JP2001071881A - ブレーキ液圧源装置 - Google Patents

ブレーキ液圧源装置

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JP2001071881A
JP2001071881A JP24987499A JP24987499A JP2001071881A JP 2001071881 A JP2001071881 A JP 2001071881A JP 24987499 A JP24987499 A JP 24987499A JP 24987499 A JP24987499 A JP 24987499A JP 2001071881 A JP2001071881 A JP 2001071881A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】ポンプを含むブレーキ液圧源装置において、ポ
ンプにマスタシリンダの作動液とリザーバの作動液とを
選択的に供給可能とする。 【解決手段】ポンプ44には、マスタシリンダ14が第
1作動液供給通路100を介して接続されるとともに、
マスタリザーバ106が第2作動液供給通路110を介
して接続されている。第1作動液供給通路100にはマ
スタ流入制御弁102が設けられ、第2作動液供給通路
110にはリザーバ流入制御弁112が設けられてい
る。リザーバ流入制御弁112を閉状態とし、マスタ流
入制御弁102を開状態とすれば、ポンプ44によって
マスタシリンダ14の作動液が汲み上げられる第1状態
とされ、マスタ流入制御弁102を閉状態とし、リザー
バ流入制御弁112を開状態とすれば、マスタリザーバ
106の作動液が汲み上げられる第2状態とされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポンプを含むブレ
ーキ液圧源装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開平6─156249号公報には、
作動液をほぼ大気圧で収容するリザーバと、作動液を
加圧するポンプと、ポンプとリザーバとを接続する液
通路とを含むブレーキ液圧源装置が記載されている。こ
のブレーキ液圧源装置においては、ポンプによってリザ
ーバの作動液が汲み上げられて加圧される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題,課題解決手段および効
果】上述のブレーキ液圧源装置においては、ポンプによ
ってリザーバの作動液が汲み上げられて加圧されるが、
マスタシリンダの作動液を汲み上げて加圧する方がよい
場合がある。しかし、ポンプがマスタシリンダの作動液
を汲み上げたり、リザーバの作動液を汲み上げたりし得
るようにするには工夫が必要である。そこで、本発明の
課題は、上述のように、ポンプがマスタシリンダの作動
液を汲み上げたり、リザーバの作動液を汲み上げたりし
得るブレーキ液圧源装置を得ることである。上記課題
は、ブレーキ液圧源装置を下記各態様の構造のものとす
ることによって解決される。各態様は、請求項と同様
に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の
項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくま
で、本発明の理解を容易にするためであり、本明細書に
記載の技術的特徴およびそれらの組合わせが以下の各項
に限定されると解釈されるべきではない。また、1つの
項に複数の事項が記載されている場合、常に、すべての
事項を一緒に採用しなければならないものではなく、一
部の事項のみを取り出して採用することも可能である。 (1)ブレーキ操作に応じて液圧を発生させるマスタシ
リンダと、作動液をほぼ大気圧で収容するリザーバと、
作動液を加圧するポンプと、前記マスタシリンダおよび
前記リザーバを前記ポンプに並列に接続する液通路と、
その液通路に設けられ、少なくとも、前記ポンプに少な
くとも前記マスタシリンダの作動液を汲み上げさせる第
1状態と、少なくとも前記リザーバの作動液を汲み上げ
させる第2状態とになり得る流通制御装置とを含むこと
を特徴とするブレーキ液圧源装置(請求項1)。本項に
記載のブレーキ液圧源装置においては、ポンプが少なく
ともマスタシリンダの作動液を汲み上げて加圧する第1
状態と、少なくともリザーバの作動液を汲み上げて加圧
する第2状態との少なくとも2つの状態が流通制御装置
によって実現される。例えば、ポンプの要求吐出圧が高
い場合に第1状態とし、要求吐出量が多い場合に第2状
態とすることができる。要求吐出圧が高い場合に第1状
態とすれば、ポンプを駆動する駆動源における消費エネ
ルギを低減させ、あるいはポンプがリザーバの作動液を
汲み上げる場合に比較して吐出圧を高くすることができ
る。ポンプの最大吐出圧が要求吐出圧より高い場合に
は、第1状態においてはポンプによって汲み上げられる
作動液の液圧が高い分だけ駆動源における消費エネルギ
が少なくて済み、ポンプの最大吐出圧が要求吐出圧より
低い場合には、上記消費エネルギ低減の効果に加えて、
吐出圧増大の効果が得られる。要求吐出量が多い場合に
第2状態とすれば、第1状態とするよりポンプに大きな
流量で作動液を供給できるため、実際の吐出量を要求吐
出量に近づけることができる。リザーバの作動液の液圧
は大気圧で低いため、リザーバとポンプとを接続する液
通路を、マスタシリンダとポンプとを接続する液通路よ
り流路面積を大きいものとすることが容易であるからで
ある。第1状態と第2状態との両方が実現可能であれ
ば、常にリザーバの作動液が汲み上げられるようにされ
ている場合に比較して、駆動源における消費エネルギを
低減させることができる。また、常にマスタシリンダの
作動液が汲み上げられ、マスタシリンダに戻されるよう
にされている場合に比較して、一部の作動液のみが劣化
することを防止することができる。リザーバから作動液
が汲み上げられ、マスタシリンダに戻されるようにすれ
ば、液圧回路内の作動液を入れ換えることができるから
である。さらに、常にマスタシリンダの作動液が汲み上
げられるようにされている場合には、ポンプの吐出量を
大きくできないが、第2状態にすることができれば、必
要に応じて吐出量を大きくすることができる。マスタシ
リンダが、シリンダハウジングに加圧室をマスタリザー
バと連通させるためのポートが設けられたシリンダに、
カップシールが設けられたピストンが摺動可能に配設さ
れており、ピストンのカップシールがポートを通過して
前進させられると圧力が発生させられるタイプのもので
ある場合には、カップシールの損傷を回避するためにポ
ートの径が小さくされているのが普通である。しかも、
マスタシリンダの液圧は高くなるため、マスタシリンダ
とポンプとを接続する液通路は流路面積が小さいものと
されている。そのため、マスタシリンダからは、あるい
はマスタシリンダを経てマスタリザーバからは大きな流
量で作動液を汲み上げることができず、吐出量を大きく
することができないのである。なお、流通制御装置は、
第1状態および第2状態だけでなく、第3状態,第4状
態・・・等にもなり得るものとすることができる。 (2)前記流通制御装置の前記第1状態が、前記マスタ
シリンダに圧力が発生させられている状態の少なくとも
一時期にマスタシリンダから前記ポンプへの作動液の流
れを許容する一方、前記リザーバへの流れを阻止する状
態を含み、前記第2状態が、マスタシリンダに圧力が発
生させられていない状態の少なくとも一時期に少なくと
もリザーバからポンプへの作動液の流れを許容する状態
を含む(1)項に記載のブレーキ液圧源装置(請求項
2)。マスタシリンダに圧力が発生させられる状態にお
いては、マスタシリンダの方がリザーバより圧力が高い
ため、液通路を介してマスタシリンダの作動液がリザー
バに流出させられるおそれがある。そこで、マスタシリ
ンダからポンプへの作動液の流れを許容するとともにマ
スタシリンダからリザーバへの作動液の流れを阻止すれ
ば、第1状態において、マスタシリンダの作動液がリザ
ーバに流出させられることを回避することができる。ま
た、マスタシリンダに圧力が発生させられていない場合
に第1状態に切り換えても消費エネルギ低減の効果は得
られないが、第2状態に切り換えれば、上述のように、
一部の作動液のみの劣化を防止することができ、吐出量
を大きくすることができる。 (3)前記流通制御装置が、さらに、前記マスタシリン
ダと前記リザーバとの両方から前記ポンプへの作動液の
流れを阻止する第3状態にもなり得ることを特徴とする
(1) 項または(2) 項に記載のブレーキ液圧源装置(請求
項3)。第3状態とされれば、ポンプには、マスタシリ
ンダからもリザーバからも作動液が供給されないことに
なる。例えば、〔発明の実施の形態〕において説明する
が、ポンプにマスタシリンダとリザーバとが並列に接続
されるとともに、前記リザーバとは別の副リザーバが接
続されている場合において、副リザーバの作動液の収容
可能な容量を大きくしなければならない(収容された作
動液を早急に汲み上げなければならない)場合がある。
この場合に、ポンプへのマスタシリンダとリザーバ(主
リザーバ)との両方からの作動液の供給を阻止すれば、
副リザーバの作動液を確実に汲み上げることが可能とな
る。本項に記載のブレーキ液圧源装置において、副リザ
ーバをアンチロック制御等においてブレーキシリンダか
ら流出させられた作動液を収容する減圧用リザーバと
し、主リザーバをマスタシリンダに連結されたマスタリ
ザーバとすることができる。なお、ポンプが非作動状態
に保たれる場合にも、第3状態とすることが望ましい。
ポンプへ作動液を供給する必要がないからである。 (4)前記流通制御装置が、前記ポンプと前記マスタシ
リンダとを接続する第1液通路の途中に設けられ、その
第1液通路における作動液の流れを許容する流通許容状
態と作動液の流れを阻止する流通阻止状態とに制御可能
な第1制御弁と、前記ポンプと前記リザーバとを接続す
る第2液通路の途中に設けられ、その第2液通路におけ
る作動液の流れを許容する流通許容状態と作動液の流れ
を阻止する流通阻止状態とに制御可能な第2制御弁と、
前記マスタシリンダの作動液を前記ポンプに汲み上げさ
せる場合に、前記第1制御弁を前記流通許容状態とする
とともに前記第2制御弁を前記流通阻止状態とし、前記
リザーバの作動液を前記ポンプに汲み上げさせる場合
に、前記第2制御弁を前記流通許容状態とするとともに
前記第1制御弁を前記流通阻止状態とする制御弁制御装
置とを含む(1) 項ないし(3) 項のいずれか1つに記載の
ブレーキ液圧源装置(請求項4)。第1制御弁を流通許
容状態とするとともに第2制御弁を流通阻止状態とすれ
ば第1状態に切り換えられ、第2制御弁を流通許容状態
とするとともに第1制御弁を流通阻止状態とすれば第2
状態に切り換えられる。また、第1制御弁と第2制御弁
との両方を流通阻止状態とすれば第3状態に切り換えら
れる。本項に記載のブレーキ液圧源装置においては、第
2状態において、作動液がリザーバから汲み上げられ、
マスタシリンダから汲み上げられることはないのであ
り、ポンプによってマスタシリンダの作動液とリザーバ
の作動液とのいずれか一方が選択的に汲み上げられるこ
とになる。第1制御弁,第2制御弁は、単なる開閉弁と
しても、開状態において、液通路を流れる作動液の流量
を制御可能な流量制御弁としてもよい。 (5)当該ブレーキ液圧源装置が、前記ポンプと前記マ
スタシリンダとを接続する第1液通路と、前記ポンプと
前記リザーバとを接続する第2液通路との少なくとも一
方に、前記マスタシリンダに圧力が発生させられている
状態の少なくとも一時期に、前記マスタシリンダの作動
液のリザーバへの流出を阻止する流出阻止装置を含む
(1) 項ないし(4) 項のいずれか1つに記載のブレーキ液
圧源装置。流出阻止装置は、逆止弁を含むものであって
も、液通路における作動液の流れを許容する流通許容状
態と作動液の流れを阻止する流通阻止状態とに制御可能
な第3制御弁を含むものであってもよい。逆止弁である
場合には、第2液通路の途中に、ポンプ側からリザーバ
側への作動液の流れを阻止し逆向きの流れを許容する状
態で接続されたものとする。第3制御弁である場合に
は、第1液通路の途中に設けても第2液通路の途中に設
けてもよい。ここでは、流出阻止装置が第3制御弁を含
むものである場合について説明する。第3制御弁を第2
液通路に第2制御弁と直列に設けた場合には、マスタシ
リンダの作動液がポンプによって汲み上げられる第1状
態において、マスタシリンダの作動液のリザーバへの流
れを阻止することができる。第1制御弁を流通許容状態
とし、第2制御弁を流通阻止状態とすることによって、
第1状態に切り換えられるのであるが、第2制御弁が異
物の混入等に起因して流通許容状態に保たれると(流通
阻止状態に切り換え不能になると)、第1制御弁,第2
制御弁の両方が流通許容状態となり、マスタシリンダの
作動液がリザーバへ流出させられる。それに対して、第
3制御弁も流通阻止状態に切り換えれば、第3制御弁に
より、マスタシリンダの作動液のリザーバへの流出を阻
止することができる。第3制御弁は第2制御弁と連動し
て制御される。第3制御弁を第1液通路に第1制御弁と
直列に設けた場合には、マスタシリンダに圧力が発生さ
せられている状態においてリザーバの作動液をポンプに
供給する第2状態において、マスタシリンダの作動液の
リザーバへの流出を阻止することができる。第2状態に
おいては、第1制御弁が流通阻止状態とされ第2制御弁
が流通許容状態とされるが、第1制御弁が流通許容状態
のままであっても、第3制御弁が流通阻止状態にあれ
ば、マスタシリンダの作動液のリザーバへの流出を阻止
することができる。なお、流出阻止装置は、流通制御装
置とは別個のものと考えても、流通制御装置と同一のも
のあるいは流通制御装置の一部を構成するものと考えて
もよい。 (6)前記流通制御装置が、前記ポンプと前記リザーバ
とを接続する第2液通路に前記ポンプ側から前記リザー
バ側への作動液の流れは阻止するが逆向きの流れは許容
する向きで接続された逆止弁を含む(1) 項ないし(5) 項
のいずれか1つに記載のブレーキ液圧源装置(請求項
5)。マスタシリンダに圧力が発生させられている状態
において、ポンプを作動させれば、マスタシリンダの作
動液がポンプに汲み上げられる第1状態とされる。マス
タシリンダに圧力が発生させられていない状態におい
て、ポンプを作動させれば、リザーバの作動液が逆止弁
を経て汲み上げられるとともに、マスタシリンダの作動
液が汲み上げられる第2状態とされる。また、逆止弁に
より、マスタシリンダからリザーバへの作動液の流れが
阻止される。このように、逆止弁1つで、第1状態と第
2状態とになり得、かつ、マスタシリンダの作動液のリ
ザーバへの流出を阻止し得るのである。逆止弁は、流通
制御装置と流出阻止装置との両方の機能を備えたものな
のであり、本項に記載のブレーキ液圧源装置によれば、
(4) 項,(5) 項に記載の第1制御弁,第2制御弁および
第3制御弁が不要となり、構造を簡単にし得、コストダ
ウンを図ることができる。なお、逆止弁を、第1制御弁
および第2制御弁と組合わせて設けたり、第1制御弁と
組合わせて設けたりすることができる。換言すれば、第
1液通路に第1制御弁を設け、第2液通路に第2制御弁
と逆止弁とを直列に設けた構造としたり、第1液通路に
第1制御弁を設け、第2液通路に逆止弁を設けた構造と
したりすることができるのである。 (7)前記流通制御装置が、前記ポンプの要求吐出圧が
予め定められた設定圧より高い場合に第1状態とし、前
記ポンプの要求吐出量が予め定められた設定量より大き
い場合に第2状態とする流通状態制御部を含む(1) 項な
いし(6) 項のいずれか1つに記載のブレーキ液圧源装
置。第1状態は、ポンプの吐出圧を高くするのに適した
状態であり、第2状態は、吐出量を大きくするのに適し
た状態である。 (8)当該ブレーキ液圧源装置と、前記マスタシリンダ
と前記ポンプとの少なくとも一方から供給された作動液
の液圧によりブレーキを作動させる車輪のブレーキシリ
ンダと、前記ブレーキシリンダの液圧を制御可能な液圧
制御弁装置と、その液圧制御弁装置を経て前記ブレーキ
シリンダから流出させられた作動液を収容するリザーバ
であって、前記ポンプに接続された減圧用リザーバと、
前記液圧制御弁装置を制御することによって、前記ブレ
ーキシリンダ液圧を制御する液圧制御装置とを含むブレ
ーキ装置。液圧制御装置は、ブレーキシリンダ液圧を、
車輪の制動スリップ状態が適正状態に保たれるように制
御するアンチロック制御部と、車輪の駆動スリップ状態
が適正状態に保たれるように制御するトラクション制御
部と、当該ブレーキ装置が搭載された車両の走行状態が
適正状態に保たれるように制御するビークルスタビリテ
ィ制御部と、ブレーキ操作部材の操作力に応じた車両減
速度が得られるように制御する制動効果制御部と、ブレ
ーキシリンダの液圧をブレーキ操作部材の操作力に基づ
いてマスタシリンダに発生させられる液圧より高く制御
する助勢制御部との少なくとも1つを含むものとするこ
とができる。助勢制御部は、例えば、ブレーキ操作力に
対するブレーキシリンダ液圧の倍力率がブースタの助勢
限界以降と助勢限界以前とで変わらないようにするブー
スタ助勢限界後倍力制御部としたり、ブレーキシリンダ
の液圧がブレーキ操作力によりマスタシリンダに発生さ
せられる液圧より常に高くなるように制御する常時倍力
制御部としたり、ブレーキ操作力が設定力以上であると
か、ブレーキ操作速度が設定速度以上であるとかの特定
時に高くなるように制御する特定時助勢制御部としたり
することができる。流通制御装置は、〔発明の実施の形
態〕において詳細に説明するように、ブレーキ操作中
(マスタシリンダに圧力が発生させられている場合)で
あって、かつ、ブレーキシリンダ液圧の目標液圧がマス
タシリンダ液圧より高い場合(の場合とする)に第1
状態となり、ブレーキ操作中であって、かつ、目標液圧
がマスタシリンダ液圧以下である場合(の場合とす
る)、または、非ブレーキ操作状態にある場合(マスタ
シリンダに圧力が発生させられていない場合。の場合
とする)に第2状態となるものとすることができる。さ
らに、ブースタ助勢限界後倍力制御とアンチロック制御
とが並行して行われている場合であって、予め定められ
た条件が満たされた場合(の場合とする)に、第3状
態となるものとすることもできる。の場合としては、
例えば、ブースタ助勢限界後倍力制御中である場合が該
当し、の場合としては、通常制動時におけるアンチロ
ック制御中において、作動液が不足状態にある場合(例
えば、減圧終了時に減圧用リザーバの作動液が設定量以
下である場合)が該当し、の場合としては、トラクシ
ョン制御中,ビークルスタビリティ制御中である場合が
該当する。の場合としては、減圧用リザーバの作動液
を積極的に汲み上げる必要がある場合であり、換言すれ
ば、減圧用リザーバ内の作動液の量が設定量以上となっ
た場合、減圧用リザーバに作動液が現に流出させられて
いる場合、減圧用リザーバに多量の作動液が流出させら
れると予測される場合、減圧用リザーバに作動液が残っ
ている可能性がある場合等である。後3者の具体例は、
減圧制御中であること、車輪減速度が設定減速度以上で
あること、悪路判定中であること、減圧制御終了時から
設定時間内であること等の条件の少なくとも1つが満た
された場合である。
【0004】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態である
ブレーキ液圧源装置を含むブレーキ装置について図面に
基づいて詳細に説明する。図1において、10はブレー
キ操作部材としてのブレーキペダルであり、そのブレー
キペダル10はバキュームブースタ12を介してマスタ
シリンダ14に連結されている。マスタシリンダ14は
タンデム型であり、ハウジングに2つの加圧ピストンが
互いに直列にかつ各々摺動可能に嵌合され、それによ
り、ハウジング内に各加圧ピストンの前方において2つ
の加圧室が互いに独立して形成されている。マスタシリ
ンダ14においては、それら加圧室にブレーキペダル1
0の踏力であるブレーキ操作力に応じてそれぞれ等しい
高さの液圧が機械的に発生させられる。
【0005】バキュームブースタ12は、よく知られた
ものであるため、詳細な説明は省略するが、変圧室と負
圧室とを有し、これらの差圧によってブレーキ操作力を
助勢して、マスタシリンダ14に出力するものである。
この差圧は、変圧室の圧力が大気圧まで増加した後に
は、ブレーキペダル10をさらに深く踏み込んでも増加
しない。この変圧室の圧力が大気圧に達した状態がブー
スタがブレーキ操作力を助勢できる限界なのであり、こ
のブースタが助勢限界に到達した場合のマスタシリンダ
14の液圧を助勢限界圧とする。本実施形態において
は、後述するが、バキュームブースタ12が助勢限界に
達した時点からブレーキ力を助勢して、助勢限界に達す
る以前とブレーキ操作力の倍力率を同じにする助勢制御
(ブースタ助勢限界後倍力制御)が行われる。
【0006】このブレーキ装置は前後2系統式であり、
マスタシリンダ14の一方の加圧室には、左右前輪22
のそれぞれのブレーキ24を作動させるブレーキシリン
ダ26が接続されている。また、他方の加圧室には、図
示しないが、左右後輪のそれぞれのブレーキを作動させ
るブレーキシリンダが接続されている。以下、前輪側の
液圧系統において説明し、後輪側の液圧系統についての
説明は省略する。なお、図において一点鎖線で囲まれた
部分はユニット化されている。
【0007】マスタシリンダ14と、前記左右前輪F
L,FRのブレーキシリンダ26とは主液通路34によ
って接続されている。主液通路34は、マスタシリンダ
14から延び出た後に二股状に分岐させられており、1
本の基幹通路36と2本の分岐通路38とが互いに接続
されて構成されている。基幹通路36の途中には圧力制
御弁40が設けられており、各分岐通路38の先端に上
述のブレーキシリンダ26がそれぞれ接続されているの
である。主液通路34のうち圧力制御弁40とブレーキ
シリンダ26との間の部分にはポンプ通路42が接続さ
れ、その途中にポンプ44が設けられている。ポンプ4
4は、ポンプモータ46によって駆動される。ポンプ4
4およびポンプモータ46等により加圧装置48が構成
される。
【0008】図2において、圧力制御弁40は、マスタ
シリンダ14とブレーキシリンダ26との差圧を電磁的
に制御する形式のものである。圧力制御弁40は、図示
しないハウジングと、主液通路34におけるマスタシリ
ンダ側とブレーキシリンダ側との間の作動液の流通状態
を制御する弁子50およびそれが着座すべき弁座52
と、それら弁子50を弁座52に着座させる方向の磁気
力を発生させるソレノイド54とを有している。
【0009】この圧力制御弁40においては、ソレノイ
ド54が励磁されない非作用状態(OFF状態)では、
スプリング56の弾性力によって弁子50が弁座52か
ら離間させられている。それにより、主液通路34にお
いてマスタシリンダ側とブレーキシリンダ側との間での
双方向の作動液の流れが許容される。ブレーキペダル1
0が操作されれば、ブレーキシリンダ26がマスタシリ
ンダ14と等圧で変化させられる。圧力制御弁40は常
開弁なのである。
【0010】これに対し、ソレノイド54が励磁される
作用状態(ON状態)では、ソレノイド54の磁気力に
よりアーマチュア58が吸引され、そのアーマチュア5
8と一体的に移動する弁子50が弁座52に着座させら
れる。このとき、弁子50には、ソレノイド54の磁気
力に基づく吸引力F1 と、ブレーキシリンダ液圧とマス
タシリンダ液圧との差に基づく差圧作用力F2 とスプリ
ング56の弾性力F3との和とが互いに逆向きに作用
し、弁子50の弁座52に対する相対位置は、これら吸
引力F1 ,差圧作用力F2 ,弾性力F3 との関係によっ
て決まり、ブレーキシリンダ液圧は、これらの関係に基
づいて決まる。
【0011】ブレーキシリンダ液圧とマスタシリンダ液
圧との差に基づく差圧作用力F2 に対して吸引力F1
大きく、式 F2 ≦F1 −F3 が成立する領域では、弁子50が弁座52に着座し、ブ
レーキシリンダ26からの作動液の流出が阻止される。
ポンプ44から高圧の作動液が供給されることにより、
ブレーキシリンダ26の液圧が増加させられマスタシリ
ンダ14より高くなる。ブレーキシリンダ液圧の増加に
伴って差圧作用力F2 が大きくなり、式 F2 >F1 −F3 が成立すると、弁子50が弁座52から離間し、ブレー
キシリンダ26の作動液がマスタシリンダ14に戻さ
れ、減圧させられる。この式において、弾性力F3を無
視すれば、ブレーキシリンダ液圧が、マスタシリンダ液
圧に対してソレノイド吸引力F1 に応じた差圧分高い液
圧に制御されることになる。したがって、ブレーキシリ
ンダ液圧とマスタシリンダ液圧との差圧を目標差圧(図
4参照)とするために必要な吸引力F1 が演算により求
められ、その吸引力F1 が得られるようにソレノイド5
4へ電流が供給されるのである。また、ソレノイド54
の磁気力である吸引力F1 の大きさはソレノイド54の
励磁電流Iの大きさに応じてリニアに変化するように設
計されている。
【0012】この圧力制御弁40には図1に示すよう
に、バイパス通路62が設けられており、そのバイパス
通路62の途中にバイパス弁64が逆止弁として設けら
れている。万が一、ブレーキペダル10の踏み込み時に
圧力制御弁40内の可動部材に生ずる流体力により圧力
制御弁40が閉じてしまったり、圧力制御弁40が機械
的にロックして閉じたままになってしまった場合でも、
マスタシリンダ14からブレーキシリンダ26へ向かう
作動液の流れが確保されるようにするためである。
【0013】各分岐通路38の途中には、ポンプ通路4
2との接続点よりブレーキシリンダ側において、常開の
電磁開閉弁である保持弁70が設けられている。保持弁
70は、励磁されて閉状態となり、ポンプ44からブレ
ーキシリンダ56への作動液の流れを阻止し、ブレーキ
シリンダ56の液圧を保持する。保持弁70にはバイパ
ス通路72が接続され、各バイパス通路72には作動液
戻り用のバイパス弁74が逆止弁として設けられてい
る。各分岐通路38のうち保持弁70とブレーキシリン
ダ26との間の部分からリザーバ通路76が延びてリザ
ーバ78に至っている。各リザーバ通路76の途中には
常閉の電磁開閉弁である減圧弁80が設けられている。
減圧弁80は、励磁されて開状態とされ、ブレーキシリ
ンダ56からリザーバ78へ向かう作動液の流れを許容
し、それより、ブレーキシリンダ液圧が減圧される状態
を実現する。リザーバ78には、減圧弁80を経てブレ
ーキシリンダ26から流出させられた作動液が収容され
るため、以下、減圧用リザーバ78と称することにす
る。
【0014】減圧用リザーバ78は、ハウジングにリザ
ーバピストン82が実質的に気密かつ摺動可能に嵌合さ
れて構成されるとともに、その嵌合によりリザーバピス
トン82の前方に形成されたリザーバ室84において作
動液を付勢手段としてのスプリング86によって圧力下
に収容するものである。リザーバ室84は前記ポンプ通
路42により前記主液通路34に接続されている。
【0015】ポンプ通路42はポンプ44によりそれぞ
れ吸入通路90と吐出通路92とに仕切られており、そ
れら通路90,92には、共に逆止弁である吸入弁94
と吐出弁96とがそれぞれ設けられている。吐出通路9
2には、ダンパ室98とオリフィスとが互いに直列に設
けられており、それによりポンプ44の脈動が軽減され
る。
【0016】吸入通路90の吸入弁94と減圧用リザー
バ78との間の部分は、第1液通路としての第1作動液
供給通路100を介して、主液通路34のマスタシリン
ダ14と圧力制御弁40との間の部分に接続されてい
る。第1作動液供給通路100の途中には、第1制御弁
としてのマスタ流入制御弁102が設けられている。マ
スタ流入制御弁102は、常閉の電磁開閉弁であり、閉
状態(流通阻止状態)と開状態(流通許容状態)とに切
り換えられる。また、吸入通路90のうち第1作動液供
給通路100との接続点と減圧用リザーバ78との間の
部分に逆止弁104が設けられている。この逆止弁10
4は、マスタ流入制御弁102が開状態に切り換えられ
た場合に、マスタシリンダ14の作動液が減圧用リザー
バ78に流入することを阻止するために設けられたもの
である。この逆止弁104により、マスタシリンダ14
からの作動液が高圧のままでポンプ44に汲み上げられ
ることになる。なお、前記リザーバ通路76は、吸入通
路90の、逆止弁104と減圧用リザーバ78との間に
接続されており、ブレーキシリンダ26から流出させら
れた作動液が減圧用リザーバ78に収容される。また、
第1作動液供給通路100のマスタ流入制御弁102が
設けられている部分より減圧用リザーバ側には、マスタ
リザーバ106から延び出した第2液通路としての第2
作動液供給通路110が接続されている。第2作動液供
給通路110の途中には、第2制御弁としてのリザーバ
流入制御弁112と流出阻止弁としての逆止弁114と
が直列に配設されている。
【0017】このように、ポンプ44の吸入側には、マ
スタシリンダ14とマスタリザーバ106との両方がそ
れぞれ第1作動液供給通路100,第2作動液供給通路
110を介して並列に接続されることになる。トラクシ
ョン制御,ビークルスタビリティ制御時においては、マ
スタ流入制御弁102が閉状態に、リザーバ流入制御弁
112が開状態にされることにより、マスタリザーバ1
06の作動液が第2作動液供給通路110を経て汲み上
げられる。助勢制御時においては、マスタ流入制御弁1
02が開状態に、リザーバ流入制御弁112が閉状態に
されることにより、第1作動液供給通路100を経てマ
スタシリンダ14の作動液が汲み上げられる。ブレーキ
シリンダ26の液圧をマスタシリンダ14の液圧より高
い液圧に制御する場合に、マスタシリンダ14の作動液
がポンプ44に汲み上げられるようにすれば、マスタリ
ザーバ106の作動液が汲み上げられる場合より、ブレ
ーキシリンダ26の液圧を同じ高さに制御する場合にポ
ンプ44における消費エネルギを低減させることができ
る。
【0018】また、第2作動液供給通路110によれ
ば、多量の作動液を早急にポンプ74に供給できるとい
う利点もある。マスタシリンダ14の液圧は高圧である
ため、第1作動液供給通路100は、流路面積が小さい
ものとする必要があり、しかも、マスタリザーバ106
とマスタシリンダ14との間には絞りがあるため、マス
タシリンダ14の作動液を多量にかつ早急にポンプ44
に供給することは困難である。それに対して、マスタリ
ザーバ106の液圧は大気圧に近いため、第2作動液供
給通路110を流路面積を大きなものとすることがで
き、多量の作動液を早急に供給することができるのであ
る。
【0019】逆止弁114は、マスタ流入制御弁10
2,リザーバ流入制御弁112の両方が開状態になった
場合に、マスタシリンダ14の作動液のマスタリザーバ
106への流出を防止するために設けられたものであ
る。2つの流入制御弁102,112の両方が開状態に
されることは本来ないことであるが、例えば、いずれか
一方が異物の混入等に起因して開状態に保たれたまま閉
状態に切り換えられなくなり、いずれか他方が制御によ
って開状態に切り換えられた場合に、マスタシリンダ1
4がマスタリザーバ106に連通させられる場合がある
のである。
【0020】以上、このブレーキ装置のハードウェア構
成を説明したが、次に、ソフトウェア構成を図3に基づ
いて説明する。ただし、図3には、ソフトウェア構成の
うち前輪ブレーキ系統に関する部分のみが代表的に示さ
れている。このブレーキ装置は、コンピュータを主体と
する液圧制御装置150を備えている。液圧制御装置1
50は、CPU152,ROM154,RAM156,
入力部158,出力部160等を含むコンピュータを主
体として構成されたものである。ROM154には、助
勢制御ルーチン,アンチロック制御ルーチン,トラクシ
ョン制御ルーチン,ビークルスタビリティ制御ルーチン
等が記憶されており、これら各々のルーチンがCPU1
52によりRAM156を使用しつつ実行されることに
より、助勢制御,アンチロック制御,トラクション制
御,ビークルスタビリティ制御等が実行される。なお、
液圧制御装置150は、複数のコンピュータを含むもの
であってもよい。
【0021】「助勢制御」は、ブレーキ操作力に対する
ブレーキシリンダ液圧の倍力率がブースタの助勢限界以
降と助勢限界以前とで変わらないようにする制御であ
り、助勢限界に達した後にブレーキ力を助勢する制御で
あるため、助勢限界後倍力制御と称することもできる。
「アンチロック制御」は、よく知られているように、各
輪の制動スリップ状態が適正状態に保たれるようにする
制御であり、「トラクション制御」は、各輪の駆動スリ
ップ状態が適正状態に保たれるようにする制御である。
また、「ビークルスタビリティ制御」は、当該ブレーキ
装置が搭載された車両の走行状態が適正状態に保たれる
ようにする制御であるが、ビークルスタビリティ制御に
は、ドリフトアウト抑制制御とスピン抑制制御との少な
くとも一方が含まれる。
【0022】液圧制御装置150の入力部158には、
マスタシリンダ液圧センサ170,車輪速センサ17
2,ヨーレイトセンサ174等が接続されている。マス
タシリンダ液圧センサ170はマスタシリンダ液圧信号
を出力する。車輪速センサ172は、各輪毎に設けら
れ、各輪の車輪速信号を出力する。各輪の車輪速度に基
づいてスリップ状態,車輪加速度等が求められ,それに
基づいてアンチロック制御,トラクション制御等が行わ
れる。また、ヨーレイトセンサ174は車両の鉛直軸回
りの回転角速度を検出するものである。液圧制御装置1
50には、ヨーレイトセンサ174の他に、図示しない
横Gセンサ,操舵角センサ等も接続されており、これら
の出力信号に基づいて車両の旋回状態が検出される。
【0023】一方、液圧制御装置150の出力部160
には、駆動回路180を介してポンプモータ46が接続
されている。出力部160にはさらに、前記圧力制御弁
40のソレノイド54が駆動回路182を介して接続さ
れるとともに、保持弁70,減圧弁80のソレノイド1
84およびマスタ流入制御弁102,リザーバ流入制御
弁112の各ソレノイド186,188が駆動回路19
0を介して接続されている。圧力制御弁40のソレノイ
ド54の駆動回路182には、ソレノイド54の磁気力
をリニアに制御するための電流制御信号が出力され、保
持弁70,減圧弁80およびマスタ流入制御弁102,
リザーバ流入制御弁112の各ソレノイド184,18
6,188の駆動回路190にはそれぞれ、ソレノイド
をON/OFF駆動するためのON/OFF駆動信号が
出力される。
【0024】以下、作動について説明する。マスタ流入
制御弁102,リザーバ流入制御弁112の制御状態は
図5に示す。本ブレーキ装置においては、圧力制御弁4
0は開状態に保たれ、保持弁70,減圧弁80は、図示
する原位置に保たれる。マスタ流入制御弁102,リザ
ーバ流入制御弁112は閉状態に保たれ、ポンプ44は
非作動状態に保たれる。ブレーキペダル10が操作され
れば、そのブレーキ操作力に応じた圧力がマスタシリン
ダ14の加圧室に発生させられ、開状態にある圧力制御
弁40,保持弁70を経てブレーキシリンダ26に伝達
される。
【0025】マスタシリンダ液圧PM が、図4に示す開
始圧PMO(バキュームブースタ12が助勢限界に達した
場合のマスタシリンダ液圧である。助勢制御が開始され
る液圧であるため開始圧と称する)に達すると助勢制御
が行われる。ポンプ44によるブレーキシリンダ26の
増圧が開始されるのであり、一点鎖線で表される目標ブ
レーキシリンダ液圧PB が得られるように助勢圧が加え
られる。助勢圧(目標差圧ΔP)は、図に示すように、
実際のマスタシリンダ液圧に応じて決まるのであり、助
勢圧ΔPが得られるように圧力制御弁40を制御すれ
ば、ブレーキシリンダ液圧を目標ブレーキシリンダ液圧
B に近づけることができる。本実施形態においては、
ROM154に、マスタシリンダ液圧と圧力制御弁40
への供給電流量との関係を表すテーブルが格納されてお
り、圧力制御弁40への供給電流量はテーブルに従って
制御される。供給電流量は、マスタシリンダ液圧が大き
く、目標差圧ΔPが大きくなると多くなるようにされて
いる。
【0026】助勢制御においては、ポンプ44が作動状
態とされ、マスタ流入制御弁102が開状態に、リザー
バ流入制御弁112が閉状態にされることにより、マス
タシリンダ14の作動液がポンプ44により汲み上げら
れる第1状態とされる。ポンプ44から吐出された作動
液がブレーキシリンダ26に供給されるのであるが、こ
の場合のマスタシリンダ14の液圧とブレーキシリンダ
26の液圧との差圧が圧力制御弁40により制御され、
ブレーキシリンダ26の液圧が目標液圧に近づけられ
る。ポンプ44によってマスタリザーバ106の作動液
ではなくマスタシリンダ14の作動液が汲み上げられて
加圧されるため、その分、ポンプモータ46において消
費される電気エネルギを少なくすることができる。
【0027】ブレーキ操作中に、制動力が路面の摩擦係
数に対して過大になるとアンチロック制御が行われる。
アンチロック制御においては、ブレーキシリンダ26の
液圧が、車輪22の制動スリップ状態が適正状態に保た
れるように制御される。マスタシリンダ液圧PM が開始
圧PMO以下である場合、すなわち、通常制動時にアンチ
ロック制御が開始された場合(図5には通常ABSと記
載する)には、圧力制御弁40が閉状態に保たれた状態
で、保持弁70,減圧弁80が開閉させられる。減圧モ
ード,保持モード,増圧モードのいずれかが車輪加速
度,制動スリップ状態等に基づいて予め定められたマッ
プに従って選択され、それに基づいて開閉させられるの
である。ポンプ44は作動状態に保たれ、減圧用リザー
バ78から作動液がくみ上げられて液通路38に戻され
る。この場合、原則として、マスタ流入制御弁102,
リザーバ流入制御弁112はともに閉状態に保たれる
が、アンチロック制御中に増圧制御用の作動液が不足し
た場合(例えば、アンチロック制御中に路面μが高くな
った場合)には、リザーバ流入制御弁112が開状態に
切り換えられる。マスタ流入制御弁102が開状態に切
り換えられると、ブレーキペダル10が入り込み、望ま
しくないからである。
【0028】マスタシリンダ液圧PM が開始圧PMOより
大きい場合(助勢制御中)に、アンチロック制御が開始
された場合、すなわち、助勢制御とアンチロック制御と
が並行して行われる場合(助勢制御中ABS)は、圧力
制御弁40への供給電流値Iがその時点の目標差圧を実
現し得る大きさに制御される一方、ブレーキシリンダ液
圧が、各車輪22の制動スリップ状態が適正状態に保た
れるように、保持弁70,減圧弁80の開閉により制御
される。この場合には、原則としてマスタ流入制御弁1
02が開状態に、リザーバ流入制御弁112が閉状態に
され、ポンプ44は作動状態に保たれる。しかし、アン
チロック制御中において予め定められた条件が満たされ
た場合には、マスタ流入制御弁102が閉状態に切り換
えられる。本実施形態においては、減圧用リザーバ78
の収容能力を高める必要がある場合であり、減圧用リザ
ーバ内の作動液の量が設定量以上となった場合、減圧用
リザーバに作動液が現に流出させられている場合、減圧
用リザーバに多量の作動液が流出させられると予測され
る場合、減圧用リザーバに作動液が残っている可能性が
ある場合等である。具体的には、減圧用リザーバ78に
収容されたリザーバ残量が設定量以上である場合、減圧
モードが選択された場合、車輪減速度が設定減速度以上
である場合、悪路走行中である場合、減圧制御終了後の
経過時間が設定時間以内である場合の少なくとも1つが
満たされた場合である。これらの場合に、マスタシリン
ダ14およびマスタリザーバ106からの作動液の供給
を阻止すれば、ポンプ44により減圧用リザーバ78の
作動液を確実に汲み上げることができ、減圧用リザーバ
78の収容能力を回復させることができる。減圧制御時
にブレーキシリンダ26から流出させられる作動液を収
容することが可能となり、確実に減圧させることが可能
となる。
【0029】車輪22に加えられる駆動力が路面の摩擦
係数に対して過大になると、トラクション制御が行われ
る。トラクション制御においては、ブレーキシリンダ2
6の液圧が車輪22の駆動スリップ状態が適正状態に保
たれるように制御される。この場合、圧力制御弁40は
閉状態に保たれ、マスタ流入制御弁102が閉状態に、
リザーバ流入制御弁112が開状態に保たれた状態で、
ポンプ44が作動状態に保たれる。マスタリザーバ10
6から汲み上げられた作動液がポンプ44により加圧さ
れてブレーキシリンダ26に供給される。ブレーキシリ
ンダ26の液圧は、保持弁70,減圧弁80の開閉によ
り制御される。作動液が第2作動液供給通路110から
供給されることになるが、第2作動液供給通路110は
第1作動液供給通路100より流路面積が大きく、圧力
損失が小さいため、大きな流量でポンプ44に作動液を
供給することができ、トラクション制御における応答性
を向上させることができる。ブレーキシリンダ液圧をそ
れほど高い液圧に制御する必要がないため、マスタシリ
ンダ14から作動液を供給する必要がないのである。
【0030】さらに、車両の走行状態(旋回状態)が予
め定められた設定状態を越えると(ドリフトアウト傾向
やスピン傾向が過大になる)と、ドリフトアウト抑制制
御やスピン抑制制御(ビークルスタビリティ制御)が行
われる。左右あるいは前後の制動力差が車両の旋回状態
が適正状態に保たれるように制御される。トラクション
制御における場合と同様に、圧力制御弁40が閉状態に
され、マスタ流入制御弁102が閉状態に、リザーバ流
入制御弁112が開状態にされた状態で、ポンプ44が
作動状態に保たれる。マスタリザーバ106から大きな
流量で作動液を供給することができるため、ビークルス
タビリティ制御における応答性を向上させることができ
る。
【0031】以上のように、本実施形態によれば、ポン
プ44がマスタシリンダ14から作動液を汲み上げる第
1状態と、マスタリザーバ106から作動液を汲み上げ
る第2状態とに切り換えることができる。助勢制御時に
第1状態に切り換えられるようにされているため、高圧
の作動液をポンプ44に供給することができ、ポンプモ
ータ46における消費エネルギの低減を図ることができ
る。また、トラクション制御時,ビークルスタビリティ
制御時に第2状態に切り換えられるようにされているた
め、大きな流量で作動液を供給することができ、制御の
応答性を向上させることができる。さらに、逆止弁11
4が設けられているため、万が一、マスタ流入制御弁1
02,リザーバ流入制御弁112が両方とも開状態にさ
れても、マスタシリンダ14の作動液がリザーバ106
へ流出させられることを回避することができる。
【0032】本実施形態においては、マスタ流入制御弁
102、リザーバ流入制御弁112、液圧制御装置15
0のソレノイド186,188を制御する部分、駆動回
路190等により流通制御装置が構成され、この流通制
御装置、マスタシリンダ14、マスタリザーバ106、
ポンプ44、ポンプモータ46、第1作動液供給通路1
00、第2作動液供給通路110等によりブレーキ液圧
源装置が構成される。また、流通制御装置のうちの液圧
制御装置150のソレノイド186,188を制御する
部分、駆動回路190等により制御弁制御装置が構成さ
れる。
【0033】なお、ブレーキ液圧源装置を含むブレーキ
装置は、上記実施形態における構造のものに限らず、図
6に示す構造のものとすることができる。本ブレーキ装
置においては、逆止弁114の代わりに、すなわち、第
2作動液供給通路110の途中に、リザーバ流入制御弁
112と直列に第3制御弁(流出阻止弁)としての開閉
弁200が設けられている。開閉弁200は、リザーバ
流入制御弁112と連動して開閉させられる。リザーバ
流入制御弁112の異常により開状態のままとなって閉
状態に切り換え不能になった場合(例えば、異物の混入
等により、閉状態に切り換え不能となった場合)におい
て、マスタ流入制御弁102が開状態に切り換えられる
と、マスタシリンダ14が、開状態にあるマスタ流入制
御弁102,リザーバ流入制御弁112を介してリザー
バ106に連通させられる。それに対して、開閉弁20
0を設け、リザーバ流入制御弁112と連動して閉状態
にすれば、開閉弁200によってマスタシリンダ14の
作動液のマスタリザーバ106への流出を阻止すること
ができる。例えば、助勢制御中には、マスタ流入制御弁
102が開状態に、リザーバ流入制御弁112が閉状態
にされるが、リザーバ流入制御弁112が開状態のまま
であっても、開閉弁200が閉状態であれば、マスタシ
リンダ14の作動液のリザーバ106への作動液の流れ
を阻止することができるのである。
【0034】また、ブレーキ液圧源装置を含むブレーキ
装置を、図7に示す構造のものとすることもできる。本
ブレーキ装置においては、第3制御弁としての開閉弁2
10が第1作動液供給通路100にマスタ流入制御弁1
02と直列に設けられている。この開閉弁210は、上
記開閉弁200と同様に、マスタ流入制御弁102と連
動して開閉させられる。アンチロック制御中においてマ
スタリザーバ106から作動液を供給する場合に、マス
タ流入制御弁102が閉状態にリザーバ流入制御弁11
2が開状態に切り換えられるが、マスタ流入制御弁10
2が開状態のままであっても、開閉弁210が閉状態に
あれば、マスタシリンダ14の作動液のマスタリザーバ
106への流出を阻止することができる。
【0035】ブレーキ液圧源装置を含むブレーキ装置
は、図8に示す構造のものとすることもできる。本ブレ
ーキ装置においては、上記各実施形態において設けられ
ていたリザーバ流入制御弁110が設けられておらず、
第2作動液供給通路110には、逆止弁220が設けら
れているだけである。また、第1作動液供給通路100
と第2作動液供給通路110との共通部分に、開閉弁2
22が設けられている。開閉弁222を開状態,マスタ
流入制御弁102を開状態とすれば、マスタシリンダ1
4から作動液が汲み上げられる第1状態となり、マスタ
流入制御弁102を閉状態とすれば、マスタリザーバ1
06から作動液が汲み上げられる第2状態となる。ま
た、開閉弁222を閉状態とすれば、ポンプ44への作
動液の供給を阻止する第3状態となる。逆止弁220に
より、マスタシリンダ14の作動液のマスタリザーバ1
06への作動液の流出が阻止される。
【0036】また、ブレーキ装置を、図9に示す構造の
ブレーキ装置とすることもできる。図に示すように、第
1作動液供給通路100にマスタ流入制御弁102が設
けられていない。開閉弁222が開状態にあって、ブレ
ーキ操作中である場合(マスタシリンダ14に圧力が発
生させられている場合)には、ポンプ44によりマスタ
シリンダ14の作動液が汲み上げられ、非ブレーキ操作
中である場合(マスタシリンダ14に圧力が発生させら
れていない場合)には、マスタシリンダ14とリザーバ
106との両方から作動液が汲み上げられる。また、開
閉弁222が閉状態にされれば、減圧用リザーバ78か
ら作動液が汲み上げられる。
【0037】なお、上記各実施形態におけるマスタ流入
制御弁102,リザーバ流入制御弁112の制御の態様
はあくまで一例であり、他の態様で制御を行うことがで
きる。例えば、助勢制御中でない場合におけるアンチロ
ック制御においては、マスタシリンダ14から作動液が
供給されるようにすることができる。また、ブレーキ装
置の構造は、上記実施形態におけるそれに限らず、他の
構造のものとすることもできる。例えば、圧力制御弁4
0を単なる電磁開閉弁とすることができる。この場合に
は、電磁開閉弁を開状態と閉状態とに切り換えることに
よって、ブレーキシリンダ26の液圧が制御される。バ
キュームブースタ12も不可欠ではない。
【0038】さらに、マスタ流入制御弁102とリザー
バ流入制御弁112との少なくとも一方を、単なる開閉
弁でなく、開状態において作動液の流量を制御可能な流
量制御弁とすることもできる。また、ポンプ44にマス
タシリンダ14からもリザーバ106からも作動液が供
給されない第3状態に切り換え可能とすることは不可欠
ではない。例えば、ブレーキシリンダ26の作動液がマ
スタリザーバ106に直接戻されるようにされている場
合、すなわち、減圧用リザーバ78が設けられていない
場合には、ポンプ44への作動液の供給を阻止する必要
は必ずしもないのである。この場合には、図8,9に示
すブレーキ装置において開閉弁222が不要となる。さ
らに、アンチロック制御,トラクション制御,ビークル
スタビリティ制御のすべて行われるようにすることも不
可欠ではない等その他、本発明は〔発明が解決しようと
する課題,課題解決手段および効果〕の項に記載の態様
を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更,改
良を施した態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるブレーキ液圧源装置
を備えたブレーキ装置を示す回路図である。
【図2】上記ブレーキ装置に含まれる圧力制御弁を示す
概念図である。
【図3】上記ブレーキ装置に含まれる液圧制御装置周辺
を表す図である。
【図4】上記液圧制御装置によって制御されるブレーキ
操作力と目標ブレーキシリンダ液圧との関係を示す図で
ある。
【図5】上記液圧制御装置によるマスタ流入制御弁とリ
ザーバ流入制御弁との制御の一例を示す図である。
【図6】本発明の別の一実施形態であるブレーキ液圧源
装置を備えたブレーキ装置を示す回路図である。
【図7】本発明のさらに別の一実施形態であるブレーキ
液圧源装置を備えたブレーキ装置を示す回路図である。
【図8】本発明のさらに別の一実施形態であるブレーキ
液圧源装置を備えたブレーキ装置を示す回路図である。
【図9】本発明のさらに別の一実施形態であるブレーキ
液圧源装置を備えたブレーキ装置を示す回路図である。
【符号の説明】
14 マスタシリンダ 26 ブレーキシリンダ 40 圧力制御弁 44 ポンプ 46 ポンプモータ 48 加圧装置 70 保持弁 78 減圧用リザーバ 80 減圧弁 100 第1作動液供給通路 102 マスタ流入制御弁 110 第2作動液供給通路 112 リザーバ流入制御弁 114,220 逆止弁 150 液圧制御装置 200,210,222 開閉弁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 基司 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 Fターム(参考) 3D046 BB28 BB29 CC02 HH16 LL05 LL23 LL29 LL37 LL43 LL46 LL50

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ブレーキ操作に応じて液圧を発生させるマ
    スタシリンダと、 作動液をほぼ大気圧で収容するリザーバと、 作動液を加圧するポンプと、 前記マスタシリンダおよび前記リザーバを前記ポンプに
    並列に接続する液通路と、 その液通路に設けられ、少なくとも、前記ポンプに少な
    くとも前記マスタシリンダの作動液を汲み上げさせる第
    1状態と、少なくとも前記リザーバの作動液を汲み上げ
    させる第2状態とになり得る流通制御装置とを含むこと
    を特徴とするブレーキ液圧源装置。
  2. 【請求項2】前記流通制御装置の前記第1状態が、前記
    マスタシリンダに圧力が発生させられている状態の少な
    くとも一時期にマスタシリンダから前記ポンプへの作動
    液の流れを許容する一方、前記リザーバへの流れを阻止
    する状態を含み、前記第2状態が、マスタシリンダに圧
    力が発生させられていない状態の少なくとも一時期に少
    なくともリザーバからポンプへの作動液の流れを許容す
    る状態を含む請求項1に記載のブレーキ液圧源装置。
  3. 【請求項3】前記流通制御装置が、さらに、前記マスタ
    シリンダと前記リザーバとの両方から前記ポンプへの作
    動液の流れを阻止する第3状態にもなり得ることを特徴
    とする請求項1または2に記載のブレーキ液圧源装置。
  4. 【請求項4】前記流通制御装置が、 前記ポンプと前記マスタシリンダとを接続する第1液通
    路の途中に設けられ、その第1液通路における作動液の
    流れを許容する流通許容状態と作動液の流れを阻止する
    流通阻止状態とに制御可能な第1制御弁と、 前記ポンプと前記リザーバとを接続する第2液通路の途
    中に設けられ、その第2液通路における作動液の流れを
    許容する流通許容状態と作動液の流れを阻止する流通阻
    止状態とに制御可能な第2制御弁と、 前記マスタシリンダの作動液を前記ポンプに汲み上げさ
    せる場合に、前記第1制御弁を前記流通許容状態とする
    とともに前記第2制御弁を前記流通阻止状態とし、前記
    リザーバの作動液を前記ポンプに汲み上げさせる場合
    に、前記第2制御弁を前記流通許容状態とするとともに
    前記第1制御弁を前記流通阻止状態とする制御弁制御装
    置とを含むことを特徴とする請求項1ないし3のいずれ
    か1つに記載のブレーキ液圧源装置。
  5. 【請求項5】前記流通制御装置が、前記ポンプと前記リ
    ザーバとを接続する第2液通路に前記ポンプ側から前記
    リザーバ側への作動液の流れは阻止するが逆向きの流れ
    は許容する向きで接続された逆止弁を含む請求項1ない
    し4のいずれか1つに記載のブレーキ液圧源装置。
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