JP3215030B2 - 誘電体薄膜 - Google Patents
誘電体薄膜Info
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- JP3215030B2 JP3215030B2 JP30562595A JP30562595A JP3215030B2 JP 3215030 B2 JP3215030 B2 JP 3215030B2 JP 30562595 A JP30562595 A JP 30562595A JP 30562595 A JP30562595 A JP 30562595A JP 3215030 B2 JP3215030 B2 JP 3215030B2
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- Japan
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- thin film
- dielectric constant
- dielectric
- dielectric thin
- crystal grain
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- Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
- Inorganic Insulating Materials (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘電体薄膜に関す
るものであり、例えば、1層当りの膜厚が5μm以内の
積層セラミックコンデンサ等に用いられるペロブスカイ
ト型複合酸化物からなる誘電体薄膜に関する。
るものであり、例えば、1層当りの膜厚が5μm以内の
積層セラミックコンデンサ等に用いられるペロブスカイ
ト型複合酸化物からなる誘電体薄膜に関する。
【0002】
【従来技術】一般に、コンデンサなどに使用される誘電
体材料には、高い誘電率が要求されることは勿論のこ
と、誘電損失が小さく、温度特性が良好であり、直流電
圧に対する誘電特性の依存性が小さい等の種々の要求を
満足させる必要がある。
体材料には、高い誘電率が要求されることは勿論のこ
と、誘電損失が小さく、温度特性が良好であり、直流電
圧に対する誘電特性の依存性が小さい等の種々の要求を
満足させる必要がある。
【0003】従来では、誘電体材料として、チタン酸バ
リウム(BaTiO3 )のようなペロブスカイト型の各
種酸化物が報告されており、また実用化されている。
リウム(BaTiO3 )のようなペロブスカイト型の各
種酸化物が報告されており、また実用化されている。
【0004】一方、近年、電子機器の小型化,高性能化
に伴い、コンデンサ等の電子部品の小型化,大容量化の
要求が高まってきている。この様な要求に応えるため
に、積層セラミックコンデンサ(MLC)においては、
誘電体層を薄層化することにより静電容量を高めると共
に、小型化を図る必要が生じている。
に伴い、コンデンサ等の電子部品の小型化,大容量化の
要求が高まってきている。この様な要求に応えるため
に、積層セラミックコンデンサ(MLC)においては、
誘電体層を薄層化することにより静電容量を高めると共
に、小型化を図る必要が生じている。
【0005】しかしながら、薄層化された積層セラミッ
クコンデンサにおいては、誘電体層中の結晶粒径が小さ
くなり、サイズ効果により比誘電率が低下することが問
題となっていた。また薄層化に伴い、誘電体1層当りに
かかる電圧が大きくなり、特に直流成分のかかった状態
での比誘電率の低下(DCバイアス特性の低下)が問題
となっていた。
クコンデンサにおいては、誘電体層中の結晶粒径が小さ
くなり、サイズ効果により比誘電率が低下することが問
題となっていた。また薄層化に伴い、誘電体1層当りに
かかる電圧が大きくなり、特に直流成分のかかった状態
での比誘電率の低下(DCバイアス特性の低下)が問題
となっていた。
【0006】これらの問題点を解決した、(PbLa)
(ZrTi)O3 系の誘電体薄膜が、特開平3−283
515号公報に開示されている。
(ZrTi)O3 系の誘電体薄膜が、特開平3−283
515号公報に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、BaT
iO3 系の誘電体材料の薄層化については、サイズ効果
による比誘電率の低下およびDCバイアス特性の低下に
ついて解決されていなかった。
iO3 系の誘電体材料の薄層化については、サイズ効果
による比誘電率の低下およびDCバイアス特性の低下に
ついて解決されていなかった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の問
題点に対して検討を重ねた結果、Bサイト元素であるT
i原子をZr原子で2mol%から30mol%置換
し、ペロブスカイト結晶の平均結晶粒径を0.09〜
0.19μmに制御した、即ち、BaTi1-x Zrx O
3 と表した時のxおよびペロブスカイト結晶の平均結晶
粒径d(μm)を、図1における線分A B C D
E F G H Aで囲まれる範囲内とすることによ
り、粒径の細かい誘電体薄膜においても比誘電率が大き
くなり、かつDCバイアスに対する特性も良好となるこ
とを見い出し、本発明に至った。
題点に対して検討を重ねた結果、Bサイト元素であるT
i原子をZr原子で2mol%から30mol%置換
し、ペロブスカイト結晶の平均結晶粒径を0.09〜
0.19μmに制御した、即ち、BaTi1-x Zrx O
3 と表した時のxおよびペロブスカイト結晶の平均結晶
粒径d(μm)を、図1における線分A B C D
E F G H Aで囲まれる範囲内とすることによ
り、粒径の細かい誘電体薄膜においても比誘電率が大き
くなり、かつDCバイアスに対する特性も良好となるこ
とを見い出し、本発明に至った。
【0009】即ち、本発明の誘電体薄膜は、金属元素と
してBa,Ti,Zrを含有するペロブスカイト型複合
酸化物からなる誘電体薄膜であって、これらの成分をB
aTi1-x Zrx O3 と表した時のxおよびペロブスカ
イト結晶の平均結晶粒径d(μm)が、図1における線
分A B C D E F G H Aで囲まれる範囲
内にあることを特徴とする。ここで、各点(x、d)
は、A(0.02、0.19)、B(0.15、0.1
5)、C(0.30、0.15)、D(0.30、0.
14)、E(0.25、0.14)、F(0.10、
0.10)、G(0.05、0.09)、H(0.0
2、0.11)である。
してBa,Ti,Zrを含有するペロブスカイト型複合
酸化物からなる誘電体薄膜であって、これらの成分をB
aTi1-x Zrx O3 と表した時のxおよびペロブスカ
イト結晶の平均結晶粒径d(μm)が、図1における線
分A B C D E F G H Aで囲まれる範囲
内にあることを特徴とする。ここで、各点(x、d)
は、A(0.02、0.19)、B(0.15、0.1
5)、C(0.30、0.15)、D(0.30、0.
14)、E(0.25、0.14)、F(0.10、
0.10)、G(0.05、0.09)、H(0.0
2、0.11)である。
【0010】
【作用】BaTiO3 系の誘電体材料においては、12
0℃、10℃、−70℃に相転移点が存在し、その近傍
で比誘電率が高くなっている。つまり室温付近はこの相
転移点の中間に存在し、温度特性は良好であるが比誘電
率はあまり大きくない。
0℃、10℃、−70℃に相転移点が存在し、その近傍
で比誘電率が高くなっている。つまり室温付近はこの相
転移点の中間に存在し、温度特性は良好であるが比誘電
率はあまり大きくない。
【0011】本発明の積層セラミックコンデンサでは、
BaTiO3 のTi原子をZr原子にて置換することに
より、3点の相転移点は室温付近にシフトし、室温で3
種類の強誘電体相が存在することにより、高い比誘電率
を実現している。また薄膜中の平均結晶粒径を細かくす
ることにより、強誘電体的性質に常誘電体的性質が現れ
るために、比誘電率は多少低下するが直流電圧がかかっ
た状態の比誘電率の低下が抑制され、DCバイアス特性
は良好となる。
BaTiO3 のTi原子をZr原子にて置換することに
より、3点の相転移点は室温付近にシフトし、室温で3
種類の強誘電体相が存在することにより、高い比誘電率
を実現している。また薄膜中の平均結晶粒径を細かくす
ることにより、強誘電体的性質に常誘電体的性質が現れ
るために、比誘電率は多少低下するが直流電圧がかかっ
た状態の比誘電率の低下が抑制され、DCバイアス特性
は良好となる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明においては、BaTi1-x
Zrx O3 と表した時のxが0.02〜0.30であ
り、平均結晶粒径dが0.09〜0.19μmを満足す
るものである。
Zrx O3 と表した時のxが0.02〜0.30であ
り、平均結晶粒径dが0.09〜0.19μmを満足す
るものである。
【0013】xの値を0.02〜0.30としたのは、
xが0.02よりも小さい場合にはBaTiO3 のサイ
ズ効果により比誘電率が小さくなり、xが0.30より
も大きい場合には比誘電率が最大となる温度が室温以下
となり、室温近傍の比誘電率が小さくなるからである。
BaTi1-x Zrx O3 と表した時のxは0.05〜
0.10であることが、室温で比誘電率が大きくなる点
から望ましい。
xが0.02よりも小さい場合にはBaTiO3 のサイ
ズ効果により比誘電率が小さくなり、xが0.30より
も大きい場合には比誘電率が最大となる温度が室温以下
となり、室温近傍の比誘電率が小さくなるからである。
BaTi1-x Zrx O3 と表した時のxは0.05〜
0.10であることが、室温で比誘電率が大きくなる点
から望ましい。
【0014】また、平均結晶粒径dを0.09〜0.1
9μmとしたのは、平均結晶粒径dが0.09μmより
も小さい場合には比誘電率が小さくなるからであり、d
が0.19μmよりも大きい場合には、誘電損失が大き
く、DCバイアスに対する誘電率の変化率が大きくなる
からである。
9μmとしたのは、平均結晶粒径dが0.09μmより
も小さい場合には比誘電率が小さくなるからであり、d
が0.19μmよりも大きい場合には、誘電損失が大き
く、DCバイアスに対する誘電率の変化率が大きくなる
からである。
【0015】そして、BaTi1-x Zrx O3 と表した
時のxの範囲および平均結晶粒径dは、図1における点
A,B,C,D,E,F,G,Hで囲む線分の範囲内に
ある必要がある。
時のxの範囲および平均結晶粒径dは、図1における点
A,B,C,D,E,F,G,Hで囲む線分の範囲内に
ある必要がある。
【0016】即ち、(xの値、平均結晶粒径d)で表さ
れる点A(0.02、0.19),B(0.15、0.
15),C(0.30、0.15),D(0.30、
0.14),E(0.25、0.14)、F(0.1
0、0.10)、G(0.05、0.09)、H(0.
02、0.11)で囲む線分の範囲内である必要があ
る。この範囲内としたのは、上記した理由、および図1
において線分DEFGHよりも下方にある部分では、比
誘電率が小さくなるからである。特に、比誘電率の向上
およびDCバイアス特性の向上という理由から、I
(0.05、0.15),B(0.15、0.15),
J(0.15、0.12),G(0.05、0.07)
で囲まれる範囲内が望ましい。
れる点A(0.02、0.19),B(0.15、0.
15),C(0.30、0.15),D(0.30、
0.14),E(0.25、0.14)、F(0.1
0、0.10)、G(0.05、0.09)、H(0.
02、0.11)で囲む線分の範囲内である必要があ
る。この範囲内としたのは、上記した理由、および図1
において線分DEFGHよりも下方にある部分では、比
誘電率が小さくなるからである。特に、比誘電率の向上
およびDCバイアス特性の向上という理由から、I
(0.05、0.15),B(0.15、0.15),
J(0.15、0.12),G(0.05、0.07)
で囲まれる範囲内が望ましい。
【0017】本発明の誘電体薄膜は、先ず、金属元素と
してBa,Ti,Zrを含有するペロブスカイト型複合
酸化物であって、これらの成分をBaTi1-x Zrx O
3 と表した時のxが0.02〜0.30である原料溶液
を作製し、この溶液を基板上に塗布した後、乾燥し、熱
処理を繰り返して所望厚さの膜を形成し、焼成すること
により得られる。
してBa,Ti,Zrを含有するペロブスカイト型複合
酸化物であって、これらの成分をBaTi1-x Zrx O
3 と表した時のxが0.02〜0.30である原料溶液
を作製し、この溶液を基板上に塗布した後、乾燥し、熱
処理を繰り返して所望厚さの膜を形成し、焼成すること
により得られる。
【0018】即ち、本発明で用いられるペロブスカイト
型酸化物はBaTi1-x Zrx O3で表され、図1に示
すようにxの範囲が0.02〜0.30であり、結晶粒
径の範囲が0.09〜0.19μmの値を満足する誘電
体薄膜は、各成分の組成の制御、膜厚、微粒領域(0.
05〜1μm)での結晶粒径の制御が比較的容易な、以
下のような方法で形成することが望ましい。
型酸化物はBaTi1-x Zrx O3で表され、図1に示
すようにxの範囲が0.02〜0.30であり、結晶粒
径の範囲が0.09〜0.19μmの値を満足する誘電
体薄膜は、各成分の組成の制御、膜厚、微粒領域(0.
05〜1μm)での結晶粒径の制御が比較的容易な、以
下のような方法で形成することが望ましい。
【0019】先ず、Ba,Ti,Zrの各金属イオンを
含有する有機酸塩,無機塩,あるいは金属アルコキシド
のような有機金属化合物を出発原料とし、BaTi1-x
Zrx O3 におけるxの範囲が0.02〜0.30を満
足する組成となるように混合し、原料溶液を調製する。
含有する有機酸塩,無機塩,あるいは金属アルコキシド
のような有機金属化合物を出発原料とし、BaTi1-x
Zrx O3 におけるxの範囲が0.02〜0.30を満
足する組成となるように混合し、原料溶液を調製する。
【0020】次に、この原料溶液を基板上に塗布する。
溶液の塗布はスピンコーティング,ディップコーティン
グなどの種々の方法により行うことができる。次に、こ
うして基板上に塗布された塗膜から有機成分を除去する
ために大気中で200〜600℃で1〜2分間熱処理を
行い、この後、結晶化するために大気中で700〜90
0℃で30秒〜10分間結晶化用熱処理を行う。これら
の塗布〜結晶化用熱処理の一連のプロセスを繰り返すこ
とにより所望の膜厚の誘電体薄膜を得、最後に0.09
〜0.19μmの平均結晶粒径を得るために酸素含有雰
囲気中で900〜1140℃で10分間〜3時間焼成を
行い、厚みが5μm以下の本発明の誘電体薄膜を得る。
本発明では、誘電体薄膜の厚みは、0.3〜2μmが特
性上や製造上の観点から望ましい。
溶液の塗布はスピンコーティング,ディップコーティン
グなどの種々の方法により行うことができる。次に、こ
うして基板上に塗布された塗膜から有機成分を除去する
ために大気中で200〜600℃で1〜2分間熱処理を
行い、この後、結晶化するために大気中で700〜90
0℃で30秒〜10分間結晶化用熱処理を行う。これら
の塗布〜結晶化用熱処理の一連のプロセスを繰り返すこ
とにより所望の膜厚の誘電体薄膜を得、最後に0.09
〜0.19μmの平均結晶粒径を得るために酸素含有雰
囲気中で900〜1140℃で10分間〜3時間焼成を
行い、厚みが5μm以下の本発明の誘電体薄膜を得る。
本発明では、誘電体薄膜の厚みは、0.3〜2μmが特
性上や製造上の観点から望ましい。
【0021】
【実施例】以下、本発明を具体的な例で説明する。出発
原料であるテトラ−イソ−プロポキシチタン、テトラ−
n−プロポキシジルコニウムを、溶媒である2−メトキ
シエタノールに溶かし、それぞれ0.4M(mol/
l)濃度のチタン溶液とジルコニウム溶液を作製した。
また金属バリウムを溶媒である2−メトキシエタノール
に溶解させ、バリウム溶液を作製した。これらの3種の
溶液を、BaTi1-x Zrx O3 と表した時のxが表1
の値となるように混合し、1時間還流を行うことによ
り、金属元素としてBa,Ti,Zrを含有するペロブ
スカイト型複合酸化物であって、これらの成分をBaT
i1-x Zrx O3 と表した時のxが表1の値となるよう
な原料溶液を調製した。
原料であるテトラ−イソ−プロポキシチタン、テトラ−
n−プロポキシジルコニウムを、溶媒である2−メトキ
シエタノールに溶かし、それぞれ0.4M(mol/
l)濃度のチタン溶液とジルコニウム溶液を作製した。
また金属バリウムを溶媒である2−メトキシエタノール
に溶解させ、バリウム溶液を作製した。これらの3種の
溶液を、BaTi1-x Zrx O3 と表した時のxが表1
の値となるように混合し、1時間還流を行うことによ
り、金属元素としてBa,Ti,Zrを含有するペロブ
スカイト型複合酸化物であって、これらの成分をBaT
i1-x Zrx O3 と表した時のxが表1の値となるよう
な原料溶液を調製した。
【0022】ついで、これら各原料溶液を白金(Pt)
基板上にそれぞれスピンコートし、得られた塗膜に対し
て大気中300℃で1分間熱処理を行い、この後、大気
中750℃で5分間結晶化用熱処理を行った。このよう
なスピンコートによる溶液の塗布から結晶化用熱処理ま
での一連のプロセスを20回繰り返し行い、膜厚が0.
6μmの薄膜を形成し、酸素雰囲気中900〜1100
℃で1時間焼成を行い、表1の平均結晶粒径dの誘電体
薄膜を得た。
基板上にそれぞれスピンコートし、得られた塗膜に対し
て大気中300℃で1分間熱処理を行い、この後、大気
中750℃で5分間結晶化用熱処理を行った。このよう
なスピンコートによる溶液の塗布から結晶化用熱処理ま
での一連のプロセスを20回繰り返し行い、膜厚が0.
6μmの薄膜を形成し、酸素雰囲気中900〜1100
℃で1時間焼成を行い、表1の平均結晶粒径dの誘電体
薄膜を得た。
【0023】得られた誘電体薄膜をX線回折測定(XR
D)により分析を行ったところ、いずれもペロブスカイ
ト型酸化物のピークが確認された。また誘電体薄膜を走
査電子顕微鏡(SEM)により観察し、平均結晶粒径を
測定した。さらに、誘電特性の評価は、誘電体薄膜上に
Auを蒸着して上部電極とし、下部電極であるPt層と
平板コンデンサを形成することにより行った。測定はL
CRメーターによって行い、測定周波数f=1kHz、
印加電圧Vrms =100mVとした。室温での比誘電率
(K)、誘電損失(DF)および−25℃と85℃の比
誘電率の変化率を測定し、これらの結果を表1に示す。
尚、−25℃の比誘電率の変化率(%)は、−25℃の
比誘電率をK-25 とし、25℃の比誘電率をK25とした
時、(K-25 −K25)×100/K25で求め、85℃の
比誘電率の変化率(%)は、85℃の比誘電率をK85と
し、25℃の比誘電率をK25とした時、(K85−K25)
×100/K25で求めた。またDCバイアスを、電圧を
印加しない場合の比誘電率K0 、5MV/mの電圧を印
加したときの比誘電率K1 とした時に、(K0 −K1 )
/K0 ×100で求め、表1に記載した。
D)により分析を行ったところ、いずれもペロブスカイ
ト型酸化物のピークが確認された。また誘電体薄膜を走
査電子顕微鏡(SEM)により観察し、平均結晶粒径を
測定した。さらに、誘電特性の評価は、誘電体薄膜上に
Auを蒸着して上部電極とし、下部電極であるPt層と
平板コンデンサを形成することにより行った。測定はL
CRメーターによって行い、測定周波数f=1kHz、
印加電圧Vrms =100mVとした。室温での比誘電率
(K)、誘電損失(DF)および−25℃と85℃の比
誘電率の変化率を測定し、これらの結果を表1に示す。
尚、−25℃の比誘電率の変化率(%)は、−25℃の
比誘電率をK-25 とし、25℃の比誘電率をK25とした
時、(K-25 −K25)×100/K25で求め、85℃の
比誘電率の変化率(%)は、85℃の比誘電率をK85と
し、25℃の比誘電率をK25とした時、(K85−K25)
×100/K25で求めた。またDCバイアスを、電圧を
印加しない場合の比誘電率K0 、5MV/mの電圧を印
加したときの比誘電率K1 とした時に、(K0 −K1 )
/K0 ×100で求め、表1に記載した。
【0024】
【表1】
【0025】表1から判るように、図1の点A,B,
C,D,E,F,G,Hを結んだ線分で囲まれる本発明
の誘電体薄膜は、1000以上の高誘電率を有し、また
誘電損失も1.64から3.5%と小さいことが判る。
また0.09μm未満の粒径の試料(No,5,21,2
7)では、比誘電率は1000以下となってしまう。
C,D,E,F,G,Hを結んだ線分で囲まれる本発明
の誘電体薄膜は、1000以上の高誘電率を有し、また
誘電損失も1.64から3.5%と小さいことが判る。
また0.09μm未満の粒径の試料(No,5,21,2
7)では、比誘電率は1000以下となってしまう。
【0026】また、本発明では、DCバイアスに対する
比誘電率の変化は、5MV/m印加時においても30%
未満の低下であり、比誘電率Kが1000以上であり、
誘電損失DFが3.5%以下であるの対して、比較例で
はいずれも比誘電率が1000よりも低く、誘電損失が
3.5%よりも大きい場合があることが判る。
比誘電率の変化は、5MV/m印加時においても30%
未満の低下であり、比誘電率Kが1000以上であり、
誘電損失DFが3.5%以下であるの対して、比較例で
はいずれも比誘電率が1000よりも低く、誘電損失が
3.5%よりも大きい場合があることが判る。
【0027】さらに、粉体を原料として作製した粒径が
10μm以上の従来のBaTiO3系材料では、高誘電
率を有するもののDCバイアスに対する容量の変化が5
MV/m印加時に70%の低下であり、本願発明では優
れた誘電特性を有することが判る。
10μm以上の従来のBaTiO3系材料では、高誘電
率を有するもののDCバイアスに対する容量の変化が5
MV/m印加時に70%の低下であり、本願発明では優
れた誘電特性を有することが判る。
【0028】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の誘電体薄
膜は、DCバイアス特性、温度特性が優れているうえ
に、1000以上の高誘電率を示し、かつ誘電損失が小
さいので積層セラミックコンデンサー等の電子部品に広
く適用できる。
膜は、DCバイアス特性、温度特性が優れているうえ
に、1000以上の高誘電率を示し、かつ誘電損失が小
さいので積層セラミックコンデンサー等の電子部品に広
く適用できる。
【図1】横軸に本発明の誘電体薄膜の組成式における
x、縦軸に本発明の誘電体薄膜の平均結晶粒径d(μ
m)を記載した図である。
x、縦軸に本発明の誘電体薄膜の平均結晶粒径d(μ
m)を記載した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−318404(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C04B 35/42 - 35/49
Claims (1)
- 【請求項1】金属元素としてBa,Ti,Zrを含有す
るペロブスカイト型複合酸化物からなる誘電体薄膜であ
って、これらの成分をBaTi1-x Zrx O3と表した
時のxおよびペロブスカイト結晶の平均結晶粒径d(μ
m)が、図1における線分A B C D E F G
H Aで囲まれる範囲内にあることを特徴とする誘電
体薄膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP30562595A JP3215030B2 (ja) | 1995-05-23 | 1995-11-24 | 誘電体薄膜 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP12394395 | 1995-05-23 | ||
JP7-123943 | 1995-05-23 | ||
JP30562595A JP3215030B2 (ja) | 1995-05-23 | 1995-11-24 | 誘電体薄膜 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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