JP3398297B2 - 誘電体薄膜および薄膜コンデンサ - Google Patents

誘電体薄膜および薄膜コンデンサ

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は誘電体薄膜およびこ
の誘電体薄膜を用いた薄膜コンデンサに関するものであ
る。
【0002】
【従来技術】従来、2種以上の金属からなる複合ペロブ
スカイト酸化物、特にPb(Mg1/ 3 Nb2/3 )O
3 (以下、PMNという)は室温で大きな比誘電率を有
するため、コンデンサ材料として有用であることが知ら
れている。
【0003】このようなPMN焼結体として、従来、P
bO粉末とMgCO3 粉末とNb25 粉末とを一括し
て混合粉砕し、焼結する固相焼結法が知られている。し
かしながら、このような一括して混合粉砕する固相焼結
によるPMN焼結体の作製では、ほぼペロブスカイト単
相からなる焼結体を得るのは困難であり、低温で安定な
パイロクロア相が生成し易く、また生成したパイロクロ
ア相は比誘電率が低いため、結果として焼結体の比誘電
率が低くなり、コンデンサ材料として不適当な場合が多
い。
【0004】このため、固相焼結法では、MgNb酸化
物(MgNb2 6 )とPb原料、およびTi原料を反
応させるコランバイト法による合成が行われている。こ
の方法によれば、ほぼペロブスカイト単相の焼結体を得
ることが可能となり、比誘電率を15000以上とする
ことができる。しかしながら、従来、これらバルク材料
は比誘電率の周波数分散が大きく、1MHz以上の高周
波では比誘電率が小さくなり、コンデンサとして機能し
なくなると考えられていた。
【0005】近年においては、電子機器の小型、薄形化
に伴い、電子部品の小型化,薄膜化が要求されている。
特に受動部品であるコンデンサの小型、薄形化は必須と
なっている。
【0006】また、コンピュータ等の高速デジタル回路
を用いた電子機器は高周波化の流れにあり、数10MH
zから数100MHzの動作周波数帯域が重要になって
きている。これにともない、コンデンサ等の受動部品も
高周波もしくは高速デジタルパルスに対して優れた特性
を示すことが必須になってきている。
【0007】近年、PMN等の高誘電率材料を薄膜化
し、薄膜コンデンサに応用しようとされているが、従来
の固相焼結法では膜厚はせいぜい10μm程度であっ
た。また薄膜においても固相焼結法による焼結体と同
様、低温で安定なパイロクロア相が生成し易く、ほぼペ
ロブスカイト単相からなる膜を得るのが困難となり、コ
ンデンサ材料として不適当な場合が多い。特に薄膜化す
る場合、下部電極との格子の不整合および化学結合の相
違等でパイロクロア相が生成し易いという問題があると
言われており(例えば、特開平6−57437号公報参
照)、パイロクロア相の少ないペロブスカイト単相のP
MN薄膜を得るのが困難であった。
【0008】これらのパイロクロア相生成の問題を解決
する手法として、ゾルゲル法で作製されたPMN薄膜に
おいては、急速昇温焼成(特開平2−177521号公
報参照)やシーディング法(特開平6−57437号公
報参照)等の種々の手法が提案されており、ペロブスカ
イト単相に近いPMN薄膜が得られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記急
速昇温焼成法,シーディング法によるPMN薄膜では、
ほぼペロブスカイト単相からなる膜が得られているが、
未だ室温における比誘電率が低く、PMN系材料本来の
特性が発揮されていないのが現状であった。
【0010】また、典型的なコンデンサ材料であるBa
TiO3 やPb(Mg1/3 Nb2/3)O3 のようなリラ
クサ材料は1KHz程度の低周波数においては大きな比
誘電率を示し、コンデンサ材料として優れた材料である
が、周波数分散が大きいため、高周波領域における比誘
電率の減少が大きく、高周波領域では高誘電率材料とし
て使えないと考えられてきた(特開平6−77083号
公報参照)。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題の
解決方法を鋭意検討した結果、バルクにおいて、マクロ
な自発分極を持たないため、DCバイアス依存性が小さ
く、かつ大きな比誘電率を持つPMNに、室温より低温
で誘電率のピークをもつPbSnO3 を固溶した材料を
薄膜化することにより、DCバイアス印加下でも大きな
比誘電率を示し、かつ高周波領域においても比誘電率の
減少が小さくなることを知見し、本発明に至った。
【0012】即ち、本発明の誘電体薄膜は、金属元素と
してPb、Mg、NbおよびSnを含むペロブスカイト
型複合酸化物からなる膜厚2μm以下のゾルゲル法で作
製された誘電体薄膜であって、前記金属元素酸化物のモ
ル比による組成式を、(1−x)Pba(Mgb/3Nb
2/3)O3・xPbaSnO3と表した時、前記x、aおよ
びbが、0<x≦0.10、1≦a≦1.10、1≦b
≦1.15を満足するとともに、測定周波数1kHz
(室温)における比誘電率が1000以上であり、か
つ、測定周波数100MHz(室温)における比誘電率
が1000以上であることを特徴とする。ここで、結晶
粒子の形状が円盤状であり、該円盤状の結晶粒子の平均
粒径が0.6μm以上であることが望ましい。
【0013】本発明の薄膜コンデンサは、上記誘電体薄
膜の両面に一対の電極を対向して形成してなるものであ
る。
【0014】
【作用】本発明の誘電体薄膜によれば、マクロな自発分
極を持たないためDCバイアス特性に優れ、かつ高誘電
率であるPMNを基本材料とするため、高誘電率でDC
バイアス特性に優れた材料になる。
【0015】また比誘電率の最大となる温度がPMNよ
り低温にあるPbSnO3 を固溶することにより、比誘
電率の最大となる温度が低温側にシフトし、室温以上で
の比誘電率の周波数分散が小さくなり、高周波領域にお
いて大きな比誘電率を得る事ができる。
【0016】また、薄膜にすることにより、ペロブスカ
イト型複合酸化物の平均結晶粒径がサブミクロンのオー
ダに小さくなり、より常誘電体的性質が支配的になるた
め、静電容量の温度特性及びDCバイアス特性を良好と
することができる。また、100MHzの様な高周波に
おいても、強誘電性の起源であるマクロな自発分極がな
いために自発分極に起因する誘電率の周波数分散が小さ
く、かつリラクサ特有の周波数分散も散漫相転移点が室
温より低温にあるため室温では小さく、この為高周波に
おいても大きな比誘電率を示す。
【0017】本発明の薄膜コンデンサでは、上記したよ
うな優れた特性を有する誘電体薄膜の両面に、例えば、
膜厚0.05μm以上の白金(Pt)、金(Au)、パ
ラジウム(Pd)薄膜である一対の電極を対向して形成
することにより、高周波においても高誘電率で優れた薄
膜コンデンサを得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の誘電体薄膜は、膜厚2μ
m以下の誘電体薄膜である。ここで、膜厚2μm以下の
誘電体薄膜としたのは、これより厚くなると工程数が増
加し、また、コンデンサを構成した場合、容量が小さく
なるからである。誘電体薄膜の膜厚は、製造の容易性、
膜質劣化の点で1μm以下が望ましく、さらに膜の絶縁
性を考慮すると特に0.3μm〜1μmが望ましい。
【0019】また、モル比による組成式を、(1−x)
Pba (Mgb/3 Nb2/3 )O3 ・xPba SnO3
表した時、前記x、aおよびbが、0<x≦0.10、
1≦a≦1.10、1≦b≦1.15を満足するもので
ある。
【0020】このように、PbSnO3 量を示すxを
0.10以下としたのは、xが0.10よりも多くなる
と、結晶構造は、低誘電率構造であるパイロクロアとな
り、大きな比誘電率が得られないからである。xは0.
02〜0.10であることが望ましい。
【0021】また、aを1〜1.1としたのは、aが1
よりも小さい場合には、パイロクロア相が生成し、比誘
電率が低下するからであり、1.1よりも大きい場合に
はPbOが粒界に析出し、比誘電率が低下するからであ
る。aは特性の再現性が良いという理由から1.05〜
1.1であることが望ましい。
【0022】さらに、bを1〜1.15としたのは、b
が1よりも小さい場合や1.15よりも大きい場合に
は、比誘電率が低下するからである。bは特性の再現性
が良いという理由から1.05〜1.1であることが望
ましい。
【0023】また、本発明の薄膜コンデンサは、上記し
た誘電体薄膜の両面に一対の電極を対向して形成してな
るものである。尚、誘電体薄膜と電極とを交互に積層し
た積層薄膜コンデンサであっても良いことは勿論であ
る。
【0024】コンデンサの電極としては、厚さ0.05
μm以上の白金(Pt)、金(Au)、チタン(T
i)、パラジウム(Pd)薄膜等があり、これらのうち
でも配向した白金(Pt)と金(Au)薄膜が最適であ
る。Pt、Auは膜との反応性が小さく、また酸化され
にくい為、膜との界面に低誘電率相が形成されにくいか
らである。
【0025】膜厚を0.05μm以上としたのは0.0
5μm未満であると高周波領域における等価直列抵抗が
大きくなるためである。配向した白金(Pt)薄膜と
は、配向性または単結晶的白金(Pt)薄膜であり、配
向性を有するPt薄膜とは、3つの結晶軸のうち一つの
軸が膜表面に近似的に垂直な方向に揃った膜であり、単
結晶的Pt薄膜とは3つの結晶軸が全て揃った膜であ
る。このような電極は、スパッタ蒸着やレーザ蒸着法等
物理的蒸着において、電極が形成される基板温度を45
0℃以上とすることにより得られるもので、これらのう
ちでも、基板温度を450℃以上としたスパッタ蒸着が
望ましい。
【0026】また、金属薄膜を蒸着する基板としては、
アルミナ、サファイア、MgO単結晶、SrTiO3
結晶、チタン被覆シリコン、または銅(Cu)、ニッケ
ル(Ni)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、ステンレ
ススティール(SUS)薄膜もしくは薄板が望ましい。
特に薄膜との反応性が小さく、安価で硬度が大きく、か
つ金属薄膜の結晶性という点からアルミナ、サファイア
が望ましく、高周波領域における低抵抗化の点で銅(C
u)薄板または銅(Cu)薄膜が望ましい。
【0027】本発明の薄膜コンデンサは、例えば、P
t、Au、Pd等を基板上にスパッタ法、蒸着法、グラ
ビア印刷等の手法により成膜して下部電極を形成し、こ
の下部電極膜の表面に、上記誘電体膜を上記方法で成膜
して形成し、この後に誘電体薄膜表面に下部電極と同様
にして上部電極を成膜することにより得られる。また、
積層コンデンサは誘電体膜と電極とを交互に積層するこ
とにより得られる。
【0028】本発明の誘電体薄膜は、例えば、以下のよ
うにして作製される。先ず、塗布溶液としてPb、M
g、Nb、およびSnの有機金属化合物が均一に溶解し
た前駆体溶液を調製する。
【0029】次に、Mg、及びNbの有機酸塩、無機
塩、アルコキシドから選択される少なくとも1種のMg
化合物、Nb化合物をMg:Nb=b:2(1≦b≦
1.15)のモル比でR1 OH、R2 OC2 4 OH、
3 COOH(R1 、R2 、R3:炭素数1以上のアル
キル基)で示される溶媒に混合する。混合後、所定の操
作を行い、IRスペクトルにおいて656cm-1付近に
吸収を有し、他の求核性の有機金属化合物の存在下にお
いても安定なMg−O−Nb結合を有するMgNb複合
アルコキシド分子を合成する。
【0030】IRスペクトルにおいて656cm-1付近
に吸収を有するMgNb複合アルコキシド分子を得るに
は、以下のような方法がある。
【0031】第1の方法として、MgおよびNbのアル
コキシド原料を溶媒に混合し、溶媒の沸点まで溶液の温
度を上昇させ、例えば酸等の触媒の共存下で還流操作を
行うことにより、分子内での脱エーテル反応を促進する
方法。
【0032】第2の方法として、上記のようにMgおよ
びNbのアルコキシド原料を溶媒に混合し、溶媒の沸点
まで溶液の温度を上昇させ、還流操作による複合化を行
った後、無水酢酸、エタノールアミン、アセチルアセト
ン等に代表される安定化剤を添加する方法。
【0033】第3の方法として、Mgのカルボン酸塩と
Nbのアルコキシドとの還流操作により、分子内での脱
エステル反応を促進する方法。
【0034】第4の方法として、Mgの水酸化物とNb
のアルコキシド、あるいはMgのアルコキシドとNbの
水酸化物の還流操作により、分子内での脱アルコール反
応を促進する方法。
【0035】第5の方法として、鉛前駆体の求核性を小
さくする為、前述の無水酢酸,エタノールアミン、アセ
チルアセトン等の安定化剤を添加する方法。
【0036】以上のいずれかの手法を用いる事により、
他の求核性有機金属化合物の存在下においても安定なM
g−O−Nb結合を有するMgNb複合アルコキシド分
子を合成できる。これらのうちでも、第2の還流操作後
に安定化剤を添加する方法が最も望ましい。
【0037】また、合成した上記MgNb複合アルコキ
シド溶液に水と溶媒の混合溶液を適下し、部分加水分解
を行い、前述のMgNb複合アルコキシドが重縮合した
MgNbゾルを形成させる。部分加水分解とは、分子内
のアルコキシル基の一部を水酸基と置換し、置換された
分子内での脱水、あるいは脱アルコール反応により、重
縮合させる方法である。
【0038】次に、鉛(Pb)の有機酸塩、無機塩、ア
ルコキシドから選択される少なくとも1種の鉛化合物を
1 OH、R2 OC2 4 OH、R3 COOH(R1
2、R3 :炭素数1以上のアルキル基)で示される溶
媒に混合する。この時、鉛化合物が結晶水を含む場合に
は、作製したPb前駆体溶液中に水が存在しないように
脱水処理する。
【0039】作製したPb前駆体溶液とMgNb複合ア
ルコキシド溶液、あるいはMgNbゾルをPb:(Mg
+Nb)=a:(b+2)/3(1≦a≦1.10、1
≦b≦1.15)のモル比で混合し、PMN前駆体溶液
とする。
【0040】Snの有機酸塩、アルコキシド等から選択
される1種のSn化合物と前述したPb前駆体溶液とを
Pb:Sn=a:1(1≦a≦1.10)のモル比で混
合した後、還流操作を行いPS前駆体溶液を合成する。
【0041】前述のPMN前駆体溶液とPS前駆体溶液
をモル比でPMN:PS=(1−x):xとなる様に混
合し、(1−x)PMN−xPS前駆体溶液とする。
【0042】または、Snの有機酸塩、アルコキシド等
から選択される1種のSn化合物をR1 OH、R2 OC
2 4 OH、R3 COOH(R1 、R2 、R3 :炭素数
1以上のアルキル基)で示される溶媒に混合し、Sn溶
液を作製する。作製したSn溶液をMgNb複合アルコ
キシド溶液、あるいはMgNbゾルと混合した後、アセ
チルアセトン等のキレート剤をMg−Nb−Sn溶液の
金属量の0.5倍量以上加え、混合する。
【0043】作製したPb前駆体溶液もしくは酢酸Pb
・3水和物のような鉛(Pb)の有機酸塩と混合し、
(1−x)PMN−xPS前駆体溶液とする。
【0044】作製した塗布溶液を基板上にスピンコート
法,ディップコート法,スプレー法等の手法により、成
膜する。
【0045】成膜後、300℃〜400℃の温度で1分
間熱処理を行い、膜中に残留した有機物を燃焼させ、ゲ
ル膜とする。1回の膜厚は0.1μm以下が望ましい。
【0046】成膜−熱処理を所定の膜厚になるまで繰り
返した後、750℃〜850℃で焼成を行い、本発明の
結晶質の誘電体薄膜が作製される。得られた誘電体薄膜
の膜厚は2μm以下であるが、これより厚くなると工程
数が増加し、また、コンデンサを構成した場合、容量が
小さくなるからである。
【0047】
【実施例】MgエトキシドとNbエトキシドを1.0
5:2のモル比で秤量し、2−メトキシエタノール中で
還流操作(124℃で17時間)を行い、1M(mol
/l)濃度のMgNb複合アルコキシド溶液を合成し
た。IRスペクトルにおいて、656cm-1付近にMg
−O−Nb結合による吸収が見られた。次にSnプロポ
キシドを2−メトキシエタノールに室温で溶解し、1M
濃度のSn溶液を作製した。1M濃度のSn溶液を、M
gNb複合アルコキシド溶液に、(Mg+Nb):Sn
=1−x:xの比率で混合し、その後、アセチルアセト
ンをMg−Nb−Sn溶液の全金属量の1倍量添加後、
室温で10分間撹拌し、安定化させた。酢酸鉛・3水和
物と2−メトキシエタノールをMg−Nb−Sn溶液に
Pb:(Mg+Nb+Sn)=1.05:〔3.05/
3(1−x)+x〕となるように混合し、1時間室温で
撹拌する事により、1M濃度のPb1.05(Mg1.05/3
2/ 3 1-x Snx 3 (x=0.02、0.05、
0.1、0.15)前駆体溶液を合成した。
【0048】電極となるPt(111)が650℃でス
パッタ蒸着されたサファイア単結晶基板上の上記Pt電
極の表面に、前記塗布溶液をスピンコーターで塗布し、
乾燥させた後、300℃で熱処理を1分間行い、ゲル膜
を作製した。塗布溶液の塗布−熱処理の操作を10回繰
り返した後、840℃で0.5分間(大気中)の急速昇
温焼成を行い、膜厚0.70μmのPb1.05(Mg
1.05/3Nb2/3 1-x Snx 3 薄膜を得た。得られた
薄膜のX線回折結果より、ペロブスカイト生成率を計算
すると約98%であった。
【0049】作製した0.70μm膜厚の薄膜表面に直
径0.2mmの金電極をスパッタ蒸着により形成し、薄
膜コンデンサを作製した後、500℃で10分間熱処理
した。LCRメータ(ヒュウレットパッカード社製42
84A)を用いて、25℃、1kHz(AC100m
V)の条件で比誘電率、誘電損失を求めた。
【0050】さらに、DCバイアス特性を、室温におい
て電圧を印加しない場合の比誘電率K0 、直流電界3V
/μmの電圧を印加したときの比誘電率K1 とした時
に、(K0 −K1 )/K0 ×100で求めた。
【0051】また、誘電体薄膜の平面方向の任意の断面
の組織を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観測したと
ころ、結晶粒子は円盤状をなしていることを確認した。
また、その円盤状の結晶粒子の平均粒径を、平面方向の
断面のSEM写真(50000倍または10000倍)
に、長さL(7.5cm)の直線を引き、粒界との交点
Nを求め、これからL/Nの式により求めた(コード
法)。
【0052】次に、作製した0.70μm膜厚の膜の表
面に直径0.05mmの金電極をスパッタ蒸着により形
成し、薄膜コンデンサを作製した後、500℃で10分
間熱処理した。この薄膜コンデンサについて、インピー
ダンスアナライザ(ヒュウレットパッカード社製HP4
291A,フィクスチャーHP16092A)およびマ
イクロプローブを用いて1MHz〜1.8GHzにおけ
る特性評価をおこなった。インピーダンスー周波数特性
の測定により、100MHzにおける等価直列容量を評
価し、比誘電率を求めた。これらの結果を表1の試料N
o.1〜4に記載した。
【0053】
【表1】
【0054】この表1の試料No.1〜4から判るよう
に、本発明の誘電体薄膜は、1KHzおよび100MH
zにおいて1000以上の高誘電率を有するのに対し
て、比較例では1KHzにおける比誘電率が低いことが
判る。
【0055】また、MgエトキシドとNbエトキシドの
比をb(0.9〜1.2):2とし、MgNb複合アル
コキシド溶液を合成し、酢酸鉛・3水和物と2−メトキ
シエタノールをMg−Nb溶液にPb:(Mg+Nb)
=a(0.9〜1.2):〔b(0.9〜1.2)+
2〕(1−x)/3となるように混合し、膜厚を表1に
示す厚みとする以外は、上記と同様に誘電体薄膜を作製
し、また、上記と同様にして特性を測定した。その結果
も表1の試料No.5〜12に記載した。誘電体薄膜の平
面方向の任意の断面の組織を、走査型電子顕微鏡(SE
M)にて観測したところ、結晶粒子は円盤状をなしてい
ることを確認した。
【0056】この表1の試料No.5〜12から、本発明
の誘電体薄膜は、100MHzにおいて2000以上の
高誘電率を有し、また、3V/μmの電界に対する比誘
電率の変化は、30%未満の低下であるの対して、比較
例ではいずれも100MHzにおける比誘電率が100
0よりも低いことが判る。
【0057】尚、表1の試料No.2の作製において、焼
成温度が780℃、810℃、840℃で0.5分間急
速昇温焼成する以外は全く同様にして誘電体薄膜を作製
し、コンデンサを作製した。これらの試料について、上
記と同様にして1kHzまたは100MHzにおける比
誘電率を測定した。また、誘電体薄膜の平面方向の任意
の断面の組織を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観測
したところ、結晶粒子は円盤状をなしていることを確認
した。また、その円盤状の結晶粒子の平均粒径を、上記
と同様にして求めた。これらの結果を表2に示す。
【0058】
【表2】
【0059】この表2から、円盤状結晶の平均粒径が
0.6μm以上と大きくなるにつれて比誘電率が向上す
ることが判る。
【0060】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の誘電体薄
膜は、DCバイアス特性、温度特性が優れているうえ
に、100MHzの様な高周波においても比誘電率が大
きい為、素子の小型化を図ることができるとともに、I
Cまわりのデカップリングコンデンサ等の高周波で用い
られるコンデンサとして広く適用できる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属元素としてPb、Mg、NbおよびS
    nを含むペロブスカイト型複合酸化物からなる膜厚2μ
    m以下のゾルゲル法で作製された誘電体薄膜であって、
    前記金属元素酸化物のモル比による組成式を (1−x)Pba(Mgb/3Nb2/3)O3・xPbaSn
    3と表した時、前記x、aおよびbが 0<x≦0.10 1≦a≦1.10 1≦b≦1.15 を満足するとともに、測定周波数1kHz(室温)にお
    ける比誘電率が1000以上であり、かつ、測定周波数
    100MHz(室温)における比誘電率が1000以上
    であることを特徴とする誘電体薄膜。
  2. 【請求項2】結晶粒子の形状が円盤状であり、該円盤状
    の結晶粒子の平均粒径が0.6μm以上であることを特
    徴とする請求項1記載の誘電体薄膜。
  3. 【請求項3】請求項1記載の誘電体薄膜の両面に一対の
    電極を対向して形成してなることを特徴とする薄膜コン
    デンサ。
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