JP3314134B2 - 複合酸化物薄膜の製造方法 - Google Patents

複合酸化物薄膜の製造方法

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JP3314134B2 JP07785296A JP7785296A JP3314134B2 JP 3314134 B2 JP3314134 B2 JP 3314134B2 JP 07785296 A JP07785296 A JP 07785296A JP 7785296 A JP7785296 A JP 7785296A JP 3314134 B2 JP3314134 B2 JP 3314134B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合酸化物薄膜の
製造方法に関するもので、特に、マイクロ波,ミリ波等
の高周波で有効に使用される複合酸化物薄膜の製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来技術】A(Mg1/2 1/2 )O3 (Aはアルカリ
土類金属)を主結晶相とする複合ペロブスカイト型酸化
物は、従来、高周波領域における誘電損失が少ない(Q
値が高い)ので、誘電体共振器等のマイクロ波誘電体材
料として有用な材料である(例えば、特開平5−205
524等参照)。
【0003】従来、例えば、Ba(Mg1/2 1/2 )O
3 焼結体は、先ず、BaCO3 粉末と、MgCO3 粉末
と、WO3 粉末とを混合し、仮焼粉砕してBa(Mg
1/2 1/2 )O3 粉末を作製し、これを所定形状に成形
し、大気中1300〜1600℃程度で焼成することに
より作製していた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】近年においては、電子
部品の小型化に伴い、素子の薄膜化、薄層化が行われつ
つある。また、半導体とモノリッシック化された高周波
用薄膜コンデンサ、薄膜フィルターの開発が望まれてい
る。このような素子を作製する為には、薄膜の低温合成
が必要であった。
【0005】しかしながら、従来の固相焼結法でA(M
1/2 1/2 )O3 (Aはアルカリ土類金属)を主結晶
相とした低損失材料を合成する為には、大気中で130
0から1600℃という高温での焼成が必要であった。
【0006】前述の低損失材料を低温で合成する手法と
して、ゾル・ゲル法が挙げられる。
【0007】このゾルゲル法は一般に金属アルコキシド
等の有機金属化合物を出発原料とし、有機溶媒に均一に
溶解させることによって、均一な溶液とし、この溶液を
加水分解することにより、金属酸化物あるいは水酸化物
からなるゾルやゲルを形成し、加熱・焼成することによ
り酸化物粉末を得たり、あるいはこの溶液を基板上に塗
布、乾燥、焼成することにより容易に薄膜化できる手法
である。
【0008】このゾル・ゲル法では、溶液の段階で酸化
物構造を有する前駆体が、溶液段階で均一に混合されて
いる為、純度が高く、組成の均一性に優れた酸化物(粉
末及び薄膜)を得ることができる。
【0009】しかしながら、このゾルゲル法において
も、溶液段階において含有する金属の電気陰性度の差、
あるいは含有する金属の配位数の拡張度等によって、親
和性の強い金属どうしが複合体を形成してしまい、結果
として、分子レベルでの組成の不均一が生じてしまう。
そのため、不均一性に起因し、ペロブスカイト結晶の生
成が不十分となるという問題があり、前述の低損失材料
の薄膜を低温で合成することは困難であった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点
に対して検討を重ねた結果、ゾルゲル法によってA(M
1/2 1/2 )O3 (Aはアルカリ土類金属)を主結晶
相とする複合酸化物薄膜を合成する際、MgW複合体と
アルカリ土類金属前駆体が分子レベルで均一に混合した
溶液を用いることにより、A(Mg1/2 1/2 )O
3 (Aはアルカリ土類金属)を主結晶相とする複合酸化
物薄膜を低温で形成できることを見い出し、本発明に至
った。
【0011】即ち、本発明の複合酸化物薄膜の製造方法
は、アルカリ土類金属、MgおよびWからなる複合ペロ
ブスカイト型結晶相を主として含有する複合酸化物薄膜
の製造方法であって、Mg化合物とW化合物により、M
gW複合アルコキシドを合成した後、該MgW複合アル
コキシドとアルカリ土類金属化合物を混合して塗布溶液
を合成し、該塗布溶液を基板表面に塗布して焼成する方
法である。
【0012】本発明においては、MgW複合アルコキシ
ドは、カルボン酸塩であるMg化合物と、W化合物との
還流操作により合成されたり、アルコキシドであるMg
化合物とW化合物により合成した後、安定化処理を行う
ことによって作製される。
【0013】
【作用】本発明の複合酸化物薄膜の製造方法は、アルカ
リ土類金属A前駆体に対して、安定なMg−O−W結合
を有するMgW複合体が形成されるため、分子レベルで
均一に混合したA−Mg−W前駆体が形成され、これに
よりA(Mg1/2 1/2)O3 (Aはアルカリ土類金
属)を主結晶相とする複合酸化物薄膜を低温で作製する
ことが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の誘電体薄膜作製において
は、まず塗布溶液としてアルカリ土類金属、Ba、M
g、Wの金属化合物が均一に溶解した前駆体溶液を調製
する。
【0015】まずアルカリ土類金属もしくは、アルカリ
土類金属の有機酸塩、無機塩、アルコキシドから選択さ
れる少なくとも1種の金属化合物をR1 OH、R2 OC
2 4 OH、R3 COOH(R1 、R2 、R3 :炭素数
1以上のアルキル基)で示される溶媒に混合する。アル
カリ土類金属はBa、Sr、Caから選ばれる少なくと
も一種の金属をいう。
【0016】次にMg化合物とW化合物により、アルカ
リ土類金属化合物の共存下においても安定に存在するM
gW複合アルコキシドを合成する。Mg、及びWの有機
酸塩,無機塩,アルコキシドから選択される少なくとも
1種のMg化合物,W化合物を、所定のモル比でR1
H、R2 OC2 4 OH、R3 COOH(R1 、R2
3 :炭素数1以上のアルキル基)で示される溶媒に混
合する。混合後、溶媒の沸点まで溶液の温度を上昇さ
せ、還流操作を行い、安定なMgW複合アルコキシドを
合成する。
【0017】例えば、Mg化合物がカルボン酸塩である
場合、W化合物との還流操作により、アルカリ土類金属
化合物の共存下においても安定に存在するMgW複合ア
ルコキシドを合成することができる。また、Mg化合物
とW化合物がアルコキシドである場合には、これら化合
物によりMgW複合アルコキシドを合成し、後述する安
定化処理を行い、アルカリ土類金属化合物の共存下にお
いても安定に存在するMgW複合アルコキシドを合成す
ることができる。
【0018】即ち、他の求核性の有機金属化合物の存在
下においても安定なMg−O−W結合を有するMgW複
合アルコキシド分子を合成する手法としては、例えば、
アルコキシド原料を用いた場合、酸等の触媒の共存下
で還流操作を行うことにより、分子内での脱エ−テル反
応を促進する。あるいは、還流操作による複合化を行
った後、無水酢酸,エタノ−ルアミン等に代表される安
定化剤を添加する。あるいは、カルボン酸塩とアルコ
キシドの還流操作により、分子内での脱エステル反応を
促進する。あるいは、水酸化物とアルコキシドの還流
操作により、分子内での脱アルコ−ル反応を促進する。
以上のいずれかの手法を用いることにより、他の求核性
有機金属化合物の存在下においても安定なMg−O−W
結合を有するMgW複合アルコキシド分子を合成できる
が、特にの手法が安定なMgW複合体を合成するのに
望ましい。
【0019】作製したアルカリ土類金属前駆体溶液とM
gW複合アルコキシド溶液、あるいはMgW複合アルコ
キシドを所定のモル比で混合し、塗布溶液とする。混合
後の還流操作は特に必要としない。
【0020】そして、Pt,Au,Cr等の下部電極が
形成された基板上に、前記塗布溶液をスピンコ−ト法,
ディップコ−ト法,スプレ−法等の手法により成膜す
る。
【0021】成膜後、大気中で300〜400℃の温度
で1分間熱処理を行い、膜中に残留した有機物を燃焼さ
せ、ゲル膜とする。さらに、大気中で750℃で焼成を
行い、結晶化と共に、膜中の有機物を完全に除去する。
焼成時間は、A(Mg1/2 1/2 )O3 (Aはアルカリ
土類金属)結晶の粒径が最適となる時間を採用する。
【0022】尚、1回の膜厚はクラックの生成を抑える
為、溶液の塗布厚みは0.1μm以下が望ましい。
【0023】このような塗布溶液の塗布〜焼成までの工
程を繰り返すことにより複合酸化物薄膜が得られる。得
られた複合酸化物薄膜の膜厚は、製造の容易性および絶
縁性という観点から0.3〜1.0μmであることが望
ましい。
【0024】
【実施例】
実施例1(Ba−Mg−W系) 酢酸マグネシウム10mmolとペンタイソプロポキシ
タングステン10mmolを秤量し、2−メトキシエタ
ノ−ル200mmol中に溶解した。120℃で還流を
24時間行い、MgW複合アルコキシドを合成した。溶
液のIRスペクトルにおいて、1740cm-1付近にエ
ステルの吸収がみられ、両原料間でのエステル脱離反応
が促進され、安定なMg−O−W結合を有するMgW複
合アルコキシドが形成された事を確認した。
【0025】金属Ba20mmolを200mmolの
2−メトキシエタノ−ル中に溶解させ、Baアルコキシ
ド(メトキシエトキシド)を合成した。
【0026】Ba:Mg:W=1:0.5:0.5の組
成になる様混合し、Ba−Mg−W(BMW)複合アル
コキシド溶液を合成した。
【0027】Ptがスパッタ蒸着されたサファイア基板
上に、BMW溶液を滴下し、スピンコ−ト法により成膜
した。成膜後、300℃で1分間、750℃で5分間の
熱処理を行い、ゲル膜とした。成膜、熱処理を繰り返す
事により、膜厚約0.3μmのBMW薄膜を得た。
【0028】薄膜表面に直径0.22mmの金電極をス
パッタ蒸着により形成し、LCRメ−タ−を用いて、誘
電特性を評価した。
【0029】図1に作製したBMW薄膜のX線回折プロ
ファイルを示す。Ba(Mg1/2 1/2 )O3 からなる
ペロブスカイト単一相であった。750℃の低温でBM
W薄膜が作製できた。25℃、1MHzでの薄膜の比誘
電率は約20であり、焼結体とほぼ同等の値であった。
この結果を表1の試料No.4に示す。
【0030】また、上記方法と同様にして、表1に示し
た組成になる様、BMW前駆体溶液を合成し、それを用
いて作製した薄膜の室温での比誘電率と、X線回折測定
から得られた薄膜結晶の主結晶相の割合を示す。Ba
(Mg1/2 1/2 )O3 からなるペロブスカイト生成率
はピーク強度比から求めた値である。
【0031】
【表1】
【0032】この表1より、750℃の低温焼成で、比
誘電率15以上、ペロブスカイト生成率96%以上のB
MW薄膜が得られることが判る。
【0033】実施例2 ジエトキシマグネシウム10mmolとペンタイソプロ
ポキシタングステン10mmolを秤量し、2−メトキ
シエタノ−ル200mmol中に溶解した。120℃で
還流を24時間行い、MgW複合アルコキシドを合成し
た。この複合体に10mmolの無水酢酸を混合し、安
定化処理を行った。
【0034】金属Ba20mmolを200mmolの
2−メトキシエタノ−ル中に溶解させ、Baアルコキシ
ド(メトキシエトキシド)を合成し、これをBa:M
g:W=1:0.5:0.5の組成になるようにMgW
複合アルコキシドに混合し、BMW複合アルコキシド溶
液を合成した。
【0035】実施例1と同様の手法で、成膜、熱処理を
繰り返し、膜厚約0.3μmのBMW薄膜を作製した。
作製したBMW薄膜は実施例1と同様、BMW単相であ
り、比誘電率は約20であった。
【0036】比較例 ジエトキシマグネシウム10mmolとペンタイソプロ
ポキシタングステン10mmolを秤量し、2−メトキ
シエタノ−ル200mmol中に溶解した。120℃で
還流を24時間行い、MgW複合アルコキシドを合成し
た。
【0037】実施例1と同様に、金属Ba20mmol
を200mmolの2−メトキシエタノ−ル中に溶解さ
せ、Baアルコキシド(メトキシエトキシド)を合成
し、この溶液を、Ba:Mg:W=1:0.5:0.5
の組成になるようにMgW複合アルコキシドに混合し、
BMW複合アルコキシド溶液を合成した。しかし、この
溶液は安定性が悪く、Mg原料が沈澱した。
【0038】実施例1と同様の手法で、成膜、熱処理を
繰り返し、膜厚約0.3μmのBMW薄膜を作製した。
作製した薄膜のX線回折プロファイルを図2に示す。X
線回折測定から得られたBa(Mg1/2 1/2 )O3
ペロブスカイト生成率は約70%であった。
【0039】実施例3(Sr−Mg−W系) 酢酸マグネシウム10mmolとペンタイソプロポキシ
タングステン10mmolを秤量し、2−メトキシエタ
ノ−ル200mmol中に溶解した。120℃で還流を
24時間行い、MgW複合アルコキシドを合成した。溶
液のIRスペクトルにおいて、1740cm-1付近にエ
ステルの吸収がみられ、両原料間での反応が促進され、
Mg−O−W結合を有するMgW複合アルコキシドが形
成された事を確認した。
【0040】金属Sr20mmolを200mmolの
2−メトキシエタノ−ル中の溶解させ、Srアルコキシ
ド(メトキシエトキシド)を合成した。Sr:Mg:W
=1:0.5:0.5の組成になる様混合し、SMW前
駆体溶液を合成した。
【0041】Ptがスパッタ蒸着されたサファイア基板
上に、実施例1と同様の手法で薄膜作製を行い、膜厚約
0.3μmのSr−Mg−W(SMW)薄膜を得た。薄
膜表面に直径0.22mmの金電極をスパッタ蒸着によ
り形成し、LCRメ−タ−を用いて、誘電特性を評価
し、その結果を表2の試料No.8に記載した。
【0042】また、作製したSMW薄膜は実施例1と同
様、SMWペロブスカイト単一相であった。25℃、1
MHzでの薄膜の比誘電率は20であり、焼結体とほぼ
同等の値であった。
【0043】また、上記方法と同様にして、表2に示し
た組成になる様、SMW前駆体溶液を合成し、それを用
いて作製した薄膜の室温での比誘電率と、X線回折測定
から得られた薄膜結晶の主結晶相の割合を示す。Sr
(Mg1/2 1/2 )O3 からなるペロブスカイト生成率
はピーク強度比から求めた値である。
【0044】
【表2】
【0045】この表2より、750℃の低温焼成で、比
誘電率12以上、ペロブスカイト生成率96%以上のS
MW薄膜が得られることが判る。
【0046】実施例4(Ca−Mg−W系) 酢酸マグネシウム10mmolとペンタイソプロポキシ
タングステン10mmolを秤量し、2−メトキシエタ
ノ−ル200mmol中に溶解した。120℃で還流を
24時間行い、MgW複合アルコキシドを合成した。溶
液のIRスペクトルにおいて、1740cm-1付近にエ
ステルの吸収がみられ、両原料間での反応が促進され、
Mg−O−W結合を有するMgW複合アルコキシドが形
成された事を確認した。
【0047】ジエトキシカルシウム20mmolと20
0mmolの2−メトキシエタノ−ルを混合し、80℃
で10時間、還流操作を行い、Caアルコキシド(メト
キシエトキシド)を合成した。Ca:Mg:W=1:
0.5:0.5の組成になる様混合し、Ca−Mg−W
(CMW)前駆体溶液を合成した。
【0048】Ptがスパッタ蒸着されたサファイア基板
上に、実施例1と同様の手法で、薄膜作製を行い、膜厚
約0.3μmのCMW薄膜を得た。薄膜表面に直径0.
22mmの金電極をスパッタ蒸着により形成し、LCR
メ−タ−を用いて、誘電特性を評価し、その結果を表3
の試料No.12に記載した。
【0049】また、作製したCMW薄膜は実施例1と同
様、CMWペロブスカイト単一相であった。25℃、1
MHzでの薄膜の比誘電率は20であり、焼結体とほぼ
同等の値であった。
【0050】また、上記方法と同様にして、表3に示し
た組成になる様、CMW前駆体溶液を合成し、それを用
いて作製した薄膜の室温での比誘電率と、X線回折測定
から得られた薄膜結晶の主結晶相の割合を示す。Ca
(Mg1/2 1/2 )O3 からなるペロブスカイト生成率
はピーク強度比から求めた値である。
【0051】
【表3】
【0052】この表3より、750℃の低温焼成で、比
誘電率17以上、ペロブスカイト生成率96%以上のC
MW薄膜が得られることが判る。
【0053】実施例5(Ba−Sr−Mg−W系) 酢酸マグネシウム10mmolとペンタイソプロポキシ
タングステン10mmolを秤量し、2−メトキシエタ
ノ−ル200mmol中に溶解した。120℃で還流を
24時間行い、MgW複合アルコキシドを合成した。溶
液のIRスペクトルにおいて、1740cm-1付近にエ
ステルの吸収がみられ、両原料間での反応が促進され、
Mg−O−W結合を有するMgW複合アルコキシドが形
成された事を確認した。
【0054】実施例1および実施例3と同様に、Baア
ルコキシドおよびSrアルコキシドを合成した。これら
の溶液を、Ba:Sr:Mg:W=1−x:x:0.
5:0.5の組成になるように、MgW複合アルコキシ
ドに混合し、Ba−Sr−Mg−W(BSMW)前駆体
溶液を合成した。
【0055】Ptがスパッタ蒸着されたサファイア基板
上に、実施例1と同様の手法で、薄膜作製を行い、膜厚
約0.3μmのBSMW薄膜を得た。薄膜表面に直径
0.22mmの金電極をスパッタ蒸着により形成し、L
CRメ−タ−を用いて、誘電特性を評価し、表4に結果
を記載した。
【0056】また、作製した薄膜の組成と室温での比誘
電率およびX線回折測定から得られた薄膜結晶の主結晶
相の割合、並びにペロブスカイト生成率を示した。
【0057】
【表4】
【0058】この表4より、750℃の低温焼成で、比
誘電率20、ペロブスカイト生成率100%のBSMW
薄膜が得られることが判る。
【0059】実施例6(Ba−Ca−Mg−W系) 酢酸マグネシウム10mmolとペンタイソプロポキシ
タングステン10mmolを秤量し、2−メトキシエタ
ノ−ル200mmol中に溶解した。120℃で還流を
24時間行い、MgW複合アルコキシドを合成した。溶
液のIRスペクトルにおいて、1740cm-1付近にエ
ステルの吸収がみられ、両原料間での反応が促進され、
Mg−O−W結合を有するMgW複合アルコキシドが形
成された事を確認した。
【0060】実施例1および実施例4と同様に、Baア
ルコキシドおよびCaアルコキシドを合成した。これら
の溶液を、Ba:Ca:Mg:W=1−x:x:0.
5:0.5の組成になるように、MgW複合アルコキシ
ドに混合し、Ba−Ca−Mg−W(BCMW)前駆体
溶液を合成した。Ptがスパッタ蒸着されたサファイア
基板上に、実施例1と同様の手法で、薄膜作製を行い、
膜厚約0.3μmのBCMW薄膜を得た。薄膜表面に直
径0.22mmの金電極をスパッタ蒸着により形成し、
LCRメ−タ−を用いて、誘電特性を評価し、表5に記
載した。
【0061】また、作製した薄膜の組成と室温での比誘
電率およびX線回折測定から得られた薄膜結晶の主結晶
相とその割合、並びにペロブスカイト生成率を示した。
【0062】
【表5】
【0063】この表5から、750℃の低温焼成で、比
誘電率19以上、ペロブスカイト生成率100%のBS
MW薄膜が得られることが判る。
【0064】
【発明の効果】本発明では、MgW複合体がA−Mg−
W前駆体溶液中で安定に存在する事により、分子レベル
での組成の不均一が生じず、A(Mg1/2 1/2 )O3
(Aはアルカリ土類金属)を主結晶とする低損失薄膜材
料を750℃の低温で作製できる。また低温合成できる
ことにより、半導体とモノリシック化された、高周波用
薄膜コンデンサ、薄膜フィルターを供給することが可能
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で作製したBMW系薄膜のX線回折プ
ロファイルである。
【図2】比較例で作製した薄膜のX線回折プロファイル
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01P 7/10 C04B 35/00 J

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルカリ土類金属、MgおよびWからなる
    複合ペロブスカイト型結晶相を主として含有する複合酸
    化物薄膜の製造方法であって、Mg化合物とW化合物に
    よりMgW複合アルコキシドを合成した後、該MgW複
    合アルコキシドとアルカリ土類金属化合物を混合して塗
    布溶液を合成し、該塗布溶液を基板表面に塗布して焼成
    することを特徴とする複合酸化物薄膜の製造方法。
  2. 【請求項2】前記MgW複合アルコキシドは、カルボン
    酸塩であるMg化合物と、W化合物との還流操作により
    合成され、アルカリ土類金属化合物の共存下においても
    安定に存在することを特徴とする請求項1記載の複合酸
    化物薄膜の製造方法。
  3. 【請求項3】前記MgW複合アルコキシドは、アルコキ
    シドであるMg化合物とW化合物により合成した後、安
    定化処理を行うことによって作製され、アルカリ土類金
    属化合物の共存下においても安定に存在することを特徴
    とする請求項1記載の複合酸化物薄膜の製造方法。
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JPWO2002062569A1 (ja) * 2001-02-05 2004-11-11 聖一 蓮覚寺 酸化物層を有する構造体、該構造体の製造方法、並びに該構造体を用いたコンデンサ及びフィルタ

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