JP2020111805A - ステンレス鋼板、燃料電池用セパレータ、燃料電池セル、及び燃料電池スタック - Google Patents

ステンレス鋼板、燃料電池用セパレータ、燃料電池セル、及び燃料電池スタック Download PDF

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Abstract

【課題】優れた耐食性、低接触抵抗、及び優れたプレス加工性を有し、表面に形成する導電層との密着性の高いステンレス鋼板の提供。【解決手段】質量%で、Cr:20〜26%、N:0.1%以下、Si:2.0%以下等を含み、厚みが30〜110μmであり、オーステナイト相の占める割合が80体積%以上であり、オーステナイト結晶粒の平均結晶粒径が、鋼板の厚みの2分の1以下であり、表層に析出したCr窒化物を有し、グロー放電発光分光分析によって得られるCr、Fe、及びN含有量が下記の式(1)及び(2)を満たし、Co−Kα線を線源とするθ−2θ法によるX線回折分析で、オーステナイト相の各結晶面のピーク強度が、下記の式(3)及び(4)を満たすステンレス鋼板。0.1≦Cr/Fe≦0.5(1)、Cr/N≦1.8(2)、2.2/(I(111)/I(200))≦3.2(3)、4.5/(I(111)/I(220))≦16(4)【選択図】なし

Description

本発明は、ステンレス鋼板、燃料電池用セパレータ、燃料電池セル、及び燃料電池スタックに関する。
導電性を有する材料として、金属系材料は、様々な用途に使用されている。そのような用途のひとつとして、例えば、燃料電池のセパレータを挙げることができる。燃料電池は、水素と酸素との結合反応の際に発生するエネルギーを利用して発電する。そのため、省エネルギーと環境対策の両面から期待されている。燃料電池は、電解質の種類によって、固体酸化物形、溶融炭酸塩形、りん酸形、及び固体高分子形等に分類される。固体高分子形燃料電池は、出力密度が高く小型化が可能である。また他のタイプの燃料電池よりも低温で作動し、起動・停止が容易である。このことから、電気自動車や家庭用の小型コジェネレーションへの利用が期待されている。
例えば、固体高分子形燃料電池用セパレータ(以下、単に「セパレータ」という場合がある。)に求められる主な機能は、次のとおりである。
(1)燃料ガス、酸化性ガスを電極面内に均一に供給する”流路”としての機能、
(2)カソード側で生成した水を、反応後の空気、酸素といったキャリアガスとともに燃料電池から効率的に排出する”流路”としての機能、
(3)電極膜と接触して電気の通り道となり、さらに単セル間の電気的”コネクタ”となる機能、
(4)隣接するセル間で、一方のセルのアノード室と隣接する、他方のセルのカソード室との間の”隔壁”としての機能、及び
(5)水冷型燃料電池では、冷却水流路と隣接するセルとの”隔壁”としての機能。
このような機能が求められるセパレータの基材材料としては、大きく分けて金属系材料とカーボン系材料とがある。
金属系材料としては、ステンレス鋼、チタン、炭素鋼等が挙げられる。金属系材料によるセパレータ(以下「金属セパレータ」という。)は、プレス加工等により製造される。金属セパレータは、金属特有の優れた加工性を有するため、厚みを薄くすることができ、軽量化が計れる等の利点を有する。一方、腐食による金属イオンの溶出や金属表面の酸化によって電気伝導性が低下する懸念がある。このため、金属セパレータは、ガス拡散層との接触抵抗が上昇する可能性があることが問題となっている。
セパレータが曝される環境は非常に過酷である。電池の作動温度は常温から80℃以上まで変動し、発電時にはセパレータに電位がかかる。その電位範囲はアノード、カソードのそれぞれで異なるが、約0〜約1V vs SHEに及ぶ。セパレータは加湿された環境で使用されるので、表面処理や合金設計により、有害な金属イオンの溶出を低減したり、孔食等の腐食発生を抑制したりすることが求められる。
上記の問題を解決する手段として、特開2004−296381号公報では、金属セパレータの電極と接する表面に金めっきを施すことが提案されている。
特許第5120799号公報には、N含有量が1.00質量%を超え2.00質量%以下のオーステナイト系ステンレス鋼を基材としたセパレータが開示されている。
特許第3667679号公報には、燃料電池の燃料極に対向する表面にTiN等の導電性セラミック層が形成された燃料電池用ステンレス鋼製セパレータが開示されている。
特開2010−49980号公報には、ステンレス鋼からなる基材の表面を窒化処理することにより得られ、基材の表面から深さ方向に連続して存在する窒化層を備える燃料電池用セパレータが開示されている。
特開2006−316338号公報には、質量%で、Cr:18〜24%、Mo:0〜4%を含むフェライト系ステンレス鋼を、窒素ガスを含む不活性ガスと800℃以上で接触させて窒素吸収処理を行う、ステンレス鋼製製品の製造方法が記載されている。
国際公開2013/018322号には、ステンレス鋼板に電解処理及び酸洗溶液に浸漬する酸処理を行い、表面に微細凹凸を付与することで、接触抵抗を安定化させることが記載されている。
特許第6315158号公報には、Ni含有量の少ないFe−Cr系ステンレス鋼を鋼板にした後、窒素を吸収させて組織をオーステナイト相化することにより、Mo等の高価な原料を用いなくても、耐食性を向上させ、また良好なプレス加工性を確保できることが記載されている。
特開2004−296381号公報 特許第5120799号公報 特許第3667679号公報 特開2010−49980号公報 特開2006−316338号公報 国際公開2013/018322号 特許第6315158号公報
特開2004−296381号公報では、ステンレス表面に金めっきを施す。しかし、金は希少かつ高価な金属であるため、経済性や資源量制限の観点から問題がある。
特許第5120799号公報では、窒素1気圧以上に加圧する加圧ESR(エレクトロ・スラグ・リメルティング)法を用いて鋼を溶製し、鋳塊(スラブ)の段階で高N含有ステンレス鋼にする。高N含有ステンレス鋼は、強度が高く強加工が必須のため、薄板化が困難である。特にセパレータ用鋼板として好ましいとされる100μm前後の厚みの実現は非常に困難である。特許第5120799号公報では、5mm厚の板材を機械切削加工することによってセパレータ形状に加工をしている。
高強度・難加工の高強度ステンレス鋼のスラブ又は厚板から機械切削加工でセパレータを製造する方法は、量産性に乏しく、経済的な製造方法ではない。また、仮に冷間圧延によって薄肉の鋼板が得られた場合であっても、冷間圧延で生じた加工歪みを解放するための焼鈍過程で窒化物が析出して延性が低下する。そのため、得られた鋼板をプレス成形によってセパレータ形状へ加工することは困難である。
接触抵抗に関しては、特許第3667679号公報や特開2010−49980号公報に記載の技術のように、ステンレス鋼板の表面に後工程で導電性の窒化物層を形成することが提案されている。しかし、高コストのプロセスである蒸着法やプラズマ窒化処理がなされており、生産性に課題がある。
さらに、燃料電池の運転状態(低出力負荷の状態)では、セパレータが、ステンレス鋼の過不動態腐食が起こる可能性のある高電位に曝されることがある。過不動態腐食は、不動態皮膜を構成するCrが、次式の反応によって溶解することで生じる。
Cr+5HO→2HCrO +8H+6e
過不動態腐食を低減するには、ステンレス鋼にSiを含有させることが効果的である。一方、Siはステンレス鋼の加工性を劣化させることに加え、多量に含有させるとステンレス鋼をオーステナイト化させることが困難になる。そのため、精密加工が必要なセパレータや、組織をオーステナイト化させて高耐食化を図るセパレータでは、Si含有量を高くして過不動態腐食を低減することは困難である。
特開2006−316338号公報では、18〜24%Crを含有するフェライト系ステンレス鋼を、窒素を含有する高温のガス雰囲気で窒素吸収させる処理方法が記載されている。しかし、表面の接触抵抗を低減させる方法の開示がない。また、厚さを薄くしていくと加工性が悪くなるが、その対策も開示されていない。
特許第6315158号公報に記載されたステンレス鋼板は、20〜26%Crを含有するフェライト系ステンレス鋼に窒素を吸収させた後、表面を酸洗して導電性の窒化物を露出させることで、ガス拡散層との接触抵抗を低減させている。しかし、このステンレス鋼板を用いたセパレータは、繰り返し荷重を負荷することにより、ガス拡散層に使用されるカーボンペーパーとの接触抵抗が上昇する場合がある。
本発明の目的は、優れた耐食性、低接触抵抗、及び優れたプレス加工性を有し、さらに、表面に形成する導電層との密着性の高いステンレス鋼板を提供することである。
ここに開示するステンレス鋼板は、化学組成が、質量%で、Cr:20〜26%、N:0.6〜2.0%、Si:2.0%以下、C:0.040%以下、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Mn:1.5%以下、Cu:0.50%以下、Mo:0.50%以下、Ni:0.10%以下、Ca:50ppm未満、sol.Al:300ppm未満、残部:Fe及び不純物であり、前記ステンレス鋼板は、30〜110μmの厚みを有し、ミクロ組織が、オーステナイト相の占める割合が80体積%以上の組織であり、オーステナイト結晶粒の平均結晶粒径が、前記ステンレス鋼板の厚みの2分の1以下であり、前記ステンレス鋼板は、表層に析出したCr窒化物を有し、前記ステンレス鋼板の表面からのグロー放電発光分光分析によって得られるCr、Fe、及びN含有量が、スパッタ深さ0〜0.05μmの範囲の深さ方向分析において、下記の式(1)及び式(2)を満たし、前記ステンレス鋼板の表層について、Co−Kα線を線源とするθ−2θ法によるX線回折分析で、オーステナイト相の各結晶面のピーク強度が、下記の式(3)及び式(4)を満たす。
0.1≦Cr/Fe≦0.5 (1)
Cr/N≦1.8 (2)
2.2/(I(111)/I(200))≦3.2 (3)
4.5/(I(111)/I(220))≦16 (4)
式(1)及び式(2)のCr、Fe、及びNには、前記ステンレス鋼板の表面からのグロー放電発光分光分析によって得られるCr、Fe、及びN含有量が原子%で代入される。式(3)及び式(4)において、I(111)、I(200)及びI(220)はそれぞれ、オーステナイト相の(111)面、(200)面及び(220)面の回折線のピーク強度を表す。
本発明によれば、優れた耐食性、低接触抵抗、及び優れたプレス加工性を有し、さらに、表面に形成する導電層との密着性の高いステンレス鋼板が得られる。
図1は、本発明の一実施形態によるステンレス鋼板の製造方法の一例を示すフロー図である。 図2は、本実施形態で得られた鋼板の断面顕微鏡写真である。 図3は、酸洗工程後の鋼板の表面のSEM像である。 図4は、酸洗工程後の鋼板の断面のTEM像(明視野)である。 図5は、燃料電池セルの一例を示す分解斜視図である。 図6は、複数のセルの集合体である燃料電池の斜視図である。 図7は、接触抵抗の測定に用いた装置の模式図である。
本発明者らは、種々の検討を行い、下記の知見を得た。
(1)特許第6315158号公報に記載されたステンレス鋼板は、20〜26%Crを含有するフェライト系ステンレス鋼に窒素を吸収させた後、表面を酸洗して導電性の窒化物を露出させることで、ガス拡散層との接触抵抗を低減させている。しかし、このステンレス鋼板を用いたセパレータは、繰り返し荷重を負荷することにより、ガス拡散層に使用されるカーボンペーパーとの接触抵抗が上昇する場合がある。
(2)繰り返し荷重による接触抵抗の上昇を抑制するには、ステンレス鋼板の表面に導電性の炭素質材を含む導電層を形成することが有効である。導電層を形成する場合、ステンレス鋼板を従来よりもさらに薄くする必要がある。また、導電層とステンレス鋼板との密着性を高くする必要がある。
(3)上述したステンレス鋼板は、表面に板状のCr窒化物が析出している。このCr窒化物が一定方向に向いているかランダムな方向に向いているかによって密着性は異なり、ランダムな方向を向いている方が、アンカー効果が有効に働き、密着性が高くなる。Cr窒化物は基材のオーステナイト相の組織の配向と対応しており、オーステナイト相が強く配向しているとCr窒化物の方向も揃ってしまうため、密着性が低くなる。オーステナイト相の配向が低い方が、板状組織の方向がランダムになり、密着性が高くなる。
本発明者らはさらに、ステンレス鋼板の製造条件について詳細に検討した。その結果、(4)窒素吸収のための焼鈍工程の直前の冷間圧延の圧延率、より具体的には、冷間圧延工程中の最後の中間焼鈍から最終の冷間圧延後の板厚までの圧延率(冷間圧延工程中に中間焼鈍がない場合は、熱間圧延後から最終の冷間圧延後の板厚までの圧延率)を一定以上に大きくすることで、窒素吸収後のオーステナイト相の配向度を低くできることを見出した。
以上の知見に基づいて、本発明は完成された。以下、本発明の一実施形態によるステンレス鋼板、燃料電池用セパレータ、燃料電池セル及び燃料電池スタックを詳述する。
[ステンレス鋼板]
[化学組成]
本発明の一実施形態によるステンレス鋼板は、以下に説明する化学組成を有する。以下の説明において、元素の含有量の「%」は、特に他に断りの無い限り、質量%を意味する。
Cr:20〜26%
クロム(Cr)は、ステンレス鋼の表面でCr不動態皮膜を形成して耐食性を向上させる作用を有する。Cr含有量の下限は20%とする。20%未満では、窒素吸収によりオーステナイト相化させた組織にマルテンサイト相が多く含まれる可能性がある。一方、Cr含有量の増加にしたがって、変形抵抗は高くなる。Cr含有量の上限を26%とするのは、工業的な製造プロセスの冷間圧延等で30μm程度までの薄い板厚の鋼板の安定製造性を担保するためである。Cr含有量の下限は、好ましくは23%である。23%未満では、強加工を行うと加工誘起マルテンサイト相が生成する可能性がある。Cr含有量の上限は、好ましくは25%である。これは、より安定した製造性(特に板厚の薄い鋼板の平坦性)を担保するためである。
N:0.6〜2.0%
窒素(N)は、ステンレス鋼中で窒化物を生成しない範囲で添加することで、耐食性を向上させる作用を有する。また、ステンレス鋼のオーステナイト化を促進する元素でもある。N含有量の下限は、0.6%である。これは、Fe−Cr−N系でオーステナイト相を得るために必要な最低窒素量を確保するためである。N含有量の上限は2.0%である。これは、結晶粒内にCrNやCrNのような窒化物の生成を抑制するためである。N含有量の下限は、好ましくは0.8%である。N含有量の上限は、好ましくは1.6%である。
Si:2.0%以下
シリコン(Si)は、添加しなくてもよい。Siは、ステンレス鋼の加工性を劣化させる元素であることから、通常は積極的に添加する元素ではない。一方、濃厚硝酸等のような強酸化性の環境で使用する場合には、添加することがある。Siは、ステンレス鋼が過不動態腐食環境に曝されると表面でSiOを生成し、Cr不動態皮膜を被覆して保護する作用を発揮する。そのため、過不動態腐食が特に懸念される環境に曝される可能性がある場合には添加してもよい。添加する場合であっても、Si含有量の上限は2.0%とする。Si含有量が2.0%を超えると、加工性の劣化や、製造中に脆いσ相が析出しやすくなり、鋼板への加工工程で割れが発生する場合や、平坦性が悪くプレス加工に適さない形状になる場合がある。Si含有量の上限は、好ましくは1.5%である。
C:0.040%以下
炭素(C)は、添加しなくてもよい。Cは、固溶強化元素であり、ステンレス鋼の強度向上に寄与する。しかし、本実施形態のステンレス鋼板ではNを一定量以上含有させるため、Nによる固溶強化が十分であり、強度のためにCを添加する必要はない。C含有量が多くなると、製造過程で炭化物が多数生成され、これら炭化物が破壊の起点となって、鋼の成形性が劣化する。そのため、C含有量は0.040%以下とする。C含有量の上限は、好ましくは0.030%である。
P:0.030%以下
リン(P)は、不純物である。Pは凝固時に粒界に偏析し、凝固割れ感受性を高める。したがって、P含有量はできるだけ低い方が好ましい。そのため、P含有量は0.030%以下とする。
S:0.030%以下
硫黄(S)は、不純物である。Sは凝固時に粒界に偏析し、凝固割れ感受性を高める。したがって、S含有量はできるだけ低い方が好ましい。そのため、S含有量は0.030%以下とする。
Mn:1.5%以下
マンガン(Mn)は、添加しなくてもよい。Mnは、Sによる熱間加工性の低下を抑制する。Mnはさらに、ステンレス鋼を脱酸する。しかし、Mn含有量が多くなると、σ相等の金属間化合物相の析出が促進される。σ相の析出によって組織安定性が低下するとともに、ステンレス鋼の靱性及び延性が低下する。そのため、Mn含有量は1.5%以下とする。Mn含有量の上限は、好ましくは1.0%であり、さらに好ましくは0.5%である。
Cu:0.50%以下
銅(Cu)は、添加しなくてもよい。Cuは粒界に偏析しやすく、また、オーステナイト安定化元素である。Cu含有量が多くなると、鋳造時の凝固中にフェライト生成が抑制され、凝固割れ感受性が高まる。また、Cu含有量が多いと、熱間加工性が低下する恐れがある。そのため、Cu含有量は0.50%以下とする。
Mo:0.50%以下
モリブデン(Mo)は、添加しなくてもよい。Moは、ステンレス鋼の耐食性を高める効果を有する。しかし、Moはレアメタルに分類される高価な元素であり、経済性に優れた材料を提供するうえでは好ましくない。また、Mo含有量が多くなると、オーステナイト相を主とする組織が得られない場合がある。そのため、Mo含有量は0.50%以下とする。Mo含有量の上限は、好ましくは0.30%である。
Ni:0.10%以下
ニッケル(Ni)は、添加しなくてもよい。Niは、ステンレス鋼のオーステナイト化を促進する元素である。しかし、Niはレアメタルに属する元素であり、経済性に優れた材料を提供するうえで好ましくない。また、Niイオンが溶出することによって、白金触媒と高分子電解質膜との界面での酸素還元反応速度を低下させる恐れがある。そのため、Ni含有量は0.10%以下とする。
Ca:50ppm未満
カルシウム(Ca)は、不純物である。ステンレス鋼の腐食の起点になりうる非金属介在物としては、一般にCaSやMnSが知られている。腐食起点となるCaSを多量に生成させないために、Ca含有量は50ppm未満とする。
sol.Al:300ppm未満
アルミニウム(Al)は、添加しなくてもよい。Alは、ステンレス鋼を脱酸する。しかし、Al含有量が高すぎれば、鋼の清浄度が低下し、ステンレス鋼の加工性及び延性が低下する。したがって、Al含有量は、300ppm未満である。なお、本明細書において、Al含有量は酸可溶Al(sol.Al)の含有量を意味する。
本実施形態によるステンレス鋼板の化学組成の残部は、Fe及び不純物である。ここでいう不純物は、鋼の原料として利用される鉱石やスクラップから混入される元素、あるいは製造過程の環境等から混入される元素をいう。
[板厚]
本実施形態によるステンレス鋼板は、30〜110μmの厚みを有する。厚みは、平均厚みとする。
板厚の下限を30μmとするのは、板厚が30μm未満であると、形状を良好に保ったまま経済的に圧延によって製造することが困難になることに加えて、介在物等により貫通ピット等の欠陥の生じる恐れが高くなるためである。セパレータは隔壁でもあるので、貫通ピットは許されない。板厚の下限は、好ましくは50μmである。
板厚の上限を110μmとするのは、ステンレス鋼板の上に導電層を設けた場合に厚くなりすぎないようにするためである。板厚の上限は、好ましくは100μmである。
[組織及びオーステナイト結晶粒の平均粒径]
本実施形態によるステンレス鋼板の組織は、オーステナイト相を主とする。具体的には、フェライト相、マルテンサイト相等のオーステナイト相以外の鉄の相、及びCrNやCrN等の化合物相の割合が低く、X線回折(XRD)で検出可能なすべての相に対するオーステナイト相の占める割合(以下「γ相分率」という。)が80体積%以上である。γ相分率は、好ましくは90体積%以上であり、理想的には100体積%(組織がオーステナイト単相)である。γ相分率を高くすることによって、良好なプレス加工性(延性)が得られる。
本実施形態によるステンレス鋼板は、オーステナイト結晶粒の平均粒径(以下「γ粒径」という。)が、ステンレス鋼板の厚みの2分の1以下である。γ粒径が粗大になると、良好なプレス加工性が得られなくなる恐れがある。例えば、板厚方向に1つの結晶粒というような場合、プレス加工時の均一な変形が得られず、プレス加工性が不良となる。
γ粒径は、以下のように測定する。倍率が分かっているミクロ組織写真の上に所定長さの線を引く。線の上に乗っているオーステナイト結晶粒の数を数える。線の両端の結晶粒は1/2に数える。線長を線がまたぐ結晶粒の個数で除したものを、そのミクロ組織写真におけるオーステナイト結晶粒の粒径とする。倍率200倍のミクロ組織写真をL断面5枚、T断面5枚撮影し、合計10枚のミクロ組織写真について上述の方法でオーステナイト結晶粒の粒径を測定し、その平均値をγ粒径とする。
[表面近傍のCr、Fe、及びN含有量]
本実施形態によるステンレス鋼板は、表面からのグロー放電発光分光分析によって得られるCr、Fe、及びN含有量が、スパッタ深さ0〜0.05μmの範囲の深さ方向分析において、下記の式(1)及び式(2)を満たす。
0.1≦Cr/Fe≦0.5 (1)
Cr/N≦1.8 (2)
式(1)及び式(2)のCr、Fe、及びNには、ステンレス鋼板の表面からのグロー放電発光分光分析によって得られるCr、Fe、及びN含有量が原子%で代入される。
ここで、「スパッタ深さ0〜0.05μmの範囲の深さ方向分析において、下記の式(1)及び式(2)を満たす」とは、0〜0.05μmの範囲のすべての測定点において、式(1)及び式(2)が満たされることを意味する。0〜0.05μmは、セパレータの接触抵抗及び耐食性に直接影響する部分である。以下、表面から0〜0.05μmの領域を「表面近傍」と呼ぶ。
表面近傍のCr、Fe、及びN含有量の分布は、グロー放電発光分光分析(GD−OES;Glow Discharge−Optical Emission Spectroscopy)を用いて、表面から深さ方向にスパッタリングしながら分析して求める。グロー放電発光分光分析は例えば、堀場製作所製、マーカス型高周波グロー放電発光分析装置(GD−Profiler2)を用いることができる。得られた深さ方向の各元素の分布を原子比に換算して、Cr/Fe及びCr/Nをそれぞれ算出する。
式(1)のCr/Feは、Cr濃化の指標である。表面近傍のCr/Feがステンレス鋼板のバルクの組成における値(0.26〜0.39)よりも大きいことは、表面近傍がCrリッチであることを意味する。表面近傍のCr/Feが大きすぎても小さすぎても、良好な耐食性が得られない。そのため、表面近傍のCr/Feは、0.1〜0.5とする。表面近傍のCr/Feの下限は、好ましくは0.2である。表面近傍のCr/Feの上限は、好ましくは0.4である。
式(2)のCr/Nは、CrNとCrNとの比を示す指標である。表面近傍に存在するCrNが多いほど、Cr/Nは大きくなる。CrNが耐食性に優れるのに対し、CrNは耐食性が劣るため、CrNは少ない方が好ましい。そのため、表面近傍のCr/Nは、1.8以下とする。表面近傍のCr/Nは、好ましくは1.5以下である。
[オーステナイト相の結晶配向]
本実施形態によるステンレス鋼板は、その表層について、Co−Kα線を線源とするθ−2θ法によるX線回折分析で、オーステナイト相の各結晶面のピーク強度が、下記の式(3)及び式(4)を満たす。
2.2/(I(111)/I(200))≦3.2 (3)
4.5/(I(111)/I(220))≦16 (4)
ここで、I(111)、I(200)及びI(220)はそれぞれ、オースナイト相の(111)面、(200)面及び(220)面による回折線のピーク強度を表す。
本実施形態によるステンレス鋼板は、式(3)及び式(4)を満たすことで、その表面に導電層を形成させたときの密着性を向上させることができる。式(3)及び式(4)を満たすことによって良好な密着性が得られるメカニズムは、次のように推測される。
本実施形態によるステンレス鋼板では、後述するとおり、窒素吸収させた鋼板の表面を酸洗することによって地鉄を溶削し、板状で耐食性のCrNやCrN等のCr窒化物を露出させる。この上に導電層を形成すると、導電層の構成材がCr窒化物の間に侵入し、また、Cr窒化物が導電層に食い込む。これによってステンレス鋼板と導電層との間の導電性が向上するとともに、接触面積の向上とアンカー効果とによって密着性が向上する。
この密着性向上効果は、アンカー効果を担う板状のCr窒化物がランダムな方向に突出している方が高い。なぜなら、板状のCr窒化物の長手方向に引き抜くように剥離させる場合より、長手方向と垂直な方向や角度を持った方向に剥離させる場合の方が、引き抜きに対する抵抗が大きいからである。すなわち、一様に揃った方向にCr窒化物が突出している場合には、その突出方向に平行な方向の剥離にはアンカー効果が働きにくく、密着性向上効果が限定される。これに対し、ランダムな方向にCr窒化物が突出していれば、どのような方向に剥離させる場合であっても、いずれかの方向のCr窒化物が強力にアンカー効果を発揮し、密着性向上効果が最大限に発揮される。
Cr窒化物は、地鉄の結晶方位と一定の方位関係を持って析出するため、地鉄の結晶方位のランダムさを計測することで、Cr窒化物の方位のランダムさを間接的に知ることができる。Cr窒化物は、基材表面の限られた深さ(〜μmオーダー)にのみ存在するため、SEMやTEM等のμmオーダーの限られた視野での観察・測定でそのランダムさを見積もる必要がある。一方、地鉄の方位のランダムさは、粉末X線回折測定法、すなわち、地鉄の表面に対するθ−2θ法でのX線回折測定による代表的な回折強度の強度比により見積もることができる。すなわち、対象材のθ−2θ法で測定したX線回折線強度の比を、ランダムな結晶方位の場合の強度比と比較することで、結晶の配向がランダムに近いか遠いかを判定することができる。X線回折測定では、mm〜cmオーダーの比較的広い範囲の面積の平均情報を得ることができ、かつ非破壊・定量的である。
結晶方位が完全にランダムな状態(ランダム方位)のオーステナイト多結晶に対するX線回折強度は、計算によれば、I(111)/I(200)が2.2、I(111)/I(220)が4.5となる。ここで、I(111)はオーステナイト相の(111)面からの回折強度で、I(200)はオーステナイト相の(200)面からの回折強度、I(220)はオーステナイト相の(220)面からの回折強度である。測定値の強度比が計算値からあまりに大きく乖離している場合には、結晶方位が揃いすぎており、Cr窒化物のアンカー効果が弱まり、導電層との密着性が低下する。
式(3)も式(4)も左辺が1に近いほどランダム方位に近いが、板材においては、板表面に垂直な方向に(111)面が配向しやすい傾向があり、式(3)も式(4)も1より大きいのが一般的である。ここで、それぞれの値と密着性との関係を調べると、式(3)の左辺(2.2/(I(111)/I(200)))が3.2を超えるか、又は、式(4)の左辺(4.5/(I(111)/I(220)))が16を超えると、導電層との密着性が不十分になる。
式(3)の左辺の上限は、好ましくは2.9であり、より好ましくは2.7である。式(3)の下限は、好ましくは、ランダム方位からの乖離程度として計算上は0.3程度と考えられる。
式(4)の左辺の上限は、好ましくは15であり、より好ましくは12である。式(4)の左辺の下限は、好ましくは、ランダム方位からの乖離程度として計算上は0.06程度と考えられる。
I(111)、I(200)及びI(220)は、以下の方法で測定することができる。
ステンレス鋼板から、20mm×20mm×板厚程度の大きさのサンプルを採取する。サンプルの大きさは、測定装置の純正のアダプタがあれば、そのサイズに揃えてもよい。θ−2θ法による粉末X線回折法の測定が可能なX線回折装置を用い、CoをターゲットとするX線管球又は回転対陰極を線源として用いる。サンプルを測定面内で回転し、面内の配向を平均化する機構があれば、これを用いる。例えば、加速電圧30kVで100mAの電子線照射による励起で、2θ=40〜100°の範囲を0.02°間隔でステップスキャンし、各点1秒の固定時間で測定する。測定データは19点の放物線フィルタで平滑化する。平滑化したデータに対して、ピーク強度閾値を20cps、ピーク幅閾値を0.1°として、二次微分法でピーク検出を行う。ピーク位置は重心角度とする。
オーステナイト相の(111)面の回折角度は窒素を吸収していない標準サンプルでは50.94°であるが、窒素吸収により格子間隔が広がるため回折角度は低角にシフトし、本実施形態のステンレス鋼板では50.4〜50.94°の範囲にピークを持つ。同様に(200)面は58〜60°、(220)面は88〜89.6°の範囲にピークを持つ。回折強度は、ピーク強度からバックグランド強度を引いた値とする。
[機械的特性]
本実施形態によるステンレス鋼板は、良好なプレス加工性を有する。本実施形態によるステンレス鋼板は、好ましくは、引張試験による伸び(破断伸び)が15%以上であり、より好ましくは20%以上である。ここで、引張試験は、ASTM A370に準拠し、1×10−3/秒の歪速度で行う引張試験をいう。
[導電性の炭素質材を含む導電層]
本実施形態によるステンレス鋼板は、少なくとも一方の面に、導電性の炭素質材を含む導電層を備えることができる。これにより、ガス拡散層との接触抵抗がより低くなる。
導電性の炭素質材は、黒鉛(グラファイト)、並びにアセチレンブラック及びケッチェンブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。ケッチェンブラックとしては、例えば、ライオン株式会社製ケッチェンブラックEC、ケッチェンブラックEC600JD、カーボンECP、カーボンECP600JD等の市販品を使用することができる。アセチレンブラックとしては電気化学工業社製デンカブラック(登録商標)が挙げられる。
導電層が黒鉛を含むことは、例えば、導電層のラマンスペクトルが黒鉛のピークを示すことにより確認できる。具体的には、導電層についてラマン分光法によって、Dバンド及びGバンドのピークが得られ、かつGバンドの半価幅が100cm−1以下である場合に、導電層は黒鉛を十分に含むと判断することができる。Gバンドの半価幅が100cm−1を超える場合には、導電層は黒鉛を十分位含まないと判断することができる。
導電層は、マトリックス樹脂中に炭素質材を分散して有する炭素−樹脂複合層であってもよい。
炭素−樹脂複合層は、炭素質材と熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなるマトリックス樹脂とを含む。炭素−樹脂複合層は、炭素質材(C)とマトリックス樹脂(R)との体積比(C/R)が、6/4〜9/1であることが好ましい。体積比(C/R)が6/4よりも小さいと導電性が低下する場合があり、9/1よりも大きいと柔軟性、可撓性及び耐食性に劣る場合がある。
炭素−樹脂複合層の厚さは、好ましくは0.02〜5.0mmである。厚さが0.02mmよりも薄いと、炭素−樹脂複合層の僅かなクラックから腐食が始まる場合があり、5.0mmよいも厚いと可撓性に悪影響を及ぼす場合がある。炭素−樹脂複合層の厚さは、より好ましくは0.05〜2.0mmである。
炭素−樹脂複合層を形成する炭素質材は、これに限定されないが、天然黒鉛、人造黒鉛、膨張黒鉛、膨張化黒鉛、鱗片状黒鉛、及び球状黒鉛等の粉末の1種又は2種以上の混合物を用いることができる。可撓性及び導電性の観点から、膨張黒鉛又は膨張化黒鉛の粉末を含むことが好ましい。
炭素−樹脂複合層を形成するマトリックス樹脂は、熱可塑性樹脂であってもよく、熱硬化性樹脂であってもよい。
熱可塑性樹脂としては、これに限定されないが、ポリプロピレン樹脂(PP)、ポリエチレン樹脂(PE)、ポリアミド樹脂(PA)、ポリフェニレンスルフィド樹脂(PPS)、ポリメチルペンテン樹脂(PMP)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)、液晶ポリマー樹脂(LCP)、ポリアミドイミド樹脂(PAI)、ポリスルホン樹脂(PSU)、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)及びポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)の1種又は2種以上の混合物を用いることができる。
PP、PE、PMP等のポリオレフィン樹脂については、当該ポリオレフィン樹脂の一部又は全部が不飽和カルボン酸又はその誘導体によってグラフト変性された変性ポリオレフィン樹脂を使用することが好ましい。このような変性ポリオレフィン樹脂を使用することにより、可撓性の向上や、ステンレス鋼板との密着性の向上が期待でき、それによって接触抵抗の低下も期待できる。
熱硬化性樹脂としては、これに限定されないが、フェノール樹脂及びエポキシ樹脂の1種又は2種の混合物を用いることができる。
[接着剤層]
本実施形態によるステンレス鋼板は、ステンレス鋼板の表面と導電層との間に、接着剤層をさらに備えていてもよい。
接着剤層を形成する接着剤組成物は、これに限定されないが、接着性ポリオレフィン樹脂を含む接着剤組成物(例えば、三井化学株式会社製アドマー(商品名))、不飽和カルボン酸によりグラフト変性された変性ポリオレフィン樹脂を含む接着剤組成物(例えば、三井化学株式会社製ユニストール(商品名))、ハロゲンによりグラフト変性された変性ポリオレフィン樹脂を含む接着剤組成物(例えば、東洋紡株式会社製トーヨータック(商品名))、フェノール樹脂接着剤組成物(例えば、リグナイト株式会社製AH−1148(商品名))、エポキシ樹脂接着剤組成物(例えば、新日鉄住金化学株式会社製YSLV−80XY(商品名))を使用することができる。接着剤組成物は、ポリオレフィン樹脂の一部又は全部が不飽和カルボン酸又はその誘導体によってグラフト変性された変性ポリオレフィン樹脂を含むもの(例えば、特開2005−146178号公報を参照)が好ましい。
接着剤層の厚さは、好ましくは0.1〜10μmである。接着剤層の厚さが0.1μm未満であると、接着強度が不足する場合がある。接着剤層の厚さが10μmを超えると、導電性が不足する場合がある。
[ステンレス鋼板の製造方法]
図1は、本発明の一実施形態によるステンレス鋼板の製造方法の一例を示すフロー図である。この製造方法は、あくまでも例示であって、本発明によるステンレス鋼板の製造方法を限定するものではない。
この製造方法は、スラブを準備する工程(ステップS1)と、スラブを熱間圧延及び冷間圧延することによって、厚み30〜110μmの圧延鋼板を得る工程(ステップS2)と、圧延鋼板を窒素を含むガス雰囲気下で焼鈍して冷却する工程(ステップS3)と、非酸化性酸を含む溶液で酸洗する酸洗工程(ステップS4)とを備えている。以下、各工程を詳述する。
[スラブ準備工程]
化学組成が、質量%で、Cr:20〜26%、N:0.1%以下、Si:2.0%以下、C:0.040%以下、P:0.030%以下、S:0.030%以下、Mn:1.5%以下、Cu:0.50%以下、Mo:0.50%以下、Ni:0.10%以下、Ca:50ppm未満、sol.Al:300ppm未満、残部:Fe及び不純物であるスラブを準備する(ステップS1)。
このスラブの化学組成は、N含有量を除き、上述したステンレス鋼板の化学組成と同じである。スラブのN含有量を0.1%以下とするのは、N含有量が0.1%を超えると、変形抵抗が高くなり、圧延によって鋼板にすることが困難になるためである。スラブのN含有量の上限は、好ましくは0.05%である。
スラブを準備する工程は、これに限定されないが、例えば以下のようにすることができる。
原料を溶解する。原料としては、ステンレス鋼製造用のフェロクロム及びフェロシリコン、鋳鉄、並びにフェライト系ステンレス鋼のスクラップ等を用いることができる。溶解は、主に電気炉で行う。実験室レベルでは、真空誘導加熱炉で行うこともできる。炭素量、ガス成分、金属介在物を低減するために精錬を行う。精錬は、AOD(Argon-Oxygen-Decarburization)法、VOD(Vacuum-Oxygen-Decarburization)法、V−AOD法等が適用可能である。その後、連続鋳造装置やケースへの鋳込みにより、圧延に適した形状のスラブにする。スラブの化学組成は、原料の配合や、精錬の条件によって調整することができる。
[圧延工程]
スラブを熱間圧延及び冷間圧延することによって、厚み30〜110μmの圧延鋼板を得る(ステップS2)。熱間圧延及び冷間圧延はそれぞれ繰り返し行ってもよく、必要に応じて焼鈍等の中間熱処理や、酸洗を行ってもよい(ただし、窒素吸収後のオーステナイト相の配向を制御するため、最終の冷間圧延の圧延率に制限がある。)。また、熱間圧延及び冷間圧延に加えて、必要に応じて熱間鍛造や切削加工をさらに行ってもよい。
圧延工程は、これに限定されないが、例えば以下のようにすることができる。
タンデムミルやステッケルミルによって熱間圧延してスラブを熱間コイルにする。この熱間コイルを焼鈍・酸洗する。さらに多段ロール冷間圧延機によって冷間圧延して、厚さ30〜110μmの圧延鋼板にする。
本実施形態では、焼鈍工程(ステップS3)の直前の冷間圧延の圧延率、より具体的には、冷間圧延工程中の最後の中間焼鈍から最終の冷間圧延後の板厚までの圧延率(冷間圧延工程中に中間焼鈍がない場合は、熱間圧延後から最終の冷間圧延後の板厚までの圧延率。以下「熱処理後冷延率」という。)を95%以上にする。なお、圧延率は、((元厚)−(仕上厚))÷(元厚)(%表示の場合は×100)である。
例えば、熱間圧延により板厚5mmの鋼板を製造し、これを研削して板厚4mmとし、これを中間焼鈍せずに板厚0.08mmまで冷間圧延する場合、熱処理後冷延率は(4−0.08)÷4(×100)で98%となる。また、同様に板厚4mmまで研削した材料を冷間圧延するときに、板厚0.5mmまで冷間圧延した後に中間焼鈍を施し、続いて板厚0.08mmまで冷間圧延した場合、熱処理後冷延率は(0.5−0.08)÷0.5(×100)で84%となる。
上述のように、導電層との密着性を向上させるためには、アンカー効果を担うCr窒化物の方向制御をする必要がある。そのために、後の焼鈍工程により基材が窒素吸収した後のオーステナイト相の配向を低く制御する必要がある。メカニズムは不明であるが、熱処理後冷延率を一定以上に大きくすることで、窒素吸収後のオーステナイト相の配向度を低くすることができる。具体的には、熱処理後冷延率を95%以上にすることで、後の焼鈍工程で得られる窒素吸収オーステナイト相の配向を抑制でき、式(3)及び(4)を満たすようにすることができる。熱処理後冷延率は、好ましくは97%以上である。
[焼鈍工程]
圧延鋼板を、窒素を含むガス雰囲気下で焼鈍して冷却する(ステップS3)。この工程によって、鋼板の表面から窒素を吸収させて、鋼板の組織をオーステナイト相化する。
処理ガス全圧に対する窒素の分圧の比は、好ましくは0.4〜0.8である。全圧に対する窒素の分圧の比が0.4未満では、表面から十分に窒素が供給されず、鋼板の厚みが厚い場合に厚み全体にわたってγ相分率を80体積%以上にすることが困難になる。一方、処理ガス全圧に対する窒素の分圧の比が0.8よりも高いと、表面にCr窒化物が過剰に生成し、加工時割れ発生の起点となる可能性がある。窒素と混合するガスは、鋼板を酸化させないために水素を用いるのが好ましい。水素に代えて、あるいは水素に加えて、アルゴンを用いてもよい。
焼鈍の温度は、好ましくは950〜1200℃である。焼鈍の温度が950℃未満では、平衡状態でオーステナイト相のみならずCrN相が存在するため、γ相分率を80体積%以上にできない可能性がある。一方、焼鈍の温度が1200℃を超えると、特にSiを含有する場合、粒界近傍で液相が発生し、溶融して脆化が生じる可能性がある。焼鈍の温度は、Cr含有量によって異なるが、1050〜1150℃がより好ましい。
焼鈍の保持時間は、鋼板の厚みに依存するが、好ましくは30〜900秒である。保持時間が30秒未満では、板厚が薄い場合でも、厚み全体にわたってγ相分率を80体積%以上にすることが困難になる。一方、保持時間が900秒を超えると、γ粒が粗大化するとともに、表面にCr窒化物が過剰に析出する可能性がある。焼鈍の保持時間は、より好ましくは40〜500秒である。
焼鈍した鋼板を冷却する。焼鈍後の鋼板は、速やかに冷却することが好ましい。焼鈍後の鋼板を徐冷すると、中間の温度域で窒化物が過剰に析出する可能性がある。ただし、本実施形態の鋼板は厚みが30〜110μmであり、放熱面積に対する熱容量が小さいため、炉外で放冷すれば十分速やかに冷却される。水冷等をすると、急冷歪によって変形するため好ましくない。
焼鈍工程は、例えば、鋼板を連続光輝焼鈍ラインと呼ばれる焼鈍ラインに通すことで実施することができる。
この焼鈍工程によって、γ相分率が80体積%以上である鋼板が得られる。焼鈍工程後の鋼板は、N含有量が0.6〜2.0質量%であり、γ相分率が80体積%以上であり、γ粒径が、ステンレス鋼板の厚みの2分の1以下となるように調整される。
焼鈍工程後の鋼板のN含有量は、スラブのN含有量、焼鈍の条件によって調整することができる。具体的には、スラブのN含有量を高くする、焼鈍の際の窒素分圧を高くする、焼鈍の温度を高くする、又は焼鈍の保持時間を長くすることによって、焼鈍工程後の鋼板のN含有量を高くすることができる。
γ粒径は、焼鈍の条件によって調整することができる。具体的には、焼鈍の温度を低くする、又は保持時間を短くすれば、γ粒径を小さくすることができる。
図2は、本実施形態で得られた鋼板の断面顕微鏡写真である。焼鈍工程では、鋼板の表裏の面から同時に窒素吸収によるオーステナイト相化が進行する。表裏面から成長したγ粒が衝突することで、一旦粒成長が止まる。この時点のγ粒径は板厚のほぼ2分の1である。
[酸洗工程]
焼鈍工程後の鋼板を、非酸化性酸を含む溶液で酸洗する(ステップS4)。酸洗には、鋼板の表面を酸化させないため、非酸化性の酸を使用する。使用できる酸は例えば、(1)フッ化水素酸、(2)硫酸、(3)塩酸、及びこれらの酸の混酸である。
(1)フッ化水素酸
フッ化水素酸の濃度は、好ましくは1〜5質量%である。処理温度は、好ましくは35〜75℃である。35℃未満では、処理が長時間になる可能性がある。また、夏季は酸洗時発熱による昇温を制御しきれず、外気温に左右されて安定な処理ができない可能性がある。一方、75℃よりも高くすると、処理液から腐食性のヒュームが発生する場合がある。処理温度は、より好ましくは40〜55℃である。処理時間は、好ましくは2〜10分である。
(2)硫酸
硫酸の濃度は、好ましくは10〜40質量%である。処理温度は、好ましくは35〜75℃である。35℃未満では、処理が長時間になる可能性がある。また、夏季は酸洗時発熱による昇温を制御しきれず、外気温に左右されて安定な処理ができない可能性がある。一方、75℃よりも高くすると、処理液から有害なSOガスが発生する場合がある。濃度は、より好ましくは、15〜30質量%である。処理温度は、より好ましくは50〜60℃である。処理時間は、好ましくは2〜10分である。
(3)塩酸
塩酸の濃度は、好ましくは4〜15質量%である。処理温度は、好ましくは35〜75℃である。35℃未満では処理が長時間になる可能性がある。また、夏季は酸洗時発熱による昇温を制御しきれず、外気温に左右されて安定な処理ができない可能性がある。一方、75℃よりも高くすると、処理液から腐食性のヒュームが発生する場合がある。濃度は、より好ましくは、4〜12質量%である。処理温度は、より好ましくは40〜55℃である。処理時間は、好ましくは2〜15分である。
以上、本発明の一実施形態によるステンレス鋼板の製造方法を説明した。本実施形態では、Fe−Cr系ステンレス鋼を鋼板にした後、窒素を吸収させて組織をオーステナイト相化する。これによって、Mo等の高価な原料を用いなくても、ステンレス鋼板の耐食性を向上させることができる。また、γ相分率を80体積%以上にすることによって、良好なプレス加工性を確保することができる。さらにオーステナイト相の配向の抑制を通じて表面に突出したCr窒化物の方向を抑制して、導電層を形成したときの導電層との密着性を向上させることができる。
本実施形態では、スラブのN含有量が0.1%以下であるので、比較的容易に圧延鋼板を得ることができる。また、厚みが30〜110μmの鋼板にしてから窒素を吸収させるため、比較的短時間でオーステナイト相化することができる。
本実施形態によればさらに、焼鈍工程後の鋼板を非酸化性の酸を含む溶液で酸洗することによって、導電性と耐食性とを兼ね備えたCr窒化物層を表面に形成することができる。このCr窒化物層を備えることにより、この上に導電層を設けたときの導電層と鋼板との密着性が向上する。
図3は、酸洗工程後の鋼板の表面の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。図3から、鋼板の表面がテラス(段丘)状構造を有していることを確認できる。
図4は、酸洗工程後の鋼板の表面近傍の断面を透過電子顕微鏡(TEM)によって観察した明視野像である。テラス状構造が、詳細に見ると板状のCr窒化物が突出した構造であることが確認できる。
酸洗後の鋼板の表面は、下記の特徴を有する。
・耐食性の劣る組織が選択的に除去されることにより、テラス(段丘)状の表面形態を有する。
・テラス状の形態は詳細に見ると板状のCr窒化物が間隔を空けて突出した構造となっており、またその方向は下地の結晶ごとに異なる方向となっている。
・CrN及びCrNは導電材料であり、低接触抵抗の実現に寄与する。
・突出した板状のCr窒化物は表面の構造を複雑化し、表面積の向上及びアンカー効果によって導電層との密着性を向上させる。
表1に、CrN、CrN、その他の物質の物性を示す。表1に示すように、CrN及びCrNは、Crと比較して電気抵抗が圧倒的に小さい。また、最表面に存在するCrNは、過不動態腐食に対して耐食的とされており、過不動態腐食の低減にも寄与する。
このようなCr窒化物層を備えることによって、導電性と耐食性とを兼ね備えたステンレス鋼板が得られる。このようなCr窒化物の形態は、加圧窒素雰囲気で鋳造を行って得られる材料では実現できないものである。
式(1)及び式(2)におけるCr/Fe及びCr/Nは、このCr窒化物層の形態の指標でもある。すなわち、Cr窒化物(CrN及びCrN)の量が多いほど、表面がCrリッチになり、表面近傍のCr/Feの値が大きくなる。また、CrNに対するCrNの量が少なくなるほど、Cr/Nの値が小さくなる。
したがって、スラブのN含有量を高くする、焼鈍の際の窒素分圧を高くする、焼鈍の温度を高くする、又は焼鈍の保持時間を長くする等によって、Cr/Feの値を大きくすることができる。また例えば、酸洗の処理温度を高くする、酸洗の処理時間を長くする等によって、Cr/Nの値を小さくすることができる。
[導電層の形成]
ステンレス鋼板に導電性の炭素質材を有する導電層を形成する場合は、以下の方法を用いることができる。
塊状(ブロック状等)の導電性炭素質材を、ステンレス鋼板表面のCr窒化物皮膜に対して摺動させる。導電性炭素質材は、黒鉛であることが好ましい。黒鉛は、炭素原子からなる六員環の面間の結合が弱い。このため、黒鉛をCr窒化物皮膜に対して摺動させると、黒鉛は鱗状の粒子となってCr窒化物皮膜の表面にほぼ平行に配向する。これによって、Cr窒化物皮膜の表面を黒鉛で効率的に覆うことができる。
導電層として、マトリックス樹脂中に炭素質材を分散させた炭素−樹脂複合層を形成する場合は、以下の方法を用いることができる。
炭素質材とマトリックス樹脂とを含む混合物を直接ステンレス鋼板の表面にホットプレスする。あるいは、炭素質材とマトリックス樹脂とを溶剤中に分散させたスラリーを、ドクターブレード等を用いてステンレス鋼板の表面に塗布し、乾燥後にホットプレスしてもよい。
炭素−樹脂複合層を形成する場合、炭素質材の粉末とマトリクス樹脂の粉末とを含む粉末混合物をホットプレスして予め炭素−樹脂複合層を形成しておき、得られた炭素−樹脂複合層をステンレス鋼板の表面にホットプレスで積層させる方法が特に好ましい。この積層工程に先駆けて、ステンレス鋼板の表面に接着剤組成物を塗布してもよい。この場合、ステンレス鋼板と炭素−樹脂複合層とは、接着剤層を介して積層される。
[燃料電池用セパレータ]
本発明の一実施形態による燃料電池用セパレータは、本実施形態によるステンレス鋼板を備える。本実施形態による燃料電池用セパレータは、より具体的には、本実施形態によるステンレス鋼板に、流路として機能する凹凸等が形成されたものである。本実施形態による燃料電池用セパレータは、本実施形態によるステンレス鋼板をプレス加工して製造することができる。
[燃料電池セル及び燃料電池スタック]
本発明の一実施形態による燃料電池セルは、本実施形態による燃料電池用セパレータを備える。本発明の一実施形態による燃料電池スタックは、本実施形態による燃料電池セルを複数備える。
図5は、固体高分子形燃料電池セルの一例であるセル10の構成を示す分解斜視図である。図6は、複数のセル10の集合体(スタック)である固体高分子形燃料電池1の斜視図である。図5のセル10、及び図6の固体高分子形燃料電池1は、いずれも例示であり、本実施形態による燃料電池セル及び燃料電池スタックの構成は、これらに限定されない。
セル10は、図5に示すように、固体高分子電解質膜2の一面にアノード(アノード側ガス拡散電極層又は燃料電極膜)3が、他面にはカソード(カソード側ガス拡散電極層又は酸化剤電極膜)4がそれぞれ積層され、その積層体の両面にセパレータ5a、5bが重ねられた構造になっている。
なお、本実施形態による燃料電池用セパレータには、冷却水の流路を有するセパレータ(水セパレータ)であってもよい。本実施形態による燃料電池スタックは、セルとセルとの間、又は数個のセルごとに水セパレータを配置した水冷型の燃料電池であってもよい。
固体高分子電解質膜2としては、水素イオン交換基を有するフッ素系プロトン伝導膜を用いることができる。アノード3及びカソード4には、粒子状の白金触媒と黒鉛粉、及び必要に応じて水素イオン交換基を有するフッ素樹脂からなる触媒層が設けられている場合もある。この場合には、燃料ガス又は酸化性ガスとこの触媒層とが接触して反応が促進される。
セパレータ5aには、流路6aが設けられている。流路6aには、燃料ガス(水素又は水素含有ガス)Aが流されてアノード3に水素が供給される。セパレータ5bには、流路6bが設けられている。流路6bには、空気等の酸化性ガスBが流され、カソード4に酸素が供給される。こうして供給された水素及び酸素により電気化学反応が生じて直流電力が発生する。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。本発明は、これらの実施例に限定されない。
[圧延鋼板の製造]
表2に示す8種の化学組成の鋼を、高周波誘導加熱方式の30kg真空溶融炉で溶解し、直径Φ125〜115mm、高さが320mmの略円錐台形状の鋳造インゴットを製造した。
これらの鋳造インゴットを、円錐台形状の側面の表面黒皮をグラインダーにより研削した。研削後、表3に示す製造条件にしたがって、熱間鍛造、切削、熱間圧延、研削(黒皮ムキ)を実施して、冷間圧延用の素材を製造した。これらをさらに、表4に示す製造条件にしたがって、冷間圧延のみ、又は中間焼鈍を挟んだ冷間圧延を実施し、厚みが50μm、80μm又は100μmの圧延鋼板を製造した。いずれの材料も、冷間圧延でエッジ割れが生じず、良好な生産性を示した。
[焼鈍処理]
各圧延鋼板から幅70mm×長さ200mmの素材を切り出し、連続焼鈍シミュレータ装置によって、光輝焼鈍処理を施すとともに固相状態での窒素吸収処理(以下「焼鈍処理」という。)を実施した。具体的には、温度1100℃で、表5の「保持時間」欄に記載の時間(100秒、240秒又は360秒)保持した後、急冷する熱処理を行った。冷却速度は500℃までの平均冷却速度で8〜10℃/秒とした。焼鈍処理は、窒素分圧0.75、水素分圧0.25の混合ガスを使用した。なお、全圧は1atmとした。
[酸洗処理]
焼鈍後の素材を、非酸化性の酸である、濃度25質量%の硫酸で、処理温度60℃、処理時間5分で酸洗した。
[組織等の調査]
各ステンレス鋼板の板厚中央部分から試料を採取し、N含有量を測定した。
各ステンレス鋼板の断面顕微鏡写真から、実施形態で説明した方法によってγ粒径を測定した。
各ステンレス鋼板の表面から、GD−OESによって、スパッタ深さ0〜0.05μmの範囲のCr、Fe、及びN含有量の分布を測定した。測定には、堀場製作所製、マーカス型高周波グロー放電発光分析装置(GD−Profiler2)を用いた。
各ステンレス鋼板の表面をSEMで観察し、表面形態を調査した。
各ステンレス鋼板の組織及び配向を調査するために、θ−2θ法によるX線回折(線源はCo−Kα線)を、2θ=40〜100°の範囲で測定した。
これらの調査結果を表6に示す。
表6の「γ粒径」の欄には、各ステンレス鋼のオーステナイト結晶粒の平均粒径が記載されている。
表6の「GD−OES」の欄には、スパッタ深さ0〜0.05μmにおけるCr/Feの範囲、Cr/Nの範囲が記載されている。
表6の「θ−2θX線回折測定」の欄には、θ−2θ法によるX線回折によって同定・計算されたγ相分率(γ%)、並びに式(3)及び式(4)の左辺の値が記載されている。
X線回折測定は、表面と、t/2まで研削、研磨した面とで測定し、γ相分率の計算については、それぞれの面からのγ相分率を計算して平均した。γ相分率は便宜上、「γ」、「α’あるいはα」及び「CrN」のそれぞれの、他の相とは独立して分離しやすく、比較的強度の高い2本ずつの回折線を選択して計算した。選択した回折線を表7に示す。各相は窒素吸収により標準物質の回折角から若干ずれるので、表7に示す角度範囲にピークのある回折線について計算に用いた。具体的には、それぞれの回折線強度について、バックグランドを差し引いた強度を各回折線の計算強度比で除した値を計算し、各相について合計した値を各相の強度とした。各相の強度の合計に対する、γ相の強度の比率をγ相分率とした。なお、CrN相は薄膜法ではないθ−2θ法の測定では非常に微弱となるため、この計算では除外した。
各相の強度を求める方法を式で書くと、下記のようになる。
Imeas k:k番目の選択回折線の測定強度(バックグランド含む)
BGk:k番目の選択回折線のバックグランド強度
Icalc k:k番目の選択回折線の計算強度比
γ相分率は、
γ相分率=[γ相強度]/([γ相強度]+[α’あるいはα相強度]+[CrN相強度])
式(3)及び式(4)の算出には、表面からのX線回折によって、オーステナイト相の(111)面、(200)面、(220)面の回折線のピーク強度を用いて計算した。窒素吸収により回折角度は低角にずれているので、(111)面は50.4〜50.94°の範囲にピークを持つ回折線を、同様に(200)面は58〜60°、(220)面は88〜89.6°の範囲にピークを持つ回折線を用いた。回折強度は、ピーク強度からバックグランド強度を引いた値とした。
[伸びの測定]
各ステンレス鋼板から、原厚、長さ100mmのASTMハーフサイズ試験片を切り出した。ASTM A370に準拠して、1×10−3/秒の歪速度で引張試験を実施し、耐力、引張強度、伸び(破断時伸び)を測定した。伸びが15%以上であれば、プレス加工性が良好と評価した。
[接触抵抗の測定(耐久試験)]
ステンレス鋼板の製造直後の抵抗値と、電池環境を模擬した耐久試験後の抵抗値とを測定した。耐久試験は具体的には、ステンレス鋼板を90℃、pH2のHSOに96時間浸漬させて行い、その後、十分に水洗し乾燥させた。ステンレス鋼板の耐食性が良好でない場合、表面の不動態皮膜が発達することによって接触抵抗が上昇する。耐久試験の前後で、接触抵抗が10mΩ・cm以下であれば、低接触抵抗と評価した。
接触抵抗の測定は、鈴木順、外3名、「貴金属元素含有チタン合金の酸洗後熱処理による接触抵抗の低減」、日本チタン協会機関誌「チタン」Vol.54(2006)、No.4、p.259で報告されている方法に準じて行った。具体的には、図7に模式的に示す装置を用いて実施した。ステンレス鋼板11を、ガス拡散層に使用される面積1cmのカーボンペーパー12(東レ株式会社製、TGP−H−90)で挟持し、これをさらに金めっきした電極13で挟持した。電極13の両端に10kgf/cmの荷重を加えながら電極間に一定の電流を流し、カーボンペーパー12とステンレス鋼板11との間の電圧降下を測定した。この結果に基づいて接触抵抗を求めた。なお、得られた接触抵抗の値は挟持した両面の接触抵抗を合算した値(貫通抵抗)となるため、これを2で除してガス拡散層片面あたりの接触抵抗とした。電流及び電圧降下の測定には、デジタルマルチメータ(株式会社東陽テクニカ製 KEITHLEY 2001)を使用した。
[孔食電位の測定]
孔食電位の測定は、JIS G0577に準拠して行った。試験浴液は3.5%NaCl水溶液とした。脱気した試験浴液中にステンレス鋼板を完全に浸し、10分間放置後、自然電位から電位掃引速度20mV/分の動電位法で、アノード分極させた。電流密度100μAcm−2に対応する電位を孔食電位とした。孔食電位が0.75V vs SCEよりも高ければ、耐孔食性に優れると評価した。
[耐過不動態腐食性の評価]
耐過不動態腐食性の評価は、電池環境を模擬した80℃、pH3のHSO溶液にステンレス鋼板を浸漬し、Arガスを吹き込み脱気状態にして、自然電位状態に10分間保持後、20mV/分の掃引速度で、自然電位から1.4V vs SHEまでアノード分極を行った。ステンレス鋼板では、約0.9V vs SHEから過不動態腐食による電流密度増加が観察される。過不動態域に入ったと考えられる0.9V以上での最大電流密度を、耐過不動態腐食性の指標とした。0.9V以上での最大電流密度が100μA/cm未満であれば、耐過不動態腐食性に優れると評価した。
結果を表8に示す。
表6及び表8に示すように、番号2〜6及び9〜13のステンレス鋼板は、γ相分率が80体積%以上であり、γ粒径がそれぞれの板厚(50μm、80μm、又は100μm)の半分以下であった。これらのステンレス鋼板は、伸びが15%以上であり、良好なプレス加工性を示した。
番号2〜6及び9〜13のステンレス鋼板はさらに、表面近傍のCr/Feが0.1〜0.5の範囲であり、かつ、表面近傍のCr/Nが1.8以下であった。これらのステンレス鋼板は、テラス状構造の表面を有していた。
番号2〜6及び9〜13のステンレス鋼板は、接触抵抗、耐孔食性、耐過不動態腐食性のいずれの評価においても優れた結果を示した。
番号1のステンレス鋼板は、材料1のCr含有量が低すぎたため窒素吸収量が少なく、γ相分率が80体積%未満であった。表面はテラス状構造を有さず、酸洗時に生じた腐食孔凹部が認められた。番号1のステンレス鋼板は、伸びが低く、加工用途に適さないとともに、耐食性も不芳であった。
番号7のステンレス鋼板は、材料7のCr含有量が高すぎたため、伸びが低かった。
番号8のステンレス鋼板は、材料8のSi含有量が高すぎたため、組織にα’相が混入し、伸びが低く、耐食性も不芳であった。
[導電層形成]
ステンレス鋼板の酸洗後、ステンレス鋼板の両面に、次のいずれかの導電層を形成した。片面あたりの導電層厚さは、表8に示すとおりとした。
(1)マトリックス樹脂中に炭素質材を有する導電層の形成
[接着剤層形成工程]
接着剤層を形成するための接着剤組成物として、変性ポリオレフィン樹脂接着剤(三井化学株式会社製、ユニストール(商品名))を用いた。酸洗後のステンレス鋼板の表面に、卓上コーターを用いて塗布厚5μmとなるように変性ポリオレフィン樹脂接着剤を塗布し、室温で10分乾燥させ、接着剤層を形成した。裏面にも同様にして接着剤層を形成した。
[導電層の形成]
導電性の炭素質材として、球状黒鉛粉末(伊藤黒鉛工業株式会社製SG―BH(商品名)、平均粒子径:20μm)及び膨張黒鉛粉末(伊藤黒鉛工業株式会社製、EC100(商品名)、平均粒子径:160μm)を使用した。マトリックス樹脂として、ポリプロピレン樹脂(PP)粉末(住友精化株式会社製、フローブレンHP−8522(商品名))を使用した。球状黒鉛粉末を60体積%、膨張黒鉛粉末を10体積%、及びポリプロピレン樹脂粉末を30体積%となるように混合して粉末混合物とした。粉末混合物0.2g又は0.06gを、プレス装置(東洋精機製作所製卓上ホットプレスMP−SCL)の50×50×20mmの容積を持つ雌型金型に均等に投入し、前プレスとしてのホットプレス(圧力:2MPa、温度:180℃)を行い、シート状(厚さ:50μm又は15μm)とした。得られたシートを、前記で準備した接着剤層付きの基材の両面に重ね、加熱温度180℃及び圧力5MPaで押圧した(本プレス、成型時間10分)。
(2)ブロック状炭素質材の摺動による導電層の形成
ブロック状の黒鉛(新日本テクノカーボン製、直径10mm)を、試験材の表面に擦り付けて黒鉛層を形成した。
[各種評価]
導電層形成後のステンレス鋼板についても、上記の接触抵抗、耐久試験、孔食電位測定、過不動態電流測定を実施した。ただし、耐久試験では、導電層形成前の試験とは異なり、電位を付加して行った。具体的には、試験材を90℃、pH2のHSOに浸漬し、1V vs SHEの電位を96時間付加して、その後、十分に水洗して乾燥させた。
[導電層の密着性の評価]
導電層形成後のステンレス鋼板については、耐久試験後の導電層の密着性を評価した。具体的には、耐久試験後の試験片にJIS K 5600−5−6:1999に準拠した碁盤目テープ剥離試験(クロスカット試験)を実施した。剥離のなかったものを○とし、一部でも剥離の見られたものは×とした。
導電層形成後のステンレス鋼板の上記評価結果を、前掲の表8に示す。
表8に示すように、導電層を設けることにより、設けていない場合よりも接触抵抗は下がり、耐久性(接触抵抗)も向上した。
番号9及び12は、式(3)及び式(4)を満たしておらず、密着性が不良であった。番号9及び12が、導電層の薄い番号4bよりも、耐久後の接触抵抗が高く、また過不動態最大電流が大きかったのは、密着性が不良であったためと考えられる。
番号1は、上述のとおり、材料1のCr含有量が低すぎたため窒素吸収量が少なく、基材表面がテラス状構造を有さなかったため、密着性が不良であった。
番号8は、密着性が不良であった。これは、密着性を担う板状のCr窒化物が、表面γ相に生成するところ、番号8ではγ相分率が低く、板状のCr窒化物の生成が不十分であったためと考えられる。
以上、本発明の実施の形態を説明した。上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
1 固体高分子形燃料電池
10 セル
2 固体高分子電解質膜
3 アノード
4 カソード
5a,5b セパレータ
6a,6b 流路

Claims (6)

  1. ステンレス鋼板であって、
    化学組成が、質量%で、
    Cr:20〜26%、
    N :0.6〜2.0%、
    Si:2.0%以下、
    C :0.040%以下、
    P :0.030%以下、
    S :0.030%以下、
    Mn:1.5%以下、
    Cu:0.50%以下、
    Mo:0.50%以下、
    Ni:0.10%以下、
    Ca:50ppm未満、
    sol.Al:300ppm未満、
    残部:Fe及び不純物であり、
    前記ステンレス鋼板は、30〜110μmの厚みを有し、
    ミクロ組織が、オーステナイト相の占める割合が80体積%以上の組織であり、
    オーステナイト結晶粒の平均結晶粒径が、前記ステンレス鋼板の厚みの2分の1以下であり、
    前記ステンレス鋼板は、表層に析出したCr窒化物を有し、
    前記ステンレス鋼板の表面からのグロー放電発光分光分析によって得られるCr、Fe、及びN含有量が、スパッタ深さ0〜0.05μmの範囲の深さ方向分析において、下記の式(1)及び式(2)を満たし、
    前記ステンレス鋼板の表層について、Co−Kα線を線源とするθ−2θ法によるX線回折分析で、オーステナイト相の各結晶面のピーク強度が、下記の式(3)及び式(4)を満たす、ステンレス鋼板。
    0.1≦Cr/Fe≦0.5 (1)
    Cr/N≦1.8 (2)
    2.2/(I(111)/I(200))≦3.2 (3)
    4.5/(I(111)/I(220))≦16 (4)
    式(1)及び式(2)のCr、Fe、及びNには、前記ステンレス鋼板の表面からのグロー放電発光分光分析によって得られるCr、Fe、及びN含有量が原子%で代入される。式(3)及び式(4)において、I(111)、I(200)及びI(220)はそれぞれ、オーステナイト相の(111)面、(200)面及び(220)面の回折線のピーク強度を表す。
  2. 請求項1に記載のステンレス鋼板であって、
    少なくとも一方の面に、導電性の炭素質材を含む導電層をさらに備える、ステンレス鋼板。
  3. 請求項2に記載のステンレス鋼板であって、
    前記導電層は、マトリックス樹脂中に前記炭素質材を分散して有する炭素−樹脂複合層である、ステンレス鋼板。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のステンレス鋼板を備える、燃料電池用セパレータ。
  5. 請求項4に記載の燃料電池用セパレータを備える、燃料電池セル。
  6. 請求項5に記載の燃料電池セルを複数備える、燃料電池スタック。
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