JPH0612917A - 誘電体磁器およびその製造方法 - Google Patents

誘電体磁器およびその製造方法

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JPH0612917A
JPH0612917A JP4192913A JP19291392A JPH0612917A JP H0612917 A JPH0612917 A JP H0612917A JP 4192913 A JP4192913 A JP 4192913A JP 19291392 A JP19291392 A JP 19291392A JP H0612917 A JPH0612917 A JP H0612917A
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oxide
barium titanate
particle size
component
dielectric
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JP4192913A
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Masanori Kinugasa
雅典 衣笠
Naoto Tsubomoto
直人 坪本
Masahito Morimoto
雅人 森本
Hirotaka Kubota
弘貴 久保田
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Tayca Corp
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Tayca Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 誘電率の温度変化が小さく、誘電損失が小さ
く、素体強度や耐圧強度が大きく、しかも誘電率の電圧
依存性が小さい高誘電率系の誘電体磁器を提供する。 【構成】 一次平均粒子径が0.1〜0.3μmの正方
晶チタン酸バリウム微粉末100モル部に対し、五酸化
ニオブをNbO5/2 換算でXモル部、酸化コバルト、酸
化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ニッケルおよび酸化マ
ンガンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸化物
をMO(MはCo、Zn、Mg、Ni、Mn)換算でY
モル部とするときの成分比が2.0<X<8.8、0.
3<Y<3.6、2Y+0.3<X、2.8<X+Y<
11の範囲内になるように添加して、平均グレインサイ
ズが0.1〜0.3μmで、グレイン分布が平均グレイ
ンサイズ±平均グレインサイズ×0.5μmの範囲内に
70%以上含まれている誘電体磁器を作製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、チタン酸バリウム系の
誘電体磁器およびその製造方法に関する。
【0002】さらに詳しくは、本発明は、チタン酸バリ
ウム系で、広い温度範囲にわたって誘電率の温度変化が
小さく、かつ誘電損失が小さく、素体強度および耐電圧
強度が大きく、しかも誘電率の電圧依存性が小さい高誘
電率系の誘電体磁器およびその製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】従来より、誘電率の温度変化が小さい高
誘電率系セラミックコンデンサ用の誘電体材料として
は、チタン酸バリウムを母体とし、これに酸化ニオブお
よび/または酸化タンタルと、酸化イットリウムまたは
希土類酸化物やMn、Cr、Fe、Ni、Co、Mg、
Znなどの酸化物との種々の組み合わせからなる、いわ
ゆるチタン酸バリウムのキュリー点のディプレッサー剤
(チタン酸バリウム結晶粒をコアーと称するのに対し
て、これらはシェル剤と称される)を添加したものが広
く用いられている。
【0004】そして、これらの組成物を焼成焼結し、母
体となるチタン酸バリウム結晶粒(コアー)の粒界側か
らシェル剤が拡散した相(シェル相)を形成した完全固
溶していない焼結体、いわゆるコアーシェル焼結体を得
ることによって、誘電率の温度変化が小さい、すなわち
JIS規格のY級B特性(−25℃〜+85℃の範囲で
誘電率の変化が20℃を基準にして±10%以内)や、
EIAJ(日本電子機械工業会規約)に規定するX7R
特性(−55℃〜+125℃の範囲で誘電率の変化が2
5℃を基準にして±15%以内)を満足する高誘電率系
チタン酸バリウムセラミックコンデンサが提案されてい
る(特開昭61−99209号公報、特開昭61−99
210号公報、特開昭62−229605号公報、特開
平1−315904号公報、特開平3−97662号公
報、特開平3−45557号公報、特開平2−1144
06号公報など)。
【0005】また、近年の小型大容量化の要求に対し、
積層セラミックコンデンサにおける誘電体層の薄膜化が
進んでおり、現在、該誘電体層の厚みは10μm以下、
特に薄い場合には5μm以下にまで薄膜化が進められて
いる。そして、このように薄膜化が進んでくると、誘電
体磁器の素体強度や耐電圧強度がより大きく、しかも誘
電率や誘電損失の電圧依存性のより少ない特性が期待で
きる、グレインサイズが小さく、かつグレイン分布の狭
い誘電体磁器が要望されるようになる。
【0006】そのため、特公平3−1265号公報に
は、グレインサイズ0.25μmというグレインサイズ
の小さい誘電体磁器が提案され、また、特開昭61−9
9209号公報、特開昭61−99210号公報、特開
平3−97662号公報では、実施例において、平均粒
子径が0.1μmから0.3μmという粒子径の小さい
チタン酸バリウムを出発原料として用いることが記載さ
れている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の誘電体材料や誘電体磁器も、誘電率の温度変化に関し
てさらに厳しい特性が要求される場合には対応すること
ができない。
【0008】すなわち、JIS規格のY級A特性(−2
5℃+85℃の範囲での誘電率の変化が20℃を基準に
して±5%以内)やEIAJに規定されるY5E、Y5
D、Y5C、Y5B、Y5A特性(−30℃〜85℃の
範囲での誘電率の変化が25℃を基準にして、それぞれ
±4.7%以内、±3.3%以内、±2.2%以内、±
1.5以内、±1.0%以内)を満足していないし、も
とより、さらに厳しいEIAJのX7P、X7F、X7
E、X7D、X7C特性(−55℃〜+125℃の範囲
での誘電率の変化が25℃を基準にして、それぞれ±1
0%以内、±7.5%以内、±4.7%以内、±3%以
内、±2.2%以内)を満足していない。
【0009】また、特公平3−1265号公報、特開昭
61−99209号公報、特開昭61−99210号公
報、特開平3−97662号公報などに記載のグレイン
サイズの小さい誘電体磁器においては、出発原料のチタ
ン酸バリウムの粒子径が小さければ小さいほど、シェル
剤との反応固溶性を考慮した場合、シェル剤の元素種お
よび添加量範囲、チタン酸バリウム粒子の結晶性および
粒度分布を厳密に制御しなければ均一なコアーシェル焼
結体を得ることが困難になると考えられるが、上記公報
中では厳密な制御が行われていない。
【0010】そのため、グレインサイズの小さいもの、
あるいはグレインサイズの小さいと思われる実施例にお
いて、誘電率の温度変化が大きく、また誘電損失も1%
を超えるものが多く、電気特性上決して満足できるもの
ではない。
【0011】さらに、これらの誘電体磁器は、平均グレ
インサイズが0.5μm以上と大きかったり、平均グレ
インサイズは小さいもののグレイン分布が広く、また組
成的に不均一なためか、磁器の強度や耐電圧強度、誘電
率の電圧依存性においても、充分に満足できるものでな
い。そのため、誘電体層の薄膜化に充分に対応できてい
ないのが現状である。
【0012】したがって、本発明は、広い温度範囲にわ
たって誘電率の温度変化が小さく、誘電損失が小さい高
誘電率の磁器で、かつグレインサイズが小さく、グレイ
ン分布が均一な誘電体磁器とその製造方法を提供するこ
とを目的とする。
【0013】より具体的には、誘電損失が1%以下、誘
電率が1600以上で、誘電率の温度変化がJIS規格
のY級A特性(−25℃〜+85℃の範囲での誘電率の
変化が20℃を基準にして±5%以内)はもとより、E
IAJに規定されるY5E特性(−30℃〜+85℃の
範囲での誘電率の変化が25℃を基準にして±4.7%
以内)からY5A特性(−30℃〜+85℃の範囲での
誘電率の変化が25℃を基準にして±1.0%以内)ま
でを満足し、X7P特性(−55℃〜+125℃の範囲
での誘電率の変化が25℃を基準にして±10%以内)
からX7C特性(−55℃〜+125℃の範囲での誘電
率の変化が25℃を基準にして±2.2%以内)までを
も満足する誘電体磁器で、素体強度や耐電圧強度が大き
く、誘電率の電圧依存性の少ない誘電体磁器とその製造
方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明は、母体となるチ
タン酸バリウムの結晶性と粒子径を特定し、かつ、この
チタン酸バリウムに添加する第2成分および第3成分の
元素種と添加量を特定することによって、平均グレイン
サイズが0.1μmから0.3μmで、グレイン分布が
平均グレインサイズ±平均グレインサイズ×0.5μm
の範囲内に70%以上含まれている誘電体磁器を作製す
ることを可能にし、かつ該誘電体磁器が目的とする特性
を充分に満足することを見出し、完成するに至ったもの
である。
【0015】以下、本発明における課題の解決手段を、
誘電体磁器の構成成分とその成分比、誘電体磁器の
平均グレインサイズとグレイン分布、誘電体磁器の製
造にあたって使用するチタン酸バリウム微粉末、第2
成分以下の酸化物または該酸化物の前駆体、その他、
の順に詳細に説明する。
【0016】 本発明の誘電体磁器を構成する構成成
分とその成分比について
【0017】第1成分は母体となるチタン酸バリウムで
あり、第2成分以下はシェル剤で、第2成分は五酸化ニ
オブであり、第3成分は酸化コバルト、酸化亜鉛、酸化
マグネシウム、酸化ニッケルおよび酸化マンガンよりな
る群から選ばれる少なくとも1種以上の酸化物である。
【0018】本発明の誘電体磁器において、これらの成
分比を示すにあたり、第1成分のチタン酸バリウムを1
00モル部とし、このチタン酸バリウム100モル部に
対し、第2成分の五酸化ニオブはNbO5/2 換算でXモ
ル部で表し、第3成分の酸化コバルト、酸化亜鉛、酸化
マグネシウム、酸化ニッケルおよび酸化マンガンよりな
る群から選ばれる少なくとも1種以上の酸化物はMO
(MはCo、Zn、Mg、NiまたはMn)換算でYモ
ル部で表す。
【0019】本発明に係わる構成成分の成分比範囲は以
下に示す通りである。成分比を示す1)はJIS規格の
Y級A特性およびEIAJのX7P特性以上を満足させ
るためのものであり、2)はY級A特性およびEIAJ
のX7F特性以上を満足させるためのものである。
【0020】1) 2.0<X<8.8 0.3<Y<3.6 2Y+0.3<X 2.8<X+Y<11
【0021】2) 2.5<X<8.8 0.7<Y<3.6 2Y+0.3<X 3.5<X+Y<11
【0022】本発明において、誘電体磁器の構成成分の
成分比を上記に限定した理由は以下に示すとおりであ
る。
【0023】まず、1)の場合について説明すると、X
が2.0以下の場合、その他の成分比が上記範囲内であ
っても、また、チタン酸バリウムに関して特定のものを
使用しても、焼結時には、すなわちカサ密度が5.6以
上を満たす時には、磁器のグレインサイズが大きくな
り、グレインサイズ、グレイン分布のいずれかまたは両
方が本発明の範囲外となる。
【0024】また、該磁器の誘電率の温度依存性におい
て、母体となるチタン酸バリウム(BaTiO3 )結晶
中のTi4+イオンとNb5+イオンおよび第3成分(M
O)のMイオンとが置換し、完全に固溶した結晶グレイ
ン〔化学式でBa(Ti4+ 1-yNb5+ 2/3y2+ 1/3y)O
3 またはBa(Ti4+ 1-y Nb5+ 1/2y3+ 1/2y)O3
記することができる。Mイオンのとりうる価数によって
多少異なる〕を各グレイン単位で部分的に形成したと推
定される誘電率のキュリー点ピーク(本来のBaTiO
3 のキュリー点よりも低温側にシフトしたピーク)が現
れるようになり、誘電率の温度変化が大きくなる。した
がって、本発明で目的とする特性、すなわち、Y級A特
性およびX7P特性以上の優れた誘電率の温度変化の平
坦性を有しない。また、誘電損失も1%を超える場合が
ある。
【0025】また、Xが2.0を超える値であっても、
2Y+0.3<Xを満足しない場合、X+Yが2.8以
下の場合、さらにYが0.3以下の場合は、本発明で目
的とする特性、すなわちY級A特性およびX7P特性以
上の優れた誘電率の温度変化の平坦性を有しない。
【0026】Xが8.8以上の場合や、Xが8.8未満
であっても、X+Yが11以上の場合は、本発明で目的
とする誘電率の温度特性を示し得るものの、それ以上含
有しても、誘電率の温度特性の平坦化の効果がなく、誘
電率の減少を来すだけで無駄である。
【0027】そして、成分比を2)で示す範囲に限定し
たのは、前記したように、誘電率の温度特性をX7P特
性からさらにきびしいX7F特性をも満足するようにす
るためである。すなわち、成分比が上記2)の範囲外に
なると、上記1)で説明したと同様の理由により、誘電
率の温度特性がX7F特性を満足しなくなるからであ
る。
【0028】また、本発明において成分比は、チタン酸
バリウム100モル部に対して規定しているが、厳密に
は該チタン酸バリウムを含む全配合のBa/Ti原子比
は後述するように、0.930〜1.100の範囲にあ
るため、1.000より離れている場合、誤差を生じ
る。したがって、チタン酸バリウム100モル部とは、
全チタニウム元素100原子部と同義である。
【0029】 本発明の誘電体磁器の平均グレインサ
イズおよびグレイン分布について
【0030】本発明において、誘電体磁器の平均グレイ
ンサイズは0.1μmから0.3μm、好ましくは0.
1μmから0.2μmで、グレイン分布は平均グレイン
サイズ±平均グレインサイズ×0.5μmの範囲内に7
0%以上含まれていることを特徴としている。
【0031】平均グレインサイズおよびグレイン分布を
上記のように限定した理由について説明すると、下記の
とおりである。
【0032】各成分の成分比が本発明の範囲内であって
も、平均グレインサイズが0.1μmより小さい場合や
0.3μmより大きい場合は、誘電率の温度変化が大き
くなり、Y級B特性またはX7R特性を満足し得ても、
本発明の目的とする誘電率の温度特性には至らない。さ
らに、破壊電圧、抗折強度、誘電率の電圧依存性なども
悪くなる。また、グレイン分布が本発明の範囲内にない
場合も同様である。
【0033】本発明において、平均グレインサイズやグ
レイン分布は、SEM(走査型電子顕微鏡)観察より得
られたものをいう。すなわち、SEM写真に一定間隔で
直線を引き、該直線にヒットしたグレインの大きさを
0.01μm単位で計測し、該個数を計数することによ
り得られたものである。ただし、グレインが大きく、2
度以上ヒットしたものはその都度計数する。そして、個
数平均は、 〔グレインの大きさの測定値の合計〕/〔全合計個数〕 で求める。全合計個数は3000個である。したがっ
て、グレイン分布は個数分布によるものである。
【0034】 本発明の誘電体磁器の製造に使用する
正方晶チタン酸バリウム微分末について
【0035】本発明の誘電体磁器の製造にあたって使用
する正方晶チタン酸バリウム微粉末は、一次粒子平均粒
子径が0.1μmから0.3μm、好ましくは0.1μ
mから0.2μmで、一次粒子粒度分布が一次粒子平均
粒子径±一次粒子平均粒子径×0.5μmの範囲内に7
0%以上含まれているものである。
【0036】これらの平均粒子径や粒度分布は、上記の
平均グレインサイズやグレイン分布と同様にSEM観察
より求められるものであり、それぞれ個数平均、個数分
布を意味するものである。
【0037】本発明において使用する正方晶チタン酸バ
リウム微粉末の一次粒子平均粒子径および一次粒子粒度
分布を上記の範囲に限定した理由について説明すると、
以下に示すとおりである。
【0038】一次粒子平均粒子径が0.1μmより小さ
い正方晶チタン酸バリウム微粉末を用いる場合、本発明
で目的とする誘電率の温度特性が得られなくなる。
【0039】逆に一次粒子平均粒子径が0.3μmより
大きい正方晶チタン酸バリウム微粉末を用いる場合、誘
電率の温度特性がY級B特性またはX7R特性を満足す
る磁器は得られるものの、Y級A特性を満足し、かつX
7P特性さらにはX7F特性以上を満足する磁器は得ら
れず、誘電損失も1%を超えるものが多くなる。
【0040】また、一次粒子粒度分布が前記範囲外の場
合も、本発明で目的とする誘電率の温度特性を満足する
磁器が得られない。その理由は、粒度分布が広くなる
と、焼結時に、粒子径の小さい粒子は第2成分および第
3成分との固溶反応が進み過ぎたグレインを形成し、粒
子径の大きい粒子はほとんど固溶反応が進行していない
グレインを形成するといったように、グレイン単位でか
なり不均一性が出じるためであると推定される。いうま
でもないが、一次粒子平均粒子径および一次粒子粒度分
布が本発明の範囲外の正方晶チタン酸バリウムを用いた
場合、本発明におけるような平均グレインサイズおよび
グレイン分布を満足する磁器を得ることができない。
【0041】さらに、本発明において使用する正方晶チ
タン酸バリウム微粉末の平均粒子径および粒度分布なら
びに本発明の誘電体磁器の平均グレインサイズおよびグ
レイン分布に関してより好ましい範囲を設定したのは、
同一のシェル剤を配合した場合において、さらに誘電率
の温度特性の平坦性が良好になるためである。
【0042】もう一つの理由は、より破壊電圧、抗折強
度が大きく、より誘電率の電圧依存性の小さい磁器を得
るためである。
【0043】つぎに、本発明において使用する正方晶チ
タン酸バリウム微粉末の結晶性について説明する。
【0044】ここでいう正方晶とは、X線回折上、(1
00)面と(001)面、(200)面と(002)面
または(400)面と(004)面が完全に分岐したピ
ークを示すものをいう。ただし、(100)面と(00
1)面は2θが低角のため判別がしにくい。
【0045】さらに、ピークの解釈上、図2や図6に示
すように回折ピークがブロードなため、格子定数cと格
子定数aの差が縮まった正方晶と解釈されたり、疑似立
方晶と解釈されたり、あるいは立方晶と正方晶の混晶と
も解釈されたりするものは本発明の正方晶でない。
【0046】ここで、本発明でいう正方晶についてあえ
て限定すれば、粉末法によるX線回折測定により格子定
数cと格子定数aを算出した時、格子定数比c/aが
1.009以上のもの、好ましくは1.010以上のも
のをいう。
【0047】つぎに、本発明において使用する正方晶チ
タン酸バリウム微粉末の製造方法について説明する。
【0048】本発明において使用する正方晶チタン酸バ
リウム微粉末の製造方法については、特に限定しない
が、通常の酸化チタンと炭酸バリウムとの固溶反応法で
は、反応後の粒子径が大きくなり過ぎるため、これを機
械的粉砕によって本発明で使用するのに適した平均粒子
径と粒度分布にすることが不可能である。
【0049】したがって、チタンおよびバリウムのアル
コキシドを用いたアルコキシド法、水酸化バリウムと含
水水酸化チタンを用いた水熱合成法または熱加水分解
法、チタンおよびバリウムの塩を用いた強アルカリ共沈
加水分解法、シュウ酸(蓚酸)共沈法などの湿式法で得
られるチタン酸バリウムを用いることが好ましい。しか
しながら、これらの湿式法で得られるチタン酸バリウム
は、平均粒子径と粒度分布は満足できるものの、そのま
までは結晶形がX線回折上疑似立方晶であり、結晶性に
おいては満足できるものでない。それ故、結晶性におい
ても満足できるものとするためには、熱処理をする必要
がある。
【0050】上記理由により、本発明において使用する
正方晶チタン酸バリウム微粉末の製造方法の一例として
は、湿式法で得られたチタン酸バリウムを熱処理する方
法を採用することができる。ただし、湿式法で粒子径、
粒度分布の制御されたチタン酸バリウムを得ても、厳密
にチタン酸バリウムのBa/Ti原子比と熱処理をコン
トロールしなければ、結晶性において満足し得るものを
得たときに、チタン酸バリウムの粒子が大きく成長した
り、シンタリングが激しくなったりすることがある。
【0051】すなわち、湿式法で得られるチタン酸バリ
ウムの平均粒子径、粒度分布はもとより、その4ケタ精
度のBa/Ti原子比や熱処理温度によってチタン酸バ
リウムの粒子径、粒度分布および結晶性が大きく影響さ
れるため、それらの諸条件を厳密にコントロールしなけ
れば、本発明において使用し得る正方晶チタン酸バリウ
ムを得ることができない。
【0052】好適な具体例をあげると、例えば、国際公
開番号WO 91/02697に開示されているBa/
Ti原子比がBa過剰の条件で得られる正方晶チタン酸
バリウムが、好適である。
【0053】 本発明において使用する第2成分、第
3成分の酸化物または該酸化物の前駆体について
【0054】本発明において使用する第2成分、第3成
分の酸化物には、複数の酸化物が属する成分の場合、1
種金属元素の酸化物だけでなく、該成分に属する酸化物
の金属元素から選ばれる2種以上の金属元素の複合酸化
物も含まれる。また、これらの成分の酸化物には、チタ
ニウムやバリウムとの複合酸化物も含まれる。
【0055】また、本発明において使用する第2成分、
第3成分の酸化物の前駆体とは、仮焼または焼成時に、
すなわち焼結温度より低い温度で、酸化物に分解するも
のを意味し、具体的には炭酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、
アルコキシド、水酸化物などがあげられる。
【0056】 その他について
【0057】上記第2〜3成分の添加混合については、
常法にしたがえばよく、特に限定されるものではない
が、該添加成分が、酸化物、炭酸塩などの水不溶性の場
合は、あらかじめ微粉砕した後に添加混合する方が、均
一混合という目的で好ましい。
【0058】本発明の全配合におけるBa/Ti原子比
については、第2〜3成分の添加量にもよるが、0.9
3〜1.10の範囲が好ましい。
【0059】つまり、Ba/Ti原子比が0.93より
小さければ、誘電率の減少が顕著に起こるだけで他のメ
リットがない。また、Ba/Ti原子比が1.10より
大きくなると焼結温度が高くなる。
【0060】なお、本発明のメリットの一つとして、B
a/Ti原子比のBa過剰許容範囲が広くなり、その結
果、焼結温度の低下、電極との接触不良の低減、焼成中
のTiの還元の防止などを達成できることがあげられ
る。
【0061】すなわち、第2成分および第3成分の添加
量を本発明で規定する成分比の範囲内にし、かつ正方晶
チタン酸バリウム微粉末として前記特定のものを使用し
た場合、該正方晶チタン酸バリウムが微粒でかつ粒度分
布がシャープであるため、本発明の範囲外の通常の粒子
径の大きい正方晶チタン酸バリウム粉末を使用した場合
に比べて、Ba/Ti原子比の焼結限界は、後者(つま
り、通常の場合)が1.008であるのに対して、前者
(つまり、本発明の場合)ではさらにBa過剰でも焼成
可能になり、目的とする特性も得られるようになる。
【0062】これを、より具体的に説明すると、後者が
Ba/Ti原子比1.044の時、1400℃×2時間
の焼成でカサ密度5.1であるのに対し、前者はBa/
Ti原子比が1.044の時、1250℃×2時間の焼
成でカサ密度が5.9である。このことは、積層セラミ
ックコンデンサーの製造を考慮した場合、すなわち内部
電極材種または内部電極とセラミックスとの接触を考慮
した場合、焼結温度の低下によるメリットだけでなく、
よりBa過剰で焼結可能なため、Ti過剰組成物相の生
成制御による電極との接触不良の低減や焼成中のTiの
還元の防止などのメリットが生じる。
【0063】さらに、前記した成分以外の元素の酸化物
も、本発明の目的とする電気特性を損なわない範囲で添
加することが可能である。すなわち、バイアス特性、耐
電圧特性の改善の目的で、Fe、Cr、CuやYなどの
希土類を添加することも可能である。また、焼結特性の
改善という目的で、BaまたはTiのイオン半径と比較
的離れたイオン半径を持つSi、Al、B、Geなどの
酸化物を添加することもできる。また、Zr、Sn、C
a、Pb、Srのように、TiまたはBaのイオン半径
と比較的近いイオン半径を持つ元素の酸化物において
も、それらの元素種によって多少異なるが、チタン酸バ
リウム100モル部に対して10モル部以下であれば、
添加することも可能である。また、全配合におけるBa
/Ti原子比を調整する目的でBaまたはTiの酸化物
や酸化物前駆体、あるいはBaまたはTiとシェル剤元
素種との複合酸化物の形で添加することも可能である。
【0064】本発明の誘電体磁器の製造にあたり、焼成
は通常の方法によればよい。ただし、焼成温度について
は、昇温速度、チタン酸バリウムの粒子径、Ba/Ti
原子比、第2成分以降のシェル剤の添加量などによって
適宜調整される。すなわち、通常の昇温速度(1℃/分
〜20℃/分)では、1200℃から1300℃の範囲
が最適焼成温度となる。さらに、昇温速度を100℃/
分以上にした場合50℃以上低温で焼成できるようにな
り好ましい。
【0065】本発明の特徴として、出発原料のチタン酸
バリウムの粒子径が微粒にもかかわらず、本発明の範囲
内に出発原料のチタン酸バリウムの結晶性を限定し、か
つシェル剤の種類と量を限定することによって、ほとん
どチタン酸バリウム粒子が粒子成長せずに焼結すること
が可能である。
【0066】より具体的には、実施例1〜実施例9から
明らかなように、チタン酸バリウムの平均粒子径が0.
13μm前後のものを使用しているにもかかわらず、す
べて該チタン酸バリウムの粒子径の1.5倍以下の粒子
成長のグレインで焼結している。
【0067】
【作用】純粋なチタン酸バリウム焼結体は、130℃付
近に正方晶(低温側)−立方晶(高温側)の結晶転移点
(キュリー点)を持つため、130℃付近で誘電率が異
常に大きくなる。この誘電率異常を制御するために、主
原料のチタン酸バリウムにシェル剤(本発明においては
第2成分以降の成分)を添加混合し、これを焼成するこ
とによって、チタン酸バリウム結晶粒の粒界側からシェ
ル剤をドープした焼結体を得る試みがなされている。こ
のようにして得られるコアーシェル焼結体の模式図を図
1に示す。
【0068】通常、母体となるチタン酸バリウム粉末
は、その粒子径が小さいほど、比表面積が大きく活性で
あり、相対的に低温で焼結しやすいが、シェル剤と固溶
反応が起こりやすく、粒子成長も起こりやすい。さら
に、チタン酸バリウム粉末の結晶性が悪いほどシェル剤
と固溶反応が起こりやすいと考えられている。
【0069】したがって、原料のチタン酸バリウム粉末
の粒子径の大きさによって、シェル剤の元素種、添加量
を特定しなければならないが、コアーシェル構造が可能
なシェル剤の添加量範囲内であっても、チタン酸バリウ
ム粉末の結晶性と粒子径および粒度分布を充分に考慮す
る必要がある。
【0070】具体的には、従来の結晶性は良いが粒度分
布の広いチタン酸バリウム粉末を使用した場合、磁器全
体としてはコアーシェル焼結体であったとしても、各グ
レイン単位では不均一であって、コアーシェルとなら
ず、完全に結晶内までドープされたグレインが存在する
ことになる。図1において、(1)と(2)がその場合
のコアーシェルの模式図である。
【0071】図1中の(1)は原料のチタン酸バリウム
粉末として平均粒子径が大きく、粒度分布が広いものを
使用した例を示しており、(2)は原料のチタン酸バリ
ウム粉末として平均粒子径が小さく、粒度分布が広いも
のを使用した例を示している。
【0072】図1中において、コアー相は斜線を施して
示し、シェル相は白地で示している。図1中の(1)に
おいて1がシェル相で、2はコアー相である。(2)〜
(5)では特に符号を付していないが、(1)の場合と
同様である。コアー相とはシェル剤がほとんどドープし
ていないチタン酸バリウム結晶相であり、シェル相とは
第2成分以降のシェル剤の元素イオンがチタン酸バリウ
ム結晶中のTi4+イオンと一部置換ドープしたもので、
その結果、チタン酸バリウム結晶が歪んでいる相であ
る。
【0073】特に(2)に示すように、グレインの比較
的小さいものは、それらが焼結する温度ではグレインの
中心までシェル剤がドープしており、また、それに加え
て粒子成長も起こり、グレインの大きくなったものも存
在する。
【0074】図1中の(5)は、シェル剤の元素種、添
加量が本発明の範囲外であったり、過剰の焼成を行なっ
たため、固溶反応、粒子成長が起こり、ほとんどがコア
ーシェル焼結体とならなかった例の模式図である。
【0075】つぎに、原料のチタン酸バリウム粉末の粒
子径が小さく、粒度分布も狭いものであるが、結晶性が
悪く、疑似立方晶である場合、コアーシェル焼結体は、
図1中の(3)に示すような状態になる。つまり、焼結
時には、不完全なコアーが多く存在したグレイン(シェ
ル剤がほとんど拡散固溶したグレイン)となる。また、
この場合も、焼結時に固溶反応しやすく、粒子成長した
グレインも存在する。
【0076】図1中の(4)は、本発明の誘電体磁器の
模式図であるが、本発明では粒子径が小さくかつ粒度分
布の狭い、結晶性の良好な正方晶チタン酸バリウムを使
用し、かつ該チタン酸バリウムに適したシェル剤の元素
種および添加量を特定しているので、平均グレインサイ
ズが0.1μmから0.3μmと小さく、かつグレイン
分布が狭く、各グレイン単位で均一なコアーシェルを形
成している。したがって、本発明の誘電体磁器は従来に
ない優れた電気特性と機械的強度を有するようになる。
【0077】なお、図1中の(1)〜(5)の模式図
は、後述する実施例における試料名B2(G)1350、B
3(G)1250、A5(G)1250、B4(G)1250、と試
料番号31にそれぞれ対応する。そして、それらの磁器
の表面のSEM写真は図16、図17、図19、図18
および図20として添付している。
【0078】図16は上記(1)の磁器の表面のSEM
写真であるが、この(1)では粒子径が大きく粒度分布
が広いチタン酸バリウムを出発原料として用いているた
め、得られた磁器は、図16に示すようにグレインサイ
ズが大きく、かつグレイン分布も広い。
【0079】図17は上記図1の(2)の磁器の表面の
SEM写真であるが、この(2)では粒子径が比較的小
さいが粒度分布が広いチタン酸バリウムを出発原料とし
て用いているため、固溶反応と同時に粒子成長も起こ
り、得られた磁器は、図17に示すようにグレインサイ
ズの大きなものがあり、その結果、グレイン分布も広く
なっている。
【0080】図18は上記図1の(4)の磁器、つまり
本発明の誘電体磁器の表面のSEM写真である。この
(4)では粒子径が小さくかつ粒度分布の狭い、結晶性
の良好な正方晶チタン酸バリウムを出発原料として用
い、かつ該チタン酸バリウムに適したシェル剤とその添
加量を特定しているので、得られた磁器は、図18に示
すようにグレインサイズが小さく、かつグレイン分布も
狭い。
【0081】図19は上記図1の(3)の磁器の表面の
SEM写真であるが、この(2)では粒子径が小さく粒
度分布も狭いが結晶性の悪いチタン酸バリウムを出発原
料として用いているため、不完全なコアーが多くなり、
また固溶反応と同時に粒子成長も起こるので、得られた
磁器は、図19に示すようにグレインサイズの大きなも
のがあり、その結果、グレイン分布も広くなっている。
【0082】図20は上記図1の(5)の磁器の表面の
SEM写真であるが、この(5)では粒子径が比較的小
さく粒度分布も狭く結晶性の良いチタン酸バリウムを出
発原料として用いているが、シェル剤の添加量が適正で
なかったため、コアーシェル焼結体とならず、また固溶
反応と同時に粒子成長も起こっているので、得られた磁
器は、図20に示すようにグレインサイズの非常に大き
なものがあり、もちろん、グレイン分布も均一性を欠い
ている。
【0083】さらに、(1)〜(5)の磁器は、SEM
によるグレイン観察のほかにX線回折により、磁器表面
の(200)面と(002)面または(400)面と
(004)面のピークを詳細に分析することにより、あ
る程度判別できる。
【0084】すなわち、(1)、(2)、(3)、
(4)および(5)の磁器は、それぞれ(400)面と
(004)面のX線回折図である図8、図9、図14、
図10および図15に示す特徴を有している。
【0085】つまり、コアーシェル焼結体となった磁器
〔(1)、(2)および(4)の磁器〕は、図8、図9
および図10に示すように、もとの正方晶ピーク(格子
定数比c/aが1.009〜1.010)が立方晶方向
(c/aが縮む方向)に歪んだブロードなピークを示
す。
【0086】そして、粒子径の大きい正方晶チタン酸バ
リウム粉末を原料として使用したものほど、すなわちグ
レインの大きいコアーシェル焼結体ほど、もとの正方晶
の痕跡が残ったブロードピークを示し(図8参照)、逆
にグレインサイズの小さいコアーシェル焼結体ほど、も
との正方晶よりc/aが縮んだブロードピークを示す
(図9および図10、特に図10参照)。これらのグレ
インサイズに対するコアーシェル焼結体のX線回折図の
関係は、実施例10において具体的に例示する(図7〜
図13参照)。
【0087】図1中の(5)は、シェル剤が完全に固溶
した結晶ピーク〔Ba(Ti4+ 1-yNb
5+ 2/3y2+ 1/3y)O3 またはBa(Ti4+ 1-y Nb5+
1/2y3+ 1/2y)O3 と記することができる化合物のピー
ク、yの量によってピーク極大位置は若干移動する〕
と、コアーシェルとして残っているグレインに相当する
(1)または(4)のピークとの総和されたピークを示
す。ただし、前者が多くなればなるほどピークは前者の
ピークがシャープに反映される。図15は前者のシェル
剤が完全に固溶した結晶ピークが多い場合のものであ
る。
【0088】図1中の(3)は、(5)と同様にほとん
ど固溶した結晶ピークを示すが、比較的グレインが小さ
いため、図14に示すように、(3)のピークは(5)
のピーク(図15参照)に比べてブロードである。
【0089】そして、これら(1)〜(5)の磁器の誘
電率の温度特性は、そのグレインの大きさとグレイン分
布およびX線回折ピークと相関し、それぞれ図21〜図
25に示す誘電率の温度特性に相当する。
【0090】図21〜図25について説明すると、これ
らの図21〜図25は、本発明の誘電体が他の磁器に比
べて誘電率の温度変化が小さいということを明らかにす
るものである。
【0091】図21〜図25において、上段の図は温度
変化に伴う誘電率の変化率を示すものであり、下段の図
は温度変化に伴う誘電損失の変化率を伴うものである。
【0092】図21〜図25中、図24は本発明の場合
を示し、図21〜図23および図25は本発明外の場合
を示すが、図24の上段の図と他の図(図21〜図23
および図25)の上段の図との比較から明らかなよう
に、図24の場合は温度変化に伴う誘電率を示す曲線が
平坦である。
【0093】つまり、本発明の誘電体磁器の誘電率の温
度変化率が他の磁器に比べて小さいことが明らかにされ
ている。
【0094】ここで、図21〜図25の各図について詳
しく説明すると、次の通りである。
【0095】図21は後述の実施例10中で記載したB
2(G)1350(ただし、本発明外のもの)の誘電率およ
び誘電損失の温度変化率を示す図である。
【0096】この図21のB2(G)1350は出発原料と
して平均粒子径が大きく粒度分布が広いチタン酸バリウ
ムを使用しており、図1の(1)および図16に対応し
ている。
【0097】図22は後述の実施例10中で記載したB
3(G)1250(ただし、本発明外のもの)の誘電率およ
び誘電損失の温度変化率を示す図である。この図22の
B3(G)1250は出発原料として平均粒子径は比較的小
さいが、粒度分布の広いチタン酸バリウムを使用してお
り、図1の(2)および図17に対応している。
【0098】図23は後述する実施例9中で記載したA
1250(ただし、本発明外のもの)の誘電率および誘電
損失の温度変化率を示す図である。この図23のA5
1250は出発原料として平均粒子径が小さく粒度分布も狭
いが結晶性の悪いチタン酸バリウムを使用しており、図
1の(3)および図19に対応している。
【0099】図24は後述の実施例10で記載したB4
(G)1250、つまり本発明の誘電体磁器の誘電率および
誘電損失の温度変化率を示す図である。この図24のB
4(G)1250は出発原料として平均粒子径が小さくかつ
粒度分布の狭い、結晶性の良好な正方晶チタン酸バリウ
ムを使用し、かつ該チタン酸バリウムに適したシェル剤
の元素種および添加量を特定しているので、平均グレイ
ンサイズが0.1μmから0.3μmと小さく、かつグ
レイン分布が狭く、各グレイン単位で均一なコアーシェ
ルを形成しており、図1の(4)および図18に対応し
ている。
【0100】図25は後述する実施例1中の試料番号3
1(ただし、本発明外のもの)の磁器の誘電率および誘
電損失の温度変化率を示す図である。この図25の磁器
は出発原料として平均粒子径が比較的小さく粒度分布も
狭く結晶性の良いチタン酸バリウムを使用しているが、
シェル剤の添加量が適正でなかったため、コアーシェル
焼結体とならなかったもので、図1の(5)および図2
0に対応している。
【0101】また、これら図21〜図25から、本発明
の誘電体磁器の誘電損失の温度変化率も小さいことがわ
かる。
【0102】
【実施例】つぎに、実施例をあげて本発明をより具体的
に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限
定されるものではない。なお、実施例に先立ち、実施例
で用いるチタン酸バリウム微粉末の製造例を参考例1と
して示す。以下において、濃度を示す%は特に付記がな
いかぎり重量%である。
【0103】参考例1〔チタン酸バリウム微粉末の製造
例〕 水熱合成法で得た純度が99.9%、平均粒子径が0.
08μm、粒度分布が0.05μm未満14%、0.0
5μm以上0.1μm未満64%、0.1μm以上0.
15μm未満21%、0.15μm以上0.20μm以
下1%であり、Ba/Ti原子比が1.016であるチ
タン酸バリウムを仮成形し、1000℃にて2時間仮焼
した後、雷かい機にて解砕した。
【0104】つぎに、直径5mmのジルコニアボールを
用いて湿式ボールミル粉砕を行った。ボールを除去した
後、得られたスラリーを必要に応じて簡易攪拌しなが
ら、60℃に保温し、5%酢酸水溶液によりスラリーの
pH調整を行った。その後、濾過乾燥を行い、種々のB
a/Ti原子比を有するチタン酸バリウム微粉末を得
た。
【0105】得られたチタン酸バリウム微粉末のBa/
Ti原子比は、フィリップス社製の蛍光X線装置を用い
て測定した。
【0106】また、上記チタン酸バリウム微粉末はその
結晶性をリガク社製のX線回折装置を用いて粉末法で測
定したところ、いずれの実験で得られた試料において
も、格子定数比c/aが1.010を示し、正方晶結晶
が得られていることが確認された。得られたチタン酸バ
リウム微粉末の(400)面と(004)面のX線回折
図は図5に示すとおりである。
【0107】つまり、得られたチタン酸バリウム微粉末
は、図5に示すように、2θ:99.5°付近に(00
4)面の明確なピークと2θ:101°付近に(40
0)面の明確なピークを有し、その格子定数比c/aが
1.010であって、正方晶であることがわかる。
【0108】さらに、上記チタン酸バリウム微粉末につ
いてSEM観察個数計数より求めた一次粒子の平均粒子
径は0.13μmであった。
【0109】上記正方晶チタン酸バリウム微粉末の粒度
分布を下記に示す。平均粒子径±平均粒子径×0.5μ
mの範囲内に占める個数の割合を%表示で示すと78%
であった。
【0110】 粒度分布 0.05μm以下 3% 0.05〜0.10μm 22% 〜0.15μm 44% 〜0.20μm 19% 〜0.25μm 9% 〜0.30μm 2% 〜0.35μm 1% 0.35μm以上 0% 平均粒子径 0.13μm
【0111】つぎに、実施例1〜7によりシェル剤とし
ての添加成分の元素種および添加量範囲を明らかにす
る。
【0112】実施例1 誘電体磁器の製造 第1成分として正方晶チタン酸バリウム、第2成分とし
て五酸化ニオブ、および第3成分として酸化コバルトを
含む誘電体磁器を下記に示すようにして製造した。
【0113】すなわち、上記で得られた正方晶チタン酸
バリウム微粉末に、直径5mmのジルコニアボールを用
いた遊星ボールミルにて1時間処理しあらかじめ微粉砕
しておいた五酸化ニオブおよび酸化コバルトをチタン酸
バリウム100モル部に対しそれぞれNbO5/2 および
CoOとして表1〜表2中に示す焼結体成分比(ただし
モル比)になるように加え、直径5mmのジルコニアボ
ールを用い、純水を溶媒としてボールミル混合を10時
間行った後、全固形分に対して3%のポリビニルアルコ
ールをバインダーとして加え、スプレードライヤーにて
造粒した。
【0114】得られた顆粒を乾式粉末成形機にて200
0kg/cm2 の圧力で直径15mm、厚み1mmの円
板状に成形した。この成形物を電気炉にて200℃から
600℃の温度で脱脂した後、600℃から+10℃/
分の昇温速度で昇温し、1225℃または1250℃で
2時間保持し、焼成して誘電体磁器を作製した。
【0115】表1および表2に各サンプルの全配合にお
けるBa/Ti原子比、五酸化ニオブおよび酸化コバル
トの添加量を示す。また、表3および表4に焼成温度、
該焼成温度で焼成して得られた磁器のカサ密度、SEM
観察より求めた平均グレインサイズおよびグレイン分布
を示す。
【0116】表1〜表2中において、五酸化ニオブはN
bO5/2 で示し、酸化コバルトはCoOで示す。これら
は以後の表においても同様である。
【0117】なお、本実施例において、試料番号1〜2
0は本発明の範囲内のものであるが、試料番号21〜3
3は後記の特性測定結果から明らかなように目的とする
特性が得られず、本発明の範囲外のものである。
【0118】
【表1】
【0119】
【表2】
【0120】
【表3】
【0121】
【表4】
【0122】表中において、試料番号とは、発明者が各
実験の区別を行うために付した番号であり、全配合中の
Ba/Ti原子比とは、種々のBa/Ti原子比を有す
るチタン酸バリウム微粉末を得た際にフィリップス社製
の蛍光X線装置を用いて測定したチタン酸バリウム微粉
末のBa/Ti原子比である。
【0123】シェル剤の添加量とは、配合したチタン酸
バリウム微粉末100モル部に対する五酸化ニオブおよ
び酸化コバルトのNbO5/2 およびCoO換算でのモル
部、より正確には配合したチタン酸バリウム微粉末中の
Ti成分100原子部に対する添加した五酸化ニオブ、
酸化コバルトの構成金属種の原子成分比である。
【0124】焼成温度とは、成形物を電気炉にて焼成し
た磁器の2時間保持時の最高温度であり、カサ密度と
は、焼成して得られた磁器の重量をマイクロメータで計
測して求めた体積で割って算出した比重であり、平均グ
レインサイズとは、焼成して得られた磁器をSEM観察
より個数平均法によって求めた値であり、グレイン分布
とは、焼成して得られた磁器をSEM写真による計測に
よって求めた3000個のうち、その値が平均グレイン
サイズ±平均グレインサイズ×0.5の範囲内にあるグ
レインの個数の百分率である。
【0125】なお、表4中において、試料番号21、2
4、26、28、31のグレインサイズに関して数値を
記入していないのは、グレインサイズが0.3μm以上
のものが50%以上あって、本発明の範囲外の磁器であ
ることによる。
【0126】磁器の電気特性 上記のようにして得られた磁器の両面に銀ペーストを塗
布し、750℃で10分間焼き付けて電極を形成し、電
気特性測定用の試料として、下記に示す方法により、電
気特性を測定した。
【0127】各試料について、周波数1KHz、測定電
圧1vrmsで温度−60℃〜160℃の範囲中5℃ス
テップごとに横河ヒューレットパッカード社製のLCR
メーターにて容量Cと誘電損失tanδ(%)を測定し
た。また、+20℃における誘電率εを+20℃におけ
る容量Cから求めた。その結果を表5から表7に示す。
【0128】さらに、−25℃〜+85℃の範囲で+2
0℃における誘電率を基準にした時の誘電率の温度変化
率の最大値と最小値を求め、また、−55℃〜+125
℃の範囲で+25℃における誘電率を基準にした時の誘
電率の温度変化率の最大値と最小値を求めた。その結果
を表5から表7に誘電率の温度特性として示す。
【0129】
【表5】
【0130】
【表6】
【0131】
【表7】
【0132】なお、表7中において、試料番号21、2
4、26、28、31の−25〜+85℃に関して数値
を記入していないのは、それらが−55〜+125℃で
示したように、これらの組成では目的とする特性が得ら
れないので、表示する意味がないからである。
【0133】さらに、各試料の25℃と125℃におけ
る抵抗率、破壊電圧、バイアス特性、抗折強度を測定し
た。その結果を表8および表9に示す。
【0134】抵抗率は、25℃と125℃において、1
kV/mmの電圧を1分間印加した後、横河ヒューレッ
トパッカード社製の絶縁抵抗計にて測定した値から求め
たものである。
【0135】破壊電圧は、フェイズ社製の破壊電圧測定
機を用い、各試料を25℃のシリコンオイル中で1秒当
たり100V/mmの直流電圧を昇圧し、カット−オフ
電流を20mAに設定して測定した。
【0136】バイアス特性は、25℃において、各試料
に0V/mm〜2.5kV/mmの範囲で0.1kV/
mmステップで直流電圧を各々1分間印加したときの各
試料の誘電率を測定した。表8〜表9には、バイアス特
性として、0V/mmの時の誘電率ε0 と2kV/mm
印加時の誘電率ε2 とから、下記計算式により2kV/
mm印加による誘電率の減少率を求め、それを表示し
た。
【0137】バイアス特性(%)=〔(ε2 −ε0 )/
ε0 〕×100
【0138】各試料の抗折強度は、各焼結体の磁器表面
を砥粒2000♯で浜井産業社製のラッピングマシーン
にて全面研磨し、長さ16.5mm×幅(w)3.5m
m、厚み(t)1.5mmのサイズに調整した後、島津
製作所社製の強度試験機にてスパン(I)13.0mm
で最大荷重P〔kgf〕を測定し、抗折強度を下記計算
式により求め、同一試料20点の平均値で表示した。
【0139】抗折強度(kg/cm2 )=(3PI/2
wt2 )×100
【0140】
【表8】
【0141】
【表9】
【0142】なお、本実施例において、試料番号21〜
33は目的とする特性が得られず、本発明の範囲外のも
のである。表9中のバイアス特性の−50>は−50%
以下であったことを示す。
【0143】実施例2 第3成分として酸化亜鉛を用いたほかは、実施例1と同
様にして、誘電体磁器を作製し、特性を測定した。その
結果を実施例1と同様に示す。
【0144】なお、本実施例において、試料番号34〜
44は本発明の範囲内のものであるが、試料番号45〜
50は目的とする特性が得られず、本発明の範囲外のも
のである。
【0145】
【表10】
【0146】
【表11】
【0147】
【表12】
【0148】
【表13】
【0149】実施例3 第3成分として酸化マグネシウムを用いたほかは、実施
例1と同様にして、誘電体磁器を作製し、特性を測定し
た。その結果を実施例1と同様に示す。
【0150】なお、本実施例において、試料番号51〜
61は本発明の範囲内のものであるが、試料番号62〜
67は目的とする特性が得られず、本発明の範囲外のも
のである。
【0151】
【表14】
【0152】
【表15】
【0153】
【表16】
【0154】
【表17】
【0155】実施例4 第3成分として酸化ニッケルを用いたほかは、実施例1
と同様にして、誘電体磁器を作製し、特性を測定した。
その結果を実施例1と同様に示す。
【0156】なお、本実施例において、試料番号68〜
78は本発明の範囲内のものであるが、試料番号79〜
84は目的とする特性が得られず、本発明の範囲外のも
のである。
【0157】
【表18】
【0158】
【表19】
【0159】
【表20】
【0160】
【表21】
【0161】実施例5 第3成分として酸化マンガンを用いたほかは、実施例1
と同様にして、誘電体磁器を作製し、特性を測定した。
その結果を実施例1と同様に示す。
【0162】なお、本実施例において、試料番号85〜
95は本発明の範囲内のものであるが、試料番号96〜
101は目的とする特性が得られず、本発明の範囲外の
ものである。
【0163】
【表22】
【0164】
【表23】
【0165】
【表24】
【0166】
【表25】
【0167】実施例6 正方晶チタン酸バリウム微粉末に五酸化ニオブに加え、
さらに第3成分として、酸化コバルト、酸化マグネシウ
ム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化マンガンの中から2
種を選んで加え、それ以外は実施例1と同様にして、誘
電体磁器を作製し、特性を測定した。その結果を実施例
1と同様に示す。
【0168】第3成分はいずれも酸化物であるが、以下
の表においては、簡略化して、その金属種のみを括弧付
きで表示した。なお、本実施例6において、試料番号1
02〜133は本発明の範囲内のものであるが、試料番
号134〜153は本発明の範囲外である。
【0169】
【表26】
【0170】
【表27】
【0171】
【表28】
【0172】
【表29】
【0173】
【表30】
【0174】
【表31】
【0175】
【表32】
【0176】
【表33】
【0177】
【表34】
【0178】
【表35】
【0179】
【表36】
【0180】
【表37】
【0181】実施例7 正方晶チタン酸バリウム微粉末に五酸化ニオブに加え、
さらに第3成分として、酸化コバルト、酸化マグネシウ
ム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化マンガンの中から3
種を選んで加え、それ以外は実施例1と同様にして、誘
電体磁器を作製し、特性を測定した。その結果を実施例
1と同様に示す。
【0182】第3成分はいずれも酸化物であるが、以下
の表においては、簡略化して、その金属種のみを括弧付
きで表示した。なお、各試料番号とも、全配合中のBa
/Ti原子比は0.990であり、五酸化ニオブの添加
量はNbO5/2 換算で3.47モル部であるため、表示
を省略した。
【0183】
【表38】
【0184】
【表39】
【0185】
【表40】
【0186】
【表41】
【0187】実施例8 正方晶チタン酸バリウム微粉末に五酸化ニオブに加え、
さらに第3成分として、酸化コバルト、酸化マグネシウ
ム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化マンガンの中から4
種を選んで加え、それ以外は実施例1と同様にして、誘
電体磁器を作製し、特性を測定した。その結果を実施例
1と同様に示す。
【0188】第3成分はいずれも酸化物であるが、以下
の表においては、簡略化して、その金属種のみを括弧付
きで表示した。なお、各試料番号とも、全配合中のBa
/Ti原子比は0.990であり、五酸化ニオブの添加
量はNbO5/2 換算で3.47モル部であるため、表示
を省略した。
【0189】
【表42】
【0190】
【表43】
【0191】
【表44】
【0192】
【表45】
【0193】実施例9 この実施例9では、シェル剤の代表例としてニオブ−コ
バルトを選んで用いた場合の、チタン酸バリウム粉末の
結晶性が誘電体磁器の特性に与える影響について明らか
にする。
【0194】下記の方法により、A1〜A5までのチタ
ン酸バリウム微粉末を用意した。
【0195】A1; 水熱合成法で得た純度99.9
%、平均粒子径が0.06μm、粒度分布が0.05μ
m未満40%、0.05μm以上0.10μm未満54
%、0.10μm以上0.15μm未満5%、0.15
μm以上0.20μm未満1%であり、Ba/Ti原子
比が1.016であるチタン酸バリウム粉末を仮成形
し、850℃で2時間仮焼した後、雷かい機で5分間解
砕することによって得た。
【0196】A2; A1と同じ水熱合成法で得たチタ
ン酸バリウムを仮成形し、900℃で2時間仮焼した
後、雷かい機で解砕することによって得た。
【0197】A3; A1と同じ水熱合成法で得たチタ
ン酸バリウムを仮成形し、950℃で2時間仮焼した
後、雷かい機で解砕することによって得た。
【0198】A4; A1と同じ水熱合成法で得たチタ
ン酸バリウムを仮成形し、1000℃で2時間仮焼した
後、雷かい機で解砕することによって得た。
【0199】A5; 水熱合成法で得た純度99.9
%、平均粒子径0.06μm、粒度分布が0.05μm
未満40%、0.05μm以上0.10μm未満54
%、0.10μm以上0.15μm未満5%、0.15
μm以上0.20μm未満1%であり、Ba/Ti原子
比が0.983であるチタン酸バリウム粉末を仮成形
し、1100℃で2時間仮焼して得た。
【0200】得られたA1〜A5の粉末をそれぞれ直径
5mmのジルコニアボールを用いて15時間湿式ボール
ミル粉砕を行った。ボールを除去した後、A5はそのま
ま、A1〜A4については得られたスラリーを簡易攪拌
中60℃に保温し、5%酢酸水溶液にてpH調整を行っ
た後、それぞれ濾過、乾燥を行い、Ba/Ti原子比が
0.983であるチタン酸バリウム微粉末を得た。
【0201】得られたA1〜A5の(004)面と(4
00)面のX線回折図を図2〜図6に示す。A4の格子
定数比c/aの値は1.010であり、A3の格子定数
比c/aは1.009であり、A2の格子定数比c/a
は1.007であり、A1およびA5はピークの分岐が
明確でないため測定できなかった。
【0202】つまり、図2はA1のX線回折図である
が、この図2に示すように、A1はピークが一つだけ
で、明確なピークの分岐が認められない。また、図6は
A5のX線回折図であるが、図6に示すように、A5も
ピークが一つだけで、明確なピークの分岐が認められな
い。したがって、これらA1とA5の格子定数比c/a
は求めることができなかった。
【0203】図3はA2のX線回折図であり、図3に示
すように、A2は2θ:99.8°付近にピークが認め
られるので、格子定数比c/aを求めたところ、c/a
は1.007であった。しかし、この程度では、まだc
/aが小さく、本発明でいう正方晶(つまり、c/a=
1.009以上、望ましくは1.010以上)には至っ
ていない。
【0204】図4はA3のX線回折図であるが、このA
3では図4に示すように、2θ=99.5°付近のピー
クがやや大きくなり、ピークの分岐が明確化しだしてき
ている。そこで、このA3の格子定数比c/aを求めた
ところ、c/a=1.009であり、本発明でいう正方
晶の範囲にぎりぎりのところで入っている。
【0205】図5はA4のX線回折図であり、このA4
では図5に示すように2θ=99.5°付近に明確なピ
ークがあり、ピークの分岐が明確化している。このA4
の格子定数比c/aを求めたところ、c/aは1.01
0であり、完全に本発明でいう正方晶の範囲に入ってい
る。
【0206】表46にA1〜A5の粉末のSEM観察か
ら求めた平均粒子径と粒度分布を示した。なお、表46
中の各項目の説明は表46の後で行う。
【0207】なお、この実施例9では上記のように結晶
性の異なる各種のチタン酸バリウムを用いる関係で、こ
の実施例9に記載の試料中には本発明の範囲外のものも
含まれている。すなわち、上記のX線回折図に基づく結
晶性に関する説明や後記の各特性データから明らかなよ
うに、A3とA4は本発明の範囲内のものであるが、A
1、A2およびA5は本発明の範囲外のものである。
【0208】
【表46】
【0209】表46中において、「結晶性c/a」の項
における上段の○印は、該チタン酸バリウム微粉末が本
発明に用いる正方晶チタン酸バリウムとして充分な結晶
性を有するものであることを示すものであり、×印は該
チタン酸バリウム微粉末が正方晶としては充分でなく、
本発明の範囲外であることを示す。また、その×印の付
いたものの下段に数値が記入されていないのは、X線回
折図で明確なピークの認められなかったため、格子定数
比c/aを求めることができなかったからである。
【0210】また、「粒度分布」の項における数値は、
そのSEM観察から得られた粒子径のうち、平均粒子径
±平均粒子径×0.5μmの範囲内に占める個数の割合
を%表示で示したものである。
【0211】A1〜A5の詳細な粒度分布は次の表47
のとおりである。
【0212】
【表47】
【0213】上記のようにして得られたA1〜A5のチ
タン酸バリウム微粉末に、直径5mmのジルコニアボー
ルを用いた遊星ボールミルにて1時間処理してあらかじ
め微粉砕しておいた五酸化ニオブと酸化コバルトを、焼
結体成分比が上記チタン酸バリウム100モル部に対
し、それぞれNbO5/2 、CoOとして3.47モル
部、1.26モル部加え、直径5mmのジルコニアボー
ルを用いてそれぞれ湿式ボールミル混合を5時間行っ
た。
【0214】ついで、全固形分に対して、それぞれ3%
のポリビニルアルコールをバインダーとして加え、スプ
レードライヤーにて造粒した。その後、実施例1と同様
にそれぞれ磁器化し、カサ密度、グレインサイズ、誘電
率、誘電損失および誘電率の温度特性を調べた。その結
果を表48および表49に示す。
【0215】表48中の「試料」の項における上段の※
印は、本発明で用いるチタン酸バリウムとして適切でな
いことを示している。結晶性の悪いチタン酸バリウムを
用いたものは、焼結温度に達する前に固溶反応が起こ
り、焼結時にはコア−シェル構造をとっていないのがわ
かる。
【0216】また、A3、A4、特にA4は、微粒の原
料を使用しているにもかかわらず、チタン酸バリウム粒
子がほとんど成長しない状態で焼結しており、焼結時に
は従来にない微粒のコア−シェル焼結体になっているこ
とがわかる。
【0217】
【表48】
【0218】
【表49】
【0219】実施例10 この実施例10では、正方晶チタン酸バリウム微粉末の
一次粒子径および粒度分布が誘電体磁器のグレインサイ
ズおよび特性に与える影響について、シェル剤としてニ
オブ−コバルトを用いた場合を例にあげて明らかにす
る。
【0220】下記に示す各種方法により、B1〜B7ま
での正方晶チタン酸バリウム微粉末を作製した。表50
に各チタン酸バリウム粉末の特性を示す。
【0221】B1; 水熱合成法で得た純度99.99
%、平均粒子径0.05μm、粒度分布が平均粒子径±
平均粒子径×0.5μmの範囲内に83%あり、Ba/
Ti原子比が1.002であるチタン酸バリウム粉末を
1050℃で2時間仮焼することによって得た。
【0222】B2; B1と同じ水熱合成法で得たチタ
ン酸バリウム粉末を1150℃で2時間仮焼することに
よって得た。
【0223】B3; B2で仮焼して得たチタン酸バリ
ウム粉末を、直径5mmのジルコニアボールを用いた遊
星ボールミルで比表面積計から求めた平均粒子径(島津
製作所社製の比表面積計より比表面積を測定し、その比
表面積から粒子形状が球であると仮定して算出した値)
が0.12μmになるまで微粉砕を行うことによって得
た。
【0224】B4; 参考例1と同様にして正方晶チタ
ン酸バリウム粉末を得た。ただし、酢酸処理によりBa
/Ti原子比は1.002に調整した。
【0225】B5; 水熱合成法で得た純度99.99
%、平均粒子径0.13μm、粒度分布が平均粒子径±
平均粒子径×0.5μmの範囲内に80%あり、Ba/
Ti原子比が1.023であるチタン酸バリウム粉末を
1050℃で2時間仮焼することによって得た。
【0226】B6; B4で得たBa/Ti原子比1.
002の正方晶チタン酸バリウムを1050℃で2時間
再仮焼することによって得た。
【0227】B7; 水熱合成法で得た純度99.9
%、平均粒子径0.15μm、粒度分布が平均粒子径±
平均粒子径×0.5μmの範囲内に80%あり、Ba/
Ti原子比が1.028であるチタン酸バリウム粉末を
1100℃で2時間仮焼することによって得た。
【0228】
【表50】
【0229】表50において、「結晶性c/a」の項に
おける上段の○印は該チタン酸バリウム粉末が正方晶で
あることを示すものであり、B3はB2を機械的微粉砕
によって得たものであり、そのためX線回折ピークがブ
ロード化した。したがって、c/aは測定していない。
【0230】また、「粒度分布」の項における数値は、
そのSEM観察から得られた粒子径のうち、平均粒子径
±平均粒子径×0.5μmの範囲内に占める個数の割合
を%表示で示したものである。
【0231】上記のようにして得られたB1〜B7のチ
タン酸バリウム粉末を、直径5mmのジルコニアボール
を用いたボールミルで15時間湿式粉砕した後、このチ
タン酸バリウム粉末に、あらかじめ微粉砕しておいた五
酸化ニオブと酸化コバルトを、焼結体成分比がチタン酸
バリウム100モル部に対し、それぞれNbO5/2 、C
oOとして3.47モル部、1.26モル部加え、さら
にBa/Ti原子比が1.002以上のサンプルに対し
ては、、全配合中のBa/Ti原子比が1.002とな
るように酸化チタンを秤量添加(B5に対して2.10
モル部、B7に対して2.59モル部)し、さらにそれ
らを5時間湿式粉砕混合した。
【0232】その後、バインダーとしてポリビニルアル
コールを3%添加した後、スプレードライヤーにて造粒
した。以下、実施例1と同様に磁器化し、得られた誘電
体磁器の特性を実施例1と同様に測定した。その結果を
表51、表52、表53、表54、表55および表56
に示す。
【0233】なお、表50中の正方晶チタン酸バリウム
粉末の平均粒子径と粒度分布の値は、五酸化ニオブ、酸
化コバルト添加前の15時間粉砕後のものである。ま
た、表51および表53の「試料」の項における上段の
※印は、それらのチタン酸バリウムが本発明で用いるチ
タン酸バリウムとして適切でないことを示している。
【0234】
【表51】
【0235】
【表52】
【0236】
【表53】
【0237】
【表54】
【0238】
【表55】
【0239】
【表56】
【0240】つぎに、本発明の内容をより明確にするた
め、B1〜B7において、磁器として焼成する前の正方
晶チタン酸バリウム微粉末の粒度分布と、その微粉末を
用いて作製した焼結体のグレイン分布とを、表57およ
び表58に並べて示す。
【0241】表57は、B1からB3の正方晶チタン酸
バリウム微粉末の粒度分布と、その微粉末を用いて作製
した焼結体のグレイン分布とを、並べて示すもので、分
布を0.10μm間隔で示している。
【0242】表58は、B4からB7の正方晶チタン酸
バリウム微粉末の粒度分布と、その微粉末を用いて作製
した焼結体のグレイン分布とを、並べて示すもので、分
布を0.05μm間隔で示している。
【0243】表57および表58中の数字は、全個数に
対するその粒子径範囲内の個数の百分率を示している。
表57および表58中の(P)はチタン酸バリウム微粉
末の粒度分布を示し、(G)は磁器のグレイン分布を示
し、また表57中の(G)の下に添字で示す数字および
表58中のGの右横下に添字で示す数字は磁器化時の焼
成温度を示している。
【0244】
【表57】
【0245】
【表58】
【0246】また、B1〜B7で作製した磁器の表面の
(004)面と(400)面のX線回折図を図7〜図1
3に示す。
【0247】つまり、図7〜図13は、同じコアーシェ
ル焼結体であるが、出発原料のチタン酸バリウムの平均
一次粒子径、粒度分布、コアーシェル焼結体の平均グレ
インサイズ、グレイン分布が異なった場合、X線回折図
がどのように変るかを示している。
【0248】図7はB1を出発原料として用いた平均グ
レインサイズ0.51μmの磁器〔B1(G)1300〕の
表面のX線回折図である。
【0249】図8はB2を出発原料として用いた平均グ
レインサイズ0.83μmの磁器〔B2(G)1350〕の
表面のX線回折図であり、図1の(1)および図16に
対応している。
【0250】図9はB3を出発原料として用いた平均グ
レインサイズ0.30μmの粒度分布の広い磁器〔B3
(G)1250〕の表面のX線回折図であり、図1の(2)
および図17に対応している。
【0251】図10はB4を出発原料として用いた平均
グレインサイズ0.15μmの磁器〔B4(G)1250
の表面のX線回折図であり、図1の(4)および図18
に対応しており、本発明の範囲内のものである。
【0252】図11はB5を出発原料として用いた平均
グレインサイズ0.2μmの磁器〔B5(G)1250〕の
表面のX線回折図であり、本発明の範囲内のものであ
る。
【0253】図12はB6を出発原料として用いた平均
グレインサイズ0.26μmの磁器〔B6(G)1300
の表面のX線回折図であり、本発明の範囲内のものであ
る。
【0254】図13はB7を出発原料として用いた平均
グレインサイズ0.30μmの磁器〔B7(G)1300
の表面のX線回折図であり、本発明の範囲内のものであ
る。
【0255】これらの図7〜図13からわかるように、
出発原料のチタン酸バリウムの粒子径が大きく、磁器の
グレインサイズの大きいものほど、正方晶の痕跡が強く
残っている。
【0256】上記の特性値からも明らかであるように、
この実施例10では一次粒子径の異なる種々のチタン酸
バリウムを用いる関係で、この実施例10に記載の試料
中には本発明の範囲外のものも含まれている。すなわ
ち、B4〜B7は本発明に関するものであるが、B1〜
B3は本発明の範囲外のものである。
【0257】ここで、図14および図15についても説
明しておくと、図14は粒子径が小さく粒度分布も狭い
が結晶性が悪いチタン酸バリウムを出発原料として用い
て作製した磁器の表面の(004)面と(400)面の
X線回折図であり、図1の(3)および図19に対応し
ている。
【0258】この図14の磁器のチタン酸バリウムは実
施例9中で記載した試料名A5(ただし、本発明外のも
の)に対応していて、磁器の平均グレインサイズは0.
26μmであるが、図19でも示したようにグレインサ
イズの大きいものがあり、またグレイン分布も広く、図
12に示す本発明の範囲内の磁器(図14の場合と同様
に磁器の平均グレインサイズは0.26μmである)と
はピークの状態が異なっている。
【0259】図15は、粒子径が比較的小さく粒度分布
も狭く結晶性の良いチタン酸バリウムを出発原料として
用いているが、シェル剤の添加量が適正でなかったた
め、ほとんどコアーシェル構造とならなかった磁器の表
面の(004)面と(400)面のX線回折図であり、
図1の(5)および図20に対応している。
【0260】この図15の磁器は実施例1中の試料番号
31(ただし本発明の範囲外)と対応しているが、図2
0でも示したように、グレインサイズの非常に大きなも
のがあり、またグレイン分布も広く、そのX線回折図も
図9〜図13に示す本発明の範囲内の磁器のそれとは異
なっている。
【0261】また、図16、図17、図18、図19お
よび図20は、それぞれ、B2(G)1350、B3(G)
1250、B4(G)1250、A41250および実施例1中の試
料番号31(ただし、本発明の範囲外)の磁器の表面の
SEM(走査型電子顕微鏡)写真であり、図21、図2
2、図23、図24および図25は、それぞれ、B2
(G)1350、B3(G)1250、A51250、B4(G)
1250および実施例1の試料番号31(ただし、本発明の
範囲外)の磁器の誘電率および誘電損失の温度変化率を
示す図であるが、これらの詳細については既に作用のと
ころで説明したとおりである。
【0262】そして、図26はB1(G)1300、B2
(G)1350、B4(G)1250、B7(G)1300の磁器の
誘電率の電圧依存性を示す図である。ただし、図26で
は、それらを簡略化してB1、B2、B4、B7で図示
している。
【0263】図26に示すように、本発明の誘電体磁器
であるB4(G)1250(ただし、B4で図示)およびB
7(G)1300(ただし、B7で図示)は、本発明外のB
1(G)1300(ただし、B1で図示)やB2(G)1350
(ただし、B2で図示)に比べて、電圧が高くなった場
合でも誘電率の低下が少なく、誘電率の電圧依存性が小
さい。
【0264】これはグレインサイズに起因するものと考
えられる。すなわち、B1(G)1300、B2
(G)1350、B4(G)1250、B7(G)1300はいずれ
もコアーシェル焼結体であるが、本発明のB4(G)
1250は平均グレインサイズが0.15μm、B7(G)
1300は平均グレインサイズが0.30μmで、本発明外
のB1(G)1300は平均グレインサイズが0.51μ
m、B2(G)1350は平均グレインサイズが0.83μ
mである。誘電率の電圧依存性はグレインの大きさによ
って差を生じ、グレインの小さいものほど誘電率の電圧
依存性が小さく、良好な特性を有する。
【0265】実施例11 この実施例11では、チタン酸バリウムのBa/Ti原
子比が誘電体磁器の特性に与える影響について明らかに
する。
【0266】実施例1で用いた正方晶チタン酸バリウム
微粉末と同一の平均粒子径および粒度分布を有するが、
Ba/Ti原子比が種々に異なる正方晶チタン酸バリウ
ムを、前記参考例1とほぼ同様の方法により作製した。
【0267】得られた正方晶チタン酸バリウム微粉末
に、あらかじめ微粉砕しておいた表59中に示す成分比
になる量の五酸化ニオブ、酸化コバルト、酸化マグネシ
ウム、酸化亜鉛、酸化ニッケル、酸化マンガン、炭酸バ
リウムなどを加え、直径5mmのジルコニアボールを用
いて湿式ボールミル混合を10時間行い、以後実施例1
と同様に処理を行って、種々のBa/Ti原子比を有す
る誘電体磁器を作製した。
【0268】得られた誘電体磁器について実施例1と同
様に特性を測定した。その結果を表60、表61および
表62に示す。シェル剤はいずれも金属酸化物である
が、表59にはその金属種で示す。
【0269】
【表59】
【0270】
【表60】
【0271】
【表61】
【0272】
【表62】
【0273】比較例1 この比較例1では、前記実施例11との比較のため、実
施例10で作製した平均粒径0.40μmの正方晶チタ
ン酸バリウムB1と平均粒径0.78μmの正方晶チタ
ン酸バリウムB2とを用いて実施例11と同様に種々の
Ba/Ti原子比を有する誘電体磁器を作製した。用い
た正方晶チタン酸バリウム微粉末の特性を表63に、磁
器作製の際に添加したシェル剤とその添加量を表64に
示す。また、得られた誘電体磁器の特性を表65、表6
6、表67および表68に示す。特性の測定方法は実施
例1の場合と同様である。
【0274】表63に示すように、試料番号189、1
90、195、199〜202、206、207は実施
例10で作製したB1のチタン酸バリウムを用いたもの
であり、試料番号191〜194、196〜198、2
03〜205、208はB2のチタン酸バリウムを用い
たものである。
【0275】実施例11では、用いた正方晶チタン酸バ
リウムの粒子径が小さく、粒度分布が狭いため、全配合
中のBa/Ti原子比が1.044はもちろんのこと、
1.062であっても1250℃での焼成で焼結でき、
本発明の目的とする電気特性、抗折強度を充分満足する
誘電体磁器が得られる。
【0276】しかし、この比較例1では、従来の平均粒
子径の大きい正方晶チタン酸バリウムを使用しているた
め、全配合中のBa/Ti原子比が1.044以下でも
焼結が困難である。
【0277】すなわち、平均粒子径が0.4μmの正方
晶チタン酸バリウムB1を使用したものは、全配合中の
Ba/Ti原子比が1.008で1350℃での焼成、
1.033で1400℃での焼成が必要となる。もちろ
ん、諸特性はグレインサイズが大きいため、本発明の目
的とする特性を満足しない。
【0278】また、平均粒子径0.78μmの正方晶チ
タン酸バリウムB2を使用したものは全配合中のBa/
Ti原子比が1.044の場合、1400℃での焼成で
あっても焼結せず、1.033の場合でも1400℃で
の焼成にもかかわらず焼結が不充分であることがわか
る。
【0279】なお、焼成は1200〜1400℃で行
い、最大となるカサ密度のものを採用した。
【0280】
【表63】
【0281】
【表64】
【0282】
【表65】
【0283】
【表66】
【0284】
【表67】
【0285】
【表68】
【0286】実施例12 この実施例12では、焼成時の昇温速度や焼成温度が誘
電体磁器の特性に与える影響を明らかにする。なお、こ
の実施例12では各種の条件を設定している関係で、こ
の実施例12の試料中には本発明の範囲外のものも含ま
れている。すなわち、試料番号215〜217は本発明
外である。
【0287】実施例1と同様の処理を行い、五酸化ニオ
ブと酸化コバルトを、焼結体成分比がチタン酸バリウム
100モル部に対して、それぞれNbO5/2 、CoOと
して3.47モル部、1.26モル部加えて作製した成
形体を、白金板上に10枚重ねて置き、幅射熱が上記試
料に直接当たらないように白金るつぼでフタをした状態
で電気炉にて800℃まで+1℃/分の昇温速度で昇温
して脱脂した後、1000℃から1300℃の温度で2
時間焼成を行った。得られた磁器の特性を表69、表7
0、表71に示す。特性の測定方法は実施例1の場合と
同じである。
【0288】試料番号209〜212と215、216
はBa/Ti原子比が0.975の同一の成形体であ
り、試料番号213、214、217はBa/Ti原子
比が0.963の同一の成形体である。そして、試料番
号209、210、215は800℃から所定温度まで
の昇温速度が+10℃/分の条件で焼成したものであ
り、試料番号211、212、216は800℃から所
定温度までの昇温速度が+100℃/分の条件で焼成し
たものである。また、試料番号213、214、217
は+300℃/分の条件で焼成したものである。降温条
件はすべて−5℃/分である。
【0289】急速に昇温することにより、最適焼成温度
が100〜200℃低温になることがわかる。
【0290】
【表69】
【0291】
【表70】
【0292】
【表71】
【0293】
【発明の効果】本発明の誘電体磁器は、グレインサイズ
が小さく、かつグレイン分布が狭く、グレイン単位で均
一なコアーシェル焼結体を形成しているので、誘電率の
温度変化が小さく、誘電損失が小さく、しかも誘電率の
電圧依存性が小さい。また、誘電損失の電圧依存性も小
さい。
【0294】また、本発明の誘電体磁器は、絶縁抵抗が
ほとんど1013Ωcm以上であり、125℃においても
1013Ωcmを超えるものもある。CR積(誘電率と抵
抗との積)で表現すれば、室温で2000ΩF以上であ
り、特性の良いものでは10000ΩFを超えている。
125℃においても、ほとんどが1000ΩFを超え、
2000ΩFを超えるものもある。また、破壊電圧や抗
折強度が大きく、耐電圧強度や素体強度も優れている。
【0295】さらに、本発明の誘電体磁器は、上記のよ
うな優れた特性を有していることと、グレインサイズが
小さいことと、Ba/Ti原子比がBa過剰の組成であ
っても1300℃以下の低温で焼結可能であることか
ら、より薄膜の積層セラミックコンデンサーを作製する
のに適した材料であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】各種コアーシェル焼結体の模式図である。
【図2】実施例9における試料A1のチタン酸バリウム
微粉末の(004)面と(400)面のX線回折図であ
る。なお、以下に示すすべてのX線回折図は、CuKα
2 線をカットし、スムージング処理を行なっている。
【図3】実施例9における試料A2のチタン酸バリウム
微粉末の(004)面と(400)面のX線回折図であ
る。
【図4】実施例9における試料A3のチタン酸バリウム
微粉末の(004)面と(400)面のX線回折図であ
る。
【図5】実施例9における試料A4のチタン酸バリウム
微粉末の(004)面と(400)面のX線回折図であ
る。
【図6】実施例9における試料A5のチタン酸バリウム
微粉末の(004)面と(400)面のX線回折図であ
る。
【図7】実施例10におけるB1(G)1300(試料B1
を原料として1300℃の焼成温度で焼結させた磁器)
の表面の(004)面と(400)面のX線回折図であ
る。
【図8】実施例10におけるB2(G)1350(試料B2
を出発原料として1350℃の焼成温度で焼結させた磁
器)の表面の(004)面と(400)面のX線回折図
である。
【図9】実施例10におけるB3(G)1250(試料B3
を出発原料として1250℃の焼成温度で焼結させた磁
器)の表面の(004)面と(400)面のX線回折図
である。
【図10】実施例10におけるB4(G)1250(試料B
4を出発原料として1250℃の焼成温度で焼結させた
磁器)の表面の(004)面と(400)面のX線回折
図である。
【図11】実施例10におけるB5(G)1250(試料B
5を出発原料として1250℃の焼成温度で焼結させた
磁器)の表面の(004)面と(400)面のX線回折
図である。
【図12】実施例10におけるB6(G)1300(試料B
6を出発原料として1300℃の焼成温度で焼結させた
磁器)の表面の(004)面と(400)面のX線回折
図である。
【図13】実施例10におけるB7(G)1300(試料B
7を出発原料として1300℃の焼成温度で焼結させた
磁器)の表面の(004)面と(400)面のX線回折
図である。
【図14】実施例9における試料A5を出発原料として
1250℃の焼成温度で焼結させた磁器の磁器表面の
(004)面と(400)面のX線回折図である。
【図15】実施例1における試料番号31の磁器(シェ
ル剤の添加量範囲が本発明の範囲外の磁器)の表面の
(004)面と(400)面のX線回折図である。
【図16】実施例10におけるB2(G)1350(試料B
2を出発原料として1350℃の焼成温度で焼結させた
磁器)の表面の粒子構造を示すSEM(走査型電子顕微
鏡)写真である。
【図17】実施例10におけるB3(G)1250(試料B
3を出発原料として1250℃の焼成温度で焼結させた
磁器)の表面の粒子構造を示すSEM写真である。
【図18】実施例10におけるB4(G)1250(試料B
4を出発原料として1250℃の焼成温度で焼結させた
磁器)の表面の粒子構造を示すSEM写真である。
【図19】実施例9におけるA51250(試料A5を出発
原料として1250℃の焼成温度で焼結させた磁器)の
表面の粒子構造を示すSEM写真である。
【図20】実施例1の試料番号31(シェル剤の添加量
範囲が本発明の範囲外)の磁器の表面の粒子構造を示す
SEM写真である。
【図21】実施例10におけるB2(G)1350の誘電率
および誘電損失の温度変化率を示す図である。
【図22】実施例10におけるB3(G)1250の誘電率
および誘電損失の温度変化率を示す図である。
【図23】実施例9におけるA51250の誘電率および誘
電損失の温度変化率を示す図である。
【図24】実施例10におけるB4(G)1250の誘電率
および誘電損失の温度変化率を示す図である。
【図25】実施例1における試料番号31の磁器(シェ
ル剤の添加量範囲が本発明の範囲外の磁器)の誘電率お
よび誘電損失の温度変化率を示す図である。
【図26】実施例10におけるB1(G)1300、B2
(G)1350、B4(G)1250およびB7(G)1300の各
磁器の誘電率の電圧依存性を示す図である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年1月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正内容】
【0008】 すなわち、JIS規格のY級A特性(−
25℃+85℃の範囲での誘電率の変化が20℃を基
準にして±5%以内)やEIAJに規定されるY5E、
Y5D、Y5C、Y5B、Y5A特性(−30℃〜
5℃の範囲での誘電率の変化が25℃を基準にして、そ
れぞれ±4.7%以内、±3.3%以内、±2.2%以
内、±1.5以内、±1.0%以内)を満足していな
いし、もとより、さらに厳しいEIAJのX7P、X7
F、X7E、X7D、X7C特性(−55℃〜+125
℃の範囲での誘電率の変化が25℃を基準にして、それ
ぞれ±10%以内、±7.5%以内、±4.7%以内、
±3.3%以内、±2.2%以内)を満足していない。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正内容】
【0019】 本発明に係わる構成成分の成分比範囲は
以下に示す通りである。成分比を示す1)はJIS規格
のY級A特性かつEIAJのX7P特性以上を満足させ
るためのものであり、2)はY級A特性かつEIAJの
X7F特性以上を満足させるためのものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】 また、該磁器の誘電率の温度依存性にお
いて、母体となるチタン酸バリウム(BaTiO)結
晶中のTi4+イオンとNb5+イオンおよび第3成分
(MO)のMイオンとが置換し、完全に固溶した結晶グ
レイン〔化学式でBa(Ti4+ 1−yNb5+
2/3y2+ 1/3y)OまたはBa(Ti4+
1−yNb5+ 1/2y3+ 1/2y)Oと記する
ことができる。Mイオンのとりうる価数によって多少異
なる〕を各グレイン単位で部分的に形成したと推定され
る誘電率のキュリー点ピーク(本来のBaTiOのキ
ュリー点よりも低温側にシフトしたピーク)が現れるよ
うになり、誘電率の温度変化が大きくなる。したがっ
て、本発明で目的とする特性、すなわち、Y級A特性
X7P特性以上の優れた誘電率の温度変化の平坦性を
有しない。また、誘電損失も1%を超える場合がある。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】 また、Xが2.0を超える値であって
も、2Y+0.3<Xを満足しない場合、X+Yが2.
8以下の場合、さらにYが0.3以下の場合は、本発明
で目的とする特性、すなわちY級A特性かつX7P特性
以上の優れた誘電率の温度変化の平坦性を有しない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0026
【補正方法】変更
【補正内容】
【0026】 Xが8.8以上の場合や、Xが8.8未
満であっても、X+Yが11以上の場合は、本発明で目
的とする誘電率の温度特性を示し得るものの、それ以上
含有しても、誘電率の温度特性の平坦化の効果がなく、
誘電率の減少を来すだけで無駄である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0034
【補正方法】変更
【補正内容】
【0034】 本発明の誘電体磁器の製造に使用す
る正方晶チタン酸バリウム微末について
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0091
【補正方法】変更
【補正内容】
【0091】 図21〜図25において、上段の図は温
度変化に伴う誘電率の変化率を示すものであり、下段の
図は温度変化に伴う誘電損失の変化率を示すものであ
る。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0103
【補正方法】変更
【補正内容】
【0103】 参考例1〔チタン酸バリウム微粉末の製
造例〕 水熱合成法で得た純度が99.9%、平均粒子径が0.
08μm、粒度分布が0.05μm未満14%、0.0
5μm以上0.1μm未満64%、0.1μm以上0.
15μm未満21%、0.15μm以上0.20μm以
下1%であり、Ba/Ti原子比が1.016であるチ
タン酸バリウムを仮成形し、1000℃にて2時間仮焼
した後、擂潰機にて解砕した。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0124
【補正方法】変更
【補正内容】
【0124】 焼成温度とは、成形物を電気炉にて焼成
した磁器の2時間保持時の最高温度であり、カサ密度と
は、焼成して得られた磁器の重量をマイクロメータで計
測して求めた体積で割って算出した比重であり、平均グ
レインサイズとは、焼成して得られた磁器をSEM観察
より個数平均法によって求めた値であり、グレイン分布
とは、焼成して得られた磁器をSEM写真による計測に
よって求めた3000個のうち、その値が平均グレイン
サイズ±平均グレインサイズ×0.5μmの範囲内にあ
るグレインの個数の百分率である。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0154
【補正方法】変更
【補正内容】
【0154】
【表17】
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0165
【補正方法】変更
【補正内容】
【0165】
【表24】
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0195
【補正方法】変更
【補正内容】
【0195】 A1; 水熱合成法で得た純度99.9
%、平均粒子径が0.06μm、粒度分布が0.05μ
m未満40%、0.05μm以上0.10μm未満54
%、0.10μm以上0.15μm未満5%、0.15
μm以上0.20μm未満1%であり、Ba/Ti原子
比が1.016であるチタン酸バリウム粉末を仮成形
し、850℃で2時間仮焼した後、擂潰機で5分間解砕
することによって得た。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0196
【補正方法】変更
【補正内容】
【0196】 A2; A1と同じ水熱合成法で得たチ
タン酸バリウムを仮成形し、900℃で2時間仮焼した
後、擂潰機で解砕することによって得た。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0197
【補正方法】変更
【補正内容】
【0197】 A3; A1と同じ水熱合成法で得たチ
タン酸バリウムを仮成形し、950℃で2時間仮焼した
後、擂潰機で解砕することによって得た。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0198
【補正方法】変更
【補正内容】
【0198】 A4; A1と同じ水熱合成法で得たチ
タン酸バリウムを仮成形し、1000℃で2時間仮焼し
た後、擂潰機で解砕することによって得た。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0217
【補正方法】変更
【補正内容】
【0217】
【表48】
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0228
【補正方法】変更
【補正内容】
【0228】
【表50】
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0234
【補正方法】変更
【補正内容】
【0234】
【表51】
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0244
【補正方法】変更
【補正内容】
【0244】
【表57】
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0261
【補正方法】変更
【補正内容】
【0261】 また、図16、図17、図18、図19
および図20は、それぞれ、B2(G)1350、B3
(G)1250、B4(G)1250A51250
よび実施例1中の試料番号31(ただし、本発明の範囲
外)の磁器の表面のSEM(走査型電子顕微鏡)写真で
あり、図21、図22、図23、図24および図25
は、それぞれ、B2(G)1350、B3(G)
1250、A51250、B4(G)1250および実
施例1の試料番号31(ただし、本発明の範囲外)の磁
器の誘電率および誘電損失の温度変化率を示す図である
が、これらの詳細については既に作用のところで説明し
たとおりである。
【手続補正21】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図21
【補正方法】変更
【補正内容】
【図21】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保田 弘貴 大阪市大正区船町1丁目3番47号 テイカ 株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1成分としてチタン酸バリウム、第2
    成分として五酸化ニオブならびに第3成分として酸化コ
    バルト、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ニッケルお
    よび酸化マンガンよりなる群から選ばれる少なくとも1
    種以上の酸化物を含む混合物を焼成して得られる誘電体
    磁器であって、チタン酸バリウム100モル部に対し、
    五酸化ニオブをNbO5/2 換算でXモル部、上記第3成
    分の酸化物をMO(MはCo、Zn、Mg、Niまたは
    Mn)換算でYモル部とするときの成分比が下記に示す
    範囲内にあり、かつ平均グレインサイズが0.1μmか
    ら0.3μmであり、グレイン分布が平均グレインサイ
    ズ±平均グレインサイズ×0.5μmの範囲内に70%
    以上含まれていることを特徴とする誘電体磁器。 2.0<X<8.8 0.3<Y<3.6 2Y+0.3<X 2.8<X+Y<11
  2. 【請求項2】 第1成分としてチタン酸バリウム、第2
    成分として五酸化ニオブならびに第3成分として酸化コ
    バルト、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ニッケルお
    よび酸化マンガンよりなる群から選ばれる少なくとも1
    種以上の酸化物を含む混合物を焼成して得られる誘電体
    磁器であって、チタン酸バリウム100モル部に対し、
    五酸化ニオブをNbO5/2 換算でXモル部、上記第3成
    分の酸化物をMO(MはCo、Zn、Mg、Niまたは
    Mn)換算でYモル部とするときの成分比が下記に示す
    範囲内にあり、かつ平均グレインサイズが0.1μmか
    ら0.3μmであり、グレイン分布が平均グレインサイ
    ズ±平均グレインサイズ×0.5μmの範囲内に70%
    以上含まれていることを特徴とする誘電体磁器。 2.5<X<8.8 0.7<Y<3.6 2Y+0.3<X 3.5<X+Y<11
  3. 【請求項3】 平均グレインサイズが0.1μmから
    0.2μmであり、グレイン分布が平均グレインサイズ
    ±平均グレインサイズ×0.5μmの範囲内に70%以
    上含まれていることを特徴とする請求項1または2記載
    の誘電体磁器。
  4. 【請求項4】 Ba/Ti原子比が1.000以上1.
    100以下の範囲内にあることを特徴とする請求項3記
    載の誘電体磁器。
  5. 【請求項5】 一次粒子平均粒子径が0.1μmから
    0.3μmで、一次粒子粒度分布が一次粒子平均粒子径
    ±一次粒子平均粒子径×0.5μmの範囲内に70%以
    上含まれている正方晶チタン酸バリウム微粉末100モ
    ル部に対し、第2成分として五酸化ニオブおよび/また
    は五酸化ニオブの前駆体をNbO5/2 換算でXモル部な
    らびに第3成分として酸化コバルト、酸化亜鉛、酸化マ
    グネシウム、酸化ニッケルおよび酸化マンガンよりなる
    群から選ばれる少なくとも1種の酸化物および/または
    上記第3成分の酸化物の前駆体をMO(MはCo、Z
    n、Mg、NiまたはMn)換算でYモル部とするとき
    の成分比が下記に示す範囲内になる量を添加し、焼成す
    ることを特徴とする請求項1記載の誘電体磁器の製造方
    法。 2.0<X<8.8 0.3<Y<3.6 2Y+0.3<X 2.8<X+Y<11
  6. 【請求項6】 一次粒子平均粒子径が0.1μmから
    0.3μmで、一次粒子粒度分布が一次粒子平均粒子径
    ±一次粒子平均粒子径×0.5μmの範囲内に70%以
    上含まれている正方晶チタン酸バリウム微粉末100モ
    ル部に対し、第2成分として五酸化ニオブおよび/また
    は五酸化ニオブの前駆体をNbO5/2 換算でXモル部な
    らびに第3成分として酸化コバルト、酸化亜鉛、酸化マ
    グネシウム、酸化ニッケルおよび酸化マンガンよりなる
    群から選ばれる少なくとも1種の酸化物および/または
    上記第3成分の酸化物の前駆体をMO(MはCo、Z
    n、Mg、NiまたはMn)換算でYモル部とするとき
    の成分比が下記に示す範囲内になる量を添加し、焼成す
    ることを特徴とする請求項2記載の誘電体磁器の製造方
    法。2.5<X<8.8 0.7<Y<3.6 2Y+0.3<X 3.5<X+Y<11
  7. 【請求項7】 正方晶チタン酸バリウム微粉末の一次粒
    子平均粒子径が0.1μmから0.2μmであり、一次
    粒子粒度分布が一次粒子平均粒子径±一次粒子平均粒子
    径×0.5μmの範囲内に70%以上含まれていること
    を特徴とする請求項5または6記載の誘電体磁器の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 請求項5または6記載の誘電体磁器の製
    造方法において、焼成時に、脱脂後100℃/分以上の
    昇温速度で昇温することを特徴とする誘電体磁器の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 請求項5または6記載の誘電体磁器の製
    造方法において、焼成時に、脱脂後300℃/分以上の
    昇温速度で昇温することを特徴とする誘電体磁器の製造
    方法。
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