JP2006164959A - 固体高分子型燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】ステンレス鋼製セパレータの接触抵抗の増加や溶出金属イオンによる固体高分子膜の汚染を抑え、高い発電効率を長期間維持する燃料電池を提供する。
【解決手段】一単位の固体高分子膜を挟むセパレータとして、Cr:15〜40質量%,Mo:1〜5質量%を含み、且つ酸浸漬処理でMo/(Mo+Cr+Fe)原子数比が0.3以下で基材Mo/(Mo+Cr+Fe)原子数比の1.5倍以上の範囲にある不動態皮膜が表面に形成されているフェライト系ステンレス鋼を用いた固体高分子型燃料電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、ステンレス鋼製セパレータを組み込んだ、低温稼動が可能でメンテナンスも容易な固体高分子型燃料電池に関する。
固体高分子型燃料電池は、100℃以下の低温で動作可能であり、短時間で起動する長所を備えている。各部材が固体からなる簡単な構造のためメンテナンスが容易で、振動や衝撃に曝される用途にも適用できる。出力密度が高いため小型化に適し、燃料効率が高く低騒音であること等も、固体高分子型燃料電池の長所である。
1セル当りの発電量が極僅かな燃料電池から実用に供せられる電力量を取り出すには、固体高分子膜をセパレータで挟んだセルを一単位とし、複数のセルをスタックする必要がある。セパレータには、良好な導電性で低接触抵抗が要求されるため黒鉛質のセパレータが使用されてきたが、材料費や加工費の高い黒鉛に代わるステンレス鋼の適用が検討されている(特許文献1,2)。
ステンレス鋼は、高強度で延性に優れているため薄肉化でき、プレス成形等の安価な加工法で目標とするセパレータ形状に加工できる。また、ステンレス鋼の構成成分であるCr.Mo,Fe等の酸化物,水酸化物から形成される不動態皮膜で鋼板表面が覆われ、不動態皮膜のバリア効果によって下地鋼が防食される。不動態皮膜は、耐食性には有効であるものの、半導体的な特性を呈し下地鋼に比較して電気伝導性が劣っている。そのため、通常の不動態皮膜が生成しているステンレス鋼をセパレータに使用すると、電極との接触抵抗が大きく、電池反応で生じた電気エネルギーがジュール熱として消費され、燃料電池の発電効率が低下する。
優れた耐食性を活用しながらステンレス鋼をセパレータに適用するためには、ステンレス鋼表面の接触抵抗を下げる必要がある。表面接触抵抗の低下手段として、貴金属コーティング,ステンレス鋼表面の粗面化等が検討されている。
高価な貴金属コーティングは、燃料電池のコストを上昇させる原因であり、経済面から燃料電池の普及に制約を加える。しかも、貴金属皮膜にピンホールがあると孔食が発生しやすくなるので、製品管理に厳重な注意が必要となる。厚めっきによってピンホールの無い貴金属皮膜を形成できるが、高価な貴金属を多量に消費するためコスト低減のネックになる。
粗面化処理で接触抵抗を下げる場合、交番電解による粗面化処理が理想であるが、高耐食性のステンレス鋼を処理することは困難である。
接触抵抗を低下する他の方法として、酸浸漬が挙げられる。酸液にステンレス鋼を浸漬すると不動態皮膜が溶解し、酸液中で再不動態化が生じる。再不動態化で新たに生成した不動態皮膜は、極薄い皮膜であり、自然発生した不動態皮膜に比較して接触抵抗が低下している。しかし、酸液から大気中にステンレス鋼を取り出すと、大気中酸素との反応によって不動態皮膜が厚く成長し、接触抵抗が増加する。燃料電池の酸化極側はpH値の低い酸性湿潤雰囲気であり、このような雰囲気にステンレス鋼が曝されると接触抵抗が一層増加し、燃料電池の発電効率を低下させる原因となる。
不動態皮膜に含まれる酸化状態のCr,Feの比(以下、“皮膜Cr/Fe原子数比”と言う)を1以上とすることにより接触抵抗が低下すること(特許文献3),耐食性の良好な高Cr含有ステンレス鋼が酸溶液中で薄い不動態皮膜を生成すること(非特許文献1),Cr濃度が高くなるほどステンレス鋼の接触抵抗が低下すること(非特許文献2)も知られている。
特開平9-157801号公報 特開2000-239806号公報 特開2004-149920号公報 表面技術第47巻第12号第30頁 Journal of Power Sources 86 (2000), p.240
不動態皮膜と接触抵抗に関する従来の知見から、高Cr含有ステンレス鋼は、不動態皮膜が薄く高Cr濃度のため、電極に接触するセパレータとして使用するとき低い接触抵抗を示す材料といえる。しかし、実際の燃料電池用セパレータではカーボンと同レベルの接触抵抗が要求され、高Cr含有ステンレス鋼を通常の酸液中でエッチングしても要求レベルまで接触抵抗を低下できない。仮にエッチングで高Cr含有ステンレス鋼の接触抵抗を低減できても、燃料電池の使用環境で低接触抵抗を維持できないと出力低下を招く。接触抵抗を低減し且つ低接触抵抗を維持することは、通常のエッチングでは容易でない。
本発明は、燃料電池環境下で接触抵抗の増加傾向が不動態皮膜の組成によって大きく変わるとの新たな知見をベースに、非酸化性酸液との接触でMo含有不動態皮膜を鋼板表面に形成することにより、貴金属コーティングや粗面化処理によることなく、カーボン製セパレータに匹敵する低い表面接触抵抗を呈し、燃料電池使用環境に曝されても低接触抵抗を維持するステンレス鋼製セパレータを備えた固体高分子型燃料電池を提供することを目的とする。
本発明の固体高分子型燃料電池は、一単位の固体高分子膜を挟むセパレータとして、Cr:15〜40質量%,Mo:1〜5質量%を含有するフェライト系ステンレス鋼を基材とし、酸化物及び/又は水酸化物として不動態皮膜に含まれるMo,Cr,Feの原子数比Mo/(Mo+Cr+Fe)が0.3以下で且つ基材Mo/(Mo+Cr+Fe)原子数比の1.5倍以上の範囲にある不動態皮膜が基材表面に生成しているステンレス鋼製セパレータを備えていることを特徴とする。
上記のようにMoが濃化した不動態皮膜は、Mo含有フェライト系ステンレス鋼を塩酸,硫酸等の非酸化性酸液に浸漬することにより形成される。
フェライト系ステンレス鋼は、燃料電池内雰囲気にみられる酸性の湿潤雰囲気下で優れた耐食性を示し、イオン交換膜や触媒電極に悪影響を及ぼすNi,Cu等の溶出金属も少ない。酸性湿潤雰囲気下での耐食性は、Mo添加によって更に向上する。そこで、本発明者等は、燃料電池用セパレータに要求される高耐食性を満足する材料としてMo含有フェライト系ステンレス鋼を選択し、該ステンレス鋼の接触抵抗を低下させる方法を種々検討した。その結果、非酸化性酸液を用いた酸浸漬で再不動態化処理を施すと、Moが濃化した薄い不動態皮膜が形成され、耐食性が向上し、且つ接触抵抗が低位に維持されることを見出した。
ステンレス鋼は、Cr含有量が多くなるほど耐食性が向上する。再不動態化処理で生成した不動態皮膜がCrの増量に伴い薄膜化する。しかし、Cr濃度の高い不動態皮膜は、接触抵抗の低下にとって好ましくない。他方、フェライト系ステンレス鋼にMoを添加した系では、不動態皮膜が一層薄膜化し、湿潤環境に放置した場合でも接触抵抗の増加量が低く抑えられる。Moを添加した系で接触抵抗が低位に維持されることは、次のように推察される。
Moは、Fe,Crに比較して溶解速度が遅いため、酸浸漬中のステンレス鋼表面に濃化し、不動態皮膜の組成に占める割合が多くなる。Moは、酸化物や水酸化物の形態で皮膜表層に分布し、ステンレス鋼の耐食性評価指標としてCr+3Moが汎用されているようにCrよりも耐食性改善効果が大きく皮膜欠陥を修復する作用もある。すなわち、非酸化性酸液中で生成した不動態皮膜は、混酸等の酸化性酸液中で生成した不動態皮膜よりも薄くて強固な皮膜になる。そのため、燃料電池内の酸性湿潤雰囲気に曝されても不動態皮膜が薄い状態のまま維持され、低接触抵抗を示すと共に、接触抵抗を長期間にわたって低位に維持する。因みに酸化性酸を用いた浸漬処理では、硝酸等の酸化性酸へのMoの溶解が進行し、耐食性向上,接触抵抗低減に有効なMo濃化が不動態皮膜に生じないものと考えられる。
本発明が対象とするステンレス鋼は、Crを15〜40質量%,Moを1〜5質量%含むフェライト系ステンレス鋼である。
Crはステンレス鋼の耐食性を確保する主要元素であり、Cr含有量が多くなるほど耐食性が向上する。pH値が低く腐食性の強い燃料電池の内部環境を想定すると15質量%以上のCrが必要であり、Crの増量に応じて耐食性が向上するが、Crの増量に伴い加工性が低下するので、上限を40質量%に設定する。
Moは、Crと共にステンレス鋼の耐食性に寄与する合金成分であり、特に1質量%以上のMo添加で耐孔食性を改善する効果が得られる。孔食を防ぐ作用はMo単独では発現しがたく、Crとの共存によって効果的になるので、単にMoを増量するのではなくCr含有量と関連させてMo含有量を調整する。具体的には、Cr含有量に見合ったMo添加が可能なため、Cr含有量が多いほどMoを多量添加でき、耐食性の更なる改善が図られる。しかし、Moの過剰添加は、ステンレス鋼を硬質化して加工性を低下させるので、含有量の上限を5質量%とした。
不動態皮膜は、Cr,Moの多いステンレス鋼ほど薄くなる。薄い不動態皮膜は、ステンレス鋼を燃料電池のセパレータに適用する場合、電極との接触抵抗を低減するので有利である。しかも、Moを含む不動態皮膜は,燃料電池の酸性環境においても十分な耐食性を維持する。すなわち、Mo含有フェライト系ステンレス鋼は、電気伝導性,耐食性共に優れているので燃料電池のセパレータとして好適な材料である。
Cr,Mo以外の成分としては、C,N,Si,P,S,Ni,Cu,Ti,Nb,Al,V等がステンレス鋼に含まれる。
C,Nは、フェライト系ステンレス鋼の加工性,低温靭性を低下させるので可能な限り低減すべきであり、好ましくはC,N含有量を共に0.02質量%以下に規制する。
Siは、ステンレス鋼を硬質化して加工性を低下させるので、好ましくは0.5質量%以下に規制する。
Pはセパレータが曝される燃料電池の内部環境における耐食性向上に有効な元素であるが、過剰添加は加工性に悪影響を及ぼすので、Pを添加する場合には0.03〜0.08質量%の範囲にP含有量を調整する。
Sは耐食性に有害な成分であるので、可能な限り低減することが必要であり、好ましくは0.005質量%以下に規制する。
Ni,Cuは、溶出しやすい元素であるので多量含有を避け、好ましくはNi:0.5質量%,Cu:0.8質量%を上限とする。なかでも、溶出したNiイオンが触媒層に到達すると触媒が被毒し電池性能が低下する。他方、少量の添加は酸性雰囲気での耐全面腐食性を改善し、フェライト系ステンレス鋼の低温靭性を向上させる作用も呈するので、添加する場合にはNi:0.15〜0.35質量%,Cu:0.20〜0.50質量%の範囲にNi含有量,Cu含有量を調整する。
その他、鋼中のC,Nを固定し加工性を改善する作用を呈するTi,Nbを添加する場合、共に0.03〜0.25質量%の範囲でTi含有量,Nb含有量を調整する。Nの固定にAlを使用する場合、0.04〜0.2質量%の範囲でAl含有量を調整する。Vは燃料電池の内部環境における耐食性を改善する作用があり、必要に応じて0.2〜1.0質量%の範囲で添加する。更に、特性を大きく変化させない限り、種々の合金成分を添加しても良い。
所定組成に調整されたMo含有フェライト系ステンレス鋼を非酸化性の酸液に浸漬すると、下地鋼に比較してMoが濃化した不動態皮膜が鋼板表面に形成される。酸浸漬には好ましくは非酸化性の酸液が使用され、ステンレス鋼の種類に応じ酸の種類,濃度,温度,浸漬時間等の浸漬条件が選定される。たとえば、30Cr−2Mo鋼では、濃度:10〜20質量%,液温:40〜60℃の塩酸浴に0.5〜10分浸漬する条件が採用される。硫酸を使用する場合には、濃度:10〜20質量%,温度:50〜80℃の硫酸浴にMo含有フェライト系ステンレス鋼を0.5〜20分浸漬する。
酸液への浸漬時間が長くなるに応じて、再不動態化で生成した不動態皮膜に含まれるMoが多くなり、不動態皮膜が厚く成長する。Mo濃化は耐食性の向上に有効であるが、不動態皮膜の厚膜化は接触抵抗を増大させる原因である。しかも、非酸化性酸液を用いた浸漬処理であるため、Cr濃化に起因する接触抵抗の上昇が抑えられる。
耐食性の改善,接触抵抗の低減を両立させる上で、酸化物及び/又は水酸化物として不動態皮膜に含まれるMo,Cr,Feの原子数比(以下、“皮膜Mo/(Mo+Cr+Fe)原子数比”と言う)が0.3以下で且つ基材Mo/(Mo+Cr+Fe)原子数比の1.5倍以上となるように酸液の濃度,温度,浸漬時間等、浸漬条件が設定される。
Moの接触抵抗低減効果は、基材Mo/(Mo+Cr+Fe)原子数比の1.5倍以上(好ましくは、3.0倍以上)でみられ、不動態皮膜に酸化物、水酸化物として含まれるMoの濃度に応じて強くなる。しかし、過剰量のMo化合物が不動態皮膜に含まれると、皮膜の厚膜化に伴う接触抵抗の増加が懸念されるので上限を皮膜Mo/(Mo+Cr+Fe)原子数比で0.3(好ましくは、0.25)とした。
皮膜Mo/(Mo+Cr+Fe)原子数比が0.3以下で基材Mo/(Mo+Cr+Fe)原子数比の1.5倍以上の範囲にある不動態皮膜が有効なことは、多数の実験結果から導き出された帰結であり、燃料電池用セパレータに要求される耐食性を確保しながら20mΩ・cm2以下の低接触抵抗を長期にわたって維持する要件である。因みに、皮膜Mo/(Mo+Cr+Fe)原子数比が0.3を超える不動態皮膜が形成されると、最も低減できる条件下で酸浸漬した場合に比較して約2倍の接触抵抗を示す。逆に、基材Mo/(Mo+Cr+Fe)原子数比の1.5倍に達しない皮膜Mo/(Mo+Cr+Fe)原子数比では、Mo含有の作用が期待できず、低接触抵抗,耐食性共に満足する効果が得られない。
実施例1:
30Cr−2Moのフェライト系ステンレス鋼を使用し、酸浸漬が不動態皮膜のMo濃度,接触抵抗に及ぼす影響を調査した。
濃度:5質量%,液温:60℃のオルトケイ酸ソーダ溶液にステンレス鋼を浸漬し、10秒間電解脱脂した後、濃度:10%,液温:50℃の塩酸溶液を用いて浸漬処理した。浸漬処理後、直ちに水洗し、ドライヤーで乾燥させた。なお、接触抵抗に及ぼす不動態皮膜の影響を調査するため、浸漬時間を種々変更した。
浸漬処理されたステンレス鋼から切り出された試験片にカーボンペーパ(電極)を荷重:1MPaで接触させ、ステンレス鋼/カーボンペーパの接触抵抗を測定した。酸浸漬処理していないステンレス鋼の接触抵抗は40mΩ・cm2であったが、酸浸漬時間の経過に応じて接触抵抗が低下し、5分後には5mΩ・cm2となった。更に酸浸漬を継続すると、却って接触抵抗が増加した。
5分の酸浸漬処理を施した材料を、燃料電池内の湿潤環境を想定した温度:70℃,相対湿度:98%の湿潤試験に供した。1000時間の湿潤試験後にも8mΩ・cm2と接触抵抗が低く、燃料電池セル内の環境でも低接触抵抗が維持されることが判った。
実施例2:
板厚:0.25mmの30Cr−2Moフェライト系ステンレス鋼板をセパレータ形状にプレス成形した後、濃度:10質量%,温度:50℃の塩酸に浸漬した。5分浸漬後、水洗し、乾燥させた。
また、片面に白金触媒層を1mg/cm2の割合で塗布した膜厚:360μmのカーボンペーパ(東レ製:TGP-H-120)を膜厚:50μmのフッ素イオン交換膜(商品名:ナフィオン112)にホットプレスすることにより膜−電極接合体を作製した。膜−電極接合体を中心としてステンレス鋼製セパレータを両側に配置し、燃料電池の単セルを組み上げた。
単セルを70℃に保ち、アノード側に純水素,カソード側に空気を流し発電させたところ、電流密度0.3A/cm2,連続2000時間の放電でセル電圧が0.62Vから0.61Vに低下したが、電圧降下は僅か0.01Vに留まっていた。比較のため酸浸漬処理していないステンレス鋼製のセパレータを同様に組み込んだ単セルでは初期のセル電圧が0.60Vと低く、連続放電2000時間後の電圧降下が0.04Vと大きな値を示した。
この対比から明らかなように、酸浸漬処理で表面改質したステンレス鋼表面をセパレータに使用するとき、長時間運転後にも電圧降下が少なく、高い発電効率を維持する燃料電池の構築を可能にすることが判る。
以上に説明したように、Cr−Moフェライト系ステンレス鋼を酸浸漬処理し、Moが濃化した不動態皮膜をステンレス鋼表面に形成することにより、本来の高耐食性を活かしながら、燃料電池内の酸性湿潤雰囲気に長期間曝されても低接触抵抗が維持されるステンレス鋼製セパレータが得られる。該ステンレス鋼製セパレータを固体高分子型燃料電池に組み込むことにより、安価で長期耐久性に優れ、発電効率が高位に安定した燃料電池が構築される。

Claims (1)

  1. Cr:15〜40質量%,Mo:1〜5質量%を含有するフェライト系ステンレス鋼を基材とし、酸化物及び/又は水酸化物として不動態皮膜に含まれるMo,Cr,Feの原子数比Mo/(Mo+Cr+Fe)が0.3以下で且つ基材Mo/(Mo+Cr+Fe)原子数比の1.5倍以上の範囲にある不動態皮膜が基材表面に生成しているステンレス鋼製セパレータを備えていることを特徴とする固体高分子型燃料電池。
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