JPH1143371A - 誘電体薄膜およびセラミックコンデンサ - Google Patents

誘電体薄膜およびセラミックコンデンサ

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JPH1143371A
JPH1143371A JP9201649A JP20164997A JPH1143371A JP H1143371 A JPH1143371 A JP H1143371A JP 9201649 A JP9201649 A JP 9201649A JP 20164997 A JP20164997 A JP 20164997A JP H1143371 A JPH1143371 A JP H1143371A
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thin film
dielectric constant
solution
ceramic capacitor
relative dielectric
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JP9201649A
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Yasuyo Kamigaki
耕世 神垣
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Kyocera Corp
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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】DCバイアス印加下でも大きな比誘電率を示
し、かつ静電容量の温度変化率が小さく、高周波領域に
おいても比誘電率が大きい誘電体薄膜およびセラミック
コンデンサを提供する。 【解決手段】金属元素としてPb、Mg、Nb、Tiお
よびSnを含むペロブスカイト型複合酸化物からなる膜
厚2μm以下の誘電体薄膜であって、金属元素酸化物の
モル比による組成式を(1−x―y)Pba (Mgb/3
Nb2/3 )O3 ・xPba TiO3 ・yPba SnO3
と表した時、x、yが図1における点A−B−C−D−
E−Aで囲まれる領域の範囲内であり、かつaおよびb
が1≦a≦1.10、1≦b≦1.15を満足するもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は誘電体薄膜およびこ
の誘電体薄膜を用いたセラミックコンデンサに関するも
のである。
【0002】
【従来技術】2種以上の金属からなる複合ペロブスカイ
ト酸化物、特にPb(Mg1/3 Nb2/3 )O3 (以下、
PMNという)は室温で大きな比誘電率を有するため、
コンデンサ材料として有用であることが知られている。
【0003】このようなPMN焼結体として、従来、P
bO粉末とMgCO3 粉末とNb25 粉末とを一括し
て混合粉砕し、焼結する固相焼結法が知られている。し
かしながら、このような一括して混合粉砕する固相焼結
によるPMN焼結体の作製では、ほぼペロブスカイト単
相からなる焼結体を得るのは困難であり、低温で安定な
パイロクロア相が生成し易く、また生成したパイロクロ
ア相は比誘電率が低いため、結果として焼結体の比誘電
率が低くなり、コンデンサ材料として不適当な場合が多
い。
【0004】このため、固相焼結法では、MgNb酸化
物(MgNb2 6 )とPb原料、およびTi原料を反
応させるコランバイト法による合成が行われている。こ
の方法によれば、ほぼペロブスカイト単相の焼結体を得
ることが可能となり、比誘電率を15000以上とする
ことができる。しかしながら、従来、これらバルク材料
は比誘電率の周波数分散が大きく、1MHz以上の高周
波では比誘電率が小さくなり、コンデンサとして機能し
なくなると考えられていた。
【0005】一方、電子機器の小型、薄形化に伴い、電
子部品の小型化,薄膜化が要求されている。特に受動部
品であるコンデンサの小型、薄形化は必須となってい
る。また、コンピュータ等の高速デジタル回路を用いた
電子機器は高周波化の流れにあり、数10MHzから数
100MHzの動作周波数帯域が重要になってきてい
る。これにともない、コンデンサ等の受動部品も高周波
もしくは高速デジタルパルスに対して優れた特性を示す
ことが必須になってきている。
【0006】近年、PMN等の高誘電率材料を薄膜化
し、セラミックコンデンサに応用しようとされている
が、従来の固相焼結法では膜厚はせいぜい10μm程度
であった。また薄膜においても固相焼結法による焼結体
と同様、低温で安定なパイロクロア相が生成し易く、ほ
ぼペロブスカイト単相からなる膜を得るのが困難とな
り、コンデンサ材料として不適当な場合が多い。特に薄
膜化する場合、下部電極との格子の不整合および化学結
合の相違等でパイロクロア相が生成し易いという問題が
ある言われており(例えば、特開平6−57437号公
報参照)、パイロクロア相の少ないペロブスカイト単相
のPMN薄膜を得るのが困難であった。
【0007】これらのパイロクロア相生成の問題を解決
する手法として、ゾルゲル法で作製されたPMN薄膜に
おいては、急速昇温焼成(特開平2−177521号公
報参照)やシーディング法(特開平6−57437号公
報参照)等の種々の手法が提案されており、ペロブスカ
イト単相に近いPMN薄膜が得られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、急速昇
温焼成法,シーディング法によるPMN薄膜では、ほぼ
ペロブスカイト単相からなる膜が得られているが、未だ
室温における比誘電率が低く、PMN系材料本来の特性
が発揮されていないのが現状であった。
【0009】また、典型的なコンデンサ材料であるBa
TiO3 、Pb(Mg1/3 Nb2/3)O3 のようなリラ
クサ材料は1KHz程度の低周波数においては大きな比
誘電率を示し、コンデンサ材料として優れた材料である
が、周波数分散が大きいため、高周波領域における比誘
電率の減少が大きく、高周波領域では高誘電率材料とし
て使えないと考えられてきた(特開平6−77083号
公報参照)。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題の
解決方法を鋭意検討した結果、バルクにおいて、マクロ
な自発分極を持たないため、DCバイアス依存性が小さ
く、かつ大きな比誘電率を持つPMNに、強誘電体であ
りPMNと固溶して大きな比誘電率を示すPbTiO3
と、PbTiO3 と同様な効果が期待できかつPbTi
3 の固溶により高温にシフトした誘電率のピークを低
温にシフトできると期待できるPbSnO3 を固溶した
材料を薄膜化することにより、DCバイアス印加下でも
大きな比誘電率を示し、かつ高周波領域においても比誘
電率の減少が小さくなることを知見し、本発明に至っ
た。
【0011】即ち、本発明の誘電体薄膜は、金属元素と
してPb、Mg、Nb、TiおよびSnを含むペロブス
カイト型複合酸化物からなる膜厚2μm以下の誘電体薄
膜であって、金属元素酸化物のモル比による組成式を、
(1−x―y)Pba (Mgb/3 Nb2/3 )O3 ・xP
a TiO3 ・yPba n 3 と表した時、前記x、
y、aおよびbが、図1における点A−B−C−D−E
−Aで囲まれる領域で与えられるxとyと、1≦a≦
1.10、1≦b≦1.15を満足するa、bで与えら
れるものである。本発明の誘電体薄膜は、測定周波数1
kHz(室温)における比誘電率が1000以上であ
り、かつ、測定周波数100MHz(室温)における比
誘電率が1000以上の特性を有する。
【0012】本発明のセラミックコンデンサは、上記誘
電体薄膜の両面に一対の電極を対向して形成してなるも
のである。
【0013】
【作用】特性に優れ、かつ高誘電率であるPMNに、強
誘電体でありPMNと固溶体を形成することにより大き
な比誘電率を示すPbTiO3 と、PMN及びPbTi
3 と同一構造で室温及びPMNより低温に比誘電率の
ピークを持つPba n3 を固溶するために、室温よ
り高温に比誘電率のピークを持つPMN−PbTiO3
固溶体の比誘電率の最大となる温度を室温付近に制御で
きる。
【0014】また、PbSnO3 を固溶することによ
り、室温において高誘電率でDCバイアス特性に優れた
材料になる。
【0015】さらに、薄膜にすることにより、ペロブス
カイト型複合酸化物の平均結晶粒子径がサブミクロンの
オーダに小さくなり、より常誘電体的性質が支配的にな
るため、静電容量の温度特性及びDCバイアス特性を良
好とすることができる。また、100MHzの様な高周
波においても、強誘電性の起源であるマクロな自発分極
がないために自発分極に起因する誘電率の周波数分散が
小さく、高周波においても大きな比誘電率を示す。
【0016】本発明のセラミックコンデンサでは、上記
したような優れた特性を有する誘電体薄膜の両面に、例
えば、膜厚0.05μm以上の白金(Pt)、金(A
u)、パラジウム(Pd)薄膜である一対の電極を対向
して形成することにより、高周波においても高誘電率で
優れたセラミックコンデンサを得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の誘電体薄膜は、膜厚2μ
m以下の誘電体薄膜である。ここで、膜厚2μm以下の
誘電体薄膜としたのは、これより厚くなると工程数が増
加し、また、コンデンサを構成した場合、容量が小さく
なるからである。誘電体薄膜の膜厚は、製造の容易性、
膜質劣化の点で1μm以下が望ましく、さらに膜の絶縁
性を考慮すると特に0.3〜1μmが望ましい。
【0018】また、モル比による組成式を、(1−x―
y)Pba (Mgb/3 Nb2/3 )O3 ・xPba TiO
3 ・yPbSnO3 と表した時、前記x、yが、図1に
示した点A−B−C−D−E−Aで囲まれる領域で与え
られるx及びyを満足し、かつa及びbが1≦a≦1.
10、1≦b≦1.15を満足するものである。
【0019】PbTiO3 量を示すxを図1の線C−D
−Eより小さい量としたのは、xが線C−D−Eより多
くなると比誘電率のピークが室温より大きく高温にシフ
トするため、室温での比誘電率が小さくかつ室温での比
誘電率の周波数分散が大きくなるため、100MHzに
おいて比誘電率が1000より小さくなるからである。
比誘電率を向上するにはxの範囲は0.01≦x≦0.
20が望ましい。
【0020】また、PbSnO3 量を示すyを線B−C
−Dより以下としたのは、yが線B−C−Dより多くな
ると、生成される主結晶相が低誘電率構造であるパイロ
クロアになるからである。比誘電率を向上するにはyの
範囲は0.01≦y<0.10が望ましい。従って、
x、yは、図1に示した点A−B−C−D−Aで囲まれ
る領域の範囲内であることが最も望ましい。
【0021】また、aを1〜1.1としたのは、aが1
よりも小さい場合には、パイロクロア相が生成し、比誘
電率が低下するからであり、1.1よりも大きい場合に
はPbOが粒界に析出し、比誘電率が低下するからであ
る。aは特性の再現性が良いという理由から1.05〜
1.1であることが望ましい。
【0022】さらに、bを1〜1.15としたのは、b
が1よりも小さい場合や1.15よりも大きい場合に
は、比誘電率が低下するからである。bは特性の再現性
が良いという理由から1〜1.1であることが望まし
い。
【0023】また、本発明のセラミックコンデンサは、
上記した誘電体薄膜の両面に一対の電極を対向して形成
してなるものである。尚、誘電体薄膜と電極とを交互に
積層した積層セラミックコンデンサであっても良いこと
は勿論である。
【0024】コンデンサの電極としては、厚さ0.05
μm以上の配向した白金(Pt)、金(Au)、パラジ
ウム(Pd)薄膜等があり、これらのうちでも配向した
白金(Pt)と金(Au)薄膜が最適である。Pt、A
uは膜との反応性が小さく、また酸化されにくい為、膜
との界面に低誘電率相が形成されにくいからである。
【0025】膜厚を0.05μm以上としたのは0.0
5μm未満であると高周波領域における等価直列抵抗が
大きくなるからである。配向した白金(Pt)薄膜と
は、配向性または単結晶的白金(Pt)薄膜であり、配
向性を有するPt薄膜とは、3つの結晶軸のうち一つの
軸が膜表面に近似的に垂直な方向に揃った膜であり、単
結晶的Pt薄膜とは3つの結晶軸が全て揃った膜であ
る。このような電極は、スパッタ蒸着やレーザ蒸着法等
物理的蒸着において、電極が形成される基板温度を45
0℃以上とすることにより得られるもので、これらのう
ちでも、基板温度を450℃以上としたスパッタ蒸着が
望ましい。
【0026】また、金属薄膜を蒸着する基板としては、
アルミナ、サファイア、MgO単結晶、SrTiO3
結晶、チタン被覆シリコン、または銅(Cu)、ニッケ
ル(Ni)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、ステンレ
ススティール(SUS)薄膜もしくは薄板が望ましい。
特に、薄膜との反応性が小さく、安価で硬度が大きく、
かつ金属薄膜の結晶性という点からアルミナ、サファイ
アが望ましく、高周波領域における低抵抗化の点で銅
(Cu)薄板または銅(Cu)薄膜が望ましい。
【0027】本発明のセラミックコンデンサは、例え
ば、Pt、Au、Pd等を基板上にスパッタ法、蒸着
法、グラビア印刷等の手法により成膜して下部電極を形
成し、この下部電極膜の表面に、上記誘電体膜を上記方
法で成膜して形成し、この後に誘電体薄膜表面に下部電
極と同様にして上部電極を成膜することにより得られ
る。
【0028】また、積層セラミックコンデンサは誘電体
膜と電極とを交互に積層することにより得られる。
【0029】本発明の誘電体薄膜は、例えば、以下のよ
うにして作製される。先ず、塗布溶液としてPb、M
g、Nb、およびZrの有機金属化合物が均一に溶解し
た前駆体溶液を調製する。
【0030】次に、Mg、及びNbの有機酸塩、無機
塩、アルコキシドから選択される少なくとも1種のMg
化合物、Nb化合物をMg:Nb=b:2(1≦b≦
1.15)のモル比でR1 OH、R2 OC2 4 OH、
3 COOH(R1 、R2 、R3:炭素数1以上のアル
キル基)で示される溶媒に混合する。混合後、所定の操
作を行い、IRスペクトルにおいて656cm-1付近に
吸収を有し、他の求核性の有機金属化合物の存在下にお
いても安定なMg−O−Nb結合を有するMgNb複合
アルコキシド分子を合成する。
【0031】IRスペクトルにおいて656cm-1付近
に吸収を有するMgNb複合アルコキシド分子を得るに
は、以下のような方法がある。
【0032】第1の方法として、MgおよびNbのアル
コキシド原料を溶媒に混合し、溶媒の沸点まで溶液の温
度を上昇させ、例えば酸等の触媒の共存下で還流操作を
行うことにより、分子内での脱エーテル反応を促進する
方法。
【0033】第2の方法として、上記のようにMgおよ
びNbのアルコキシド原料を溶媒に混合し、溶媒の沸点
まで溶液の温度を上昇させ、還流操作による複合化を行
った後、無水酢酸、エタノールアミン、アセチルアセト
ン等に代表される安定化剤を添加する方法。
【0034】第3の方法として、Mgのカルボン酸塩と
Nbのアルコキシドとの還流操作により、分子内での脱
エステル反応を促進する方法。
【0035】第4の方法として、Mgの水酸化物とNb
のアルコキシド、あるいはMgのアルコキシドとNbの
水酸化物の還流操作により、分子内での脱アルコール反
応を促進する方法。
【0036】第5の方法しとて、鉛前駆体の求核性を小
さくする為、前述の無水酢酸,エタノールアミン、アセ
チルアセトン等の安定化剤を添加する方法。
【0037】以上のいずれかの手法を用いることによ
り、他の求核性有機金属化合物の存在下においても安定
なMg−O−Nb結合を有するMgNb複合アルコキシ
ド分子を合成できる。これらのうちでも、第2の還流操
作後に安定化剤を添加する方法が最も望ましい。
【0038】また、合成した上記MgNb複合アルコキ
シド溶液に水と溶媒の混合溶液を適下し、部分加水分解
を行い、前述のMgNb複合アルコキシドが重縮合した
MgNbゾルを形成させる。部分加水分解とは、分子内
のアルコキシル基の一部を水酸基と置換し、置換された
分子内での脱水、あるいは脱アルコール反応により、重
縮合させる方法である。
【0039】次に、Snの有機酸塩、無機塩、アルコキ
シドから選択される少なくとも1種のSn化合物をR1
OH、R2 OC2 4 OH、R3 COOH(R1
2 、R3 :炭素数1以上のアルキル基)で示される溶
媒に混合し、Sn溶液を作製する。
【0040】Tiの有機酸塩、アルコキシド等から選択
される1種のTi化合物をR1 OH、R2 OC2 4
H、R3 COOH(R1 、R2 、R3 :炭素数1以上の
アルキル基)で示される溶媒に混合し、Ti溶液を作製
する。
【0041】作製したMg−Nb溶液とTi溶液とSn
溶液をMg−Nb:Ti:Sn=(1―x―y):x:
yのモル比で混合し、124℃で還流した後、室温に冷
却し、アセチルアセトン等のキレート剤をMg−Nb溶
液の金属量の0.5倍量以上加え、混合する。
【0042】次に、鉛(Pb)の有機酸塩、無機塩、ア
ルコキシドから選択される少なくとも1種の鉛化合物を
1 OH、R2 OC2 4 OH、R3 COOH(R1
2、R3 :炭素数1以上のアルキル基)で示される溶
媒に混合し、Pb前駆体溶液を作製する。鉛化合物が結
晶水を含む場合には、作製したPb前駆体溶液中に水が
存在しないように脱水処理する。
【0043】作製したPb前駆体溶液もしくは酢酸鉛・
3水和物のような鉛(Pb)の有機酸塩とMg―Nb―
Ti−Sn溶液、あるいはMg―Nb―Ti―Snゾル
をPb:(Mg+Nb+Ti+Sn)=a:〔(b+
2)/3+〔(1−b)/3〕(x+y)〕(1≦a≦
1.10)のモル比で混合し、PMN―PT−PS前駆
体溶液とする。
【0044】作製した塗布溶液を基板上にスピンコート
法,ディップコート法,スプレー法等の手法により、成
膜する。
【0045】成膜後、300℃〜400℃の温度で1分
間熱処理を行い、膜中に残留した有機物を燃焼させ、ゲ
ル膜とする。1回の膜厚は0.1μm以下が望ましい。
【0046】成膜−熱処理を所定の膜厚になるまで繰り
返した後、750℃〜850℃で焼成を行い、本発明の
結晶質の誘電体薄膜が作製される。得られた誘電体薄膜
の膜厚は2μm以下であるが、これより厚くなると工程
数が増加し、また、コンデンサを構成した場合、容量が
小さくなるからである。
【0047】
【実施例】
実施例1 MgエトキシドとNbエトキシドを1.05:2のモル
比で秤量し、2−メトキシエタノ−ル中で還流操作(1
24℃で17時間)を行い、1M(mol/l)濃度の
MgNb複合アルコキシド溶液を合成した。IRスペク
トルにおいて、656cm-1付近にMg−O−Nb結合
による吸収が見られた。次にTiプロポキシドを2−メ
トキシエタノ−ルに室温で溶解し、1M濃度のTi溶液
を作製した。次にSnプロポキシドを2−メトキシエタ
ノ−ルに室温で混合し、1M濃度のSn溶液を作製し
た。1M濃度のSn溶液と、Ti溶液を、MgNb複合
アルコキシド溶液に、(Mg+Nb):Ti:Sn=1
−x―y:x:yの比率で混合し、その後、アセチルア
セトンをMgーNb―Ti―Sn溶液の全金属量の1倍
量添加後、室温で10分間撹拌し、安定化させた。酢酸
鉛・3水和物と2−メトキシエタノールをMg−Nb−
Ti―Sn溶液にPb:(Mg+Nb+Ti+Sn)=
1.05:〔3.05/3〕(1−x―y)+(x+
y)となるように混合し、1時間室温で撹拌する事によ
り、1M濃度のPb1.05(Mg1.05/3Nb2/3
(1-x-y) Tix Sny 3 前駆体溶液を合成した。
【0048】電極となるPt(111)が650℃でス
パッタ蒸着されたサファイア単結晶基板上の上記Pt電
極の表面に、前記塗布溶液をスピンコーターで塗布し、
乾燥させた後、380℃で熱処理を1分間行い、ゲル膜
を作製した。塗布溶液の塗布−熱処理の操作を11回繰
り返した後、820℃で0.5分間(大気中)の急速昇
温焼成を行い、膜厚0.82μmのPb1.05(Mg
1.05/3Nb2/3 (1-x-y)Tix Sny 3 薄膜を得
た。得られた薄膜のX線回折結果より、ペロブスカイト
生成率を計算すると約95%であった。
【0049】作製した0.82μm膜厚の薄膜表面に直
径0.2mmの金電極をスパッタ蒸着により形成し、セ
ラミックコンデンサを作製した後、500℃で10分間
熱処理した。LCRメータ(ヒュウレットパッカード社
製4284A)を用いて、25℃、1kHz(AC10
0mV)の条件で比誘電率、誘電損失を求めた。
【0050】さらに、DCバイアス特性を、室温におい
て電圧を印加しない場合の比誘電率K0 、直流電界3V
/μmの電圧を印加したときの比誘電率をK1 とした時
に、(K0 −K1 )/K0 ×100で求め、表1に記載
した。
【0051】次に、作製した0.82μm膜厚の膜の表
面に直径0.05mmの金電極をスパッタ蒸着により形
成し、セラミックコンデンサを作製した後、500℃で
10分間熱処理した。このセラミックコンデンサについ
て、インピーダンスアナライザ(ヒュウレットパッカー
ド社製HP4291A,フィクスチャーHP16092
A)およびマイクロプローブを用いて1MHz〜1.8
GHzにおける特性評価をおこなった。インピーダンス
ー周波数特性の測定により、100MHzにおける等価
直列容量を評価し、比誘電率を求めた。これらの結果を
表1に記載する。
【0052】
【表1】
【0053】この表1から判るように、本発明の誘電体
薄膜は、100MHzにおいて1000以上の高誘電率
を有するのに対して、比較例ではいずれも100MHz
における比誘電率が1000よりも低いことが判る。
【0054】また、MgエトキシドとNbエトキシドの
比をb(0.9〜1.2):2とし、MgNb複合アル
コキシド溶液を合成し、酢酸鉛・3水和物と2−メトキ
シエタノールをMgーNb溶液にPb:(Mg+Nb)
=a(0.9〜1.2):〔〔b(0.9〜1.2)+
2〕/3〕(1−x−y)+(x+y)となるように混
合する以外は、上記と同様に誘電体薄膜を作製し、ま
た、上記と同様にして特性を測定した。その結果も表1
の試料No.21〜29に記載した。
【0055】この表1から、本発明の誘電体薄膜は、1
00MHzにおいて1000以上の高誘電率を有し、ま
た、3V/μmの電界印加下においても比誘電率の減少
率が25%未満であるの対して、比較例ではいずれも1
kHzにおける比誘電率が1000よりも低いことが判
る。
【0056】尚、−25℃の静電容量の変化率TCC
(%)は、−25℃の静電容量をC-2 5 とし、25℃の
静電容量をC25とした時、(C-25 −C25)×100/
25で求め、85℃の静電容量の変化率(%)は、85
℃の静電容量をC85とし、25℃の静電容量をC25とし
た時、(C85−C25)×100/C25で求めた。
【0057】さらに、本発明者は、試料No.6からなる
組成であって、塗布溶液の塗布−熱処理の操作の繰り返
し回数を変化させ、厚みを1μm、2μmとする以外は
上記と同様にして誘電体薄膜を作製し、上記と同様に特
性を測定し、厚みが1μmの場合を試料No.30、厚み
が2μmの場合を試料No.31として記載した。
【0058】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の誘電体薄
膜は、DCバイアス特性、温度特性が優れているうえ
に、100MHzの様な高周波においても比誘電率が大
きい為、素子の小型化を図ることができるとともに、I
Cまわりのデカップリングコンデンサ等の高周波で用い
られるコンデンサとして広く適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】上記組成式におけるx、yの範囲を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01G 4/12 358 H01G 4/06 102

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属元素としてPb、Mg、Nb、Tiお
    よびSnを含むペロブスカイト型複合酸化物からなる膜
    厚2μm以下の誘電体薄膜であって、金属元素酸化物の
    モル比による組成式を (1−x―y)Pba (Mgb/3 Nb2/3 )O3 ・xP
    a TiO3・yPba SnO3 と表した時、前記x、yが図1における点A−B−C−
    D−E−Aで囲まれる領域の範囲内であり、かつ前記a
    およびbが 1≦a≦1.10 1≦b≦1.15 を満足することを特徴とする誘電体薄膜。
  2. 【請求項2】測定周波数1kHz(室温)における比誘
    電率が1000以上であり、かつ、測定周波数100M
    Hz(室温)における比誘電率が1000以上であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の誘電体薄膜。
  3. 【請求項3】請求項1記載の誘電体薄膜の両面に一対の
    電極を対向して形成してなることを特徴とするセラミッ
    クコンデンサ。
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US7781358B2 (en) * 2008-02-15 2010-08-24 Trs Technologies, Inc. Antiferroelectric multilayer ceramic capacitor
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