JP3485417B2 - 誘電体薄膜の製法 - Google Patents

誘電体薄膜の製法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はゾルゲル法により作
製された誘電体薄膜の製法に関するものである。
【0002】
【従来技術】2種以上の金属からなる複合ペロブスカイ
ト酸化物、特にPb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 (以下P
MNという)は室温で大きな比誘電率、良好な温度特性
を有するため、コンデンサ材料として有用であることが
知られている。
【0003】このようなPMN焼結体として、従来、P
bO粉末とMgCO3 粉末とNb25 粉末とを一括し
て混合粉砕し、焼結する固相焼結法が知られている。し
かしながら、このような一括して混合粉砕する固相焼結
によるPMN焼結体の作製では、ほぼペロブスカイト単
相からなる焼結体を得るのは困難であり、低温で安定な
パイロクロア相が生成し易く、また生成したパイロクロ
ア相は誘電率が低いため、結果として焼結体の比誘電率
が低くなり、コンデンサ材料として不適当な場合が多
い。このため、固相焼結法では、MgNb酸化物(Mg
Nb2 6 )とPb原料を反応させるコランバイト法に
よる合成が行われている。この方法によれば、ほぼペロ
ブスカイト単相の焼結体を得ることが可能となり、比誘
電率を15000以上とすることができる。
【0004】一方、近年、電子機器の小型化に伴い、電
子部品の小型化,薄膜化が要求されており、PMN等の
高誘電率材料を薄膜化し、薄膜コンデンサに応用しよう
とされているが、従来の固相焼結法では膜厚はせいぜい
10μm程度であった。また、薄膜においても固相焼結
法による焼結体と同様、低温で安定なパイロクロア相が
生成し易く、ほぼペロブスカイト単相からなる膜を得る
のが困難となり、コンデンサ材料として不適当な場合が
多い。特に薄膜化する場合、下部電極との格子の不整合
及び化学結合の相違等でパイロクロア相が生成し易いと
いう問題があると言われており(例えば、特開平6−5
7437号公報参照)、パイロクロア相の少ないペロブ
スカイト単相のPMN薄膜を得るのが困難であった。
【0005】これらのパイロクロア相生成の問題を解決
する手法として、ゾルゲル法で作製されたPMN薄膜に
おいては、急速昇温焼成(特開平2−177521号公
報)やシーディング法(特開平6−57437号公報)
等の種々の手法が提案されており、ペロブスカイト単相
に近いPMN薄膜が得られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、急速昇
温焼成法,シーディング法によるPMN薄膜では、ほぼ
ペロブスカイト単相からなる膜が得られているが、未だ
比誘電率がせいぜい2000程度と低く、PMN本来の
特性が発揮されていないのが現状であった。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
の解決方法を鋭意検討した結果、ゾルゲル法によるPM
N薄膜の合成の際、他の求核性を有する有機金属化合物
の存在下においても安定なMg−O−Nb結合を有する
MgNb複合アルコキシド分子をMgNb前駆体として
用いること、或いはこのMgNb複合アルコキシド分子
を部分的に加水分解したゾルをMgNb前駆体として用
いることにより、室温での比誘電率が2500以上のP
MN薄膜を作製でき、さらにこれを用いて薄膜コンデン
サとして使用可能であることを見い出した。
【0008】
【0009】本発明は、ゾルゲル法により調製されたP
b(Mg1/3Nb2/3)O3前駆体溶液を塗布し、焼成す
る誘電体薄膜の製法であって、前記Pb(Mg1/3Nb
2/3)O3前駆体溶液を、赤外吸収スペクトルにおいて、
658cm-1付近に吸収を有するMgNb複合アルコキ
シドからなるMgNb前駆体溶液と、Pb前駆体溶液と
を混合して合成することにより得られる。ここで、Mg
Nb複合アルコキシドは、Mgのカルボン酸塩とNbの
アルコキシドとの還流操作により合成されることが望ま
しい。
【0010】また、ゾルゲル法により調製されたPb
(Mg1/3 Nb2/3 )O3 前駆体溶液を塗布し、焼成す
る誘電体薄膜の製法であって、前記Pb(Mg1/3 Nb
2/3 )O3 前駆体溶液を、赤外吸収スペクトルおいて、
658cm-1付近に吸収を有するMgNb複合アルコキ
シドを部分的に加水分解して得られたMgNbゾルから
なるMgNb前駆体溶液と、Pb前駆体溶液とを混合し
て合成することにより得られる。ここで、MgNb複合
アルコキシドは、Mgのカルボン酸塩とNbのアルコキ
シドとの還流操作により合成されることが望ましい。
【0011】
【作用】従来の方法で得られるMgNb複合アルコキシ
ド分子は、Mg〔Nb(OR)6 2 で示され、Mgと
Nbの複合化はアルコキシ基の配位結合によることが知
られている。しかしながら、配位結合によるMgNb複
合アルコキシド分子に酢酸鉛等の求核性有機金属化合物
を混合すると、複合化が崩れ不安定であることが報告さ
れている(日本セラミックス協会誌,102〔4〕P3
93〜396(1994))。
【0012】本発明では、MgNb複合アルコキシド分
子を合成する際、Mg及びNbの金属化合物間の反応促
進、及び複合アルコキシド分子を安定化する手法を用
い、他の求核性有機金属化合物の存在下においても、安
定なMg−O−Nb結合を有するMgNb複合アルコキ
シドを合成させ、このMgNb複合アルコキシド分子を
含む溶液とPb前駆体溶液とを混合してPb(Mg1/3
Nb2/3 )O3 前駆体溶液を合成する点に特徴があり、
この様な手法で得られたMgNb前駆体溶液は、赤外吸
収スペクトル(以下IRスペクトル)において、658
cm-1付近に吸収を有し、溶液の段階で既にコランバイ
ト(MgNb2 6 )に近い構造を持つ、強固なMg−
O−Nb結合を有するMgNb複合アルコキシド分子が
形成されているため、他の求核性有機金属化合物(例え
ば酢酸鉛)に対して安定であり、Mg−O−Nb結合が
破壊されることなく、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3
駆体を形成し、膜厚が2μm以下で室温での比誘電率が
2500以上の高い誘電率を有するPb(Mg1/3 Nb
2/3 )O3 薄膜が作製される。この作用効果は、特に、
Mgのカルボン酸塩とNbのアルコキシドとの還流操作
により合成されたMgNb複合アルコキシドを用いた場
合に顕著であり、比誘電率および誘電損失をさらに向上
することができる。
【0013】即ち、MgNb複合アルコキシド分子を合
成する際、Mgのカルボン酸塩を原料として使用し、N
bのアルコキシドとの還流操作により、カルボン酸塩と
アルコキシド間のエステル脱離反応を促進することによ
って、赤外吸収スペクトルにおいて、658cm-1付近
にMg−O−Nb結合を有するMgNb複合アルコキシ
ド分子を合成し、このMgNb複合アルコキシド分子を
含む溶液とPb前駆体溶液とを混合してPb(Mg1/3
Nb2/3 )O3 前駆体溶液を合成することが望ましい。
【0014】前述のMgのカルボン酸塩(酢酸Mg)と
Nbアルコキシドとの還流操作によっておこる反応を下
記化1に示す。
【0015】
【化1】
【0016】上記化1に示される様に、酢酸Mgの酢酸
基とNbアルコキシドのアルコキシ基が反応し、エステ
ルを形成し、複合体分子内から脱離することによって、
Mg−O−Nbの結合を有するMgNb複合アルコキシ
ド分子を得ることができる。
【0017】複合体の合成は、赤外吸収(以下IR)ス
ペクトルから、エステルの生成、COO- の減少、Mg
−O−Nb結合に起因した新たな吸収の発現に着目する
ことにより、確認できる。
【0018】図1に、酢酸Mg溶液(a)、Nbアルコ
キシド溶液(b)、及び還流1時間後のMgNb複合体
溶液(c)、還流24時間後のMgNb複合体溶液
(d)、還流48時間後のMgNb複合体溶液(e)、
還流67時間後のMgNb複合体溶液(f)のIRスペ
クトルを示す。酢酸Mg溶液(a)のIRスペクトルに
おいて、669cm-1付近にMg−OOCCH3 (Mg−
OAc)、1450cm-1、1550cm-1付近にCOO-
の吸収、Nbアルコキシド溶液(b)のIRスペクトル
において、580cm-1付近にNb−Oの吸収が存在して
おり、原料固有の吸収がみられる。(c)から(f)の
ように還流時間が増加すると、1450cm-1、1550
cm-1のCOO- の吸収が減少すると共に、1740cm-1
にエステルの吸収が発現し、また656cm-1付近に新た
な吸収が発現する。このIRスペクトルの変化から、還
流時間の増加と共に、上記化1の反応が進行しているの
がわかる。つまり、656cm-1付近に現れた新たな吸収
はMg−O−Nb結合に起因する吸収である。溶液の段
階で既にコランバイト(MgNb2 6 )に近い構造を
持つ、強固なMg−O−Nb結合を有するMgNb複合
アルコキシド分子が形成されていることを示している。
【0019】このため、他の求核性有機金属化合物(例
えば酢酸鉛)に対して安定であり、Mg−O−Nb結合
が破壊されることなく、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3
前駆体が形成される。
【0020】また、例えば、MgNb複合アルコキシド
溶液に水と溶媒の混合溶液を滴下し、部分的に加水分解
処理することにより、MgNb複合アルコキシドが重縮
合した数nmオーダーのMgNbゾルが形成され、この
数nmオーダーのMgNbゾルを含むPb(Mg1/3
2/3 )O3 前駆体が形成されているため、膜厚が2μ
m以下で室温での比誘電率が2500以上の高い誘電率
を有するPb(Mg1/ 3 Nb2/3 )O3 薄膜が作製され
る。
【0021】そして、このように、膜厚が2μm以下で
比誘電率が2500以上の高い誘電率を有するPb(M
1/3 Nb2/3 )O3 薄膜を一対の電極により挟持する
ことにより、高誘電率のコンデンサを得ることができ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明の誘電体薄膜作製において
は、まず塗布溶液としてPb、Mg、Nbの有機金属化
合物が均一に溶解した前駆体溶液を調製する。
【0023】まず鉛(Pb)の有機酸塩、無機塩、アル
コキシドから選択される少なくとも1種の鉛化合物をR
1 OH、R2 OC2 4 OH、R3 COOH(R1 、R
2 、R3 :炭素数1以上のアルキル基)で示される溶媒
に混合する。この時、鉛化合物が結晶水を含む場合に
は、作製したPb前駆体溶液中に水が存在しないように
脱水処理する。
【0024】次にMg、及びNbの有機酸塩、無機塩、
アルコキシドから選択される少なくとも1種のMg化合
物、Nb化合物をMg:Nb=1:2のモル比でR1
H、R2 OC2 4 OH、R3 COOH(R1 、R2
3 :炭素数1以上のアルキル基)で示される溶媒に混
合する。混合後、溶媒の沸点まで溶液の温度を上昇さ
せ、還流操作を行い、MgNb複合アルコキシドを合成
する。
【0025】特に、Mgのカルボン酸塩から選ばれる少
なくとも1種のMg化合物とNbのアルコキシドをM
g:Nb=1:2のモル比でR1 OH、R2 OC2 4
OH、R3 COOH(R1 、R2 、R3 :炭素数1以上
のアルキル基)で示される溶媒に混合した後、溶媒の沸
点まで溶液の温度を上昇させ、還流操作を行い、MgN
b複合アルコキシドを合成することが、比誘電率向上の
点から望ましい。
【0026】Mgのカルボン酸塩としては、酢酸塩、安
息香酸塩、オレイン酸塩等があるが、Nbアルコキシド
との反応性、残留有機物の問題の点から、炭化水素基の
小さい酢酸塩が望ましい。
【0027】Nbのアルコキシドとしては、メトキシ
ド、エトキシド、イソプロキシド等があるが、特に限定
されるものではない。
【0028】Mgのカルボン酸塩、例えば、酢酸Mgと
Nbアルコキシドとの還流時間は24時間以上が特に望
ましく、IRスペクトルにおいて、658cm-1付近に
吸収を有するMgNb複合アルコキシドが合成できれば
よい。蒸留下で反応を促進させてもよい。
【0029】IRスペクトルにおいて、658cm-1
近に吸収を有し、他の求核性の有機金属化合物の存在下
においても安定なMg−O−Nb結合を有するMgNb
複合アルコキシド分子を合成する手法としては、例え
ば、アルコキシド原料を用いた場合、酸等の触媒の共存
下で還流操作を行う事により、分子内での脱エーテル反
応を促進する。あるいは、還流操作による複合化を行っ
た後、無水酢酸、エタノールアミン等に代表される安定
化剤を添加する。あるいは、カルボン酸塩とアルコキシ
ドの還流操作により、分子内での脱エステル反応を促進
する。あるいは、水酸化物とアルコキシドの還流操作に
より、分子内での脱アルコール反応を促進する。あるい
は逆に鉛前駆体の求核性を小さくする為、前述の安定化
剤を添加する。以上のいずれかの手法を用いる事によ
り、他の求核性有機金属化合物の存在下においても安定
なMg−O−Nb結合を有するMgNb複合アルコキシ
ド分子を合成できる。特に、MgNb複合アルコキシド
は、Mgのカルボン酸塩とNbのアルコキシドとの還流
操作により合成することが望ましい。
【0030】また、合成した上記MgNb複合アルコキ
シド溶液に水と溶媒の混合溶液を適下し、部分加水分解
を行い、前述のMgNb複合アルコキシドが重縮合した
MgNbゾルを形成させる。部分加水分解とは、分子内
のアルコキシル基の一部を水酸基と置換し、置換された
分子内での脱水、あるいは脱アルコール反応により重縮
合させる方法である。MgNb複合体の部分加水分解を
行う場合は、還流時間は1時間以上であれば特に限定さ
れない。
【0031】作製したPb前駆体溶液と、MgNb複合
アルコキシド溶液あるいはMgNbゾルをPb:(Mg
+Nb)=1:1のモル比で混合し、塗布溶液とする。
【0032】作製した塗布溶液を基板上にスピンコート
法、ディップコート法、スプレー法等の手法により、成
膜する。
【0033】成膜後、300℃〜400℃の温度で1分
間熱処理を行い、膜中に残留した有機物を燃焼させ、ゲ
ル膜とする。1回の塗布膜厚は0.1μm以下が望まし
い。
【0034】成膜−熱処理を所定の膜厚になるまで繰り
返した後、750℃〜850℃で焼成を行い、本発明の
製法により結晶質の誘電体薄膜が作製される。誘電体薄
膜の膜厚は2μm以下であるが、これ以上になると工程
数が増加し、また、コンデンサを構成した場合における
容量が小さくなるからである。誘電体薄膜の膜厚は、製
造の容易性,膜質劣化の点で1μm以下が望ましく、さ
らに膜の絶縁性を考慮すると特に0.3〜1μmが望ま
しい。
【0035】本発明の誘電体薄膜の製法は、Pb(Mg
1/3Nb2/3)O3からなる誘電体薄膜を作製するもの
あるが、少々パイロクロア相が存在する場合がある。
【0036】本発明の誘電体薄膜の製法を用いた薄膜コ
ンデンサは、例えば、Pt,Au,Cr等を基板上にス
パッタ法,蒸着法,グラビア印刷法等により成膜して下
部電極を形成し、この下部電極膜の表面に、上記誘電体
薄膜を上記方法で成膜して形成し、この後に誘電体薄膜
の表面に下部電極と同様にして上部電極を成膜すること
により得られる。また、積層コンデンサは誘電体膜と電
極とを交互に積層することにより得られる。
【0037】
【実施例】
実施例1 MgエトキシドとNbエトキシドを1:2のモル比で秤
量し、2−メトキシエタノ−ル中で還流操作(124℃
で24時間)を行い、MgNb複合アルコキシド溶液
(Mg=4.95mmol、Nb10.05mmol、
2−メトキシエタノール150mmol)を合成した。
その後、無水酢酸を7.50mmol添加し、安定化さ
せた。図2にこの溶液のIRスペクトルを示す。658
cm-1付近にMg−O−Nb結合による吸収が見られ
た。次に酢酸鉛(無水物)15mmolと150mmo
lの2−メトキシエタノールを混合し、120℃での蒸
留操作により、Pb前駆体溶液を合成した。
【0038】MgNb前駆体溶液とPb前駆体溶液をモ
ル比Pb:(Mg+Nb)=1:1になるよう混合し、
室温で十分撹拌し、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 前駆
体溶液を合成した。
【0039】この溶液の濃度を2−メトキシエタノール
で約3倍に希釈し、塗布溶液とした。電極となるPt
(111)が650℃でスパッタ蒸着されたサファイア
単結晶基板上の上記Pt電極の表面に、前記塗布溶液を
スピンコーターで塗布し、乾燥させた後、300℃で熱
処理を1分間行い、ゲル膜を作製した。塗布溶液の塗布
−熱処理の操作を繰り返した後、830℃で1分間(大
気中)の焼成を行い、膜厚0.5μm、1μm、2μm
のPb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 薄膜を得た。得られた
薄膜のX線回折結果より、ペロブスカイト生成率を計算
するといずれも約95%であった。
【0040】この薄膜表面に厚み0.2μmの金電極を
スパッタ蒸着により形成し、薄膜コンデンサを作製し、
LCRメータ(ヒュウレットパッカード社製4284
A)を用いて、室温(25℃)、10kHz(Ac10
0mV)の条件で比誘電率、誘電損失を求めた結果、い
ずれの場合も比誘電率が2500、誘電損失が0.03
6であった。
【0041】実施例2 MgエトキシドとNbエトキシドを1:2のモル比で秤
量し、2−メトキシエタノール中で還流操作(124℃
で24時間)を行い、MgNb複合アルコキシド溶液
(Mg=4.95mmol、Nb10.05mmol、
2−メトキシエタノール150mmol)を合成した。
【0042】この溶液に全金属量(Mg+Nb)に対
し、2倍量の水と2−メトキシエタノール、及び無水酢
酸7.5mmolの均一混合溶液を撹拌しながら滴下
し、部分加水分解を行い、MgNbゾル溶液を合成し
た。28℃での溶液粘度は1.82cPから2.06c
Pに増加しており、加水分解重縮合が起こっている事を
確認した。溶液のIRスペクトルを測定した結果、65
8cm-1付近に吸収が見られた。
【0043】次に酢酸鉛(無水物)15mmolと15
0mmolの2−メトキシエタノールを混合し、120
℃での蒸留操作により、Pb前駆体溶液を合成した。
【0044】MgNbゾル溶液とPb前駆体溶液とをモ
ル比Pb:(Mg+Nb)=1:1になるよう混合し、
室温で十分撹拌し、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 前駆
体溶液を合成した。
【0045】この溶液の濃度を2−メトキシエタノール
で約2倍に希釈し、塗布溶液とした。電極となるPt
(111)が650℃でスパッタ蒸着されたサファイア
単結晶基板上の上記Pt電極の表面に、前記塗布溶液を
スピンコーターで塗布し、乾燥させた後、300℃で熱
処理を1分間行い、ゲル膜を作製した。塗布溶液の塗布
−熱処理の操作を繰り返した後、830℃で1分間(大
気中)の焼成を行い、膜厚0.5μm、1μm、2μm
のPb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 薄膜を得た。得られた
薄膜のX線回折結果より、ペロブスカイト生成率を計算
するといずれも約95%であった。
【0046】この薄膜表面に厚み0.2μmの金電極を
スパッタ蒸着により形成し、薄膜コンデンサを作製し、
LCRメータ(ヒュウレットパッカード社製4284
A)を用いて、室温(25℃)、10kHz(Ac10
0mV)の条件で比誘電率、及び誘電損失を求めたとこ
ろ、比誘電率及び誘電損失はいずれも2800、0.0
23であった。
【0047】実施例3 酢酸Mg4水和物4.95mmolを溶媒の2−メトキ
シエタノール中に混合した。混合後、125℃まで加熱
し、溶媒との共沸蒸留により、脱水処理を行った。濃度
調整を行った後、Nbエトキシドを10.05mmol
秤量し、2−メトキシエタノール中で還流操作(124
℃で48時間)を行い、MgNb複合アルコキシド溶液
(Mg=4.95mmol、Nb10.05mmol、
2−メトキシエタノール150mmol)を合成した。
IRスペクトルを図1(e)に示した。
【0048】次に酢酸鉛(無水物)15mmolと15
0mmolの2−メトキシエタノールを混合し、120
℃での蒸留操作により、Pb前駆体溶液を合成した。
【0049】MgNb前駆体溶液とPb前駆体溶液をモ
ル比Pb:(Mg+Nb)=1:1になるよう混合し、
室温で十分撹拌し、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 (P
MN)前駆体溶液を合成した。
【0050】この溶液の濃度を2−メトキシエタノール
で約3倍に希釈し、塗布溶液とした。電極となるPt
(111)が650℃でスパッタ蒸着されたサファイア
単結晶基板上の上記Pt電極の表面に、前記塗布溶液を
スピンコーターで塗布し、乾燥させた後、300℃で熱
処理を1分間行い、ゲル膜を作製した。塗布溶液の塗布
−熱処理の操作を繰り返した後、830℃で1分間(大
気中)の焼成を行い、膜厚0.50μm、1.0μm、
2.0μmのPb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 薄膜を得
た。得られた薄膜のX線回折結果より、ペロブスカイト
生成率を計算するとそれぞれ約96%であった。
【0051】作製した全ての薄膜表面に直径0.2mm
の金電極をスパッタ蒸着により形成し、薄膜コンデンサ
を作製し、LCRメータ(ヒュウレットパッカード社製
4284A)を用いて、25℃、1kHz(Ac100
mV)の条件で比誘電率、誘電損失を求めた結果、それ
ぞれ比誘電率が3100、誘電損失が0.005であっ
た。
【0052】図3に比誘電率の温度特性(−40から+
85℃)を示す。室温(25℃)の比誘電率を基準とし
た時の比誘電率の変化率は−12%から+7.5%であ
り、±15%以内であった。
【0053】比較例 MgエトキシドとNbエトキシドを1:2のモル比で秤
量し、2−メトキシエタノール中で還流操作(124℃
で5時間)を行い、MgNb複合アルコキシド溶液(M
g=4.95mmol、Nb10.05mmol、2−
メトキシエタノール150mmol)を合成した。図4
にこの溶液のIRスペクトルを示す。600cm-1付近
に配位結合による複合アルコキシド形成による吸収が見
られたが、658cm-1付近の吸収は見られなかった。
【0054】次に酢酸鉛(無水物)15mmolと15
0mmolの2−メトキシエタノールを混合し、120
℃での蒸留操作により、Pb前駆体溶液を合成した。
【0055】MgNb前駆体溶液とPb前駆体溶液をモ
ル比Pb:(Mg+Nb)=1:1になるよう混合し、
室温で十分撹拌し、Pb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 前駆
体溶液を合成した。
【0056】この溶液の濃度を2−メトキシエタノール
で約5倍に希釈し、塗布溶液とした。電極となるPt
(111)が650℃でスパッタ蒸着されたサファイア
単結晶基板上の上記Pt電極の表面に、前記塗布溶液を
スピンコーターで塗布し、乾燥させた後、300℃で熱
処理を1分間行い、ゲル膜を作製した。塗布溶液の塗布
−熱処理の操作を繰り返した後、830℃で1分間(大
気中)の焼成を行い、膜厚0.50μm、1μm、2μ
mのPb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 薄膜を得た。
【0057】薄膜のX線回折結果より、ペロブスカイト
生成率を計算するといずれも約95%であった。
【0058】この薄膜表面に厚み0.2μmの金電極を
スパッタ蒸着により形成し、薄膜コンデンサを作製し、
LCRメータ(ヒュウレットパッカード社製4284
A)を用いて、室温(25℃)、10kHz(Ac10
0mV)の条件で比誘電率および誘電損失を求めたとこ
ろ、比誘電率および誘電損失はいずれも1800、0.
017であった。
【0059】よって、IRスペクトルにおいて658c
-1付近に吸収を有するMgNb複合アルコキシドから
なるMgNb前駆体溶液を用いた実施例1〜3は、室温
における比誘電率が2500以上、誘電損失が0.03
6以下であり、比較例よりも比誘電率が大幅に向上して
いることが判る。さらに、実施例1と実施例2との比較
により、MgNb複合アルコキシド溶液を部分加水分解
した実施例2の方が比誘電率が高いことが判る。さら
に、Mgのカルボン酸塩とNbのアルコキシドとの還流
操作により合成したMgNb複合アルコキシドを用いた
実施例3では、特に比誘電率が3100と実施例1,2
に比べると優れていることが判る。
【0060】
【発明の効果】以上詳述した様に、本発明によれば、I
Rスペクトルにおいて658cm-1付近に吸収を有する
強固なMg−O−Nb結合を有するMgNb複合アルコ
キシドからなるMgNb前駆体溶液を用いて、誘電体薄
膜を作製することにより、膜厚が2μm以下で室温での
比誘電率が2500以上の高誘電率のPb(Mg1/3
2/3 )O3 薄膜が得られ、このような薄膜を一対の電
極により挟持してコンデンサを作製することにより、高
誘電率の薄膜コンデンサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】酢酸MgとNbアルコキシドとの還流操作によ
り合成したMgNb複合アルコキシドのIRスペクトル
を示す図である。
【図2】実施例1で使用したMgNb複合アルコキシド
のIRスペクトルを示す図である。
【図3】実施例3の誘電体薄膜の比誘電率の温度特性を
示す図である。
【図4】比較例で使用したMgNb複合アルコキシドの
IRスペクトルを示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI // H01G 4/12 418 C04B 35/00 J (56)参考文献 特開 平6−333772(JP,A) 特開 平7−283069(JP,A) 特開 平4−321521(JP,A) 特開 平5−51755(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 3/12 313 H01B 3/00 C23C 18/12 C01B 13/32 C04B 35/495 H01G 4/12 418

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ゾルゲル法により調製されたPb(Mg
    1/3Nb2/3)O3前駆体溶液を塗布し、焼成する誘電体
    薄膜の製法であって、前記Pb(Mg1/3Nb2/3)O3
    前駆体溶液を、赤外吸収スペクトルにおいて、658c
    -1付近に吸収を有するMgNb複合アルコキシドから
    なるMgNb前駆体溶液と、Pb前駆体溶液とを混合し
    て合成することを特徴とする誘電体薄膜の製法。
  2. 【請求項2】MgNb複合アルコキシドが、Mgのカル
    ボン酸塩とNbのアルコキシドとの還流操作により合成
    されることを特徴とする請求項記載の誘電体薄膜の製
    法。
  3. 【請求項3】ゾルゲル法により調製されたPb(Mg
    1/3Nb2/3)O3前駆体溶液を塗布し、焼成する誘電体
    薄膜の製法であって、前記Pb(Mg1/3Nb2/3)O3
    前駆体溶液を、赤外吸収スペクトルにおいて、658c
    -1付近に吸収を有するMgNb複合アルコキシドを部
    分的に加水分解して得られたMgNbゾルからなるMg
    Nb前駆体溶液と、Pb前駆体溶液とを混合して合成す
    ることを特徴とする誘電体薄膜の製法。
  4. 【請求項4】MgNb複合アルコキシドが、Mgのカル
    ボン酸塩とNbのアルコキシドとの還流操作により合成
    されることを特徴とする請求項記載の誘電体薄膜の製
    法。
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