JP3458582B2 - 液圧制御装置 - Google Patents
液圧制御装置Info
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Description
するブレーキのホイールシリンダの作動液をリザーバに
流出させることによってホイールシリンダ液圧を減圧す
る液圧制御装置およびリザーバの作動液をポンプにより
汲み上げ、車輪の回転を抑制するブレーキのホイールシ
リンダに供給することによってホイールシリンダ液圧を
増圧する液圧制御装置に関するものである。
液圧制御装置においては、ホイールシリンダから流出さ
せられ、リザーバに流入させられた作動液累積流入量
が、ホイールシリンダ液圧が減圧される減圧時間に基づ
いて推定されている。また、リザーバから流出させられ
た作動液の累積流出量が、リザーバからポンプにより汲
み上げられる汲上時間に基づいて推定されている。
リンダをマスタシリンダから遮断した状態で、ホイール
シリンダの液圧が制御されるのであるが、増圧がリザー
バに収容された作動液を使用して行われるため、リザー
バに収容されている作動液がなくなれば増圧ができなく
なる。そのため、リザーバに流入した作動液累積流入量
が減圧時間に基づいて、リザーバから流出した作動液の
累積流出量が汲上時間に基づいてそれぞれ推定され、両
推定結果からリザーバに収容されている作動液の量(以
下、リザーバ液量と称する)が推定される。推定された
リザーバ液量が設定液量より少ない場合には、液圧制御
装置のマスタシリンダからの遮断が解除されて、マスタ
シリンダの作動液が液圧制御装置に供給されるようにな
っているのである。
装置には未だ改良の余地がある。作動液のリザーバへの
累積流入量の推定精度や、リザーバから流出した作動液
の累積流出量の推定精度が十分とは言えないのである。
例えば、実際の作動液累積流入量が推定累積流入量より
少なければリザーバ液量が実際より多く推定され、作動
液不足が生じる恐れがあり、逆に、実際の作動液累積流
入量が推定累積流入量より多ければリザーバ液量が実際
より少なく推定され、ホイールシリンダ液圧の急減圧が
不可能となる恐れがある。同様な問題は、実際の作動液
累積流出量と推定累積流出量とが異なっている場合にも
生じる。それに対して、リザーバの容量を大きくすれ
ば、これらの事態が生じることを回避することは可能と
なるが、リザーバが大形化,重量化してしまうのであ
る。
通の課題は減圧時間のみならず他の量をも加味すること
によって作動液累積流入量の推定精度を向上させること
であり、請求項4に係る発明の課題は増圧時間のみなら
ず他の量をも加味することによって作動液累積流出量の
推定精度を向上させることである。具体的には、請求項
1に係る発明の第1課題は、車体減速度に加えてオーバ
シュート量をも考慮することによって作動液累積流入量
の推定精度を向上させることであり、請求項2,3に係
る発明の第2課題は、車体減速度に加えて増圧時間をも
考慮することによって作動液累積流入量の推定精度を向
上させることである。また、請求項4に係る発明の第3
課題は、モータの回転速度を考慮することにより推定精
度を向上させることである。
記第1の課題は、車輪の回転を抑制するブレーキのホイ
ールシリンダの作動液をリザーバに流出させることによ
ってホイールシリンダ液圧を減圧する液圧制御装置に、
(1) 当該液圧制御装置が搭載された車両の車体の減速度
を取得する減速度取得手段と、(2) ホイールシリンダ液
圧が減圧される減圧時間を取得する減圧時間取得手段
と、(3) その減圧時間取得手段によって取得された減圧
時間と、前記減速度取得手段によって取得された減速度
とに基づいて前記リザーバへの作動液累積流入量を推定
する手段であって、(a)前記減圧の開始時におけるホイ
ールシリンダ液圧のオーバシュート量を推定するオーバ
シュート量推定手段と、(b)そのオーバシュート量推定
手段によって推定されたオーバシュート量を前記作動液
累積流入量の推定に加味するオーバシュート量加味手段
とを備えたリザーバ累積流入量推定手段とを設けること
によって解決される。上記減速度取得手段として、車体
の減速度を直接検出する減速度センサ(正,負の加速度
を検出し得る加速度センサを含む)を採用し得ることは
勿論であるが、コンピュータ等の演算手段により、回転
速度センサによる車輪の回転速度の検出結果から車体速
度を推定し、推定車体速度の時間当たりの変化量として
減速度を取得する車体減速度推定手段等、他の手段の採
用も可能である。
累積流入量が、ホイールシリンダ液圧が減圧される減圧
時間と車体減速度とに基づいてリザーバ累積流入量推定
手段によって推定される。作動液累積流入量は、単位時
間当たりにホイールシリンダから流出させられてリザー
バに流入する作動液量(以下、流入流量と略称する)が
同じ場合には、減圧時間が長くなるほど多くなる。ま
た、流入流量は、ホイールシリンダ液圧とリザーバ液圧
との差が大きいほど大きくなるが、リザーバ液圧の変化
量は小さく、ほぼ一定と見なすことができるため、ホイ
ールシリンダ液圧が高くなるほど流入流量が大きくな
る。一方、ホイールシリンダ液圧が高ければ車両全体の
制動力が大きくなり、車両全体の制動力が大きければ車
体減速度が大きくなるものであるため、車体減速度が大
きいほど流入流量が大きいと推定することは妥当なこと
である。したがって、作動液累積流入量を、減圧時間と
車体減速度とに基づいて推定すれば、減圧時間のみに基
づいて推定する場合より推定精度を向上させることがで
きる。なお、1回の減圧中におけるホイールシリンダ液
圧は、減圧時間の経過に伴って低くなるため、流入流量
が減圧時間の経過につれて小さくなるとして流入流量を
推定する方が推定精度は高くなるが、1回の減圧中はホ
イールシリンダ液圧が変わらないと見なして流入流量を
推定することも可能であり、リザーバへの作動液累積流
入量の推定が簡易となる。
ることができるため、例えば、ホイールシリンダをマス
タシリンダから遮断した状態で、リザーバに収容された
作動液を使用してホイールシリンダ液圧を増圧する液圧
制御装置においても、作動液不足が生じたり、急減圧が
不可能になったりすること、ならびにリザーバが大形
化,重量化することを良好に回避することができる。
定精度は、ホイールシリンダ液圧を液圧検出器により検
出し、その検出結果と減圧時間とを使用することによっ
ても向上させることができる。しかし、この場合には、
液圧検出器を設けることが必要となる。それに対し、本
発明はホイールシリンダ液圧と車体減速度との間にほぼ
一定の関係があることを利用してリザーバへの作動液累
積流入量の推定精度を向上させるものであるため、液圧
検出器を設ける必要がない。代わりに減速度取得手段が
必要となるが、車輪の回転速度を検出する回転速度セン
サおよびそれの検出結果に基づいて車体減速度を推定す
る手段と、減速度センサとのいずれかは液圧制御装置に
設けられるのが普通であるため、これらを利用すれば液
圧制御装置を安価に製造することができる。
ト量推定手段によってオーバシュート量が推定され、そ
の推定されたオーバシュート量の大きさが、作動液累積
流入量が推定される際にオーバシュート量加味手段によ
って加味される。オーバシュート量が大きい場合には、
小さい場合より作動液累積流入量が多くなる。したがっ
て、オーバシュート量が加味されない場合より作動液累
積流入量の推定精度を向上させることができる。
バシュートは、例えば、制御遅れに起因して生じる。本
液圧制御装置が、ホイールシリンダとリザーバとを接続
する液通路の途中に設けられ、これらを連通させる連通
状態と、遮断する遮断状態とに切換え可能な減圧弁装置
と、この減圧弁装置を制御する減圧弁制御手段とを備え
ている場合において、減圧弁制御手段によって、減圧弁
装置を遮断状態から連通状態に切り換える指令が発せら
れても、減圧弁装置が直ちに連通状態に切り換わるわけ
ではなく遅れて切り換わる。そして、この遅れの間にも
ホイールシリンダ液圧は増加させられ、オーバシュート
が生じることになる。このオーバシュート量は、遅れ時
間が同じ場合には、ホイールシリンダ液圧の増圧勾配が
大きいほど大きいと推定することができる。オーバシュ
ートが生じれば、実際に減圧弁装置が連通状態に切り換
わった時点におけるホイールシリンダ液圧が、上記切換
指令が発せられた時点における液圧より高くなるのであ
るが、その減圧弁装置が連通状態に切り換わった時点に
おける液圧は、切換指令が発せられた時点における液圧
が同じであれば、オーバシュート量が大きいほど高くな
る。したがって、ホイールシリンダ液圧のオーバシュー
ト量を加味すれば、減速度のみに基づいて推定する場合
に比較して、減圧開始時のホイールシリンダ液圧の推定
精度を向上させることができるのである。
スキッド制御手段を含み、上述の減圧弁制御手段がアン
チスキッド制御手段に含まれるものである場合には、ア
ンチスキッド制御開始時、すなわち、初回減圧の開始時
のみに、オーバシュート量加味手段によりオーバシュー
ト量が加味されるようにしてもよい。初回減圧開始時の
オーバシュート量はブレーキ操作部材の操作速度の影響
を比較的顕著に受け、ブレーキ操作部材が急激に操作さ
れるほどマスタシリンダ液圧およびホイールシリンダ液
圧の増圧勾配が大きくなってオーバシュート量が大きく
なるのであるが、アンチスキッド制御中における減圧開
始時のオーバシュート量(またはそのばらつき)はそれ
に比較して小さいからである。
ールシリンダに作動液を供給してホイールシリンダ液圧
を増圧する増圧装置を含むものとし、リザーバ累積流入
量推定手段を、(6) 少なくとも減圧の開始直前に増圧装
置により増圧が行われた増圧時間を取得する増圧時間取
得手段と、(7) その増圧時間取得手段により取得された
増圧時間を作動液累積流入量の推定に加味する増圧時間
加味手段とを含むものとすることによって解決される。
また、車輪の回転を抑制するブレーキのホイールシリン
ダの作動液をリザーバに流出させることによってホイー
ルシリンダ液圧を減圧し、前記ホイールに作動液を供給
してホイールシリンダ液圧を増圧する液圧制御装置に、
(8)当該液圧制御装置が搭載された車両の車体の減速度
を取得する減速度取得手段と、(9)前記ホイールシリン
ダが減圧される減圧時間を取得する減圧時間取得手段
と、(10)その減圧時間取得手段によって取得された減圧
時間と、前記減速度取得手段によって取得された減速度
とに基づいて前記リザーバへの作動液累積流入量を推定
する手段であって、(a)少なくとも前記減圧の開始直前
に前記ホイールシリンダ液圧の増圧が行われた増圧時間
を取得する増圧時間取得手段と、(b)その増圧時間取得
手段により取得された増圧時間を前記作動液累積流入量
の推定に加味する増圧時間加味手段とを備えたリザーバ
累積流入量推定 手段とを含むものとすることによって解
決される。
手段によって減圧開始直前の増圧時間が取得され、その
取得された増圧時間が、作動液累積流入量を推定する際
に増圧時間加味手段により加味される。直前の増圧制御
開始時におけるホイールシリンダ液圧が同じであって、
かつ、増圧勾配が同じ場合には、直前の増圧時間が長い
場合には短い場合より、今回の減圧開始時におけるホイ
ールシリンダ液圧が高いと推定することができる。した
がって、増圧時間が長い場合には短い場合より,作動液
累積流入量が多いと推定し得、直前の増圧時間が加味さ
れない場合に比較して、作動液累積流入量の推定精度を
向上させることができる。また、直前の増圧時間のみで
なく、直前の減圧時間や、増圧時における増圧勾配や減
圧時における減圧勾配も加味されるようにしてもよく、
その結果、今回の減圧開始時におけるホイールシリンダ
液圧の推定精度を向上させることができ、作動液累積流
入量の推定精度を向上させることができる。なお、直前
の増圧時間と減圧時間との比率を加味する増圧減圧比率
加味手段等も、増圧時間を加味することには変わりがな
いため、本発明に係る増圧時間加味手段に含まれると解
すべきものとする。
により汲み上げ、車輪の回転を抑制するブレーキのホイ
ールシリンダに供給することによってホイールシリンダ
液圧を増圧する液圧制御装置に、(11)ポンプを駆動する
モータの回転速度を取得する回転速度取得手段と、(12)
ポンプによる作動液の汲上時間を取得する汲上時間取得
手段と、(13)その汲上時間取得手段によって取得された
汲上時間と、回転速度取得手段によって取得されたモー
タ回転速度とに基づいてリザーバからの作動液累積流出
量を推定するリザーバ累積流出量推定手段とを設けるこ
とによって解決される。上記汲上時間は、ポンプによっ
てリザーバから実質的に作動液が汲み上げられる時間で
あり、ポンプ作動時間が必然的に汲上時間となる場合も
あるが、そうでない場合もある。ポンプは作動していて
も実質的にリザーバから作動液が汲み上げられない状態
がある場合には、ポンプ作動時間の一部が汲上時間とな
るに過ぎないのである。例えば、ポンプがリザーバから
作動液を吸入するくみ上げ通路にくみ上げ制御弁が設け
られており、このくみ上げ制御弁が閉じている状態では
ポンプが作動しても空転するのみで作動液の汲上げ自体
が行われない場合には、ポンプの作動時間ではあっても
汲上時間ではないのであり、ポンプの吐出通路にリリー
フ弁が設けられており、ポンプから吐出された作動液が
ホイールシリンダ等に供給されない場合にはリリーフ弁
からリザーバに戻される場合には、作動液の汲上げ自体
は行われるが作動液は直ちにリザーバに戻されるため、
リリーフ弁が開いている時間は実質的な汲上時間とは言
い得ないのである。リザーバ累積流出量推定手段は、ポ
ンプにより汲み上げられた作動液がすべてホイールシリ
ンダに供給される場合にはホイールシリンダに供給され
る量を推定するものとされ、汲み上げられた作動液の一
部がホイールシリンダに供給され、残部はリザーバに戻
される場合も、ホイールシリンダに供給される量を推定
するものとされる。前者の場合には、汲上時間が増圧時
間,ポンプの作動時間となり、後者の場合には、汲上時
間が増圧時間となる。
流出量が汲上時間とモータの回転速度とに基づいて推定
される。ポンプの吐出流量は、モータの回転速度が大き
い場合には大きく、回転速度が小さい場合には小さいと
推定することができる。したがって、回転速度も考慮す
れば、汲上時間のみに基づいて推定する場合より作動液
累積流出量の推定精度を向上させることができる。この
場合、ポンプはどのような種類のものであってもよい
が、プランジャポンプ等、ポンプの吐出流量がモータの
回転速度にほぼ比例する容積型ポンプであることが望ま
しい。しかし、ポンプの吐出流量が必ずしもモータの回
転速度に比例しない速度型ポンプであっても、推定精度
が前者の場合より低くはなるが、回転速度に基づいて推
定することは不可能ではなく、汲上時間のみに基づいて
推定する場合より推定精度を向上させることができる。
手段は、モータの回転速度を直接検出するエンコーダ等
の回転速度検出装置により構成し得ることは勿論である
が、回転速度を推定する回転速度推定手段により構成す
ることもできる。例えば、モータの回転速度の制御がモ
ータへの供給電流の制御により行われる場合に、モータ
の回転速度はモータへの供給電流が変化させられた瞬間
に変わるわけではなく遅れて変わるが、その遅れはモー
タおよびポンプの回転慣性が大きいほど大きくなるた
め、変更過渡期におけるモータの回転速度は、供給電流
の変化量と回転慣性の大きさとに基づいて推定すること
ができる。また、モータへの印加電圧が一定である場合
には、供給電流が多くなれば負荷が増大したということ
であり、負荷が増大すればポンプおよびモータの回転速
度は低下するため、回転速度を供給電流に基づいて推定
することができる。
液圧制御装置を搭載した液圧ブレーキ装置について図面
に基づいて詳細に説明する。図3に示す液圧ブレーキ装
置は、ダイヤゴヤル2系統式のアンチスキッド型ブレー
キ装置である。図において、符号10はマスタシリンダ
である。マスタシリンダ10は互いに独立した2つの加
圧室が直列に並んだタンデム型であり、ブースタ11を
介してブレーキ操作部材としてのブレーキペダル12に
連結させられている。運転者によるブレーキペダル12
の操作力に応じて2つの加圧室には互いに等しい高さの
液圧がそれぞれ機械的に発生させられる。
前輪14のフロントホイールシリンダ16と左後輪18
のリヤホイールシリンダ20とがそれぞれ接続され、他
方の加圧室には、図示しない左前輪のフロントホイール
シリンダと右後輪のリヤホイールシリンダとがそれぞれ
接続されている。マスタシリンダ10の各加圧室から延
びる2つのブレーキ系統が互いに独立してダイヤゴナル
に構成されているのである。以下、フロントホイールシ
リンダ16とリヤホイールシリンダ20とが接続された
ブレーキ系統のみを詳細に説明し、他のブレーキ系統に
ついては構成が同じであるため、説明を省略する。
ブレーキ通路である主液通路22によりフロントホイー
ルシリンダ16に接続されている。その主液通路22の
途中から後輪ブレーキ通路である副液通路24が分岐さ
せられており、その先端にリヤホイールシリンダ20が
接続されている。主液通路22のうちの副液通路24の
接続位置よりマスタシリンダ10の側の部分には、常開
の開閉弁である遮断弁30が設けられている。主液通路
22には、また、遮断弁30をバイパスする戻り通路3
2が接続されており、その途中に逆止弁34が設けられ
ている。逆止弁34は、マスタシリンダ10からフロン
トホイールシリンダ16に向かう向きの作動液の流れは
阻止するが、逆向きの流れは許容するものである。この
逆向きの流れを許容する際の開弁圧は実質的に0であ
る。戻り通路32,逆止弁34は、ブレーキペダル12
の踏込みが緩められた場合に、フロントホイールシリン
ダ16の作動液をマスタシリンダ10に戻すために設け
られたものである。詳述すれば、戻り通路32および逆
止弁34は、通常ブレーキ状態においてブレーキペダル
12の踏込みが緩められた場合に、ホイールシリンダ1
6の作動液をマスタシリンダ10に早急に戻す役割だけ
でなく、アンチスキッド制御中においても、踏込みが緩
められた場合に、ホイールシリンダ16の作動液をマス
タシリンダ10に戻す役割も有している。本実施例にお
いては、後述するように、アンチスキッド制御中は遮断
弁30は、たいてい遮断状態に保たれるため、ホイール
シリンダ16の作動液を遮断弁30を経て戻すことがで
きないが、戻り通路32および逆止弁34を経れば戻す
ことができるのである。
ブ(以下、単にPバルブと略称する)36が設けられて
いる。このPバルブ36は、よく知られたものであるた
め、詳細な説明は省略するが、入力圧が折れ点圧以下で
ある場合には、入力圧をそのまま出力圧としてリヤホイ
ールシリンダ20に伝達し、入力圧が折れ点圧を越えれ
ば、後輪ロックを回避するために、入力圧を一定比率で
減圧した液圧を出力圧としてリヤホイールシリンダ20
に伝達するものである。
タシリンダ10の作動液が供給されるが、アンチスキッ
ド制御時には、ポンプ38から吐出された作動液が供給
される。前者の場合には、入力圧は、マスタシリンダ圧
となり、後者の場合には、ポンプ38の吐出圧となる。
通常制動時には、図5に示すように、前後制動力配分点
は、マスタシリンダ圧の増加に伴って第一基本配分線に
沿って移動させられ、マスタシリンダ圧(フロントホイ
ールシリンダ圧に対応)が折れ点圧を越えると、第一折
れ線に沿って移動させられることになる。この第一基本
配分線の折れ点圧以下の部分と第一折れ線とによって形
成される線が実制動力配分線であり、本実施例において
は、後述するが、液圧源がポンプ38の場合における実
制動力配分線と区別するために第一実制動力配分線と称
することにする。
リンダ10側の部分には常開の増・減圧開閉弁40が設
けられている。また、副液通路24の、増・減圧開閉弁
40とPバルブ36との間には、リザーバ通路としての
減圧通路42が接続されている。減圧通路42はリザー
バ44から延びており、その途中には、常閉の減圧開閉
弁46が設けられている。
けられたポンプ通路としての増圧通路48が延びてい
る。ポンプ38はリザーバ44の作動液を汲み上げて加
圧してフロント,リヤ両ホイールシリンダ16,20に
供給するものであり、モータ52によって駆動される。
増圧通路48は副液通路24のうちの増・減圧開閉弁4
0よりマスタシリンダ10側の部分に接続されている。
本実施形態においては、ポンプ38は、プランジャポン
プであり、モータ52の回転速度にほぼ比例してそれの
吐出流量が増加するものである。したがって、モータ5
2の回転速度に基づいて吐出流量を推定することができ
る。
ルブ36との間の部分とマスタシリンダ10とは戻り通
路54によって接続されている。戻り通路54には、逆
止弁56が設けられている。逆止弁56は、マスタシリ
ンダ10からリヤホイールシリンダ20に向かう方向の
作動液の流れを阻止するが、逆向きの流れを許容するも
のである。この逆向きの流れを許容する際の開弁圧は実
質的には0である。戻り通路54,逆止弁56は、戻り
通路32,逆止弁34と同様に、リヤホイールシリンダ
20の作動液をマスタシリンダ10に早急に戻すために
設けられたものである。
れた部分よりマスタシリンダ10側には減圧装置60が
設けられている。減圧装置60は、第一逆止弁62と第
二逆止弁64とを備えたものであり、これらが互いに逆
向きに、かつ並列に配設されている。第一逆止弁62
は、フロントホイールシリンダ16から増・減圧開閉弁
40への作動液の流れは阻止するが、逆向きの流れは許
容するものであるが、その場合の開弁圧は0ではない。
第二逆止弁64は、フロントホイールシリンダ16から
増・減圧開閉弁40への作動液の流れは許容するが逆向
きの流れは阻止するものであり、開弁圧は実質的に0で
ある。
8,減圧装置60,フロントホイールシリンダ16およ
びリヤホイールシリンダ20間での作動液の流れを図4
に基づいて説明する。通常ブレーキ状態では、ポンプ3
8は作動せず、遮断弁30は開状態にある。マスタシリ
ンダ10からの作動液が遮断弁30を経てフロントホイ
ールシリンダ16に供給されるとともに、遮断弁30お
よび第二逆止弁64を経てリヤホイールシリンダ20に
供給される。第二逆止弁64の開弁圧は実質的に0であ
るから、フロントホイールシリンダ16とリヤホイール
シリンダ20とには、それぞれ等しい高さの液圧の作動
液が供給される。また、ブレーキ状態が解除されれば、
フロントホイールシリンダ16の作動液は、逆止弁34
を経てマスタシリンダ10に戻され、リヤホイールシリ
ンダ20の作動液は、逆止弁56を経てそれぞれマスタ
シリンダ10に戻される。
動状態にある。遮断弁30が閉状態にある場合には、ポ
ンプ38から吐出された作動液がそのままリヤホイール
シリンダ20に供給されるとともに、第一逆止弁62を
経てフロントホイールシリンダ16に供給される。第一
逆止弁62は一定の開弁圧を有しているため、フロント
ホイールシリンダ16には、リヤホイールシリンダ20
より第一逆止弁62の開弁圧だけ低い液圧の作動液が供
給されることになる。
場合には、前輪制動力と後輪制動力とは互いに等しくな
るが、液圧源がポンプ38の場合には、後輪制動力は前
輪制動力より相対的に開弁圧に相当する制動力分(以
下、開弁圧分と略称する)だけ大きくなる。図5に示す
第二基本配分線が、ポンプ38が液圧源の場合における
前後制動力配分線である。
うち図3において破線で囲まれた領域内に存在するもの
はユニット化されており、車両のフロント側に搭載され
ている。その結果、副液通路24の増・減圧開閉弁40
とPバルブ36との間の部分が長くなり、その部分にお
ける流路抵抗が大きくなる。そのために、後述するよう
に、アンチスキッド制御中のフロントホイールシリンダ
16に対する減圧制御時に、フロントホイールシリンダ
16から流出させられた作動液が、リヤホイールシリン
ダ20に流入し難くなっている。
を備えている。コントローラ70は、CPU,ROM,
RAMおよびバスを含むコンピュータ,A/Dコンバー
タ等を主体として構成されたものである。入力部には、
右前輪14,左後輪18の回転速度を検出する車輪速セ
ンサ72,74,図示しない左前輪,右後輪の回転速度
を検出する車輪速センサ,モータ52に流れる電流を検
出する電流センサとしての電流計76等が接続され、出
力部には、開閉弁30,40,46のソレノイドおよび
モータ52等が、図示しない駆動回路を介して接続され
ている。
れるリザーバ液量推定プログラム,図2のフローチャー
トで表される制御マップ選択プログラムの他、推定車体
速度等演算プログラム,アンチスキッド制御プログラ
ム,ポンプ汲み上げ量推定プログラム,制御マップA,
制御マップB,係数KFLUID決定マップ等種々のプ
ログラムやマップが格納されている。
って、車輪速センサ72,74等の出力信号に基づいて
推定車体速度が求められるとともに、その推定車体速度
を時間で微分することによって車体減速度が求められ
る。また、車輪速センサ72,74の出力信号と推定車
体速度とに基づいて各車輪14,18のスリップ率が求
められる。
は、上述の推定車体速度等演算プログラムの実行により
求められた推定車体速度,車体減速度,各車輪14,1
8のスリップ率等に基づき、制御マップA,Bに従っ
て、表1に示す各モードが決定され、各開閉弁30,4
0,46のソレノイドやモータ52が駆動回路を介して
制御される。モータ52は、アンチスキッド制御の開始
時に駆動開始され、アンチスキッド制御中は継続して駆
動される。また、アンチスキッド制御が終了した後も一
定時間だけ駆動され、リザーバ44内に収容された作動
液がすべてマスタシリンダ10に戻される。したがっ
て、アンチスキッド制御開始時には、リザーバ液量は0
である。
グラムの実行により制御マップAと制御マップBとのい
ずれかが選択される。リザーバ液量推定プログラムの実
行によりリザーバ液量が推定されると、制御マップ選択
プログラムが実行され、推定されたリザーバ液量に基づ
いて制御マップAあるいはBが選択されるのである。図
2のフローチャートにおいて、ステップ1(以下、S1
と略称する。他のステップについても同様とする)にお
いて、推定されたリザーバ液量CRES(n) が0以上か
否かが判定される。0以上の場合には、S1における判
定がYESとなり、S2において制御マップAが選択さ
れ、0より小さい場合には、判定がNOとなり、S3に
おいて制御マップBが選択される。すなわち、リザーバ
44に作動液があると推定された場合には制御マップA
が選択され、作動液がないと推定された場合には制御マ
ップBが選択されるのである。なお、リザーバ液量CR
ES(n) は、イグニッションスイッチのON操作に応じ
て実行される初期設定においてクリアされ、また、1回
のアンチスキッド制御終了時にもクリアされるため、各
アンチスキッド制御の開始時には0になっている。リザ
ーバ液量推定プログラムについては後述する。
ッド制御が行われる場合について説明する。制御マップ
Aは、表2に示される。
4に対して開始されるか、左後輪18に対して開始され
るか、右前輪14および左後輪18の両方に対して同時
に開始されるかは、路面の状態や制動力の大きさ等によ
り決まるが、説明が簡単であるため、まず、左後輪18
に対してアンチスキッド制御が最初に開始される場合に
ついて説明する。左後輪18のスリップが右前輪14よ
り先に増大傾向かつ過大になると(以下、単に、スリッ
プが過大であると称する)、第三モードが設定され、遮
断弁30が開状態に、増・減圧開閉弁40が閉状態に、
減圧開閉弁46が開状態に切り換えられる。リヤホイー
ルシリンダ20の作動液のみが流出させられてリザーバ
44に流入させられる。また、遮断弁30が開状態にあ
るため、フロントホイールシリンダ16にはマスタシリ
ンダ10の作動液が供給される。リヤホイールシリンダ
20の液圧が減圧される一方、フロントホイールシリン
ダ16の液圧は増圧を許容され、リヤホイールシリンダ
20には減圧モードが、フロントホイールシリンダ16
には増圧モードがそれぞれ設定されるのである。
なれば、第二モードが設定される。遮断弁30が開状態
に保たれたまま、増・減圧開閉弁40,減圧開閉弁46
が閉状態に切り換えられる。リヤホイールシリンダ20
の液圧が保持され、フロントホイールシリンダ16の液
圧は、上記と同様に、増圧を許容される。さらに、左後
輪18のスリップが回復すれば、第一モードと第二モー
ドとが交互に設定される。遮断弁30が開状態に、減圧
開閉弁46が閉状態に保たれたまま、増・減圧開閉弁4
0が開状態と閉状態とに交互に切り換えられるのであ
る。リヤホイールシリンダ20に対しては、増圧制御と
保持制御とが交互に行われ、液圧は緩増圧される。緩増
圧モードは、本実施例においては増圧モードに含まれる
ことにする。
チスキッド制御が行われている間に右前輪14のスリッ
プが過大になれば、右前輪14に対してもアンチスキッ
ド制御が開始され、第四モード〜第七モードが設定され
る。左後輪18に対してのみアンチスキッド制御が行わ
れる場合には、第一〜第三モードが設定され、遮断弁3
0は開状態に保たれるのであるが、後述するように、右
前輪14に対してのみアンチスキッド制御が行われる場
合あるいは右前輪14および左後輪18に対して行われ
る場合には、原則として第四〜第七モードが設定され
て、遮断弁30が閉状態に保たれる。遮断弁30の開閉
を伴う制御を行うことも可能なのであるが、この場合に
はブレーキペダル12にキックバックが生じ、また、液
圧の脈動が大きくなり易いため、遮断弁30は閉状態に
保たれることが望ましいのである。
対してより先にアンチスキッド制御が開始されるのは、
例えば、車両制動がまたぎ路上で行われる場合であっ
て、路面の摩擦係数が高い部分に前輪が接し、低い部分
に後輪が接する場合や、車両の左旋回中に制動が行われ
る場合である。この場合には、前輪がロックしない範囲
でできる限りフロントホイールシリンダ圧を高めること
が路面の利用率を高めて制動距離の短縮を図る上で望ま
しい。したがって、本実施例においては、左後輪18に
対してのみアンチスキッド制御が行われる場合には、第
一〜第三モードが設定されて遮断弁30が開状態に保た
れ、フロントホイールシリンダ16には常にマスタシリ
ンダ10の作動液が供給されるようにされているのであ
る。
制御が開始される前に右前輪14に対してアンチスキッ
ド制御が開始される場合について説明する。右前輪14
のスリップが過大になると、第七モードが設定される。
遮断弁30が閉状態に切り換えられるとともに、増・減
圧開閉弁40および減圧開閉弁46が開状態に切り換え
られ、フロント,リヤ両ホイールシリンダ16,20が
リザーバ44に連通させられるのである。フロントホイ
ールシリンダ16の作動液が流出させられ、第二逆止弁
64,増・減圧開閉弁40,減圧開閉弁46を経てリザ
ーバ44に流入させられ、リヤホイールシリンダ20か
ら流出させられた作動液は、減圧開閉弁46を経てリザ
ーバ44に流入させられる。
ホイールシリンダ16の液圧のみを減圧することができ
ないため、フロントホイールシリンダ16の液圧を減圧
する場合には、必ずリヤホイールシリンダ20の液圧も
左後輪18のスリップ状態とは無関係に減圧される。フ
ロントホイールシリンダ16とリヤホイールシリンダ2
0との両方に減圧モードが設定されることになるのであ
る。しかし、前述のように、副液通路24の増・減圧開
閉弁40とPバルブ36との間においては流路抵抗が大
きくされているため、リヤホイールシリンダ20からは
作動液が流出し難く、フロントホイールシリンダ14か
らの作動液の流出が速やかに行われる。
輪14のスリップが回復傾向になれば、第四モードが設
定され、増・減圧開閉弁40が開状態,減圧開閉弁46
が閉状態にされる。フロント,リヤ両ホイールシリンダ
16,20がリザーバ44から遮断されてポンプ38の
吐出口に連通させられるのである。この時点において
は、リザーバ44に作動液があるため、リザーバの作動
液がポンプ38によって汲み上げられ、増・減圧開閉弁
40,Pバルブ36を経てリヤホイールシリンダ20に
供給され、液圧が増圧される。また、フロントホイール
シリンダ16には、第一逆止弁62を経て供給されるの
であるが、ポンプ38から吐出された作動液の液圧とフ
ロントホイールシリンダ16の液圧との液圧差が開弁圧
に達するまでの間は供給されない。その間においては液
圧は保持される。この場合には、フロントホイールシリ
ンダ16には保持モードが設定され、リヤホイールシリ
ンダ20には増圧モードが設定されることになる。
場合には、ポンプ38によって汲み上げられた作動液
は、リヤホイールシリンダ20に供給される。そのた
め、リヤホイールシリンダ20の液圧が、本来減圧する
必要がない場合に第七モードが設定されることによって
減圧された場合に、リヤホイールシリンダ20の液圧を
早急に回復させることが可能となるのである。
る場合や第四モードに設定された時点におけるリヤホイ
ールシリンダ20の液圧がそれほど低くない場合には、
フロントホイールシリンダ16にも、第一逆止弁62を
経て作動液が供給されることになる。その場合には、フ
ロントホイールシリンダ16には増圧モードあるいは緩
増圧モードが設定される考えることも可能である。しか
し、本実施例においては、フロントホイールシリンダ1
6の液圧を保持する目的で第四モードが設定されるた
め、保持モードが設定されるとみなされるのである。
モードと第五モードとが交互に設定される。すなわち、
減圧開閉弁46が閉状態に保たれたまま、増・減圧開閉
弁40が開状態と閉状態とに交互に切り換えられるので
ある。増・減圧開閉弁40が閉状態に切り換えられた場
合には、フロント,リヤ両ホイールシリンダ16,20
はリザーバ44から遮断される一方、ポンプ38の吐出
口がフロントホイールシリンダ16に連通させられる。
ポンプ38から吐出された作動液は、リヤホイールシリ
ンダ20に供給されないで、フロントホイールシリンダ
16のみに供給される。それに対して、増・減圧開閉弁
40が開状態に切り換えられた場合には、ポンプ38か
ら吐出された作動液は、主としてリヤホイールシリンダ
20に供給される。第四モードと第五モードとが交互に
設定されれば、フロントホイールシリンダ16に対して
は、保持制御と増圧制御とが交互に行われ、液圧は緩増
圧される。リヤホイールシリンダ20に対しては、フロ
ントホイールシリンダ16に対する制御とは反対の時期
に増圧制御と保持制御とが交互に行われ、やはり緩増圧
される。
チスキッド制御が行われる場合には、右前輪14のスリ
ップ率の大きさに基づいて第七モード,第四モード,第
五モードが設定されるのであるが、第七モードが設定さ
れると、前述のように、フロントホイールシリンダ16
の液圧と共に、リヤホイールシリンダ20の液圧も減圧
される。そのため、右前輪14に対してアンチスキッド
制御が先に開始された場合に、左後輪18に対してアン
チスキッド制御が開始され難くなる。左後輪18のスリ
ップが過大にならないように、予防的にホイールシリン
ダ20の液圧が減圧されたのと同じことになるからであ
る。
モードが設定され、さらに、第四モードと第五モードと
が交互に設定されれば、リヤホイールシリンダ20の液
圧が増圧されるため、左後輪18のスリップが過大にな
る可能性も生じる。その場合には、左後輪18に対して
もアンチスキッド制御が開始されることになる。これ
は、右前輪14に対してアンチスキッド制御が行われて
いる場合に左後輪18に対してアンチスキッド制御が開
始される一因であるが、他にも、路面の状態変化等によ
って、右前輪14に対してアンチスキッド制御が行われ
ている間に左後輪18に対してアンチスキッド制御が開
始される場合もある。また、稀にではあるが、右前輪1
4および左後輪18の両方に対して同時にアンチスキッ
ド制御が開始される場合もある。
の車輪に対してアンチスキッド制御が行われる場合につ
いて説明する。ただし、少なくとも右前輪14のスリッ
プが過大である場合、すなわち、右前輪14および左後
輪18の両方の車輪のスリップが過大である場合あるい
は右前輪14のみのスリップが過大である場合には、前
述のように第七モードが設定されてフロント,リヤ両ホ
イールシリンダ16,20の液圧が減圧される。
あり、左後輪18のスリップが過大である場合には、第
六モードと第七モードとが交互に設定される。第六モー
ドが設定され、増・減圧開閉弁40が閉状態に、減圧開
閉弁46が開状態に切り換えられれば、リヤホイールシ
リンダ20のみがリザーバ44に連通させられ、減圧さ
れる。ポンプ38から吐出された作動液は第一逆止弁6
2を経てフロントホイールシリンダ16に供給される。
また、第七モードが設定されれば、上述のようにフロン
ト,リヤ両ホイールシリンダ16,20がリザーバ44
に連通させられる。したがって、第六モードと第七モー
ドとが交互に設定されれば、フロントホイールシリンダ
16に対しては増圧制御と減圧制御とが交互に行われ、
液圧が保持される。リヤホイールシリンダ20に対して
減圧制御が行われ、液圧は減圧される。フロントホイー
ルシリンダ16には保持モードが設定され、リヤホイー
ルシリンダ20には減圧モードが設定されるのである。
8のスリップが過大である場合には、第六モードが設定
され、リヤホイールシリンダ20の液圧が減圧され、フ
ロントホイールシリンダ16の液圧が増圧される。フロ
ントホイールシリンダ16には増圧モードが設定され、
リヤホイールシリンダ20には減圧モードが設定される
のである。
共に回復傾向にある場合には、第五モードと第七モード
とが交互に設定される。増・減圧開閉弁40,減圧開閉
弁46が共に閉状態と共に開状態とに交互に切り換えら
れるのである。フロントホイールシリンダ16に対して
は、増圧制御と減圧制御とが交互に行われ、また、リヤ
ホイールシリンダ20に対しては、保持制御と減圧制御
とが交互に行われるのである。ここでは、増・減圧開閉
弁40,減圧開閉弁46の切換えが、フロントホイール
シリンダ16の液圧を保持することを目的として制御さ
れるため、リヤホイールシリンダ20の液圧は緩減圧と
なる。
8のスリップが回復傾向にある場合には、第五モードが
設定され、増・減圧開閉弁40および減圧開閉弁46が
共に閉状態に切り換えられる。フロントホイールシリン
ダ16の液圧は増圧され、リヤホイールシリンダ20の
液圧は保持される。フロント,リヤホイールシリンダ1
6,20には、増圧モード,保持モードがそれぞれ設定
されるのである。また、右前輪14のスリップが回復傾
向にあり、左後輪18のスリップが回復した場合には、
第四モードが設定され、左後輪18および右前輪14の
両方のスリップが回復した場合には、第四モードと第五
モードとが交互に設定される。
うに、ポンプ38は作動状態に保たれる。そのため、ポ
ンプ38から吐出された作動液が過剰となれば、戻り通
路32を経てマスタシリンダ10に戻される。換言すれ
ば、フロントホイールシリンダ16の液圧はマスタシリ
ンダ10の液圧より高くはならないのであり、逆止弁3
4は、リリーフ弁としての機能も備えることになる。
ッド制御が行われている間(右前輪14に対してのみ行
われる場合あるいは右前輪14および左後輪18の両方
に対して行われる場合)は、遮断弁30が閉状態に保た
れるため、制御途中において、リザーバ液量が0になる
おそれがある。リザーバ液量が0になると、フロントホ
イールシリンダ16やリヤホイールシリンダ20に作動
液を供給することができなくなり、増圧できなくなる。
それで、本実施例においては、リザーバ液量が推定さ
れ、0以下であるとされれば、アンチスキッド制御が制
御マップBに基づいて行われるようにされている。
る。制御マップBは表3に示される。表2と表3とにお
いては、右前輪14のスリップが回復した場合(右前輪
14および左後輪18の両方のスリップが回復した場合
を含む)における制御が異なるが、それ以外の場合にお
ける制御は同じである。
においては作動液が不足するおそれはないからである。
右前輪14に対してアンチスキッド制御が行われていな
い場合には、左後輪18のスリップ状態に応じて第一モ
ード〜第三モードが設定されるが、これらにおいては遮
断弁30が開状態に保たれるため問題はない。右前輪1
4のスリップが過大である場合には、減圧が行われてリ
ザーバ液量が増大するためやはり問題はない。それに対
して、右前輪14のスリップが回復傾向にある場合に
は、第四〜第七モードが設定され、増圧が行われる場合
があるが、右前輪14について言えば、第四モード単
独,第六モードと第七モードとの交互繰返し,第五モー
ドと第七モードとの交互繰返しのいずれにおいても、増
圧と減圧とが交互に繰り返され、リザーバ液量が大きく
減少することはない。また、左後輪18について言え
ば、第六モードと第七モードとの交互繰返しおよび第五
モードと第七モードとの交互繰返しでは、いずれも保持
と減圧とが交互に繰り返され、リザーバ液量は増大す
る。第四モードに設定された場合には、右前輪14にお
いて保持が行われ、左後輪において増圧が行われるた
め、リザーバ液量が減少するが、第四モードは必ず第七
モードの実行によりリザーバ液量が増大した直後に設定
され、かつ、左後輪18のリヤホイールシリンダ20は
容量が比較的小さいため、増圧に要する作動液の量が少
なく、作動液が不足するおそれはない。
液不足が生じるおそれがあるのは、上述のように、右前
輪14のスリップが回復した場合だけである。換言すれ
ば、少なくともフロントホイールシリンダ16に増圧モ
ードが設定される場合(フロント,リヤ両ホイールシリ
ンダ16,20に増圧モードが設定される場合も含む)
であるため、本実施例においては、フロントホイールシ
リンダ16に増圧モードが設定された場合にのみリザー
バ液量が推定されるようになっている。
御が行われている場合において、右前輪14のスリップ
が回復した場合には、制御マップAに基づく制御によれ
ば、第四モードと第五モードとが交互に設定されるが、
制御マップBに基づく制御によれば、第一モード,第四
モード,第二モードおよび第五モードが交互に設定され
ることになる。減圧開閉弁46が閉状態に保たれた状態
において、遮断弁30と増・減圧開閉弁40とが開状態
と閉状態とに交互に切り換えられるのであり、遮断弁3
0が開状態にされることによってマスタシリンダ10の
作動液がフロントホイールシリンダ16やリヤホイール
シリンダ20に供給されるため、作動液不足が生じるこ
とが回避される。
に対してアンチスキッド制御が行われており、右前輪1
4のスリップが回復し、左後輪18のスリップが過大で
ある場合には、第三モードと第六モードとが交互に設定
される。増・減圧開閉弁40が閉状態,減圧開閉弁46
が開状態にある状態において、遮断弁30が開状態と閉
状態とに交互に切り換えられるのであり、遮断弁30が
開状態にされることによってマスタシリンダ10の作動
液がフロントホイールシリンダ16に供給される。右前
輪14のスリップが回復し、左後輪18のスリップが回
復傾向にある場合には、第五モードと第二モードとが交
互に設定される。増・減圧開閉弁40および減圧開閉弁
46が共に閉状態に保たれたままで遮断弁30が交互に
開閉され、マスタシリンダ10の作動液がフロントホイ
ールシリンダ16に供給される。右前輪14および左後
輪18のいずれのスリップも回復した場合には、前述の
右前輪14のみに対してアンチスキッド制御が行われて
いる場合において右前輪14のスリップが回復した場合
と同様である。
れた場合の前輪制動力と後輪制動力との関係を図5に基
づいて説明する。通常制動時には、前述のように、マス
タシリンダ10が液圧源として機能する。開閉弁30,
40,46は、図示の原位置にあり、ブレーキペダル1
2の踏込みに伴って、マスタシリンダ10の作動液がフ
ロント,リヤホイールシリンダ16,20に供給され
る。前輪制動力と後輪制動力との前後制動力配分点は、
点0から第一実制動力配分線に沿って移動させられる。
ある場合において、右前輪14がロックする直前の状態
に至ると、前後制動力配分点が、第一実制動力配分線が
空車時前輪ロック線と交差する点aに至る。この状態か
ら、さらにブレーキペダル12が踏み込まれると、フロ
ントホイールシリンダ16の液圧が増加させられ、右前
輪14のスリップ傾向が過大となり、アンチスキッド制
御が開始される。第七モードが設定され、フロント,リ
ヤホイールシリンダ16,20の液圧が減圧される。前
後制動力配分点は、図の左方へ移動させられ、第一実制
動力配分線上の点bに至る。
に転じ、第四モードが設定されると、前後制動力配分点
は、図の上方へ移動させられ点cに至る。第四モードが
設定されて、増・減圧開閉弁40が開状態に、減圧開閉
弁46が閉状態に切り換えられると、リザーバ44の作
動液がポンプ38によって汲み上げられてリヤホイール
シリンダ20に供給されるが、フロントホイールシリン
ダ16には、第一逆止弁62が開かれるまで供給されな
い。つまり、フロントホイールシリンダ16の液圧は保
持され、リヤホイールシリンダ20の液圧のみが増圧さ
れるのである。
62の開弁圧分だけ図の左方へ平行移動した第二実制動
力配分線上にある。第二実制動力配分線は、第二基本配
分線の折れ点圧以下の部分および第二折れ線によって形
成される。第二基本配分線は、前述のように、第一基本
配分線が開弁圧分だけ前輪制動力が相対的に小さくなる
方向に移動させられた線であり、第二折れ線は、第一折
れ線が第一基本配分線と同様に移動させられた線であ
る。液圧源がポンプ38の場合には、Pバルブ36には
マスタシリンダ10の作動液ではなくポンプ38から吐
出された作動液が供給されるため、第一折れ線も、第一
基本配分線と同様に移動させられるのである。第二折れ
線と第二基本配分線との交点はPバルブ36の折れ点圧
であり、ポンプ38の吐出圧が折れ点圧になった場合の
フロントホイールシリンダ16の液圧である。それの大
きさは、当然、入力圧がマスタシリンダ液圧である場合
のフロントホイールシリンダ18の液圧(マスタシリン
ダ圧と同じ)と同じである。前記前後制動力配分点は点
cに至った後、第二実制動力配分線に沿って移動させら
れ、空車時後輪ロック線と交差する点dに至り、その
後、左後輪18のスリップもほぼ適正値になるようにア
ンチスキッド制御が行われる。
である場合には、ブレーキペダル12の踏み込みに伴っ
て、前後制動力配分点が第一実制動力配分線に沿って移
動させられる。右前輪14がロックする直前の状態に至
った時は、前後制動力配分点は点eに至る。その状態か
ら、さらに、ブレーキペダル12が踏み込まれれば、ア
ンチスキッド制御が開始され、第七モードが設定され
る。上述の場合と同様に、前後制動力配分点は図の左方
へ移動する。スリップが回復傾向に転じ、第四モードが
設定されれば、前後制動力配分点は、上述の場合と同様
に、第一実制動力配分線上の点から上方に移動して第二
実制動力配分線上の点に至り、第二実制動力配分線に沿
って右方へ移動させられる。その後、第二実制動力配分
線と積車時前輪ロック線との交点である点fに至り、右
前輪14のスリップがほぼ適正値になるようにアンチス
キッド制御が行われる。
60が設けられ、ポンプ38から吐出された作動液が減
圧装置60を経てフロントホイールシリンダ16に供給
されるようになっていため、アンチスキッド制御開始当
初において、後輪制動力を早急に大きくすることが可能
となる。また、後輪制動力の前輪制動力に対する相対的
な増加が、従来の液圧ブレーキ装置における場合より、
後輪ロックに至り難い領域において可能となる。さら
に、アンチスキッド制御中には、前後制動力配分点を、
第二実制動力配分線に沿って移動させることが可能とな
るため、積車時に理想配分線に近づけた制御が可能とな
る。
て説明する。リザーバ液量は、リザーバ44に流入した
と推定される作動液累積流入量と、リザーバ44からポ
ンプ38によって汲み上げられたと推定される作動液累
積流出量とに基づいて推定される。作動液累積流入量
は、フロントホイールシリンダ16に減圧モードが設定
された減圧時間および減圧モードが設定された時点(減
圧が開始された時点)の車体減速度に基づいて推定さ
れ、作動液累積流出量は、ポンプ汲み上げ量推定プログ
ラムの実行によって推定される。
位時間当たりにフロント,リヤ両ホイールシリンダ1
6,20から流出させられてリザーバ44に流入する作
動液流入量(流入流量))に基づいて推定される。減圧
時間は、フロントホイールシリンダ16に減圧モードが
設定された時間であり、フロントホイールシリンダ16
およびリヤホイールシリンダ20から作動液が流出させ
られる時間である。前述のように、本実施形態において
はフロントホイールシリンダ16のみに減圧モードが設
定されることはないため、フロントホイールシリンダ1
6に減圧モードが設定されれば、リヤホイールシリンダ
20にも減圧モードが設定されたことになる。リヤホイ
ールシリンダ20のみに減圧モードが設定される場合を
考慮しないのは、以下の理由による。
ド制御が開始されるのは、通常、マスタシリンダ10の
液圧がPバルブ36の折れ点圧以上になった時期であ
り、その場合には、リヤホイールシリンダ20の液圧が
フロントホイールシリンダ16の液圧より低いからであ
る。ホイールシリンダからリザーバへ作動液が流入させ
られる作動液量は、ホイールシリンダとリザーバとの差
圧が大きいほど大きくなる。それに対して、リザーバ4
4の液圧は、常時、ほぼ一定である。したがって、リヤ
ホイールシリンダ20から流出させられる作動液量は、
フロントホイールシリンダ16から流出させられる作動
液量より少ないのである。
容量がフロントホイールシリンダ16の容量より小さい
ことである。減圧時にホイールシリンダから流出させら
れる作動液量は、上述の液圧差,シリンダの容量,ホイ
ールシリンダとリザーバとの間の流路抵抗等種々の要因
に基づいて決定されるが、一般的には、シリンダ容量が
小さいシリンダから流出させられる作動液量は、大きい
シリンダから流出させられる作動液量より小さくリザー
バ44に流入する作動液量が小さいのである。
ドが設定される頻度が非常に低いことも理由の一つであ
る。図5に示すように、第一実制動力配分線が前輪ロッ
ク線と交差する点は、後輪ロック線と交差する点より、
制動力が小さい側にある。そのため、通常は、アンチス
キッド制御は後輪に対して開始されるより先に前輪に対
して開始され、左後輪18に対して先に開始されるのは
稀である。前述のように、またぎ路走行中,旋回中等特
殊な場合のみであるため、左後輪18に対してのみアン
チスキッド制御が行われ、減圧モードが設定される頻度
は低いのである。
ードが設定された時間である。第七モードが設定された
時間としないのは、減圧時間を、連続的にホイールシリ
ンダ16,20から作動液が流出させられた状態にある
時間であると解するためである。第七モードとそれ以外
のモードとが交互に設定される場合には、第七モードが
設定される時間は非常に短く、流出させられる作動液量
も僅かである。そのため、減圧時間として計測しなくて
も差し支えない。それに、少なめに推定される方が、多
めに推定されるより望ましい。多めに推定される場合に
は、実際にはリザーバ44に作動液がないのにマスタシ
リンダ10から補給されず、増圧モードが設定されても
実際には増圧が行われず、制動距離が無用に長くなって
しまう事態が生じるおそれがあるのに対し、少なめに推
定される場合には、リザーバ44の作動液量が多めにな
るのみで殆ど実害がないからである。交互に切り換えら
れる場合において第七モードが設定された時間を考慮し
なければ、減圧時間が短めに検出され、リザーバ44に
流入する作動液の量が少なめに推定されることになる。
リヤホイールシリンダ20のみに減圧モードが設定され
た時間を考慮しないのも一つにはこのためである。
間とに基づいて、図6に従って決定される。流入流量は
一定ではなく、車体減速度が大きいほど大きく、また、
減圧時間の経過に伴って小さくなる。本実施形態におい
ては、作動液累積流入量の推定を容易にするために、流
入流量を減圧時間と車体減速度との関数とみなし、これ
らの関係をテーブル化し、減圧時間と車体減速度との組
合わせに応じて係数KFLUIDが決定されるようにさ
れている。係数KFLUIDは、図6から明らかなよう
に、車体減速度が大きいほど大きく、減圧時間が長いほ
ど小さい。
は、減圧モードが設定された時点に検出される。車体減
速度が大きいということは車両全体の制動力が大きいと
いうことであり、フロントホイールシリンダ16および
リヤホイールシリンダ20の液圧が高いということであ
る。本実施形態においては、フロントホイールシリンダ
16およびリヤホイールシリンダ20の液圧が車体減速
度に基づいて推定されるのである。減圧時間中において
は、フロントホイールシリンダ16からもリヤホイール
シリンダ20からも作動液が流出させられ、これらがリ
ザーバ44に流入するが、両流出量を別個に推定するこ
とは面倒であり、また、通常は両流出量がほぼ比例する
ため、別個に考える必要性が低い。また、流入流量(ホ
イールシリンダからの流出流量)は、ホイールシリンダ
とリザーバとの差圧が大きいほど大きいが、リザーバの
液圧はほぼ一定であるためホイールシリンダの液圧が高
いほど大きいくなる。したがって、車体減速度と流入流
量との間にはほぼ一義的な関係が存在する。
くなる。一回の継続減圧時間が長くなり、ホイールシリ
ンダから流出させられる作動液量は増えればホイールシ
リンダの液圧が低くなるからである。
によって汲み上げられる作動液は、ポンプ汲み上げ量推
定プログラムの実行によって検出される。作動液累積流
出量は、(ポンプ38の作動時間)×(ポンプ38の吐
出流量(ポンプ38から単位時間当たりに吐出される作
動液量))に基づいて推定され、ポンプの吐出流量は、
電流計76の出力信号または車体減速度に基づいて推定
される。
いてはポンプ38がアンチスキッド制御中は作動状態に
保たれるので、前回推定時と今回推定時との間の時間で
あり、アンチスキッド制御開始後最初に推定される場合
には、アンチスキッド制御開始時から推定時までの時間
である。ポンプ38の作動時間が長いほど作動液累積流
出量が多くなる。
れる電流(厳密に言えば、アマチュアコイルに流れる電
流)が大きいほど小さくなる。モータ52には、常に一
定電圧が印加されている。したがって、モータ52にか
かる負荷が大きいほど流れる電流が大きくなるが、回転
速度が小さくなり、吐出流量が小さくなるのである。逆
に、負荷が小さいほど流れる電流が小さくなるが、回転
速度が大きくなり、吐出流量が大きくなる。
度が大きいほど小さくなる。ポンプ38から吐出される
作動液の吐出圧は、作動液が供給される先のホイールシ
リンダの液圧が高いほど小さくなり、ホイールシリンダ
の液圧が低いほど大きくなる。したがって、車体減速度
が大きくフロント,リヤ両ホイールシリンダ16,20
の液圧が高いほど、吐出流量が小さくなるのである。ホ
イールシリンダの液圧の吐出流量に対する影響は、ホイ
ールシリンダ液圧の変化が大きいと大きくなる。ただ
し、車体減速度に基づくポンプ38の吐出流量の推定精
度は、モータ52の電流に基づく推定精度より低いのが
普通であるため、本実施形態においては電流計76が設
けられ、モータ52の電流に基づいて吐出流量が推定さ
れるようになっている。このように、モータ52に流れ
る電流量は車体減速度の大きさの影響を受けるため、電
流量を車体減速度関連量の一態様とみなすことはできる
が、車体減速度自体ではない。
について、図1のフローチャートに基づいて説明する。
S11において、アンチスキッド制御が右前輪14に対
して行われているか否かが判定され、S12において、
フロントホイールシリンダ16に増圧モードが設定され
ているか否かが判定される。S11における判定がYE
Sとなり、S12が最初に実行される際には多くの場
合、判定はNOとなる。アンチスキッド制御開始時に
は、多くの場合、フロントホイールシリンダの減圧が必
要になり、減圧モードが設定されるからである。S12
における判定がNOであれば、S13において、さら
に、フロントホイールシリンダ16に減圧モードが設定
されているか否かが判定される。
モードでなく、減圧モードが設定されている場合には、
S13における判定がYESとなり、S14において、
前回も減圧モードが設定されたか否かが判定される。ア
ンチスキッド制御開始後最初に減圧モードが開始された
場合、あるいは増圧モード,保持モード等が設定された
後に減圧モードが設定された場合には、判定はNOとな
り、減圧モード設定中にはYESとなる。アンチスキッ
ド制御開始当初においては、判定はたいていの場合NO
となり、S15において、車体減速度が読み込まれ、S
16において、減圧時間CTGENが0にされる。その
後、S17において、減圧時間CTGENに本プログラ
ムのサイクルタイムTが加えられ、S11に戻される。
ドが設定されている間は、S11の判定がYES,S1
2の判定がNO,S13の判定がYESとなるが、前回
も減圧モードが設定されていた場合には、S14におけ
る判定がYESとなる。S15,16が実行されない
で、S17において、減圧時間CTGENにさらにサイ
クルタイムTが加えられる。以下、減圧モードが設定さ
れている間中、S11〜14,17が繰り返し実行さ
れ、減圧時間CTGENが計測される。
る場合には、S13における判定がNOとなり、そのま
まS11の実行に戻される。すなわち、S11〜17の
実行において、フロントホイールシリンダ16に減圧モ
ードが設定されているか否かが判定され、設定されてい
る場合には、減圧時間が計測されるのである。
増圧モードが設定されれば、S12における判定がYE
Sとなり、リザーバ液量が推定される。本実施形態にお
いては、リザーバ液量は、遮断弁30が閉状態にあり、
かつ、作動液不足が生じるおそれがある場合にのみ推定
され、その推定結果に基づいて制御マップA,Bの選択
が行われる。前述のように、それ以外の場合には、作動
液不足が生じるおそれがないため制御マップを変更する
必要がなく、リザーバ液量が推定されないのである。
保持モードが設定されていたか否かが判定される。最初
に増圧モードが設定される場合には、前回は保持モード
あるいは減圧モードが設定されていた場合が大部分であ
るため、判定はYESとなり、S19において、リザー
バ液量が、式CRES(n) =CRES(n-1) +CTGE
N*KFLUID−KPUMPUPに基づいて推定され
る。ここで、リザーバ液量CRESの添字nは、今回値
を、添字n−1は前回値を表しており、減圧時間CTG
EN*係数KFLUIDはリザーバ44に流入させられ
たと推定される作動液累積流入量で、係数KFLUID
は、S15において読み込まれた車体減速度とS17に
おいて計測された減圧時間CTGENとから、図6に示
すマップに従って決定される。KPUMPUPは、前回
の推定時から今回の推定時の間にポンプ38によって汲
み上げられ、リザーバ44から流出させられた作動液累
積流出量であり、ポンプ汲み上げ量推定プログラムの実
行によって求められる。
てから、最初にS19が実行される場合には、リザーバ
液量の前回値CRES(n-1) は0である。前述のよう
に、アンチスキッド制御終了時にリザーバ44内の作動
液がマスタシリンダ10にすべて戻され、リザーバ液量
CRESがクリアされるからである。
定されていた場合には、リザーバ液量CRESは、S2
0において、式 CRES(n) =CRES(n-1) −KPUMPUP に基づいて推定される。前回推定時から今回推定時まで
の間にリザーバ44には作動液が新たに流入していない
ため、作動液累積流入量(CTGEN*KFLUID)
の項がなく、ポンプ38によって新たに汲み上げられた
作動液累積流出量KPUMPUPが引かれるだけであ
る。
装置においては、作動液累積流入量が減圧時間と車体減
速度とに基づいて推定されるため、従来のリザーバ累積
流入量推定手段による場合より、推定精度を向上させる
ことができる。また、作動液累積流出量の推定にも、モ
ータ52に流れる電流(車体減速度に対応)が考慮され
るため、推定精度を向上させることができ、結果的にリ
ザーバ液量の推定精度を向上させることができる。しか
も、車体減速度に基づいてホイールシリンダ圧が推定さ
れるため、液圧センサが不要となり、コストアップを回
避することができる。その上、車体減速度が推定車体速
度を微分することによって取得されるため、アンチスキ
ッド制御に必要な車輪速センサ72,74等以外のセン
サが不要となる。
小さくなると制御マップAに基づく制御から制御マップ
Bに基づく制御に切り換えられるため、ホイールシリン
ダ圧を増圧するための作動液が不足することが回避さ
れ、制動力不足の発生が良好に回避される。また、ポン
プ38の作動時間がアンチスキッド制御継続時間とされ
ているため、作動液累積流出量が作動液流入量に対して
多めに推定され、減圧時間が前輪14に減圧モードが設
定された時間とされているため、作動液累積流入量が少
なめに推定される。その結果、リザーバ液量が少なめに
推定されることになり、作動液不足が生じることを確実
に回避することができる。さらに、1個のリザーバ44
に対して、2個のホイールシリンダ16,20が設けら
れているにも係わらず、作動液累積流入量が、車体減速
度と、フロントホイールシリンダ16のみに減圧モード
が設定された減圧時間とに基づいて推定されるため、ホ
イールシリンダ16,20各々について減圧モードが設
定される時間を検出する必要がなく、作動液累積流入量
の推定を容易に行うことができる。また、作動液累積流
出量が、ポンプ38の作動時間に基づいて推定されるた
め、ホイールシリンダ16,20各々に増圧モードが設
定された時間を検出する必要もなく、作動液累積流出量
の推定を容易にすることができるとともにリザーバ液量
の推定を容易に行うことができる。
ログラムによれば、S12,13,14における判定
が、液圧制御モード(増圧モード,減圧モード,保持モ
ード)に基づいて行われたが、開閉弁制御モード(第一
〜第七モード)に基づいて行われるようにしてもよい。
上記実施形態においては、第七モードと第六モードとが
交互に設定された場合や第四モードと第七モードとが交
互に設定された場合には、保持モードとされていたた
め、これらの制御が行われる場合において第七モードが
設定された場合については減圧時間が計測されなかっ
た。それに対して、本実施形態においては、保持モード
が設定された場合にも第七モードが設定された場合には
減圧時間とされるため、その分、作動液累積流入量の推
定精度を向上させることができる。
おいては、増圧モードが設定された場合にのみリザーバ
液量が推定されるようになっていたが、減圧モードが設
定された場合や保持モードが設定された場合において
も、リザーバ液量が推定されるようにしてもよい。減圧
モードが設定されている場合には、式 CRES(n) =CRES(n-1) +CTGEN*KFLUID−KPUMPUP に基づいて推定され、保持モードが設定されている場合
には、式 CRES(n) =CRES(n-1) −KPUMPUP に基づいて推定されるようにすることができる。減圧モ
ードが設定されている場合には、リザーバ44に流入す
る作動液量が逐次加えられ、保持モードが設定されてい
る場合には、ポンプ38によって汲み上げられる作動液
量が逐次引かれるのである。
合だけでなく、減圧モードが設定された場合や保持モー
ドが設定された場合にも制御マップ選択プログラムが実
行され、制御マップAあるいはBが選択されることにな
る。保持モードが設定されている場合には、前回リザー
バ液量CRES(n-1) と今回リザーバ液量CRES(n)
とが同じであると推定してもよい。
いて、アンチスキッド制御開始時から推定時までの作動
液累積流入量と作動液累積流出量とをそれぞれ推定し、
これら作動液累積流入量と、作動液累積流出量とに基づ
いてリザーバ液量を推定してもよい。例えば、作動液累
積流入量CRESINを、式 CRESIN(n) =CRESIN(n-1) +CTGEN*KFLUID に基づいて推定する。すなわち、アンチスキッド制御開
始時から推定時までに、減圧モードが設定されてリザー
バ44に流入させられた作動液の総量が推定されるので
ある。また、この場合には、作動液累積流出量CRES
OUT(n) は、アンチスキッド制御開始時から推定時ま
での間にポンプ38によってリザーバ44から汲み上げ
られた作動液の総量となり、ポンプ作動時間はアンチス
キッド制御継続時間となる。リザーバ液量CRESは、
式 CRES(n) =CRESIN(n) −CRESOUT(n) に基づいて推定されることになる。
は必ずしもモータ52に流れる電流を考慮する必要はな
い。さらに、作動液累積流入量の推定精度を向上させる
ために、フロントホイールシリンダ16の液圧を検出す
る液圧センサ等を設けたり、車体減速度を直接検出する
減速度センサ等を設けたりしてもよい。
ログラムにおいては、リザーバ液量が0より小さくなる
と制御マップAから制御マップBへ切り換えられるれる
ようにされていたが、0以外の設定量以下になると切り
換えられるようにしてもよい。
プ選択プログラムが格納されていたが、制御マップ選択
プログラムの代わりに、遮断弁制御プログラムが格納さ
れていてもよい。例えば、推定されたリザーバ液量が設
定量以下になった後に遮断弁30が閉状態から開状態に
切り換えられるようにするのである。遮断弁30が閉状
態から開状態に切り換えられるのは、フロントホイール
シリンダ16に増圧モードが設定された場合のみであっ
ても、設定されたモードに係わらず設定時間だけ切り換
えられるようにしてもよい。いずれの場合においても、
マスタシリンダ10の作動液が遮断弁30よりリザーバ
44側の部分に供給されるため、作動液不足が生じるこ
とが良好に回避される。
態のものに限定されるわけではない。例えば、右前輪1
4,左後輪18のスリップが共に回復傾向にある場合に
は、上記実施形態においては、第五モードと第七モード
とが交互に設定されるようになっていたが、第四モード
と第七モードとが交互に設定されるようにしてもよい。
この場合には、リヤホイールシリンダ20に対しては増
圧制御と減圧制御とが交互に行われ、フロントホイール
シリンダ16に対しては保持制御と減圧制御とが交互に
行われることになる。ここでは、第四モードと第七モー
ドとの切換えが、上述の場合と同様に、フロントホイー
ルシリンダ16,リヤホイールシリンダ20の液圧の変
化をなくしあるいは緩慢にするために行われる。したが
って、フロントホイールシリンダ16およびリヤホイー
ルシリンダ20に保持モードが設定されたと見なすこと
ができる。
14のホイールシリンダ16および後輪18のホイール
シリンダ20とで、各々別個に行うようにしてもよい。
さらに、リザーバ累積流出量を車体減速度に基づいて推
定してもよい。
レーキ装置の構造は、上記各実施形態における液圧ブレ
ーキ装置に限らず、他の構造の液圧ブレーキ装置であっ
てもよい。例えば、増・減圧開閉弁40,減圧開閉弁4
6の代わりに1個の3位置方向切換弁としてもよく、減
圧装置60,Pバルブ36は不可欠ではない。さらに、
図7に示すように、1個のリザーバにホイールシリンダ
およびポンプが1個ずつ設けられている液圧ブレーキ装
置に、本発明を適用することもできる。図7において、
100はマスタシリンダであり、102はブレーキペダ
ルである。マスタシリンダ100の加圧室は、主液通路
104によって車輪106のホイールシリンダ108に
接続されている。主液通路104の途中には電磁制御弁
110が設けられている。電磁制御弁110は、減圧弁
と遮断弁との両方の機能と有するものである。
あり、3個のポートには、主液通路104のマスタシリ
ンダ側部分112,ホイールシリンダ側部分114,リ
ザーバ116に連通する減圧通路118がそれぞれ接続
されている。図示する第一状態にある場合には、ホイー
ルシリンダ側部分114がマスタシリンダ側部分112
に連通させられて減圧通路118から遮断される。ホイ
ールシリンダ108にはマスタシリンダ100の作動液
が供給される。小電流によるソレノイドの励磁によって
第二状態に切り換えられると、ホイールシリンダ108
がマスタシリンダ100からもリザーバ116からも遮
断される。大電流によるソレノイドの励磁によって第三
状態に切り換えられると、ホイールシリンダ108がリ
ザーバ116に連通させられ、マスタシリンダ110か
ら遮断される。ソレノイドは、図示しない駆動回路を介
してコントローラ120に接続され、コントローラ12
0の指令に基づいて駆動回路により制御される。
が延び出させられている。くみ上げ通路130の途中に
はポンプ132が設けられ、そのポンプ132の吐出口
がホイールシリンダ108に接続される。くみ上げ通路
130のリザーバ116とポンプ132の吸入口との間
には、常閉の開閉弁であるくみ上げ制御弁136が設け
られている。くみ上げ制御弁136は、リザーバ116
とポンプ132とを連通させる連通状態と、これらを遮
断する遮断状態とに切り換え可能なものである。連通状
態にあり、かつ、ポンプ132が作動状態にある場合に
は、リザーバ116の作動液がくみ上げられ、加圧され
てホイールシリンダ108に供給される。遮断状態にあ
る場合には、ポンプ132が作動状態にあっても空回り
するのみで、リザーバ116の作動液がくみ上げられる
ことはない。くみ上げ制御弁136は、常には、遮断状
態にあるが、アンチスキッド制御中において増圧モード
が設定された場合には、連通状態に切り換えられる。
出口側と吸入口側とには、逆止弁140,142が設け
られている。逆止弁140,142は、それぞれ、リザ
ーバ116からホイールシリンダ108へ向かう作動液
の流れを許容するが、逆向きの流れを阻止するものであ
り、これらにより、ホイールシリンダ108からリザー
バ116への作動液の逆流が防止される。ポンプ132
はモータ144により駆動されるが、モータ144は、
前記コントローラ120の指令により図示しない駆動回
路により制御される。本実施形態においては、アンチス
キッド制御中には継続して作動させられる。
リンダ100とを、電磁制御弁110をバイパスして接
続するバイパス通路146が設けられ、バイパス通路1
46の途中には、逆止弁148が設けられている。逆止
弁148は、ホイールシリンダ108からマスタシリン
ダ100へ向かう作動液の流れを許容して、逆向きの流
れを阻止するものである。これらバイパス通路146,
逆止弁148は、ブレーキペダル102の踏込みが緩め
られた場合にホイールシリンダ108の作動液をマスタ
シリンダ100に戻すために設けられたものである。
U,ROM,RAM,入力部,出力部等を備えたコンピ
ュータを主体として構成されたものである。入力部に
は、車輪106の回転速度を検出する車輪速センサ15
0,ブレーキペダル102が踏み込まれた場合にON信
号を出力するブレーキスイッチ152,モータ144に
流れる電流を検出する電流計154等が接続され、出力
部には、モータ144および上記各ソレノイドが図示し
ない駆動回路を介してそれぞれ接続されている。また、
ROMには、車体速度,車体減速度等演算プログラム、
アンチスキッド制御プログラムの他、図8のフローチャ
ートで表されるリザーバ液量推定プログラム,図9のフ
ローチャートで表される制御マップ選択プログラム,リ
ザーバ流出量推定プログラム等各種プログラムや表4,
5で表される制御マップA,B,係数KFLUID決定
マップ等各種マップが格納されている。
は図示する第一状態にある。ブレーキペダル102の踏
込みに応じて、マスタシリンダ100の作動液がホイー
ルシリンダ108に供給される。ブレーキペダル102
の踏込みが緩められると、ホイールシリンダ108の作
動液がバイパス通路146,逆止弁148を経て、ある
いは第一状態にある電磁制御弁110を経てマスタシリ
ンダ100に戻される。車輪106の制動スリップが過
大になるとアンチスキッド制御が開始される。アンチス
キッド制御は、表4に表す制御マップAに基づいて行わ
れる。
10は、ホイールシリンダ108をリザーバ116に連
通させる第三状態に切り換えられる。ホイールシリンダ
108の作動液は流出させられ、リザーバ116に流入
させられる。また、くみ上げ制御弁136は遮断状態に
あるため、リザーバ116の作動液がポンプ132によ
ってくみ上げられることはない。保持モードが設定され
れば、電磁制御弁110は、ホイールシリンダ106を
マスタシリンダ100からもリザーバ116からも遮断
する第二状態に切り換えられ、ホイールシリンダ108
の液圧は保持される。また、増圧モードが設定されれ
ば、電磁制御弁110が第二状態に切り換えられるとと
もに、くみ上げ制御弁136が連通状態に切り換えられ
る。リザーバ116の作動液がポンプ132によってく
み上げられ、加圧されてホイールシリンダ108に供給
される。
御が行われている間に、図8のフローチャートで表され
るリザーバ液量推定プログラムの実行により推定された
リザーバ液量が設定液量(0より大きい値)より小さく
なれば、アンチスキッド制御が制御マップBに基づいて
行われる。図9のフローチャートにおけるS101にお
いて、リザーバ液量CRES(n) が設定液量以上か否が
判定され、設定液量以上である場合には、判定がYES
となり、S102において、制御マップAが選択される
が、設定液量より小さい場合には判定がNOとなり、S
103において制御マップBが選択されるのである。前
記第一実施形態においては、リザーバ液量CRES(n)
が0より小さくなると、制御マップAから制御マップB
に切り換えられていたが、本実施形態においては、設定
液量より小さくなると、制御マップBに切り換えられる
ようになっている。
に基づく制御とでは、増圧モードが設定された場合にお
いて異なる。制御マップBに基づく制御によれば、電磁
制御弁110が第一状態と第二状態とに交互に切り換え
られるとともにくみ上げ制御弁136が遮断状態に切り
換えられる。電磁制御弁110が、第一状態に保たれな
いで第一状態と第二状態とに交互に切り換えられるの
は、ホイールシリンダ108の増圧勾配を抑制するため
である。また、くみ上げ制御弁136が遮断状態に切り
換えられるのは、ホイールシリンダ108にはマスタシ
リンダ100の作動液が供給されるため、リザーバ11
6の作動液を供給する必要がないからである。
液量推定プログラムは、前記第一実施形態における図1
のフローチャートで表されるリザーバ液量推定プログラ
ムと殆ど同じであるが、図1のフローチャートにおける
S11のステップが不要となる。リザーバ116には1
個のホイールシリンダ108しか接続されていないから
である。本実施形態においても、前記第一実施形態にお
ける場合と同様に、作動液累積流入量が、ホイールシリ
ンダ108に減圧モードが設定されている減圧時間と車
体減速度(ホイールシリンダ液圧に対応)とに基づいて
推定される。したがって、作動液累積流入量が、減圧時
間のみに基づいて推定される場合より、推定精度を向上
させることができる。本実施形態においては、ホイール
シリンダ108に減圧モードが設定されている減圧時間
と、電磁制御弁110が第三状態に設定されている時間
とが同じであるため、減圧時間をどちらに基づいて検出
してもよい。
は、リザーバ流出量推定プログラムの実行により推定さ
れる。前記第一実施形態においては、ポンプ58の作動
時間およびモータ52に流れる電流(ホイールシリンダ
液圧に対応)に基づいて推定されたが、本実施形態にお
いては、くみ上げ制御弁136が連通状態にある増圧時
間およびモータ144に流れる電流に基づいて推定され
る。モータ144はアンチスキッド制御中は連続して作
動状態にされるが、リザーバ116の作動液がくみ上げ
られるのは、くみ上げ制御弁136が連通状態にある間
だけだからである。
液累積流入量を推定する場合においても、作動液累積流
出量を推定する場合においても、リザーバ液量が前記第
一実施形態におけるように少なめに推定されるわけでは
ない。そのため、前記第一実施形態においては、制御マ
ップAからBへの切換えが、リザーバ液量が0より小さ
くなると行われたが、本実施形態においては、設定液量
より小さくなると行われるのである。
バ116にホイールシリンダ108およびポンプ132
が1個ずつ設けられている液圧ブレーキ装置において
は、作動液累積流入量を減圧時間だけでなく車体減速度
も加味して推定することにより、作動液累積流入量を非
常に高い精度で推定することができ、リザーバ液量の推
定精度を著しく向上させることができる。また、推定さ
れたリザーバ液量が設定液量より小さくなると制御マッ
プBに基づく制御に切り換えられるため、作動液不足が
生じることを良好に回避することができる。しかも、ホ
イールシリンダ液圧が車体減速度に基づいて推定される
ため、液圧センサが不要となり、推定精度の向上を図り
つつコストアップを回避することができる。
後配管の液圧ブレーキ装置に適用することもできる。本
実施形態においては、1個のリザーバに、1個のポンプ
および左右前輪の2個のホイールシリンダが設けられる
が、第一実施形態における場合と異なって左右前輪各々
について独立にアンチスキッド制御可能とされている。
図10において、200はマスタシリンダであり、マス
タシリンダ200と右前輪202のホイールシリンダ2
04とを接続する主液通路206の途中には、遮断弁2
10,増圧弁212が設けられている。主液通路206
の遮断弁210と増圧弁212との間には、先端に左前
輪214のホイールシリンダ216が接続された副液通
路218が接続されている。副液通路218の途中に
は、増圧弁220が設けられている。遮断弁210は、
常には、連通状態にあるが、アンチスキッド制御中は遮
断状態に保たれる。また、アンチスキッド制御中であっ
ても、後述のように、推定されたリザーバ液量が設定液
量より小さくなると、連通状態と遮断状態とに繰り返し
切り換えられる。
および増圧弁212をバイパスするバイパス通路222
が設けられ、バイパス通路222にはホイールシリンダ
204からマスタシリンダ200への作動液の流れを許
容するが、逆向きの流れを阻止する逆止弁224が設け
られている。同様に、主液通路206と副液通路218
とを接続し、遮断弁210および増圧弁220をバイパ
スするバイパス通路226が設けられ、そのバイパス通
路226の途中には逆止弁228が設けられている。こ
れらバイパス通路222,226および逆止弁224,
228は、ブレーキペダル230の踏込みが緩められた
場合にホイールシリンダ204,216の作動液をマス
タシリンダ200に戻すために設けられたものである。
とを接続する減圧通路236の途中には、減圧弁238
が設けられており、同様に、ホイールシリンダ216と
リザーバ234とを接続する減圧通路240の途中に
は、減圧弁242が設けられている。減圧弁238,2
42は、常には、遮断状態にあるが、減圧モードが設定
されると連通状態に切り換えられ、ホイールシリンダ2
04,216をリザーバ234に連通させる。
び出させられており、増圧通路246の途中には、ポン
プ250が設けられている。ポンプ250はモータ25
2により駆動される。モータ252は図示しない駆動回
路を介してコントローラ260に接続され、コントロー
ラ260の指令に基づき駆動回路により制御される。ま
た、増圧通路246のポンプ250の吐出口側および吸
入口側には、逆流防止用の逆止弁262,264が設け
られるとともに、ポンプ250の吐出口側から吸入口側
へ向かう作動液の流れを、圧力差が設定圧以上になると
許容するリリーフ弁268が設けられている。リザーバ
234の液圧は大気圧に近く、変化が小さいため、ポン
プ250の吐出圧が設定圧以上になると、ポンプ250
から吐出された作動液はリリーフ弁268を経てリザー
バ234に戻されることになる。
M,RAM,入力部,出力部等を備えたコンピュータを
主体として構成されたものであり、入力部には、左右前
輪214,202の車輪速度を検出する車輪速センサ2
70,272の他、図示しない左右後輪の車輪速セン
サ,ブレーキペダル230が踏み込まれるとON信号を
出力するブレーキスイッチ274,モータ252に流れ
る電流を検出する電流計276等が接続され、出力部に
は、図示しない駆動回路を介してモータ252、遮断弁
210,増圧弁212,220,減圧弁238,242
のソレノイド等が接続されている。ROMには、アンチ
スキッド制御プログラム,制御マップ選択プログラム,
リザーバ液量推定プログラム等各種プログラムの他、表
6,7に表される制御マップA,B,係数KFLUID
決定マップ等各種マップが格納されている。
210,増圧弁212,220,減圧弁238,242
は図示する原位置にある。マスタシリンダ200の作動
液は、ブレーキペダル230の踏込みに応じて各ホイー
ルシリンダ204,216に供給される。ブレーキペダ
ル230の踏込みが緩められると、ホイールシリンダ2
04,216の作動液は、バイパス通路222,226
を経て、あるいは連通状態にある増圧弁212,遮断弁
210,増圧弁220,遮断弁210を経てマスタシリ
ンダ200に戻される。
の制動スリップが過大になるとアンチスキッド制御が開
始される。アンチスキッド制御中には、モータ252は
連続して駆動され、遮断弁210は遮断状態に保たれ
る。アンチスキッド制御は、通常は、表6で表される制
御マップAに基づいて行われるが、リザーバ液量推定プ
ログラムの実行により推定されたリザーバ液量が設定液
量より小さくなると表7で表される制御マップBに基づ
いて行われる。以下、右前輪202に対してアンチスキ
ッド制御が行われる場合について説明する。左前輪21
4に対する制御は、右前輪202に対する制御と同様で
あるため、説明を省略する。
御が行われる場合において、減圧モードが設定される
と、増圧弁212が遮断状態,減圧弁238が連通状態
に切り換えられる。ホイールシリンダ204はポンプ2
50から遮断されてリザーバ234に連通させられ、ホ
イールシリンダ204の作動液がリザーバ234に流入
させられて液圧が減圧される。保持モードが設定される
と、増圧弁212,減圧弁238が共に遮断状態に切り
換えられ、ホイールシリンダ204はリザーバ234か
らもポンプ250からも遮断される。ホイールシリンダ
204の液圧は保持される。増圧モードが設定される
と、増圧弁212が連通状態に、減圧弁238が遮断状
態に切り換えられる。ホイールシリンダ204はリザー
バ234から遮断され、ポンプ250に連通させられ
て、ホイールシリンダ204には、ポンプ250によっ
てくみ上げられた作動液が加圧されて供給され、液圧が
増圧される。制御マップAに基づいてアンチスキッド制
御が行われる間にリザーバ液量推定プログラムの実行に
より、推定されたリザーバ液量が設定液量より小さくな
ると制御マップBに基づく制御に切り換えられる。
に基づく制御とは、増圧モードが設定された場合におい
て異なる。制御マップBに基づいて制御が行われる場合
において、増圧モードが設定されれば、遮断弁210が
連通状態と遮断状態とに交互に切り換えられる。ホイー
ルシリンダ204の液圧は、主としてマスタシリンダ2
00から供給される作動液によって増圧される。リザー
バ234に作動液が残っている間はポンプ250により
くみ上げられ、連通状態にある増圧弁212を経てホイ
ールシリンダ204に供給されるが、その流量はマスタ
シリンダ200から供給される作動液の流量より小さい
からである。また、リザーバ234に作動液がなくなれ
ば、ポンプ250が空回りし、マスタシリンダ200か
らの作動液のみがホイールシリンダ204に供給され
る。
202に対して独立にアンチスキッド制御可能とされて
いるため、ホイールシリンダ216,204各々につい
て、別個に図8のフローチャートで表されるリザーバ液
量推定プログラムと同様なプログラムが実行される。ホ
イールシリンダ204に対するリザーバ液量推定プログ
ラムの実行により、ホイールシリンダ204から流出さ
せられてリザーバ234に流入させられた作動液量(作
動液累積流入量FR)、リザーバ234からホイールシ
リンダ204に供給された作動液量(作動液累積流出量
FR)が推定され、これら作動液累積流入量FRと作動
液累積流出量FRとに基づいてリザーバ234のリザー
バ液量CRES(n) のうちでホイールシリンダ204に
関係する液量(リザーバ液量CRESFR(n) )が推定
される。また、同様に、ホイールシリンダ216に対し
ても、リザーバ液量推定プログラムの実行により、作動
液累積流入量FL,作動液累積流出量FLが推定され、
これら作動液累積流入量FL,作動液累積流出量FLに
基づいてリザーバ液量CRESFL(n) が推定される。
そして、リザーバ液量CRESFR(n) とリザーバ液量
CRESFL(n) との和がリザーバ液量CRES(n) と
推定される。
形態における場合と同様に、モータ252に流れる電流
と増圧弁212,220が連通状態に保たれる増圧時間
に基づいて推定される。本実施形態においては、作動液
累積流出量は、ポンプ250によってくみ上げられた作
動液量ではなく、ホイールシリンダに供給された作動液
量となる。前述のように、増圧弁212,220が遮断
状態にあり、ポンプ250の吐出圧が設定圧以上になる
と、ポンプ250によってくみ上げられた作動液はリリ
ーフ弁268を経てリザーバ234に戻されるからであ
る。
ンチスキッド制御が行われる場合には、上述のように、
ホイールシリンダ216,204について別個にリザー
バ液量推定プログラムが実行され、リザーバ液量CRE
SFR(n) とリザーバ液量CRESFL(n) とが推定さ
れ、これらの和がリザーバ液量CRES(n) と推定され
る。そして、リザーバ液量CRES(n) が設定液量より
小さくなれば、制御マップAに基づく制御から制御マッ
プBに基づく制御に切り換えられる。左右前輪214,
202は大抵の場合には、同時あるいは僅かな時間差で
アンチスキッド制御が開始されるが、またぎ路走行時等
には、いずれか一方の車輪に対してのみアンチスキッド
制御が行われる場合がある。
ッド制御が行われ、左前輪214に対しては行われてな
い場合には、アンチスキッド制御対象でないホイールシ
リンダ216については、常に増圧モードが設定された
場合と同様の状態となる。増圧弁220が連通状態に、
減圧弁242が遮断状態にそれぞれ保たれる。ホイール
シリンダ216からは作動液は流出させられることな
く、常にポンプ250によってくみ上げられたリザーバ
234の作動液が供給されることになる。減圧弁242
が遮断状態にある減圧時間と車体減速度とに基づいて推
定される作動液累積流入量FLは0となり、増圧弁22
0が連通状態にある増圧時間とモータ252に流れる電
流とに基づいて推定される作動液累積流出量FLは大き
な値となり、これらに基づいて推定されるリザーバ液量
CRESFL(n) は負の値となる。リザーバ液量CRE
S(n) は、リザーバ液量CRESFL(n) とリザーバ液
量CRESFR(n) との和の大きさと推定されるが、リ
ザーバ液量CRESFL(n)が負の値であるため、設定
液量より小さくなる頻度が高くなり、制御マップAから
制御マップBへの切り換え頻度が高くなる。しかし、制
御マップBに基づく制御に切り換えられれば、マスタシ
リンダ200の作動液が供給されるため、作動液不足に
なることが良好に回避される。
1個のポンプ232および2個のホイールシリンダ20
4,216が設けられている液圧ブレーキ装置において
も、作動液累積流入量が減圧時間だけでなく、車体減速
度も考慮して推定されるため、推定精度を向上させるこ
とができる。
形態である液圧制御装置について、図面に基づいて詳細
に説明する。本液圧制御装置を搭載した液圧ブレーキ装
置は、図3に示す上記実施形態における液圧ブレーキ装
置と同様のものであるため、その説明を省略する。液圧
制御装置であるコントローラ70のROMには、図11
〜14,19〜21,23,25に示すフローチャート
で表される各種プログラムや図15,16に示す流入流
量演算係数選択テーブル等が格納されている。また、上
記第一実施形態における場合と同様に、制御マップA,
Bおよび図2のフローチャートで表される制御マップ選
択プログラム等も格納されている。
て説明し、リザーバ44に収容された作動液量の推定に
ついて説明する。また、図示しない左前輪のフロントホ
イールシリンダおよび右後輪のリヤホイールシリンダに
共通に設けられたリザーバに収容された作動液量の推定
も、同様に行われるため、説明を省略する。イグニッシ
ョンスイッチがONにされると、図11のフローチャー
トで表されるメインプログラムの実行が開始される。S
210において各変数,フラグ等の初期化が行われ、S
211においてアンチスキッド制御およびリザーバ44
の作動液量の推定が行われる。S212において液圧制
御装置において異常が発生したか否かがチェックされ
る。コントローラ70において異常があるか否か、車輪
速センサ72,74において異常があるか否か等がチェ
ックされるのである。異常がある場合には、S213に
おける判定がYESとなり、S214において、そのこ
とが報知されるとともに、S215において、フェール
セーフ処理が行われる。異常がない場合には、S213
における判定がNOとなり、異常報知およびフェールセ
ーフ処理等が行われることなくアンチスキッド制御およ
びリザーバ液量の推定が行われる。なお、アンチスキッ
ド制御が終了した場合には、モータ52が、アンチスキ
ッド制御終了時におけるリザーバ液量に応じた時間より
多少長めに駆動され、リザーバ44にある作動液がすべ
てマスタシリンダ10に戻されるようになっている。
バ液量の推定が行われている間には、タイマ割込みによ
り、図12のフローチャートで表されるタイマ割込みル
ーチンが実行される。S220において、その車輪につ
いて設定されたモード(増圧モード,減圧モード,保持
モード)が読み込まれ、S221において、そのモード
に応じた出力が行われる。遮断弁30,増・減圧開閉弁
40,減圧開閉弁46等をそれぞれ切り換える指令が発
せられる。そして、設定されたモードが減圧モードの場
合には、減圧時間カウンタCdx(x=f,r)のカウン
ト値が1増加させられることにより、減圧時間tdxが計
測される。減圧時間tdxは、リザーバ液量の前回の推定
が行われてから今回の推定が行われるまでのリザーバ液
量推定間隔内においてその車輪について減圧モードが設
定されていた時間であり、前回の推定時から今回の推定
時までの間にその車輪のホイールシリンダから作動液が
流出してリザーバ44に流入する時間である。ここで
は、割込み信号は1ms毎に発せられるようになってお
り、タイマ割込みプログラムの1回の実行によりすべて
の車輪14,18に対する出力が行われる。減圧時間カ
ウンタCdxはリザーバ液量の推定が終了する毎に一旦ク
リアされるが、その車輪について減圧モードが設定され
ている限り、直ちにカウントを再開する。
びリザーバ液量の推定は、図13のフローチャートに従
って行われるが、このプログラムは、少なくとも1つの
車輪についてアンチスキッド制御が行われている間実行
され、すべての車輪についてアンチスキッド制御が終了
した場合には実行されなくなり、かつ、推定リザーバ液
量CRESが0にされる。S250〜259のステップ
は1輪ずつに対して個別に行われ、4輪すべてについて
の実行が終了した後、S261以降において、リザーバ
液量の推定が行われる。
量の推定が前輪14について増圧モードが設定されてい
る場合のみに行われるようになっていたが、本実施形態
においては、設定されたモードとは無関係に、S250
〜259のステップが4輪すべてについてそれぞれ行わ
れた後に行われるようになっている。また、前記第一実
施形態においては、リザーバ44に流入する作動液量
が、フロントホイールシリンダ16およびリヤホイール
シリンダ20の両方から流出した作動液量に基づいて推
定され、リヤホイールシリンダ20のみから流出した作
動液量が考慮されなかったが、本実施形態においては、
リヤホイールシリンダ20のみから流出した作動液も考
慮される。さらに、前記第一実施形態においては、流入
流量が一回の減圧制御中には一定で、その値が一回の減
圧制御が継続して行われた減圧時間(以下、上記減圧時
間tdxと区別するために、減圧制御が継続して行われた
時間を連続減圧時間TDxと称する)および減圧開始時に
おける車体減速度に基づいて推定されていたが、本実施
形態においては、一回の減圧制御中にも変化するとさ
れ、その値が図13のプログラムの実行開始時における
車体減速度や、減圧開始時点から推定時点までの連続減
圧時間等に基づいて推定されるようになっている。流入
流量の推定にはさらに、減圧開始時における液圧変化指
数Pが加味されるとともに、初回減圧時には、オーバシ
ュート対応量Qが加味される。
は、前記第一実施形態においては、ポンプ38の作動時
間とモータ52に流れる電流とに基づいて推定されるよ
うになっていたが、本実施形態においては、ポンプ38
の作動時間,モータ52の回転速度および車体減速度に
基づいて推定されるようになっている。
wおよび車輪加速度DVwが演算されるとともに、推定
車体速度VSOおよび車体減速度DVSOが演算される。S
251において、その車輪が前輪14の場合には、その
前輪14についてアンチスキッド開始条件が満たされる
かあるいは制御中か否か(以下、これらを制御中等と略
称する)が判定される。制御中等でない場合には、判定
がNOとなりS260が実行されるが、制御中等の場合
には、判定がYESとなり、S252において制御モー
ドが決定される。増圧モード,保持モード,減圧モード
のいずれかのモードが選択されるのである。
には、その後輪18について制御中等か否かが判定され
るとともに、その後輪18と減圧開閉弁46を共有する
前輪14について(その車輪が左後輪18の場合には右
前輪14について、その車輪が右後輪の場合には左前輪
について)も制御中等か否かが判定される。後輪18お
よび前輪14の少なくとも一方について制御中等である
と判定された場合に、判定がYESとなる。表2の制御
マップAに示すように、例えば、前輪14に対して減圧
モードが設定されることによって第七モードが設定され
た場合には、後輪18が非制御中であっても、後輪18
に対して減圧モードが設定されることになる。したがっ
て、後輪18が非制御中であっても、前輪14について
アンチスキッド制御が行われる場合にはS252が実行
されるようになっているのである。
て制御中等であると判定された場合には係数決定フラグ
がセットされ、後輪18に対してのみ制御中等であると
判定された場合には係数決定フラグがリセットされるよ
うになっている。係数決定フラグは、後述するように、
S255において流入流量演算係数A〜Fを選択する際
に使用されるフラグである。減圧通路42には等価減圧
オリフィス径が存在するため、フロント,リヤの両ホイ
ールシリンダ16,20から作動液が流出してリザーバ
44に流入する状態にあるか、リヤホイールシリンダ2
0のみから作動液が流出する状態にあるかによって、ホ
イールシリンダ16,20から流出する作動液流量が変
わる。そして、前述のように、前輪14に対して減圧モ
ードが設定された場合には、必ず後輪18に対しても減
圧モードが設定されるため、係数決定フラグがセットさ
れていれば、フロント,リヤの両ホイールシリンダ1
6,20から作動液が流出する状態にあり、係数決定フ
ラグがリセットされていれば、リヤホイールシリンダ2
0のみから作動液が流出する状態にあることになる。し
たがって、係数決定フラグの状態に応じて流入流量演算
係数A〜Fが選択されるようにされているのである。
モードが減圧モードか否かが判定される。制御モードが
減圧モードの場合には、判定がYESとなり、S254
〜256において、その車輪における減圧時間tdxおよ
び連続減圧時間TDxが読み込まれ、流入流量Kx が推定
されるとともに、減圧モードが設定される。減圧モード
が設定されたことを表すフラグがセットされるのであ
る。流入流量Kx の推定については後述する。
わち、増圧モードまたは保持モードの場合には判定がN
Oとなり、S257において前回減圧モードが設定され
ていたか否かが判定される。前回減圧モードであった場
合、すなわち、今回、減圧モードから増圧モードまたは
保持モードに切り換わった場合には、判定がYESとな
り、S258において、連続減圧時間カウンタCDxがク
リアされる。連続減圧時間カウンタCDxは、1つの車輪
について、一回の減圧モードが設定されている継続時間
をカウントするカウンタであり、後述する減圧勾配推定
プログラムの実行毎にカウント値が1増加させられるよ
うになっている。また、S259において、制御モード
(増圧モードあるいは保持モード)を表すフラグがセッ
トされる。
4輪すべてについて行われたか否かが判定される。未だ
4輪すべてについて行われていない場合には、判定はN
Oとなり、S250に戻され、同様の実行が他の車輪に
ついて行われる。左右前輪,左右後輪の4輪すべてにつ
いて終了した場合には、判定はYESとなり、S261
以降においてリザーバ液量の推定が行われる。本実施形
態においては、S250〜259の実行が4輪すべてに
ついて終了する毎にリザーバ液量の推定が1回行われる
のである。
定以後にリザーバ44からポンプ38によって汲み上げ
られたリザーバ累積流出量KPUMPUPが推定され、
S262において、リザーバ液量CRES(n) が式 CRES(n) =CRES(n-1) +tdf×Kf +tdr×Kr −KPUMPUP により推定される。前回のS262の実行時から今回の
S262の実行時までの時間が前記リザーバ液量推定間
隔なのであり、このリザーバ液量推定間隔内におけるリ
ザーバ累積流入量およびリザーバ累積流出量が推定さ
れ、それらに基づいてリザーバ液量CRES(n) が推定
されるのである。前述のように、本実施形態において
は、リザーバ44には、右前輪14および左後輪18の
それぞれのホイールシリンダ16,20から作動液が流
入し、図示しないリザーバには、右後輪および左前輪の
それぞれのホイールシリンダから作動液が流入するよう
になっているため、リザーバ液量の推定も各々別個に行
われることになる。リザーバ累積流出量KPUMPUP
の推定については後述する。その後、S263,264
において、今回値が前回値とされるとともに、各車輪の
減圧時間カウンタCdxがクリアされる。本実施形態にお
いても、上記のように推定されたリザーバ液量CRES
(n) の大きさに応じて、表2の制御マップAと表3の制
御マップBが択一的に選択される。
ートで表される流入流量推定プログラムの実行により推
定される。S281において、減圧開始時における液圧
変化指数Px が求められ、その液圧変化指数Px と図1
3のS254で読み込まれた連続減圧時間TDXとに基づ
いて流入流量演算係数A〜Fが選択され、S282にお
いて、初回減圧時におけるオーバシュート対応量Qx が
求められる。オーバシュート対応量Qは、文字通りオー
バシュート量に対応した量であり、オーバシュート量自
体もオーバシュート対応量Qの一種である。オーバシュ
ート対応量Qについては後に詳述する。初回減圧時にお
けるオーバシュート対応量Qx の取得後、S283にお
いて流入流量Kx が式 Kx =(A+B×DVSO)×Qx Kx =(C+D×DVSO)×Qx Kx =(E+F×DVSO)×Qx によって推定される。
A〜Fの選択について説明する。流入流量演算係数A〜
Fは、図15,16に示す流入流量演算係数選択テーブ
ルに格納されている。前輪14について減圧モードが設
定されている場合(前述のように、後輪18についても
減圧モードが設定されている)、フロントホイールシリ
ンダ16については流入流量演算係数A〜Fが図15の
Afr〜Ffrとされ、リヤホイールシリンダ20について
は図16のArf〜Frfとされる。後輪18についてのみ
減圧モードが設定されている場合には、流入流量演算係
数A〜Fが図16の選択テーブルのAr 〜Fr とされ
る。なお、前輪14についてのみ減圧モードが設定され
る場合がないから、フロントホイールシリンダ16のみ
から作動液が流出する場合を考える必要はない。図1
5,図16の流入流量演算係数選択テーブルの各々にお
いて、6個の流入流量演算係数A〜Fは係数(A,B)
(C,D)(E,F)に分けられており、その車輪につ
いての連続減圧時間TDxが時間TD1より短い場合には係
数(A,B)が選択され、連続減圧時間TDxが時間TD1
以上で時間TD2以下の場合には係数(C,D)が選択さ
れ、時間TD2より長い場合には係数(E,F)が選択さ
れるようになっている。
きさは、アンチスキッド制御時において各車輪14,1
8に対する路面の摩擦係数μが同じであると仮定すれ
ば、その時点における車体減速度に基づいて推定でき、
また、各ホイールシリンダ16,20からそれぞれ流出
する作動液の流路抵抗は、減圧通路42,副液通路24
の長さ,径,形状等(以下、形状等と略称する)および
副液通路24に設けられている減圧装置60の構造等に
よって決まる。前記減圧通路42の等価減圧オリフィス
径はこれらの総和として想定されるものである。
々の車体減速度に対応する大きさ)から連続的に減圧さ
れる場合には、作動液のリザーバ44への累積流入量は
概して図17に例示するように変化する。ただし、リヤ
ホイールシリンダ20のみから作動液が流出する場合
と、フロント,リヤの両ホイールシリンダ16,20か
ら作動液が流出する場合とでは図17の曲線の形状は異
なるし、フロント,リヤの両ホイールシリンダ16,2
0から作動液が流出する場合において、フロントホイー
ルシリンダ16,リヤホイールシリンダ20の各々から
それぞれリザーバ44へ流入する累積流入量の曲線も互
いに異なる。したがって、試作車においてそれぞれの場
合の流入流量が実測され、その実測結果から図17に例
示されているようなグラフが3種類(リヤホイールシリ
ンダ20のみから作動液が流出する場合のグラフ、フロ
ント,リヤの両ホイールシリンダ16,20から作動液
が流出する場合のフロントホイールシリンダ16用のグ
ラフとリヤホイールシリンダ20用のグラフ)描かれ、
それらグラフに基づいて、図18に示す各連続減圧時間
領域についての車体減速度DVSOと流入流量Kx との関
係が求められ、図18の各直線の流入流量演算係数A〜
Fのテーブルが図15,図16に示すように作成されて
いる。
ば、副液通路24のうち、各々フロントホイールシリン
ダ16およびリヤホイールシリンダ20のみに連通して
いる部分にそれぞれ流量計を取り付け、摩擦係数が十分
に高い路面上において各種の車体減速度で制動を行い、
その制動が定常状態になった状態で遮断弁30を閉じ、
減圧開閉弁46と増・減圧開閉弁40とを共に開いて両
ホイールシリンダ16,20の連続減圧を行い、あるい
は減圧開閉弁46のみを開いてリヤホイールシリンダ2
0の連続減圧を行って、時々刻々変化する流量を記録す
ることによって行うことができる。また、摩擦係数が互
いに異なるがそれぞれにおいては摩擦係数が均一である
複数種類の路面上で強い制動を行ってアンチスキッド制
御装置を作動させ、そのアンチスキッド制御中に、リヤ
ホイールシリンダ20のみから作動液が流出する状態
や、フロント,リヤの両ホイールシリンダ16,20か
ら作動液が流出する状態が生じた場合に、各液通路の流
量を実測してもよい。
度DVSOと流入流量Kx との関係を求めるためには、図
17の横軸の連続減圧時間TDxを、例えば、時間TD1よ
り短い領域、時間TD1以上で時間TD2以下の領域、時間
TD2より長い領域の3領域に分け、各領域毎に曲線を直
線で近似し、その近似直線の勾配である流入流量Kxと
各近似直線に対応する車体減速度DVSOとの関係を直線
で近似すればよい。S281においては、リヤホイール
シリンダ20のみから作動液が流出する状態にあるか、
フロント,リヤの両ホイールシリンダ16,20から作
動液が流出する状態にあるかに基づいて、すなわち、前
記係数決定フラグが示す減圧開閉弁46と増・減圧開閉
弁40との状態に基づいて、各流入流量演算係数Ar 〜
Fr,Afr〜Ffr,Arf〜Frfが選択される。
説明したが、実際には不均一である場合もあり、その場
合には車輪毎に摩擦係数が異なり、それら車輪に対応す
るホイールシリンダ16,20の液圧が路面の摩擦係数
が均一である場合とは異なってくる。この点を流入流量
Kx の推定に加味するために、本実施形態においては液
圧変化指数Px が使用される。液圧変化指数Px が負の
値の場合には正の値の場合より、ホイールシリンダ液圧
が低いと推定され、流入流量演算係数A〜Fが小さくさ
れ、流入流量演算係数A′〜F′とされるのである。
は、前回減圧モードが設定された間にホイールシリンダ
から流出した作動液量が、前回増圧モードが設定された
間に供給された作動液量に対して多いか否かを表す値で
あり、流出した作動液量が流入した作動液量に対して多
い場合に負の値となり、流出した作動液量が流入した作
動液量に対して少ない場合に正の値となる。すなわち、
今回の減圧開始時におけるホイールシリンダ液圧が前回
の減圧開始時におけるそれより低い場合には、液圧変化
指数Px は負の値となり、高い場合には正の値となるの
であり、液圧変化指数Px が負の値の場合には、正の値
の場合より今回減圧開始時におけるホイールシリンダ液
圧が低いと推定され、流入流量Kx が小さいと推定され
る。
れる直前の増圧制御である前回増圧制御が行われた前回
増圧時間、その前回増圧制御が行われる以前の前回減圧
制御が行われた前回減圧時間、これら前回増圧制御が行
われた場合と前回減圧制御が行われた場合における減圧
勾配の増圧勾配に対する比率等に基づいて求められるよ
うになっている。他の条件が同じ場合には、前回増圧時
間が長い場合には短い場合より液圧変化指数Px が大き
くなる。
フローチャートに基づいて具体的に説明する。まず、S
291において前回減圧モードであったか否かが判定さ
れる。液圧変化指数Px は、減圧開始毎に求められれば
よいため、増圧モードや保持モードから減圧モードに切
り換わった時点にS294が実行されればよいのであ
る。前回、減圧モードが設定されていた場合には、後述
するが、S295以降が実行される。次に、S292に
おいて初回減圧時か否かが判定される。ここでは、今回
減圧制御が行われる以前に行われた増圧制御および減圧
制御に基づいてホイールシリンダ液圧の推定が行われる
ため、初回減圧開始時にはS292〜294が実行され
ないでS301以降が実行される。初回減圧開始時に
は、通常は、ホイールシリンダ液圧は高いため、流入流
量演算係数A〜Fが、ホイールシリンダ液圧変化指数P
x が0以上の場合と同様に決定されるのである。
圧制御でない場合には、S293において、減圧勾配の
増圧勾配に対する比率が求められる。この比率は、後述
する減圧勾配推定プログラム,増圧勾配推定プログラム
の実行により求められた前回減圧勾配BKx を前回増圧
勾配BUx で除することによって求められる。減圧勾配
<Kx >は,フロント,リヤ両ホイールシリンダ16,
20から各々流出する単位時間当たりの作動液量の平均
値(流入流量の平均値)として推定され、増圧勾配<U
x >も同様に、フロント,リヤ両ホイールシリンダ1
6,20各々に供給される単位時間当たりの作動液量の
平均値として推定される。
増圧勾配) に従って求められる。ここで、時間TDx(n-1) は、前回
減圧モードが設定されている間の時間(減圧モードが設
定されてから、増圧モードまたは保持モードに切り換え
られるまでの前回連続減圧時間)であり、時間T
Ux(n-1) は、前回増圧モードが設定されている間の時間
(増圧モードが設定されてから、保持モードまたは今回
減圧モードに切り換えられるまでの前回連続増圧時間)
である。
295における判定がYESとなり、S296におい
て、前記係数決定フラグがセットされているか否かが判
定され、S297において、現在,前輪14について流
入流量の推定が行われているか否かが判定される。フロ
ント,リヤの両ホイールシリンダ16,20から作動液
が流出する状態にあり、かつ、前輪14について推定が
行われている場合には、S296およびS297の判定
が共にYESとなり、S298において、流入流量演算
係数A〜Fが流入流量演算係数Afr′〜Ffr′とされ
る。フロント,リヤの両ホイールシリンダ16,20か
ら作動液が流出する状態にあり、かつ、後輪18につい
て推定が行われている場合には、S297の判定がNO
となり、S299において、流入流量演算係数A〜Fが
流入流量演算係数Arf′〜Frf′とされ、リヤホイール
シリンダ20のみから作動液が流出する状態にある場合
には、S296における判定がNOとなり、S300に
おいて流入流量演算係数Ar ′〜Ff ′とされる。減圧
モードが設定され、かつ、係数決定フラグがリセットさ
れている場合は、後輪18について推定が行われる場合
のみであるため、S297に相当するステップは不用で
ある。
の場合には、S295における判定がNOとなり、上述
の場合と同様に、S301において、前記係数決定フラ
グがセットされているか否か、S302において、現
在,前輪14について流入流量の推定が行われているか
否かがそれぞれ判定される。フロント,リヤの両ホイー
ルシリンダ16,20から作動液が流出する状態にあ
り、かつ、前輪14について推定が行われている場合に
は、S303において流入流量演算係数A〜Fが流入流
量演算係数Afr〜Ffrとされる。また、後輪18につい
て推定が行われている場合には、S304において、流
入流量演算係数Arf〜Frfとされ、リヤホイールシリン
ダ20のみから作動液が流出する状態にある場合には、
S305において、流入流量演算係数A〜Fが流入流量
演算係数Ar 〜Ff とされる。その後、S306におい
て、連続減圧時間TDxに基づいて係数(A,B)(C,
D)(E,F)のいずれか1つが選択されるのである。
減圧途中に、S295以降が実行されるのは、後輪18
のみが減圧されている間に、前輪14に対して減圧が開
始される場合があるからである。
配の推定について簡単に説明する。減圧勾配は、一回の
減圧制御において、1つのホイールシリンダから流出
し、リザーバ44に流入する流入流量の平均値として推
定される。図20のフローチャートで示す減圧勾配推定
プログラムは各車輪毎に実行される。S310におい
て、その車輪について設定されたモードが減圧モードか
否かが判定される。設定されたモードが減圧モードの場
合には、S311において、連続減圧時間カウンタCDx
がカウントアップされ、連続減圧時間TDxが計測され
る。S312,313において、流入流量Kx が読み込
まれ、平均値<Kx >が演算により求められる。設定さ
れたモードが減圧モードでない場合には、S314にお
いて、前回減圧モードが設定されていたか否かが判定さ
れる。今回、減圧モードから増圧モードや保持モードに
切り換わった場合には、判定がNOとなり、S315に
おいて、今回の減圧勾配平均値<Kx >が前回値BKx
とされ、今回平均値<Kx >が0にされる。また、今回
の連続減圧時間TDx(n) が前回の連続減圧時間BT
Dx(n-1) とされる。
る間に、1つのホイールシリンダに供給される単位時間
当たりの作動液量の平均値として推定される。ホイール
シリンダにはポンプ38によって吐出される作動液が供
給されるのであるが、吐出流量が同じであっても、ポン
プ38から吐出される作動液が、フロント,リヤの両ホ
イールシリンダ16,20に供給される状態にある場合
と、いずれか一方のみに供給される状態にある場合とで
は、1つのホイールシリンダに供給される単位時間当た
りの作動液量が異なる。いずれか一方のホイールシリン
ダ16,20のみに増圧モードが設定されている場合に
は、ポンプ38から吐出された作動液がすべてそのホイ
ールシリンダに供給されるため、ポンプ38の吐出流量
がそのホイールシリンダについての増圧勾配とほぼ同じ
であると推定することができる。それに対して、フロン
ト,リヤの両ホイールシリンダ16,20に増圧モード
が設定されている場合には、フロント,リヤの両ホイー
ルシリンダ16,20には、作動液が吐出流量供給比率
Sx に応じて分配されることになる。吐出流量供給比率
Sx は、前述の流入流量演算係数A〜Fを決定する場合
と同様に、車体減速度,減圧装置60,増・減圧開閉弁
40の構造、Pバルブ36の構造(折れ点圧の大きさ等
も含む)、主液通路20,副液通路24の形状等および
各ホイールシリンダのシリンダ径等によって決まる。本
実施形態においては、吐出流量供給比率Sf ,Sr の大
きさと車体減速度との関係が予め実験により求められ、
テーブル化して格納されている。フロントホイールシリ
ンダ16についての吐出流量供給比率Sf と、リヤホイ
ールシリンダ20についての吐出流量供給比率Sr との
和は1(Sf +Sr =1)である。
1において、その車輪について設定されたモードが増圧
モードか否かが判定される。増圧モードの場合には、S
322において、連続増圧時間カウンタCUxがカウント
アップされることにより連続増圧時間TUxが計測され
る。次に、S323において、他方の車輪(1つのポン
プを共有する2つの車輪のうちの、推定対象でない方の
車輪)について、増圧モードか設定されているか否かが
判定される。ポンプを共有する両方の車輪14,18に
共に増圧モードが設定されている場合には、S324に
おいて、車体減速度に基づいて吐出流量供給比率Sx が
予め定められたテーブルから読み込まれる。その後、S
325,326において、吐出流量供給比率Sをポンプ
38の吐出流量KPUMPUPに掛けることにより、そ
のホイールシリンダに単位時間当たりに供給される作動
液量が推定され、それの平均値<Ux >が増圧勾配とさ
れる。
モードが設定されていない場合には、S323における
判定がNOとなり、S327において、吐出流量供給比
率Sが1とされる。そのため、S325において、増圧
勾配は、吐出流量KPUMPUPと同じ大きさと推定さ
れる。また、推定対象である車輪について設定されたモ
ードが増圧モード以外のモードである場合には、S32
1における判定がNOとなり、S328において、前回
増圧モードが設定されていたか否かが判定される。今
回、減圧モードや保持モードから増圧モードに切り換わ
った場合には、判定はNOとなり、S329,330に
おいて、今回の増圧勾配の平均値<Ux >が前回の平均
値BUx とされ、今回の平均値<Ux >が0にされる。
また、計測された連続増圧時間TUx(n) が前回値BT
Ux(n-1) とされ、連続増圧時間カウンタCUxがクリアさ
れる。このように求められた前回減圧勾配BKx を前回
増圧勾配BUx で除することによってS293における
(前回減圧勾配/前回増圧勾配)の値が求められるので
ある。
液圧のオーバシュート対応量の決定について説明する。
オーバシュート対応量は、初回減圧時にのみに決定され
る。初回減圧開始時には、オーバシュート量はブレーキ
操作部材の操作速度の影響を比較的顕著に受け、ブレー
キ操作部材が急激に操作されるほどマスタシリンダ液圧
およびホイールシリンダ液圧の増圧勾配が大きくなって
オーバシュート量が大きくなるのであるが、アンチスキ
ッド制御中における減圧開始時のオーバシュート量(ま
たはそのばらつき)はそれに比較して小さいからであ
る。また、本実施形態においては、オーバシュート対応
量は、車輪減速度DVwに基づいて決定される。
圧の増圧勾配が大きい場合には、オーバシュート量が大
きくなる。ホイールシリンダ液圧の増圧勾配が大きいた
め、制御遅れに伴う液圧増加分が大きくなるのである。
リザーバ44に流入する作動液量が多くなり、流入流量
Kx が大きくなる。また、ホイールシリンダ液圧の増圧
勾配が大きい場合には小さい場合より、減圧開始時にお
けるホイールシリンダ液圧が高くなり、車輪減速度DV
wが大きくなる。したがって、車輪減速度DVwに基づ
いてオーバシュート量を推定することができる。
2の通常の操作を行った場合に生じると推定されるオー
バシュート量を基準オーバシュート量とし、基準オーバ
シュート量のオーバシュートが生じた場合における車輪
減速度DVwを、基準車輪減速度DVwc とし、車輪減
速度DVwx の基準車輪減速度DVwc に対する比率に
係数Rを掛けた値{(DVwx /DVwc )×R}を上
記オーバシュート対応量Qx とする。オーバシュート対
応量Qx は、車輪減速度DVwが大きいほど大きくな
り、大きなオーバシュートが生じたと推定することがで
きる。オーバシュート対応量Qx が大きいほど、実際に
減圧が開始された時点におけるホイールシリンダ液圧が
高いと推定することができる。なお、オーバシュート対
応量Qx は、ガード値が1とされており、1より小さい
値にならないようにされている。
て、初回減圧時か否かが判定され、S342において、
前回減圧モードが設定されていたか否かが判定される。
初回減圧時であって減圧開始時の場合には、S341に
おける判定がYES,S342における判定がNOとな
り、S343においてオーバシュート対応量Qx が演算
により求められる。初回減圧制御中であるが、減圧途中
である場合には、S343は実行されない。減圧開始時
に推定されたオーバシュート対応量Qx の値がそのまま
とされる。初回減圧時でない場合には、S344におい
て、オーバシュート対応量Qx が1とされる。このよう
に、本実施形態においては、液圧変化指数Px を加味し
て流入流量演算係数A〜Fが選択され、流入流量K
x が、これら流入流量演算係数A〜Fに基づいてオーバ
シュート換算値Qx を加味して推定される。そのため、
流入流量Kx の推定精度を向上させることができる。流
入流量の推定に液圧変化指数およびオーバシュート対応
量が加味されることにより、リザーバ累積流入量の推定
精度が向上させられることになる。
累積流出量KPUMPUPについて説明する。本実施形
態においては、推定間隔内におけるモータ52の回転速
度,モータ52の回転部の慣性,車体減速度DVSOに基
づいて推定されるようになっている。アンチスキッド制
御中には、ポンプ38は継続して作動させられるため、
リザーバ44の作動液は常に汲み上げられている。した
がって、ここでは、推定間隔は汲上時間に対応すること
になる。
は、モータ52の回転速度が大きいほど大きくなる。モ
ータ52に供給される電流はコントローラ70の指令に
基づいて、図示しない駆動回路により制御され、モータ
52の回転速度は、モータ52への供給電流が多いほど
大きくなる。しかし、モータ52に供給する電流がデュ
ーティ比D(n-1) からデューティ比D(n) に切り換えら
れても、図24に示すように、モータ52の回転速度
は、そのデューティ比D(n) に応じた回転速度に直ちに
変化するわけではなく、破線のように、遅れて変化する
ことになる。この遅れは、モータ52の慣性が大きいほ
ど大きく、慣性が小さいほど小さい。
は、モータ52の回転速度が直線的に変化すると仮定す
れば、モータ52の回転速度は、式 I=D(n-1) +(D(n) −D(n-1)×tm /Tm に従って演算される回転速度対応値Iに基づいて推定さ
れる。ここで、時間TMは遅れ時間であり、時間t
m は、デューティ比が切り換えられてからの経過時間で
ある。遅れ時間Tm は、モータ52が有する慣性に基づ
いて決定される値であり、定数である。上式から明らか
なように、回転速度対応値Iは、デューティ比1(10
0%)における場合に回転速度を1とした場合の値であ
り、上式により、経過時間tmが経過した時点の回転速
度対応値を求めることができる。回転速度対応値Iが大
きく1に近いほど、回転速度が大きいと推定することが
でき、ポンプ38の吐出流量が大きいと推定することが
できる。
が高いほど小さくなる。作動液が供給される先のホイー
ルシリンダ液圧が高くなれば、吐出圧が高くなり、その
分、吐出流量が小さくなるのである。本実施形態におい
ては、この車体減速度DVSOの吐出流量に対する影響の
大きさは、減速度影響量{G−H×(DVSO/1)}と
推定される。ここで、値G,Hは、車体減速度DVSOが
1Gの場合の初期値であり、モータ52によって予め決
まる定数である。減速度影響量{G−H×(DVSO/
1)}は、車体減速度DVSOが大きいほど小さくなり、
吐出流量が小さいと推定することができる。このよう
に、吐出流量は、回転速度対応値Iが大きいほど大き
く、車体減速度DVSOが大きいほど(減速度影響量が小
さいほど)小さいと推定することができ、汲上時間内に
ポンプ38によって汲み上げられる累積流入量KPUM
PUPは、式 KPUMPUP={G−H×(DVSO/1)}×I に基づいて推定することが可能となる。
ーチャートで表される累積流出量推定プログラムの実行
に従って求められる。S361において、定数G,Hお
よび車体減速度DVSO,現時点におけるデューティ比D
(n) が読み込まれ、S362において、モータフラグM
がセットされているか否かが判定される。モータフラグ
Mは、デューティ比Dが変化させられるとセットされ、
変化させられてから遅れ時間Tm が経過した後にリセッ
トされるフラグである。図24において、経過時間tm
が0以上で遅れ時間Tm 以下の間において、セット状態
が保たれるフラグなのである。モータフラグMがセット
されていない場合には、S363において、デューティ
比Dが変化させられたか否かが判定される。デューティ
比Dが変化させられていない場合には、S363におけ
る判定がNOとなり、S364〜367において累積流
出量KPUMPUPが推定される。この場合には、デュ
ーティ比Dが変わっていないため、デューティ比D(n)
はデューティ比D(n-1) と同じであり、かつ、経過時間
tm は0であるため、回転速度対応値Iは、D(n-1) と
なる。また、モータフラグMはセットされていないた
め、S365における判定はNOとなり、S366にお
いて、経過時間カウンタCm がクリアされ、S367に
おいて、累積流出量KPUMPUPが式 KPUMPUP=(G−H×DVSO)×I に従って推定される。
られた場合には、S363における判定がYESとな
り、S368においてモータフラグMがセットされ、S
369において、経過時間カウンタCm のカウント値が
カウントアップされることにより経過時間tm の計測が
開始される。S370,371において、経過時間tm
が読み込まれ、経過時間tm が遅れ時間Tm より短いか
否かが判定される。最初にS371が実行される場合に
は、経過時間tm は遅れ時間Tm より短いため、判定が
YESとなり、S364以降において累積流出量KPU
MPUPが推定されるが、遅れ時間Tm に達した場合に
は、S372において経過時間tm が遅れ時間Tm と同
じであるとされる。経過時間tm の遅れ時間Tm に対す
る時間比率tm /Tm が1より大きくなり、回転速度対
応値IがD(n) 以上になることはないからである。時間
比率tm /Tm が1の場合には、回転速度対応値IがD
(n)となる。なお、経過時間tm が遅れ時間Tm に達し
た場合には、モータフラグMがリセットされる。
る累積流出量KPUMPUPが、モータ回転速度,車体
減速度に基づいて推定されるため、推定精度を向上させ
ることができる。S262において、流入流量Kx に減
圧時間tdxを掛けることにより推定間隔内におけるリザ
ーバ累積流入量が推定され、リザーバ累積流入量からリ
ザーバ累積流出量KPUMPUPを引いた値を前回のリ
ザーバ液量CRESに加えることにより、今回のリザー
バ液量が推定されるのである。一回のアンチスキッド制
御中において求められた累積流出量KPUMPUPの総
和が、一回のアンチスキッド制御中においてリザーバ4
4から流出させられた作動液量の総和になるのである。
量,リザーバ累積流出量の推定精度を向上させることが
できるため、リザーバ液量CRESの推定精度を向上さ
せることができる。したがって、ホイールシリンダの減
圧が早急に行われなかったり、リザーバ液量が少なく、
増圧不足になったりすることを良好に回避することがで
きる。また、リザーバ液量の推定が、増圧時のみなら
ず、常時行われるという利点もある。さらに、アンチス
キッド制御終了時には、その時点におけるリザーバ液量
に応じた時間より多少長めにモータ52が駆動されるよ
うになっているが、リザーバ液量の推定精度が向上させ
られるため、モータ52を無駄に駆動させる時間を短く
することができ、その分作動音を軽減させることができ
る。
輪速センサ72,74およびコントローラ70のS25
0,S282を実行する部分等によりオーバシュート量
推定手段が構成され、コントローラ70のS283を実
行する部分等オーバシュート量を加味して流入流量の大
きさを推定する部分によりオーバシュート量加味手段が
構成される。上記オーバシュート量推定手段は、車輪減
速度対応オーバシュート量推定手段でもあり、オーバシ
ュート量加味手段は、初回減圧時オーバシュート量加味
手段でもあり、オーバシュート量対応流入流量補正手段
でもある。また、コントローラ70のS322を実行す
る部分等により増圧時間取得手段が構成され、S281
を実行する部分,流入流量演算係数選択テーブル等を記
憶する部分等により増圧時間加味手段が構成される。増
圧時間加味手段は、増圧時間対応流入流量補正手段でも
ある。
ド継続時間を計測する部分(ポンプ38の作動時間を計
測する部分)等によって汲上時間取得手段が構成され
る。前述のように、ポンプ38は、少なくとも1輪につ
いてアンチスキッド制御が行われている間継続して作動
させられる。コントローラ70のモータ52への供給電
流量を指令する部分,S361〜366,S368〜3
72を実行する部分等によって回転速度取得手段が構成
され、S261(S367)を実行する部分等によって
リザーバ累積流出量推定手段が構成される。
演算係数A〜Fが、流入流量演算係数決定テーブルに従
って、液圧変化指数Px が負の場合には0以上の場合よ
り小さな値とされていたが、流入流量演算係数A〜F
が、式 A=(1+Px /Pc )×A に従って、液圧変化指数Px の大きさに応じて求められ
るようにしてもよい。ここで、定数Pc は、平均液圧変
化指数であり、予め実験により求められた値である。こ
のように、本実施形態によれば、流入流量演算係数A〜
Fが液圧変化指数Px の大きさに応じた大きさとされる
ため、その分、リザーバ累積流入量の推定精度を向上さ
せることができる場合もある。
指数Px が、前回の連続増圧時間,連続減圧時間,増圧
勾配および減圧勾配に基づいて求められていたが、前回
の連続増圧時間のみに基づいて求められるようにしても
よい。例えば、液圧変化指数Px を前回の連続増圧時間
から基準増圧時間を引いた値とすることができる。ま
た、前回の連続増圧時間および連続減圧時間に基づいて
求めてもよい等少なくとも前回の増圧時間に基づいて求
められる値であれば、別の演算式に従って求められる値
としてもよいのである。さらに、増圧勾配と減圧勾配と
の比率は、演算により求めるのではなく、回路の機械的
構造等により予め決められている値としてもよい。
Kx が逐次取得される車体減速度DVSOに基づいて推定
されるようにされていたが、車体減速度DVSOが逐次取
得される必要はなく、例えば、連続減圧時間TDxが流入
流量演算係数変化区分開始時間TD1,TD2に達した時点
のみに取得されるようにしてもよい。その場合には、流
入流量Kx が、その時点における車体減速度DVSOに基
づいて推定され、その時間区分内において一定の大きさ
とされる。さらに、上記実施形態においては、連続減圧
時間TDxの経過に伴って3つの区分に分けられ、流入流
量演算係数A〜Fが、各々の時間区分毎に、段階的に変
化させられるようにされていたが、分けられる区分の数
は2つであっても4つ以上であってもよい。また、上記
第一実施形態における場合のように、一回の減圧制御時
においては、流入流量Kが一定であるとすることもで
き、その場合においても、液圧変化指数Px やオーバシ
ュート対応量Qx が加味されれば、その分、リザーバ累
積流入量の推定精度を向上させることができる。流入流
量演算係数Ar 〜Fr 、Afr〜Ffr、Arf〜Frfについ
ても、車体減速度に基づいて求められるようにされてい
たが、回路の機械的構造等のみによって決められる値と
してもよい。
ート対応量Qx がすべての流入流量演算係数A〜Fに掛
けられるようにされていたが、流入流量演算係数A〜F
のうちの一部の係数のみ、例えば、最初の時間区分にお
ける係数Aおよび係数Bの少なくとも一方のみに掛けら
れるようにしてもよい。また、オーバシュート量に相当
する量が加えられるようにしてもよい。さらに、オーバ
シュート対応量Qx の演算式は、上記実施形態における
式に限らず、他の演算式に従って求められるようにして
もよい。また、オーバシュート対応量Qx を、ブレーキ
ペダル12の踏込み速度に基づいて求めてもよい。ま
た、液圧変化指数Px に基づいて流入流量演算係数A〜
Fすべてが変更されなくても、一部の係数のみが変更さ
れるようにしてもよい。さらに、流入流量でなく、累積
流入量がオーバシュート対応量Qx や液圧変化指数Px
に基づいて補正されるようにしてもよい。
バシュート対応量Qx や液圧変化指数Px を加味する必
要はなく、リザーバ累積流入量が車体減速度に基づいて
推定されるようにすることもできる。
ても、上記実施形態における演算式に限らず、他の演算
式に従って推定してもよい。また、回転速度換算量I
が、デューティ制御比D等だけでなく、車体減速度に基
づいて推定されるようにすることもできる。モータ52
の回転速度は、モータ52への供給電流が同じであって
も、負荷が大きい場合には小さい場合より小さくなる。
また、ポンプ38が、上記実施形態における場合のよう
に容積型のものである場合には、ホイールシリンダ液圧
が高くなり、吐出圧が高くなると、モータ52に掛かる
負荷が大きくなり、回転速度が低下させられる。モータ
52に掛かる負荷は、ホイールシリンダ液圧が高いほど
大きくなり、ホイールシリンダ液圧は、車体減速度DV
SOが大きいと相対的に高いと推定することができる。し
たがって、車体減速度DVSOが大きいほど回転速度が小
さくなると推定することができ、回転速度が図24にお
ける一点鎖線のように変化すると考えることもできるの
である。この場合には、回転速度対応値I′を、例え
ば、式 I′=G′×I+H′×DVSO に従って演算される値とし、累積流入量KPUMPUP
を、式 KPUMPUP=G* ×I′ に従って求められる大きさと推定することもできる。こ
こで、値G′,H′,G* は、定数である。
積流出量KPUMPUPを推定する必要はなく、モータ
52の回転速度のみに基づいて推定することもできる。
例えば、モータ52の回転速度を直接検出し、その回転
速度に基づいて推定することもできる。上述のように、
モータ52に掛かる負荷はホイールシリンダ液圧が高く
なると大きくなり、回転速度は供給電流量が大きくなる
と大きくなり、負荷が大きくなると小さくなる。したが
って、モータ52が実際に回転している回転速度を検出
すれば、ポンプ38の実際の吐出液量を精度よく推定す
ることができ、リザーバ累積流出量を精度よく推定する
ことができる。モータ52の回転速度は、車体減速度に
関連する車体減速度関連量ではあるが、車体減速度では
ないのである。
定する必要はなく、車体減速度のみに基づいて推定して
もよく、上記実施形態における場合と同様に、モータ5
2に流れる電流等に基づいて推定してもよい。さらに、
ポンプ38は容積型のものに限らず、速度型のものであ
ってもよい。その場合には、ポンプ38の吐出流量がモ
ータの回転速度に必ずしも比例しないため、推定精度が
上記実施形態における場合より低くなるが、回転速度に
基づいて推定することは不可能ではなく、汲上時間のみ
に基づいて推定する場合より推定精度を向上させること
ができる。
々についてS250〜259が実行された後に、リザー
バ液量の推定が行われれるようにされていたが、右前輪
14および左後輪18について実行された後に、リザー
バ44に収容されている作動液量の推定が行われ、図示
しない左前輪および右後輪について実行された後に、他
方のリザーバについての液量の推定が行われるようにし
てもよい。また、液圧回路は、図3に示す回路でなく、
図7,10に示す回路としてもよい。図7,10に示す
回路においては、両ホイールシリンダの作動液が共通の
減圧弁や減圧回路を経て流出させられることがないた
め、両方のホイールシリンダから作動液が流出する場合
と、リヤホイールシリンダのみから作動液が流出する場
合とを区別する必要がなくなり、その分演算を容易にす
ることができる。さらに、上記第一実施形態における各
実施態様を、各々本実施形態に適用することもできる。
の推定や減圧勾配の推定が、リザーバ液量推定プログラ
ムとそれぞれ別個のプログラムの実行により行われてい
たが、これらリザーバ液量の推定、増圧勾配の推定、減
圧勾配の推定が1つのプログラムの実行により行われる
ようにしてもよい。図26のフローチャートのS403
において、前記実施形態における場合と同様に、その車
輪について決定された制御モードが減圧モードか否かが
判定され、減圧モードの場合には、S404において、
前回、増圧モードと保持モードとのいずれか一方であっ
たか否かが判定される。増圧モードや保持モードが設定
された後に減圧モードが設定された場合には、判定がY
ESとなり、S405において、連続増圧時間カウンタ
がクリアされるとともに、連続増圧時間,平均増圧勾配
が前回値とされ、平均増圧勾配が0とされる等、各変数
の初期化が行われる。その後、S406〜410におい
て、連続減圧時間が計測されるとともに、減圧勾配が求
められ、減圧モードが設定される。以下、減圧モードが
設定される間、S406〜410が繰り返し実行され、
減圧勾配の平均値が求められる。
た場合には、S403における判定がNO、S411に
おける判定がYESとなり、S412において、連続減
圧時間カウンタがクリアされ、平均減圧勾配や連続減圧
時間が前回値とされる等の初期化が行われる。S413
において、増圧モードか否かが判定される。増圧モード
か保持モードかが判定されるのであり、増圧モードの場
合には、S414〜420において、連続増圧時間が計
測されるとともに増圧勾配が推定される。増圧モードが
設定される間、S414〜421が繰り返し実行され
る。
3における判定がNOとなり、S414〜420は実行
されない。また、前回の減圧モードと今回の減圧モード
との間に、増圧モードが保持モードを挟んで複数回設定
された場合には、平均増圧勾配,連続増圧時間等がクリ
アされることなく、増圧モードが設定されるとS414
〜420が実行されるため、複数回の増圧モードにおけ
る増圧勾配が平均されることになる。連続増圧時間は、
複数回の増圧モードにおける時間の合計となる。このよ
うに推定された前回の増圧勾配および前回の減圧勾配に
基づいて、流入流量の推定が行われ、S423以降にお
いて、前記実施形態における場合と同様に、リザーバ累
積流入量の推定が行われるとともにリザーバ液量の推定
が行われる。
下の態様でも解決することができる。実施の態様は便宜
上請求項と同じ形式で記載する。各態様は、請求項と同
様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他
の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくま
で、本明細書に記載の技術の理解を容易にするためであ
り、本明細書に記載の技術的特徴およびそれらの組み合
わせが以下の各項に限定されると解釈されるべきではな
い。また、1つの項に複数の事項が記載されている場
合、常に、すべての事項を一緒に採用しなければならな
いものではなく、一部の事項のみを取り出して採用する
ことも可能である。 (1) 車輪の回転を抑制するブレーキのホイールシリン
ダの作動液をリザーバに流出させることによってホイー
ルシリンダ液圧を減圧する液圧制御装置において、当該
液圧制御装置が搭載された車両の車体の減速度を取得す
る減速度取得手段と、前記ホイールシリンダ液圧が減圧
される減圧時間を取得する減圧時間取得手段と、その減
圧時間取得手段によって取得された減圧時間と、前記減
速度取得手段によって取得された減速度とに基づいて前
記リザーバへの作動液累積流入量を推定するリザーバ累
積流入量推定手段とを含むことを特徴とする液圧制御装
置。 (2) 前記リザーバ累積流入量推定手段が、前記減圧の
開始時におけるホイールシリンダ液圧のオーバシュート
量を推定するオーバシュート量推定手段と、そのオーバ
シュート量推定手段によって推定されたオーバシュート
量を前記作動液累積流入量の推定に加味するオーバシュ
ート量加味手段とを含むことを特徴とする(1)項に記載
の液圧制御装置。 (3) 当該液圧制御装置が、前記ホイールシリンダに作
動液を供給してホイールシリンダ液圧を増圧する増圧装
置を含み、前記リザーバ累積流入量推定手段が、少なく
とも前記減圧の開始直前に前記増圧装置により増圧が行
われた増圧時間を 取得する増圧時間取得手段と、その増
圧時間取得手段により取得された増圧時間を前記作動液
累積流入量の推定に加味する増圧時間加味手段とを含む
ことを特徴とする(1)項または(2)項に記載の液圧制御装
置。 (4) リザーバの作動液をポンプにより汲み上げ、車輪
の回転を抑制するブレーキのホイールシリンダに供給す
ることによってホイールシリンダ液圧を増圧する液圧制
御装置において、当該液圧制御装置が搭載された車両の
車体の減速度を取得する減速度取得手段と、前記ポンプ
による作動液の汲上時間を取得する汲上時間取得手段
と、その汲上時間取得手段によって取得された汲上時間
と、前記減速度取得手段によって取得された減速度とに
基づいて前記リザーバからの作動液累積流出量を推定す
るリザーバ累積流出量推定手段とを含むことを特徴とす
る液圧制御装置。 (5) リザーバの作動液をポンプにより汲み上げ、車輪
の回転を抑制するブレーキのホイールシリンダに供給す
ることによってホイールシリンダ液圧を増圧する液圧制
御装置において、前記ポンプを駆動するモータの回転速
度を取得する回転速度取得手段と、前記ポンプによる作
動液の汲上時間を取得する汲上時間取得手段と、その汲
上時間取得手段によって取得された汲上時間と、前記回
転速度取得手段によって取得されたモータ回転速度とに
基づいて前記リザーバからの作動液累積流出量を推定す
るリザーバ累積流出量推定手段とを含むことを特徴とす
る液圧制御装置。 (6)リザーバの作動液をポンプにより汲み上げ、車輪の
回転を抑制するブレーキのホイールシリンダに供給する
ことによってホイールシリンダ液圧を増圧する液圧制御
装置において、当該液圧制御装置が搭載された車両の車
体の減速度を取得する減速度取得手段と、前記ポンプを
駆動するモータの回転速度を取得する回転速度取得手段
と、前記ポンプによる作動液の汲上時間を取得する汲上
時間取得手段と、その汲上時間取得手段によって取得さ
れた汲上時間と、前記減速度取得手段によって取得され
た減速度と、前記回転速度取得手段によって取得された
モータ回転速度とに基づいて前記リザーバからの作動液
累積流出量を推定するリザーバ累積流出量推定手段とを
含む液圧制御装置。車体減速度および汲上時間だけでな
くモータの回転速度も考慮すれば、作動液累積流出量の
推定精度を向上させることができる。例えば、同一の車
体減速度に対して回転速度が大きい場合には小さい場合
より吐出流量が大きいと推定されるようにするのであ
る。 (7)前記リザーバ累積流出量推定手段が、前記ポンプを
駆動するモータの回転速度を取得する回転速度取得手段
と、その回転速度取得手段によって取得されたモータ回
転速度を前記作動液累積流出量の推定に加味する回転速
度加味手段とを含む(4)項に記載の液圧制御装置。例え
ば、前述のように、供給電流を大きくすればモータの回
転速度が大きくなるため、回転速度を加味すれば作動液
累積流出量の推定精度が向上する。減速度と汲上時間と
に基づいて推定された作動液累積流出量が、回転速度に
応じて補正されるようにしてもよく、その場合には、回
転速度加味手段が回転速度対応累積流出量補正手段を含
むことになる。 (8)前記リザーバ累積流出量推定手段が、当該液圧制御
装置が搭載された車両の車体の減速度を取得する減速度
取得手段と、その減速度取得手段によって取得された車
体の減速度を前記作動液累積流出量の推定に加味する減
速度加味手段とを含む(5)項に記載の液圧制御装置。モ
ータの回転速度が大きい場合にはポンプの吐出流量が大
きくなるが、モータへの供給電力が一定であれば、ホイ
ールシリンダ液圧が高く、モータに掛かる負荷が大きく
なるとモータの回転速度は低下し、吐出流量が小さくな
る。したがって、車体減速度を作動液累積流出量の推定
に加味すれば、推定精度が向上する。(7)項と同様に、
回転速度と汲上時間とに基づいて推定された作動液累積
流出量が、車体減速度に応じて補正されるようにしても
よく、その場合には、減速度加味手段が減速度対応累積
流出量補正手段を含むことになる。 (9)(4)〜(8)項のいずれか1つに記載のリザーバ累積流
出量推定手段と、前記ホイールシリンダから流出しリザ
ーバに流入する作動液の累積流入量を推定するリザーバ
累積流入量推定手段と、そのリザーバ累積流入量推定手
段によって推定された作動液累積流入量と、前記リザー
バ累積流出量推定手段によって推定された作動液累積流
出量とに基づいて、リザーバに収容されているリザーバ
液量を推定するリザーバ液量推定手段とを含む液圧制御
装置。リザーバ累積流入量推定手段によって推定された
作動液累積流入量と、リザーバ累積流出量推定手段によ
って推定されたリザーバ累積流出量とに基づいてリザー
バ液量を推定することができる。ホイールシリンダがマ
スタシリンダから遮断された状態で、ホイールシリンダ
液圧が制御される液圧制御装置においては、ホイールシ
リンダ液圧の増圧がリザーバに収容された作動液を使用
して行われることになるため、リザーバ液量を設定液量
以上に保つことが望ましく、リザーバ液量を精度よく推
定することが望ましい。 (10)(1)〜(3)項のいずれか1つに記載のリザーバ累積
流入量推定手段と、前記リザーバからポンプにより汲み
上げられてリザーバから流出する作動液の累積流出量を
推定するリザーバ累積流出量推定手段と、そのリザーバ
累積流出量推定手段によって推定された作動液累積流出
量と、前記リザーバ累積流入量推定手段によって推定さ
れた作動液累積流入量とに基づいてリザーバに収容され
ているリザーバ液量を推定するリザーバ液量推定手段と
を含む液圧制御装置。 (11)(1)〜(3)項のいずれか1つに記載のリザーバ累積
流入量推定手段と、(4)〜(8)項のいずれか1つに記載の
リザーバ累積流出量推定手段と、そのリザーバ累積流出
量推定手段によって推定された作動液累積流出量と、前
記リザーバ累積流入量推定手段によって推定された作動
液累積流入量とに基づいてリザーバに収容されているリ
ザーバ液量を推定するリザーバ液量推定手段とを含む液
圧制御装置。 (12)前記減速度取得手段が、車体の減速度を検出する
減速度センサを含む(1)〜(4)項,(6)〜(11)項のいずれ
か1つに記載の液圧制御装置。 (13)前記減速度取得手段が、車輪の回転速度を検出す
る車輪速センサと、その車輪速センサの検出結果から車
体減速度を推定する車体減速度を推定する車体減速度推
定手段とを含む(1)〜(4)項,(6)〜(11)項のいずれか1
つに記載の液圧制御装置。車体減速度推定手段は、車輪
速センサの検出結果から直接車体減速度を推定するもの
とすることも可能であり、車体速度を推定する車体速度
推定手段と、車体速度推定手段により推定された推定車
体速度の単位時間当たりの変化量として減速度を演算す
る減速度演算手段とを含むものとすることも可能であ
る。 (14)前記減速度取得手段が、前記減圧の開始時に車体
減速度を取得する減圧開始時減速度取得手段と、前記減
圧中に車体減速度を逐次取得する逐次減速度取得手段と
の少なくとも一方を含む(1)〜(4)項,(6)〜(13)項のい
ずれか1つに記載の液圧制御装置。車体減速度の大きさ
は減圧中一定であるとは限らない。したがって、車体減
速度を逐次取得し、それに基づいて作動液の流入流量を
推定することが望ましい。しかし、通常、1回の減圧中
における減速度の変化は比較的小さいため、一定と見な
して差し支えないことが多い。また、減速度取得手段が
車輪速センサの出力信号に基づいて減速度を取得するも
のである場合には、減圧中は車輪速センサの出力信号の
ノイズが大きくなる。そのため、減圧開始時に減速度を
取得すれば、ノイズの影響が小さい減速度を取得できる
という利点もある。 (15)当該液圧制御装置が、前記リザーバとホイールシ
リンダとを接続する減圧通路の途中に設けられ、ホイー
ルシリンダをリザーバに連通させる連通状態とリザーバ
から遮断する遮断状態とに切り換え可能な減圧弁装置
と、その減圧弁装置を連通状態に切り換えることによっ
てホイールシリンダ液圧を減圧する減圧弁装置制御手段
とを含み、かつ、前記減圧時間取得手段が、その減圧弁
装置制御手段によって減圧弁装置が連通状態にされた連
通時間を前記減圧時間として取得する減圧弁装置連通時
間取得手段を含む(1)〜(3),(10)〜(14)項のいずれか1
つに記載の液圧制御装置。減圧弁装置が連通状態に切り
換えられれば、ホイールシリンダがリザーバに連通させ
られ、ホイールシリンダ液圧が減圧される。また、遮断
状態に切り換えられれば、ホイールシリンダはリザーバ
から遮断され、ホイールシリンダ液圧は保持あるいは増
圧される。したがって、減圧弁装置が連通状態にある連
通時間を減圧時間とすることができる。 (16)前記リザーバ累積流入量推定手段が、前記ホイー
ルシリンダ液圧の高さに関連する液圧関連量を推定する
ホイールシリンダ液圧関連量推定手段と、そのホイール
シリンダ液圧関連量推定手段によって推定されたホイー
ルシリンダ液圧を前記作動液累積流入量の推定に加味す
るホイールシリンダ液圧関連量加味手段とを含む(1)
項,(9)〜(14)項のいずれか1つに記載の液圧制御装
置。推定された液圧関連量が作動液累積流入量の推定に
加味されれば、リザーバ累積流入量の推定精度が向上す
る。液圧関連量には、液圧自体や液圧の変化量は勿論、
液圧のオーバシュート量や直前の増圧時間等も該当し、
(2)項,(3)項のオーバシュート量加味手段や増圧時間加
味手段は、ホイールシリンダ液圧関連量加味手段の一態
様である。 (17)前記リザーバ累積流入量推定手段が、単位時間当
たりに前記リザーバに前記ホイールシリンダから流入す
る作動液量である流入流量を推定する流入流量推定手段
を含む(1)〜(3),(9)〜(16)項のいずれか1つに記載の
液圧制御装置。減圧時間が同じ場合には、流入流量が大
きいほどリザーバへの作動液累積流入量が多くなる。流
入流量は、例えば、車体減速度に基づいて減速度対応流
入流量推定手段によって推定することができる。車体減
速度が大きい場合には、ホイールシリンダ液圧が高いと
推定することができ、流入流量が大きいと推定すること
ができる。なお、ホイールシリンダ液圧が液圧検出装置
によって直接検出されるようにすることもでき、その検
出されたホイールシリンダ液圧に基づいて液圧対応流入
流量推定手段によって流入流量が推定されるようにして
もよい。 (18)前記減圧時間取得手段が、前記ホイールシリンダ
液圧が連続して減圧される連続減圧時間を取得する連続
減圧時間取得手段を含み、前記リザーバ累積流入量推定
手段が、その連続減圧時間取得手段によって取得された
連続減圧時間に基づいて前記リザーバに単位時間当たり
に前記ホイールシリンダから流入する作動液量である流
入流量を推定する連続減圧時間対応流入流量推定手段を
含む(1)〜(3),(10)〜(17)項のいずれか1つに記載の液
圧制御装置。連続減圧時間が長くなると、ホイールシリ
ンダの液圧が低くなり、リザーバ液圧との差が小さくな
るため、流入流量が小さくなると推定することができ
る。また、流入流量が、連続減圧時間および車体の減速
度に基づいて推定されれば、車体減速度のみに基づいて
推定される場合より推定精度が向上する。例えば、車体
減速度が大きく連続減圧時間が未だ短い状態では流入流
量が大きいと推定することができるが、車体減速度が小
さく連続減圧時間が長くなった状態では流入流量が小さ
いと推定することができる。車体減速度が同じ場合に
は、連続減圧時間が長くなるにつれて流入流量が小さく
なると推定し、連続減圧時間が同じ場合には、減速度が
大きいほど流入流量が大きくなると推定することができ
る。連続減圧時間対応流入流量推定手段は、流入流量の
大きさが連続減圧時間の経過に伴って段階的に変化する
と推定する流入流量段階変化推定手段を含むものであっ
ても、連続的に変化すると推定する流入流量連続変化推
定手段を含むものであっても、連続減圧中は変化せず一
定であると推定する流入流量一定推定手段を含むもので
あってもよい。 (19)前記リザーバ累積流入量推定手段が、前記減圧開
始時におけるホイールシリンダ液圧のオーバシュート量
を推定するオーバシュート量推定手段と、そのオーバシ
ュート量推定手段によって推定されたオーバシュート量
に応じて前記作動液累積流入量を補正するオーバシュー
ト量対応累積流入量補正手段とを含む(1),(10)〜(18)
項のいずれか1つに記載の液圧制御装置。オーバシュー
ト量を加味して作動液累積流入量を推定することと、推
定された作動液累積流入量をオーバシュート量に応じて
補正することとは近似した概念である。本態様において
は、例えば、作動液累積流入量に補正量を加えたり、補
正量を掛けたりすることができ、その補正量の大きさ
を、オーバシュート量と基準オーバシュート量との差が
大きい場合には大きく、小さい場合には小さくすること
ができる。前者の補正量を加える場合には、オーバシュ
ート量が基準オーバシュート量の場合には補正量が0と
なり、後者の掛ける場合には1となる。また、オーバシ
ュート量対応流入流量補正手段によって、流入流量が上
述と同様に補正される場合もあるが、その場合において
も、結果的に作動液累積流入量が補正されることにな
り、オーバシュート量を加味して作動液累積流入量が推
定されることになる。 (20)前記オーバシュート量推定手段が、前記車輪の減
速度を取得する車輪減速度取得手段と、その車輪減速度
取得手段によって取得された車輪減速度に基づいてオー
バシュート量を推定する車輪減速度対応オーバシュート
量推定手段とを含む(2),(3),(10)〜(19)項のいずれか
1つに記載の液圧制御装置。 (21)当該液圧制御装置を含むブレーキ装置が、ブレー
キ操作部材の操作状態に応じた液圧を発生させる液圧発
生装置を含み、前記オーバシュート量推定手段が、前記
ブレーキ操作部材が操作されつつある状態における前記
ホイールシリンダの液圧の単位時間当たりの増加量を取
得するブレーキ操作時増圧勾配取得手段と、そのブレー
キ時増圧勾配取得手段によって取得されたブレーキ操作
時増圧勾配に基づいて前記オーバシュート量を推定する
ブレーキ操作時増圧勾配対応オーバシュート量推定手段
とを含む(2),(3),(10)〜(20)項のいずれか1つに記載
の液圧制御装置。ホイールシリンダの液圧の増圧勾配が
大きい場合には、オーバシュート量が大きくなるため、
オーバシュート量を増圧勾配に基づいて推定することが
できる。また、ホイールシリンダ液圧の増圧勾配が大き
い場合には、減圧が開始される時点におけるホイールシ
リンダ液圧が大きくなり、ホイールシリンダ液圧が大き
い場合には、車輪減速度が大きくなる。したがって、車
輪減速度に基づいてオーバシュート量を推定することも
できる。 (22)当該液圧制御装置を含むブレーキ装置が、ブレー
キ操作部材の操作状態に応じた高さの液圧を発生させる
液圧発生装置を含み、前記オーバシュート量推定手段
が、前記ブレーキ操作部材の操作速度を取得する操作速
度取得手段と、その操作速度取得手段によって取得され
た操作速度に基づいてオーバシュート量を推定する操作
速度対応オーバシュート量推定手段とを含む(2),(3),
(10)〜(21)項のいずれか1つに記載の液圧制御装置。ブ
レーキ操作部材が急激に操作された場合には、ホイール
シリンダ液圧の増圧勾配が大きくなるため、操作速度に
基づいてオーバシュート量を推定することができる。操
作速度は、操作ストローク変化速度であっても、操作力
変化速度であってもよい。さらに操作速度の変化量をも
加味すれば、オーバシュート量の推定精度を向上させる
ことができる。 (23)当該液圧制御装置が、前記ホイールシリンダ液圧
を、前記車輪の制動スリップがほぼ適正値になるように
制御するアンチスキッド制御手段を含み、前記オーバシ
ュート量加味手段が、アンチスキッド制御手段によって
減圧制御が最初に行われた場合における作動液累積流入
量の推定に前記オーバシュート量推定手段により推定さ
れたオーバシュート量を加味する初回減圧時オーバシュ
ート量加味手段を含む(2),(3),(10)〜(22)項のいずれ
か1つに記載の液圧制御装置。オーバシュート量が大き
くなるのは、ブレーキ操作部材の操作速度が大きい場合
の最初の減圧開始時が多く、アンチスキッド制御の途
中、すなわち、アンチスキッド制御手段により増圧制御
や保持制御から減圧制御に切り換えられた場合のオーバ
シュート量はそれほど大きくなく、ばらつきも小さいの
が普通である。したがって、初回の減圧時にオーバシュ
ート量を加味するのが効果的である。同様に、オーバシ
ュート量対応累積流入量補正手段による補正が行われる
のも、初回減圧時のみとすることができる。この場合に
は、オーバシュート量対応累積流入量補正手段が初回減
圧時オーバシュート量対応累積流入量補正手段となる。 (24)当該液圧制御装置が、前記ホイールシリンダに作
動液を供給してホイールシリンダ液圧を増圧する増圧装
置を含み、前記リザーバ累積流入量推定手段が、少なく
とも前記減圧開始の直前に前記増圧装置により増圧が行
われた増圧時間を取得する増圧時間取得手段と、その増
圧時間取得手段により取得された増圧時間に応じて前記
作動液累積流入量を補正する増圧時間対応リザーバ累積
流入量補正手段とを含む(1),(2),(9)〜(22)項のいず
れか1つに記載の液圧制御装置。増圧時間対応リザーバ
累積流入量補正手段は、作動液累積流入量自体を増圧時
間に応じて補正するものとすることも、リザーバへの作
動液流入流量を増圧時間に応じて補正することにより結
果的に作動液累積流入量を補正するものとすることも可
能である。後者の場合には、リザーバ累積流入量推定手
段を、例えば、流入流量推定手段と、その流入流量推定
手段により推定された流入流量を増圧時間に応じて補正
する増圧時間対応流入流量補正手段と、その増圧時間対
応流入流量補正手段により補正された補正流入流量に基
づいて作動液累積流入量を演算するリザーバ累積流入量
演算手段とを含むものとすればよい。また、補正量は、
例えば、増圧時間と基準増圧時間との差が大きい場合に
は小さい場合より大きくしたり、前回の増圧時間と前々
回の増圧時間との差に基づいて大きさを決めたり、前回
の増圧時間のみならず、増圧勾配や直前の減圧時間,減
圧勾配等も考慮して決めたりすることができる。 (25)当該液圧制御装置が、前記ホイールシリンダに作
動液を供給してホイールシリンダ液圧を増圧する増圧装
置を含み、前記リザーバ累積流入量推定手段が、前記減
圧開始直前に前記増圧装置による増圧が行われた場合に
おける増圧勾配を取得する増圧制御時増圧勾配取得手段
と、その増圧制御時増圧勾配取得手段によって取得され
た増圧制御時増圧勾配を前記作動液累積流入量の推定に
加味する増圧制御時増圧勾配加味手段とを含む(1)〜
(3),(10)〜(24)項のいずれか1つに記載の液圧制御装
置。増圧時間に加えてあるいは単独で増圧勾配を作動液
累積流入量の推定に加味すれば、減圧開始時におけるホ
イールシリンダ液圧の推定精度を向上させることがで
き、作動液累積流入量の推定精度を向上させることがで
きる。また、流入流量の推定時に増圧勾配が加味される
ようにすることにより結果的に作動液累積流入量の推定
に加味されるようにすることができる。 (26)前記減圧時間取得手段が、ホイールシリンダ液圧
が前回減圧された場合の減圧時間を取得する前回減圧時
間取得手段を含み、前記リザーバ累積流入量推定手段
が、その前回減圧時間取得手段によって取得された減圧
時間を作動液累積流入量の推定に加味する前回減圧時間
加味手段を含む(1)〜(3),(10)〜(25)項のいずれか1つ
に記載の液圧制御装置。前回の減圧時間を加味すれば、
減圧開始時におけるホイールシリンダ液圧の推定精度を
向上させることができ、作動液累積流入量の推定精度を
向上させることができる。 (27)前記リザーバ累積流入量推定手段が、前回の減圧
時における減圧勾配を取得する前回減圧勾配取得手段
と、その前回減圧勾配取得手段によって取得された減圧
勾配を前記作動液累積流入量の推定に加味する前回減圧
勾配加味手段とを含む(1)〜(3),(10)〜(26)項のいずれ
か1つに記載の液圧制御装置。前回の減圧時間ととも
に、あるいは単独で減圧勾配を加味すれば、減圧開始時
におけるホイールシリンダ液圧の推定精度を向上させる
ことができ、作動液累積流入量の推定精度を向上させる
ことができる。また、減圧勾配や増圧勾配を直接取得し
なくても、増圧勾配と減圧勾配との比率を取得すればよ
い場合もある。増圧勾配と減圧勾配との比率は、減圧オ
リフィス径等の回路の構造やポンプの吐出流量,流入流
量等に基づいて、増圧・減圧勾配比率推定手段によって
推定することができる。 (28)車輪の回転を抑制するブレーキのホイールシリン
ダの作動液をリザーバに流出させることによってホイー
ルシリンダ液圧を減圧する液圧制御装置において、前記
ホイールシリンダ液圧が減圧される減圧時間を取得する
減圧時間取得手段と、前記ホイールシリンダの液圧を検
出する液圧検出装置と、その液圧検出装置によって検出
されたホイールシリンダ液圧と、前記減圧時間取得手段
によって取得された減圧時間とに基づいて前記リザーバ
への作動液累積流入量を推定するリザーバ累積流入量推
定手段とを含む液圧制御装置。ホイールシリンダ液圧を
直接検出し、作動液累積流入量をその液圧値に基づいて
推定すれば、推定精度を向上させることができる。ホイ
ールシリンダ液圧は、減圧開始時のみに検出されるよう
にしても、減圧中逐次検出されるようにしてもよい。 (29)前記汲上時間取得手段が、前記ポンプの作動時間
を汲上時間として取得するポンプ作動時間取得手段を含
む(4)〜(9),(11)〜(14)項のいずれか1つに記載の液圧
制御装置。ポンプの作動時間が長ければ、リザーバから
汲み上げられる作動液の量が多くなり、作動液累積流出
量が多くなる。ポンプからの吐出流量は一定と見なして
も、変化するとしてもよい。また、減圧開始時のホイー
ルシリンダ液圧に基づいて車体減速度を推定することが
できるため、ホイールシリンダ液圧を車体減速度関連量
の一態様と考えることができる。この場合には、リザー
バ累積流入量が車体減速度関連量に基づいて推定される
ことになる。 (30)当該液圧制御装置が、前記モータへの供給電流を
制御するモータ供給電流制御手段を含み、かつ、前記回
転速度取得手段が、前記モータ供給電流制御手段により
供給された電流と、少なくともモータの回転部の慣性の
大きさとに基づいて前記モータの回転速度を推定する供
給電流・慣性対応回転速度推定手段を含む(5)〜(9),(1
1),(29)項のいずれか1つに記載の液圧制御装置。供給
電流を大きくすれば、モータの回転速度が大きくなる
が、供給電流を変化させても、モータの回転部およびポ
ンプの可動部の慣性により回転速度は直ちには変化しな
い。したがって、供給電流と少なくともモータの回転部
の慣性とに基づいて、電流の変化過渡期における回転速
度を推定することが望ましい。 (31)前記回転速度取得手段が、モータの回転速度を直
接検出する回転速度検出装置を含む(5)〜(9),(11),(2
9)項のいずれか1つに記載の液圧制御装置。モータの回
転速度はそれによって駆動されるポンプの吐出流量と密
接に関連している。したがって、回転速度検出装置によ
り検出されたモータの回転速度を作動液流出流量または
作動液累積流出量の推定に加味すれば推定精度を向上さ
せることができる。また、モータへの供給電流を多くす
れば回転速度が大きくなり、同一の供給電流について
は、ホイールシリンダ液圧が高い場合にはモータに掛か
る負荷が大きくなって回転速度が低下するため、モータ
への供給電流が一定の場合には、モータの回転速度のみ
からホイールシリンダ液圧を推定し得、モータへの供給
電流が変えられる場合には、モータの回転速度をエンコ
ーダ等によって直接検出し、その回転速度とその時の供
給電流とからモータに掛かる負荷を推定し得、ホイール
シリンダ液圧を推定し得る。 (32)前記リザーバ累積流出量推定手段が、単位時間当
たりに前記ポンプから吐出される液量である吐出流量を
推定するポンプ吐出流量推定手段を含む(4)〜(9),(1
1),(29)〜(31)項のいずれか1つに記載の液圧制御装
置。吐出流量を例えば減速度に基づいて推定すれば、作
動液累積流出量の推定精度を向上させることができる。
汲上時間が同じ場合には吐出流量が大きいほど作動液累
積流出量が大きくなる。 (33)前記ポンプの吐出流量が前記モータの回転速度に
応じて決まるものであり、前記リザーバ累積流出量推定
手段が、単位時間当たりに前記ポンプから吐出される液
量である吐出流量を推定するポンプ吐出流量推定手段を
含み、その吐出流量推定手段が、前記モータの回転速度
に基づいて吐出流量を推定する回転速度対応吐出流量推
定手段を含む(5),(29)〜(32)項のいずれか1つに記載
の液圧制御装置。ポンプが回転速度と吐出流量とが一対
一に対応するものである場合には、モータの回転速度
(すなわちポンプの回転速度)に基づいて吐出流量を精
度よく推定することができる。 (34)リザーバの作動液をポンプにより汲み上げ、車輪
の回転を抑制するブレーキのホイールシリンダに供給す
ることによってホイールシリンダ液圧を増圧する液圧制
御装置において、前記ポンプを駆動するモータに流れる
電流を取得する電流取得装置と、前記ポンプによる作動
液の汲上時間を取得する汲上時間取得手段と、その汲上
時間取得手段によって取得された汲上時間と、前記電流
取得装置によって取得された電流とに基づいて前記リザ
ーバから流出させられる作動液の累積流出量を推定する
リザーバ累積流出量推定手段とを含む液圧制御装置。モ
ータに掛けられる電圧が同じであれば、ポンプに掛かる
負荷が大きいほど電流が大きくなる。したがって、同じ
汲上時間に対して、電流が大きいほどホイールシリンダ
液圧が高く、ポンプの吐出流量が小さく、作動液累積流
出量が小さいと推定することができる。このようにモー
タに流れる電流を取得することによってモータに掛かる
負荷の大きさを推定することができるため、電流取得手
段は、モータ負荷推定手段でもある。また、上述のよう
に、モータに掛けられる電圧が同じであれば、モータに
流れる電流が大きい場合にはモータの回転速度が小さい
と推定することができるため、電流取得装置によって取
得された電流に基づいて回転速度を推定することができ
る。この場合、回転速度は負荷対応回転速度推定手段に
よって推定されることになる。さらに、モータに掛かる
負荷が大きい場合には、ホイールシリンダ液圧が大きい
と推定することができるため、電流取得装置によって取
得された電流に基づいてホイールシリンダ液圧を推定す
ることができる。この場合には、リザーバ累積流出量推
定手段によるリザーバ累積流出量の推定にモータ負荷加
味手段によってモータの負荷が加味されると考えたり、
電流加味手段によってモータに流れる電流が加味される
と考えたりすることができる。 (35)リザーバの作動液をポンプにより汲み上げ、車輪
の回転を抑制するブレーキのホイールシリンダに供給す
ることによってホイールシリンダ液圧を増圧する液圧制
御装置において、前記ポンプによる作動液の汲上時間を
取得する汲上時間取得手段と、前記ポンプの作動状態を
推定するポンプ作動状態推定手段と、そのポンプ作動状
態推定手段によって推定されたポンプの作動状態と、前
記汲上時間取得手段によって取得された汲上時間とに基
づいて前記リザーバから流出させられる作動液累積流出
量を推定するリザーバ累積流出量推定手段とを含む液圧
制御装置。ポンプ作動状態推定手段には、例えば、吐出
流量推定手段,ポンプ回転速度推定手段,ポンプ回転速
度変化量推定手段等が含まれる。 (36)リザーバの作動液をポンプにより汲み上げ、車輪
の回転を抑制するブレーキのホイールシリンダに供給す
ることによってホイールシリンダ液圧を増圧する液圧制
御装置において、前記ホイールシリンダの液圧を検出す
る液圧検出装置と、前記ポンプによる作動液の汲上時間
を取得する汲上時間取得手段と、その汲上時間取得手段
によって取得された汲上時間と、前記液圧検出装置によ
って検出されたホイールシリンダ液圧とに基づいて前記
リザーバから流出させられる作動液累積流出量を推定す
るリザーバ累積流出量推定手段とを含む液圧制御装置。
ホイールシリンダ液圧を直接検出すれば、作動液累積流
出量の推定精度を向上させることができる。液圧検出装
置は、ホイールシリンダ液圧を増圧開始時のみに取得す
る増圧開始時液圧検出手段を含むものであって、増圧中
逐次取得する逐次液圧検出手段を含むものであってもよ
い。 (37)当該液圧制御装置が、マスタシリンダと前記ホイ
ールシリンダとを接続する主液通路の途中に設けられ、
前記マスタシリンダとホイールシリンダとを連通させる
連通状態とこれらを遮断する遮断状態とに切り換え可能
な遮断弁装置と、前記リザーバとホイールシリンダとを
接続する減圧通路の途中に設けられ、ホイールシリンダ
をリザーバに連通させる連通状態とリザーバから遮断す
る遮断状態とに切り換え可能な減圧弁装置と、前記リザ
ーバの作動液を汲み上げるポンプと、そのポンプの吐出
口とホイールシリンダとを接続する増圧通路の途中に設
けられ、ホイールシリンダとポンプの吐出口とを連通さ
せる連通状態とこれらを遮断する遮断状態とに切り換え
可能な増圧弁装置と、前記遮断弁装置を遮断状態に切り
換えた状態において、前記減圧弁装置および増圧弁装置
を各々連通状態と遮断状態とに切り換えることによっ
て、前記ホイールシリンダ液圧を、前記車輪の制動スリ
ップ状態がほぼ適正状態になるように制御するアンチス
キッド制御手段とを含む(1)項〜(36)項のいずれか1つ
に記載の液圧制御装置。増圧弁装置が連通状態に切り換
えられた場合には、ポンプによって汲み上げられた作動
液がホイールシリンダに供給される。遮断状態に切り換
えられた場合には、ポンプによって汲み上げられた作動
液はホイールシリンダに供給されず、例えばリリーフ弁
を経てリザーバに戻される。減圧弁装置が連通状態に、
増圧弁装置が遮断状態に切り換えられれば、ホイールシ
リンダがポンプから遮断されてリザーバに連通させられ
るため、ホイールシリンダ液圧が減圧される。減圧弁装
置が遮断状態に、増圧弁装置が連通状態に切り換えられ
れば、ホイールシリンダがリザーバから遮断されてポン
プに連通させられるため、ホイールシリンダ液圧が増圧
される。また、減圧弁装置および増圧弁装置が共に遮断
状態に切り換えられれば、ホイールシリンダはポンプか
らもリザーバからも遮断されるため、ホイールシリンダ
液圧は保持される。本態様のアンチスキッド制御手段に
よれば、ホイールシリンダがマスタシリンダから遮断さ
れた状態において、ホイールシリンダ液圧が減圧,増
圧,保持される。アンチスキッド制御時にマスタシリン
ダとホイールシリンダとを遮断するのは、ブレーキペダ
ルのキックバックを防止するためである。なお、増圧弁
装置をホイールシリンダとポンプの吐出口とを遮断する
際にはポンプの吐出口とリザーバとを連通させる方向切
換弁装置とすることも可能である。また、遮断弁装置と
減圧弁装置,遮断弁装置と増圧弁装置,減圧弁装置と増
圧弁装置とを、各々1つの弁装置とすることも可能であ
る。遮断弁装置と減圧弁装置または増圧弁装置とを1つ
の弁装置とする場合にはそれに接続されるすべての液通
路を遮断する遮断位置を有するものとすることが望まし
い。さらに、増圧弁装置は、増圧通路と主液通路との共
通部分に設けても、増圧通路の主液通路への接続部より
増圧通路側(増圧通路専用部)に設けてもよい。 (38)前記増圧時間取得手段が、前記アンチスキッド制
御手段によってホイールシリンダ液圧を増圧させる増圧
モードが設定されている時間を増圧時間として取得する
増圧モード設定時間取得手段を含む(37)項に記載の液圧
制御装置。増圧時間を増圧モードが設定されている時間
とすることができる。また、増圧モードが設定されてい
る間においても、前記増圧弁装置が連通状態と遮断状態
とに交互に切り換えられるデューティ増圧制御やパルス
増圧制御が行われる場合があるが、これらの場合には、
増圧弁装置が連通状態にある時間のみを増圧時間として
もよい。また、同様に、減圧時間取得手段が、前記アン
チスキッド制御手段によってホイールシリンダ液圧を減
圧させる減圧モードに設定されている時間を減圧時間と
して取得する減圧モード設定時間取得手段を含むものと
することができる。 (39)当該液圧制御装置が、マスタシリンダと前記ホイ
ールシリンダとを接続する主液通路の途中に設けられ、
前記マスタシリンダとホイールシリンダとを連通させる
連通状態とこれらを遮断する遮断状態とに切り換え可能
な遮断弁装置と、前記リザーバとホイールシリンダとを
接続する減圧通路の途中に設けられ、ホイールシリンダ
をリザーバに連通させる連通状態とリザーバから遮断す
る遮断状態とに切り換え可能な減圧弁装置と、リザーバ
の作動液を汲み上げるポンプと、そのポンプの吸入口と
リザーバとを接続する汲上通路の途中に設けられ、ポン
プの吸入口をリザーバに連通させる連通状態とリザーバ
から遮断する遮断状態とに切り換え可能な汲上制御弁装
置と、前記遮断弁装置を遮断状態に切り換えた状態にお
いて、前記減圧弁装置および汲上制御弁装置を各々連通
状態と遮断状態とに切り換えることによって、前記ホイ
ールシリンダ液圧を、前記車輪の制動スリップ状態がほ
ぼ適正状態になるように制御するアンチスキッド制御手
段とを含む(1)〜(36)項のいずれか1つに記載の液圧制
御装置。汲上弁装置が連通状態に切り換えられた場合に
は、リザーバの作動液がポンプによって汲み上げられ、
その汲み上げられた作動液がホイールシリンダに供給さ
れる。遮断状態に切り換えられた場合には、ポンプには
作動液が供給されず、空回りにすることになる。減圧弁
装置,汲上制御弁装置を連通状態,遮断状態に切り換え
ることによってホイールシリンダ液圧を減圧,増圧,保
持することができる。 (40)前記増圧時間取得手段が、前記汲上制御弁装置が
連通状態にある連通時間を増圧時間とする汲上制御弁装
置連通時間取得手段を含む(39)項に記載の液圧制御装
置。本態様で取得された増圧時間を(4),(5)項の汲上時
間とすることもでき、汲上制御弁装置連通時間取得手段
は汲上時間取得手段の一態様でもある。 (41)前記アンチスキッド制御手段が、前記リザーバ累
積流出量推定手段によって推定された作動液累積流出量
と、前記リザーバ累積流入量推定手段によって推定され
た作動液累積流入量とに基づいて前記リザーバに収容さ
れているリサーバ液量を推定するリザーバ液量推定手段
と、そのリザーバ液量推定手段によって推定されたリザ
ーバ液量が設定液量より少ない場合には、前記遮断弁装
置を連通状態に切り換える遮断弁装置制御手段とを含む
(37)〜(40)項のいずれか1つに記載の液圧制御装置。ア
ンチスキッド制御中にはホイールシリンダがマスタシリ
ンダから遮断されているため、リザーバ液量が設定液量
より少なくなると、ホイールシリンダに供給する作動液
が不足し、増圧できなくなる恐れがある。それを回避す
るために、リザーバ液量が設定液量より少なくなると、
遮断弁装置を連通状態に切り換え、マスタシリンダの作
動液をホイールシリンダに供給するのである。 (42)前記アンチスキッド制御手段が、前記遮断弁装置
を連通状態と遮断状態とに短い時間間隔で交互に切り換
える遮断弁装置デューティ制御手段を含む(37)〜 (41)項
のいずれか1つに記載の液圧制御装置。リザーバ液量が
設定液量より少なくなって、マスタシリンダからホイー
ルシリンダへの作動液の流入を許容する場合に、遮断弁
装置を連通状態と遮断状態とに短い時間間隔で交互に切
り換えれば、連通状態に保つ場合よりホイールシリンダ
の液圧の増圧勾配を抑制することができる。
が、特許請求の範囲を逸脱することなく当業者の知識に
基づいて種々の変形,改良を施した態様で本発明を実施
することができる。
トローラのROMに格納されたリザーバ液量推定プログ
ラムを示すフローチャートである。
ップ選択プログラムを示すフローチャートである。
置の回路図である。
示す図である。
定マップを表す図である。
載された液圧ブレーキ装置の回路図である。
納されたリザーバ液量推定プログラムを示すフローチャ
ートである。
ップ選択プログラムを示すフローチャートである。
装置が搭載された液圧ブレーキ装置の回路図である。
置のコントローラのROMに格納されたメインプログラ
ムを示すフローチャートである。
マ割込みプログラムを示すフローチャートである。
チスキッド制御プログラムの一部およびリザーバ液量推
定プログラムを示すフローチャートである。
流量推定プログラムを示すフローチャートである。
流量演算係数選択テーブルを示す図である。
流量演算係数選択テーブルを示す図である。
量と連続減圧時間との関係を示す図である。
を示す図である。
流量演算係数決定プログラムを示すフローチャートであ
る。
勾配推定プログラムを示すフローチャートである。
勾配推定プログラムを示すフローチャートである。
ールシリンダ液圧のオーバシュート量を概念的に表した
図である。
バシュート対応量演算プログラムを示すフローチャート
である。
係を示す図である。
流出量推定プログラムを示すフローチャートである。
御装置のコントローラのROMに格納されたアンチスキ
ッド制御プログラムの一部およびリザーバ液量推定プロ
グラムを示すフローチャートである。
Claims (4)
- 【請求項1】 車輪の回転を抑制するブレーキのホイー
ルシリンダの作動液をリザーバに流出させることによっ
てホイールシリンダ液圧を減圧する液圧制御装置におい
て、 当該液圧制御装置が搭載された車両の車体の減速度を取
得する減速度取得手段と、 前記ホイールシリンダ液圧が減圧される減圧時間を取得
する減圧時間取得手段と、 その減圧時間取得手段によって取得された減圧時間と、
前記減速度取得手段によって取得された減速度とに基づ
いて前記リザーバへの作動液累積流入量を推定する手段
であって、(a)前記減圧の開始時におけるホイールシリ
ンダ液圧のオーバシュート量を推定するオーバシュート
量推定手段と、(b)そのオーバシュート量推定手段によ
って推定されたオーバシュート量を前記作動液累積流入
量の推定に加味するオーバシュート量加味手段とを備え
たリザーバ累積流入量推定手段とを含むことを特徴とす
る液圧制御装置。 - 【請求項2】 当該液圧制御装置が、前記ホイールシリ
ンダに作動液を供給してホイールシリンダ液圧を増圧す
る増圧装置を含み、前記リザーバ累積流入量推定手段
が、少なくとも前記減圧の開始直前に前記増圧装置によ
り増圧が行われた増圧時間を取得する増圧時間取得手段
と、その増圧時間取得手段により取得された増圧時間を
前記作動液累積流入量の推定に加味する増圧時間加味手
段とを含むことを特徴とする請求項1に記載の液圧制御
装置。 - 【請求項3】 車輪の回転を抑制するブレーキのホイー
ルシリンダの作動液をリザーバに流出させることによっ
てホイールシリンダ液圧を減圧し、前記ホイールに作動
液を供給してホイールシリンダ液圧を増圧する液圧制御
装置において、 当該液圧制御装置が搭載された車両の車体の減速度を取
得する減速度取得手段と、 前記ホイールシリンダが減圧される減圧時間を取得する
減圧時間取得手段と、 その減圧時間取得手段によって取得された減圧時間と、
前記減速度取得手段によって取得された減速度とに基づ
いて前記リザーバへの作動液累積流入量を推定する手段
であって、(a)少なくとも前記減圧の開始直前に前記ホ
イールシリンダ液圧の増圧が行われた増圧時間を取得す
る増圧時間取得手段と、(b)その増圧時間取得手段によ
り取得された増圧時間を前記作動液累積流入量の推定に
加味する増圧時間加味手段とを備えたリザーバ累積流入
量推定手段とを含むことを特徴とする液圧制御装置。 - 【請求項4】 リザーバの作動液をポンプにより汲み上
げ、車輪の回転を抑制するブレーキのホイールシリンダ
に供給することによってホイールシリンダ液圧を増圧す
る液圧制御装置において、 前記ポンプを駆動するモータの回転速度を取得する回転
速度取得手段と、 前記ポンプによる作動液の汲上時間を取得する汲上時間
取得手段と、 その汲上時間取得手段によって取得された汲上時間と、
前記回転速度取得手段によって取得されたモータ回転速
度とに基づいて前記リザーバからの作動液累積流出量を
推定するリザーバ累積流出量推定手段とを含むことを特
徴とする液圧制御装置。
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1996
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