JP2001032056A - 通電部品用ステンレス鋼および固体高分子型燃料電池 - Google Patents

通電部品用ステンレス鋼および固体高分子型燃料電池

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JP2001032056A
JP2001032056A JP11208278A JP20827899A JP2001032056A JP 2001032056 A JP2001032056 A JP 2001032056A JP 11208278 A JP11208278 A JP 11208278A JP 20827899 A JP20827899 A JP 20827899A JP 2001032056 A JP2001032056 A JP 2001032056A
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steel
carbide
fuel cell
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JP11208278A
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English (en)
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Yoshio Taruya
芳男 樽谷
Akira Seki
彰 関
Norifumi Doi
教史 土井
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】接触電気抵抗が低い通電部品用ステンレス鋼、
およびそのステンレス鋼からなるセパレータを備えた固
体高分子型燃料電池の提供。 【解決手段】ステンレス鋼表面に、導電性を有するM23
6型、M4C型、M2C型、MC型炭化物系金属介在物
およびM2B型硼化物系金属介在物のうちの1種以上が
分散、露出しており、表面粗さが中心線平均粗さRaで
0.06μm以上、5μm以下であるステンレス鋼。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、接触電気抵抗が
低い通電部品用ステンレス鋼、およびそのステンレス鋼
からなるセパレータを備えた固体高分子型燃料電池に関
する。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼は、その表面に不働態皮膜
が形成されているため耐食性に優れている。しかし、表
面の不働態皮膜は電気抵抗が大きいため、小さい接触電
気抵抗が要求される通電用として使用される電気部品に
は適していない。不働態皮膜の厚さが厚くなれば耐食性
はより優れたものとなるが、電気抵抗はより大きくなる
傾向にある。
【0003】ステンレス鋼の接触電気抵抗を小さくする
ことができれば、ステンレス鋼を耐食性が要求される通
電電気部品として使用することが可能となる。優れた耐
食性と小さい接触電気抵抗が要求される通電電気部品の
一つに固体高分子型燃料電池のセパレータ(バイポーラ
プレートと呼ぶこともある)、電気部品用端子などがあ
る。
【0004】燃料電池は、水素および酸素を利用して直
流電力を発電する電池であり、固体電解質型燃料電池、
溶融炭酸塩型燃料電池、リン酸型燃料電池および固体高
分子型燃料電池などがある。燃料電池の名称は、電池の
根幹をなす『電解質』部分の構成材料に由来している。
【0005】現在、商用段階に達している燃料電池に
は、リン酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池がある。
燃料電池のおおよその運転温度は、固体電解質型燃料電
池で1000℃、溶融炭酸塩型燃料電池で650℃、リ
ン酸型燃料電池で200℃および固体高分子型燃料電池
で80℃である。
【0006】固体高分子型燃料電池は、運転温度が80
℃前後と低く起動−停止が容易であり、エネルギー効率
も40%程度が期待できることから、小規模事業所、電
話局などの非常用分散電源、都市ガスを燃料とする家庭
用小型分散電源、水素ガス、メタノールあるいはガソリ
ンを燃料とする低公害電気自動車搭載用電源として、世
界的に実用化が期待されている。
【0007】上記の各種の燃料電池は、『燃料電池』と
言う共通の呼称で呼ばれているものの、それぞれの電池
構成材料を考える場合には、全く別物として捉えること
が必要である。使用される電解質による構成材料の腐食
の有無、380℃付近から顕在化し始める高温酸化の有
無、電解質の昇華と再析出、凝結の有無等により求めら
れる性能、特に耐食性能が、それぞれの燃料電池で全く
異なるためである。実際、使用されている材料も様々で
あり、黒鉛系素材から、Niクラッド材、高合金、ステ
ンレス鋼と多様である。
【0008】商用化されているリン酸型燃料電池、溶融
炭酸塩型燃料電池に使用されている材料を、固体高分子
質型燃料電池の構成材料にそのまま適用することは全く
考えることができない。
【0009】図1は、固体高分子型燃料電池の構造を示
す図で、図1(a)は、燃料電池セル(単セル)の分解
図、図1(b)は燃料電池全体の斜視図である。同図に
示すように、燃料電池1は単セルの集合体である。単セ
ルは、図1(a)に示すように固体高分子電解質膜2の
1面に燃料電極膜(アノード)3を、他面には酸化剤電
極膜(カソード)4が積層されており、その両面にセパ
レータ5a、5bが重ねられた構造になっている。
【0010】代表的な固体高分子電解質膜2としては、
水素イオン(プロトン)交換基を有するフッ素系プロト
ン伝導膜がある。
【0011】燃料電極膜3および酸化剤電極膜4には、
粒子状の白金触媒と黒鉛粉、必要に応じて水素イオン
(プロトン)交換基を有するフッ素樹脂からなる触媒層
が設けられており、燃料ガスまたは酸化性ガスと接触す
るようになっている。
【0012】セパレータ5aに設けられている流路6a
から燃料ガス(水素または水素含有ガス)Aが流されて
燃料電極膜3に水素が供給される。また、セパレータ5
bに設けられている流路6bからは空気のような酸化性
ガスBが流され、酸素が供給される。これらガスの供給
により電気化学反応が生じて直流電力が発生する。
【0013】固体高分子型燃料電池セパレータに求めら
れる機能は、(1)燃料極側で、燃料ガスを面内均一に
供給する“流路”としての機能、(2)カソード側で生
成した水を、燃料電池より反応後の空気、酸素といった
キャリアガスとともに効率的に系外に排出させる“流
路”としての機能、(3)長時間にわたって電極として
低電気抵抗、良伝導性を維持する単セル間の電気的“コ
ネクタ”としての機能、および(4)隣り合うセルで一
方のセルのアノード室と隣接するセルのカソード室との
“隔壁”としての機能などである。
【0014】これまで、固体高分子型燃料電池のセパレ
ータ材料としてカーボン板材の適用が鋭意検討されてき
ているが、カーボン板材には“割れやすい”という問題
があり、さらに表面を平坦にするための機械加工コスト
およびガス流路形成のための機械加工コストが非常に高
くなる問題がある。それぞれが宿命的な問題であり、燃
料電池の商用化そのものを難しくさせかねない状況があ
る。
【0015】カーボンの中でも、熱膨張性黒鉛加工品は
格段に安価であることから、固体高分子型燃料電池セパ
レータ用素材として最も注目されている。しかしなが
ら、ガス透過性を低減して前記隔壁としての機能を付与
するためには、“複数回”に及ぶ樹脂含浸と焼成を実施
しなければならない。また、平坦度確保および溝形成の
ための機械加工コスト等今後も解決すべき課題が多く、
実用化に至っていない。
【0016】こうした黒鉛系素材の適用の検討に対峙す
る動きとして、コスト削減を目的に、セパレータにステ
ンレス鋼を適用する試みが開始されている。
【0017】特開平10−228914号公報には、金
属製部材からなり、単位電池の電極との接触面に直接金
めっきを施した燃料電池用セパレータが開示されてい
る。金属製部材として、ステンレス鋼、アルミニウムお
よびNi−鉄合金が挙げられており、ステンレス鋼とし
ては、SUS304が用いられている。この発明では、
セパレータは金めっきが施されているので、セパレータ
と電極との接触抵抗が低下し、セパレータから電極への
電子の導通が良好となるため、燃料電池の出力電圧が大
きくなるとされている。
【0018】特開平8−180883号公報には、表面
に形成される不働態膜が大気により容易に生成される金
属材料からなるセパレータが用いられている固体高分子
電解質型燃料電池が開示されている。金属材料としてス
テンレス鋼とチタン合金が挙げられている。この発明で
は、セパレータに用いられる金属の表面には、必ず不働
態膜が存在しており、金属の表面が化学的に侵され難く
なって燃料電池セルで生成された水がイオン化される度
合いが低減され、燃料電池セルの電気化学反応低下が抑
制されるとされている。また、セパレータの電極膜等に
接触する部分の不働体膜を除去し、貴金属層を形成する
ことにより、電気接触抵抗値が小さくなるとされてい
る。
【0019】しかしながら、上記の公開公報に開示され
ている表面に不働態膜を備えたステンレス鋼のような金
属材料をそのままセパレータに用いても、耐食性が十分
でなく金属の溶出が起こり、溶出金属イオンにより担持
触媒性能が劣化(以下、担持触媒の被毒と記す)する。
また、溶出後に生成するCr-OH、Fe-OHのような腐食生成
物により、セパレータの接触抵抗が増加するという問題
があるので、金属材料からなるセパレータには、コスト
を度外視した金めっき等の貴金属めっきが施されている
のが現状である。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、接触
電気抵抗が低い通電部品用ステンレス鋼、およびそのス
テンレス鋼からなるセパレータを備えた固体高分子型燃
料電池を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、以下の
通りである。
【0022】(1)ステンレス鋼表面に、導電性を有す
るM236型、M4C型、M2C型、MC型炭化物系金属
介在物およびM2B型硼化物系金属介在物のうちの1種
以上が分散、露出しており、ステンレス鋼表面粗さが中
心線平均粗さRaで0.06〜5μmである通電部品用
ステンレス鋼。
【0023】(2)ステンレス鋼表面に分散、露出して
いるM236型、M2C型、MC型炭化物系金属介在物お
よびM2B型硼化物系金属介在物中の金属元素(M)
が、クロム、モリブデン、タングステンの1種以上をふ
くんでいる上記(1)の通電部品用ステンレス鋼。
【0024】(3)ステンレス鋼が、重量%で、C:
0.15%以下、Si:0.01〜1.5%、Mn:
0.01〜1.5%、P:0.04%以下、S:0.0
1%以下、Cr:15〜36%、Al:0.001〜6
%、B:0〜3.5%、N:0.035%以下、Ni:
0〜5%、Mo:0〜7%、Cu:0〜1%、Ti:0
〜25×(C%+N%)、Nb:0〜25×(C%+N
%)を含有し、かつCr、MoおよびB含有量は下記式
を満足しており、残部Feおよび不可避不純物からなる
フェライト系ステンレス鋼である上記(1)または
(2)記載の通電部品用ステンレス鋼。
【0025】17%≦Cr+3×Mo−2.5×B ただし、式中の各元素記号は含有量(重量%)を示す (4)ステンレス鋼が、重量%で、C:0.005〜
0.2%以下、Si:0.01〜1.5%、Mn:0.
01〜2.5%、P:≦0.040%、S:≦0.01
%、Cr:17〜30%、Ni:7〜50%、B:0〜
3.5%、N:0〜0.4%、Cu:0〜2%、Al:
0〜6%、Mo:0〜7%を含有し、かつCr、Moお
よびB含有量は下記式を満足しており、残部Feおよび
不可避不純物からなるオーステナイト系ステンレス鋼で
ある上記(1)または(2)記載の通電部品用ステンレ
ス鋼。
【0026】17%≦Cr+3×Mo−2.5×B ただし、式中の各元素記号は含有量(重量%)を示す (5)固体高分子電解質膜を中央にして燃料電極膜と酸
化剤電極膜を重ねあわせた単位電池を複数個、単位電池
間にセパレータを介在させて積層した積層体に、燃料ガ
スと酸化剤ガスを供給して直流電力を発生させる固体高
分子型燃料電池において、セパレータが上記(1)〜
(4)に記載のステンレス鋼からなる固体高分子型燃料
電池。
【0027】ここで、M236型、M4C型、M2C型、
MC型炭化物系金属介在物あるいはM2B型硼化物系金
属介在物の“M”は金属元素を示すが、特定の金属元素
ではなく、CあるいはBとの化学的親和力の強い金属元
素を示す。一般に、Mは鋼中共存元素との関係より、C
r、Feを主体とし、Ni、Moを微量含有することが
多い。M236型としては、Cr236、(Cr、Fe)
236、M2C型としてMo2C、MC型炭化物系金属介
在物としてWC、あるいはM2B型硼化物系金属介在物
としては、Cr2B、(Cr、Fe)2B、(Cr、Fe、
Ni)2B、(Cr、Fe、Mo)2B、(Cr、Fe、N
i、Mo)2B、Cr1.2Fe0.76Ni0.04Bといったも
のがある。M4C型には、B4Cなどがある。基本的に、
電気伝導性が良好である金属系の分散物であれば類似の
性能が期待できると推察される。“M2B”型表記の添
え字指数“2”は、“硼化物中の金属元素であるCr、
Fe、Mo、Ni、X(ここで、XはCr、Fe、M
o、Ni以外の鋼中金属元素)とB量との間において、
“(Cr重量%/Cr原子量+Fe重量%/Fe原子量
+Mo重量%/Mo原子量+Ni重量%/Ni原子量+X
重量%/X原子量)/(B重量%/B原子量)が約2”
となる化学量論的関係が成立していることがM2B表記
の理由である。本表記法は、特殊なものではなく、極め
て一般的な表記法である。
【0028】また、セパレータとは一般に前述した4つ
の機能を有するものである。すなわち、a)燃料極側
で、燃料ガスを面内均一に供給する"流路"としての機
能、b)カソード側で生成した水を、燃料電池より反応
後の空気、酸素といったキャリアガスとともに効率的に
系外に排出させる"流路"としての機能、c)長時間にわ
たって電極として低電気抵抗、良電導性を維持する単セ
ル間の電気的"コネクタ"としての機能、およびd)隣り
合うセルで一方のセルのアノード室と隣接するセルのカ
ソード室との"隔壁"としての機能を有するものである。
これらの機能を複数枚のプレートで機能分担させる構造
にする場合もある。本発明でいうセパレータとは、少な
くとも上記c)の機能を有するプレートをセパレータと
言う。
【0029】また、表面粗さの定義として用いた“中心
線平均粗さRa”“最大高さRmax.”とは、JIS
B 0601−1982において定義されている二次
元的な表面粗さの程度を表す値である。
【0030】本発明者らは、接触電気抵抗が低く耐食性
に優れたステンレス鋼、特に長時間にわたって固体高分
子型燃料電池のセパレータとして使用しても、電極用黒
鉛との接触電気抵抗が増加しないステンレス鋼を開発す
るため種々の試験をおこなった結果、以下の知見を得る
に至った。
【0031】a)ステンレス鋼表面に形成される不働態
皮膜の電気抵抗は、ステンレス鋼固有のものであり、固
体高分子型燃料電池のセパレータとして用いて電気抵抗
を電池性能を発揮するのに十分低い値に安定して維持さ
せることは容易でない。
【0032】b)接触電気抵抗は、単位面積当りの接触
面積に依存している。すなわち、単位面積当りの接触点
数、接触点総面積、個々の接触点の電気抵抗に依存して
いる。
【0033】c)そこで、ステンレス鋼表面に導電性を
有する炭化物や硼化物の金属介在物を不働態被膜を突き
破るようにして分散、露出させ、かつ表面粗度を所定の
範囲にすると接触電気抵抗を大きく下げることができ、
接触電気抵抗を継時的に低く維持することができる。こ
の炭化物や硼化物系金属介在物は、“電気の通り道”と
して機能する。
【0034】d)セパレータ環境で、ステンレス鋼は比
較的良好な耐食性を発揮するが、金属溶出、腐食が起こ
り、腐食生成物(大部分は、Feを主体とする水酸化
物)が生成し、接触電気抵抗の増大をもたらし、かつ、
担持触媒性能に著しい悪影響を及ぼす。その結果、起電
力に代表される電池性能が短時間で劣化し、水素イオン
(プロトン)交換基を有するフッ素系イオン交換樹脂膜
のプロトン伝導性が劣化する。
【0035】e)一方で、電池本体内環境におけるステ
ンレス鋼の耐食性を確保するためには、不働態皮膜は必
要不可欠であが、不働態皮膜を強固にしても、皮膜厚が
厚くなると接触電気抵抗が増大し、電池効率が著しく低
下する。そのため、ジュール熱の発生が大きくなる。
【0036】f)不働態皮膜を強固にして、セパレータ
環境で金属の溶出を抑制するためには、CrとMoの含
有量は(Cr%+3×Mo%)、Bを含有する場合には
(Cr%+3×Mo%−2.5B)が17%以上になる
ようにする必要がある。
【0037】g)積極的にMoを添加することで、耐食
性が確保される。Moは溶出したとしても、アノードお
よびカソード部に担持されている触媒の性能に対する影
響が比較的軽微である。このことは、溶出したMoが、
陰イオンであるモリブデン酸イオンとして存在するた
め、水素イオン(プロトン)交換基を有するフッ素系イ
オン交換樹脂膜のプロトン伝導性を阻害する影響が小さ
いためと考えられる。Wについてもタングステン酸イオ
ンとして存在し、同様の挙動が認められる。
【0038】Vについても、同様の挙動が期待できる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳しく説明する。なお、以下に示す%表示は重量%を
示す。
【0040】金属介在物:ステンレス鋼の表面に、導電
性を有するM236型、M4C型、M2C型、MC型炭化
物系金属介在物およびM2B型硼化物系金属介在物を1
種以上を分散、露出させる。露出とは、金属介在物がス
テンレス鋼表面に生成している不働態被膜で覆われるこ
となく外面に出ていることである。金属介在物を分散、
露出させるのは金属介在物を電気の通り道(迂回路)と
して、接触電気抵抗を下げるためである。
【0041】一般に、ステンレス鋼におけるM236
炭化物系金属介在物は、耐食性低下の原因であり厄介者
扱いされることが多い。本発明では、これまで厄介者扱
いされてきたM236 型炭化物系金属介在物をも積極的
に析出させ、不働態皮膜形成により増大する接触電気抵
抗を減じさせる『電気の通り道(迂回路)』として活用
する。
【0042】金属介在物の分散、露出させる方法には以
下のような方法がある。
【0043】(1)鋼中の炭素をクロム系炭化物などと
して析出させる (2)鋼中の硼素をクロム系硼化物として析出させる (3)B4C、WC、Mo2Cのような導電性を有する金
属微粉末の投射(以下、ショットと記す)、研磨および
研削などの機械加工時に“鋼表面にめり込ませて残留さ
せる” (4)蒸着、イオンインプランテーションなどの表面改
質と呼ばれる表面処理方法と析出処理のための熱処理を
組み合わせる このなかで、(4)は工業的な手法としては高価である
が、最表層部分を除いて、板厚方向の特性がほとんど変
化しないので有効である。
【0044】M236型、M2C型、MC型炭化物系金属
介在物およびM2B型硼化物系金属介在物中の金属元素
(M)が、クロム、モリブデン、タングステンの1種以
上を含んでいる場合、これらの炭化物、硼化物がいずれ
も金属介在物として熱力学的に安定であり、導電性に優
れるとともに、母材並みに優れた耐食を有する。また、
いずれも硬度が高く、ショット、研磨、および研削とい
った機械加工を用いて“鋼表面にめり込ませて残留さ
せ”て機能発揮させようとする本発明の目的に望まし
い。さらに、これらの金属介在物が万が一溶出したとし
ても、溶出金属イオンがいずれもステンレス鋼の不働態
化を促進する耐食性改善元素であり、また、モリブデ
ン、タングステンなどは金属イオンでありながらモリブ
デン酸イオン、タングステン酸イオンといった陰イオン
を形成し、電解質膜であるプロトン伝導性への影響が小
さい特徴を有している。
【0045】鋼中に析出した金属介在物を、ステンレス
鋼表面に生成した不働態被膜の外面に露出させる方法に
は以下のような方法がある。
【0046】1)酸洗処理する方法 2)ロール表面を“ショット加工”あるいは“エッチン
グ加工”した微小凹凸を有する圧延ロール(通称、“ダ
ルロール”)で圧延する方法 3)ステンレス鋼板を直接ショット加工する方法。
【0047】酸洗処理する方法では、地金をわずかに溶
解して、耐食的に優れる金属介在物を残留させたまま少
し突出させればよい。好ましい酸洗条件の一例として、
5−15%硝酸に1−10%ふっ酸を加えた混酸溶液、
がある。1%から15%未満の濃度の塩酸、硫酸溶液で
も可能である。地金をわずかに溶解して、耐食的に優れ
る金属介在物を残留させたまま少し突出させることがで
きれば、浸漬する酸液はどのような液でもよく、電解等
を併用させてもよい。
【0048】図2は、金属介在物を露出させたステンレ
ス鋼の表面と他の通電体面と接触させた場合の断面図を
示す。
【0049】この図は、ステンレス鋼10の表面には不
働態被膜12が存在しており、析出させた硼化物系金属
介在物13、炭化物系金属介在物15、および投射した
金属介在物14がそれぞれ表面から露出しており、カー
ボン板11と接している状態を示している。
【0050】表面粗さ:表面粗さは接触電気抵抗に影響
するために規定するもので、Raが0.06μm未満で
は表面が平滑過ぎて、導電性金属介在物が鋼表近傍に存
在しても改善効果が認められない。平滑過ぎるとかえっ
て接触点が少なくなるようである。一方、5μmを超え
ると単位面積当りの接触点数が著しく減少し接触電気抵
抗が低くなる。したがって、Raは0.06〜5μmと
した。好ましくは0.06〜2.5μmである。
【0051】化学組成:本発明のステンレス鋼の好まし
い化学組成は、以下の通りである。
【0052】C:Cは、本発明においてBと並んで重要
な元素で、Cr系主体の炭化物として分散析出させるこ
とで、不働態皮膜で覆われているステンレス鋼表面の接
触電気抵抗を下げる効果がある。このことは、Cr系炭
化物が金属的性質を有しており、不動態皮膜よりも良好
な電気伝導性を有していることにより説明できる。Bを
含有させたステンレス鋼の場合、多量の硼化物が析出す
るので、硼化物中にも取り込まれて析出する場合があ
る。
【0053】一般にステンレス鋼表面には、数十 程度
の極々薄い不働態皮膜が生成し優れた耐食性を示すが、
多かれ少なかれ不働態皮膜は母材に比べて電気伝導性が
劣り、接触電気抵抗を高める。不働態皮膜を薄くするこ
とで、電気抵抗を小さくすることも可能ではあるが、特
に固体高分子型燃料電池内部で用いられた場合、安定し
て不動態皮膜を薄い状態で維持することは容易ではな
い。電気電導性に優れたCr系炭化物が不働態皮膜に覆
われることなく表面に直接露出することが、ステンレス
鋼表面の電気伝導性を長時間にわたって低く安定させる
ことにとって極めて有効である。すなわち、Cr系炭化
物は耐食的に安定で、かつ、表面に不働態皮膜を形成し
ない。したがって、たとえ固体高分子型燃料電池内部で
表面の不働態皮膜が厚くなったとしても、鋼表面に露出
しているCr系炭化物を介して良電導性が確保されるこ
ととなり、鋼表面の接触電気抵抗が高くなるのを抑制す
ることができる。言いかえるならば、不働態皮膜に覆わ
れることなく露出している微細なクロム系炭化物が『電
気の通り道(迂回路)』として機能することで、接触電
気抵抗を低く維持できる。
【0054】一般に、Cを多量に含有させると、ステン
レス鋼は強度、硬度が高くなって延性が低下し、製造性
が低下する。固体高分子型燃料電池用セパレータ材とし
ての成形性を確保するためにも、鋼中のCを炭化物とし
て析出させて、固溶C量を下げるのが好ましい。炭化物
としてCを析出させることで、鋼の成形性が改善され
る。すなわち、成形性確保の点からも、鋼中のCを炭化
物として析出させることは有効である。さらに、炭化物
を熱処理で凝集粗大化させることも、加工性を一層改善
させるのに有効である。長時間保持することで、炭化物
は凝集し粗大化する。凝集粗大化熱処理前に、あらかじ
め冷間圧延、金属微粉末をショットしたり、研磨、研削
加工することにより残留歪を加えれば、炭化物の析出時
間、凝集時間を短くすることができる。また、炭化物析
出に伴い顕在化する鋭敏化に対しても、耐食性が母材並
みに回復するまでの時間が短くなる。
【0055】フェライト系ステンレス鋼では、0.15
%を超えて含有させると、固体高分子型燃料電池セパレ
ータ用としての成形性が確保できなくなるので、C含有
は0.15%以下にするのが好ましい。さらに、炭化物
析出により生じる鋭敏化を防止するためには(Cr系炭
化物として析出しているC重量%)×100/[(鋼中
全C重量%)−0.0015%]値を80以上とするこ
とが望ましい。
【0056】炭化物を析出させてステンレス鋼表面に分
散、露出させるには、Cを0.02%以上含有させるの
が好ましく、さらに好ましくは0.04%以上である。
また、炭化物の析出を促進するためには500〜950
℃の温度域に保持する熱処理を施すのがよい。950℃
を超える温度域では、Cr系炭化物は熱的に不安定とな
り再固溶する。一方、500℃未満の温度では鋼中C、
Crの拡散速度が遅くなり量産での析出処理時間が長く
なり工業的な観点より好ましくない。Cr系炭化物を析
出させるのに、より好適な処理温度域は650〜900
℃であり、最も望ましい温度域は800〜900℃であ
る。
【0057】オーステナイト系ステンレス鋼では、積極
的に炭化物を析出させるためには0.005〜0.2%
の範囲でCを含有させるのがよい。0.2%を超えて含
有させると、固体高分子型燃料電池セパレータ用として
の成形性を確保することができなくなる。炭化物をより
多く析出させてステンレス鋼表面に分散、露出させるに
は、0.06%以上含有させるのが好ましい。また、炭
化物析出による鋭敏化を防止するためには、(Cr系炭
化物として析出しているC重量%)×100/((鋼中
全C重量%)−0.012%)値を85以上とすること
が望ましい。
【0058】炭化物の析出を促進させるには500℃〜
950℃の温度域に保持する熱処理を施すのがよい。た
だし、950℃を超える温度域では、Cr系炭化物は熱
的に不安定となり再固溶する。一方、500℃未満では
鋼中C、Crの拡散速度が遅く、量産での析出処理時間
が長くなり工業的な観点より好ましくない。Cr系炭化
物析出により好適な処理温度域は600〜900℃であ
る。
【0059】Cr系炭化物は鋼中に微細に分散析出する
が、析出しやすい結晶粒界に優先的に析出する傾向があ
る。接触電気抵抗を低くする上で、クロム系炭化物が粒
界、粒内いずれに析出するかはさほどの影響はないが、
均一に分散させるとの観点より考えて、粒内にも分散析
出していることが望ましい。
【0060】粒内に分散させるためには、一旦Cr系炭
化物を析出させた状態で、Cr系炭化物が再固溶しない
温度域、時間内に熱間圧延あるいは冷間圧延で加工歪を
付与した後、再度500℃以上、950℃以下のCr系
炭化物析出温度域に保持すればよい。付与する冷間加工
度は数%から効果を確認することができるが、20〜3
0%程度以上が望ましい。表層付近にのみ加工歪を付与
し、表層付近にのみ炭化物を析出させることも可能であ
る。いずれにしても、再固溶した鋼中Cが、粒界あるい
は粒内に固溶せず残留している炭化物を核として再度析
出し、新粒界が形成されることで粒内にも炭化物が析出
することとなる。
【0061】表層付近にのみ加工歪を付与し、析出処理
を施した場合、先に示したフェライト系では、(Cr系
炭化物として析出しているC重量%)×100/((鋼
中全C重量%)−0.0015%)値で80以上なる関
係、オーステナイト系では(Cr系炭化物として析出し
ているC重量%)×100/((鋼中全C重量%)−
0.012%)値で85以上なる関係を成立させること
は困難となるが、定性的には露出している表面で、これ
ら関係式を満足させるのが望ましい。
【0062】周知のように、Cr系炭化物析出処理で
は、鋭敏化により母材耐食性を低下させる可能性があ
る。鋭敏化とは、Cr系炭化物が析出することでその周
囲にCr欠乏層が生成することで起こる耐食性の低下で
ある。鋭敏化は、500℃以上、950℃以下の温度域
に長時間保持し、緩冷却することで回避、あるいは改善
することができる。一般的に、冷却速度は遅いほど望ま
しい。
【0063】ただし、鋭敏化抑制の熱処理時間は、鋼中
のC量および材料の履歴により異なる現象であり、条件
を特定することは難しい。すなわち、鋭敏化抑制の熱処
理は、炭化物析出処理の熱処理前での炭化物の析出状
況、残留加工歪量、保持温度などにより異なるので一概
に規定することが困難である。
【0064】一例として、830℃×6時間炉冷を挙げ
ることができる。析出熱処理をおこなった直後に冷却を
おこなうことなく、鋭敏化抑制のための熱処理を継続し
て処理をおこなってもよい。また、一旦冷却した後、再
度500℃以上、950℃以下の温度域に加熱保持し、
緩冷却することで鋭敏化を回避、あるいは改善してもよ
い。一つの目安として、フェライト系では、(Cr系炭
化物として析出しているC重量%)×100/((鋼中
全C重量%)−0.0015%)値で80以上なる関
係、オーステナイト系では(Cr系炭化物として析出し
ているC重量%)×100/((鋼中全C重量%)−
0.012%)値で85以上なる関係を満足させるのが
よい。鋭敏化することなく、鋭敏化現象が回復し、耐食
性が確保されているかどうかは、JIS G−0575
に規定されている『硫酸−硫酸銅腐食試験』のような粒
界腐食検出法により容易に確認することができる。
【0065】(Cr系炭化物として析出しているC重量
%)値の定量に際しては、試験材から8mm直径の丸棒
を加工し、AA液(10%アセチルアセトン−1%テト
ラメチルアンモニウムクロライド−残りメタノール)を
用いる非水溶媒溶液中での定電流電解をおこなうことに
より得られる“抽出残渣”中Cr定量分析結果より、C
rがすべてCr236であるとして等量計算にてC量を
定量評価できる。
【0066】すなわち、AA非水溶媒液中にて、20m
A/cm2の電流密度にて約3時間の定電流電解をおこな
うことで約0.4g相当を溶解し、電解後すみやかに電
解試験片を超音波洗浄したAA非水溶媒液と電解に用い
たAA非水溶媒溶液をフィルター径0.2μmのCoster
Scientific Corporation社製“商品名Nuclepore”で濾
し取り、フィルター上の残渣を硫りん酸(特級りん酸:
特級硫酸:蒸留水=1:1:1)中で溶解し、これを島
津製作所製誘導結合プラズマ発光分光分析装置“商品名
ICPV-1014”にて金属成分を分析することによりCr系
炭化物中のCr濃度を求めることができる。
【0067】また、(鋼中全C重量%)の定量について
は、赤外線吸収法を用いて定量しすることができる。な
わち、試験片を酸素気流中で加熱、溶解して、鋼中の炭
素を十分に加熱して二酸化炭素とし、これを酸素と共に
赤外線吸収セルに送り、二酸化炭素による赤外線吸収量
で定量分析した。現状では、最も一般的な鋼中C定量法
である。
【0068】Si:鋼中のSi量は、0.01〜1.5
%の範囲で含有させるのがよい。Siは、量産鋼におい
てはAlと同様に有効な脱酸元素である。0.01%未
満では脱酸が不十分となり、一方1.5%を超えると成
形性が低下する。
【0069】Mn:フェライト系ステンレス鋼において
は、0.01〜1.5%の範囲内で含有させるのがよ
い。通常、Mnは鋼中のSをMn系の硫化物として固定
する作用があり、熱間加工性を改善する効果がある。オ
ーステナイト系ステンレス鋼では、Mnは0.01〜
2.5%で含有させる。Mnは、有効なオーステナイト
相安定化元素である。ただし、2.5%を超えて含有さ
せる必要はない。
【0070】P:鋼中のP量は、0.04%以下とする
のが好ましい。本発明においては、PはSと並んで最も
有害な不純物である。低ければ低い程望ましい。
【0071】S:鋼中のS量は、0.01%以下とする
のが好ましい。本発明において、SはPと並んで最も有
害な不純物である。低ければ、低いほど望ましい。鋼中
共存元素および鋼中のS量に応じて、Mn系硫化物、C
r系硫化物、Fe系硫化物、あるいは、これらの複合硫
化物および酸化物との複合非金属介在物としてほとんど
が析出する。しかしながら、固体高分子型燃料電池のセ
パレータ環境においては、いずれの組成の非金属介在物
も、程度の差はあるものの腐食の起点として作用し、不
働態皮膜の維持、腐食溶出抑制に有害である。通常の量
産鋼の鋼中S量は、0.005%超え0.008%前後
であるが、上記の有害な影響を防止するためには0.0
04%以下に低減することが望ましい。より、望ましい
鋼中S量は0.002%以下であり、最も望ましい鋼中
S量レベルは、0.001%未満であり、低ければ低い
程よい。工業的量産レベルで0.001%未満とするこ
とは、現状の精錬技術をもってすれば製造コストの上昇
もわずかであり、全く問題ない。
【0072】Cr:Crは、母材の耐食性を確保する上
で極めて重要な基本合金元素である。含有量は高いほど
高耐食となる。フェライト系においてはCr量が36%
を超えると量産規模での生産が難しくなる。オーステナ
イト系では30%を超えるとオーステナイト相がその他
合金成分の調整によっても不安定性になる。フェライト
系では15%未満、オーステナイト系では17%未満の
Cr含有量では、その他の元素を変化させてもセパレー
タとして必要な耐食性の確保が困難になる。
【0073】硼化物、炭化物が析出することにより、耐
食性向上に寄与する鋼中Cr量が、溶鋼段階でのCr量
に比べて低下して母材耐食性が劣化する場合がある。固
体高分子型燃料電池内部での耐食性を確保するために
は、M2B型硼化物が析出している本発明鋼の場合は、
(Cr%+3×Mo%−2.5×B%)≧17%なる関
係式を満たす鋼中Cr量であることが望ましい。また、
236型炭化物が析出した場合にも、炭化物析出量に
見合うだけの固溶Cr量が低下するため、(鋼中Cr%
−M236型炭化物として析出したCr%)+3×Mo
%≧17%なる関係式を満たす鋼中Cr量であることが
望ましい。
【0074】Al:Alは、脱酸元素として溶鋼段階で
添加する。本発明鋼でBを含有させる場合は、Bは溶鋼
中酸素との結合力が強い元素であるので、Al脱酸によ
り酸素濃度を下げておくのがよい。そのため、0.00
1〜6%の範囲で含有させるのがよい。
【0075】B:Bは、必要に応じて含有させるが、重
要な添加元素のひとつである。含有させる場合、3.5
%以下とするのがよい。B含有鋼においては、Cr、F
eを主体とし、Ni、Moを微量含有する(Cr,F
e)2B、(Cr,Fe,Ni)2BといったM2B型硼
化物として析出させることにより、不働態皮膜で覆われ
るステンレス鋼表面の接触電気抵抗を下げる効果があ
る。一方、B4Cといった微粒子粉末をショットした
り、研磨、研削する際に“めり込ませて残留物させる”
ことで、接触電気抵抗を継時的に低く維持することがで
きる。
【0076】このことは、これらの硼化物は金属的性質
を有しており、不働態皮膜よりも良好な電気伝導性を有
していることにより説明できる。
【0077】電気電導性に優れた硼化物を、不働態皮膜
に覆われることなく表面に直接露出させることにより、
ステンレス鋼表面の電気伝導性を長時間にわたって低く
安定させることに極めて有効である。
【0078】すなわち、硼化物は炭化物と同様に耐食的
に安定で、かつ、表面に不働態皮膜を形成しない。した
がって、たとえ固体高分子型燃料電池内部で表面の不働
態皮膜が厚くなったとしても、鋼表面に露出している硼
化物を介して良電導性が確保されることとなり、鋼表面
の接触電気抵抗が高くなるのを抑制することができる。
換言すれば、不働態皮膜に覆われることなく露出してい
る微細な金属性質を有する硼化物が『電気の通り道(迂
回路)』として機能することで、接触電気抵抗を低く維
持することができる。
【0079】一般に、Bを多量に含有すると、ステンレ
ス鋼は強度、硬度が高くなって延性も低下し、製造性の
低下が大きくなる。固体高分子型燃料電池用セパレータ
材としての成形性を確保するためにも、鋼中のBを硼化
物として析出させて、固溶B量を下げるのが好ましい。
硼化物としてBを析出させることにより鋼の成形性が改
善される。
【0080】すなわち、成形性確保の点からも鋼中のB
を硼化物として析出させることが有効である。さらに、
1200℃近傍の温度で長時間保持することにより、硼
化物を凝集し粗大化させることができ、加工性を一層改
善させるのに有効である。ただし、保持温度が高いため
素材が変形しやすい難点がある。
【0081】また、製造過程において、熱間での鍛造比
(鍛錬比)を高めて強加工することにより、変形能が低
下する原因である硼化物を“砕き”微細に分散させるこ
とが可能である。微細に破砕することで靭性劣化を軽減
することができる。
【0082】Bは、3.5%を超えて含有させる場合
は、通常の溶解法での製造が困難となる。また、固体高
分子型燃料電池セパレータ用としての常温での成形性が
確保できなくなる。したがって、Bを含有させる場合は
3.5%以下とするのが好ましい。
【0083】周知のごとく、鋼中のBはそのほとんどが
硼化物として析出する。1125℃においても0.01
%以下程度固溶するのみである。低温側では、固溶量は
さらに低くなる。
【0084】硼化物析出温度は含有量にもよるが、ステ
ンレス鋼凝固温度近傍にあり、一旦析出すると、ほとん
ど再固溶しない挙動を示す。Bの含有量と共に液相線が
低下し、熱間での鍛造可能温度範囲も狭くなる問題もあ
る。硼化物そのものの変形能が極めて劣ることから、B
含有量が多く硼化物析出が顕著になるほど製造時、加工
時の割れ問題が大きくなり、量産性が悪くなる。ただ
し、B量が1.5%以上、3.5%までは、相当の困難
さを伴うものの工業的規模での製造は可能である。
【0085】加工変形能をほとんど有しないM2B型硼
化物は、“圧延方向に砕け、分散する”ような様相で分
散しながら圧延される。硼化物の分散状態が成形性を左
右する。鋼中における硼化物分散状態の制御は、鍛造条
件、熱間圧延条件を工夫することで、可能である。特
に、熱間での強圧下圧延が有効である。
【0086】B含有量が、数十ppm程度である場合に
は、硼化物は結晶粒界に析出する傾向が大きい。接触電
気抵抗を低くする上で、硼化物が粒界、粒内いずれに析
出するかはさほどの影響はないが、常温での加工性、割
れ問題回避の点より均一に分散させる方が好ましいこと
は言うまでもない。
【0087】硼化物析出により、母材耐食性が低下する
可能性がある。硼化物析出による母材の耐食性低下は、
硼化物が析出することで母材中のCr、Moが消費され
るために起こる。あらかじめ、硼化物形成により消費さ
れるCr量相当およびMo量相当を溶鋼の段階で含有さ
せておくことが耐食性低下軽減に対して極めて重要であ
る。冷却速度の影響は比較的小さい。
【0088】固体高分子型燃料電池本体内部での耐食性
を確保するために、Cr%+3×Mo%−2.5×B%
≧17%を満足させることが好ましい。各元素のかかる
係数は、実験則で規定したものである。
【0089】鋼中B量の定量に際しては、試験材から8
mm直径の丸棒を加工し、AA液(10%アセチルアセ
トンー1%テトラメチルアンモニウムクロライド−残り
メタノール)を用いる非水溶媒溶液中での定電流電解を
おこなうことで得られる“抽出残渣”よりB定量分析す
ることで評価することができる。すなわち、AA非水溶
媒液中にて、20mA/cm2の電流密度にて約3時間の
定電流電解をおこなうことで約0.4g相当を溶解し、
電解後すみやかに電解試験片を超音波洗浄したAA非水
溶媒液と電解に用いたAA非水溶媒溶液をフィルター径
0.2μmのCoster Scientific Corporation社製“商
品名Nuclepore”で濾し取り、フィルター上の残渣を用
いて定量をおこなうことができる。鋼中の硼化物量が少
なく残渣量が40μg以下と少ない場合には、蒸留分離
した後クルクミン吸光光度法により、40μg以上の場
合には硫りん酸(特級りん酸:特級硫酸:蒸留水=1:
1:1)中で溶解した後、これを島津製作所製誘導結合
プラズマ発光分光分析装置“商品名ICPV-1014”にて金
属成分を分析し、硼化物として析出しているB量を定量
することができる。
【0090】上記でのAA液中での定電流電解で得られ
る残渣は、M2Bの化合物としてフィルター上に捕集さ
れる。硼化物としてBと結合している金属元素の定量
は、誘導結合プラズマ発光分光分析法を利用する上記要
領により可能である。定性分析は、X線回折法により可
能である。
【0091】N:フェライト系ステンレス鋼におけるN
は不純物である。Nは常温靭性を劣化させるので上限を
0.035%とするのがよい。低ければ低い程望まし
い。工業的には0.007%以下とすることが最も望ま
しい。オーステナイト系のステンレス鋼においては、N
はオ−ステナイト形成元素として、オーステナイト相バ
ランス調整に有効な元素である。しかし、加工性を劣化
させないために上限を0.4%とするのがよい。
【0092】Ni:オーステナイト系ステンレス鋼にお
いてはNiは、オーステナイト相安定のために極めて重
要な合金元素である。フェライト系ステンレス鋼におい
ても、耐食性、靭性を改善する効果がある。オーステナ
イト系ステンレス鋼においては、下限を7%とし、上限
を50%とするのが好ましい。7%以下では、オーステ
ナイト相安定が困難となり、一方、50%を超えて含有
させると、製造が困難となるからである。フェライト系
ステンレス鋼は、上限を7%とするのが好ましい。7%
以上ではフェライト系組織とすることが困難となり、そ
の他元素の影響も受けるが、フェライト及びオーステナ
イト二相組織となるからである。二相組織では、薄板成
形性に方向性があり、固体高分子型燃料電池セパレータ
用素材として十分な加工性を確保することができなくな
る。
【0093】Mo:MoはCrに比べ、少量で耐食性を
改善する効果がある。7%以下の量で必要により含有さ
せるのがよい。7%を超えて含有させると、シグマ相等
の金属間化合物の析出回避が困難であり、鋼の脆化の問
題から生産が困難となるので上限を7%とするのがよ
い。
【0094】また、Moの特徴として、固体高分子型燃
料電池内部で、たとえ腐食により鋼中Moの溶け出しが
起こったとしても、アノードおよびカソード部に担持さ
れている触媒の性能に対する影響は比較的軽微である特
徴がある。Moが、金属陽イオンとして存在せず、モリ
ブデン酸陰イオンとして存在するため、水素イオン(プ
ロトン)交換基を有するフッ素系イオン交換樹脂膜の陽
イオン伝導度に対する影響も小さいことで説明できる。
【0095】Moは、耐食性を維持するために極めて重
要な添加元素であり、(Cr%+3×Mo%−2.5×
B%)≧17%なる関係式を満たす鋼中Mo量であるこ
とが望ましい。
【0096】鋼中あるいは、鋼表面にMo2C型炭化物
として、ショット加工、あるいは研磨、研削などの機械
加工後の残留物として、あるいは析出物として存在させ
ることができる。導電性金属としてステンレス鋼の表面
に分散、露出させることで、不働態皮膜で覆われるステ
ンレス鋼表面の接触電気抵抗を下げる効果がある。この
ことは、Mo系炭化物が金属的性質を有しており、不動
態皮膜よりも良好な電気伝導性を有していることにより
説明できる。電導性に優れたMo系炭化物を不働態皮膜
に覆われることなく表面に直接露出させることで、微細
なMo系炭化物が『電気の通り道(迂回路)』として機
能することで、接触電気抵抗を低く維持すことができ
る。
【0097】また、工業的にはコスト高となるが、イオ
ン注入等でステンレス鋼表層部分のMo濃度を高め、そ
の後の熱処理により鋼中のCと反応させて、表層でMo
2Cを形成させることも可能である。
【0098】Cu:フェライト系ステンレス鋼では、C
uは1%以下で含有させるのがよい。1%を超えて含有
させると、熱間での加工性を減ずることとなり、量産性
の確保が難しくなるからである。オーステナイト系ステ
ンレス鋼では、2%以下の範囲で含有させるのがよい。
Cuは、有効なオーステナイト相安定化元素であり、不
働態保持に際して有効な働きをする。
【0099】Ti、Nb:TiおよびNbは、フェライ
ト系ステンレス鋼の靭性劣化を軽減する効果がある。必
要に応じて25×(C%+N%)以下で含有させる。T
i、Nbの複合で含有させても靭性改善の効果は得られ
る。
【0100】以下、具体的な実施例により本発明の効果
を詳細に説明する。
【0101】
【実施例1】表1に示した16種の化学組成のステンレ
ス鋼を高周波誘導加熱方式の150kg真空溶解炉で溶解
しインゴットに造塊した。溶解原料としては、市販の溶
解原料を使用し、鋼中の不純物量を調整した。B添加に
は市販のFe−B合金鉄を用いた。aからi、およびp
はフェライト系ステンレス鋼であり、jからoはオース
テナイト系ステンレス鋼である。
【0102】
【表1】
【0103】各インゴットから下記の工程により冷間圧
延鋼板を製造した。
【0104】インコ゛ット → 鍛造 → 切削加工 → 熱間圧延
→ 焼鈍 → 冷却→ ショットフ゛ラストで脱スケール → 酸洗 → 冷
間圧延(中間焼鈍)→ 焼鈍 → 酸洗 各製造工程における詳細は以下の通りであった。
【0105】 インゴット: [鋼記号] [インゴット形状] a〜f、p : 丸型 g〜i : 角型扁平 j〜m : 丸型 n、o : 角型扁平 鍛造(フ゜レス方式、加熱は大気中): [仕上げ寸法 [鋼記号] [加熱温度(℃)][加熱時間(hr)] 厚さ 幅 長さ(mm)] a〜f、p : 1220 3 70 400 600 g〜i : 1180 3 50 400 600 j〜m : 1260 3 70 400 600 n、o : 1180 3 50 400 600 切削加工: 上記スラブを切削加工にて、表面の酸化スケールおよび端面の割れを除去 [鋼記号] [切削後の仕上げ厚さ(mm)] a〜f、p : 60 g〜i : 42 j〜m : 60 n、o : 42 熱間圧延: [鋼記号] [スラフ゛加熱温度(℃)大気中] [仕上げ厚さ(mm)] a〜f、p : 1220 3.8 g〜i : 1180 2.6 j〜m : 1260 3.8 n、o : 1180 2.6 いずれも熱間圧延後、量産での熱延終了直後の温度履歴
を模擬して断熱材を巻き付けて徐冷した。
【0106】鋼記号gからi、およびn、oについて
は、0.6%以上のBを含有しているステンレス鋼であ
る。鋼中Bは、固相線以下、1200℃付近で析出す
る。M2B型硼化物は金属間化合物でありながら常温
域、高温域ともに変形能が極めて悪いので、おおよそ、
1000℃以上、1200℃以下の温度範囲で再加熱を
繰り返しながら鍛造、圧延をおこなった。また、コイル
端面の温度は低下しやすく、耳割れを発生しやすいの
で、コイル端面を保熱、必要に応じて加熱しながら熱間
圧延をおこなった。
【0107】 熱間圧延後の焼鈍(大気中): [鋼記号] [焼鈍温度℃] [冷却] a、e、f、g、h、i、p : 840 空冷 b : 925 水冷 c、d : 1000 水冷 j、k、l、m、n、o : 1080 空冷 保持時間は、いずれも20分 表面の高温酸化スケールは、ショットにて除去、酸洗 冷間圧延:全て0.3mmに仕上げた。
【0108】必要に応じて、冷間圧延途中で810℃で
軟化焼鈍と酸洗を実施した。
【0109】冷延コイルは、上記熱延材と同じ温度で最
終焼鈍をおこない供試材とし、下記の方法によりステン
レス鋼板の表面に金属介在物を分散、露出させてた後、
表面粗さ、接触電気抵抗を測定すると共に、セパレータ
を製作して固体高分子型燃料電池に組み込み性能評価を
おこなった。
【0110】各試験に用いた冷延鋼板の表面の金属介在
物の分散、露出および表面粗さは、酸洗液条件(液組
成、温度)、酸洗時間を変えることによりおこなった。
用いた酸洗液は下記の4種類であった。
【0111】 硝酸:15%、ふっ酸:3%、水:残部 硝酸:10%、ふっ酸:8%、水:残部 硝酸:10%、ふっ酸:4%、水:残部 硝酸: 8%、ふっ酸:3%、水:残部 なお、酸洗液の温度は60℃一定とした。
【0112】また、ステンレス鋼板表面に金属介在物を
分散、露出させる手段として、析出させる以外にWC、Mo
2C、B4Cの導電性を有する硬質微粉末をショットする方
法を用いた。ショット条件は以下の通りであった。
【0113】ショットした微粉末は、いずれも工業的に
製造された粉末であり、平均粒径は約200μmであっ
た。WCで99%以上、Mo2Cで90%、B4Cで95
%以上の高純度品で、それぞれMC型、M2C型、M4
型炭化物に該当する。投射条件は以下の通りであった。
【0114】投射圧力:5kg/cm2 投射距離:200mm 投射量 :5kg/min 投射角度:80度 実施した試験は、下記の(1)〜(4)である。
【0115】(1)冷延鋼板に導電性粉末を投射するこ
とにより金属介在物を分散、露出させたステンレス鋼板
の試験 表2に示した鋼記号の各冷延鋼板を、同表に示す酸洗条
件で酸洗した後、WC、Mo2C、B4Cの導電性を有す
る硬質微粉末をショットした後、蒸留水中で15分間の
超音波洗浄をおこなった。冷風ドライアーで乾燥させた
後、JIS B0601−1982に規定の表面粗さ
(中心平均粗さRaおよび最大高さRmax)と、接触
電気抵抗を測定した。その結果を表2に示す。ショット
前に酸洗を実施しない場合にも、ほぼ同様の効果が確認
できた。
【0116】
【表2】
【0117】表2に示したNo.1〜13は、ショット
を施した場合で、No.14〜19はショットを施さなか
った例で、表面に金属介在物が露出していない比較例で
ある。
【0118】本発明例のNo.5〜7および比較例の16
〜19は、M236型導電性金属析出物の影響を避ける
ために炭素含有量が少ない鋼を用いた。
【0119】表2でM236、M2B型析出物の有無につ
いては、光学顕微鏡にて表面にマクロ的に均一分散して
いることが容易に目視確認できるものをもって析出あり
と表記した。同定については、透過電子顕微鏡の回折像
よりおこなった。
【0120】接触電気抵抗の測定は、0.3mm厚の上
記酸洗後の冷延鋼板と厚さ0.6mmの市販のグラッシ
ーカーボン板(昭和電工製、商品名“SG3”)を用
い、評価用ステンレス試験片接触面積を1cm2とし、
4端子法にて測定した。評価用試験片表面は、評価直前
に、表面を洗浄後評価に供試した。酸洗処理をおこなわ
ない場合は、湿式600番エメリー研磨面である。負荷
荷重は11.2kg/cm2とした。負荷荷重により接触
電気抵抗は変化するが、10kg/cm2以上でほぼ一定
値が得られるようになることを確認している。
【0121】表2より明らかなように、導電性粉末をシ
ョット加工によってステンレス鋼板表面に“めり込ませ
て残留させた”場合、全て接触抵抗は8.45mΩ・cm2
以下となった。一方、ショットを施さない比較例では、
接触電気抵抗が107.9mΩ・cm2以上と高かった。こ
こで、No.14,15は鋼中に導電性金属介在物である
236が析出しているにもかかわらず接触抵抗が高
い。これは、No.14では中心線平均粗さが0.03μm
と極めて平滑であるために導電性介在物が表面から突出
しておらず、また、No.15では中心線平均粗さが4.
54μm、最大粗さが56.2μmと大きく表面が粗いた
めに接触点に導電性介在物が存在する割合が低く、導電
性介在物が“電気の通り道”として十分に機能しなかっ
たためと考えられる。ステンレス鋼表面粗さが中心線平
均粗さRaで0.06〜5μmである必要がある。ショ
ット加工は、表面に導電性粉末を“めり込ませて残留
させる”こと、表面粗さを中心線平均粗さRaで0.
05〜5μmに調整することの双方を満足させる極めて
有効な工業的手段のひとつであることが明かである。な
お、ショット加工により“めり込ませて残留させた”導
電性粒子の“電気の通り道”としての機能は時間経過に
よらないと判断されるが、実際にショットを施した鋼板
表面の接触抵抗は、300hr経過後もほぼ同じ接触抵
抗値を示すことが確認できた。
【0122】M236、M2B型といった導電性金属析出
物が鋼中に析出している場合も、No.1〜4、8〜1
0、12、13に示すように良好な接触抵抗が得られ
た。両者の改善効果は、重畳の関係にあると判断してい
る。
【0123】(2)金属介在物を析出させて分散、露出
させたステンレス鋼の試験 電気伝導性微粉末を投射しないで、析出した金属介在物
のみによる効果を確認するため、炭素含有量が比較的高
くM236型炭化物が析出しているステンレス鋼、およ
び、硼素含有量が高くM2B型硼化物が析出しているス
テンレス鋼を用いて、表3に示す種々の酸洗条件で酸洗
して金属介在物を分散、露出させた。また、比較例とし
て、炭素含有量が少なく、硼素含有量も低いか、含有し
ないステンレス鋼も同じ条件で酸洗した。これらの酸洗
した冷延鋼板の表面粗さと接触電気抵抗を上記と同じ方
法により測定した測定結果を表3に示す。
【0124】
【表3】
【0125】表3より明らかなように、M236、M2
型析出物を分散、露出させた本発明例の全てが接触電気
抵抗は15.6mΩ・cm2以下と小さいが、比較例の析出
物が鋼板表面に分散、露出していない場合は、表面粗さ
が本発明で規定する範囲内であっても101.6mΩ・c
m2以上と高いことが明かである。分散析出の効果が顕著
である。M236型炭化物とM2B型硼化物の改善効果
は、重畳の関係にあると判断している。
【0126】(3)金属介在物を分散、露出させ、かつ
表面粗さを変化させたステンレス鋼板の試験 表面粗さの接触電気抵抗におよぼす影響を確認するた
め、表4に示すように酸洗条件を種々変化させて酸洗し
て冷延鋼板の表面粗さを変化させた後、表面粗さと接触
電気抵抗の測定をおこなった。その結果を表4に示す。
【0127】図3および図4は、湿式600番エメリー
紙研磨した鋼記号n(表1)を、10%硝酸−3%ふっ
酸中で5分間酸洗した後の表面粗さ状態を示す。図3は
二次元での測定結果で、図4は三次元測定結果である。
Ra=0.2133、0.2147μmであった。これ
らの測定は、市販の粗さ計を用いた。
【0128】
【表4】
【0129】表4から明らかなように、たとえ、鋼中に
236、M2B型析出物がステンレス鋼板表面に分散、
露出していたとしても、表面粗さが本発明で規定する範
囲になっていなければ接触電気抵抗が45.3mΩ・cm2
以上と高い。このことは、接触が面では起こらず、表面
が非常に平滑な面であってもいくつかの点での接触しか
起こっていないことを示す。言いかえるならば、表面が
非常に平滑である場合には、接触点数が少ないことか
ら、鋼板表面に露出している導電性金属介在物を介した
接触機会が十分に得られず、結果として接触抵抗値が高
くなると解釈できる。
【0130】図5は、鋼記号n(表1中)のミクロ写真
(1000倍)を示す。白い線で囲まれているのが分散
相のM2B型硼化物である。断面をSEM観察したもの
であり、上方には、表面にM2Bが“頭を出して”突
出、分散している状況が判別できる。
【0131】(4)金属介在物を分散、露出させたステ
ンレス鋼からなるセパレータを固体高分子型燃料電池に
組み込んだ試験 本発明のステンレス鋼を固体高分子型燃料電池にセパレ
ータとして装填した場合の性能評価のために、表5に示
す各鋼記号の最終焼鈍した冷延鋼板からコルゲート形状
のセパレータ板を作製した。
【0132】セパレータ板は、図1に示す形状で両面
(アノード極側、カソード極側)に機械加工により溝幅
2mm、溝深さ1mmのガス流路を切削加工し、固体高
分子型単セル電池内部にセパレータとして装填した状態
で評価した。特性評価は、電池内に燃料ガスを流してか
ら1時間経過後に単セル電池の電圧を測定し、初期の電
圧と比較することにより電圧の低下率を調べて行った。
なお、低下率は、1−(1時間経過後の電圧V/初期電
圧v)により求めた。
【0133】評価に用いた固体高分子型燃料単セル電池
は、米国Electrochem社製市販電池セルFC50を改造して
用いた。
【0134】アノード極側燃料用ガスとしては99.9
999%水素ガスを用い、カソード極側ガスとしては空
気を用いた。電池本体は全体を78±2℃に保温すると
共に、電池内部の湿度制御を、セル出側の排ガス水分濃
度測定をもとに入り側で調整した。電池内部の圧力は、
1気圧である。水素ガス、空気の電池への導入ガス圧は
0.04〜0.20barで調整した。セル性能評価
は、単セル電圧で500±20mA/cm2−0.62±
0.04Vが確認できた状態より継時的に測定を行っ
た。
【0135】単セル性能測定用システムとしては、米国
スクリブナー社製890シリーズを基本とした燃料電池
計測システムを改造して用いた。電池運転状態により、
特性に変化があると予想されるが、同一条件での比較評
価である。その結果を表5に示す。
【0136】
【表5】
【0137】本発明で規定するステンレス鋼は、表5か
ら明らかなように、固体高分子型燃料電池セルに装填し
た状態においても、接触電気抵抗を小さく維持すること
ができた。
【0138】
【発明の効果】本発明の通電部品用ステンレス鋼は、接
触電気抵抗が低く腐食環境においても長時間の間接触電
気抵抗を低く維持することができ、特に固体高分子型燃
料電池のセパレータ用として好適であり、安価な固体高
分子型燃料電池の製造に貢献するところ大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】固体高分子型燃料電池の構造を示す図である。
【図2】金属介在物が露出したステンレス鋼の表面と他
の通電体面と接触させた状態を示す図である。
【図3】酸洗後のステンレス鋼板の二次元の表面粗さ状
態を示す図である。
【図4】酸洗後のステンレス鋼板の三次元の表面粗さ状
態を示す図である。
【図5】分散したM2B型硼化物を示す図である。
【符号の説明】
1 燃料電池 2 固体分子電解質膜 3 燃料電極膜 4 酸化剤電極膜 5a、5b セパレータ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 8/10 H01M 8/10 (72)発明者 土井 教史 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内 Fターム(参考) 4K020 AC09 BA01 5H026 AA06 CC03 EE08 HH00 HH05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ステンレス鋼表面に、導電性を有するM23
    6型、M4C型、M2C型、MC型炭化物系金属介在物
    およびM2B型硼化物系金属介在物のうちの1種以上が
    分散、露出しており、ステンレス鋼表面粗さが中心線平
    均粗さRaで0.06〜5μmであることを特徴とする
    通電部品用ステンレス鋼。
  2. 【請求項2】ステンレス鋼表面に分散、露出している
    236型、M2C型、MC型炭化物系金属介在物および
    2B型硼化物系金属介在物中の金属元素(M)が、ク
    ロム、モリブデン、タングステンの1種以上を含んでい
    ることを特徴とする請求項1記載の通電部品用ステンレ
    ス鋼。
  3. 【請求項3】ステンレス鋼が、重量%で、C:0.15
    %以下、Si:0.01〜1.5%、Mn:0.01〜
    1.5%、P:0.04%以下、S:0.01%以下、
    Cr:15〜36%、Al:0.001〜6%、B:0
    〜3.5%、N:0.035%以下、Ni:0〜5%、
    Mo:0〜7%、Cu:0〜1%、Ti:0〜25×
    (C%+N%)、Nb:0〜25×(C%+N%)を含
    有し、かつCr、MoおよびB含有量は下記式を満足し
    ており、残部Feおよび不可避不純物からなるフェライ
    ト系ステンレス鋼であることを特徴とする請求項1また
    は2記載の通電部品用ステンレス鋼。 17%≦Cr+3×Mo−2.5×B ただし、式中の元素記号は各元素の含有量(重量%)を
    示す
  4. 【請求項4】ステンレス鋼が、重量%で、C:0.00
    5〜0.2%、Si:0.01〜1.5%、Mn:0.
    01〜2.5%、P:0.04%以下、S:0.01%
    以下、Cr:17〜30%、Ni:7〜50%、B:0
    〜3.5%、N:0〜0.4%、Cu:0〜2%、A
    l:0〜6%、Mo:0〜7%を含有し、かつCr、M
    oおよびB含有量は下記式を満足しており、残部Feお
    よび不可避不純物からなるオーステナイト系ステンレス
    鋼であることを特徴とする請求項1または2記載の通電
    部品用ステンレス鋼。 17%≦Cr+3×Mo−2.5×B ただし、式中の各元素記号は含有量(重量%)を示す
  5. 【請求項5】固体高分子電解質膜を中央にして燃料電極
    膜と酸化剤電極膜を重ねあわせた単位電池を複数個、単
    位電池間にセパレータを介在させて積層した積層体に、
    燃料ガスと酸化剤ガスを供給して直流電力を発生させる
    固体高分子型燃料電池において、セパレータが請求項1
    から4のいずれかに記載のステンレス鋼からなることを
    特徴とする固体高分子型燃料電池。
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