JPH1045469A - 誘電体薄膜およびセラミックコンデンサ - Google Patents

誘電体薄膜およびセラミックコンデンサ

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JPH1045469A
JPH1045469A JP8316448A JP31644896A JPH1045469A JP H1045469 A JPH1045469 A JP H1045469A JP 8316448 A JP8316448 A JP 8316448A JP 31644896 A JP31644896 A JP 31644896A JP H1045469 A JPH1045469 A JP H1045469A
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thin film
dielectric constant
dielectric thin
relative dielectric
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JP8316448A
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English (en)
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Yasuyo Kamigaki
耕世 神垣
Naokane Nagakari
尚謙 永仮
Shinji Nanbu
信次 南部
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高誘電率で、温度変化率が小さく、かつDCバ
イアス特性が良好な誘電体薄膜およびセラミックコンデ
ンサを提供する。 【解決手段】金属元素としてBa,Ti,Biを含有す
るペロブスカイト型複合酸化物であって、これらの成分
をBaTiBix 3 と表した時のxの範囲および平均
結晶粒径dが、図1における点A,B,C,Dで囲む線
分の範囲内にある誘電体薄膜であり、このような誘電体
薄膜の両面にそれぞれ電極を形成してなるセラミックコ
ンデンサである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘電体薄膜および
セラミックコンデンサに関するものであり、例えば、膜
厚が2μm以内の誘電体薄膜およびこの誘電体薄膜を用
いた高周波用のセラミックコンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、コンデンサなどに使用される誘
電体材料には、高い誘電率が要求されることは勿論のこ
と、誘電損失が小さく、温度特性が良好であり、直流電
圧に対する誘電特性の依存性が小さい等の種々の要求を
満足させる必要がある。
【0003】従来では、誘電体材料として、チタン酸バ
リウム(BaTiO3 )のようなペロブスカイト型の各
種酸化物が報告されており、また実用化されている。
【0004】一方、近年、電子機器の小型化,高性能化
に伴い、コンデンサ等の電子部品の小型化,大容量化の
要求が高まってきている。この様な要求に応えるため
に、積層セラミックコンデンサ(MLC)においては、
誘電体層を薄層化することにより静電容量を高めると共
に、小型化を図る必要が生じている。
【0005】また、近年において電子機器は動作周波数
が加速度的に増大しており、電子部品も高周波領域にお
いて優れた特性を示す事が要求されはじめている。コン
デンサでは、高周波領域において電流が流れ易くなり、
畜電器としてだけでなく抵抗体やコイルとしての性質も
現れてくる。このため高周波用コンデンサは抵抗、イン
ダクタンスが小さいことが重要になる。また、高周波領
域においては強誘電体は比誘電率が減少することが知ら
れており、コンデンサとして比誘電率の減少の小さい、
高周波領域においても高誘電率を示す材料によりコンデ
ンサを形成する必要がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、BaT
iO3 系のセラミックコンデンサにおいては、誘電体層
中の結晶粒径が小さくなり、サイズ効果により比誘電率
が低下することが問題となっていた。また、誘電体層の
薄層化に伴い、誘電体1層当りにかかる電圧が大きくな
り、特に直流成分のかかった状態での静電容量の低下
(DCバイアス特性の低下)が問題となっていた。
【0007】また、典型的なコンデンサ材料であるBa
TiO3 系材料は1KHz程度の低周波数においては大
きな比誘電率を示し、コンデンサ材料として優れた材料
であるが、周波数分散が大きいため、高周波領域におけ
る比誘電率の減少が大きいと考えられ、高周波領域では
高誘電率材料として使えないと考えられてきた(特開平
6−77083号公報等参照)。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
の解決方法を鋭意検討した結果、BaTiO3 に1〜6
mol%のBi元素を添加し、ペロブスカイト結晶の平
均結晶粒径を0.11〜0.45μmに制御した、即
ち、BaTiBix 3 と表した時のxおよびペロブス
カイト結晶の平均結晶粒径dを、図1における点A,
B,C,Dで囲む線分の範囲内とすることにより、粒径
の細かい誘電体薄膜においても、比誘電率が大きくな
り、かつDCバイアス特性も良好となり、さらに高周波
領域における比誘電率の減少を小さくできることを見い
出し、本発明に至った。
【0009】また、バルクにおいて大きな比誘電率を持
つBaTiO3 材料を0.15〜0.25μmの平均結
晶粒子径をもつ微粒子薄膜にすることにより、比誘電率
を比較的大きな値に保ちながら、自発分極に起因するD
Cバイアス依存性や、高周波領域での比誘電率の減少を
小さくできることを見い出し、本発明に至った。
【0010】即ち、本発明の誘電体薄膜は、金属元素と
してBa,TiおよびBiを含有するペロブスカイト型
複合酸化物からなる誘電体薄膜であって、これらの金属
元素酸化物のモル比による組成式をBaTiBix 3
と表した時のxおよびペロブスカイト結晶の平均結晶粒
径d(μm)が、図1における点A−B−C−D−Aで
囲まれる範囲内のものである。測定周波数100MHz
(室温)での比誘電率が1000以上である。
【0011】また、本発明のセラミックコンデンサは、
上記した誘電体薄膜の両面にそれぞれ電極を形成してな
るものである。
【0012】さらに、本発明のセラミックコンデンサ
は、膜厚2μm以下の誘電体薄膜の両面にそれぞれ電極
を形成してなるセラミックコンデンサであって、前記誘
電体薄膜が平均結晶粒径0.15〜0.25μmのチタ
ン酸バリウム(BaTiO3 )からなり、測定周波数1
00MHz(室温)での比誘電率が1000以上のもの
である。
【0013】
【作用】薄膜中の平均結晶粒径を細かくしていった場
合、強誘電体的性質に常誘電体的性質が現れるために、
比誘電率は多少低下するが直流電圧がかかった状態の比
誘電率の低下が抑制され、DCバイアス特性は良好とな
る。さらに、Biを加える事により転移点が低温にシフ
トし、常誘電体的性質がより強く現れる為に、DCバイ
アス特性がさらに良好になる。
【0014】強誘電性が消失し、常誘電体的性質が支配
的になるため、静電容量の温度特性及びDCバイアス特
性を良好とすることができるとともに、強誘電性の起源
である自発分極が消失するため100MHzの様な高周
波領域においても自発分極に起因する誘電率の周波数分
散が小さくなり、高周波領域においても大きな比誘電率
を示す。
【0015】即ち、本発明のセラミックコンデンサで
は、1kHzでの比誘電率が1100以上でかつ100
MHzでの比誘電率が1000以上であり、温度特性も
コンデンサのJIS規格におけるB特性を満足し、且つ
直流電圧印加による静電容量の減少率(DCバイアス特
性)も5V/μmの電界印加時に30%未満と小さいた
め、低周波においてだけでなく、バイパスコンデンサや
デカップリングコンデンサのようなIC等の高周波回路
用のコンデンサとして優れたセラミックコンデンサを得
ることができる。
【0016】また、本発明のBaTiO3 からなる誘電
体薄膜の場合には、BaTiO3 の平均結晶粒径が0.
15〜0.25μmと小さいことから、強誘電性が消失
し、常誘電体的性質が現れ、温度特性及び直流バイアス
特性が良好になったと考えられる。これは、X線回折結
果より、BaTiO3 の結晶構造が立方晶構造であるこ
とと、電束(D)−電界(E)履歴曲線測定の結果、履
歴が観測されないことから明かである。
【0017】また、常誘電的性質を示す為に、高周波交
流電界に対しても比誘電率の減少が小さく、高周波領域
で比較的大きい比誘電率を示す。
【0018】また、0.15μm以上の粒子径を有する
BaTiO3 を作製するためには、950℃以上の焼成
温度が必要である。多結晶Pt薄膜電極の上にBaTi
3膜を形成する場合、950℃以上の焼成温度におい
てPt多結晶も3次元的に粒成長する為、BaTiO3
と反応が容易に起こり、BaTiO3 の粒成長を抑制
し、0.15μm以上とすることが困難となる。一方、
配向したPt膜を用いると、Pt自身が温度によらず焼
成により膜面に平行方向に2次元的な粒成長をするか、
もしくは粒成長しない為、BaTiO3 との反応が起こ
りにくく、Ptの拡散していない粒成長したBaTiO
3 が得られる。よって、配向したPt膜を電極として用
いることが望ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明においては、BaTiBi
x 3 と表した時のxが0.01〜0.06であり、平
均結晶粒径dが0.11〜0.45を満足するものであ
る。xの値を0.01〜0.06としたのは、xが0.
01よりも小さい場合にはBaTiO3 の性質によりD
Cバイアス特性が劣化し、xが0.06よりも大きい場
合には比誘電率が小さくなるからである。BaTiBi
x 3 と表した時のxは0.01〜0.04であること
が、室温で比誘電率が大きくなる点から望ましい。
【0020】また、平均結晶粒径dを0.11〜0.4
5としたのは、平均結晶粒径dが0.11よりも小さい
場合には比誘電率が小さくなるからであり、dが0.4
5よりも大きい場合には、DCバイアスに対する静電容
量の変化率が大きくなるからである。
【0021】そして、BaTiBix 3 と表した時の
xの範囲および平均結晶粒径dは、図1における点A,
B,C,Dで囲む線分の範囲内にある必要がある。即
ち、(xの値、平均結晶粒径d)で表される点A(0.
01、0.11),B(0.01、0.45),C
(0.06、0.32),D(0.06、0.22)で
囲む線分の範囲内である必要がある。この範囲内とした
のは、上記した理由からであり、この範囲外では比誘電
率が低下し、DCバイアスに対する静電容量の変化率が
大きくなるからである。
【0022】本発明では、特に、点A(0.01、0.
11),B(0.01、0.45),E(0.04、
0.36),F(0.04、0.21)で囲む線分の範
囲内であることが望ましい。
【0023】本発明の誘電体薄膜は、先ず、金属元素と
してBa,Ti,Biを含有するペロブスカイト型複合
酸化物であって、これらの成分をBaTiBix 3
表した時のxが0.01〜0.06である原料溶液を作
製し、この溶液を基板上に塗布した後、乾燥し、熱処理
を繰り返して所望厚さの膜を形成し、焼成することによ
り得られる。
【0024】即ち、本発明で用いられるペロブスカイト
型酸化物はBaTiBix 3 で表され、図1に示すよ
うにxの範囲が0.01〜0.06であり、結晶粒径の
範囲が0.1〜0.45μmの値を満足する誘電体薄膜
は、各成分の組成の制御、膜厚、微粒領域(0.05〜
1μm)での結晶粒径の制御が比較的容易な、以下のよ
うな方法で形成することが望ましい。
【0025】先ず、Ba,Ti,Biの各金属イオンを
含有する有機酸塩,無機塩,あるいは金属アルコキシド
のような有機金属化合物を出発原料とし、BaTiBi
x 3 におけるxの範囲が0.01〜0.07を満足す
る組成となるように混合し、原料溶液を調製する。
【0026】次に、この原料溶液を基板上に塗布する。
溶液の塗布はスピンコーティング,ディップコーティン
グなどの種々の方法により行うことができる。次に、こ
うして基板上に塗布された塗膜を有機物を燃焼させため
に大気中で200〜600℃で1〜2分間熱処理を行
い、この後、結晶化するために大気中で700〜900
℃で30秒〜10分間結晶化用熱処理を行う。これらの
塗布〜結晶化用熱処理の一連のプロセスを繰り返すこと
により所望の膜厚の誘電体薄膜を得、最後に0.11〜
0.45μmの平均結晶粒径を得るために酸素含有雰囲
気中で1000〜1150℃で10分間〜3時間焼成を
行い、5μm以下、例えば、膜厚0.3〜2μmの本発
明の誘電体薄膜を得る。
【0027】尚、本発明における誘電体薄膜の結晶粒径
の制御は、焼成温度および焼成時間により制御すること
ができる。また、本発明のコンデンサは、誘電体薄膜を
一対の電極により挟持した平板コンデンサであっても良
く、また誘電体薄膜と電極とを交互に積層した積層コン
デンサであっても良い。
【0028】本発明の誘電体薄膜では、BaTiO3
らなるペロブスカイト型結晶を主成分とするものであ
り、Biがどのように状態で存在しているか明確ではな
いが、Biはペロブスカイト型結晶のAサイト中に固溶
していると考えている。
【0029】コンデンサの電極としては、膜厚0.05
μm以上のPt、Au、Pd薄膜であることが望まし
く、上記した理由から、配向したPt膜であることが望
ましい。また、セラミックコンデンサは、アルミナ、サ
ファイア、MgO、SrTiO3 、チタン被覆シリコ
ン、もしくは銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(S
n)、ステンレススティール(Fe)薄板上に形成され
ることが望ましい。
【0030】また、本発明のBaTiO3 からなる誘電
体薄膜の場合には、BaTiO3 微粒子はゾルゲル法、
水熱合成法等の湿式合成法により作製するのが好まし
い。
【0031】具体的には、先ず、Ba(OR1 2 (R
1 :炭素数1以上の炭化水素基)で表される、例えばバ
リウムメトキシド等のバリウムアルコキシドと、R2
24 OH(R2 :炭素数1以上の炭化水素基)で表
される、例えば2−メトキシエタノール等のアルコール
類とのアルコール交換反応による溶液、あるいは固体の
バリウム金属を前記R2 OC2 4 OHに溶解してBa
(OC2 4 OR2 2 で表される、例えばバリウムメ
トキシエトキシド溶液を合成する。
【0032】一方、Ti(OR3 4 (R3 :炭素数1
以上の炭化水素基)で表される、例えばチタンブトキシ
ド等のチタンアルコキシドと、前記R2 OC2 4 OH
とのアルコール交換反応からTi(OC2 4 OR2
4 で表される、例えばチタンメトキシエトキシド溶液を
合成する。
【0033】次に、等モル濃度の前記Ba(OC2 4
OR2 2 溶液とTi(OC2 4OR2 4 溶液を混
合した後、加熱撹拌あるいは還流してBa−Ti複合ア
ルコキシド溶液を得る。
【0034】得られた複合アルコキシド溶液を塗布溶液
とし、ディップコーティング法や、スピンコーティング
法、スプレーコーティング法等により、Pt等の電極用
金属薄膜を蒸着した基板に塗布する。
【0035】次に、塗布溶液中の溶媒の沸点以上、Ba
TiO3 の結晶化温度以下の温度範囲、例えば120℃
〜500℃で熱処理してアルコールや残留水分の含有量
を所定量以下に乾燥除去する。Ba−Ti複合アルコキ
シド溶液の塗布から乾燥までの操作を所望の膜厚が得ら
れるまで繰り返し行う。この操作の繰り返し回数は、塗
布溶液の濃度、粘度及び薄膜の厚さにより適宜決定する
ことができる。
【0036】本発明によれば、所定の膜厚を形成した
後、BaTiO3 の結晶化温度以上の温度、例えば、酸
化性雰囲気中、700℃以上の温度で、膜厚により約1
分から1時間程度熱処理を行う。
【0037】Ba−Ti複合アルコキシド溶液の塗布か
ら熱処理までの操作を所望の膜厚が得られるまで繰り返
し行う。
【0038】上記操作を所望の膜厚が得られるまで繰り
返し行った後、BaTiO3 の結晶化温度以上の温度、
例えば、酸化性雰囲気中、700℃以上の温度で、膜厚
により約5分から10時間程度焼成してBaTiO3
膜を得る。また、焼成はその都度重量変化が生じなくな
るまで行う事が望ましく、予め使用する複合アルコキシ
ドで作製した乾燥ゲルの重量変化を熱分析で測定し、結
晶化温度以上の温度で重量変化が認められなくなる時間
を決定し、その時間を焼成時間として採用すれば良い。
【0039】また、溶液を塗布する際に、金属薄膜電極
と塗布溶液との付着が不十分である場合には、金属薄膜
電極と塗布溶液との濡れ性を向上すべく、複合アルコキ
シド溶液を調製する際の溶媒量を変えて、第1回目に塗
布する溶液の濃度を薄くすることにより塗布膜の均一性
を改善でき、この際に用いる複合アルコキシド溶液は溶
媒量が異なるだけで、組成等には変化が無いことから、
組成上の均一性を損なうことはない。
【0040】尚、塗布溶液は、その濃度を薄くしたもの
を塗布、乾燥する行程を多数回繰り返した方が、膜の均
一性を向上できることは言うまでもない。
【0041】また、得られた前記複合アルコキシド溶液
に、全金属モル数の10〜20倍の水を溶媒と混合した
ものを、撹拌しながら適下、混合する。100℃〜12
0℃に加熱し、撹拌しながら溶媒を完全に除去する。得
られたゲルを500℃以下の温度で熱処理し、有機成分
を除去して、仮焼粉体を得る。この仮焼粉体に所定のバ
インダーを添加し、成形し焼成することによりBaTi
3 膜体を得る。この場合でも、BaTiO3 の平均結
晶粒径が0.15〜0.25μmであるならば、所定の
効果を得ることができる。
【0042】
【実施例】
実施例1 出発原料であるテトラ−イソ−プロポキシチタン、トリ
−エトキシビスマスを、溶媒である2−メトキシエタノ
ールに溶かし、それぞれチタン溶液とビスマス溶液を作
製した。また金属バリウムを、溶媒である2−メトキシ
エタノールに溶解させ、バリウム溶液を作製した。これ
らの3種の溶液を、BaTiBix 3と表した時のx
が表1の値となるように混合し、原料溶液を調製した。
【0043】ついで、これら各原料溶液を白金(Pt)
基板上にそれぞれスピンコートし、得られた塗膜に対し
て大気中350℃で1分間、有機物を燃焼するための熱
処理を行い、この後、大気中750℃で5分間結晶化用
熱処理を行った。このようなスピンコートによる溶液の
塗布から結晶化用熱処理までの一連のプロセスを30回
繰り返し行い、膜厚が0.9μmの薄膜を形成し、酸素
雰囲気中1000〜1150℃で1時間焼成を行い、表
1の平均結晶粒径dの誘電体薄膜を得た。
【0044】得られた誘電体薄膜をX線回折測定(XR
D)により分析を行ったところ、いずれもペロブスカイ
ト型酸化物のピークが確認された。また誘電体薄膜を走
査電子顕微鏡(SEM)により観察し、平均結晶粒径を
測定した。
【0045】さらに、誘電特性の評価は、誘電体薄膜上
にAuを蒸着して上部電極とし、下部電極であるPt層
と平板コンデンサを形成することにより行った。測定は
LCRメーターによって行い、測定周波数f=1kH
z、印加電圧Vrms =100mVとした。
【0046】また、インピーダンスアナライザ(ヒュウ
レットパッカード社製HP4291A,フィクスチャー
HP16092A)を用いて1MHz〜1.8GHzに
おける特性評価をおこなった。インピーダンスー周波数
特性の測定により、100MHz(室温)における等価
直列容量を評価し、比誘電率を求めた。
【0047】室温での比誘電率(K)、誘電損失(D
F)および−25℃から85℃までの温度範囲での静電
容量の変化率を測定し、この温度範囲における最大、最
小値について25℃を基準とした時の変化率を表1に示
す。尚、静電容量の変化率TCC(%)は、T℃の静電
容量をCT とし、25℃の静電容量をC25とした時、
(CT −C25)×100/C25で求めた。またDCバイ
アスに対する静電容量の変化を、電圧を印加しない場合
の静電容量C0 、5MV/mの電圧を印加したときの静
電容量C1 とした時に、(C0 −C1 )/C0 ×100
で求め、表1に記載した。
【0048】
【表1】
【0049】表1から判るように、図1の点A,B,
C,Dの線分で囲まれる本発明の誘電体薄膜は、1kH
z(室温)において1100以上の高誘電率を有し、ま
た100MHz(室温)においても1000以上の高誘
電率を有し、また、DCバイアスに対する容量の変化
は、5MV/m印加時においても30%未満の低下であ
るの対して、比較例ではいずれも1kHzと100MH
zにおける比誘電率が1000よりも低く、DCバイア
スに対する容量の変化は30%以上であることが判る。
【0050】さらに、粉体を原料として作製した粒径が
0.5μm以上の従来のBaTiO3 系材料では、本材
料と同程度の比誘電率を持つが、DCバイアスに対する
容量の変化が5MV/m印加時に65%の低下であり、
本発明では優れた誘電特性を有することが判る。
【0051】実施例2 先ず、2.443gの金属バリウム(Ba)を34.2
97gの2−メトキシエタノ−ル(CH3 OC2 4
H)に溶解して、0.5M(mol/l)のバリウムメ
トキシエトキシド(Ba(OC2 4 OCH3 ))溶液
を調製した。一方、6.046gのテトラブトキシチタ
ン(Ti・(O−n−Bu)4 )を34.297gの2
−メトキシエタノール(CH3 OC2 4 OH)に溶解
して0.5M(mol/l)のチタンメトキシエトキシ
ド(Ti(OC2 4 OCH3 )4 )溶液を調製した。
次に、前記2種類のアルコキシド溶液を混合し、124
℃で2時間還流操作を行い、塗布溶液を調製した。
【0052】得られた塗布溶液を、サファイア単結晶上
に電極となる白金を650℃でスパッタ蒸着してなる基
板にスピンコーティング法により塗布した。300℃に
保持したホットプレートで1分間、さらに750℃の温
度で5分間熱処理した後、室温まで冷却した。塗布・乾
燥する行程を15回繰り返した後、管状炉で50ml/
分の酸素を流しながら、900,950,1000,1
050℃及び1100℃で各20分〜3時間焼成し、膜
厚が0.50μmのBaTiO3 試料を作製した。得ら
れた誘電体薄膜をX線回折測定(XRD)により分析を
行ったところ、いずれもBaTiO3 の結晶構造が立方
晶構造であることを確認した。
【0053】得られた試料について、表面SEM(走査
型電子顕微鏡)観察と断面TEM(透過型電子顕微鏡)
観察を行い、平均粒子径を求めた。また、試料表面に直
径0.2mmの金(Au)の円形電極をスパッタ蒸着
し、LCRメーター(ヒュウレットパッカード社製42
84A)を用いて、比誘電率,誘電損失,これらの直流
バイアス特性、温度変化率を測定した。
【0054】測定条件は、測定周波数f=1kHz、印
加電圧Vrms =100mVとした。
【0055】室温での比誘電率(K)、誘電損失(D
F)および−25℃と85℃の静電容量の温度変化率T
CC(%)は、−25℃の静電容量をCp-25 とし、2
5℃の静電容量をCp25とした時、(Cp-25 −C
25)×100/Cp25で求め、85℃の静電容量の変
化率TCC(%)は、85℃の静電容量をCp85とし、
25℃の静電容量をCp25とした時、(Cp85−C
25)×100/Cp25で求めた。
【0056】またDCバイアス特性を、電圧を印加しな
い場合の静電容量C0 、5V/μmの電圧を印加したと
きの静電容量C1 とした時に、(C0 −C1 )/C0 ×
100で求め、表2に記載した。
【0057】また、インピーダンスアナライザ(ヒュウ
レットパッカード社製HP4291A,フィクスチャー
HP16092A)を用いて1MHz〜1.8GHzに
おける特性評価をおこなった。インピーダンスー周波数
特性の測定により、100MHz(室温)における等価
直列容量を評価し、比誘電率を求めた。例えば、No.5
の試料では共振周波数は580MHzであり、100M
Hzでの比誘電率は1278であった。
【0058】
【表2】
【0059】この表2より、本発明のセラミックコンデ
ンサでは、試料No.3〜7から判るように、いずれも1
KHz(室温)での比誘電率1000以上、誘電損失t
anδが3.8%以下、温度変化率±8%以内、DCバ
イアス1V/μm印加時に減少率5%以下、DCバイア
ス5V/μm印加時に減少率30%以下を満足している
のみならず、100MHz(室温)での比誘電率も10
00以上である。一方、本発明の範囲外の試料では、1
kHzでの比誘電率が低かったり、DCバイアス特性や
静電容量の温度変化率が悪化したり、100MHzでの
比誘電率が1000未満であることが判る。
【0060】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
ペロブスカイト型結晶の平均結晶粒径が小さいため、誘
電体薄膜の薄層化を促進することができるとともに、1
kHzの様な低周波において比誘電率が比較的大きく、
静電容量の温度変化率が小さく、DCバイアス特性も良
好であるだけでなく、100MHzの様な高周波におい
ても比誘電率が大きい為、素子の小型化を図ることがで
きるとともに、ICまわりのデカップリングコンデンサ
等の高周波で用いられるコンデンサとしての実用化を促
進できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】縦軸に本発明の誘電体薄膜の平均結晶粒径d
を、横軸に誘電体薄膜の組成式におけるxを記載した図
である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属元素としてBa、TiおよびBiを含
    有するペロブスカイト型複合酸化物からなる誘電体薄膜
    であって、これらの金属元素酸化物のモル比による組成
    式をBaTiBix 3 と表した時のxおよびペロブス
    カイト結晶の平均結晶粒径d(μm)が、図1における
    点A−B−C−D−Aで囲まれる範囲内にあることを特
    徴とする誘電体薄膜。
  2. 【請求項2】測定周波数100MHz(室温)での比誘
    電率が1000以上であることを特徴とする請求項1記
    載の誘電体薄膜。
  3. 【請求項3】請求項1記載の誘電体薄膜の両面にそれぞ
    れ電極を形成してなることを特徴とするセラミックコン
    デンサ。
  4. 【請求項4】膜厚2μm以下の誘電体薄膜の両面にそれ
    ぞれ電極を形成してなるセラミックコンデンサであっ
    て、前記誘電体薄膜が平均結晶粒径0.15〜0.25
    μmのチタン酸バリウム(BaTiO3 )からなり、測
    定周波数100MHz(室温)での比誘電率が1000
    以上であることを特徴とするセラミックコンデンサ。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002231560A (ja) * 2001-01-31 2002-08-16 Murata Mfg Co Ltd 誘電体セラミックおよび積層セラミックコンデンサ
CN1331969C (zh) * 2003-04-03 2007-08-15 上海东株珠光颜料有限公司 一种低导热金属光泽涂料及其制备方法
JP2013545695A (ja) * 2010-09-29 2013-12-26 Tdk株式会社 誘電体磁器組成物および電子部品
US11869685B2 (en) * 2019-01-08 2024-01-09 Tdk Electronics Ag Thermistor and method for producing said thermistor

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