JPH10297967A - 高誘電率誘電体磁器組成物およびその製造方法 - Google Patents

高誘電率誘電体磁器組成物およびその製造方法

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JPH10297967A
JPH10297967A JP10046284A JP4628498A JPH10297967A JP H10297967 A JPH10297967 A JP H10297967A JP 10046284 A JP10046284 A JP 10046284A JP 4628498 A JP4628498 A JP 4628498A JP H10297967 A JPH10297967 A JP H10297967A
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mol
dielectric constant
oxide
high dielectric
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JP10046284A
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Masami Sato
正美 佐藤
Hitoshi Tanaka
田中  均
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TDK Corp
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 デラミネーションの発生が非常に少なく、積
層セラミックコンデンサ用に好適で、広い温度範囲(−
55℃〜+150℃)にわたって静電容量の変化が小さ
く、誘電体損失の小さい高誘電率誘電体磁器組成物とそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明の高誘電率誘電体磁器組成物は、
チタン酸バリウムをBaTiO3に換算して94〜99
mol%、酸化タンタルをTa25に換算して0.05
〜3mol%、酸化ニオブをNb25に換算して0.0
5〜3mol%、酸化亜鉛をZnOに換算して0.5〜
3mol%含有し、これらの主成分100mol%に対
し、添加物として、ジルコニウム酸カルシウム、ジルコ
ニウム酸ストロンチウム、ジルコニウム酸バリウムの一
種以上を、CaZrO3、SrZrO3、BaZrO3
換算して合計0.2〜5wt%含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高誘電率誘電体磁
器組成物とその製造方法に関し、さらに詳細には、積層
セラミックコンデンサ用に好適で、広い温度範囲(−5
5℃〜+150℃)にわたって静電容量の変化が小さ
く、誘電損失の小さい高誘電率誘電体磁器組成物とその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、コンデンサの主流をなすものは積
層コンデンサである。これは、誘電体シートと電極とを
交互に重ね合わせて熱圧着し、同時焼成を行ったもの
で、従来の単板形セラミックコンデンサよりも小形で大
容量が得られる。小形大容量化を図るためには、高誘電
率材料を使用すること、誘電体層を薄くすることが必要
である。
【0003】従来、誘電率が高く、その温度変化が小さ
い誘電体磁器組成物として、チタン酸バリウム(BaT
iO3)に、Bi23・2SnO2やBi23・2ZrO
2等のビスマス化合物とTa25、Sm23やNb25
等とを添加して、誘電率の温度変化率を小さくしたもの
が使用されている。
【0004】しかしながら、このような成分の誘電体磁
器組成物は、誘電率を高くすると、静電容量の温度変化
率が大きくなり、実用に適さなくなる。このため、これ
らの組成物を積層セラミックコンデンサに使用した場
合、小型で大容量のコンデンサを得ることは困難で、E
IAJ(日本電子機械工業会規約)に規定するX7R特
性(−55℃〜+125℃の温度範囲で、25℃を基準
として静電容量変化率が±15%以内)を満足するのが
限界であった。また、誘電損失(tanδ)が大きく、
積層セラミックコンデンサには不適であった。
【0005】また、ビスマス化合物を含有すると、焼成
時にビスマス成分が蒸発し、磁器組成物素体に屈曲を生
じたり、ピンホールが発生して緻密な磁器組成物を得る
ことが難しいという問題もあった。
【0006】さらに、ビスマス化合物を含有するチタン
酸バリウム積層型コンデンサを作成した場合、内部電極
にパラジウム、または、銀−パラジウム合金を用いる
と、電極が誘電体の成分であるビスマスと反応し、その
機能を失ってしまう。そのため、内部電極としては、ビ
スマスと反応しにくい、高価な白金、または、白金−パ
ラジウム合金等の貴金属を使用しなければならず、これ
が積層セラミックコンデンサのコストアップの要因にな
っていた。
【0007】上記のような問題を解決する方法として、
ビスマス化合物を含有しない高誘電率誘電体磁器組成物
が既に開示されている。これらの中には、ビスマス化合
物を含有するものよりも静電容量の温度変化率が小さい
ものもある。
【0008】例えば、特開平4−292458号公報、
特開平4−292459号公報、特開平4−29504
8号公報には、主成分として、BaTiO394.0〜
99.0mol%、Nb250.5〜3.0mol%、
CoO0.5〜3.0mol%を含有し、添加物とし
て、BaTiO3、SrZrO3、BaZrO3のうちい
ずれか一種類以上を0.2〜7.0wt%含有する高誘
電率誘電体磁器組成物が開示されている。しかしなが
ら、このものはEIAJ(日本電子機械工業会規約)に
規定するX8R特性(−55℃〜+150℃の温度範囲
で、25℃を基準として±15%以内)を満足しない。
満足したとしても誘電損失(tanδ)が大きく、積層
セラミックコンデンサ用の組成としては適さない。しか
も、積層セラミックコンデンサとしたときの静電容量の
温度変化率が焼成温度に大きく依存し、狭い焼成温度幅
(1280〜1320℃)でなければX8R特性を満足
しない。
【0009】特開平5−109319号公報には、主成
分として、BaTiO394.0〜99.0mol%、
Ta250.5〜3.0mol%、ZnO0.5〜3.
0mol%を含有する高誘電率誘電体磁器組成物、さら
には、添加物として、CaZrO30.2〜7.0wt
%を含有するものが開示されている。しかしながら、こ
のものは絶縁性が低く、比誘電率が低い。そして、EI
AJに規定するX8R特性を満足しない。満足したとし
ても誘電損失(tanδ)が大きく、積層セラミックコ
ンデンサ用の組成としては適さない。また、積層セラミ
ックコンデンサとしたときの焼成温度が高く、焼結性も
あまりよくない。
【0010】特開平6−243721号公報には、主成
分として、BaTiO394.0〜99.0mol%、
Nb250.5〜3.0mol%、ZnO0.5〜3.
0mol%、添加物として、CaZrO3、SrZr
3、BaZrO3のうちいずれか一種以上を0.2〜
7.0wt%含有する高誘電率誘電体磁器組成物が開示
されている。しかしながら、このものはEIAJに規定
するX8R特性を満足しない。満足したとしても誘電損
失(tanδ)が大きく、積層セラミックコンデンサ用
の組成としては適さない。しかも、後述の実施例で明ら
かになるであろうが、積層セラミックコンデンサとした
ときの静電容量の温度変化率が焼成温度に大きく依存
し、狭い焼成温度幅(1280〜1320℃)でなけれ
ばX8R特性を満足しない。
【0011】以上の通り、積層セラミックコンデンサ用
に好適で、広い温度範囲(−55℃〜+150℃)にわ
たって静電容量の変化が小さく、誘電損失の小さい高誘
電率誘電体磁器組成物は、現在のところ得られていな
い。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、デラ
ミネーションの発生が非常に少なく、積層セラミックコ
ンデンサ用に好適で、広い温度範囲(−55℃〜+15
0℃)にわたって静電容量の変化が小さく、誘電損失の
小さい高誘電率誘電体磁器組成物とその製造方法を提供
することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的は下記の本発明
により達成される。
【0014】(1) チタン酸バリウムをBaTiO3
に換算して94〜99mol%、酸化タンタルをTa2
5に換算して0.05〜3mol%、酸化ニオブをN
25に換算して0.05〜3mol%および酸化亜鉛
をZnOに換算して0.5〜3mol%含有し、これら
の主成分100mol%に対し、添加物として、ジルコ
ン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウムおよびジル
コン酸バリウムの一種以上を、CaZrO3、SrZr
3およびBaZrO3に換算して合計0.2〜5wt%
含有する高誘電率誘電体磁器組成物。 (2) 前記主成分100mol%に対し、酸化ランタ
ン、酸化ネオジム、酸化プラセオジムおよび酸化サマリ
ウムの一種以上を、La23、Nd23、Pr611
よびSm23に換算して合計0.7wt%以下含有する
上記(1)の高誘電率誘電体磁器組成物。 (3) 前記主成分100mol%に対し、酸化マンガ
ンをMnOに換算して0.3wt%以下含有する上記
(1)または(2)の高誘電率誘電体磁器組成物。 (4) 前記主成分100mol%に対し、酸化ケイ素
をSiO2に換算して0.3wt%以下含有する上記
(1)〜(3)のいずれかの高誘電率誘電体磁器組成
物。 (5) 静電容量の温度変化が、−55℃〜+150℃
の温度範囲で、25℃を基準として±15%以内である
上記(1)〜(4)のいずれかの高誘電率誘電体磁器組
成物。 (6) 平均粒子径が0.4〜1.5μmのBaTiO
3を原料に用いて上記(1)〜(5)のいずれかの高誘
電率誘電体磁器組成物を得る高誘電率誘電体磁器組成物
の製造方法。 (7) 純度が99.5%以上のBaTiO3を原料に
用いて上記(1)〜(5)のいずれかの高誘電率誘電体
磁器組成物を得る高誘電率誘電体磁器組成物の製造方
法。 (8) 平均粒子径が0.4〜1.5μm、純度が9
9.5%以上のBaTiO3を原料に用いて上記(1)
〜(5)のいずれかの高誘電率誘電体磁器組成物を得る
高誘電率誘電体磁器組成物の製造方法。
【0015】
【作用】本発明の高誘電率誘電体磁器組成物は、常温で
の比誘電率が2500以上、特に3000〜4500と
いう高誘電率を有し、誘電損失(tanδ)が1.2%
以下という小さい値であり、静電容量の温度変化がEI
AJ(日本電子機械工業会規約)に規定するX8R特性
(−55℃〜+150℃の温度範囲で、25℃を基準と
して±15%以内)を満足する優れた特性を有してい
る。しかも、静電容量の温度変化率の本焼成温度に対す
る依存性が小さいので、広い焼成温度範囲(1280〜
1380℃)でX8R特性を満足することができる。
【0016】また、焼成時にデラミネーションの発生が
非常に少ないので、積層セラミックコンデンサに好適で
ある。さらには、ビスマス化合物を含有していないの
で、内部電極としてパラジウム、銀−パラジウム合金、
銀等が使用できるため、安価な積層セラミックコンデン
サの製造が可能で、工業的にも非常に有利である。
【0017】また、原料のチタン酸バリウム(BaTi
3)の平均粒子径を0.4〜1.5μmに規定するこ
とによって、積層セラミックコンデンサの焼成時にデラ
ミネーションが発生せず、高品質の積層セラミックコン
デンサを製造することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的構成につい
て説明する。
【0019】本発明の高誘電率誘電体磁器組成物は、主
成分として、チタン酸バリウムをBaTiO3に換算し
て94.00〜99.00mol%、好ましくは97.
00〜98.00mol%、酸化タンタルをTa25
換算して0.05〜3.00mol%、好ましくは0.
4〜1.0mol%、酸化ニオブをNb25に換算して
0.05〜3.00mol%、好ましくは0.4〜1.
0mol%、酸化亜鉛をZnOに換算して0.50〜
3.00mol%、好ましくは1.0〜2.0mol%
含有する。
【0020】また、添加物として、ジルコン酸カルシウ
ム、ジルコン酸ストロンチウムおよびジルコン酸バリウ
ムの一種以上を、主成分100mol%に対し、CaZ
rO3、SrZrO3およびBaZrO3に換算して合計
0.2〜5.0wt%、好ましくは1.0〜3.0wt
%含有する。これらを添加することにより、より広い焼
成温度幅でEIAJ(日本電子機械工業会規約)に規定
するX8R特性(−55℃〜+150℃の温度範囲で、
25℃を基準として±15%以内)を満足する。
【0021】チタン酸バリウムがBaTiO3に換算し
て94.00mol%未満になると、比誘電率が低くな
り、また、静電容量の温度変化率(△C/C25℃)
も、特に150℃の場合、大きくなってしまう。99.
00mol%を超えると、誘電損失(tanδ)と静電
容量の温度変化率が大きくなり、しかも、焼結性が悪く
なってしまう。
【0022】酸化タンタルがTa25に換算して0.0
5mol%未満になると、静電容量の温度変化率が大き
くなってしまう。3.00mol%を超えると、比誘電
率が低くなり、静電容量の温度変化率が大きくなり、し
かも、焼結性が悪くなってしまう。
【0023】酸化ニオブがNb25に換算して0.05
mol%未満になると、比誘電率が低くなり、誘電損失
と静電容量の温度変化率が大きくなり、しかも、焼結性
が悪くなってしまう。また、絶縁性も低くなってしま
う。3.00mol%を超えると、比誘電率が低くな
り、静電容量の温度変化率が、特に150℃の場合、大
きくなり、しかも、焼結性が悪くなってしまう。
【0024】酸化タンタルと酸化ニオブとを併用するこ
とで、静電容量の温度変化率が大幅によくなる。しか
も、静電容量の温度変化率の本焼成温度に対する依存性
が小さくなるので、広い焼成温度範囲(1280〜13
80℃)でX8R特性を満足することができる。酸化タ
ンタルのみでは、絶縁性が悪く、比誘電率が低く、誘電
損失(tanδ)が大きいので、積層セラミックコンデ
ンサ用の組成としては適さない。さらには、積層セラミ
ックコンデンサとしたときの焼成温度が高く、焼結性も
あまりよくない。酸化ニオブのみでは、誘電損失(ta
nδ)が大きく、積層セラミックコンデンサ用の組成と
しては適さない。また、静電容量の温度変化率の本焼成
温度に対する依存性が大きく、狭い焼成温度範囲(12
80〜1320℃)でしかX8R特性を満足しない。
【0025】酸化亜鉛がZnOに換算して0.50mo
l%未満になると、誘電損失と静電容量の温度変化率が
大きくなり、しかも、焼結性が悪くなってしまう。3.
00mol%を超えると、比誘電率が低くなり、また、
静電容量の温度変化率も、特に150℃の場合、大きく
なってしまう。
【0026】ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸ストロ
ンチウムおよびジルコン酸バリウムが、主成分100m
ol%に対し、CaZrO3、SrZrO3およびBaZ
rO3に換算して合計0.2wt%未満になると、静電
容量の温度変化率が、特に125℃と150℃の場合、
大きくなってしまう。合計5.0wt%を超えると、静
電容量の温度変化率が、特に150℃の場合、大きくな
ってしまう。
【0027】また、本発明の高誘電率誘電体磁器組成物
は、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化プラセオジムお
よび酸化サマリウムの一種以上を、主成分100mol
%に対し、La23、Nd23、Pr611およびSm2
3に換算して合計0.7wt%以下含有することが好
ましい。これらを添加することにより、比誘電率が高く
なり、焼結性が向上する。また、絶縁性もよくなる。含
有量が合計0.7wt%を超えると、静電容量の温度変
化率が、特に150℃の場合、大きくなってしまう。
【0028】また、本発明の高誘電率誘電体磁器組成物
は、酸化マンガンを、主成分100mol%に対し、M
nOに換算して0.3wt%以下、特に0.1〜0.3
wt%含有することが好ましい。酸化マンガンを添加す
ることにより、他の金属の還元が防止され、誘電損失が
向上し、焼結性が向上する。含有量が0.3wt%を超
えると、誘電損失が大きくなり、静電容量の温度変化率
も、特に150℃の場合、大きくなってしまう。しか
も、焼結性が悪く、緻密な磁器が得られなくなってしま
う。
【0029】さらに、本発明の高誘電率誘電体磁器組成
物は、酸化ケイ素を、主成分100mol%に対し、S
iO2に換算して0.3wt%以下含有することが好ま
しい。酸化ケイ素を添加することにより、焼結性が向上
する。また、絶縁性もよくなる。含有量が0.3wt%
を超えると、静電容量の温度変化率が大きくなってしま
う。
【0030】次に、本発明の高誘電率誘電体磁器組成物
の製造方法について説明する。
【0031】まず、出発原料として、チタン酸バリウ
ム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化亜鉛、ジルコン酸
カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム、ジルコン酸バ
リウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化プラセオジ
ム、酸化サマリウム、炭酸マンガン、酸化ケイ素の粉末
を、焼成後の組成になるように秤量し、ボールミル等で
湿式混合する。
【0032】この場合、原料中のチタン酸バリウムの平
均粒子径は0.4μm〜1.5μm、特に0.8μm〜
1.2μmが好ましい。高品質の積層セラミックコンデ
ンサを製造するには、チタン酸バリウムの平均粒子径は
重要である。平均粒子径が0.4μm未満になると、焼
成時のデラミネーションの発生率が高くなっていくの
で、積層セラミックコンデンサに不適になっていく。ま
た、積層セラミックコンデンサ製造工程での成形も困難
になっていく。1.5μmを超えると、焼結性が悪くな
っていき、緻密な磁器が得られにくくなる。チタン酸バ
リウムの平均粒子径が上記の範囲であれば、焼結性が大
幅に向上する。
【0033】また、原料のチタン酸バリウムの純度は9
9.5%以上、特に99.9%以上が好ましい。純度が
99.5%未満になると、比誘電率が低く、誘電損失が
大きくなっていく。
【0034】チタン酸バリウムの合成方法は、固相法、
液相法どちらでもよいが、液相法が好ましい。
【0035】次に、スラリーを脱水・乾燥した後、これ
に有機バインダを加え、約3トン/cm2の圧力で成形す
る。
【0036】このようにして得られた磁器組成物素体の
両面に銀電極を焼き付けてコンデンサとする。
【0037】本発明の誘電体磁器組成物の比誘電率は2
500以上、特に3000〜4500であり、高誘電率
である。
【0038】本発明の誘電体磁器組成物の誘電損失(t
anδ)は1.2%以下であり、非常に小さい。
【0039】本発明の誘電体磁器組成物の絶縁抵抗は
2.5×1011Ω以上であり、絶縁性が高い。
【0040】本発明の誘電体磁器組成物の静電容量の温
度変化率(△C/C25℃)は、−55℃〜+150℃
の温度範囲で±15%以内、特に−14.5〜+13.
2%である。ここで、静電容量の温度変化率は25℃を
基準として表す。本発明の誘電体磁器組成物は、EIA
J(日本電子機械工業会規約)に規定するX8R特性
(−55℃〜+150℃の温度範囲で、25℃を基準と
して±15%以内)を満足している。
【0041】本発明の高誘電率誘電体磁器組成物は、積
層セラミックコンデンサに好適に使用することができ
る。積層セラミックコンデンサとするには、湿式混合、
粉砕、脱水・乾燥後、有機バインダを加えて混合し、エ
ナメル化する。これをドクターブレード法によりフィル
ム上に塗布して磁器組成物シートを成形し、これに内部
電極を印刷により形成する。これを積層し、熱圧着して
積層体を得る。最後に、コンデンサと同じ条件で本焼成
し、端子電極を取り付けて積層セラミックコンデンサと
する。
【0042】内部電極としては、従来の白金、または、
白金−パラジウム合金を用いてもよいが、本発明の高誘
電率誘電体磁器組成物はビスマス化合物を含有していな
いので、安価なパラジウム、銀−パラジウム合金、銀等
が使用できる。そのため、低コストで積層セラミックコ
ンデンサを製造することができる。
【0043】通常、誘電体セラミックス層の厚さは10
〜20μmで、積層の層数は50〜120層であるが、
特に限定されない。
【0044】本発明の高誘電率誘電体磁器組成物を積層
セラミックコンデンサに使用する場合、焼成時に、従来
のものでは大量に発生していたデラミネーションがほと
んど発生しない。このように、本発明の高誘電率誘電体
磁器組成物を用いると、高品質の積層セラミックコンデ
ンサが得られる。
【0045】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
【0046】<実施例1>原料として、表3,4に示さ
れるような平均粒子径、純度のBaTiO3と、Ta2
5、Nb25、ZnO、CaZrO3、SrZrO3、B
aZrO3、La23、Nd23、Pr611、Sm
23、MnCO3、SiO2の粉末を、焼成後の組成が表
1,2のようになるように秤量し、ボールミルで湿式混
合した。
【0047】そして、湿式混合した後、このスラリーを
脱水・乾燥した。
【0048】次に、この組成物の原料に、有機バインダ
を加え、約3トン/cm2の圧力で加圧し、直径16.5m
m、厚さ0.6mmの円板状に成形した。
【0049】そして、この成形物を、大気中において、
表3、4に示されるような焼成温度で2時間本焼成し
た。
【0050】このようにして得られた磁器組成物素体の
両面に銀電極を焼き付けてコンデンサとした。
【0051】また、積層セラミックコンデンサは以下の
通りにして作製した。
【0052】湿式混合、粉砕、脱水・乾燥後、有機バイ
ンダを加え、混合し、エナメル化した。そして、これを
ドクターブレード法によりフィルム上に塗布し、厚さ3
0μmの高誘電率誘電体磁器組成物シートを成形した。
次に、得られた高誘電率誘電体磁器組成物シートに、パ
ラジウムの内部電極を印刷により形成した。このシート
を5層に積層し、熱圧着して積層体を得、縦3.2mm×
横1.6mmの3216形状に切断した。そして、得られ
た積層体を、大気中において、表3、4に示されるよう
な焼成温度で2時間本焼成し、インジウム−ガリウム
(In−Ga)合金の端子電極を取り付けて積層セラミ
ックコンデンサとした。
【0053】(電気的特性の測定)これらのコンデンサ
の比誘電率、誘電損失(tanδ)については、周波数
1KHz、1V、室温20℃の条件で測定した。絶縁抵
抗については、500V、室温20℃の条件で測定し
た。静電容量の温度変化率(△C/C25℃)について
は、周波数1KHz、1Vの条件で、規定の温度状態で
測定した。
【0054】(焼結性の評価)焼結性は、焼結密度測定
方法により評価した。評価は ○:5.5g/cm2以上 ×:5.5g/cm2未満 で行った。
【0055】(デラミネーションの評価)デラミネーシ
ョンは、積層セラミックコンデンサ20個を鏡面研磨後
に顕微鏡で見て評価した。
【0056】以上の結果を表3,4に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
【表4】
【0061】本発明の高誘電率誘電体磁器組成物は、常
温での比誘電率が2500〜4500と高く、誘電損失
が0.6〜1.1%という小さい値である。そして、静
電容量の温度変化率は、−55℃で−14.3〜4.5
%、125℃で−7.8〜14.0%、150℃で−1
4.9〜4.6%と小さい。つまり、−55℃〜+15
0℃の温度範囲で、25℃を基準として±15%以内で
あり、EIAJ(日本電子機械工業会規約)に規定する
X8R特性を満足している。また、積層セラミックコン
デンサとしたときに、デラミネーションの発生が見られ
ない。
【0062】試料No.3,7,17の高誘電率誘電体
磁器組成物の静電容量の温度特性曲線を図1に示す。N
o.3は本発明、No.7,17は比較例である。図1
より、本発明の高誘電率誘電体磁器組成物が、X8R特
性を満足している上、静電容量の温度変化率が非常に小
さく、温度によってあまり変わらないことがわかる。
【0063】比較例1,5,11,16,17,20,
22,33,36,37,40,42,44,46,4
8,50から、本発明の組成でなければ、X8R特性を
満足しないことがわかる。
【0064】また、比較例6〜8,12〜14から、主
成分として酸化タンタルと酸化ニオブとを併用しなけれ
ば、X8R特性を満足せず、本発明のような優れた特性
を示さないことがわかる。また、比較例12〜14か
ら、酸化タンタルのみでは、絶縁性が悪く、比誘電率が
低く、誘電損失(tanδ)が大きく、さらには、焼結
性もあまりよくないことがわかる。
【0065】また、比較例29から、原料のチタン酸バ
リウムの平均粒子径が0.4μm未満であれば、デラミ
ネーションの発生率が非常に高くなることがわかる。比
較例27から、平均粒子径が1.5μmを超えると、焼
結性が悪くなることがわかる。
【0066】また、比較例26から、原料のチタン酸バ
リウムの純度が99.5%未満であれば、比誘電率が低
く、誘電損失が大きくなることがわかる。
【0067】表5に、本発明24と比較例30の組成
で、本焼成の温度を変えた積層コンデンサの静電容量の
温度変化率(△C/C25℃)を示す。
【0068】
【表5】
【0069】本発明の高誘電率誘電体磁器組成物は、静
電容量の温度変化率の焼成温度に対する依存性が小さ
く、1380℃までX8R特性を満足する。それに対
し、酸化タンタルを含有しない比較例30は、比誘電
率、誘電損失(tanδ)、絶縁抵抗、焼結性は本発明
と同等のものが得られるが、静電容量の温度変化率の焼
成温度に対する依存性が大きく、1340℃以上ではX
8R特性を満足しない。しかも、高温になるに従って、
本発明の高誘電率誘電体磁器組成物よりも静電容量の温
度変化率が大きくなっている。
【0070】
【発明の効果】本発明によれば、デラミネーションの発
生が非常に少なく、積層セラミックコンデンサ用に好適
で、広い温度範囲(−55℃〜+150℃)にわたって
静電容量の変化が小さく、誘電損失の小さい、高誘電率
誘電体磁器組成物とその製造方法を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の高誘電率誘電体磁器組成物の静電容量
の温度特性曲線である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 チタン酸バリウムをBaTiO3に換算
    して94〜99mol%、 酸化タンタルをTa25に換算して0.05〜3mol
    %、 酸化ニオブをNb25に換算して0.05〜3mol%
    および酸化亜鉛をZnOに換算して0.5〜3mol%
    含有し、 これらの主成分100mol%に対し、添加物として、
    ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウムおよ
    びジルコン酸バリウムの一種以上を、CaZrO3、S
    rZrO3およびBaZrO3に換算して合計0.2〜5
    wt%含有する高誘電率誘電体磁器組成物。
  2. 【請求項2】 前記主成分100mol%に対し、酸化
    ランタン、酸化ネオジム、酸化プラセオジムおよび酸化
    サマリウムの一種以上を、La23、Nd23、Pr6
    11およびSm23に換算して合計0.7wt%以下含
    有する請求項1の高誘電率誘電体磁器組成物。
  3. 【請求項3】 前記主成分100mol%に対し、酸化
    マンガンをMnOに換算して0.3wt%以下含有する
    請求項1または2の高誘電率誘電体磁器組成物。
  4. 【請求項4】 前記主成分100mol%に対し、酸化
    ケイ素をSiO2に換算して0.3wt%以下含有する
    請求項1〜3のいずれかの高誘電率誘電体磁器組成物。
  5. 【請求項5】 静電容量の温度変化が、−55℃〜+1
    50℃の温度範囲で、25℃を基準として±15%以内
    である請求項1〜4のいずれかの高誘電率誘電体磁器組
    成物。
  6. 【請求項6】 平均粒子径が0.4〜1.5μmのBa
    TiO3を原料に用いて請求項1〜5のいずれかの高誘
    電率誘電体磁器組成物を得る高誘電率誘電体磁器組成物
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 純度が99.5%以上のBaTiO3
    原料に用いて請求項1〜5のいずれかの高誘電率誘電体
    磁器組成物を得る高誘電率誘電体磁器組成物の製造方
    法。
  8. 【請求項8】 平均粒子径が0.4〜1.5μm、純度
    が99.5%以上のBaTiO3を原料に用いて請求項
    1〜5のいずれかの高誘電率誘電体磁器組成物を得る高
    誘電率誘電体磁器組成物の製造方法。
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