JP2006021510A - 積層フィルム - Google Patents

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JP2006021510A JP2004203986A JP2004203986A JP2006021510A JP 2006021510 A JP2006021510 A JP 2006021510A JP 2004203986 A JP2004203986 A JP 2004203986A JP 2004203986 A JP2004203986 A JP 2004203986A JP 2006021510 A JP2006021510 A JP 2006021510A
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貴俊 坂口
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協 西村
Tetsuya Okabe
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Abstract

【課題】 ガスバリア性(特に、水蒸気バリア性)が高く、高温で処理しても、基材フィルムと無機質層やバリア層との密着性の低下を抑制できる積層フィルムを(ガスバリア性フィルム)を提供する。
【解決手段】 ポリエチレンテレフタレートフィルムなどの基材フィルムと、この基材フィルムの少なくとも一方の面に形成され、少なくともアルミニウム成分で構成された無機質層と、この無機質層に形成され、(a1)アミノ基を有する化合物、および(a2)この化合物(a1)のアミノ基に対して反応可能な官能基を有する化合物の反応生成物(A)で構成されたバリア層とで積層フィルムを構成する。前記反応生成物(A)は、(a1)ポリアルキレンイミンなどのアミノ基を有する化合物と、(a2)この化合物のアミノ基に対して反応可能な官能基および加水分解縮合性基を有する有機金属化合物と、有機ケイ素化合物(a3)とを縮合成分とする縮合物であってもよい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、水蒸気や酸素などに対するガスバリア性に優れ、食品などの包装フィルムとして好適な積層フィルム(ガスバリア性フィルム)に関する。
食品、医薬品、精密電子部品などに用いられる包装フィルムは、内容物の視認性や美観性などのために、高い透明性が要求されると共に、内容物の吸湿や酸化などによる変質などを防止するため、高いガスバリア性が必要とされる。また、近年、電子レンジの普及に伴い、調理済みまたは半調理食品(以下、調理食品と総称する)が、包装されたまま電子レンジで加熱される場合がある。また、前記調理食品は、包装後にレトルト処理される場合も多い。そのため、このような包装フィルムには、レトルト処理や電子レンジでの加熱に対する耐性が要求される場合もある。
このような包装フィルムとして、特開平1−202435号公報(特許文献1)や特開平1−202436号公報(特許文献2)には、基材フィルムの表面に、ケイ素酸化物の蒸着層と、ヒートシール層又は保護層とを形成した電子レンジ用包装材料やレトルト食品用包装材料が開示されている。これらの文献には、前記ヒートシール層は、ポリプロピレンなどのヒートシール性樹脂フィルムのラミネート層で構成され、前記保護層は、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのフィルムのラミネート層や、熱硬化性樹脂のコーティング層で構成できることが記載されている。しかし、このようなフィルムでは、可撓性に乏しく、ケイ素酸化物の蒸着層が破れやすいため、ガスバリア性能が低下しやすい。
また、特開平7−285191号公報(特許文献3)や特許第3219570号公報(特許文献4)には、基材フィルム層(1)の少なくとも一方の面が、透明性を有する無機質層(2)を介して、バリア性樹脂コーティング層で被覆されているとともに、このバリア性樹脂コーティング層がヒートシール層で被覆されているガスバリア性包装材料が開示されている。これらの文献には、バリア性樹脂コーティング層を、塩化ビニリデン系共重合体やエチレン−ビニルアルコール系共重合体などで構成できることが記載されている。
さらに、特開平8−309913号公報(特許文献5)には、基材フィルム層の少なくとも一方の面が、ケイ素酸化物などで構成されている無機質薄膜層を介して、シランカップリング剤を含むバリア性樹脂層で被覆されているバリア性複合フィルムが開示されている。この文献には、シランカップリング剤として、ハロゲン含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤(3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランなど)、アミノ基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤、ビニル基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤などを使用できることが記載されている。また、この文献では、バリア性樹脂層を構成する好ましい樹脂として、塩化ビニリデン共重合体やエチレン−ビニルアルコール共重合体を例示している。
しかし、このようなフィルムでは、塩化ビニリデン系樹脂を使用すると、可燃ゴミとして処分すると環境を汚染する可能性があり、また、エチレン−ビニルアルコール系共重合体を使用すると、水蒸気バリア性を向上することが困難である。
一方、特許第3119113号公報(特許文献6)には、ポリエチレンイミンなどの分子内に1級および/または2級アミノ基を有する高分子有機化合物(A)と、前記アミノ基と反応し得る官能基を有する化合物(B)と、有機シラン化合物(C)および/またはその加水分解縮合物と、アルコールとを含有する表面被覆用組成物で樹脂成形体表面を被覆した表面処理樹脂成形体が開示されている。この文献には、(i)前記成形体として、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性プラスチックフィルムを使用できること、(ii)表面処理樹脂成形体の処理面に、金属又は金属酸化物蒸着層を積層してもよいこと、(iii)表面処理樹脂成形体の処理面又は上記蒸着層の上に、ヒートシール性、印刷性、安全性などの性能を付与するため、熱可塑性樹脂を積層できることなどが記載されている。そして、具体的な上記態様(iii)として、実施例10において、表面被覆フィルムに一酸化ケイ素を蒸着したPETフィルムの蒸着層に、接着剤を塗布し、乾燥後、厚さ50μmのポリプロピレンフィルムを貼り合わせたこと、このフィルムの酸素透過度が0.4cc/m2・24hrs・atmであったことが記載されている。
また、特開2003−128121号公報(特許文献7)には、ポリエステル、ポリオレフィンまたはポリアミドからなる成形体(A)表面の少なくとも一部に、活性水素が結合した窒素原子を分子内に有する有機化合物(I)と前記活性水素と反応しうる官能基を有する有機化合物(II)とを反応させて得られた組成物を用いたガスバリア層(B)および金属層または金属酸化物層(C)が形成された包装材料であって、40℃、90%RHでの水蒸気透過度が5g/m2・24時間である包装材料が開示されている。この文献には、上記包装材料の具体例として、実施例では、前記のような組成のガスバリア性組成物を、PETフィルム(厚さ12μm)の片面に、厚み1μmで塗布し、乾燥し、熟成した後、ケイ素酸化物を厚み500Åで蒸着して包装材料用フィルムを得たこと(実施例1および2)、この包装材料用フィルムにドライラミネート法により厚さ40μmの無延伸ポリプロピレンを積層したこと(実施例3および4)が記載されている。なお、実施例1及び2で得られたフィルムの水蒸気透過度(単位:g/m2・24時間)は、それぞれ、1.9、0.6であったことが記載されている。
しかし、これらの文献(特許文献6および7)のフィルム、すなわち、シリカを蒸着した基材フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)に、前記組成物(表面被覆用組成物)をオーバーコートしたフィルムでは、初期の密着性は発現するものの、熱処理後(例えば、熱水、90℃でのボイル処理後)の密着性が低下するため、このような熱処理後の密着性が要求される用途において使用することは困難である。
特開平1−202435号公報(特許請求の範囲) 特開平1−202436号公報(特許請求の範囲) 特開平7−285191号公報(特許請求の範囲) 特許第3219570号公報(特許請求の範囲) 特開平8−309913号公報(特許請求の範囲、段落番号[0027]) 特許第3119113号公報(特許請求の範囲、段落番号[0023]、[0026]、[0027]、実施例) 特開2003−128121号公報(特許請求の範囲、実施例)
従って、本発明の目的は、高温で処理(例えば、ボイル)しても、基材フィルムと無機質層やバリア層との密着性を高いレベルで維持できる積層フィルム(包装用フィルム)を提供することにある。
本発明の他の目的は、ガスバリア性(特に、水蒸気バリア性)が高く、高温で処理しても、基材フィルムと無機質層やバリア層との密着性の低下を抑制できる非塩素系の積層フィルムを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、基材フィルムと、この基材フィルムに形成された無機質層に、(a1)アミノ基を有する化合物と、(a2)この化合物(a1)のアミノ基に対して反応可能な官能基を有する化合物との反応生成物(A)で構成されたバリア層(特に、バリア性コーティング層)を形成するとともに、前記無機質層をアルミニウム酸化物などのアルミニウム成分で構成すると、高温で処理(例えば、ボイル)しても、基材フィルムと無機質層やバリア層との密着性を高いレベルで維持できるとともに、ガスバリア性に優れた非塩素系の積層フィルム(包装用フィルム)が得られることを見いだし、本発明を完成した。
すなわち、本発明の積層フィルム(ガスバリア性積層フィルム)は、基材フィルムと、この基材フィルムの少なくとも一方の面に形成された無機質層と、この無機質層に形成されたバリア層とで構成された積層フィルムであって、前記無機質層が、少なくともアルミニウム成分で構成され、かつ前記バリア層が、(a1)アミノ基を有する化合物と、(a2)この化合物(a1)のアミノ基に対して反応可能な官能基を有する化合物との反応生成物(A)で構成されている。前記基材フィルムは、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などで構成してもよく、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂又はポリアミド系樹脂で構成してもよい。好ましい基材フィルムには、ポリエチレンテレフタレートフィルムなどが含まれる。前記無機質層は、透明性を有し、かつ少なくともアルミニウム酸化物で構成されていてもよい。
前記反応生成物(A)は、化合物(a1)と化合物(a2)との縮合物であってもよく、例えば、(a1)アミノ基を有する化合物と、(a2)この化合物のアミノ基に対して反応可能な官能基および加水分解縮合性基を有する有機金属化合物とを少なくとも縮合成分とする縮合物であってもよい。前記化合物(a1)は、ポリアルキレンイミン(例えば、ポリC2-4アルキレンイミンなど)で構成してもよく、前記化合物(a2)は、エポキシ基を有する加水分解縮合性有機金属化合物(特にアルコキシシラン類)で構成してもよい。前記縮合物が、さらに、前記化合物(a2)の範疇に属さない他の縮合成分(a3)を縮合成分とする縮合物であってもよく、例えば、前記化合物(a1)のアミノ基に対して非反応性の有機ケイ素化合物(有機シラン化合物)を縮合成分とする縮合物であってもよい。このような有機ケイ素化合物(a3)は、テトラアルコキシシラン及び/又はその縮合物(特に、テトラアルコキシシランの縮合物)であってもよい。
代表的な本発明の積層フィルムには、ポリエステル系樹脂又はポリアミド系樹脂で構成され、かつ延伸処理された基材フィルムと、この基材フィルムの少なくとも一方の面に形成され、少なくともアルミニウム酸化物で構成された透明性を有する無機質層と、この無機質層に直接形成されたバリア層とで構成された積層フィルムであって、前記バリア層が、(a1)ポリアルキレンイミンと、(a2)エポキシ基を有するアルコキシシラン類と、(a3)テトラC1-4アルコキシシラン類及び/又はその縮合物(特に、テトラC1-4アルコキシシランの縮合物)とを縮合成分とする縮合物により形成されている積層フィルムなどが含まれる。
本発明の積層フィルムは、さらにヒートシール層が形成されていてもよく、例えば、バリア層に、さらにヒートシール層が形成されていてもよい。
本発明の積層フィルムは、前記のように、高温で処理しても、基材フィルムに対する無機質層やバリア層の密着性を維持できる。例えば、温度90℃の熱水で30分間ボイルした後の基材フィルムに対するバリア層の剥離強度は、100g/15mm以上(例えば、120〜450g/15mm程度)であってもよい。また、本発明の積層フィルムは、ガスバリア性にも優れており、例えば、温度40℃、湿度90%RH雰囲気下での水蒸気透過度は、1.0g/m2・day以下(例えば、0.01〜0.8g/m2・day程度)であってもよい。本発明の代表的な積層フィルムでは、温度40℃、湿度90%RH雰囲気下での水蒸気透過度が、0.55g/m2・day以下(例えば、0.03〜0.55g/m2・day程度)であり、かつ温度90℃の熱水で30分間ボイルした後の基材フィルムに対するバリア層の剥離強度が、150g/15mm以上(例えば、160〜400g/15mm程度)であってもよい。
本発明の積層フィルムは、通常、基材フィルムと、この基材フィルムの少なくとも一方の面に形成され、少なくともアルミニウム成分で構成された無機質層とで構成された複合フィルムの前記無機質層に、(a1)アミノ基を有する化合物と、(a2)この化合物(a1)のアミノ基に対して反応可能な官能基を有する化合物(例えば、有機金属化合物)との反応生成物(A)を含むコーティング液を塗布することにより製造してもよい。
本発明の積層フィルムは、アルミニウム成分で構成された特定の無機質層に、特定の反応生成物(特に、縮合物)を含むバリア層を形成(オーバーコート)するので、高温で処理(例えば、ボイル)しても、基材フィルムと無機質層やバリア層との密着性を高いレベルで維持できる。しかも、本発明の積層フィルムは、非塩素系樹脂(非塩化ビニリデン系樹脂など)で構成でき、ガスバリア性(特に、水蒸気バリア性)が高く、高温で処理しても、基材フィルムと無機質層やバリア層との密着性の低下を抑制できる。そのため、本発明の積層フィルムは、アルミニウム成分(例えば、アルミナ)で構成された無機質層に、特定のバリア層をオーバーコートするため、ボイル処理(例えば、温度90℃程度の熱水で30分間ボイル処理)などの熱処理後であっても、高い密着性を有しており、実用性に耐えうる強さを示す。
本発明の積層フィルムは、基材フィルムと、この基材フィルムの少なくとも一方の面に形成された無機質層と、この無機質層に形成されたバリア層とで構成されている。
[基材フィルム]
基材フィルム(基材フィルム層)を構成する樹脂としては、成膜可能な種々の樹脂、例えば、オレフィン系樹脂[例えば、ポリエチレン系樹脂(ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、アイオノマーなど)、ポリプロピレン系樹脂(例えば、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−ブテン−1共重合体、プロピレン−エチレン−ブテン−1共重合体などのプロピレン含有80重量%以上のプロピレン系樹脂など)、ポリ−4−メチルペンテン−1などのポリオレフィンなど]、ポリエステル系樹脂[例えば、ポリアルキレンテレフタレート(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなど)、ポリアルキレンナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナフタレートなど)などのホモ又はコポリアルキレンアリレート、液晶性ポリエステルなど]、ポリアミド系樹脂(ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン6/66、ナイロン66/610、ナイロンMXDなど)、塩化ビニル系樹脂(ポリ塩化ビニルなど)、塩化ビニリデン系樹脂(ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)、フッ素樹脂(ポリトリフルオロクロロエチレン、フッ化エチレン−プロピレン共重合体など)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体など)、ポリビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)、ポリイミド系樹脂(ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなど)、ポリカーボネート系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン、ポリエーテルスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂(ポリフェニレンスルフィドなど)、セルロース系樹脂(セルロースエステル系樹脂、セロハンなど)、ポリエーテルエーテルケトン、ポリパラキシレン、ポリアクリロニトリル、塩酸ゴム、これらの種々のポリマーの構成成分を含む共重合体などが例示される。これらのポリマーは、単独で又は二種以上組み合わせてもよい。
基材フィルムは単一の基材フィルムであってもよく、複数の層で構成された複合基材フィルム(例えば、紙とプラスチックとのラミネート紙、プラスチックフィルムとアルミニウム箔との積層体、プラスチック同士の積層体など)であってもよい。これらの基材フィルムのうち、非塩素系樹脂、例えば、オレフィン系樹脂(ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂など)、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリC2-4アルキレンアリレート又はコポリエステルなどの芳香族ポリエステル系樹脂)、ポリアミド系樹脂が好ましく、特に、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂又はポリアミド系樹脂(特に、ポリエステル系樹脂)で構成された基材フィルムが好ましい。基材フィルムは、通常、熱可塑性樹脂で構成される場合が多い。
基材フィルムには、必要に応じて、安定化剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、熱安定化剤など)、結晶核剤、難燃剤、難燃助剤、充填剤、可塑剤、耐衝撃改良剤、補強剤、着色剤、分散剤、帯電防止剤、発泡剤、抗菌剤、滑剤(例えば、シリカ系微粉末、アルミナ系微粉末などの無機滑剤、ポリエチレン系微粉末、アクリル系微粉末などの有機滑剤など)、炭化水素系重合体(スチレン系樹脂、テルペン系樹脂、石油樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、クマロンインデン樹脂などのクマロン樹脂、フェノール樹脂、ロジンとその誘導体やそれらの水添樹脂など)、ワックス類(高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸とその塩、高級脂肪酸エステル、鉱物系、植物系などの天然ワックス、ポリエチレンなどの合成ワックスなど)などを添加してもよい。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
基材フィルムは、未延伸フィルムであってもよいが、通常、延伸(一軸又は二軸)されている。延伸フィルムとしては、通常、二軸延伸フィルムを用いる場合が多い。延伸法としては、例えば、ロール延伸、圧延延伸、ベルト延伸、テンター延伸、チューブ延伸や、これらを組み合わせた延伸などの慣用の延伸法が適用できる。延伸倍率は、所望するフィルムの特性に応じて適宜設定でき、例えば、少なくとも一方の方向に1.5〜20倍、好ましくは2〜15倍程度である。
基材フィルムの厚みは、包装適性、機械的強度、可撓性などを考慮して適宜選択でき、通常、5〜200μm、好ましくは7〜100μm、さらに好ましくは8〜50μm、特に、10〜30μm(例えば、10〜25μm)程度であってもよい。
なお、基材フィルムの表面には、コロナ放電やグロー放電などの放電処理、クロム酸処理などの酸処理、焔処理などの表面処理を施してもよい。
また、基材フィルム層の表面には、表面処理に代えて、又は表面処理とともに、下塗層が形成されていてもよい。下塗層は、種々の樹脂、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、光線硬化性樹脂(電子線硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂など)や、カップリング剤で構成することができる。下塗層の成分としては、例えば、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、ニトロセルロースやセルロースアセテートなどのセルロース系ポリマー、ロジン変性マレイン酸樹脂などの熱可塑性樹脂;ウレタン系樹脂、尿素系樹脂、メラミン系樹脂、尿素−メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂などの熱硬化性樹脂;エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどの光硬化性樹脂などが挙げられる。これらの成分は、単独でまたは二種以上組み合わせて用いることができる。下塗層は、汎用の染料または顔料などの着色剤を含有していてもよい。着色剤の含有量は、フィルムの透明性を損なわない範囲で適宜選択され、前記下塗層を構成する樹脂に対して、通常、1〜30重量%程度であってもよい。下塗層の厚さは、特に制限されず、通常、0.1〜5μm程度であってもよい。下塗層の形成方法は特に限定されず、前記下塗層の成分を含む有機又は水性コーティング剤を、ロールコーティング法、グラビアコーティング法、リバースコーティング法、スプレーコーティング法などの慣用のコーティング法により塗布し、乾燥または硬化することによって行なわれる。なお、光硬化性樹脂を用いる場合には、活性光線を照射してもよい。
なお、本発明では、このような下塗層を形成することなく、後述する無機質層を、基材フィルムに対して直接形成してもよい。
また、基材フィルムの光線透過率は、積層フィルムの用途に応じて、透明又は不透明であってもよいが、視認性や美観性が要求される用途の積層フィルムでは、白色光線での全光線透過率が、通常、40%以上(例えば、45〜99%程度)、好ましくは60%以上(例えば、70〜98%程度)、さらに好ましくは80%以上(例えば、85〜95%程度)であってもよい。
[無機質層]
無機質層は、少なくともアルミニウム成分で構成されている。本発明では、このようなアルミニウム成分で構成された無機質層と、後述する特定の成分で構成されたバリア層とを組み合わせることにより、無機質層と基材フィルム及び/又はバリア層との密着性を向上できる。このような無機質層は、基材フィルムの少なくとも一方の面に形成すればよく、基材フィルムの両面に形成してもよい。無機質層は、通常、基材フィルムの一方の面に形成してもよい。なお、無機質層は、透明又は不透明であってもよいが、視認性などが要求される用途の積層フィルムでは、通常、透明性を有している場合が多い。
無機質層を構成するアルミニウム成分は、薄膜(特に、透明性薄膜)を形成できる無機物であるのが好ましく、例えば、アルミニウム単体(金属単体)の他、アルミニウム元素を含む化合物(通常、無機化合物)、例えば、酸化物(アルミニウム酸化物又は酸化アルミニウム)、ハロゲン化物、炭化物、窒化物などが挙げられる。アルミニウム成分は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。これらのアルミニウム成分のうち、アルミニウム単体又はアルミニウム酸化物(特に、少なくともアルミニウム酸化物)により、無機質層が形成されているのが好ましい。
前記アルミニウム成分のなかでも、酸化アルミニウムは透明性やバリア性に優れていることに加えて、緻密な薄膜を形成でき、基材フィルムや後述するバリア層の構成成分との密着性(又は親和性)が高い。そのため、機械的外力が作用しても、無機質層に亀裂や欠陥が生成せず、高いガスバリア性を長期間に亘り維持できる。なお、包装材料(例えば、電磁波加熱用包装材料など)においては、導電率の低いアルミニウム成分、例えば、酸化物、ハロゲン化物、炭化物、窒化物などの非導電性無機物を好適に使用できる。好ましい非導電性アルミニウム成分には、アルミニウム酸化物(又はアルミナ)などが含まれる。
無機質層は、少なくともアルミニウム成分で構成されていればよく、アルミニウム成分単独で構成してもよく、アルミニウム成分に加えて他の無機物(金属成分)を含んでいてもよい。このような無機物(又は第2の金属成分)には、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムなどの周期表2A族元素(金属元素);チタン、ジルコニウム、ルテニウム、ハフニウム、タンタルなどの遷移金属元素;亜鉛などの周期表2B族元素;ガリウム、インジウム、タリウムなどの周期表3B族元素;ケイ素、ゲルマニウム、錫などの周期表4B族元素;セレン、テルルなどの周期表6B族元素などの単体(金属単体)、これらの元素を含む化合物(通常、無機化合物)、例えば、酸化物、ハロゲン化物、炭化物、窒化物などが挙げられる。これらの無機物は、単独で又は二種以上組合せて用いることができる。アルミニウム成分と組みあわせる好ましい無機物には、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどの周期表2A族元素;チタン、ジルコニウム、タンタル、ルテニウムなどの遷移金属元素;亜鉛などの周期表2B族元素;アルミニウム、インジウム、タリウムなどの周期表3B族元素;ケイ素、錫などの周期表4B族元素;セレンなどの周期表6B族元素の単体、またはこれらを含む酸化物が含まれる。特に、アルミニウム成分と、周期表4B族元素(特に、ケイ素)の金属単体又はこれらの酸化物とを組みあわせてもよい。
なお、ケイ素酸化物には、一酸化ケイ素や、二酸化ケイ素のみならず、組成式SiOx(式中、0<x≦2、好ましくは0.8≦x≦1.5)で表されるケイ素酸化物が含まれる。
アルミニウム成分と他の無機物(ケイ素酸化物など)とを組みあわせる場合、他の無機物の割合は、アルミニウム成分100重量部に対して、例えば、1〜200重量部、好ましくは3〜150重量部、さらに好ましくは5〜100重量部(例えば、10〜80重量部)程度であってもよい。
無機質層の厚さは、通常、100〜5000オングストローム(0.01〜0.5μm)、好ましくは200〜3000オングストローム(0.02〜0.3μm)、さらに好ましくは300〜1500オングストローム(0.03〜0.15μm)程度の範囲から選択できる。
[バリア層]
バリア層(バリア性コーティング層)は、前記無機質層に形成すればよく、(a1)アミノ基を有する化合物(以下、アミノ化合物などということがある)と、(a2)この化合物(a1)のアミノ基に対して反応可能な官能基(詳細には、アミノ基と反応して結合形成可能な官能基)を有する化合物との反応生成物(A)で構成されている。本発明では、このような構成のバリア層と、前記アルミニウム成分で構成された無機質層とを組みあわせることにより、ガスバリア性を向上できるとともに、基材フィルムに対する無機質層の密着性および/または無機質層に対するバリア層の密着性を向上できる。特に、このような特定の無機質層とバリア層との組合せにより、ボイルなどの高温で処理した後であっても、基材フィルムに対する密着性の低下を抑制し、高いレベルで維持できる。また、このようなバリア層を形成すると、前記反応生成物(A)に由来して、積層フィルム(又はバリア層)の可撓性も向上できる。
(化合物(a1))
化合物(a1)において、アミノ基としては、アミノ基(−NH2)の他、置換アミノ基(例えば、メチルアミノ基などのN−アルキルアミノ基)、イミノ基(−NH−)なども含まれる。好ましいアミノ基は、後述する化合物(a2)と反応可能な水素原子(活性水素原子)が結合した窒素原子を含む基、例えば、アミノ基(−NH2)、イミノ基(−NH−)である。化合物(a1)は、これらのアミノ基を単独で又は2種以上組み合わせて(例えば、アミノ基とイミノ基)有していてもよい。
アミノ化合物(a1)は、後述する化合物(a2)の種類(例えば、架橋性化合物又は多官能性化合物)に応じて、低分子量化合物[例えば、アルカノールアミン(エタノールアミンなどのC2-6アルカノールアミン、好ましくはC2-4アルカノールアミンなど)など]であってもよいが、通常、前記アミノ基を有するポリマー(又はオリゴマー)である場合が多い。
代表的なアミノ基を有するポリマー(又は高分子化合物)としては、例えば、ポリアルキレンイミン(ポリC1-6アルキレンイミンなど)、ポリアルケニルアミン(ポリアリルアミンなどのポリC2-6アルケニルアミン、好ましくはポリC2-4アルケニルアミンなど)、ポリオキシエチレンアルキルアミン(ポリオキシエチレンアルキルアミンなど)などが挙げられる。
ポリアルキレンイミンとしては、ポリメチレンイミン、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリイソプロピレンイミン、ポリブチレンイミン、ポリイソブチレンイミンなどのホモポリC1-6アルキレンイミン(好ましくはポリC1-4アルキレンイミン)、これらのホモポリアルキレンイミンに対応するコポリアルキレンイミン(コポリC1-4アルキレンイミンなど)などが挙げられる。ポリアルキレンイミンの構造は、直鎖状又は分岐鎖状であってもよく、通常、分岐鎖状である場合が多い。
なお、ポリアルキレンイミンは、慣用の方法[アルキレンイミン(例えば、エチレンイミンなど)の開環重合など]により合成してもよく、市販品を用いてもよい。例えば、ポリアルキレンイミン(ポリエチレンイミン)は、例えば、日本触媒(株)から、エポミンシリーズ(「エポミンSP−003」、「エポミンSP−006」、「エポミンSP−012」、「エポミンSP−018」、「エポミンSP−103」、「エポミンSP−110」、「エポミンSP−200」、「エポミンSP−300」、「エポミンSP−1000」、「エポミンSP−1020」など)などとして入手できる。
また、ポリアルケニルアミン(ポリアリルアミン)は、慣用の方法(アルケニルアミンのラジカル重合など)により合成してもよく、市販品(例えば、日東紡績(株)製、「PAA−L」、「PAA−H」など)を用いてもよい。
好ましいアミノ化合物(a1)は、ポリアルキレンイミン(特に、ポリエチレンイミン)である。ポリアルキレンイミンは、成膜性、透明性、可撓性などに優れており、好適に使用できる。
アミノ基を有するポリマー(又はオリゴマー)の数平均分子量は、例えば、250以上(例えば、250〜200000程度)、好ましくは300以上(例えば、300〜100000程度)、さらに好ましくは400以上(例えば、400〜50000程度)であってもよく、通常、500以上(例えば、500〜10000程度)であってもよい。
(化合物(a2))
前記化合物(a2)(以下、反応性化合物などということがある)において、アミノ基に対して反応可能な官能基としては、エポキシ基、カルボキシル基又はその誘導性基(酸無水物基、酸ハライド基など)、イソシアネート基、チオイソシアネート基、オキサゾリニル基、アルデヒド基、ケトン基、アルキルハライド基などが挙げられる。これらの官能基のうち、反応性、耐水性(又は耐熱水性)などの観点から、エポキシ基、イソシアネート基が好ましく、特に、エポキシ基が好ましい。前記化合物(a2)は、これらの官能基を、単独で又は2種以上組み合わせて有していてもよい。
反応性化合物(a2)は、少なくとも1つの前記官能基を有する化合物であればよく、単官能性化合物(例えば、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルなどのモノグリシジルエーテル類など)であってもよいが、通常、少なくとも1つのアミノ基に対する官能基を有する多官能性化合物(又は架橋性化合物)である場合が多い。このような多官能性化合物(2官能以上の化合物)は、少なくとも1つの官能基がアミノ基に対して反応性の基(例えば、エポキシ基)であればよく、例えば、全ての官能基がアミノ基に対して反応性の官能基である化合物であってもよく、アミノ基に対して反応性の官能基(例えば、エポキシ基)および前記アミノ基に対して非反応性の官能基(例えば、アルコキシ基などの加水分解縮合性基)を有する化合物(通常、有機金属化合物)であってもよい。
前記非反応性の官能基としては、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基などのC1-6アルコキシ基、好ましくはC1-4アルコキシ基、さらに好ましくはC1-2アルコキシ基など)、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子など)、ヒドロキシル基などの加水分解縮合性基(又は加水分解重合性基)などが挙げられる。加水分解縮合性基は、金属原子(ケイ素原子、アルミニウム原子、チタン原子など、特に、ケイ素原子)に置換していてもよい。例えば、前記反応性化合物(a2)は、前記アミノ基および加水分解縮合性基を有する有機金属化合物であってもよい。これらの加水分解縮合性基のうち、C1-4アルコキシ基、特に、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(なかでもメトキシ基およびエトキシ基)などが好ましい。
具体的な化合物(a2)としては、エポキシ基を有する多官能性化合物、イソシアネート基を有する多官能性化合物、カルボキシル基を有する多官能性化合物(アジピン酸、酒石酸などの脂肪族ジカルボン酸類、ポリアクリル酸など)などが挙げられる。
代表的なエポキシ基を有する多官能性化合物としては、エポキシ基を有するアルコキシシラン類などのエポキシ基および加水分解縮合性基を有する有機金属化合物などが挙げられる。
エポキシ基を有するアルコキシシラン類としては、エポキシ基を有するジアルコキシシラン類[例えば、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルエチルジエトキシシランなどの(グリシジルオキシC2-4アルキル)C1-4アルキルジC1-4アルコキシシランなど]、エポキシ基を有するトリアルコキシシラン類{例えば、(グリシジルオキシアルキル)トリアルコキシシラン(例えば、2−グリシジルオキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランなどのグリシジルオキシC2-4アルキルトリC1-4アルコキシシランなど)、エポキシシクロアルキルトリアルコキシシラン[例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシランなどのエポキシC5-8シクロアルキルC2-4アルキルトリC1-4アルコキシシランなど]など}などが挙げられる。
エポキシ基を有する多官能性化合物には、ポリグリシジルエーテル類、ポリグリシジルエステル類なども含まれる。エポキシ基を有する多官能性化合物としては、通常、前記エポキシ基および加水分解縮合性基を有する有機金属化合物を使用する場合が多く、このような有機金属化合物と、ポリグリシジルエーテル類、ポリグリシジルエステル類などとを組みあわせて使用してもよい。
ポリグリシジルエーテル類としては、アルカンジオールジグリシジルエーテル(エチレングリコールジグリシジルエーテルなど)、(ポリ)オキシアルキレングリコールジグリシジルエーテル(ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、トリエチレングリコールジグリシジルエーテル、テトラエチレングリコールジグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテルなどの脂肪族ジグリシジルエーテル類;グリセロールトリグリシジルエーテル、ジグリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルなどの脂肪族トリ又はテトラグリシジルエーテル類;ビスフェノールAジグリシジルエーテル、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテルなどのビスフェノール類のジグリシジルエーテルなどの他、特開2003−128121号公報に記載のポリグリシジルエーテル類(芳香環またはその水素添加環を有するグリシジル類、グリシジル基を官能基として有するオリゴマー類など)なども含まれる。また、ポリグリシジルエステル類としては、脂肪族ジカルボン酸ジグリシジルエステル(アジピン酸ジグリシジルエステルなど)、芳香族ジカルボン酸ジグリシジルエステル(o−フタル酸ジグリシジルエステルなど)などが例示できる。
また、代表的なイソシアネート基を有する多官能性化合物には、例えば、イソシアネート基を有するアルコキシシラン類(例えば、γ−イソシアノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアノプロピルトリエトキシシランなどのイソシアノC2-4アルキルトリC1-4アルコキシシランなど)などのイソシアネート基および加水分解縮合性基を有する有機金属化合物の他、ジイソシアネート類(ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、1,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンなどのジ又はトリイソシアネートなど)などが含まれる。イソシアネート基を有する多官能性化合物としては、通常、少なくともイソシアネート基および加水分解縮合性基を有する有機金属化合物を使用する場合が多い。
化合物(a2)は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
これらの化合物(a2)のうち、密着性などの観点から、前記アミノ基に対して反応可能な官能基および加水分解縮合性基を有する有機金属化合物、例えば、エポキシ基を有するアルコキシシラン類(特に、グリシジルオキシC2-4アルキルトリC1-4アルコキシシラン、エポキシC5-8シクロアルキルC2-4アルキルトリC1-4アルコキシシランなどのエポキシ基を有するトリアルコキシシラン類)などのエポキシ基および加水分解縮合性基を有する有機金属化合物(特に、有機ケイ素化合物)が好ましい。
本発明において、前記反応生成物(A)は、前記化合物(a1)および化合物(a2)の組合せにもよるが、通常、前記アミン化合物(a1)および反応性化合物(a2)(特に、前記アミノ基に対して反応可能な官能基および加水分解縮合性基を有する化合物)とを縮合成分とする縮合物であってもよい。具体的には、前記反応生成物(A)は、前記アミン化合物(a1)および前記反応性化合物(a2)が前記アミノ基を介して結合するとともに、前記反応性化合物(a2)や後述する縮合成分(a3)の加水分解縮合性基により縮合した縮合物であってもよい。なお、このような縮合物(又は架橋物)は、未反応の(又は残存する)加水分解縮合性基(例えば、アルコキシ基など)を有する予備縮合物であってもよい。
前記縮合物は、少なくとも前記アミン化合物(a1)および反応性化合物(a2)を縮合成分とすればよく、さらに、(a3)他の縮合成分(又は共縮合成分)を含んでいてもよい。このような他の縮合成分を用いると、より一層ガスバリア性を向上できる。
(縮合成分(a3))
縮合成分(a3)としては、前記化合物(a2)の範疇に属さない有機金属化合物(又は前記アミノ基に対して非反応性の有機金属化合物)が挙げられる。このようなカップリング剤(非反応性カップリング剤)としては、有機ケイ素化合物、有機アルミニウム化合物[例えば、トリアルコキシアルミネート(トリメトキシアルミネート、トリエトキシアルミネート、トリプロポキシアルミネートなどのトリC1-4アルコキシアルミネートなど)など]、有機チタン化合物[例えば、ジアルキルジC1-4アルコキシチタネート(ジエチルジエトキシチタネートなど)などのジアルコキシチタネート類;トリC1-4アルコキシチタネート(トリメトキシチタネートなど)、アルキルトリC1-4アルコキシチタネート(エチルトリメトキシチタネートなど)、アリールトリC1-4アルコキシチタネート(フェニルトリメトキシチタネートなど)などのトリアルコキシチタネート類;テトラメトキシチタネート、テトラエトキシチタネート、テトラプロポキシチタネートなどのテトラC1-4アルコキシチタネートなどのテトラアルコキシチタネート類など)]などが挙げられる。これらのうち、特に、有機ケイ素化合物が好ましい。有機金属化合物は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
前記アミノ基に対して非反応性の有機ケイ素化合物としては、前記アミノ基に対して非反応性のアルコキシシラン類、例えば、下記式(1)で表されるアルコキシシラン類又はその縮合物などが挙げられる。
1 mSi(OR2n (1)
(式中、R1は水素原子、ヒドロキシル基又は前記アミノ基に対して非反応性の官能基を有していてもよい炭化水素基、R2はアルキル基又はシクロアルキル基を示し、mは0又は1以上の整数であり、nは1以上の整数であり、m+n=4である。)
前記式(1)において、基R1で表される炭化水素基としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1-8アルキル基、好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはC1-4アルキル基)、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基などのC2-6アルケニル基、好ましくはC2-4アルケニル基、さらに好ましくはC2-3アルケニル基)、シクロアルキル基(例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基などのC3-8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基、トリル基などのC6-15アリール基、好ましくはC6-10アリール基、さらに好ましくはC6-8アリール基)などが挙げられる。これらのうち、好ましい炭化水素基には、アルキル基(C1-4アルキル基など)などが含まれる。
基R1で表される炭化水素基において、前記アミノ基に対して非反応性の官能基としては、例えば、アミノ基又は置換アミノ基[例えば、アミノアルキルアミノ基(2−アミノエチルアミノ基などのアミノC2-4アルキルアミノ基など)、アルケニルアミノ基(アリルアミノ基などのC2-4アルケニルアミノ基など)など]、メルカプト基、(メタ)アクリロイルオキシ基などが挙げられる。これらの官能基は、単独で又は2種以上組み合わせて炭化水素基に置換していてもよい。なお、置換数mが複数である場合、複数の基R1は、同一又は異なっていてもよい。
基R2で表されるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基などの直鎖状又は分岐鎖状C1-6アルキル基、好ましくはC1-4アルキル基、さらに好ましくはC1-2アルキル基などが例示できる。また、基R2で表されるシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基などのC3-8シクロアルキル基などが挙げられる。これらのうち、好ましい基R2は、アルキル基(例えば、C1-4アルキル基、好ましくはC1-2アルキル基)である。好ましい置換数nは、2〜4、さらに好ましくは3又は4である。なお、置換数nが複数である場合、基R2は、同一又は異なっていてもよい。
前記式(2)で表されるアルコキシシランとしては、モノアルコキシシラン類(例えば、ビニルジメチルエトキシシランなど)、ジアルコキシシラン類、トリアルコキシシラン類、テトラアルコキシシラン類が挙げられる。
代表的なジアルコキシシラン類としては、例えば、ジアルキルジアルコキシシラン(例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジイソプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシランなどのジC1-4アルキルジC1-4アルコキシシランなど)、ジアリールジアルコキシシラン(例えば、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジC6-10アリールジC1-4アルコキシシランなど)、アミノ基を有するジアルコキシシラン(例えば、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシランなどのアミノC2-4アルキルC1-4アルキルジC1-4アルコキシシラン;3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジメトキシシランなどの(アミノC2-4アルキルアミノ)C1-4アルキル−C1-4アルキルジC1-4アルコキシシランなど)、メルカプト基を有するジアルコキシシラン(例えば、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシランなどのメルカプトC2-4アルキルC1-4アルキルジC1-4アルコキシシラン)、アルケニル基を有するジアルコキシシラン[例えば、ビニルジメトキシメチルシランなどのC2-4アルケニルC1-4アルキルジC1-4アルコキシシラン;ジビニルジメトキシシランなどのジC2-4アルケニルジC1-4アルコキシシランなど]、(メタ)アクリロイル基を有するジアルコキシシラン(例えば、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシC2-4アルキルC1-4アルキルジC1-4アルコキシシランなど)などが挙げられる。
代表的なトリアルコキシシラン類としては、例えば、トリアルコキシシラン(例えば、トリメトキシシランなどのトリC1-4アルコキシシランなど)、アルキルトリアルコキシシラン(例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシランなどのC1-4アルキルトリC1-4アルコキシシランなど)、アリールトリアルコキシシラン(例えば、フェニルトリメトキシシランなどのC6-10アリールトリC1-4アルコキシシランなど)、アミノ基を有するトリアルコキシシラン(例えば、2−アミノエチルトリメトキシシランなどのアミノC2-4アルキルトリC1-4アルコキシシラン;2−[N−(2−アミノエチル)アミノ]エチルトリメトキシシランなどのN−(アミノC2-4アルキル)アミノC2-4アルキルトリC1-4アルコキシシランなど)、メルカプト基を有するトリアルコキシシラン(例えば、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプトC2-4アルキルトリC1-4アルコキシシラン)、アルケニル基を有するトリアルコキシシラン(例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどのC2-4アルケニルトリC1-4アルコキシシランなど)、(メタ)アクリロイル基を有するトリアルコキシシラン[例えば、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシランなどの(メタ)アクリロイルオキシC2-4アルキルトリC1-4アルコキシシランなど]などが挙げられる。
代表的なテトラアルコキシシランとしては、上記例示のジ又はトリアルコキシシラン類に対応するテトラアルコキシシラン、例えば、テトラアルコキシシラン[テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのテトラC1-4アルコキシシランなど]などが挙げられる。
また、アルコキシシランの縮合物(又は加水分解縮合物)としては、前記式(1)で表されるアルコキシシランの縮合物(又は重合物)などが挙げられる。このような縮合物(又は部分縮合物)は、単一のアルコキシシランの縮合物であってもよく、複数のアルコキシシランの縮合物(例えば、異種のテトラアルコキシシランの縮合物など)であってもよい。
アルコキシシランの縮合物(アルコキシシラン縮合物)は、例えば、2〜10量体、好ましくは2〜8量体、さらに好ましくは3〜6量体程度のオリゴマーであってもよい。
アルコキシシラン縮合物は、網目状の縮合物(又は部分縮合物)であってもよく、鎖状又は直鎖状の縮合物(又は部分縮合物)であってもよい。代表的なアルコキシシラン縮合物としては、テトラアルコキシシラン類(前記例示のテトラアルコキシシラン類)の縮合物(部分縮合物)、例えば、下記式(2)で表される直鎖状のアルコキシシラン縮合物などが含まれる。
Figure 2006021510
(式中、R2は前記に同じ。dは2以上の整数を示す)
上記式(2)において、好ましい基R2としては、メチル基、エチル基などのC1-4アルキル基(特にC1-2アルキル基)などが挙げられる。なお、前記のように、複数の基R2は、同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。また、好ましい縮合度dは、例えば、2〜8、好ましくは2〜6、さらに好ましくは3〜5程度であってもよい。
さらに、前記アミノ基に対して非反応性の有機ケイ素化合物には、前記アルコキシシラン類の錯体化合物、トリアシルオキシシラン類(メチルトリアセトキシシランなど)、トリアルキルシラノール(トリメチルシラノールなど)、これらの化合物を含む高分子有機ケイ素化合物類なども含まれる。
好ましい有機ケイ素化合物としては、テトラアルコキシシラン(例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどのテトラC1-4アルコキシシラン、特に、テトラC1-2アルコキシシラン)、テトラアルコキシシランの縮合物(例えば、2〜10量体)などが挙げられる。
有機ケイ素化合物(アルコキシシラン類)は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
(各成分の割合)
前記反応性化合物(a2)の使用量は、前記アミン化合物(a1)100重量部に対して、1〜70重量部程度の範囲から選択でき、例えば、5〜50重量部、好ましくは8〜40重量部、さらに好ましくは10〜30重量部程度であってもよい。
また、縮合成分(a3)(例えば、テトラアルコキシシラン、テトラアルコキシシランの縮合物などの前記有機ケイ素化合物)の使用量は、前記アミン化合物(a1)及び前記反応性化合物(a2)の総量100重量部に対して、0〜200重量部(例えば、3〜180重量部)程度の範囲から選択でき、例えば、5〜150重量部、好ましくは8〜130重量部、さらに好ましくは10〜100重量部(例えば、20〜100重量部)程度であってもよい。
なお、前記反応生成物(A)の調製は、少なくともアミノ化合物(a1)および反応性化合物(a2)を反応させる限り、特に限定されず、これらの成分の種類やその組合せなどに応じて適宜調製できる。例えば、アミン化合物(a1)と反応性化合物(a2)と、必要に応じて前記縮合成分(a3)とを反応させる(又は結合させる)方法などにより調製してもよい。
前記調製方法では、少なくともアミン化合物(a1)のアミノ基と反応性化合物(a2)の反応性基との反応(第1の反応)を行えばよく、この第1の反応と縮合反応(第2の反応)[すなわち、反応性化合物(a2)の加水分解縮合性基の縮合反応]とを行ってもよい。本発明では、通常、第1の反応および第2の反応を行ってもよい。第2の反応(縮合反応)は、前記第1の反応とともに(又は並行して)行ってもよく、第1の反応の後に行ってもよい。また、縮合成分(a3)を使用する場合には、第2の反応は、縮合成分(a3)の存在下で行ってもよい。例えば、アミン化合物(a1)と反応性化合物(a2)とで少なくとも第1の反応を行ったのち、縮合成分(a3)の存在下で第2の反応を行ってもよい。具体的には、(i)アミン化合物(a1)と反応性化合物(a2)とで第1の反応を行ったのち、縮合成分(a3)の存在下で第2の反応を行ってもよく、(ii)アミン化合物(a1)と反応性化合物(a2)とで第1の反応および第2の反応(又は予備的な第2の反応)を行ったのち、縮合成分(a3)の存在下でさらに第2の反応を行ってもよい。
アミン化合物(a1)と反応性化合物(a2)と必要により縮合成分(a3)との反応(第1の反応、第1の反応及び第2の反応)は、通常、溶媒中で行うことができる。このような溶媒は、各成分(化合物(a1)、化合物(a2)、縮合成分(a3)など)を溶解(又は分散)可能であれば特に限定されず、例えば、アルコール類[メタノール、エタノール、2−プロパノール、ブタノール、ペンタノールなどのアルカノール類;エチレングリコールなどのアルキレングリコール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコールなどの(ポリ)オキシアルキレングリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテルなどのアルキレングリコールモノアルキルエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルなどの(ポリ)オキシアルキレングリコールモノアルキルエーテル類など]、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、炭化水素類(トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類)、エステル類(メチルアセテート、エチルアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテートなどのアセテート類など)、エーテル類(エチルフェノールエーテル、プロピルエーテル、テトラヒドロフランなどの環状エーテルなど)、水などが挙げられる。これらのうち、安定性などの観点から、メタノール、エタノールなどのアルコール類が好ましい。溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
なお、前記反応は、同じ溶媒系で行ってもよく、新たに溶媒を添加して行ってもよい。例えば、前記第2の反応において、溶媒を添加してもよい。溶媒の添加は、一段階で行ってもよく、多段階で行ってもよい。具体的には、溶媒中で、アミン化合物(a1)と反応性化合物(a2)と必要により縮合成分(a3)とを反応[第1の反応、第1の反応及び第2の反応(予備縮合)]させたのち、さらに溶媒を添加して縮合させてもよい。また、縮合成分(a3)を使用する場合には、例えば、(1)溶媒中で、アミン化合物(a1)と反応性化合物(a2)とを反応(第1の反応、第1の反応及び第2の反応)させたのち、さらに縮合成分(a3)と溶媒とを添加して縮合(第2の反応)させてもよく、(2)溶媒中で、アミン化合物(a1)と反応性化合物(a2)とを反応(第1の反応、第1の反応及び第2の反応)させ、さらに溶媒を添加して縮合(第2の反応)させたのち、縮合成分(a3)(および必要に応じてさらに溶媒)を添加して縮合(第2の反応)させてもよい。
縮合反応において、新たに添加する溶媒としては、反応性化合物(a2)や縮合成分(a3)を加水分解可能な溶媒であれば特に限定されず、例えば、水、アルコール類(メタノールなどの前記例示のアルコール類など)などが挙げられる。これらの溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。
反応(結合形成反応、縮合反応)に使用する溶媒の使用量は、例えば、バリア層の構成成分(アミン化合物(a1)、反応化合物(a2)、縮合成分(a3)など)の総量100重量部に対して、例えば、10〜3000重量部の範囲から選択でき、例えば、30〜2000重量部、好ましくは50〜1500重量部(例えば、80〜1000重量部)、さらに好ましくは90〜900重量部(例えば、100〜800重量部)程度であってもよい。
なお、反応(結合形成反応、縮合反応)は、常温又は加温下で行ってもよく、空気中又は不活性雰囲気下で行ってもよい。
なお、反応生成物(A)の調製は、特開平8−295848号公報、特開2003−128121号公報などに記載の方法を参照して行ってもよい。
バリア層は、樹脂成分として、慣用のガスバリア性樹脂(例えば、塩化ビニリデン系共重合体などの塩素系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールなどのビニルアルコール系重合体など)を含んでいてもよい。本発明では、通常、バリア層が、樹脂成分としてこのような慣用のガスバリア性樹脂(特に、塩化ビニリデン系樹脂)を含んでいなくても、効率よく高いレベルでガスバリア性を向上できる。
また、バリア層は、必要であれば、前記基材フィルムと同様の添加剤を含有していてもよい。特に、帯電防止剤は、積層フィルムの帯電を効率よく防止でき、積層フィルムの成形効率や種々の静電気障害(剥離帯電など)を防止できる。帯電防止剤としては、慣用の帯電防止剤(界面活性剤)を使用でき、ノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性帯電防止剤(界面活性剤)のいずれであってもよい。
さらに、バリア層は、消泡剤、粘度調整剤、防腐剤、アクリル系樹脂(ポリアクリル酸など)、セルロース系樹脂[アルキルセルロース(メチルセルロースなど)、ヒドロキシアルキルセルロース(ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなど)、カルボキシメチルセルロースなどのセルロースエーテル類など]、多糖類又はその誘導体(デンプン、アミロース、アミロペクチン、プルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサンなど)などの水溶性高分子、硬化剤又は硬化触媒などを含んでいてもよい。
バリア層の厚み(乾燥後厚み)は、0.01〜20μm(例えば、0.1〜10μm)程度の範囲から選択でき、例えば、0.2〜5μm、好ましくは0.3〜3μm、さらに好ましくは0.5〜2μm程度であってもよい。
[ヒートシール層]
本発明の積層フィルムは、袋体を容易に形成するため、さらにヒートシール層を形成してもよい。このようなヒートシール層は、バリア層に形成してもよく、基材フィルムの他方の面(無機質層が形成されていない面)に形成してもよく、これらを組みあわせてもよい。ヒートシール層を形成する場合、通常、少なくともバリア層にヒートシール層を形成する場合が多い。
ヒートシール層を構成するポリマー(又はシーラント)としては、熱接合性ポリマー(ヒートシール性ポリマー)、例えば、オレフィン系ポリマー、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ゴム系ポリマーなどが挙げられる。これらの熱接合性ポリマーは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
ヒートシール性オレフィン系ポリマーとしては、例えば、低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、エチレン−ブテン−1共重合体、エチレン−(4−メチルペンテン−1)共重合体、エチレン−ヘキセン−1共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリレート共重合体、アイオノマー、ポリプロピレン、プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、無水マレイン酸変性ポリエチレンや無水マレイン酸変性ポリプロピレンなどの変性ポリオレフィンなどが挙げられる。好ましいオレフィン系ポリマーには、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、非晶質ポリオレフィン(例えば、アモルファスポリプロピレンなど)、エチレン−プロピレン共重合体などが含まれる。ラミネートによりヒートシール層を形成する場合、好ましい熱接合性ポリマー(フィルム)には、無延伸ポリプロピレンフィルム、無延伸エチレン−プロピレン共重合体フィルムなどが含まれる。
ヒートシール性ポリエステルには、非晶性ポリエステル、例えば、脂肪族ジオールと、脂肪族ジカルボン酸および非対称芳香族ジカルボン酸(イソフタル酸など)から選択された少なくとも1つのジカルボン酸と、必要により対称構造の芳香族ジカルボン酸(テレフタル酸など)とを構成成分とする脂肪族ポリエステルなどが含まれる。また、ヒートシール性ポリアミドとしては、例えば、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6/12などが挙げられる。ゴム系ポリマーには、例えば、ブチルゴム、イソブチレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などが含まれる。
ヒートシール層の厚さは、積層フィルムの用途などに応じて、例えば、3〜100μm程度の範囲で適宜選択でき、フィルムのラミネートによりヒートシール層を形成する場合には、例えば、20〜100μm、好ましくは30〜80μm程度であってもよい。
ヒートシール層は、バリア層の表面の所定の部位、例えば、ヒートシールに供される部位に形成すればよいが、バリア層の表面全体に形成する場合が多い。また、ヒートシール層は、前記のように、基材フィルム層の他方の面のヒートシール部位又は全体に形成してもよい。なお、ヒートシール層は、必要に応じて、前記添加剤を含んでいてもよい。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、前記のように、基材フィルムと、無機質層と、バリア層と、必要に応じてヒートシール層とで構成でき、用途にもよるが、通常、透明性を有している。なお、積層フィルムは、無機質層とバリア層との間、バリア層とヒートシール層との間や、基材フィルムとヒートシール層との間などに、アンカーコート層(接着剤層)を形成してもよい。本発明では、このようなアンカーコート層を介することなく、各層(無機質層、バリア層、ヒートシール層)を直接形成することもでき、特に、少なくともバリア層(又はバリア性コーティング層)は無機質層に直接形成されている場合が多い。積層フィルム全体の厚みは、例えば、5〜300μm、好ましくは10〜200μm、さらに好ましくは15〜100μm(例えば、20〜80μm)程度であってもよい。
なお、接着剤層(例えば、バリア層とヒートシール層との間の接着剤層)を構成する接着成分(例えば、接着性樹脂)としては、例えば、ウレタン系樹脂(イソシアネート基含有ポリマーなど)、イミノ基含有ポリマー(ポリエチレンイミンなどのポリアルキレンイミンなど)、ポリエステル系樹脂、オレフィン系樹脂(エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などの変性ポリオレフィンなど)、ゴム系接着剤などが挙げられる。これらの接着成分は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。接着剤層の厚みは、0.01〜10μm、好ましくは0.3〜7μm、さらに好ましくは0.5〜5μm程度であってもよい。
本発明の積層フィルムは、前記のように、基材フィルムと無機質層やバリア層との密着性が高い。例えば、基材フィルムに対するバリア層の剥離強度は、150g/15mm以上(例えば、150〜500g/15mm程度)、好ましくは170g/15mm以上(例えば、180〜450g/15mm程度)、さらに好ましくは190〜400g/15mm(例えば、200〜300g/15mm)程度であってもよい。特に、本発明の積層フィルムでは、ボイル処理やレトルト処理などの高温で処理した後であっても、高い密着性を有しており、例えば、温度90℃の熱水で30分間ボイルした後の基材フィルムに対するバリア層の剥離強度は、100g/15mm以上(例えば、120〜450g/15mm程度)、好ましくは150g/15mm以上(例えば、160〜400g/15mm程度)、さらに好ましくは170〜350g/15mm(例えば、200〜320g/15mm)程度であってもよい。
このように、本発明の積層フィルムでは、高温で処理した後であって、高いレベルで密着性を維持でき、例えば、温度90℃で30分間処理する前の基材フィルムに対するバリア層の剥離強度と、温度90℃の熱水で30分間ボイルした後の基材フィルムに対するバリア層の剥離強度との差[すなわち、(前記処理前の剥離強度)−(前記処理後の剥離強度)]は、100g/15mm以下(例えば、3〜90g/15mm)、好ましくは80g/15mm以下(例えば、5〜70g/15mm)、さらに好ましくは65g/15mm以下(例えば、10〜60g/15mm)、特に55g/15mm以下(例えば、15〜45g/15mm)程度であってもよい。
なお、前記剥離強度の測定方法は、バリア層の密着性(基材フィルムに対する密着性)を直接的又は間接的に測定できる限り特に限定されないが、例えば、ヒートシール層を形成した積層フィルムにおいて、基材フィルムとヒートシール層との剥離強度(ラミネート強度)を測定してもよい。
また、本発明の積層フィルム(ガスバリア性積層フィルム)は、ガスバリア性(又は保香性)に優れている。例えば、温度20℃、湿度90%RH雰囲気下での酸素透過度(単位ml/m2・day・MPa)が、10以下(例えば、0.1〜9)、好ましくは8以下(例えば、0.3〜7)、さらに好ましくは7以下(例えば、0.5〜6.5)、特に0.8〜5.5(例えば、1〜4)程度である。
また、本発明の積層フィルムは、高湿度下における水蒸気バリア性にも優れ、例えば、温度40℃、湿度90%RH雰囲気下での水蒸気透過度(単位g/m2・day)は、1以下(例えば、0.01〜0.8程度)の範囲から選択でき、0.6以下(例えば、0.02〜0.5程度)、好ましくは0.55以下(例えば、0.03〜0.55程度)、さらに好ましくは0.05〜0.45(例えば、0.08〜0.40)、特に0.1〜0.4(例えば、0.15〜0.35)程度である。
このように、本発明では、ガスバリア性(特に、水蒸気バリア性)を高いレベルで低減できる。そのため、本発明では、前記基材フィルムと無機質層とで構成された複合フィルム(詳細には、基材フィルムと、この基材フィルムの少なくとも一方の面に形成された無機質層とで構成された複合フィルム)の前記無機層に、前記バリア層を形成することにより、前記複合フィルム(又は基材フィルム)の水蒸気透過度(および酸素透過度)を効率よく低減できる。具体的には、前記バリア層を形成することにより、前記複合フィルム(又は基材フィルム)の前記条件下(温度40℃、湿度90%RH雰囲気下)での水蒸気透過度(単位g/m2・day)を、0.2以上(例えば、0.2〜3.0)、好ましくは0.3以上(例えば、0.3〜2.0)、好ましくは0.4以上(例えば、0.4〜1.5)、さらに好ましくは0.5以上(0.5〜1.3)程度低減できる場合が多い。
また、前記積層フィルムは、透明性にも優れ、例えば、ヘイズが10%以下(例えば、1〜10%)、好ましくは9%以下(例えば、1〜9%)、さらに好ましくは8%以下(例えば、1〜8%)程度である。
なお、本発明の積層フィルムには、フィルムの種類、用途に応じて、種々のコーティング層やラミネート層、例えば、滑性層、帯電防止層、装飾用印刷フィルム層や、ナイロンフィルムなどによる補強層、紫外線遮断層(例えば、特開2003−128121号公報に記載のUV遮断性被覆層など)などが形成されていてもよい。
[積層フィルムの製造方法]
本発明の積層フィルム(ガスバリア性積層フィルム)は、基材フィルムの少なくとも一方の面に、前記無機質層を形成し、この無機質層に前記バリア層を形成し、さらに必要に応じてこのバリア層(及び/又は前記基材フィルムの他方の面)に前記ヒートシール層を形成することにより製造できる。
無機質層は、慣用の方法、例えば、物理的方法(真空蒸着法、反応性蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、イオンプレーティング法、反応性イオンプレーティング法など)、化学的方法(CVD法、プラズマCVD法、レーザーCVD法など)により、基材フィルムの表面を、前記無機物で被覆することにより形成できる。無機質層は蒸着などの物理的方法により形成する場合が多く、無機質層は基材フィルム層の一方の面又は両面に形成できる。
バリア層は、上記のように形成された複合フィルムの前記無機質層(すなわち、基材フィルムと、この基材フィルムの少なくとも一方の面に形成された無機質層とで構成された複合フィルムの前記無機質層)に形成できる。バリア層(バリア性コーティング層)は、通常、基材フィルムの少なくとも一方の面に、通常、アンカーコート層などを形成することなく直接的に、前記反応生成物(A)[および必要に応じて他の成分(添加剤など)]を含む塗布液(コーティング液)を塗布することにより形成できる。このようなコーティング液の塗布により、バリア層に無機質層を形成する場合や無機質層のバリア層をラミネートする場合などに比べて、ガスバリア性を効率よく向上できるとともに、高温処理しても、無機質層とバリア層の密着性だけでなく、基材フィルムに対する無機質層の密着性(又は接着性)も著しく向上できる。しかも、このような塗布液をコーティングすると、高い密着性(さらには可撓性)に起因して、機械的外力などが作用してもガスバリア性の低下を効率よく防止できる。そのため、高温処理した後であっても、長期に亘ってガスバリア性を維持できる。
塗布液は、前記反応生成物(A)の種類に応じて、適当な溶媒を選択することにより調製してもよく、前記反応生成物(A)の調製において使用した溶媒(メタノールなど)と前記反応生成物(A)とを含む調製液をそのままコーティング液として使用してもよい。このようなコーティング液は、溶液又は分散液のいずれの形態であってもよい。
塗布液の塗布方法は、無機質層に亀裂や欠陥を生成させない限り特に制限されず、慣用の方法、例えば、ロールコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、ノズルコーティング法、ダイコーティング法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、カーテンコーティング法、フローコーティング法、スクリーン印刷、グラビア印刷、曲面印刷などの各種印刷法、これらを組み合わせた方法などが採用できる。
そして、前記塗布液を塗布した後、例えば、適当な温度(例えば、50〜150℃、好ましくは80〜120℃程度)で乾燥することにより、バリア性コーティング層を形成してもよい。また、バリア層を形成した後、所定の温度(例えば、35〜80℃、好ましくは45〜75℃程度)で所定時間[例えば、12時間以上(例えば、1〜20日程度)、好ましくは3日以上(例えば、3〜15日程度)、さらに好ましくは4日以上(例えば、5〜10日程度)]に亘りエージング処理してもよい。
なお、前記バリア層の表面には、ヒートシール層の有無に拘らず、必要に応じて、前記基材フィルムの項で例示した慣用の表面処理を施してもよく、表面処理を施すことなく部分的又は全面に前記接着層や保護層を形成してもよい。このような接着層や保護層は、慣用の方法(例えば、塗布法など)により形成でき、塗布法により形成する場合には、前記と同様に乾燥やエージング処理を行ってもよい。
また、ヒートシール層は、熱接合性ポリマー(シーラント)の種類などに応じて慣用の方法、例えば、ドライラミネート法、押出しラミネート法、塗布法などにより形成できる。ヒートシール層を基材フィルムの他方の面に形成する場合には、前記と同様の方法により、基材フィルムに接着剤層を形成した後、ヒートシール層を形成することもできる。
本発明の積層フィルム(包装材料)は、前記のように、高いガスバリア性を有しているとともに、高い密着性や可撓性を有しており、取扱性にも優れている。特に、ボイルなどの高温で処理しても、高い密着性を維持できる。しかも、本発明の積層フィルム(基材フィルム、バリア層、およびヒートシール層)を、非塩素系樹脂で構成できるので、可燃ゴミなどとして廃棄しても、環境を汚染することがない。そのため、積層フィルムは、電子レンジ用食品、レトルト食品、冷凍食品、マイクロ波殺菌、フレーババリア、医薬品、精密電子部品などの各種包装用材料や、風船などのバルーン用形成材料などとして好適に用いることができる。また、食品などを包装すると、劣化や変質を抑制しつつ、内容物を長期間に亘り保存できる。
本発明の積層フィルムを用いた包装体の形態は、特に制限されないが、例えば、ハンバーグ、シューマイ、ギョーザなどの固形物の包装袋、カレー、スープ、コーヒー、紅茶などの液状物の包装袋として用いることができる。これらの食品を収容した包装袋は、そのまま、レトルト処理又は電子レンジ加熱できる。また、酒パックなどの紙製容器の内袋として使用することにより、電子レンジ加熱などにより、内容物を加熱できる。
また、本発明の包装材料による包装形態としては、袋、カップ、チューブ、スタンディングバック、トレイなどの容器、フタ材や、酒、醤油、みりん、油、牛乳、ジュースなどを収容する紙パックの内貼り材などが挙げられる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
ポリエチレンイミン(日本触媒(株)製、「エポミンSP−018」)2.6kg、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン)2.3g、メタノール54kgを混合し、60℃、窒素雰囲気下で3時間反応させ、室温まで冷却した。次いで、この反応溶液に水1.0kgとメタノール5.4kgとの混合液を加えて30分間反応させ、さらにテトラメトキシシランのオリゴマー(多摩化学工業(株)製、「Mシリケート51」)11.3kgとメタノール24kgとの混合液を加えて、室温で24時間反応させ、コーティング液を調製した。
得られたコーティング液を、ワイヤーバーを用いて、0.3g/m2(乾燥重量)の塗布量で、金属蒸着フィルム(アルミナ系蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム、東洋メタライジング(株)製、「バリアロックス 1011HG」、12μm)に塗布し、100℃で10秒間乾燥したのち、バリア層を形成した。そして、このバリア層を形成した金属蒸着フィルムを、アルミニウム(Al)袋に入れて密閉し、60℃で7日間エージング処理した。
さらに、このバリア層の表面に、ウレタン系接着剤[東洋モートン(株)製、「TM−250HV」(レトルトグレード)]を、2.3g/m2(乾燥重量)の厚みで塗布し、80℃で30秒間乾燥し、40℃で24時間エージング処理したのち、無延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡績(株)製、「パイレン P1153」、50μm)をドライラミネートし、包装用フィルムを作製した。
(実施例2)
実施例1において、コーティング液の塗布量を、0.3g/m2(乾燥重量)に代えて、0.9g/m2(乾燥重量)とすること以外は、実施例1と同様にして、包装用フィルムを作製した。
(実施例3)
実施例1において、金属蒸着フィルムとして、アルミナ系蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製、「エコシアール VE100」、12μm)を使用する以外は、実施例1と同様にして包装用フィルムを作製した。
(実施例4)
実施例3において、コーティング液の塗布量を、0.3g/m2(乾燥重量)に代えて、0.9g/m2(乾燥重量)とすること以外は、実施例3と同様にして、包装用フィルムを作製した。
(比較例1)
実施例1において、金属蒸着フィルムとして、シリカ系蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(尾池化学(株)製、「MOS−TB」、12μm)を使用する以外は、実施例1と同様にして包装用フィルムを作製した。
(比較例2)
比較例1において、コーティング液の塗布量を、0.3g/m2(乾燥重量)に代えて、0.9g/m2(乾燥重量)とすること以外は、比較例1と同様にして、包装用フィルムを作製した。
(比較例3)
実施例1において、金属蒸着フィルムとして、シリカ系蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱樹脂(株)製、「テックバリア T」、12μm)を使用する以外は、実施例1と同様にして包装用フィルムを作製した。
(比較例4)
比較例3において、コーティング液の塗布量を、0.3g/m2(乾燥重量)に代えて、0.9g/m2(乾燥重量)とすること以外は、比較例3と同様にして、包装用フィルムを作製した。
得られた包装用フィルムの水蒸気透過度(単位g/m2・day)、酸素透過度(単位ml/m2・day・MPa)およびバリア層(コーティング層)の剥離強度を、それぞれ、以下の方法により測定した。なお、剥離強度は、ボイル(レトルト)処理前後のそれぞれにおいて測定し、ボイル処理は、温度90℃の熱水で30分間行った。
また、比較のため、実施例および比較例で使用した金属蒸着フィルム単独(原紙)での水蒸気透過度および酸素透過度も測定した。
[水蒸気透過度(WV−TR)]
実施例および比較例で得られた包装用フィルム、実施例および比較例で使用した金属蒸着フィルムを用いて、それぞれ、シール体(内寸75×100mm四方)を形成し、このシール体内に水分測定用の塩化カルシウム30gを配置して密閉し、40℃、相対湿度90%RH環境下で3週間保管した。そして、塩化カルシウムの初期重量と3週間保管後の重量とから、塩化カルシウムの水分吸収量を測定し、この水分吸収量と前記各フィルムの表面積とから水蒸気透過度を測定した。
[酸素透過度(O2−TR)]
ASTMD−3985に従って、酸素透過率測定装置(モコン(MOCON)社製、「OX−TRAN2/20 SH MODULE」)を用いて酸素透過度(酸素透過率)を測定した。測定条件は、20℃、相対湿度90%RHである。
[剥離強度]
実施例および比較例で得られたそれぞれの包装用フィルムにおいて、基材フィルムと、無延伸ポリプロピレンフィルムとの剥離強度を測定器(ORIENTEC(株)製、「RTM−100」)を用いて、300mm/分の引張速度における剥離強度(ラミネート強度)を測定し、バリア層の剥離強度(密着強度)とした。
これらの結果を表1に示す。なお、表1において、「コート品」とは、実施例および比較例で得られた包装用フィルムを意味し、「原紙」とは実施例および比較例で使用した金属蒸着フィルムを意味する。
Figure 2006021510
表1の結果から明らかなように、実施例の包装用フィルムは、ガスバリア性(水蒸気バリア性および酸素バリア性、特に水蒸気バリア性)が高く、しかも、ボイル(レトルト)処理しても、基材フィルムとバリア層との密着性を高いレベルで維持できる。詳細には、実施例の包装用フィルムでは、90℃で熱水ボイル処理後も、アルミナ蒸着層とバリア層との密着性が高い。これに対して、比較例1〜4のフィルム(シリカ蒸着層上に前記コーティング液をオーバーコーティングしたフィルム)では、前記ボイル後、シリカ蒸着層とバリア層との密着性が低下して弱くなる。

Claims (13)

  1. 基材フィルムと、この基材フィルムの少なくとも一方の面に形成された無機質層と、この無機質層に形成されたバリア層とで構成された積層フィルムであって、前記無機質層が、少なくともアルミニウム成分で構成され、かつ前記バリア層が、(a1)アミノ基を有する化合物と、(a2)この化合物(a1)のアミノ基に対して反応可能な官能基を有する化合物との反応生成物(A)で構成されている積層フィルム。
  2. 基材フィルムが、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂又はポリアミド系樹脂で構成されている請求項1記載の積層フィルム。
  3. 基材フィルムが、ポリエチレンテレフタレートフィルムである請求項1記載の積層フィルム。
  4. 無機質層が、透明性を有し、かつ少なくともアルミニウム酸化物で構成されている請求項1記載の積層フィルム。
  5. 反応生成物(A)が、(a1)アミノ基を有する化合物と、(a2)この化合物のアミノ基に対して反応可能な官能基および加水分解縮合性基を有する有機金属化合物とを少なくとも縮合成分とする縮合物である請求項1記載の積層フィルム。
  6. 化合物(a1)が、ポリアルキレンイミンで構成されており、かつ化合物(a2)が、エポキシ基を有するアルコキシシラン類で構成されている請求項5記載の積層フィルム。
  7. 縮合物が、さらに、(a3)前記化合物(a1)のアミノ基に対して非反応性の有機ケイ素化合物を縮合成分とする縮合物である請求項5記載の積層フィルム。
  8. 有機ケイ素化合物(a3)が、テトラアルコキシシラン及び/又はその縮合物である請求項7記載の積層フィルム。
  9. ポリエステル系樹脂又はポリアミド系樹脂で構成され、かつ延伸処理された基材フィルムと、この基材フィルムの少なくとも一方の面に形成され、少なくともアルミニウム酸化物で構成された透明性を有する無機質層と、この無機質層に直接形成されたバリア層とで構成された積層フィルムであって、前記バリア層が、(a1)ポリアルキレンイミンと、(a2)エポキシ基を有するアルコキシシラン類と、(a3)テトラC1-4アルコキシシラン類及び/又はその縮合物とを縮合成分とする縮合物により形成されている請求項1記載の積層フィルム。
  10. バリア層に、さらにヒートシール層が形成されている請求項1記載の積層フィルム。
  11. 温度90℃の熱水で30分間ボイルした後の基材フィルムに対するバリア層の剥離強度が、100g/15mm以上である請求項1記載の積層フィルム。
  12. 温度40℃、湿度90%RH雰囲気下での水蒸気透過度が、0.55g/m2・day以下であり、かつ温度90℃の熱水で30分間ボイルした後の基材フィルムに対するバリア層の剥離強度が、150g/15mm以上である請求項1記載の積層フィルム。
  13. 基材フィルムと、この基材フィルムの少なくとも一方の面に形成され、少なくともアルミニウム成分で構成された無機質層とで構成された複合フィルムの前記無機質層に、(a1)アミノ基を有する化合物と、(a2)この化合物(a1)のアミノ基に対して反応可能な官能基を有する化合物との反応生成物(A)を含むコーティング液を塗布して請求項1記載の積層フィルムを製造する方法。
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