2または3に記載のガスバリア性フィルム。
  5. 前記ガスバリア層及び応力緩和層が、それぞれ交互に積層されていることを特徴とする請求項1〜4の少なくとも1項に記載のガスバリア性フィルム。
  6. 前記ガスバリア層が含有する炭素含有率が1%未満の無機化合物が、SiOx、SiNyまたはSiOxNy(x=1〜2、y=0.1〜1)であり、かつ応力緩和層が含有する炭素含有率が5%以上の無機化合物が、SiOxCz、SiNyCzまたはSiOxNyCz(x=1〜2、y=0.1〜1、z=0.1〜2)であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  7. 前記ガスバリア層の光線透過率Tが、80%以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  8. 前記ガスバリア層または前記応力緩和層の少なくとも1層が、大気圧または大気圧近傍の圧力下において実施される大気圧プラズマCVD法で形成されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
  9. 前記ガスバリア層及び前記応力緩和層の全ての層が、大気圧または大気圧近傍の圧力下において実施される大気圧プラズマCVD法で形成されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のガスバリア性フィルム。
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