JP2020024883A - 燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストで、かつ安全に、燃料電池のセパレータ使用環境における優れた耐食性と低い接触抵抗とを得ることができる、燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板を提供する。【解決手段】基材ステンレス鋼板の表面において、金属の形態として存在するCrおよびFeの合計に対する、金属以外の形態で存在するCrおよびFeの合計の比である、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]を、12.0以上200以下とする。【選択図】なし
Description
本発明は、燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板およびその製造方法に関するものである。
近年、地球環境保全の観点から、発電効率に優れ、二酸化炭素を排出しない燃料電池の開発が進められている。この燃料電池は水素と酸素から電気化学反応によって電気を発生させるもので、その基本構造はサンドイッチのような構造を有しており、電解質膜(イオン交換膜)、2つの電極(燃料極および空気極)、O2(空気)とH2の拡散層および2つのセパレータ(Bipolar plate)から構成されている。
そして、使用される電解質膜の種類に応じて、リン酸形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池、固体酸化物形燃料電池、アルカリ形燃料電池および固体高分子形燃料電池(PEFC;proton-exchange membrane fuel cellまたはpolymer electrolyte fuel cell)に分類され、それぞれ開発が進められている。
そして、使用される電解質膜の種類に応じて、リン酸形燃料電池、溶融炭酸塩形燃料電池、固体酸化物形燃料電池、アルカリ形燃料電池および固体高分子形燃料電池(PEFC;proton-exchange membrane fuel cellまたはpolymer electrolyte fuel cell)に分類され、それぞれ開発が進められている。
これらの燃料電池のうち特に固体高分子形燃料電池は、電気自動車の搭載用電源、家庭用または業務用の定置型発電機、携帯用の小型発電機としての利用が期待されている。
固体高分子形燃料電池は、高分子膜を介して水素と酸素から電気を取り出すものであり、膜−電極接合体を、ガス拡散層(たとえばカーボンペーパ等)およびセパレータによって挟み込み、これを単一の構成要素(いわゆる単セル)とする。そして、燃料極側セパレータと空気極側セパレータとの間に起電力を生じさせる。
なお、上記の膜−電極接合体は、MEA(Membrane-Electrode Assembly)と呼ばれていて、高分子膜とその膜の表裏面に白金系触媒を担持したカーボンブラック等の電極材料を一体化したものであり、厚さは数10μm〜数100μmである。また、ガス拡散層は、膜−電極接合体と一体化される場合も多い。
なお、上記の膜−電極接合体は、MEA(Membrane-Electrode Assembly)と呼ばれていて、高分子膜とその膜の表裏面に白金系触媒を担持したカーボンブラック等の電極材料を一体化したものであり、厚さは数10μm〜数100μmである。また、ガス拡散層は、膜−電極接合体と一体化される場合も多い。
また、固体高分子形燃料電池を実用に供する場合には、上記のような単セルを直列に数十〜数百個つないで燃料電池スタックを構成し、使用するのが一般的である。
ここに、セパレータには、
(a) 単セル間を隔てる隔壁
としての役割に加え、
(b) 発生した電子を運ぶ導電体、
(c) 酸素(空気)が流れる空気流路、水素が流れる水素流路、
(d) 生成した水やガスを排出する排出路(空気流路、水素流路が兼備)
としての機能が求められるので、優れた耐久性や電気伝導性が必要となる。
ここに、セパレータには、
(a) 単セル間を隔てる隔壁
としての役割に加え、
(b) 発生した電子を運ぶ導電体、
(c) 酸素(空気)が流れる空気流路、水素が流れる水素流路、
(d) 生成した水やガスを排出する排出路(空気流路、水素流路が兼備)
としての機能が求められるので、優れた耐久性や電気伝導性が必要となる。
ここで、耐久性は耐食性で決定される。その理由は、セパレータが腐食して金属イオンが溶出すると高分子膜(電解質膜)のプロトン伝導性が低下し、発電特性が低下するからである。
また、電気伝導性(導電性)に関しては、セパレータとガス拡散層との接触抵抗が極力低いことが望まれる。その理由は、セパレータとガス拡散層との接触抵抗が増大すると、固体高分子形燃料電池の発電効率が低下するからである。つまり、セパレータとガス拡散層との接触抵抗が小さいほど、発電特性に優れていると言える。
現在までに、セパレータとしてグラファイトを用いた固体高分子形燃料電池が実用化されている。このグラファイトからなるセパレータは、接触抵抗が比較的低く、しかも腐食しないという利点がある。しかしながら、グラファイト製のセパレータは、衝撃によって破損しやすいので、小型化が困難なだけでなく、空気流路、水素流路を形成するための加工コストが高いという欠点がある。グラファイトからなるセパレータが有するこれらの欠点は、固体高分子形燃料電池の普及を妨げる原因になっている。
そこで、セパレータの素材として、グラファイトに替えて金属素材を適用する試みがなされている。特に、耐久性向上の観点から、ステンレス鋼やチタン、チタン合金等を素材としたセパレータの実用化に向けて、種々の検討がなされている。
たとえば、特許文献1には、ステンレス鋼またはチタン合金等の不動態皮膜を形成しやすい金属をセパレータとして用いる技術が開示されている。しかしながら、特許文献1に開示の技術では、不動態皮膜の形成に伴い、接触抵抗の上昇を招くことになり、発電効率の低下を招く。このように、特許文献1に開示される金属素材は、グラファイト素材と比べて接触抵抗が大きい等の問題がある。
また、特許文献2には、オーステナイト系ステンレス鋼板(SUS304)等の金属セパレータの表面に金めっきを施すことにより、接触抵抗を低減し、高出力を確保する技術が開示されている。しかしながら、金めっきはコストが増加するという問題がある。
このような問題に対し、特許文献3には、金(Au)の使用量を低減すべく、ステンレス鋼母材表面にAuの不連続なコーティング膜を形成し、また、耐食性を確保する観点から、コーティング膜が形成されていない部分、すなわちステンレス鋼母材が露出した部分に、所定の条件で熱処理を施して酸化皮膜を形成する技術が開示されている。
しかし、特許文献3に開示される技術により得られる金属板では、セパレータ使用環境において負荷される電位がさらに高くなった場合、耐食性が不十分であることが判明した。また、熱処理時間が10分〜3時間と長く、製造性および製造コストの点でも、問題を残している。
しかし、特許文献3に開示される技術により得られる金属板では、セパレータ使用環境において負荷される電位がさらに高くなった場合、耐食性が不十分であることが判明した。また、熱処理時間が10分〜3時間と長く、製造性および製造コストの点でも、問題を残している。
さらに、特許文献4には、フッ酸を含む溶液にステンレス鋼を浸漬することによってステンレス鋼の表面状態を改質する、具体的には、ステンレス鋼板の表面にFを存在させるとともに、金属形態以外(Cr+Fe)/金属形態(Cr+Fe)を3.0以上とすることで、接触抵抗を低減する技術が開示されている。
しかし、フッ酸などのフッ素イオンを含有する処理液は化学的に極めて活性が高いため、処理作業時における安全性の問題が生じる。また、処理作業後に排出される廃液の処理においても、やはり安全性の問題が生じる。
しかし、フッ酸などのフッ素イオンを含有する処理液は化学的に極めて活性が高いため、処理作業時における安全性の問題が生じる。また、処理作業後に排出される廃液の処理においても、やはり安全性の問題が生じる。
本発明は、上記の現状に鑑み開発されたもので、低コストで、かつ安全に、燃料電池のセパレータ使用環境における優れた耐食性と低い接触抵抗とを得ることができる、燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記の燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
なお、基材ステンレス鋼板とは、導電性コーティングの基材となるステンレス鋼板である。燃料電池のセパレータは、この基材ステンレス鋼板表面に導電性コーティングを形成した状態で使用される。
また、本発明は、上記の燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
なお、基材ステンレス鋼板とは、導電性コーティングの基材となるステンレス鋼板である。燃料電池のセパレータは、この基材ステンレス鋼板表面に導電性コーティングを形成した状態で使用される。
さて、発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋭意検討を行った。
ここで、ステンレス鋼は、その表面に、主にFeやCrの酸化物や水酸化物からなる不動態皮膜(以下、単に表面皮膜ともいう)を有しており、このような表面皮膜によって、燃料電池のセパレータ環境における耐食性が確保される。
ここで、ステンレス鋼は、その表面に、主にFeやCrの酸化物や水酸化物からなる不動態皮膜(以下、単に表面皮膜ともいう)を有しており、このような表面皮膜によって、燃料電池のセパレータ環境における耐食性が確保される。
そこで、発明者らは、セパレータ使用環境において、負荷される電位が高くなる場合であっても、十分な耐食性が得られるように、ステンレス鋼板表面の表面皮膜を厚膜化することを試み、そのための種々のプロセスについて検討した。
その結果、発明者らは、安全性や製造性などの面から、ステンレス鋼に酸素雰囲気中において熱処理を施して表面皮膜、特には、FeおよびCrの酸化物および水酸化物からなる表面皮膜を形成して、当該表面皮膜を一般的なステンレス鋼板に形成される不動態皮膜よりも厚膜化し、かつ、その厚みを適切に調整することが最適であると考えるに至った。
しかし、例えば、特許文献3で行われているような熱処理温度で表面皮膜の形成処理を行っても、短時間のうちにステンレス鋼板の表面皮膜を十分に厚膜化することはできなかった。
その結果、発明者らは、安全性や製造性などの面から、ステンレス鋼に酸素雰囲気中において熱処理を施して表面皮膜、特には、FeおよびCrの酸化物および水酸化物からなる表面皮膜を形成して、当該表面皮膜を一般的なステンレス鋼板に形成される不動態皮膜よりも厚膜化し、かつ、その厚みを適切に調整することが最適であると考えるに至った。
しかし、例えば、特許文献3で行われているような熱処理温度で表面皮膜の形成処理を行っても、短時間のうちにステンレス鋼板の表面皮膜を十分に厚膜化することはできなかった。
そこで、発明者らは、上記の検討結果を基に、熱処理条件についてさらに検討を重ねたところ、熱処理温度を高温化する、具体的には、ステンレス鋼板を、酸素を1体積%以上含む雰囲気中にて、350℃以上750℃以下の温度域で保持する熱処理を行うことにより、短時間でステンレス鋼板の表面皮膜を厚膜化でき、同時に、その厚みを適切に調整できることを見出した。
そして、発明者らは、上記のような熱処理を行って種々の厚さとした表面皮膜を有するステンレス鋼板を作製し、これらのステンレス鋼板の耐食性および接触抵抗についてさらに調査・検討を重ねた。
その結果、
(1)ステンレス鋼板の表面において金属の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計に対する、金属以外の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の比である[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]を12.0以上200以下の範囲に制御すれば、所望の耐食性が確保される、
(2)また、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]を12.0以上200以下の範囲に制御したうえで、そのステンレス鋼の表面に導電性コーティングを施せば、導電性コーティングをAuとした場合はもとより、Auの導電性コーティングをnmオーダーに極めて薄くしたり、Au以外の導電性コーティング、例えば、所定の金属層、金属炭化物層、金属窒化物層、炭素材料層、導電性高分子層、導電性物質を含有する有機樹脂層の導電性コーティングを用いる場合であっても、良好な接触抵抗が得られる、
ことを見出し、本発明を開発するに至ったのである。
その結果、
(1)ステンレス鋼板の表面において金属の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計に対する、金属以外の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の比である[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]を12.0以上200以下の範囲に制御すれば、所望の耐食性が確保される、
(2)また、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]を12.0以上200以下の範囲に制御したうえで、そのステンレス鋼の表面に導電性コーティングを施せば、導電性コーティングをAuとした場合はもとより、Auの導電性コーティングをnmオーダーに極めて薄くしたり、Au以外の導電性コーティング、例えば、所定の金属層、金属炭化物層、金属窒化物層、炭素材料層、導電性高分子層、導電性物質を含有する有機樹脂層の導電性コーティングを用いる場合であっても、良好な接触抵抗が得られる、
ことを見出し、本発明を開発するに至ったのである。
ここで、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]を12.0以上200以下の範囲に制御することによって、燃料電池のセパレータ使用環境での優れた耐食性と低い接触抵抗とを両立することが可能となる理由について、発明者らは次のように考えている。
すなわち、図3に示すように、燃料電池のセパレータは、数μm〜数十μmの凹凸を有するカーボンペーパやカーボンクロス等からなるガス拡散層に、所定の荷重を加えた状態で接触する(なお、上述したように、燃料電池のセパレータは、基材ステンレス鋼板表面に数nm〜1μm程度の厚みの導電性コーティングを形成した状態で使用される。)。ステンレス鋼板の表面皮膜は接触抵抗の上昇を招く。しかし、熱処理条件を調整して、表面皮膜の厚み、ひいては、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]を適正に制御し、そのうえで、ガス拡散層に所定の荷重を加えた場合、カーボンペーパやカーボンクロス等からなるガス拡散層の凸部と直接接触する導電性コーティングの直下の表面皮膜が破壊される。これにより、導電性コーティングとステンレス鋼の地鉄部分とが直接接触する接点が形成され、低い接触抵抗が確保できる。一方、カーボンペーパやカーボンクロス等からなるガス拡散層と直接接触していない部分の導電性コーティングには荷重がかからないため、当該部分直下の表面皮膜は破壊されず、セパレータ使用環境における優れた耐食性を維持できる。
その結果、燃料電池のセパレータ使用環境での優れた耐食性と低い接触抵抗とを両立することが可能になる、と発明者らは考えている。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、図3に示すように、燃料電池のセパレータは、数μm〜数十μmの凹凸を有するカーボンペーパやカーボンクロス等からなるガス拡散層に、所定の荷重を加えた状態で接触する(なお、上述したように、燃料電池のセパレータは、基材ステンレス鋼板表面に数nm〜1μm程度の厚みの導電性コーティングを形成した状態で使用される。)。ステンレス鋼板の表面皮膜は接触抵抗の上昇を招く。しかし、熱処理条件を調整して、表面皮膜の厚み、ひいては、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]を適正に制御し、そのうえで、ガス拡散層に所定の荷重を加えた場合、カーボンペーパやカーボンクロス等からなるガス拡散層の凸部と直接接触する導電性コーティングの直下の表面皮膜が破壊される。これにより、導電性コーティングとステンレス鋼の地鉄部分とが直接接触する接点が形成され、低い接触抵抗が確保できる。一方、カーボンペーパやカーボンクロス等からなるガス拡散層と直接接触していない部分の導電性コーティングには荷重がかからないため、当該部分直下の表面皮膜は破壊されず、セパレータ使用環境における優れた耐食性を維持できる。
その結果、燃料電池のセパレータ使用環境での優れた耐食性と低い接触抵抗とを両立することが可能になる、と発明者らは考えている。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板であって、
該基材ステンレス鋼板の表面において金属の形態として存在するCrおよびFeの合計に対する、金属以外の形態で存在するCrおよびFeの合計の比である、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]が、12.0以上200以下を満足する、燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板。
ここで、[金属形態(Cr+Fe)]および[金属形態以外(Cr+Fe)]は、基材ステンレス鋼板の表面をX線光電子分光法により分析したときに測定される、金属の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計、ならびに、金属以外の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計である。
1.燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板であって、
該基材ステンレス鋼板の表面において金属の形態として存在するCrおよびFeの合計に対する、金属以外の形態で存在するCrおよびFeの合計の比である、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]が、12.0以上200以下を満足する、燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板。
ここで、[金属形態(Cr+Fe)]および[金属形態以外(Cr+Fe)]は、基材ステンレス鋼板の表面をX線光電子分光法により分析したときに測定される、金属の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計、ならびに、金属以外の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計である。
2.素材とするステンレス鋼板を準備する工程と、
上記ステンレス鋼板を、酸素を1体積%以上含む雰囲気中にて、350℃以上750℃以下の温度域で1秒以上10分以下保持する熱処理を行うことにより、
上記ステンレス鋼板の表面において金属の形態として存在するCrおよびFeの合計に対する、金属以外の形態で存在するCrおよびFeの合計の比である、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]を、12.0以上200以下にする、工程と
をそなえる、燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板の製造方法。
ここで、[金属形態(Cr+Fe)]および[金属形態以外(Cr+Fe)]は、熱処理後のステンレス鋼板の表面をX線光電子分光法により分析したときに測定される、金属の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計、ならびに、金属以外の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計である。
上記ステンレス鋼板を、酸素を1体積%以上含む雰囲気中にて、350℃以上750℃以下の温度域で1秒以上10分以下保持する熱処理を行うことにより、
上記ステンレス鋼板の表面において金属の形態として存在するCrおよびFeの合計に対する、金属以外の形態で存在するCrおよびFeの合計の比である、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]を、12.0以上200以下にする、工程と
をそなえる、燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板の製造方法。
ここで、[金属形態(Cr+Fe)]および[金属形態以外(Cr+Fe)]は、熱処理後のステンレス鋼板の表面をX線光電子分光法により分析したときに測定される、金属の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計、ならびに、金属以外の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計である。
本発明によれば、低コストでかつ安全に、燃料電池のセパレータ使用環境における優れた耐食性と低い接触抵抗とを得ることができる、燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板が得られる。この基材スレンレス鋼板を用いることにより、良好な耐食性と導電性とを兼ね備えた燃料電池のセパレータを製造することが可能となる。
以下、本発明を具体的に説明する。
(1)燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板
本発明の燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板は、該基材ステンレス鋼板の表面において金属の形態として存在するCrおよびFeの合計に対する、金属以外の形態で存在するCrおよびFeの合計の比である、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]が、12.0以上200以下を満足するものである。
なお、[金属形態(Cr+Fe)]および[金属形態以外(Cr+Fe)]は、基材ステンレス鋼板の表面をX線光電子分光法により分析したときに測定される、金属の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計、ならびに、金属以外の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計である。
(1)燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板
本発明の燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板は、該基材ステンレス鋼板の表面において金属の形態として存在するCrおよびFeの合計に対する、金属以外の形態で存在するCrおよびFeの合計の比である、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]が、12.0以上200以下を満足するものである。
なお、[金属形態(Cr+Fe)]および[金属形態以外(Cr+Fe)]は、基材ステンレス鋼板の表面をX線光電子分光法により分析したときに測定される、金属の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計、ならびに、金属以外の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計である。
[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]:12.0以上200以下
上述したように、基材ステンレス鋼板の表面において、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]を12.0以上200以下の範囲に制御することによって、燃料電池セパレータ使用環境での優れた耐食性と低い接触抵抗とを両立することが可能となる。好ましくは30.0以上、より好ましくは50.0以上である。また、好ましくは150以下、より好ましくは100以下である。
ここで、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]が12.0未満の場合には、基材ステンレス鋼板の表面皮膜の厚さが十分ではなく、セパレータ使用環境での保護性が劣化するため、所望の耐食性を確保できない。
一方、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]が200を超える場合には、基材ステンレス鋼板の表面皮膜が厚くなり過ぎ、所望の接触抵抗を確保できない。
なお、金属以外の形態とは、酸化物および水酸化物の形態を示す。具体的には、Crの場合、CrO2、Cr2O3、CrOOH、Cr(OH)3およびCrO3などが挙げられる。またFeの場合、FeO、Fe3O4、Fe2O3およびFeOOHなどが挙げられる。
上述したように、基材ステンレス鋼板の表面において、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]を12.0以上200以下の範囲に制御することによって、燃料電池セパレータ使用環境での優れた耐食性と低い接触抵抗とを両立することが可能となる。好ましくは30.0以上、より好ましくは50.0以上である。また、好ましくは150以下、より好ましくは100以下である。
ここで、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]が12.0未満の場合には、基材ステンレス鋼板の表面皮膜の厚さが十分ではなく、セパレータ使用環境での保護性が劣化するため、所望の耐食性を確保できない。
一方、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]が200を超える場合には、基材ステンレス鋼板の表面皮膜が厚くなり過ぎ、所望の接触抵抗を確保できない。
なお、金属以外の形態とは、酸化物および水酸化物の形態を示す。具体的には、Crの場合、CrO2、Cr2O3、CrOOH、Cr(OH)3およびCrO3などが挙げられる。またFeの場合、FeO、Fe3O4、Fe2O3およびFeOOHなどが挙げられる。
ここで、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]は、以下のようにして求めたものである。
すなわち、鋼板表面をX線光電子分光法(以下、XPSともいう)により測定し、得られたCrおよびFeのピークを、金属形態として存在するCrおよびFeのピークと、金属以外の形態として存在するCrおよびFeのピークにそれぞれ分離し、そこから算出される金属以外の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計を、金属形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計で除することにより求めたものである。
具体的には、鋼板から10mm角の試料を切り出し、この試料について、Al-KαモノクロX線源を用いて、取出し角度:45度の条件でX線光電子分光装置(島津/KRATOS社製AXIS-HS)による測定を行い、CrおよびFeのピークを、金属形態として存在するFeおよびCrのピークと、金属以外の形態として存在するCrおよびFeのピークに分離し、そこから算出される金属以外の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計を、金属形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計で除することにより求めたものである。なお、ピーク分離は、Shirley法によりスペクトルのバックグラウンドを除去し、Gauss-Lorentz複合関数(Lorentz関数の割合:30%)を用いることで実施した。
なお、本発明の一実施形態に係る基材ステンレス鋼板の表面皮膜は、一般的なステンレス鋼板に形成される不動態皮膜よりも厚膜化したとはいえ、その厚さはせいぜい数nm〜数十nm程度である。このため、上記の条件に従うXPSによる測定では、特に取出し角度を45度としているので、表面皮膜に含まれるFeおよびCrだけでなく、表面皮膜の下地となるステンレス鋼の地鉄に含まれるFeおよびCrから放出される光電子も、同時に検出されることになる。
ここで、表面皮膜は、金属形態のFeやCrを含まない。また、表面皮膜の下地となるステンレス鋼の地鉄は、金属形態以外のFeやCrを殆ど含まない(介在物や析出物といった金属形態以外のFeやCrが含まれる場合があるが、これらの量は無視できる程度である)。
そのため、表面皮膜が厚くなるほど、表面皮膜に含まれるFeおよびCrから放出される光電子の検出量、ひいては、[金属以外形態(Cr+Fe)]が増加する。一方、表面皮膜が厚くなるほど、表面皮膜を透過してステンレス鋼の地鉄に到達するX線の量が減少し、同時に、ステンレス鋼の地鉄に含まれるFeおよびCrから放出される光電子が表面皮膜を透過する量も減少する。このため、[金属形態(Cr+Fe)]は減少する。
すなわち、表面皮膜が厚くなると、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]は増加し、逆に、表面皮膜が薄くなると、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]は減少する。
以上のことから、ここでは、表面皮膜の厚さの指標として、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]の値を用いている。
すなわち、鋼板表面をX線光電子分光法(以下、XPSともいう)により測定し、得られたCrおよびFeのピークを、金属形態として存在するCrおよびFeのピークと、金属以外の形態として存在するCrおよびFeのピークにそれぞれ分離し、そこから算出される金属以外の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計を、金属形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計で除することにより求めたものである。
具体的には、鋼板から10mm角の試料を切り出し、この試料について、Al-KαモノクロX線源を用いて、取出し角度:45度の条件でX線光電子分光装置(島津/KRATOS社製AXIS-HS)による測定を行い、CrおよびFeのピークを、金属形態として存在するFeおよびCrのピークと、金属以外の形態として存在するCrおよびFeのピークに分離し、そこから算出される金属以外の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計を、金属形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計で除することにより求めたものである。なお、ピーク分離は、Shirley法によりスペクトルのバックグラウンドを除去し、Gauss-Lorentz複合関数(Lorentz関数の割合:30%)を用いることで実施した。
なお、本発明の一実施形態に係る基材ステンレス鋼板の表面皮膜は、一般的なステンレス鋼板に形成される不動態皮膜よりも厚膜化したとはいえ、その厚さはせいぜい数nm〜数十nm程度である。このため、上記の条件に従うXPSによる測定では、特に取出し角度を45度としているので、表面皮膜に含まれるFeおよびCrだけでなく、表面皮膜の下地となるステンレス鋼の地鉄に含まれるFeおよびCrから放出される光電子も、同時に検出されることになる。
ここで、表面皮膜は、金属形態のFeやCrを含まない。また、表面皮膜の下地となるステンレス鋼の地鉄は、金属形態以外のFeやCrを殆ど含まない(介在物や析出物といった金属形態以外のFeやCrが含まれる場合があるが、これらの量は無視できる程度である)。
そのため、表面皮膜が厚くなるほど、表面皮膜に含まれるFeおよびCrから放出される光電子の検出量、ひいては、[金属以外形態(Cr+Fe)]が増加する。一方、表面皮膜が厚くなるほど、表面皮膜を透過してステンレス鋼の地鉄に到達するX線の量が減少し、同時に、ステンレス鋼の地鉄に含まれるFeおよびCrから放出される光電子が表面皮膜を透過する量も減少する。このため、[金属形態(Cr+Fe)]は減少する。
すなわち、表面皮膜が厚くなると、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]は増加し、逆に、表面皮膜が薄くなると、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]は減少する。
以上のことから、ここでは、表面皮膜の厚さの指標として、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]の値を用いている。
参考のため、図1および2にそれぞれXPSによるFeおよびCrの2pのスペクトルの一例を示す。なお、図1および図2はそれぞれ後述する表2の試料No.9および試料No.7の基材ステンレス鋼板の表面を測定したものである。
図1では、低結合エネルギー側のピークが金属形態のFeのピークに、高結合エネルギー側のピークが金属以外の形態のFeのピークにそれぞれ対応している。
また、図2では、低結合エネルギー側のピークが金属形態のCrのピークに、高結合エネルギー側のピークが金属以外の形態のCrのピークにそれぞれ対応している。
図1では、低結合エネルギー側のピークが金属形態のFeのピークに、高結合エネルギー側のピークが金属以外の形態のFeのピークにそれぞれ対応している。
また、図2では、低結合エネルギー側のピークが金属形態のCrのピークに、高結合エネルギー側のピークが金属以外の形態のCrのピークにそれぞれ対応している。
なお、フッ酸を含む溶液による処理を行わない場合には、ステンレス鋼板の表面をXPSにより測定したとしてもFは検出されない。よって、本発明のステンレス鋼板では、その表面をXPSにより測定したとしてもFのピークは観測されない。
また、基材ステンレス鋼板の成分組成は特に限定されるものではないが、質量%で、C:0.100%以下、Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.050%以下、S:0.010%以下、Cr:11.0〜40.0%、Al:0.500%以下およびN:0.100%以下を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる成分組成とすることが好適である。
以下、その理由を説明する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味する。
以下、その理由を説明する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%を意味する。
C:0.100%以下
Cは、ステンレス鋼中のCrと反応し、粒界にCr炭化物として析出するため、耐食性の低下をもたらす。従って、耐食性の観点からは、Cは少ないほど好ましく、C含有量は0.100%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.030%以下である。さらに好ましくは0.020%以下である。なお、下限については特に限定されるものではないが、0.001%程度とすることが好適である。
Cは、ステンレス鋼中のCrと反応し、粒界にCr炭化物として析出するため、耐食性の低下をもたらす。従って、耐食性の観点からは、Cは少ないほど好ましく、C含有量は0.100%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.030%以下である。さらに好ましくは0.020%以下である。なお、下限については特に限定されるものではないが、0.001%程度とすることが好適である。
Si:2.0%以下
Siは、脱酸のために有効な元素であり、ステンレス鋼の溶製段階で添加される。しかし、Siを過剰に含有させると、ステンレス鋼が硬質化し、延性が低下し易くなる。従って、Si含有量は2.0%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.60%以下である。なお、好適な下限は0.01%である。
Siは、脱酸のために有効な元素であり、ステンレス鋼の溶製段階で添加される。しかし、Siを過剰に含有させると、ステンレス鋼が硬質化し、延性が低下し易くなる。従って、Si含有量は2.0%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.60%以下である。なお、好適な下限は0.01%である。
Mn:2.0%以下
Mnは、脱酸のために有効な元素であり、ステンレス鋼の溶製段階で添加される。しかし、Mn含有量が2.0%を超えると、耐食性が低下し易くなる。従って、Mn含有量は2.0%以下とすることが好ましい。より好ましくは1.00%以下である。なお、好適な下限は0.01%である。
Mnは、脱酸のために有効な元素であり、ステンレス鋼の溶製段階で添加される。しかし、Mn含有量が2.0%を超えると、耐食性が低下し易くなる。従って、Mn含有量は2.0%以下とすることが好ましい。より好ましくは1.00%以下である。なお、好適な下限は0.01%である。
P:0.050%以下
Pは延性の低下をもたらすため、その含有量は少ないほうが望ましい。ただし、P含有量が0.050%以下であれば、延性の著しい低下は生じない。従って、S含有量は0.050%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.040%以下である。下限については特に限定されるものではないが、過度の脱Pはコストの増加を招くので、0.010%程度とすることが好適である。
Pは延性の低下をもたらすため、その含有量は少ないほうが望ましい。ただし、P含有量が0.050%以下であれば、延性の著しい低下は生じない。従って、S含有量は0.050%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.040%以下である。下限については特に限定されるものではないが、過度の脱Pはコストの増加を招くので、0.010%程度とすることが好適である。
S:0.010%以下
Sは、Mnと結合しMnSを形成することで耐食性を低下させる元素である。ただし、S含有量が0.010%以下であれば、耐食性の著しい低下は生じない。従って、S含有量は0.010%以下とすることが好ましい。下限については特に限定されるものではないが、過度の脱Sはコストの増加を招くので、0.001%程度とすることが好適である。
Sは、Mnと結合しMnSを形成することで耐食性を低下させる元素である。ただし、S含有量が0.010%以下であれば、耐食性の著しい低下は生じない。従って、S含有量は0.010%以下とすることが好ましい。下限については特に限定されるものではないが、過度の脱Sはコストの増加を招くので、0.001%程度とすることが好適である。
Cr:11.0〜40.0%
耐食性を確保するために、Cr含有量は11.0%以上とすることが好ましい。すなわち、Cr含有量が11.0%未満では、耐食性の面から燃料電池のセパレータとして長時間の使用に耐えることが困難である。好ましくは16.0%以上である。一方、Cr含有量が40.0%を超えると、σ相の析出によって靱性が低下する場合がある。従って、Cr含有量は40.0%以下とすることが好ましい。より好ましくは32.0%以下である。
耐食性を確保するために、Cr含有量は11.0%以上とすることが好ましい。すなわち、Cr含有量が11.0%未満では、耐食性の面から燃料電池のセパレータとして長時間の使用に耐えることが困難である。好ましくは16.0%以上である。一方、Cr含有量が40.0%を超えると、σ相の析出によって靱性が低下する場合がある。従って、Cr含有量は40.0%以下とすることが好ましい。より好ましくは32.0%以下である。
Al:0.500%以下
Alは、脱酸に用いられる元素である。しかし、Al含有量が0.500%を超えると、延性の低下をもたらす場合がある。従って、Al含有量は0.500%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.150%以下である。なお、好適な下限は0.001%である。
Alは、脱酸に用いられる元素である。しかし、Al含有量が0.500%を超えると、延性の低下をもたらす場合がある。従って、Al含有量は0.500%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.150%以下である。なお、好適な下限は0.001%である。
N:0.100%以下
N含有量が0.100%を超えると、成形性が低下する。従って、N含有量は0.100%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.030%以下である。さらに好ましくは0.020%以下である。下限については特に限定されるものではないが、過度の脱Nはコストの増加を招くので、0.002%程度とすることが好適である。
N含有量が0.100%を超えると、成形性が低下する。従って、N含有量は0.100%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.030%以下である。さらに好ましくは0.020%以下である。下限については特に限定されるものではないが、過度の脱Nはコストの増加を招くので、0.002%程度とすることが好適である。
以上、基本成分について説明したが、上記した基本成分に加えて、さらに以下の成分を含有させてもよい。
Ni:30.0%以下
Niは、ステンレス鋼の耐食性を改善するのに有効な元素である。また、Niは、通常、オーステナイト系ステンレス鋼やフェライト−オーステナイト2相ステンレス鋼に、一定量含有されている。しかし、Ni含有量が30.0%を超えると、熱間加工性が低下する。従って、Niを含有させる場合、Ni含有量は30.0%以下とする。なお、オーステナイト系ステンレス鋼やフェライト−オーステナイト2相ステンレス鋼でのNi含有量の好適な下限は2.0%である。
また、フェライト系ステンレス鋼においてNiを含有させる場合には、Ni含有量は2.0%以下とすることが好ましい。より好ましくは1.0%以下である。なお、フェライト系ステンレス鋼での好適な下限は0.01%である。
Ni:30.0%以下
Niは、ステンレス鋼の耐食性を改善するのに有効な元素である。また、Niは、通常、オーステナイト系ステンレス鋼やフェライト−オーステナイト2相ステンレス鋼に、一定量含有されている。しかし、Ni含有量が30.0%を超えると、熱間加工性が低下する。従って、Niを含有させる場合、Ni含有量は30.0%以下とする。なお、オーステナイト系ステンレス鋼やフェライト−オーステナイト2相ステンレス鋼でのNi含有量の好適な下限は2.0%である。
また、フェライト系ステンレス鋼においてNiを含有させる場合には、Ni含有量は2.0%以下とすることが好ましい。より好ましくは1.0%以下である。なお、フェライト系ステンレス鋼での好適な下限は0.01%である。
Cu:2.5%以下
Cuは、ステンレス鋼の耐食性を改善するのに有効な元素である。しかし、Cu含有量が2.5%を超えると、熱間加工性が低下し、生産性の低下を招く。従って、Cuを含有させる場合、Cu含有量は2.5%以下とする。なお、好適な下限は0.01%である。
Cuは、ステンレス鋼の耐食性を改善するのに有効な元素である。しかし、Cu含有量が2.5%を超えると、熱間加工性が低下し、生産性の低下を招く。従って、Cuを含有させる場合、Cu含有量は2.5%以下とする。なお、好適な下限は0.01%である。
Mo:4.0%以下
Moは、ステンレス鋼の隙間腐食等の局部腐食を抑制するのに有効な元素である。しかし、Mo含有量が4.0%を超えると、ステンレス鋼の脆化を招く。従って、Moを含有させる場合、Mo含有量は4.0%以下とする。なお、好適な下限は0.01%である。
Moは、ステンレス鋼の隙間腐食等の局部腐食を抑制するのに有効な元素である。しかし、Mo含有量が4.0%を超えると、ステンレス鋼の脆化を招く。従って、Moを含有させる場合、Mo含有量は4.0%以下とする。なお、好適な下限は0.01%である。
Nb、Ti、VおよびZrから選んだ1種以上の元素:合計で1.0%以下
Nb、Ti、VおよびZrは、耐粒界腐食性向上に寄与するため、これらの元素を単独でまたは複合して含有させることができる。しかし、これらの元素の合計の含有量が1.0%を超える場合、延性が低下し易くなる。従って、Nb、Ti、Vおよび/またはZrを含有させる場合、これらの合計の含有量は1.0%以下とする。なお、好適な下限は0.01%である。
Nb、Ti、VおよびZrは、耐粒界腐食性向上に寄与するため、これらの元素を単独でまたは複合して含有させることができる。しかし、これらの元素の合計の含有量が1.0%を超える場合、延性が低下し易くなる。従って、Nb、Ti、Vおよび/またはZrを含有させる場合、これらの合計の含有量は1.0%以下とする。なお、好適な下限は0.01%である。
なお、上記以外の成分はFeおよび不可避的不純物である。
また、燃料電池スタック時の搭載スペースや重量を鑑みると、基材ステンレス鋼板の板厚は、0.03〜0.30mmの範囲とすることが好ましい。板厚が0.03mm未満であると、金属板素材の生産効率が低下する。一方、0.30mmを超えるとスタック時の搭載スペースや重量が増加する。より好ましくは0.03〜0.10mmの範囲である。
(2)燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板の製造方法
本発明の燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板の製造方法は、
上記ステンレス鋼板を、酸素を1体積%以上含む雰囲気中にて、350℃以上750℃以下の温度域で1秒以上10分以下保持する熱処理を行うことにより、
上記ステンレス鋼板の表面において金属の形態として存在するCrおよびFeの合計に対する、金属以外の形態で存在するCrおよびFeの合計の比である、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]を、12.0以上200以下にする、工程と
をそなえるものである。
本発明の燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板の製造方法は、
上記ステンレス鋼板を、酸素を1体積%以上含む雰囲気中にて、350℃以上750℃以下の温度域で1秒以上10分以下保持する熱処理を行うことにより、
上記ステンレス鋼板の表面において金属の形態として存在するCrおよびFeの合計に対する、金属以外の形態で存在するCrおよびFeの合計の比である、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]を、12.0以上200以下にする、工程と
をそなえるものである。
・準備工程
準備工程は、素材とするステンレス鋼板を準備する工程である。素材とするステンレス鋼板は、特に限定されず、上記の好適成分組成を有するステンレス鋼板などが挙げられる。
例えば、上記の組成を有する鋼スラブを、熱間圧延して熱延板とし、該熱延板に必要に応じて熱延板焼鈍を施し、その後、該熱延板に冷間圧延を施して所望板厚の冷延板とし、さらに必要に応じて該冷延板に冷延板焼鈍を施すことにより、上記の成分組成を有するステンレス鋼板を準備することができる。
なお、熱間圧延や冷間圧延、熱延板焼鈍、冷延板焼鈍などの条件は特に限定されず、常法に従えばよい。また、冷延板焼鈍後に酸洗し、スキンパスを施してもよい。また、冷延板焼鈍を、光輝焼鈍としたステンレス鋼板を用いこともできる。
また、上記のようにして得たステンレス鋼板に、さらにショットブラスト等により表面を粗面化する処理を施したり、機械研磨等により表面を平滑にする処理を施してもよい。さらに、上記の冷延板焼鈍後に得られたステンレス鋼板に、電解処理や酸処理などを施してもよい。
準備工程は、素材とするステンレス鋼板を準備する工程である。素材とするステンレス鋼板は、特に限定されず、上記の好適成分組成を有するステンレス鋼板などが挙げられる。
例えば、上記の組成を有する鋼スラブを、熱間圧延して熱延板とし、該熱延板に必要に応じて熱延板焼鈍を施し、その後、該熱延板に冷間圧延を施して所望板厚の冷延板とし、さらに必要に応じて該冷延板に冷延板焼鈍を施すことにより、上記の成分組成を有するステンレス鋼板を準備することができる。
なお、熱間圧延や冷間圧延、熱延板焼鈍、冷延板焼鈍などの条件は特に限定されず、常法に従えばよい。また、冷延板焼鈍後に酸洗し、スキンパスを施してもよい。また、冷延板焼鈍を、光輝焼鈍としたステンレス鋼板を用いこともできる。
また、上記のようにして得たステンレス鋼板に、さらにショットブラスト等により表面を粗面化する処理を施したり、機械研磨等により表面を平滑にする処理を施してもよい。さらに、上記の冷延板焼鈍後に得られたステンレス鋼板に、電解処理や酸処理などを施してもよい。
・熱処理工程
熱処理工程は、上記準備工程で準備した素材ステンレス鋼板に所定の条件で熱処理を施して、ステンレス鋼板の表面において金属の形態として存在するCrおよびFeの合計に対する、金属以外の形態で存在するCrおよびFeの合計の比である、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]を、12.0以上200以下にする工程である。
以下、当該熱処理工程における各条件の限定理由を説明する。
熱処理工程は、上記準備工程で準備した素材ステンレス鋼板に所定の条件で熱処理を施して、ステンレス鋼板の表面において金属の形態として存在するCrおよびFeの合計に対する、金属以外の形態で存在するCrおよびFeの合計の比である、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]を、12.0以上200以下にする工程である。
以下、当該熱処理工程における各条件の限定理由を説明する。
熱処理雰囲気:酸素を1体積%以上含む雰囲気
熱処理における雰囲気は、酸素を1体積%以上含む雰囲気とする。ここで、酸素濃度が1体積%未満では、ステンレス鋼表面に所望の表面皮膜を形成することができない。
なお、酸素以外の雰囲気ガスとしては、二酸化炭素、水蒸気など、分子構成上酸素を持った雰囲気ガスが挙げられる。また、コストや製造性を考慮すると、大気雰囲気とすることが好ましい。一方、窒素やアルゴン等の不活性ガスのみの雰囲気では、所望の特性は得られない。
熱処理における雰囲気は、酸素を1体積%以上含む雰囲気とする。ここで、酸素濃度が1体積%未満では、ステンレス鋼表面に所望の表面皮膜を形成することができない。
なお、酸素以外の雰囲気ガスとしては、二酸化炭素、水蒸気など、分子構成上酸素を持った雰囲気ガスが挙げられる。また、コストや製造性を考慮すると、大気雰囲気とすることが好ましい。一方、窒素やアルゴン等の不活性ガスのみの雰囲気では、所望の特性は得られない。
熱処理温度:350℃以上750℃以下
熱処理温度が350℃未満では、ステンレス鋼表面に形成される表面皮膜の厚さが十分ではなく、所望の耐食性を得ることができない。一方、熱処理温度が750℃を超えると、ステンレス鋼板の表面に形成される表面皮膜が厚くなり過ぎ、所望の接触抵抗を確保できない。
従って、熱処理温度は350℃以上750℃以下とする。特に、素材(被処理材)とするステンレス鋼板のCr含有量が25質量%未満の場合には、熱処理温度は400℃以上とすることが好ましい。また、素材とするステンレス鋼板のCr含有量が25質量%以上の場合には、熱処理温度は450℃以上とすることが好ましい。
熱処理温度が350℃未満では、ステンレス鋼表面に形成される表面皮膜の厚さが十分ではなく、所望の耐食性を得ることができない。一方、熱処理温度が750℃を超えると、ステンレス鋼板の表面に形成される表面皮膜が厚くなり過ぎ、所望の接触抵抗を確保できない。
従って、熱処理温度は350℃以上750℃以下とする。特に、素材(被処理材)とするステンレス鋼板のCr含有量が25質量%未満の場合には、熱処理温度は400℃以上とすることが好ましい。また、素材とするステンレス鋼板のCr含有量が25質量%以上の場合には、熱処理温度は450℃以上とすることが好ましい。
熱処理時間:1秒以上10分以下
熱処理時間が1秒未満では、ステンレス鋼表面に形成される表面皮膜の厚さが十分ではなく、所望の耐食性を得ることができない。一方、熱処理時間が10分を超えると、ステンレス鋼板の表面に形成される表面皮膜が厚くなり過ぎ、所望の接触抵抗を確保できない。
従って、熱処理時間は1秒以上10分以下とする。好ましくは5分以下である。より好ましくは1分以下である。
熱処理時間が1秒未満では、ステンレス鋼表面に形成される表面皮膜の厚さが十分ではなく、所望の耐食性を得ることができない。一方、熱処理時間が10分を超えると、ステンレス鋼板の表面に形成される表面皮膜が厚くなり過ぎ、所望の接触抵抗を確保できない。
従って、熱処理時間は1秒以上10分以下とする。好ましくは5分以下である。より好ましくは1分以下である。
上記以外の熱処理条件については、特に限定されず、常法に従えばよい。
また、上記の熱処理工程は、セパレータ製造工程において鋼板を所望形状にプレス成形した後に実施しても良い。なお、導電性コーティングが変質して所望特性を害さないようなものであれば、上記の熱処理は、導電性コーティングを被覆した後に実施しても良い。
なお、フッ酸による処理等では、高濃度のフッ素イオンを含有する処理溶液を用いるなどの処理が必要になるため、安全性などの面から、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]を12.0以上200以下の範囲に制御することは極めて困難である。
また、上記の熱処理工程は、セパレータ製造工程において鋼板を所望形状にプレス成形した後に実施しても良い。なお、導電性コーティングが変質して所望特性を害さないようなものであれば、上記の熱処理は、導電性コーティングを被覆した後に実施しても良い。
なお、フッ酸による処理等では、高濃度のフッ素イオンを含有する処理溶液を用いるなどの処理が必要になるため、安全性などの面から、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]を12.0以上200以下の範囲に制御することは極めて困難である。
(3)導電性コーティング
本発明の燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板は、導電性コーティングの基材となるステンレス鋼板であり、燃料電池のセパレータとして実際に使用する場合には、この基材ステンレス鋼板の表面に導電性コーティングを形成する。
ここで、このような導電性コーティングとしては、特に限定されるものではないが、固体高分子形燃料電池用のセパレータの使用環境(pH:3(硫酸環境)、使用温度:80℃)において導電性に優れる材料を使用することが好ましい。例えば、金属層、金属炭化物層、金属窒化物層、炭素材料層、導電性高分子層、導電性物質を含有する有機樹脂層、またはこれらの混合物層とすることが好適である。
本発明の燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板は、導電性コーティングの基材となるステンレス鋼板であり、燃料電池のセパレータとして実際に使用する場合には、この基材ステンレス鋼板の表面に導電性コーティングを形成する。
ここで、このような導電性コーティングとしては、特に限定されるものではないが、固体高分子形燃料電池用のセパレータの使用環境(pH:3(硫酸環境)、使用温度:80℃)において導電性に優れる材料を使用することが好ましい。例えば、金属層、金属炭化物層、金属窒化物層、炭素材料層、導電性高分子層、導電性物質を含有する有機樹脂層、またはこれらの混合物層とすることが好適である。
ここで、金属層としては、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、W、Sn、Ti、Al、Zr、Nb、Ta、Ru、IrおよびNiなどの金属層が挙げられ、中でもAuが好適である。
さらに、金属窒化物層および金属炭化物層としては、TiN、CrN、TiCN、TiAlN、AlCrN、TiC、WC、SiC、B4C、窒化モリブデン、CrC、TaCおよびZrNなどの金属窒化物層や金属炭化物層が挙げられる。中でも、TiNやCrNなどの金属窒化物層が好適である。
さらに、金属窒化物層および金属炭化物層としては、TiN、CrN、TiCN、TiAlN、AlCrN、TiC、WC、SiC、B4C、窒化モリブデン、CrC、TaCおよびZrNなどの金属窒化物層や金属炭化物層が挙げられる。中でも、TiNやCrNなどの金属窒化物層が好適である。
また、炭素材料層としては、グラファイト、ダイヤモンド、アモルファスカーボン、ダイヤモンドライクカーボン、カーボンブラック、フラーレンおよびカーボンナノチューブなどの炭素材料層が挙げられる。
さらに、導電性高分子層としては、ポリアニリンおよびポリピロールなどの導電性高分子層が挙げられる。
加えて、導電性物質を含有する有機樹脂層は、上記した金属層、合金層、金属窒化物層、金属炭化物層、炭素材料層および導電性高分子層を構成する金属や合金、金属窒化物、金属炭化物、炭素材料および導電性高分子から選んだ導電性物質を少なくとも1種含有し、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルファイド脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、カルボジイミド樹脂およびフェノールエポキシ樹脂などから選んだ有機樹脂を少なくとも1種含有するものである。このような導電性物質を含有する有機樹脂層としては、例えば、カーボンブラックが分散したエポキシ樹脂などが好適である。
なお、上記の導電性物質としては、金属および炭素材料(特にグラファイト、カーボンブラック)が好適である。また、導電性物質の含有量は特に限定されず、固体高分子形燃料電池用のセパレータにおける所定の導電性が得られればよい。
さらに、導電性高分子層としては、ポリアニリンおよびポリピロールなどの導電性高分子層が挙げられる。
加えて、導電性物質を含有する有機樹脂層は、上記した金属層、合金層、金属窒化物層、金属炭化物層、炭素材料層および導電性高分子層を構成する金属や合金、金属窒化物、金属炭化物、炭素材料および導電性高分子から選んだ導電性物質を少なくとも1種含有し、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリフェニレンスルファイド脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、カルボジイミド樹脂およびフェノールエポキシ樹脂などから選んだ有機樹脂を少なくとも1種含有するものである。このような導電性物質を含有する有機樹脂層としては、例えば、カーボンブラックが分散したエポキシ樹脂などが好適である。
なお、上記の導電性物質としては、金属および炭素材料(特にグラファイト、カーボンブラック)が好適である。また、導電性物質の含有量は特に限定されず、固体高分子形燃料電池用のセパレータにおける所定の導電性が得られればよい。
なお、基材ステンレス鋼板の表面に前記導電性コーティングを形成するには、被覆する導電性コーティングの種類に応じて、めっき法や物理的気相成長法(PVD法)、化学的気相成長法(CVD法)、電着、溶射、溶融処理、塗装などの方法を用いればよい。
例えば、金属層の導電性コーティングを設ける場合には、めっき法を利用することが好適であり、この場合は、従来公知のめっき方法により、所定の組成に調整しためっき浴中に基材ステンレス鋼板を浸漬させ、電気めっきや無電解めっき、溶融めっきを施せばよい。また、PVD法も好適である。また、これらの金属層の導電性コーティングを設ける場合、導電性コーティングの膜厚は、0.001〜1μmの範囲とすることが好ましい。というのは、導電性コーティングの膜厚が0.001μm未満になると、所望の接触抵抗を得ることが難しくなる一方、1μmを超えると、処理コストが増加するともに製造性が低下するからである。より好ましくは0.01〜0.5μmの範囲である。
例えば、金属層の導電性コーティングを設ける場合には、めっき法を利用することが好適であり、この場合は、従来公知のめっき方法により、所定の組成に調整しためっき浴中に基材ステンレス鋼板を浸漬させ、電気めっきや無電解めっき、溶融めっきを施せばよい。また、PVD法も好適である。また、これらの金属層の導電性コーティングを設ける場合、導電性コーティングの膜厚は、0.001〜1μmの範囲とすることが好ましい。というのは、導電性コーティングの膜厚が0.001μm未満になると、所望の接触抵抗を得ることが難しくなる一方、1μmを超えると、処理コストが増加するともに製造性が低下するからである。より好ましくは0.01〜0.5μmの範囲である。
金属窒化物層、金属炭化物層および炭素材料層を設ける場合には、物理的気相成長法(PVD法)や化学的気相成長法(CVD法)を利用することが好適である。また、これらの導電性コーティングを設ける場合、導電性コーティングの膜厚は、上記と同様の理由から0.001〜1μmの範囲とすることが好ましい。
さらに、導電性高分子層を設ける場合には、電解重合法を利用することが好適である。この場合、導電性コーティングの膜厚は、上記と同様の理由から0.1〜5μmの範囲とすることが好ましい。
導電性物質を含有する有機樹脂層を設ける場合には、塗装(所定の処理液を塗布後に焼成する方法)を利用することが好適である。また、この場合、導電性コーティングの膜厚は、上記と同様の理由から1〜50μmの範囲とすることが好ましい。より好ましくは1〜10μmの範囲である。
さらに、導電性高分子層を設ける場合には、電解重合法を利用することが好適である。この場合、導電性コーティングの膜厚は、上記と同様の理由から0.1〜5μmの範囲とすることが好ましい。
導電性物質を含有する有機樹脂層を設ける場合には、塗装(所定の処理液を塗布後に焼成する方法)を利用することが好適である。また、この場合、導電性コーティングの膜厚は、上記と同様の理由から1〜50μmの範囲とすることが好ましい。より好ましくは1〜10μmの範囲である。
実施例1
表1に記載の成分(残部はFeおよび不可避的不純物)を有する板厚0.10mmのステンレス鋼板(冷延焼鈍板:なお、冷延板焼鈍は光輝焼鈍により行った。)を準備し、このスレンレス鋼板に、表2に示す条件で熱処理を施し、種々の基材ステンレス鋼板を得た。
ただし、表2の試料No.7および8については、比較のため、熱処理を行わなかった(このため、表2の試料No.7および8については、一般的なステンレス鋼板に形成される不動態皮膜と同程度の厚みの表面皮膜が形成されていると言える。)。なお、表2中の雰囲気の欄の「%」はいずれも体積%である。
ついで、前述した方法に従い、X線光電子分光法(以下、XPSともいう)によりこれらの基材ステンレス鋼板の表面を分析し、ステンレス鋼板の表面において金属の形態として存在するCrおよびFeの合計に対する、金属以外の形態で存在するCrおよびFeの合計の比である、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]を算出した。
すなわち、各鋼板から10mm角の試料をそれぞれ切り出し、これらの試料を用いて、Al-KαモノクロX線源を用いて、取出し角度:45度の条件でX線光電子分光装置(島津/KRATOS社製AXIS-HS)による測定を行い、CrおよびFeのピークを、金属形態として存在するCrおよびFeのピークと、金属以外の形態として存在するCrおよびFeのピークに分離し、そこから算出される金属以外の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計を、金属形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計で除することにより求めた。なお、ピーク分離は、Shirley法によりスペクトルのバックグラウンドを除去し、Gauss-Lorentz複合関数(Lorentz関数の割合:30%)を用いることで実施した。
結果を表2に併記する。なお、いずれのステンレス鋼板でも、Fのピークは観測されなかった。
表1に記載の成分(残部はFeおよび不可避的不純物)を有する板厚0.10mmのステンレス鋼板(冷延焼鈍板:なお、冷延板焼鈍は光輝焼鈍により行った。)を準備し、このスレンレス鋼板に、表2に示す条件で熱処理を施し、種々の基材ステンレス鋼板を得た。
ただし、表2の試料No.7および8については、比較のため、熱処理を行わなかった(このため、表2の試料No.7および8については、一般的なステンレス鋼板に形成される不動態皮膜と同程度の厚みの表面皮膜が形成されていると言える。)。なお、表2中の雰囲気の欄の「%」はいずれも体積%である。
ついで、前述した方法に従い、X線光電子分光法(以下、XPSともいう)によりこれらの基材ステンレス鋼板の表面を分析し、ステンレス鋼板の表面において金属の形態として存在するCrおよびFeの合計に対する、金属以外の形態で存在するCrおよびFeの合計の比である、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]を算出した。
すなわち、各鋼板から10mm角の試料をそれぞれ切り出し、これらの試料を用いて、Al-KαモノクロX線源を用いて、取出し角度:45度の条件でX線光電子分光装置(島津/KRATOS社製AXIS-HS)による測定を行い、CrおよびFeのピークを、金属形態として存在するCrおよびFeのピークと、金属以外の形態として存在するCrおよびFeのピークに分離し、そこから算出される金属以外の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計を、金属形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計で除することにより求めた。なお、ピーク分離は、Shirley法によりスペクトルのバックグラウンドを除去し、Gauss-Lorentz複合関数(Lorentz関数の割合:30%)を用いることで実施した。
結果を表2に併記する。なお、いずれのステンレス鋼板でも、Fのピークは観測されなかった。
ついで、基材ステンレス鋼板の表面に、表1に示す膜厚となるように導電性コーティングを形成し、燃料電池のセパレータ用鋼板を得た。
この際、Auの導電性コーティングは、蒸着法により形成した。また、金属窒化物層(TiN)については物理的気相成長法(PVD法)により、炭素材料層(ダイヤモンドストライクカーボン)については化学的気相成長法(CVD法)により、導電性高分子層(ポリアニリン)については電解重合法により、導電性物質を含有する有機樹脂層(カーボンブラック分散エポキシ樹脂およびグラファイト分散フェノール樹脂)については所定の処理液を塗布後に焼成することにより、それぞれ導電性コーティングを形成した。なお、カーボンブラック分散エポキシ樹脂は、平均粒径:50nmのカーボンブラック粒子を20質量%の割合でエポキシ樹脂中に分散させた。
この際、Auの導電性コーティングは、蒸着法により形成した。また、金属窒化物層(TiN)については物理的気相成長法(PVD法)により、炭素材料層(ダイヤモンドストライクカーボン)については化学的気相成長法(CVD法)により、導電性高分子層(ポリアニリン)については電解重合法により、導電性物質を含有する有機樹脂層(カーボンブラック分散エポキシ樹脂およびグラファイト分散フェノール樹脂)については所定の処理液を塗布後に焼成することにより、それぞれ導電性コーティングを形成した。なお、カーボンブラック分散エポキシ樹脂は、平均粒径:50nmのカーボンブラック粒子を20質量%の割合でエポキシ樹脂中に分散させた。
また、上述したように、固体高分子形燃料電池のセパレータは、温度:80℃、pH:3程度の厳しい環境で使用されることから、優れた耐食性が要求される。同時に、低い接触抵抗も要求される。
そこで、これらの要求特性に鑑み、上記のようにして得られた燃料電池のセパレータ用鋼板からそれぞれ所定の試料を採取し、以下の評価を実施した。
そこで、これらの要求特性に鑑み、上記のようにして得られた燃料電池のセパレータ用鋼板からそれぞれ所定の試料を採取し、以下の評価を実施した。
(1)耐食性(セパレータ使用環境での安定性)の評価
試料を温度:80℃、pH:3の硫酸水溶液中に浸漬し、参照電極にAg/AgCl(飽和KCl)を用いて、高電位でのセパレータ使用を模擬して、0.9V(vs.SHE)の電位に5時間保持し、5時間経過時の通電電気量の値を測定した。この5時間経過時の通電電気量の値により、以下の基準で、セパレータ使用環境における5時間経過時の耐食性を評価した。結果を表2に併記する。
◎(合格、特に優れる):2.0mC/cm2未満
○(合格):2.0mC/cm2以上、6.0mC/cm2以下
×(不合格):6.0mC/cm2超
試料を温度:80℃、pH:3の硫酸水溶液中に浸漬し、参照電極にAg/AgCl(飽和KCl)を用いて、高電位でのセパレータ使用を模擬して、0.9V(vs.SHE)の電位に5時間保持し、5時間経過時の通電電気量の値を測定した。この5時間経過時の通電電気量の値により、以下の基準で、セパレータ使用環境における5時間経過時の耐食性を評価した。結果を表2に併記する。
◎(合格、特に優れる):2.0mC/cm2未満
○(合格):2.0mC/cm2以上、6.0mC/cm2以下
×(不合格):6.0mC/cm2超
(2)接触抵抗の評価
接触抵抗は、所定の試料をカーボンペーパ(東レ(株)TGP−H−120)で挟み、さらに、その両側から銅板に金めっきを施した電極を接触させ、単位面積あたり0.98MPa(=10kg/cm2)の圧力をかけて電流を流し、電極間の電圧差を測定し、電気抵抗を算出した。この電気抵抗の測定値に接触面の面積を乗じた値を接触抵抗値とし、以下の基準で接触抵抗を評価した。結果を表2に併記する。
○(合格):20mΩ・cm2以下
×(不合格):20mΩ・cm2超
接触抵抗は、所定の試料をカーボンペーパ(東レ(株)TGP−H−120)で挟み、さらに、その両側から銅板に金めっきを施した電極を接触させ、単位面積あたり0.98MPa(=10kg/cm2)の圧力をかけて電流を流し、電極間の電圧差を測定し、電気抵抗を算出した。この電気抵抗の測定値に接触面の面積を乗じた値を接触抵抗値とし、以下の基準で接触抵抗を評価した。結果を表2に併記する。
○(合格):20mΩ・cm2以下
×(不合格):20mΩ・cm2超
表2より、次の事項が明らかである。
(a) 発明例ではいずれも、所望の接触抵抗および耐食性が得られている。
(b) 一方、比較例である試料No.7およびNo.8では、熱処理を施しておらず、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]が12.0未満となるため、所望の耐食性が得られていない。
(c) また、比較例である試料No.9およびNo.10では、熱処理温度が低く、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]が12.0未満となるため、所望の耐食性が得られていない。
(d) さらに、比較例であるNo.21では、熱処理雰囲気がAr雰囲気であり、当該雰囲気に含まれる酸素が1体積%未満であるため、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]が12.0未満となって、所望の耐食性が得られていない。
(a) 発明例ではいずれも、所望の接触抵抗および耐食性が得られている。
(b) 一方、比較例である試料No.7およびNo.8では、熱処理を施しておらず、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]が12.0未満となるため、所望の耐食性が得られていない。
(c) また、比較例である試料No.9およびNo.10では、熱処理温度が低く、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]が12.0未満となるため、所望の耐食性が得られていない。
(d) さらに、比較例であるNo.21では、熱処理雰囲気がAr雰囲気であり、当該雰囲気に含まれる酸素が1体積%未満であるため、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]が12.0未満となって、所望の耐食性が得られていない。
Claims (2)
- 燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板であって、
該基材ステンレス鋼板の表面において金属の形態として存在するCrおよびFeの合計に対する、金属以外の形態で存在するCrおよびFeの合計の比である、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]が、12.0以上200以下を満足する、燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板。
ここで、[金属形態(Cr+Fe)]および[金属形態以外(Cr+Fe)]は、基材ステンレス鋼板の表面をX線光電子分光法により分析したときに測定される、金属の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計、ならびに、金属以外の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計である。 - 素材とするステンレス鋼板を準備する工程と、
上記ステンレス鋼板を、酸素を1体積%以上含む雰囲気中にて、350℃以上750℃以下の温度域で1秒以上10分以下保持する熱処理を行うことにより、
上記ステンレス鋼板の表面において金属の形態として存在するCrおよびFeの合計に対する、金属以外の形態で存在するCrおよびFeの合計の比である、[金属形態以外(Cr+Fe)]/[金属形態(Cr+Fe)]を、12.0以上200以下にする、工程と
をそなえる、燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板の製造方法。
ここで、[金属形態(Cr+Fe)]および[金属形態以外(Cr+Fe)]は、熱処理後のステンレス鋼板の表面をX線光電子分光法により分析したときに測定される、金属の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計、ならびに、金属以外の形態として存在するCrおよびFeの原子濃度の合計である。
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JP2018149511A JP2020024883A (ja) | 2018-08-08 | 2018-08-08 | 燃料電池のセパレータ用鋼板の基材ステンレス鋼板およびその製造方法 |
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