JPH09277427A - 透明導電フィルム及びその製造方法 - Google Patents

透明導電フィルム及びその製造方法

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JPH09277427A
JPH09277427A JP8096749A JP9674996A JPH09277427A JP H09277427 A JPH09277427 A JP H09277427A JP 8096749 A JP8096749 A JP 8096749A JP 9674996 A JP9674996 A JP 9674996A JP H09277427 A JPH09277427 A JP H09277427A
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transparent conductive
conductive film
gas barrier
group
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JP8096749A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Fujishima
博行 藤島
Satoshi Igarashi
聡 五十嵐
Tatsuichiro Kin
辰一郎 金
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性、光学等方性、平坦性、耐溶剤性、ガ
スバリア性の諸性能に優れ、更に層間の密着性、カール
特性に優れた透明導電フィルム。 【解決手段】 プラスチックフィルムのいずれかの面に
少なくともガスバリア層、耐溶剤層、透明導電層を有
し、透明導電層が最外層に積層されている透明導電フィ
ルムにおいて、ガスバリア層が金属酸化物からなる層で
あり、耐溶剤層が特定のアクリル系樹脂と、特定のアル
コキシシランの加水分解物とを混合した樹脂組成物の硬
化層であり、ガスバリア層上に直接設けられていること
を特徴とする透明導電フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラスチックフィ
ルム上に透明導電層を積層した透明導電フィルム及びそ
の製造方法に関し、光学特性、耐透気性、耐水蒸気透過
性、耐溶剤性等の各種特性に対する要求の厳しい液晶表
示パネルの透明電極基板を始め、エレクトロルミネッセ
ンスパネル、エレクトロクロミックパネル、透明タッチ
パネル等の透明電極基板として使用できる透明導電フィ
ルムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、液晶表示素子は、より軽薄化、よ
り大型化という要求に加え、長期信頼性、形状の自由
度、曲面表示等の高度な要求がなされている。特に、ペ
イジャー(ポケットベル)、携帯電話、電子手帳、ペン
入力機器など、携帯して移動可能な機器が著しく普及す
るにつれ、従来の厚く、重く、割れやすいガラス基板に
変わり、プラスチックを基板とする液晶パネルが検討さ
れ、一部で実用化されてきている。
【0003】このプラスチック基板については、耐透気
性、耐水蒸気透過性(以後、纏めて「ガスバリア性」と
称する。)の改善されたプラスチック基板も特開昭61
−41122号公報、特開昭61−73924号公報、
特開平3−9323号公報等に記載されている。
【0004】しかし、これら従来のプラスチック基板の
うち、特開昭61−41122号公報、特開平3−93
23号公報等に記載の、ガスバリア性を付与するための
ガスバリア層としてポリビニルアルコール系樹脂のみを
積層したものでは、50%RH以下の低湿度下での耐透
気性には優れているものの、それよりも高い湿度例えば
90%RHの高湿度下での耐透気性、耐水蒸気透過性に
劣るという欠点がある。また、ポリビニルアルコール系
樹脂層が透明導電層直下、あるいは最外層に設けられた
場合、水系溶液に容易に侵されるという問題もある。ま
た、この他の有機系のガスバリア層材料として、ポリア
クリロニトリルやポリ塩化ビニリデン等があるが、取り
扱い性、環境問題の観点から適用が困難である。
【0005】一方、特開昭61−183810号公報等
にはガスバリア層として金属酸化物層を設けたプラスチ
ック基板が記載されている。また、特開平6−1751
43号公報には、金属酸化物層の耐スクラッチ性を向上
させるという観点から金属酸化物層と硬化性樹脂層を積
層したプラスチック基板が記載されている。この金属酸
化物層の場合、低湿度でのガスバリア性では前述のポリ
ビニルアルコール系樹脂層に劣るものの、湿度に殆ど影
響されないガスバリア性が得られる利点があり、利用さ
れている。しかし、硬化性樹脂を設けたものでは、後述
のように金属酸化物層との密着性、カール等の別の問題
があることが判った。また、このような金属酸化物層、
特に生産性が良好で好適に使用される珪素酸化物層が最
外層にある場合、アルカリ水溶液で容易に侵食されると
いう問題もある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】液晶表示パネル基板と
してプラスチック基板を用いる場合には、透明性、光学
等方性、平坦性、耐溶剤性、耐久性試験後も含めた層間
の密着性、ガスバリア性等の諸特性において高い性能が
要求される。
【0007】すなわち基板の透明性や光学等方性が劣っ
ている場合には、表示の明るさ、コントラストの低下や
着色の発生等の問題が起きる。基板の平坦性が低い場合
には液晶層の厚みが不均一になったり、液晶の配向ムラ
を生じて表示品位が低下する。
【0008】耐溶剤性は液晶パネル作成工程において必
要な特性であり、透明導電層のエッチングに用いる酸性
水溶液、レジスト現像時に用いるアルカリ性水溶液、液
晶配向膜形成時に用いるNーメチルピロリドン、γーブ
チルラクトン等の有機溶剤等への耐性が低いと基板の外
観および平坦性の悪化等を引き起こす。
【0009】基板に積層された各層間の密着性が低いと
パネル作成時に於いて剥離やクラック等が発生し易くな
り、又、密着性が経時的に低下していくような場合には
耐衝撃性が低下し、パネルの長期信頼性に劣る結果にな
る。
【0010】基板のガスバリア性が低い場合には、基板
を通して大気中の酸素や窒素もしくは水蒸気等が液晶層
に出入りし、液晶の劣化や気泡の発生等を引き起こし易
く、表示不良の原因となる。
【0011】また、ガスバリア性を向上させる目的で金
属酸化物層を積層した場合には、前述のように、アルカ
リ水溶液等への耐溶剤性が問題となる。この為、金属酸
化物層上には高い耐溶剤性と密着性を有する層を積層す
ることが必要となる。
【0012】さらに、耐溶剤層を積層した積層フィルム
においてのカール特性に優れることが必要である。ここ
でいうカールとは、フィルムの反りの程度のことを指
し、このカールが大きいと、透明導電層の形成プロセ
ス、液晶パネル作成工程での作業性が悪くなり、生産の
安定性の面から好ましくない。
【0013】本発明はかかる点に鑑み為されたもので、
透明性、光学等方性、平坦性、耐溶剤性、ガスバリア性
の諸性能に優れ、更に層間の密着性、カール特性に優れ
た透明導電フィルムを提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決する為の手段】本発明者らはかかる点に鑑
み、鋭意研究の結果、ガスバリア層に金属酸化物層を用
い、この上に直接耐溶剤層として、特定の放射線硬化型
樹脂と特定のアルコキシシランの加水分解物とを含有す
る樹脂組成物の硬化層を設ける構成が前記目的を達成で
きることを見出し、本発明に到達した。
【0015】すなわち、本発明は、プラスチックフィル
ムのいずれかの面に少なくともガスバリア層、耐溶剤
層、透明導電層を有し、透明導電層が最外層に積層され
ている透明導電フィルムにおいて、ガスバリア層が金属
酸化物からなる層であり、耐溶剤層が下記の一般式
(1)で表されるアクリル系樹脂と、下記の一般式
(2)で表されるアルコキシシランの加水分解物又は/
及び下記の一般式(3)で表されるアルコキシシランの
加水分解物とを混合した樹脂組成物の硬化層であり、ガ
スバリア層上に直接設けられていることを特徴とする透
明導電フィルムを第1の発明とし、この第1の発明の透
明導電フィルムの製造方法において、耐溶剤層の樹脂組
成物をガスバリア層の金属酸化物層上に塗布後、乾燥
し、次いで放射線で硬化することを特徴とする透明導電
フィルムの製造方法を第2の発明とするものである。
【0016】
【化3】
【0017】
【化4】R1 ーSi(OR2 3 ・・・(2) Si(OR2 4 ・・・(3)
【0018】上記一般式(2)、(3)において、R1
はビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミ
ノ基もしくはエポキシ基を含む有機基、メチル基又はエ
チル基を、R2 はメチル基又はエチル基を示す。
【0019】上記本発明において、前記アクリル系樹脂
(A)と前記アルコキシシランの加水分解物(B)との
混合比は、固形分の重量比率でA:B=20:1〜1:
1の範囲が好ましい。液晶表示パネル用途には、前記透
明導電フィルムであって、基板のプラスチックフィルム
が溶液流延法により成膜した厚さ70〜200μmのプ
ラスチックフィルムであり、透明導電フィルムのリタデ
ーション値が20nm以下、波長550nmでの光線透
過率が80%以上であるものが好ましく、適用される。
以下、本発明について詳細に説明する。
【0020】
【発明の実施の形態】前記のとおり、本発明の透明導電
フィルムは、プラスチックフィルム上に金属酸化物から
なるガスバリア層、前記特定の樹脂組成物の硬化層から
なる耐溶剤性を有する耐溶剤層をこの順で積層し、最外
層に透明導電層を積層したものを基本積層構成としてい
る。
【0021】この金属酸化物層としては、ガスバリア性
を有し、透明な金属酸化物であればよく、例えばアルミ
ニウム、マグネシウム、亜鉛等の絶縁酸化物層が挙げら
れる。これら金属酸化物層は、スパッタ法、真空蒸着
法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等の気
相中より材料を堆積させて膜形成する気相堆積膜形成法
により作製される。金属酸化物として好適なのは、ガス
バリア性、透明性、表面平坦性、屈曲性、膜応力、コス
ト等の点から珪素酸化物、特に好ましくは平均組成をS
iOxで表した時のXが1.5≦x≦2の珪素酸化物で
ある。
【0022】SiOxの組成Xは、X線光電子分光法、
X線マイクロ分光法、オージェ電子分光法、ラザフォー
ド後方散乱法などにより分析、決定されるが、SiOx
のX値は、可視光線領域での透過率、屈曲性などの面か
ら上述の1.5≦x≦2の範囲が好ましい。SiOxの
X値が1.5よりも小さくなると、屈曲性、透明性が悪
くなる。
【0023】金属酸化物層の厚さとしては、5nm〜1
00nmの範囲が好ましい。膜厚が5nm未満の場合ピ
ンホールが発生しやすく、ガスバリア性も低下しやすく
なる。又、膜厚が100nmを越える場合屈曲性が低下
し、透明性も低下するので好ましくない。
【0024】耐溶剤層は、前記の特定の放射線硬化型樹
脂と特定のアルコキシシランの加水分解物とを混合した
樹脂組成物を硬化した硬化樹脂層を用いる。ここにおい
て放射線硬化型樹脂は優れた耐溶剤性を得るために必要
な成分であり、アルコキシシランの加水分解物は珪素酸
化物層上で高い密着性および耐久性を得るために必要な
成分である。なお、放射線硬化型樹脂は、紫外線や電子
線等の放射線を照射する事によって硬化が進行する樹脂
を言う。
【0025】本発明者らは十分な耐溶剤性を保持し、さ
らに液晶パネル作製工程時の熱処理後でもカールが発生
しない放射性硬化型樹脂について鋭意検討した結果、下
記の一般式(1)で表されるアクリル系樹脂により目的
が達成されることを見出した。すなわち、本発明の耐溶
剤層の放射線硬化樹脂にはこのアクリル系樹脂を用い
る。
【0026】
【化5】
【0027】上記の通り、本発明の上記アクリル系樹脂
の平均の重合度数nは0.5〜2の範囲である。nの値
が0.5未満の場合は硬化時にカールが発生しやすくな
り、nの値が2を越える場合はアクリル系樹脂の粘度が
大きくなり、作業性が困難になり、溶剤で希釈する場合
も溶解性等が問題となる。
【0028】なお、カールについては、例えば、放射線
硬化樹脂として、ジペンタエリスリトールヘキサアクリ
レート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートを用
いた場合には、硬化直後に大きなカールが発生し、又、
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、カプロラ
クトン変成ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
による樹脂組成物を用いた場合には、熱処理時に大きな
カールが発生して使用に耐えなかった。当然であるが、
本発明の上記アクリル系樹脂ではかかる問題はない。
【0029】ところで、このアクリル系樹脂に混合する
アルコキシシランの加水分解物は、下記の一般式(2)
又は(3)で表されるアルコキシシランを公知の方法に
より加水分解して得られたものである。
【0030】
【化6】 R1 ーSi(OR2 3 ・・・(2) Si(OR2 4 ・・・(3)
【0031】上記の一般式(2)、(3)において、R
1 はビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基もし
くはアミノ基を含む有機基、メチル基又はエチル基を、
2 はメチル基又はエチル基を示す。
【0032】そして、これらのアルコキシシランの中で
も特に、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、γーアクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γーメタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、γーアミノプロピルトリエトキシシラン、γーグリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン等を好ましく用い
ることができる。
【0033】本発明の樹脂組成物の前記のアクリル系樹
脂(A)と一般式(2)、(3)で表されるアルコキシ
シランの加水分解物(B)との混合比は、固形分の重量
比率でA:B=20:1〜1:1の範囲にあることが好
ましい。混合比が20:1未満と小さくなると、金属酸
化物層との密着性が低下する傾向があり、混合比が1:
1を越えて大きくなるとシラン成分の硬化収縮によるカ
ールが発生する傾向が見られ好ましくない。
【0034】又、上記の樹脂組成物に対し、上記一般式
(2)、(3)で表される適当なアルコキシシランを加
水分解せずに添加することも好ましく行われる。このよ
うにして添加されたアルコキシシランの一部は、樹脂組
成物が金属酸化物層上に塗工された際に、該層上や大気
中の水分により急速に加水分解される為、あらかじめ樹
脂組成物中に含まれていたアルコキシシランの加水分解
物と同じような機能を発揮し、層の密着性を高めること
ができる。
【0035】このようなアルコキシシランとしては、特
にビニルトリメトキシシラン、γーアクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γーグルシドキシプリピルトリ
メトキシシラン等が好ましく用いられる。添加量として
は、全固形分重量に対し20%以内が好ましい。添加量
が20%を越えると、層の耐溶剤性、特に耐アルカリ水
溶液性が低下する傾向があり好ましくない。
【0036】以上の樹脂組成物からなる樹脂層は、プラ
スチックフィルムに積層した金属酸化物層の上に湿式塗
工法により形成される。湿式塗工方法としては、例えば
リバースロールコート法、マイクログラビアコート法、
ダイレクトグラビアコート法、キスコート法、ダイコー
ト法等の公知の方法が用いられる。又、適当な有機溶媒
で樹脂組成物の希釈を行うことにより塗液粘度の調整
や、層の膜厚の調整が可能である。
【0037】又、樹脂層の形成に際しては、密着性の面
から、金属酸化物層の表面に、樹脂組成物の塗布に先立
ってその表面の塗液の濡れ性を高める表面処理が行うこ
とが好ましい。このような表面処理としては、コロナ処
理、プラズマ処理、アルカリ処理等の公知技術を用いる
事ができる。
【0038】樹脂層の硬化は、紫外線硬化法、電子線硬
化法等の放射線を照射することにより行われる。ここで
層の緻密性を高める為には、放射線硬化に先立って、加
熱処理等の乾燥により塗膜中に含まれる溶媒成分を蒸発
させた後に硬化を行う事が好ましい。
【0039】紫外線硬化法を用いる場合、前述の樹脂組
成物に公知の光反応開始剤を適量添加する。光反応開始
剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2ー
メチルー1ー{4ー(メチルチオ)フェニル}ー2ーモ
ルフォリノプロパン、2ーヒドロキシー2ーメチルー1
ーフェニルプロパンー1ーオン、1ーヒドロキシシクロ
ヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン系化合物、
ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン
系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸等のベ
ンゾフェノン系化合物、チオキサンソン、2,4ージク
ロロチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物等が挙
げられる。又、より硬化性を向上させる為には、トリエ
タノールアミン、メチルジエタノールアミン、4ージメ
チルアミノ安息香酸エチル等の公知の反応開始助剤を適
量添加することも効果的である。以上の耐溶剤層の樹脂
層の膜厚は、良好な耐溶剤性の発現と硬化収縮に伴うカ
ールの観点から、好ましくは硬化後の膜厚で2〜6μm
である。
【0040】ところで、本発明の透明導電フィルムは、
プラスチックフィルム上に以上の各層が少なくとも積層
された積層フィルムの表面に透明導電層を設けることに
より製造される。この透明導電層としては、公知のも
の、例えば錫、インジウム、亜鉛等の金属またはこれら
の酸化物による層が適用でき、前述のガスバリア層の金
属酸化物層と同様にスパッタリング法、真空蒸着法など
の気相堆積膜形成法で設けることができる。
【0041】このような透明導電層の中でも、主に非結
晶性のインジウム酸化物からなり、その組成分として錫
を5〜15重量%含有し、かつ、膜厚が20〜200n
mの範囲にあるものが層の透明性、導電性、屈曲性等の
観点から好ましい。
【0042】すなわち結晶性の高いインジウム酸化物層
は、非結晶性のものと比較すると透明性、導電性が高い
が、屈曲性に問題があり、特にフィルム上に結晶性の高
い層を成膜した場合には、このフィルムを屈曲した際に
割れを生じやすく信頼性、取り扱い性が悪くなってしま
う。
【0043】尚、ここにおいてはインジウム酸化物層の
結晶性、非結晶性は次のように定義している。すなわ
ち、成膜したインジウム酸化物層の表面を透過型電子顕
微鏡で観察した時に、非晶質の表面に高々100nm程
度の大きさの微結晶粒が点在するのが観察される。この
観察方法で、単位面積(100μm2 )当たりの微結晶
粒の面積割合が20%以下の場合を非結晶性と定義して
いる。
【0044】その膜厚としては20〜200nmの範囲
が好ましい。20nm未満と薄い場合には透明電極とし
ての導電性が不十分になり、200nmを越える厚い場
合には透明性や屈曲性の悪化が観られ好ましくない。
【0045】以上のようにして得られた本発明の透明導
電フィルムは、光学特性、ガスバリア性、耐溶剤性等の
諸特性に優れ、さらに密着性、カールも良好であるが、
これら諸特性に対して高度の性能を要求される液晶表示
パネルの用途においては、以下の性能を有するものが好
ましい。
【0046】すなわち、液晶表示パネルの用途において
は、透明電極基板には前述の高度の光学特性の他、光学
等方性、表面平滑性が要求される。かかる点から、最終
形態の透明導電フィルムの光学特性としては、そのリタ
デーション値が20nm以下、波長550nmでの光線
透過率が80%以上、ヘイズ値は1%以下であることが
好ましい。
【0047】また、基板として用いるプラスチックフィ
ルムは、溶液流延法によって製造されたものが好まし
く、厚さは70〜200μmの範囲にあることが好まし
い。
【0048】プラスチックフィルムの材料としては、溶
液流延可能、すなわち適当な溶媒に溶解可能なポリマー
であれば使用することができるが、光学特性、熱特性の
面からポリアリレートやポリカーボネートを用いること
が好ましい。
【0049】中でもポリカーボネートについては、耐熱
性、機械特性の面から特にビスフェノール成分がビスフ
ェノールAのみからなる、平均分子量30,000以上
でガラス転移温度150℃以上のポリカーボネートが好
ましい。又、耐熱性向上の為、共重合成分として例えば
9,9−ビス(4ーヒドロキシフェニル)フルオレンあ
るいは1,1−ビス(4ーヒドロキシフェニル)−3,
3,5ートリメチルシクロヘキサン等を用いる事ができ
る。なお、最適な平均分子量、共重合条件の選択は、耐
熱性、機械特性、経済性等のバランスで実施される。こ
こで、平均分子量は、数平均分子量のことで、GPC等
の公知の測定手段により決定することができる。
【0050】溶液流延法によって製造されたポリカーボ
ネートフィルムでは、リタデーション値が20nm以
下、遅相軸のばらつきが±15度以下の優れた光学等方
性を得ることが可能である。又、フィルム成膜時に空気
層と接する側のフィルム面(以下エアー面と称す)の表
面粗さRaが1nm以下、フィルム成膜時に支持体とな
るベルトと接する側のフィルム面(以下ベルト面と称
す)に於いても表面粗さRaが数nm程度の非常に優れ
た平滑性を得ることができる。
【0051】ここで、リタデーション値は公知の、複屈
折の屈折率の差△nと膜厚dとの積△n・dであり、こ
こでは波長590nmでの測定値に代表させている。レ
タデーション値および遅相軸の角度は各種の複屈折率測
定装置にて測定が可能であるが、ここでは日本分光株式
会社製の多波長複屈折率測定装置M−150を用いて測
定を行っている。
【0052】又、表面粗さRa値は、位相シフト干渉法
を測定原理としているWYKO社製TOPO−3Dを用
い、40倍の倍率でフィルム上の256μm角の正方形
の部分を1μm間隔にてスキャンし測定した時に得られ
た、中心線平均粗さの値である。
【0053】また、耐溶剤層の耐溶剤性に関しては、後
述の評価法により、十分な耐溶剤性を有することが好ま
しいが、実施例に示す通り、上記樹脂組成物の硬化層は
この点を十分満足する耐溶剤層を実現する。
【0054】また、耐溶剤層のガスバリア層の金属酸化
物層との密着性についても、透明導電層形成工程、液晶
配向膜形成時に行う加熱処理工程等においても劣化のな
いことが必要であるが、この要求は60℃,90%RH
の湿熱条件下で250時間の湿熱耐久試験及び90℃,
0%RHの耐熱条件下で250時間の耐熱耐久試験の各
耐久試験後においても金属酸化物層に積層された初期の
段階の良好な密着性が維持されれば満たされることを見
出した。よって、耐溶剤層の上記樹脂組成物としては、
この密着耐久性を満足するものが好ましく、適用され
る。なお、良好な密着性とは後述する評価法での残存率
が100%の密着性である。
【0055】更に、カールについても、前述の問題の他
に下記問題があることを見出した。通常プラスチックフ
ィルムに金属酸化物層と耐溶剤層を積層した積層フィル
ムを基板フィルムとしてこれに透明導電層を積層した場
合、透明導電層の内部応力により透明導電層側が凸とな
るカールが生じる。そして透明導電層をエッチングして
電極のパターニングを行うと、エッチング部分には基板
フィルムのカールが発現し、電極部分のみ前述の凸のカ
ールが存在する状態となる。
【0056】従って、基板フィルムのカールが透明導電
層側が凹のカールの場合は、エッチング部分は凹のカー
ルとなり、電極部分は凸のカールであるので、透明電極
基板の表面は不均一となり、液晶セル内のギャップを不
均一にする原因となる。逆に基板フィルムのカールが透
明導電層側が凸のカールの場合は、透明導電層を積層し
た透明導電フィルムのカールが非常に大きくなり、液晶
セル作成時の取り扱い性が悪くなる。基板フィルムの後
述する熱処理後のカールが、後述の測定法で測定したカ
ール値の絶対値で10mm以下であれば、実用上かかる
点で支障のないことを見出した。よって、かかる点から
積層フィルムはその熱処理後カールが上述の絶対値で1
0mm以下のものがが好ましく、適用される。
【0057】更に、本発明においては、金属酸化物層が
積層された面と反対のプラスチックフィルム面に、アン
カーコート層、ポリビニルアルコール系樹脂層、及び保
護層をこの順に積層することにより、ポリビニルアルコ
ール系樹脂層の低湿度環境下での優れたガスバリア性と
の相乗効果で、更に優れたガスバリア性の透明導電フィ
ルムを得ることができる。
【0058】具体的にはMOCON社製オキシトラン2
/20MLを用いて酸素透過度を測定した場合に、30
℃,50%RHの測定条件で1cc/(m2 ・day・
atm)以下、30℃,90%RHの測定条件で20c
c/(m2 ・day・atm)以下の耐透気性が得ら
れ、また同社製パーマトランW1Aを用いて、透明導電
層を設ける面の反対面を加湿側に配置して水蒸気透過度
を測定した場合に、40℃,90%RHの測定条件で2
0g/(m2 ・day・atm)以下の耐水蒸気透過性
が得られる。
【0059】このような透明導電フィルムの製造方法と
しては、プラスチックフィルムの一方の面に金属酸化物
層と耐溶剤層を、その他方の面にアンカーコート層、ポ
リビニルアルコール系樹脂層及び保護層を積層後、最後
にそのいずれかの表面に透明導電層を積層して製造する
方法が、製造プロセスにおいて、導電層へ傷が入りにく
く、好ましい。
【0060】ここで、ポリビニルアルコール系樹脂層に
は、公知の市販のものが適用でき、具体的にはビニルア
ルコール成分、ビニルアルコール共重合成分よりなる群
から選ばれた少なくとも1種の成分を50モル%以上含
有する高分子樹脂が好ましい。尚、このビニルアルコー
ル共重合体としては、ビニルアルコール/酢酸ビニル共
重合体、ビニルアルコール/ビニルブチラール共重合
体、エチレン/ビニルアルコール共重合体、あるいはこ
れらの架橋体等が挙げられる。
【0061】ポリビニルアルコール系樹脂層とプラスチ
ックフィルムとの密着性を確保するために、上述のよう
にアンカーコート層を有することが好ましい。このよう
なアンカーコート層としては、ウレタン系硬化樹脂層が
好ましく、その中でも特にフェノキシ系硬化樹脂層が好
ましい。
【0062】液晶表示パネル用途においては、透明導電
層の積層されていない側のフィルム面も、透明導電層の
エッチングに用いる酸性水溶液、レジスト現像時に用い
るアルカリ性水溶液等に触れる場合があり、これらに対
する耐溶剤性が必要である。しかし、ポリビニルアルコ
ール系樹脂層は、一般的に、アルカリ性水溶液、酸性水
溶液にさらされた場合に層の膨潤が起こりやすく、耐溶
剤性が不十分である。この為、ポリビニルアルコール系
樹脂層上に耐溶剤性を有する保護層を有することが好ま
しい。このような保護層としては、前述の耐溶剤層の樹
脂組成物の硬化層、前述のフェノキシ系硬化樹脂層、エ
ポキシ系硬化樹脂層、シリコン系硬化樹脂層等を好まし
く挙げることができる。
【0063】以上、本発明は、透明性、光学等方性、平
滑性、耐溶剤性、ガスバリア性特に環境による性能変化
の少ないガスバリア性等に優れ、さらに耐久試験後も含
めた層間の密着性に優れ、カールが少ないという特長を
有する透明導電フィルムを実現するものであり、例えば
高度の光学特性とガスバリア性、耐溶剤性等を含む耐久
性が要求される液晶表示パネルの透明電極基板にも適用
でき、その他のエレクトロルミネッセンスパネル、エレ
クトロクロミックパネル、透明面発熱体、透明タッチパ
ネル等の透明電極基板に広く適用できるものである。
【0064】以下、本発明を実施例、比較例に基づいて
更に具体的に説明する。なお、以下の各実施例、比較例
の各種特性の評価は、下記の要領にて行った。耐有機溶剤性 :液晶配向膜前駆材料の溶剤として代表的
なNーメチルピロリドンを耐溶剤層の形成された側のサ
ンプル面に数滴滴下し、25℃で10分放置後、その表
面の白濁、膨潤、溶解等の外観の変化を目視にて観察す
ることによって行い、変化が確認されない場合に耐有機
溶剤性を有すると評価した。
【0065】耐アルカリ水溶液性:パターニング後のレ
ジストを溶解する際に用いられる3.5wt%水酸化ナ
トリウム水溶液にサンプルを25℃で10分間浸漬し、
その後流水にて充分洗浄を行った後に乾燥させ、その表
面の外観を目視にて観察することによって行い、変化が
確認されない場合に耐アルカリ水溶液性を有すると評価
した。
【0066】耐酸性水溶液性:透明導電層をパターニン
グする際に用いるエッチング液(35wt%塩化第2鉄
水溶液、35wt%塩酸、水を1:1:10の割合で混
合したもの)に25℃で10分間浸漬し、その後流水に
て充分洗浄を行った後に乾燥させ、その表面の外観を目
視にて観察することによって行い、変化が確認されない
場合に耐酸性水溶液性を有すると評価した。そして、以
上の耐有機溶剤性、耐アルカリ水溶液性、耐酸性水溶液
性の全てを有する場合に耐溶剤性を有するとした。
【0067】ガスバリア性:酸素透過度と水蒸気透過度
を測定することによって行った。酸素透過度はMOCO
N社製オキシトラン2/20MLを用い、30℃,50
%RHの低湿度環境下と30℃,90%RHの高湿度環
境下で測定した。又、水蒸気透過度は、MOCON社製
パーマトランW1Aを用い、透明導電層を設ける面と反
対面を加湿側に向けて配置し、40℃,90%RHの加
湿条件下で測定した。
【0068】密着性:JIS規格5400に従って、碁
盤目テスト(碁盤目テープ法)によって行った。カット
した碁盤目数に対するテストテープの引き剥がし後の残
存目数すなわち残存目数/カット目数で評価し、残存率
100%の場合を良好な密着性と評価した。
【0069】光線透過率:可視分光光度計(日立製作所
製、U−3500型)を用いて平行光線での透過率を測
定した。ヘイズ値 :日本電色工業社製COH−300Aを用いて
測定を行った。珪素酸化物層の珪素に対する酸素の割合 X:X線光電子
分光法、X線マイクロ分光法、オージェ電子分光法等の
公知の技術により測定を行った。
【0070】カール:以下の熱処理後のカールで評価し
た。対象のフィルムから10×10cmの正方形のサン
プルを切り取り、130℃で2時間熱処理した後、25
℃,50%RH環境下で3日間放置後、透明導電層を設
ける面が凸の場合は、透明導電層を設ける面を下にして
水平平面上に静置した時に、四隅の水平平面から浮いて
いる高さを各々測定して平均し、その平均値をプラスの
カール値として評価した。透明導電層を設ける面が凹の
場合は、透明導電層を設ける面を上にして水平平面上に
静置し、前述の同様にして平均値を求め、この平均値を
マイナスのカール値として評価した。
【0071】[実施例1]ビスフェノール成分がビスフ
ェノールAのみからなる平均分子量37,000のポリ
カーボネート樹脂を用いて溶液流延法により以下のよう
にポリカーボネートフィルムを製膜した。
【0072】すなわち、該ポリカーボネート樹脂を溶媒
のメチレンクロライドに濃度20重量%に溶解し、得ら
れた溶液をダイコーティング法により支持体の厚さ17
5μmのポリエステルフィルム上に流延して製膜した。
ついで、乾燥工程で残留溶媒濃度を13重量%になるま
で蒸発除去した後に、支持体のポリエステルフィルムか
ら製膜したポリカーボネートフィルムを剥離した。得ら
れたポリカーボネートフィルムを温度120℃の乾燥炉
中で縦横の張力をバランスさせながら、残留溶媒濃度が
0.08重量%になるまで乾燥した。こうして得られた
ポリカーボネートフィルムは厚みが102μmであっ
た。そして表面粗さRaはエアー面が0.5nm、ベル
ト面が2.1nmであった。
【0073】ついで、このポリカーボネートフィルムの
エアー面上に、SiOを蒸着源とし、真空度6.7mP
a下で真空蒸着することによって、厚さ25nm、Si
xでのXが約1.7の珪素酸化物層を形成した。
【0074】続いて、珪素酸化物層の表面を積算エネル
ギー600mJ/cm2 にてコロナ処理を行った後に、
以下のような耐溶剤層を積層した。容器外部が水冷され
た攪拌容器内にビニルトリメトキシシラン(信越化学社
製、商品名KBM1003)148重量部を入れ、激し
く攪拌を行いながら0.01規定の塩酸水54部を徐々
に添加し、更に3時間ゆっくりと攪拌を行うことにより
ビニルトリメトキシシランの加水分解液を得た。
【0075】ついで、下記化学式で示されるアクリル系
樹脂を50重量部、
【0076】
【化7】
【0077】前記ビニルトリメトキシシランの加水分解
液を50重量部、未加水分解のビニルトリメトキシシラ
ン10重量部、光開始剤の2ーヒドロキシー2ーメチル
ー1ーフェニルプロパンー1ーオン(メルク社製、商品
名ダロキュアー1173)5重量部およびレベリング剤
としてシリコンオイル(東レ・ダウコーニングシリコン
社製、SH28PA)0.02重量部を混合して塗液を
得た。
【0078】この塗液を珪素酸化物層上にバーコーター
を用いてコーティングし、60℃で1分間加熱して塗膜
中の残留溶剤を揮発除去した後、160W/cmの高圧
水銀灯を用いて、積算光量800mJ/cm2 の条件で
紫外線を照射して塗膜の硬化を行い、膜厚約4μmの硬
化樹脂層を得た。
【0079】こうして得られた積層フィルムの密着性試
験結果は、残留数/カット数が100/100と100
%残留で、非常に良好な密着性であった。又60℃,9
0%RHで250時間の湿熱耐久試験および90℃、0
RH%で250時間の高温耐久試験の各耐久性試験の経
過後に行った密着性試験の結果は、両耐久試験共に10
0/100で、密着性の低下は観察されなかった。
【0080】この積層フィルムの耐酸性水溶液性、耐ア
ルカリ水溶液性、耐有機溶剤性について前記の各試験を
行った所、外観の変化は観られず、耐溶剤性に優れてい
ることが確認された。
【0081】この積層フィルムの酸素透過度は、30
℃,50%RHの測定条件で6cc/(m2 ・day・
atm)、30℃,90%RHの測定条件下で7cc/
(m2・day・atm)であり、水蒸気透過度は40
℃、90%RHで3g/(m2・day・atm)であ
った。この積層フィルムのカール値は−3mmであり、
カール性は非常に優れたものであった。
【0082】ついで、この積層フィルムの金属酸化物層
と耐溶剤層の積層された側の面に透明導電層として、イ
ンジウムー錫酸化物層を以下のようにスパッタリング法
により形成して透明導電フィルムを作成した。スパッタ
リングターゲットにはインジウムと錫が重量比で9:1
の組成で充填密度が90%のインジウムー錫酸化物ター
ゲットを用いた。スパッタ装置内に積層フィルムをセッ
トした後、1.3mPaの圧力まで排気を行った後、A
rとO2 の体積比98.5:1.5の混合ガスを導入
し、雰囲気圧力を0.27Paにして、フィルム温度は
50℃とし、投入電力密度1W/cm2 でDCスパッタ
リングを行った。
【0083】得られた透明導電層は、結晶粒の存在割合
が面積比0%であり、非結晶性であった。又、膜厚は1
30nmであり、表面抵抗値は40Ω/□であった。な
お、Ω/□は単位正方形の対向辺に電極を配置して測定
した表面抵抗値である。この透明導電フィルムの波長5
50nmに於ける光線透過率は84%で、ヘイズ値は
0.4%であった。又、フィルム上の任意の10点で測
定したリタデーション値は8±2nm、遅相軸のばらつ
き角度はMD方向を中心に±8度であった。又、透明導
電層表面の表面粗さRaは4.6nmであった。又、密
着性試験結果は100/100であり、透明導電層の密
着性も良好であった。
【0084】[実施例2]実施例1において耐溶剤層の
樹脂組成を下記のように変更した以外は、実施例1と全
く同様にして透明導電フィルムを作成し、評価した。す
なわち、耐溶剤層を形成するための塗液として、前記実
施例1と同じアクリル系樹脂を50重量部、前記ビニル
トリメトキシシランの加水分解液を10重量部、未加水
分解のビニルトリメトキシシラン8重量部、光開始剤の
2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−
1−オン(メルク社製、商品名ダロキュア−1173)
5重量部およびレベリング剤としてシリコンオイル(東
レ・ダウコーニングシリコン社製、SH28PA)0.
02重量部を混合したものを用いた。
【0085】こうして得られた積層フィルムの密着性試
験の結果は、100/100であった。又、前記両耐久
性試験後の密着性試験の結果も共に100/100で、
密着性の低下は観測されなかった。この積層フィルムの
カール値は−2mmであり、カール性も非常に良好であ
った。更に、この積層フィルムは、実施例1と同様の耐
溶剤性を有し、且つガスバリア性も実施例1とほぼ同じ
で優れたものであった。この積層フィルムに透明導電層
を積層した透明導電フィルムにおいても、実施例1と同
様の優れた特性であった。
【0086】[実施例3]実施例1において耐溶剤層の
樹脂組成を下記のように変更した以外は、実施例1と全
く同様にして透明導電フィルムを作成し、評価した。す
なわち、耐溶剤層を形成するための塗液として、下記化
学式で示されるアクリル系樹脂を50重量部、
【0087】
【化8】
【0088】前記ビニルトリメトキシシランの加水分解
液を50重量部、未加水分解のビニルトリメトキシシラ
ン10重量部、光開始剤の2−ヒドロキシ−2−メチル
−1−フェニルプロパン−1−オン(メルク社製、商品
名ダロキュア−1173)5重量部およびレベリング剤
としてシリコンオイル(東レ・ダウコーニングシリコン
社製、SH28PA)0.02重量部を混合したものを
用いた。
【0089】こうして得られた積層フィルムの密着性試
験の結果は、100/100であった。又、前記両耐久
性試験後の密着性試験の結果も共に100/100で、
密着性の低下は観測されなかった。この積層フィルムの
カール値は−3mmであり、カール性も非常に良好であ
った。更に、この積層フィルムは、実施例1と同様の耐
溶剤性を有し、且つガスバリア性も実施例1とほぼ同じ
で優れたものであった。この積層フィルムに透明導電層
を積層した透明導電フィルムにおいても、実施例1と同
様の優れた特性であった。
【0090】[実施例4]実施例1と全く同様に、ポリ
カーボネートフィルムの一方の面に珪素酸化物層、耐溶
剤層を積層した後、その反対側の面にアンカーコート層
とガスバリア層と保護層を以下のように積層した。
【0091】アンカーコート層は、フェノキシ系の硬化
樹脂層を用いた。具体的には東都化成株式会社製のフェ
ノキシ樹脂(Pheno Tohto YP−50)2
0重量部と、溶媒としてメチルエチルケトン50重量部
と2ーエトキシエチルアセテート30重量部を混合した
後、これに硬化剤のイソシアネートとして武田薬品工業
株式会社製A3を10重量部混合して、塗液を得た。こ
の塗液をマイヤーバーを用いてコーティングした後、1
30℃で3分間熱処理を行って膜厚1.5μmの層を形
成し、アンカーコート層とした。
【0092】ガスバリア層は、株式会社クラレ製のポリ
ビニルアルコール(商品名PVA−117)10重量部
を水90重量部に加熱溶解した溶液をマイヤーバーを用
いて前記アンカーコート層上にコーティングし、130
℃で5分間熱処理を行って膜厚2.5μmの層を形成
し、ガスバリア層とした。保護層は前記アンカーコート
層の塗液をそのまま用い、マイヤーバーを用いて前記ガ
スバリア層上にコーティングし、130℃で5分間熱処
理を行って膜厚3μmの層を形成し、保護層とした。
【0093】こうして得られた積層フィルムの密着性試
験結果はフィルム両面共に100/100であり、各層
間の密着性はきわめて良好であった。又前記両耐久試験
後の密着性試験の結果も100/100で、密着性の低
下も認められなかった。又、この積層フィルムは、実施
例1と同様に耐溶剤性を有するものであった。さらに、
この積層フィルムの酸素透過度は、30℃,50%RH
の測定条件下で0.1cc/(m2 ・day・at
m)、30℃,90%RHの測定条件下で5cc/(m
2 ・day・atm)であり、水蒸気透過度は40℃,
90%RHで3g/(m2 ・day・atm)であっ
て、ガスバリア性は非常に優れたものであった。この積
層フィルムのカール値は−3mmであり、カール性も非
常に良好であった。
【0094】ついで、この積層フィルムの耐溶剤層が積
層された側のフィルム面に実施例1と全く同様に、透明
導電層を積層して透明導電フィルムを作成した。この透
明導電フィルムの波長550nmに於ける光線透過率は
85%で、ヘイズ値は0.5%であった。又、フィルム
上の任意の10点で測定したリタデーション値は7±2
nm、遅相軸のばらつき角度はMD方向を中心に±8度
であった。又、透明導電層表面の表面粗さRaは4.6
nmであった。又、密着性試験結果は100/100で
あり、透明導電層の密着性も良好であった。
【0095】[比較例1]耐溶剤層の樹脂組成を下記の
ように変更した以外は実施例1と全く同様にして積層フ
ィルムを作成した。
【0096】耐溶剤層を形成するための塗液として、ジ
ペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成化
学社製、商品名アロニックスM−400)50重量部、
前記ビニルトリメトキシシランの加水分解液を50重量
部、未加水分解のビニルトリメトキシシラン10重量
部、光開始剤の2ーヒドロキシー2ーメチルー1ーフェ
ニルプロパンー1ーオン(メルク社製、商品名ダロキュ
アー1173)5重量部およびレベリング剤としてシリ
コンオイル(東レ・ダウコーニングシリコン社製、SH
28PA)0.02重量部を混合したものを用いた。
【0097】この塗液を珪素酸化物層上にバーコーター
を用いてコーティングし、60℃で1分間加熱して塗膜
中の残留溶剤を揮発除去した後、160W/cmの高圧
水銀灯を用いて、積算光量700mJ/cm2 の条件で
紫外線を照射して塗膜の硬化を行い、耐溶剤層を形成し
た。
【0098】こうして得られた積層フィルムは、密着
性、耐溶剤性、ガスバリア性においては実施例1記載の
積層フィルムとほぼ同様の優れた物性を示した。しかし
ながら、この積層フィルムのカール値は−16mmと大
きなものであり、使用は困難であった。
【0099】[比較例2]耐溶剤層を下記の硬化樹脂層
に変更した以外は実施例1と全く同様にして積層フィル
ムを作成した。耐溶剤層を形成するための塗液として、
市販の熱硬化型シリコン系ハードコート剤(日本精化社
製、商品名NSC−3456−1)を用い、前記珪素酸
化物層上にバーコーターを用いてコーティングし、13
0℃で3分間熱処理を行って層を硬化させ、膜厚4μm
の硬化樹脂層を得た。
【0100】こうして得られた積層フィルムは、密着
性、耐溶剤性、ガスバリア性においては実施例1記載の
積層フィルムとほぼ同様の優れた物性を示した。
【0101】しかしながら、この積層フィルムのカール
値は−23mmと大きなものであり、使用は困難であっ
た。
【0102】
【発明の効果】以上、本発明は、透明導電フィルムにお
いて、ガスバリア層に金属酸化物を用い、この層の上に
特定のアクリル系樹脂と特定のアルコキシシランの加水
分解物と混合した樹脂組成物の硬化層からなる耐溶剤層
を設けることにより、優れた透明性、光学等方性、平滑
性、耐溶剤性、ガスバリア性を保持しつつ、カールが少
なく、耐久試験後も含めた層間の密着性に優れた透明導
電フィルムを実現するもので、且つ積層フィルムでのカ
ールも少なく、製造面でのカールに伴う障害もなく、生
産性に優れるという効果を奏するものである。
【0103】そして、本発明はこの優れた特性から、液
晶表示パネルの透明電極基板として用いた時に、カー
ル、密着性不良に基づく組み立て工程での障害がなく、
更にはカールによる表示品位の低下が無く、前記優れた
諸特性がそのまま発現した表示品位に優れ、機械的、熱
的および溶剤の影響を受けても、その表示品質に劣化を
起こさい、高信頼性の液晶表示パネルを実現する効果を
奏するもので、液晶表示パネルの他、エレクトロルミネ
ッセンスパネル、エレクトロクロミックパネル、透明面
発熱体、透明タッチパネル等の透明電極基板に広く適用
できるものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08J 7/06 CFD C08J 7/06 CFDB C08L 33/08 LHZ C08L 33/08 LHZ 83/07 LRM 83/07 LRM H01B 5/14 H01B 5/14 A 13/00 503 13/00 503A // C09D 4/00 PDQ C09D 4/00 PDQ 4/02 PDR 4/02 PDR

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラスチックフィルムのいずれかの面に
    少なくともガスバリア層、耐溶剤層、透明導電層を有
    し、透明導電層が最外層に積層されている透明導電フィ
    ルムにおいて、ガスバリア層が金属酸化物からなる層で
    あり、耐溶剤層が下記の一般式(1)で表されるアクリ
    ル系樹脂と、下記の一般式(2)で表されるアルコキシ
    シランの加水分解物又は/及び下記の一般式(3)で表
    されるアルコキシシランの加水分解物とを混合した樹脂
    組成物の硬化層であり、ガスバリア層上に直接設けられ
    ていることを特徴とする透明導電フィルム。 【化1】 【化2】 R1 ーSi(OR2 3 ・・・(2) Si(OR2 4 ・・・(3) (上記一般式(2)、(3)において、R1 はビニル
    基、アクリロイル基、メタクリロイル基、アミノ基もし
    くはエポキシ基を含む有機基、メチル基又はエチル基
    を、R2 はメチル基又はエチル基を示す)
  2. 【請求項2】 前記アクリル系樹脂(A)と前記アルコ
    キシシランの加水分解物(B)との混合比が、固形分の
    重量比率でA:B=20:1〜1:1の範囲である請求
    項1に記載の透明導電フィルム。
  3. 【請求項3】 プラスチックフィルムに前記ガスバリア
    層と前記耐溶剤層を積層した積層フィルムの耐溶剤層側
    の密着性が、60℃,90%RHで250時間の湿熱耐
    久試験および90℃,0%RHで250時間の高温耐久
    試験の後の密着性試験(JIS規格5400の碁盤目テ
    ープ法)において残存率100%の密着性である請求項
    1または請求項2記載の透明導電フィルム。
  4. 【請求項4】 前記積層フィルムの熱処理後のカール
    が、10×10cmの正方形のサンプルでのカールの絶
    対値で10mm以内である請求項1〜3に記載のいずれ
    かの透明導電フィルム。
  5. 【請求項5】 前記金属酸化物が珪素酸化物である請求
    項1〜4に記載のいずれかの透明導電フィルム。
  6. 【請求項6】 前記プラスチックフィルムが、溶液流延
    法により成膜した厚さ70〜200μmのプラスチック
    フィルムであり、透明導電フィルムのリタデーション値
    が20nm以下、波長550nmでの光線透過率が80
    %以上である請求項1〜5に記載のいずれかの透明導電
    フィルム。
  7. 【請求項7】 金属酸化物層が積層された面と反対側の
    プラスチックフィルム面に、アンカーコート層、ポリビ
    ニルアルコール系樹脂層、保護層がこの順に積層されて
    いる請求項1〜6に記載のいずれかの透明導電フィル
    ム。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7記載のいずれかの透明導電
    フィルムの製造方法において、耐溶剤層の樹脂組成物を
    ガスバリア層の金属酸化物層上に塗布後、乾燥し、次い
    で放射線で硬化することを特徴とする透明導電フィルム
    の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記金属酸化物層の表面に樹脂組成物の
    濡れ性を良くする表面処理を行った後、樹脂組成物を塗
    布する請求項8記載の透明導電フィルムの製造方法。
  10. 【請求項10】 前記金属酸化物層の表面処理がコロナ
    処理である請求項9記載の透明導電フィルムの製造方
    法。
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