JP2000114093A - 誘電体薄膜およびセラミックコンデンサ - Google Patents

誘電体薄膜およびセラミックコンデンサ

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JP2000114093A JP10276195A JP27619598A JP2000114093A JP 2000114093 A JP2000114093 A JP 2000114093A JP 10276195 A JP10276195 A JP 10276195A JP 27619598 A JP27619598 A JP 27619598A JP 2000114093 A JP2000114093 A JP 2000114093A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鉛を含有せず、高誘電率、低損失でかつ静電容
量の温度変化率が小さく、低温で作製でき、かつ高周波
領域においても比誘電率が大きい誘電体薄膜およびセラ
ミックコンデンサを提供する。 【解決手段】金属元素としてK、Sr、CaおよびNb
を含むタングステンブロンズ型複合酸化物からなる誘電
体薄膜であって、金属元素酸化物のモル比による組成式
をK(Sr1-x Cax 2 Nb5 15と表した時、xが
0<x≦0.25を満足するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は誘電体薄膜および誘
電体薄膜を用いたセラミックコンデンサに関するもので
ある。
【0002】
【従来技術】近年、電子機器の小型、薄形化に伴い、電
子部品の小型化、薄膜化が要求されている。特に受動部
品であるコンデンサの小型、薄形化は必須となってい
る。また、コンピュータ等の高速デジタル回路を用いた
電子機器は高周波化の流れにあり、数10MHzから数
100MHzの動作周波数帯域が重要になってきてい
る。これにともない、コンデンサ等の受動部品も高周波
もしくは高速デジタルパルスに対して優れた特性を示す
ことが必須になってきている。
【0003】また、近年、鉛化合物の環境への影響の大
きさから、鉛を含有しない高容量コンデンサが望まれて
いる。
【0004】従来、ペロブスカイト構造を持つTi化合
物であるBaTiO3 は、比誘電率が大きく、温度特性
が良好なため、コンデンサ材料として有用であることが
知られている。また、2種以上の金属からなる複合ペロ
ブスカイト酸化物、特にPb(Mg1/3 Nb2/3 )O3
(以下、PMNという)は室温で大きな比誘電率を有す
るため、コンデンサ材料として有用であることが知られ
ている。
【0005】近年、上記BaTiO3 、PMN等の高誘
電率材料を薄膜化し、薄膜コンデンサに応用しようとさ
れているが、従来の固相焼結法では膜厚はせいぜい10
μm程度であった。
【0006】またPMNにおいては、薄膜においても固
相焼結法による焼結体と同様、低温で安定なパイロクロ
ア相が生成し易く、ほぼペロブスカイト単相からなる膜
を得るのが困難となり、コンデンサ材料として不適当な
場合が多い。特に薄膜化する場合、下部電極との格子の
不整合および化学結合の相違等でパイロクロア相が生成
し易いという問題がある言われており(例えば、特開平
6−57437号公報参照)、パイロクロア相の少ない
ペロブスカイト単相のPMN薄膜を得るのが困難であっ
た。
【0007】これらのパイロクロア相生成の問題を解決
する手法として、ゾルゲル法で作製されたPMN薄膜に
おいては、急速昇温焼成(特開平2−177521号公
報参照)やシーディング法(特開平6−57437号公
報参照)等の種々の手法が提案されており、ペロブスカ
イト単相に近いPMN薄膜が得られている。
【0008】また、近年、タングステンブロンズ構造を
もつ材料を薄膜化し、機能性材料を得ようとする報告が
ある。タングステンブロンズ構造は異方性が大きく緻密
な膜を作製するのが困難であると考えられていたが、ゾ
ルゲル法等の化学的手法を用いて、(100)配向した
白金が形成されたMgO基板上に配向膜を作製すること
により、緻密な膜が得られるとの報告がある。また、K
(Sr0.75Ba0.252 Nb5 15材料を(100)配
向した白金が形成されたMgO基板上に薄膜化すること
により、高誘電率膜が得られると報告している(Japane
se Journal ofApplied Physics,Vol.36,pp.5930〜5934,
(1997) . )。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、典型的
なコンデンサ材料であるBaTiO3 は1KHz程度の
低周波数においては大きな比誘電率を示し、コンデンサ
材料として優れた材料であるが、周波数分散が大きいた
め、高周波領域における比誘電率の減少が大きく、高周
波領域では高誘電率材料として使えないと考えられてき
た(特開平6−77083号公報参照)。
【0010】また、BaTiO3 は粒子サイズによって
物性が大きく異なり、1μm程度の粒子サイズにおいて
は高誘電率を示すが、粒子サイズが1μmより小さくな
ると、比誘電率は粒子サイズとともに単調に減少する。
薄膜においては粒子サイズが1μmより小さいため、バ
ルク体と同程度の大きな比誘電率を示す薄膜は得られな
いという問題があった。
【0011】さらに、粒子サイズを大きくするために
は、1000℃を越す高温焼成が必要であり、基板、電
極との反応が起こり低誘電率相が界面に生成するため、
粒子サイズを大きくしても、バルク体のような高誘電率
を示す薄膜コンデンサを得ることができないという問題
があった。
【0012】また、PMNは薄膜においても大きな比誘
電率を示す優れたコンデンサ材料であるが、鉛が主成分
であり、鉛を多く含有するため、環境への影響が大きい
という問題があった。
【0013】さらに、上記したタングステンブロンズ構
造のK(Sr0.75Ba0.252 Nb5 15材料では、測
定周波数10kHz(室温)における比誘電率が200
0程度と大きいものの、誘電損失が12%程度と大き
く、また、DCバイアス印加に対する比誘電率の減少が
大きく、これにより、上記材料によりセラミックコンデ
ンサを作製した場合には、実際に使用される際の実効的
な静電容量が小さくなるという問題があった。
【0014】本発明は、鉛を含有せず、高誘電率、低損
失で静電容量の温度変化率が小さく、かつDCバイアス
印加に対する比誘電率の減少が小さく、高周波領域にお
いても比誘電率が大きい誘電体薄膜およびセラミックコ
ンデンサを提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
ついて鋭意検討した結果、結晶学的異方性が大きいK
(Sr1-x Ca)2 Nb5 15をc軸配向させた膜を作
製することにより、コンデンサ構造において大きな比誘
電率を保ったまま温度特性の良好な薄膜材料を得ること
ができることを見い出し、本発明に至った。
【0016】即ち、本発明の誘電体薄膜は、金属元素と
してK、Sr、CaおよびNbを含むタングステンブロ
ンズ型複合酸化物からなる誘電体薄膜であって、前記金
属元素酸化物のモル比による組成式をK(Sr1-x Ca
x 2 Nb5 15と表した時、前記xが0<x≦0.2
5を満足することを特徴とする。ここで、膜厚が2μm
以下であることが望ましい。また、X線回折における
(001)面のピーク強度I(001) と(211)面のピ
ーク強度I(211) のピーク強度比I(001) /I(2 11)
30以上であることが望ましい。また、測定周波数1k
Hz(室温)における比誘電率が800以上であり、測
定周波数100MHz(室温)における比誘電率が70
0以上であることが望ましい。
【0017】本発明のセラミックコンデンサは、上記誘
電体薄膜の両面に一対の電極を対向して形成してなるも
のである。
【0018】
【作用】本発明の誘電体薄膜では、結晶学的異方性が大
きいが、c 軸方向に高誘電率を示し、700℃のような
低温で誘電活性の大きい結晶相が生成するタングステン
ブロンズKSr2 Nb5 15のSrの一部をCaで置換
し、c軸配向した薄膜で形成することにより、高誘電率
で低損失かつ温度特性に優れた誘電体薄膜が得られ、こ
のような誘電体薄膜を700℃のような低温で得ること
ができる。
【0019】また、薄膜にすることにより、タングステ
ンブロンズ型複合酸化物の平均結晶粒径が0.1〜0.
2μmのオーダに小さくなり、より常誘電体的性質が支
配的になるため、静電容量の温度特性およびDCバイア
ス特性を良好とすることができる。
【0020】さらに、100MHzのような高周波にお
いても、薄膜化により強誘電性の起源であるマクロな自
発分極が小さくなるために自発分極に起因する誘電率の
周波数分散が小さく、高周波においても大きな比誘電率
を示す。
【0021】本発明のセラミックコンデンサでは、上記
したような優れた特性を有する誘電体薄膜の両面に、例
えば、白金(Pt)、金(Au)、パラジウム(Pd)
薄膜である一対の電極を対向して形成することにより、
高周波においても高容量で優れた薄膜コンデンサを得る
ことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の誘電体薄膜は、金属元素
としてK、Sr、CaおよびNbを含むタングステンブ
ロンズ型複合酸化物からなる誘電体薄膜であって、前記
金属元素酸化物のモル比による組成式をK(Sr1-x
x 2 Nb5 15と表した時、前記xが0<x≦0.
25を満足するものである。ここで、Ca量を示すxを
0.25以下としたのは、xが0.25より大きくなる
と室温での比誘電率が急激に小さくなるとともに、膜が
多孔質になるためである。比誘電率を向上するにはxの
範囲は0.05≦x≦0.20が望ましい。
【0023】また、本発明の誘電体薄膜は、膜厚が2μ
m以下であることが望ましい。ここで、膜厚が2μm以
下の誘電体薄膜としたのは、これより厚くなると工程数
が増加し、また、コンデンサを構成した場合、容量が小
さくなるからである。誘電体薄膜の膜厚は、製造の容易
性、膜質向上の点から1μm以下が望ましく、さらに膜
の絶縁性を考慮すると特に0.3〜1μmが望ましい。
【0024】さらに、本発明の誘電体薄膜では、測定周
波数1kHz(室温)における比誘電率が800以上で
あり、測定周波数100MHz(室温)における比誘電
率が700以上であることが望ましい。これは、高周波
用途のセラミックコンデンサにも対応できるからであ
る。
【0025】また、本発明の誘電体薄膜は、基板表面に
垂直な方向に散乱ベクトルを維持して測定した回折プロ
ファイルにおいて、(001)回折ピークと(211)
回折ピークの強度比I(001) /I(211) を(001)優
先配向度と定義した時、(001)優先配向度が30以
上である。つまり、Cu−Kα線を用いたx線回折測定
において、(001)面のピーク強度I(001) と(21
1)面のピーク強度I(211) のピーク強度比I(001)
(211) が30以上であることが望ましい。
【0026】この様に、(001)優先配向した粒子の
割合を示す優先配向度を30以上としたのは、タングス
テンブロンズは異方性が大きくc軸から外れた比誘電率
が1桁〜2桁c軸方向の比誘電率より小さいため、優先
配向度が30未満となり配向していない粒子の割合が増
えると、全体の比誘電率が急激に小さくなるためであ
る。比誘電率を向上するという点から、ピーク強度比I
(001) /I(211) は100以上であることが望ましい。
【0027】また、本発明のセラミックコンデンサは、
上記した誘電体薄膜の両面に一対の電極を対向して形成
してなるものである。尚、本発明のコンデンサは、誘電
体薄膜と電極とを交互に積層した積層セラミックコンデ
ンサを含む概念である。
【0028】コンデンサの電極としては、(100)お
よび(111)配向した白金(Pt)、金(Au)、パ
ラジウム(Pd)薄膜等があり、これらのうちでも(1
11)配向した白金(Pt)と金(Au)薄膜が最適で
ある。Pt、Auは膜との反応性が小さく、また酸化さ
れにくいため、膜との界面に低誘電率相が形成されにく
いからである。
【0029】(111)優先配向としたのは、(11
1)優先配向したPtもしくはAu薄膜は、下地基板が
ガラスであっても実現でき、基板の結晶性を選ばないと
いう点で優れている。また、(111)配向Ptもしく
はAu上に、本発明の誘電体薄膜がc軸配向しやすいた
めであり、このようにc軸配向することによって誘電体
薄膜の誘電特性が最大限に発揮される。
【0030】(111)優先配向した白金(Pt)薄膜
とは、配向性または単結晶的白金(Pt)薄膜であり、
配向性を有するPt薄膜とは、結晶軸のうち一つの軸が
膜表面に近似的に垂直な方向に揃った膜であり、単結晶
的Pt薄膜とは3つの結晶軸が全て揃った膜である。こ
のような電極は、スパッタ蒸着やレーザ蒸着法等物理的
蒸着において、電極が形成される基板温度を450℃以
上とすることにより得られるもので、これらのうちで
も、基板温度を450℃以上としたスパッタ蒸着が望ま
しい。
【0031】また、金属薄膜を蒸着する基板としては、
アルミナ磁器、またはサファイア、MgO単結晶、Sr
TiO3 単結晶、チタン被覆シリコン等の単結晶、ある
いは銅(Cu)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、
スズ(Sn)、ステンレススティール(SUS)等の薄
板やこれらの金属薄膜を有する基板が望ましい。特に、
薄膜との反応性が小さく、安価で硬度が大きく、かつ金
属薄膜の結晶性という点からアルミナ、サファイアが望
ましい。
【0032】本発明のセラミックコンデンサは、例え
ば、Pt、Au、Pd等を基板上にスパッタ法、蒸着
法、グラビア印刷等の手法により成膜して下部電極を形
成し、この下部電極膜の表面に、上記誘電体薄膜を上記
方法で成膜して形成し、この後に誘電体薄膜表面に下部
電極と同様にして上部電極を成膜することにより得られ
る。また、積層セラミックコンデンサは誘電体薄膜と電
極とを交互に積層することにより得られる。
【0033】本発明の誘電体薄膜は、例えば、以下のよ
うなゾルゲル法で作製される。先ず、塗布溶液として
K、Sr、Ca、およびNbの有機金属化合物が均一に
溶解した前駆体溶液を調製する。
【0034】Srの有機酸塩、無機塩、アルコキシドか
ら選択される少なくとも1種のSr化合物を酢酸(CH
3 COOH)もしくはR1 OH、R2 OC2 4 OH、
3COOH(R1 、R2 、R3 :炭素数1以上のアル
キル基)で示される溶媒に混合する。混合後、所定の操
作を行い、他の求核性の有機金属化合物の存在下におい
ても安定なSr溶液を合成する。
【0035】Caの有機酸塩、無機塩、アルコキシドか
ら選択される少なくとも1種のCa化合物を酢酸(CH
3 COOH)もしくはR1 OH、R2 OC2 4 OH、
3COOH(R1 、R2 、R3 :炭素数1以上のアル
キル基)で示される溶媒に混合する。混合後、所定の操
作を行い、他の求核性の有機金属化合物の存在下におい
ても安定なCa溶液を合成する。
【0036】次に、Kの有機酸塩、無機塩、アルコキシ
ドから選択される少なくとも1種のK化合物を酢酸(C
3 COOH)もしくはR1 OH、R2 OC2 4
H、R3 COOH(R1 、R2 、R3 :炭素数1以上の
アルキル基)で示される溶媒に混合し、K溶液を合成す
る。
【0037】次に、Nbの有機酸塩、アルコキシド等か
ら選択される1種のNb化合物を酢酸(CH3 COO
H)もしくはR1 OH、R2 OC2 4 OH、R3 CO
OH(R1 、R2 、R3 :炭素数1以上のアルキル基)
で示される溶媒に混合し、Nb溶液を作製する。
【0038】作製したSr溶液、Ca溶液及びK溶液を
K:Sr:Ca=1:2−2x:2xのモル比で混合
し、アセチルアセトン等のキレート剤をK−Sr−Ca
溶液の金属量の0.5倍量以上2.5倍量以下加え、混
合する。
【0039】作製したK−Sr−Ca溶液とNb溶液を
K−Sr−Ca:Nb=3:5のモル比で混合し、K−
Sr−Ca−Nb前駆体溶液(塗布溶液)とする。作製
した塗布溶液を基板上にスピンコート法、ディップコー
ト法、スプレー法等の手法により成膜する。
【0040】成膜後、300〜600℃の温度で0.5
〜5分間有機物分解除去熱処理を行い、膜中に残留した
有機物を燃焼させゲル膜とする。次に700〜1000
℃で1〜30分間結晶化熱処理を行う。1回の膜厚は
0.2μm以下が望ましい。
【0041】成膜−熱処理を所定の膜厚になるまで繰り
返す。最後に、700℃〜1000℃で焼成を行っても
良い。得られた誘電体薄膜の膜厚は2μm以下である
が、これより厚くなると工程数が増加し、また、コンデ
ンサを構成した場合、容量が小さくなるからである。
【0042】また、X線回折における(001)面のピ
ーク強度I(001) と(211)面のピーク強度I(211)
のピーク強度比I(001) /I(211) を30以上とするた
めには、700〜1000℃で1分〜30分間結晶化熱
処理を行う回数により制御することができる。つまり、
成膜工程、有機物分解除去熱処理工程、結晶化熱処理を
6回繰り返して形成された誘電体薄膜は、成膜工程、有
機物分解除去熱処理工程を2回繰り返した後、結晶化熱
処理工程を行う作業を3回繰り返して形成された誘電体
薄膜よりもピーク強度比I(001) /I(211) が大きくな
るのである。
【0043】尚、本発明の誘電体薄膜では、Cu−Kα
線を用いたX線回折測定において、(001)面のピー
クは2θ=22.8度付近、(211)面のピークは2
θ=28度付近に生じる。
【0044】
【実施例】実施例1 酢酸Sr0.5水和物を秤量し、酢酸中で還流操作(1
18℃で1時間)を行い、0.5M(mol/l)濃度
のSr溶液を合成した。
【0045】次にKエトキシドを酢酸に室温で混合、溶
解し、0.5M濃度のK溶液を作製し、Caエトキシド
を酢酸に室温で混合、溶解し、0.5M濃度のCa溶液
を作製し、Nbエトキシドを酢酸に室温で混合、溶解
し、0.5M濃度のNb溶液を作製した。
【0046】K溶液と、Sr、Ca溶液を、K:Sr:
Ca=1:1.6:0.4のモル比率で混合し、その
後、アセチルアセトンをK−Sr−Ca溶液の全金属量
の1倍量添加後、室温で10分間撹拌し、安定化させ
た。
【0047】K−Sr−Ca溶液とNb溶液をK−Sr
−Ca:Nb=3:5となるように混合し、10分間室
温で撹拌することにより、0.5M濃度のK(Sr0.80
Ca0.202 Nb5 15前駆体溶液(塗布溶液)を合成
した。
【0048】サファイア単結晶基板上に650℃でスパ
ッタ蒸着された(111)面がでたPt薄膜電極の表面
に、前記塗布溶液をスピンコータで塗布し、乾燥させた
後、330℃で有機物分解除去熱処理を1分間行い、続
いて700℃で4分間結晶化熱処理をおこなった。塗布
溶液の塗布、有機物分解除去熱処理、結晶化熱処理を1
2回繰り返し、膜厚0.92μmのK(Sr0.80Ca
0.202 Nb5 15薄膜を得た。
【0049】サファイア基板の逆格子を基準にして散乱
ベクトルが基板表面に常に垂直になるように、Cu−K
α線を用いたX線回折測定を行うことにより、得られた
薄膜が基板表面に対して垂直にc軸配向しているタング
ステンブロンズ構造をもつ薄膜であることを確認した。
【0050】(002)ピークにおいて結晶のみを回転
させてロッキングカーブをとると半値幅で約5度のモザ
イク度であった。また(211)ピークにおいて結晶の
みを回転させてロッキングカーブをとり、優先配向に起
因するピークが存在しないことを確認した。配向した粒
子に起因した(001)回折ピークと無配向粒子に起因
した(211)回折ピークの強度比I(001) /I(211)
を求め、(001)優先配向度と定義した。
【0051】作製した0.92μmの膜厚の薄膜表面に
直径0.2mmの金電極をスパッタ蒸着により形成し、
薄膜コンデンサを作製した後、500℃で10分間熱処
理した。LCRメータ(ヒュウレットパッカード社製4
284A)を用いて、25℃、1kHz(AC100m
V)の条件で比誘電率、誘電損失を求めた。
【0052】さらに、DCバイアス特性を、室温におい
て電圧を印加しない場合の比誘電率K0 、直流電界3V
/μmの電圧を印加したときの比誘電率をK1 とした時
に、(K0 −K1 )/K0 ×100で求めた比誘電率の
減少率として、表1に記載した。
【0053】次に、作製した0.92μm膜厚の膜の表
面に直径0.05mmの金電極をスパッタ蒸着により形
成し、薄膜コンデンサを作製した後、500℃で10分
間熱処理した。この薄膜コンデンサについて、インピー
ダンスアナライザ(ヒュウレットパッカード社製HP4
291A,フィクスチャーHP16092A)およびマ
イクロプローブを用いて1MHz〜1.8GHzにおけ
る特性評価をおこなった。
【0054】インピーダンスー周波数特性の測定によ
り、100MHzにおける等価直列容量を評価し、比誘
電率を求めた。またSrのCaによる置換量を変化さ
せ、同じようにして特性を評価した。これらの結果を表
1に記載する。
【0055】尚、−25℃の静電容量の変化率(%)
は、−25℃の静電容量をC-25 とし、25℃の静電容
量をC25とした時、(C-25 −C25)×100/C25
求め、85℃の静電容量の変化率(%)は、85℃の静
電容量をC85とし、25℃の静電容量をC25とした時、
(C85−C25)×100/C25で求めた。
【0056】
【表1】
【0057】この表1から判るように、本発明の誘電体
薄膜は、100MHzにおいて950以上の高誘電率を
有し、3V/μmの電界印加下においても比誘電率の減
少率が26%未満で、静電容量の温度変化率も±17%
未満で、かつ誘電損失が2.3%未満であるのに対し
て、比較例の試料No.5では1kHzにおける比誘電率
が320と低く、また試料No.6では、1kHzにおけ
る比誘電率は2000と大きいものの、誘電損失が12
%と大きいことが判る。
【0058】試料No.3のX線回折パターンを図1の
(a)として、試料No.5のX線回折パターンを図1の
(b)として記載した。
【0059】実施例2 また、溶液作製方法、特性評価方法は上記方法と同じで
あるが、溶液塗布後の熱処理条件を変えることにより、
(001)優先配向度の異なる試料を次の様に作製し、
その優先配向度を表2に記載した。
【0060】即ち、溶液塗布、有機物分解除去熱処理を
2回繰り返した後に結晶化熱処理を行う工程を6回繰り
返し、K(Sr1-x Cax 2 Nb5 15膜を得た(試
料No.8)。また溶液塗布、有機物分解除去熱処理を4
回繰り返した後結晶化熱処理を行う工程を3回繰り返
し、K(Sr1-x Cax 2 Nb5 15膜を得た(試料
No.9)。さらに溶液塗布、有機物分解除去熱処理を6
回繰り返した後に結晶化熱処理を行う工程を2回繰り返
し、K(Sr1-x Cax 2 Nb5 15膜を得た(試料
No.10)。尚、試料No.7は表1の試料No.3と同一
試料である。
【0061】
【表2】
【0062】この表2から判るように、本発明の誘電体
薄膜は、結晶化熱処理の回数が多くなる程ピーク強度比
(001) /I(211) が大きくなり、比誘電率が大きくな
ることが判る。
【0063】
【発明の効果】本発明の誘電体薄膜は、鉛を含有しない
ため環境影響が小さく、また誘電損失が小さい上に、1
00MHzのような高周波においても比誘電率が大きい
ため、素子の小型化を図ることができるとともに、IC
まわりのデカップリングコンデンサ等の高周波で用いら
れるコンデンサとして広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】試料No.3と試料No.5のX線回折パターンを
示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属元素としてK、Sr、CaおよびNb
    を含むタングステンブロンズ型複合酸化物からなる誘電
    体薄膜であって、前記金属元素酸化物のモル比による組
    成式を K(Sr1-x Cax 2 Nb5 15 と表した時、前記xが 0<x≦0.25 を満足することを特徴とする誘電体薄膜。
  2. 【請求項2】膜厚が2μm以下であることを特徴とする
    請求項1記載の誘電体薄膜。
  3. 【請求項3】X線回折における(001)面のピーク強
    度I(001) と(211)面のピーク強度I(211) のピー
    ク強度比I(001) /I(211) が30以上であることを特
    徴とする請求項1または2記載の誘電体薄膜。
  4. 【請求項4】請求項1乃至3のいずれかに記載の誘電体
    薄膜の両面に一対の電極を対向して形成してなることを
    特徴とするセラミックコンデンサ。
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