JP2012161994A - ガスバリア性フィルム、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、酸素や水蒸気などのガスバリア性に優れたガスバリアフィルム及びその製造方法を提供することである。
【解決手段】合成樹脂フィルム10上に、蒸着膜20と、ラジカル重合性基を有するアルコキシシラン(A)、ラジカル重合性基を有しないアルコキシシラン(B)、及び水を含む組成物を硬化させてなるガスバリア性樹脂層30とが積層一体化されてなることを特徴とするガスバリア性フィルム。上記ガスバリア性樹脂層30は、アルコキシシラン(A)のラジカル重合体間をアルコキシシラン(B)が架橋するようにして形成された緻密な網目構造を有していることによって、酸素や水蒸気などのガスが透過するのを高く防止することができ且つ優れた強度を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸素や水蒸気などに対するガスバリア性に優れたガスバリア性フィルム、及びその製造方法に関する。
ガスバリア性フィルムは、内容物の品質を変化させる原因となる酸素や水蒸気などの影響を防止するために、食品や医薬品の包装袋に用いられている。また、ガスバリア性フィルムは、太陽電池モジュール、液晶表示パネル、有機EL(エレクトロルミネッセンス )表示パネルなどに使用される素子が、酸素や水蒸気に触れて性能劣化するのを防止するために、製品構成体の一部として或いはそれら素子のパッケージ材料としても用いられている。
このようなガスバリア性フィルムとして、ポリビニルアルコールフィルムやエチレンビニルアルコール共重合体フィルムも用いられているが、これらは水蒸気バリア性が不充分であり、高湿度条件下においては酸素バリア性が低下するといった問題点を有している。
そこで、プラスチックシート上に、酸化ケイ素や酸化アルミニウムなどの金属酸化物の蒸着層と、シランカップリング剤及び合成樹脂若しくは合成樹脂のモノマーを含む組成物を硬化させてなるガスバリア性樹脂層とが積層一体化されたガスバリア性フィルムが提案されている(例えば、特許文献1〜3)。
特許第3403882号公報 特許第3974219号公報 特開2010−677号公報
しかしながら、特許文献1〜3で開示されるガスバリア性フィルムでは、ガスバリア性樹脂層を用いて多層化することによりガスバリア性の向上を図っているのみであり、またガスバリア性樹脂層に用いられるシランカップリング剤はガスバリア性樹脂層とこれと隣接する他の層との接着性の向上を図ったにすぎない。このため、特許文献1〜3のガスバリア性フィルムでは依然として酸素や水蒸気などのガスバリア性が不充分であるといった問題点を有している。
したがって、本発明の目的は、酸素や水蒸気などに対するガスバリア性に優れたガスバリアフィルム及びその製造方法を提供することである。
本発明のガスバリア性フィルムは、合成樹脂フィルム上に、蒸着膜と、ラジカル重合性基を有するアルコキシシラン(A)、ラジカル重合性基を有しないアルコキシシラン(B)、及び水を含む組成物を硬化させてなるガスバリア性樹脂層とが積層一体化されてなることを特徴とする。
また、本発明のガスバリア性フィルムの製造方法は、
合成樹脂フィルム上に、蒸着膜を積層一体化する工程と、
上記蒸着膜に、ラジカル重合性基を有するアルコキシシラン(A)、ラジカル重合性基を有しないアルコキシシラン(B)、及び水を含む組成物を塗布した後、塗布した上記組成物に活性エネルギー線を照射することによって上記アルコキシシラン(A)のラジカル重合を行った後又はラジカル重合を行いながら、上記ラジカル重合により得られたラジカル重合体が有するアルコキシ基と上記アルコキシシラン(B)が有するアルコキシ基とを加水分解及び脱水縮合反応させることによりガスバリア性樹脂層を形成する工程と、
を有することを特徴とする。
さらに、本発明のガスバリア性フィルムの製造方法は、
合成樹脂フィルム上に、ラジカル重合性基を有するアルコキシシラン(A)、ラジカル重合性基を有しないアルコキシシラン(B)、及び水を含む組成物を塗布した後、塗布した上記組成物に活性エネルギー線を照射することによって上記アルコキシシラン(A)のラジカル重合を行った後又はラジカル重合を行いながら、上記ラジカル重合により得られたラジカル重合体が有するアルコキシ基と上記アルコキシシラン(B)が有するアルコキシ基とを加水分解及び脱水縮合反応させることによりガスバリア性樹脂層を形成する工程と、
上記ガスバリア性樹脂層に、蒸着膜を積層一体化する工程と、
を有することを特徴とする。
本発明のガスバリア性フィルムに用いられるガスバリア性樹脂層は、アルコキシシラン(A)のラジカル重合体が単に形成されているだけでなく、このラジカル重合体間を架橋するようにアルコキシシラン(B)の脱水縮合物が形成されていることによって緻密な網目構造を有している。このようなガスバリア性樹脂層は、アルコキシシラン(A)のラジカル重合体間をアルコキシシラン(B)が架橋するようにして形成された緻密な網目構造を有していることによって、酸素や水蒸気などのガスの透過を高く防止することができ且つ優れた強度を有する。したがって、上記ガスバリア性樹脂層をガスバリア性フィルムに用いることにより、ガスバリア性フィルムのガスバリア性及び強度を向上させることが可能となる。
本発明の一実施形態であるガスバリア性フィルムの模式断面図を示す。 本発明の他の一実施形態であるガスバリア性フィルムの模式断面図を示す。
本発明のガスバリア性フィルムは、合成樹脂フィルムの上に、蒸着膜と、ガスバリア性樹脂層とが積層一体化されてなるものである。
[ガスバリア性樹脂層]
本発明のガスバリア性フィルムに用いられるガスバリア性樹脂層は、ラジカル重合性基を有するアルコキシシラン(A)、ラジカル重合性基を有しないアルコキシシラン(B)、及び水を含む組成物を硬化させることにより得られるものである。
(アルコキシシラン(A))
ガスバリア性樹脂層に用いられるアルコキシシラン(A)はラジカル重合性基を有するものである。
本発明において、ラジカル重合性基は、ラジカルによって付加重合することが可能な基を意味する。このようなラジカル重合性基としては、不飽和二重結合を有している基が挙げられ、具体的には、アリル基、イソプロペニル基、マレオイル基、スチリル基、ビニルベンジル基、(メタ)アクリロキシ基、(メタ)アクリロキシアルキル基及びビニル基などが挙げられる。なお、(メタ)アクリロキシとは、アクリロキシ又はメタクリロキシを意味する。
アルコキシシラン(A)が有するラジカル重合性基としては、(メタ)アクリロキシアルキル基、及びビニル基が好ましく挙げられる。(メタ)アクリロキシアルキル基、又はビニル基を有するアルコキシシラン(A)は、ラジカル重合反応性に優れ高度に重合することができることから、緻密な網目構造を形成してガスバリア性に優れるガスバリア性樹脂層を形成することができる。アルコキシシラン(A)は、1個のラジカル重合性基を有しているのが好ましい。
ラジカル重合性基を有するアルコキシシラン(A)としては、下記式(1)で示されるアルコキシシランが好ましく挙げられる。
Figure 2012161994

(式中、R1は炭素数4〜9の(メタ)アクリロキシアルキル基又はビニル基を表し、R2はアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1〜8のアルキル基を表し、R3は炭素数1〜4のアルキル基を表し、且つnは0又は1である。)
上記式(1)のR1において、炭素数4〜9の(メタ)アクリロキシアルキル基としては、(メタ)アクリロキシメチル基、2−(メタ)アクリロキシエチル基、及び3−(メタ)アクリロキシプロピル基などが好ましく挙げられる。
また、上記式(1)のR2は炭素数1〜8のアルキル基であり、このようなアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。また、上記アルキル基はアルコキシ基で置換されていてもよい。アルコキシ基で置換されている炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メトキシメチル基、2−メトキシエチル基、2−エトキシエチル基などが好ましく挙げられる。
式(1)で示されるアルコキシシランとして具体的には、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−アクリロキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクリロキシプロピル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリメトキシシラン、及びビニルトリエトキシシランが挙げられる。これらのアルコキシシラン(A)は一種単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。なかでも、ラジカル重合反応性に優れることから、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましく挙げられる。
(アルコキシシラン(B))
ガスバリア性樹脂層に用いられるアルコキシシラン(B)は、ラジカル重合性基を有しないものである。
このようなアルコキシシラン(B)としては、下記一般式(2)で示されるアルコキシシランが好ましく用いられる。
Figure 2012161994

(式中、R及びRはそれぞれ炭素数1〜8のアルキル基を表し、mは0〜2の整数である。)
上記式(2)のR及びRは、炭素数1〜8のアルキル基であり、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。R及びRとしては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、及びブチル基が挙げられる。mは0であるのが好ましい。
上記一般式(2)で示されるアルコキシシラン(B)は、後述するように、アルコキシシラン(A)のラジカル重合により得られる重合体の主鎖間に架橋構造を付与することができ、得られるガスバリア性樹脂層のガスバリア性を向上させることができる。
なかでもアルコキシシラン(B)としては、アルコキシシラン(A)の重合体の主鎖間に緻密な架橋構造を均一に形成することができることから、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、及びテトラブトキシシランが好ましく挙げられ、テトラエトキシシランがより好ましく挙げられる。これらのアルコキシシラン(B)は一種単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
ガスバリア性樹脂層を形成するための組成物におけるアルコキシシラン(B)の含有量としては、アルコキシシラン(A)100重量部に対して、5〜200重量部が好ましく、10〜150重量部がより好ましく、40〜100重量部が特に好ましい。組成物におけるアルコキシシラン(B)の含有量が少な過ぎると、アルコキシシラン(A)の重合体の主鎖間に十分な架橋構造を形成できず、十分なガスバリア性を有するガスバリア性樹脂層を形成できない虞れがある。また、組成物におけるアルコキシシラン(B)の含有量が多過ぎると、得られるガスバリア性樹脂層が白色となって透明性が低下する虞れがある。
(多官能(メタ)アクリレート(C))
ガスバリア性樹脂層を形成するために用いられる組成物は、上述したアルコキシシラン(A)及びアルコキシシラン(B)の他に、多官能(メタ)アクリレート(C)をさらに含んでいるのが好ましい。多官能(メタ)アクリレート(C)は、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートを意味する。また、多官能(メタ)アクリレート(C)はケイ素原子を含んでいない。上記組成物が多官能(メタ)アクリレート(C)をさらに含んでいる場合、活性エネルギー線の照射によってアルコキシシラン(A)と多官能(メタ)アクリレート(C)とがラジカル重合することにより共重合体が形成される。このような多官能(メタ)アクリレート(C)を用いることによって、ガスバリア性や強度に優れるガスバリア性樹脂層を短時間で形成することができる。なお、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。また、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
多官能(メタ)アクリレート(C)としては、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの2官能(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能(メタ)アクリレート;テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの6官能(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なかでも、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。これらの多官能(メタ)アクリレート(C)は、単独で用いられてもよく、二種以上を併用してもよい。
ガスバリア性樹脂層を形成するための組成物における多官能(メタ)アクリレート(C)の含有量は、アルコキシシラン(A)100重量部に対して、5〜200重量部が好ましく、10〜150重量部がより好ましく、20〜100重量部が特に好ましい。組成物における多官能(メタ)アクリレート(C)の含有量が少な過ぎると、多官能(メタ)アクリレート(C)を用いることによって得られる効果が十分ではない虞れがある。また、組成物における多官能(メタ)アクリレート(C)の含有量が多すぎると、得られるガスバリア性樹脂層の水蒸気透過性が低下する虞れがある。
(単官能(メタ)アクリレート(D))
ガスバリア性樹脂層を形成するために用いられる組成物は、上述したアルコキシシラン(A)及びアルコキシシラン(B)の他に、単官能(メタ)アクリレート(D)をさらに含んでいるのが好ましい。単官能(メタ)アクリレート(D)は、1分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートを意味する。また、単官能(メタ)アクリレート(D)はケイ素原子を含んでいない。上記組成物が単官能(メタ)アクリレート(D)をさらに含んでいる場合、活性エネルギー線の照射によってアルコキシシラン(A)及び単官能(メタ)アクリレート(D)、並びに必要に応じて多官能(メタ)アクリレート(C)がラジカル重合することにより共重合体が形成される。このような単官能(メタ)アクリレート(D)を用いることによって、得られるガスバリア性樹脂層のガスバリア性を向上できると共に、上記ガスバリア性樹脂層にその強度を低下させずに適度な柔軟性を付与することができる。
単官能(メタ)アクリレート(D)としては、炭素数1〜12のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及び2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。なかでも、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。
ガスバリア性樹脂層を形成するための組成物における単官能(メタ)アクリレート(D)の含有量は、アルコキシシラン(A)100重量部に対して、50〜150重量部が好ましく、80〜100重量部がより好ましい。組成物における単官能(メタ)アクリレート(D)の含有量が少な過ぎると、単官能(メタ)アクリレート(D)を用いることによって得られる効果が十分ではない虞れがある。また、組成物における単官能(メタ)アクリレート(D)の含有量が多すぎると、得られるガスバリア性樹脂層の強度が低下する虞れがある。
(水)
また、ガスバリア性樹脂層を形成するための組成物は、上述したアルコキシシラン(A)及びアルコキシシラン(B)の他に水を含む。水を含むことによって、アルコキシシラン(A)のラジカル重合体が有するアルコキシ基とアルコキシシラン(B)が有するアルコキシ基との加水分解反応及び脱水縮合反応を促進させて、アルコキシシラン(A)のラジカル重合体の主鎖間にアルコキシシラン(B)が架橋した網目構造を形成することが可能となる。
ガスバリア性樹脂層を形成するための組成物における水の含有量は、アルコキシシラン(A)100重量部に対して、0.5〜40重量部が好ましく、1〜30重量部がより好ましく、1〜5重量部が特に好ましい。組成物における水の含有量が少な過ぎると、アルコキシシラン(B)が有するアルコキシ基の加水分解反応及び脱水縮合反応を十分に進行させるのに過度の時間が必要となり、ガスバリア性フィルムの製造効率が低下する虞れがある。また、組成物における水の含有量が多過ぎると、過剰に存在する水がアルコキシシラン(A)の重合反応を阻害する虞れがある。
ガスバリア性樹脂層の厚みは、0.01〜100μmが好ましく、0.1〜50μmがより好ましく、1〜10μmが特に好ましい。厚みが0.01μm未満であるガスバリア性樹脂層では十分なガスバリア性を有していない虞れがある。また、厚みが100μmを超えるガスバリア性樹脂層では、剛性が高くなり過ぎてガスバリア性フィルムの取扱性を低下させる虞れがある。
[蒸着膜]
本発明のガスバリア性フィルムに用いられる蒸着膜を構成している材料としては、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化窒化ケイ素、炭化窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、窒化チタンなどが挙げられ、酸化ケイ素、酸化アルミニウムが好ましく、酸化ケイ素がより好ましい。
酸化ケイ素からなる蒸着膜は、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ナトリウム、チタン、ジルコニウム、イットリウムなどの金属や、炭素、ホウ素、窒素、フッ素などの非金属原子を含んでいてもよい。
蒸着膜は、単一層であっても、バリア性を向上させるために複数層を積層一体化させたものであってもよい。蒸着膜が複数層を積層一体化させてなるものである場合、各層を構成している材料は、同種類であっても異種類であってもよい。
蒸着膜の厚みが薄過ぎると、酸素や水蒸気に対して十分なバリア性を有するガスバリア性フィルムを提供できない虞れがある。また、蒸着膜の厚みが厚過ぎると蒸着膜を形成する際に合成樹脂フィルムやガスバリア性樹脂層などの隣接する層との間における収縮率の差に起因してクラックが生じ易くなり、ガスバリア性フィルムの酸素や水蒸気に対するバリア性が低下する虞れがある。したがって、蒸着膜の厚みは、5nm〜5μmが好ましく、5nm〜100nmがより好ましく、10nm〜30nmが特に好ましい。
[合成樹脂フィルム]
本発明のガスバリア性フィルムに用いられる合成樹脂フィルムの材料は、ガスバリア性フィルムが用いられる用途に応じて決定すればよいが、透明な熱可塑性樹脂が好ましく用いられる。透明な熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ポリオキシメチレンなどのポリエーテル系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6などのポリアミド系樹脂;ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物などのビニル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリイミド;ポリエーテルイミド;ポリエーテルスルフォン;ポリスルフォン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルケトンケトンなどが使用できる。これらの熱可塑性樹脂は、単独重合体であっても共重合体であってもよい。また、これらの熱可塑性樹脂は、単独で用いられてもよく、二種以上を併用することもできる。
合成樹脂フィルムには、必要に応じて、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤などの公知の添加剤が含有されていてもよい。また、合成樹脂フィルムの表面に、コロナ処理、オゾン処理、プラズマ処理などの表面改質処理を施して蒸着膜との密着性を向上させてもよい。合成樹脂フィルムの厚みは、3〜300μmが好ましく、12〜300μmがより好ましく、50〜200μmが特に好ましい。
本発明のガスバリア性フィルムでは、合成樹脂フィルム上に、蒸着膜及びガスバリア性樹脂層が積層一体化されている。合成フィルム上での蒸着膜及びガスバリア性樹脂層の積層順序は特に制限されない。例えば、本発明のガスバリア性フィルムでは、図1に示すように、合成樹脂フィルム10上に蒸着膜20及びガスバリア性樹脂層30がこの順で積層一体化されていてもよく、図2に示すように合成樹脂フィルム10上にガスバリア性樹脂層30及び蒸着膜20がこの順で積層一体化されていてもよい。
本発明のガスバリア性フィルムが用いられる用途としては、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装などの用途が挙げられる。また、このような包装用用途の他にも、本発明のガスバリア性フィルムは、太陽電池モジュール、液晶表示パネル、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示パネルなどに使用される素子が、酸素や水蒸気に触れて性能劣化するのを防止するために、製品構成体の一部として或いはそれら素子のパッケージ材料として用いることができる。なかでも、本発明のガスバリア性フィルムは、太陽電池モジュールの裏面側保護シート又は受光面側保護シートとして用いられるのが好ましい。裏面側保護シート及び受光面側保護シートは、太陽電池モジュールにおいて発電素子とエチレン−酢酸ビニル共重合体などの封止樹脂とを保護するために用いられる。
(製造方法)
合成樹脂フィルム上に蒸着膜及びガスバリア性樹脂層がこの順で積層一体化されているガスバリア性フィルムの製造方法としては、下記工程、
合成樹脂フィルムの一方の面に、蒸着膜を積層一体化する工程と、
上記蒸着膜に、ラジカル重合性基を有するアルコキシシラン(A)、ラジカル重合性基を有しないアルコキシシラン(B)、及び水含む組成物を塗布した後、塗布した上記組成物に活性エネルギー線を照射することによって上記アルコキシシラン(A)のラジカル重合を行った後又はラジカル重合を行いながら、これにより得られたラジカル重合体が有するアルコキシ基と上記アルコキシシラン(B)が有するアルコキシ基とを加水分解及び脱水縮合反応させることによりガスバリア性樹脂層を形成する工程と、
を有する方法が用いられる。
また、合成樹脂フィルム上にガスバリア性樹脂層及び蒸着膜が積層一体化されているガスバリア性フィルムの製造方法としては、下記工程、
合成樹脂フィルムの一方の面に、ラジカル重合性基を有するアルコキシシラン(A)、ラジカル重合性基を有しないアルコキシシラン(B)、及び水を含む組成物を塗布した後、塗布した上記組成物に活性エネルギー線を照射することによって上記アルコキシシラン(A)のラジカル重合を行った後又はラジカル重合を行いながら、これにより得られたラジカル重合体が有するアルコキシ基と上記アルコキシシラン(B)が有するアルコキシ基とを加水分解及び脱水縮合反応させることによりガスバリア性樹脂層を形成する工程と、
上記ガスバリア性樹脂層に、蒸着膜を積層一体化する工程と、
を有する方法が用いられる。
本発明のガスバリア性フィルムに用いられるガスバリア性樹脂層は、組成物を合成樹脂フィルム又は蒸着膜上に塗布した後に活性エネルギー線を照射することによって作製されるが、この組成物への活性エネルギー線の照射によってアルコキシシラン(A)が有するラジカル重合性基によってアルコキシシラン(A)のラジカル重合が生じ、これによりアルコキシシラン(A)のラジカル重合体が形成される。
また、ラジカル重合体の形成に用いられるアルコキシシラン(A)は少なくとも一個のアルコキシ基及び/又はアルコキシ基で置換されたアルコキシ基を有することから、アルコキシシラン(A)のラジカル重合体もまた少なくとも一個のアルコキシ基及び/又はアルコキシ基で置換されたアルコキシ基を有している。したがって、ラジカル重合体が有しているアルコキシ基及び/又はアルコキシ基で置換されたアルコキシ基とアルコキシシラン(B)が有しているアルコキシ基とは、組成物に含まれている水によって加水分解してシラノール基をそれぞれ形成した後、これらのシラノール基が脱水縮合する。
ここで、活性エネルギー線の照射により生じるアルコキシシラン(A)のラジカル重合の反応速度は、ラジカル重合体が有しているアルコキシ基及び/又はアルコキシ基で置換されたアルコキシ基とアルコキシシラン(B)が有しているアルコキシ基との加水分解及び脱水縮合の反応速度に対して非常に速いことから、アルコキシシラン(A)のラジカル重合反応が上記加水分解及び脱水縮合の反応よりも優先的に生じて、これにより得られたアルコキシシラン(A)のラジカル重合体が有するアルコキシ基及び/又はアルコキシ基で置換されたアルコキシ基とアルコキシシラン(B)が有するアルコキシ基とが加水分解及び脱水縮合反応することとなる。
また、このようにアルコキシシラン(A)のラジカル重合体を優先的に高分子量化することによって、相互に隣接するラジカル重合体の主鎖同士を近接させた状態とすることができ、このようにラジカル重合体の主鎖同士を近接させた状態で、このラジカル重合体が有するアルコキシ基及び/又はアルコキシ基で置換されたアルコキシ基とアルコキシシラン(B)が有するアルコキシ基との加水分解及び脱水縮合反応を行うことができ、ラジカル重合体の主鎖間をアルコキシシラン(B)が架橋した緻密な網目構造を形成することができる。
このように本発明の方法により形成されるガスバリア性樹脂層には、アルコキシシラン(A)のラジカル重合体が単に形成されているだけでなく、このラジカル重合体の主鎖間を架橋するようにアルコキシシラン(B)の脱水縮合物が形成されていることによって緻密な網目構造が付与されており、このような緻密な網目構造を有するガスバリア性樹脂層は酸素や水蒸気などのガスの透過を高く防止することができ且つ優れた強度を有する。したがって、上記ガスバリア性樹脂層を用いることによってガスバリア性フィルムのガスバリア性及び強度を向上させることができる。
ガスバリア性樹脂層の形成は、上述の通り、合成樹脂フィルム又は蒸着膜上にラジカル重合性基を有するアルコキシシラン(A)、ラジカル重合性基を有しないアルコキシシラン(B)、及び水を含む組成物を塗布した後、塗布した上記組成物に活性エネルギー線を照射することによって上記アルコキシシラン(A)のラジカル重合を行った後又はラジカル重合を行いながら、アルコキシシラン(A)のラジカル重合体が有するアルコキシ基及び/又はアルコキシ基で置換されたアルコキシ基とアルコキシシラン(B)が有するアルコキシ基とを加水分解及び脱水縮合反応させることにより行われる。
ガスバリア性樹脂層を形成するために用いられる組成物は、ラジカル重合性基を有するアルコキシシラン(A)、ラジカル重合性基を有しないアルコキシシラン(B)、及び水を含む。また、上記組成物は、多官能(メタ)アクリレート(C)をさらに含んでいるのが好ましい。なお、組成物におけるアルコキシシラン(A)、アルコキシシラン(B)、多官能(メタ)アクリレート(C)及び水について、さらにはこれらの含有量については上述した通りである。
合成樹脂フィルム又は蒸着膜上に組成物を塗布するには、ロールコーター法、スピンコーター法、ディッピング法、バーコーター法、フローティングナイフコーター法、ダイコーター法、グラビアコーター法、カーテンコーター法、ブレードコーター法、及びスプレー法など公知の方法を用いて行えばよい。
合成樹脂フィルム又は蒸着膜上に塗布した組成物に照射する活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、α線、β線、及びγ線などが挙げられる。なかでもアルコキシシラン(A)のラジカル重合を行うのに十分なエネルギーを有することから、電子線が好ましく挙げられる。
組成物に電子線を照射する場合、電子線の加速電圧は、100〜300kVが好ましく、150〜200kVがより好ましい。また、電子線の照射量は、50〜200kGyが好ましく、100〜175kGyがより好ましい。
本発明の方法では、上述の通りにして、合成樹脂フィルム又は蒸着膜上に塗布した組成物に活性エネルギー線を照射することによって、上記組成物に含まれているアルコキシシラン(A)のラジカル重合を行う。また、上記組成物が多官能(メタ)アクリレート(C)を含んでいる場合には、上記活性エネルギー線の照射によって、アルコキシシラン(A)及び多官能(メタ)アクリレート(C)のラジカル重合を行う。
また、上記組成物には水が含まれていることからアルコキシシラン(A)のラジカル重合の開始と共に又は開始した後に、アルコキシシラン(A)のラジカル重合体が有するアルコキシ基及び/又はアルコキシ基で置換されたアルコキシ基と、アルコキシシラン(B)が有するアルコキシ基との加水分解及び脱水縮合反応、及び、アルコキシシラン(B)が有するアルコキシ基同士の加水分解及び脱水縮合反応が生じる。このような加水分解及び脱水縮合反応を十分に行うためには、合成樹脂フィルム又は蒸着膜上に塗布した組成物に活性エネルギー線を照射した後、上記組成物を塗布した合成樹脂フィルム又は蒸着膜を温度40〜150℃、好ましくは40〜100℃、相対湿度40〜80%、好ましくは50〜70%の環境下に放置するのが好ましい。放置時間は、0.1〜10時間が好ましく、0.5〜3時間がより好ましい。
上記の通り、合成樹脂フィルム又は蒸着膜上に塗布した組成物に活性エネルギー線を照射し、好ましくはこれらを放置することによって合成樹脂フィルム又は蒸着膜上に積層一体化されてなるガスバリア性樹脂層を形成することができる。
また、本発明のガスバリア性フィルムに用いられる蒸着膜を形成する方法としては、例えば、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法などの物理的気相成長法(PVD)や、化学的気相成長法(CVD)などが挙げられ、合成樹脂フィルムやガスバリア性樹脂層への熱の影響を比較的抑えることができ、更に、均一な厚さを有する蒸着膜を形成することができるので、化学的気相成長法(CVD)が好ましい。
蒸着膜は、合成樹脂フィルム又はガスバリア性樹脂層上に直接形成してもよい。また、蒸着膜を合成樹脂フィルム及びガスバリア性樹脂層とは別に作製した後、この蒸着膜を合成樹脂フィルム又はガスバリア性樹脂層上にラミネート用接着剤などを用いて貼着することによって、合成樹脂フィルム又はガスバリア性樹脂層上に蒸着膜を積層一体化してもよい。ラミネート用接着剤としては、公知の接着剤を用いることができ、例えば、2液硬化型ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、及びポリエーテル系接着剤などを用いることができる。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
(実施例1)
合成樹脂フィルムとして透明のポリエチレンテレナフタレートフィルム(厚み75μm)を用意し、RFマグネトロンスパッタにより、上記ポリエチレンテレナフタレートフィルムの温度を60℃に維持した状態でケイ素酸化物からなるターゲットを用いて、上記ポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に酸化ケイ素からなる蒸着膜(厚み20nm)を形成した。
次に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)100重量部、テトラエトキシシラン(B)43.9重量部、トリプロピレングリコールジアクリレート(C)95.1重量部、及び水4.9重量部含むガスバリア性樹脂層形成用組成物を、グラビアコーターにより上記蒸着膜の一面に塗布し、塗布したガスバリア性樹脂層形成用組成物に電子線照射装置(ESI社製 製品名EC300/165/800)を用いて、加速電圧175kV、照射線量150kGyの条件で電子線を照射することによって3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)及びトリプロピレングリコールジアクリレート(C)のラジカル重合を行ってラジカル重合体を形成した後、電子線照射を行ったガスバリア性樹脂層形成用組成物を一面に有する蒸着膜及びポリエチレンテレナフタレートフィルムを45℃、相対湿度65%の環境下に1時間放置することによって、ラジカル重合体における3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)に由来するメトキシ基とテトラエトキシシラン(B)のエトキシ基との加水分解及び脱水縮合反応、及び、テトラエトキシシラン(B)のエトキシ基同士の加水分解及び脱水縮合反応を行うことにより上記ラジカル重合体の主鎖間を架橋するテトラエトキシシラン(B)の脱水縮合物を形成し、蒸着膜の一面に積層一体化されてなるガスバリア性樹脂層(厚み5μm)を得た。これによりポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に蒸着膜及びガスバリア性樹脂層がこの順で積層一体化されてなるガスバリア性フィルムを得た。
(実施例2、4及び5)
ガスバリア性樹脂層形成用組成物に用いられる各成分の含有量を表1に示す通りに変更した以外は、実施例1と同様にしてガスバリア性フィルムを得た。
(実施例3)
合成樹脂フィルムとして透明のポリエチレンテレナフタレートフィルム(厚み75μm)を用意し、RFマグネトロンスパッタにより、上記ポリエチレンテレナフタレートフィルムの温度を60℃に維持した状態でケイ素酸化物からなるターゲットを用いて、上記ポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に酸化ケイ素からなる蒸着膜(厚み20nm)を形成した。
次に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)100重量部、テトラエトキシシラン(B)14.7重量部、トリプロピレングリコールジアクリレート(C)85.3重量部、2−エチルヘキシルアクリレート(D)91.1重量部、及び水2.9重量部含むガスバリア性樹脂層形成用組成物を、グラビアコーターにより上記蒸着膜の一面に塗布し、塗布したガスバリア性樹脂層形成用組成物に電子線照射装置(ESI社製 製品名EC300/165/800)を用いて、加速電圧175kV、照射線量150kGyの条件で電子線を照射することによって3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)、トリプロピレングリコールジアクリレート(C)、及び2−エチルヘキシルアクリレート(D)のラジカル重合を行ってラジカル重合体を形成した後、電子線照射を行ったガスバリア性樹脂層形成用組成物を一面に有する蒸着膜及びポリエチレンテレナフタレートフィルムを45℃、相対湿度65%の環境下に1時間放置することによって、ラジカル重合体における3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)に由来するメトキシ基とテトラエトキシシラン(B)のエトキシ基との加水分解及び脱水縮合反応、及び、テトラエトキシシラン(B)のエトキシ基同士の加水分解及び脱水縮合反応を行うことにより上記ラジカル重合体の主鎖間を架橋するテトラエトキシシラン(B)の脱水縮合物を形成し、蒸着膜の一面に積層一体化されてなるガスバリア性樹脂層(厚み5μm)を得た。これによりポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に蒸着膜及びガスバリア性樹脂層がこの順で積層一体化されてなるガスバリア性フィルムを得た。
(比較例1)
合成樹脂フィルムとして透明のポリエチレンテレナフタレートフィルム(厚み75μm)を用意し、RFマグネトロンスパッタにより、上記ポリエチレンテレナフタレートフィルムの温度を60℃に維持した状態でケイ素酸化物からなるターゲットを用いて、上記ポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に酸化ケイ素からなる蒸着膜(厚み20nm)を形成した。
次に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)100重量部、トリプロピレングリコールジアクリレート(C)250重量部、及び水2.9重量部含むガスバリア性樹脂層形成用組成物を、グラビアコーターにより上記蒸着膜の一面に塗布し、塗布したガスバリア性樹脂層形成用組成物に電子線照射装置(ESI社製 製品名EC300/165/800)を用いて、加速電圧175kV、照射線量150kGyの条件で電子線を照射することによって3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)及びトリプロピレングリコールジアクリレート(C)のラジカル重合を行ってラジカル重合体を形成した後、電子線照射を行ったガスバリア性樹脂層形成用組成物を一面に有する蒸着膜及びポリエチレンテレナフタレートフィルムを45℃、相対湿度65%の環境下に1時間放置することによって、ラジカル重合体における3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)に由来するメトキシ基同士の加水分解及び脱水縮合反応を行うことにより、蒸着膜の一面に積層一体化されてなるガスバリア性樹脂層(厚み5μm)を得た。これによりポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に蒸着膜及びガスバリア性樹脂層がこの順で積層一体化されてなるガスバリア性フィルムを得た。
(比較例2)
合成樹脂フィルムとして透明のポリエチレンテレナフタレートフィルム(厚み75μm)を用意し、RFマグネトロンスパッタにより、上記ポリエチレンテレナフタレートフィルムの温度を60℃に維持した状態でケイ素酸化物からなるターゲットを用いて、上記ポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に酸化ケイ素からなる蒸着膜(厚み20nm)を形成した。
次に、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)100重量部、トリプロピレングリコールジアクリレート(C)20重量部、2−エチルヘキシルアクリレート(D)100重量部、及び水2.9重量部含むガスバリア性樹脂層形成用組成物を、グラビアコーターにより上記蒸着膜の一面に塗布し、塗布したガスバリア性樹脂層形成用組成物に電子線照射装置(ESI社製 製品名EC300/165/800)を用いて、加速電圧175kV、照射線量150kGyの条件で電子線を照射することによって3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)、トリプロピレングリコールジアクリレート(C)及び2−エチルヘキシルアクリレート(D)のラジカル重合を行ってラジカル重合体を形成した後、電子線照射を行ったガスバリア性樹脂層形成用組成物を一面に有する蒸着膜及びポリエチレンテレナフタレートフィルムを45℃、相対湿度65%の環境下に1時間放置することによって、ラジカル重合体における3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(A)に由来するメトキシ基同士の加水分解及び脱水縮合反応を行うことにより、蒸着膜の一面に積層一体化されてなるガスバリア性樹脂層(厚み5μm)を得た。これによりポリエチレンテレナフタレートフィルムの一面に蒸着膜及びガスバリア性樹脂層がこの順で積層一体化されてなるガスバリア性フィルムを得た。
(評価)
上記で得られたガスバリア性フィルムの水蒸気透過率及び全光線透過率を下記手順に従って測定した。結果を表1に示す。
(水蒸気透過率)
ガスバリア性フィルムの水蒸気透過率を、JIS K7126(差圧法)に準拠した差圧式のガスクロマトグラフ法によって、ガス・蒸気透過率測定装置(GTRテック社製 装置名GTR−300XASC)を用いて、温度40℃、相対湿度90%の条件下で測定した。
(全光線透過率)
ガスバリア性フィルムの全光線透過率を、JIS K7105に準拠し、ヘーズ測定器(日本電色工業(株)製 濁度計NDH2000)を用いて行った。
Figure 2012161994
10 合成樹脂フィルム
20 蒸着膜
30 ガスバリア性樹脂層

Claims (5)

  1. 合成樹脂フィルム上に、蒸着膜と、ラジカル重合性基を有するアルコキシシラン(A)、ラジカル重合性基を有しないアルコキシシラン(B)、及び水を含む組成物を硬化させてなるガスバリア性樹脂層とが積層一体化されてなることを特徴とするガスバリア性フィルム。
  2. 組成物が、多官能(メタ)アクリレートを含むことを特徴とする請求項1に記載のガスバリア性フィルム。
  3. 合成樹脂フィルム上に、蒸着膜を積層一体化する工程と、
    上記蒸着膜に、ラジカル重合性基を有するアルコキシシラン(A)、ラジカル重合性基を有しないアルコキシシラン(B)、及び水を含む組成物を塗布した後、塗布した上記組成物に活性エネルギー線を照射することによって上記アルコキシシラン(A)のラジカル重合を行った後又はラジカル重合を行いながら、上記ラジカル重合により得られたラジカル重合体が有するアルコキシ基と上記アルコキシシラン(B)が有するアルコキシ基とを加水分解及び脱水縮合反応させることによりガスバリア性樹脂層を形成する工程と、
    を有することを特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法。
  4. 合成樹脂フィルム上に、ラジカル重合性基を有するアルコキシシラン(A)、ラジカル重合性基を有しないアルコキシシラン(B)、及び水を含む組成物を塗布した後、塗布した上記組成物に活性エネルギー線を照射することによって上記アルコキシシラン(A)のラジカル重合を行った後又はラジカル重合を行いながら、上記ラジカル重合により得られたラジカル重合体が有するアルコキシ基と上記アルコキシシラン(B)が有するアルコキシ基とを加水分解及び脱水縮合反応させることによりガスバリア性樹脂層を形成する工程と、
    上記ガスバリア性樹脂層に、蒸着膜を積層一体化する工程と、
    を有することを特徴とするガスバリア性フィルムの製造方法。
  5. 組成物が、多官能(メタ)アクリレートを含んでいることを特徴とする請求項3又は4に記載のガスバリア性フィルムの製造方法。
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