JPH0986382A - 車両の制動力制御装置 - Google Patents

車両の制動力制御装置

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JPH0986382A
JPH0986382A JP25078295A JP25078295A JPH0986382A JP H0986382 A JPH0986382 A JP H0986382A JP 25078295 A JP25078295 A JP 25078295A JP 25078295 A JP25078295 A JP 25078295A JP H0986382 A JPH0986382 A JP H0986382A
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JP
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vehicle
pressure
wheel
brake fluid
road surface
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JP25078295A
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Haruki Okazaki
晴樹 岡崎
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Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ABS制御システムにおいて、車両停止時の
ABS制御終了に伴うホイールシリンダ緩増圧時のブレ
ーキペダルの脈動を抑制する。 【解決手段】 車体速度と車輪速度とに基いて車両制動
時の各車輪のロック傾向を判定し、制動用ホイールシリ
ンダのブレーキ液圧を適切に制御することによって安定
した車両制動状態を実現するとともに、該制御終了後所
定時間内上記ホイールシリンダのブレーキ液圧を増圧す
るようにしてなる車両の制動力制御装置において、減速
時、所定値以下の車速になると、増圧率を下げるなどの
方法により上記ブレーキ液圧の増圧を抑制制御するよう
にした。その結果、ブレーキペダルの脈動も低減され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、ABS制御シス
テム等の車両の制動力制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】最近の車両では、車体速度と各車輪の車
輪速度とに基いて車両制動時の各車輪のロック傾向を判
定(予測)し、制動用ホイールシリンダのブレーキ液圧
を適切に制御(制動規制)することによって、スピン等
の恐れのない安定した車両制動状態を実現するようにし
た車両の制動力制御装置(所謂ABSシステム)が多く
採用されるようになっている(例えば特開平6−560
18号公報参照)。
【0003】ところで、該装置では、次回の制御時に確
実に各ホイールシリンダのブレーキ液圧を抜くことがで
きるように、一般に当該周期のABS制御終了後には所
定時間内又は実際に各車輪側ホイールシリンダ内の液圧
がブレーキペダル側マスターシリンダの液圧と等しくな
るまで緩増圧制御するように構成されている(例えば特
開平4−197864号公報参照)。
【0004】例えば、上記ABS制御により各ホイール
シリンダから抜かれたブレーキ液は、一般に脈動吸収タ
ンク(アキュームレータ)内に一時的に保留され、その
後、液ポンプによってマスタシリンダ側に戻されるよう
になっており、いつまでも上記脈動吸収タンク内にブレ
ーキ液が残っていたのでは、次の周期のABS制御時に
十分な減圧を行うことができない。そこで、上記のよう
な緩増圧制御を行って、該問題に対する対策を行ってい
る訳である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、以上のよう
にABS制御終了後に、緩増圧するようにした場合、例
えば図16からも理解されるように、所定ステップ毎の
段階的な増圧が車両停止後も続くことによなり、その圧
力変動がブレーキペダルに伝達されて脈動を生じる問題
がある。
【0006】該ブレーキペダルの脈動は、運転者に対
し、車両停止時にもABSシステムが作動しているかの
ような違和感を与え、また同時にポンプの作動音も加わ
るので、一種の耳障りなノイズ音ともなる。
【0007】このような問題を解決するには、車両が停
止に到るまでのできるだけ早い時期にABS制御を終了
して早目に緩増圧を行うようにすることが考えられる
が、路面状況等によっては可能な限りABS制御を停車
時まで維持させたいという事情もある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願発明は、以上のよう
な問題を解決することを目的としてなされたもので、例
えば次のように当該目的に対応した種々の観点からの課
題解決手段を備えて構成されている。
【0009】すなわち、先ず本願発明は、車体速度と車
輪速度とに基いて車両制動時の各車輪のロック傾向を判
定し、制動用ホイールシリンダのブレーキ液圧を適切に
制御することによって安定した車両制動状態を実現する
とともに、該制御終了後所定時間内上記ホイールシリン
ダのブレーキ液圧を増圧するようにしてなる車両の制動
力制御装置において、減速時、停止状態に近いと見るこ
とができる所定値以下の車速になると、その時点で上記
ブレーキ液圧の増圧を抑制制御するようにしている。
【0010】したがって、車両が停止した状態では、す
でにホイールシリンダの増圧動作は抑制されており、圧
力変動は小さく、ブレーキペダルの脈動も殆ど感じない
ようになる。また、ポンプ作動音も低くなっていて殆ど
気にならなくなる。
【0011】そして、上記増圧の抑制制御は、例えば具
体的には、上記増圧率を小さくするか、又は増圧動作そ
のものを禁止することによってなされる。増圧率を小さ
くすれば、上述の抑制作用を適切に実現することができ
るし、また増圧自体を禁止して行わないようにすれば、
通常のノーマルブレーキ状態となってブレーキペダルの
脈動やポンプ音は完全に解消される。
【0012】また、本願発明の車両の制動力制御装置
は、上記同様、車体速度と車輪速度とに基いて車両制動
時の各車輪のロック傾向を判定し、制動用ホイールシリ
ンダのブレーキ液圧を適切に制御することによって安定
した車両制動状態を実現するとともに、他方上記減速時
における車速が所定値以下になった時に当該制御を終了
し、該制御終了後所定時間内上記ホイールシリンダのブ
レーキ液圧を増圧するようにしてなる車両の制動力制御
装置において、上記制御を終了する所定の車速値を、現
在走行中の路面μに応じて設定するようにしている。そ
して、例えば当該設定は、路面μに応じて路面μが大き
い時には路面μが小さい時よりも高く設定するようにし
てなされる。
【0013】それにより、路面μに対応して異なる車両
停車時までの所要時間に応じて有効かつ適切なABS制
御から増圧制御への切替えを実行することができ、停車
後の増圧抑制制御との効果的な両立を図ることができ
る。
【0014】また、本願発明の車両の制動力制御装置
は、車体速度と車輪速度とに基いて車両制動時の各車輪
のロック傾向を判定し、制動用ホイールシリンダのブレ
ーキ液圧を適切に制御することによって安定した車両制
動状態を実現するとともに、車速が所定値以下になった
時に当該制御を終了し、該制御終了後所定時間内上記ホ
イールシリンダのブレーキ液圧を増圧するようにしてな
る車両の制動力制御装置において、上記ブレーキ液圧を
増圧する所定時間を路面μに応じて設定するようになっ
ている。
【0015】そして、その場合、上記ブレーキ液圧を増
圧する所定時間は、例えば路面μに応じ、当該路面μが
大きい時には路面μが小さい時よりも短かく設定され
る。
【0016】路面μが高いと車両停車までの所要時間も
短かい。従って、その場合には、それに対応して増圧時
間を短かくして車両停車時には増圧が行われないように
する。その結果、ブレーキペダルの脈動もなくなる。
【0017】また、本願発明の車両の制動力制御装置
は、車体速度と車輪速度とに基いて車両制動時の各車輪
のロック傾向を判定し、制動用ホイールシリンダのブレ
ーキ液圧を適切に制御することによって安定した車両制
動状態を実現するとともに、該制御終了後マスターシリ
ンダ圧と等しくなるまで上記ホイールシリンダのブレー
キ液圧を増圧するようにしてなる車両の制動力制御装置
において、減速時、所定値以下の車速になると、上記ブ
レーキ液圧の増圧を抑制制御するようになっている。上
記ホイールシリンダの増圧は、具体的にはマスタシリン
ダ圧と略等しくなるまで行うのが好ましい。従って、上
記所定時間による制御以外に該マスターシリンダ圧を目
標圧とする制御も良く採用される。そして、その場合に
も、車両停車後のブレーキペダル脈動の問題は同様に生
じる。そこで、該場合にも、上記同様に増圧を抑制する
ことによってブレーキペダルの脈動を防止する。
【0018】また、本願発明の車両の制動力制御装置
は、上記のような車体速度と車輪速度とに基いて車両制
動時の各車輪のロック傾向を判定し、制動用ホイールシ
リンダのブレーキ液圧を適切に制御することによって安
定した車両制動状態を実現するとともに、該制御終了後
マスターシリンダ圧と等しくなるまで上記ホイールシリ
ンダのブレーキ液圧を増圧するようにしてなる車両の制
動力制御装置において、上記の場合同様にブレーキ液圧
の増圧率を路面μに応じて設定するようになっている。
【0019】そして、該増圧率は、さらに具体的には、
路面μに応じ、路面μが大きい時には路面μが小さい時
よりも大きく設定するようにしてなされる。
【0020】上述のように、車両の車速が液圧制御不要
とされる安定速度まで低下したとしても、実際に車両が
停車するまでの所要時間は、その時の路面μによって変
わる。従って、車両停車時に増圧を抑制するためには、
該停車時までに可及的にマスターシリンダ圧に近い増圧
を行っておくことが必要である。従って、上記所定時間
による制御の場合と同様にマスターシリンダ圧を目標圧
とする制御の場合にも、増圧率を路面μに応じて設定す
るようにし、路面μが大きく車両停止までの時間が短か
い時には、それに対応して増圧率を大きくして速やかな
増圧を行って上記の要請に対応する。
【0021】また、本願発明の車両の制動力制御装置
は、車体速度と車輪速度とに基いて車両制動時の各車輪
のロック傾向を判定し、制動用ホイールシリンダのブレ
ーキ液圧を適切に制御することによって安定した車両制
動状態を実現するとともに、該制御終了後マスターシリ
ンダ圧と等しくなるまで上記ホイールシリンダのブレー
キ液圧を増圧するようにしてなる車両の制動力制御装置
において、減速度に基き、車速が略ゼロの状態になる時
に上記ホイールシリンダ圧がマスターシリンダ圧と等し
くなるように上記ブレーキ液圧の増圧率を設定するよう
になっている。
【0022】このようにすると、上記制御において車両
停止時までに可及的に好ましいマスターシリンダ圧に近
い増圧を可能にすることができる。
【0023】さらに、本願発明の車両の制動力制御装置
は、車体速度と車輪速度とに基いて車両制動時の各車輪
のロック傾向を判定し、制動用ホイールシリンダのブレ
ーキ液圧を適切に制御することによって安定した車両制
動状態を実現するとともに、車速が所定値以下になった
時に当該制御を終了し、該制御終了後所定時間内上記ホ
イールシリンダのブレーキ液圧を増圧するようにしてな
る車両の制動力制御装置において、上記制御を終了する
所定の車速値を、路面μに応じて設定するようにすると
ともに上記ブレーキ液圧を増圧する所定時間を路面μに
応じて設定するようになっている。
【0024】また、該場合において、さらに具体的に
は、上記制御を終了する所定の車速値を、路面μに応じ
て、路面μが大きい時には路面μが小さい時よりも高く
設定するとともに上記ブレーキ液圧を増圧する所定時間
を、それに対応して路面μに応じ、路面μが大きい時に
は路面μが小さい時よりも短かく設定するようにしてな
される。
【0025】このように、液圧制御を終了する基準車速
を路面μに応じて、路面μが高くて車両停止時までに要
する時間が短かく、しかも制動状態も安定していると判
断される時は、そうでない時に比べて高くすることによ
って、早目に液圧制御を終了して十分なホイールシリン
ダの増圧時間を確保し、車両停止後に増圧を抑制するよ
うにしても十分な増圧が実現されるようにする。また、
それに対応して増圧時間そのものも短かく設定するよう
にすれば、車両停止時には確実に増圧が終了しているよ
うになり、ブレーキペダルの脈動、ポンプ作動音などを
生じさせなくて済む。
【0026】
【発明の効果】以上の結果、本願発明の車両の制動力制
御装置によると、車両停止時にもABS制御が行われて
いるような違和感がなくなり、ポンプノイズも感じさせ
ないようになる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本願発明の幾つかの実施の
形態に係る車両の制動力制御装置の構成について、添付
の図面に基づいて詳細に説明する。
【0028】(1) 各実施の形態に共通なブレーキ液
圧系統の説明(図1参照) 図1において、先ず符号1はマスタシリンダ、2FL〜
2RRはそれぞれホイールシリンダであり、2FLが左
前輪用、2FRが右前輪用、2RLが左後輪用、2RR
が右後輪用である。マスタシリンダ1は、倍力装置3を
介してブレーキペダル4に連結され、ブレーキペダル4
を踏み込み操作することによって、マスタシリンダ1に
ブレーキ液圧が発生される。この倍力装置3は、例えば
真空倍力式あるいは液圧倍力式ものとされている。
【0029】マスタシリンダ1は、2つの吐出口1aと
1bとを有するタンデム型とされている。一方側の吐出
口1aには第1のブレーキ配管11が接続され、この第
1のブレーキ配管11の下流は、第1、第2の2本の分
岐配管11Aと11Bとに分岐されている。そして、第
1の分岐配管11Aには左後輪用のホイールシリンダ2
RLが接続され、第2の分岐配管11Bには右後輪用の
ホイールシリンダ2RRが接続されている。また、他方
側の吐出口1bには第2のブレーキ配管12が接続さ
れ、この第2のブレーキ配管12の下流は、第3、第4
の2本の分岐配管12Aと12Bとに分岐されている。
第3の分岐配管12Aには左前輪用のホイールシリンダ
2FLが接続され、さらに第4の分岐配管12Bには右
前輪用のホイールシリンダ2RRが接続されている。こ
のように、本例のブレーキ配管系統は、いわゆる2系統
3チャンネルの後輪駆動車用の前後配管構造とされてい
る。
【0030】前記第1のブレーキ配管11には、その上
流側、つまり上述のマスタシリンダ1に近い領域におい
て、トランクション制御用の調圧機構13が構成されて
いるとともに、さらに前記第1、第2の両ブレーキ配管
11,12の各下流側ホイールシリンダ2RL,2R
R,2FL.2FRに近い領域において本願発明の対象
となるABS制御用の調圧機構14が構成されている。
【0031】トランクション制御用の調圧機構13は、
次のように構成されている。
【0032】すなわち、先ず上記第1のブレーキ配管1
1には、電磁開閉弁からなる遮断弁21が接続されてい
ると共に、該遮断弁21よりも下流側において加圧機構
22が接続されている。この加圧機構22は、シリンダ
22aと、該シリンダ22a内に摺動自在に嵌挿された
ピストン22bと、該ピストン22bを戻り位置に付勢
するリターンスプリング22cとから構成されており、
上記スプリング22cの付勢力に抗してピストン22b
を変位させることにより、当該ピストン22bによって
上記第1のブレーキ配管11内に所定の圧力を発生(圧
縮)させることが可能なようになっている。
【0033】また、この調圧機構13は、さらにブレー
キ液を貯留したリザーバタンク23と、該リザーバタン
ク23内のブレーキ液を組み上げて上記加圧機構22へ
吐出するための液ポンプ24とを有している。加圧機構
22は、液供給配管25を介して液ポンプ24の吐出側
へ接続されていると共に、液戻り配管26を介してリザ
ーバタンク23へ接続されている。液ポンプ24の吐出
側、つまり液供給配管25には、加圧機構22側へ向け
ての流れのみを許容するチェック弁27が接続されてい
るとともに、リザーバタンク23に連なる液ポンプ24
の吸い込み側には、当該液ポンプ24側へ向けての流れ
のみを許容するチェック弁28が接続されている。
【0034】前記液供給配管25と液戻り配管26と
は、液供給配管25の圧力が所定値以上になると開弁さ
れる調圧弁29によって相互に接続されており、液戻り
配管26には、同接続部分よりも加圧機構22側におい
て電磁式開閉弁からなる制御弁30が接続されている。
【0035】また、上記液供給配管25における上記液
戻り配管26との分岐位置と、該液戻り配管26におけ
る制御弁30とリザーバタンク23との中間位置との間
は液戻し配管56を介して接続されている。そして、こ
の液戻し配管56には、上記液戻り配管26の液圧を受
けて開弁する常閉の調圧弁57と上記液供給配管25の
液圧が所定以上の時に開弁して該液供給配管25側から
液戻り配管26側への流通のみを許容するチェック弁5
8とが備えられている。
【0036】液ポンプ24は、例えばDCモータ等の電
動のモータ31により駆動されるものであり、このモー
タ31は、後述するように、ABS制御用のポンプ4
9,49駆動用のものとしても兼用されている。このモ
ータ31に通電して上記液ポンプ24を駆動した状態
で、上記制御弁30を例えばデューティ制御することに
より、上記加圧機構22に印加される圧力、つまりトラ
ンクション制御時におけるブレーキ液圧(つまりトラク
ションコントロール用の制動力)が制御される。
【0037】他方、ABS制御用の調圧機構14は、次
のように構成されている。
【0038】すなわち、先ず、上記第1のブレーキ配管
11の下流側分岐部手前部分には電磁式の開閉弁からな
る増圧弁41が接続されていると共に、該増圧弁41を
バイパスするバイパス通路42が接続されていて、該バ
イパス通路42には、マスタシリンダ1側へ向けての流
れのみを許容するチェック弁43が接続されている。ま
た、上記第1のブレーキ配管11の上記増圧弁41の下
流側、つまりホイールシリンダ2RL,2RR側には、
減圧弁46を備えてリザーバタンク44に連なる液圧解
放配管45が接続されている。そして、これらの各々は
第1、第2の分岐配管11A,11Bに対して、左右各
後輪用ホイールシリンダ2RL,2RRに共通とされて
いる。
【0039】そして、前記リザーバタンク44と増圧弁
41よりも上流側(上記遮断弁21よりも下流側)の第
1のブレーキ配管(上流側ブレーキ配管となる)11と
は、また液戻し配管47により接続されている。この液
戻し配管47には、リザーバタンク44側から順次第1
チェック弁48、液ポンプ49、第2チェック弁50、
脈動吸収用タンク51、オリフィス52、第3チェック
弁53がそれぞれ接続されている。この液戻し配管47
も、上記リザーバタンク44と同様に上記下流側第1、
第2の2つの分岐配管11A用と11B用とで共通とさ
れている。尚、上記液ポンプ24,49は、容積型、つ
まり容積変化によって吸込みと吐出とを行なう形式のも
の、例えば本実施の形態ではプランジャ式とされてい
る。
【0040】一方、上記左右前輪側ホイールシリンダ2
FL、2FR用の第2のブレーキ配管12側は、各ホイ
ールシリンダ2FL,2FRに対応した上記第3、第4
の各分岐配管12A、12Bに対してそれぞれ独立に前
記第1のブレーキ配管11側の液圧回路60Rと同様の
構造の2組の液圧回路60FL,60FRを設けた構成
が採用されている。ただし、液ポンプ49駆動用のモー
タ31、液戻し配管47、リザーバタンク44等は、そ
れぞれ共通に構成されている。
【0041】前記リザーバタンク44,44は、それぞ
れシリンダ44a内に摺動自在に画成されたピストン4
4bを有し、該ピストン44bによってシリンダ44a
内に、ブレーキ液が出入りされる作動室(貯留室)44
cが画成されている。そして、ピストン44bを挟んで
上記作動室44cと反対側の室には、リターンスプリン
グ44dが配設されていて、このスプリング44dによ
って、上記ピストン44bが上記作動室44cを圧縮す
る方向、つまり左右各車輪のホイールシリンダ2RL,
2RR、2FL,2FR内のブレーキ液を排出する方向
に所定の付勢力でもって付勢されている。
【0042】上記スプリング44dの付勢力(それによ
って生じる作動室44c内での発生圧力)は、上記液戻
し配管47における通路抵抗よりも若干大きい程度に設
定されている。より具体的には、液戻し配管47におけ
る通路抵抗は、実質的に各チェック弁48,50,53
のチェック圧(開弁圧)によって決定されるが、上記ス
プリング44dの付勢力は、各チェック弁48,50,
53のチェック圧の総和よりも若干大きくなるように設
定されている(上記スプリング44dの付勢圧により生
じる作動室44c内での発生圧が上記各チェック圧の総
和よりも若干大きい)。これにより、マスタシリンダ1
内にブレーキ液圧が発生されていないときに、モータ3
1、つまり液ポンプ49が停止していても、上記作動室
44c内に残留したブレーキ液は、上記スプリング44
dの付勢力によって、上記液戻し配管47を経て第1の
ブレーキ配管11あるいは第2のブレーキ配管12(マ
スタシリンダ1)へ戻すことが可能なように構成されて
いる。
【0043】ここで、今本例のように駆動輪が左右後輪
(ホイールシリンダ2RL、2RRが対応)である場
合、そのABS制御に際しては、先ず上記トランクショ
ン制御用の遮断弁21が開かれた状態に制御される。そ
して、この状態で、上記増圧弁41と減圧弁46とを任
意に制御することにより、前輪側では左右の各車輪毎、
つまり各ホイールシリンダ2FL,2FR毎に各々独立
して、また後輪側では左右各車輪共通にブレーキ液圧の
増圧、減圧、保持の3つの制御が行われる。勿論、増圧
制御は、減圧弁46を閉じて増圧弁41を開くことによ
り行われ、また減圧制御は、増圧弁41を閉じて減圧弁
46を開くことにより行われ、さらに保持制御は、増圧
弁41と減圧弁46とを共に閉じることにより行われ
る。尚、本実施の形態におけるABS制御および該AB
S制御終了後のホイールシリンダ増圧制御の具体的な制
御内容の例については、後述する。
【0044】上記減圧により、リザーバタンク44,4
4内にはブレーキ液が排出されるが、このリザーバタン
ク44,44内のブレーキ液は、液ポンプ49によっ
て、増圧弁41より上流側の第1のブレーキ配管11あ
るいは第2のブレーキ配管12へ戻されるが、このブレ
ーキ液が戻される各ブレーキ配管11,12の圧力は、
マスタシリンダ1内での発生ブレーキ液圧と同じ高圧で
あり、液ポンプ49(モータ31)は、この高圧に抗し
てブレーキ液を戻すことになる。
【0045】(2) ABS制御の基本内容(図2参
照) ABS制御に際しては、一般にフェーズ0、フェーズ
1、フェーズ2、フェーズ3、フェーズ5等のフェーズ
値が用いられるが、その意味するところは次の通りであ
る。
【0046】フェーズ0:非ABS制御中を意味する。
【0047】フェーズ1:増圧を意味する。
【0048】フェーズ2:非ABS制御後あるいは増圧
後の保持を意味する。
【0049】フェーズ3:減圧を意味する。
【0050】フェーズ5:減圧後の保持を意味する。
【0051】また、車輪のロック傾向を示すスリップ値
Sは、例えば次式により決定されるが、疑似車体速の推
定は、既知の適宜の手法によって行われる(もっとも簡
単な手法は、各車輪の車輪速のうちもっとも大きい最高
車輪速を疑似車体速とすればよく、この疑似車体速の推
定並びにその補正の具体例については後述する)。
【0052】ABS制御用のスリップ値(率)S=
{(疑似車体速−車輪速)/疑似車体速}×100
(%) 以上のことを前提として、ABS制御の基本動作を図2
のタイムチャートを参照して説明すると、次のようにな
る。
【0053】すなわち、今例えば図2において、t1時
点となるまでは該ABS制御が行なわれないときであ
り、ブレーキ液圧の上昇につれて車輪速が疑似車体速よ
りも徐々に低下されていく。この車輪速の低下により、
t1時点すなわちA時点では、車輪速の減速度がABS
制御開始条件としての所定値にまで低下する。
【0054】そして、A時点からABS制御が開始され
るが、それは先ずブレーキ液圧を保持することから行な
われる。このブレーキ液圧の保持中も車輪速が低下して
いき、やがてB時点で示すように上述のスリップ値Sが
所定の閾値にまで増大、すなわち車輪速が疑似車体速に
比べて所定値以上減少すると、そこから減圧が行なわれ
る。この減圧により制動規制がなされて、車輪速の低下
度合が弱まっていき、結局C時点では車輪速減速度が0
付近になる。
【0055】車輪速減速度が0付近になったC時点で
は、再びブレーキ液圧の保持が行なわれ、これにより車
輪速が徐々に上昇して、やがてD時点ではスリップ値S
が前記所定の閾値にまで復帰する。そして、このD時点
からは、増圧制御されるが、初期には急増圧とされ、そ
の後は緩増圧とされる。
【0056】増圧により、E時点において再び上記車輪
速の減速度が、ABS制御開始条件として設定した前記
所定の閾値にまで小さくなる。これにより、ブレーキ液
圧の保持制御が行なわれた後、F時点でスリップ値Sが
所定の閾値にまで低下すると、減圧が行なわれる。そし
て、前記C時点に対応したG時点から、ブレーキ液圧の
保持制御が行なわれる。
【0057】以上が基本的なABS制御の概略であり、
減圧後の保持となるフェーズ5の終了(増圧開始)から
次のフェーズ5の終了までの期間が制御周期の1サイク
ルとなる。ただし、ABS制御開始時に限り、この1サ
イクルが、フェーズ2の保持開始からフェーズ5の終了
時点までとなる(ABS制御がフェーズ2から開始され
るため)。
【0058】フェーズ値が変更されるときの閾値は、路
面μ(タイヤと路面との摩擦係数)に応じて変更され、
この路面μに応じた閾値の具体的設定例としては、例え
ば次のようになる。
【0059】
【表1】
【0060】(3) ABS制御システム系統の説明
(図3および図4参照) 先ず図3および図4は、上記のようなABS制御を行な
うための制御システム系統の構成を示し、図中62はマ
イクロコンピュータを利用して構成されたABSコント
ロールユニットである。このABSコントロールユニッ
ト62には、前後各車輪WFL,WFR、WRL,WR
Rの回転速度を個々に独立して検出するための車輪回転
速度検出手段である4組の車輪速センサSFL,SF
R、SRL,SRRからの各検出信号が入力される。車
輪速センサSFLは左前輪用であり、SFRは右前輪用
であり、SRLは左後輪用であり、SRRは右後輪用の
ものである。各車輪速センサSFL〜SRRは、それぞ
れ例えばピックアップ式のものとされていて、図4に示
すように外周に所定歯数を有して車輪と一体回転される
星形のセンサロータ(マグネットロータ)70と、該セ
ンサロータ70の外周面部近傍に位置されたピックアッ
プコイル71とを備えている。すなわち、車輪が1回転
すると、センサロータ70の歯数分だけピックアップコ
イル71がパルス信号を出力することになり、単位時間
あたりのパルス数が多いほど車輪回転速度が高いことに
なる。また、上記ABSコントロールユニット62から
は、上記図1の3組の液圧回路60R,60FL,60
FRをそれぞれ任意にコントロールするソレノイドバル
ブSVを備えた液圧ユニット61に対して液圧制御信号
が出力される。
【0061】そして、液圧ユニット61は、同液圧制御
信号に対応して前述した図1の前輪側左右各車輪WF
L,WFRのホイールシリンダ2FL,2FR用の液圧
回路60FL,60FR、および左右後輪のホイールシ
リンダWRL,WRRに共通な液圧回路60Rのそれぞ
れ供給液圧を上述のように増、減、保持制御することに
よって前後各車輪の制動力を適切に規制する。
【0062】一方、上記ABSコントロールユニット6
2は、例えば図4に示すように、車輪速、疑似車体速、
車輪加減速度、車輪スリップ値等を演算する演算ブロッ
ク62aと、ABS制御閾値の設定、スプリット路およ
び路面μ等の諸状況判定、フェーズ値の判定、フェーズ
値に対応した制御量の設定、出力制御等を行う制御ブロ
ック62bと、それらの演算制御状況をモニターするモ
ニターブロック62cとを有して構成されている。そし
て、上記制御ブロック62bから上記液圧ユニット61
のソレノイドバルブSV側に液圧制御信号が出力され
る。また、モニターブロック62cからは、ABSシス
テムONの状態において、モニターランプ駆動信号が出
力され、モニターランプMLが点灯される。
【0063】(4) 本願発明の各実施の形態の前提と
なるABS制御の基本フローチャートの説明(図5参
照) すなわち、先ず上記ABS制御システムのメインリレー
(F/Sリレー)がONになった状態で、上記ABSコ
ントロールユニット62が作動し、ABS制御が開始さ
れる。
【0064】そして、先ずステップS1で諸状況の入
力、例えば車輪速、エンジン回転数、路面状況(路面
μ、スプリット路、悪路)、ブレーキ踏力、旋回状況等
の各種外部情報データの入力が行われる。
【0065】次に、ステップS2で各車輪WFL,WF
R、WRL,WRRの車輪速から具体的に路面μの推定
がなされる。さらに、その後、ステップS3で上記各車
輪WFL,WFR、WRL,WRRの車輪速の値の内の
例えば最高車輪速に基いて疑似車体速を推定する。
【0066】その後、ステップS4で前述したABS制
御の閾値であるスリップ値Sを決定し、それに対応した
適切な制御量(緩急減圧・緩急増圧)を設定して、ステ
ップS5で図2に示すようなABS制御を実行する。
【0067】次に該ABS制御実行後、ステップS6
減速度を判定し、車速がABS制御終了と認められるま
での安定車速に低下した時には、上記ABS制御を終了
してステップS7に進み、前述したような次回のABS
制御に備えたホイールシリンダの緩増圧制御を行う。
【0068】該緩増圧制御は、上記ABS制御終了後所
定時間内、又はホイールシリンダ圧がマスターシリンダ
圧に等しくなるまでを目標としてなされる。
【0069】ところで、このようにABS制御終了後
に、緩増圧するようにした場合、例えば前述の図16か
らも理解されるように、所定ステップ毎の段階的な増圧
が車両停止後も続くことになり、その圧力変動がブレー
キペダルに伝達されて脈動を生じる問題がある。
【0070】該ブレーキペダルの脈動は、運転者に対
し、車両停止時にもABSシステムが作動しているかの
ような違和感を与え、また同時にポンプの作動音も加わ
るので、一種の耳障りなノイズ音ともなる。
【0071】そこで、本願発明の構成では、減速状態が
進行して、例えば車速V=0の車両が停止状態になる
と、ステップS8に進んで当該緩増圧そのものを停止す
るか、又は極めて増圧速度、増圧率の小さい極緩状態で
の増圧制御に抑制されるようにしている。
【0072】該緩増圧の抑制制御の各種の実施の形態に
ついて、次に説明する。
【0073】(実施の形態1)図6は、本願発明の実施
の形態1に係る車両の制動力制御装置の車両停車時にお
けるホイールシリンダ緩増圧抑制制御の内容を示すフロ
ーチャート、図7はそれに対応したタイムチャートであ
る。
【0074】該制御では、上述した問題点に鑑み、車両
停止時には上記ホイールシリンダ2FL,2FR,2R
L,2RRへのブレーキ液圧の増圧率を通常の場合の緩
増圧率に比較して相当に低くし、さらに緩やかな緩増圧
(極緩増圧)状態で増圧制御することによって、車両停
止時のブレーキペダル4の脈動を可及的に低減し、かつ
液ポンプ作動音の低減を図るようにしたことを特徴とし
ている。
【0075】すなわち、制御開始後、まずステップS1
で、現在上述した基本となるABS制御が行われている
か否かを判定する。その結果、NOと判定された場合に
はホイールシリンダの緩増圧制御は不要であると認めて
ステップS4のノーマルブレーキ制御ルーチンに移る。
【0076】他方、YESのABS制御中の場合には、
次にステップS2に進んで、車両が停車状態となったか
否かを判定する。その結果、NOの車両が停止状態とな
っていない走行状態にある時は、ステップS6の方に移
って、図7に示すように車体速と車輪速の差に基いた通
常のABS制御時の制御量を設定して、緩急増圧、緩急
減圧制御を行う。
【0077】一方、YESと判定された車両停車時に
は、続いてステップS3に進んで、当該停車状態にある
時間tを検出し、該検出された時間tが予じめ設定され
ている所定の規定値ts以上であるか否かを判定する。
そして、その判定結果が、規定値ts以上(t≧ts)
の場合には、既に増圧が完了していると判断して、上記
ステップS4のノーマルブレーキ制御ルーチンに移る。
一方、上記判定結果が規定値tsよりも小のNOの場合
には、ステップS5に進んで、図7に示すように、上記
ステップS6のABS制御中の緩増圧速度(単位時間当
たり)のステップレベルに比べて遥かに増圧速度(増圧
率)の小さい極緩増圧制御を実行して次の回のABS制
御のためのホイールシリンダの増圧を行う。
【0078】この結果、ブレーキ液圧増圧時の制御周期
当たりの圧力変動は小さくなり、ブレーキペダル4の脈
動も微かなものとなる。また、液ポンプの作動音も必然
的に低くなり、殆ど感じられなくなる。従って、従来の
ような運転者の違和感は解消される。
【0079】(実施の形態2)図8は、本願発明の実施
の形態2に係る車両の制動力制御装置の車両停車時にお
けるホイールシリンダ緩増圧抑制制御の内容を示すフロ
ーチャート、図9はそれに対応したタイムチャートであ
る。
【0080】該制御では、上述した問題点に鑑み、車両
停止時には上記ホイールシリンダ2FL,2FR,2R
L,2RRへのブレーキ液圧の緩増圧そのものを中止す
ることによって、車両停止時のブレーキペダル4の脈動
を完全に防止し、液ポンプ作動音をも生ぜしめないよう
にしたことを特徴としている。
【0081】すなわち、制御開始後、まずステップS1
では、現在上述した基本となるABS制御が行われてい
るか否かを判定する。その結果、NOと判定された場合
にはホイールシリンダの緩増圧制御は不要であると認め
てステップS4の通常ブレーキ制御ルーチンに移る。
【0082】他方、YESのABS制御中の場合には、
さらにステップS2に進んで、車両が停車状態となった
か否かを判定する。その結果、NOの車両が停止状態と
なっていない走行状態にある時は、ステップS3の方に
移って、図9に示すように、車体速と車輪速との差に基
いて通常のABS制御時の制御量を設定して緩急増圧、
緩急減圧制御を行う。
【0083】一方、ステップS2でYESと判定された
車両停車時には、続いてステップS4に進み、上記非A
BS状態と同様に緩増圧制御を中止して、図9に示すよ
うに急増圧を行ない、通常のブレーキ制御を行う。
【0084】従って、車両停止後のホイールシリンダの
緩増圧制御は行われなくなる。
【0085】この結果、ブレーキ液圧緩増圧作用による
圧力変動はなくなり、それに伴うブレーキペダル4の脈
動も生じなくなる。また、液ポンプの作動音も必然的に
生じなくなる。従って、従来のような運転者の違和感は
確実に解消される。
【0086】(実施の形態3)図10は、本願発明の実
施の形態3に係る車両の制動力制御装置の車両停車時に
おけるホイールシリンダ緩増圧抑制制御の内容を示すフ
ローチャート、図11、図12はそれに対応したタイム
チャートである。
【0087】該制御では、上述した問題点に鑑み、減速
状態において車両の速度が所定値以下になると、ABS
制御を終了して上記ホイールシリンダ2FL,2FR,
2RL,2RRへのブレーキ液圧を緩増圧制御するよう
にした場合において、路面との摩擦係数(路面μ)を考
慮し、路面との摩擦係数が大きい時はそうでない時に比
べてABS制御終了のための基準となる車速VREFを
高くすることにより、路面μが大きくて安定した制動が
可能で、しかも車両停止までの時間が短かいと想定され
る場合には速やかにABS制御を終了して次回のABS
制御に備えた十分な緩増圧を行う一方、路面μが小さく
て、制動性能上できるだけ長くABS制御を維持させた
方が良く、しかも車両停止までの時間も長いと想定され
る場合には、ゆっくりとABS制御を終了させるように
して緩増圧を行わせるようにしたことを特徴としてい
る。
【0088】すなわち、制御開始後、まずステップS1
では、現在上述した基本となるABS制御が行われてい
るか否かを判定する。その結果、NOと判定された場合
にはホイールシリンダの緩増圧制御は不要であると認め
てステップS5のノーマルブレーキ制御ルーチンに移
る。
【0089】他方、YESのABS制御中の場合には、
次にステップS2に進んで、例えば該減速走行状態にお
ける路面μが所定の基準値μsよりも高い高μ路である
か、又はそれ以下の低μ路であるかを判定する。その結
果、低μ路である時は、該時点から車両が停止するまで
に要する時間が高μ路の場合に比較して長いとともに、
できるだけ低い車速になるまでABS制御を維持させる
見地から、ステップS4の方に進んで、ABS制御を終
了させる上記基準車速VREFを高μ路の場合よりも低
いVREF=3km/h(低速基準)に設定して、現在
の車速Vが当該基準速度3km/h・以下となったか、
それとも同3km/hよりも高い状態であるかを各々判
定する。
【0090】その結果、現在の車速Vが3km/h以下
まで低下していると判定されると、初めてABS制御を
終了してステップS5のノーマルブレーキ制御ルーチン
に移り、その後ホイールシリンダの緩増圧を行う(図1
1参照)。
【0091】他方、現在の車速Vが未だ3km/hより
も高い走行状態にある時は、ステップS6に進んで上記
通常のABS制御を実行(継続)する。
【0092】一方、上記ステップS2の路面状態判定の
結果、現在走行中の路面が高μ路であると判定された時
は、ステップS3に進んで、上記ABS制御を終了させ
る上記基準車速VREFを上記低μ路の場合よりも高い
VREF=7km/h(高速基準)に設定して現在の車
速Vが当該基準速度7km/h以下となったか、それと
も同7km/hよりも高い状態であるかを各々判定す
る。
【0093】その結果、現在の車速Vが7km/h以下
まで低下していると判定されると、ABS制御を終了し
てステップS5のノーマルブレーキ制御ルーチンに移る
とともに、その後ホイールシリンダの緩増圧を行う(図
12参照)。
【0094】他方、現在の車速Vが未だ7km/hより
も高い走行状態にある時は、上記ステップS4での場合
同様ステップS6に進んで通常のABS制御を実行(継
続)する。
【0095】このように、ABS制御を終了させて緩増
圧に移る減速時の基準車速VREFを路面μに応じて可
変するようにすると、路面状態に応じて制御要求時間が
異なる車両停車までの制動性能と路面状態に応じて異な
る車両停止までの時間に応じた緩増圧実行タイミングと
の適切な両立が可能となる。
【0096】そして、それらに対応した適切な緩増圧時
間を設定することにより、図11、図12から明らかな
ように、何れの場合にも車両停止時までに緩増圧を完了
させるようにすることが可能となる。その結果、ブレー
キペダルの脈動を防止することができる。
【0097】(実施の形態4)図13は、本願発明の実
施の形態4に係る車両の制動力制御装置の車両停車時に
おけるホイールシリンダ緩増圧抑制制御の内容を示すフ
ローチャート、図14はそれに対応したタイムチャート
である。
【0098】該制御では、上述した問題点に鑑み、減速
状態において車両の速度が所定値以下になると、ABS
制御を終了して上記ホイールシリンダ2FL,2FR,
2RL,2RRへのブレーキ液圧を緩増圧制御するよう
にした場合において、前述の場合と同様の見地から、路
面との摩擦係数(路面μ)を考慮し、路面との摩擦係数
(路面μ)が大きい時ほど上記緩増圧時の増圧率(昇圧
レート)を大きくするようにしたことを特徴としてい
る。そして、該構成では、ABS制御終了時点の低速状
態では一般に的確な車輪速の検出推定は困難であるとこ
ろから、路面との摩擦係数の判定は、その時の減速状態
を考慮し、例えば所定の低速状態から実際に停車するま
での所要時間を推定(タイマーカウント)することによ
り行うようにしている。
【0099】すなわち、制御開始後、まずステップS1
では、現在上述した基本となるABS制御が行われてい
るか否かを判定する。その結果、NOと判定された場合
にはホイールシリンダの緩増圧制御は不要であると認め
てステップS6のノーマルブレーキ制御ルーチンに移
る。
【0100】他方、YESのABS制御中の場合には、
次にステップS2に進んで、現在の車速VがABS制御
を終了させる所定の設定車速以下での低速走行状態にあ
るか否かを判定する。その結果、NOの時はステップS
8の通常のABS制御を実行(継続)する。
【0101】他方、YESの設定低速車速以下の低速走
行状態にある時は、ステップS3に進んで、該設定低速
車速以下での低速走行時間Tが規定値(判定時間)ts
以上であるか、又は規定値tsよりも短かいかを各々判
定し、規定値以上であった場合にはステップS5のノー
マルブレーキ制御ルーチンに移る。
【0102】他方、規定値tsよりも短かかった場合に
は、その値からステップS4で路面μの高低を判定す
る。そして、ステップS6,S7で該判定値に対応して、
例えば低μ路であって車両停車までの時間が長い場合に
は前述の図11に示すようにステップ値の小さな極緩増
圧を、また高μ路であって車両停止までの時間が短かい
場合には図14に示すように相対的にステップ値(増圧
率)の大きな緩増圧制御を行う。そして、それによって
何れの場合にも、車両が停車した時には、目標とする増
圧が完了しているようにする。
【0103】この結果、該構成によっても上記実施の形
態3と略同様の作用を得ることができ、車両停止後のブ
レーキペダルの脈動、ポンプ作動音を防止することがで
きる。
【0104】(実施の形態5)図15は、本願発明の実
施の形態5に係る車両の制動力制御装置の車両停車時に
おけるホイールシリンダ緩増圧抑制制御の内容を示すフ
ローチャートである。
【0105】該制御では、上述した問題点に鑑み、減速
状態において車両の速度が所定値以下になると、ABS
制御を終了して上記ホイールシリンダ2FL,2FR,
2RL,2RRへのブレーキ液圧を緩増圧制御するよう
にした場合において、前述の図13の場合と同様の見地
から、例えば一応路面との摩擦係数(路面μ)を考慮
し、路面との摩擦係数(路面μ)が大きい時ほど上記緩
増圧時の増圧率(昇圧レート)を大きくするようにする
が、その時の増圧率そのものの決定を、その時の上記所
定車速から停車までの時間を推定して、該推定された時
間内にトータルとして80%の増圧を行える増圧率(ス
テップ値)で増圧を行うようにしたことを特徴としてい
る。そして、該構成では、路面との摩擦係数の判定は、
例えば所定の低速状態から実際に停車するまでの所要時
間を推定することにより行うようにしている。
【0106】すなわち、制御開始後、まずステップS1
では、現在上述した基本となるABS制御が行われてい
るか否かを判定する。その結果、NOと判定された場合
にはホイールシリンダの緩増圧制御は不要であると認め
てステップS6のノーマルブレーキ制御ルーチンに移
る。
【0107】他方、YESのABS制御中の場合には、
次にステップS2に進んで、現在の車速VがABS制御
を終了する所定の設定車速以下での低速走行状態にある
か否かを判定する。その結果、NOの時はステップS8
の通常のABS制御を実行(継続)する。
【0108】他方、YESの上記設定低速車速以下にあ
る時は、一般に車輪速自体の判定は不可能となるので、
ステップS3に進んで、該設定低速車速以下での判定走
行時間Tが規定値ts以上であるか、規定値tsに等し
いか、又は規定値tsよりも短かいかを各々判定し、規
定値ts通りであった場合には続くステップS4で、そ
れまでの減速度に基いて停車までの所要時間を推定(予
測)し、さらにステップS5で該停車までの推定時間値
に対応して、例えば停車までにホイールシリンダ圧を目
標圧80%まで増圧するのに必要な昇圧レート(増圧
率)を演算設定する(ステップ値決定)。そして、該設
定値をステップS7で出力し、図14と略同様の緩増圧
を行う。
【0109】この結果、該構成によれば上記実施の形態
4の作用をより適切に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の各実施の形態に共通な車両の制動力
制御装置のブレーキ液圧回路の概略図である。
【図2】同装置の基本となるABS制御の内容を示すタ
イムチャートである。
【図3】同装置の車両に対するABS制御システム系統
各要素のレイアウトおよび接続状態を示す概略図であ
る。
【図4】同装置のABSコントロールユニット部の機能
構成を示す概略図である。
【図5】同装置のメイン制御ルーチンを示すフローチャ
ートである。
【図6】本願発明の実施の形態1に係る車両の制動力制
御装置の制御内容を示すフローチャートである。
【図7】同図6のフローチャートに対応したタイムチャ
ートである。
【図8】本願発明の実施の形態2に係る車両の制動力制
御装置の制御内容を示すフローチャートである。
【図9】同図8のフローチャートに対応したタイムチャ
ートである。
【図10】本願発明の実施の形態3に係る車両の制動力
制御装置の制御内容を示すフローチャートである。
【図11】同図10のフローチャートに対応したベース
となるタイムチャートである。
【図12】同図10のフローチャートに対応したタイム
チャートである。
【図13】本願発明の実施の形態4に係る車両の制動力
制御装置の制御内容を示すフローチャートである。
【図14】同図13のフローチャートに対応したタイム
チャートである。
【図15】本願発明の実施の形態5に係る車両の制動力
制御装置の制御内容を示すフローチャートである。
【図16】従来のABSシステムの問題点を示したタイ
ムチャートである。
【符号の説明】 1はマスタシリンダ、2FL,2FR,2RL,2RR
はホイールシリンダ、4はブレーキペダル、11は第1
のブレーキ配管、12は第2のブレーキ配管、13はト
ランクション制御用の調圧機構、14はABS制御用の
調圧機構、21は遮断弁、22は加圧機構、61は液圧
ユニット、62はABSコントロールユニット、WFL
は左前輪、WFRは右前輪、WRLは左後輪、WRRは
右後輪、SFL,SFR,SRL,SRRは車輪速セン
サ、60FL,60FR,60Rは各車輪のホイールシ
リンダ用の液圧回路である。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体速度と車輪速度とに基いて車両制動
    時の各車輪のロック傾向を判定し、制動用ホイールシリ
    ンダのブレーキ液圧を適切に制御することによって安定
    した車両制動状態を実現するとともに、該制御終了後所
    定時間内上記ホイールシリンダのブレーキ液圧を増圧す
    るようにしてなる車両の制動力制御装置において、減速
    時、所定値以下の車速になると、上記ブレーキ液圧の増
    圧を抑制制御するようにしたことを特徴とする車両の制
    動力制御装置。
  2. 【請求項2】 抑制制御は、ブレーキ液圧の増圧率を小
    さくするようになっていることを特徴とする請求項1記
    載の車両の制動力制御装置。
  3. 【請求項3】 抑制制御は、ブレーキ液圧の増圧を禁止
    するようになっていることを特徴とする請求項1記載の
    車両の制動力制御装置。
  4. 【請求項4】 車体速度と車輪速度とに基いて車両制動
    時の各車輪のロック傾向を判定し、制動用ホイールシリ
    ンダのブレーキ液圧を適切に制御することによって安定
    した車両制動状態を実現するとともに、車速が所定値以
    下になった時に当該制御を終了し、該制御終了後所定時
    間内上記ホイールシリンダのブレーキ液圧を増圧するよ
    うにしてなる車両の制動力制御装置において、上記制御
    を終了する所定の車速値を、路面μに応じて設定するよ
    うにしたことを特徴とする車両の制動力制御装置。
  5. 【請求項5】 上記制御を終了する所定の車速値を、路
    面μに応じて、路面μが大きい時には路面μが小さい時
    よりも高く設定するようにしたことを特徴とする車両の
    制動力制御装置。
  6. 【請求項6】 車体速度と車輪速度とに基いて車両制動
    時の各車輪のロック傾向を判定し、制動用ホイールシリ
    ンダのブレーキ液圧を適切に制御することによって安定
    した車両制動状態を実現するとともに、車速が所定値以
    下になった時に当該制御を終了し、該制御終了後所定時
    間内上記ホイールシリンダのブレーキ液圧を増圧するよ
    うにしてなる車両の制動力制御装置において、上記ブレ
    ーキ液圧を増圧する所定時間を路面μに応じて設定する
    ようにしたことを特徴とする車両の制動力制御装置。
  7. 【請求項7】 上記ブレーキ液圧を増圧する所定時間
    を、路面μに応じて、路面μが大きい時には路面μが小
    さい時よりも短かく設定するようにしたことを特徴とす
    る請求項5記載の車両の制動力制御装置。
  8. 【請求項8】 車体速度と車輪速度とに基いて車両制動
    時の各車輪のロック傾向を判定し、制動用ホイールシリ
    ンダのブレーキ液圧を適切に制御することによって安定
    した車両制動状態を実現するとともに、該制御終了後マ
    スターシリンダ圧と等しくなるまで上記ホイールシリン
    ダのブレーキ液圧を増圧するようにしてなる車両の制動
    力制御装置において、減速時、所定値以下の車速になる
    と、上記ブレーキ液圧の増圧を抑制制御するようにした
    ことを特徴とする車両の制動力制御装置。
  9. 【請求項9】 車体速度と車輪速度とに基いて車両制動
    時の各車輪のロック傾向を判定し、制動用ホイールシリ
    ンダのブレーキ液圧を適切に制御することによって安定
    した車両制動状態を実現するとともに、該制御終了後マ
    スターシリンダ圧と等しくなるまで上記ホイールシリン
    ダのブレーキ液圧を増圧するようにしてなる車両の制動
    力制御装置において、上記ブレーキ液圧の増圧率を路面
    μに応じて設定するようにしたことを特徴とする車両の
    制動力制御装置。
  10. 【請求項10】 上記ブレーキ液圧の増圧率を、路面μ
    に応じて、路面μが大きい時には路面μが小さい時より
    も大きく設定するようにしたことを特徴とする請求項9
    記載の車両の制動力制御装置。
  11. 【請求項11】 車体速度と車輪速度とに基いて車両制
    動時の各車輪のロック傾向を判定し、制動用ホイールシ
    リンダのブレーキ液圧を適切に制御することによって安
    定した車両制動状態を実現するとともに、該制御終了後
    マスターシリンダ圧と等しくなるまで上記ホイールシリ
    ンダのブレーキ液圧を増圧するようにしてなる車両の制
    動力制御装置において、減速度に基き、車速が略ゼロの
    状態になる時に上記ホイールシリンダ圧がマスターシリ
    ンダ圧と等しくなるように上記ブレーキ液圧の増圧率を
    設定したことを特徴とする車両の制動力制御装置。
  12. 【請求項12】 車体速度と車輪速度とに基いて車両制
    動時の各車輪のロック傾向を判定し、制動用ホイールシ
    リンダのブレーキ液圧を適切に制御することによって安
    定した車両制動状態を実現するとともに、車速が所定値
    以下になった時に当該制御を終了し、該制御終了後所定
    時間内上記ホイールシリンダのブレーキ液圧を増圧する
    ようにしてなる車両の制動力制御装置において、上記制
    御を終了する所定の車速値を路面μに応じて設定するよ
    うにするとともに、上記ブレーキ液圧を増圧する所定時
    間を路面μに応じて設定するようにしたことを特徴とす
    る車両の制動力制御装置。
  13. 【請求項13】 上記制御を終了する所定の車速値を、
    路面μに応じて、路面μが大きい時には路面μが小さい
    時よりも高く設定するとともに、上記ブレーキ液圧を増
    圧する所定時間を、路面μに応じて、路面μが大きい時
    には路面μが小さい時よりも短かく設定するようにした
    ことを特徴とする請求項12記載の車両の制動力制御装
    置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008110716A (ja) * 2006-10-31 2008-05-15 Advics:Kk アンチスキッド制御装置
JP2015104996A (ja) * 2013-11-29 2015-06-08 アイシン精機株式会社 車両挙動制御装置および車両挙動制御システム

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JP2015104996A (ja) * 2013-11-29 2015-06-08 アイシン精機株式会社 車両挙動制御装置および車両挙動制御システム

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