JPH0966824A - ブレーキ制御装置 - Google Patents

ブレーキ制御装置

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JPH0966824A
JPH0966824A JP19074395A JP19074395A JPH0966824A JP H0966824 A JPH0966824 A JP H0966824A JP 19074395 A JP19074395 A JP 19074395A JP 19074395 A JP19074395 A JP 19074395A JP H0966824 A JPH0966824 A JP H0966824A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 トラクション制御装置においてポンプを駆動
するためのモータにおける無駄なエネルギ消費を少なく
し、作動液の温度上昇を抑制する。 【解決手段】 吐出圧低減トラクション制御中に減圧モ
ードが設定されると、開閉弁18が連通状態に切り換え
られる。ホイールシリンダ12の作動液は、開閉弁32
を経てサブリザーバ14に流出させられ、ポンプ通路4
6,吐出口接続部28,開閉弁18を経てマスタシリン
ダ10に戻されたり、逆止弁26,吐出口接続部28,
開閉弁18を経てマスタシリンダ10に戻されたりす
る。作動液がマスタ側リリーフ弁62を通過する必要が
ないため、ポンプ52の吐出圧が低くなる。したがっ
て、ポンプ52を駆動するためのモータ56における無
駄なエネルギ消費を少なくし得、作動液の温度上昇を抑
制し得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トラクション制御
可能なブレーキ制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】実開平3─60468号公報にはこの種
のブレーキ制御装置の一つが記載されている。このブレ
ーキ制御装置は、(1) 低圧源と、(2) その低圧源から作
動液をくみ上げるポンプと、(3) 少なくともそのポンプ
によってくみ上げられた作動液のホイールシリンダへの
流入を許容する増圧状態と、ホイールシリンダの作動液
の前記低圧源への流出を許容する減圧状態とに切換え可
能な弁装置と、(4) その弁装置を少なくとも増圧状態と
減圧状態とに切り換えることによって、ホイールシリン
ダの液圧を、駆動スリップ状態が適正状態になるように
制御するトラクション制御手段とを含むものである。
【0003】このトラクション制御手段によって、弁装
置が少なくとも増圧状態と減圧状態とに切り換えられる
ことによって、ホイールシリンダの液圧が、駆動スリッ
プ状態が適正状態になるように制御される。増圧状態に
切り換えられれば、ポンプによってくみ上げられた作動
液がホイールシリンダに流入させられ、減圧状態に切り
換えられれば、ホイールシリンダの作動液が低圧源に流
出させられる。また、従来のブレーキ制御装置において
は、ホイールシリンダの最大液圧を規定するために、ポ
ンプの吐出口と低圧源との間にリリーフ弁が設けられて
いる。弁装置が減圧状態等増圧状態以外の状態にある場
合には、ポンプによって吐出された作動液はホイールシ
リンダに供給されないため余分になり、リリーフ弁を経
て低圧源に戻される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、従来のブ
レーキ制御装置においては、ポンプを駆動するためのモ
ータにおいて無駄なエネルギが消費されるという問題が
あった。ポンプによって吐出された作動液をマスタシリ
ンダに戻すためには、ポンプの吐出圧をリリーフ弁のリ
リーフ圧より高くしなければならず、モータに掛かる負
荷が大きくなり、無駄なエネルギが消費されることを避
け得ないのである。
【0005】そこで、第一発明および第九発明の課題
は、ブレーキ制御装置において、ポンプを駆動するため
のモータにおける無駄なエネルギ消費を少なくすること
である。また、第二ないし第四発明の課題は、弁装置を
制御することによってモータにおける無駄なエネルギ消
費を少なくすることにあり、第五発明ないし第八発明の
課題は、無駄なエネルギ消費を少なくするとともに作動
液温度の大きな上昇を防止することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】第一の課題は、ブレーキ
制御装置に、前記(1) 低圧源,(2) ポンプ,(3) 弁装
置,(4) トラクション制御手段の他に、前記弁装置が増
圧状態にある時期以外の時期の少なくとも一部におい
て、前記ポンプの吐出圧を低減させる吐出圧低減装置を
設けることによって解決される。当該ブレーキ制御装置
は、少なくともトラクション制御手段を含むものであれ
ば、アンチスキッド制御手段やそれ以外の液圧制御手段
等も含むものであってもよい。また、弁装置は、1個の
制御弁を含むものであっても、2個以上の制御弁を含む
ものであってもよく、少なくとも増圧状態と減圧状態と
に切換え可能なものであれば、他に保持状態等にも切換
え可能なものであってもよい。
【0007】さらに、吐出圧低減装置によってポンプの
吐出圧が低減させられる時期は、弁装置が増圧状態にあ
る時期以外の時期の少なくとも一部であればよく、弁装
置が増圧状態と減圧状態とに切換え可能な制御弁である
場合には、減圧状態にある時期の全部または一部であ
る。また、弁装置が増圧状態と減圧状態との他に保持状
態にも切換え可能な制御弁である場合には、弁装置が減
圧状態と保持状態との少なくとも一方にある時期の全部
または一部が、吐出圧低減装置によってポンプの吐出圧
が低減させられる時期とされる。吐出圧低減装置は、第
二ないし第四発明におけるように、弁装置を制御する弁
装置制御手段を含むものであっても、弁装置以外のポン
プの吐出圧を低減させるための装置等を制御する低減装
置制御手段を含むものであってもよい。
【0008】上記課題は、第二発明によれば、前記低圧
源をマスタシリンダに作動液を補給するマスタリザーバ
を含むものとし、前記ポンプの吐出口をマスタシリンダ
とホイールシリンダとを接続する主液通路の途中に接続
し、前記弁装置を、主液通路の途中のポンプの吐出口の
接続部よりマスタシリンダ側に設けられ、ポンプの吐出
口の接続部とマスタシリンダとを連通させる連通状態と
これらを遮断する遮断状態とに切換え可能な第一制御弁
を含むものとし、かつ、前記吐出圧低減装置を、第一制
御弁を連通状態に切り換える吐出圧低減用第一制御弁制
御手段を含むものとすることによって解決される。
【0009】また、第三発明によれば、前記弁装置を、
前記主液通路の前記ポンプの吐出口の接続部よりホイー
ルシリンダ側に設けられ、第一制御弁をホイールシリン
ダに連通させる連通状態とこれらを遮断する遮断状態と
に切換え可能な第二制御弁と、前記第二制御弁をバイパ
スするバイパス通路の途中に設けられ、ホイールシリン
ダからマスタシリンダへ向かう方向への作動液の流出は
許容するが逆向きの流れは阻止する逆止弁とを含むもの
とし、かつ、前記吐出圧低減用第一制御弁制御手段を、
前記第一制御弁を連通状態と遮断状態とにデューティ制
御することによってホイールシリンダの液圧を保持する
ホイールシリンダ圧保持手段を含むものとすることによ
って解決される。ここで、ホイールシリンダ圧保持手段
は、第一制御弁のみを連通状態と遮断状態とにデューテ
ィ制御するものであっても、第二制御弁も連通状態と遮
断状態とにデューティ制御するものであってもよい。
【0010】第四発明によれば、前記弁装置を、前記ポ
ンプによってくみ上げられた作動液のホイールシリンダ
への供給を許容する供給許容状態と供給を阻止する供給
阻止状態とに切換え可能な増圧弁と、前記ホイールシリ
ンダの作動液の低圧源への流出を許容する流出許容状態
と流出を阻止する流出阻止状態とに切換え可能な減圧弁
とを含むものとし、かつ、前記吐出圧低減装置を、少な
くとも一時期において、減圧弁を流出許容状態にすると
ともに増圧弁を供給許容状態にする吐出圧低減用増,減
圧弁制御手段を含むものとすることによって解決され
る。ここで、吐出圧低減用増,減圧弁制御手段は、減圧
弁が流出許容状態にある時期の少なくとも一時期におい
て増圧弁を供給許容状態に切り換える手段であっても、
増圧弁が供給許容状態にある時期の少なくとも一時期に
おいて減圧弁を流出許容状態に切り換える手段等であっ
てもよく、いずれにしても、減圧弁が流出許容状態に、
増圧弁が供給許容状態にある時期が少なくとも一時期あ
るように制御する手段であればよい。
【0011】また、前記課題は、第五発明によれば、前
記吐出圧低減装置を、作動液の温度上昇に関連した温度
上昇関連情報に基づいて吐出圧低減装置の作動を許可す
るか禁止するかを決定する温度上昇関連情報対応許可禁
止手段を含むものとすることによって解決される。つま
り、第一ないし第四発明,第九発明は、吐出圧低減装置
の作動が、温度上昇関連情報に基づいて制限される場合
と、温度上昇関連情報によっては制限されない場合とを
含むのであるが、第五発明においては、温度上昇関連情
報に基づいて制限される。例えば、第五発明において
は、作動液温度が現に大きく上昇した場合あるいは大き
く上昇する可能性が高い場合等に吐出圧低減装置の作動
が許可され、そうでない場合には禁止されるようにされ
て、無駄なエネルギ消費と作動液温度の大きな上昇との
両方が生じるかその可能性が高い場合にのみ吐出圧低減
装置の作動が許可される。それに対し、第一ないし第四
発明,第九発明においては、作動液温度の大きな上昇と
は無関係に吐出圧低減装置の作動が許容され、無駄なエ
ネルギ消費の回避が一層積極的に図られることもあるの
である。
【0012】ここで、温度上昇関連情報は、作動液の温
度上昇に関連する情報であり、作動液の実際の温度を表
す情報,作動液の温度推定の基礎となる情報,作動液の
温度が近い将来大きく上昇する可能性が高いことを示す
情報等が含まれる。例えば、作動液の温度推定の基礎と
なるトラクション制御継続時間を表す情報やトラクショ
ン制御継続時間の推定の基礎となる車両走行状態を表す
情報も、温度上昇関連情報たり得るのである。
【0013】第六発明においては、前記温度上昇関連情
報対応許可禁止手段が、作動液の温度を検出する作動液
温検出装置と、その作動液温検出装置によって検出され
た温度が設定温度以上である場合に吐出圧低減装置の作
動を許可する作動液温対応許可手段とを含むものとさ
れ、第七発明においては、前記温度上昇関連情報対応許
可禁止手段が、トラクション制御の継続に関連する時間
を検出するトラクション制御関連時間検出手段と、その
トラクション制御関連時間検出手段によって検出された
制御関連時間が設定時間以上である場合に前記吐出圧低
減装置の作動を許可する制御関連時間対応許可手段とを
含むものとされる。トラクション制御の継続に関連する
時間には、トラクション制御が継続して行われた継続時
間や、トラクション制御中に弁装置が減圧状態にある間
の累積減圧時間等が含まれる。また、弁装置が、保持状
態にも切換え可能なものである場合には、累積減圧時間
と累積保持時間との和の時間や、弁装置が保持状態にあ
る場合の累積保持時間等も含まれる。
【0014】第八発明においては、前記温度上昇関連情
報対応許可禁止手段が、車両がスタック状態にあること
を検出するスタック状態検出手段と、そのスタック状態
検出手段によって車両がスタック状態にあることが検出
された場合に吐出圧低減装置の作動を許可するスタック
状態対応許可手段とを含むものとされる。
【0015】第九発明によれば、前記課題は、当該ブレ
ーキ制御装置を、マスタシリンダと、そのマスタシリン
ダとホイールシリンダとを接続する主液通路と、マスタ
シリンダと前記低圧源とを接続する副液通路に設けら
れ、その副液通路を連通させる連通状態と遮断する遮断
状態とに切換え可能なリザーバ連通弁装置と、前記ポン
プの吐出口とマスタシリンダとを接続するリリーフ通路
の途中に設けられたリリーフ弁と、前記ホイールシリン
ダの液圧を、制動スリップ状態がほぼ適正状態になるよ
うに制御するアンチスキッド制御手段とを含むものと
し、前記弁装置を、主液通路に設けられ、その主液通路
を連通させる連通状態と、遮断する遮断状態とに切換え
可能なマスタカット弁と、主液通路のマスタカット弁と
ホイールシリンダとの間に設けられ、少なくとも、ホイ
ールシリンダへの作動液の流入を許容する増圧状態と、
ホイールシリンダから低圧源への作動液の流出を許容す
る減圧状態とに切換え可能なホイールシリンダ圧制御弁
装置とを含むものとし、前記ポンプを、主液通路のマス
タカット弁とホイールシリンダ圧制御弁装置との間の部
分である主液通路中間部と低圧源とを接続するポンプ通
路の途中に設け、前記アンチスキッド制御手段を、マス
タカット弁を連通状態、リザーバ連通弁装置を遮断状態
とし、かつ、ホイールシリンダ圧制御弁装置を少なくと
も増圧状態と減圧状態とに切り換えるものとし、前記ト
ラクション制御手段を、マスタカット弁を遮断状態、リ
ザーバ連通弁装置を連通状態とし、かつ、ホイールシリ
ンダ圧制御弁装置を少なくとも増圧状態と減圧状態とに
切り換えるものとし、前記吐出圧低減装置を、ホイール
シリンダ圧制御弁装置が増圧状態にある時期以外の時期
の少なくとも一部において、ポンプの吐出圧を低減させ
るものとすることによって解決される。
【0016】ここで、ホイールシリンダ圧制御弁装置は
少なくとも減圧状態と増圧状態とに切換え可能なもので
あれば、減圧状態と増圧状態との他に保持状態にも切換
え可能なものであってもよい。また、ホイールシリンダ
圧制御弁装置は、それ自体が増圧位置と減圧位置とに切
り換えられることによって増圧状態と減圧状態とに切り
換えられるもの、すなわち、マスタカット弁等ホイール
シリンダ圧制御弁装置以外の制御弁の状態の影響を受け
ないで増圧状態と減圧状態とに切り換えられるものであ
っても、ホイールシリンダ圧制御弁装置自体の位置が切
り換えられなくても、マスタカット弁が遮断状態と連通
状態とに切り換えられることによって、結果的に増圧状
態や減圧状態や後述するそれ以外の状態に切り換えられ
るもの、すなわち、マスタカット弁等他の制御弁の状態
の影響を受けるものであってもよい。また、図21に示
す実施形態におけるように、ホイールシリンダ圧制御弁
装置は、上述の減圧位置,増圧位置および保持位置以外
の位置に切り換えられる場合もある。
【0017】例えば、ホイールシリンダ圧制御弁装置が
増圧位置にあり、マスタカット弁が遮断状態にある場合
には、ホイールシリンダへの作動液の流入が許容される
増圧状態にあるが、マスタカット弁が連通状態に切り換
えられると、ホイールシリンダの作動液の主液通路中間
部への流出が許容される状態に切り換えられるタイプの
ホイールシリンダ圧制御弁装置がある。つまり、ホイー
ルシリンダ圧制御弁装置が増圧位置にある場合に、マス
タカット弁が遮断状態と連通状態とに切り換えられるこ
とによって、ホイールシリンダ圧制御弁装置が増圧状態
とそれ以外の状態とに切り換えられることになる。この
ような状態を減圧状態を区別して、以下、作動液流出状
態と称する。なお、ホイールシリンダ圧制御弁装置がマ
スタカット弁の状態の影響を受ける場合について説明し
たが、図19,20に示す実施形態において詳述するよ
うに、マスタカット弁,リザーバ連通弁装置以外の制御
弁の状態の影響を受ける場合もある。第九発明と第一な
いし第三発明との関係の一例として、例えば、マスタリ
ザーバがマスタシリンダに含まれ、サブリザーバが低圧
源に該当するものとすることができる。そして、第一制
御弁がマスタカット弁の一態様であり、第二制御弁,逆
止弁がホイールシリンダ圧制御弁装置に含まれるものと
考えることができる。
【0018】吐出圧低減装置によってポンプの吐出圧を
低減させる時期は、ホイールシリンダ圧制御弁装置が増
圧状態にある時期以外の時期の少なくとも一部であれば
よく、ホイールシリンダ圧制御弁装置が増圧状態と減圧
状態とに切換え可能な制御弁である場合には、減圧状態
にある時期の全部または一部である。また、上述のよう
に、ホイールシリンダ圧制御弁装置が減圧状態以外の作
動液流出状態にもなるものである場合には、ホイールシ
リンダ圧制御弁装置が作動液流出状態にある時期の全部
または一部において、ポンプの吐出圧が低減させられる
ようにしてもよい。すなわち、ホイールシリンダ圧制御
弁装置が増圧位置にあっても、ホイールシリンダは増圧
状態にない場合があるが、その場合に、ポンプの吐出圧
が低減させられるようにしてもよいのである。さらに、
ホイールシリンダ圧制御弁装置が、増圧状態と減圧状態
との他に保持状態にも切換え可能な制御弁である場合に
は、ホイールシリンダ圧制御弁装置が減圧状態と保持状
態との少なくとも一方にある時期の全部または一部が、
吐出圧低減手段によってポンプの吐出圧を低減させる時
期とされる。また、吐出圧低減装置はトラクション制御
手段と別個に設けてもよいが、吐出圧低減装置の一部ま
たは全部がトラクション制御手段に含まれるものとして
もよい。吐出圧低減制御は、通常、トラクション制御中
に実行されるため、トラクション制御手段に含まれるも
のとしても差し支えないのである。
【0019】
【作用】第一発明のブレーキ制御装置においては、トラ
クション制御手段によって、弁装置が少なくとも増圧状
態と減圧状態とに切り換えられることによってホイール
シリンダの液圧が駆動スリップ状態が適正状態となるよ
うに制御される。また、吐出圧低減装置が設けられてい
るため、弁装置が増圧状態にある時期以外の時期の少な
くとも一部において、ポンプの吐出圧が低減させられ、
モータにおいて無駄なエネルギが消費されることが回避
される。
【0020】弁装置が、増圧状態にある場合には、ポン
プによって吐出された作動液はホイールシリンダに供給
されるため、吐出圧はそれほど高くならないことが多
い。減圧状態等増圧状態以外の状態にある場合には、ホ
イールシリンダには作動液が供給されないため、ポンプ
によって吐出された作動液は不要であるか、もしくは余
る。この余分な作動液は、従来のブレーキ制御装置にお
いては、すべてリリーフ弁を経て低圧源に戻されていた
ため、吐出圧がリリーフ圧に等しくなり、モータにおい
て無駄なエネルギが消費される。しかし、本発明のブレ
ーキ制御装置においては、増圧状態にある時期以外の時
期の少なくとも一部において吐出圧が低減させられるた
め、その分、モータにおいて消費される無駄なエネルギ
が少なくなる。特に、弁装置が増圧状態にある時期以外
のすべての時期においてポンプの吐出圧が低減させられ
れば、ポンプの吐出圧が無駄に高くなる時期がなくなる
ため、無駄なエネルギ消費が最も良好に回避される。
【0021】なお、本ブレーキ制御装置が、従来のブレ
ーキ制御装置におけるように、ポンプの吐出口と低圧源
とを接続するリリーフ通路の途中に設けられたリリーフ
弁を含む場合において、ポンプの吐出容量が弁装置を通
過可能な作動液の流量より大きい場合には、弁装置が増
圧状態にある時期にあってもポンプの吐出圧がリリーフ
圧に達し、ポンプによって吐出された作動液の一部がリ
リーフ弁を経て低圧源に戻されることがある。しかし、
これは、ホイールシリンダ液圧の上昇勾配を十分に大き
くするために必要なものであるため、無駄なエネルギ消
費ではない。また、ポンプの吐出容量が弁装置を通過可
能な作動液の流量より小さい場合でも、ホイールシリン
ダの液圧がリリーフ圧に近くなった場合には、弁装置が
増圧状態にあってもポンプによって吐出された作動液の
一部しかホイールシリンダには供給されず、残りは低圧
源に戻されることもあり得る。しかし、これは、リリー
フ圧をできる限り低くしながらホイールシリンダ液圧を
所望の高さにするために必要なことであるため、無駄な
エネルギ消費ではない。
【0022】第二発明のブレーキ制御装置には、マスタ
シリンダとポンプの吐出口とを連通させる連通状態とこ
れらを遮断する遮断状態とに切換え可能な第一制御弁が
設けられる。第一制御弁が遮断状態にされれば、ポンプ
の吐出口とマスタシリンダとが遮断されるが、連通状態
にされれば、これらが連通させられる。したがって、第
一制御弁が吐出圧低減用第一制御弁制御手段によって連
通状態に切り換えられれば、ポンプによって吐出された
作動液の余剰分は連通状態にある第一制御弁を経てマス
タシリンダに戻される。そのため、従来のブレーキ制御
装置におけるように、作動液をリリーフ弁を経てマスタ
シリンダに戻す必要がなくなり、吐出圧が低減させられ
る。
【0023】第二発明のブレーキ制御装置においてトラ
クション制御は、第一制御弁が遮断状態に切り換えられ
た状態、すなわち、ホイールシリンダがマスタシリンダ
から遮断された状態で行われる。したがって、従来のブ
レーキ制御装置においては、ポンプによって吐出された
作動液が余分になれば、その余分な作動液はリリーフ弁
を経てマスタシリンダに戻さければならなった。それに
対して、本発明の吐出圧低減用第一制御弁制御手段によ
って、例えば、トラクション制御中の弁装置が減圧状態
にある場合に第一制御弁が連通状態に切り換えられれ
ば、余分な作動液が第一制御弁を経てマスタシリンダに
戻される。作動液をリリーフ弁を経てマスタシリンダに
戻す必要がなく、ポンプの吐出圧がリリーフ圧まで高く
なることがなくなる。なお、トラクション制御中には、
マスタシリンダの液圧はほぼ大気圧にあるため、トラク
ション制御中においてはマスタシリンダを低圧源と考え
ることができる。それに対し、マスタシリンダに作動液
を補給するマスタリザーバは、トラクション制御以外の
時期においても、低圧源と見なし得る。
【0024】第三発明のブレーキ制御装置には、第一制
御弁の他に、ポンプの吐出口とホイールシリンダとを連
通させる連通状態とこれらを遮断する遮断状態とに切換
え可能な第二制御弁と、第二制御弁をバイパスするバイ
パス通路の途中にホイールシリンダから第一制御弁への
作動液の流れを許容し、逆向きの流れを阻止する逆止弁
とが設けられる。トラクション制御は、前述のように、
第一制御弁が遮断状態に切り換えられた状態において行
われる。第二制御弁が連通状態に切り換えられれば、ポ
ンプによって吐出された作動液がホイールシリンダに供
給され、遮断状態に切り換えられれば、ホイールシリン
ダには作動液は供給されない。また、第二制御弁を経て
作動液が流出させられることもない。
【0025】しかし、第二制御弁が遮断状態にあって
も、第一制御弁が連通状態に切り換えられれば、ホイー
ルシリンダの作動液は逆止弁および第一制御弁を経てマ
スタシリンダに戻されてしまう。吐出圧の低減を図りつ
つホイールシリンダ液圧を保持することができないので
ある。そこで、ホイールシリンダ圧保持手段によって、
デューティ制御により第一制御弁が連通状態と遮断状態
とに繰返し切り換えられ、ポンプの吐出圧を低減させつ
つホイールシリンダ圧が保持される。
【0026】第二制御弁が連通状態に保たれ、第一制御
弁が連通状態と遮断状態とにデューティ制御されれば、
ホイールシリンダにおいて、作動液が流出させられる状
態と、流入させられる状態とが交互に繰り返されるた
め、ホイールシリンダ液圧が保持される。第二制御弁が
連通状態、第一制御弁が遮断状態にある場合には、ポン
プによって吐出された作動液はホイールシリンダに供給
され、第一制御弁が連通状態にある場合には、ポンプに
よって吐出された作動液とホイールシリンダから流出し
た作動液とが第一制御弁を経てマスタシリンダへ流出す
る。そのため、第二制御弁が連通状態にある間において
第一制御弁が連通状態と遮断状態とに切り換えられれ
ば、ポンプの吐出圧が高くなる時期が殆どなくなり、吐
出圧を低減させることができる。
【0027】また、第二制御弁が遮断状態に保たれ、第
一制御弁がデューティ制御される場合には、ポンプによ
って吐出される作動液量と第一制御弁からマスタシリン
ダに戻される作動液量とがほぼ同じであれば、主液通路
のポンプの吐出口の接続部付近の液圧、すなわち、バイ
パス通路との接続部付近の液圧がほぼ一定に保たれ、液
圧が保持される。この場合には、ポンプによって吐出さ
れた作動液の殆どすべてが第一制御弁を経てマスタシリ
ンダに戻されるため、ポンプの吐出圧は殆ど高くならな
い。なお、第二制御弁を、第一制御弁と共に連通状態と
遮断状態とにデューティ制御しても差し支えない。
【0028】第四発明においては、ホイールシリンダへ
の作動液の供給を許容する供給許容状態と供給を阻止す
る供給阻止状態とに切換え可能な増圧弁と、ホイールシ
リンダの作動液の流出を許容する流出許容状態と流出を
阻止する流出阻止状態とに切換え可能な減圧弁とが設け
られる。これら増圧弁および減圧弁を備えたブレーキ制
御装置においては通常、減圧弁が流出阻止状態にされる
とともに増圧弁が供給許容状態にされることによりホイ
ールシリンダの液圧が増圧され、減圧弁が流出許容状態
にされるとともに増圧弁が供給阻止状態にされることに
より、ホイールシリンダの液圧が減圧される。しかし、
本発明においては少なくも一時期において増圧弁が供給
許容状態とされると同時に減圧弁が流出許容状態とされ
る。この場合、ポンプから増圧弁を経て供給される作動
液の量が、減圧弁を経て低圧源に流出させられる作動液
の量より少なければホイールシリンダの液圧が減圧され
る。例えば、ポンプの吐出容量より減圧弁の許容流量の
方が大きい場合には、増圧弁が連続的に供給許容状態に
されるとともに減圧弁も連続的に流出許容状態にされる
ことによってホイールシリンダの液圧が減圧される。ま
た、減圧弁がデューティ制御等により繰返し切り換えら
れることによってホイールシリンダの液圧が減圧され、
あるいは保持されるようにしてもよい。いずれにしても
ポンプによって吐出された作動液は、増圧弁および減圧
弁を経てポンプに還流させられることになるのであり、
従来のブレーキ制御装置におけるようにポンプによって
吐出された作動液をリリーフ弁を経て低圧源に戻す必要
がなくなるため、ポンプの吐出圧が低くて済む。
【0029】第五発明のブレーキ制御装置においては、
吐出圧低減装置の作動が、温度上昇関連情報対応許可禁
止手段により温度上昇関連情報に基づいて許可されたり
禁止されたりする。吐出圧低減装置の作動が許可されれ
ば、作動液温度の大きな上昇が抑制され、例えば、作動
液の劣化が早くなったり、気泡が発生し易い状態になる
ことが回避される。作動液の温度が高くなり、作動液に
溶解していた気体が気泡となれば、制動時にこれが圧縮
されることによりブレーキ操作部材の操作フィーリング
が悪くなるのであるが、この不都合が回避できるのであ
る。なお、作動液温度の大きな上昇とは、例えば、作動
液温度の上昇量が設定上昇量以上であること、あるいは
作動液温度が設定温度以上となることであり、設定上昇
量あるいは設定温度は回避すべき現象に応じて設定され
る。
【0030】第六発明のブレーキ制御装置においては、
作動液温検出装置によって作動液の温度が設定温度以上
であることが検出された場合に、作動液温対応許可手段
によって吐出圧低減装置の作動が許可され、ポンプの吐
出圧が低減させられる。本発明においては、作動液の温
度自体が検出される。作動液の実際の温度を表す情報
は、温度上昇関連情報として最も直接的な情報である。
また、作動液の温度を推定するわけでないため、情報が
正確である。
【0031】第七発明のブレーキ制御装置においては、
トラクション制御関連時間検出手段によってトラクショ
ン制御の継続に関連する時間が設定時間以上であると検
出された場合に、制御時間対応許可手段によって吐出圧
低減装置の作動が許可される。制御関連時間を表す情報
に基づいて作動液の温度を推定し得るため、制御関連時
間を表す情報を温度上昇関連情報として利用することが
できる。
【0032】トラクション制御関連時間の一例は、弁装
置が減圧状態にある時間の総和である累積減圧時間であ
る。前述のように、本ブレーキ制御装置が、ポンプの吐
出口と低圧源との間を接続するリリーフ通路の途中に設
けられたリリーフ弁を含む場合において、弁装置が減圧
状態にあり、作動液をリリーフ弁を経て低圧源に戻さな
ければならない場合には、ポンプの吐出圧がリリーフ圧
まで高くなり、ポンプを駆動するモータの消費エネルギ
が多くなるとともに、その分作動液の温度上昇が大きく
なる。そのため、減圧状態にある場合には作動液の温度
が特に上昇し易い。それに対して、弁装置が増圧状態に
ある場合には、ポンプの吐出圧がリリーフ圧より低くて
済むため、減圧状態にある場合より、作動液の温度上昇
が少ない。したがって、作動液の温度は累積減圧時間に
応じて高くなると推定することは妥当なことである。
【0033】トラクション制御関連時間の別の例は、ト
ラクション制御継続時間である。弁装置が増圧状態と減
圧状態とに切換え可能である場合には、トラクション制
御継続時間は、上述の累積減圧時間と累積増圧時間との
和であり、累積減圧時間の増加に伴って増加する。ま
た、増圧状態にある場合でも作動液の温度が全く上昇し
ないわけではないので、累積減圧時間ほど明瞭ではない
までも、トラクション制御継続時間と作動液温度上昇量
との間にはある程度の相関関係が存在し、トラクション
制御継続時間に基づいて作動液の温度を推定することが
できるのである。
【0034】さらに、弁装置が保持状態にも切換え可能
なものである場合には、累積減圧時間と累積保持時間と
の和や累積保持時間も作動液の温度上昇と密接な関係が
あり、有力なトラクション制御関連時間となる。弁装置
が保持状態にある場合にも、作動液がリリーフ弁を経て
低圧源に戻され、作動液の温度上昇が大きいからであ
る。
【0035】第八発明のブレーキ制御装置においては、
スタック状態検出手段によって、車両がスタック状態に
あることが検出された場合には、スタック状態対応許可
手段によって吐出圧低減装置の作動が許可される。本発
明においては、近い将来、作動液温度が大きく上昇する
可能性が高いという情報が得られる。車両がスタック状
態になれば、通常、トラクション制御継続時間が長くな
り、作動液の温度が上昇する可能性が高い。例えば、車
輪がぬかるみに入って発車できなくなった場合には、車
輪が空転するため駆動スリップが過大となり、トラクシ
ョン制御が開始される。しかも、そのトラクション制御
継続時間は長くなる可能性が高いため、車両がスタック
状態にあることを温度上昇関連情報とすることは妥当な
ことである。
【0036】第九発明のブレーキ制御装置において、通
常は、マスタカット弁が連通状態に,ホイールシリンダ
圧制御弁装置が増圧状態に、リザーバ連通弁装置が遮断
状態にされている。そのため、通常制動時には、マスタ
シリンダの作動液が、マスタカット弁およびホイールシ
リンダ圧制御弁装置を経てホイールシリンダに供給され
る。
【0037】アンチスキッド制御が行われる場合には、
マスタカット弁が連通状態、リザーバ連通弁装置が遮断
状態にされた状態において、ホイールシリンダ圧制御弁
装置が、少なくとも減圧状態と増圧状態とに切り換えら
れることによってホイールシリンダの液圧が制動スリッ
プ状態がほぼ適正状態になるように制御される。
【0038】ホイールシリンダ圧制御弁装置が、減圧状
態にある場合には、ホイールシリンダの作動液がホイー
ルシリンダ圧制御弁装置を経て低圧源に流出させられ、
増圧状態にある場合には、ホイールシリンダに、マスタ
シリンダの作動液がマスタカット弁およびホイールシリ
ンダ圧制御弁装置を経て流入させられる。また、低圧源
に流出させられた作動液はポンプによって汲み上げら
れ、マスタシリンダ(付属のリザーバを有する場合に
は、このリザーバも含めて「マスタシリンダ」と称す
る)へ戻される。ホイールシリンダ圧制御弁装置が増圧
状態にある場合には主としてホイールシリンダに供給さ
れ、余ればマスタシリンダへ戻されるが、ホイールシリ
ンダ圧制御弁装置が減圧状態あるいは保持状態にある場
合には、マスタシリンダへ戻されるのである。
【0039】トラクション制御が行われる場合には、マ
スタカット弁が遮断状態,リザーバ連通弁装置が連通状
態にされた状態において、ホイールシリンダ圧制御弁装
置が少なくとも減圧状態と増圧状態とに切り換えられる
ことによってホイールシリンダの液圧が駆動スリップ状
態がほぼ適正状態になるように制御される。ホイールシ
リンダ圧制御弁装置が増圧状態にある場合には、ポンプ
によりリザーバ連通弁装置を経てマスタシリンダから汲
み上げられた作動液が、ポンプ通路,主液通路中間部お
よびホイールシリンダ圧制御弁装置を経てホイールシリ
ンダに供給され、余ればマスタシリンダへ戻される。
【0040】ホイールシリンダ圧制御弁装置が減圧状態
にある場合には、ホイールシリンダの作動液が、ホイー
ルシリンダ圧制御弁装置を経て低圧源に流出させられ
る。低圧源に流出させられた作動液は、ポンプにより汲
み上げられ、主液通路中間部へ戻される。減圧状態にお
いては主液通路中間部へ戻された作動液はホイールシリ
ンダには流入不可能である。したがって、トラクション
制御中にマスタカット弁が遮断状態に保たれれば、これ
を通過してマスタシリンダへ戻ることも不可能であるた
め、リリーフ弁を経てマスタシリンダへ戻らなければな
らない。そのため、ポンプの吐出圧がほぼリリーフ圧と
なり、ポンプを駆動するモータの負荷が大きくなる。
【0041】また、ホイールシリンダ圧制御弁装置が保
持状態にも切り換えられるタイプである場合には、ポン
プはホイールシリンダから作動液が排出されない時期で
もマスタシリンダから副液通路を経て作動液を汲み上
げ、主液通路中間部へ供給するため、この作動液もリリ
ーフ弁を経てマスタシリンダへ戻らざるを得ず、モータ
の負荷が大きくなる。
【0042】リリーフ圧は、トラクション制御時にホイ
ールシリンダに供給されるべき作動液の最大液圧以上に
設定されるが、ホイールシリンダ圧制御弁装置が増圧状
態にある時期には、ポンプは流路抵抗等を加味してもホ
イールシリンダの液圧よりやや高い吐出圧で作動液を吐
出すればよく、殆どの場合、ポンプの吐出圧はリリーフ
圧より低い。それに対して、ホイールシリンダ圧制御弁
装置が減圧状態にある場合等増圧状態以外の状態にある
場合には、マスタカット弁が遮断状態にある限り、作動
液をリリーフ弁を経てマスタシリンダに戻さなければな
らないため、ポンプの吐出圧がリリーフ圧よりやや高く
なり、モータの負荷が大きくなるのである。
【0043】しかるに、本発明のブレーキ制御装置にお
いては、ホイールシリンダ圧制御弁装置が増圧状態にあ
る時期以外の時期の少なくとも一部において、ポンプの
吐出圧が低減させられる。ポンプの吐出圧を低減させる
には、例えば、ポンプの吐出口から吐出された作動液を
リリーフ弁を経ないでマスタシリンダに戻すようにすれ
ばよい。作動液をリリーフ弁をバイパスしてマスタシリ
ンダに戻すことができれば、ポンプの吐出圧をリリーフ
圧より高くする必要がなくなるからである。また、ポン
プの吐出口から吐出された作動液は、マスタシリンダに
戻さなくても、サブリザーバに戻したり、ポンプの吸入
口に戻したりしてもよい。
【0044】
【発明の効果】第一発明のブレーキ制御装置において
は、弁装置が増圧状態にある時期以外の時期の少なくと
も一部において、ポンプの吐出圧が低減させられる。そ
のため、モータにおける無駄なエネルギ消費量を少なく
することができ、かつ、モータの負荷を軽減して寿命を
長くすることができる。また、作動液の温度の上昇を抑
制することができ、その結果、作動液の劣化を抑制し
得、寿命を長くすることができる。さらに、気泡の発生
を回避してブレーキ操作部材の操作フィーリングの低下
を良好に回避することができる。
【0045】第二発明のブレーキ制御装置においては、
第一制御弁を連通状態に切り換えることによってポンプ
の吐出圧を低減させることができ、第三発明のブレーキ
制御装置においては、弁装置が逆止弁を含む場合にも、
第一制御弁をデューティ制御することによって、ポンプ
の吐出圧を低減させつつホイールシリンダの液圧を保持
し得るという特有の効果が得られる。また、第四発明の
ブレーキ制御装置においては、減圧弁を流出許容状態に
すると共に増圧弁を供給許容状態にすることによってポ
ンプの吐出圧を低減させることができる。
【0046】第五発明のブレーキ制御装置においては、
ポンプの吐出圧が温度上昇関連情報に基づいて低減させ
られるため、作動液温度の大きな上昇を効果的に回避す
ることができる。第六発明のブレーキ制御装置において
は、作動液の温度自体が検出されるため、作動液温度の
大きな上昇を一層確実に回避することができる。第七発
明のブレーキ制御装置においては、作動液の温度が、ト
ラクション制御の継続に関連する時間を表す情報に基づ
いて推定される。つまり、制御関連時間を表す情報を温
度上昇関連情報として利用することができる。そのた
め、第五発明の効果に加え、作動液の温度を検出する専
用の温度検出装置を設ける必要がなくなり、その分コス
トダウンを図ることができる。第八発明のブレーキ制御
装置においては、車両がスタック状態にあることに基づ
いて、近い将来、作動液の温度が大きく上昇する可能性
が高いことが推定される。したがって、専用の温度検出
装置を省略できるとともに、作動液温度の大きな上昇を
事前に回避することができる。
【0047】また、第九発明のブレーキ制御装置におい
ては、ホイールシリンダ圧制御弁装置が連通状態にある
時期以外の少なくとも一部において、ポンプの吐出圧が
低減させられるため、第一発明のブレーキ制御装置にお
ける場合と同様の効果を得ることができる。
【0048】
【発明の補足説明】以下、本発明の望ましい実施態様を
列記し、必要に応じてそれぞれに関連する説明を行う。 (1)前記吐出圧低減装置が、前記弁装置を制御する吐
出圧低減用弁装置制御手段を含む請求項1,5ないし9
のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置。 (2)前記吐出圧低減装置が、前記弁装置以外のポンプ
の吐出圧を低減させるための吐出圧低減弁装置と、その
吐出圧低減弁装置を制御する吐出圧低減弁装置制御手段
とを含む請求項1,5ないし9のいずれか1つに記載の
ブレーキ制御装置。吐出圧低減装置は、弁装置を制御す
る吐出圧低減用弁装置制御手段を含むものであっても、
弁装置以外の吐出圧低減弁装置を制御する吐出圧低減弁
装置制御手段を含むものであってもよい。吐出圧低減用
弁装置制御手段には、例えば、第二ないし第四発明の吐
出圧低減用第一制御弁制御手段、ホイールシリンダ圧保
持手段、吐出圧低減用増,減圧弁制御手段等が含まれ
る。吐出圧低減用弁装置制御手段は、トラクション制御
手段に含まれるものとしても、別個のものとしてもよ
い。別個のものである場合には、弁装置は、トラクショ
ン制御手段によっても吐出圧低減用弁装置制御手段によ
っても制御されることになる。吐出圧低減弁装置には、
例えば、後述する態様5のリリーフ弁バイパス制御弁等
が含まれ、吐出圧低減弁装置制御手段には、リリーフ弁
バイパス制御弁制御手段等が含まれる。 (3)前記低圧源がマスタシリンダに作動液を補給する
マスタリサーバを含み、当該ブレーキ制御装置が、前記
マスタシリンダに液圧が発生した状態において、弁装置
を少なくとも増圧状態と減圧状態とに切り換えることに
よってホイールシリンダの液圧を、制動スリップ状態が
適正状態になるように制御するアンチスキッド制御手段
を含む請求項1〜8,態様1,2のいずれか1つに記載
のブレーキ制御装置。本ブレーキ制御装置は、少なくと
もトラクション制御が可能であれば、アンチスキッド制
御が可能なものであっても、それに以外の液圧制御が可
能なものであってもよい。また、態様1の吐出圧低減用
弁装置制御手段は、アンチスキッド制御手段に含まれる
手段であってもよい。アンチスキッド制御中においても
ポンプの吐出圧を低減させる必要がある場合があるから
である。 (4)当該ブレーキ制御装置が、前記ポンプの吐出口と
低圧源とを接続するリリーフ通路の途中に設けられたリ
リーフ弁を含み、前記吐出圧低減装置が、前記作動液を
前記リリーフ弁をバイパスして前記低圧源または前記ポ
ンプの吸入口に戻すリリーフ弁バイパス装置を含む請求
項1〜9,態様1〜3のいずれか1つに記載のブレーキ
制御装置。ホイールシリンダの最大液圧を規定したり、
ポンプの吐出圧が最大許容液圧を越えることを回避した
りするために、ポンプの吐出口と低圧源との間にリリー
フ弁が設けられる。しかし、ポンプによって吐出された
作動液が余分になった場合には、リリーフ弁を経て低圧
源に戻さなければならず、ポンプの吐出圧がリリーフ圧
まで高くなる。それに対して、ポンプによって吐出され
る作動液が、リリーフ弁をバイパスしてリザーバやポン
プの吸入口に戻されるようにすれば、ポンプの吐出圧は
リリーフ圧より低くて済み、モータにおいて消費される
無駄なエネルギ量を少なくすることができる。請求項2
〜4のブレーキ制御装置に、リリーフ弁が設けられる場
合には、第一制御弁および吐出圧低減用第一制御弁制御
手段、ホイールシリンダ圧保持手段、増圧弁,減圧弁お
よび吐出圧低減用増,減圧弁制御手段は、いずれも本態
様のリリーフ弁バイパス装置に含まれる。これらの場合
には、弁装置の一部が、態様5に記載のリリーフ弁バイ
パス制御弁を兼ねることになる。 (5)前記低圧源がマスタシリンダに作動液を補給する
マスタリザーバを含むとともに、前記リリーフ弁が前記
ポンプの吐出口とマスタシリンダとを接続するリリーフ
弁通路の途中に設けられたマスタ側リリーフ弁を含み、
かつ、前記リリーフ弁バイパス装置が、前記マスタ側リ
リーフ弁とも前記第一制御弁とも並列に前記ポンプの吐
出口とマスタシリンダとを接続するリリーフ弁バイパス
通路の途中に設けられて作動液の流通を許容する連通状
態と流通を阻止する遮断状態とに切換え可能なリリーフ
弁バイパス制御弁と、そのリリーフ弁バイパス制御弁を
連通状態に切り換えるリリーフ弁バイパス制御弁制御手
段とを含む態様4に記載のブレーキ制御装置。トラクシ
ョン制御は、通常、ホイールシリンダをマスタシリンダ
から遮断した状態において行われる。したがって、ポン
プによって吐出された作動液が余分になった場合には、
リリーフ弁を経てマスタシリンダに戻さなければなら
ず、ポンプの吐出圧がリリーフ圧まで上昇することを避
け得なかった。しかし、本態様においては、リリーフ弁
バイパス制御弁が連通状態に切り換えられれば、ポンプ
によって吐出された作動液がリリーフ弁バイパス制御弁
を経てマスタシリンダに戻される。そのため、作動液を
リリーフ弁を経て戻す必要がなくなり、ポンプの吐出圧
が低減させられる。本態様のリリーフ弁バイパス制御弁
は、ホイールシリンダの液圧を制御するための弁装置と
は別個に設けられるものであり、ポンプの吐出圧を低減
させるために設けられるものである。本態様によれば、
第二発明におけるように、第一制御弁を連通状態に切り
換えなくても、ポンプの吐出圧を低減させることができ
る。なお、前述のように、本態様のリリーフ弁バイパス
制御弁は態様2の吐出圧低減弁装置に含まれ、リリーフ
弁バイパス制御弁制御手段は、吐出圧低減弁装置制御手
段に含まれる。 (6)前記ホイールシリンダとマスタシリンダとを接続
する主液通路とポンプの吐出口とを接続するポンプ通路
の途中であって、前記リリーフ通路や前記リリーフ弁バ
イパス通路への分岐点より主液通路側の部分に、ポンプ
から主液通路への作動液の流れは許容するが、逆向きの
流れは阻止するポンプ通路逆止弁を含む態様5に記載の
ブレーキ制御装置。ポンプ通路逆止弁が設けられていれ
ば、リリーフ弁バイパス制御弁が連通状態に切り換えら
れてもホイールシリンダからの作動液の流出はポンプ通
路逆止弁により防止され、液圧は低下しない。したがっ
て、リリーフ弁バイパス制御弁をデューティ制御しなく
てもホイールシリンダ液圧を保持することができる。第
一制御弁をデューティ制御する必要もない。 (7)さらに、前記低圧源が、前記マスタリザーバの他
にサブリザーバを含み、前記弁装置が、前記サブリザー
バとホイールシリンダとを接続するリザーバ通路の途中
に設けられてサブリザーバとホイールシリンダとを連通
させる連通状態とこれらを遮断する遮断状態とに切換え
可能な第三制御弁を含み、かつ、前記ホイールシリンダ
圧保持手段が、前記第三制御弁が遮断状態にある場合に
おいて、前記第一制御弁を連通状態と遮断状態とにデュ
ーティ制御することによってホイールシリンダの液圧を
保持する第三制御弁遮断状態時ホイールシリンダ圧保持
手段を含む請求項3,5〜8のいずれか1つに記載のブ
レーキ制御装置。トラクション制御は、第一制御弁が遮
断状態に保たれたまま行われる。第二制御弁が連通状態
に、第三制御弁が遮断状態に切り換えられれば、ホイー
ルシリンダにはポンプによって吐出された作動液が第二
制御弁を経て供給され、増圧が行われる。第二制御弁が
遮断状態に、第三制御弁が連通状態に切り換えられれ
ば、ホイールシリンダの作動液は第三制御弁を経てサブ
リザーバに流出させられ、減圧が行われる。第二制御
弁,第三制御弁が共に遮断状態に切り換えられれば、ホ
イールシリンダには作動液が供給されず、かつ、流出さ
せられないため液圧が保持される。しかし、第二制御
弁,第三制御弁が共に遮断状態にある場合において第一
制御弁が連通状態に切り換えられると、ホイールシリン
ダの作動液はサブリザーバへ流出させられることはない
が、逆止弁,第一制御弁を経てマスタシリンダに戻され
てしまう。すなわち、第二,第三制御弁が共に遮断状態
にあっても、ポンプの吐出圧を低減させるために第一制
御弁が連通状態に切り換えられれば、ホイールシリンダ
の液圧を保持することができなくなってしまうのであ
る。そこで、第三制御弁が遮断状態にある場合に、第一
制御弁が連通状態と遮断状態とにデューティ制御され、
ポンプの吐出圧を低減させつつホイールシリンダ液圧を
保持することが行われる。請求項3のホイールシリンダ
圧保持手段によれば、第三制御弁を、連通状態と遮断状
態とに切り換えても差し支えないが、本態様の第三制御
弁遮断時ホイールシリンダ圧保持手段においては、第三
制御弁がデューティ制御されることは除外される。第一
制御弁をデューティ制御することによってホイールシリ
ンダ液圧を保持する場合に、第三制御弁が連通状態に保
たれたり、連通状態と遮断状態とにデューティ制御され
たりすることは通常行われない。 (8)前記低圧源がマスタシリンダに作動液を補給する
マスタリザーバとそのマスタリザーバとは別のサブリザ
ーバとを含み、前記ポンプの吐出口が、マスタシリンダ
とホイールシリンダとを接続する主液通路の途中に接続
され、前記弁装置が、その主液通路の前記ポンプの吐出
口の接続部のマスタシリンダ側に設けられ、マスタシリ
ンダとポンプの吐出口とを連通させる連通状態とこれら
を遮断する遮断状態とに切換え可能な第一制御弁と、前
記主液通路の途中の前記ポンプの吐出口の接続部よりホ
イールシリンダ側に設けられ、第一制御弁をホイールシ
リンダに連通させる連通状態とこれらを遮断する遮断状
態とに切換え可能な第二制御弁と、前記ホイールシリン
ダと前記サブリザーバとを接続するリザーバ通路の途中
に設けられ、ホイールシリンダをサブリザーバに連通さ
せる連通状態とサブリザーバから遮断する遮断状態とに
切換え可能な第三制御弁とを含み、前記吐出圧低減装置
が、前記第一制御弁が遮断状態にある間の少なくとも一
時期において、前記第二制御弁と第三制御弁とを共に連
通状態にする吐出圧低減用第二,第三制御弁制御手段を
含む請求項1,4〜9,態様1,3,4のいずれか1つ
に記載のブレーキ制御装置。トラクション制御が行われ
る場合には、第一制御弁が遮断状態に切り換えられた状
態において、第二制御弁,第三制御弁が連通状態,遮断
状態に切り換えられる。第二制御弁と第三制御弁とが共
に連通状態に切り換えられれば、ポンプによって吐出さ
れた作動液が、第二制御弁および第三制御弁を経てポン
プへ還流させられるため、ポンプの吐出圧を低減させる
ことができる。第一制御弁が遮断状態に保たれたまま、
ポンプの吐出圧を低減させることができるのである。な
お、アンチスキッド制御が、第一制御弁が遮断状態に切
り換えられた状態において行われる場合において、ポン
プによって吐出された作動液が余分になった場合にも、
本態様を適用することができる。本態様のブレーキ制御
装置と、請求項4のそれとにおいて、請求項4の増圧弁
が第二制御弁によって構成され、減圧弁が第一制御弁お
よび第三制御弁によって構成されると考えることも、増
圧弁が第一制御弁および第二制御弁によって構成され、
減圧弁が第三制御弁によって構成されると考えることも
できる。このように、増圧弁が第二制御弁を含み、減圧
弁が第三制御弁を含めば、第一制御弁はいずれか一方に
含まれても、いずれにも含まれなくてもよい。また、請
求項9のホイールシリンダ圧制御弁装置は、本態様の第
二制御弁および第三制御弁によって構成されるものであ
ると考えることができる。 (9)前記吐出圧低減用第二,第三制御弁制御手段が、
第二制御弁が連通状態にある場合において、第三制御弁
を連通状態と遮断状態とにデューティ制御することによ
ってホイールシリンダ液圧を保持するホイールシリンダ
圧保持手段を含む態様8に記載のブレーキ制御装置。第
一制御弁が遮断状態にあり、第二制御弁が連通状態,第
三制御弁が遮断状態にある場合には、ポンプによって吐
出された作動液がホイールシリンダに供給されるが流出
させられないため増圧が行われる。第二制御弁,第三制
御弁が共に連通状態にある場合には、ポンプによって吐
出された作動液がサブリザーバに供給されるとともにホ
イールシリンダの作動液もサブリザーバに流出させら
れ、減圧が行われる。したがって、第二制御弁が連通状
態にある場合において、第三制御弁が連通状態と遮断状
態とにデューティ制御されれば、第一制御弁を遮断状態
に保ったまま、ポンプの吐出圧を低減させつつホイール
シリンダ液圧を保持することができる。 (10)前記吐出圧低減用増,減圧弁制御手段が、増圧
弁が供給許容状態にある場合において減圧弁を流出許容
状態と流出阻止状態とにデューティ制御することによっ
てホイールシリンダ液圧を保持するホイールシリンダ圧
保持手段を含む請求項4〜8,態様3,4のいずれか1
つに記載のブレーキ制御装置。増圧弁が供給許容状態、
減圧弁が流出阻止状態にある場合には、ポンプによって
吐出された作動液がホイールシリンダに供給されるが流
出させられないため増圧が行われる。増圧弁が供給許容
状態、減圧弁が流出許容状態にある場合には、ホイール
シリンダの作動液がポンプによって吐出された作動液と
ともに低圧源に流出させられ、減圧が行われる。本態様
によれば、態様9と同様に、ポンプの吐出圧を低減させ
つつホイールシリンダ液圧を保持することができる。 (11)前記吐出圧低減装置が、前記ポンプによって吐
出された作動液をリリーフ弁をバイパスしてポンプの吸
入口に還流させる作動液還流回路を形成する還流回路形
成手段を含む請求項1,4〜9,態様3,4のいずれか
1つに記載のブレーキ制御装置。リリーフ弁をバイパス
して作動液を還流させる作動液還流回路が形成されれ
ば、ポンプによって吐出された作動液をリリーフ弁を経
ないでポンプに還流させることができるため、ポンプの
吐出圧を低減させることができる。本態様の還流回路形
成手段は、リリーフ弁バイパス装置に含まれる。 (12)前記低圧源がマスタシリンダに作動液を補給す
るマスタリザーバとそのマスタリザーバとは別のサブリ
ザーバとを含み、当該ブレーキ制御装置がそのサブリザ
ーバとマスタシリンダとを接続する副液通路の途中に、
マスタシリンダとサブリザーバとを連通させる連通状態
と、これらを遮断する遮断状態とに切換え可能なリザー
バ連通弁装置を含む請求項1〜8,態様1〜11のいず
れか1つに記載のブレーキ制御装置。トラクション制御
開始当初においては、ホイールシリンダ液圧は大気圧で
あり、サブリザーバには作動液が収容されていないこと
が多い。そのため、トラクション制御開始時や制御中
に、ホイールシリンダに供給されるべきサブリザーバの
作動液が不足することがある。しかし、本態様において
はリザーバ連通弁装置が連通状態に切り換えられること
により作動液がマスタリザーバから副液通路に供給され
る。マスタリザーバから供給された作動液は、サブリザ
ーバに供給されても、ポンプによって直接くみ上げられ
もよい。 (13)前記リザーバ連通弁装置が、副液通路を連通さ
せる連通状態と遮断する遮断状態とに切換え可能な第四
制御弁を含み、前記トラクション制御手段が、トラクシ
ョン制御開始時にその第四制御弁を連通状態に切り換え
る第四制御弁制御手段を含む請求項9または態様12に
記載のブレーキ制御装置。トラクション制御が開始され
た場合に、第四制御弁が連通状態に切り換えられれば、
マスタシリンダから作動液がリザーバ通路に供給される
ため、その作動液をホイールシリンダに供給することが
でき、作動液不足が回避される。また、サブリザーバの
作動液が第四制御弁を経てマスタシリンダに戻されるこ
ともある。 (14)前記リザーバ連通弁装置が、常には閉状態にあ
るが、マスタシリンダ液圧とサブリザーバ液圧との差が
設定圧以上になると開状態に切り換わる作動液補給リリ
ーフ弁を含む請求項9または態様12に記載のブレーキ
制御装置。 (15)前記リザーバ連通装置が、サブリザーバに収容
された作動液が設定量以上の場合には閉状態にあるが、
設定量より少なくなると開状態に切り換わる収容液量対
応開閉弁を含む請求項9または態様12に記載のブレー
キ制御装置。サブリザーバに収容された作動液量が設定
量より少なくなると、作動液を補給する必要がある。態
様14,15における場合には、サブリザーバに収容さ
れた作動液が副液通路を経てマスタシリンダに戻される
ことはない。 (16)前記吐出圧低減装置が、前記ポンプの吸入口と
前記低圧源とを接続するポンプ通路の途中に設けられ、
ポンプの吸入口と低圧源とを連通させる連通状態とこれ
らを遮断する遮断状態とに切換え可能なくみ上げ制御弁
と、そのくみ上げ制御弁を遮断状態に切り換えるくみ上
げ制御弁制御手段とを含む請求項1,5〜9,態様3,
12〜15のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置。
くみ上げ制御弁が連通状態に切り換えられれば、低圧源
の作動液がポンプによってくみ上げられ、ホイールシリ
ンダへ供給可能となる。遮断状態に切り換えられれば、
ポンプは空回りすることになり、ホイールシリンダへの
作動液の供給が不可能となる。くみ上げ制御弁が遮断状
態に切り換えられれば、ポンプによって作動液が吐出さ
れないため、作動液が余分になることはなく、吐出圧が
高くなることを回避できる。くみ上げ制御弁は、弁装置
の一構成要素とすることも、吐出圧を低減させるために
弁装置とは別個に設けることもできる。換言すれば、く
み上げ制御弁は、前記増圧弁や第二制御弁に含まれるよ
うにすることも可能であるが、上記第一〜第三制御弁や
減圧弁,増圧弁の他に設けてもよいのである。同様に、
くみ上げ制御弁は、請求項9のホイールシリンダ圧制御
弁装置に含まれるものとしても、別個のものとしてもよ
い。くみ上げ制御弁が弁装置に含まれ、くみ上げ制御弁
が連通状態に切り換えられることによって弁装置が増圧
状態にされ、くみ上げ制御弁の遮断状態への切換えを伴
って弁装置が減圧状態に切り換えられる場合には、常に
吐出圧が低減させられることになる。吐出圧低減装置が
常に作動させられることになるのである。 (17)前記ホイールシリンダ圧保持手段が、前記弁装
置が増圧状態に切り換えられた時間の合計である累積増
圧時間と減圧状態に切り換えられた時間の合計である累
積減圧時間とに基づいて保持液圧を決定する保持液圧決
定手段と、その保持液圧決定手段によって決定された保
持液圧に基づいてデューティ制御比を決定するデューテ
ィ制御比決定手段とを含む請求項3,5〜8,態様3,
4,7,9,10,12〜15のいずれか1つに記載の
ブレーキ制御装置。累積増圧時間と累積減圧時間とに基
づいて現在のホイールシリンダ液圧を推定することがで
き、保持液圧を決定することができる。また、保持液圧
が高いほどデューティ制御の増圧時間が長くなる。現在
のホイールシリンダ液圧は、圧力センサによって検出さ
れることができるが、本態様におけるように推定すれ
ば、圧力センサが不要になるため、その分コストダウン
を図ることができる。 (18)前記トラクション制御関連時間検出手段が、前
記トラクション制御手段によるトラクション制御時にお
ける前記ポンプの作動時間をトラクション制御関連時間
として検出するポンプ作動時間検出手段を含む請求項7
〜9,態様1〜17のいずれか1つに記載のブレーキ制
御装置。ポンプの作動時間が長いほど作動液の温度が上
昇させられる。また、トラクション制御中においてポン
プが継続して作動させられる場合には、ポンプの作動時
間はトラクション制御継続時間に対応することになる。 (19)前記吐出圧低減装置が、前記弁装置が減圧状態
にある時期にポンプの吐出圧を低減させるものである減
圧時吐出圧低減装置を含む請求項1〜9,態様1〜18
のいずれか1つに記載のブレーキ制御装置。ブレーキ制
御装置において、前記ポンプの吐出口と低圧源とがリリ
ーフ弁を介して接続されている場合において、弁装置が
減圧状態にある時期には、ポンプによって吐出された作
動液をリリーフ弁を経て低圧源に戻さなければならない
ことが多い。そのため、ポンプの吐出圧がリリーフ圧ま
で高くなる。それを回避するために、減圧状態にある時
期には常にポンプの吐出圧を低減させるのである。弁装
置が保持状態にも切換え可能なものである場合には、保
持状態にある場合においてもポンプの吐出圧を低減させ
ることも可能であるが、少なくとも減圧状態においては
常に吐出圧を低減させることが望ましい。 (20)前記トラクション制御手段が、前記ホイールシ
リンダの液圧を増圧する増圧モードと、減圧する減圧モ
ードと、保持する保持モードとのうちの1つを選択する
制御モード選択手段とを含み、前記吐出圧低減装置が、
その制御モード選択手段によって減圧モードと保持モー
ドとの少なくとも一方が選択された場合において、ポン
プの吐出圧を低減させる制御モード対応吐出圧低減手段
を含む請求項1〜9,態様1〜18のいずれか1つに記
載のブレーキ制御装置。本態様においては、ポンプの吐
出圧が、弁装置の状態でなく、選択された制御モードに
基づいて低減させられる。減圧モードと保持モードとの
少なくとも一方が選択される時期が、弁装置が増圧状態
にある時期以外の時期に当たる。 (21)前記吐出圧低減装置が、前記マスタカット弁を
連通状態に切り換える吐出圧低減用マスタカット弁制御
手段を含む請求項9に記載のブレーキ制御装置。 (22)前記ホイールシリンダ圧制御弁装置が、前記ホ
イールシリンダと主液通路中間部とを接続するバイパス
通路に設けられ、ホイールシリンダから主液通路中間部
へ向かう方向への作動液の流出を許容し、逆向きの流れ
を阻止する逆止弁を備え、かつ、前記吐出圧低減装置
が、少なくともマスタカット弁を連通状態と遮断状態と
にデューティ制御することによってホイールシリンダの
液圧を保持するホイールシリンダ圧保持手段を含む請求
項9に記載のブレーキ制御装置。請求項9に記載のブレ
ーキ制御装置においては、マスタカット弁を連通状態に
切り換えれば、ポンプの吐出圧を低減させることができ
る。また、マスタカット弁を連通状態と遮断状態とに切
り換えれば、ホイールシリンダ圧制御弁装置が逆止弁を
含む場合にも、ホイールシリンダ液圧を保持することが
できる。 (23)当該ブレーキ制御装置が、マスタシリンダと、
そのマスタシリンダとホイールシリンダとを接続する主
液通路の途中に設けられ、主液通路を連通状態と遮断状
態とに切換え可能なマスタカット弁と、そのマスタカッ
ト弁をバイパスするバイパス通路の途中に設けられ、マ
スタシリンダからホイールシリンダへの作動液の流れを
許容するが、逆向きの流れを阻止する逆止弁とを含む請
求項1〜9,態様1〜22のいずれか1つに記載のブレ
ーキ制御装置。逆止弁を設けることによって、マスタカ
ット弁の大形化を回避したり、マスタカット弁が遮断状
態にある場合においてブレーキペダルが踏み込まれた場
合のブレーキの効き遅れを抑制したりすることができ
る。マスタカット弁においては、常には、ソレノイドが
消磁状態にあり、図示しない弁子が弁座から離間させら
れており、主液通路は連通状態にあるが、ソレノイドが
励磁されると、弁子が弁座に着座させられ、遮断状態と
なる。この遮断状態においては、通常、弁子がマスタシ
リンダ側の液圧により弁座に押し付けられる状態とな
る。そのため、マスタカット弁の前後(主液通路のマス
タカット弁の上流側および下流側)に大きな液圧差が生
じると、ソレノイドの消磁により弁子を弁座から離間さ
せるために、弁子を弁座から離間する向きに付勢するス
プリングの弾性力を大きくしなければならず、それに応
じてソレノイドも大きなものとしなければならなくなっ
て、マスタカット弁が大形化してしまう。それに対し
て、本態様においては、逆止弁が設けられているため、
マスタカット弁が遮断状態にあっても、マスタシリンダ
の液圧が逆止弁を経てマスタカット弁の下流側にも伝達
され、マスタカット弁において大きな液圧差が生じるこ
とを回避できるため、マスタカット弁の大形化を回避す
ることができるのである。また、マスタカット弁が遮断
状態にある場合にブレーキペダルが踏み込まれた場合に
は、マスタカット弁の前後において液圧差が大きくなる
ため、マスタカット弁が連通状態に切り換わり難くな
り、ブレーキの効き遅れが生じる。それに対して、本態
様によれば、マスタシリンダの液圧が逆止弁を経てマス
タカット弁の下流側にも伝達されるため、大きな液圧差
が生じることが回避され、連通状態に切り換わり難くな
ることが回避される。したがって、ブレーキの効き遅れ
が生じることを回避することができるのである。
【0049】
【発明の実施の形態】以下、第一ないし第三発明,第五
ないし第九発明に共通の一実施形態であるブレーキ制御
装置を備えたブレーキ装置について図面に基づいて詳細
に説明する。図2において、10はマスタシリンダであ
り、12は駆動輪13に設けられたホイールシリンダで
あり、14は低圧源としてのサブリザーバである。駆動
輪13,ホイールシリンダ12は、左右両方の駆動輪お
よびそれに設けられたホイールシリンダを代表して表す
ものである。マスタシリンダ10とホイールシリンダ1
2とを接続する主液通路16の途中には、第一制御弁と
しての開閉弁18が設けられている。開閉弁18は、電
磁制御弁であり、通常は、図示する主液通路16を連通
させる連通状態にあるが、ソレノイド20の励磁によっ
て、遮断状態に切り換えられる。ソレノイド20は、後
述する液圧制御装置22の指令に基づいて図示しない駆
動回路により制御される。
【0050】また、主液通路16のホイールシリンダ1
2と開閉弁18との間には、第二制御弁としての開閉弁
24が設けられ、開閉弁24をバイパスするバイパス通
路25の途中には、逆止弁26が設けられている。バイ
パス通路25は、ホイールシリンダ12と、主液通路1
6の開閉弁18と開閉弁24との間の主液通路中間部2
8とを接続している。逆止弁26は、ホイールシリンダ
12から主液通路中間部28への作動液の流れを許容す
るが、逆方向の流れを阻止するものである。逆止弁26
は、制動終了時やトラクション制御終了時に、ホイール
シリンダ12の作動液を早急にマスタシリンダ10に戻
すために設けられたものである。また、アンチスキッド
制御中にブレーキペダル29の踏込みが解除された場合
にホイールシリンダ12の作動液をマスタシリンダ10
に戻す機能も有している。また、ホイールシリンダ12
とサブリザーバ14とを接続するリザーバ通路30の途
中には、第三制御弁としての開閉弁32が設けられてい
る。
【0051】開閉弁24は、常には、図示する連通状態
にあるが、ソレノイド36が励磁されると遮断状態に切
り換えられる。開閉弁32は、常には、図示する遮断状
態にあるが、ソレノイド38が励磁されると連通状態に
切り換えられる。弁装置34は、通常は、ホイールシリ
ンダ12に作動液が流入することを許容する増圧状態に
あるが、アンチスキッド制御やトラクション制御が行わ
れる場合には、ソレノイド20,36,38が図示しな
い駆動回路により液圧制御装置22の指令に基づいて制
御され、減圧状態,保持状態に適宜切り換えられる。本
実施形態においては、開閉弁18,24,32および逆
止弁26等によってホイールシリンダ12の液圧を制御
する弁装置34が構成されているのである。
【0052】また、開閉弁18等によってマスタカット
弁が構成され、開閉弁24,32および逆止弁26等に
よってホイールシリンダ圧制御弁装置が構成される。し
たがって、ホイールシリンダ圧制御弁装置は、開閉弁2
4が連通状態に、開閉弁32が遮断状態に切り換えられ
ることによって増圧位置に、開閉弁24が遮断状態に、
開閉弁32が連通状態に切り換えられることによって減
圧位置に、開閉弁24,32が共に遮断状態に切り換え
られることによって保持位置にそれぞれ切り換えられ
る。そして、アンチスキッド制御時には、増圧位置にあ
る場合には増圧状態に、減圧位置にある場合には減圧状
態に、保持位置にある場合には保持状態にある。しか
し、後述するように、トラクション制御時には、これら
増圧位置,減圧位置,保持位置が増圧状態,減圧状態,
保持状態に対応しない場合がある。例えば、ホイールシ
リンダ圧制御弁装置が増圧位置にあるが、開閉弁18が
連通状態に切り換えられると、逆止弁26によりホイー
ルシリンダ12の作動液の流出を許容する減圧状態(作
動液流出状態)になる。
【0053】また、マスタシリンダ10とサブリザーバ
14とを接続する副液通路40の途中には、リザーバ連
通弁装置としての開閉弁42が設けられている。開閉弁
42は、通常は、遮断状態にあるが、トラクション制御
が開始されるとソレノイド44が励磁されて連通状態に
切り換えられる。サブリザーバ14と主液通路中間部2
8とを接続するポンプ通路46の途中には、逆止弁4
8,50,ポンプ52,逆止弁54が設けられている。
主液通路中間部28にはポンプ52の吐出口が接続され
るため、以下、吐出口接続部28と称する。ポンプ52
にはモータ56が接続され、モータ56の駆動により作
動させられる。モータ56は、図示しない駆動回路を介
して液圧制御装置22に接続されている。逆止弁48
は、所定の小さな開弁圧を有したものであり、後述する
トラクション制御終了後にモータ56が完全に停止する
までの間、ポンプ52がホイールシリンダ12から作動
液を吸引してしまい、ホイールシリンダ圧が負圧になる
のを防止するために設けられたものである。
【0054】吐出口接続部28とマスタシリンダ10と
を接続するリリーフ通路60の途中には、マスタ側リリ
ーフ弁62が設けられている。マスタ側リリーフ弁62
は、トラクション制御時に吐出口接続部28の最大液圧
を規定するものであり、吐出口接続部28の液圧がリリ
ーフ圧より高くなる場合には、作動液がマスタ側リリー
フ弁62を経てマスタシリンダ10に戻される。トラク
ション制御時にはホイールシリンダ12に供給される作
動液の液圧がリリーフ圧より高くなる必要がないからで
ある。このように、トラクション制御中には、マスタシ
リンダ10の液圧はホイールシリンダ12の液圧より低
いためマスタシリンダ10を低圧源とみなすことができ
る。それに対して、マスタシリンダ10に作動液を補給
するマスタリザーバ64は、トラクション制御中に限ら
ず、常に、低圧源とみなすことができる。したがって、
本実施形態においては、請求項1にいう低圧源には、前
記サブリザーバ14およびマスタリザーバ64が含ま
れ、弁装置34が減圧状態にある場合には、ホイールシ
リンダ12の作動液がサブリザーバ14に流出させられ
る場合とマスタリザーバ64に流出させられる場合とが
ある。それに対して、請求項9にいう低圧源はサブリザ
ーバ14に対応するものであり、マスタシリンダは、マ
スタシリンダ10とマスタリザーバ64とを含むもので
ある。
【0055】マスタシリンダ10と従動輪70のホイー
ルシリンダ72とを接続する主液通路76の途中にも同
様に、開閉弁78が設けられ、それのソレノイド80
が、液圧制御装置22の指令に基づいて図示しない駆動
回路により制御される。ここで、従動輪70は、左右両
従動輪を代表して表すものであり、ホイールシリンダ7
2は、左右両従動輪のホイールシリンダを代表して表す
ものである。また、主液通路76のホイールシリンダ7
2と開閉弁78との間には、開閉弁82が設けられ、開
閉弁82をバイパスするバイパス通路84の途中には、
逆止弁86が設けられている。また、ホイールシリンダ
72とサブリザーバ14とを接続する液通路90の途中
には、開閉弁92が設けられている。これら開閉弁8
2,92のそれぞれのソレノイド96,98は液圧制御
装置22の指令に基づいて図示しない駆動回路により制
御される。
【0056】また、サブリザーバ14から延び出させら
れたポンプ通路100の途中には、逆止弁102,ポン
プ104,逆止弁106が設けられており、ポンプ10
4にはモータ108が接続されている。ポンプ通路10
0は、主液通路76の吐出口接続部110に接続されて
いる。従動輪70のホイールシリンダ72の液圧につい
ては、トラクション制御が行われないため、駆動輪13
のホイールシリンダ12の液圧の制御には必要であった
マスタ側リリーフ弁62や開閉弁42等は不要である。
【0057】本実施形態の液圧制御装置22は、アンチ
スキッド制御コンピュータ122,トラクション制御コ
ンピュータ124,ソレノイド・モータ制御コンピュー
タ126,スリップ率等演算コンピュータ128等複数
個のコンピュータを備えたものである。スリップ率等演
算コンピュータ128の図示しない入力部には、各車輪
の車輪速センサ130,132,車体速センサ134等
が接続され、そのROMには、スリップ率演算プログラ
ム,車体速度演算プログラム,車体加速度演算プログラ
ム等が記憶されている。スリップ率等演算コンピュータ
128によって求められたスリップ率,車体速度,車体
加速度等は、それの出力部に接続されたアンチスキッド
制御コンピュータ122やトラクション制御コンピュー
タ124等に供給される。
【0058】アンチスキッド制御コンピュータ122の
入力部には、スリップ率等演算コンピュータ128の他
に、ブレーキスイッチ136等が接続されるとともに、
出力部には、ソレノイド・モータ制御コンピュータ12
6が接続されている。ROMには、図示しないフローチ
ャートで表されるアンチスキッド制御モード決定プログ
ラム等が記憶されている。
【0059】トラクション制御コンピュータ124の入
力部には、前述のスリップ率等演算コンピュータ128
の他に、アクセルスイッチ138,温度センサ140等
が接続され、出力部には、ソレノイド・モータ制御コン
ピュータ126が接続されている。また、ROMには、
図7のフローチャートが示すトラクション制御モード決
定プログラムの他、図9のグラフが示すデューティ制御
比決定テーブル等が記憶されている。トラクション制御
モードやアンチスキッド制御モードは、スリップ率,車
体速度,車体加速度等に基づいて決定されるようになっ
ている。
【0060】ソレノイド・モータ制御コンピュータ12
6は、アンチスキッド制御コンピュータ122,トラク
ション制御コンピュータ124によって決定された制御
モードに基づいて各ソレノイドおよびモータを制御する
ものである。出力部には、各開閉弁18,24,32,
42のソレノイド20,36,38,44および開閉弁
78,82,92のソレノイド80,96,98,ポン
プ52,104を駆動するモータ56,108等が図示
しない駆動回路を介して接続され、ROMには図8のフ
ローチャートが示すソレノイド制御プログラムや、図1
1ないし図13のテーブルが示す制御モード対応ソレノ
イド制御テーブルや、図示しないモータ制御プログラム
が記憶されている。
【0061】車輪速センサ130,132は、車輪の回
転速度を検出するセンサであり、車体速センサ134は
ドップラ式対地車速センサであり、このセンサの出力信
号に基づいて車体速度演算プログラムが実行され、車体
速度が検出される。なお、車体速度演算プログラムを車
輪の回転速度から車体速度を推定するものとすることも
可能である。ブレーキスイッチ136は、ブレーキペダ
ル29が踏み込まれたことを検出するセンサであり、ア
クセルスイッチ138は、図示しないアクセルペダルが
踏み込まれたことを検出するセンサである。温度センサ
140は、トラクション制御アクチュエータの一構成要
素であるポンプ52の吐出口周辺に取り付けられたもの
で、ポンプ通路46内の作動液の温度を検出する作動液
温検出装置である。
【0062】以上のように構成されたブレーキ装置の作
動を説明する。通常は、駆動輪13側の開閉弁18,2
4,32,42および従動輪70側の開閉弁78,8
2,92は図示する原位置にある。ブレーキペダル29
が踏み込まれると、マスタシリンダ10の作動液が、開
閉弁18,開閉弁24を経てホイールシリンダ12に供
給されるとともに、開閉弁78,開閉弁82を経てホイ
ールシリンダ72に供給され、車輪13,70の回転が
抑制される。ブレーキペダル29が緩められると、ホイ
ールシリンダ12の作動液は、開閉弁24,18を経て
マスタシリンダ10に戻されるものも、逆止弁26,開
閉弁18を経てマスタシリンダ10に戻されるものもあ
る。また、同様に、ホイールシリンダ72の作動液は、
開閉弁82,78を経て、あるいは、逆止弁86,開閉
弁78を経てマスタシリンダ10に戻される。
【0063】ブレーキペダル29が踏み込まれた状態に
おいて、少なくとも一輪のスリップが過大傾向になる等
アンチスキッド制御開始条件が満たされると、アンチス
キッド制御が開始される。アンチスキッド制御は、駆動
輪13についても、従動輪70についても同様にそれぞ
れ独立に行われるのであるが、ここでは駆動輪13の制
動スリップが過大となってアンチスキッド制御が開始さ
れる場合について代表的に説明する。
【0064】アンチスキッド制御コンピュータ122に
よって、制御モードが決定される一方、その制御モード
に応じて、ソレノイド・モータ制御コンピュータ126
によって、各ソレノイドやモータ等が制御される。アン
チスキッド制御モード決定プログラムは5ms毎に実行さ
れるが、ソレノイド制御プログラムはそれより短いサイ
クルタイム、例えば1ms毎に実行される。図8のフロー
チャートのステップ1(以下、S1と略称する。他のス
テップについても同様)において、制御モードが読み取
られ、S2において、その制御モードが後述する吐出圧
低減保持モード(トラクション制御時に設定される)か
否かが判定される。アンチスキッド制御中においては読
み取られた制御モードが吐出圧低減保持モードであるこ
とはないため、判定がNOとなり、S3において、読み
取られた制御モードに応じて各ソレノイドが制御され
る。各ソレノイドは図11に示す制御モード対応ソレノ
イド制御テーブルに基づいて制御される。モータ56
は、図示を省略するモータ制御プログラムの実行によっ
て、最初に減圧モードまたは保持モードが設定されてア
ンチスキッド制御が開始されたときに起動され、アンチ
スキッド制御の終了後設定時間が経過したとき停止させ
られる。サブリザーバ14に収容された作動液をマスタ
シリンダ10にすべて戻すためである。
【0065】アンチスキッド制御が行われる場合には、
ソレノイド20,44は励磁されず、開閉弁18が連通
状態に、開閉弁42が遮断状態に保たれる。減圧モード
が設定された場合には、ソレノイド36,38が励磁さ
れ、開閉弁24が遮断状態,開閉弁32が連通状態にさ
れる。弁装置34が減圧状態にされ、ホイールシリンダ
12の作動液が、開閉弁32を経てサブリザーバ14に
流出させられ、ホイールシリンダ圧が減圧される。増圧
モードが設定された場合には、ソレノイド36,38は
励磁されず、開閉弁24が連通状態,開閉弁32が遮断
状態にされる。弁装置34が増圧状態にされる。マスタ
シリンダ10の作動液が開閉弁18,24を経てホイー
ルシリンダ12に流入させられ、ホイールシリンダ圧が
高められる。保持モードが設定された場合には、ソレノ
イド36が励磁され、ソレノイド38は励磁されない。
開閉弁24,32が共に遮断状態にされ、弁装置34が
保持状態にされる。ホイールシリンダ12における作動
液の流入,流出が阻止され、ホイールシリンダ圧が保持
される。
【0066】なお、アンチスキッド制御中モータ56は
連続して駆動されるため、サブリザーバ14に供給され
た作動液は、ポンプ52によって汲み上げられる。その
汲み上げられた作動液は、弁装置34が増圧状態にある
場合にはホイールシリンダ12に供給され、残ればマス
タシリンダ10に戻される。弁装置34が減圧状態ある
いは保持状態にある場合には、作動液はホイールシリン
ダ12には供給されず、マスタシリンダ10に戻され
る。
【0067】次にトラクション制御を説明する。アクセ
ルペダルが踏み込まれ、駆動輪のうち少なくとも一輪の
駆動スリップが過大傾向になる等トラクション制御開始
条件が満たされると、トラクション制御が開始される。
本実施形態においては、トラクション制御は、通常トラ
クション制御と、吐出圧低減トラクション制御とが選択
的に行われるようになっている。吐出圧低減トラクショ
ン制御は、後述するように予め定められた条件が満たさ
れた場合に許可され、満たされない場合には禁止され
て、通常トラクション制御が行われる。
【0068】まず、通常トラクション制御について説明
する。これは、一般的に知られたトラクション制御と同
様である。トラクション制御コンピュータ124によっ
て制御モードが決定されると、前述と同様に、図8に示
すフローチャートに基づいて、制御モードが読み取ら
れ、各ソレノイドが図12のテーブルに基づいて制御さ
れる。図12から明らかなように、通常トラクション制
御中には、ソレノイド20,44が励磁されて開閉弁1
8が遮断状態に、開閉弁42が連通状態に保たれる。な
お、モータ56は、図示しないモータ制御プログラムの
実行によって、最初の増圧モードの設定に応じて起動さ
れ、トラクション制御の解除後設定時間の経過後に停止
させられる。アンチスキッド制御時と同様に、サブリザ
ーバ14に収容された作動液をマスタシリンダ10に戻
すためである。
【0069】通常増圧モードが設定された場合には各開
閉弁が図3に示す位置にされる。ソレノイド36,38
は励磁されず、開閉弁24が連通状態に,開閉弁32が
遮断状態にされて、弁装置34は増圧状態にされる。マ
スタシリンダ10の作動液がポンプ52によって開閉弁
42を経て汲み上げられて、ポンプ通路46,吐出口接
続部28,開閉弁24を経てホイールシリンダ12に供
給される。ホイールシリンダ圧制御弁装置は増圧位置に
され、かつ、増圧状態にされる。
【0070】通常増圧モードが設定された場合には、ポ
ンプ52は、流路抵抗等を考慮してもホイールシリンダ
12の液圧よりやや高い吐出圧で作動液を吐出すればよ
い。そして、本実施形態においては、開閉弁24を通過
し得る作動液の流量がポンプ52の吐出容量より大きく
され、かつ、マスタ側リリーフ弁62のリリーフ圧がホ
イールシリンダ12に供給されるべき作動液の最大液圧
より十分高くされているため、ポンプ52の吐出圧がリ
リーフ圧より高くなることはなく、ポンプ52から吐出
された作動液のほぼ全量がホイールシリンダ12に流入
する。
【0071】なお、リリーフ圧がホイールシリンダ12
に供給されるべき作動液の最大液圧に等しいかそれに近
い大きさに設定された場合は、増圧モードにおいてもポ
ンプ52の吐出圧がリリーフ圧より高くなることがあ
る。ホイールシリンダ12の液圧をリリーフ圧近くに制
御する必要が生じた場合には、ポンプ52の吐出口とホ
イールシリンダ12との間の液圧差が小さくなるため、
ホーイルシリンダ12への作動液の流入量が減少し、ポ
ンプ52の吐出容量より小さくなることがあり、開閉弁
24が連通状態にあっても、ポンプ56の吐出圧がリリ
ーフ圧に達し、ポンプ52から吐出された作動液の一部
がマスタ側リリーフ弁62を経てマスタシリンダ10に
戻されることがあるのである。また、ポンプ52の吐出
容量が開閉弁24を通過可能な作動液の流量より大きく
されている場合には、開閉弁24が連通状態にあって
も、ポンプ52から吐出される作動液の全てがホイール
シリンダ12に供給されず、一部がマスタ側リリーフ弁
62を経てマスタシリンダに戻されることになる。しか
し、これらは、リリーフ圧をできる限り低く設定するた
めに、あるいはホイールシリンダ圧の上昇勾配をできる
限り大きくするために必要なことであるから、ポンプ5
2の吐出圧がリリーフ圧より高くなることによって生じ
るモータ56のエネルギ消費量の増加は無駄なものでは
ない。
【0072】一方、通常減圧モードが設定されると、図
4に示すように、開閉弁24が遮断状態、開閉弁32が
連通状態にされ、弁装置34は減圧状態にされる。ホイ
ールシリンダ12の作動液は、開閉弁32を経てサブリ
ザーバ14に流出させられ、サブリザーバ14に受けら
れた作動液は、ポンプ52により汲み上げられる。この
場合には、開閉弁18が遮断状態にあるとともに開閉弁
24が遮断状態にあるため、ポンプ52によって吐出さ
れた作動液をマスタシリンダ10に戻すには、マスタ側
リリーフ弁62を経なければならずポンプ52の吐出圧
がリリーフ圧よりやや高くなる。また、サブリザーバ1
4に受けられた作動液の一部は連通状態にある開閉弁4
2を経てマスタシリンダ10に戻される。ホイールシリ
ンダ圧制御弁装置は減圧位置にされ、かつ、減圧状態に
される。
【0073】通常保持モードが設定された場合には、図
5に示すように、開閉弁24,32が共に遮断状態にさ
れ、弁装置34は保持状態にされる。ホイールシリンダ
12における開閉弁24,32を経ての作動液の流入,
流出が阻止される。また、ポンプ52は作動状態にある
ため、作動液がマスタシリンダ10から汲み上げられ、
副液通路40,ポンプ通路46,リリーフ通路60を経
てマスタシリンダ10に戻される。作動液が、マスタ側
リリーフ弁62を通過することになるため、ポンプ52
の吐出圧がリリーフ圧より高くなる。したがって、ホイ
ールシリンダ12の作動液が逆止弁26を経て吐出口接
続部28へ流出することもなく、ホイールシリンダ液圧
が保持される。ホイールシリンダ圧制御弁装置は保持位
置にされ、かつ、保持状態にされる。
【0074】このように、通常トラクション制御中に通
常減圧モードあるいは通常保持モードが設定された場合
には、作動液をマスタ側リリーフ弁62を経てマスタシ
リンダ10に戻さなければならないため、ポンプ52は
リリーフ圧に抗して作動液を吐出し続けなければならな
い。モータ56に掛かる負荷が大きくなり、無駄なエネ
ルギが消費されることになる。また、ポンプ52の吐出
圧が高い状態が保たれると、作動液の温度上昇が大きく
なり、作動液の劣化が促進されるとともに、作動液の溶
解していた気体が気泡となるおそれが生じる。それを回
避するために、本実施形態においては、作動液の温度上
昇関連情報に基づいて、吐出圧低減トラクション制御の
実行が許可されるようになっている。
【0075】以下、吐出圧低減トラクション制御につい
て説明する。この場合には、各ソレノイドは図13のテ
ーブルに基づいて制御される。吐出圧低減増圧モードが
設定された場合には、通常トラクション制御時の通常増
圧モードにおける場合と同様な制御が行われる。開閉弁
18が遮断状態にあり、ポンプ52によって加圧された
サブリザーバ14の作動液がホイールシリンダ12に供
給され、ホイールシリンダ液圧が高められる。
【0076】吐出圧低減減圧モードが設定された場合に
は、図1に示すように、開閉弁18が連通状態に切り換
えられるとともに、開閉弁24が遮断状態に、開閉弁3
2が連通状態に切り換えられる。ホイールシリンダ12
の作動液は、開閉弁32を経てサブリザーバ14に流出
させられ、サブリザーバ14の作動液はポンプ52によ
って、ポンプ通路46,吐出口接続部28,開閉弁18
を経てマスタシリンダ10に戻される。また、開閉弁1
8が連通状態にあるため、吐出口接続部28の液圧がホ
イールシリンダ12の液圧より低くなり、ホイールシリ
ンダ12の作動液が、逆止弁26,開閉弁18を経ても
マスタシリンダ10に戻される。作動液が、マスタ側リ
リーフ弁62をバイパスしてマスタシリンダ10に戻さ
れるのである。弁装置34は減圧状態にされ、ホイール
シリンダ圧制御弁装置は、減圧位置にされるとともに減
圧状態にされ、かつ、作動液流出状態にされる。
【0077】このように、吐出圧低減減圧モードが設定
された場合には、開閉弁18が連通状態にされるため、
作動液をマスタ側リリーフ弁62を経てマスタシリンダ
10側に戻す必要がなくなる。そのため、ポンプ52の
吐出圧が低くなり、ポンプ52を駆動するためのモータ
56における無駄なエネルギの消費を回避し得、作動液
温度の大きな上昇を回避し得る。
【0078】吐出圧低減保持モードが設定された場合に
は、開閉弁24が連通状態に、開閉弁32が遮断状態に
保たれたまま、開閉弁18が連通状態と遮断状態とにデ
ューティ制御される。開閉弁24,32を共に遮断状態
に切り換えても、開閉弁18を連通状態にすれば、吐出
口接続部28の液圧がホイールシリンダ12の液圧より
低くなるため、ホイールシリンダ12の作動液が逆止弁
26を経て吐出口接続部28に流出してしまう。つま
り、開閉弁18が連通状態にある場合には、逆止弁26
により、ホイールシリンダ12の液圧を保持することが
できないのである。
【0079】そのため、本実施形態においては、デュー
ティ増圧モードとデューティ減圧モードとが交互に設定
され、図3に示す増圧状態と、図6に示す減圧状態と
に、後述の方法で決定されたデューティ制御比で切り換
られることになる。デューティ増圧モードが設定された
場合における弁装置34の状態は、通常増圧モードが設
定された場合におけるそれと同じである。ホイールシリ
ンダ12には、ポンプ52によって吐出された作動液が
供給され、液圧が増圧される。デューティ減圧モードが
設定された場合には、開閉弁24が連通状態,開閉弁3
2が遮断状態に保たれたまま、開閉弁18が連通状態に
切り換えられる。ホイールシリンダ12の作動液は、逆
止弁26,開閉弁18を経てマスタシリンダ10に戻さ
れるものも、開閉弁24,18を経てマスタシリンダ1
0に戻されるものもあり、液圧は減圧される。このよう
に、本実施形態においては、開閉弁24が連通状態に、
開閉弁32が遮断状態に保たれたまま開閉弁18が連通
状態と遮断状態とにデューティ制御されることによっ
て、ホイールシリンダ12の液圧が保持されるのであ
る。また、弁装置34は増圧状態と減圧状態とに交互に
切り換えられ、ホイールシリンダ圧制御弁装置は、増圧
状態と作動液流出状態とに交互に切り換えられることに
なる。
【0080】また、開閉弁18が連通状態と遮断状態と
にデューティ制御されれば、ポンプ52の吐出圧が低く
なる。デューティ増圧モードが設定され、弁装置34が
図3に示す増圧状態にされた場合には、ホイールシリン
ダ12に供給される作動液の液圧は、前述のようにリリ
ーフ圧より低いため、ポンプ52の吐出圧がリリーフ圧
より高くなることはない。また、デューティ減圧モード
が設定され、弁装置34が図6に示す減圧状態にされた
場合には、開閉弁18が連通状態にされているため、ポ
ンプ52の吐出圧がリリーフ圧より高くなることは勿論
ない。要するに、ポンプ52はホイールシリンダ圧とほ
ぼ等しい吐出圧で作動液を吐出すればよいことになるの
である。また、開閉弁18を連通状態と遮断状態とにデ
ューティ制御すれば、ホイールシリンダ12の液圧を保
持することができるため、開閉弁24,32を切り換え
る必要はない。
【0081】次にデューティ制御比の決定について説明
する。デューティ制御比は、その時点のホイールシリン
ダ12の推定液圧に基づいて決定される。本実施形態に
おいては、ホイールシリンダ12の液圧を検出する圧力
センサが設けられていないため、ホイールシリンダ12
の液圧が、累積増圧時間と累積減圧時間とに基づいて推
定される。累積増圧時間は、トラクション制御が開始さ
れてから通常増圧モードと吐出圧低減増圧モードとのい
ずれか一方が設定された場合の累積時間であり、累積減
圧時間は、通常減圧モードと吐出圧低減減圧モードとの
いずれか一方が設定された場合の累積時間である。換言
すれば、累積増圧時間は、通常増圧モードが設定された
場合の累積通常増圧時間と、吐出圧低減増圧モードが設
定された場合の累積吐出圧低減増圧時間との和の時間で
あり、同様に、累積減圧時間は、累積通常減圧時間と累
積吐出圧低減減圧時間との和の時間である。
【0082】トラクション制御中においては、増圧勾配
と減圧勾配とがほぼ等しいと仮定すれば、累積増圧時間
と累積減圧時間とが等しい場合には、ホイールシリンダ
12の液圧は制御以前の大気圧であると推定することが
できる。また、簡単のため、本実施形態においては、通
常減圧モードが設定された場合においても、吐出圧低減
減圧モードが設定された場合においても、それぞれ減圧
勾配は同じであると仮定する。なお、上記仮定が成立し
ない場合には、累積増圧時間と累積減圧時間とに増圧勾
配と減圧勾配との比に応じた係数を掛けてそれらの差を
求めればよい。また、通常減圧モードの実行時と吐出圧
低減減圧モードの実行時とで減圧勾配が異なる場合も、
それら減圧勾配の比に応じた係数を各減圧時間に掛けて
それらの和を求めればよい。
【0083】累積増圧時間から累積減圧時間を引いた時
間が実質的にホイールシリンダ12を増圧した増圧制御
時間であり、上記仮定が成立する限り、増圧制御時間が
長いほど、ホイールシリンダ12の液圧が高いと推定す
ることができる。この増圧制御時間とホイールシリンダ
12の液圧との関係を表す図示しないテーブルが、トラ
クション制御コンピュータ124のROMに記憶されて
いる。この推定されたホイールシリンダ12の液圧を以
下推定液圧と称する。
【0084】本実施形態においては、この推定液圧から
デューティ減圧時間Tg が、図9に示すグラフに基づい
て決定される。図9のグラフから推定液圧が高いほどデ
ューティ減圧時間Tg が短いことがわかる。単位時間に
ホイールシリンダ12から流出する作動液の量は、推定
液圧が高いほど多いため、デューティ減圧時間Tg が短
くされるのである。また、デューティ増圧時間Ti は、
本実施形態においては、吐出圧低減保持モードが設定さ
れた場合の制御周期が50msであるため、50msからデ
ューティ減圧時間Tg (ms)を引くことによって(50−
g )求められる。このようにデューティ制御比が決定
されれば、図10に示すように、ホイールシリンダ12
における作動液の流入量と流出量とがほぼ同じになり、
その時点におけるホイールシリンダ圧を保つことができ
る。
【0085】通常トラクション制御から吐出圧低減トラ
クション制御への切換えは、前述のように、作動液の温
度上昇関連情報に基づいて行われる。温度上昇関連情報
は、作動液の温度上昇に関連する情報であり、実際の作
動液の温度を表す情報や、作動液の温度を推定し得る情
報や、近い将来、作動液の温度が上昇する可能性が高い
ことを表す情報等である。これら情報のうちいずれか1
つが、実際の温度が設定温度以上であること、作動液の
温度が設定温度以上であることを推定し得ること、近い
将来、温度が設定温度以上になる可能性が高い状態にあ
ることの条件を満たせば、吐出圧低減トラクション制御
の実行が許可され、満たさなければ禁止される。
【0086】なお、トラクション制御時には、常に吐出
圧低減トラクション制御が許可され、通常トラクション
制御が実行されないようにすれば、作動液の温度が上昇
することを良好に回避し得るが、その場合には、上述の
ように、保持モードが設定された場合に常にデューティ
制御を行わなければならず、液圧制御精度が低下するお
それがある。それを回避するために、本実施形態におい
ては、作動液の温度上昇関連情報に基づいて吐出圧低減
トラクション制御の実行が許可されたり、禁止されたり
するようにされているのである。
【0087】具体的には、温度センサ140の検出値が
設定値(本実施形態においては70℃)以上になれば、
吐出圧低減トラクション制御の実行が許可される。作動
液の温度が高くなると、作動液への気体の溶解度が低下
し、それまで溶解していた気体が気泡となるおそれがあ
るからである。
【0088】通常トラクション制御中の累積通常減圧時
間と累積通常保持時間とを合わせた時間が設定時間(本
実施形態においては10秒)以上になると、作動液の温
度が設定温度以上になったと推定され、吐出圧低減トラ
クション制御の実行が許可される。前述のように、通常
減圧モードが設定された場合や通常保持モードが設定さ
れた場合には、作動液がマスタ側リリーフ弁62を経て
マスタシリンダ10に戻されるため、ポンプ52の吐出
圧がリリーフ圧より高く、作動液の温度上昇が大きくな
る。それに対して、通常増圧モードが設定された場合に
は、ポンプ52の吐出圧をリリーフ圧より高くする必要
がないため、通常減圧モードや通常保持モードが設定さ
れた場合より、作動液の温度上昇が小さい。したがっ
て、減圧累積時間と保持累積時間との和の時間が長くな
るのに伴って作動液の温度が高くなると推定されるよう
になっているのである。
【0089】また、車両がスタック状態になると、作動
液の温度が近い将来設定温度以上になる可能性が高い状
態にあると推定され、吐出圧低減トラクション制御の実
行が許可される。スタック状態は、例えば、駆動輪13
の片輪あるいは両輪がぬかるみに入る等の原因により少
なくも1輪が空転し車両が発車できない状態(車体速度
が非常に遅い状態)が設定時間以上継続している状態で
ある。そこで、駆動輪13の少なくとも片輪がトラクシ
ョン制御中となり、かつ、車体速度が4km/h(1.1m/
s)以下の状態が設定時間(本実施形態においては5秒)
以上継続した場合には、車両がスタック状態になったと
判定される。
【0090】この状態においては、その空転している車
輪の駆動スリップが過大になるため、トラクション制御
が開始されるのであるが、実際には、車両がこのスタッ
ク状態から脱出するためには、むしろ大きな駆動トルク
を供給する方がよいことが多い。そのため、この状態に
おいて、トラクション制御が開始されて駆動トルクが抑
制されると、一層脱出し難くなり、トラクション制御時
間が長引くおそれがあるのである。したがって、車両が
スタック状態になると、トラクション制御が長くなり
(累積減圧時間や累積保持時間が長くなり)、作動液の
温度が設定温度以上になる可能性が高い状態にあると推
定することができる。
【0091】以下、トラクション制御の実際について、
図7のフローチャートに基づいて説明する。トラクショ
ン制御モード決定プログラムは本実施形態においては1
ms毎に実行される。S9において、トラクション制御フ
ラグがセットされているか否かが判定される。トラクシ
ョン制御フラグはトラクション制御が開始されるとセッ
トされ、終了するとリセットされるフラグである。最初
にS9が実行される場合には、フラグはリセットされて
いるため、判定はNOとなり、S10において、カウン
タ1〜5のカウント値が0にされる。カウンタ1は、前
述の累積通常増圧時間と累積吐出圧低減増圧時間とを合
わせた累積増圧時間を計測するカウンタであり、カウン
タ2は、累積通常減圧時間を計測するカウンタで、カウ
ンタ3は累積通常保持時間を計測するそれである。ま
た、カウンタ4は、累積吐出圧低減減圧時間を計測する
カウンタであり、カウンタ5は、吐出圧低減保持モード
が設定された場合の経過時間を計測するそれである。
【0092】S11において、トラクション開始条件が
満たされたか否かが判定される。アクセルペダルが踏み
込まれた状態において、駆動輪13の駆動スリップが過
大傾向になる等トラクション開始条件が満たされた場合
には、判定がYESとなり、S12以降が実行される
が、開始条件が満たされない場合には、判定がNOとな
り、S9の実行に戻され、開始条件が満たされるまで、
S9〜11の実行が繰り返し行われる。
【0093】開始条件が満たされた場合には、S12に
おいて、トラクション制御フラグがセットされた後、S
13において、終了条件が満たされるか否かが判定され
る。最初にS13が実行される場合には、終了条件が満
たされることがないため、判定がNOとなり、S14以
降が実行されるが、トラクション制御中にアクセルペダ
ルの踏込みが解除される等トラクション制御終了条件が
満たされれば、判定がYESとなり、S25,26にお
いてトラクション制御フラグがリセットされ、終了モー
ドが設定され、S9に戻される。
【0094】S14ないしS16において、作動液の温
度上昇関連情報に基づいて、吐出圧低減トラクション制
御の実行が許可されるか禁止されるかが決定される。S
14ないしS16において、すべてのステップにおける
判定がNOであり、温度情報関連情報に基づいてポンプ
52の吐出圧を低減させる必要がないと判定された場合
には、S17以降において、通常トラクション制御が行
われる。吐出圧低減トラクション制御の実行が禁止され
るのである。S14ないしS16において、いずれか1
つのステップにおける判定がYESであり、ポンプ52
の吐出圧を低減させる必要があると判定された場合に
は、吐出圧低減トラクション制御の実行が許可され、S
27以降が実行される。
【0095】通常トラクション制御が行われる場合に
は、S17において、増圧条件が満たされるか否かが判
定され、満たされる場合には、判定がYESとなり、S
18,19において、通常増圧モードが設定され、カウ
ンタ1のカウント値が1増加させられる。
【0096】一方、増圧条件が満たされない場合には、
S17における判定がNOとなり、S20において減圧
条件が満たされるか否かが判定される。減圧条件が満た
され、YESと判定されれば、S21,22において通
常減圧モードが設定され、カウンタ2のカウント値が1
増加させられる。増圧条件も減圧条件も満たされない場
合には、S23,24において通常保持モードが設定さ
れ、カウンタ3のカウント値が1増加させられる。
【0097】通常トラクション制御中において、車両が
スタック状態にあることが検出された場合、カウンタ2
のカウント値に相当する累積通常減圧時間とカウンタ3
のカウント値に相当する累積通常保持時間との和の時間
が、設定時間以上になった場合、温度センサ140の検
出値が設定値以上になった場合のいずれか1つの条件が
満たされた場合には、S14ないしS16における判定
のいずれか1つがYESとなり、吐出圧低減トラクショ
ン制御の実行が許可される。
【0098】通常トラクション制御が行われる場合と同
様に、増圧条件が満たされた場合には、S28において
吐出圧低減増圧モードが設定され、減圧条件が満たされ
た場合には、S31において吐出圧低減減圧モードが設
定される。また、吐出圧低減増圧モードが設定された場
合、および吐出圧低減減圧モードが設定された場合に
は、それぞれS29およびS32において、カウンタ
1,4のカウント値が1増加させられる。いずれの条件
も満たされない場合には、S33において吐出圧低減保
持モードが設定される。吐出圧低減保持モードが設定さ
れた場合には、前述のように、デューティ制御比が決定
される。この場合には、カウンタ1のカウント値に相当
する時間が累積増圧時間であり、カウンタ2のカウント
値に相当する累積通常減圧時間とカウンタ4のカウント
値に相当する累積吐出圧低減減圧時間との和が累積減圧
時間である。したがって、累積増圧時間から累積減圧時
間を引いた時間が増圧制御時間となり、その増圧制御時
間に基づいて推定液圧が求められる。この推定液圧に基
づいてデューティ減圧時間Tg が図9に示すグラフに基
づいて決定され、デューティ制御比が決定されるのであ
る。
【0099】吐出圧低減保持モードが設定されれば、図
8のS2における判定がYESとなり、S41以降が実
行される。吐出圧低減保持モードが設定された場合に
は、前述のように、デューティ増圧モードがデューティ
増圧時間Ti の間設定され、その後,50ms経過するま
でデューティ減圧モードが設定され、S3において、そ
れに応じた制御が行われるのである。S41において、
カウンタ5のカウント値がデューティ増圧時間Ti に相
当する時間になったか否かが判定される。最初にS41
が実行される場合には、カウンタ5のカウント値は0で
あるため、判定はNOとなる。S42,43において、
デューティ増圧モードが設定され、カウンタ5のカウン
ト値が1増加させられ、S3において、デューティ増圧
モードに応じた制御が行われる。図3に示す増圧状態に
なるように各ソレノイドが制御されるのである。なお、
本実施形態においては、ソレノイド制御プログラムが1
ms毎に行われるため、カウンタ5のカウント値はそのま
ま時間(ms) に対応することになる。
【0100】次に、ソレノイド制御プログラムが実行さ
れる場合に、S1において、読み取られた制御モードが
吐出圧低減保持モードである場合には、上述と同様な制
御が行われるが、吐出圧低減保持モードが設定されてか
らデューティ増圧時間Ti 経過すれば、S41における
判定がYESとなり、S44において、さらに吐出圧低
減保持モードの制御周期である50msが経過したか否か
が判定される。つまり、デューティ増圧時間Ti 経過
後、デューティ減圧時間Tg が経過したか否かが判定さ
れるのである。
【0101】最初にS44が実行される場合には、デュ
ーティ増圧時間経過Ti 直後であるため、判定がNOと
なる。S45,46において、デューティ減圧モードが
設定され、カウンタ5のカウント値が1増加させられ、
そのデューティ減圧モードに応じた制御がS3において
行われる。開閉弁18が連通状態に切り換えられ、弁装
置34が図6に示す減圧状態にされるのである。
【0102】また、カウンタ5のカウント値に相当する
時間が50msを経過した場合には、S44における判定
がYESとなる。S47においてカウンタ5のカウント
値が0にされ、S42においてデューティ増圧モードが
設定され、以下、同様な制御が行われる。本実施形態に
おいては、吐出圧低減保持モードが継続して設定されて
いる間は、デューティ制御比が変わることはない。前述
のように、デューティ制御比は、増圧制御時間に基づい
て決定されるからである。そのため、保持モードの制御
周期である50ms経過後に、未だ、吐出圧低減保持モー
ドが設定されていれば、前回と同様なデューティ比で制
御が行われる。
【0103】一方、吐出圧低減トラクション制御の実行
中に、S14ないしS16における判定がすべてNOに
なれば、吐出圧低減トラクション制御の実行が禁止さ
れ、通常トラクション制御が実行される。以下、温度上
昇関連情報(S14ないしS16における判定結果)に
基づいて適宜、吐出圧低減トラクション制御の実行が禁
止されたり、許可されたりするのである。
【0104】以上のように、本実施形態のブレーキ装置
においては、トラクション制御中において吐出圧低減減
圧モードが選択された時期、吐出圧低減保持モードが選
択された時期等増圧状態にある時期以外の時期の少なく
とも一部において、開閉弁18が連通状態に切り換えら
れる。そのため、作動液をマスタ側リリーフ弁62を経
てマスタシリンダ10に戻す必要がなくなり、ポンプ5
2の吐出圧を低下させることができる。したがって、ポ
ンプ52を駆動するためのモータ56における無駄なエ
ネルギ消費量を少なくし得、かつ、モータ56に掛かる
負荷を小さくしてモータ56の寿命を長くすることがで
きる
【0105】また、吐出圧低減保持モードが設定された
場合には、開閉弁18が連通状態と遮断状態とにデュー
ティ制御されるため、逆止弁26を設けて制動終了時の
作動液のマスタシリンダ10への戻りを早くしながら、
ホイールシリンダ12の液圧を保持することができる。
さらに、保持モードが設定される場合には、開閉弁24
が連通状態に保たれたまま、開閉弁18が連通状態と遮
断状態とにデューティ制御されるため、開閉弁24も連
通状態と遮断状態とにデューティ制御される場合より制
御を容易にし得る。また、ホイールシリンダ12の液圧
が、累積減圧時間と累積増圧時間とに基づいて推定され
るようになっているため、圧力センサが不要となり、そ
の分コストダウンを図ることができる。
【0106】さらに、ポンプ52の吐出圧を作動液の温
度上昇関連情報に基づいて低減させることができる。そ
のため、常に、吐出圧低減トラクション制御が行われる
場合に比較して、液圧制御精度の低下を抑制しつつモー
タ56におけるエネルギ消費量を少なくすることができ
る。また、作動液温度の大きな上昇が抑制され、作動液
の劣化が抑制されて、作動液の寿命が長くなる。さら
に、作動液に溶解していた気体が気泡となることを回避
することができるため、制動時にこれが圧縮されること
により生じるブレーキペダル29の操作フィーリングの
悪化を防止することができる。
【0107】以上のように、本実施形態においては、開
閉弁18,ソレノイド20および液圧制御装置22のソ
レノイド・モータ制御コンピュータ126の、吐出圧低
減減圧モード,吐出圧低減保持モードが設定された場合
に、ソレノイド20を励磁して開閉弁18を連通状態に
切り換える部分(S1,3を実行する部分)等によっ
て、吐出圧低減装置が構成される。弁装置34の一部で
ある開閉弁18が吐出圧低減装置の構成要素も兼ねてい
るのである。また、開閉弁18が連通状態に切り換えら
れれば、作動液がマスタ側リリーフ弁62をバイパスし
てマスタシリンダ10に戻されるため、この吐出圧低減
装置は、特にリリーフ弁バイパス装置の態様を成してい
ることになる。なお、吐出圧低減装置は、開閉弁18が
含まれないものとしてもよく、トラクション制御手段に
含まれるものとしてもよい。
【0108】さらに、上記吐出圧低減装置のうちの、S
1,3を実行する部分等吐出圧低減減圧モードが設定さ
れた場合や、吐出圧低減保持モードが設定された場合
に、開閉弁18を連通状態に切り換える部分等によって
吐出圧低減用第一制御弁制御手段が構成され、吐出圧低
減用第一制御弁制御手段のうちの、吐出圧低減保持モー
ドが設定された場合に、開閉弁18を連通状態と遮断状
態とにデューティ制御する部分等によってホイールシリ
ンダ圧保持手段が構成される。これら吐出圧低減用第一
制御弁制御手段,ホイールシリンダ圧保持手段は、トラ
クション制御手段に含まれるものとすることも、別個の
ものとすることもできる。
【0109】また、液圧制御装置22のトラクション制
御コンピュータ124のS14ないしS16を実行する
部分によって吐出圧低減制御許可禁止手段が構成され
る。そのうちの、S14の一部を実行する部分によって
スタック状態検出手段が構成され、S14における判定
がYESとなった場合にS27以降が実行されるように
されている部分によってスタック状態対応許可手段が構
成されている。同様に、S15における判定がYESと
なった場合にS27以降が実行されるようにされている
部分によって制御時間対応許可手段が構成され、S16
における判定がYESとなった場合にS27以降が実行
されるようにされている部分によって作動液温対応許可
手段が構成される。さらに、カウンタ2,3およびトラ
クション制御コンピュータ124のS22,24を実行
する部分等によって制御時間検出手段が構成される。
【0110】なお、本実施形態においては、3つの条件
のうちいずれか1つの条件が満たされた場合に吐出圧低
減トラクション制御の実行が許可されるようになってい
たが、少なくとも2つの条件が満たされた場合に、許可
されるようにしてもよい。また、本実施形態における、
設定時間や設定温度の値は、一例であり、他の値にして
もよい。さらに、上記実施形態においては、累積通常減
圧時間と累積通常保持時間との和の時間が温度上昇関連
情報の1つであったが、この和の時間の代わりに、累積
通常減圧時間のみ、累積通常保持時間のみ、通常トラク
ション制御継続時間等を温度上昇関連情報としてもよ
い。
【0111】また、ホイールシリンダ12の液圧を圧力
センサにより直接検出してもよい。その場合には、推定
液圧でなく、直接検出された液圧に基づいてデューティ
減圧時間Tg が決定されることになり、吐出圧低減保持
モードにおける液圧制御精度を向上させることができ
る。
【0112】さらに、上記実施形態においては、上述の
条件が満たされた場合に、吐出圧低減トラクション制御
の実行が許可されるようになっていたが、第一ないし第
三発明,第九発明においては、トラクション制御が行わ
れる場合には、常に吐出圧低減トラクション制御の実行
が許可されるようにしてもよい。この場合には、ポンプ
52の吐出圧を常に低減させることができるため、無駄
なエネルギ消費を有効に回避することができる。
【0113】また、吐出圧低減減圧モードが設定された
場合には、開閉弁32が遮断状態にあってもよい。開閉
弁18が連通状態に切り換えられれば、ホイールシリン
ダ12の作動液は逆止弁26および開閉弁18を経てマ
スタシリンダ10に流出させられるからである。この実
施形態によれば、上記実施形態における場合より、減圧
勾配が小さくなる。さらに、図6に示すように、デュー
ティ減圧モードが設定された場合と同様に制御されるよ
うにしてもよい。開閉弁32が遮断状態に、開閉弁24
および開閉弁18が連通状態に切り換えられるようにす
るのである。
【0114】上記各実施形態においては、アンチスキッ
ド制御は開閉弁18が連通状態に保たれたまま行われる
ようにされていたが、開閉弁18が遮断状態に保たれた
まま行われるようにしてもよい。その場合には、アンチ
スキッド制御中のキックバックを回避することができ
る。このように開閉弁18が遮断状態に保たれたままア
ンチスキッド制御が行われる場合には、サブリザーバ1
4に収容された作動液が設定量以下になるおそれがあ
る。したがって、サブリザーバ14に収容された作動液
量を検出し、設定量以下になった場合には、開閉弁42
あるいは開閉弁18が連通状態に切り換えられるように
してもよい。
【0115】前記実施形態においては、ポンプ52の吐
出口とマスタシリンダ10との間にマスタ側リリーフ弁
62が設けられていたが、図14に示すように、ポンプ
52の吐出口とサブリザーバ14とをリリーフ通路23
0によって接続し、このリリーフ通路230の途中にサ
ブリザーバ側リリーフ弁232を設けてもよい。サブリ
ザーバ側リリーフ弁232の設定圧は、前記マスタ側リ
リーフ弁60の設定圧と同様に、トラクション制御中の
最大液圧とすればよい。ポンプ52の吐出圧がリリーフ
圧に達すると、作動液はサブリザーバ側リリーフ弁23
2を経てサブリザーバ14に戻される。なお、サブリザ
ーバ側リリーフ弁232は、ポンプ52の吐出口と、吸
入口とを接続する液通路の途中に設けてもよい。
【0116】また、開閉弁42を電磁弁でなく、マスタ
シリンダ圧によるパイロット弁にすることも可能であ
る。マスタシリンダ圧が設定圧より高い場合には遮断状
態に、設定圧より低い場合には連通状態に切り換えられ
るようにするのである。このようにすれば、通常制動時
やアンチスキッド制御時には、ブレーキペダル29が踏
み込まれているためにマスタシリンダ10の液圧が高
く、遮断状態に切り換えられる。トラクション制御時に
は、ブレーキペダル29は踏み込まれていないためにマ
スタシリンダ10の液圧は高くならず、連通状態に切り
換えられる。
【0117】さらに、開閉弁42の代わりに、図15に
示すように、副液通路40の途中に作動液補給リリーフ
弁242を設けてもよい。作動液補給リリーフ弁242
は、マスタリザーバ64の液圧とサブリザーバ14の液
圧(ポンプ通路46の吸入側部分の液圧)との差が設定
液圧差以上になると、マスタリザーバ64からサブリザ
ーバ14へ向かう向きの作動液の流れを許容するもので
ある。トラクション制御が開始されるとポンプ52が作
動状態にされるが、サブリザーバ14には作動液が収容
されていない。そのため、サブリザーバ14内が負圧に
なるとともにポンプ通路46が負圧になる。マスタリザ
ーバ64の液圧とポンプ通路46の液圧との差が設定液
圧差以上になり、マスタリザーバ64から作動液がポン
プ52によって吸引され、加圧される。また、トラクシ
ョン制御中においても、これらの液圧の差が設定液圧差
以上になれば、マスタリザーバ64から作動液が流出さ
せられるため、トラクション制御中に作動液が不足する
ことが回避される。作動液が強い負圧になることは望ま
しくないため、作動液補給リリーフ弁242のリリーフ
圧は、サブリザーバ14に作動液が残っている限りはマ
スタリザーバ64から作動液が吸入されない範囲で、で
きる限り小さく設定されることが望ましい。本実施形態
においては、サブリザーバ14に収容された作動液が副
液通路40を経てマスタリザーバ64に戻されることは
ない。
【0118】本実施形態によれば、前記開閉弁42の制
御が不要になるため、その分制御を容易にすることがで
きる。アンチスキッド制御中においても、マスタリザー
バ64の液圧がサブリザーバ14の液圧より設定液圧差
以上高くなれば、マスタリザーバ64から作動液が吸引
されることになる。
【0119】また、開閉弁42およびサブリザーバ14
の代わりに、図16に示すように、収容液量対応開閉弁
としての流入制御弁250を備えたリザーバ252を設
けてもよい。リザーバ252は、リザーバ室260,リ
ザーバピストン262,スプリング264等を備えたも
のである。リザーバ室260は、ハウジングにリザーバ
ピストン262が実質的に気密かつ摺動可能に嵌合され
ることによって形成される。そのリザーバ室260の容
積が通常値から増加するときにはリザーバピストン26
2が図示する通常位置から容積増加位置に、減少すると
きには容積減少位置にそれぞれ移動させられる。リザー
バピストン262の底部には、付勢手段としてのスプリ
ング264がリテーナ266を介して係合させられる。
【0120】リテーナ266は、それのフランジ部がハ
ウジングの段付き部に当接することによってリザーバ室
260側への移動限度が規定されている。また、リテー
ナ266はリザーバピストン262に緩く係合されてい
る。したがって、リザーバピストン262は、リザーバ
室260の容積が減少すれば、リテーナ266を原位置
に残したまま単独で図の上方の容積減少位置へ移動させ
られるが、リザーバ室260の容積が増加すれば、リテ
ーナ266とともにスプリング264を圧縮しつつ下方
の容積増加位置へ移動させられる。流入制御弁250
は、弁子270と弁座272とを有しており、これらは
互いに共同してマスタシリンダ10からリザーバ252
に向かう作動液の流れは阻止するが、逆向きの流れを許
容する。弁子270は付勢手段としてのスプリング27
4によって弁座272に着座する向きに常時付勢されて
いる。
【0121】流入制御弁250は、常には、マスタシリ
ンダ10内の作動液がリザーバ室260に流入すること
を阻止する流入阻止状態にある。トラクション制御が開
始され、ポンプ52が作動させられてリザーバ室260
の作動液が汲み上げられるとリザーバ室260内が負圧
となり、リザーバピストン262が図示の通常位置から
容積減少位置に移動させられる。リザーバピストン26
2に設けられた弁子駆動部としてのピン276によって
弁子270が弁座272から離間させられ、マスタシリ
ンダ10の作動液がリザーバ室260に流入することを
許容する流入許容状態となり、マスタシリンダ10の作
動液が副液通路40を経てリザーバ室260へ流入させ
られる。流入制御弁250は、トラクション制御の開始
時のみに流入許容状態に切り換えられるのではなく、ト
ラクション制御中等リザーバ室260が負圧になった時
に流入許容状態に切り換えられる。このように、本実施
形態においては、流入制御弁250を備えたリザーバ2
52が設けられているため、トラクション制御中におい
て作動液が不足することを良好に回避することができ
る。
【0122】さらに付言すれば、前記実施形態において
は、吐出圧低減保持モードが設定された場合には、開閉
弁18のみがデューティ制御され、開閉弁24,32が
デューティ制御されないようになっていたが、開閉弁2
4と開閉弁32との少なくとも一方も開閉弁18に同期
して、デューティ制御されるようにしてもよい。また、
弁装置34は、前記実施形態のものに限らず、開閉弁2
4,32を1つの3位置制御弁に変えても、開閉弁1
8,24、開閉弁18,32、あるいは、開閉弁18,
24,32を1つの3位置制御弁に変えてもよい。ホイ
ールシリンダ圧制御弁装置においても同様に、前記実施
形態のものに限らず、開閉弁24,32を1つの3位置
制御弁に変えてもよい。
【0123】さらに、第一,第二,第五ないし第九発明
においては、図17に示すように、弁装置210やホイ
ールシリンダ圧制御弁装置に前記逆止弁26が含まれて
いなくてもよい。その場合には、吐出圧低減保持モード
が設定された場合に、開閉弁18をデューティ制御しな
くてもホイールシリンダ12の液圧を保持することが可
能となる。すなわち、開閉弁18が連通状態にあって
も、開閉弁24,32が共に遮断状態に切り換えられれ
ば、ホイールシリンダ12の液圧は保持されるのであ
る。このブレーキ制御装置の液圧制御装置290には、
図18に示す吐出圧低減制御モード対応ソレノイド制御
テーブルが格納され、各ソレノイド等の制御は、図18
に示すテーブルに基づいて行われる。
【0124】吐出圧低減トラクション制御の実行が許可
された場合において、吐出圧低減増圧モードが設定され
た場合には、上記実施形態の吐出圧低減増圧モードが設
定された場合と同様の制御が行われる。ホイールシリン
ダ12には、ポンプ52によって加圧された作動液が流
入させられる。
【0125】吐出圧低減減圧モードが設定された場合に
は、開閉弁18が連通状態に切り換えられ、開閉弁24
が遮断状態に、開閉弁32が連通状態にそれぞれ切り換
えられる。ホイールシリンダ12の作動液が、開閉弁3
2を経てサブリザーバ14に流出させられる。ポンプ5
2によって吐出された作動液は、ポンプ通路46,吐出
口接続部28,開閉弁18を経てマスタシリンダ10に
戻される。吐出圧低減保持モードが設定された場合に
は、開閉弁18が連通状態に、開閉弁24,32が共に
遮断状態に切り換えられる。本実施形態においては、逆
止弁26が設けられていないため、開閉弁18を連通状
態に切り換えてもホイールシリンダ12の作動液が流出
させられることがないため、ホイールシリンダ12の液
圧が保持される。開閉弁18をデューティ制御する必要
がないのである。
【0126】本実施形態においては、逆止弁26が設け
られていないため、制動終了時、アンチスキッド制御終
了時、トラクション制御終了時等、ホイールシリンダ1
2の作動液をマスタシリンダ10に戻す場合に、作動液
の戻りが多少遅くなるが、開閉弁18を連通状態にした
まま、マスタシリンダ12の液圧を保持できるため、吐
出圧を低減させつつ開閉弁の切換え頻度を少なくし得、
かつ、マスタシリンダ液圧の液圧制御精度を向上させる
ことができる。
【0127】さらに、第一,第五ないし第九発明によれ
ば、ブレーキ制御装置を図19に示すブレーキ装置に適
用することができる。本実施形態においては、第一制御
弁としての開閉弁18を連通状態に切り換えなくてもポ
ンプ52の吐出圧が低減され、開閉弁18を連通状態と
遮断状態とにデューティ制御しなくてもホイールシリン
ダ12の液圧が保持される。図19において、ポンプ5
2の吐出口側が吐出口接続部28に、ポンプ通路逆止弁
としての逆止弁300を介して接続されると共に、リリ
ーフ弁バイパス制御弁としての開閉弁302を介して、
副液通路40の開閉弁42より下流側の部分に接続され
ている。逆止弁300は、ポンプ52からホイールシリ
ンダ12への作動液の流れを許容するが、逆向きの流れ
を阻止するものであり、開閉弁302が連通状態にされ
てポンプ52の吐出圧が低下させられた場合に、ホイー
ルシリンダ12の作動液が流出するのを防止するために
設けられたものである。開閉弁302のソレノイド30
4は、液圧制御装置306の指令に基づいて図示しない
駆動回路により制御される。液圧制御装置306には、
図20に示す吐出圧低減トラクション制御対応ソレノイ
ド制御テーブルが格納されている。
【0128】通常トラクション制御が行われる場合に
は、ソレノイド304は励磁されず、開閉弁302は遮
断状態に保たれる。他のソレノイド20,36,38,
44は、上記実施形態における場合と同様に制御される
ため、その説明を省略する。吐出圧低減トラクション制
御の実行が許可された場合において、吐出圧低減増圧モ
ードが設定された場合には、通常増圧モードが設定され
た場合と同様に制御される。この場合には開閉弁302
は、遮断状態に保たれる。マタシリンダ10の作動液
は、ポンプ52によって加圧されて、逆止弁300,開
閉弁24を経てホイールシリンダ12に供給される。吐
出圧低減減圧モードが設定された場合には、開閉弁24
が遮断状態に、開閉弁32が連通状態にされるととも
に、ソレノイド304が励磁されて開閉弁302が連通
状態に切り換えられる。ホイールシリンダ12の作動液
は、開閉弁32を経てサブリザーバ14に流出させら
れ、サブリザーバ14の作動液は、ポンプ52により、
ポンプ通路46,開閉弁302,開閉弁42を経てマス
タシリンダ10に戻される。作動液を、マスタ側リリー
フ弁62を経てマスタシリンダ10に戻す必要がないた
め、ポンプ52の吐出圧が低くて済む。また、逆止弁3
00が設けられているため、吐出口接続部28の液圧が
ホイールシリンダ12の液圧より低くならないため、作
動液が逆止弁26を経て吐出口接続部28に流出するこ
とはない。
【0129】吐出圧低減保持モードが設定された場合に
は、開閉弁24,32が共に遮断状態とされるととも
に、開閉弁302が連通状態とされる。開閉弁302が
連通状態とされてポンプ52の吐出圧が低減させられて
も、吐出口接続部28から開閉弁302に向かう向きの
作動液の流れは逆止弁300によって阻止されるため、
ホイールシリンダ12の作動液が逆止弁26を経て流出
することがなく、ホイールシリンダ圧が保持される。吐
出圧低減保持モードが設定された場合にも、前述のよう
に、ポンプ52の吐出圧を低減させることができる。な
お、吐出圧低減保持モードが設定された場合には、開閉
弁24が連通状態にあっても差し支えない。ホイールシ
リンダ12からの作動液の流出が、遮断状態にある開閉
弁18と逆止弁300とによって阻止されるからであ
る。
【0130】本実施形態のブレーキ装置は、前記実施形
態におけるブレーキ装置に開閉弁302と逆止弁300
とを設けたものである。開閉弁18は、連通状態におけ
る流路を大きくするために通常は大形のものである。そ
のため、開閉弁18をデューティ制御するためには、ソ
レノイドを大形のものとし、さらに、応答性が良好なも
のにしなればならず、開閉弁18が高価になる。それに
対して、本実施形態においては開閉弁18や開閉弁30
2等をデューティ制御する必要がないため、開閉弁18
を応答性のよいものとする必要がなくなると共に、開閉
弁302として通常の開閉弁を使用し得る。その結果、
ブレーキ装置全体としてのコストダウンを図ることが可
能となり、制御精度の低下も回避することができる。
【0131】本実施形態においては、開閉弁302,ソ
レノイド304および液圧制御装置306のソレノイド
・モータ制御コンピュータのソレノイド304を励磁し
て開閉弁302を連通状態にする部分等によって吐出圧
低減装置が構成される。この場合、開閉弁302は、弁
装置34の構成要素ではなく、吐出圧を低減させるため
に設けられた吐出圧低減弁装置であり、前記吐出圧低減
装置の開閉弁302を制御する部分等によって吐出圧低
減弁装置制御手段が構成されることになる。このよう
に、吐出圧低減手段は、弁装置以外の弁装置を制御する
場合もあるのである。なお、開閉弁302は、当然、ホ
イールシリンダ圧制御弁装置にも含まれないものであ
る。
【0132】次に、第一,第四ないし第九発明に共通の
一実施形態であるブレーキ制御装置について説明する。
本ブレーキ制御装置を含むブレーキ装置は、図2に示す
ブレーキ装置に、さらに、図21に示すように、開閉弁
18をバイパスするバイパス通路308と、そのバイパ
ス通路308の途中のマスタシリンダ10から主液通路
中間部28への作動液の流れを許容し、逆向きの流れを
阻止する逆止弁310とを設けたものである。
【0133】この逆止弁310が設けられた理由の一つ
は、開閉弁18の大形化を回避することである。トラク
ション制御中に図示しないアクセルペダルの踏込みが解
除され、メインスロットルバルブが全閉となる等トラク
ション制御終了条件が満たされれば、トラクション制御
が終了させられる。ソレノイド20,36,38および
44が消磁され、開閉弁18が連通状態に切り換えられ
るとともに開閉弁42が遮断状態に切り換えられ、か
つ、開閉弁24が連通状態に、開閉弁32が遮断状態に
されるのである。したがって、その後にブレーキペダル
29が踏み込まれれば、マスタシリンダ10に発生した
液圧がホイールシリンダ12に伝達され、ブレーキが作
用させられる。しかし、アクセルペダルの踏込みが解除
された後、直ちにブレーキペダル29が踏み込まれた場
合には、開閉弁18が連通状態に切り換わる前にマスタ
シリンダ10の液圧が増圧され、開閉弁18の前後にお
いて液圧差が大きくなることがある。また、アクセルペ
ダルが踏み込まれたままブレーキペダル29が踏み込ま
れることもあり、この場合にも開閉弁18の前後の液圧
差が大きくなる。
【0134】常開弁である開閉弁18において、常に
は、ソレノイド20が消磁状態にあり、図示しない弁子
が弁座から離間させられており、主液通路18は連通状
態にあるが、ソレノイド20が励磁されると、弁子が弁
座に着座させられ、遮断状態となる。この遮断状態にお
いては、通常、弁子がマスタシリンダ10側の液圧によ
り弁座に押し付けられる状態となる。もし、開閉弁18
を、遮断状態において弁子がマスタシリンダ側の液圧に
抗して弁座に着座した状態に保たれるものとすれば、マ
スタシリンダ側の液圧が高くなっても遮断状態を維持し
得るようにするために、ソレノイドを大きくしなければ
ならなくなるからである。
【0135】そして、開閉弁18が、弁子がマスタシリ
ンダ10側の液圧により弁座に押し付けられるものであ
る場合に、開閉弁18の前後に大きな液圧差が生じる
と、ソレノイド20の消磁により弁子を弁座から離間さ
せるために、弁子を弁座から離間する向きに付勢するス
プリングの弾性力を大きくしなければならず、それに応
じてソレノイド20も大きなものとしなければならなく
なって、開閉弁18が大形化してしまう。それに対し
て、本実施形態においては、逆止弁310が設けられて
いるため、開閉弁18が遮断状態にあっても、マスタシ
リンダ10の液圧が逆止弁310を経て開閉弁18の後
ろ側(開閉弁24側)にも伝達され、開閉弁18の前後
に大きな液圧差が生じないため、開閉弁18の大形化を
回避することができるのである。
【0136】逆止弁310が設けられたもう一つの理由
は、開閉弁18が遮断状態にある場合にブレーキペダル
29が踏み込まれた際のブレーキの効き遅れを小さくす
ることである。上述のように、開閉弁18と並列に逆止
弁310が設けられていれば、開閉弁18が閉じている
状態でも、マスタシリンダ10の液圧が開閉弁24に伝
達される。したがって、このときもし開閉弁24が連通
状態にあれば、マスタシリンダ10の液圧はそのままホ
イールシリンダ12に伝達され、ブレーキの効き遅れが
完全に回避される。また、もし開閉弁24が遮断状態に
あった場合には、逆止弁308を経て伝達されたマスタ
シリンダ10の液圧は、ホイールシリンダ12までは伝
達されないが、開閉弁24までは伝達され、開閉弁24
が連通状態とされた場合に速やかにホイールシリンダ1
2に伝達される。その上、前述のように開閉弁18の前
後の液圧差が大きくならないために、ソレノイド20の
消磁に伴って開閉弁18が速やかに連通状態となり、こ
の点からもブレーキの効き遅れが減少させられる。開閉
弁18の前後の液圧差が大きい場合には、ソレノイド2
0の消磁から、開閉弁18の弁子が弁座から離間させら
れるまでの時間が長くなることを避け得ないが、逆止弁
308の配設によりこれを回避できるのである。
【0137】また、本実施形態における液圧制御装置に
は図22に示すテーブルが格納されている。吐出圧低減
増圧モードが設定された場合には、図22に示すテーブ
ルに基づく場合も制御は図13に示すテーブルに基づく
場合と同じである。吐出圧低減減圧モードが設定された
場合には、図13に示すテーブルに基づく場合には、開
閉弁18が連通状態に切り換えられるが、本実施形態に
おいては図22に示すテーブルに基づいて、開閉弁18
は遮断状態のままで、図21に示すように、開閉弁24
が連通状態に切り換えられる。
【0138】ポンプ52によって吐出された作動液は、
吐出口接続部28,開閉弁24および開閉弁32を経て
サブリザーバ14側に流れる。また、ホイールシリンダ
12の作動液も開閉弁32を経てサブリザーバ14側に
流れる。これら作動液の一部はポンプ52にくみ上げら
れるが、残りは開閉弁42を経てマスタシリンダ10へ
流出する。すなわち、ポンプ52→開閉弁24→開閉弁
32→ポンプ52と循環する循環回路を循環する作動液
の流れと、ホイールシリンダ12→開閉弁32→開閉弁
42→マスタシリンダ10の作動液の流れとが生じるの
である。ポンプ52によって吐出された作動液をマスタ
側リリーフ弁62を経てマスタシリンダ10に戻す必要
がなく、ポンプ52の吐出圧を低く保ったままでホイー
ルシリンダ12の液圧を減圧することができる。
【0139】また、吐出圧低減保持モードが設定された
場合には、図13に示すテーブルに基づく場合には、開
閉弁24が連通状態、開閉弁32が遮断状態にある場合
において、開閉弁18が連通状態と遮断状態とにデュー
ティ制御されるが、本実施形態においては図22に示す
テーブルに基づいて、開閉弁18が遮断状態,開閉弁2
4が連通状態に保たれたまま、開閉弁32が遮断状態と
連通状態とにデューティ制御される。開閉弁32が遮断
状態に切り換えられれば、ポンプによって吐出された作
動液がホイールシリンダ12に供給されるとともに作動
液の流出が阻止されるため、ホイールシリンダ12の液
圧は増圧される。連通状態に切り換えられれば、上述の
ように液圧が減圧される。したがって、開閉弁32の遮
断状態と連通状態との時間比率を適切に定めておけば、
ホイールシリンダ12の液圧を実質的に一定に保ち得
る。
【0140】このように、吐出圧低減保持モードにおい
ては、開閉弁32が連通状態にある時期の一部において
開閉弁24が連通状態に切り換えられる。それによっ
て、ポンプ52によって吐出された作動液は、実質上、
開閉弁24および開閉弁32を直列に含む還流回路によ
りポンプ52に還流させられることとなり、ポンプ52
の吐出圧が低くて済む。
【0141】また、第一実施形態のブレーキ制御装置に
おけるより、ホイールシリンダ12の液圧制御精度を向
上させ得るという利点もある。第一実施形態のブレーキ
制御装置において吐出圧低減減圧モードが設定された場
合には、開閉弁18が連通状態に切り換えられるため、
図1に示すように、ホイールシリンダ12から流出させ
られる作動液には、開閉弁18を経てマスタシリンダ1
0に戻されるとともに、開閉弁32および開閉弁42を
経てマスタシリンダ10に戻される。それに対して、本
実施形態のブレーキ制御装置においては、開閉弁18は
遮断状態に保たれたままであるため、作動液が開閉弁1
8を経て戻されることはなく、開閉弁42を経て戻され
るだけである。したがって、その分ホイールシリンダ1
2の液圧の減圧勾配を小さくし得、液圧の制御精度を向
上させることができるのである。
【0142】さらに、開閉弁18と開閉弁42とを比較
すると、開閉弁42における方が流路面積を小さくし得
る。制動時には、マスタシリンダ10の作動液が主液通
路16を経てホイールシリンダ12に供給されるため、
主液通路16の途中に設けられる開閉弁18の流路面積
を小さくすることは望ましくない。それに対して、開閉
弁42は副液通路40の途中に設けられたものであり、
ポンプ52によりくみ上げ可能な流量の作動液の通過を
許容し得るものであればよいため、開閉弁18より流路
面積を小さくすることが可能である。この点において
も、ホイールシリンダ12の減圧勾配を抑制し得、液圧
制御精度を向上させることができるのである。
【0143】また、開閉弁18を連通状態と遮断状態と
にデューティ制御しなくても、ホイールシリンダ液圧を
保持することができるため、上述の理由と同様の理由に
より、ホイールシリンダ圧の制御精度を向上させること
ができる。
【0144】以上のように、本実施形態においては、増
圧弁が開閉弁24によって構成され、減圧弁が開閉弁3
2によって構成される。開閉弁24が連通状態にある場
合が供給許容状態で、遮断状態にある場合が供給阻止状
態であり、開閉弁32が連通状態にある場合が流出許容
状態であり、遮断状態にある場合が流出阻止状態であ
る。なお、増圧弁が開閉弁18,24によって構成さ
れ、減圧弁が開閉弁32によって構成されると考えるこ
とも、増圧弁が開閉弁24によって構成され、減圧弁が
開閉弁18,32によって構成されると考えることもで
きる。前者のように考えた場合には、開閉弁24が連通
状態にあり、開閉弁18が遮断状態にある状態が供給許
容状態に当たり、開閉弁24が遮断状態にある状態と、
開閉弁18と開閉弁24とが共に連通状態にある状態と
が、供給阻止状態に対応する。後者のように考えた場合
には、ホイールシリンダ12の作動液のサブリザーバ1
4への流出が許容される状態が流出許容状態に当たると
考え、開閉弁18が遮断状態にあり、開閉弁32が連通
状態にある状態が流出許容状態に当たり、それ以外の状
態は、ホイールシリンダ12の作動液がサブリザーバ1
4に流出させられるのを阻止する流出阻止状態に当たる
ことになる。
【0145】また、本実施形態においては、開閉弁24
および開閉弁32によってホイールシリンダ圧制御弁装
置が構成される。吐出圧低減減圧モードが設定された場
合には、開閉弁24および開閉弁32が共に連通状態に
切り換えられるため、ホイールシリンダ圧制御弁装置は
減圧状態にされるが、開閉弁24が遮断状態にないため
減圧位置にあるわけではない。本実施形態のブレーキ制
御装置においては、ホイールシリンダ圧制御弁装置が、
前述の、増圧位置,減圧位置,保持位置以外の位置に切
り換えられることになる。
【0146】なお、本実施形態のブレーキ制御装置を、
図2,図14ないし図17の各々および図19に示す各
ブレーキ装置に適用することもできる。また、逆に、上
述の各実施形態のブレーキ制御装置が搭載された図2,
14〜17の各々,19に示す各ブレーキ装置にバイパ
ス通路308および逆止弁310を設けてもよい。さら
に、吐出圧低減保持モードが設定された場合には、第一
実施形態における場合と同様に、開閉弁18をデューテ
ィ制御してもよく、このようにすれば第三発明の一実施
形態となる。また、第一発明においては、開閉弁24は
不可欠ではない。図22に示すマップにおけるように、
吐出圧低減トラクション制御は開閉弁24が連通状態に
保たれたまま行われるからである。
【0147】次に、第一発明の一実施形態であるブレー
キ制御装置を図23のブレーキ装置に適用した場合につ
いて説明する。マスタシリンダ10は後輪13のホイー
ルシリンダ12と主液通路16により接続されている。
主液通路16の途中には、3位置制御弁316が設けら
れている。3位置制御弁316は、常には、マスタシリ
ンダ10をホイールシリンダ12に連通させ、サブリザ
ーバ320から遮断する増圧状態にあるが、ソレノイド
318の小電流による励磁により、ホイールシリンダ1
2をマスタシリンダ10からもサブリザーバ320から
も遮断する保持状態に切り換えられ、大電流による励磁
によりホイールシリンダ12をサブリザーバ320に連
通させてマスタシリンダ10から遮断する減圧状態に切
り換えられる。
【0148】サブリザーバ320からはポンプ通路32
2が延び出させられ、ポンプ通路322の途中にはポン
プ324が設けられている。ポンプ324はモータ32
6の駆動によって作動させられる。モータ326は、ア
ンチスキッド制御中あるいはトラクション制御中は連続
して駆動される。また、ポンプ通路322のポンプの吸
入口とサブリザーバ320との間には、くみ上げ制御弁
としての開閉弁328が設けられている。開閉弁328
は、常には、ポンプ324の吸入口からサブリザーバ3
20を遮断する遮断状態にあるが、ホイールシリンダ1
2の液圧を増圧する必要がある場合には、ソレノイド3
29が励磁され、これらを連通させる連通状態に切り換
えられる。ポンプ通路322は、主液通路16の3位置
制御弁316とホイールシリンダ12との間の吐出口接
続部330に接続されている。
【0149】上記吐出口接続部330とマスタシリンダ
10とはリリーフ通路332によって接続され、リリー
フ通路332の途中には、リリーフ弁334が設けられ
ている。リリーフ弁334のリリーフ圧は、上記各実施
形態と同様に、トラクション制御時の最大液圧に設定さ
れている。そのため、ポンプ324の吐出圧、すなわち
ホイールシリンダ12の液圧が最大液圧に達すると、作
動液がリリーフ弁334を経てマスタシリンダ10に戻
される。また、マスタシリンダ10とサブリザーバ32
0とは副液通路336によって接続され、副液通路33
6の途中には第四制御弁としての開閉弁338が設けら
れている。開閉弁338は常には、マスタシリンダ10
とサブリザーバ320とを遮断する遮断状態にあるが、
トラクション制御が開始されると、ソレノイド339が
励磁され、これらを連通させる連通状態に切り換えられ
る。
【0150】上記各電磁弁のソレノイド318,32
9,339、モータ326等は液圧制御装置340の指
示により図示しない駆動回路により制御される。液圧制
御装置340は、上記各実施形態における場合と同様
に、図示しないアンチスキッド制御コンピュータ,トラ
クション制御コンピュータ,ソレノイド・モータ制御コ
ンピュータ等複数のコンピュータを備えたものであり、
ソレノイド・モータ制御コンピュータのROMには、図
24に示すトラクション制御用ソレノイド制御テーブル
が格納されている。モータ326は、アンチスキッド制
御中あるいはトラクション制御中は継続して駆動され
る。
【0151】本ブレーキ装置において、ブレーキペダル
342が踏み込まれれば、マスタシリンダ10の作動液
は、増圧状態にある3位置制御弁316を経てホイール
シリンダ12に供給される。ブレーキペダル342の踏
込みが解除されれば、ホイールシリンダ12の作動液
は、主液通路16を経てマスタシリンダ10に戻され
る。アンチスキッド制御が行われる場合には、3位置制
御弁316が保持状態または減圧状態に切り換えられる
ことによりホイールシリンダ液圧が後輪13の制動スリ
ップ状態が適正状態に保たれるように制御される。減圧
モードが設定された場合には、3位置制御弁316が減
圧状態に切り換えられ、ホイールシリンダ12の作動液
がサブリザーバ320に流出させられる。保持モードが
設定された場合には、保持状態に切り換えられ、ホイー
ルシリンダ液圧が保持される。減圧モードや保持モード
が設定された場合には、開閉弁328は遮断状態に保た
れる。増圧モードが設定された場合には、3位置制御弁
316が保持状態に、開閉弁328が連通状態に切り換
えられる。サブリザーバ320の作動液がポンプ324
によって汲み上げられてホイールシリンダ12に供給さ
れる。
【0152】アンチスキッド制御中は、開閉弁338は
原則として遮断状態に保たれるが、サブリザーバ320
の作動液が不足した場合には連通状態に切り換えられ
る。サブリザーバ320の作動液の不足は、サブリザー
バ320に、それのピストンの位置を検出するなどによ
りサブリザーバ320内の作動液量を検出する作動液量
検出器を設けて検出するのが最も確実であるが、本実施
形態においては、作動液量検出器を省略するために、3
位置制御弁316が減圧状態にある時間と開閉弁328
が連通状態にある時間とに基づいてサブリザーバ320
内の作動液量を推定することによって検出されるように
なっている。なお、サブリザーバ320の作動液が不足
した場合には、3位置制御弁316が増圧状態に切り換
えられ、マスタシリンダ10からホイールシリンダ12
に直接作動液が供給されるようにすることも可能であ
る。
【0153】トラクション制御が行われる場合には、ア
ンチスキッド制御が行われる場合と同様に、3位置制御
弁316が保持状態,減圧状態に切り換えられることに
よってホイールシリンダ液圧が後輪13の駆動スリップ
状態が適正状態に保たれるように制御される。ただし、
開閉弁338が連通状態に保たれてマスタシリンダ10
の作動液がサブリザーバ320に供給される。トラクシ
ョン制御は図24に示すテーブルに基づいて行われる。
増圧モードが設定されると、3位置制御弁316が保持
状態に切り換えられるとともに、開閉弁328が連通状
態に切り換えられ、サブリザーバ320の作動液がポン
プ324により汲み上げられてホイールシリンダ12に
供給される。減圧モードが設定されると、3位置制御弁
316が減圧状態に切り換えられるとともに、開閉弁3
28が遮断状態に切り換えられる。その結果、ポンプ3
24によって作動液が汲み上げられることはなく、ポン
プ324が空回りさせられるため、リリーフ弁334を
経てマスタシリンダ10に作動液を戻す必要はない。保
持モードが設定された場合には、3位置制御弁316が
保持状態に、開閉弁328が遮断状態にそれぞれ切り換
えられる。この場合においても、ポンプ324から作動
液は吐出されず、リリーフ弁334を経てマスタシリン
ダ10に戻す必要はない。
【0154】以上のように、本実施形態においては、減
圧モードや保持モードが設定された場合には、開閉弁3
28が遮断状態に切り換えられ、ポンプ324から作動
液が吐出されないようにされている。そのため、ポンプ
324から吐出された作動液をリリーフ弁334を経て
マスタシリンダ10に戻す必要がなく、ポンプの吐出圧
は結局0まで低下させられる。また、トラクション制御
において通常制御と吐出圧低減制御との両方が設定され
ているわけではなく、常に吐出圧低減制御が行われるこ
とになるため、ポンプ324の吐出圧を最大限に低減さ
せることが可能となる。
【0155】本実施形態においては、3位置制御弁31
6および開閉弁328によって弁装置が構成され、開閉
弁328,ソレノイド329および液圧制御装置340
のトラクション制御を実行する部分等によって吐出圧低
減装置が構成される。吐出圧低減装置の開閉弁328を
制御する部分等によって吐出圧低減手段が構成される
が、この吐出圧低減手段はトラクション制御手段の一部
でもある。また、第一実施形態の弁装置との関係におい
ては、3位置制御弁316が、第一制御弁と第三制御弁
とに相当し、開閉弁328が第二制御弁に相当すること
になる。また、3位置制御弁316および開閉弁328
によって増圧弁が構成され、3位置制御弁316によっ
て減圧弁が構成されることになる。
【0156】なお、本記実施形態においては、減圧モー
ドが設定された場合には、開閉弁328が遮断状態に切
り換えられるようにされていたが、連通状態に切り換え
られるようにしてもよい。3位置制御弁316が減圧状
態に、開閉弁328が連通状態にある場合には、ポンプ
324によって汲み上げられた作動液は、3位置制御弁
316および開閉弁328を経てポンプ324に還流さ
せられる。すなわち、作動液が、3位置制御弁316,
開閉弁328およびポンプ324を循環する回路を循環
させられることになり、リリーフ弁334を経てマスタ
シリンダ10に戻す必要がなくなる。この態様は第四発
明の一実施形態である。その他、いちいち例示すること
はしないが、特許請求の範囲を逸脱することなく当業者
の知識に基づいて種々の変形,改良を施した態様で本発
明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一ないし第三,第五ないし第九発明の共通の
一実施形態であるブレーキ制御装置を適用したブレーキ
装置において吐出圧低減トラクション制御における減圧
モードが設定された場合の状態を示す回路図である。
【図2】上記ブレーキ装置を示す回路図である。
【図3】上記ブレーキ装置の通常トラクション制御にお
ける増圧モードが設定された場合の状態を示す回路図で
ある。
【図4】上記ブレーキ装置の通常トラクション制御にお
ける減圧モードが設定された場合の状態を示す回路図で
ある。
【図5】上記ブレーキ装置の通常トラクション制御にお
ける保持モードが設定された場合の状態を示す回路図で
ある。
【図6】上記ブレーキ装置の吐出圧低減トラクション制
御における保持モードが設定された場合の状態を示す回
路図である。
【図7】上記ブレーキ装置のトラクション制御コンピュ
ータのROMに記憶されたトラクション制御モード決定
プログラムを表すフローチャートを示す図である。
【図8】上記ブレーキ装置のソレノイド・モータ制御コ
ンピュータのROMに記憶されたソレノイド制御プログ
ラムを表すフローチャートを示す図である。
【図9】上記トラクション制御コンピュータのROMに
記憶されたデューティ減圧時間決定テーブルを表す図で
ある。
【図10】上記ブレーキ装置において吐出圧低減トラク
ション制御中に保持モードが設定された場合の液圧変化
を表す図である。
【図11】上記ソレノイド・モータ制御コンピュータの
ROMに記憶されたアンチスキッド制御時における制御
モード対応ソレノイド制御テーブルを表す図である。
【図12】上記ソレノイド・モータ制御コンピュータの
ROMに記憶された通常トラクション制御時における制
御モード対応ソレノイド制御テーブルを表す図である。
【図13】上記ソレノイド・モータ制御コンピュータの
ROMに記憶された吐出圧低減トラクション制御時にお
ける制御モード対応ソレノイド制御テーブルを表す図で
ある。
【図14】第一ないし第三,第五ないし第九発明の共通
の一実施形態であるブレーキ制御装置が適用された別の
ブレーキ装置を示す回路図である。
【図15】第一ないし第三,第五ないし第九発明の共通
の一実施形態であるブレーキ制御装置が適用されたさら
に別のブレーキ装置を示す回路図である。
【図16】第一ないし第三,第五ないし第九発明の共通
の一実施形態であるブレーキ制御装置が適用されたさら
に別のブレーキ装置を示す回路図である。
【図17】第一,第二,第五ないし第九発明の共通の一
実施形態であるブレーキ制御装置が適用されたブレーキ
装置を示す回路図である。
【図18】上記ブレーキ装置のソレノイド・モータ制御
コンピュータのROMに記憶された吐出圧低減トラクシ
ョン制御時における制御モード対応ソレノイド制御テー
ブルを表す図である。
【図19】第一,第五ないし第九発明の共通の一実施形
態であるブレーキ制御装置が適用されたブレーキ装置を
示す回路図である。
【図20】上記ブレーキ装置のソレノイド・モータ制御
コンピュータのROMに記憶された吐出圧低減トラクシ
ョン制御時における制御モード対応ソレノイド制御テー
ブルを表す図である。
【図21】第一,第四ないし第九発明の共通の一実施形
態であるブレーキ制御装置を適用したブレーキ装置にお
いて吐出圧低減トラクション制御の減圧モードが設定さ
れた場合の状態を示す回路図である。
【図22】上記ブレーキ装置のソレノイド・モータ制御
コンピュータのROMに記憶された吐出圧低減トラクシ
ョン制御時における制御モード対応ソレノイド制御テー
ブルを表す図である。
【図23】第一発明の一実施形態であるブレーキ制御装
置を適用したブレーキ装置を示す回路図である。
【図24】上記ブレーキ装置のソレノイド・モータ制御
コンピュータのROMに記憶された吐出圧低減トラクシ
ョン制御時における制御モード対応ソレノイド制御テー
ブルを表す図である。
【符号の説明】
14 サブリザーバ 18 開閉弁 22,290,306,340 液圧制御装置 24 開閉弁 26 逆止弁 32 開閉弁 34 弁装置 42 開閉弁 52,324 ポンプ 64 マスタリザーバ 122 アンチスキッド制御コンピュータ 124 トラクション制御コンピュータ 126 ソレノイド・モータ制御コンピュータ 140 温度センサ 252 サブリザーバ 302 開閉弁 310 逆止弁 316 3位置制御弁 320 サブリザーバ 328 開閉弁

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低圧源と、その低圧源から作動液をくみ
    上げるポンプと、 少なくともそのポンプによってくみ上げられた作動液の
    ホイールシリンダへの流入を許容する増圧状態と、ホイ
    ールシリンダの作動液の前記低圧源への流出を許容する
    減圧状態とに切換え可能な弁装置と、 その弁装置を少なくとも増圧状態と減圧状態とに切り換
    えることによって、ホイールシリンダの液圧を、駆動ス
    リップ状態が適正状態になるように制御するトラクショ
    ン制御手段と、 前記弁装置が前記増圧状態にある時期以外の時期の少な
    くとも一部において、前記ポンプの吐出圧を低減させる
    吐出圧低減装置とを含むことを特徴とするブレーキ制御
    装置。
  2. 【請求項2】 前記低圧源がマスタシリンダに作動液を
    補給するマスタリザーバを含み、前記ポンプの吐出口が
    マスタシリンダと前記ホイールシリンダとを接続する主
    液通路の途中に接続され、前記弁装置が、前記主液通路
    の途中の前記ポンプの吐出口の接続部よりマスタシリン
    ダ側に設けられ、前記ポンプの吐出口の接続部とマスタ
    シリンダとを連通させる連通状態とこれらを遮断する遮
    断状態とに切換え可能な第一制御弁を含み、かつ、前記
    吐出圧低減装置が、その第一制御弁を連通状態に切り換
    える吐出圧低減用第一制御弁制御手段を含むことを特徴
    とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
  3. 【請求項3】 さらに、前記弁装置が、前記主液通路の
    前記ポンプの吐出口の接続部よりホイールシリンダ側に
    設けられ、第一制御弁をホイールシリンダに連通させる
    連通状態とこれらを遮断する遮断状態とに切換え可能な
    第二制御弁と、前記第二制御弁をバイパスするバイパス
    通路の途中に設けられ、ホイールシリンダからマスタシ
    リンダへ向かう方向への作動液の流出は許容するが逆向
    きの流れは阻止する逆止弁とを含み、かつ、前記吐出圧
    低減用第一制御弁制御手段が、前記第一制御弁を連通状
    態と遮断状態とにデューティ制御することによってホイ
    ールシリンダの液圧を保持するホイールシリンダ圧保持
    手段を含むことを特徴とする請求項2に記載のブレーキ
    制御装置。
  4. 【請求項4】 前記弁装置が、前記ポンプによってくみ
    上げられた作動液のホイールシリンダへの供給を許容す
    る供給許容状態と供給を阻止する供給阻止状態とに切換
    え可能な増圧弁と、前記ホイールシリンダの作動液の低
    圧源への流出を許容する流出許容状態と流出を阻止する
    流出阻止状態とに切換え可能な減圧弁とを含み、かつ、
    前記吐出圧低減装置が、少なくとも一時期において、前
    記減圧弁を流出許容状態にすると共に前記増圧弁を供給
    許容状態にする吐出圧低減用増,減圧弁制御手段を含む
    ことを特徴とする請求項1に記載のブレーキ制御装置。
  5. 【請求項5】 前記吐出圧低減装置が、作動液の温度上
    昇に関連した温度上昇関連情報に基づいて当該吐出圧低
    減装置の作動を許可するか禁止するかを決定する温度上
    昇関連情報対応許可禁止手段を含むことを特徴とする請
    求項1ないし4のいずれか1つに記載のブレーキ制御装
    置。
  6. 【請求項6】 前記温度上昇関連情報対応許可禁止手段
    が、作動液の温度を検出する作動液温検出装置と、その
    作動液温検出装置によって検出された温度が設定温度以
    上である場合に前記吐出圧低減装置の作動を許可する作
    動液温対応許可手段とを含むことを特徴とする請求項5
    に記載のブレーキ制御装置。
  7. 【請求項7】 前記温度上昇関連情報対応許可禁止手段
    が、トラクション制御の継続に関連する時間を検出する
    トラクション制御関連時間検出手段と、そのトラクショ
    ン制御関連時間検出手段によって検出された制御関連時
    間が設定時間以上である場合に前記吐出圧低減装置の作
    動を許可する制御関連時間対応許可手段とを含むことを
    特徴とする請求項5あるいは6に記載のブレーキ制御装
    置。
  8. 【請求項8】 前記温度上昇関連情報対応許可禁止手段
    が、当該ブレーキ制御装置を搭載した車両がスタック状
    態にあることを検出するスタック状態検出手段と、その
    スタック状態検出手段によって車両がスタック状態にあ
    ることが検出された場合に前記吐出圧低減装置の作動を
    許可するスタック状態対応許可手段とを含むことを特徴
    とする請求項5ないし7のいずれか1つに記載のブレー
    キ制御装置。
  9. 【請求項9】 当該ブレーキ制御装置がマスタシリンダ
    と、そのマスタシリンダとホイールシリンダとを接続す
    る主液通路と、前記マスタシリンダと前記低圧源とを接
    続する副液通路に設けられ、その副液通路を連通させる
    連通状態と遮断する遮断状態とに切換え可能なリザーバ
    連通弁装置と、前記ポンプの吐出口と前記マスタシリン
    ダとを接続するリリーフ通路の途中に設けられたリリー
    フ弁と、前記ホイールシリンダの液圧を、制動スリップ
    状態がほぼ適正状態になるように制御するアンチスキッ
    ド制御手段とを含み、 前記弁装置が、前記主液通路に設けられ、その主液通路
    を連通させる連通状態と、遮断する遮断状態とに切換え
    可能なマスタカット弁と、前記主液通路の前記マスタカ
    ット弁とホイールシリンダとの間に設けられ、少なくと
    も、ホイールシリンダへの作動液の流入を許容する増圧
    状態と、ホイールシリンダから低圧源への作動液の流出
    を許容する減圧状態とに切換え可能なホイールシリンダ
    圧制御弁装置とを含み、前記ポンプが、前記主液通路の
    前記マスタカット弁とホイールシリンダ圧制御弁装置と
    の間の部分である主液通路中間部と前記低圧源とを接続
    するポンプ通路の途中に設けられ、前記アンチスキッド
    制御手段が、前記マスタカット弁を連通状態、リザーバ
    連通弁装置を遮断状態とし、かつ、ホイールシリンダ圧
    制御弁装置を少なくとも増圧状態と減圧状態とに切り換
    えるものであり、前記トラクション制御手段が、前記マ
    スタカット弁を遮断状態、リザーバ連通弁装置を連通状
    態とし、かつ、ホイールシリンダ圧制御弁装置を少なく
    とも増圧状態と減圧状態とに切り換えるものであり、前
    記吐出圧低減装置が、前記ホイールシリンダ圧制御弁装
    置が前記増圧状態にある時期以外の時期の少なくとも一
    部において、前記ポンプの吐出圧を低減させるものであ
    ることを特徴とする請求項1,5ないし8のいずれか1
    つに記載のブレーキ制御装置。
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