JPH10302545A - 誘電体薄膜および薄膜コンデンサ - Google Patents

誘電体薄膜および薄膜コンデンサ

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JPH10302545A
JPH10302545A JP10872197A JP10872197A JPH10302545A JP H10302545 A JPH10302545 A JP H10302545A JP 10872197 A JP10872197 A JP 10872197A JP 10872197 A JP10872197 A JP 10872197A JP H10302545 A JPH10302545 A JP H10302545A
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thin film
dielectric constant
capacitor
solution
dielectric
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JP10872197A
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Yasuyo Kamigaki
耕世 神垣
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Original Assignee
Kyocera Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】DCバイアス印加下でも大きな比誘電率を示
し、かつ静電容量の温度変化率が小さく、高周波領域に
おいても比誘電率が大きい誘電体薄膜および薄膜コンデ
ンサを提供する。 【解決手段】金属元素としてPb、Mg、NbおよびZ
nを含むペロブスカイト型複合酸化物からなる膜厚2μ
m以下の誘電体薄膜であって、前記金属元素酸化物のモ
ル比による組成式を(1−x−y)Pba (Mgb/3
2/3 )O3 ・xPba (Znb/3 Nb2/3 )O3 ・y
Pba ZrO3 と表した時、前記x、y、aおよびb
が、0<x≦0.50、0≦y≦0.20、1<a≦
1.10、1<b≦1.15を満足するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は誘電体薄膜およびこ
の誘電体薄膜を用いた薄膜コンデンサに関するものであ
る。
【0002】
【従来技術】従来、2種以上の金属からなる複合ペロブ
スカイト酸化物、特にPb(Mg1/ 3 Nb2/3 )O
3 (以下、PMNという)は室温で大きな比誘電率を有
するため、コンデンサ材料として有用であることが知ら
れている。
【0003】このようなPMN焼結体として、従来、P
bO粉末とMgCO3 粉末とNb25 粉末とを一括し
て混合粉砕し、焼結する固相焼結法が知られている。し
かしながら、このような一括して混合粉砕する固相焼結
によるPMN焼結体の作製では、ほぼペロブスカイト単
相からなる焼結体を得るのは困難であり、低温で安定な
パイロクロア相が生成し易く、また生成したパイロクロ
ア相は比誘電率が低いため、結果として焼結体の比誘電
率が低くなり、コンデンサ材料として不適当な場合が多
い。
【0004】このため、固相焼結法では、MgNb酸化
物(MgNb2 6 )とPb原料、およびTi原料を反
応させるコランバイト法による合成が行われている。こ
の方法によれば、ほぼペロブスカイト単相の焼結体を得
ることが可能となり、比誘電率を15000以上とする
ことができる。しかしながら、従来、これらバルク材料
は比誘電率の周波数分散が大きく、1MHz以上の高周
波では比誘電率が小さくなり、コンデンサとして機能し
なくなると考えられていた。
【0005】近年においては、電子機器の小型、薄形化
に伴い、電子部品の小型化,薄膜化が要求されている。
特に受動部品であるコンデンサの小型、薄形化は必須と
なっている。また、コンピュータ等の高速デジタル回路
を用いた電子機器は高周波化の流れにあり、数10MH
zから数100MHzの動作周波数帯域が重要になって
きている。これにともない、コンデンサ等の受動部品も
高周波もしくは高速デジタルパルスに対して優れた特性
を示すことが必須になってきている。
【0006】近年、PMN等の高誘電率材料を薄膜化
し、薄膜コンデンサに応用しようとされているが、従来
の固相焼結法では膜厚はせいぜい10μm程度であっ
た。また薄膜においても固相焼結法による焼結体と同
様、低温で安定なパイロクロア相が生成し易く、ほぼペ
ロブスカイト単相からなる膜を得るのが困難となり、コ
ンデンサ材料として不適当な場合が多い。特に薄膜化す
る場合、下部電極との格子の不整合および化学結合の相
違等でパイロクロア相が生成し易いという問題があると
言われており(例えば、特開平6−57437号公報参
照)、パイロクロア相の少ないペロブスカイト単相のP
MN薄膜を得るのが困難であった。
【0007】これらのパイロクロア相生成の問題を解決
する手法として、ゾルゲル法で作製されたPMN薄膜に
おいては、急速昇温焼成(特開平2−177521号公
報参照)やシーディング法(特開平6−57437号公
報参照)等の種々の手法が提案されており、ペロブスカ
イト単相に近いPMN薄膜が得られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記急
速昇温焼成法,シーディング法によるPMN薄膜では、
ほぼペロブスカイト単相からなる膜が得られているが、
未だ室温における比誘電率が低く、PMN系材料本来の
特性が発揮されていないのが現状であった。
【0009】また、典型的なコンデンサ材料であるBa
TiO3 、Pb(Mg1/3 Nb2/3)O3 のようなリラ
クサ材料は1KHz程度の低周波領域においては大きな
比誘電率を示し、コンデンサ材料として優れた材料であ
るが、周波数分散が大きいため、高周波領域における比
誘電率の減少が大きく、高周波領域では高誘電率材料と
して使えないと考えられてきた(特開平6−77083
号公報参照)。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題の
解決方法を鋭意検討した結果、バルクにおいて、マクロ
な自発分極を持たないため、DCバイアス依存性が小さ
く、大きな比誘電率を持ち、室温より低温で最大の誘電
率を示すPMNに、室温より高温でPMNよりさらに高
誘電率を示すPb(Zn1/3 Nb2/3 )O3 (以下PZ
N)と、反強誘電体である為、DCバイアス依存性が小
さいPbZrO3 (以下PZ)を固溶した材料を薄膜化
することにより、室温においてDCバイアス印加下でも
大きな比誘電率を示し、かつ高周波領域においても大き
な比誘電率を示すことを知見し、本発明に至った。
【0011】即ち、本発明の誘電体薄膜は、金属元素と
してPb、Mg、NbおよびZnを含むペロブスカイト
型複合酸化物からなる膜厚2μm以下の誘電体薄膜であ
って、前記金属元素酸化物のモル比による組成式を、
(1−x−y)Pba (Mgb/ 3 Nb2/3 )O3 ・xP
a (Znb/3 Nb2/3 )O3 ・yPba ZrO3 と表
した時、前記x、y、aおよびbが、0<x≦0.5
0、0≦y≦0.20、1<a≦1.10、1<b≦
1.15を満足するものである。ここで、結晶粒子の形
状が円盤状であり、該円盤状の結晶粒子の平均粒径が
0.3μm以上であることが望ましい。
【0012】また、本発明の誘電体薄膜は、測定周波数
1kHz(室温)において1000以上であり、かつ、
測定周波数100MHz(室温)における比誘電率が1
000以上の特性を有する。
【0013】本発明の薄膜コンデンサは、上記誘電体薄
膜の両面に一対の電極を対向して形成してなるものであ
る。
【0014】
【作用】本発明の誘電体薄膜によれば、マクロな自発分
極を持たないためDCバイアス特性に優れ、高誘電率で
あり、室温より低温で最大の比誘電率を示すPMNにP
MNよりさらに高誘電率を室温より高温で示すPZNを
固溶するため、室温において高誘電率でDCバイアス特
性に優れた材料になる。特に、DCバイアス特性に優れ
たPbZrO3 を固溶することにより、室温において高
誘電率でDCバイアス特性に優れた材料になる。
【0015】また、薄膜にすることにより、ペロブスカ
イト型複合酸化物の平均結晶粒子径がサブミクロンのオ
ーダに小さくなり、より常誘電体的性質が支配的になる
ため、静電容量の温度特性及びDCバイアス特性を良好
とすることができる。また100MHzの様な高周波に
おいても、強誘電性の起源であるマクロな自発分極がな
いために自発分極に起因する誘電率の周波数分散が小さ
く、高周波においても大きな比誘電率を示す。
【0016】本発明の薄膜コンデンサでは、上記の優れ
た特性を有する誘電体薄膜の両面に、例えば、膜厚0.
05μm以上の白金(Pt)、金(Au)、チタン(T
i)、パラジウム(Pd)薄膜である一対の電極を対向
して形成することにより、高周波においても高誘電率で
優れた薄膜コンデンサを得ることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の誘電体薄膜は、膜厚2μ
m以下の誘電体薄膜である。ここで、膜厚2μm以下の
誘電体薄膜としたのは、これより厚くなると工程数が増
加し、またコンデンサを構成した場合、容量が小さくな
るからである。誘電体薄膜の膜厚は、製造の容易性、膜
質劣化の点で1μm以下が望ましく、さらに膜の絶縁性
を考慮すると特に0.3μm〜1μmが望ましい。
【0018】また、モル比による組成式を、(1−x−
y)Pba (Mgb/3 Nb2/3 )O3 ・xPb(Zn
b/3 Nb2/3 )O3 ・yPba ZrO3 と表した時、前
記x、y,aおよびbが、0<x≦0.50、0≦y≦
0.20、1<a≦1.10、1<b≦1.15を満足
するものである。
【0019】このように、Pb(Znb/3 Nb2/3 )O
3 量を示すxを0<x≦0.50としたのは、xが0.
50より大きくなると低誘電率相であるパイロクロアが
生成して、比誘電率が低下するからである。xは、高誘
電率という観点から、0.05≦x≦0.3であること
が望ましい。
【0020】また、PbZrO3 量を示すyを0≦y≦
0.20としたのは、yが0.20よりも多くなると、
低誘電率を示すPbZrO3 の特性が強く表面化し、比
誘電率は急激に小さくなるからである。yは、高誘電率
という観点から、0.05≦y≦0.10であることが
望ましい。
【0021】また、aを1<a≦1.10としたのは、
aが1以下の場合には、パイロクロア相が生成し、比誘
電率が低下するからであり、1.1よりも大きい場合に
はPbOが粒界に析出し、比誘電率が低下するからであ
る。aは特性の再現性が良いという理由から1.05≦
a≦1.1であることが望ましい。
【0022】さらに、bを1<b≦1.15としたの
は、bが1以下の場合や1.15よりも大きい場合に
は、比誘電率が低下するからである。bは特性の再現性
が良いという理由から1.05≦b≦1.1であること
が望ましい。
【0023】本発明の誘電体薄膜では、その結晶粒子は
円盤状をなしており、その平均粒径は、0.3μm以上
であることが望ましい。これは、一般に結晶粒子が大き
くなるにつれて比誘電率が向上するからである。
【0024】また、本発明の薄膜コンデンサは、上記し
た誘電体薄膜の両面に一対の電極を対向して形成してな
るものである。尚、誘電体薄膜と電極とを交互に積層し
た積層薄膜コンデンサであっても良いことは勿論であ
る。
【0025】コンデンサの電極としては、厚さ0.05
μm以上の白金(Pt)、金(Au)、チタン(T
i)、パラジウム(Pd)薄膜等があり、これらのうち
でも配向した白金(Pt)、チタン(Ti)、金(A
u)薄膜が最適である。Pt、Ti、Auは膜との反応
性が小さく、また酸化されにくい為、膜との界面に低誘
電率相が形成されにくいからである。
【0026】電極の膜厚を0.05μm以上としたのは
0.05μm未満であると高周波領域における等価直列
抵抗が大きくなるためである。配向した白金(Pt)薄
膜とは、配向性または単結晶的白金(Pt)薄膜であ
り、配向性を有するPt薄膜とは、3つの結晶軸のうち
一つの軸が膜表面に近似的に垂直な方向に揃った膜であ
り、単結晶的Pt薄膜とは3つの結晶軸が全て揃った膜
である。このような電極は、スパッタ蒸着やレーザ蒸着
法等物理的蒸着において、電極が形成される基板温度を
450℃以上とすることにより得られるもので、これら
のうちでも、基板温度を450℃以上としたスパッタ蒸
着が望ましい。
【0027】また、金属薄膜を蒸着する基板としては、
アルミナ、サファイア、MgO単結晶、SrTiO3
結晶、チタン被覆シリコン、または銅(Cu)、ニッケ
ル(Ni)、スズ(Sn)、ステンレススティール(S
US)薄膜もしくは薄板が望ましい。特に、薄膜との反
応性が小さく、安価で硬度が大きく、かつ金属薄膜の結
晶性という点からアルミナ、サファイアが望ましく、高
周波領域における低抵抗化の点で銅(Cu)薄板または
銅(Cu)薄膜が望ましい。
【0028】本発明の薄膜コンデンサは、例えば、P
t、Au、Ti、Pd等を基板上にスパッタ法、蒸着
法、グラビア印刷等の手法により成膜して下部電極を形
成し、この下部電極膜の表面に、誘電体膜を上記方法で
成膜して形成し、この後に誘電体薄膜表面に下部電極と
同様にして上部電極を成膜することにより得られる。ま
た、積層コンデンサは誘電体膜と電極とを交互に積層す
ることにより得られる。
【0029】本発明の誘電体薄膜は、例えば、以下のよ
うにして作製される。先ず、塗布溶液としてPb、M
g、Zn、Nb、およびZrの有機金属化合物が均一に
溶解した前駆体溶液を調製する。
【0030】次に、Mg、及びNbの有機酸塩、無機
塩、アルコキシドから選択される少なくとも1種のMg
化合物、Nb化合物をMg:Nb=b:2(1<b≦
1.15)のモル比でR1 OH、R2 OC2 4 OH、
3 COOH(R1 、R2 、R3:炭素数1以上のアル
キル基)で示される溶媒に混合する。混合後、所定の操
作を行い、IRスペクトルにおいて656cm-1付近に
吸収を有し、他の求核性の有機金属化合物の存在下にお
いても安定なMg−O−Nb結合を有するMgNb複合
アルコキシド分子を合成する。
【0031】IRスペクトルにおいて656cm-1付近
に吸収を有するMgNb複合アルコキシド分子を得るに
は、以下のような方法がある。
【0032】第1の方法として、MgおよびNbのアル
コキシド原料を溶媒に混合し、溶媒の沸点まで溶液の温
度を上昇させ、例えば酸等の触媒の共存下で還流操作を
行うことにより、分子内での脱エーテル反応を促進する
方法。
【0033】第2の方法として、上記のようにMgおよ
びNbのアルコキシド原料を溶媒に混合し、溶媒の沸点
まで溶液の温度を上昇させ、還流操作による複合化を行
った後、無水酢酸、エタノールアミン、アセチルアセト
ン等に代表される安定化剤を添加する方法。
【0034】第3の方法として、Mgのカルボン酸塩と
Nbのアルコキシドとの還流操作により、分子内での脱
エステル反応を促進する方法。
【0035】第4の方法として、Mgの水酸化物とNb
のアルコキシド、あるいはMgのアルコキシドとNbの
水酸化物の還流操作により、分子内での脱アルコール反
応を促進する方法。
【0036】第5の方法しとて、鉛前駆体の求核性を小
さくする為、前述の無水酢酸,エタノールアミン、アセ
チルアセトン等の安定化剤を添加する方法。
【0037】以上のいずれかの手法を用いる事により、
他の求核性有機金属化合物の存在下においても安定なM
g−O−Nb結合を有するMgNb複合アルコキシド分
子を合成できる。これらのうちでも、第2の還流操作後
に安定化剤を添加する方法が最も望ましい。
【0038】また、合成した上記MgNb複合アルコキ
シド溶液に水と溶媒の混合溶液を適下し、部分加水分解
を行い、前述のMgNb複合アルコキシドが重縮合した
MgNbゾルを形成させる。部分加水分解とは、分子内
のアルコキシル基の一部を水酸基と置換し、置換された
分子内での脱水、あるいは脱アルコール反応により重縮
合させる方法である。
【0039】次に、Zn、Nbの有機酸塩、無機塩、ア
ルコキシドから選択される少なくとも1種の有機金属化
合物をR1 OH、R2 OC2 4 OH、R3 COOH
(R1、R2 、R3 :炭素数1以上のアルキル基)で示
される溶媒に混合した後、還流操作を行いZn−Nb複
合アルコキシド溶液を合成する。
【0040】次に、鉛(Pb)の有機酸塩、無機塩、ア
ルコキシドから選択される少なくとも1種の鉛化合物を
1 OH、R2 OC2 4 OH、R3 COOH(R1
2、R3 :炭素数1以上のアルキル基)で示される溶
媒に混合する。この時、鉛化合物が結晶水を含む場合に
は、作製したPb前駆体溶液中に水が存在しないように
脱水処理する。
【0041】作製したPb前駆体溶液とMgNb複合ア
ルコキシド溶液、あるいはMgNbゾルをPb:(Mg
+Nb)=a:(b+2)/3(1<a≦1.10、1
<b≦1.15)のモル比で混合し、PMN前駆体溶液
とする。
【0042】作製したPb前駆体溶液とZnNb複合ア
ルコキシド溶液をPb:(Zn+Nb)=a:(b+
2)/3(1<a≦1.10、1<b≦1.15)のモ
ル比で混合し、PZN前駆体溶液とする。
【0043】Zrの有機酸塩、アルコキシド等から選択
される1種のZr化合物と、前述したPb前駆体溶液と
をPb:Zr=a:1(1<a≦1.10)のモル比で
混合した後、還流操作を行いPZ前駆体溶液を合成す
る。
【0044】前述のPMN前駆体溶液とPZN前駆体溶
液及びPZ前駆体溶液をモル比でPMN:PZN:PZ
=(1−x−y):x:yとなる様に混合し、(1−x
−y)PMN−xPZN−yPZ前駆体溶液とする。
【0045】または、Zrの有機酸塩、アルコキシド等
から選択される1種のZr化合物をR1 OH、R2 OC
2 4 OH、R3 COOH(R1 、R2 、R3 :炭素数
1以上のアルキル基)で示される溶媒に混合し、Zr溶
液を作製する。作製したZr溶液をMgNb複合アルコ
キシド溶液、あるいはMgNbゾルとZnNb複合アル
コキシド溶液と混合した後、アセチルアセトン等のキレ
ート剤をMg−Zn−Nb溶液の金属量の0.5倍量以
上加え、混合する。
【0046】作製したPb前駆体溶液もしくは酢酸Pb
・3水和物のような鉛(Pb)の有機酸塩と混合し、
(1−x−y)PMN−xPZN−yPZ前駆体溶液と
する作製した塗布溶液を基板上にスピンコート法,ディ
ップコート法,スプレー法等の手法により、成膜する。
【0047】成膜後、300〜400℃の温度で1分間
熱処理を行い、膜中に残留した有機物を燃焼させ、ゲル
膜とする。1回の膜厚は0.1μm以下が望ましい。
【0048】成膜−熱処理を所定の膜厚になるまで繰り
返した後、800℃〜920℃で焼成を行い、本発明の
結晶質の誘電体薄膜が作製される。得られた誘電体薄膜
の膜厚は2μm以下であるが、これより厚くなると工程
数が増加し、また、コンデンサを構成した場合、容量が
小さくなるので好ましくない。
【0049】
【実施例】脱水処理した酢酸MgとNbエトキシドを
1.05:2のモル比で秤量し、2−メトキシエタノー
ル中で還流操作(124℃で17時間)を行い、1M
(mol/l)濃度のMgNb複合アルコキシド溶液を
合成した。IRスペクトルにおいて、656cm-1付近
にMg−O−Nb結合による吸収が見られた。
【0050】次に、脱水処理した酢酸ZnとNbエトキ
シドを1.05:2のモル比で秤量し、2−メトキシエ
タノール中で混合を行い、1M(mol/l)濃度のZ
nNb複合アルコキシド溶液を合成した。
【0051】次にZrプロポキシドを2−メトキシエタ
ノールに室温で溶解し、1M濃度のZr溶液を作製し
た。1M濃度のMgNb複合アルコキシド溶液とZnN
b複合アルコキシド溶液及びZr溶液を、(Mg+N
b):(Zn+Nb):Zr=1−x−y:x:yの比
率で混合し、還流操作(124℃で17時間)を行い、
その後、アセチルアセトンをMg−Zn−Nb−Zr溶
液の全金属量の1倍量添加後、室温で10分間撹拌し、
安定化させた。酢酸鉛・3水和物と2−メトキシエタノ
ールをMg−Zn−Nb−Zr溶液にPb:(Mg+Z
n+Nb+Zr)=1.05:〔3.05/3(1−
y)+y〕となるように混合し、1時間室温で撹拌する
ことにより、1M濃度のPb1.05(Mg1.05/3
2/3 1-x-y (Zn1.05/3Nb2/3 x ZrO3 前駆
体溶液を合成した。
【0052】電極となるPt(111)が650℃でス
パッタ蒸着されたサファイア単結晶基板上の上記Pt電
極の表面に、前記塗布溶液をスピンコーターで塗布し、
乾燥させた後、300℃で熱処理を1分間行い、ゲル膜
を作製した。塗布溶液の塗布−熱処理の操作を10回繰
り返した後、920℃で0.5分間(大気中)の急速昇
温焼成を行い、膜厚0.50μmのPb1.05(Mg
1.05/3Nb2/3 1-x-y (Zn1.05/3Nb2/3 x Zr
y 3 薄膜を得た。得られた薄膜のX線回折結果より、
ペロブスカイト生成率を計算すると約92%であった。
【0053】作製した0.50μmの膜厚の薄膜表面に
直径0.2mmの金電極をスパッタ蒸着により形成し、
薄膜コンデンサを作製した後、500℃で10分間熱処
理した。LCRメータ(ヒュウレットパッカード社製4
284A)を用いて、25℃1kHz(AC100m
V)の条件で比誘電率、誘電損失を求めた。
【0054】さらに、DCバイアス特性を、室温におい
て電圧を印加しない場合の比誘電率K0 、直流電界3V
/μmの電圧を印加したときの比誘電率K1 とした時
に、(K0 −K1 )/K0 ×100で求め、表1に記載
した。
【0055】次に、作製した0.50μm膜厚の膜の表
面に直径0.05mmの金電極をスパッタ蒸着により形
成し、薄膜コンデンサを作製した後、500℃で10分
間熱処理した。この薄膜コンデンサについて、インピー
ダンスアナライザ(ヒュウレットパッカード社製HP4
291A,フィクスチャーHP16092A)およびマ
イクロプローブを用いて1MHz〜1.8GHzにおけ
る特性評価をおこなった。インピーダンスー周波数特性
の測定により、100MHzにおける等価直列容量を評
価し、比誘電率を求めた。
【0056】また、誘電体薄膜の平面方向の任意の断面
の組織を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観測したと
ころ、結晶粒子は円盤状をなしていることを確認した。
また、その円盤状の結晶粒子の平均粒径を、平面方向の
断面のSEM写真(50000倍または30000倍)
に、長さL(7.5cm)の直線を引き、粒界との交点
Nを求め、これからL/Nの式により求めた(コード
法)。これらの結果を表1の試料No.1〜13に記載す
る。
【0057】
【表1】
【0058】この表1の試料No.1〜13から判るよう
に、本発明の誘電体薄膜は、100MHzにおいて13
60以上の高誘電率を有するのに対して、比較例ではい
ずれも100MHzにおける比誘電率が1000よりも
低いことが判る。
【0059】また、酢酸MgとNbエトキシドの比をb
(0.9〜1.2):2とし、MgNb複合アルコキシ
ド溶液を合成し、酢酸鉛・3水和物と2−メトキシエタ
ノールをMgーNb溶液にPb:(Mg+Nb)=a
(0.9〜1.2):〔b(0.9〜1.2)+2〕
(1−x)/3となるように混合し、膜厚を表1に示す
厚みとする以外は、上記と同様に誘電体薄膜を作製し
た。この誘電体薄膜について、平面方向の任意の断面の
組織を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観測したとこ
ろ、結晶粒子は円盤状をなしていることを確認した。ま
た、その結晶粒子の平均粒径を上記と同様にして求め、
さらに上記と同様にして特性を測定した。その結果も表
1の試料No.14〜22に記載した。
【0060】この表1の試料No.14〜22から、本発
明の誘電体薄膜は、100MHzにおいて2200以上
の高誘電率を有し、また、3V/μmの電界に対する比
誘電率の変化は、30%未満の低下であるの対して、比
較例ではいずれも100MHzにおける比誘電率が10
00よりも低いことが判る。
【0061】尚、表1の試料No.5の作製において、焼
成温度を880℃、900℃、920とする以外は全く
同様にして誘電体薄膜を作製し、コンデンサを作製し
た。この誘電体薄膜について、平面方向の任意の断面の
組織を、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観測したとこ
ろ、結晶粒子は円盤状をなしていることを確認した。ま
た、その結晶粒子の平均粒径を上記と同様にして求め、
さらにこれらの試料について、上記と同様にして1kH
zまたは100MHzにおける比誘電率を測定した。こ
れらの結果を表2に示す。
【0062】
【表2】
【0063】この表2から、結晶粒径が大きくなるにつ
れて、比誘電率が高くなることが判る。
【0064】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の誘電体薄
膜は、DCバイアス特性、温度特性が優れているうえ
に、100MHzの様な高周波においても比誘電率が大
きい為、素子の小型化を図ることができるとともに、I
Cまわりのデカップリングコンデンサ等の高周波で用い
られるコンデンサとして広く適用できる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属元素としてPb、Mg、NbおよびZ
    nを含むペロブスカイト型複合酸化物からなる膜厚2μ
    m以下の誘電体薄膜であって、前記金属元素酸化物のモ
    ル比による組成式を (1−x−y)Pba (Mgb/3 Nb2/3 )O3・xP
    a (Znb/3 Nb2/3 )O3 ・yPba ZrO3 と表した時、前記x、y、aおよびbが 0<x≦0.50 0≦y≦0.20 1<a≦1.10 1<b≦1.15 を満足することを特徴とする誘電体薄膜。
  2. 【請求項2】結晶粒子の形状が円盤状であり、該円盤状
    の結晶粒子の平均粒径が0.3μm以上であることを特
    徴とする請求項1記載の誘電体薄膜。
  3. 【請求項3】測定周波数1kHz(室温)における比誘
    電率が1000以上であり、かつ、測定周波数100M
    Hz(室温)における比誘電率が1000以上であるこ
    とを特徴とする請求項1または2記載の誘電体薄膜。
  4. 【請求項4】請求項1記載の誘電体薄膜の両面に一対の
    電極を対向して形成してなることを特徴とする薄膜コン
    デンサ。
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