JP2004103292A - 複層フィルム - Google Patents

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Narikazu Hashimoto
橋本 斉和
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Abstract

【課題】液晶表示素子やEL素子等のプラスチック基板として用いることができ、配向膜を付与する操作を行っても、導電性やガスバリア性が低下しないフィルムを提供する。
【解決手段】基材プラスチックフィルム上に無機ガスバリア層及び有機ガスバリア層の少なくともいずれかのガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上の最外層として透明導電層が設けられており、熱処理した後の透明導電層の表面電気抵抗の変化率が20%以下、75℃30分熱処理した後の水蒸気透過度の変化率が20%以下、あるいは175℃30分熱処理した後の酸素透過度の変化率が20%以下の複層フィルム。
【選択図】          なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示素子、EL素子等のプラスチック基板として用いられ、良好な配向膜付与特性を有するプラスチックフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液晶表示素子等のフラットパネルディスプレイ分野において、耐破損性の向上、軽量化、薄型化の要望から、基板をガラスからプラスチックに変えることが検討されている。この基板には導電性を必要とするため、プラスチックフィルム上に、酸化インジウム、酸化錫、或いは錫−インジウム合金の酸化物等の半導体膜、金、銀、パラジウム合金の酸化膜等の金属膜、該半導体膜と該金属膜とを組み合わせて形成された膜を透明導電層として設けた透明導電性基板を液晶表示素子の電極基板として用いることが検討されている。またプラスチックフィルムを通過し表示素子内に拡散した酸素や水蒸気が画像の劣化をもたらすため、プラスチックフィルムには高いガスバリア性が要求されている。
【0003】
このような透明導電層が設けられた複層プラスチックフィルムは、例えば、下記特許文献1、特許文献2、特許文献3等の各公報に記載されている。しかし、これらのものに配向膜を付けようとすると導電性、ガスバリア性が大きく低下し改善が望まれていた。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−227603号公報(特許請求の範囲及び段落番号0001)
【特許文献2】
特開2000−284717号公報(特許請求の範囲及び段落番号0001)
【特許文献3】
特開2001−150584号公報(特許請求の範囲及び段落番号0001)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、液晶表示素子やEL素子等のプラスチック基板として用いることができ、配向膜を付与する操作を行っても、導電性やガスバリア性が低下しないフィルムを提供することにある。
本発明の他の目的は、上記フィルムを基板に用いた液晶表示素子及びEL素子を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記構成の複層フィルム、液晶表示素子及びEL素子が提供され、本発明の上記目的が達成される。さらには、該複層フィルムを用いた円偏光板、タッチパネルが提供される。
1.基材プラスチックフィルム上に無機ガスバリア層及び有機ガスバリア層の少なくともいずれかのガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上の最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
透明導電層の25℃60%RHで測定した表面電気抵抗が1Ω/□以上500Ω/□以下であり、かつ175℃30分熱処理した後の透明導電層の表面電気抵抗の変化率が20%以下であることを特徴とする複層フィルム。
2.200℃30分熱処理した後の表面電気抵抗の変化率が20%以下であることを特徴とする上記1に記載の複層フィルム。
3.基材プラスチックフィルム上に無機ガスバリア層及び有機ガスバリア層の少なくともいずれかのガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上の最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
40℃90%RHで測定した水蒸気透過度が0.01g/m・日以上5g/m・日以下であり、かつ175℃30分熱処理した後の水蒸気透過度の変化率が20%以下であることを特徴とする複層フィルム。
4.200℃30分熱処理した後の水蒸気透過度の変化率が20%以下であることを特徴とする上記3に記載の複層フィルム。
5.基材プラスチックフィルム上に無機ガスバリア層及び有機ガスバリア層の少なくともいずれかのガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上の最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
40℃90%RHで測定した酸素透過度が0.01cc/m・日以上1cc/m・日以下であり、かつ175℃30分熱処理した後の酸素透過度の変化率が20%以下であることを特徴とする複層フィルム。
6.200℃30分熱処理した後の酸素透過度の変化率が20%以下であることを特徴とする上記5に記載の複層フィルム。
7.透明導電層が形成される前に、透明導電層が形成される面に水との接触角を3度以上下げる表面処理が施されていることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の複層フィルム。
8.透明導電層が形成される前にまたは透明導電層を形成するための操作中に、基材プラスチックフィルムが50℃以上200℃以下の温度で加熱処理されることを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載の複層フィルム。
9.基材プラスチックフィルム上に無機ガスバリア層及び有機ガスバリア層の少なくともいずれかのガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上の最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
透明導電層が形成される前に、透明導電層が形成される面に水との接触角を3度以上下げる表面処理が施されていること、かつ透明導電層を形成するための操作中に、基材プラスチックフィルムが50℃以上200℃以下の温度で加熱処理されていることを特徴とする複層フィルム。
10.透明導電層及びガスバリア層に隣接して基材側に、破断伸度が3%以上50%以下の緩衝層が設けられていることを特徴とする上記1〜9のいずれかに記載の複層フィルム。
11.緩衝層の含水率が6質量%以下であることを特徴とする上記10に記載の複層フィルム。
12.基材プラスチックフィルム上に無機ガスバリア層及び有機ガスバリア層の少なくともいずれかのガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上の最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
透明導電層及びガスバリア層に隣接して基材側に、破断伸度が3%以上50%以下の緩衝層が設けられていることを特徴とする複層フィルム。
13.緩衝層の含水率が6質量%以下であることを特徴とする上記12に記載の複層フィルム。
14.透明導電層が形成される前にまたは透明導電層を形成するための操作中に、基材プラスチックフィルムが50℃以上200℃以下の温度で加熱処理されることを特徴とする上記12または13に記載の複層フィルム。
15.基材プラスチックフィルムのガラス転移温度(Tg)が160℃以上であることを特徴とする上記1〜14のいずれかに記載の複層フィルム。
16.上記1〜15に記載の複層フィルムを用いた液晶表示素子。
17.上記1〜15に記載の複層フィルムを用いた有機EL素子。
18.上記1〜15に記載の複層フィルムを用いた円偏光板。
19.上記1〜15に記載の複層フィルムを用いたタッチパネル。
【0007】
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、従来の問題点が、透明導電層、ガスバリア層と基材に用いたプラスチックフィルムの熱膨張係数の差に起因することを明らかにした。
即ち、透明導電層には酸化インジウム、酸化錫、或いは錫−インジウム合金の酸化物等の半導体膜、金、銀、パラジウム合金の酸化膜等の金属膜、該半導体膜と該金属膜とを組み合わせて形成された膜が用いられるが、これらの熱膨張係数は3×10−6/℃〜10×10−6/℃であり、プラスチックフィルムの熱膨張係数(4×10−5/℃〜10×10−5/℃)に比べ約1/10である。一方、導電層の上に液晶素子を配向させるための配向膜(例えばポリイミドから成る配向膜)は塗布液の塗布・乾燥により形成されるが、乾燥時になるべく高温にするほどその膜の強度を高めることができ望ましい。しかし、175℃以上の温度では両者の線膨張係数に起因する寸法歪により、導電膜が破断し、導電性が低下することが解った。即ち基材プラスチックフィルム(以下、「基材フィルム」とも称する)は熱膨張で伸びようとするのに対し、導電層の伸びは小さいため、これに引っ張られ破断する。このような故障は、さらに高温の200℃において顕著であった。
【0008】
ガスバリア層についても同様である。5g/m・日以下の小さな水蒸気透過度、1cc/m・日以下のような小さな酸素透過度を実現するには、プラスチックフィルム単独(ポリビニルアルコールやポリビニルアルコールとエチレンの共重合体等)では達成できず、通常、珪素、アルミニウム、亜鉛、ジルコニウム等の金属の酸化膜や窒化膜等からなる無機ガスバリア層、あるいは無機微粒子(珪素、アルミニウム、亜鉛、ジルコニウム等の金属の酸化物や窒化物、ゾルゲル反応物の微粒子、雲母、クレー、タルク等の鉱物の微粒子等)を分散したプラスチック膜からなる有機ガスバリア層が積層されるが、特にバリア性及び耐熱性に優れる無機ガスバリア層は熱膨張係数は3×10−6/℃〜20×10−6/℃であり、プラスチックフィルムの熱膨張係数(4×10−5/℃〜10×10−5/℃)に比べ約1/10である。この結果、配向膜形成のための加熱の際に、無機ガスバリヤア層が破断し、ガスバリア性が低下することが解った。
【0009】
導電性、ガスバリア性の低下の原因となる導電層、無機ガスバリア層の破断を防止する手法として、本発明者は以下の3つの方法を見出し、本発明で用いられる。これらの方法は、単独で使用してもよいが、組み合わせて使用することが好ましい。特に好ましいのが下記(1)と(2)の方法の組合せである。
(1)透明導電層、無機ガスバリア層を形成する前に、各々の層が形成される面に表面処理を行い、該表面の水との接触角を3度以上下げる方法。
この方法により、下層と導電層及び無機ガスバリア層と各層の下層との密着を上げることができる。密着が悪いほうが、これらの層間の寸法歪を密着が剥がれることで解消するように通常思われるが、予想外に実際にはこの反対であり密着を上げることで、これらの層の破断を抑制することができる。これは、密着が低下し、局部的に密着が剥がれたところが発生すると、そこに応力集中点が発生し、これらの層が破断し易くなるためと発明者は推定している。
【0010】
透明導電層及び無機ガスバリア層は、無機性の素材であり、極性が大きいため、これらの層と密着を出すためには、これらの層を形成する面(すなわち、これらの層の基材フィルムに近い隣接した層の表面、以下、下層表面ともいう)について表面処理を行い、極性を上げることが有効である。さらにこれらの表面処理は、表面に凹凸を付与する効果も有し、接触面積が増えることで密着性を上げる効果も有する。
なお、本明細書で、下層とは基材フィルムに近い隣接した層を指す。
このような表面処理による下層表面の極性増加の効果を検出する方法として、接触角を用いる方法が有効である。表面処理前の下層表面と水の接触角を基準にして、表面処理後の下層表面と水の接触角が3度以上、より好ましくは5度以上、さらに好ましくは10度以上低下するように表面処理するのが好ましい。
【0011】
上記表面処理方法としては、コロナ処理、プラズマ処理が好ましく挙げられるが、より好ましくはプラズマ処理である。これは、導電層及び無機ガスバリア層は真空中でスパッタあるいは蒸着法により形成することができるが、プラズマ処理も真空中で行われるので、これらの層の形成の前に連続した製造ライン上で処理できる利点を有するためである。
プラズマ処理に使用する放電周波数は、直流から数1000MHz、好ましくは50Hz以上20MHz以下、さらに好ましくは50Hz以上1MHz以下である。放電処理強度は、0.1以上20kW以下が好ましく、より好ましくは0.5以上15kW以下、さらに好ましくは1以上12kW以下である。プラズマ処理時の真空度は、0.01mTorr以上2Torr以下(1.33×10−3Pa以上2.66×10Pa以下)が好ましく、より好ましくは0.05mTorr以上500mTorr以下(6.65×10−3Pa以上6.65×10Pa以下)である。好ましい処理時間は、0.1秒以上20分以下であり、より好ましくは0.5秒以上10分以下、さらに好ましくは1秒以上5分以下である。
【0012】
コロナ放電処理は、放電周波数は50Hz以上5000kHz以下、好ましくは5kHz以上数100kHz以下が適当である。好ましい出力は、0.001KV・A・分/m以上5KV・A・分/m以下、好ましくは0.01KV・A・分/m以上1KV・A・分/m以下である。電極と基材フィルムとのギャップクリアランスは0.5以上2.5mm以下、好ましくは1.0以上2.0mm以下である。
【0013】
透明導電層や無機ガスバリア層の下層となり、表面処理の対象となる層としては、基材フィルム、緩衝層などが挙げられる。これらの層については、後に詳しく説明される。
【0014】
(2)基材フィルム上に透明導電層、無機ガスバリア層を形成する前または形成する操作中に、該基材フィルムを50℃以上200℃以下の温度で加熱処理する方法。
基材フィルム中には、一般に0.01%〜5%の水を吸着している。透明導電層または無機ガスバリア層を蒸着、スパッタ等の真空法で該フィルム上に設けようとした場合、これらの水分が、スパッタ、蒸着時の衝撃で真空中に放出され、これが透明導電層または無機ガスバリア層に取り込まれるため、これらの層の密度が低下し、かつ隙間の多い脆い層になり、破断しやすい層となり易い。
これを防止するため、これらの蒸着またはスパッタの前に、基材フィルムを50℃以上200℃以下、より好ましくは70℃以上180℃以下、さらに好ましくは90℃以上160℃以下、1秒以上20分以下、より好ましくは3秒以上15分以下、さらに好ましくは5秒以上10分以下加熱するのが好ましい(前加熱)。上記加熱処理は0.005以上20Torr以下(6.65×10Pa以上2.66×10Pa以下)、より好ましくは0.02以上5Torr以下(2.66Pa以上6.65×10Pa以下)の真空下で行うことが好ましい。これらの加熱処理を行った後、連続して蒸着またはスパッタを真空中で実施することができ、好ましい方法である。
【0015】
さらに、基材フィルム上に透明導電層または無機ガスバリア層を形成するための蒸着またはスパッタを行っている際に、基材フィルムを50℃以上200℃以下、より好ましくは70℃以上180℃以下、さらに好ましくは90℃以上160℃以下の温度で、1秒以上20分以下、より好ましくは3秒以上15分以下、さらに好ましくは5秒以上10分以下加熱することが好ましい。この加熱により、上述と同様の脱水効果を層の形成と共に得ることができる。
このときの加熱処理は、透明導電層の形成が無機ガスバリア層の形成より先に行われるのであれば、透明導電層の形成のときに行えば十分である。反対に、無機ガスバリア層の形成が先に行われるのであれば、無機ガスバリア層の形成のときに行えば十分である。
【0016】
いずれの場合でも、これらの加熱処理は、赤外線ヒータによる加熱、熱ロールに接触させることによる加熱等がある。例えばフィルム面を115℃に加熱したい場合、115℃の熱ロールにフィルムを高々1秒間接触するだけで十分である。加熱方法は上記の方法に限らず、広く公知の加熱方法を利用することができる。
【0017】
(3)導電層及びガスバリア層の下層として、破断伸度が3%以上50%以下の緩衝層を設ける方法。
導電層及びガスバリア層の下層として、即ち導電層及びガスバリア層と基材フィルムの間に破断伸度が大きな層を設ける。即ち、破断伸度が10%以上50%以下、より好ましくは12%以上45%以下、さらに好ましくは15%以上40%以下の層(緩衝層:B)を設ける。これにより、導電層及びガスバリア層と基材フィルムの間の熱膨張の差に起因する寸法歪を緩和する効果を有する。
さらに、緩衝層を構成するポリマーとしては、含水率(25℃の水に浸漬した時の飽和含水率)が6質量%以下のポリマーを用いることが好ましい。含水率が6質量%を超えて大きいと、脱水、吸水に伴う寸法変化が大きく、これより導電層及びバリア層が破断しやすくなる。
破断伸度が10%以上50%以下で含水率が6質量%以下のポリマーとして、具体的に以下のポリマーが挙げられる(括弧内の前半は破断伸度(%)を示し、後半は含水率(質量%)を示す)。
即ち、ポリ酢酸ビニル(20/3)、トリアセチルセルロース(40/4)、ポリスチレン(15/0.1)、スチレンと無水マレイン酸の共重合体またはその半エステル(20〜40/0.1〜0.6)、ポリアクリル酸(10/1.5)、ポリアクリル酸エステル(15/1.0)、ポリメタクリル酸(10/1.4)、ポリメタクリル酸エステル(15/0.9)、アクリルニトリル(50/0.8)、塩化ビニリデン(25/0.1)等が挙げられる。
【0018】
緩衝層の厚みは、0.1μm以上30μm以下が好ましく、より好ましくは0.3μm以上20μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上10μm以下である。厚みが0.1μm未満では緩衝効果が得られない。また、30μmを超えると、破断伸度が比較的小さい場合に、裁断したときに切り屑を発生し易く、成形加工性が悪化する。
緩衝層は、SiO、TiO、Al等の無機微粒子またはポリメチルメタクリレート共重合体微粒子等の有機微粒子を含有することができる。緩衝層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、或いは米国特許第2,681,294号明細書に記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法等により塗布、乾燥して形成することができる。
【0019】
これらの手法により、25℃60%RHで測定した表面電気抵抗が1Ω/□以上500Ω/□以下であり、かつ175℃30分熱処理した後の表面電気抵抗の変化率が20%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下の複層フィルムが得られる。
また、40℃90%RHで測定した水蒸気透過度が0.01g/m・日以上5g/m・日以下であり、かつ175℃30分熱処理した後の水蒸気透過度の変化率が20%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下の複層フィルムが得られる。
また、40℃90%RHで測定した酸素透過度が0.01cc/m・日以上1cc/m・日以下であり、これを175℃30分熱処理した後の酸素透過度の変化率が20%以下、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下複層フィルムが得られる。
この結果、本発明の複層フィルムを、配向膜を付与しても導電性及びガスバリア性が低下しないプラスチック基板に供することができる。
以下に工程手順に従って、詳細な説明を加える。
【0020】
〔基材フィルム:S〕
基材フィルムのガラス転移温度(Tg)は、160℃以上が好ましく、より好ましくは180℃以上300℃以下、さらに好ましくは190℃以上250℃以下である。このような基材フィルムの素材として、以下のポリマーが挙げられる(括弧内の温度はTgを示す)。
即ち、ポリアリレート(PAr:210℃)、ポリエーテルスルホン(PES:220℃)、ポリスルホン(PSF:190℃)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584の実施例1の化合物:162℃、変性ポリカーボネート樹脂(MPC:特開2000−227603の実施例4の化合物:225℃)、アクリロイル化合物(特開2002−80616の実施例−1の化合物:300℃以上)が挙げられる。
これらの中で、好ましいものが、PAr、PES、MPCであり、特に好ましいものが、MPCである。MPCとしては、例えば2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、下記式[I]で表わされるビスフェノールをビスフェノール成分とするポリカーボネート樹脂が挙げられる。
【0021】
【化1】
Figure 2004103292
【0022】
ここで、R、R、RおよびRは、同一または異なり、水素原子あるいはメチル基であり、Xは炭素数5〜10のシクロアルキレン基、炭素数7〜15のアラアルキレン基、炭素数1〜5のハロアルキレン基である。
Xの具体例としては、シクロアルキレン基として1,1−シクロペンチレン、1,1−シクロヘキシレン、1,1−(3,3,5−トリメチル)シクロヘキシレン、ノルボルナン−2,2−ジイル、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8、8’−ジイルが挙げられ、特に1,1−シクロヘキシレン、1,1−(3,3,5−トリメチル)シクロヘキシレンが好適である。また、アラアルキレン基としては、フェニルメチレン、ジフェニルメチレン、1,1−(1−フェニル)エチレン、9,9−フルオレニレンが挙げられる。またハロアルキレン基としては、2,2−ヘキサフルオロプロピレン、2,2−(1,1,3,3−テトラフルオロ−1,3−ジシクロ)プロピレン等が好適に挙げられる。これらのビスフェノール成分は一種でもよいし二種以上併用してもよい。なかでも、耐熱性と液晶表示素子に要求される光学特性の観点から、1,1−(3,3,5−トリメチル)シクロヘキシレンまたは9,9−フルオレニレンが好ましい。
これらのビスフェノール成分は2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0023】
上記のポリカーボネート樹脂は、共重合体であってもよく、2種類以上併用して用いてもよい。このようなポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノール成分が(i)ビスフェノールAであるホモポリマー及び(ii)ビスフェノールAと、上記式[I]においてXが1,1−(3,3,5−トリメチル)シクロヘキシレンまたは9,9−フルオレニレンであるビスフェノールとからなる共重合体が好ましい。上記共重合体の組成は、好ましくはビスフェノールAが10〜90モル%である。
【0024】
基材フィルムの厚みは、40μm以上400μm以下が好ましく、より好ましくは60μm以上300μm以下、さらに好ましくは80μm以上200μm以下である。基材フィルムの全光透過率は、80%以上が好ましく、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは88%以上である。ヘーズは3%以下が好ましく、より好ましくは2%以下、さらに好ましくは1%以下である。リターデーション値は30nm以下が好ましく、より好ましくは20nm以下である。遅相軸のバラツキは±30度以内が好ましく、より好ましくは±15度以内、さらに好ましくは±8度以内である。
このような基材フィルムは、溶液製膜法及び溶融製膜法のいずれの方法で製造されてもよいが、より好ましくは平面性に優れる溶液流延法である。
【0025】
〔ガスバリア層(X)〕
上記基材フィルムの少なくとも一方の面に有機または無機のガスバリア層(X)を少なくとも一層を積層することが好ましい。
(1)有機ガスバリア層(Xo)
有機ガスバリア層を構成するポリマーとしては、例えばポリビニルアルコール、ビニルアルコール−エチレン共重合体等のビニルアルコール系高分子、ポリアクリロニトリル、アクリロニトリル−アクリル酸メチル共重合体やアクリロニトリル−スチレン共重合体などのアクリロニトリル系高分子、あるいはポリ塩化ビニリデンなどのポリマーが挙げられる。
【0026】
さらにこれらの中に無機化合物を添加することがより好ましい。無機化合物としては、球状、棒状、層状の無機粒子が挙げられ、好ましくは層状の無機粒子である。具体的にはベントナイト、ヘクトライト、サポナイト、ビーデライト、ノントロナイト、スチブンサイト、バイデライト、モンモリナイト等の膨潤性粘度鉱物類、膨潤性合成雲母、膨潤性合成スメクタイトなどが挙げられる。これらの無機粒子のサイズとしては1〜20μmが好ましく、アスペクト比(平面の円相当径と厚みの比)は100以上が好ましい。
さらに無機化合物として、エポキシ基及びアルコキシシリル基を有するエポキシ基含有珪素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、またはこれらの混合物を用いることができ、該エポキシ基含有珪素化合物として、例えば下記式[II]で表される化合物を挙げることができる。
X−R11−Si(R12(OR133−n         [II]
ここで、R11は炭素数1〜4のアルキレン基、R12及びR13は炭素数1〜4のアルキル基、Xはグリシドキシ基またはエポキシシクロヘキシル基であり、nは0または1の数である。
特に好ましいエポキシ基含有珪素化合物としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランである。これらの化合物は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0027】
さらに無機化合物として、アミノ基及びアルコキシシリル基を有するアミノ基含有珪素化合物、その(部分)加水分解物、その(部分)縮合物、またはこれらの混合物を用いることができる。アミノ基含有珪素化合物として、例えば下記式[III]で表される化合物を挙げることができる。
Y−HN−R14−Si(R15(OR163−m        [III]
ここで、R14は炭素数1〜4のアルキレン基、R15及びR16は同一または異なって炭素数1〜4のアルキル基、Yは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアミノアルキル基であり、mは0または1の数である。
この中で特に好ましいアミノ基含有珪素化合物は、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−メチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランである。これらの化合物は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、エポキシ基含有珪素化合物とアミノ基含有珪素化合物は組み合わせて用いることができる。
【0028】
本発明におけるエポキシ基含有珪素化合物またはアミノ基含有珪素化合物の(部分)加水分解物及びその(部分)縮合物は、上述のエポキシ基含有珪素化合物またはアミノ基含有珪素化合物の一部または全部が加水分解したもの、該加水分解物の一部または全部が縮合反応した縮合物、該縮合物と加水分解していないエポキシ基含有珪素化合物またはアミノ基含有珪素化合物とが縮合したものを含み、これらはいわゆるゾルゲル反応させることにより得られる。ここで加水分解物は、例えば塩酸等の無機酸、酢酸等の有機酸などの酸性水溶液または水と混合した後、100℃から200℃に」加熱することにより得られる。
なお、エポキシ基含有珪素化合物とアミノ基含有珪素化合物を組み合わせる場合、その混合比率は、エポキシ基量(モル)Epとアミノ基量(モル)Apとの比率で1/6<Ep/Ap<6/1の範囲内が好ましい。
【0029】
これらの無機粒子、ゾルゲル成分の有機ガスバリア層への添加率は、有機ガスバリア層の全質量に対して5質量%以上70質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以上50質量%以下である。
この層の厚みは0.5μm以上30μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以上20μm以下である。
【0030】
以上説明した有機ガスバリア層は基材フィルムや緩衝層と密着性が良いので、有機ガスバリア層の下層について、表面処理は通常行われない。
【0031】
(2)無機ガスバリア層(Xi)
無機ガスバリア層としては、例えば珪素、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、ジルコニウム、チタン、イットリウム、及びタンタルから選ばれる少なくとも1種の金属を主成分とする金属酸化物;珪素、アルミニウム、及びホウ素から選ばれる少なくとも1種の金属を主成分とする金属窒化物;及びこれらの混合物を挙げることができる。
この中でも、ガスバリア性、透明性、表面平滑性、屈曲性、膜応力、コスト等の点から、珪素原子数に対する酸素原子数の割合が1.5〜2.0の珪素酸化物を主成分とする金属酸化物が良好である。
【0032】
無機ガスバリア層は、例えばスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法により作製することができる。なかでも、特に優れたガスバリア性が得られるという観点から、スパッタ法が好ましい。
このようなスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法の好ましい真空度は、0.01mTorr以上50mTorr以下(1.33×10−3Pa以上6.65Pa以下)、より好ましくは0.05mTorr以上10mTorr以下(6.65×10−3Pa以上1.33Pa以下)である。
【0033】
上述のように、このような無機バリア層を形成する前に、あるいは形成する操作中に、下記の処理(1)〜(3)の少なくともいずれかを行うことが好ましい。その詳細については、既に述べた。
(1)無機バリア層を設ける前に、無機バリア層の下層(例えば基材フィルム)の表面に表面処理を施す。
(2)無機バリア層を形成する前に、基材フィルムを50℃以上200℃以下の温度で加熱処理する。
(3)無機ガスバリア層を形成する操作中に、基材フィルムを50℃以上200℃以下の温度で加熱処理する。
【0034】
無機ガスバリア層の膜厚は10nm〜300nmが好ましく、より好ましくは30nm以上200nm以下が好ましい。
【0035】
有機ガスバリア層あるいは無機ガスバリア層のバリヤー性は、40℃90%RHで測定した水蒸気透過度が0.01g/m・日以上5g/m・日以下が好ましく、より好ましくは0.03g/m・日以上3g/m・日以下、さらに好ましくは0.05g/m・日以上2g/m・日以下である。
40℃90%RHで測定した酸素透過度は、0.01cc/m・日以上1cc/m・日以下であり、より好ましくは0.01cc/m・日以上0.7cc/m・日以下であり、さらに好ましくは0.01cc/m・日以上0.5cc/m・日以下である。
【0036】
〔透明導電層(E)〕
透明導電層(E)としては、公知の金属膜、金属酸化物膜等が適用できるが、中でも、透明性、導電性、機械的特性の点から、金属酸化物膜が好ましい。例えば、不純物としてスズ、テルル、カドミウム、モリブテン、タングステン、フッ素、亜鉛、ゲルマニウム等を添加した酸化インジウム、酸化カドミウム及び酸化スズ、不純物としてアルミニウムを添加した酸化亜鉛、酸化チタン等の金属酸化物膜が挙げられる。中でも酸化スズから主としてなり、酸化亜鉛を2〜15質量%含有した酸化インジウムの薄膜が、透明性、導電性が優れており、好ましく用いられる。
透明導電層は、例えばスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積法により作製することができる。なかでも、特に優れた導電性・透明性が得られるという観点から、スパッタリング法が好ましい。
このようなスパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法の好ましい真空度は、0.01mTorr以上50mTorr以下(1.33×10−3Pa以上6.65Pa以下)、より好ましくは0.05mTorr以上10mTorr以下(6.65×10−3Pa以上1.33Pa以下)である。
【0037】
上述のように、このような透明導電層を形成する前にあるいは形成する操作中に、下記の処理(1)〜(3)の少なくともいずれかを行うことが好ましい。その詳細については既に述べた。
(1)透明導電層を形成する前に、透明導電層の下層(例えば緩衝層)の表面に表面処理を施す。
(2)透明導電層を形成する前に基材フィルムを50℃以上200℃以下の温度で加熱処理する。
(3)透明導電層を形成する操作中に、基材フィルムを50℃以上200℃以下の温度で加熱処理する。
【0038】
透明導電層の膜厚は、20nm〜500nmが好ましく、より好ましくは50nm以上300nm以下が好ましい。
【0039】
透明導電層の25℃60%RHで測定した表面電気抵抗は1Ω/□以上500Ω/□以下が好ましく、より好ましくは2Ω/□以上200Ω/□以下であり、さらに好ましくは3Ω/□以上60Ω/□以下である。
さらに、透明導電層の全光透過率は80%以上が好ましく、より好ましくは83%以上、さらに好ましくは85%以上である。
【0040】
〔保護層(D)〕
ガスバリア層及び導電層の割れの防止、基材フィルムの耐溶剤性を得るために保護層(D)を設けることが好ましい。保護層を形成する材料としては、一般に、保護コート剤、ハードコート剤として用いられるものであれば特に限定されない。たとえば、アクリル系、メラミン系、アルキッド系、ウレタン系などの紫外線硬化型あるいは熱硬化型のハードコート剤、脂環式構造含有重合体などの樹脂が挙げられる。中でも、透明性および耐熱性に優れ、しかも隣接する層との密着性の観点からは、好ましくはアクリル系ハードコート剤、シリコン系ハードコート剤、より好ましくは硬化型アクリル系ハードコート剤、さらに好ましくは紫外線硬化型アクリル系ハードコート剤、特に好ましくは多官能のアクリル系紫外線硬化型ハードコート剤である。
【0041】
上記紫外線型アクリル系ハードコート剤は、反応性モノマー及び/又は反応性オリゴマーと、光重合開始剤とを含有する。反応性モノマーとしては、例えば、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、その他の高級アルキルアクリレート等の単官能アクリレートモノマー;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、テトラメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、ペンタエリストール等のポリオール類に2個以上のアクリレートが結合した多官能性アクリレートモノマー等を挙げることができる。中でも、1〜6官能性アクリレートが好ましく、より好ましくは2,3官能性アクリレート、さらに好ましくは脂環式構造を含有する2,3官能性アクリレートである。
反応性オリゴマーとしては、たとえば、末端にアクロイル基を持つポリエステルアクリレート、分子鎖中にエポキシ基を、かつ末端にアクリロイル基を持つエポキシアクリレートまたはポリウレタンアクリレート、分子鎖中に二重結合を持つ不飽和ポリエステル、1,2−ポリブタジン等を挙げることができる。
【0042】
上記光重合開始剤としては、たとえば、2,2−ジメトキシ−2フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2フェニルアセトフェノン、塩素化アセトフェノン等のアセトフェノン類;ベンゾフェノン類;ベンジル、メチルオルソベンゾイルベンゾエート、ベンゾイルアルキルエーテル等のベンゾインエーテル類;α,α’−アゾイソブチルニトリル、2,2’−アゾビスプロパン、ヒドラゾン等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリーブチルパーオキサイド等の有機パーオキサイド類;ジフェニルサルファイド、ジベンゾイルサルファイト等のジフェニルジサルファイド類を挙げることができる。更にシランカップリング剤を含むのが好ましい。
【0043】
このような保護層に密着改良のためにシランカップリング剤を配合することがより好ましい。シランカップリング剤としては、けい素原子に直接に、または酸素原子もしくは−OCO−基を介して結合した炭化水素基を有し、これらの炭化水素基の少なくとも一つは二重結合,ハロゲン原子,エポキシ基,酸無水物基,アルコキシカルボニル基,アミノ基,アクロイル基,メタクリロイル基,アクリルアミノ基,メタクリルアミノ基またはハロアシルアミノ基を有するものが挙げられる。このうち特にエポキシ基やアミノ基を有する化合物が好ましい。前記樹脂とシランカップリング剤との混合比は、樹脂100質量部に対して、シランカプリング剤0.1〜10質量部であり、好ましくはシランカプリング剤1〜5質量部である。
【0044】
保護層(D)を積層する方法としては、グラビアコーティング,リバースコーティング,キスコーティング,スピンコーティング,ワイヤーバーコーティング,ロールコーティング,ナイフコーティングなどが挙げられるが、特に限定されるものではない。保護層の塗布・乾燥後には、高圧水銀灯等の紫外線を発生する光源から紫外線を照射することにより、硬化が短時間で起こり、保護層(D)が形成される。
保護層(D)の厚みは、好ましくは0.01〜10μmであり、0.1〜4μmがより好ましい。
保護層(D)には、適宜、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤などを配合してよい。このような添加剤を添加する場合、その添加量は、アクリル系樹脂の10質量%以内である。
形成される保護コート層(D)は、最終的に得られる層の必要機能が得られていれば、2重積層や多重積層でもよく、異種類のシランカップリング剤を添加した異種類のアクリル系樹脂を積層してもよい。
【0045】
〔複層フィルムの層構成〕
上述の、基材フィルム(S)、透明導電層(E)、無機ガスバリア層(Xi)、有機ガスバリア層(Xo)、緩衝層(B)、保護層(D)を積層して構成される本発明の複層フィルムの層構成例を以下に示す。この中で、//で示したところで表面処理が行われている。
透明導電層は最外層にあれば、無機ガスバリア層(Xi)、有機ガスバリア層(Xo)、および保護層(D)と基材フィルム(S)に対して同じ側にあってもよいし、反対側にあってもよい。
(1)D/Xo/Xi//B/S/D/B//E
(2)S/B//Xi/Xo/D/B//E
(3)D/Xo/Xi//B/S/B//E
(4)Xo/Xi//B/D/S/D/B//E
(5)Xo/Xi//B/D/S/B//E
(6)S/D/B//Xi/Xo/B//E
(7)Xo/D/Xi//B/S/D/B//E
(8)Xo/D/Xi//B/S/B//E
(9)D/Xi//B/Xo/S/D/B//E
(10)D/Xi//B/Xo/S/B//E
(11)S/B//Xi/B/D//E
(12)Xo/Xi//B/S/D/B//E
(13)Xo/Xi//B/S/B//E
(14)Xi//B/Xo/S/D/B//E
(15)Xi//B/Xo/S/B//E
(16)D/Xi//B/S/D/B//E
(17)S/B/Xi/D/B//E
(18)D/Xi//B/S/B//E
(19)Xi//B/D/S/D/B//E
(20)Xi//B/D/S/B//E
(21)D/Xo/S/D/B//E
(22)S/Xo/D/B//E
(23)D/Xo/S/B//E
(24)Xo/D/S/D/B//E
(25)S/Xo/D/B//E
(26)Xo/D/S/B//E
【0046】
〔測定法〕
本発明において規定する各種物性値は下記の方法で測定される。
(1)表面電気抵抗
・初期表面電気抵抗:25℃60%RHに3時間以上調湿後、KEITHLEY製の8009  RESISTIVITY  TEST  FIXTUREとKEITHLEY製の6517A型とを用いて初期抵抗(R0)を測定した。
・熱処理後の表面電気抵抗:このサンプルを空気恒温槽を用い無張力下で吊るして175℃30分熱処理を行った。これを25℃60%RHに3時間以上調湿後、上と同様にして表面電気抵抗(R175)を測定した。
・表面電気抵抗変化率:(R175)と(R0)の差の絶対値を(R0)で割り、百分率で示したものを表面電気抵抗変化率(%)とした。
・200℃30分熱処理の場合も同様にして表面電気抵抗変化率を測定した。
【0047】
なお、本明細書で透明導電層の表面電気抵抗(Ra)とは、透明導電層そのものの電気抵抗であり、透明導電層を含む複層フィルム全体の電気抵抗(Rb)、および透明導電層のみを除いた複層フィルムの電気抵抗(Rc)を用いて以下のように表される。
1/Ra=1/Rb−1/Rc
すなわち、透明導電層の有る層と無い層のそれぞれの電気抵抗を測定することで求めることができる。
【0048】
(2)水蒸気透過度
・初期水蒸気透過度:MOCON社製、パーマトランW1Aを用いて、40℃、90%RH雰囲気下において24時間測定し水蒸気透過度を測定した。これをW0とした。
・熱処理後の水蒸気透過度:このサンプルを空気恒温槽を用い無張力下で吊るして、175℃30分熱処理を行った。これを25℃60%RHに3時間以上調湿後、上と同様にして水蒸気透過度(W175)を測定した。
・水蒸気透過度の変化率:(W175)と(W0)の差の絶対値を(W0)で割り、百分率で示したものを水蒸気透過度の変化率(%)とした。
・200℃30分熱処理の場合も同様にして水蒸気透過度の変化率を測定した。
【0049】
(3)酸素透過度
・初期酸素透過度:MOCON社製、OX−TRAN 10/50Aを用いて40℃、90%RH雰囲気下において24時間測定し酸素透過度を測定した。これをO0とした。
・熱処理後の酸素透過度:このサンプルを空気恒温槽を用い無張力下で吊るして、175℃30分熱処理を行った。これを25℃60%RHに3時間以上調湿後、上と同様にして酸素透過度(O175)を測定した。
・酸素透過度の変化率:(O175)と(O0)の差の絶対値を(O0)で割り、百分率で示したものを水蒸気透過度の変化率(%)とした。
・200℃30分熱処理の場合も同様にして酸素透過度の変化率を測定した。
【0050】
なお、本明細書で水蒸気透過度または酸素透過度とは、前記〔複層フィルムの層構成〕で示したような複層フィルムについて測定した値であり、その上に機能性材料(例えば、円偏光膜、TN型液晶表示装置)を搭載した複層フィルムについて測定した値ではない。
【0051】
(4)ガラス転移温度(Tg)
・サンプルを20mgサンプルパンに入れ、これを一度300℃まで20℃/分で昇温後、急冷する。これを再び窒素気流中で20℃/分で300℃まで昇温しながら示差熱分析系(DSC)を用いて測定する。ベースラインがTgを挟んで平行移動するが、低温側のベースラインの外挿線と、ベースラインが2本の平行線の間で移動している領域の外挿線の交点をTgとした。
(5)接触角
・25℃60%RHにおいて、サンプル表面に純水をマイクロシリンジを用い1滴下し、2分経過した時の水滴と基材フィルムの成す角を読みとった。
(6)破断伸度
・テフロン基板等の剥離性基材の上にサンプルの塗布液を流延、乾燥し、これを剥ぎ取り20〜40μmのサンプルを作成した。
・これを1cm×20cmに剃刀を用い切り出し、25℃60%RHにおいて、チャック間10cm、引っ張り速度2cm/分で引っ張り、破断したときの引っ張り長(Lcm)から、破断伸度(%)=100×(Lcm/10cm)を求めた。
【0052】
(7)含水率
・ガラス板上に流延製膜したサンプルを1cm×3cmに裁断し、これを3枚作成する。これを25℃10%RHに3時間以上調湿した後、秤量する。
・これを25℃の水中に2時間浸漬した後、引き上げ、両面の水をふき取った後、直ちに下記気化器付きのカールフィッシャー水分計で測定する。
気化器:三菱化学製VA−05型を用い、150℃にてサンプル中の水分揮発させ水分計に導入する。
カールフィッシャー水分計:三菱化学製CA−03型
・下記式に従い含水率を計算する。
水分計の示した水分量(μg)をWとし、秤量したサンプル量をF(mg)とすると、含水率(%)=0.1×(W/F)
【0053】
〔円偏光板、液晶表示素子及びタッチパネルの作成〕
(円偏光板)
本発明の複層フィルムにλ/4板と偏光板を積層し円偏光板を作成することができる。この場合λ/4の遅相軸と偏光板の吸収軸を45度になるように積層する。このような偏光板は長手方向(MD)に対し45度方向に延伸されているものを用いるのがより好ましく、特開2002−865554号公報に記載のものを好ましく用いることができる。
(液晶表示素子)
反射型液晶表示装置に用いる場合は、下から順に、下基板、反射電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなる。本発明の複層フィルムは、透明電極、上基板として使用することができる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を反射電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
透過型液晶表示装置に用いる場合は、下から順に、バックライト、偏光板、λ/4板、下透明電極、下配向膜、液晶層、上配向膜、上透明電極、上基板、λ/4板、そして偏光膜からなる。本発明のプラスチック基板は、上透明電極、上基板として使用することができる。カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を下透明電極と下配向膜との間、または上配向膜と透明電極との間に設けることが好ましい。
液晶セルは特に限定されないが、より好ましくはTN(twisted Nematic )型、STN(Supper Twisted Nematic)型またはHAN(Hybrid Aligned Nematic)型、VA(Verticaly Allignment)型、ECB型(Electricaly Controlled Birefrigence)、OCB型(Optically Compensatory Bend)、CPA型(Continious Pinwheel Alignment)であることが好ましい。
(タッチパネル)
タッチパネルは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号等に記載のものに応用することができる。
【0054】
【実施例】
以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例中、部および%は、特に断らない限り質量基準である。
また、実施例中における(1)表面電気抵抗、(2)水蒸気透過度、(3)酸素透過度、(4)ガラス転移温度(Tg)、(5)接触角、(6)破断伸度、および(7)含水率の測定は、前記の方法にしたがって測定した。
【0055】
なお、後掲の化合物名は以下の略号を用いた。
・BisA/BCF−PC:ビスフェノールAと9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(BCF)をビスフェノール成分とするポリカーボネート共重合体
・BisA/IP−PC:ビスフェノールAと3,3,5−トリメチル−1,1−ジ(4−フェノール)シクロヘキシリデン(IP)をビスフェノール成分とするポリカーボネート共重合体
・PES:ポリエーテルスルホン
・COC:環状オレフィンコポリマー
・ITO:インジウム−スズ酸化物(Indium tin oxide)
【0056】
(実施例1)
(1)基材フィルム(S)
(i)MPC
・MPC−1
BisA/BCF=1/1(モル比)でTgが225℃のポリカーボネート共重合体(BisA/BCF−PC)をメチレンクロライドに20質量%になるように溶解した。得られた溶液をダイコーティング法によりステンレスバンド上に流延した。次いで、乾燥炉で残留溶媒濃度が13質量%になるまで乾燥し、ポリエステルフィルムから剥離した。そして、得られたフィルムを温度120℃の乾燥炉で縦横の張力をバランスさせながら、該フィルム中の残留溶媒濃度が0.08質量%になるまで乾燥させた。
・MPC−2
BisA/IP=2/3(モル比)で、Tgが205℃のポリカーボネート共重合体(BisA/IP−PC)をMPC−1と同様に流延製膜した。
(ii)PES
溶融押し出し法を用いて製膜した未延伸PESフィルム(住友ベークライト製スミライトFS−1300)を用いた。
(iii)COC
溶融押し出し法を用いて製膜したポリノルボルネンフィルム(日本ゼオン製ゼオノアZF16−100)を用いた。
(iv)PC(比較例)
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA;BisA)のみをビスフェノール成分とするポリカーボネートを用い、MPC−1と同様にして製膜した。
これらの支持体は全て塗布面側にコロナ放電処理を施した。
【0057】
(2)緩衝層(B)
下記素材を各々、下記表1の右端に記載の溶剤に20質量%になるように溶かし、バーコーターで表2記載の乾燥膜厚に成るように塗布し、130℃で3分乾燥した。
【0058】
【表1】
Figure 2004103292
【0059】
(3)ガスバリア層(X)
(3−1)有機ガスバリア層
(i)EVOH+シラノール(Xo−1)
エチレンビニルアルコール共重合体(クラレ製「エバール」:EVOH)100部を、水720部、n−プロパノール1080部の混合溶媒に加熱溶解させ、均一溶液を得た。この溶液にレベリング剤(東レダウコーニング社製「SH30PA」を0.1部、酢酸39部加えた後、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(ECHETMOS) 211部を加え10分間撹拌した。更にこの溶液に3−アミノプロピルトリメトキシシラン(APTMOS) 77部を加えて3時間撹拌しコーティング組成物を得た。コーティング組成物の組成は、(EVOH)/[(ECHETMOS)+(APTMOS)]=1/2、(ECHETMOS)/(APTMOS)=2/1とした。このコーティング組成物を、表3の構成で、表2に記載の厚みでバーコーティングし、130℃3分熱処理を行った。
(ii)PVOH+合成雲母(Xo−2)
ポリビニルアルコール(クラレ製「エクセバール」:PVA)100部を、水1000部、に加熱溶解させた。これに合成雲母(コープケミカル(株)製ソマシフ)を20部添加し良く溶解した。このコーティング組成物を、表3の層構成で、表1に記載の厚みでカーテンコーティングし、130℃で3分乾燥した。
【0060】
(3−2)無機ガスバリア層
表2記載の温度、時間で基材フィルムを加熱したあと(前加熱)、5mTorr(6.65×10−1Pa)の減圧下で、出力2500Wで表2記載の時間プラズマ表面処理をした。この後表2記載の温度で加熱しながら(スパッタ加熱)、下記スパッタを行った。
(i)SiO層(Xi−1)
DCマグネトロンスパッタリング法により、SiOをターゲットとしスパッタリングし表2記載の厚みのSiO膜を製膜した。なお、スパッタは5mTorr(6.65×10−1Pa)の真空下で、Ar雰囲気下、出力5kWで行った。
(ii)SiOxNy層(Xi−2)
RFマグネトロンスパッタリング法により、Siをターゲットとし、O、Nを導入しながら、5mTorr(6.65×10−1Pa)の真空下で、出力5kWで、スパッタリングし、表2記載の厚みのSiOxNy膜(x=1、y=1)を製膜した。
【0061】
【表2】
Figure 2004103292
【0062】
(4)透明導電層(E)
表2記載の温度、時間で基材フィルムを加熱したあと(前加熱)、5mTorr(6.65×10−1Pa)の真空下で、出力2500Wで表2記載の時間、基材フィルムについてプラズマ表面処理をした。この後、表2記載の温度で加熱しながら、ITO(In 95質量%、SnO 5質量%)をターゲットとしDCマグネトロンスパッタリング法により、5mTorr(6.65×10−1Pa)の真空下で、Ar雰囲気下、出力5kWで表2記載の厚みのITO膜からなる透明導電層(E)を設けた。
【0063】
(5)保護層(D)
下記処方の塗布液を常温にて攪拌溶解後、バーコーターで3μm(乾燥後)の厚みになるように塗工し、80℃、10分の条件で加熱した後、紫外線を照射した。
・エポキシアクリレートポリマー(昭和高分子(株)製VR−60);100質量部
・ジエチレングリコール;200質量部
・酢酸エチル;100質量部
・ベンゼンエチルエーテル;2質量部
・シランカップリング剤(信越化学(株)製KBM−573);1質量部
【0064】
(6)層構成
これらの層構成を表3に示した。
【0065】
【表3】
Figure 2004103292
【0066】
(7)評価
このようにして得た複層フィルムにつき、熱処理前の(未処理の)表面抵抗、水蒸気透過度、酸素透過度を上記の方法で測定し、表3に記載した。さらに175℃で30分、200℃で30分空気恒温槽中で熱処理した後、表面抵抗、水蒸気透過度、酸素透過度を測定し、これらの値と未処理の値の差を未処理の値で割り百分率で示した、表面抵抗、水蒸気透過度、酸素透過度の変化率を表3に示した。本発明のものは、これらの処理でも表面抵抗、水蒸気透過度、酸素透過度は変化せず、良好な値を示した。
また本発明のプラスチックフィルムはいずれも光線透過率88%以上。ヘーズ2%以下、面内、厚み方向いずれのレターデーションも10nm以下の良好な光学特性を示した。
【0067】
(8)円偏光膜の作製
本発明の複層フィルムの透明導電層の反対側に、特開2000−826705号公報、特開2002−131549号公報に記載のλ/4板を積層し、さらにその上に特開2002−865554号公報に記載の偏光板を積層し円偏光板を作成した。なお偏光膜の透過軸とλ/4板の遅相軸との角度は45°となるように配置した。
【0068】
(9)液晶表示装置の作成
(i)TN型液晶表示装置の作製
複層フィルム、微細な凹凸が形成されたアルミニウム反射電極を設けたガラス基板の透明導電(ITO)層、電極側に、それぞれポリイミド配向膜(SE−7992、日産化学(株)製)をこの順に形成した。
これにラビング処理を行った後、1.7μmのスペーサーを介して、二枚の基板(ガラス基板とプラスチックフィルム)を配向膜が向かい合うように重ねた。二つの配向膜のラビング方向は、110゜の角度で交差するように、基板の向きを調節した。基板の間隙に、液晶(MLC−6252、メルク社製)を注入し、液晶層を形成した。このようにして、ツイスト角が70゜、Δndの値が269nmのTN型液晶セルを作製した。
複層フィルムのITOと反対面に上記λ/4板、偏光板を積層し反射型液晶表示装置を作成した。本発明の複層フィルムを用いたものは良好な画像が得られた。一方比較例の複層フィルムを用いたものは、ガスバリア性の低下に起因する黒点故障(画層部に細かな黒い点となり画像が表示されない)や、導電層の割れに起因する色ずれが発生した。
【0069】
(ii)STN型液晶表示装置の作製
複層フィルム、ITO層を積層したガラス基板の透明導電(ITO)層側に、それぞれポリイミド配向膜(SE−7992、日産化学(株)製)をこの順に形成した。
6.0μmのスペーサーを介して二枚の基板を配向膜が向かい合うように重ねた。二つの配向膜のラビング方向は、60゜の角度で交差するように、基板の向きを調節した。基板の隙間に、液晶(ZLI−2977、メルク社製)を注入し、液晶層を形成した。このようにしてツイスト角が240゜、Δndの値が791nmのSTN型液晶セルを作製した。
この液晶セルのガラス基板側に上記λ/4板、偏光板を積層し、その下に導光板、光源を置いた。プラスチックフィルム側に上記λ/4板、偏光板を積層し、透過型液晶表示装置を得た。本発明の複層フィルムを用いたものは良好な画像が得られた。一方比較例の複層フィルムを用いたものは、ガスバリア性の低下に起因する黒点故障(画層部に細かな黒い点となり画像が表示されない)や、導電層の割れに起因する色ずれが発生した。黒点故障の発生量(10cmに発生した黒点の数を目視で数えた)および色ずれの発生量(10cmに色ズレの発生した領域を目視で評価し、全面積に対する百分率で示した)を表3に記載した。
【0070】
(10)タッチパネルの作成
タッチパネルは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載に従い作成した。本発明のものは良好な性能を示し上記故障は発生しなかた。
【0071】
(11)有機EL素子の作成
本発明の複層フィルムを用いて特開2000−267097号公報に従い、観察者側から順に保護タック(最表面に反射防止機能層付き)/上記円偏光板(本発明の複層フィルムのITO層を有機EL側にする)/有機EL素子/反射電極の構成の有機EL表示素子とした。本発明の複層フィルムを用いたものは良好な性能を示し上記故障は発生しなかった。
【0072】
【発明の効果】
本発明の複層フィルムは、配向膜を付与する操作を行っても、導電性やガスバリア性が低下せず、液晶表示素子、有機EL表示素子等のプラスチック基板として用いることができる。
本発明の複層フィルムを基板に用いた液晶表示素子、有機EL表示素子及びタッチパネルは、ガスバリア性の低下に起因する黒点故障や導電層の割れに起因する色ずれが発生しない。

Claims (6)

  1. 基材プラスチックフィルム上に無機ガスバリア層及び有機ガスバリア層の少なくともいずれかのガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上の最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
    透明導電層の25℃60%RHで測定した表面電気抵抗が1Ω/□以上500Ω/□以下であり、かつ175℃30分熱処理した後の表面電気抵抗の変化率が20%以下であることを特徴とする複層フィルム。
  2. 基材プラスチックフィルム上に無機ガスバリア層及び有機ガスバリア層の少なくともいずれかのガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上の最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
    40℃90%RHで測定した水蒸気透過度が0.01g/m・日以上5g/m・日以下であり、かつ175℃30分熱処理した後の水蒸気透過度の変化率が20%以下であることを特徴とする複層フィルム。
  3. 基材プラスチックフィルム上に無機ガスバリア層及び有機ガスバリア層の少なくともいずれかのガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上の最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
    40℃90%RHで測定した酸素透過度が0.01cc/m・日以上1cc/m・日以下であり、かつ175℃30分熱処理した後の酸素透過度の変化率が20%以下であることを特徴とする複層フィルム。
  4. 基材プラスチックフィルム上に無機ガスバリア層及び有機ガスバリア層の少なくともいずれかのガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上の最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
    透明導電層が形成される前に、透明導電層が形成される面に水との接触角を3度以上下げる表面処理が施されていること、かつ透明導電層を形成するための操作中に、基材プラスチックフィルムが50℃以上200℃以下の温度で加熱処理されていることを特徴とする複層フィルム。
  5. 基材プラスチックフィルム上に無機ガスバリア層及び有機ガスバリア層の少なくともいずれかのガスバリア層が設けられ、かつ該フィルムの片面上の最外層として透明導電層が設けられている複層フィルムであって、
    透明導電層及びガスバリア層に隣接して基材側に、破断伸度が3%以上50%以下の緩衝層が設けられていることを特徴とする複層フィルム。
  6. 基材プラスチックフィルムのガラス転移温度(Tg)が160℃以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複層フィルム。
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