JPH0930388A - ブレーキ液圧制御装置 - Google Patents

ブレーキ液圧制御装置

Info

Publication number
JPH0930388A
JPH0930388A JP18262295A JP18262295A JPH0930388A JP H0930388 A JPH0930388 A JP H0930388A JP 18262295 A JP18262295 A JP 18262295A JP 18262295 A JP18262295 A JP 18262295A JP H0930388 A JPH0930388 A JP H0930388A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
relief
valve
pressure
brake
passage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP18262295A
Other languages
English (en)
Inventor
Takayuki Yamamoto
貴之 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP18262295A priority Critical patent/JPH0930388A/ja
Publication of JPH0930388A publication Critical patent/JPH0930388A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Regulating Braking Force (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】ポンプの吐出圧が設定圧を超えないようにする
リリーフ装置を備えたブレーキ液圧制御装置の信頼性を
高める。 【解決手段】マスタシリンダカット弁24を閉じ、ポン
プ42を液圧源としてブレーキシリンダ14の液圧を制
御するブレーキ液圧制御装置16において、リリーフ通
路50にリリーフ弁80,82を互いに直列に接続す
る。リリーフ弁80,82はポンプ42の吐出圧が両者
のリリーフ圧の和を超えると開き、ブレーキ液をリザー
バ32に放出する。リリーフ弁80,82の一方に異物
が詰まって閉じなくなっても他方が正常に機能してリリ
ーフ圧を発生させるため、ブレーキシリンダ14の液圧
不足を回避、あるいは低減させ得る。リリーフ弁80と
並列に逆止弁132を設け、リリーフ弁80,82間に
残留した気泡が逆止弁132を経てポンプ液通路40側
へ出るようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はブレーキ液圧制御装
置に関するものであり、特に、ポンプの吐出圧が設定圧
を超えないようにするリリーフ装置の改良に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】車両用の液圧ブレーキシステムにおいて
は、一般に、ブレーキペダル等のブレーキ操作部材の操
作に応じてブレーキ液圧を発生するマスタシリンダが液
圧源として使用されるが、それと共にあるいはそれに代
えて動力で駆動されるポンプが使用されることが多い。
特開平4−325360号に記載されている液圧ブレー
キシステムはその一例であって、制動時に車輪と路面と
の間に過大なスリップが発生することを防止するアンチ
ロック制御装置を備えている。アンチロック制御のため
にはブレーキ液圧を自動で制御するブレーキ液圧制御装
置が必要であり、このブレーキ液圧制御装置の液圧源と
してポンプが使用されているのである。
【0003】また、車両加速時等に駆動車輪に加えられ
る過大な駆動トルクをブレーキによって減殺することに
より駆動車輪のスリップが過大となることを防止するト
ラクション制御装置にも、ブレーキ液圧制御装置が設け
られ、その液圧源としてポンプが使用される。なお、ト
ラクション制御装置は、多くの場合、アンチロック制御
装置と共に液圧ブレーキシステムに設けられ、アンチロ
ック制御のための還流用ポンプはマスタシリンダ非作用
時に液圧源として機能させることが可能であるため、ト
ラクション制御に際してブレーキを作用させるための液
圧源として還流用ポンプを利用することが行われてい
る。さらに、車両の走行安定性を増すためにブレーキを
作用させることも行われており、この種の走行安定性制
御装置にもポンプを液圧源とするブレーキ液圧制御装置
が使用される。
【0004】この種のブレーキ液圧制御装置は、前記特
開平4−325360号に記載の液圧ブレーキシステム
においてもそうであるように、(a)低圧源からブレー
キ液をくみ上げて加圧するポンプと、(b)そのポンプ
から吐出されたブレーキ液のブレーキシリンダへの流入
を許容する状態と許容しない状態とに切換えが可能な制
御弁装置と、(c)その制御弁装置と前記ポンプとを接
続する接続通路から分岐したリリーフ通路に設けられ、
常には接続通路からブレーキ液が外部に流出することを
阻止しているが、接続通路の液圧が設定液圧に達すれば
流出を許容するリリーフ装置とを含む構成とされること
が多い。ポンプの吐出圧(以下、ポンプ圧とも言う)が
設定液圧に達するとリリーフ装置が作用して、接続通路
からのブレーキ液の流出を許容するため、ポンプ圧が設
定液圧を超えることが防止され、ポンプを含むブレーキ
液圧制御装置や液圧ブレーキシステムが保護される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
リリーフ装置は1個のリリーフ弁のみで構成されてお
り、ブレーキ液に混入した異物が弁子と弁本体との間に
詰まってリリーフ弁が完全には閉じなくなり、ポンプに
より加圧されたブレーキ液がリリーフ弁から漏れて、ブ
レーキシリンダの液圧の制御精度が低下する恐れがあっ
た。ブレーキ液圧制御装置においては、弁子が弁座に着
座することにより閉じた状態となるシート型リリーフ弁
が多く使用されるが、この形式のリリーフ弁においては
スプール型リリーフ弁に比較してこの問題が生じ易い。
【0006】請求項1に係る第一発明は、リリーフ装置
に漏れが生じてブレーキシリンダ液圧の制御精度が低下
する事態の発生を従来より良好に回避し得るブレーキ液
圧制御装置を提供することを課題として為されたもので
ある。また、請求項2に係る第二発明は、第一発明に係
るブレーキ液圧制御装置において、リリーフ装置のエア
抜きを容易にすることを課題として為されたものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、第一発明においては、前記(a)ポンプ,(b)制
御弁装置および(c)リリーフ装置を含むブレーキ液圧
制御装置において、リリーフ装置が、リリーフ通路内に
互いに直列に接続された複数のリリーフ弁を含むものと
される。また、第二発明においては、リリーフ装置が、
さらに、リリーフ通路の、複数のリリーフ弁の最も上流
側のものとポンプとを接続する第一部分と、複数のリリ
ーフ弁のうち互いに隣接する2つを接続する第二部分と
を、それら両部分の間にあるリリーフ弁に対して並列に
接続する並列通路と、その並列通路に設けられて第二部
分から第一部分へのブレーキ液の流れは許容するが逆向
きの流れは阻止する逆止弁とを含むものとされる。
【0008】
【作用】第一発明に係るブレーキ液圧制御装置において
は、複数のリリーフ弁が互いに直列に設けられているた
め、一部のリリーフ弁が、異物が詰まるなどして漏れる
状態になった場合でも、残りのリリーフ弁は漏れを防止
し、正常に機能することになる。そして、リリーフ弁が
複数設けられている場合には、それらリリーフ弁のすべ
てが異物が詰まるなどして正常に機能しなくなる確率
は、リリーフ弁が1個のみの従来装置に比較して小さ
い。また、第二発明に係るブレーキ液圧制御装置におい
ては、各リリーフ弁の間にエアがその位置より下流側の
リリーフ弁のリリーフ圧で圧縮されて溜まった場合に、
接続通路の液圧が低下させられれば、その溜まったエア
が膨張し、逆止弁を経て接続通路側へ流出する。液圧ブ
レーキシステムの組立時や修理完了時等に、ブレーキ液
圧回路内にあるエアを排除するためにエア抜きを行うの
であるが、複数のリリーフ弁の間にあるエアを排除する
ためには、接続通路の液圧をリリーフ装置全体のリリー
フ圧より高くし、リリーフ装置を通過してブレーキ液が
流れるようにすることが必要である。これにより、エア
はブレーキ液の流れにより概ね運び去られるのである
が、小さな気泡はリリーフ弁や液通路の隅に入り込んで
ブレーキ液の流れにより運び去られず、リリーフ弁の間
に残留することがある。その気泡自体は小さいものであ
るが、それが残留している個所より下流側のリリーフ弁
のリリーフ圧を受けて圧縮されているため、もし、液圧
ブレーキシステムの使用中にリリーフ装置外へ出れば、
膨張して大きな気泡となり、液圧ブレーキシステムの作
動に悪影響を与える。それに対して、第二発明に従って
逆止弁が設けられていれば、リリーフ装置を通過してブ
レーキ液を流した後、接続通路の液圧を低下させれば、
リリーフ弁の間のエアが膨張し、逆止弁を経て接続通路
側に流出するため、このエアを制御弁装置を経てブレー
キシリンダ側へ抜く等によりエア抜きを行うことができ
る。また、接続通路の液圧を低下させて一旦エアを接続
通路側へ流出させた後、再び接続通路の液圧を上昇させ
てブレーキ液がリリーフ装置を通過して流れるようにす
れば、そのエアが再びリリーフ装置内へ入るが、そのエ
アの殆どはブレーキ液と共にリリーフ装置を通過し、リ
リーフ装置内のリリーフ弁間に留まる確率は低い。した
がって、接続通路の液圧を上昇させたり、低下させたり
することを繰り返せば、ほぼ完全にエア抜きを行うこと
ができる。
【0009】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、第一発
明によれば、複数のリリーフ弁のうちの一部のものが機
能しなくなっても、他のリリーフ弁が機能してポンプの
吐出圧をある程度までは高めるため、リリーフ弁が1個
のみの従来装置に比較してブレーキシリンダの液圧不足
を良好に回避することができる。ブレーキシリンダの目
標液圧が正常なリリーフ弁のリリーフ圧の和より小さい
場合にはブレーキシリンダ液圧の不足が完全に回避し得
るのであり、ブレーキシリンダの目標液圧が正常なリリ
ーフ弁のリリーフ圧の和より大きい場合でも、ブレーキ
シリンダ液圧の不足の程度を小さくすることができるの
である。また、第二発明によれば、各リリーフ弁の間に
圧縮されて溜まったエアを逆止弁を経て排除することが
できるため、エア抜きの作業が容易になる効果が得られ
る。
【0010】
【発明の補足説明】本発明は請求項1および2に記載の
態様以外にも、以下に列挙する態様で実施可能である。 (1)前記複数のリリーフ弁の各々が、弁子が弁座に着
座することにより閉じた状態となるシート型リリーフ弁
である請求項1または2に記載のブレーキ液圧制御装
置。スプールの移動により開閉されるスプール型リリー
フ弁の使用も可能であるが、液圧ブレーキシステムにお
いては、閉じた弁からのブレーキ液の漏れを極力回避す
ることが望まれるため、閉じた状態における液の漏れを
防止することが容易なシート型リリーフ弁を使用するこ
とが望ましい。また、シート型リリーフ弁においては、
スプール型リリーフ弁におけるより異物の詰まりによる
漏れが発生し易いため、シート型リリーフ弁を含むブレ
ーキ液圧制御装置に本願発明を適用することが特に有効
である。 (2)さらに、前記ブレーキシリンダに主液通路により
接続されるマスタシリンダと、その主液通路の途中に設
けられてマスタシリンダとブレーキシリンダとを連通さ
せる状態と遮断する状態とに切り換えられる連通・遮断
装置とを含み、かつ、前記複数のリリーフ弁の少なくと
も1つがマスタシリンダの液圧が高いほどリリーフ圧が
高くなるリリーフ圧可変型リリーフ弁である請求項1,
2,態様1のいずれか1つに記載のブレーキ液圧制御装
置。アンチロック制御時に連通・遮断装置がマスタシリ
ンダとブレーキシリンダとを遮断する状態にされる形式
の液圧ブレーキシステムにおいては、ポンプを液圧源と
してブレーキシリンダの液圧が加圧されるのであるが、
この際のポンプの最高吐出圧はマスタシリンダの液圧が
高いほど高くされることが望ましい。アンチロック制御
は、マスタシリンダの液圧が路面の摩擦係数との関係で
過大になった場合に実行されるのであり、ブレーキシリ
ンダの液圧はマスタシリンダの液圧より低く制御される
のが普通である。そして、リリーフ装置のリリーフ圧
は、ブレーキシリンダの適正液圧より高いことが必要で
あるが、過度に高ければポンプの駆動に無駄なエネルギ
が消費されることになる。したがって、複数のリリーフ
弁の少なくとも1つをリリーフ圧可変型リリーフ弁とし
て、リリーフ装置全体のリリーフ圧がマスタシリンダの
液圧が高いほど高くなるようにすることが、省エネルギ
の観点から望ましいのである。また、運転者の多くは路
面の摩擦係数が低いと推測されるときはブレーキ操作力
を小さくし、摩擦係数が大きいと推測されるときはブレ
ーキ操作力を大きくするものであるため、リリーフ装置
全体のリリーフ圧がマスタシリンダの液圧に応じて変化
するようにすれば、リリーフ圧が一定の場合に比較し
て、リリーフ圧とブレーキシリンダの液圧との液圧差の
変動が小さくて済むことになる。その結果、制御弁装置
によりブレーキシリンダにブレーキ液が流入させられる
際の流量のばらつきが小さくて済み、ブレーキシリンダ
の液圧制御精度が向上する。さらに、液圧ブレーキシス
テムがアンチロック制御のみならずトラクション制御も
可能なものであり、かつ、リリーフ装置がアンチロック
制御時とトラクション制御時との両方におけるリリーフ
圧を制御するものである場合には、トラクション制御時
のリリーフ圧が低くなり、無駄なエネルギ消費を回避す
ることができる。トラクション制御時のリリーフ圧はア
ンチロック制御時のリリーフ圧より低くてよいのが普通
であるが、トラクション制御時にはマスタシリンダに液
圧が発生させられていないため、リリーフ圧がアンチロ
ック制御時より低くなり、好都合なのである。なお、連
通・遮断装置の代表的なものは開閉弁であるが、回路の
構成によっては方向切換弁等が連通・遮断装置として使
用されることもある。 (3)液通路形成部材に互いに交差する2つの直線状の
穴が形成され、それら穴の少なくとも一方の一端が外部
に向かって開口させられ、前記リリーフ弁の少なくとも
1つがその開口から穴に挿入されてその穴内に固定され
るとともに、その穴の開口近傍部内にボールが圧入され
て閉塞されている請求項1,2,態様1,2のいずれか
1つに記載のブレーキ液圧制御装置。液通路形成部材内
部に屈曲した液通路を形成する必要がある場合には、互
いに交差する2つの直線状の穴がドリル加工等により形
成され、それら穴の少なくとも一方の外部に向かって開
いた開口が閉塞されることが多い。また、開口を閉塞す
る前に、穴内に種々の弁等を挿入して固定することも行
われている。第一発明の実施によりリリーフ弁を小形化
できれば、それを挿入すべき液通路の直径も小さくでき
るため、その穴の開口を閉塞するボールの直径が小さく
て済み、そのボールにかかる押出し力が小さくなるた
め、穴(液通路)内の液圧が高い場合でもボール圧入式
閉塞装置を使用することが可能になる。 (4)さらに、一端が、前記リリーフ通路の、前記複数
のリリーフ弁の互いに隣接する2つを接続する部分に連
通し、他端が外部へ開放された分岐通路を含み、かつ、
その分岐通路の開放端部がその開放端部に圧入されたボ
ールにより閉塞されている請求項1,2,態様1,2の
いずれか1つに記載のブレーキ液圧制御装置。複数のリ
リーフ弁を直列に接続する際に、個別のリリーフ弁を配
管で接続すれば多くの継手部材が必要になるため、一体
の部材内に複数のリリーフ弁を組み込むことが望まし
い。この場合、一体の部材内に、互いに隣接する2つの
リリーフ弁をつなぐ液通路をドリル加工等の機械工作に
より形成する都合上、一端が液通路に連通し、他端が外
部へ開放された分岐通路が生じることが多く、この分岐
通路は液密に閉塞することが必要である。このような分
岐通路の閉塞手段として、分岐通路の開放端部にボール
を圧入することにより、あるいは圧入した上さらに分岐
通路の開口周辺部をかしめることにより、閉塞するボー
ル圧入式閉塞装置が知られているが、この閉塞装置の耐
圧は、一般にブレーキシリンダに予定されている最高液
圧より低く、当然リリーフ装置のリリーフ圧より低い。
しかし、第一発明にしたがって、リリーフ装置を複数の
リリーフ弁を直列に含むものとする場合には、前述のよ
うに互いに隣接するリリーフ弁間の液圧はリリーフ装置
全体のリリーフ圧より低くなるため、ボール圧入式閉塞
装置の使用が可能になる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて詳細に説明する。図1において、10はマス
タシリンダであり、マスタシリンダ10は互いに独立し
た2個の加圧室が互いに直列に配置されたタンデム型で
ある。マスタシリンダ10は、図示しないブースタを介
してブレーキ操作部材としてのブレーキペダル12に連
携させられており、ブレーキペダル12の踏込み力に応
じて各加圧室に互いに等しい高さの液圧を機械的に発生
させる。マスタシリンダ10の一方の加圧室には駆動車
輪である左右前輪のブレーキシリンダ14、他方の加圧
室には非駆動車輪である左右後輪のブレーキシリンダ
(図示省略)がそれぞれ接続されている。すなわち、こ
の液圧ブレーキシステムは前後2系統式なのである。左
右前輪はアンチロック制御およびトラクション制御双方
の対象となり、左右後輪はアンチロック制御のみの対象
となる。
【0012】以下、一点鎖線により囲まれているブレー
キ液圧制御装置16の構成を説明する。前輪ブレーキ系
統においては、マスタシリンダ10から延び出た後に二
股に分岐した主液通路22によって、マスタシリンダ1
0が2個のブレーキシリンダ14に接続されている。主
液通路22の各分岐部分には、電磁開閉弁であるマスタ
シリンダカット弁24がそれぞれ設けられている。マス
タシリンダカット弁24は通常ブレーキ時において開状
態(連通状態)にあり、ブレーキシリンダ14をマスタ
シリンダ10に連通させてマスタシリンダ10の液圧に
よるブレーキシリンダ14の作動を許容する。一方、ア
ンチロック制御およびトラクション制御時においては閉
状態(遮断状態)となり、ブレーキシリンダ14をマス
タシリンダ10から遮断し、後述するポンプを液圧源と
してブレーキシリンダ14が作動することを可能にす
る。各マスタシリンダカット弁24が連通・遮断装置を
それぞれ構成しているのである。なお、マスタシリンダ
カット弁24は電磁開閉弁とされているが、回路の構成
によっては方向切換弁とされることもある。
【0013】主液通路22の各分岐部分のうち各マスタ
シリンダカット弁24と各ブレーキシリンダ14との間
の部分からリザーバ液通路30がそれぞれ延びて低圧源
たるリザーバ32に至っている。このリザーバ32の詳
細については後述する。各リザーバ液通路30には常閉
の電磁開閉弁である減圧弁34が設けられており、開状
態でブレーキシリンダ14からリザーバ32に向かう向
きのブレーキ液の流れを許容する減圧状態を実現する。
【0014】リザーバ32にはまた、ポンプ液通路40
も接続されている。ポンプ液通路40にはモータ41に
よって駆動されるポンプ42が設けられており、ブレー
キシリンダ14からリザーバ32に排出されたブレーキ
液をくみ上げて加圧する。また、ポンプ液通路40にお
いてポンプ42よりも主液通路22側に、常閉の電磁開
閉弁である増圧弁44がそれぞれ配設されている。増圧
弁44は、開状態でポンプ42からブレーキシリンダ1
4に向かう向きのブレーキ液の流れを許容する増圧状態
を実現する。以上のように、左右前輪のブレーキシリン
ダ14の液圧は互いに独立に制御可能とされているので
ある。これら減圧弁34および増圧弁44が制御弁装置
を構成しており、この制御弁装置とポンプ42とを接続
するポンプ通路40が請求項1にいう接続通路として機
能するのである。
【0015】ポンプ液通路40のポンプ42の吐出側か
らリリーフ通路50が分岐させられ、リザーバ32に接
続されている。リザーバ32にはさらにマスタシリンダ
10も接続されている。主液通路22のマスタシリンダ
カット弁24よりマスタシリンダ10側の部分から分岐
させられた液補給通路56が、絞り58および流入制御
弁60を経てリザーバ32に接続されているのである。
これらリザーバ32および流入制御弁60の構造を説明
する。リザーバ32は、ハウジングにリザーバピストン
62が液密かつ摺動可能に嵌合されることによってブレ
ーキ液を収容するリザーバ室64が形成されたものであ
る。リザーバ室64の容積が通常値から増加するときに
はリザーバピストン62が図示の通常位置から容積増加
位置に、容積が通常値から減少するときには通常位置か
ら容積減少位置にそれぞれ移動する。リザーバピストン
62の背後に付勢手段としてのスプリング66がリテー
ナ68を介して作用させられ、スプリング66の弾性力
がリザーバピストン62に付与される。しかし、リテー
ナ68はそのフランジ部がハウジングの段付部に当接す
ることによってリザーバ室64側への移動限度が規定さ
れており、しかも、リテーナ68はリザーバピストン6
2に緩く嵌合されている。したがって、リザーバピスト
ン62は、リザーバ室64の容積が減少すればリテーナ
68を原位置に残したまま単独で前進し、一方、リザー
バ室64の容積が増加すればリテーナ68と共にスプリ
ング66を圧縮しつつ後退する。
【0016】一方、流入制御弁60は、弁子70と弁座
72とを有しており、弁子70が付勢手段としてのスプ
リング74により弁座72に着座する向きに付勢されて
いる。また、弁子70とリザーバピストン62との間に
連携部材としてのピン76が配設されており、リザーバ
ピストン62が図示の通常位置にある時にはピン76は
弁子70とリザーバピストン62とに同時には係合しな
いが、リザーバ室64の液圧が低下してリザーバピスト
ン62が通常位置から容積減少位置に移動する時には、
リザーバピストン62がピン76を介して弁子70を弁
座72から離間する向きに移動させる。したがって、常
には、弁子70が弁座72に着座しており、ブレーキ液
がリリーフ通路50を経てリザーバ室64内に流入する
ことを阻止する流入阻止状態にあるが、リザーバピスト
ン62が容積減少位置に移動すれば、弁子70が弁座7
2から離間し、ブレーキ液がリザーバ室64内に流入す
ることを許容する流入許容状態となる。流入制御弁60
はリザーバ32内の液圧をパイロット圧として作動する
パイロット式流入制御弁と考えることもできるのであ
る。
【0017】以上説明したマスタシリンダカット弁2
4,減圧弁34,モータ41および増圧弁44はコント
ローラ78に接続されている。コントローラ78は、コ
ンピュータを主体として構成されており、コントローラ
78のROMにアンチロック制御およびトラクション制
御を実行するための各種プログラムが記憶されており、
CPUがRAMを利用しつつ各種プログラムを実行する
ことによりアンチロック制御およびトラクション制御を
実行する。
【0018】コントローラ78は、通常ブレーキ状態で
は、マスタシリンダカット弁24を消磁状態(開状
態)、増圧弁44を消磁状態(閉状態)、減圧弁34を
消磁状態(閉状態)とし、マスタシリンダ10によって
ブレーキシリンダ14の液圧が増減されることを許容す
る。コントローラ78はまた、車両制動時に各輪にロッ
ク傾向が生じた場合には、マスタシリンダカット弁24
を閉状態としてアンチロック制御を実行する。アンチロ
ック制御は、図示しない車輪速センサを介して各輪の回
転速度および車体の走行速度を監視しつつ、増圧弁44
を開状態,減圧弁34を閉状態とする増圧状態、増圧弁
44も減圧弁34も閉状態とする保持状態、および増圧
弁44を閉状態,減圧弁34を開状態とする減圧状態を
択一的に実現することにより、車両制動時に各輪がロッ
クすることを防止する制御である。アンチロック制御中
ポンプ42が作動させられ、リザーバ32内のブレーキ
液がくみ上げられて主液通路22に戻される。
【0019】アンチロック制御は殆どの場合、アンチロ
ック制御開始に伴ってブレーキシリンダ14からリザー
バ32へ排出されたブレーキ液によって行われるが、ア
ンチロック制御開始後に路面の摩擦係数が高くなった場
合等には、リザーバ32内のブレーキ液が不足する場合
がある。この場合には、それまで容積増加位置にあった
リザーバピストン62が通常位置に復帰した後もポンプ
42によるブレーキ液の汲み上げが継続され、リザーバ
室64内がやや負圧になる。それにより、リザーバピス
トン62がリテーナ68を離れて容積減少位置へ移動さ
せられ、ピン76を介して流入制御弁60を開くため、
マスタシリンダ10から液補給通路56を経てブレーキ
液が補給される。この際、過大な量のブレーキ液がリザ
ーバ32に流入することが絞り58によって防止され
る。なお、液補給通路56は、必ずしもマスタシリンダ
10に接続される必要はなく、マスタシリンダ10にブ
レーキ液を補給するマスタシリンダリザーバに接続され
てもよい。リザーバ32のブレーキ液が不足した場合
に、マスタシリンダ10側から補給されるようにされれ
ばよいのである。
【0020】コントローラ78はまた、車両駆動時(発
進時または加速時)に駆動車輪である左右前輪に空転傾
向が生じた場合には、マスタシリンダカット弁24を閉
状態にしてトラクション制御を実行する。トラクション
制御は、ポンプ42を作動させることによって液圧源と
して機能させ、車輪速センサを介して駆動車輪である左
右前輪の回転速度および車体の走行速度を監視しつつ、
増圧弁44および減圧弁34により上記増圧状態,保持
状態および減圧状態を択一的に実現することにより、車
両駆動時に左右前輪のスリップが過大となることを防止
する制御である。
【0021】トラクション制御時には上記のように、ポ
ンプ42によりリザーバ32内のブレーキ液が汲み上げ
られるが、リザーバピストン62は通常図示の通常位置
にあるため、リザーバ32においてブレーキ液が不足す
ることととなり、アンチロック制御に関して先に説明し
たのと同様にしてマスタシリンダ10からブレーキ液が
補給される。この際、液補給通路56には前述のように
絞り58が設けられており、マスタシリンダ10からの
リザーバ32に流入するブレーキ液の流れが抑制される
ため、トラクション制御中にリザーバ室64の容積が必
要以上に増加せず、リザーバピストン62が流入制御弁
60を流入許容状態とする位置に保たれる傾向が強くな
る。そのため、トラクション制御中にブレーキペダル1
2が踏み込まれれば、マスタシリンダ10からリザーバ
32へのブレーキ液の排出が可能となってブレーキペダ
ル12の踏み込みが許容される。
【0022】このブレーキペダル12の踏込みの許容に
よってブレーキスイッチ(図示省略)のOFFからON
への作動が確保される。ブレーキスイッチは、ブレーキ
ペダル12が原位置にあるときにはOFF状態、踏込み
状態にあるときにはON状態となるスイッチであり、こ
のスイッチの出力信号がONになることによりトラクシ
ョン制御が終了させられる。マスタシリンダカット弁2
4が連通状態に復帰させられるのであり、その結果、マ
スタシリンダ10からブレーキシリンダ14に向かう向
きのブレーキ液の流れが許容され、ブレーキ操作に応じ
て迅速にブレーキシリンダ14の加圧が可能となり、ブ
レーキ操作が通常通り行われることとなる。ブレーキス
イッチの切換えに必要なブレーキペダル12の変位は、
ブレーキペダル12のあそびの分によって確保すること
も可能であるが、上記のようにすれば、より確実にその
変位を確保することができるのである。
【0023】ただし、ブレーキペダル12の踏込みに起
因しない通常のトラクション制御終了時には、マスタシ
リンダカット弁24はやや遅れて開かれる。この終了時
にも、マスタシリンダカット弁24が開かれてマスタシ
リンダ10とブレーキシリンダ14とが再び連通状態と
されるのであるが、トラクション制御中リザーバ32内
のブレーキ液でブレーキシリンダ14の加圧が行われて
いたため、そのままの状態でマスタシリンダカット弁2
4が開かれるとブレーキ液がマスタシリンダ10に戻さ
れてしまい、リザーバ32内のブレーキ液が不足する可
能性がある。したがって、通常のトラクション制御終了
時には、設定時間だけ減圧弁34が開状態にされてブレ
ーキ液がリザーバ32に戻された後、マスタシリンダカ
ット弁24が開かれるようにされているのである。この
設定時間は、リザーバにブレーキ液が戻されるのに十分
な長さに設定され、コントローラ78に記憶されてい
る。
【0024】図1に示すように、リリーフ通路50に
は、2個のリリーフ弁80,82が高圧側であるポンプ
42の吐出側と低圧側であるリザーバ32との間に互い
に直列に接続されている。リリーフ弁80,82は、そ
れら両リリーフ弁80,82のリリーフ圧の和がポンプ
42の設定吐出圧に等しくなるように、それぞれのリリ
ーフ圧が設定されており、リリーフ弁80,82は開状
態においてポンプ42の吐出側からリザーバ32へのブ
レーキ液の流れは許容するが、逆向きの流れは阻止す
る。
【0025】リリーフ弁80,82は具体的には、図2
にリリーフ弁80を代表的に示すように、液通路形成部
材86内に組み込まれる。液通路形成部材86内には互
いに交差する直線状の穴87,88が形成されており、
穴87の開口側端部が大径のリリーフ弁収容部90とさ
れている。リリーフ弁80は、弁座部材91およびリテ
ーナ92を備えており、弁座部材91がリリーフ弁収容
部90に、それの底面(大径のリリーフ弁収容部90と
小径の穴87との間に形成された肩面)に当接するまで
圧入されて、液通路形成部材86に液密に固定されてい
る。
【0026】弁座部材91は、中空円筒状で大径部と小
径部とから成る段付状を成しており、中央を貫通する弁
孔93と、その弁孔93の小径部側の開口周辺に形成さ
れた弁座94とを備えている。弁座部材91の小径部に
はリテーナ92が締まり嵌合により固定されている。リ
テーナ92は有底円筒状を成すとともに開口端部が大径
部とされており、この大径部に弁座部材92の小径部が
圧入されているのである。リテーナ92の底壁には貫通
穴96が形成されており、ブレーキ液は、この貫通穴9
6を通って流れる。
【0027】リテーナ92は、弁子98と、付勢手段の
一種である弾性部材としてのスプリング100とを内部
に収容している。スプリング100は弁子98とリテー
ナ92の底壁との間に配設され、弁子98を弁座94に
向かって付勢している。したがって、常には弁子98が
弁座94に着座して弁孔93を閉塞しており、弁座部材
91側からリテーナ92側に向かうブレーキ液の流れ
も、逆向きの流れも許容しない。しかし、弁子98と弁
座94との密着部より弁座部材91側の液圧がリテーナ
92側の液圧より設定液圧差を超えて大きくなれば、弁
子98がスプリング100の付勢力に抗して弁座94か
ら離れ、弁座部材91側からリテーナ92側に向かうブ
レーキ液の流れを許容する。上記設定液圧差がリリーフ
弁80のリリーフ圧なのであり、スプリング100のセ
ット荷重を変えることにより任意の大きさに設定するこ
とができる。リリーフ弁82もリリーフ弁80と同様に
構成される。つまり、リリーフ弁80,82は、弁子9
8が弁座94に着座することにより閉じた状態となるシ
ート型リリーフ弁なのであり、スプールの移動により開
閉されるスプール型リリーフ弁と比較して、閉じた状態
におけるブレーキ液の漏れを防止することが容易であ
る。
【0028】ポンプ42により加圧されたブレーキ液の
液圧が設定液圧に達すると、スプリング100の付勢力
に抗して弁子98が弁座94から離間させられてリリー
フ弁80,82が開かれ、ブレーキ液がリリーフ弁8
0,82を経てリザーバ32に放出される。したがっ
て、ポンプ42の吐出圧が過大になることが防止され、
ブレーキ液圧制御装置16を含む液圧ブレーキシステム
全体が保護される。
【0029】また、2個のリリーフ弁80,82が互い
に直列に接続されていることで、2個のリリーフ弁8
0,82のうちどちらか一方、例えばリリーフ弁80
が、ブレーキ液に混入した異物が弁子98と弁座94と
の間に詰まるなどして完全には閉じなくなり、ブレーキ
液が漏れる状態となった場合でも、残りのリリーフ弁8
2が機能して液漏れを防止し、ポンプ圧を少なくともリ
リーフ弁82のリリーフ圧までは高めるため、ブレーキ
シリンダ14の液圧不足を回避または低減できる。ブレ
ーキシリンダ14の目標液圧が正常なリリーフ弁82の
リリーフ圧より小さい場合にはブレーキシリンダ14の
液圧の不足を回避し得るのであり、ブレーキシリンダ1
4の目標液圧が正常なリリーフ弁82のリリーフ圧より
大きい場合でも、ブレーキシリンダ14の液圧の不足の
程度を、従来のブレーキ液圧制御装置のようにリリーフ
弁が1個のみの場合に比較して小さくすることができる
のである。しかも、両リリーフ弁80,82が共に異物
が詰まるなどして正常に機能しなくなる確率は、リリー
フ弁が1個の場合に比較して小さい。
【0030】さらに、各リリーフ弁80,82が互いに
直列に接続されていることで、1個のみのリリーフ弁に
同じリリーフ機能を果たさせる場合と比較して、各リリ
ーフ弁80,82のリリーフ圧をそれぞれ低く設定する
ことが可能である。ブレーキ液が両リリーフ弁80,8
2を通過する際には、ポンプ42の吐出圧がまず上流側
のリリーフ弁80のリリーフ圧だけ減圧され、その減圧
された液圧がさらに下流側のリリーフ弁82のリリーフ
圧だけ減圧されてリザーバ32内の液圧(ほぼ大気圧)
となる。直列に接続されたリリーフ弁80,82は、そ
れぞれのリリーフ圧の和に等しいリリーフ圧を有する1
個のリリーフ弁と同じ機能を果たすのであり、したがっ
て、例えば、ポンプ42の最大吐出圧を15MPaに限
定したい場合には、各リリーフ弁80,82のリリーフ
圧をそれぞれ7.5MPaに設定することができるので
ある。
【0031】上記のように、各リリーフ弁80,82の
上流側と下流側との液圧差は、同じリリーフ機能を果た
す1個のリリーフ弁のそれより小さい。一方、ポンプの
吐出量はリリーフ弁の個数とは無関係にほぼ同じである
はずであるから、本実施例の各リリーフ弁80,82に
おける流路面積は1個の同等のリリーフ弁のそれより大
きい必要がある。リリーフ弁が開いてブレーキ液が流れ
る際には、流量が液圧差の平方根と流路面積との積に比
例するからである。したがって、リリーフ弁80,82
と、1個の同等のリリーフ弁とにおける弁孔を同じとす
れば、前者においては後者よりバルブリフト(弁子98
の弁座94からの離間距離)が大きくなる。シート式リ
リーフ弁の流路面積は弁孔の周長とバルブリフトとの積
であるから、弁孔が同じである限り必然的にバルブリフ
トが大きくなるのである。そして、バルブリフトが大き
くなれば、ブレーキ液に混入した異物のうちでそこを通
過し得ないものが少なくなるため、弁子98と弁座94
との間に異物が詰まってリリーフ弁80,82が閉じな
くなる事態が発生する確率が低くなる。
【0032】また、各リリーフ弁80,82のリリーフ
圧が低くて済むことをさらに積極的に利用すれば、スプ
リング100を小形化し(径方向と軸方向との少なくと
も一方の寸法を小さくし)、リリーフ弁80,82を小
形化することができ、結局、ブレーキ液圧制御装置16
全体を小形化することができる。
【0033】上記リリーフ弁収容部90内にリリーフ弁
80が圧入により固定された後、リリーフ弁収容部90
の開放端部にボール112が圧入されるとともに、開放
端部の周縁がかしめられ、ボール圧入式閉塞装置114
が構成される。なお、リリーフ弁収容部90は、穴88
により構成される接続通路によって、図示しないリリー
フ弁82に接続されているため、リリーフ弁収容部90
の開放端部は、その接続通路から分岐した分岐通路であ
ると考えることもでき、そのように考えれば、ボール圧
入式閉塞装置114は接続通路から分岐した分岐通路の
開放端部を閉塞していることになる。ボール圧入式閉塞
装置114の耐圧は、一般にブレーキシリンダに予定さ
れている最高液圧より低く、当然リリーフ装置のリリー
フ圧より低い。しかし、本発明において、両リリーフ弁
80,82間の液圧はリリーフ装置全体のリリーフ圧よ
り低くなるため、ボール圧入式閉塞装置114を採用で
き、分岐通路等の閉塞を簡便,安価に行うことができ、
ブレーキ液圧制御装置16の小形化,低コスト化を図る
ことができる。なお、ボール圧入式閉塞装置114を、
図2に示すようにボール112を圧入した上でさらに開
放端部の開口周辺部をかしめる構造とすれば、耐圧を高
めることができるが、場合によってはかしめを省略して
ボールを圧入するのみでもよい。
【0034】図1のリリーフ通路50において、ポンプ
42の吐出側とリリーフ弁80との間の部分と、各リリ
ーフ弁80,82の間の部分とを接続する並列通路13
0がリリーフ弁80に対して並列に設けられている。こ
の並列通路130には実質開弁圧ゼロの逆止弁132が
配設されており、両リリーフ弁80,82間の部分から
ポンプ42とリリーフ弁80との間の部分へのブレーキ
液の流れは許容するが、逆向きの流れは阻止する。これ
らリリーフ弁80,82,並列通路130および逆止弁
132がリリーフ装置134を構成している。
【0035】液圧ブレーキシステムの組立時や修理完了
時等に、ブレーキ液圧回路内にあるエアを排除するため
にエア抜きが行われるのであるが、リリーフ通路50内
のエアを排除するためには、ポンプ42の吐出圧をリリ
ーフ弁80,82のリリーフ圧の和よりも高くし、リリ
ーフ弁80,82を通過してブレーキ液が流れるように
する。これによりリリーフ通路50内のエアの殆どは排
除されるが、両リリーフ弁80,82間に残ることがあ
る。両リリーフ弁80,82間の空間の隅に小さな気泡
が入り込んでブレーキ液によって運び去られないことが
あるのである。この気泡は小さなものであるが、リリー
フ弁82のリリーフ圧により圧縮されているため、エア
の量としては軽視できない量である。後に、この気泡が
リリーフ弁82を通過してリザーバ32,ブレーキシリ
ンダ14等に到れば、液圧の低下に伴って膨張し、ブレ
ーキの作動に悪影響を及ぼす可能性があるのである。
【0036】並列通路130および逆止弁132はこの
ような事態の発生を回避するために設けられたものであ
る。各リリーフ弁80,82を経てブレーキ液を流した
後、ポンプ42の駆動を停止し、ポンプ液通路40の液
圧が低下させられれば、リリーフ弁80,82間に残っ
た気泡が膨張し、逆止弁132を経てポンプ液通路40
側へ流出する。このエアを、例えば、増圧弁44を経て
ブレーキシリンダ14側へ抜けばエア抜きを行うことが
できる。あるいは、ポンプ液通路40の液圧を低下させ
て一旦エアをポンプ液通路40側へ流出させた後、再び
ポンプ液通路40の液圧を上昇させてブレーキ液がリリ
ーフ弁80,82を経て流れるようにすれば、そのエア
が再びリリーフ弁80,82内へ入るが、そのエアの殆
どはブレーキ液と共にリリーフ弁80,82を通過し、
リリーフ弁80,82間に留まる確率は低い。したがっ
て、ポンプ液通路40の液圧を上昇させたり、低下させ
たりすることを繰り返せば、ほぼ完全にエア抜きを行う
ことができる。
【0037】また、逆止弁132は、ポンプ液通路40
の液圧が低下させられたときリリーフ弁80,82間の
液圧を低下させる機能も果たす。ポンプ液通路40の液
圧がリリーフ弁80のリリーフ圧を超えれば、リリーフ
弁80が開いてリリーフ弁80,82間の液圧が高めら
れる。逆止弁132が設けられていなければ、この液圧
はポンプ液通路40の液圧が低下させられても保たれ、
ブレーキ液の劣化やボール圧入式閉塞装置114等から
の液洩れ促進等の不都合を生じさせるが、逆止弁132
に設けられていれば、ポンプ液通路40の液圧低下に伴
ってリリーフ弁80,82間の液圧も低下させられ、上
記不都合の発生が回避されるのである。
【0038】以上、駆動輪である前輪ブレーキ系統のみ
について図示,説明を行ったが、後輪ブレーキ系統につ
いては、マスタシリンダカット弁24,流入制御弁60
およびリリーフ装置134が設けられておらず、代わり
にプロポーショニングバルブが設けられている点を除け
ば前輪ブレーキ系統と同じであるため、その図示,説明
を省略するものとする。なお、リザーバはハウジングに
リザーバピストンが実質的に気密かつ摺動可能に嵌合さ
れるとともに、その嵌合によって形成されたリザーバ室
内のブレーキ液を付勢手段としてのスプリングによって
圧力下に収容する簡単な構成のものでよい。
【0039】なお付言すれば、本発明に係るブレーキ液
圧制御装置16を、アンチロック制御やトラクション制
御だけでなく、車両の走行安定性を増すためにブレーキ
を作用させる走行安定性制御にも利用することができ
る。走行安定性制御時においては、トラクション制御時
と同様にマスタシリンダ10とブレーキシリンダ14と
がマスタシリンダカット弁24によって遮断状態にされ
るため、ポンプ42を液圧源としてブレーキ液が加圧さ
れてブレーキシリンダ14に供給される。
【0040】また、図3に示すように、リリーフ弁82
をパイロット圧に応じてリリーフ圧が変化するパイロッ
ト式の可変リリーフ弁140に置換することも可能であ
る。可変リリーフ弁140は、図示は省略するが、前記
弁子98を弁座94に向かって付勢するスプリング10
0の一端を、前記リテーナ92の底壁に代わりにパイロ
ットピストンに受けさせ、パイロット圧室内のパイロッ
ト圧が高くなるにつれてパイロットピストンがスプリン
グ100を圧縮し、リリーフ圧を高くする形式のリリー
フ圧可変型のリリーフ弁である。上記パイロット室に
は、主液通路22のマスタシリンダ10とマスタシリン
ダカット弁24との間の部分が、前記液補給通路56お
よびパイロット通路142を介して接続されており、マ
スタシリンダ10の液圧がパイロット圧として伝達され
る。つまり、ブレーキペダル12の踏込みによりマスタ
シリンダ10の液圧が高くなるにつれて可変リリーフ弁
140のリリーフ圧も高くなるのである。可変リリーフ
弁140のリリーフ圧が高くなれば、リリーフ弁80を
含むリリーフ装置144全体のリリーフ圧も高くなる。
【0041】本ブレーキ液圧制御装置146において
は、アンチロック制御時にマスタシリンダカット弁24
がマスタシリンダ10とブレーキシリンダ14とを遮断
する状態に切り換えられるため、ポンプ42が液圧源と
してブレーキ液をくみ上げて主液通路22に戻すのであ
るが、マスタシリンダ10の液圧が高いほどリリーフ圧
が高くなるため、ポンプ42の最高吐出圧もそれに応じ
て高くなる。アンチロック制御は、マスタシリンダ10
およびブレーキシリンダ14の液圧が路面の摩擦係数と
の関係で過大になった場合に実行されるのであり、ブレ
ーキシリンダ14の液圧はマスタシリンダ10の液圧よ
り低く制御される。そして、リリーフ装置144全体の
リリーフ圧は、ブレーキシリンダ14の適正液圧より高
いことが必要であるが、過度に高ければポンプ42の駆
動に無駄なエネルギが消費されることになるため、リリ
ーフ装置144のリリーフ圧がマスタシリンダ10の液
圧に応じて変わることが省エネルギの観点から望まし
い。
【0042】しかも、車両の運転者の多くは路面の摩擦
係数が低いと推測されるときはブレーキ操作力を小さく
し、摩擦係数が大きいと推測されるときはブレーキ操作
力を大きくするものであるため、リリーフ装置144の
リリーフ圧がマスタシリンダ10の液圧に応じて変化す
るようにすれば、リリーフ圧が一定の場合と比較して、
リリーフ圧とブレーキシリンダ14の液圧との液圧差の
変動が小さく済むことになる。その結果、増圧弁44に
よりブレーキシリンダ14にブレーキ液が流入させられ
る際の流量のばらつきが小さくて済み、ブレーキシリン
ダ14の液圧制御精度が向上する。
【0043】さらに、ブレーキ液圧制御装置146がア
ンチロック制御のみならずトラクション制御も可能であ
り、かつ、リリーフ装置144がアンチロック制御時と
トラクション制御時との両方におけるリリーフ圧を制御
するものであるため、トラクション制御時のリリーフ圧
が低くなり、無駄なエネルギ消費を回避することができ
る。トラクション制御時のリリーフ圧はアンチロック制
御時のリリーフ圧より低くてよいのが普通であるが、ト
ラクション制御時にはマスタシリンダ10に液圧が発生
させられていないため、リリーフ装置144のリリーフ
圧がアンチロック制御時より低くなるのである。
【0044】例えば、リリーフ弁80と可変リリーフ弁
140とのリリーフ圧が通常はそれぞれ3MPaに設定
されており、マスタシリンダ10の液圧が上昇した時に
可変リリーフ弁140のリリーフ圧のみが12MPaま
で昇圧可能な場合、マスタシリンダ圧がゼロであるトラ
クション制御時にはリリーフ装置144のリリーフ圧が
6MPaであるのに対し、アンチロック制御時には15
MPaまでリリーフ圧を高くすることが可能となり、状
況に応じて適正なポンプ圧を発生させてブレーキシリン
ダ14を加圧することができる。
【0045】図3の実施形態においては、図1における
下流側のリリーフ弁82が可変リリーフ弁140に置換
されたが、図4に示すように上流側のリリーフ弁80を
可変リリーフ弁148に置換してもよく、図5に示すよ
うに両リリーフ弁80,82を可変リリーフ弁148,
140に置換してもよい。後者のように、2個のリリー
フ弁を両方ともリリーフ圧可変型リリーフ弁とすれば、
どちらか一方のリリーフ弁が正常に機能しなくなった場
合でも、残りのリリーフ弁が機能してマスタシリンダ1
0からの液圧に応じてリリーフ圧を変化させるため、ア
ンチロック制御時にリリーフ圧が不足することが良好に
回避される。
【0046】また、上記各実施形態においては、リリー
フ弁が2個直列に設けられていたが、3個以上を直列に
設けることも可能である。このようにすれば、全てのリ
リーフ弁が正常に機能しなくなる確率はほぼリリーフ弁
の個数に反比例して低くなり、また、各リリーフ弁のリ
リーフ圧を上記各実施形態におけるよりも低く設定する
ことができる。この場合、前記並列通路130に相当す
る並列通路154が、図6に示すように、ポンプ液通路
40の、複数のリリーフ弁1561 ,1562 ,・・・
・156n のうち最も上流側のリリーフ弁1561 とポ
ンプ42とを接続する部分と、複数のリリーフ弁相互を
接続する部分とをすべてつなぐように設けられ、各リリ
ーフ弁1561 ,1562 ,・・・・156n に対して
並列に逆止弁1581 ,1582 ,・・・・158n
設けられる。各リリーフ弁間の気泡排除は、その部分よ
りポンプ42側に設けられたすべての逆止弁を経て行わ
れるのである。本発明は以上の他にも、特許請求の範囲
を逸脱することなく、当業者の知識に基づいて種々の変
更、改良を施した態様で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態であるブレーキ液圧制御装
置を含む液圧ブレーキシステムを示す系統図である。
【図2】上記ブレーキ液圧制御装置におけるリリーフ弁
の一具体例を示す断面図である。
【図3】本発明の別の実施形態である液圧制御装置を含
む液圧ブレーキシステムを示す系統図である。
【図4】本発明のさらに別の実施形態である液圧制御装
置のリリーフ装置を示す図である。
【図5】本発明のさらに別の実施形態である液圧制御装
置のリリーフ装置を示す図である。
【図6】本発明のさらに別の実施形態である液圧制御装
置のリリーフ装置を示す図である。
【符号の説明】
10 マスタシリンダ 14 ブレーキシリンダ 22 主液通路 24 マスタシリンダカット弁 32 リザーバ 34 減圧弁 40 ポンプ液通路 42 ポンプ 44 増圧弁 50 リリーフ通路 80,82 リリーフ弁 94 弁座 98 弁子 110 分岐通路 112 ボール 114 ボール圧入式閉塞装置 130 並列通路 132 逆止弁

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 低圧源からブレーキ液をくみ上げて加圧
    するポンプと、そのポンプから吐出されたブレーキ液の
    ブレーキシリンダへの流入を許容する状態と許容しない
    状態とに切換えが可能な制御弁装置と、その制御弁装置
    と前記ポンプとを接続する接続通路から分岐したリリー
    フ通路に設けられ、常には接続通路からブレーキ液が外
    部に流出することを阻止しているが、接続通路の液圧が
    設定液圧に達すれば流出を許容するリリーフ装置とを含
    むブレーキ液圧制御装置であって、 前記リリーフ装置が前記リリーフ通路内に互いに直列に
    接続された複数のリリーフ弁を含むことを特徴とするブ
    レーキ液圧制御装置。
  2. 【請求項2】 前記リリーフ装置が、前記リリーフ通路
    の、前記複数のリリーフ弁の最も上流側のものと前記ポ
    ンプとを接続する第一部分と、前記複数のリリーフ弁の
    うち互いに隣接する2つを接続する第二部分とを、それ
    ら両部分の間にあるリリーフ弁に対して並列に接続する
    並列通路と、その並列通路に設けられて第二部分から第
    一部分へのブレーキ液の流れは許容するが逆向きの流れ
    は阻止する逆止弁とを含むことを特徴とするブレーキ液
    圧制御装置。
JP18262295A 1995-07-19 1995-07-19 ブレーキ液圧制御装置 Pending JPH0930388A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18262295A JPH0930388A (ja) 1995-07-19 1995-07-19 ブレーキ液圧制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP18262295A JPH0930388A (ja) 1995-07-19 1995-07-19 ブレーキ液圧制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH0930388A true JPH0930388A (ja) 1997-02-04

Family

ID=16121515

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP18262295A Pending JPH0930388A (ja) 1995-07-19 1995-07-19 ブレーキ液圧制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH0930388A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010228622A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Honda Motor Co Ltd 車両の踏力検出装置および補助動力装置付き自転車
JP2012532794A (ja) * 2009-07-20 2012-12-20 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 少なくとも1つの主シリンダ接続開口を有する自動車液圧ユニットのポンプハウジング

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010228622A (ja) * 2009-03-27 2010-10-14 Honda Motor Co Ltd 車両の踏力検出装置および補助動力装置付き自転車
JP2012532794A (ja) * 2009-07-20 2012-12-20 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 少なくとも1つの主シリンダ接続開口を有する自動車液圧ユニットのポンプハウジング
US10184468B2 (en) 2009-07-20 2019-01-22 Robert Bosch Gmbh Pump housing of a motor vehicle hydraulic unit with at least one main cylinder connection opening

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100430172B1 (ko) 액력식의차량브레이크장치
JP2006111251A (ja) ブレーキ制御装置
JP2003226232A (ja) 車両用電子制御式ブレーキシステム
JPH0551500B2 (ja)
JPH0729593B2 (ja) アンチスキッド液圧ブレーキ装置
US6402264B1 (en) Hydraulic wheel brake system
JPH0516779A (ja) 車両用アンチロツクブレーキおよびトラクシヨンコントロールシステム用油圧モジユレータ
JPH0930388A (ja) ブレーキ液圧制御装置
JP4484986B2 (ja) ブレーキ液圧源装置およびブレーキ装置
JP3580459B2 (ja) ブレーキシステム
JPH1067311A (ja) 車輪ブレーキ液圧制御装置
JPS62191260A (ja) 車輪ロツク防止装置
JPH11301443A (ja) 車両用2系統液圧ブレーキ装置
JPH08104217A (ja) ブレーキシステム
JP3209048B2 (ja) 車両用液圧ブレーキ装置
JPH0893650A (ja) ポンプ制御装置
JPH1081223A (ja) ブレーキ制御装置
JP2000205143A (ja) プランジャ型油圧ポンプ
JPH08150911A (ja) 車両のアンチロックブレ−キ装置
JPH0966824A (ja) ブレーキ制御装置
KR100591694B1 (ko) 브레이크 트랙션 콘트롤 시스템의 왕복형 유압밸브
JPH08253119A (ja) ブレーキ圧制御装置
JPS62187646A (ja) 高圧ホ−ス保護型液圧供給装置
JPH08104214A (ja) ブレーキシステム
JPH079972A (ja) 車両のスリップ制御装置