JP2000248135A - 帯電防止性樹脂組成物 - Google Patents

帯電防止性樹脂組成物

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JP2000248135A JP11056921A JP5692199A JP2000248135A JP 2000248135 A JP2000248135 A JP 2000248135A JP 11056921 A JP11056921 A JP 11056921A JP 5692199 A JP5692199 A JP 5692199A JP 2000248135 A JP2000248135 A JP 2000248135A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性、成形性、機械的強度に優れ、なお
かつ安定した帯電防止性能を有し、制電性を有する樹脂
組成物、およびその積層体、成形体を提供する。 【解決手段】 芳香族ビニル化合物含量がモル分率で1
〜99%である芳香族ビニル化合物−α−オレフィンラ
ンダム共重合体を5重量%以上含む樹脂成分(A)10
0重量部と、帯電防止剤(B)を0.01〜20重量部
と、アルキレンビス飽和高級脂肪酸アミド0.01〜5
重量部とを含んでなることを特徴とする帯電防止性を有
する樹脂組成物、およびその成形体、積層体、フィル
ム。芳香族ビニル化合物−α−オレフィンランダム共重
合体は芳香族ビニル化合物とα−オレフィンの交互構造
指数λが1より大で70より小のものなど、特定の構造
を有するものが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、持続性に優れた帯
電防止性能を有し、さらに制電性を有する樹脂組成物に
関し、特に、成形性、機械的強度、透明性等に優れた帯
電防止性樹脂組成物に関する。制電性とは表面電気抵抗
が小さく、表面固有抵抗値が1014Ω以下であって、樹
脂製品表面に静電気が発生しにくい性質をいう。
【0002】さらに詳しくは、芳香族ビニル化合物−α
−オレフィンランダム共重合体、好ましくは特定の組成
及び構造を有する芳香族ビニル化合物−α−オレフィン
ランダム共重合体に、特定の化合物を特定量配合してな
る帯電防止性樹脂組成物および、この組成物からなる樹
脂成形体およびフィルムに関する。これらは、半導体、
電子回路基盤等の電子部品や、各種エレクトロニクス機
器、精密機器等のハウジング、もしくは収納や搬送に用
いられる容器、あるいは、これらを包装するための包装
用材料、もしくは、医療品、化粧品、食品等を塵埃より
防ぐための収納や搬送に用いられる容器や包装用材料、
さらには危険物等を収納するための容器等において発生
する静電気を防止した、帯電防止性および制電性に優れ
た芳香族ビニル化合物−α−オレフィンランダム共重合
体組成物からなる成形体およびフィルムを与える。
【0003】
【従来の技術】熱可塑性樹脂は、成形加工の容易さ、優
れた機械的特性及び耐久性を有する、軽量である、など
成形品が優れた特性を有するので、OA機器、家電分
野、車両分野、雑貨等の用途に幅広く使用されている。
熱可塑性樹脂は、一般に電気絶縁性がよく、電気絶縁体
として電気部品にも多く使用されているが、一方では電
気抵抗が大きく、導電性が無い、また摩擦、衝撃、振動
等によって静電気を発生して帯電しやすいため、成形品
が帯電しやすく、埃が付着して汚れやすい、集積回路、
大規模集積回路の破壊・損傷が生じるなどの問題があ
る。最近では3.5インチマイクロフロッピーディスク
やディジタルビテオのシェルハーフにスチレン樹脂が使
われることが多いが、記録密度が高まるにつれて埃によ
るエラーレートの増加等の問題が生じてきているため、
帯電防止対策が重要なテーマとなっている。
【0004】ポリエチレンに代表されるポリオレフィン
系樹脂に帯電防止性を付与する方法として、界面活性剤
等を樹脂表面に塗布または、樹脂に練り込む方法や、ポ
リアルキレンオキサイドのような吸水性の化合物やアル
キルアミンのような帯電防止剤を樹脂に練り込む方法が
知られている。しかし、帯電防止性には優れるが、ブリ
ードアウトしやすく洗浄等により簡単に離脱する。なお
且つ耐水性が悪いので長時間に亘って帯電防止性を維持
することができない。また、ブリードアウトした帯電防
止剤が、電子部品、部材を汚染することによるトラブル
発生の原因となっている。特開平4−198308号公
報、特開平7−126446号公報に、エチレン構造単
位、アクリレート構造単位、アクリルアミド構造単位か
らなる親水性アクリルアミド系共重合体及びこれを添加
したポリオレフィン樹脂組成物が提示されているが、相
溶性が乏しく、成形時に層状剥離が生じる、成形体の耐
衝撃性を低下させるなど、ポリオレフィン系樹脂ではい
まだ良好な処方が得られていない。
【0005】ポリスチレンをはじめとするスチレン系樹
脂ではアニオン系の帯電防止剤が効果があるが、吸水白
化により表面状態の悪化を起こして外観商品に使用する
場合には問題がある。アミン系の帯電防止剤を用いた場
合、吸水白化の問題はないが、帯電防止効果が十分でな
く、成形時の加熱により成形品の着色や機械的物性の低
下の問題が起こる。特開平2−233743号公報にお
いて、ポリエチレンオキシドおよびアルキルフェニル化
合物のスルホン酸金属塩を添加したポリスチレン系樹
脂、特開平3−227357号公報では、ポリエチレン
オキシドとこれに固溶する金属塩を添加したゴム強化ス
チレン系樹脂が記載されている。しかし、ガラス転移点
が高いために、成形後の帯電防止剤の表面へのブリード
が起こり難く、効果が発現されにくいという点がある。
【0006】また、食品包装材、食品包装袋にフィルム
が使用されるが、近年では特に、自動充填装置の改良に
より充填処理が高速化し、袋がより高速で供給されるこ
とから、その際に摩擦により生じる静電気の発生が問題
視されつつある。すなわち、静電気の発生によって粉体
などの内容物の充填時に、内容物が袋の開口部付近に付
着し、袋を密封するためのヒートシールに支障が生ずる
ことがある。そこで静電気の発生を防止するために、種
々の帯電防止剤をある一定量以上添加すると、帯電防止
剤成分の表面ブリード現象が生じ、粘着性が発現し、袋
の開口性が悪化する等の問題が生じる。このような条件
下、特開昭61−218649号公報には、開口性を改
善すべく、アルキレンビス高級脂肪酸アミドを添加する
技術が開示されており、エチレン・酢酸ビニル共重合体
にメチレンビスステアリン酸アミドの添加が例示されて
いる。しかしながら、高強度を保ちつつ、ブリード防
止、低温ヒートシールを達成することは依然達成し得て
いるとは言い難い。また任意成分として、帯電防止剤の
配合も開示されているものの、高速成形時の帯電防止へ
の寄与が不充分である。
【0007】熱可塑性樹脂として、芳香族ビニル化合物
−α−オレフィンランダム共重合体がWO98/099
99号公報、本発明者らのEP−A−0872492A
2号公報に開示されている。その他にも以下の文献・特
許に記載されている重合触媒を用いた芳香族ビニル化合
物−α−オレフィンランダム共重合体が開示されてい
る。メタロセン触媒は、米国特許5,324,800号
明細書、WO98/09999号公報、特公平7−37
488号公報、特開平6−49132号公報、Poly
mer Preprints,Japan,42,22
92(1993)、本発明者らによるMakromo
l.Chem.、Rapid Commun.,17
745(1996)、特開平9−309925号公報、
EP−0872492A2号公報に記載されている。ハ
ーフメタロセン触媒は、Makromol.Che
m.,191,2387(1990)に記載されてい
る。CGCT触媒は、特開平3−163088号公報、
特開平7−53618号公報、欧州特許416815号
公報に記載されている。該芳香族ビニル化合物−α−オ
レフィンランダム共重合体は芳香族ビニル化合物とα−
オレフィンの両成分を含むことから、機械的物性のバラ
ンス及び成形性が良好で、さらに透明性に優れている
が、電気抵抗値が大きく、帯電しやすい点において、一
般的な熱可塑性樹脂と変わるところはない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】エレクトロニクス製品
の高度化、高密度化により帯電による故障の増加、また
OA機器などの汚れが嫌われるなど、これらの製品の帯
電性および制電性に対する要求がますます厳しくなって
きており、従来の帯電防止性を有する熱可塑性樹脂では
その要求に充分に対応できなくなってきている。本発明
は、芳香族ビニル化合物−α−オレフィンランダム共重
合体を熱可塑性樹脂として用い、その機械的性質のバラ
ンス、成形性、透明性を低下させることなく、なおかつ
帯電防止剤がブリードアウトしにくく、耐水性に優れ、
すなわち良好な帯電防止性が維持され、耐衝撃性に優
れ、層状剥離性のない優れた帯電防止性樹脂組成物、お
よびそれらからなるフィルム、成形体を提供することを
目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、特定の組
成及び構造を有する芳香族ビニル化合物−α−オレフィ
ンランダム共重合体に対し、最も効果的でかつ持続性の
ある帯電防止性を付与する帯電防止剤について鋭意検討
を重ねた結果、特定の帯電防止剤(B)、アルキレンビ
ス飽和高級脂肪酸アミド(C)あるいはそれらに電解質
(D)を特定量組み合わせて添加することにより、上記
課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0010】即ち本発明の帯電防止性樹脂組成物は、芳
香族ビニル化合物含量がモル分率で1〜99%の芳香族
ビニル化合物−α−オレフィンランダム共重合体を5重
量%以上、好ましくは80重量%以上含む樹脂成分
(A)100重量部に対して、高分子帯電防止性化合物
および低分子帯電防止性化合物の中から選ばれた少なく
とも1種の帯電防止剤(B)を0.01〜20重量部
と、アルキルレンビス飽和高級脂肪酸アミド(C)を
0.01〜5重量部含んでなることを特徴とする帯電防
止性樹脂組成物、及びそれからなる成形体、フィルムで
ある。さらに好ましくは該樹脂成分(A)100重量部
に対して有機電解質および無機電解質の中から選ばれた
少なくとも1種の電解質(D)0.01〜10重量部含
んでなることを特徴とする帯電防止性樹脂組成物、及び
それからなる成形体、フィルムである。
【0011】本発明に用いられる芳香族ビニル化合物−
α−オレフィンランダム共重合体は、基本的には、芳香
族ビニル化合物単量体及びα−オレフィン単量体からな
るランダム共重合体であれば、そのポリマー連鎖のシー
クエンス、立体規則性、重合触媒種等に関し特に制限は
ない。例えば、メタロセン触媒のうち、いわゆる幾何拘
束型触媒(CGCT触媒)により得られる芳香族ビニル
化合物のヘッド−テイル連鎖を有しない擬似ランダム共
重合体、及び芳香族ビニル化合物のヘッド−テイル連鎖
を有するが立体規則性の低いランダム共重合体等の芳香
族ビニル化合物−α−オレフィンランダム共重合体を含
む。
【0012】本発明に用いられる芳香族ビニル化合物−
α−オレフィンランダム共重合体は、特定の組成および
構造を有する共重合体を使用することによって、一層優
れた特性を得ることが可能となる。たとえば、2個以上
の芳香族ビニル化合物のヘッド−テイル連鎖構造を有す
る芳香族ビニル化合物−α−オレフィンランダム共重合
体が挙げられる。
【0013】本発明に用いられる芳香族ビニル化合物−
α−オレフィンランダム共重合体は、芳香族ビニルの含
量がモル分率で1〜99%の芳香族ビニル−α−オレフ
ィンランダム共重合体である。
【0014】本発明に用いられる芳香族ビニル化合物−
α−オレフィンランダム共重合体について、その代表例
であるスチレン−エチレンランダム共重合体を例に取り
詳細に説明する。スチレン−エチレンランダム共重合体
の構造は核磁気共鳴法(NMR法)によって決定され
る。
【0015】本発明に好適に用いられるスチレン−エチ
レンランダム共重合体は、TMSを基準とした13C−N
MRにおいて以下の位置に主なピークを有する。主鎖メ
チレン及び主鎖メチン炭素に由来するピークを24〜2
5ppm付近、27ppm付近、30ppm付近、34
〜37ppm付近、40〜41ppm付近及び/または
42〜46ppm付近に、また、フェニル基のうちポリ
マー主鎖に結合していない5個の炭素に由来するピーク
を126ppm付近及び128ppm付近に、フェニル
基のうちポリマー主鎖に結合している1個の炭素に由来
するピークを146ppm付近に示す。
【0016】本発明に好適に用いられるスチレン−エチ
レンランダム共重合体は、スチレン含量がモル分率で1
〜99%、好ましくは5〜99%、さらに好ましくは1
0〜99%である。
【0017】さらに好ましいスチレン−エチレンランダ
ム共重合体は、その構造中に含まれる下記の一般式[化
4]で示されるスチレンとエチレンの交互構造のフェニ
ル基の立体規則性が下記の式(i)で与えられる交互構
造指数λが70より小さく1より大きい、スチレン−エ
チレンランダム共重合体である。 λ=A3/A2×100 ・・・・・・ 式(i) ここでA3は、13C−NMR測定により得られる、下記
の一般式[化5]で示されるスチレン−エチレン交互構
造のa、b、c3種類の炭素に由来するピーク面積の総
和である。また、A2はTMSを基準とした13C−NM
Rにより0〜50ppmの範囲に観測される主鎖メチレ
ン及び主鎖メチン炭素に由来するピークの面積の総和で
ある。
【0018】
【化4】
【0019】
【化5】 (上記の両式においてPhはフェニル基、xは繰り返し
単位数を示し2以上の整数を表す。)
【0020】本発明に好適に用いられるスチレン−エチ
レンランダム共重合体とは、下記の一般式[化6]で示
される、スチレンのヘッド−テイルで結合した2個以
上、また3個以上の連鎖構造を有するものである。2個
のスチレンユニットが結合した連鎖構造は、TMSを基
準とし、溶媒に重1,1,2,2テトラクロロエタンを
用いた13C−NMR測定において、42〜44ppm、
43〜45ppm付近にピークが観察される。3個以上
のスチレンユニットが結合した連鎖構造は同様の測定に
おいて、40〜41ppm、および43〜45ppm付
近にもピークが観察される。スチレンユニットがヘッド
−テイルで3個以上結合した連鎖構造が存在する場合に
は、該スチレン−エチレンランダム共重合体の透明性が
向上するという効果が見られる。
【0021】
【化6】 (Phはフェニル基、nは繰り返し単位数を示し2又は
3以上の整数を表す。)
【0022】スチレン含量が少なくなれば、スチレンユ
ニットのヘッド−テイルで結合した連鎖構造の含まれる
割合は減少する(例えばスチレン含量が約20モル%以
下の共重合体の場合、スチレンユニットのヘッド−テイ
ルで結合した連鎖構造は通常の13C−NMR測定ではそ
の構造に由来するピークを直接観測することは困難であ
る)。しかし、後述するスチレン−エチレンランダム共
重合体を製造するに際して使用した遷移金属化合物を用
いた製造方法により、スチレン単独の重合の場合は立体
規則性を有するホモポリマーが製造できること、すなわ
ち、本質的にスチレンユニットのヘッド−テイルで結合
した連鎖構造を形成することが可能であること、及びス
チレン−エチレンランダム共重合体においては、少なく
とも13C−NMR法によって20〜99モル%のスチレ
ン含量に対応して生成したスチレンユニットのヘッド−
テイルで結合した連鎖構造の割合が連続的に変化するこ
とを確認しており、20モル%以下であっても量は少な
いもののスチレンユニットのヘッド−テイルで結合した
連鎖構造が共重合体中に存在しうることは明白である。
13Cでエンリッチしたスチレンモノマーを用いて共重合
させたポリマーを、 13C−NMRで分析する等の手段に
より、スチレン含量20モル%以下のスチレン−エチレ
ンランダム共重合体中のヘッド−テイルで結合したスチ
レンの連鎖構造を観測することは可能である。エチレン
ユニットの連鎖構造についても全く同様である。
【0023】本発明に好適に用いられるスチレン−エチ
レンランダム共重合体は、その構造中に含まれる下記の
一般式[化7]で示されるスチレンユニットとエチレンユ
ニットの交互構造のフェニル基の立体規則性がアイソタ
クティックで、即ちアイソタクティクダイアッド分率m
で0.5より大きく1以下、好ましくは0.75〜1の
ものである。スチレンユニットとエチレンユニットの交
互構造のフェニル基のアイソタクティッダイアッド分率
mは、25ppm付近に現れるメチレン炭素ピークのr
構造に由来するピーク面積Arと、m構造に由来するピ
ークの面積Amから、下記の式(ii)によって求める
ことができる。 m=Am/(Ar+Am) ・・・・・・ 式(ii)
【0024】
【化7】
【0025】ピークの出現位置は測定条件や溶媒によっ
て若干シフトする場合がある。例えば、重クロロホルム
を溶媒とし、TMSを基準とした場合、r構造に由来す
るピークは、25.4〜25.5ppm付近に、m構造
に由来するピークは25.2〜25.3ppm付近に現
れる。
【0026】また、重1,1,2,2−テトラクロロエ
タンを溶媒とし、重1,1,2,2−テトラクロロエタ
ンの3重線の中心ピーク(73.89ppm)を基準と
した場合、r構造に由来するピークは、25.3〜2
5.4ppm付近に、m構造に由来するピークは25.
1〜25.2ppm付近に現れる。なお、m構造はメソ
ダイアッド構造、r構造はラセミダイアッド構造を表
す。
【0027】本発明に好適に用いられるスチレン−エチ
レンランダム共重合体においては、スチレンユニットと
エチレンユニットの交互共重合構造がr構造に帰属され
るピークは実質的に観測されない。
【0028】さらに、本発明に好適に用いられるスチレ
ン−エチレンランダム共重合体は、その構造中に含まれ
るスチレンユニットの連鎖構造のフェニル基の立体規則
性はアイソタクティクである。スチレンユニットの連鎖
構造の立体規則性は13C−NMRによって観測される4
3〜44ppm付近のメチレン炭素のピーク位置、及び
1H−NMRによって観測される1.5〜1.6ppm
及び2.2ppm付近の主鎖メチレン、メチンに結合し
たプロトンのピーク位置で決定される。すなわち、アイ
ソタクティックダイアッド分率msは13C−NMRによ
るスチレン連鎖構造のメチレン炭素または1H−NMR
測定による主鎖メチレン、メチンプロトンの各ピークか
ら下記の式(iii)で導かれる。 ms=Am'/(Ar'+Am') ・・・・・・ 式(iii)
【0029】ここで、Ar'は各ピークのシンジオタクテ
ィクダイアッド構造(r構造)に由来するピーク面積、
Am'はアイソタクティクダイアッド構造(m構造)に由
来するピークの面積を示す。なお、ピークの出現位置は
測定条件や溶媒によって若干シフトする場合がある。ス
チレンユニットの連鎖構造のフェニル基の立体規則性が
アイソタクティクであるとはアイソタクティックダイア
ッド分率msが0.5より大きくかつ1以下のものをい
う。
【0030】本発明に好適に用いられるスチレン−エチ
レンランダム共重合体の重量平均分子量は、スチレン含
量1モル%以上20モル%未満では6万以上、好ましく
は8万以上であり、20モル%〜99モル%では3万以
上、好ましくは4万以上である。重量平均分子量の上限
値は、特に制限はないが、好ましくは300万以下、更
に好ましくは100万以下である。分子量が300万を
超えると溶融粘度が上昇し、射出成形、押出成形等の一
般的な成形方法による成形が困難になる。なお、ここで
の重量平均分子量(Mw)はGPCで標準ポリスチレン
を用いて求めたポリスチレン換算分子量をいう。
【0031】また、分子量分布(Mw/Mn)は6以
下、好ましくは4以下、特に好ましくは3以下である。
分子量分布が小さいと、樹脂の均質性が高いため、結果
として樹脂の透明性も良好となる。なお、Mnは数平均
分子量を表し、同様にGPC法により測定することがで
きる。
【0032】本発明に好適に用いられるスチレン−エチ
レンランダム共重合体は、共重合体中のスチレンの含量
によって交互構造の割合を、種々に変更可能である。こ
の立体規則的な交互構造は結晶可能な構造であるので、
該スチレン−エチレンランダム共重合体は、スチレンの
含量により、あるいは適当な方法で結晶化度を制御する
ことにより、結晶性、非結晶性、部分的に結晶構造を有
するポリマーという多様な特性を与えることが可能であ
る。λ値が70未満であることは、結晶性ポリマーであ
りながら、有意の靭性、透明性を与えることが可能であ
る。
【0033】以上、本発明に用いられる芳香族ビニル化
合物−α−オレフィンランダム共重合体の代表例とし
て、スチレン−エチレンランダム共重合体について説明
した。しかし、上記の説明は、本発明に用いられる芳香
族ビニル化合物−α−オレフィンランダム共重合体全般
に適用できる。
【0034】本発明で用いられる芳香族ビニル化合物−
α−オレフィンランダム共重合体は、好ましくは2個以
上の芳香族ビニル化合物のヘッド−テイル連鎖構造を有
し、この様な連鎖構造を持たない擬似ランダム共重合体
に比較して、初期弾性率、破断強度の値が高い。また、
芳香族ビニル化合物とα−オレフィンの交互立体規則性
を有することで、立体規則性の低い共重合体に比較し
て、初期弾性率、破断強度、伸び、耐薬品性に優れる。
【0035】さらに、芳香族ビニル化合物含量を変更す
ることで、ガラス転移点を広い範囲で変更することが可
能である。芳香族ビニル化合物含量が50モル%より高
い、主に芳香族ビニル化合物ユニットの連鎖構造と芳香
族ビニル化合物ユニットとα−オレフィンユニットの交
互構造から構成される共重合体は、透明性が高く、ガラ
ス転移温度が高い。そしてα−オレフィンユニットの連
鎖が少ないか、非常に少ないので、初期引張弾性率が高
く、また芳香族ビニル化合物−α−オレフィンの交互構
造及び少量のα−オレフィンユニットの連鎖が連鎖構造
中に比較的均一に存在しているため、優れた耐衝撃性お
よび靭性を示す。芳香族ビニル化合物−α−オレフィン
の交互構造が多い芳香族ビニル化合物含量領域では交互
構造の立体規則性により結晶性を有することができ、部
分的に結晶構造を有する共重合体であるため、ガラス転
移温度付近及びそれ以上の温度で熱可塑性エラストマー
としての物性を示すことができる。さらに、芳香族ビニ
ル化合物ユニットの連鎖構造は、アイソタクティクの立
体規則性を有するため結晶可能であり、一般的な結晶化
処置により結晶化可能である。
【0036】結晶化度を高める手段としては、アニーリ
ング、核剤の添加、低いTgのポリマー(ワックス等)
とのアロイ化等の手段をとることが可能である。
【0037】本発明に用いられる芳香族ビニル化合物−
α−オレフィンランダム共重合体は、およそ10モル%
以上の芳香族ビニル含量域において、立体規則性がな
く、また芳香族ビニル化合物ユニットの連鎖構造のない
従来の芳香族ビニル化合物−α−オレフィンランダム共
重合体に比べて高い融点(DSCによる)を有する。
【0038】本発明に好適に用いられる共重合体は、一
例として、以下の遷移金属化合物を用いて、または以下
の製造方法によって得られる芳香族ビニル化合物−α−
オレフィンランダム共重合体を包含するが、特にここに
挙げた遷移金属化合物または製造方法には限定されな
い。
【0039】本発明に好適に用いられる芳香族ビニル化
合物−α−オレフィンランダム共重合体は下記の一般式
[化8]で示される遷移金属化合物と、助触媒から構成
される触媒を用いて、芳香族ビニル化合物とα−オレフ
ィンから製造される。
【化8】
【0040】式中、A、Bは非置換もしくは置換シクロ
ペンタフェナンスリル基(下記の[化9]、[化1
0])、非置換もしくは置換ベンゾインデニル基([化
11]〜[化13])、非置換もしくは置換シクロペン
タジエニル基([化14])、非置換もしくは置換イン
デニル基([化15])、または非置換もしくは置換フ
ルオレニル基([化16])から選ばれる基であり、少
なくともA、Bのうちの一方は、非置換もしくは置換シ
クロペンタフェナンスリル基、非置換もしくは置換ベン
ゾインデニル基、または非置換もしくは置換インデニル
基から選ばれる基である。好ましくは、少なくともA、
Bのうちの一方は非置換もしくは置換シクロペンタフェ
ナンスリル基または非置換もしくは置換ベンゾインデニ
ル基から選ばれる基である。
【0041】
【化9】
【化10】
【0042】
【化11】
【化12】
【化13】
【0043】
【化14】
【0044】
【化15】
【0045】
【化16】
【0046】(上記の一般式[化9]〜[化16]にお
いて、R1〜R8基はそれぞれ水素、炭素数1〜20のア
ルキル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜2
0のアルキルアリール基、ハロゲン原子、OSiR
3基、SiR3基またはPR2基(Rはいずれも炭素数1
〜10の炭化水素基を表す)であり、各Ri同士は互い
に同一でも異なっていても良い。A、B共に非置換もし
くは置換シクロペンタフェナンスリル基、非置換もしく
は置換ベンゾインデニル基または非置換もしくは置換イ
ンデニル基である場合には両者は同一でも異なっていて
もよい。
【0047】前記の一般式[化8]において、YはA、
Bと結合を有し、他に水素あるいは炭素数1〜15の炭
化水素基を有するメチレン基、シリレン基またはエチレ
ン基である。置換基は互いに異なっていても同一でもよ
い。また、Yはシクロヘキシリデン基、シクロペンチリ
デン基等の環状構造を有していてもよい。好ましくは、
Yは、A、Bと結合を有し、水素または炭素数1〜15
の炭化水素基で置換された置換メチレン基である。炭化
水素基としては、アルキル基、アリール基、シクロアル
キル基、シクロアリール基等が挙げられる。置換基は互
いに異なっていても同一でもよい。
【0048】前記の一般式[化8]において、Xは、水
素、ハロゲン、炭素数1〜15のアルキル基、炭素数6
〜10のアリール基、炭素数8〜12のアルキルアリー
ル基、炭素数1〜4の炭化水素置換基を有するシリル
基、炭素数1〜10のアルコキシ基、または炭素数1〜
6のアルキル置換基を有するジアルキルアミド基であ
る。
【0049】前記の一般式[化8]において、Mはジル
コニウム、ハフニウム、またはチタンである。
【0050】遷移金属化合物は、ラセミ体、メソ体が存
在する化合物については、ラセミ体が好適であるが、ラ
セミ体、メソ体の混合物またはメソ体を用いても良い。
また、擬ラセミ体、擬メソ体が存在する化合物について
は、擬ラセミ体が好適に用いられるが、擬ラセミ体、擬
メソ体の混合物または擬メソ体を用いても良い。
【0051】本発明に用いられる芳香族ビニル化合物−
α−オレフィンランダム共重合体の製造に際し、助触媒
として従来から遷移金属化合物と組み合わせて用いられ
る公知の助触媒を使用することができる。そのような助
触媒として、アルミノキサン(アルモキサンとも称され
る)、またはほう素化合物が好適に用いられる。
【0052】本発明に用いられる芳香族ビニル化合物−
α−オレフィンランダム共重合体を構成する芳香族ビニ
ル化合物としては、スチレンおよび各種の置換スチレ
ン、例えばp−メチルスチレン、m−メチルスチレン、
o−メチルスチレン、o−t−ブチルスチレン、m−t
−ブチルスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−クロ
ロスチレン、o−クロロスチレン、α−メチルスチレン
等が挙げられ、またジビニルベンゼン等の一分子中に複
数個のビニル基を有する化合物等も挙げられる。これら
芳香族ビニル化合物は2種以上用いてもよい。工業的に
は好ましくはスチレン、p−メチルスチレン、p−クロ
ロスチレン、特に好ましくはスチレンが用いられる。
【0053】また、本発明に用いられる芳香族ビニル化
合物−α−オレフィンランダム共重合体を構成するα−
オレフィンとしては、炭素数2〜20のα−オレフィ
ン、すなわちエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−
ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテンや
炭素数5〜20の環状オレフィン、すなわちノルボルネ
ン、ノルボルナジエン等の環状オレフィンが適当であ
る。またこれらのオレフィンを2種以上用いてもよい。
工業的には好ましくはエチレン、プロピレン、特に好ま
しくはエチレンが用いられる。
【0054】ここで説明した芳香族ビニル化合物−α−
オレフィンランダム共重合体は、その製造方法として
は、上記に例示したα−オレフィン、芳香族ビニル化合
物、触媒を一定の温度下で接触させる、公知の方法を用
いることができる。重合形態としてはとくに限定はされ
ず、例えば液状モノマー中で塊状重合させる方法、ある
いはペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、
ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロ置換ベンゼン、
クロロ置換トルエン、塩化メチレン、クロロホルム等の
飽和脂肪族または芳香族炭化水素またはハロゲン化炭化
水素の単独または混合溶媒中で溶液重合させる方法が挙
げられる。また、重合形式は、バッチ重合、連続重合、
回分式重合、予備重合あるいは気相重合等、あるいはこ
れらを組み合わせた方法を適宜選ぶことができる。
【0055】遷移金属化合物を触媒とした芳香族ビニル
化合物−α−オレフィンランダム共重合体の重合温度
は、−78℃から200℃が適当であり、好ましくは0
℃〜160℃である。−78℃より低い重合温度は工業
的に不利であり、200℃を超えると遷移金属化合物の
分解が起こるので適当ではない。さらに工業的に特に好
ましくは、30℃〜160℃である。
【0056】使用する遷移金属化合物の量はとしては、
遷移金属化合物中の遷移金属原子のモル数に対する全仕
込みモノマーの2重結合のモル数比、すなわち全仕込み
モノマーの二重結合モル数/遷移金属原子のモル数比が
1〜108がよい。
【0057】助触媒としてメチルアルモキサンを用いる
場合には、メチルアルモキサンのアルミニウム原子のモ
ル数/遷移金属原子のモル数比が0.1〜100,00
0、好ましくは10〜10,000で用いられる。助触
媒としてほう素化合物を用いる場合には、ほう素原子の
モル数/遷移金属原子のモル数比が0.01〜100で
用いられるが、より好ましくは0.1〜10で用いられ
る。それぞれこの範囲より小さいと有効に遷移金属化合
物を活性化出来ず、この範囲を超えると経済的に不利と
なる。
【0058】遷移金属化合物と助触媒は、重合槽外で混
合、調製しても、重合時に槽内で混合してもよい。
【0059】本発明に用いられる芳香族ビニル化合物−
α−オレフィンランダム共重合体は、その性能が損なわ
れない範囲であれば構成成分が、必ずしも芳香族ビニル
化合物とα−オレフィンのみに限定される必要はなく、
他の構造が含まれていても、他のモノマーが共重合され
ていても差し支えない。共重合される他のモノマーとし
て、上記で選ばれた以外のプロピレン等の炭素数3から
20までのα−オレフィン、ブタジエン、1,4−ヘキ
サジエン、1,5−ヘキサジエン、エチリデンノルボル
ネン、ビニルシクロヘキセン等のジエン化合物を例示す
ることができる。また、前記の芳香族ビニル化合物が2
種類以上共重合されていてもよい。また重合条件等によ
っては、芳香族ビニル化合物が、熱、ラジカル、または
カチオン重合して生じたアタクティックホモポリマーが
少量含まれる場合があるが、その量は全体の10重量%
以下であり、このようなホモポリマーは溶媒抽出により
除去できるが、物性上特に問題が無ければこれを含んだ
まま使用することもできる。
【0060】本発明の芳香族ビニル化合物−α−オレフ
ィンランダム共重合体を含む樹脂成分(A)には要求さ
れる性能に応じて、他の熱可塑性樹脂を樹脂成分(A)
中に0〜95重量%の範囲で含有させることができる。
配合可能な樹脂、エラストマー等に特に制限はないが、
発明の目的を損なわない範囲であれば、スチレン系樹
脂、オレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレ
ンフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエ
ステル、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリフェ
ニレンスルフィド(PPS)等の芳香族系樹脂、6,6
ナイロン、6ナイロン等のポリアミド、メタクリル樹
脂、アクリル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、(E
VA)等のポリマーや、エラストマー、ゴムを配合する
ことができる。
【0061】上記で挙げたスチレン系樹脂として具体的
には、ポリスチレン、ゴム強化ポリスチレン(ハイイン
パクトポリスチレン)、アクリロニトリル−スチレン共
重合体(AS樹脂)、スチレン−メタクリル酸メチル共
重合体(MS樹脂)等のスチレン−メタクリル酸エステ
ル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
共重合体(ABS樹脂)、ゴム強化MS樹脂、無水マレ
イン酸−スチレン共重合体、無水マレイン酸−アクリロ
ニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−α−
メチルスチレン共重合体、メタクリロニトリル−スチレ
ン共重合体、メタクリル酸メチル−アクリロニトリル−
スチレン共重合体等をあげることができる。
【0062】オレフィン系樹脂として具体的には、ポリ
エチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のホモポ
リマー、及びブテン、ヘキセン、オクテン等とのブロッ
ク、ランダム共重合体、ポリメチルペンテン、ポリブテ
ン−1、プロピレン・ブテン−1共重合体、塩素化ポリ
オレフィン、エチレン・メタクリル酸およびそのエステ
ル共重合体、エチレン−アクリル酸およびそのエステル
共重合体、エチレン−プロピレン共重合体(EPR)等
を挙げることができる。
【0063】メタクリル樹脂として具体的には、ポリメ
チルメタクリレート(PMMA)、メタクリル酸メチル
−メタクリル酸共重合体等を例示することができる。上
記のうち、スチレン系樹脂、オレフィン系樹脂がとくに
好ましい。
【0064】本発明において配合可能なエラストマー、
ゴムには特に制限はないが、スチレン系、オレフィン系
熱可塑性エラストマー及びゴム、天然ゴム、イソプレン
ゴム、クロロプレンゴム、ポリイソブチレン、EPR、
アクリルゴム、ネオプレンゴム、ポリエステル系エラス
トマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラス
トマー、ゴム等を挙げることができる。これらは単独ま
たは複数を組み合わせて使用可能である。
【0065】スチレン系エラストマー、ゴムの例として
は、スチレン−ブタジエンブロック共重合体(SB
S)、スチレン−イソプレンブロック共重合体(SI
S)、及びこれらの水素添加物、例えばスチレン−エチ
レン−ブチレンブロックポリマー(SEBS)、スチレ
ン−エチレン−プロピレンブロックポリマー(SEP
S)、スチレン−ブタジエンラバー(SBR)、スチレ
ン−ブタジエン−メチルメタクリレート共重合体(MB
S)等を例示することができる。上記のうち、スチレン
系、オレフィン系エラストマー、ゴムがとくに好まし
い。
【0066】さらに物性改善を目的とし、スチレン含量
の異なる本発明に用いられる芳香族ビニル化合物−α−
オレフィンランダム共重合体同士のブレンド物も利用可
能である。また、本発明に用いられる芳香族ビニル化合
物−α−オレフィンランダム共重合体は、グラフト化、
水素化、官能基の付与等の変性も可能である。
【0067】本発明は芳香族ビニル化合物−α−オレフ
ィンランダム共重合体を5重量%以上含む樹脂成分
(A)に対して帯電防止剤(B)とアルキレンビス飽和
高級脂肪酸アミド(C)を配合して得たことを特徴とす
る帯電防止性樹脂組成物、あるいはそれらに電解質
(D)を添加したことを特徴とする帯電防止性樹脂組成
物である。帯電防止剤(B)およびアルキレンビス飽和
高級脂肪酸アミド(C)を混合することにより、さらに
好ましくは電解質(D)を添加することにより機械的物
性のバランス、透明性、成形加工性を保持しつつ、帯電
防止能が著しく向上した帯電防止性樹脂組成物が得られ
る。
【0068】本発明に用いられる帯電防止剤(B)とし
ては、ポリマーに一般的に用いられる高分子帯電防止性
化合物および低分子帯電防止性化合物から選ばれた少な
くとも1種以上が用いられる。各帯電防止性化合物につ
いてつぎに詳細に説明する。
【0069】一般に高分子帯電防止性化合物は、分子量
が10,000以上で界面活性を示すポリマーをいう
が、本発明に好適に用いられる高分子帯電防止性化合物
として、ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステル、
ポリエーテルエステルアミド、ポリアミドイミドエラス
トマーが挙げられ、これらについて以下に詳しく説明す
る。
【0070】ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステ
ル、ポリエーテルエステルアミドとしては、ポリアミド
形成成分とポリエステル成分とアルキレンオキシド基を
有する化合物との反応から得られるブロックまたはグラ
フト共重合体等が挙げられる。例えば炭素数が6以上の
ポリアミド形成成分と、ポリエステル形成成分およびポ
リアルキレンオキシド基を有する化合物との反応による
グラフトまたはブロック共重合体が挙げられる。
【0071】ポリアミド形成成分としては、具体的に
は、ω−アミノカプロン酸、ω−アミノエナント酸、ω
−アミノカプリル酸、ω−アミノペルゴン酸、ω−アミ
ノカプリン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミ
ノドデカン酸等のアミノカルボン酸、あるいはε−カプ
ロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラ
ウロラクタム等のラクタム、ヘキサメチレンジアミン−
アジビン酸塩、ヘキサメチレンジアミン−セバシン酸
塩、ヘキサメチレンジアミン−イソフタル酸塩等の塩お
よびそれらの混合物が挙げられる。より好ましくはカプ
ロラクタム、12−アミノドデカン酸、ヘキサメチレン
ジアミン−アジピン酸塩である。
【0072】ポリエステル成分としては、具体的に、ジ
カルボン酸としてイソフタル酸、テレフタル酸、ナフタ
レン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,7−ジ
カルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジ
フェノキシエタンジカルボン酸、3−スルホイソフタル
酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸、1,3−シクロ
ペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカル
ボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3
−ジカルボキシメチルシクロヘキサン等の脂環式カルボ
ン酸、および、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバ
シン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸の
一種または二種以上の混合物と脂肪族ジオールとして、
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、
1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオー
ル、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコー
ル、ヘキサンジオール等の一種または二種以上の混合物
が挙げられる。ジカルボン酸としてより好ましくは、テ
レフタル酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸、セバシン酸、および、デカンジカルボン
酸、ジオールとしてエチレングリコール、1,2−プロ
ピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、
1,4−ブタンジオールである。
【0073】アルキレンオキシド基を有する化合物とし
ては、具体的には、ポリ(エチレンオキシド)グリコー
ル、ポリ(1,2−プロピレンオキシド)グリコール、
ポリ(1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ
(テトラメチレンオキシドグリコール)、ポリ(ヘキサ
メチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプ
ロピレンオキシドのブロックまたはランダム共重合体、
エチレンオキシドとテトラメチレンオキシドのブロック
またはランダム共重合体、および、エチレンオキシドと
テトラヒドロフランのブロックまたはランダム共重合
体、およびそれらのジアミンまたはジカルボン酸が挙げ
られ、1種または2種以上用いられる。これらの中でも
ポリ(エチレンオキシド)グリコールがより好ましい。
該ポリ(アルキレンオキシドグリコール)の数平均分子
量は200〜6,000が重合性及び剛性の点で好まし
く、300〜4,000がより好ましい。また必要に応
じて、ポリ(アルキレンオキシド)グリコール成分の両
末端をアミノ化またはカルボキシル化してもよい。
【0074】ポリエーテルアミド、ポリエーテルエステ
ル、またはポリエーテルエステルアミドの反応の際に、
ジカルボン酸やジアミン等の第三成分を用いることもで
きる。この場合のジカルボン酸成分としては、テレフタ
ル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,7−
ジカルボン酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、
ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−スルホイソフタ
ル酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸、1,4−シク
ロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカ
ルボン酸、ジシクロへキシル−4,4’−ジカルボン酸
等の脂環族ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジビ
ン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸のような脂肪族ジカル
ボン酸があげられ、1種または2種以上用いられる。好
ましくは、テレフタル酸、イソフタル酸、1,4−シク
ロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、デ
カンジカルボン酸が重合性、色調、物性の点から好まし
い。ジアミン成分としては芳香族、脂環族、脂肪族のジ
アミンが用いられ、なかでも脂肪族ジアミンのヘキサメ
チレンジアミンが上記同様、重合性、色調、物性の点か
ら好ましい。
【0075】ポリアミドイミドエラストマーとしては、
(a)カプロラクタム、(b)三価または四価のポリカ
ルボン酸、および(c)ポリオキシエチレングリコール
またはポリオキシエチレングリコールを主体とするポリ
オキシアルキレングリコールとの混合物からなり、しか
も、(a)成分と(b)成分とからなるポリアミドイミ
ドが得られ、これらがソフトセグメントである(c)成
分のグリコールとエステル結合で連結されたマルチブロ
ック型の共重合体となる。
【0076】この(b)成分としては、アミノ基と反応
して少なくとも1つのイミド環を形成しうる三価または
四価の芳香族ポリカルボン酸、あるいはこれらの酸無水
物が用いられる。(b)成分として用いる三価のトリカ
ルボン酸としては、具体的には、1,2,4−トリメッ
ト酸、1,2,5−ナフタレントリカルボン酸、2,
6,7−ナフタレントリカルボン酸、3,3’,4−ジ
フェニルトリカルボン酸、ベンゾフェノン−3,3’,
4−トリカルボン酸、ジフェニルスルホン−3,3’,
4−トリカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,3’,
4−トリカルボン酸などが挙げられる。
【0077】また、四価のテトラカルボン酸としては、
具体的にはピロメリット酸、ジフェニル−2,2’,
3,3’−テトラカルボン酸、ベンゾフェノン−2,
2’,3,3’−テトラカルボン酸、ジフェニルエーテ
ル−2,2’,3,3’−テトラカルボン酸、などが挙
げられる。これらのポリカルボン酸は、グリコール成分
(c)に対して実質上等モル、すなわち、0.9〜1.
1倍モルの範囲で用いられる。
【0078】ポリイミドアミドエラストマーのハードセ
グメントであるポリアミドイミドは、エラストマーの耐
熱性、強度、硬度、及びポリアミドイミドエラストマー
を混練する芳香族ビニル化合物−α−オレフィンランダ
ム共重合体からなる樹脂成分(A)との相溶性に寄与す
るものであり、このエラストマー中のポリアミドイミド
含量は、15〜70重量%であることが好ましい。この
含有量が15重量%未満ではエラストマーの強度が低く
なり、衝撃強度が低くなるので好ましくないし、70重
量%を超えると相溶性が悪くなったり、帯電防止効果が
低くなったりするので好ましくない。
【0079】また、ポリアミドイミドの数平均分子量
は、500以上、3,000以下であることが好まし
く、より好ましくは500以上、2,000以下であ
る。ポリアミドイミドの数平均分子量が500未満とな
ると融点が低くなり、耐熱性が低下するし、また3,0
00を超えると混練する熱可塑性樹脂との相溶性が低く
なる。
【0080】耐熱性を向上させるために、ポリアミドイ
ミドにさらにイミド環を導入するのに(d)ジアミンを
併用する場合には、前記ポリカルボン酸はグリコール成
分(c)とジアミン成分(d)の合計モル数に対して
0.9〜1.1倍モルで用いる。この(d)成分のジア
ミンとしては、エチレンジアミン、テトラメチレンジア
ミン、ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミンな
どが挙げられる。この使用量はグリコール成分(c)の
1倍モル以下とすることが好ましく、これよりも多く用
いると均質なエラストマーが得られにくくなり、混練す
る樹脂成分(A)との相溶性が低下するので好ましくな
い。
【0081】ポリアミドイミドエラストマー中の(c)
成分としては、ポリオキシエチレングリコールあるいは
ポリオキシエチレングリコールとポリオキシエチレング
リコール以外のポリオキシアルキレングリコールとの混
合物が用いられる。使用するポリオキシエチレングリコ
ールの数平均分子量は、特に制限はないが、500から
5,000の範囲内であるのが好ましい。500より小
さいとエラストマーの成分にもよるが、融点が低くなっ
たりして耐熱性が不足してくることがあるので、好まし
くない。また、5,000を超えると、強靭なエラスト
マーを形成しにくくなり、熱可塑性樹脂に混練したとき
に、衝撃強度の低下や剛性の低下などが生じることがあ
るので、好ましくない。
【0082】ポリオキシエチレングリコールと併用する
ことのできるポリオキシアルキレングリコールとして、
グリコール成分のの50重量%未満で、数平均分子量が
500〜5,000のポリオキシテトラメチレングリコ
ール、変性ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリ
オキシプロピレングリコールなどを用いることができ
る。
【0083】変性ポリオキシテトラメチレングリコール
としては、通常のポリオキシテトラメチレングリコール
の−(CH24−O−の一部を−R−O−で置き換えた
ものが挙げられる。ここで、Rは炭素数2〜10のアル
キレン基であり、例えば、エチレン基、1,2−プロピ
レン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基、ペ
ンタメチレン基、ヘキサメチレン基などが挙げられる。
変性量に付いては特に制限はないが、通常3〜50重量
%の範囲で選ばれる。
【0084】この変性ポリオキシテトラメチレングリコ
ールは、たとえばヘテロポリ酸を触媒とするテトラヒド
ロフランとジオールとの共重合や、ジオールまたはジオ
ールの縮合物である環状エーテルとブタンジオールとの
共重合などによって製造することができる。
【0085】帯電防止剤(B)として配合される低分子
帯電防止性化合物として、好適に用いられるものとして
は、非イオン系界面活性剤、両性ベタイン系界面活性剤
である。特にフィルム用途においては、食品衛生面に優
れるため非イオン系界面活性剤がより好適に用いられ
る。上記非イオン系界面活性剤の具体例としては、次の
(I)〜(VI)([化17]〜[化22])で示され
る化合物、それ以外のアミン系化合物、ポリオキシエチ
レン脂肪族アミンの高級脂肪酸エステル、ポリオキシエ
チレン脂肪族アミドの高級脂肪酸エステル、高級アルコ
ールの高級脂肪酸エステルが挙げられる。
【0086】(I)ポリオキシエチレン脂肪族アミン
【化17】 (式中、R1は炭素数8〜22のアルキル基またはアル
ケニル基を示し、m,nは1以上の整数を示し、m+n
=2〜10である。)
【0087】(II)ポリオキシエチレン脂肪族アミド
【化18】 (式中、R2は炭素数7〜21のアルキル基またはアル
ケニル基を示し、m,nは1以上の整数を示し、m+n
=2〜10である。)
【0088】(III)脂肪族グリセリンエステル
【化19】 (式中、R3は炭素数7〜21のアルキル基またはアル
ケニル基を示す。)
【0089】(IV)アミノエチルエタノールアミンの
脂肪酸アミド
【化20】 (式中、R4は炭素数7〜21のアルキル基またはアル
ケニル基を示す。)
【0090】(V)置換イミダゾリン
【化21】 (式中、R5は炭素数7〜21のアルキル基またはアル
ケニル基を示す。)
【0091】(VI)ヒドロキシアルキルアミンのエチ
レンオキサイド付加物
【化22】 (式中、R6は炭素数7〜21のアルキル基またはアル
ケニル基を示す。oは1〜5の整数を示す。)
【0092】本発明で用いられる一般式[化17]で示
されるポリオキシエチレン脂肪族アミンとしては、例え
ば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ラウリルア
ミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ミルスチ
ルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)セチ
ルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステ
アリルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)
オレイルアミン等のN,N−ビス(2−ヒドロキシエチ
ル)脂肪族アミンが挙げられる。
【0093】一般式[化18]で示されるポリオキシエ
チレン脂肪酸アミドとしては、例えばN,N−ビス(2
−ヒドロキシエチル)ラウリルアミド、N,N−ビス
(2−ヒドロキシエチル)ミリスチルアミド、N,N−
ビス(2−ヒドロキシエチル)パルミチルアミド、N,
N−ビス(2−ヒドロキシエチル)ステアロアミド、
N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)オレオアミド等
のN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)脂肪族アミド
が挙げられる。
【0094】一般[化19]で示される脂肪族グリセリ
ンエステルとしては、例えばラウリン酸モノグリセライ
ド、パルミチン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノ
グリセライド、ベヘニン酸モノグリセライド、オレイン
酸モノグリセライド等のグリセリン脂肪酸モノエステル
が挙げられる。
【0095】一般式[化20]で示されるアミノエチル
エタノールアミンの脂肪酸アミドとしては、例えばN−
〔2−〔(2−ヒドロキシエチル)アミノ〕エチル〕カ
プリルアミド、N−〔2−〔(2−ヒドロキシエチル)
アミノ〕エチル〕ラウリルアミド等のアルキルアミノエ
チルエタノールアミド化合物が挙げられる。
【0096】一般式[化21]で示される置換イミダゾ
リンとしては、例えば1−ヒドロキシエチル−2−へプ
チルイミダゾリン、1−ヒドロキシエチル−2−ウンデ
シルイミダゾリン等のイミダゾリン化合物が挙げられ
る。
【0097】一般式[化22]で示されるヒドロキシア
ルキルアミンのエチレンオキサイド付加物としては、例
えば下記式[化23]で示されるダスパー125B(ミ
ヨシ油脂(株)製)等が挙げられる。
【化23】
【0098】アミン系帯電防止性化合物としては、例え
ば、パルミチルジエタノールアミン、ステアリルジエタ
ノールアミン、パルミチルジエタノールアミド、ステア
リルジエタノールアミド等が挙げられる。
【0099】両性ベタイン型界面活性剤としては、例え
ば、アルキル(またはアルケニル)ジヒドロオキシエチル
ベタイン等の単独または併用混合物が挙げられる。
【0100】帯電防止剤(B)は以上に挙げた高分子帯
電防止性化合物と低分子帯電防止性化合物から選ばれる
少なくとも1種あるいはそれ以上を配合してなる。それ
ぞれ単独で用いても帯電防止効果が得られるが、特に高
分子帯電防止性化合物と低分子帯電防止性化合物を組み
合わせて用いた場合、初期の帯電防止性、帯電防止性の
持続性のバランスのとれた、またより少ない配合量で帯
電防止性能を付与することが可能となる。
【0101】帯電防止剤(B)の配合量は、樹脂成分
(A)100重量部に対して、帯電防止性、剛性および
成形加工性とのバランスや透明性の点から、0.01〜
20重量部であり、さらに0.05〜5重量部が好まし
い。0.01重量部未満であると帯電防止性が充分に得
られず、20重量部を超えると樹脂が柔軟になり剛性が
低下する。
【0102】本発明で用いられるアルキレンビス飽和脂
肪酸アミド(C)は下記の一般式[化24]で示される
化合物である。
【化24】 (式中R1、R3は炭素数5〜21のアルキル基またはア
ルケニル基、R2は炭素数1〜20のアルキレン基を示
す。)
【0103】一般式[化24]で示されるアルキレンビ
ス飽和高級脂肪酸アミドとしては、例えば、メチレンビ
スステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミ
ド、メチレンビスパルミチン酸アミド、エチレンビスパ
ルミチン酸アミド、メチレンビスベヘン酸アミド、エチ
レンビスベヘン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリ
ン酸アミド、ヘキサエチレンビスパルミチン酸アミド、
ヘキサメチレンビスベヘン酸アミド等を挙げることがで
きる。これらのうちでは、エチレンビスステアリン酸ア
ミドが最も好ましい。
【0104】本発明で用いられるアルキレンビス高級脂
肪酸アミドは、飽和高級脂肪酸を用いた化合物である。
一般に帯電防止性化合物の添加量が増加すると帯電防止
効果は向上するが、滑性および抗ブロッキング性も増加
し、特にフィルム用途においてはシール性が低下する。
しかし、本発明の帯電防止性樹脂組成物はアルキレンビ
ス飽和高級脂肪酸アミドをこれに組み合わせて配合する
と、帯電防止剤の滑性を押さえてシール性を改善できた
ため、従来、フィルム用途において使われていた多量の
抗ブロッキング剤量を軽減することができ、この結果、
抗ブロッキング剤による透明性の悪化の弊害を避けるこ
とができ、フィルム用途にも特に有効である。しかし、
上記一般式[化24]で示されるアルキレンビス飽和高
級脂肪酸アミドに変えてアルキレンビス不飽和高級脂肪
酸アミドを用いると、ヒートシール性と同時に滑性も付
与し、高滑性となるので包装袋用フィルムとしては好ま
しくはない。また、これらと類似のエルカ酸アミド、オ
レイン酸アミド、ベヘニン酸アミド等の高級脂肪酸アミ
ドの添加では、滑性が上がりすぎるだけではなく、抗ブ
ロッキング性も悪化するので好ましくない。
【0105】アルキレンビス高級脂肪酸アミド(C)の
添加量は、樹脂成分(A)100重量部に対して0.0
1〜5重量部である。0.03〜2重量部がより好まし
く、0.04〜1重量部がさらに好ましい範囲である。
0.01重量部未満であると十分な帯電防止効果が得ら
れず、また5重量部を超えると、特にフィルム用途にお
いては滑性が上がり過ぎ、ヒートシール性に支障が生じ
るので好ましくない。
【0106】次に電解質(D)について説明する。電解
質(D)として好ましくは有機電解質もしくは無機電解
質から選ばれた少なくとも1種以上が添加される。
【0107】有機電解質としては、好ましくは酸性基を
有する有機化合物及びその金属塩、有機アンモニウム
塩、有機ホスホニウム塩等が挙げられる。 該酸性基を
有する有機化合物およびその金属塩としては、例えば一
般式(R−SO3nMで示されるアルカンスルホン酸塩
およびその金属塩、ドデシルフェニルエーテルスルホン
酸、ナフタリンスルホン酸、ナフタリンスルホン酸とホ
ルマリンの縮合物、ポリスチレンスルホン酸、ステアリ
ン酸、ラウリン酸、ポリアクリル酸等の有機カルボン
酸、亜リン酸ジフェニル、リン酸ジフェニル等の有機リ
ン酸およびそれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属
塩等が挙げられる。
【0108】好ましい有機電解質としては、アルカンス
ルホン酸のアルカリ金属塩、およびアルカリ土類金属塩
で炭素数が1〜30の直鎖または分岐のあるアルキル基
またはアルキルフェニル基を持つスルホン酸金属塩が好
ましく、たとえば、メチル、オクチル、ドデシル、ステ
アリル、ベヘニルなどのアルキルスルホン酸金属塩など
が挙げられる。
【0109】無機電解質は、一般式MXnで示されるイ
オン解離性金属塩としては、リチウム、カリウム、ナト
リウムなどのアルカリ金属、およびマグネシウム、カル
シウムなどのアルカリ土類金属とフッ素(F-)、塩素
(Cl-)、臭素(Br-),沃素(I-)、チオシアン酸
(SCN-)、過塩素酸(ClO4 -)などのイオンを遊離
する金属塩の中から任意に選択することができる。この
他、テトラフルオロホウ酸(BF4 -)、ヘキサフルオロ
リン酸(PF6 -),テトラフェニルホウ酸(B
[φ]4 -)(ただしφはフェニル基を示す)、トリフル
オロメタンスルホン酸(CF3SO3 -)またはトリフル
オロ酢酸(CF3CO2 -)などのイオンを遊離する金属
塩の中から選択しても良い。具体的には、AgNO3
BeSO4、CaCl 2、Ca(NO32、CdCl2
Cd(NO32、CoCl2、CrCl2、CsCl、C
uCl2、Cu(NO32、CuSO4、FeCl2、K
Br、KH2PO 4、KSCN、KNO3、LiCl、L
iOH、LiNO3、MgCl2、Mg(NO32、Mg
SO4、MnCl2、MnSO4、NH4Cl、NH4
3、(NH42SO4、NaBr、Na2CO3、NaH
2PO4、NaNO3、NiSO4、Pb(NO32、Zn
SO4等が挙げられる。
【0110】電解質(D)は、上記帯電防止剤(B)お
よびアルキレンビス飽和脂肪酸アミド(C)との併用に
よる帯電防止効果の向上を目的として配合される。配合
量は樹脂成分(A)100重量部に対して、好ましくは
0.01〜10重量部であり、より好ましくは0.01
〜5重量部である。10重量部を超えると機械的性質の
低下、金型腐食、モールドデポジットの発生等を生じ
る。有機電解質および/または無機電解質はそれぞれ単
独に用いても0.01〜10重量部の範囲で組み合わせ
て用いてもよい。
【0111】さらに本発明の帯電防止性樹脂組成物には
ヒンダードフェノール系、含硫黄有機化合物系、含リン
有機化合物系等の酸化防止剤、フェノール系、アクリレ
ート系の熱安定剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェ
ノン系、サリシレート系の紫外線吸収剤、ポリブロモジ
フェニルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A、
臭素化エポキシオリゴマー、臭素化ポリカーボネートオ
リゴマー等の含ハロゲン系化合物、リン系化合物、三酸
化アンチモン等の難燃剤や難燃助剤、着色剤、顔料、抗
菌・抗カビ剤、有機ニッケル系、ヒンダードアミン系等
の耐候(光)剤、フタル酸エステル類、リン酸エステル
類等の可塑剤、粘着付与剤、分散剤、核剤、発泡剤、架
橋剤などの公知の添加剤を必要に応じて添加することが
できる。
【0112】これらの添加剤は単独あるいは混合組成物
として使用されるが、添加量として本発明の帯電防止性
樹脂組成物100重量部当たり、通常0〜0.5重量
部、好ましくは0.05〜0.3重量部である。添加量
が0.5重量部を超える場合にはフィルム表面への浮き
出し量が多く、フィルムがべたつくことがある。
【0113】本発明の帯電防止性樹脂組成物の製造方法
は、特に制限はなく、公知の手法を用いることができ
る。例えば、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、
スーパーミキサー、タンブラー等でドライブレンドを行
うことも可能であり、単軸または二軸押出機、バンバリ
ーミキサー、プラストミル、コニーダー、ロール等で溶
融混練を行ってもよい。必要に応じて、窒素等の不活性
ガス雰囲気下で行うこともできる。得られる樹脂組成物
の形状に特に制限はないが、ペレット状、シート状、ス
トランド状、チップ状等を挙げることができる。また、
溶融混練後、直接成形品とすることもできる。溶液状態
の重合体に原材料を混合後、溶剤を除去する方法も可能
である。
【0114】上記によって得られた帯電防止性樹脂組成
物は射出成形、押出成形、ブロー成形、回転成形、真空
成形、圧縮成形、カレンダー成形、熱成形、キャスト成
形、ガスアシスト成形等の現在熱可塑性樹脂の成形に用
いられる公知の方法によって成形することができる。電
解質(D)の添加方法としては、樹脂成分の製造時、ま
たは製造後に添加する方法、本発明の芳香族ビニル化合
物−α−オレフィンランダム共重合体樹脂組成物製造時
に粉体または溶液として一括または分割して添加する方
法もある。
【0115】本発明のフィルム及びシートの製造方法
は、インフレーション成形法、Tダイ成形法、水冷フィ
ルム成形法等の公知の成形方法を用いることができる。
フィルム及びシートの厚みもとくに制限はないが、実用
的には0.1μm〜50mmが適当である。より好まし
くは1μm〜2mmである。
【0116】本発明の帯電防止性樹脂組成物には、所望
により、さらにガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、ガラ
スビーズ、ガラス粉、ワラストナイト、ロックフィラ
ー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、長石、タル
ク、シリカ、ゼオライト、マイカ、ガラスフレーク、カ
オリン、硫酸バリウム、黒鉛、二硫化モリブデン、酸化
マグネシウム、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウム
ウィスカーなどの充填剤や補強材を、単独または併用し
て用いることができる。これらの充填剤のうち、ガラス
繊維、炭素繊維の形状としては、6〜60μmの繊維径
と30μm以上の繊維長を有するものが好ましい。これ
らの充填剤や補強材は、本発明の帯電防止性樹脂組成物
100重量部当たり0〜150重量部程度である。これ
らの充填剤や補強材は本発明の帯電防止性樹脂組成物の
製造時に一緒に添加しても、あるいは後で、成形時に添
加してもよい。
【0117】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて詳しく説明す
るが、これらの実施例は本発明を限定するものではな
い。なお、以下の説明でIndは1−インデニル基を,
BIndは4,5−ベンゾ−1−インデニル基を、Cp
Phenは3−シクロペンタ〔c〕フェナンスレン基
を、Fluは9−フルオレニル基を、Meはメチル基
を、Etはエチル基を、tBuはターシャリー−ブチル
基を、Phはフェニル基を表す。
【0118】最初に各参考例、実施例及び比較例で得ら
れた共重合体の分析法、試験法について説明する。 (1)13C−NMRスペクトル 日本電子社製α−500またはJNMGX−270を使
用し、重クロロホルム溶媒または重1,1,2,2−テ
トラクロロエタン溶媒を用い、TMSを基準として測定
した。先ずTMSを基準として重1,1,2,2−テト
ラクロロエタンの3重線13C−NMRピークの中心ピー
クのシフト値を決め、次いで共重合体を重1,1,2,
2−テトラクロロエタンに溶解して測定を行い、各ピー
クのシフト値を重1,1,2,2−テトラクロロエタン
の三重線中心ピークを基準として算出した。重1,1,
2,2-テトラクロロエタンの3重線中心ピークのシフ
ト値は73.89ppmであった。ピーク面積の定量を
行う13C−NMRスペクトル測定は、NOE(Nuclear
Overhauser Effect)を消去させたプロトンゲートデ
カップリング法により、パルス幅は45°パルスを用
い、繰り返し時間5秒を標準として行った。ちなみに、
同一条件で、但し繰り返し時間を1.5秒に変更して測
定し、共重合体のピーク面積定量値は、繰り返し時間5
秒の場合と測定誤差範囲内で一致した。
【0119】(2)共重合体中のスチレン含量1 H−NMRで行い、機器は日本電子社製α−500及
びBRUCKER社製AC−250を用いた。重クロロ
ホルム溶媒または、重1,1,2,2−テトラクロロエ
タン溶媒を用いTMSを基準として、フェニル基プロト
ン由来のピーク(6.5〜7.5ppm)とアルキル基
由来のプロトンピーク(0.8〜3ppm)の強度比較
で行った。
【0120】(3)共重合体の分子量 GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)で
行い、機器は東ソー社製HLC−8020を用いた(但
し、室温でTHFに不要な共重合体は、Waters社
製150CV装置を用い、135℃で行った)。溶媒は
テトラヒドロフラン(THF)、(但し、室温でTHF
に不溶な共重合体は,1,2,4−トリロロベンゼンを
使用)。基準試料として標準ポリスチレンを用い、GP
Cにより標準ポリスチレン換算の重量平均分子量として
求めた。
【0121】(4)DSC(示差走査熱量)測定 セイコー電子社製DSC200を用い、N2気流下昇温
速度10℃/minで行った。融点(Tm)を示す。
【0122】実施例、比較例の樹脂組成物の物性評価は
以下の方法で行った。 (5)評価用成形品の作成 各実施例、比較例の樹脂組成物を、180℃×3分間5
0kg/cm2で加熱プレスし、1.0mm(厚み)×
150mm×150mmのタイル形状角板を得た。 (6)フィルム成形 ラボプラストミル(東洋精機社製)押出機タイプ(シリ
ンダー径20mm、L/D=21)を用い、スクリュー
は浅溝先端ダルメージタイプ(CR=2.9)、フィー
ド/コンプレッション/メタリング(フルフライト+2
条ダルメージ)=7D/5D/9D、ダイスはコートハ
ンガータイプ(幅150mm、ノップ開度:0.2mm
t)を使用し、シリンダー温度=120〜210℃、ス
クリュー回転数80rpmでフィルム化を行った。加熱
プレス法(温度180℃、時間3分間、圧力50kg/
cm2)により厚さ0.5mmのフィルムを作成し使用
した。 (7)力学的特性の評価 引張強度、破断伸び、引張弾性率を1mm厚のJIS−
2号型ダンベル型テストピースを用いてJIS K71
13のプラスチックの引張試験方法に準じて、東洋ボー
ルドウィン社製テンシロンRTM−1T型引張試験機を
用い、引張速度100mm/minにて測定した。 (8)弾性回復率 引張試験法による歪み回復率を以下の方法により測定し
た。上記引張試験と同一のテストピースを使用し、引張
試験機にて100%歪みまで引張り、10分間保持し、
その後応力を素早く(跳ね返ることなく)解放し、10
分後の歪み回復率を%で表示した。 (9)硬度 JIS K7215のプラスチックのデュロメーター硬
さ試験法に準じてショアA、ショアDを測定した。 (10)全光線透過率 厚さ1mmのシートを作製し、JIS−K−7361−
1に規定された方法で、日本電色社濁度計NDH−20
00を用いHAZEメーターにより全光線透過率を測定
した。
【0123】(11)表面固有抵抗値(帯電防止性能) JISK6911に準拠した。HEWLETTPACK
ARD社製、表面固有抵抗測定装置を用いた。 印加電圧 500V 印加時間 60秒 帯電防止性能の持続性は、イオン交換水で成形品表面を
十分濯ぎガーゼにて水分を除き、温風乾式乾燥機にて6
0℃の温度で5時間乾燥する。この工程を10回繰り返
した後に、表面固有抵抗値を測定した。 (12)層状剥離 層状剥離を、板状成形品のゲート付近を手で90度に曲
げ元に戻したときの剥離の、またフィルムについてはオ
ートグラフにより100%伸張した際の剥離の有無を観
察し、下記の基準で評価した。 ○;剥離がまったく起こっていない。 △;一部に剥離が生じている。 ×;剥離が生じた。
【0124】〔材料〕 (B)帯電防止剤 ポリアミドイミドエラストマー(三菱化学社製、商品
名;トーロン4275) ステアリン酸モノグリセライド(理研ビタミン社製、商
品名;MB400) ステアリンジエタノールアミン(理研ビタミン社製、商
品名;SE−165) (C)アルキレンビス飽和高級脂肪酸アミド エチレンビスステアリン酸アミド(日本化成社製、商品
名;スリパックスE) (D)電解質 アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ:ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム(東京化成工業社製)
【0125】〔比較物質〕エチレンビスオレイン酸アミ
ド(日本化成社製、商品名;スリパックスO)
【0126】つぎに本発明の帯電防止性樹脂組成物の製
造に用いた芳香族ビニル化合物−α−オレフィンランダ
ム共重合体、触媒、その関連化合物の合成例について説
明する。 <遷移金属化合物の合成A>rac−ジメチルメチレン
ビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウム
ジクロライド、(別名、rac−イソプロピリデンビス
(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジク
ロライド、rac{BInd−C(Me)2−BIn
d}ZrCl2)を以下の合成法で合成した。
【0127】4,5−ベンゾインデンはOrganom
etallics,13,964(1994)に従って
合成した。
【0128】〔A−1〕 1,1−イソプロピリデン−
4,5−ベンゾインデンの合成 1,1−イソプロピリデン−4,5−ベンゾインデンの
合成は、Can.J.Chem.,62,1751(1
984)に記載されている6,6−ジフェニルフルベン
の合成を参考に行った。ただし、出発原料はベンゾフェ
ノンの代わりにアセトンを、シクロペンタジエンの代わ
りに4,5−ベンゾインデンを用いた。
【0129】〔A−2〕 イソプロピリデンビス4,5
−ベンゾ−1−インデンの合成 Ar雰囲気下、21mmolの4,5−ベンゾインデン
を70mlのTHFに溶解し、0℃で、当量のBuLi
を加え、3時間攪拌した。1,1−イソプロピリデン−
4,5−ベンゾインデン21mmolを溶解したTHF
を加え、室温で一晩攪拌した。水100ml、ジエチル
エーテル150mlを加え振盪し、有機層を分離、飽和
食塩水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を減圧
下、留去した。得られた黄色固体をヘキサンで洗浄、乾
燥しイソプロピリデンビス4,5−ベンゾ−1−インデ
ンを3.6g(収率46%)得た。1H−NMRスペク
トル測定により、7.2〜8.0ppm(m、12
H)、6.65ppm(2H)、3.75ppm(4
H)、1.84ppm(6H)の位置にピークを有す
る。測定はTMSを基準とし、CDCl3を溶媒として
行なった。
【0130】〔A−3〕 rac−ジメチルメチレンビ
ス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジ
クロライドの合成 Ar雰囲気下、7.6mmolのイソプロピリデンビス
4,5−ベンゾ−1−インデンと7.2mmolのジル
コニウムテトラキスジメチルアミド、{Zr(NM
24}をトルエン50mlとともに仕込み、130℃
で10時間攪拌した。減圧下、トルエンを留去し、塩化
メチレン100mlを加え、−78℃に冷却した。ジメ
チルアミン塩酸塩14.4mmolをゆっくり加え室温
にゆっくり昇温し、2時間攪拌した。溶媒を留去後、得
られた固体をペンタン、続いて少量のTHFで洗浄し、
下記の式[化25]で表される黄燈色のrac−ジメチ
ルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニル)ジ
ルコニウムジクロライドを0.84g(収率21%)得
た。
【化25】
【0131】1H−NMRスペクトル測定により、8.
01ppm(m、2H)、7.75ppm(m、2
H)、7.69ppm(d、2H)、7.48〜7.5
8ppm(m、4H)、7.38ppm(d、2H)、
7.19ppm(d、2H)、6.26ppm(d、2
H)、2.42ppm(s、6H)の位置にピークを有
する。測定はTMSを基準とし、CDCl3を溶媒とし
て行なった。元素分析装置1108型(イタリア、ファ
イソンズ社製)を用いて元素分析を行い、C63.86
%、H3.98%の結果を得た。理論値はC65.39
%、H4.16%である。
【0132】<遷移金属化合物の合成B>rac−ジメ
チルメチレン(4,5−ベンゾ−1−インデニル)(1
−インデニル)ジルコニウムジクロライド、(別名、r
ac−イソプロピリデン(1−インデニル)(4,5−
ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロライド、
rac{Ind−C(Me)2−BInd}ZrCl2
を以下の合成法で合成した。
【0133】〔B−1〕 イソプロピリデン(1−イン
デン)(4,5−ベンゾ−1−インデン)の合成 Ar雰囲気下、14mmolのインデンを50mlのT
HFに溶解し、0℃で、当量のBuLiを加え、10時
間攪拌した。1,1−イソプロピリデン−4,5−ベン
ゾインデン13mmolを溶解したTHF10mlを加
え、室温で一晩攪拌した。水50ml、ジエチルエーテ
ル100mlを加え振盪し、有機層を分離、飽和食塩水
で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥し溶媒を減圧下、留去
した。カラムでさらに精製し、イソプロピリデン(1−
インデン)(4,5−ベンゾ−1−インデン)を2.5
g(収率59%)得た。
【0134】〔B−2〕 rac−ジメチルメチレン
(1−インデニル)(4,5−ベンゾ−1−インデニ
ル)ジルコニウムジクロリドの合成 Ar雰囲気下、6.5mmolのイソプロピリデン(1
−インデン)(4,5−ベンゾ−1−インデン)と6.
5mmolのジルコニウムテトラキスジメチルアミド、
{Zr(NMe24}をトルエン40mlとともに仕込
み、130℃で10時間攪拌した。減圧下、トルエンを
留去し、塩化メチレン100mlを加え、−78℃に冷
却した。ジメチルアミン塩酸塩13mmolをゆっくり
加え室温にゆっくり昇温し、2時間攪拌した。溶媒を留
去後、得られた固体をペンタン、続いて少量の塩化メチ
レンで洗浄し、下記の式[化26]で表される燈色のr
ac−ジメチルメチレン(1−インデニル)(4,5−
ベンゾ−1−インデニル)ジルコニウムジクロリドを
0.76g(収率24%)得た。
【化26】
【0135】1H−NMRスペクトル測定により、7.
05〜8.04ppm(m、10H、但し、7.17p
pmのピークを除く)、7.17ppm(d、H)、
6.73ppm(d、H)、6.25ppm(d、
H)、6.18ppm(d、H)、2.41ppm
(m、3H)、2.37ppm(m、3H)の位置にピ
ークを有する。測定はTMSを基準とし、CDCl3
溶媒として行なった。
【0136】<遷移金属触媒成分の合成C>rac−ジ
メチルメチレンビス(3−シクロペンタ〔c〕フェナン
スリル)ジルコニウムジクロライド(別名、rac{C
pPhen−CMe2−CpPhen}ZrCl2)を以
下のように合成した。なお、CpPhenは3−シクロ
ペンタ〔c〕フェナンスリル)を表す。
【0137】1Hまたは3H−シクロペンタ[c]フェナ
ンスレンは、文献Organometallics,
,3413(1997)の方法に従い合成した。
【0138】〔C−1〕 イソプロピリデンビス(シク
ロペンタ[c]フェナンスレン) Ar雰囲気下、32mmolの1Hまたは3H−シクロ
ペンタ[c]フェナンスレンを水酸化カリウム3.0gを
懸濁した40mlのジメトキシエタンに添加し、室温で
30分間攪拌後、アセトンを15mmol加え、60℃
で2時間攪拌した。10%リン酸水を加え中和した後に
塩化メチレンで抽出し、有機相を水洗、乾燥し、塩化メ
チレンを留去した。塩化メチレン−ジエチルエ−テル溶
液中からの再結晶化により、白色結晶イソプロピリデン
ビス(シクロペンタ[c]フェナンスレン)を1.5g得
た。
【0139】1H−NMRスペクトル測定により、1.
93ppm(6H、s)、4.20ppm(4H、
d)、6.89ppm(2H、t)、7.5〜7.9p
pm(14H、m)、8.91ppm(2H、d)の位
置にピークを有する。測定は、TMSを基準としCDC
3を溶媒として行なった。
【0140】〔C−2〕 rac−ジメチルメチレンビ
ス(3−シクロペンタ〔c〕フェナンスリル)ジルコニ
ウムジクロライドの合成 Ar気流下、2.0mmolのイソプロピリデンビス
(シクロペンタ[c]フェナンスレン)と2.0mmol
のジルコニウムテトラキスジメチルアミド、{Zr(N
Me24}をトルエン20mlとともに仕込み、リフラ
ックス下7時間攪拌した。減圧下、トルエンを留去し、
塩化メチレン50mlを加え、−50℃に冷却した。ジ
メチルアミン塩酸塩4.0mmolをゆっくり加え室温
にゆっくり昇温し、さらに2時間攪拌した。溶媒を留去
後、得られた固体をペンタン、続いて少量の塩化メチレ
ンで洗浄し、meso体及び配位子を除去し、下記の式
[化27]で表されるrac−ジメチルメチレンビス
(3−シクロペンタ〔c〕フェナンスリル)ジルコニウ
ムジクロライドの黄燈色結晶を0.36g得た。
【0141】
【化27】
【0142】1H−NMRスペクトル測定により、2.
55ppm(6H、s)、6.49ppm(2H、
d)、7.55〜8.02ppm(16H、m)、8.
82ppm(2H、d)の位置にピークを有する。測定
は、TMSを基準としCDCl3を溶媒として行なっ
た。
【0143】<遷移金属化合物の合成D>特開平7−0
53168号公報を参考に、CGCT(拘束幾何構造)
型Ti錯体(第3級ブチルアミド)ジメチル(テトラメチ
ル−η5−シクロペンタジエニル)シランチタンジクロ
ライド、別名{CpMe4−SiMe2−NtBu}Ti
Cl 2を合成した。
【0144】<スチレン−エチレンランダム共重合体の
合成> 〔実験例1〕 共重合体P−1の合成 容量150L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付きの
重合缶を用いて重合を行った。脱水したシクロヘキサン
70L、脱水したスチレン2Lを仕込み、内温40℃に
て加熱攪拌した。トリイソブチルアルミニウム84mm
ol、メチルアルモキサン(東ソーアクゾ社製PMA
O)をAl基準で84mmol加えた。直ちにエチレン
を導入し、圧力1MPaで安定した後に、重合缶上に設
置した触媒タンクから、前記合成例で得た触媒rac−
ジメチルメチレンビス(4,5−ベンゾ−1−インデニ
ル)ジルコニウムジクロライド78μmolを溶解した
トルエン溶液約100mLを重合缶に加えた。直ちに発
熱が始まったため、ジャケットに冷却水を導入した。内
温は最高66℃まで上昇。その後徐々に降下し、最終的
に60℃となった。エチレン圧は1MPaに維持しなが
ら0.5時間重合を実施した。激しく攪拌し、85℃に
加熱した分散剤を含む150Lの加熱水中に、重合液を
1時間かけてフィードした。その後、97℃で1時間攪
拌した後に、クラムを含む熱水を冷水中にフィードし
て、クラムを回収した。得られたクラムを50℃で送風
乾燥した。重合の結果を表2に示した。乾燥されたクラ
ムは、ホットカットペレタイザー付きタンデム押出機
(ビュッス社製コニーダーPLK−46)にてペレット
形状とした。運転は下記条件で行った。 第1押出機:シリンダー温度80℃、スクリュー回転数
120rpm。 第2押出機:シリンダー温度120℃、ダイス135
℃、スクリュー回転数22rpm。
【0145】〔実験例2〜6〕 共重合体P−2〜P−6の合成 表1に示す条件で、実験例1と同様に重合、後処理を行
った。但し助触媒メチルアルモキサンは、PMAOに代
えて東ソーアクゾ社製のMMAOを使用した。表2に各
実験例、比較実験例で得られた共重合体の1H−NMR
測定から求めたスチレン含量、GPC測定から得られた
分子量、分子量分布、13C−NMR測定から求めたスチ
レンーエチレン交互構造のタクティシティ、λ値、DS
C測定で得られた融点を示す。
【0146】〔実験例7〕 共重合体P−7の合成 容量10L、攪拌機及び加熱冷却用ジャケット付のオー
トクレーブを用いて重合を行った。脱水したトルエン
2.4L、脱水したスチレン2.4Lを仕込み、内温5
0℃に加熱攪拌した。窒素を約100Lバブリングして
系内をパージし、トリイソブチルアルミニウム(TIB
A)8.4mmol、メチルアルモキサン(東ソーアク
ゾ社製、PMAO)をAl基準で8.4mmol加え
た。ただちにエチレンを導入し、圧力10Kg/cm2
Gで安定した後に、オートクレーブ上に設置した触媒タ
ンクから、触媒rac{CpPhen−C(Me)2
CpPhen}ZrCl2を8.4μmol、トリイソブ
チルアルミニウム8.4mmolを溶かしたトルエン溶
液約50mlをオートクレーブに加えた。内温を50
℃、エチレン圧を10Kg/cm2 G(1.1MPa)
に維持しながら1時間重合を実施した。重合中は、反応
液温及びエチレンの消費速度を流量積算計によりモニタ
ーして、重合反応が実質的に終了するまで重合を実施し
た。重合終了後、得られた重合液を激しく攪拌した過剰
のメタノール中に少量ずつ投入し生成したポリマーを析
出させた。減圧下、60℃で重量変化が認められなくな
るまで乾燥したところ、スチレン含量17.4モル%の
共重合体409gを得た。結果を表2に示した。
【0147】〔実験例8〕 共重合体CP−1の合成 触媒をCGCT(拘束幾何構造)型Ti錯体(第3級ブ
チルアミド)ジメチル(テトラメチル−η5−シクロペ
ンタジエニル)シランチタンジクロライド(Me4Cp
−SiMe2−NtBuTiCl2:CGCT型触媒)を
用い、表1に示す条件下、重合を実施した。
【0148】〔比較例1〜8〕実験例1〜8で得られた
各重合体P−1〜P−7およびCP−1を用い、前記の
方法で加熱プレス成形を行い、成形品を得た。評価結果
を表3に示す。
【0149】〔実施例1〜11〕実験例1〜8で得られ
た各重合体P−1〜P−7およびCP−1を用い、表4
に示した配合量に従い、帯電防止剤(B)、エチレンビ
ス高級脂肪酸アミド(C)及び電解質(D)とブラベン
ダープラスチコーダー(ブラベンダー社製PLE331
型)にて溶融混練(外温180℃、回転数60RPM、
時間10分間)を行い、組成物を得た。得られた組成物
を前記の方法でインフレーション法にてフィルムを得
た。評価結果を表4に示す。なお、滑性は新東科学
(株)性、静摩擦係数測定機を用いて傾斜速さ2.7度
/秒で滑走斜度を変化して行ったときのフィルムの滑り
出し角度(移動ブロック:200g)をtanθの値で
表した。ブロッキング性はフィルムサンプルを縦方向
(インフレーション成形時の)2cm幅で切り出し、内
面同士の末端部分をオーバーラップさせて相対し、0.
5kg/cm2の荷重下で60℃×5h養生した後,オ
リエンテック社製引張試験機を用いてチャック間150
mmとし、500mm/minで引張り、オーバーラッ
プさせた部分が剥がれるまでの距離を伸び率(%)と
し、最大荷重をブロッキング強度とした。実施例1〜1
1のいずれもtanθは0.4〜0.6の範囲で良好で
あり、ブロッキング性も低く押さえられていた。
【0150】〔実施例12〜17〕実験例1〜8で得ら
れた各重合体P−1〜P−7およびCP−1を用い、表
5に示した配合量に従い、帯電防止剤(B)、エチレン
ビス高級脂肪酸アミド(C)及び電解質(D)とブラベ
ンダープラスチコーダー(ブラベンダー社製PLE33
1型)にて溶融混練(外温180℃、回転数60RP
M、時間10分間)を行い、組成物を得た。前記の方法
で加熱プレス成形を行い、成形品を得た。評価結果を表
5に示す。実施例12〜17のいずれも機械的性質のバ
ランスが低下せず、帯電防止性も良好であった。
【0151】〔比較例9〜12〕実験例2で得られた共
重合体P−2を用い、表6に示した配合量に従い、帯電
防止剤(B)、エチレンビス高級脂肪酸アミド(C)及
び電解質(D)とブラベンダープラスチコーダー(ブラ
ベンダー社製PLE331型)にて溶融混練(外温18
0℃、回転数60RPM、時間10分間)を行い、組成
物を得た。実施例1〜9と同様にしてインフレーション
法にてフィルムを成形品を得た。評価結果を表6に示
す。表面固有抵抗値が良好なものもあったが、フィルム
が滑りすぎる傾向が見られた。
【0152】
【表1】
【0153】
【表2】
【0154】
【表3】
【0155】
【表4】
【0156】
【表5】
【0157】
【表6】
【0158】
【発明の効果】本発明により機械的強度及び成形性に優
れ、なおかつ層状剥離性がなく、安定した帯電防止性を
有する樹脂組成物およびそれを成形して得られる、フィ
ルム、容器、ハウジング材が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/20 C08K 5/20 Fターム(参考) 4F071 AA14X AA15X AA22X AA51 AA54 AA57 AA60 AC12 AF38 AH04 BA01 BB06 BC01 4J002 BB00W BB00X BB04W BC00W BC02X BC04W CF00Y CH01Y CL08Y CM04Y EF058 EN126 EP016 EP027 EU116 EV258 EW048 FD10Y FD106 GF00 GG00 4J028 AA01A AB01A AC10A AC23A AC28A BA00A BA01B BB00A BB01B BC15B BC25B EA01 EB02 EB21 EC02 FA02 GA01 GA14

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ビニル化合物含量がモル分率で1
    〜99%である芳香族ビニル化合物−α−オレフィンラ
    ンダム共重合体を5重量%以上含む樹脂成分(A)10
    0重量部と、帯電防止剤(B)を0.01〜20重量部
    と、アルキレンビス飽和高級脂肪酸アミド(C)0.0
    1〜5重量部とを含んでなることを特徴とする帯電防止
    性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 芳香族ビニル化合物含量がモル分率で1
    〜99%である芳香族ビニル化合物−α−オレフィンラ
    ンダム共重合体を5重量%以上含む樹脂成分(A)10
    0重量部と、帯電防止剤(B)を0.01〜20重量部
    と、アルキレンビス飽和高級脂肪酸アミド(C)を0.
    01〜5重量部と、さらに有機電解質または無機電解質
    の中から選ばれた少なくとも1種の電解質(D)を0.
    01〜10重量部含んでなることを特徴とする帯電防止
    性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 芳香族ビニル化合物−α−オレフィンラ
    ンダム共重合体が、下記の式(i)で与えられる交互構
    造指数λが1より大きく70より小さいことを特徴とす
    る請求項1または2に記載の帯電防止性樹脂組成物。 λ=A3/A2×100 ・・・・・・ 式(i) ここでA3は、13C−NMR測定により得られる、下記
    の一般式[化1]で示される芳香族ビニル化合物−α−
    オレフィン交互構造に由来するa、b、c3種類の炭素
    のピーク面積の総和である。またA2はTMSを基準と
    した13C−NMRにより0〜50ppmの範囲に観測さ
    れる主鎖メチレン及び主鎖メチン炭素に由来するピーク
    の面積の総和である。 【化1】 (式中、Phは芳香族基、xは繰り返し単位数を示し2
    以上の整数を表わす。)
  4. 【請求項4】 芳香族ビニル化合物−α−オレフィンラ
    ンダム共重合体が、その構造中に、芳香族ビニル化合物
    がヘッド−テイルで2個以上結合した連鎖構造を有する
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の
    帯電防止性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 樹脂成分(A)に含まれる芳香族ビニル
    化合物−α−オレフィンランダム共重合体がスチレン−
    エチレンランダム共重合体であることを特徴とする請求
    項1〜4のいずれか1項に記載の帯電防止性樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】 スチレン−エチレンランダム共重合体
    が、その構造中に含まれる下記の一般式[化2]で示さ
    れるスチレンユニットとエチレンユニットの交互構造の
    フェニル基の立体規則性が下記の式(ii)で与えられ
    るアイソタクティックダイアッド分率mで0.5より大
    きく1以下であることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れか1項に記載の帯電防止性を有する樹脂組成物。 m=Am/(Ar+Am) ・・・・・・ 式(ii) ここでAm、ArはそれぞれTMSを基準とした13C−N
    MRにより25ppm付近に現れるメチレン炭素のm構
    造に由来するピーク面積、r構造に由来するピーク面積
    を示す。 【化2】 (式中、Phはフェニル基、xは繰り返し単位数を示し
    2以上の整数を表わす。)
  7. 【請求項7】 スチレン−エチレンランダム共重合体が
    その構造中に含まれるスチレンユニットの連鎖構造のフ
    ェニル基の立体規則性がアイソタクティックであること
    を特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の帯電防
    止性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 芳香族ビニル−α−オレフィンランダム
    共重合体が、下記の一般式[化3]で示される遷移金属
    化合物と助触媒を用いて製造されることを特徴とする請
    求項1〜7のいずれか1項に記載の帯電防止性を有する
    樹脂組成物。 【化3】 (式中、A、Bは非置換もしくは置換シクロペンタフェ
    ナンスリル基、非置換もしくは置換ベンゾインデニル
    基、非置換もしくは置換シクロペンタジエニル基、非置
    換もしくは置換インデニル基、または非置換もしくは置
    換フルオレニル基から選ばれる基であり、少なくとも
    A、Bのうちの一方は、非置換もしくは置換シクロペン
    タフェナンスリル基、非置換もしくは置換ベンゾインデ
    ニル基、または非置換もしくは置換インデニル基から選
    ばれる基である。A、B共に非置換もしくは置換シクロ
    ペンタフェナンスリル基、非置換もしくは置換ベンゾイ
    ンデニル基または非置換もしくは置換インデニル基であ
    る場合は、両者の構造は同一でも異なっていてもよい。
    YはA、Bと結合を有し、他に水素あるいは炭素数1〜
    15の炭化水素基を有するメチレン基、シリレン基また
    はエチレン基である。置換基は互いに異なっていても同
    一でもよい。またYは環状構造を有していてもよい。X
    は、水素、ハロゲン、炭素数1〜15のアルキル基、炭
    素数6〜10のアリル基、炭素数8〜12のアルキルア
    リール基、炭素数1〜4の炭化水素置換基を有するシリ
    ル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、または炭素数1
    〜6のアルキル置換基を有するジアリルアミド基であ
    る。Mはジルコニウム、ハフニウムまたはチタンであ
    る。)
  9. 【請求項9】 樹脂成分(A)がオレフィン系樹脂、ス
    チレン系樹脂、および、前記の芳香族ビニル化合物がモ
    ル分率で1〜99%である芳香族ビニル化合物−α−オ
    レフィンランダム共重合体以外の芳香族ビニル化合物−
    α−オレフィン共重合体から選ばれた少なくとも1種以
    上の樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれ
    か1項に記載の帯電防止性樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 帯電防止剤(B)が低分子帯電防止性
    化合物および高分子帯電防止性化合物から選ばれる少な
    くとも1種であることを特徴とする請求項1〜9のいず
    れか1項に記載の帯電防止性樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 高分子帯電防止性化合物がポリエーテ
    ルアミド、ポリエーテルエステル、ポリエーテルエステ
    ルアミド、ポリアミドイミドエラストマーから選ばれた
    1種または2種以上の組合わせからなることを特徴とす
    る請求項1〜10のいずれか1項に記載の帯電防止性樹
    脂組成物。
  12. 【請求項12】 低分子帯電防止性化合物が非イオン系
    界面活性剤、アミン系界面活性剤、両性イオン系界面活
    性剤から選ばれた1種または2種以上であることを特徴
    とする請求項1〜10のいずれか1項記載の帯電防止性
    樹脂組成物。
  13. 【請求項13】 アルキレンビス飽和高級脂肪酸アミド
    (C)がエチレンビスステアリン酸アミドであることを
    特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の帯電
    防止性樹脂組成物。
  14. 【請求項14】 電解質(D)がアルキルスルホン酸塩
    であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項
    に記載の帯電防止性樹脂組成物。
  15. 【請求項15】 請求項1〜14のいずれか1項に記載
    の帯電防止性樹脂組成物を成形してなることを特徴とす
    る成形体。
  16. 【請求項16】 成形体がフィルムまたはシートである
    ことを特徴とする請求項15に記載の該成形体。
  17. 【請求項17】 押出成形、射出成形、圧縮成形、ブロ
    ー成形、回転成形、カレンダー成形、熱成形およびキャ
    スト成形から選ばれた少なくとも1種の成形法で得られ
    ることを特徴とする請求項15に記載の成形体。
  18. 【請求項18】 表面固有抵抗値が1014Ω以下である
    ことを特徴とする請求項15〜17のいずれか1項記載
    の帯電防止性成形体。
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